月曜日, 2月 6, 2023
ホーム 検索

山口和紀 -検索結果

If you're not happy with the results, please do another search.

新学期開始を3週間延期 新型コロナで筑波大

【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、筑波大学(つくば市天王台)は新学期の授業開始日を3週間遅らせ、4月27日にすると発表した。本来、大学の学群は4月8日から、大学院は7日からスタートする予定だった。同大はすでに4月5日に予定されている入学式の中止を決めている。 開始を遅らせることによる授業の不足分は、土曜や祝日に授業を行い埋める。土曜授業は5月に4回、6月にも4回、計8回行う。祝日に授業を行うのは計3回(昭和の日、海の日、スポーツの日)だ。 さらに授業の不足分をオンラインで補うなど弾力的な授業の形も可能だとした。例えば対面での授業を8回だけ行い、あとはオンラインで課題を出すなどだ。通常は定められた時間数の授業を行わなければならないが、文科省が2020年度の授業について「弾力的に取り扱って差し支えない」と3月24日付けで通知したのを受けて、各教員が柔軟に判断を行えるようにする。 宿舎やアパートで健康観察 授業開始は延期したが、同大は、4月6日までに帰省先の実家などから、学生宿舎やアパートに戻るなど「通学するための環境に身を置いて過ごしてほしい」と学生に呼び掛けている。 新入生も4月6日をめどに学生宿舎やアパートなどに引っ越してくることになる。新型コロナウイルス対策として2週間以上の健康観察を行うためだ。同大は「つくばに来てもらい、つくば市内あるいは保健所の管区内で過ごしてもらうことを原則にしたい」とする。新入生の行動には一定の制限がつくことになる。 履修する授業について新入生が説明などを受けるオリエンテーションに関しては、教室の換気ができ、多人数が集まらず、それぞれが1.5メートル程度の間隔を空けられるなどの環境を整えることができれば行うとした。各学群、研究科といった教育組織別に検討を行い、工夫しながら行う。 オンラインでのオリエンテーションも検討する。しかしオンラインのオリエンテーションや授業にアクセスするには同大の統一認証アカウントが必要だ。同大は「アカウントがないとアクセスできないので、手渡しはどうしても必要になる。職員との接触などについては検討中」と述べた。 新入生にとって馴染みのない土地で3週間の「待機」となれば心理的なストレスは大きい。対策として同大は様々なプログラムを実施したり、課題を出したりしながら工夫を行っていくとしている。 留学生には帰国要請 さらに同大は3月10日から25日までに滞在国ごとに、世界各国にいる学生や留学生に帰国要請を行っている。3月25日付で外務省の危険情報が全世界でレベル2に引き上げられ、「渡航禁止」の対応が取られたためだ。 海外にいる同大の学生は現在316人で、そのうち日本国籍の学生は193人(留学や研修など)、本国に帰省している学生が123人だ。帰国・来日した学生に対しては、2週間は症状がなくとも毎朝必ず体温測定するなどの健康観察を行い、自宅待機するよう通知している。 留学生などが4月になっても日本に入国出来ない場合については、3月19日日付で「不利益が可能な限り少なくなるよう対応を検討する」と呼び掛けを行っている。現時点でイタリアに滞在する2人の学生が帰国の見込みが立っていないという。授業までに帰国できない学生または隔離期間の学生にはオンラインでの補講などが検討されている。 ➡筑波大学の関連記事はこちら

「まちがいさがし」で子供たちにキャンペーン 県障害者権利条例5周年

【山口和紀】県障害者権利条例が4月1日、施行から5年を迎える。これを祝し、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・自立生活センターいろは)が同ホームぺージでキャンペーンを行っている。バリアフリーをテーマにした「まちがいさがし」で、正解した小学生に景品を贈呈する。 「まちがいさがし」には様々な障壁が人々を暮らしにくくしている状況が描かれる。例えば、タクシーに乗るためのスロープがあるかどうかだ。少しの段差がなくなるだけで、車椅子を使っている人などが多くの人が使いやすくなる。 少しの段差をなくしたり分かりやすく説明をしたりするなど、誰もが暮らしやすいように環境を変えることは「合理的配慮」と呼ばれる。キャンペーンの狙いは、社会を少し変えるだけで障害がある人や高齢者、ベビーカーを押す人など多くの人が暮らしやすくなることを子どもたちに知ってもらうことだ。 共に歩み幸せに暮らすために 県障害者権利条例(障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための県づくり条例) は2015年に施行された。障害者に対する差別的な取り扱いをなくすことを目的とした条例だ。つくば市にある障害者支援団体「自立生活センターほにゃら」と水戸市の「自立生活センターいろは」の2団体が2011年から条例をつくる活動を始め、12年に「茨城に障害をもつ人の権利条約をつくる会」が発足した。条例は議員提案という形で県議会に提案され、施行された。 条例に基づき、県は障害者差別相談室を設置。常駐する専門の相談員に「差別的取扱い」や「合理的配慮」について相談できる体制が整った。過去には視覚障害者から「工場見学に行った際に盲導犬の同伴を拒否された」という相談などがあったという。 現在つくば市では、店舗や地域団体などが、点字メニューを作成したり、筆談ボードなどの物品を購入したり、スロープを付けて段差を解消するなど工事施工に補助金を出す制度を設けている。水戸、取手、ひたちなか市も同様の制度がある。 ◆キャンペーンは「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」のホームページから、はがきで応募する。締め切りは4月13日。対象は小学生。正解者の中から抽選で10人にオリジナルクオカードをプレゼントする。 ➡県障害者権利条約の関連記事はこちら

筑波大、新学期開始延期あるか 五輪対応で難しい選択

【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の大学で新学期の開始時期を数週間から1カ月程度延期する動きが始まっている。すでに入学式の中止を決定した筑波大学はどうなるのか。NEWSつくばの取材に対し大学は、新学期開始時期の延長措置を「検討中」だと回答した。 筑波大は春学期と秋学期の2学期制を導入している。東京オリンピックの時期に授業が行われないようにするため、もともと春学期をおよそ3週間短縮し土曜授業を行う変更措置を行っていた。 首都圏では、東京理科大学が開始を5月に延期することを決定した。その他、早稲田大学や明治学院大なども既に延期の決定をしている。 筑波大も難しい選択を迫られる状況だ。厚労省の専門家会議は、3つの条件が重なる場合に感染リスクが高く、これらの環境を出来る限り避けるべきと発表した。①換気の悪い密閉空間②多くの人が密集③近距離での会話や発声―の3条件だ。大学の授業はこれらの条件が重なることが多いため、授業の開始時期をずらす大学が多い。 しかし、筑波大には開始時期を後ろにずらすことが難しい事情がある。大学は昨年3月にオリンピック期間中に授業や試験を原則行わないと発表。例年よりも3週間ほど春学期を短縮し、代わりに計8回の土曜授業を行う。元々春学期は変則的なスケジュールを組んでいた。 学生の3/4が土曜授業に反対 筑波大の学生組織「全学学類専門学群代表者会議」が2019年10月に行ったアンケートによれば、回答した学生の75%がオリンピックに伴う土曜授業に「反対」している。さらに、筑波大学新聞の調査によれば工学システム学類、情報科学類の2学類は「予習や復習に学生が使う時間が減ることなどを考慮」し土曜授業を行わないことを既に決定している。 オリンピックに伴う土曜授業の決定によって特に大きな影響を受けるのは教職課程の履修者だ。例年、教職課程科目は土曜日に集中講義という形で授業を行う場合が多くあった。特に小学校教諭免許に関わる科目は土曜日に行っていた。 それらの授業は、今年は日曜日と、オリンピックに関わる変更後に空いているいくつかの土曜日に移されたり、春学期の授業を秋学期に移したりすることで対応する。 このような状況の中、新型コロナウイルスの影響でさらに春学期の開始時期を遅らせるとなれば混乱は必至だ。 NEWSつくばの取材に対し、筑波大は春学期の延期措置は「検討中。現時点で公表可能な情報は無い」と回答。オリンピックに関わるカリキュラムの変更を行っている以上は開始時期の延期措置は難しいのではないか、という質問にも「検討中」と回答している。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

