水曜日, 4月 14, 2021
ホーム つくば 「廃墟」モチーフのセンタービルで 筑波大生グループが美術展

「廃墟」モチーフのセンタービルで 筑波大生グループが美術展

【山口和紀】廃墟などの「遊休空間」で表現活動をしたいと立ち上がった筑波大学の学生グループの企画による美術展が14日から、つくばセンター広場(つくば市吾妻)で開かれる。平砂アートムーヴメント(阿部七海代表)による「狢PLAY(むじなプレー)」。学生たちが「スラム」と呼ぶ大学の平砂学生宿舎から始まったもので、今回は「廃墟」をモチーフとして設計されたつくばセンタービルの広場(※メモ参照)に会場を移す。発案者で「平砂アート…」のディレクターを務める栄前田さん(芸術専門学群4年)に話を聞いた。

14日から31日、センター広場をメーンに

平砂アートムーヴメント2020は14日から31日まで、各日正午から午後8時までの開催。つくばセンター広場をメーン会場に、作品の展示やセンタービルに入居する飲食店「フィンラガン」(センタービル1階)でのトークイベントなどを行う。

左端が栄前田愛香さん=昨年の平砂アートムーヴメント企画のトークショーで撮影(同)

「平砂アート…」は、今回が2回目。廃墟や空き店舗などの「遊休空間」で展覧会を開きたいという栄前田さんの思いからスタートした。故郷帯広の廃ホテルで行われたアート展「マイナスアート2015」にインスピレーションを得ている。「平砂宿舎には1年生のときから住んでいた。2年生のときに宿舎の古い棟に電灯がつかなくなっているのを見て、高校生のときに行った廃ホテルでのアート展を思い出し、あの使われなくなった宿舎で展示会をしてみたいと同級生に話した」

筑波大学の学生課や学群長にかけあって2019年に実現したのが、第1回の展示会「ここにおいて みせる/みる」。19年5月20日から6月2日まで平砂宿舎で行われた。芸術専門学群、情報メディア創生学類を中心に55人の学生がアーティストとして参加した。「廃墟」の棟内で自由に場所を選び、制作と展示を行った。

1月末に行われた作品制作の様子(同)

「人気があったのは、室内に人が『存在』しているという近藤舞さんの展示だった。ドアを開けたら人間が室内に居て存在しているというもので、装飾もまるで舞台のようになっていた。情報メディア創生学類の稲田和巳さんの展示も面白かった。宿舎に明かりを取り戻そうという発想で、14人の参加者の自宅と平砂宿舎の部屋の明かりが連動するようにしていた。参加者が家で電灯をつけると、平砂宿舎の方も自動的に明かりがつくというもの」

今回、会場をセンター広場にしたのは、フィンラガンのマスターである松島壮志さんの呼びかけから。「マスターからは、センター広場周辺に賑わいを生み出したいという思いを伝えられた。やっぱり、つくばは学生と市民の間に大きな乖離(かいり)がある。その異なる2つの立場の人をセンター広場に集めてみたいとの思いは、自分たちのプロジェクトのステートメントでも同じように示している」

しかし、思いが重ならない部分もある。「それはセンタービルという廃墟、おしまいになってしまう場所でアートをするという部分。そもそも平砂アートムーヴメントは誰にも使われなくなってしまった『遊休空間』におけるアートを意図している企画なので。だから、そういう点での違いはあると思う」。賑わいにはせる思惑と廃墟に魅せられた思いとか交錯する。

【メモ】つくばセンタービルの廃墟性
センター広場について設計者の磯崎新氏は「筑波研究学園都市という国家プロジェクトでつくられた街ゆえに、中心に国家のシンボルを描き出すのではなく中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と述べている(建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争、パルコ出版局)。また、センター広場の石は、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて「廃墟」を表現したものとされる。⇒NEWSつくば

会員募集中

NEWSつくばでは、私たちの理念に賛同し、一緒に活動していただける正会員、活動会員、ボランティア会員、および資金面で活動を支援していただける賛助会員(クレジットカード払い可)を募集しています。私たちと一緒に新しいメディアをつくりませんか。

