月曜日, 12月 29, 2025
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恥ずかしながら 私のウイルス体験記 《文京町便り》2

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】前回のコラム(2月27日掲載)原稿を編集部に提出した数日後、私のパソコンがウイルスに汚染されました。今回はその顛末(てんまつ)をお話しします。

Wi-Fi接続していたPCが、2月23日午後2時過ぎ、けたたましい警告音(サイレン)とともに、甲高い女性の声「PCの電源を切らないで」が繰り返されました。PC画面には、赤字で「ウイルスに感染されました、至急、034-579-0166に電話をください」が出ている(あえて、その時の不自然な電話番号を表示しておきます)。

とりあえずは電話すると、画面で「MICROSOFT Windows, Mike Miller」と自称する人物が音声(不自然な日本語)で出現し、無料診断の結果、私のパソコンの問題点は「1.service stop, 2.no network security, 3.hacker found」だと表示。加えて、ハッカーの顔写真(囚人風の外国人(ボカシ))が表示され、恐怖感を煽(あお)る。

これを解消するには、plan 1(4年間保証で2万円)かplan 2(7年間保証で3万円)だと、と迫ります。私は、これはおかしいと反論するも、この担当者は近くにコンビニはあるか、と問う。コンビニFがあると答えると、そこで該当額のGペイカードを購入するように、と指示。

半信半疑ながら、そのコンビに出向き、店員(40歳前後の男性)にGペイカードの所在を尋ね(そもそも使ったことがないので)、経緯を話すと、「振り込み詐欺かもしれない」と案じ、「一度、家電屋で見てもらった方がいい」とアドバイス。我に返り(カードを購入せず)自宅に戻り、この間(15分程度)接続していたPCをシャットダウン。

ロシア製の対策ソフトをインストール

次は、近くの家電量販店Kでのやり取り。担当者(30歳前後の物静かな青年)は、PCのハードディスクをチェックし、特に問題は発生していない模様だと仮診断。私からは、思い返すと、ここ2週間ほど、PC導入時にデフォルトで設定したウイルス対策ソフトWの更新要求メッセージを無視していたことが今回の原因なのかもしれない、と反省の弁。

するとこの担当者は、同店推薦のソフトK(店頭販売のウイルス安全対策ソフト、3年保証、13,200円)のインストールを勧め、私もそれに応じました。その後、ウイルス対策は支障なく動作しているようですが、このソフトKはロシア人が設立した企業で、その持株会社はロンドンの企業とのこと。

まさに、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界のゆえに、何がより完全な対策なのか不明ですが、ロシアのウクライナ侵攻の前日だったことと符合しているとも感じています。ご参考までに、皆様にご報告しておきます。(専修大学名誉教授)

B1ロボッツ6連勝ならず つくばでのホーム戦に敗れる

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攻守に貢献した鶴巻啓太=つくばカピオアリーナ(撮影/高橋浩一)

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは26日、つくば市竹園のつくばカピオアリーナでサンロッカーズ渋谷と対戦し76-85で敗れた。これで茨城は12勝29敗で東地区10位。

今季B1に舞台を移した茨城は、トップリーグのレベルの高さになかなか勝ち星を伸ばせずにいたが、今月に入って直近5試合は白星続きと波に乗り始めた。対する渋谷は東地区6位にいるものの現在5連敗中と元気がなく、16日の対戦でも95-91と競り勝ってみせたばかり。この日も同様の結果が期待されていた。

試合は茨城のペースで始まった。第1クオーター(Q)はエリック・ジェイコブセンのインサイドシュート、鶴巻啓太の3点シュート、平尾充庸のスチールなどで得点を伸ばし21-16とリード。渋谷は3点シュートやフリースローの成功率が低く、またファウルもかさみチャンスを広げられない。

第2Q、ドライブで切り込む多嶋朝飛=同

しかし第2Q、渋谷は石井講祐が3点シュートを3本連続で決め、その後も関野剛平や盛實海翔らが次々とロングシュートを放ち、茨城を突き放していく。平尾は「試合を通してインサイドを守ることは徹底できたが、どうしても外への気持ちが薄れ、相手のリバウンドや3Pへの対応が遅れた。ただ、イージーな3Pは打たせていない。沈めてきた相手をほめたい」と試合後に感想。

第3Qは点の取り合い。渋谷は3Pを要所要所で決めていき、第4Qに入った直後には11点差まで広げられてしまった。ここから茨城は意地を見せ、ジェイコブセンと平尾が立て続けにバスケットカウントを獲得。残り7分の時点で早くも相手を5ファウルに追い込み、会場の雰囲気も最高潮に達するものの、その後の得点につながらない。攻撃では難しいショットを打たされ、守備では相手の外国人選手に押し負けるなど、疲れが見て取れるようになってきた。中村功平とマーク・トラソリーニを負傷で欠き、効果的な選手交代ができなかったことも厳しかった。

第4Q、空中で体を張る平尾充庸=同

「前半は守備をハードにやれ、攻撃もしっかりできた。後半はセカンドチャンスを取られ、差をつけられた。個人的には3点シュートやドライブなど思い切ったプレーができ、徐々に結果に結び付いてきている」と鶴巻のコメント。6連勝できなかったことは悔しいが、すでに明日に向けて切り替えができ、チームの雰囲気は高まっているという。

この日同会場で予定されていた筑波大学アスレチックデパートメントの主催による、筑波大学と青山学院大学の男子バスケットボール部スペシャルマッチは、メンバーの一部に新型コロナの感染が判明し延期された。(池田充雄)

「コロナ後」へ反転攻勢のリニューアル 筑波山観光案内所から始動

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筑波山観光案内所のテープカットに立つ五十嵐立青市長(左)と小久保貴史つくば市議会議長

4月1日にリニューアルオープンする筑波山観光案内所(つくば市筑波)で26日、開館セレモニーが催された。つくば観光コンベンション協会会長として挨拶に立った五十嵐立青つくば市長は「つくばの観光地として圧倒的な存在感をもつ筑波山から、コロナ収束後に向け、反転攻勢へのきっかけにしたい」と意気込みを語った。

外国人観光客を取り込む

観光案内所は、筑波山神社大鳥居前にあった旧案内所を建て替えた。施設は木造一部鉄筋コンクリート造2階建て、建築面積274平方メートルで、これまでの2.2倍の広さになる。2階に案内スペースのほか、旧案内所にはなかった公衆トイレ、授乳室、周辺観光事業者などが利用できる会議室を設ける。

筑波神社入口バス停の前に立つ観光案内所は、景観にマッチするよう木材を生かした作りにしている

茨城県観光物産課による入込客数調査によると、2020年につくば市を訪れた観光客は、前年比で約4割減の272万9000人にとどまり、観光業は打撃を受けてきた。この状況下、「コロナ後」を見据え、同市観光推進課の兼平勝司さんは、県内外の観光客への呼びかけと共に、国外からの外国人観光客の取り込みにも力を入れたいと話す。

つくば市ではかねてより、「Guidoor(ガイドア)」などの多言語観光情報サイトを通じて、外国人観光客へ呼びかけてきた。観光案内所には、英語で対応可能なスタッフが常駐し、広域の案内を提供できる場所として、日本政府観光局(JNTO)認定外国人観光案内所の「カテゴリー2」の認定を受けてきた。

今回のリニューアルでは、英語に応対する常駐スタッフの他に、設置されたタブレット画面に、オンラインで実際の通訳者を呼び出し対面で会話が可能な、オンライン映像通訳サービス「みえる通訳」を無料で利用できる。同サービスは、手話を含む14言語に対応可能だ。

