金曜日, 4月 26, 2024
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「廃墟」モチーフのセンタービルで 筑波大生グループが美術展

【山口和紀】廃墟などの「遊休空間」で表現活動をしたいと立ち上がった筑波大学の学生グループの企画による美術展が14日から、つくばセンター広場(つくば市吾妻)で開かれる。平砂アートムーヴメント(阿部七海代表)による「狢PLAY(むじなプレー)」。学生たちが「スラム」と呼ぶ大学の平砂学生宿舎から始まったもので、今回は「廃墟」をモチーフとして設計されたつくばセンタービルの広場(※メモ参照)に会場を移す。発案者で「平砂アート…」のディレクターを務める栄前田さん(芸術専門学群4年)に話を聞いた。 14日から31日、センター広場をメーンに 平砂アートムーヴメント2020は14日から31日まで、各日正午から午後8時までの開催。つくばセンター広場をメーン会場に、作品の展示やセンタービルに入居する飲食店「フィンラガン」(センタービル1階)でのトークイベントなどを行う。 「平砂アート…」は、今回が2回目。廃墟や空き店舗などの「遊休空間」で展覧会を開きたいという栄前田さんの思いからスタートした。故郷帯広の廃ホテルで行われたアート展「マイナスアート2015」にインスピレーションを得ている。「平砂宿舎には1年生のときから住んでいた。2年生のときに宿舎の古い棟に電灯がつかなくなっているのを見て、高校生のときに行った廃ホテルでのアート展を思い出し、あの使われなくなった宿舎で展示会をしてみたいと同級生に話した」 筑波大学の学生課や学群長にかけあって2019年に実現したのが、第1回の展示会「ここにおいて みせる/みる」。19年5月20日から6月2日まで平砂宿舎で行われた。芸術専門学群、情報メディア創生学類を中心に55人の学生がアーティストとして参加した。「廃墟」の棟内で自由に場所を選び、制作と展示を行った。 「人気があったのは、室内に人が『存在』しているという近藤舞さんの展示だった。ドアを開けたら人間が室内に居て存在しているというもので、装飾もまるで舞台のようになっていた。情報メディア創生学類の稲田和巳さんの展示も面白かった。宿舎に明かりを取り戻そうという発想で、14人の参加者の自宅と平砂宿舎の部屋の明かりが連動するようにしていた。参加者が家で電灯をつけると、平砂宿舎の方も自動的に明かりがつくというもの」 今回、会場をセンター広場にしたのは、フィンラガンのマスターである松島壮志さんの呼びかけから。「マスターからは、センター広場周辺に賑わいを生み出したいという思いを伝えられた。やっぱり、つくばは学生と市民の間に大きな乖離(かいり)がある。その異なる2つの立場の人をセンター広場に集めてみたいとの思いは、自分たちのプロジェクトのステートメントでも同じように示している」 しかし、思いが重ならない部分もある。「それはセンタービルという廃墟、おしまいになってしまう場所でアートをするという部分。そもそも平砂アートムーヴメントは誰にも使われなくなってしまった『遊休空間』におけるアートを意図している企画なので。だから、そういう点での違いはあると思う」。賑わいにはせる思惑と廃墟に魅せられた思いとか交錯する。 【メモ】つくばセンタービルの廃墟性センター広場について設計者の磯崎新氏は「筑波研究学園都市という国家プロジェクトでつくられた街ゆえに、中心に国家のシンボルを描き出すのではなく中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と述べている(建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争、パルコ出版局)。また、センター広場の石は、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて「廃墟」を表現したものとされる。⇒NEWSつくば

自動運転からパーソナルモビリティーにつなぐ つくばスマートシティの実証実験

【山口和紀】つくば市が県、筑波大学、民間企業などと構成する「つくばスマートシティ協議会」は27日、自動運転車両とパーソナルモビリティーの実証実験を行った。自動運転の乗用車がみどり公園(同市学園の森)から筑波大学付属病院(同市天久保)まで走行した後、乗客は遠隔操作のパーソナルモビリティーに乗り換え、病院受付まで自動走行で移動するという内容だ。 実験に用いられた自動運転車両はトヨタ・ジャパンタクシー(JPN TAXI)を自動運転用に改造したもので、自動運転技術はシステム開発企業のTierⅣ(ティアフォー、愛知県名古屋市)の技術が用いられた。パーソナリモビリティーとして用いられたのはWHILL(ウィル、東京都品川区、杉江理社長)の電動車いすだ。 自動運転の実験では、万が一に備え運転手が搭乗していたものの、一切の運転操作を行わずコンピューターの自律走行のみで公道を走行した。実際に搭乗した五十嵐立青市長は「怖さは全く無かった。最大の難所が人間でも運転が難しい右折だと伺っていたが、全く心配が要らないレベルだった」と感想を話した。 パーソナルモビリティーは、病院内の移動やバス停から自宅までのラストワンマイルなどで用いられる一人乗りの乗り物のこと。今回の実験では、自動走行ではなく、遠隔操作で走った。実験の監修役を務める筑波大学、鈴木健嗣教授(システム情報系)は「将来的には、病院内で身体に不自由のある方や患者さんを自動運転で検査室や病室まで運ぶようなことを想定している。ボタンを押せば病院内どこでも連れて行ってくれるような形だ。技術的には現時点でも十分に可能と考えている」と話す。 「自動運転の交通手段とパーソナルモビリティーの連携こそが今回の実験のポイント」と五十嵐氏市長。体に不自由な人を想定した実証実験であるため、市長自身も介助を受けながら自動運転車からパーソナルモビリティーに移乗した。 「自動運転の技術そのものは既に一定程度の水準に達しており、実証実験も各地で進められている。しかし、今回の実験ではそこから一歩進める形で、交通弱者のニーズを解決するということを目指した。具体的には、自動運転とパーソナルモビリティーを組み合わせることで、高齢者や障害を持った人が通院をするというシーンを想定しての実験になった」という。 実証実験を行ったスマートシティ協議会は「つくばスマートシティ」の実現を目指し、産学官金が連携して事業を推進していくことを目的として2019年6月に設立された組織だ。大井川和彦知事とつくば市長が会長を務める。茨城県およびつくば市と、筑波大学や産総研などの研究機関、ドコモやカスミなどの企業、計39機関が会員として所属している。 五十嵐市長は「技術的には自動運転技術は十分に実用化のレベルに達していると思うが、法制度の整備などを待つ必要がある。自動運転などの技術を実際の仕組み、サービスとして具体化していくには『スマートシティ構想』に採択されることが大きな後押しになる」と語った。