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
名無しの市民
1 month ago

つくばセンタービルについては貴紙が最も詳しいメディアであるように思います。

つくばセンタービル舞台に 筑波大生らアーティスト12人が作品
1 month ago

[…] ター広場で開幕した。筑波大学の学生グループ「平砂アートムヴメント2020」(阿部七海代表、芸術専門学群4年)が主催する=3月8日付。12人の若手アーティストの作品が展示されている。 […]

スポンサー

注目の記事

車いすから見た世界を描くライター、川端舞さん

「障害者として堂々と生きていきたい」 そう話すのは、重度障害のあるライター、川端舞さん(29)だ。NEWSつくばでコラム「電動車いすから見た景色」を連載、市民記者としても活動し1年が経った。介助者のサポートを得て営む一人暮らしは11年目を迎えた。ありのままの自身の経験や日々の出来事を発信し、障害について考えるきっかけを読者に投げかける。

最新記事

人手不足に建設DX つくば国総研に実験フィールド開所

インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進している国土交通省の研究機関、国土技術政策総合研究所(国総研、つくば市旭)で14日、建設DX実験フィールドの開所式が行われた。 実験フィールドは、土木・建設分野で無人化施工、自動施工などの技術開発を促進するために整備された。点検データを収集する橋梁の実物大模型などが設置されている。国交省発注工事・業務の3次元データを一元管理・分析するためのDXデータセンターと合わせて開設された。 これらは100Gbpsの高速通信環境やローカル5G利用環境など超高速通信により、本省のインフラDXルーム、地方整備局(関東・中部・近畿・九州)のDX推進センターと結ばれる計画で、6月以降運用が開始される。 土木、建設業のDXは、ICT(情報通信技術)やデータの活用により、施工管理の効率化や各種手続きの電子化による省人化・省力化を促すのが狙いだ。災害による深刻な被害からの早期復興や、少子高齢化・人口減少により顕在化している担い手不足の解決などから求められてきた。 国交省は4月1日に大臣官房にインフラDX総合推進室を設置し、地方整備局などと一体となった取り組みを打ち出した。その研究開発を担うのが国総研。つくば市内に立地する土木研究所、建築研究所と今回新たな協力協定を結んで推進する。 橋梁実物大模型の前でテープカットする関係者=同

教科書掲載、長久保赤水の日本地図も つくばの古書店で「むかしの茨城」展

つくば市吾妻の古書店、ブックセンター・キャンパス(岡田富郎店主)で第10回店内展示「むかしの茨城」が開催中だ。版画や古地図、絵葉書など茨城に関する古資料約30点が、店内のショーケースに展示されている。 100年以上も広く流通 展示の目玉の一つは、高萩市出身で江戸時代の地理学者、長久保赤水の日本地図「改正日本輿地路程全図」(通称「赤水図」)だ。同図は今年度、中学校の地理の教科書に初めて掲載された。 赤水図は江戸中期の1779(安永8)年に完成し、翌年大阪で出版され、赤水の死後も版を重ねた。展示品は嘉永5(1852)年原刻、明治4(1871)年再刻とあり復刻版のようだ。彩色もオリジナルとは異なる淡い色使いで、むしろ見やすい。 江戸時代の日本地図というと1821(文政4)年の伊能忠敬「大日本沿海輿地全図」(伊能図)が有名だが、赤水図の完成はその42年も前。実測ではなく収集資料と天文学の知識に基づくが非常に精度が高く、日本地図で初めて経線と緯線を入れたことも特徴。地名や主要街道などの情報も豊富に盛り込まれている。 伊能図は初めて全国の海岸線を実測して作られ、沿岸部は極めて正確だが内陸部の情報に乏しい。また幕府により公開が禁じられため、一般に用いられたのは赤水図の方だった。実用性の高さから明治初期まで100年以上も広く流通し、吉田松陰も旅の必需品としていたという。