また、案内所内に設置された幅1.5メートルほどのタッチパネル式モニターでは、飲食店や宿泊施設などの周辺情報が掲載され、日本語、英語、中国語3カ国語に対応する。

当事者の意見を踏まえたバリアフリー

観光推進課の兼平さんは「障害者や高齢者などサポートを必要とする観光客への対応にも力を入れている」と話す。案内所へのスロープ入り口には、車椅子での目線の高さにインターフォンが設置され、必要な場合、それを通じて係員に要望を伝えることができる。また館内は、車椅子でも動きが取りやすいよう動線に広さが設けられ、多目的トイレは、障害当事者の意見をもとに、オストメイト用設備やユニバーサルシートなど、必要な設備を設置した。

広いスペースを確保した観光案内所内部

コロナ禍が3年目を迎える。3月21日にはまん延防止等重点措置が解除された。一方で、茨城県内の感染者数は一進一退が続いている。

つくば観光コンペンション協会は、密を避けて、安心して春の筑波山で自然を満喫できるよう観光客への呼びかけを始めている。「春の筑波山、始動です」と銘打ち、今回のリニューアルオープンに合わせたキャンペーンを26日からスタートした。観光案内所前の特設ブースでは、筑波山捺(お)し巡り御朱印「弁慶七戻り」や筑波山登頂記念手ぬぐいスタンプラリーなどの企画を説明している。詳しくは同協会ウェブサイトで。(柴田大輔)

障害があっても「好き」を仕事に 手作りバッグ販売 さくら学園 つくば

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バッグのモチーフになる絵を描く根本歩美さん

「障害があっても、好きなことを仕事にしたい」。障害のある利用者や、支援員のそんな思いを込めた手作りバッグを、つくば市で障害者の就労支援に取り組む「さくら学園」(同市島名、NPO法人明豊会運営)が製作し、28日、つくば市役所で開かれるマルシェで販売する。

独特のセンスとユーモア

白地のバッグに描かれる、卵が乗るご飯とTKGの文字。「T(たまご)K(かけ)G(ごはん)」の略称だ。その他にも、街の風景や、「最後の晩餐」などの見慣れた絵柄が、独特のセンスとユーモアであしらわれている。描くのは、さくら学園を利用する、つくば市の根本歩美さん(25)。ある時、学園での創作時間に根本さんが描く絵の魅力に、生活支援員の鈴木芽未さんが気付いた。「好きなこと、得意なことを仕事にできたら」と鈴木さんら職員たちが思いを強くした。

当日販売されるバッグには、根本さんの自信作「TKG」も並ぶ

才能あっても生かす場ない

「さくら学園」では、障害によって働くことに困難がある人に対して、梱包作業や清掃業務、パソコン入力などの仕事を通じて、一般企業への就職を目指す「就労移行支援」や、その後のサポートをする「就労定着支援」、就労訓練を提供し工賃を支払う「就労継続支援B型」などの就労支援をしている。

支援の現場では、利用者の適正に応じた就職先を施設職員が一緒に探すのが一般的だという。鈴木さんは「障害のある人が選べる職種の幅は、非常に少ない」とし、「『好き』を仕事にできる機会はさらに限られている」と言う。才能があっても生かす場がないのが現状だ。バッグの製作・販売は、こうした状況を変えるための試みだ。

28日、根本さんもマルシェに

利用者それぞれの得意なことや、好きなものを一緒に見つけるのも、支援の一つだという。根本さんの「TKG(卵かけご飯)」の絵も、そんな思いを抱く職員とのやりとりから生まれた。

バッグはリバーシブル。根本さんらが描いた絵の反対側には、さくら学園で行われている「手織り教室」で作られた織物があしらわれている。サイズは、大・小2種類。

今回、さくら学園が出展するマルシェは、28日午前10時から午後2時まで、つくば市役所庁舎南側の芝生前広場で開催される。つくば市にある障害者就労施設ら12事業所が参加する企画だ。

さくら学園ではバッグのほかに、根本さんらの絵をモチーフにしたポストカードも販売する。当日は、職員と共に、根本さんも売り場に立つ。

鈴木さんは「目の前で商品が売れたら、描いた人はうれしいし、夢もふくらむはず」とし「障害があっても、自分の好きなことで食べていけるようになれば、他の障害者の方にも夢を与えると思う」と意気込みを語った。(柴田大輔)

◆バッグの値段は、大(幅37×高さ35×奥行き13センチ)4000円、中(31×35×11センチ)3500円、小(32×18×8.5センチ)2200円。

30年が、たった40分! 《写真だいすき》6

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暗い所に置かれていた風神像:1度のシャッターに約30分

【コラム・オダギ秀】大学を出てからずっと、写真を撮ることを仕事にしてきた。どのくらいの時間、写真を撮ってきたかと、フィルムを使っていた昔、計算してみたことがある。仕事として写真を撮って30年ぐらい過ぎたころだ。そしたらなんと、40分ほどにしかならない。

と言うのは。

フィルムの時代だから、36枚撮りフィルムを月に100本撮ったとして3,600枚。1年にすると43,200枚。それを30年続けて1,296,000枚。撮る枚数が少ない大判カメラで撮ることも多いから、実際にはその半分としても、約60万枚以上の写真を撮ってきたことになる。

その写真のシャッター速度を、1枚当たり平均250分の1秒で撮ったとすると、1/250秒×60万枚。するとそれは、合計40分ほどになる。たった!

つまり、ボクが、一生懸命、30年間、写真を撮り続けてきたと言っても、シャッターを切っていた時間は、ほんの1時間にも充たない、約40分でしかないということなのだ。

こんな話をすると、大方の人は「ふふうん」と、感心したような顔をする。それが狙いでこんな話をしているのだが、しかし、この話にはウソがある。実は、一度のシャッターに、何十分もかかることもあるのだ。

30~40分かけて1枚のシャッターを切る

たとえば、薄暗いお堂の中の仏像を撮影させていただく時など、30~40分かけて1枚のシャッターを切るというようなことは、ごく当たり前のことなのだ。自分の体が動いてカメラに振動を与えてしまわないよう、そっとシャッターを開き、暗いからフィルムに写真が写るまで、じっと身をすくめて時が流れるのを待つ。

寒さで身体が震えたり、暑さで汗がしたたっても、ただじっと、30分も1時間も、時が過ぎるのを待つのだ。

そのような時は、30年かけて切ってきた60万回のシャッターと同じ長さの時間を、たった1回のシャッターに費やすことになるのだ。数回シャッターを切れば、それだけで何時間にもなるのだから。

考えてみると、「製造」時間に、そんなにも差がある製品なんて、他にあるだろうか。ある時は、数百とか数千分の一秒で生み出されるのに、ある時は、その何万倍もの時間をかけて作られる。その製品を見る者は、そんなことを意識することはまずなく、同じ次元で評価する。

写真というのは、面白い世界だと思う。(写真家、土浦写真家協会会長)

驚異の1000ナノメートル超えで国際カーレース優勝 つくばNIMS-MANAチーム

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レースの成績発表に拍手を送る中山知信チームディレクター(手前)。右のボードに1054の文字が誇らしげ=つくば市並木のNIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点

フランス・トゥールーズで開催の国際ナノカーレースで、日本から参戦の物質・材料研究機構(NIMS、つくば市並木)のチームが優勝した。ナノメートル(10億分の1メートル)サイズの分子マシンを24時間走らせて競うレースは、日本時間で24日から25日にかけて行われ、同チームのナノカー「Slider-Spider(スライダー・スパイダー)」は1054ナノメートルを走り、ターン数でトップ(同数)だったスペインチームと優勝を分け合った。