時速6キロの一人乗りロボ つちうらMaaSに新顔

【山口和紀】自動運転の一人乗りロボ「ラクロ」が25日、新治公民館(土浦市藤沢)近くの公道に沿う歩道をかっ歩した。つちうらMaaS(マース)の実証実験の一つとして行われた。コンパクトな車体に、自律移動に必要なセンサーやデバイスを搭載したロボットで、最高速度は時速6キロ、ちょっと速足気味に走行する。バス停から自宅までのラストワンマイルを担う安全性の高いモビリティーとして活用が期待されている。 ラクロを開発するZMP社(東京都文京区、谷口恒社長)事業部長の龍健太郎さんは「ラクロは人間社会に溶け込むロボットとして開発された。状況に合わせて様々な感情を表現することができ、ただ人を運ぶだけの無機質なロボットではない」と語る。 「ラクロには喜怒哀楽それぞれに3段階の感情表現があり、計20パターンの表情がある。目の前に人がいるときには立ち止まり、サウンドと音でコミュニケーションをする」という。実証実験では状況に合わせて「通ります」「道を開けてください」などと発声していた。 将来的には、スマートフォンのアプリなどでラクロを自宅前などに呼び出し、バス停まで自動で乗客を乗せていくという使い方が想定されるという。実際に東京都中央区ではZMP社が、ラクロのシェアリングサービスを行っている。現在は、月に1万円でラクロ乗り放題のプランや10分で370円の時間制サービスなどがあるそうだ。アプリでは、目的地や日時を入力することで簡単に利用できるという。 大きさは長さ約119センチ、幅66センチ、背もたれの高さ109センチ。ラクロは法律上、歩道を走行するシニアカー(電動車いす)のサイズに準拠する。そのため、日本中どこの歩道であっても走行することができる。 搭載されたコンピューターが自律的に判断をする「自動運転」については、法整備が十分に追いついていない。龍さんは「自動運転で走行することには法律上何ら問題はないが、現在は警察庁などと協議を行いながら事業を進めている状況」と説明した。 ラクロには「頭」の部分に360度の距離を測るレーザー測定器、前方の状況を認識するカメラが搭載されている。客席側にはタブレット端末が装着してあり、目的地までの地図情報や、時間などが表示される。1人乗り専用で、最高速度は時速6キロ、隣の人と歩調を合わせて移動できる。ジョイスティックなどによる操作は一切必要なく、自律的に走行する。リモコンによるマニュアル走行も可能だ。目の前に障害物がある場合には、回避するか立ち止まり、障害物が無くなりしだい自動で走り出す。 実証実験でラクロに乗った男性(つくば市在住)は「思ったよりも速かった。乗り心地は快適で、なにより表情と声がかわいいと思った」と話していた。

入念に新型コロナ対策 筑波大学で入試

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)の2021年度の入学者を選抜する個別学力試験(前期日程)が25日、行われた。受験予定者数の合計は4109人(うち女子は1288人で31%)で、全体の志願倍率は4.2倍になった。最も倍率が高かったのは社会学類の9.0倍で、続いて心理学類の5.8倍だった。合格発表は3月8日。 全国から受験生が集まるため、入念な新型コロナ感染症対策が取られた。受験者には14日間の健康観察記録が義務付けられ、試験会場に入る前に試験官らが健康観察記録表の確認を行った。試験開始前、「本人確認の際のみ、マスクを一時的に外して頂く可能性があります」「換気のため室内の気温が下がることがあります」とアナウンスがあった。 新型コロナウイルス感染のおそれがある生徒は、救済措置として3月22日実施の追試験を受ける。試験方法としては、基本的にオンラインあるいは書類審査をもって行う。ただし、特に専門性が高い医学類、体育専門学群、芸術専門学群、知識情報・図書館学類(後期日程のみ)は筑波大学の試験場で行われる。 今年度入試から、総合選抜が開始された。総合選抜で入学した学生は、1年次の間は新設の総合学域群に所属し、2年次以降は各学群・学類に配属される。総合選抜には「文系」「理系Ⅰ」「理系Ⅱ」「理系Ⅲ」の4区分があるが、どの区分からでも体育専門学群を除く全ての学類に配属の可能性がある。特に専門性が高い、医学類や芸術専門学群にも進路が開かれている。 2020年度は新型コロナの影響で実施されなかった入学式だが、筑波大学によれば21年度について「現時点では入場者の制限を行いつつ実施する予定」だという。

「TSUKUBA新型コロナ社会学」を開講 新年度の筑波大学

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)が4月からの新年度、「TSUKUBA新型コロナ社会学」を開講する。複数の授業担当者が回ごとに講義をするオムニバス形式の授業として行われる。「世界的にも独自性の高い試み」だという。自由科目として開講され、大学院生や科目等履修生を含む、すべての学生が受講できる。 講義全体のオーガナイザーを務める秋山肇助教(人文社会系)は「特に新型コロナの影響を受けて変化する社会や科学、学問のあり方について考える学生の参加を見込んでいる」と話す。 筑波大は「新型コロナ危機に立ち向かい、その成果をいち早く社会に伝えることを目指す」として、27件の新型コロナ関連の研究プロジェクトを「大学『知』活用プログラム」として昨年始動させた。このプログラムには、医療健康分野だけでなく文化、教育、心理など幅広い分野の専門家が参加した。 たとえば、山田実教授(人間系)は「パンデミック下でも介護予防を! 高齢者がパンデミックを乗り越える秘けつを探索する」というプロジェクトを立ち上げ、感染拡大が高齢者の活動に及ぼす影響の経時的調査などを実施している。 太刀川弘和教授(医学医療系)は「健全な引きこもりはあるのか? 引きこもりから『学ぶ』新しい生活様式の在り方を逆転の発想で提案するプロジェクト」を立ち上げた。新型コロナがもたらした「国民的引きこもり状態」は、引きこもり患者にとっては好環境かもしれない。既往の患者から「健全な引きこもり方を『学ぶ』ことはできないか」と提起し、新しい生活様式を提案する研究を行っている。 総合大学であるという特色を生かした「多様な知を学生に還元するため、新型コロナが社会や科学・学問に与えた影響を扱う」のが開講される「TSUKUBA新型コロナ社会学」だという。 授業を担当するのは「大学『知』活用プログラム」に参加している10人の教員。一講義ごとに教員が入れ替わるスタイルの授業で、第1回は秋山肇助教の「COVID-19と日本国憲法」で始まり、最終回は池田真利子助教(芸術系)の「COVID-19下の創造性と芸術表現」で終わる。幅広い学問分野の教員がオムニバスで授業をするという「真の総合大学」を目指す筑波大学ならではの取り組みだ。 オーガナイザーの秋山助教は、受講する学生に期待することについて「まずは、研究者がそれぞれの専門をもとに新型コロナという大きな社会的課題の解決に向けて、様々な研究に取り組んでいることを知ってほしい。その上で、新型コロナが突き付けた社会的課題を解決するためには、多様な学問分野の知見が必要になることを学んでほしい」と話した。