【新型コロナ】今度は入学式を中止 筑波大

【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて筑波大学は13日、卒業式の大幅縮小(3月10日付)に続き今度は、4月の入学式を中止すると発表した。 同大は「新入生にとってかけがえのない行事を中止することは大変心苦しい決断だが、学生の健康と安全確保を第一に考え結論に至った」として理解を求めている。 入学式は4月5日に予定され、大学と大学院合わせて計約4700人が出席する予定だった。 新入生の大学での授業開始は8日、その前の5~7日には履修する授業の説明などをするオリエンテーションを実施する予定だ。大学院は5~6日にオリエンテーションを実施、7日から授業開始予定だが、同大はオリエンテーションや2020年度の授業スケジュールについては後日改めて新入生に通知するとしている。 新歓も中止、上級生は「ツイッター新歓」検討 入学式終了後は例年、サークルや部活動など各団体の上級生が、新入生に紹介チラシを配る「新入生歓迎祭(新歓祭)」が実施される。同大は学生に対し、現在予定されている新入生歓迎活動、特に「ご飯会」を含む集会活動の延期や中止を要請した。 これを受けて、新歓を取りまとめる新入生歓迎祭推進委員会は新年度新歓祭の本祭中止を決定した。さらに体育会、文化系サークル連合、芸術系サークル連合の3連合会も合同新歓の中止を決定した。サークル各団体も新歓を中止・延期するかどうか、現在、判断を迫られている状況だ。 文化系サークルの新歓担当者の1人は「今年は『ご飯会』を全面的に中止する。ワークショップなどを準備してきたが、どこかのタイミングで出来ないか考えている」と話し、「メジャーなサークルはオンライン新歓が有効かもしれないが、うちのような“弱小”サークルはどのように人を集めれば良いか悩ましい」と語った。 同大はツイッターをはじめとするSNSが盛んだ。新歓の中止要請を受け、複数の団体が「ツイッターで発信を強化する」と書き込んでいる。名古屋大学など他大学ではオンライン新歓をする動きもある。リモートワークならぬリモート新歓として「ツイッター新歓」や「VR(バーチャルリアリティー)新歓」が今年のトレンドになるのかもしれない。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

【新型コロナ】筑波大、卒業式を大幅縮小 代表者のみ出席へ

【山口和紀】筑波大学は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、卒業式の規模を大幅縮小すると発表した。大学の各学群・学類、大学院の研究科からの代表者のみが出席し挙行する。家族はもちろん、一般の卒業生・修了生も出席できない形だ。 卒業式は今月25日、同大の大学会館講堂で実施する。2月28日時点で同大は「出席者は卒業生・修了生のみとし、家族等の来場はご遠慮させていただく」と発表していた。しかし、感染拡大の影響で3月10日にこれを変更。感染の拡大状況から、多数の参加者が一堂に会して開催することは困難であるとし、各学群・学類、研究科の総代や副総代など、代表者のみ出席する形を取る。 式次第も大学は学群を2つに分けて別々に実施、大学院と合わせて計3回、卒業式を実施する。同大広報室によると昨年度は大学、大学院合わせて約7500人が卒業式に出席した。今年は計3回の式典を合わせ例年の50分の1の約150人になる見込みだという。 「晴れ着を着たかった」 出席できなくなった卒業生の1人は「晴れ着を着たかった。友達や仲間と集まる機会が無くなってしまったことは残念」と話した。 卒業式後のパーティー中止を既に決定している学群もある。大学側も「食事を取りながら懇談を行う祝賀会については、開催を控える」よう通知していた。以前から準備を続けてきた学生は「卒業パーティの中止は残念。皆で集まる最後の機会だった。参加予定者への返金が大変」と話す。 卒業式の会場では、後輩たちが『出待ち』をして卒業する先輩たちを祝うのがサークルの慣例だ。「今年は出来ないと思うと寂しい」と話したのは在校生。今年は「追い出しコンパ」なども大規模には行わないサークルが多いそうだ。 成人式に続きまたしても 晴れ着のレンタルなどをしている同大近くの着物店「明日櫻」(つくば市天久保)の担当者は「卒業式の規模縮小や式次第の変更で『着付けの時間を変更して欲しい』という要望がきている。対応できるかどうか検討しているところ。キャンセルは現時点ではきていない」と話した。同店では、晴れ着での写真撮影のみの依頼も対応しており、他店で着付けをして写真撮影のみ同店のスタジオで行うことも可能だという。 今年度卒業するのは「はれのひ」事件が起きた年に成人を迎えた学年だ。新型コロナの影響でまたしても「晴れ着」を着れないという状況になってしまった。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

「家に帰ってもご飯ない」 無料塾の子ども食堂 当面中止 新型コロナでつくば市

【山口和紀】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて、つくば市は27日から、生活困窮世帯の子供を対象とする無料塾「青い羽根学習会」での食事提供を当面の間、中止することを決定した。利用している子供からは「家に帰ってもご飯はないと思う」という声が出ている。 市は生活困窮者自立支援法に基づき地域のNPOなどと協働で、青い羽根学習会を市内13カ所で実施しており、そのうち3カ所で食事の無料提供が行われている。しばらくの間、これら無料塾での「子ども食堂」は中止となる。市子ども未来室は「食事はウイルス感染のリスクが大きいため」だと説明する。ただし無料塾そのものは中止せず、マスクの着用や手洗いの徹底で対応してもらう方針だ。 ライフラインの児童・生徒少なくない 「『子ども食堂』がなければ今日の夜ご飯が無くなる子供もいる」と、無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブ ロベ」(つくば市島名)代表の森美智子さんは話す。無料塾に通う子供の1人は「子ども食堂が無くなると聞いてがっかり。今日は勉強する気が起きない。感染を防ぐためには仕方が無いとは思うが、お腹が減ったし、家に帰ってもご飯はないと思う」と話した。 ロべは運営する3カ所の無料塾のうち2カ所で塾の子供たちを対象に「子ども食堂」を行っている。小学生から高校生まで70人近くの児童・生徒が利用し、カレーライスやみそ汁、おにぎりなどのメニューを毎回提供していた。市の決定を受け、週に3日間実施していた「子ども食堂」を当面中止する。 ロべに対しては「感染リスクに配慮し、家でも食べられる既製品のパンを無償提供する」という企業からの声掛けも既にあったという。 森代表は「感染拡大を防ぐため中止の対応は妥当だと思うが、中止によって食べるものが無くなる子供がいることもまた事実」だと語る。子ども食堂がライフラインになっている児童・生徒の数は少なくないのが現状だ。 現場は難しい選択 無料塾「青い羽根学習会」の子ども食堂とは別に、市は民間団体が実施する子ども食堂「みんなの食堂」に対しても補助金を出している。みんなの食堂は昨年末時点で市内に6カ所あり、子供から高齢者までだれでも利用できる。みんなの食堂の新型コロナウイルスへの対応は各団体の判断に任されている。感染リスクと福祉的必要性を天秤にかけて、どちらを取るべきなのだろうか。現場は難しい選択を迫られている。 ◆居場所サポートクラブ ロベは日頃から食べ物の寄付を募っている。コメや日持ちのする野菜などが必要。生鮮品は要相談。連絡先はafterschool.robe@gmail。 ➡新型コロナウイルスの過去記事はこちら