参戦したのは同機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)副拠点長の中山知信さんをチームディレクターとするNIMS-MANAチーム。第2回大会の今回は、開催国のフランスをはじめ世界6カ国から計8チームが参加した(3月15日付)。

参加チームのドライバーはフランス国立科学研究センターに集結し、会場に設置されたコンピューター端末を操作しナノカーを走らすが、マシンはそれぞれの所属先に設置の走査型トンネル顕微鏡(STM)の内に置かれる。NIMS-MANAチームからはドライバーの川井茂樹さんらが現地入りしたが、中山さんらはつくばでSTMの様子を見守りながら、現地から送られるライブ映像をネット放送する実況の解説を行った。

「Slider-Spider」は全長約2.5ナノメートルの分子マシン。レースの前半で分子の一部が壊れるというトラブルに見舞われるが、前半終了時点でトップに立った。中山さんは「一歩一歩は小さいがコツコツと緻密な動作を繰り返すドライバーのテクニックで距離を稼いだ」と解説した。

24時間ほぼ1人でナノカーを操ったドライバーの川井茂樹さん=物質・材料研究機構提供

日本時間の25日正午過ぎ、福島県沖で地震があり、デリケートなSTM上のコースに影響がないか心配されたが、川井さんはフランス側のモニター越しに地震を察知、難を逃れるというシーンもあった。

25日午後7時のレース終了時、「Slider-Spider」は参加8チーム中、唯一マイクロメートル(100万分の1メートル)レベルに到達する1054ナノメートルを走り切った。ジクザクした概ね100ナノメートルのコースを4周半する軌跡をたどった。

文句なしの優勝と思われたが、主催者発表では678ナノメートルだったスペインのNANOHISPA(ナノヒスパ)チームと同率の1位となった。ナノカーで重要とされるターン数(ジクザクに曲がる回数)でもNIMS-MANAチームと同数の54。スペインチームの広く大きく取ったコース取りが評価されたという見方が示された。

これにはネット放送の視聴者から疑問が多数上がった。レース終了時点で累計3万8000人もが視聴したが、「そんなの聞いてないルールが出てきた」「芸術点みたいな採点があったのか」などといぶかる声だ。

解説の中山さんは「前回は1ナノメートルでリタイヤしたのだから、マシン1台で走り切って1000ナノ超えは上出来。まさに何が起こるか分からない24時間レースだった」と会心の笑みを浮かべた。(相澤冬樹)

四季ごとに打ち上げる 「土浦花火百年の計」商工会議所提言  

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「花火のまち土浦の発展に向けて」と題した提言書を安藤真理子市長に手渡す中川喜久治土浦商工会議所会頭(左)=土浦市川口、結婚式場「L'AUBE(ローブ)」

土浦全国花火競技大会が4年連続中止となっている状況の中、土浦商工会議所(中川喜久治会頭)は25日、「花火のまち土浦の発展に向けて」と題した提言書をまとめ、安藤真理子市長に手渡した。年間を通して四季ごとに特徴のある花火打ち上げを検討する、土浦花火館を創設するーなどを提言し、長期ビジョン「土浦の花火百年の計」を策定するよう求めている。

会場は現行の桜川河川敷が適地

①恒久的・安定的に花火競技大会が運営できる会場の設定②年間を通じた花火のまちの創出③花火に関する拠点とネットワークの整備ーの3点を提言している。

会場については、現在の同市佐野子、桜川河川敷は、全国花火競技大会の中でも日本一臨場感がある、駅から会場まで交通アクセスが良いなどから、現在の会場が適地だとした。一方、近年は開催時期に大雨が相次ぐなどしていることから増水対策など改善を図るよう提言している。

一方、長期的な取り組みとして50年先を見据えて、大会会場を買収し市有地化する、会場を防災公園として整備し、花火大会開催時は、打ち上げ場所、観覧席、保安距離区域などの安全を確保することが考えられるとしている。さらに100年先を見据えて、霞ケ浦湖上、土浦港周辺、霞ケ浦総合公園など会場移転の研究を進め、霞ケ浦周辺自治体と連携した広域大会の可能性も研究するよう提言している。

年間を通じた花火のまちの創出については、春夏秋冬と四季ごとの打ち上げを提言し、例えば、春は桜川畔の夜桜と花火が競演する「桜花火」、夏は土浦新港で二尺玉の打ち上げが見られる「キララ花火」、秋は「土浦全国花火競技大会」、冬は水郷イルミネーションとコラボした「ウインターイルミネーション花火」の打ち上げを提言している。

さらにコロナで中止となった花火大会の代わりに20年と21年に市が打ち上げたサプライズ花火を「コロナ禍、密の回避と共に、沈滞した人々の心を元気づけた」と評価し、これを応用し、企業や個人が記念日や祝い事などにプライベート花火を打ち上げられる仕組みをつくる、花火競技大会のライブ配信を継続するなどを提言している。

常設の資料館創設で拠点化

拠点とネットワークの整備については、総合的な情報発信拠点として「土浦花火館」など常設の資料館を設置し、観光スポットになるような、プラネタリウムなどで実物大のバーチャル花火を体験できるコーナーを設けたり、花火に触れ合えるイベントを開いたり、小中学生が花火の歴史や花火の作り方を学んだりする施設の創設を提言している。

ほかに、花火競技大会の運営をサポートするボランティア団体「土浦花火倶楽部」の創設、市の玄関口となる土浦駅前の市役所庁舎壁面への花火プロジェクションマッピングの実施、花火関連事業者の市内誘致、花火に関する土産品、グルメ、家庭用花火などの商品開発支援、インターネットや雑誌などを活用した情報発信の強化などを提言している。

提言は同会議所創立75周年にあたり、25日市内で開かれた通常総会に合わせて発表された。来賓として総会に出席し、提言を受け取った安藤市長は「提言を重く受け止め、先人が築き上げてきた宝をもっと磨き上げて、チャレンジさせていただきたい」などと話した。具体的には、今後検討したいとしている。

毎年秋に開催される土浦全国花火競技大会は、秋田県の大曲、新潟県の長岡と共に「日本三大花火」と称され、県内のほか首都圏各地から例年70万人が訪れる。一方、2018年と19年の大会は事故によりけが人が出て途中で中止、20年と21年は新型コロナの影響で中止となっている。

こうした状況を踏まえ、商工会議所は昨年8月から企画委員会(大山直樹委員長)で検討を重ね、提言に至った。(鈴木宏子)

春は「フナののっこみ」の季節 《宍塚の里山》87

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フナの子どもたち

【コラム・福井正人】私たちの会は毎月第3日曜日、地元農家と「田んぼさわやか隊」を結成し、宍塚の里山周辺の水田の整備活動を行っています。このエリアの農業水路には、春になると「フナののっこみ(産卵のための遡上=そじょう=)」が見られます。今回はそこで見られる魚たちを紹介します。

宍塚大池を水源とするこの水路は、大池から備前川までの約2キロ、宍塚の里山から北東に流れています。上流域は里山の谷津田の脇を流れる土水路で、昔ながらの水路の景観を残しています。中流域が田んぼさわやか隊の活動エリアで、圃場(ほじょう)整備された田んぼの脇を流れていますが、土水路のまま残されています。

下流域は三面コンクリートになっていますが、中流域から流出した土砂が堆積していることが生き物にはプラスになっているようです。残念ながら、上流域の里山内の水路と中流域の土水路の間には、コンクリートU字溝暗渠(あんきょ)と約40センチ水位差がある場所があります。このため、上流域と中流域の魚類の行き来、特に遡上を阻害しています。