コロナ禍、美術で現実と仮想を問う 筑波大4年 松田ハルさん 都内で個展

【山口和紀】筑波大学4年の松田ハルさん(22)が、個展「VIRTUAL ABSTRACTION(バーチャル・アブストラクション、仮想抽象)」を20日から3月14日まで都内で開催する。松田さんは芸術専門学群美術専攻版画領域に在籍している。老朽化し使われなくなった学生宿舎に作品を展示した「平砂アートムーヴメント」にも参加し、現代アーティストとして活躍している。会場は東京都墨田区のアートスペース「DOGO」。 版画とVRを融合 昨年から、新型コロナ感染対策のために人の動きが大きく制限されるようになり、美術館などではオンライン展示が当たり前のように行われるようになった。松田さんは「(自身の)卒業制作の展示会も、方法が二転三転し、いまのところ作品の画像をオンラインで見られるようにするという話になっている。そういう状況のなかで、美術鑑賞にとって(現実に対する)『仮想』とは何か」ということを問う必要があると思った」と話す。 展示は「版画」と「VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)」を融合させた異色の作品。同一モチーフが「版画」と「VR」の両方にまたがって表現される。まず「版画」が鑑賞者の目に入るようになっており、続いてヘッドマウントディスプレイ(頭部に装着するタイプのディスプレイ)を用いて、鑑賞者がVRの世界に入っていく。VR空間には、版画と同一のモチーフの3Dモデルが設置される。 展示のキーワードは「現実」と「複製」だ。「版画がもともと絵画の複製品であり、VRは現実を複製するもの。鑑賞者はまず版画を鑑賞し、続いてVRによって現実にある版画の複製の世界に入る。そこには、現実と複製の二重性があるが、どちらにも現実と複製が混在している。それゆえに鑑賞者はその二重性に揺さぶられる」と松田さんはコンセプトを話す。 個展の名前に使われている「バーチャル・アブストラクション」はそうした二重性が獲得した新たな抽象性のことを指す松田さんの造語だ。「『真実と虚構』『現実と仮想』などのさまざまな二項対立が融解していく過程を意味するという。 「芸術専門学群という場所は東京のアートシーンからは切り離されているような感覚がある。それゆえに、多くの学生がある種のコンプレックスみたいなもの持っていて。そういう環境だからすごく自分の独自性を意識していて。それがこういう形を作っていると思う」と松田さん。 異色の展示会場 作品だけでなく展覧会場も異色だ。DOGOは、世界最小と銘打ったアートコンプレックス「文華連邦」に入居するアートスペースの一つ。わずか4坪の空間に8つのアートスペースが同居し、それらが入れ代わり立ち代わり展覧会を開いている。それぞれのアートスペースにオーナーがおり「一つが展示を行っているときは、他のスペースはお休みしている」という。 「DOGO」オーナーの番場悠介さん(21)は、松田さんとの出会いについて「2019年の『平砂アートムーブメント』に興味をもって、企画した筑波大の学生とつながった。その学生から『面白い人がいるから』ということで紹介されたのが松田さん」と振り返る。 松田さんの個展を開く経緯については「自分の出身が茨城県なので、地元のアーティストの作品をディレクションできないかと考えていた。松田さんが活動の場をさらに広げるきっかけになれば」と話す。 ◆個展は2月20日(土)から3月14日(日)まで。開館は月金土日曜のみで時間は午後3時から8時。祝日は火水木でも開館。会場のDOGOは東京都墨田区文花1-12-101-103 文華連邦内。

自宅からバス停までの移動手段模索 電動キックボードで実証実験

【山口和紀】電動キックボードは近い将来、自宅からバス停までのラストワンマイル(最後の1区間)の移動手段を担うことができるのかー。土浦市真鍋の自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」で18日、電動キックボードの走行実験が行われた。同市で実証実験が行われている、複数の公共機関やモビリティを組み合わせ、検索・予約・決済等を一元化する「つちうらMaaS」の目玉の一つだ。 実験に使われたのは常総市のベンチャー企業「KINTONE(キントーン)」の電動キックボード「モデルワン」だ。家庭用コンセントから簡単に充電することができ、一度の充電で13~18キロ走行が可能。最高時速は25キロ。孫悟空の「筋斗雲(きんとうん)に乗っているかのように移動できる」という。 今回行われた実証実験では、すれ違い、追い抜き、並走などの様々な状況を、徒歩や車いす、自転車などが通行している状況を想定し実験し、安全性や活用の可能性を探った。 現在、電動キックボードは条件を満たせば原動機付き自転車として公道を走ることができるが、自転車道を走ることは認められていない。一方、欧米ではシェアリングサービスが進むなど一般に普及している。QRコードを読み込むなどの簡単な方法で、街中のステーションから電動キックボードを借りていくことが出来るという。 同社の担当者は「欧米では、新しいことはまずやってみて、そのあと調整して法制度を作っていく。日本は安全性や活用法をきちんと確かめてから法制化という流れ。実際に自転車道を走ることができるのは、早くてもあと5年はかかると考えている」と語った。 実験を行っている関東鉄道の担当者は「バスや電動キックボードのようなモビリティを様々に組み合わせて、より良い交通システムを模索していきたい。」と話した。