ツンデレの白馬がやってきた 筑波大馬術部に元競走馬

【山口和紀】筑波大学体育会馬術部の厩舎(きゅうしゃ)=つくば市天王台=に2月はじめ、元競走馬の白馬がやってきた。サラブレッドの牡(おす)、15歳。現役時代の名前はバロンビスティー、JRA(日本中央競馬会)美浦トレセン所属で、2008年から11年に国内22戦4勝の成績を残した。白く美しい芦毛の馬体で、引退後は東京競馬場の誘導馬として活躍し、ファンも多かったそうだ。 筑波大に移籍し「桐杏(とうあん)」と命名された。由来は、大きな身体で、杏(あんず)の花のような白さと美しさから連想したという。日本産の牡サラブレッドには、「桐(とう)」という文字に一文字足して命名する同部の慣習にならって命名した。 部長の松田森樹さん(生物資源学類3年)によると「桐杏は少し気難しいところがある。かまって欲しそうにしているが、近づき過ぎると怒る。あえて言うなら“ツンデレ”みたい」だそうだ。 馬術部には「桐杏」を含めて11頭が在籍し、馬術部の部員は14人。全員が大学に入ってから馬術を始めた。松田さんは「生き物への関心が元々あって、入学後の体験で馬に乗ったときに『この部に入ろう』と思った。馬術部の面白さというのは、生き物を相手にすることにあると思う」と話す。 馬術競技には大きく「馬場」「障害」「総合」の3種目がある。同大は特に総合馬術に力を入れているという。他の馬場馬術や障害馬術は、それを得意とする馬種が多く在籍する私立大学が一般的に強い。筑波大馬術部は引退した競走馬、つまりサラブレッドが多く在籍するため、その特性を活かすためには総合馬術が最も適しているそうだ。 「馬との距離の近さ」が大学馬術の特徴だ。部員それぞれが1頭の馬の世話を担当している。持ち回りで担当するが、365日、毎日4回の餌やりも欠かすことはできない。「プレーヤーとマネージャー、そしてトレーニング。これら全てを自分で担当することで得られる奥深さは魅力的。毎日毎日、馬も人間の調子も違うため、新しい発見がある」と内窪夏希さん(教育学類2年)は話す。他競技であれば言葉で話すことで通じ合えるが、馬術は違う。「チームメートは馬。言葉は通じない。『ちゃんとやって』と言ったとしても伝わらない。その難しさと面白さが馬術にはある」そうだ。 馬術部では同大の学生と教員向けに体験乗馬を随時行っている。連絡先は馬術部ツイッター(https://twitter.com/tsukuuma)へ。部活への入部はいつでも歓迎。学外者への一般開放は現在のところ行っていない。  

カラオケ店でテンポよく 22日に筑波大医学生、心肺蘇生選手権

【山口和紀】筑波大学医学群医学類4年の森陽愛子(ひめこ)さんが、大学近くのカラオケ店で22日、心肺蘇生選手権を開催する。一般の市民や大学生が対象だ。カラオケ店で開催するのは心肺蘇生のテンポに近い曲を実際に歌ってみたり、大人数で合唱したりしながらテンポを学んでもらうため。森さんが選んだ若い人に人気の曲を使う。「心肺蘇生のやり方に触れてもらい、テンポを学んでもらえたら」と森さんは参加を呼び掛ける。 「TSUKUBA心肺蘇生選手権」で、昨年11月に引き続き2回目の開催となる。心肺蘇生を全くやったことがないという人でも参加できる。 心肺蘇生の技能を得点化する装置のついた訓練用の人形を使って、心肺蘇生の上手さを競う大会だ。医療関係者ではない一般の人に参加してもらうためカラオケ店の一角を使い行う。 主催する森さんは以前から、地域の子どもたちや高齢者に心肺蘇生やたばこの悪影響などを啓発するサークルに所属していた。今回は、大学生や社会人にも心肺蘇生のやり方を知ってほしいと、楽しみながら参加できる選手権形式で開催する。 参加者には30秒間、訓練用の人形で心肺蘇生をしてもらう。1分間に100~120回のテンポで、5~6センチの深さまで胸を圧迫する。選手権では押し込む深さやそのテンポなどを採点する。最も高い得点を獲得した人には景品も用意されている。前回大会の景品は大きなシロクマのぬいぐるみだった。景品のぬいぐるみを使って心肺蘇生の練習をしてもらえたらという思いからだ。 会場のカラオケ店は森さんがもともと頻繁に通っていた店だという。「フレンドリーな店長で、以前から親しくしていた。大会の計画を話すと『うちでやりなよ』と言ってくれた」と語る。 あいみょんやFoorinの曲で 森さんによれば、カラオケで開催する利点は幅広い層に届くことだと言う。前回大会ではカラオケをしに来たお客さんを誘って参加してもらった。その結果「大学生や社会人はもちろん、留学生にも参加してもらえた。『初めて心肺蘇生をやった。楽しかった』と言ってくれた人もいた」という。 さらに「(胸骨圧迫のテンポに近い曲を)実際に歌ってみたり、大人数で合唱したりしながら心肺蘇生のテンポを学んでもらえる」と森さん。従来の講習などでは一昔前の古い曲を使って伝えている場合が多く、若い人には届きづらいと感じていた。「気になって調べてみると、あいみょんの『マリーゴールド』とかFoorinの『パプリカ』とか、最近の人気曲にもちょうどいいテンポの曲がある。それらを使って伝えたい」と語る。 森さんは今後も継続的に「心肺蘇生選手権」を続けるつもりだ。「大会をさせてくれるお店だったり、イベントに企画として呼んでもらえたり、そういうことがあればうれしい。気軽に連絡を取ってもらえたら」と話す。 ◆第2回TSUKUBA 心肺蘇生選手権 22日(土)、カラオケボイス天久保店(つくば市天久保1-7-1)で開催。午後7時から12時までの間、好きな時間に参加することが可能。所要時間は5分程度、申し込み不要。参加は無料だが、カラオケ代は別途支払いが必要(大会参加者にはポップコーンのサービスあり)。詳しくはhttps://twitter.com/tsukuba_sosei(ツイッターアカウント)。

つくばに「ご当地スポーツ」 200人が全5種目を体験

【山口和紀】つくばに「ご当地スポーツ」ができた。全5種目のご当地スポーツを体験するイベントが2日、つくばセンター広場(同市吾妻)で催され、親子連れを中心に約200人が「つくば」と「ゆるスポーツ」の融合をテーマに作られたオリジナルのスポーツを楽しんだ。 主催したのはつくば市と、コワーキングスペース「アップツクバ」などを運営するfor here(フォーヒア)。監修を世界ゆるスポーツ協会が担当した。「ゆるスポーツ」はスポーツの得意不得意などを問わず、誰もが「ゆるっと」楽しむことができることを目的にしている。 昨年12月から2回の会合を開き、参加者はそれぞれがチームに分かれオリジナルのスポーツを考案した。for hereの江本珠理さんは「イベントの趣旨は、関係人口を増やすこと。千葉から来た参加者もいる。イベントをきっかけにつくばに関心を持ってくれる人が増えればうれしい」と話した。 5種目のうちの1つ「ペタウェイ」は、電動の立ち乗り自転車「セグウェイ」と元素記号の融合がテーマだ。つくば市は「モビリティーロボット実験特区」としてセグウェイの公道走行が認められていることからテーマになった。ルールは「元素」をモチーフにしたボールを「セグウェイ」に乗った的(まと)役の人に投げ、的に当たった「元素」がH2OやCO2のようにそろうと得点になるというもの。考案したチームの板谷隼さん(筑波大学大学院2年)は「僕らのチームはセグウェイがテーマ。最初はセグウェイにカゴを載せて、プレーヤーはボールをカゴに投げ入れるというルールだった。後から研究学園都市らしさということで『元素記号』要素を入れて、このような形になった」と話した。 立教大学池袋高校の数理研究部が考案・開発した「谷田川エクスプレス」はバーチャルリアリティー(VR)を使ったスポーツ。参加者はメガネ型のディスプレイ「ヘッドマウントディスプレイ」を装着し、映し出される仮想の「谷田川」で渡し船をこいでゴールを目指す。開発した山崎友也さん(同校2年)さんは「もともとVR作品のコンテストに参加していて、それを見たつくば市の担当者が今回のイベントに誘ってくれた。ゲームは部活の先輩と専用のソフトを使って開発した。コンテストのために作ったものだが、お客さんに楽しんでもらえたらありがたい」と話した。 ほかには、祭ばやしのリズムに乗せて「山菜採り」を行う慶応大学商学部の学生チーム考案の「アブウド採らず」、筑波大院生らが作成した「ガマの油」を集めるVR競技「ガ筋肉(マッスル)」、つくばの特産品である「芝」をテーマにした「筑波つくばおろし」などがあった。 主催者の江本さんは「申し込みは100人を超え、当日申し込みの方もたくさんいた。大勢の人に参加してもらえたのがうれしい」と語り、「ご当地スポーツを作る過程で、つくばが芝の名産地であることなどたくさんの発見があった。10歳の子どもから社会人まで、対等に関わりあってスポーツを作っていくことができたのが良かったと思う」と話した。

筑波大お笑い集団 「放課後定期ライブ」展開中!