会が地元の方のお話をうかがってまとめた聞き書きには、昔はウナギをはじめとして多くの魚類が下流側から宍塚大池まで遡(さかのぼ)っていたことが紹介されています。それを思うと残念ですが、里山内の水路には、いまでもドジョウやヨシノボリなどの魚類や多くの生き物を育んでいます。

備前川から産卵のために遡上

中流域に目を向けると、水路は里山の谷津田域のそれに比べると直線的ではあります。でも、土水路として残されているため、側面や底面にデコボコがあり、植物なども生えるため、水の流れに緩急ができ、隠れ場所もあって多くの生き物に生息する場を提供しています。

特ににぎやかになるのが、田んぼに水を入れ始まる4月~初夏です。4月になるとフナが備前川の方から産卵のため遡ってきます。これが「のっこみ」です。特に、雨が降って水量が増えた翌日に多く見られます。水位の上昇や水の濁りが遡上を誘発しているのかもしれません。

5~6月になると、この水路でふ化したフナの子どもが見られるようになります。また5月下旬から初夏にかけては、ハゼの仲間(ウキゴリ、ヨシノボリ、ヌマチチブ)の子どもたちが霞ケ浦から備前川を経て遡ってきます。この水路が「魚のゆりかごと」して機能していると思うと、うれしくなります。

水量が少なくなる秋には、これらの魚たちは備前川の方へ下っていきますが、秋から冬の間も常に水が流れているため、水が枯れることはなく、ドジョウやヨシノボリなどは通年見ることができます。こうして見ると、田んぼさわやか隊の活動エリアが、多くの生き物を育む場所としても重要なことが分かります。

田んぼさわやか隊では隊員を募集しています。興味を持たれた方のご参加をお待ちしています。(宍塚の自然と歴史の会理事)

都市の中の「自然」から学ぶ 洞峰公園・不忍池 《遊民通信》37

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【コラム・田口哲郎】
前略

つくば市の洞峰公園は手入れがゆきとどいていてきれいなので、たまに散歩します。ある朝方、遊歩道脇の草むらにカモがあおむけに転がっていました。おそらくネコかカラスにやられたのでしょう。思わず目をそらし、かわいそうにと心の中で手を合わせました。でも、こんな近代都市のなかの公園も「自然」なのだなと感じました。この地球、いえ宇宙はあまねく自然の摂理に支配されていますから、当然なのですが。

大学に行くときに上野の不忍池の脇を通ります。コロナ禍終息がまだ見通せず、すべての講義がオンラインでしたが、資料を借りに行く場合は、どうしてもキャンパスまで行かねばなりません。不忍池にはカモやハトに混じってユリカモメがいて、手すりにとまって休んでいます。このユリカモメ、東京都の鳥ですが、『伊勢物語』のあずまくだりに都鳥(みやこどり)として出てくることは以前書きました。

東京という街は1000年余りでかなり変わりました。東国のひなびた土地だったのが、太田道灌(おおた・どうかん)のころから里になりはじめ、江戸時代、明治・大正を通じて世界有数の大都市に。戦争で焼け野原になって復興したけれど、今度は目に見えない微細生物のせいで、大きな変化をせまられている。このユリカモメはそんな人間社会の変化をあのつぶらな瞳で見つめてきたのです。

人間が社会を必死につくってはこわしてまたつくる苦労をしているのを、悠然と眺めている姿に「自然」を感じます。人間社会も有無を言わさずに「自然」なのかもしれませんね。いまだに人の世は食うか食われるかの原理から脱していないように思えます。洞峰公園のカモが身をもって教えてくれたことです。動物は生きるためには食わなきゃいけません。摂理ですから仕方がない。でもそのどうしようもない営みを反省するのは、人間だけができることとも言えます。

罪なき「自然」と人間

遠藤周作はキリスト教作家ですが、小説やエッセイの主なテーマのひとつは原罪です。人間は生きているうちに、知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまっている。意図して傷つけたなら悔いる理由もあるが、無意識に傷つけたら傷つけたという意識すらないので、もっとも恐ろしいというのです。

この生まれながらにしての罪というテーマは、人間が生きているかぎり必ず生まれるものです。夏目漱石の『こころ』の先生が自殺した理由も同じ罪の意識でしょう。人間は自然の摂理から逃れられないのですから、罪からも逃れられないわけです。

キリスト教はこの問題にとくにこだわって考えてきたように思います。摂理だから罪つくりは仕方ないと割り切るのではなく、悔いあらためて神との対話のなかで罪を消化しようとする。これはあまり原罪のような意識を持たない日本人にはよく分からない話です。とはいえ、罪は絶対に悪いことに変わりありません。罪なき「自然」は決して幻想ではない、と思うのです。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

2カ所の不登校支援事業をつくば市議会可決 支援事業者リヴォルヴ・小野村哲理事に聞く

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中学生の学習支援をする小野村哲さん(右)=リヴォルヴ事務局提供

つくば市議会は3月議会最終日の23日、不登校児童生徒学習支援事業2カ所の予算決議案の採決を行い、可決した。

不登校児童生徒が通所する「むすびつくば」は、2020年から市とNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が協働で運営してきた。契約終了に伴い、新年度からの委託事業者を公募型プロポーザルで選び、リヴォルヴは次点に沈んだ。保護者会が存続を求めて市に陳情書を提出(1月20日付)、4502筆の署名が集まった。事態を重くみた五十嵐立青市長は、リヴォルヴが新年度も事業を継続する施策を公表。プロポーザルで選定されたトライへの事業費とは別に、リヴォルヴによる事業費を追加提案した(3月3日付)。

保護者会が、リヴォルヴによる事業の継続を求めた問題はひとまず決着したが、契約期間3年のトライに対しリヴォルヴは1年。保護者からは早くも「1年先はどうなるのか」の不安の声が上がる。この状況下でリヴォルヴはどう活動していくのか。リヴォルヴの理事、小野村哲さん(62)に今後の取り組みなどについて聞いた。

市民に説明できるプロセスに

ー今回の事態の原因は何だったと感じているか。
「保護者や子どもたちの意見を聞く姿勢が市教委になかったことと、プロポーザルの運用に問題があったと思う。7人の選定委員中、むすびつくばを見学したのは1人だけという状況で採点が行われた。選定委員の人選とプレゼンを公開にして透明性を持たせ、市民に説明できるプロセスに改めなければ」

ー五十嵐市長はこの1年で、不登校支援のあり方を検討するとしている。
「私たちは手続き上は委託でも、市教委と保護者、運営スタッフ、臨床発達心理士が一堂に会し、民官が手を携えて支援のあり方を考える運営協議会を準備している。学習支援の活動を誰がどう評価するかも並行して検討したい」

「公募のあり方も課題で、事業者の選定は公平性を確保し、既存の事業者が続行して新規事業者の参入を阻むことにならないよう、かといって事業者がころころ変わって子どもたちを不安にしないよう考えたい。リヴォルブは既得権益を守るつもりはない」

ー市教委の不登校への施策をどう見ているか。
「授業の進度をいたずらに早めない、テストを強制しないなど、勉強についていけない子どもを置いてけぼりにしない指導が行われれば、確実に不登校は減らせる。授業の進め方や何を教えるか、また時間割は学校の自由で(改革は)すぐにでも始められる」

「新年度中に校内フリースクール1校を開校するという。全国的に見て、一挙に数校に配置したが単に空き教室に『校内フリースクール』の看板を付け、手の空いた教職員が見に行くだけという自治体がある。1校から始める当市は真剣に考えていると思う」