差別をなくすために つくばの障害者団体が職員研修

【川端舞】障害者差別をなくすために、障害者と健常者の関係はどうあればいいのかー。差別を考えるオンライン研修会が6日と13日、2日間にわたり開かれた。障害者支援団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)が、主に内部職員向けに開催した。障害者と健常者が互いに尊重し合える関係のつくり方について、活発な議論が展開された。 自立生活センターは全国各地にあり、「障害者のことは障害者が一番理解している」という理念のもと、障害者が中心となって運営される。障害者主体の団体に、これまで健常者がどう関わってきたかを知ることで、センターで働く健常者の職員が「障害者支援を通して、自分も社会を変えていく一員なのだ」とより自覚できるのではないか。そのような思いから、センター設立当時からの職員、松岡功二さん(52)が今回の研修会を企画した。 「健常者は手足になれ」 参加したのは同センター職員のほか、かつて筑波大学で部落差別を中心とした差別問題を研究していた筑波大名誉教授の千本秀樹さん(71)、千本さんの教え子など約30人。 初日は、センターで介助のアルバイトをしている筑波大障害科学類4年の山口和紀さんが、自身の卒業論文をもとに「健全者手足論」について問題提起した。 1970年代、どんな重度障害者でも暮らしていける地域社会をつくることを目指す、障害者たちの社会運動「青い芝運動」が関西で広がった。重度障害者が社会運動を続けるためには、介助する健全者(=当時、現在は健常者)が必要だ。しかし当時は公的な介助制度もなく、ボランティアとして障害者を介助していた健全者は、青い芝運動の中で不安定な立場だった。当初は青い芝運動に共感していた健全者だが、立場の不安定さから障害者との関係がこじれ、障害者を見下す言動が出てきた。運動における障害者と健全者の関係を再確認しようとする中で、障害者から「健全者は組織運営に口を挟まず、組織の手足になれ」という「健全者手足論」が出てきた。「健全者は敵だ」とまで言い切ることもあった。 「健全者と障害者の関係がこじれた時に、『健全者は手足になれ』と主張するのではなく、互いに協働する道もあったのではないか」と、山口さんは問いかけた。 共に差別と闘う 2日目は、千本さんがこれまでの研究活動をもとに、健常者として障害者差別とどう向き合うのかについて論じた。 千本さんは、学生時代から部落解放運動などの反差別運動に関わる中で、障害者運動とも出会った。障害者とともに運動していく中で、自分自身の中にも障害者差別があることに気づく。当時、千本さんはともに運動していた障害者たちに、「自分が差別的な言動をしたら、指摘してほしい」と頼んだ。障害者と本音で語らないと、自分の中にある無意識の差別に気づけない。「自分の中の差別意識に気づくことは怖いかもしれないが、新しい考え方に気づくのは楽しかった」と、千本さんは当時を振り返る。 障害者差別が黙認されている社会では、全ての人間が、自分では自覚していなくても、無意識に「自分は障害者でなくて良かった」という差別的考えを持たされる。 全ての健常者は障害者差別をする側になりえるため、「健常者は敵だ」と考えたのが、青い芝運動の「健全者手足論」だ。そこには、反差別運動は、差別される者だけで行うものだという考え方がある。 しかし「障害者だけでなく、健常者も運動に加わらないと、差別はなくならない」と千本さんは主張する。差別される障害者と、差別する側になりうる健常者が、互いに尊重できる関係になり、差別を内包する社会と共に闘うことが重要だ。 介助者として関係を模索 研修会では、同センター職員による活発な議論も行われた。 現在の障害者介助では、かつての「健全者手足論」とは別に「介助者手足論」が広まっている。介助者は、障害者の手足のように、障害者が頼んだことだけを行うべきだという考え方だ。自分の手足を動かせない重度障害者にとって、自分のやりたいことをしていくために、自分の指示通りに介助員に動いてもらうことは欠かせない。 その共通理解のもと、「しかし、介助者は障害者の手足として、障害者の指示に従ってさえいればいいのだろうか」「障害者差別をなくすためには、まずは介助者が障害者と互いに尊重できる関係を作ること、そして障害者が介助者以外の健常者とも同じような関係を作れるように、両者をつないでいくことも大切なのではないか」など、日々、介助者として障害者と向き合っているからこその意見が多数出された。 障害者と介助者、健常者の関係はどうあればいいのか、つくば自立生活センターの模索は続く。

茨城県南部で震度5弱 つくば・土浦で約2万3000軒が停電

【山口和紀】13日午後11時08分に発生した福島県沖を震源とする地震で茨城県南部で震度5弱を観測した。つくば・土浦地域では約2万3000件が停電したとみられる。 気象庁は緊急地震速報を発表、地震の規模(マグニチュード)は7.1と推定された。土浦市で震度5弱、つくば市で震度4を観測した。 東京電力によれば、深夜0時ごろ、つくば市で28地区、土浦市で44地区が停電した。つくば市桜地区(1万810軒)、同小田(760軒)、土浦市並木(2600軒)、同神立中央(2250軒)、神立東(1140軒)、藤沢(約1200軒)などだ。 つくば市危機管理情報局によれば、今回の地震ではつくば市での災害等は発生していない。 つくば、土浦の震度は以下の通り。震度5弱=土浦市常名震度4=つくば市天王台 つくば市研究学園 つくば市小茎、土浦市田中

新学群「総合学域」で一般入試 筑波大 1年かけ所属学類選ぶ

【山口和紀】筑波大学は2021年度から一般入試に「総合選抜」を導入し、新たな学群となる「総合学域群」を設置する。これまで筑波大の入試は出願時に学類・専門学群を決める方式のみだったが、新設の総合選抜では前期日程の募集人員のうち3割を「文系」「理系Ⅰ」「理系Ⅱ」「理系Ⅲ」という大きな区分で選抜する。 総合選抜の今年度の志願倍率は「文系」で2.3倍(定員128人)、「理系Ⅰ」で2.8倍(定員154人)、「理系Ⅱ」で4.0倍(定員41人)、「理系Ⅲ」で2.7倍(定員90人)に最終確定した。大学全体では、募集人員1469に対し志願者5707人で、前年と同じく倍率は3.9倍となった。 総合学域群に所属する学生は1年次の末に2年次以降の所属学類を決定するが、進路選択の幅は極めて広い。いずれの入試区分からでも体育専門学群を除くすべての学類・学群に進むことが可能になっている。移行先は、学生の志望順位と学類・専門学群側が設定する受入順位の組み合わせで決定される。特に専門性の高い医学類、芸術専門学群なども全ての区分から学生を受け入れる。国が進める「大学入試の一体的な改革に呼応」する新たな教育と入試システムの構築を目指す筑波大独自の改革だ。 筑波大は2019年度から「深い専門性と幅広い知識の両方をともに学ぶこと」を理念とする新たなリベラルアーツ教育「総合智教育」を実施し、「専門導入科目」の導入などが行われた。総合学域の新設は、この「総合智教育」を特に具体化させようとするもので「文系・理系にとらわれずじっくり学んだ後に自らの専門に進む」ことができるように設計されている。 「アカデミックサポートセンター」を設置 総合学域群長の山中弘特命教授は「自分とは違う問題意識や将来の夢をもつ仲間と一緒に、1年間の学びの中で将来の方向性を考えながら、自分の関心と適性に合った学類を絞ることができる」と受験生にメッセージを送る。また、移行先を絞ることは一人では大変になるため、他の学類・専門学群にはない「アカデミックサポートセンター」を設置し学習を手厚く支援するという。アカデミックサポートセンターでは、他学類・学群に所属する教員やコーディネーター、大学院生のティーチングアシスタントなどが総合学域群の学生をさまざまな面からサポートする。 新設される学域群ならではの苦労もあった。来年度が総合学域群初めての学生受け入れとなるため、同学域群には上級生がいない。そのため、筑波大は大学院生を含め、21年度も大学に在籍する学生すべてから新入生の履修登録の相談やサークルの紹介、懇親会の運営などを行う新歓委員を募った。