【山口和紀】筑波大学の学生サークル「つくばお笑い集団DONPAPA(ドンパッパ)」は、漫才やコントなど「お笑い」を中心に活動している。およそ月に1回のペースで「放課後ライブ」と称した定期ライブを行う。「つくばにお笑いの場を」―を理念に掲げ、お笑いの場が少ないつくばで、様々なお笑い企画を展開している。 メンバーは約15人。理系から文系まで幅広い学類のメンバーが集まる。2018年4月に結成され、今年で2年目になる。現代表は川合福太郎さん(社会学類2年)。 24日には「第6回放課後ライブ ガチンコお笑いライブ」が行われた。およそ30人の観客が集まり、8組のネタが披露された。このライブの企画・運営を担当した同団体の桑田和哉さん(生物学類1年)は「今回のライブから、私の発案で、サークル内で事前にオーディションを行い、披露するネタを厳選することにした。序盤から観客の皆さんに盛り上がってもらえて良かった」と話した。 今回のライブでは上級生だけではなく1年生も活躍した。桑田さんと根本遥隆さん(比較文科学類1年)のコンビ「禅問答」だ。2人のコントの設定はコンビニ店員と買い物客のやりとり。根本さんは「ネタのコンセプトとして、よくいる『迷惑な客』をテーマにしたかった」と話す。なぜか異常なまでにスナック菓子の「うまい棒」を買っていくお客さんと、それに対する店員のリズミカルなツッコミで、会場は大いに盛り上がった。桑田さんは「僕は飲食店でアルバイトをしている。レジの担当ではないが、迷惑な客とのやり取りをイメージしてみた」とネタ作りの経緯を語る。次回のネタは「飲食店で、お冷だけで長時間しのぐ客」をテーマにしたいと話した。 この日の観客の多くは学生だったが社会人も来ていた。ライブを見に来た市内に住む社会人の男性は「代表の川合君を見に来た。よくDONPAPAのライブには来ている。若い子たちがどんな風に社会を見ているのかが分かって面白い」と話していた。 DONPAPAは同大の落語研究会のメンバーが「お笑いを通じて、サークルや専門科目の垣根を越えた大会を作りたい」と、14年にお笑いグランプリ「T-1グランプリ」を企画、開催したのが始まり。その後、全国の大学生にも参加を募って投稿型大喜利「お笑いモジュール期末試験」(現在は「全国統一大学生お笑いテスト」に名称変更)を開催したり、筑波大の学園祭で大喜利の参加型展示企画「つくば大喜利ランド」を開くなどしている。 ◆次回ライブは3月15日。ライブハウスFROG(つくば市天久保1丁目6-7)で催される。DONPAPAのツイッターアカウントはこちら。ライブの告知もツイッターで行っている。定例ライブは月に1回程度。学外からの参加も歓迎。 ➡筑波大学関連の過去記事はこちら

重度障害もつ高岡杏さん 筑波大の2020年度学園祭実行委員長に

【山口和紀】筑波大学の学生で重度の障害を持つ高岡杏さん(19)が、2020年度の同大学園祭「雙峰祭」の企画・運営を行う学園祭実行委員会の委員長になることが決まった。次期学園祭をとりまとめる。 高岡さんは人間学群障害科学類1年。重度の脳性まひがある。都内の高校を卒業後、同大に入学した。現在は同大の学生宿舎で1人暮らしだ。車椅子を使って生活する。一人だけでは食事をしたり、トイレに行ったりすることはできない。そのため重度訪問介護などの公的な介助サービスを利用している。明瞭な発声が出来ないため肘(ひじ)を使ってタブレット端末「iPad(アイパット)」に話したいことを打ち込み、聞かれたことには首を振ってイエスやノーを伝えることでコミュニケーションをする。 パワフルさをアピール 次期委員長を決める選挙は昨年12月6日に行われた。「皆さん、はじめまして。高岡杏です。私はうまくしゃべることが出来ないので、こうやってiPadで演説させていただきます」。事前に台本を作っておき、iPadの文字読み上げ機能を使ってしゃべった。 「私には障害があるので、皆さんは『本当にやりきれるのか』と不安かもしれない。けれど、体力には自信がある。テスト期間で徹夜してもへっちゃら。明日も早起きして大阪まで行きます」と持ち前のパワフルさをアピールした。「忙しくてきつい。そんな実行委員のイメージを良くする」「全体の仕事を透明化する」と運営方針も明確だ。 演説後の質疑応答では「『少しでも障害のイメージを良くしたい』とのことですが、障害のある委員長ということをアピールしていくのですか」と質問が挙がった。それに対しては「障害があっても私は普通に大学生。私が障害者であることとは関係なく、普通に委員長をやるだけ。それに意味があると思う」と返答をした。 結果は無事当選。「とても緊張した。改革をして再来年の1年生がいっぱい入ってくれるように頑張りたい」と抱負を語る。 「将来の夢は脚本家」 高岡さんの日常生活を介助するヘルパーの多くは、同じ障害科学類の同期や先輩だ。高岡さんは「気を使う必要がなくて楽で良い」と感じている。アイドルグループ「嵐」の大ファンで「小学生の頃から好き。ちなみに相葉くん推し」と満面の笑み。学生介助者の1人は「高岡さんのヘルパーに入ると嵐に詳しくなれる」と話す。 将来の夢は脚本家。高校の時には英語部に所属し「英語の映画」を作った。大学に入ってからは映画サークルで「ショートフィルム」を撮ったという。「次は障害のある大学生の日常を描く映画を撮る」と意気込む。筑波大で学ぶ障害学生たちの生活を追うドキュメンタリーだ。 介助制度に課題 活動をしていく上での困りごとも少なくない。「(制度の運用上)サークルの時間はヘルパーを使えない」と制度の問題を語る。サークルの時間に介助の必要な場合は「面倒だけれども一旦宿舎に戻って支援を受けて、そこからまたサークルに戻ったりしている」という。 高岡さんは「公的な介助サービス」と「筑波大学が提供する支援」とを組み合わせて生活しているが、問題は制度の間にある「隙間(すきま)」だ。 公的な介助サービスである「重度訪問介護」。自宅のほか外出時も利用できる制度だ。しかし、同制度では厚生労働省が利用要件を制限しているため「学業」や「通学」は支援の対象外だ。 その一方で、同大は障害のある学生の修学のサポートとして、授業中に有償ボランティアが代わりにノートを取る「ノートテイク」の提供や試験時間の延長措置、バリアフリー化などを行う。 しかし、休み時間の「食事」「トイレ」などの介助は、これらの制度を利用できない支援の「空白」になってしまっているという。 支援の「空白」を埋めるため、国は2018年度から「重度訪問介護利用者の大学修学支援事業」を整備した。これにより、学内でのヘルパーの利用が制度上は可能になった。「画期的な制度」とされる。しかし、事業の実施主体であるつくば市がこれを「実施しない」とした。そのため、現在のところ高岡さんはこの制度を利用できていない。 そこで、同大では高岡さんが大学で学べるよう、大学側の負担で授業時間に合わせて必要な介助を提供する。昼休みの「食事」や「トイレ」の介助などだ。ただし同大は「つくば市がサービス実施を決定するまでのあくまで暫定的な措置だ」としているそうだ。この措置においてもサークル活動には支援の提供がなされていないという。 もちろん、公的なサービスであるからには「どこまで支援をするか」という線引きは重要だ。予算が際限なくあるわけではないのだから「つくば市が悪い」「筑波大の対応が不十分」などと断ずることはできない。しかし、「食事」や「トイレ」などの支援は、本人がどこで何をしているかには関係なく必要になる。そして、どこまでが「修学」で、どこまでが「生活」なのか、明確な線引きはできない。 高岡さんは「サークル活動も学生生活の大切な一部だ」と語る。だからこそ「もっと柔軟にヘルパーを利用できる形になっていってくれたら」と話す。 そのうえで「仕方のないことだが学園祭実行委員会の仕事が遅くなったり、突然入ったりするので、(宿舎での)ヘルパーさんの日程調整が難しい。自分勝手に変更は出来ない」と活動をしていくうえでの悩みを語った。