子どもたちの幸せとスタッフへの責任

ー次年度以降もむすびつくばの運営を目指しているか。
「子どもたちのために新年度は続けながら、子らの心を大切にした支援目標を市教委や保護者と共有して支援のあり方を検討する。手ごたえがなければ引く可能性がある。私には子どもたちの幸せとスタッフへの責任があり、スタッフの生活が安定しなければ良い支援はできないということ。委託費約2100万円の全部を12人の人件費に回せるわけではない。フルに働く常勤スタッフ2人ですら月に20万円ほどしか払えない」

「私もスタッフもこれまで続けてきたのは子どもといるのが楽しいに尽きる。将来、通所している子どもたちが『むすびつくばがあったから今がある』と言ってくれたらうれしい」
(聞き手・橋立多美)

受け継がれる土になじむ習慣 《菜園の輪》2

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中本さん親子。父の川島弘之さんと3世代

【コラム・古家晴美】最寄り駅から徒歩圏内にあるつくば市内の貸し農園を利用している、40代の中本暁子さん親子―息子の容太郎くん(小学校低学年)、70代の父の川島弘之さん、母の和子さん―に、お話をうかがった。暁子さんは、農園近くのマンションに13年前に引っ越してきてから、同僚の紹介によりここで野菜作りを始めた。畑は約30平方メートルで、年間使用料は約1万円である。

前のアパートでも庭先を使って野菜を作っていた。父が家の庭で畑仕事をする姿を見て育ち、自然と植物の成長を見守ることに楽しさを感じるようになったと言う。暁子さんは独学で野菜作りに取り組んでいたが、8年前の妊娠で畑の手入れが十分にできなかった。

そこに手を差し伸べたのが弘之さんだ。平日の畑の管理を和子さんと行い、週末には孫の容太郎くんと畑で会うという楽しみもできた。容太郎くんは歩けるようになると、ほどなく、はだしで畑に入り、土遊びを始めていたと言う。現在でも友達を呼んで、共にじゃがいも掘りをしたり、ミミズを関心深気に観察したりと、農業に対する関心も高い。

父の参加により、菜園は新たな段階に入る。暁子さんによれば、父が牛糞(ふん)や山からいただいてきた腐葉土を畑に入れてくれたことにより、収穫量が大幅に増えた。

中本暁子さん・容太郎くん、川島弘之さん・和子さん親子

弘之さんは農家の出身で、幼いころから土いじりになじんでいた。土がないと落ち着かないと言う。教員生活の合間に、庭先でずっと野菜作りをしてきた。しかし、全く苦労がなかったわけではない。秋蒔(ま)きで越冬させねばならない三度豆(さんどまめ)は、この畑ではその時期に蒔くと枯れたり、カラスに食べられた。試行錯誤を繰り返しながら、遅蒔きにして5月に収穫することにした。

また、容太郎くんのリクエストに応えて作り始めたスイカも、最初の2年はうまく実がならなかったが、摘果(てきか)の工夫を重ね、昨年は10玉近く収穫できた。基本的に無農薬で有機肥料しか使わないので、安心して大根の葉っぱも食べられるし、何といっても、植物が育つのを見守る楽しみは農耕民族のDNAでしょうね、と暁子さんは言う。

今年は冬が寒く氷点下の夜になり、菜花(なばな)は全滅し、ほうれん草も乾燥してしまった。大根は地面から下は食べられたものの、地上に出ている部分は凍ってしまい、食べられなかった。自然に左右されることが多い野菜作りだが、親子3世代、親の背中を見ながら、土となじむ習慣は、脈々と受け継がれているのではなかろうか。(筑波学院大学教授)

お姫様の絵柄封切り ミルキークイーンで純米大吟醸 阿見町の産学官共同開発

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桜の花を飾って発売初日を迎えた地元の菊水酒店=阿見町中央

ミルキークイーンにプリンセス・ミチコときては、是非ともお姫様で-と阿見町がたってのお願い。東京農業大学(東京都世田谷区)や浦里酒造店(つくば市吉沼)などと産学官共同開発した純米大吟醸酒「桜翔(おうしょう)」は、ラベル担当のイラストレーターの応諾を得て、ようやく新デザインが完成、22日から同町内外の酒販店に並んだ。

諏訪原寛幸さん手掛けるイラスト

ラベルデザインを手掛けたのは、阿見町出身のイラストレーター、諏訪原寛幸さん(52)。「真・三国無双」「戦国無双」などのゲームキャラクターや歴史刊行物へのイラスト提供などで活躍してきた。町の観光大使(あみ大使)に就任している縁で、デザインを依頼した。

「桜翔」は、同町産の食用米ミルキークイーンが原料。東京農業大学がバラ「プリンセス・ミチコ」(品種名)から分離した花酵母「PM1」を用いて、浦里酒造店が醸した。産学官共同は20年に、町が同町商工会へ製造を委託する形でスタート。初年度醸造分はコロナ禍で疲弊する町内の飲食店への支援事業で造られ、小売りはせず飲食店だけで振舞われた。

ミルキークイーンの特徴である芳醇な甘みと、バラを想わせる華やかでフルーティーな味わいが特徴という。昨年行われたアンケートで好評価を得て、販売してほしいとの声が多数を占めたため、今年度醸造分から一般販売を行うことになった。まん延防止等重点措置の適用解除を待ち、満を持しての22日発売開始となった。

芳醇な甘みとほのかな香り

初年度醸造分はラベルのイラストに戦国武将らしい兜武者が描かれたが、「女性は苦手」と渋る諏訪原さんを説き伏せて、お姫様の絵柄が実現した。「桜翔」は町商工会青年部のネーミング。桜は阿見町の木になっており、町に伝わる昔話「姫塚」にもちなんでいるという。

日本酒の仕込み=浦郷酒造店提供

「霧筑波」醸造元の浦里酒造店、浦里浩司代表は地元産米を使った地酒にこだわりをもっている(1月16日付)。浦里さんによれば、「ミルキークイーンは本来、酒造りには向かないコメだが、花酵母の使用が許されたことなどにより芳醇な甘みを活かした日本酒に仕上げることができた」という。酒造店には例年12月に3週間ほど、東京農大醸造科学科の学生が研修で蔵に泊まり込み、日本酒の仕込みを実践体験している。「桜翔」の酒造りにも参加した。

純米大吟醸「桜翔」は原料米に阿見町産ミルキークイーンを100%使用、精米歩合50%、アルコール度数15%。内容量720ミリリットル入り1980円(税込み)で発売中。阿見町内ではカスミ阿見店・荒川本郷店、菊水酒店などで取り扱い、ふるさと納税返礼品にもリストアップされた。つくば市内では浦里酒造店のほか、たがみ酒店、イオンつくば店などで販売される。(相澤冬樹)

問い合わせはあみ観光協会(阿見町役場商工観光課内)電話029-888-1111

7事業者が提案、イノベーション拠点誘導に厳しい意見も つくば市吾妻70街区

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つくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地

昨年実施されたつくば駅近くの吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地約5.7ヘクタールの土地利用調査について(2021年10月26日付)、財務省関東財務局とつくば市は18日、民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)結果を公表した。

財務省など市場調査結果を公表

土地活用の意向がある建設業者、不動産業者など計7事業者が参加し、マンションや戸建て住宅、商業施設、イノベーション施設などの提案があった。今後、関東財務局とつくば市が議論して開発の条件などの活用方針を検討し、二段階一般競争入札=メモ=で処分を行うとしている。関東財務局によると今後のスケジュールは未定という。