PayPay利用で30%ポイント還元 今月いっぱいつくば市で

【山口和紀】キャッシュレス決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を利用した買い物の購入額の30%を利用者に還元するキャンペーン「あなたのまちを応援プロジェクト」が1日、つくば市で始まった。期間は28日まで。市によれば、7日時点で、市内店舗での決済件数は2万4000回にのぼり、キャンペーンの開始に向けて導入した店舗も多いという。 キャンペーンは、つくば市がPayPay(本社・東京、中山一郎社長)と締結した協定にもとづく事業で、国の地方創成臨時交付金及び茨城県の地域企業活力向上応援事業補助金を活用した。形式上、還元分の30%は同市の予算から支払われるが、その財源は国と県の交付金ですべて賄うため、市の一般財源からの支出は無い。昨年12月臨時議会で事業費8064万円が予算化された。 対象店舗はつくば市内のPayPay加盟店のうち、中小企業・個人事業主が運営し、いばらきアマビエちゃんの登録など感染症対策を講じている店舗(ただし、大型店舗などは除く)だ。つくば市によれば対象店舗は市内2015店舗(2月8日時点)。 データソースはつくば市「キャンペーン対象店舗リスト(一部)【2月8日現在】」。 一回あたりの付与上限は5000円相当で、キャンペーン期間中の付与上限は2万円相当分。例えば、1000円の買い物をした場合には300円分のポイントが還元されるが、2万円分の買い物をした場合には上限である5000円分しか還元されない。 決済方法では、事前にチャージしたPayPay残高で支払うか、ヤフーカードを登録しPayPayで決済する、またPayPayあと払い(一括)の場合に30%が付与される。 ただし、通常のクレジットカード払いの場合は、30%還元が行われない。詳しくは、つくば市のお知らせページを参照。

60作品を動画で公開 コロナ禍の芸術文化活動を応援 つくば市

【山口和紀】コロナ禍で自粛を余儀なくされている芸術文化活動を応援しようと、つくば市で活動するアーティストの作品やワークショップの動画などが1月29日から、YouTube上の「つくばアートチャンネル」で公開されている。市が主催する「オンラインによる文化芸術奨励事業」で作成された作品で、アーティストや文化芸術団体が講師として出演し、視聴者は工作や音楽を学ぶことが出来る。 同事業は、オンラインで発信可能な文化芸術活動、ワークショップを募集し、奨励金を交付するというもの。ワークショップ動画、アート鑑賞動画、無観客公演動画の3部門があり、各部門それぞれ20作品に最大10万円を交付した。今回、YouTube上で公開が始まったのはアートワークショップ部門。3月までに計約60本の動画を随時配信予定だ。 筑波大大学院博士後期課程で学ぶ日髙衣紅さんが制作したのは「スクリーンプリント」を使ったオリジナルマスクの制作方法の紹介動画だ。日高さんは「シルクスクリーンプリント」という技法を用い、文字を立体的に魅せる作品を制作するアーティストとして活動している。紹介されている「カッティング法」を使えば、特殊な材料や感光を必要とせず、手軽な材料で自分の好きな柄をマスクにプリントできる。 つくば市在住の音楽ママたちで発足したグループ「こもれび」は、「音遊び」のワークショップ動画を制作した。テーマは「耳育(みみいく)」で、子どもたちが楽しんで音楽に親しめるような音遊びが複数紹介されている。太鼓、カスタネット、鈴、マラカスのうち、どの楽器が鳴っているかを当てるクイズや、身近な野菜の名前を使ったリズム遊びなど。 毎週土曜日にオンラインで歌やおしゃべりを楽しむシニアのためのサロンを開催している「シニア歌声サロン ドルチェ オンライン」は、シニアのための一緒に歌える動画を作成した。同サロンはつくば市内の病院や高齢者施設などで音楽を使ったイベントを開催する音楽療法士の磯上朋子さんが主宰している。「新型コロナの影響で、集団で歌を歌うことが難しくなった。『こんなときこそ歌を歌いたい』と思っていた。そこで、つくば市で地域活動に力を入れているUDワークの皆さんとオンラインで双方向に歌やおしゃべりを楽しむサロンを立ち上げた」という。動画では発声練習や手話ソングなどが紹介されている。 動画の公開は3月31日まで。チャンネルはつくばアートチャンネル。

聴覚障害者支える技術を紹介 つくば院生ネット 21日「みんなの学会」

【山口和紀】「聴覚障害とテクノロジー」をテーマにしたオンラインイベント「第2回みんなの学会」が21日、開催される。筑波大大学院生らがつくる「つくば院生ネットワーク」が主催する。「みんなの学会」は昨年2月に初めて開催された。 第2回の今回は、音声認識を利用したコミュニケーションツールを開発する筑波技術大の若月大輔准教授、聴覚障害者に対するパソコン操作の指導を視覚的に助けるツールSZKITなどを開発する鈴木拓弥准教授、竹園東小学校の難聴学級担任の奥沢忍さんの発表などが行われる。 筑波大や筑波技術大の大学院生や卒業生などがイベントの企画に関わった。同ネットワークの田中萌奈さん(筑波大大学院1年)は「通常、学会というのは学問分野ごとに分かれ、発表や議論をする場だが、『みんなの学会』は専門分野や所属に関係なく参加できる学びの場」だと話す。 第2回のテーマは「コミュニケーションを支えるテクノロジー」だ。特に難聴者やろう者とのコミュニケーションにテクノロジーがどのように応用されているのかが紹介される。 当日も使用される遠隔文字通訳システム「captiOnline(キャプションライン)」は、機械学習を利用した音声認識による文字通訳がウェブプラウザのみで簡単に使用できる仕組みだ。音声が即座に高い精度で文字化され、音声会議ソフトに簡単に表示できる。イベントの登壇者の一人、若月大輔准教授が開発したシステムだ。類似の仕組みは複数あるが「特別なアプリやソフトをインストールすることなく、誰でも簡単に文字通訳を遠隔で利用できることがcaptiOnlineの強み」だという。 「改善のアイデア共有できたら」 近年めざましく進歩している音声認識による文字通訳だが、認識精度の問題や機材の煩雑さなど課題も多い。スタッフの高田愛未さん(筑波大4年)は「音声認識のテクノロジーは確かにすごいが、一方でまだまだ不便な点も多くある。そうした不便さを参加者で感じとり、改善するためのアイデアなどを共有していけたらうれしい」と話す。 聴覚障害者も企画の運営に一緒に参加している。スタッフの一人、千葉県在住の寺尾耀一郎さんは、聴覚・視覚障害者が学ぶ筑波技術大学の卒業生だ。寺尾さんは「聴覚障害者を支える技術が、どのように使われているのかを知ることが大事。技術がそこにあるというだけではなくて、どうすれば使いこなせるのかを考える機会をつくりたい」と語る。 竹園東小学校で難聴学級の担任をしている奥沢忍さんは、聞こえにくい児童と聞こえる児童が同じように学級に参加するための試みについて発表する。「小学校に難聴学級が単独で設置されている例は珍しい。貴重な実践の話をしてもらえると思う」とスタッフの高田さんは話す。 「みんなの学会~コミュニケーションを支えるテクノロジー」は21日午後1時からオンラインで開催される。すべてに手話通訳および文字通訳が付く。学生だけでなく一般市民の参加も歓迎している。申し込みはみんなの学会参加申し込みフォーム。