“見えない”多様性を可視化 筑波大でセクシュアル・マイノリティの写真展

【山口和紀】LGBTなどセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の多彩な人物像を撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN(アウトインジャパン)」の写真展が16日から筑波大学附属図書館(つくば市天王台)で始まった。様々な写真家が5年間で1万人を撮影するプロジェクトで、同大では、これまで撮影された中から、シンガポール出身の著名写真家、レスリー・キーが撮影した30点が展示されている。 尊重し学び合える大学へ 写真展をとりまとめるのは同大人間系の河野禎之助教だ。大学のセクシュアリティ支援窓口・DACセンターの担当教員でもある。同大は2017年、全国の大学に先駆け、セクシュアル・マイノリティへの相談・支援体制などをまとめ「LGBTに関する筑波大学の基本理念と対応ガイドライン」として公表した。河野助教はこのガイドラインの策定を中心的に進めるなど、大学における相談・支援体制を充実させることの必要性を訴えてきた。 同大は2017年からさらに、性別、国籍、文化の違い、年齢、障害の有無にかかわらず、人の可能性と多様性を尊重し、学び合える大学を目指すために多様性に関する啓発イベントを行ってきた。過去には、誰もが楽しめるスポーツ「ボッチャ」の体験会や、「人工知能研究からみた身体障害者支援の未来」と題したイベントが行われた。 今年度は、同性が好きな人や自分の性に違和感を覚える人を含む「セクシュアル・マイノリティ」に焦点を当てた写真展のほか、LGBTに関する座談会「LGBTQA茨城県人会議@つくば」を開催する。 「泣きそうな気持ちになった」 OUT IN JAPANは「目に見えないLGBTの存在をポジティブに可視化」するプロジェクトだ。日本のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を始めとするセクシュアル・マイノリティのありのままの姿を撮影する。NPO法人グッド・エイジング・エールズが主催をしており、これまで20回の撮影会が行われた。 開催について河野助教は「自分は当事者を知らないと話す学生はすごく多い」ことに触れた上で「セクシュアル・マイノリティを含む多様な生き方を知ってもらうことが目的」と話す。多くの人の目に触れる展示会は関心の薄い人たちにも伝えることができる良い機会だという。 今回はセクシュアル・マイノリティに焦点を当てるが、あくまでも「多様性」に触れて、それぞれに考えるきっかけを作ることが狙いだ。「一人ひとりにそれぞれの生き方がある。展示されている写真のメッセージを見てもらえば、同じセクシュアル・マイノリティといっても、全ての人が違う生き方を持っていることを感じてもらえるはずだ」と語る。 同大に展示されている写真にはそれぞれ被写体からのメッセージがついており「無理にカミングアウトをする必要はない」「自分の人生を生きてください」など思いの伝わる写真が並ぶ。 展示を見た学生は「実際にメッセージを読むと泣きそうな気持ちになった。セクシュアル・マイノリティが身近にいるありふれた存在だと知ってもらえたらうれしい」「OUT IN JAPANを初めて知った。良い活動だと思うし勉強になった」などと話していた。 ◆展示会は16日(月)~20日(金)の1週間、つくば市天王台、筑波大学附属図書館2F展示スペースで開催されている。入場無料。図書館のカウンターで受け付けを行えば一般市民も観覧できる。

だれもが利用できるUDタクシーに 障害者が運転手に通達手渡す つくば駅前

【山口和紀】車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及が進む一方、車いす利用者に対する不当な乗車拒否が全国で相次いでいる問題で、つくば市の障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら」メンバーの障害者らが11月30日、つくば駅前で、タクシー運転手一人ひとりに「不当な乗車拒否は道路運送法に違反する」などの国交省通達が書かれたチラシを直接手渡した。 UDタクシーは、車いすの障害者や足腰の弱い高齢者、ベビーカーを使う親子連れなどが乗りやすいよう設計された新しいタクシー車両で、運賃も通常のタクシーと変わらない。国が認定制度を設け普及を推進している。 一方で、車いす利用者の乗車拒否が全国各地で相次ぎ、障害者の当事者団体「DPI日本会議」が10月に行った全国調査では、調査に参加したおよそ4分の1の32人が乗車を断られた。 こうした事態を受けて国交省は11月19日、全国ハイヤー・タクシー連合会に対し通達を出し、電動車いす利用者であることや、乗降に時間がかかることを理由として乗車を拒否することなどが、道路運送法に違反するとはっきり示した。 通達を広く知ってもらおうと、タクシー運転手にちらしを手渡す活動に参加したのは、いずれも車いす利用者で、つくば市在住の川端舞さん(27)、川島映利奈さん(37)、鶴岡信也さん(23)。つくばエクスプレス(TX)つくば駅ロータリーで客待ちをしているタクシー運転手に話し掛け「このような通知が出ていますので、お時間のある時にお読みください」と約1時間半にわたって計15社の運転手にチラシを配った。 参加者した川端さんは自らの体験を振り返り「スロープを使って車いすで乗り込むのは、慣れてない運転手だと時間がかかる。乗り込むまでの時間を運賃に上乗せされた経験がある。それはやっぱりおかしい」と話す。 川島さんはUDタクシーに乗ろうとして断られた経験がある。つくば市内のタクシー会社に予約の電話をしたところ「UDタクシーを扱える運転手が一人しかいない。その日は出勤していないので無理」と言われたという。同じく川端さんも「前に乗ったことのある会社だったのに、電話をしたら『UDタクシーはない』と言われ断られた。おかしな言い訳だ」と語った。つくば市でも正当な理由なく乗車拒否が起きているのが現状だという。 川端さんは、運転手の研修が十分に行われていないことも問題だと指摘する。「障害をもった私たち当事者を研修に呼んでほしい。例えば関東鉄道バスは、当事者を交えた研修を行うようになってから対応がとても良くなった。声を掛けてもらいたい」と呼び掛ける。 川島さんによると、UDタクシーは「車いすのまま乗れる、介護タクシーと違ってタクシー会社がやっているから24時間いつでも利用できる、料金も通常のタクシー運賃と同じ」なのが利点だという。鶴岡さんも「駅に着いてすぐに(UDタクシーに)乗らせてもらえるのが一番いい。営業所などにわざわざ連絡しなくてはいけないはおかしい。普通にタクシーに乗りたい」とだれもが利用できるUDタクシーの在り方を訴えた。