提案があったのはほかに、スーパーや飲食店、学習塾、書店、無人店舗など生活支援施設、社宅、学生寮、シティホテル、コワーキング施設、教育施設など。

「理念より現状把握を」「行政の補助必要」

つくば市が中心市街地まちづくり戦略で掲げている、研究学園都市の研究成果や最先端技術を実現する場となる「イノベーション拠点」の誘導に対しては、「2000坪をイノベーション施設、残り2000坪をオフィスとするイノベーションエリアの開発を想定する」(2000坪は約6600平方メートル)などの提案があった一方、「イノベーション拠点は一定規模導入可能で、近隣のスタートアップ施設とニーズの取り合いにならないよう差別化を図るが、今後の需要調査でニーズを把握し慎重に判断することが必要」「活用方針であるスタートアップ支援施設などは、周辺の既存施設に多数存在するが十分に活用されていない。理念より現状を正確に把握した上で市民にニーズのあるものを整備することが最優先」など厳しい意見も出され、市場のニーズと市の方針に乖離(かいり)があることが浮き彫りになった。

さらに70街区にイノベーション拠点を整備する場合の事業者が参加しやすい仕組みとして、「イノベーション施設は収益性が低く、行政の支援など積極的な協力、関与を希望する」「補助金、土地を安く貸す、施設の運営を市が行うなど行政の補助が必要」など、行政の支援を求める意見が出された。「ラボを整備する場合、危険物の貯蔵が必要となるケースがあり、第二種住居地域や近隣商業地域の用途では十分な貯蔵容量を確保できない。危険物貯蔵量の緩和など行政の特段の配慮を要望する」などの意見もあった。

こうした市場ニーズに対し、つくば市学園地区市街地振興課は「イノベーション拠点については厳しい意見もあるが、そうでない意見もある。市場ニーズは把握できたので、調査結果をもとに国と調整したい」としている。

事業コンセプトや事業内容については、ほかに「おしゃれで高級感のあるつくばらしい街づくりをする」「新たな買い物体験の場であるイノベーティブショッピングセンターを形成する」「スーパーは3000~4000坪を想定する」「商業施設、マンションの規模はマーケット分析を行い慎重に検討する」などの意向が示された。

処分方法については、売却、定期借地、PFIなどさまざまな意見が出た。処分時期も「可能な限り早く」「柔軟に対応可能」などさまざまな意見があった。(鈴木宏子)

※メモ【二段階一般競争入札】
開発の条件をあらかじめ設定し、入札参加者から土地利用の企画提案書を提出してもらい、国が設置する審査委員会で開発条件との適合性を審査した上で、審査通過者による価格競争で落札者を決定する入札の方法。

「エノコログサ」の名前の由来は? 《続・平熱日記》106

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【コラム・斉藤裕之】アトリエには冬を越すために置いてある鉢が3つ。食べ終わった後の種から生えたアボカド。これは樹齢20年ぐらい。数年前に買ったレモン。それから一番古くからあるブーゲンビリア。どれも大ぶりの鉢で結構な重さがあって、背丈は40~50センチほど。

薪ストーブの近くに置いたせいか、レモンは小さな白い花をこの冬中絶え間なく咲かせていて、アボカドも大きな葉を茂らせている。ブーゲンビリアも若芽を出して元気そうだったのだが、だんだんと葉が少なくなってきた。落葉しているわけでもなく不思議に思っていたら、ある日、犬のハクが葉を食べているのを見つけた。

エノコログサという雑草がある。ネコジャラシとも呼ばれて馴染(なじ)みのある草だが、エノコロ、すなわち犬コロの尻尾に似ているところから名前が付いたといわれる。

しかし、犬は胃の中をきれいにするのにこの草を好んで食べて吐き出す。少なくとも我が家にいた犬はすべてそうだった。犬コロが好んで食べるから、エノコログサと名付けられたと私は勝手に考えている。しかし、ブーゲンビリアの葉を食べる犬は初めてだ。

まるで犬コロの常備薬

ところで、授業もそろそろ終わりに近づいてきて、毎年、最後の授業には何か気の利いた話でも一席ぶって…と思うのだが。「ありがとうございました。私のこと忘れないでね!」と言って、教室を後にする生徒たち。

多分忘れないけど、正直に言うとほとんど名前を憶えていない。ここ数年は悪気があるわけでもなく、本当に名前を覚えられないし、覚える間もなく1年が過ぎるのだ。それから、何人かは覚えているとか、逆に何人かは覚えていないというのはまずい。例えば廊下ですれ違いざまに、「私の名前覚えていますか?」と聞かれることがある。「〇村〇子!」と適当な名前を言う。

その名前があまりにも昭和過ぎて、相手も笑っている。もしもこの時2人連れだった場合、1人は覚えていて2人目目は覚えていないとなると、生徒は傷つく。教師たるもの常に公平でなくてはならない。だから誰の名前も覚えていないということにしたわけだ。

さてエノコログサは、まるで犬コロの常備薬のように、真冬でもほんの少しだけ律儀に緑の葉を残している。ハクもそれを食べてはオエオエやっている。よく見ると、昨年の穂がそのまま立ち枯れて、早春の風にそよいでいる。その形は麦に似ていて、実際に食用になると聞いたことがある。

ウクライナの小麦の穀倉地帯の地質を「黒土」と習ったことを思い出す。テストに「〇〇戦争はなぜ起こったか?」という質問があったら、「人間が愚かだから」と今なら書く。

結局、今年も最後の授業は特に何も言わずに終わってしまった。そろそろ3つの鉢も外に出そう。(画家)

公有地売却に見る「逃げ」のつくば市長《吾妻カガミ》129

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つくば市役所正面玄関サイド

コラム・坂本栄】つくば市が総合運動公園用地跡の売却要項を発表しました。この土地をどうするかは五十嵐市長の政治案件ですが、売却の手順にはおかしな点がいくつかあります。売却に反対する市民団体は市の動きに怒り、市長解職(リコール)運動を開始しました。これから数カ月間、つくば市は騒々しくなりそうです。

事業提案(プロポーザル)方式で行われる売却の詳細やスケジュールについては、「一括売却へ10日公募開始 つくば市旧総合運動公園用地」(3月8日掲載)、「一括売却へつくば市公募開始 リコール運動へ市民団体は受任者集め…」(3月10日掲載)をご覧ください。

市民の声も議会の役割も無視

おかしな点その1は、売却が市民の支持を得ていない(市民の声から逃げている)ことです。コラム125「公有地売却に見る つくば市の牽強付会」(1月31日掲載)でも書いたように、市が行ったパブリックコメント(意見募集)では、77人のうち売却に賛成は2人、残りは反対か対案提示か分類不可でした。2択方式(賛成か非賛成)で分けると、賛成はたった3パーセントです。

パブコメではサンプルが少ないから、住民投票とか無作為アンケート調査で改めて市民の声を聴いてみよう―というのが五十嵐流だと思いますが、わずかな賛成にもかかわらず、市長は民間売却に打って出ました。きちんと調査するのが恐かったのでしょうか?

おかしな点その2は、市が事実上保有する用地の売却を議会に諮らなかった(議会から逃げている)ことです。その理屈は、土地は都市開発公社(市の不動産部門)が所有し、市の帳簿に記載された財産ではないから、議会の同意はいらない―だったそうです。議会手続をきちんとするのが恐かったのでしょうか?