「春を取り戻したい」 入学式に代わるイベントを模索 筑波大1年生

【山口和紀】新型コロナ拡大の影響で入学式が中止となってしまった筑波大学(つくば市天久保)で、「春を取り戻す」ためのイベントを企画している学生がいる。水谷奈都乃さん(教育学類1年)、昨年4月から中止になった入学式に代わるイベントを学生有志で開催できないか模索してきた。 入学直後から企画のプロジェクト 昨年、筑波大学は新型コロナウイルスの拡大の影響を受けて、入学式や新入生歓迎祭、宿舎祭などのイベントをすべてに中止した。水谷さんが「春を取り戻す」ためのプロジェクトを企画したのは「ここで何もしなかったら、将来いまの状況を思い出したときにきっと後悔する」という思いがあったからだ。 プロジェクトを企画したのは入学してすぐの4月だったが、水谷さん自身も、大変な状況にあった。入学をきっかけに埼玉県からつくばに引っ越すつもりだったものの、当時大学からは「新入生は実家に留まるように」との指示が出ていたため断念せざるを得なかった。授業や新歓もすべてオンラインで行われ、所属する教育学類を除いて、交流関係はほとんど広がらなかったという。 企画がスタートした当初、水谷さんは「学生有志で入学式の代わりになる大きなイベントを行いたい」と考えていた。しかし、感染拡大はその後も続き、状況も悪化していった。「去年の7月くらいまでは夏を超えたらできるかも、とは思っていた。でも、夏休みに入ってから、自分の思った通りのことはできないと分かった」と振り返る。 水谷さんは、入学式の代わりになることはできなかったとしても「将来振り返ったときに後悔しないようなことがやりたい」考えた。 そこで、プロジェクトのメンバーと「そもそも自分たちが入学式などのイベントに求めていたものは何だったのか」を話し合うことにした。「大学生になったという区切りや記録が欲しい」「同じ大学に入った仲間との一体感のようなものがないのが寂しい」「同じ場所、同じ時間に人が集まらずとも何か出来ることがあるのではないか」という気持ちがあると分かった。 外出自粛要請に一度はとん挫 今年度の筑波大学では、春学期だけでなく秋学期もほとんどの授業がオンラインで行われた。毎年新入生が屋台を出店し盛り上がる春の宿舎祭も、さらには来場者が3万人を超える秋の学園祭も中止になった。サークル活動も、一部の体育会系の部活動を除いて、対面の活動は自粛が要請されている。「大学生になった実感」が欲しかった。 しかし、大人数で集まることは依然としてできそうに無い。そこで仲間たちと知恵を絞った。出てきたアイデアは「バラバラの時間に時間差でいろんな人が来て一つの作品を作る」というものだった。同時に、入学式のような背景を「立て看板」を使って再現することで、「春を取り戻す」ための写真撮影スポットを作るという企画も行うことになった。アイデアは固まり、準備も着々と進んだ。 水谷さんたちはイベントの実施を12月1日から2週間に決め、場所はカスミ筑波大学店で行うことにした。着々と用意を進め、感染対策を含め、ほとんどの準備を終わらせた。 イベント前日に、最終仕上げをしようと大学へ行った。しかし、プロジェクトを支援している大学の組織T-ACTの担当教員から「外出自粛要請が出てしまったから、イベントは延期の必要性がある」という話があった。そのままイベントは延期になってしまい、年も明けた。 水谷さんは「(イベントと外出自粛要請が)ドンピシャで重なるのはすごいと思った。今も外出自粛要請が出ているから、イベントが開催できるのは2月になるか3月になるか。どうなるか分からない」と語る。 感染対策に翻弄されるプロジェクトだが、得たものも多い。水谷さんは「これまでの取り組みを通じて、たくさんの学びや経験を得られた。時間をかけて準備してきたことがどのような形になるのか楽しみ」と語った。

コロナ禍 学生4000人が行列 筑波大が食料20トンを無料配布

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)は22日、学生に食料の無料配布を実施した。地元企業などから約20トンの支援物資が集まり、学生約4000人が列をつくった。一方、想定を大幅に超える学生が集まったことから4時間以上並んだ学生もおり、午後4時ごろには物資が底をついた。 学生生活課の担当職員は「自粛期間に入ってから、こんなに多くの学生を見たのは初めて。午後2時時点で1000人が受け取ったが、今3000人ほどの列ができている」と語った。当初、受け取りにくる学生は「200人から1000人ほど」と考えていたという。 7割が「アルバイト減った」 同大では新型コロナ第3波が到来した昨年12月半ば、生活への影響について学生にアンケート調査を実施した。回答があった学生の7割が「アルバイトが減った」と答えた。 こうした状況を受け学生を支援しようと、今月5日から、教職員のほか、JAやロータリークラブなどの地元企業や卒業生などに支援を呼び掛けた。わずか3日間ほどで地元企業や卒業生が経営する企業などから20トン近い食料が届いた。 コメ7トン、カップ麺2万4000食、レトルトカレー2000食、缶詰2300個、チョコ菓子1万6000個、飲料水1万1000本、キャベツ・ハクサイ各500個、卵1200パックなどだ。 食料無料配布会の開催を、構内の掲示板やサークルなどを通して学生に案内したところ、学生同士のSNSなどで「大量の物資が集まっている」などと瞬く間に広がった。 当日は集まった食料が大量だったことから、配布会場が2カ所に分けられた。メーンの学生宿舎、グローバルビレッジ会場にはカップ麺、レトルト食品、菓子などが並べられ、サブ会場の平砂宿舎には、コメや飲料水などが置かれた。 「これからずっとキャベツ生活」 配布開始は午前10時だったが、8時30分ころには学生が並び始め、1時間前の9時には数百人が列をつくった。開始時間を15分前倒しすることになったが、その後も列は瞬く間に増え、10時過ぎには約1000人が列をつくった。 人文学類3年の男子学生は「もうすでに3時間並んでいる。あとどれくらい並ぶのか全然わからない」と語り、メーンとサブ会場の両方に足を運んですべての食料を受け取るには「あと1時間か、2時間くらいかかるんじゃないかと思う」と話した。理工学群2年の学生は「並び始めて数十分経ったが、ほとんど列が進まない。ここで帰ったら負けだと思いずっと並んでいる」と笑う。 想定を大幅に超えた学生が集まったことについて学生課の担当職員は「うれしい悲鳴というか、ここまで多くの学生が集まるとは正直考えてもみなかった。カップ麺2万4000個など、これだけ大量の物資が底をつくとは想定しておらず、むしろ残ってしまった場合のことを考えていた」と打ち明ける。 食料を受け取った人間学群1年の学生は「並ぶのは大変だった。でも大量の食材をもらえた。本当にありがたい。持って帰るのが大変」と語る。キャリーバックだけでなく、配布された食料を大きな袋いっぱいに詰め込んでいた学生の姿もあった。「キャベツを箱ごと丸々もらった。これからずっとキャベツ生活」「コメとカップラーメン1年分もらった」と話す学生もいた。