サンタになって子どもたちに笑顔を届けたい つくばのボランティア活動

【山口和紀】クリスマスイブの12月24日、サンタクロースにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡す活動がある。クリスマスの楽しい体験を通じて「子供たちに笑顔を」届けるのが狙いだ。サンタにふんして訪問するだけでなく、活動を通して得られた寄付金で貧困家庭や被災地を支援するチャリティー活動も行う。 この活動はNPO法人チャリティーサンタが取り組んでいる。同つくば支部(岸野史男代表)では、今年のクリスマスイブにサンタクロースに訪問して欲しい家庭と、サンタにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡すボランティアを募集中だ。 同法人は「世界中の子どもたちに笑顔を」というコンセプトのもと、幅広い活動を行う。現在26都道府県で活動しており、これまで1万5000人以上の大人たちがサンタとなって3万人を超える子どもたちにプレゼントを届けた。 同つくば支部は、つくばみらい市内在住の会社員、工藤咲希さん(25)が、つくば市にチャリティーサンタがないことを知り「子どもたちに、とっておきのクリスマスを届けたい」と2017年に立ち上げた。工藤さんは、大学時代からチャリティーサンタの活動に興味があり、いつか参加したいと考えていた。秋田県立大学を卒業後、つくば市に勤務することになり、そこで「つくばにチャリティーサンタがないのはもったいない。ないなら作ればいい」と思いたち、立ち上げを決めた。 子どもの頃、テレビで貧困の中にある世界の子どもたちのことを見た工藤さんは、クリスマスを前に「私のプレゼントはいらないので、世界の困っているこどもたちにプレゼントをあげてください」と手紙を書いて、家の窓際近くの、手紙が入る大きな靴下に入れたという。結局、その年は、英語で書かれた手紙と共にプレゼントが置いてあった。今思えば「お父さんが慣れない筆記体で書いた手紙だった」が、当時は「本当にサンタさんが来た」と、とてもうれしかったことを覚えているそうだ。 現代表の岸野史男さん(41)はフリーランスのライターでつくば市内に住む。つくば駅などで清掃活動を行う団体「グリーンバード」で活動をしている際に工藤さんからチャリティーサンタに誘われた。初年度からともに活動している。工藤さんは「(岸野さんなら)広い視野で、子どもたちのために何ができるか、どういう大人であるべきかを考えられる」と代表を引き継いでもらったという。 チャリティーサンタの主な活動のひとつが「サンタ活動」だ。申し込みがあった子育て家庭の自宅に、サンタの服装をしたボランティアが訪問し、各家庭が用意したプレゼントを届ける。単に手渡すだけではなく、家庭と事前に打ち合わせをし、一人ひとりの名前を呼びつつ、「頑張ったこと」「応援してほしいこと」などのメッセージを届ける。「(サンタ活動は)むしろ、やっているこちらが感動させてもらえる」と岸野さん。「子どもたちに特別な思い出を届けることができたら」と語る。訪問した家庭の子どもたちから、折り紙の裏に絵が書かれた手紙をもらい、「今でも大切にしている」とうれしそうに話す。 同団体では併せて、経済的な問題を抱える家庭を支援する活動「ルドルフ基金」も行う。訪問した各家庭から寄付金3000円を募り、集まった寄付金をもとに貧困家庭の子供たちにプレゼントを届けるなどの事業に活用している。市内で貧困家庭の子供たちを支援するNPOなどとも協力して活動しており、昨年12月にサンタを招いた団体のスタッフは「子どもたち一人ひとりに絵本を下さった。それも、一人ひとりに合った絵本を選んでくれた。とてもいい経験になったと思う」と感謝を述べる。 岸野さんは「活動には実際にやってみないと分からない魅力がある。少しでも興味があったら気軽に参加をして欲しい」と話す。今年度の「サンタ活動」のボランティアや訪問する家庭は募集中だ。 また他の地域のチャリティーサンタは学生が中心となりサークルのような形で行っていることが多いが、最初に始めた工藤さんが社会人だったこともあり、同団体を運営するスタッフは社会人を中心に5人。「筑波大学や筑波学院大学の学生など、若い力を貸して欲しい」と、学生の運営スタッフも同時に募集する。夏には被災地の子どもたちと自然体験ツアーを行うなど、クリスマスだけでなく1年を通じてチャリティーサンタの普及活動をしている。 サンタになりたい人、サンタを呼びたい家庭の申し込みはNPOチャリティーサンタHPへ。

「常時使用」の条件付き 請願採択も利用1件 つくば市の障害者向け発電機補助

【山口和紀】人工呼吸器を使用している難病患者や障害者を対象に、つくば市が今年4月から開始した非常時の家庭用発電機購入補助制度について、人工呼吸器を「常時使用」している人という条件が付き、実際の利用は1件にとどまっていることが分かった。地元の障害者団体の1人は「(補助制度は)大きな成果だと思う。条件がやや厳しすぎる可能性はあるが、まだ始まったばかりなので何とも言えない」と話す。 市の購入補助制度は、人工呼吸器を常時使用している医療的ケア者に対し、停電時など非常時にも医療的ケアができるように家庭用の発電機の購入費(12万程度から購入可能)を最大10万円補助する。人工呼吸器やたん吸引機を使っている人にとって、停電は命に関わる事態だ。この補助制度の新設によって大きな負担なく家庭用発電機が購入可能になる。 災害時の医療的ケアは全国的にもまだ支援体制が整っていない。つくば市は県内で初めて助成に踏み切った。全国にも先駆けとなる試みだ。 常総市の水害きっかけ 補助制度は、2018年につくば市の「かけはしねっと」が同市議会に提出した請願にもとづくもの。かけはしねっとは、常総市が水害の被害に見舞われた2015年の関東・東北豪雨や16年の熊本地震など、近年の災害をきっかけに設立された医療的ケアを必要とする子どもの親の会だ。代表の根本希美子さんは常総市の水害時、医療的ケアが必要な友人を自宅に避難させた経験から、「医療的ケア児の保護者が、顔の見える関係でつながることができれば良いと考えた」と設立の理由を語る。 請願書は昨年12月議会で全会一致で採択された。「常時使用」という条件は付いておらず、根本さんは障害者も高齢者も区別なくどちらもを助成の対象にすることを要望していた。しかし、実際は「常時使用」という条件が付けられ、医療的ケア者(児)でも「人工呼吸器」を24時間、「常時」使っている人に限られてしまった。高齢者は、そもそも常時使用していても対象外となった。請願で求めていた対象者より小さな範囲となってしまった形だ。根本さんは「どうして高齢者が対象にならなかったのかは疑問」だと述べた。 市保健福祉部障害福祉課によれば、今年9月30日までに、補助制度の利用相談は複数あったが、実際に支給が決定されたのは1件だという。制度の周知も課題だ。 台風19号はつくば市でも約3800戸の停電をもたらした。幸いなことに根本さんの自宅は「なんともなかった」というが、こうした災害はいつやってくるか分からない。東京電力も2011年度より、災害時に在宅患者への家庭向け発電機の貸し出しを行う体制を整えた。東京電力管内ではおよそ2400人が貸し出しの事前登録をしており、千葉で大きな被害をもたらした台風15号では20台を貸し出した。根本さんは「どれだけ備えても不安は残る」からこそ「つくば市の助成も含め様々な支援が積み重なれば良い」と語った。

気候変動などテーマに英語力競う 筑波学院大でスピーチコンテスト

【山口和紀】筑波学院大学(つくば市吾妻)の学園祭「KVA祭」に合わせて26日、英語スピーチコンテスト「TGU CUP」が催された。高校生の部に10人、大学生の部に6人が参加し、気候変動やセクシュアルマイノリティー(性的少数者)などの社会問題をテーマに英語力を競った。 出場者の英語力は非常に高く、特に高校生以上は審査員の質問にも的確に答えるなど、聴衆から感嘆の声が上がっていた。 高校生の部ではセクシュアルマイノリティーの問題を取り上げた参加者が2人おり、高校生の関心の高さがうかがえた。大学生の部では国籍の問題やごみ問題などが取り上げられ、それぞれ迫真のスピーチで聴衆をひきつけた。 高校生の部で優勝した県立古河二高の小林杏奈さんは、気候変動をテーマに、自分たちができる対策についてスピーチした。「発音や強調が難しかったが、気候変動に対し私達が何ができるのかについてメッセージを届けられたら」と語った。 大学生の部で優勝したK.インターナショナルスクール東京出身のアガルワラ・ユキさんは、フェイスブックなどのソーシャルメディアでニュースを見るのではなく、ニュースサイトや新聞などでしっかりとした情報を得るべきだとスピーチした。「5分間でスピーチするのは初めて。長さをコントロールするのが大変だった」と話していた。 ➡筑波学院大学の過去記事はこちら

学園祭「KVA祭」にぎわう 筑波学院大、27日まで

【山口和紀】筑波学院大学(つくば市吾妻)の学園祭「KVA祭」が26日始まり、小学生ドッジボール大会や英語スピーチコンテストなどが開かれ、大勢の来場者でにぎわった。27日まで開催される。 同大前広場や校舎内にはたくさんの模擬店が出店された。今話題のタピオカを販売する模擬店が計3店が出され、タピオカ人気がうかがえた。 メーンステージでは、スクエアダンスや大道芸などの演技が披露された。筑波大学よさこいソーランサークルの斬桐舞(きりきりまい)の演技では、踊り手たちがステージから降りて子どもたちと一緒に踊った。ドッジボール大会に参加している小学生たちが踊りに参加し場を盛り上げた。 大道芸ジャグリングサークルFarce(ファルス)の細越光太さんはシガーボックスという複数の箱を使った演技で拍手を浴びた。細越さんは「限られた時間での練習だったが、皆の協力で成功することができた」と話した。 KVA祭実行委員長の服部将吾さん(3年)は、台風や大雨で準備が思うように進まなかったことに触れ、「困難を乗り越えて開催することができてうれしい。皆さんに元気を与えられたら」と語った。 明日27日は、メーンステージで大声大会やカラオケ大会、仮想大会などが行われる。いずれも一般の飛び入り参加が可能だという。 ➡筑波学院大学の過去記事はこちら