4年前、五十嵐市長は「大型事業の進め方に関する基本方針」をまとめ、ビックプロジェクトを進める際には「民意の適切な把握」「議会への適切な報告」をきちんとやると宣言しました。公有地処理は大型事業ではありませんが、民意把握と議会了解の大事さは同じはずです。民意と議会を無視した市長は、自分で定めた市政運営の基本を自ら捨てたようです。

市民団体が掲げる5つの罪状

五十嵐市長はどうして運動公園用地跡の売却にこだわるのでしょうか? 「五十嵐市長リコール住民投票の会」記者会見リリースに面白い数字が出ています(青字部をクリックすると出てきます)。

市長リコール団体が「罪状」として挙げているのは、①運動公園用地の民間一括売却、②センタービル改修事業の不手際、③市政を批判した元市議提訴、④市長が受領した多額の政治献金、⑤市長1期目の退職金辞退―の5点です。「エッ」と思ったのは④の金額の多さです。

茨城県選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書によると、2016年度(1回目の市長選挙の年)4397万円、2017年度1086万円、2018年1041万円、2019年度1440万円、2020年度(2回目の市長選の年)2651万円―だったそうです。政治資金と土地売却は何か関係があるのでしょうか?(経済ジャーナリスト)

手こぎボート、モーターボート、ヨットとの出会い 《夢実行人》6

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【コラム・秋元昭臣】小学生のころの話。春になると、土浦市内を流れる桜川には色とりどりのボートが浮かび、土手には舞台もできました。花見は土手に敷物を広げて弁当。ボートをこげない母は、弟に「いつかボートに乗りたいね」と話していました。

中学生のころの話。父や友人たちが入る土浦中学(現土浦一高)ボート部が、桜川畔の貸しボート屋「鈴木ボート」で、ヨット「早風号」を打つ(作る)ことなりました。私はボート屋の兄さんと顔見知りになり、小遣いをためてボートを貸してもらいました。桜川を下り、常磐線の鉄橋をくぐりると霞ケ浦が見え、波も風も大海のようでした。

高校(土浦一高)時代の話。創立間もないヨット部に入部。当時、事業用以外の小型モーターボートは免許がなくても運転できました。弟の高校入学祝いのときに小型を借り、霞ケ浦に出たのがモーターボートの初体験でした。

大学時代の話。ボートを借り、コウモリ傘を帆代わりにして遊びました。東京からの友人が浮き輪を持って来て、「これで大丈夫かな~」には笑いました。当時、ライフジャケットは貴重品。一高ヨット部で使っていたのは、霞ケ浦海軍航空隊予科練生が着用していたお古でした。

「ま~、ボートは木製だから、転覆しても浮いている。でも、オールだけは流さないで!」。これがボート屋のアドバイスでした。そこには下駄箱があり、靴を預けて乗ったものです。乗り逃げされないためだった? 船に乗ること=家に上がること? それが作法だったのかもしれません。

家族5人でヨット「早風号」を操船

ヨット「早風号」が完成すると、鈴木ボートで父の帰りを待って、家族5人で乗りました。空冷式の小型船外機を掛けて出発。桜川から霞ケ浦に入るところで、マストを立てる作業は楽しいものでした。

コースは風により違いましたが、霞ケ浦の(土浦海軍)航空隊跡沖から引き返すのが一つのルートでした。帆は2枚あり、小さな前帆(ジブセール)は子供たちが担当。大きな帆(メンセール)は父が舵(かじ)を取りながら操っていました。今に比べたら「ヨットまがい」でしたが、当時は霞ケ浦唯一。帆は地元「香取テント」製でした。

鈴木ボートの話では、霞ケ浦で初めてヨットを走らせたのは、茨城大学農学部の先生だったそうです。「早風号」は何度も改造され、私の一高ヨット部時代も、帆走の姿を見ることができました。(元ラクスマリーナ専務)

格上げし国際都市推進課を市長公室に つくば市人事異動’22

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つくば市役所

つくば市は18日、4月1日付け組織改編と人事異動を内示した。政策強化を図る組織改編として、国内の国際交流のみならず海外の諸都市との連携を図るため、市民部市民活動課の課内室だった「国際交流室」を「国際都市推進課」に格上げし、市長公室に移設する。

内閣府国家戦略特区諮問会議からスーパーシティ特区の指定を受けたことなど、スマートシティの実現に向けた取り組みを具体化するため、政策イノベーション部の「スマートシティ戦略室」を「スマートシティ戦略課」に格上げする。

複数の部署に分かれていた子供に対する支援を一体化するため「福祉部社会福祉課こども未来室」と「こども部こども政策課子育て相談室」を統合し、こども部に「こども未来課」を新設する。

地方公営企業の上下水道事業は、組織の合理化を図るため「上下水道局」を新設する。

異動の規模は20.4%の267人(消防本部等を除く)で、前年度同様、業務の継続性を重視し、専門性、効率性を高めるため必要最低限の異動とするとしている。

4月1日付の全職員数は前年度より35人増えて2004人になる。定年退職者は51人、普通退職者は37人、新規採用職員は76人、再任用職員は134人。

女性管理職の割合は、消防本部を除き、2021年度の25%から22年度は25.3%になる。

国や県との人事交流は、引き続き文科省出身職員を政策イノベーション部長に配置する。国、県などに実務研修生6人を配置する。

任期付き職員として、学校などの特別支援教育に豊富な知識と経験がある人材を特別支援教育推進室長に配置するほか、学校にICT(情報通信技術)指導員を3人配置する。幼稚園長に、幼稚園や小中学校の現場で管理職として働いた経験のある人材5人を配置する。

国際都市推進課長に岸田和克子市長公室統括政策監

4月1日付人事異動は以下の通り。カッコ内は現職。敬称略。

【部長級】
▽政策イノベーション部長兼市長公室政策調整監(政策イノベーション部長)森祐介
▽市民部長(市民部次長)大久保克己
▽福祉部長(保健部次長)安曽貞夫
▽こども部長(市長公室次長兼秘書課長兼広報監)塚本浩行
▽都市計画部長(都市計画部次長兼都市計画課長)大里和也
▽上下水道局長(生活環境部次長)坂入善晴
▽消防長(消防本部消防次長)木村勝平

【次長級】
▽総務部次長(政策イノベーション部次長)杉山晃
▽政策イノベーション部次長(企画経営課長)大越勝之
▽市民部次長(生活環境部環境政策課長)池畑浩
▽市民部地区担当監兼地区相談課長(市民部市民活動課長)大木茂樹
▽市民部地区担当監・大穂相談センター所長、再任用(消防長)植木利男
▽市民部地区担当監・豊里相談センター所長(生活環境部次長)野原浩司
▽市民部地区担当監・谷田部相談センター所長、再任用(総務部総務政策監、再任用)藤後誠
▽市民部地区担当監・桜相談センター所長(生活環境部次長)嶋崎道徳
▽市民部地区担当監・筑波相談センター所長(福祉部次長)吉原衛
▽市民部地区担当監・茎崎相談センター駐在、再任用(財務部財務政策監、再任用)髙野正美
▽福祉部次長(障害福祉課長)根本祥代
▽保健部次長(福祉部高齢福祉課長)中根英明
▽こども部次長(幼児保育課長)吉沼浩美
▽経済部次長(都市計画部次長)岡田克己
▽都市計画部次長兼都市計画政策監、再任用(都市計画部長、再任用)中根祐一
▽都市計画部市街地振興監(教育局次長)貝塚厚
▽生活環境部次長(市民部スポーツ振興課長)伊藤智治
▽上下水道局次長(総務部次長)中泉繁美
▽会計管理者(財務部次長)飯島正志
▽教育局次長(教育局次長兼教育施設課長)飯泉法男
▽教育局次長(経済部産業振興課長)久保田靖彦
▽消防本部消防次長・消防本部担当(同・消防署担当)五月女謙次
▽消防本部消防次長(消防救助課長)青木孝徳
▽消防本部主任参事兼中央消防署長(消防総務課長)小島幸司
▽消防本部主任参事兼消防指令課長(消防指令課長)山田和美