筑波大1年生 オンライン性教育講座を企画 22日「語り合う場つくりたい」

【山口和紀】筑波大学の学生が22日、オンラインで性教育の講座を開催する。企画したのは教育学類1年の佐久田幸空(ゆきたか)さんだ。高校の頃から「性について話し合える機会が必要だと思っており、今回はその前段階として性教育に関する講義をしたいと思った」という。講座には筑波大生であれば誰でも参加できる。 佐久田さんはもともと「性教育」にぼんやりとした興味があった。教育全般を専門とする教育学類を進学先として選んだのには、そのことも影響していた。しかし進学後に分かったのは教育学類には性教育をメーンで扱う授業が開講されていないということだった。そこで「コロナ禍で時間はあるし、自分にできることをやってみよう」と思い立った。 イベントを計画する中で佐久田さんは、体育学群所属で学校保健学や健康教育学などを研究分野にしている教員と出会った。「先生と話す中で、小中高校の性教育を改めて振り返ることができた」と話す。一方で「自分の『性』について話し合える機会を作ることが大事」という認識も深まっていった。 佐久田さんの性教育への具体的興味は高校時代に「コンドームソムリエAi」さんのワークショップの取り組みを知ったことから始まった。Aiさんは本業の養護教諭のかたわら、コンドームの「実物を触って嗅いで引っ張れるアクティブラーニング性教育『コンドーム試触会®︎』」などを主宰している人物だ。「性教育は、学校で教えるだけの限定的なものではなくて、一人ひとりが考えていくこと」と佐久田さんは語る。 しかし、実際に「性について語り合える場」をつくり出すことの難しさも実感した。今回は、その前の段階として「性」についての講座を開こうと考えた。講座では、前半で「性教育とはなにか」についての佐久田さんが概論を伝える。後半で「避妊の具体的方法としてのコンドームや低用量ピル」「もし、避妊に失敗したら」という具体的な話を話す。 コロナ禍で大変な状況が続く筑波大学だが、一人の新入生が学問を真摯に実践しようとする試みを始める。 ◆講座の参加希望者はフォームhttps://forms.gle/Frscuvit5VYFCLKq5から申し込める。対象は筑波大の学生のみ。

食材無料提供に長蛇の列 コロナ禍の窮状顕在化 つくば

支援団体が松見公園で第3弾 【山口和紀】県独自の緊急事態宣言などにより飲食店などが夜8時までの時短営業を余儀なくされる中、アルバイトが減った学生や母子家庭などを応援する食料の無料提供がつくば市天久保の松見公園で17日催された。午前11時の配布開始前から、学生や子供連れを中心に長蛇の列ができ、正午過ぎまで途切れることなく約250組300人以上が訪れた。 主催は市民団体「学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)」(冨山香織代表)で、昨年末の開催に引き続き3回目。 休業手当て「無い」 会場からは、飲食店などでアルバイトをする学生らの窮状が聞こえてきた。2つの飲食店を掛け持ちしてアルバイトをしているという筑波大1年の女子学生は「一つ目の店では週に2日、夜6時から11時まで働いているが、(つくば市が8日に感染拡大市町村になり)夜8時までの時短営業になってからは『正社員だけでやるから来なくて良い』と言われた。もう一つの方は短縮営業で夜8時までの2時間しか入ることができなくなった」と話す。バイト収入は約半分になってしまったという。 飲食店に勤務するつくば市の女性(23)も「時短営業になってから収入が半分以下になった。もともと1日5~6時間働いていたが、夜8時までの時短営業で最大でも3時間しか働くことが出来ない」と語る。休業手当てはもらってないという。 新型コロナによる時短営業で勤務時間を減らされた場合、アルバイトや派遣労働であっても本来、休業手当てが支給されるが、同制度の学生らへの周知不足も垣間見えた。飲食店でアルバイトをしている筑波大の学生(23)は「時短営業で明らかにシフトは減った。店から『後で連絡する』とは言われたが、休業補償などの話は(店側からは)まだ来ていない」という。 アルバイトならではの問題もあるという。学生は「(働いている店は)週ごとに予定を出す形式なので、予定してあった勤務時間が削られて休業したというよりは、そもそもシフトを入れてもらえないという状況。こういう場合に休業補償が出るのか分からない」とも話した。 同大社会学類4年の学生(22)は、アルバイトとして勤務する飲食店から「シフトが削られた分の6割のさらに6割、すなわち削られた時間あたり約36%が休業補償として出る。もともとシフトが入っていない場合には出ない」と言われたという。制度上、国の雇用調整助成金の特例措置(2月28日まで)を受ければ休業手当てが100%支給される事業所もある。学生は「シフト制なので休業補償はほとんど当てにしていない。そもそも、申請の方法も良く分からない。自分はもう卒業するので何とかなると思っている」と話した。 支援の輪 回重ねるごとに拡大 一方、市民による支援の輪は回を重ねるごとに大きくなっている。17日、松見公園で配布されたのはネギやダイコンなどの野菜類と、カップ麺や缶詰などのインスタント食品、トイレットペーパーや生理用品などの生活必需品だ。野菜やコメは近隣の農家から寄付を受け、インスタント食品やトイレットペーパーなど生活用品は寄せられた寄付金で購入などした。 コメ30キロを寄付した常総市の商店経営、古谷忠司さん(65)は「(地域紙の)常陽リビングに掲載された記事を見て、支援したいと思い来た。(2015年の)常総水害の時は、龍ケ崎市の『コロッケクラブ竜ケ崎』から支援してもらった。大変な時期だけどお互いに助け合っていきたい」と話した。 主催者の冨山代表は「参加者は子どもを数えずに244組で、おそらく300人以上。7~8割が学生だったように思う。常陽リビングに掲載され、カンパや物資提供の支援者が増えた」と話す。配布の手伝いをしていた女性も「来る人が大きく増えている。前回まではここまでの行列になることは無かった」と話す。

コロナ禍、初の共通テスト始まる 筑波大で約5700人が受験

【山口和紀】センター試験に代わって今年度から導入された大学入学共通テストが16日始まった。17日まで2日間にわたって行われる。年末年始を境に県内でも新型コロナウイルスの感染者が急増、県独自の緊急事態宣言が前日に発令される異例の状況下での実施となった。筑波大学(つくば市天王台)会場で受験する学生は、志願者が前年より約170人減少し6428人が志願した。1日目に実施された外国語は5716人が受験した。 感染防止対策として、受験生にマスク着用が義務付けられ、アルコールによる手指消毒の徹底、一科目終了ごとの可能な限り長時間の換気などが行われる。昼食は自席でとる。また同大は大規模な試験会場であるため、試験終了直後、受験生が一斉に出入口に集まらないよう退出を数回に分けるという。 受験生同士の横の間隔は例年通り、カンニングなどの不正防止のため2メートルほどあるが、前後の間隔は狭い。座席の間隔に関しては、大学入試センターからの通知(昨年11月)にガイドラインが示されている。座席の間隔について「なるべく1メートル程度の間隔を確保する」とされる一方で、「もともと不正防止の観点から座席間の距離が確保されて」いるため「追加的な対応は不要」との見解が示されている。 試験のために用意された教室は、前年度より6室増え、153室となった。同大の担当者によると、筑波学院大学試験場が今年度から廃止され、県立竹園高校試験場が新たに設置された。配慮が求められる障害のある受験生が増加したことが試験室微増の理由だという。 16日、同大の試験官の中には、マスクの上に透明なフェイスシールドを着ける大学教職員らも複数いた。 つくば市の高校3年、中村かれんさんは「(試験会場について)コロナは怖いし不安だけど、勉強のことで頭がいっぱいであまり考えられない。受験生としては、マスクと消毒以外にはできることがない気がする」と試験前日、NEWSつくばの取材に対し話した。 今年の共通テストでは受験生が、新型コロナウイルスの感染拡大により長期休校などを余儀なくされ学習が遅れた場合、2週間遅い30、31日に実施される第2日程の追試験を選ぶことができる。大学入試センターは、体調が万全でない時は無理せず追試験の申請をすることを呼び掛けている。