依存症当事者が体験語る 29日、筑波大の大村研究室が主催

【山口和紀】アルコールおよび薬物依存症の当事者で、現在、依存症回復支援施設の生活支援員を務める渡邊洋次郎さんが29日、つくば市天久保のコワーキングスペース、つくばプレイスラボで体験談を語る。筑波大学人間系の大村美保助教が「当事者と共にある支援」を学びとってもらいたいと開催する。 大村助教は、犯罪や非行をしてしまった人の支援に関わっており、3、4年前から渡邊さんと交流を続けている。昨年、研究室の学生と、渡邊さんの勤める回復支援施設「リカバリハウスいちご」(大阪市)を訪れた。当事者同士のミーティングなどを見学し、当事者自身の回復に向けた姿勢など多くを学んだ。 大学の授業では“支援する”側の支援は多く教えられるが、“支援される”側の視点が語られることは少ないという。『当事者とともに』という視点を講演会の中で学びとってもらいたい、が開催の主旨になった。 「自分なりに頑張ろうとした結果」 渡邊さんは、中学生の頃からシンナーを使用し始めた。幼少期から周りになじめず、学校でも勉強についていけず、常に寂しさを感じていたという。そんな中、中学生のときにシンナーや万引きなどの非行に走った。理由は「誰もやらないようなことをやれば周りから注目されるからだった」と語る。 中学卒業後は、少年鑑別所に4回、少年刑務所には1年間入った。18歳からホストを始めるも仕事上、強い酒を飲むことも多く、アルコールへの依存も始まる。30歳前半まで精神科病院で入退院を繰り返した。その後、刑務所に3年入所する。 自分が回復に向かって努力しなければならないということにやっと気づいたのは30代の後半になってからだという。 渡邊さんにとって依存症は「異常なこと」ではなかった。むしろ自分なりに普通になろうとして頑張った結果だったと振り返る。社会的には薬物は危険であるというイメージがあるが、普通の生活の延長にあったと語る。 講演会では「薬物依存症」というカテゴリーにとらわれることなく、1人の人間としての姿を伝えたいと話した。 ◆講演会は29日11時から16時まで。参加費は無料(弁当代500円)。予約は25日まで下記URLから行っている。 問い合わせは主催の筑波大学人間学群障害科学類 大村研究室まで(omuralab@gmail.com)。参加申し込みはこちらから

【台風19号】つくば市北部で桜川が浸水 「昭和61年の水害以来」

【鈴木宏子】台風19号の大雨により13日桜川が増水し、つくば市北部の北太田で越水して水田や畑が一面水に浸かる被害があった。県土浦土木事務所によると、同地区の、堤防が未整備の場所から水があふれた。 桜川は12日午後6時40分、土浦市田土部の桜橋で氾濫注意水位の4.3メートルになり、同11時20分、氾濫危険水位の5.5メートルに達した。13日午後1時まで水位は上昇を続け、最高6.49メートルまで上昇した。北太田地区では同日午前4時30分ごろから浸水が始まったとみられる。北太田地区住民は「こんなに水が出たのは昭和61(1986)年の水害以来だ」と話している。 同地区では、13日朝7時30分ごろから、約60軒ある集落住民総出で、田んぼや畑に面した堤防に軽トラックで土を運び、土のう積みを続けた。土のう用に集落で山積みしていた土を崩し、各家から土のう袋や土を持ち寄った。 市は午前10時40分に同地区に避難指示を発令。消防団などが集落を回って避難を呼び掛けた。高齢者や女性、子供たちは同市筑穂の大穂交流センターに避難したが、男性たちは集落に残って土のう積みを続けた。 ビニールハウスでバラを栽培している同地区の農業、沢辺康雄さん(75)のハウスは50センチほど浸水した。「こんな浸水は昭和61年以来。当時は床上まで水に浸かって、その後、県が集落を囲む輪中堤という堤防をつくってくれた。今回、住居は浸水しなかったが、集落近くの畑や田んぼまで水が来たのは排水機場の能力が小さいためではないか。機場の能力を上げてほしい」と話した。 桜川堤防のすぐ脇に住む無職、沢辺宗一さん(60)は「集落では稲刈りはほとんど終わったが、まだ刈り終わってない飼料米8ヘクタールぐらいが水に浸かった。大豆畑も広がっているが全滅だと思う。これからもこういうことがあると思うので、堤防のメンテナンスをしっかりしてほしい」などと話した。 桜川の水位は同日午後5時に6メートル42センチと7センチ下がっただけ。浸水地区の水が引くまで数日かかるとみられている。 大穂交流センターには午後6時現在、常総市からの避難者も含めて約60人が避難している。 桜川の増水を受けて、土浦市でも同日午後1時、同市田土部、藤沢新田、高岡沖、高岡新田に避難指示が出され、同日午後6時時点で2カ所に53人が避難している。 土浦1813人、つくば839人が避難 台風19号による避難勧告を受けて12、13日、土浦市内で24カ所の避難所に最大1813人が避難し、1748人が避難所で一夜を明かした。つくば市内では12カ所に最大839人が避難し、約830人が一夜を明かした。 土浦市内では4人が軽傷を負った。台風に備えるため自宅で脚立から足を踏み外すなどしたためという。停電は土浦市で最大1950軒、倒木は12件、道路冠水が3カ所で発生した。つくば市内のけが人はなかった。 https://www.youtube.com/watch?v=DFKJt-UNerc&feature=youtu.be&fbclid=IwAR1rdSfHJ2JEpG18zqFMnGOT1iyI8gDoViKafJ-Dvw-KHZ5xnaiMZRuBWzM 桜川下流、土浦花火大会会場を上流から見る。設営中の桟敷席は水没を免れている=13日午前8時ごろ ➡台風19号に関する既報はこちら