学習会中止期間もNPO奮闘 コロナ禍の子ども支援㊤

コロナ禍の1年、経済的に困難を抱える世帯の子どもを対象に、無料の学習支援や居場所の提供を行う「つくばこどもの青い羽根学習会」にも、学習会を開けない期間が出るなど、大きな影響が出た。 つくば市は地域のNPOなどと協働で、「青い羽根学習会」を市内14か所で実施している。昨年4月から5月までの2カ月間と、今年1月に県独自の緊急事態宣言が発表されてからの3週間、新型コロナ感染防止のため、学習会は中止された。 週に1度は様子を確認 NPO法人「NPOプラザ・ねこねっと」は週に1回、市内で青い羽根学習会を開催し、食事の無料提供をおこなっている。毎週、約10人の小中学生が通っている。 昨年春の学習会中止期間も、週に1回は子どもたち一人一人と連絡を取り、様子を確認した。市と協働したり、中央共同募金会(東京都千代田区)の助成金を利用し、週に1度、利用者に弁当を無料配布した。子ども本人または保護者に弁当を手渡し、元気がないなど、様子に変化がある場合は話を聞いた。当時は学校も休校になり、学校給食もなくなったため、夜遅くに保護者が仕事から帰ってくるのを、何も食べずに家で待っていた子どもや、体がやせてきた子どももいた。 緊急事態宣言が明けた昨年夏には、例年通り、保護者と面談し、コロナでどのような影響が家庭に出ているのかなどを聞いた。仕事を減らされた等、経済面でひっ迫した家庭が多かった。必要に応じて、行政とも連携を取り、公的支援を受けることを提案し、申請書類の記入等も手伝った。他の家庭にも、困った時は我慢せずに必要な支援を受けるように呼び掛けた。

銘酒をつなぐ伝統の水戸線 《茨城鉄道物語》11

【コラム・塚本一也】茨城県を最初に通った鉄道は東北線であり、県内で最初に開業した鉄道も実は常磐線ではなく、水戸線であることは以前お話ししました。昔は、茨城県民は水戸線を使って小山回りで東京へ行っていたようです。水戸線の歴史は古く、2019年1月16日で開業130周年を迎え、JR水戸支社では当時、盛大にイベントを開催しました。そんな水戸線の沿線は、歴史に裏打ちされたように、県内有数の酒蔵がラインナップされております。 茨城県は日本有数の酒どころであり、大小合わせると県内に約45の酒蔵があります。茨城県酒造組合の資料によれば、北から久慈川水系、那珂川水系、筑波山水系、鬼怒川水系、利根川水系と、5つのカテゴリーに分類されるようです。その酒蔵地帯を、那珂川水系から筑波山水系を経て、鬼怒川水系へと県を横断するようにつないでいるのが水戸線なのです。 例えば、始発の水戸駅近辺には、私の好きな「一品」を造る吉久保酒造、明利酒造、木内酒造があります。少し走ると、笠間の須藤本家、笹目宗兵衛商店があり、稲田に着けば「稲里」の磯倉酒造があります。さらに筑西市に入ると、来福酒造、真壁の村井酒造、西岡本店などが軒を連ねます。そして終点に近づき、結城駅周辺にはこれまた私の好きな銘酒「武勇」を造る武勇と結城酒造が控えております。 お座敷列車で日本酒をチビチビと… このように、沿線にこれだけ数多くの酒蔵がそろっている路線は大変珍しく、これを観光に生かせないものかと思慮しているところであります。夏になるとビール列車を走らせるという企画は、地方ローカル線でニュースになることがあります。しかし、「日本酒列車」では酔いが回るのが少し早すぎるような気もするので、お座敷列車でチビチビとやりながら、のんびりと旅行するような企画がよいのかもしれません。 また、お酒にはそれに合ったつまみが、ご当地の食文化としてもてはやされます。ブルーチーズと赤ワインのように、お互いを引き立てる地元の名産品をセットで用意すべきでしょう。昨今話題となっているジビエ料理で、何か開発はできないでしょうか? イノシシのジャーキーなんかは、辛口の日本酒に合うような気がするのですが、私の好みになってしまいますね。(一級建築士)
2
0
コメントお待ちしてますx
()
x