金曜日, 10月 23, 2026
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差別をなくすために つくばの障害者団体が職員研修

【川端舞】障害者差別をなくすために、障害者と健常者の関係はどうあればいいのかー。差別を考えるオンライン研修会が6日と13日、2日間にわたり開かれた。障害者支援団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)が、主に内部職員向けに開催した。障害者と健常者が互いに尊重し合える関係のつくり方について、活発な議論が展開された。

自立生活センターは全国各地にあり、「障害者のことは障害者が一番理解している」という理念のもと、障害者が中心となって運営される。障害者主体の団体に、これまで健常者がどう関わってきたかを知ることで、センターで働く健常者の職員が「障害者支援を通して、自分も社会を変えていく一員なのだ」とより自覚できるのではないか。そのような思いから、センター設立当時からの職員、松岡功二さん(52)が今回の研修会を企画した。

「健常者は手足になれ」

参加したのは同センター職員のほか、かつて筑波大学で部落差別を中心とした差別問題を研究していた筑波大名誉教授の千本秀樹さん(71)、千本さんの教え子など約30人。

初日は、センターで介助のアルバイトをしている筑波大障害科学類4年の山口和紀さんが、自身の卒業論文をもとに「健全者手足論」について問題提起した。

1970年代、どんな重度障害者でも暮らしていける地域社会をつくることを目指す、障害者たちの社会運動「青い芝運動」が関西で広がった。重度障害者が社会運動を続けるためには、介助する健全者(=当時、現在は健常者)が必要だ。しかし当時は公的な介助制度もなく、ボランティアとして障害者を介助していた健全者は、青い芝運動の中で不安定な立場だった。当初は青い芝運動に共感していた健全者だが、立場の不安定さから障害者との関係がこじれ、障害者を見下す言動が出てきた。運動における障害者と健全者の関係を再確認しようとする中で、障害者から「健全者は組織運営に口を挟まず、組織の手足になれ」という「健全者手足論」が出てきた。「健全者は敵だ」とまで言い切ることもあった。

「健全者と障害者の関係がこじれた時に、『健全者は手足になれ』と主張するのではなく、互いに協働する道もあったのではないか」と、山口さんは問いかけた。

共に差別と闘う

2日目は、千本さんがこれまでの研究活動をもとに、健常者として障害者差別とどう向き合うのかについて論じた。

千本さんは、学生時代から部落解放運動などの反差別運動に関わる中で、障害者運動とも出会った。障害者とともに運動していく中で、自分自身の中にも障害者差別があることに気づく。当時、千本さんはともに運動していた障害者たちに、「自分が差別的な言動をしたら、指摘してほしい」と頼んだ。障害者と本音で語らないと、自分の中にある無意識の差別に気づけない。「自分の中の差別意識に気づくことは怖いかもしれないが、新しい考え方に気づくのは楽しかった」と、千本さんは当時を振り返る。

障害者差別が黙認されている社会では、全ての人間が、自分では自覚していなくても、無意識に「自分は障害者でなくて良かった」という差別的考えを持たされる。

全ての健常者は障害者差別をする側になりえるため、「健常者は敵だ」と考えたのが、青い芝運動の「健全者手足論」だ。そこには、反差別運動は、差別される者だけで行うものだという考え方がある。

しかし「障害者だけでなく、健常者も運動に加わらないと、差別はなくならない」と千本さんは主張する。差別される障害者と、差別する側になりうる健常者が、互いに尊重できる関係になり、差別を内包する社会と共に闘うことが重要だ。

介助者として関係を模索

研修会では、同センター職員による活発な議論も行われた。

現在の障害者介助では、かつての「健全者手足論」とは別に「介助者手足論」が広まっている。介助者は、障害者の手足のように、障害者が頼んだことだけを行うべきだという考え方だ。自分の手足を動かせない重度障害者にとって、自分のやりたいことをしていくために、自分の指示通りに介助員に動いてもらうことは欠かせない。

その共通理解のもと、「しかし、介助者は障害者の手足として、障害者の指示に従ってさえいればいいのだろうか」「障害者差別をなくすためには、まずは介助者が障害者と互いに尊重できる関係を作ること、そして障害者が介助者以外の健常者とも同じような関係を作れるように、両者をつないでいくことも大切なのではないか」など、日々、介助者として障害者と向き合っているからこその意見が多数出された。

障害者と介助者、健常者の関係はどうあればいいのか、つくば自立生活センターの模索は続く。

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