大学生のための「家出マニュアル」プロジェクト 筑波大生が企画、5月noteに公開へ

【田中めぐみ】虐待サバイバーの体験談を募集し、大学生のための「家出マニュアル」を作るプロジェクトを進めている学生がいる。筑波大学人間学群で社会福祉について学ぶ3年生の山口和紀さん(20)。体験談は5月にウェブサービスnoteに有料公開予定で、売り上げは執筆者に還元するという。 家出は虐待からの自主避難 山口さんは大学1年の時に、親からの虐待を生き延びたサバイバーたちが書いた手紙を収めた本『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(Create Media編)を読んだ。同世代が手紙を寄せていることにショックを受け、ツイッターで本の感想をつぶやいたところ、この本の企画をしたライターの今一生(こんいっしょう)さんから返事をもらい、児童虐待防止をテーマとした講演会を企画した。昨年5月の2日間、コワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」(つくば市天久保)に今さんを招いて「子ども虐待防止講演会」を開催した。 講演会には筑波大学の学生らを中心に2日間でのべ41人が参加。虐待問題について様々な議論が行われ、実際に虐待を受け、生きるために家出をした体験を語った人もいた。家出しなかったら死んでいたという話を聞き、山口さんはそれまでの価値観がひっくり返された気がしたという。「家出」という言葉には「してはいけないこと」「悪いこと」というイメージがあったが、体験者の話を直接聞き、「家出」は被虐待者の自主避難であることを知ったと話す。 また今年3月、ある地方大学に通う大学生が自らの虐待体験をつづって、インターネットにアップした記事を目にした。この大学生も「家出」することによって生き延びていた。2人の壮絶な体験から、「家出」がなければ死んでいたかもしれないサバイバーの実態を知り、山口さんは何かをしなければならないという気持ちにさせられたという。 5人の家出体験記を募集 被虐待者の家出には、ある種の技術が必要になるが、社会的に家出が推奨されることは少なく、支援する団体も多くない。具体的なやり方を教えてくれるところが無いため、家出成功者の体験談をモデルケースとして参考にするしかない。 そこで山口さんは、実際に家出に成功した大学生の体験談を集めた「家出マニュアル」を作ろうとプロジェクトを立ち上げた。目標は100人の体験談を集めることだが、まずはツイッターで呼びかけ5人を募集したという。 家出の定義は、「生活拠点を親元以外に移し、自分一人で生活を成り立たせていること」。親に内緒にしているかどうかは厳密には問わず、親に反対されている中強行する場合も家出に含める。虐待親の元で育った人、家出の経験がある人、2019年4月時点で大学生または大学院生であることを条件として募集したところ、すぐに5人の枠が埋まった。体験記を寄せてくれた5人には原稿料を渡したいと山口さんが自腹を切った。 少ない大学生への支援 なぜ大学生を対象にしたか、山口さんは「大学生は10代と20代、未成年と成年の間だから」という。18歳未満は児童相談所など公的支援が受けられるが、18、19歳への支援は薄い。また、20歳になれば賃貸契約などの契約行為に親の同意がいらなくなり、自分で決められることも多いが、未成年の内は親の同意が必要だ。女性の場合はDV(ドメスティック・バイオレンス)シェルターや支援を行うNPOなどもあるが、地方には少ないという。また、男性の場合の支援は必ず就労を前提としており、学生への支援は無いに等しいと話す。 「家出マニュアル」を作る目的は、一つは当事者のため、もう一つは「大学生の虐待」という問題に社会の目を向けることだと山口さん。このプロジェクトが問題提起とし、支援を増やしていきたいという。山口さんの専門は社会福祉で、自分の体験談を語ることは劣等感や屈辱感を低減することにつながり、癒しにもなることを学んだそうだ。「このプロジェクトによって教会のように困っている人たちが集まれる場所を作りたい。困っている人たちがつながり、助け合うコミュニティを作りたい」と目標を語った。 ➡「家出マニュアルプロジェクト」のnoteページ 執筆者を増やすための寄付支援もできる

Most Popular

つくば市の2大懸案 県が提示した解決策《吾妻カガミ》150

【コラム・坂本栄】つくば市の2つの問題に茨城県が解決案を示しています。市内の公立高不足問題では「県立高に頼らずに市立高をつくったら」と。県営洞峰公園問題では「県の改修案に反対なら公園を無償で譲る。市の考え方で維持管理したら」と。いずれも本コラムが提案したアイデアです。施策立案の参考になったのでしょうか? 市立高をつくるなら県も手伝う 公立高不足問題では、118「つくば学園都市は公立高過疎地」(2021年10月18日掲載)で、「…『市設・県営』はどうでしょう。ハード(校舎)は市が造り、ソフト(授業)は県が動かすという折衷案です。おカネの面では県立or市立よりも両者の負担が軽く、教育効果は県立と同じになります」と提案しました。 6町村が合併して生まれ、中央をTXが通る研究学園都市には、新興市特有の凸凹がいくつか生じています。県立高配置はその一つです。場所が周辺地域に偏り、TX沿線には、高レベルの県立高はあるものの、平均的な学生が通える県立高がありません。そこで、親たちは沿線地域に新しい県立高がほしいと県に求め、市も県に働きかけています。 ところが、県は少子化・人口減という全体の傾向を踏まえ、高校新設には消極的です。つくば市=人口増加市の学生は、▽周辺の人口減少市の高校に通ってもらう(広域圏での過不足調整)▽既存高の学級増で対応する(現施設内でのやりくり)―この2つが県の基本対処方針の柱です。 県に見えている景色(歴史ある旧市の人口減)とつくば市に現出している景色(新興市の人口増)が違う。これが県と市の対立の原因です。しかし、「県立高をつくるのは県の仕事」という市の主張に、上の2本柱だけでは説得力がないと思ったのか、県は「こちらも手伝うから市立高をつくったら」と言い出しました。本コラム案と考え方は同じです。

合言葉は「限界突破」 茨城アストロプラネッツ2023新体制

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは5日、笠間市福田の球団事務所体育館で、2023シーズンの新体制発表イベントを行った。伊藤悠一新監督や新入団選手らが抱負などを語った。 「個性を高めてチーム力つける」 アストロプラネッツの今季スローガンは「限界突破」。伊藤監督は「個人個人が爆発的レベルアップを目指す。全員が次のステージを目指して個性を高めていけば、結果としてチームも強くなっていく」と話し、「他のチームとは目標設定が真逆。個人の育成が第一で、そのプロセスの中でチームを勝利に導く。これが決して矛盾ではないことを、地方から社会へ示していきたい」と解説した。 球団方針説明では、今季就任の河西智之副社長が登壇。独立リーグの「革命児」として、①グランドチャンピオンシップ優勝②NPBドラフト最多指名数③最多入場者数ーの3つの日本一を目標に掲げた。さらに、海外との連携強化としてタイプロジェクトの推進や台湾プロ野球との交流戦などを構想。2024年度からチーム数が拡大する見通しの日本プロ野球(NPB)2軍リーグ戦にも、参入を目指す意向を明かした。 目標は「甲斐キャノン」超え 日渡騰輝選手

国も地方も政治劣化が止まらない 《地方創生を考える》27

【コラム・中尾隆友】日銀の異次元緩和が始まってもうすぐ10年になる。異次元緩和の最大の問題は、いくら政府が借金を増やしても日銀が国債を引き受けてくれるので、放漫財政が常態化してしまうということだ。 政府債務は恐ろしく膨らんだ 実際に、一般会計の総額は10年連続で過去最高を更新し、近年は補正予算の規模が数十兆円に膨らむ事態となっている。 その結果、過去10年間で政府債務は恐ろしく膨張した。税収で返す必要がある普通国債の発行残高は、2023年度末に1068兆円になる見通しだ。政府債務はGDPの2.5倍超にまで拡大し、持続的な金利上昇に脆弱(ぜいじゃく)な財政になってしまったといえるだろう。 日本の成長率は大幅に低下した

筑波大学開学50周年イヤー 室伏広治さん開幕告げる

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の開学50周年イヤーが4日、金メダリストの講演で幕を開けた。記念事業シンポジウム「芸術×体育で未来を拓く」が同日、つくば国際会議場(同市竹園)で開催され、これを皮きりに10月1日の記念式典まで各種イベントが展開される。 講演する室伏さん=同 シンポジウムで講演したのは、2004年アテネオリンピックのハンマー投げで金メダルの室伏広治さん(48)。日本記録保持者で日本選手権20連覇を遂げ、16年に引退、2年前からスポーツ庁長官に就任した。4日は「スポーツで未来を創る」のテーマで基調講演を行った。 室伏長官指揮下の同庁が昨年まとめた第3期スポーツ基本計画(2022-26年度)では、少子高齢化や地域間格差の広がりの中で、学校教育を中心にしたスポーツ振興からの脱却を意図した。性別や年齢、障害、経済事情などの違いによって、取り組みに差が生じない社会を実現し、機運を醸成するとしている。「健康増進の意味からも自治体や企業へ横展開していく地域の取り組みが重要になり、つくばでぜひ率先してほしい」とアピールした。 父親(重信さん)にはハンマー投げに進むこと、練習に励むことを一度も強制されたことがないと言い、それが充実した競技生活につながった。アスリートには幅広いスポーツ体験を積むこと、指導者には勝利至上主義からの転換を求めるなどした。 筑波大学は、国内初の官立高等教育機関として1872(明治5)年、創立された師範学校を礎としており、今年、創基151年となり開学50周年と合わせて記念事業を展開する。1872年は学制公布の年であることに触れた室伏さんは「当時、夏目漱石は日本の哲学は周囲にあるもの全て動かすべからず、心の修養を積んだ挙げ句の消極の極みに達する哲理と書いている。動的な西洋のスポーツ観とは違った見方があった」と紹介、未来を創るヒントがこの辺にありそうだと説いた。