グラフで見るつくば市・土浦市の感染状況

本ページについて  このページはNEWSつくばが作成した新型コロナウイルスの感染状況のグラフを掲載しています。すべてのグラフは自動更新されておりますが、最新の状況を反映していない可能性もあります。ダウンロードは自由ですが、引用元として本ページのリンクを示してください。データソースは茨城県新型コロナオープンデータです。 つくば市 過去7日の陽性確認者数の推移   陽性確認者数(公表日ベース)   陽性確認者数(発症日ベース)   土浦市 過去7日間の陽性確認者数(公表日ベース)   陽性確認者数(公表日ベース)   陽性確認者数(発症日ベース)   年代別の感染確認者数   データテーブル 感染者の合計 過去7日間の感染確認者数 ※反映時間の関係上、最新のデータテーブルではない可能性があります。   特記事項 データソースは「茨城県新型コロナ オープンデータ」を利用しています。茨城県公式サイトの情報から新型コロナ感染者の属性をオープンデータにしたものです。リンク→https://opendata.a01sa01to.com/covid19_ibaraki/patients 誤った情報を掲載しないよう最大限の注意を払っていますが、信頼性を保障するものではありません。当ページの利用に関して閲覧者に生じる不利益に対しNEWSつくばは一切の責任を負いません。 グラフのダウンロードはいずれも自由です。SNSあるいはその他のページに掲載する際には、当ページへのリンクを張り、引用元として示してください。 グラフは12時間ごとにデータソースをもとに自動的に更新されますが、最新の情報を反映しているとは限りません。 本ページに関する問い合わせは担当者(NEWSつくば技術担当者 山口和紀:k.yamaguchi@newstsukuba.jp)までお願いします。 グラフはGoogleスプレッドシートとGoogle App Scriptを用いて自動生成したものです。iframeを埋め込むとレスポンシブにならないので画像で表示しています。※Googleスプレッドシートのグラフをiframeでレスポンシブに表示する方法をどなたか教えて下さい!  

年の瀬に学生・ひとり親家庭への生活支援 土浦、つくばで配布会

コロナ時代の歳末助け合いー。生活が困窮している大学生やひとり親家庭の生活支援のため、食料品や日用品の無料配布が26日に土浦市内で、27日につくば市内でそれぞれ行われる。 年越し支援テント27日松見公園に再び つくば 【山口和紀】つくば市では27日午前11時から、松見公園(つくば市天久保)を会場に、学生らに対して野菜やコメ、日用品などの無料提供が行われる。実施するのは市民団体「学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)」(冨山香織代表)。前回の支援は今月6日に行われ、今回で2度目となる。 前回の支援では、口コミやSNSで支援物資を募り、約20人から家庭にある食品や日用品の提供があった。カンパも6万円集まり、食品の購入等に充てた。支援物資を受け取りに訪れたのは、当初の想定だった20人を大きく超えて、実際には学生を中心として140人ほどに上った。 プロジェクトを企画した冨山さん(39)は、つくば市内の飲食店を夫婦で経営している。アルバイトとして働く大学生や、店を利用する学生たちとの会話から「学生たちが大変な状況にある」ことが伝わってきたと話す。 前回、支援物資を受け取った人を対象にアンケートも実施された。回答した69人のうち、19人はアルバイトのシフト勤務が減り収入も減ったという。「親の収入が減っている」「アルバイトの収入が減り、親からの仕送りも減った」という声などもあった。 無料配布を受け取った人間学群の学生(21)は、「自分はとても困っているという状況ではないが、バイト先が短縮営業でシフトに入りづらい状況だから助かった」と話した。正月の帰省については「実家では(感染した際の死亡リスクが特に高い)高齢の祖父や祖母と同居して暮らしているので、今年は帰省できない。正月を一人で過ごすのは初めて。そういう学生も多いのではないか」という。 27日の無料配布は「年越し準備」に向けたもので、今後、月に1回程度の開催を目指している。冨山さんは「野菜や食品など支援物資の提供を募集している。学生たちのため、ぜひ協力していただけたらありがたい」という。募集しているのは、野菜、缶詰・レトルトなどの食品類、日用品のたぐいだ。 支援物資の提供など連絡はpeaceoftsukuba@gmail.com(冨山さん)まで。 シングルマザーにも呼びかけ26日市民会館駐車場 土浦 【崎山勝功】土浦市では26日午後1時から同市真鍋新町のクラフトシビックホール(土浦市民会館)駐車場で、学生・ひとり親支援の「食料日用品無料配布会」が行われる。主催は「コロナに負けるな!つちうら食料支援プロジェクト」。つくば市で行われた「学生応援プロジェクト」による食料無料配布会を知って、「土浦でもやりたい」と同市在住の長坂法子さん(74)が仲間たちとプロジェクトチームを立ち上げた。 近隣の農家に野菜やコメの提供を呼び掛けたところ「野菜を提供したい」と複数の農家から提供の申し出があったという。また市民有志からレトルト食品や日用品の寄付も相次ぎ、プロジェクトチーム立ち上げから約2週間で多くの支援物資が集まった。 長坂さんは「つくばと違って『学生の街』ではないので、ひとり親も支援しようと思った。桜町のお店で働いている人がどれだけ大変か」と目を配る。 同市桜町は県内有数の歓楽街、キャバクラをはじめ「接待を伴う飲食店」も立地する。こうした店に勤務する若いシングルマザーも少なくなく、コロナ禍に伴う営業時間短縮要請や営業自粛の影響を受け、収入減や失業する例も見られるという。 配布会の会場では、生活に困窮するシングルマザーを支援に、相談窓口の紹介も併せて行う予定だ。「本来は政治の仕事。公助が必要。みんな共助で助け合っているけど、(20代から40代の)女性の自殺率も高くなっている」と長坂さんは行政の積極的な支援を訴えた。 問い合わせは、土浦母親大会連絡会事務局(電話:029-824-8949)まで。

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