【課長級】
▽市長公室秘書課長(秘書課長補佐)伊藤尚美
▽市長公室国際都市推進課長(統括政策監兼企画監)岸田和克子
▽政策イノベーション部企画経営課長(生活環境部環境政策課長補佐)横田裕治
▽政策イノベーション部科学技術振興課長(科学技術振興課スタートアップ推進室長兼産業振興センター所長)前島吉亮
▽政策イノベーション部スマートシティ戦略課長(科学技術振興課スマートシティ戦略室長)中山秀之
▽財務部管財課公共施設マネジメント推進室長(都市計画部建築指導課長)吉田和行
▽財務部納税課長兼徴税管理監(納税課長補佐兼徴税監)柳田賢一
▽市民部市民活動課長(地区相談課長)荒澤浩俊
▽市民部市民活動センター所長、再任用(こども部長)中山由美
▽市民部大穂窓口センター所長(文化芸術課長)日下由美子
▽市民部豊里窓口センター所長(豊里窓口センター所長、課長補佐級)伊藤紀子
▽市民部谷田部窓口センター所長(経済部農業政策課長)垣内伸之
▽市民部桜窓口センター所長(大穂窓口センター所長)中川和子
▽市民部筑波窓口センター所長(教育局生涯学習推進課長)大久保文子
▽市民部茎崎窓口センター所長(谷田部窓口センター所長)宮本孝雄
▽市民部副地区担当監、大穂相談センター駐在(オンブズマン事務局長)栗山正行
▽市民部副地区担当監、大穂相談センター駐在(保健部国民健康保険課長)木澤伸治
▽市民部副地区担当監、谷田部相談センター駐在(建設部道路管理課長)色川英雄
▽市民部副地区担当監、桜相談センター駐在(大穂相談センター駐在)渡辺寛明
▽市民部副地区担当監、筑波相談センター駐在(桜相談センター駐在)御田寺義郎
▽市民部副地区担当監、筑波相談センター駐在(福祉部社会福祉課長)安田正幸
▽市民部スポーツ振興課長(政策イノベーション部科学技術振興課長) 岡野渡
▽市民部スポーツ振興課参事、つくば市スポーツ協会派遣、再任用(市民部長)横田修一
▽市民部文化芸術課長(文化芸術課長補佐兼係長)矢口治重
▽福祉部社会福祉課長兼非課税世帯等給付金室長(社会福祉課長補佐兼係長兼非課税世帯等給付金室長)相澤幸男
▽福祉部障害福祉課長(障害福祉課長補佐)岡田治美
▽福祉部高齢福祉課長(医療年金課長)日下永一
▽保健部国民健康保険課長(社会福祉課長補佐兼企画監)飯村修
▽保健部医療年金課長(医療年金課長補佐)城取美知枝
▽保健部健康増進課感染症対策室長(こども部こども政策課長)美野本玲子
▽保健部健康増進課新型コロナウイルスワクチン接種対策室長(中央図書館副館長兼視聴覚センター所長)松浦智恵子
▽保健部健康増進施設いきいきプラザ館長、再任用(福祉部長)津野義章
▽こども部こども政策課長(保健部健康増進課長補佐)鈴木加代子
▽こども部こども未来課長(福祉部社会福祉課こども未来室長)中澤真寿美
▽こども部幼児保育課長(幼児保育課長補佐)岩田光弘
▽経済部産業振興課長(財務部管財課公共施設マネジメント推進室長)柳町哲雄
▽経済部農業政策課長(農業政策課長補佐)根本隆
▽経済部観光推進課長(観光推進課ジオパーク室長)伊藤祐二
▽都市計画部都市計画課長(周辺市街地振興課長補佐)大久保正巳
▽都市計画部周辺市街地振興課長(周辺市街地振興課長補佐)吉岡誠生
▽都市計画部建築指導課長(建築指導課長補佐)中泉弘行
▽建設部道路管理課長(建設部道路管理課長補佐)石塚一弘
▽生活環境部環境政策課長(経済部産業振興課経済支援室長)渡邊俊吾
▽上下水道局水道総務課長(生活環境部上下水道総務課長)小吹正通
▽上下水道局下水道総務課長(財務部管財課長補佐)桜井克仁
▽上下水道局上下水道業務課長(生活環境部水道業務課長)本山雅之
▽上下水道局水道工務課長(生活環境部水道工務課長)植木亨
▽上下水道局水道監視センター所長(経済部観光推進課長)兼平勝司
▽上下水道局下水道工務課長(生活環境部下水道課長)渡辺高則
▽教育局教育施設課長(建設部公共施設整備課長補佐兼係長)鈴木聡
▽教育局生涯学習推進課長(教育総務課長補佐兼企画監)澤頭由紀子
▽中央図書館副館長(政策イノベーション部企画経営課長補佐兼オリンピック・パラリンピック推進室長)沼尻祐一
▽選挙管理委員会事務局副局長(政策イノベーション部企画経営課持続可能都市戦略室長)吉岡直人
▽オンブズマン事務局長、再任用(市民部地区担当監、筑波相談センター所長)木村徳一
▽消防本部消防救助課長(予防広報課長)鈴木浩
▽消防本部消防総務課長(消防救助課長補佐)廣瀬好
▽消防本部予防広報課長(予防広報課長補佐兼危険物係長)高野順一
▽北消防署長(中央消防署並木分署長)太田義春
▽中央消防署参事兼中央消防署副署長(中央消防署副署長)細田義美
▽北消防署参事兼筑波分署長(中央消防署豊里分署長)青木節

【退職】3月31日付
▽市民部長 横田修一
▽市民部主幹、つくば市国際交流協会派遣 飯村通治
▽福祉部長 津野義章
▽こども部長 中山由美
▽消防長 植木利男
▽市民部地区担当監・筑波相談センター所長 木村徳一
▽経済部次長 中澤正登
▽会計管理者 酒井作徳
▽消防本部兼中央消防署消防監 東郷道明
▽消防本部主任参事兼北消防署長 山田勝
▽財務部納税課長兼徴税管理監 上方和男
▽市民部副地区担当監・大穂相談センター所長 矢島正弘
▽市民部副地区担当監・谷田部相談センター所長 秋葉芳行
▽市民部副地区担当監・桜相談センター所長 関口正昭
▽市民部副地区担当監・筑波相談センター駐在 星野和也

事実と推測は分けて考える 《続・気軽にSOS》105

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【コラム・浅井和幸】事実と推測は分けて考えることが大切です。ですが、以外にこれは難しく、私たちは普段の生活で事実と推測をあいまいにしたまま生活しています。もちろん、事実と推測の間にきっちり線を引くことは難しいので、二つを分ける境界線の識別は難しいでしょう。ですが、事実とは明らかに隔たりのある推測を事実と思い込んで考えてしまうこと、感じてしまうこと―が多々あるものです。

自分から笑顔であいさつをしたのに、それに対して相手はそっけない素振りだった。だから相手は自分を嫌っている。「そっけない素振り」は事実ですが、「嫌っている」は推測ですね。そもそも、あいさつもあまりできないほどコミュニケーションが苦手なのかもしれません。いつもはもっと素っ気ない人なのに、いつもより笑顔を作ろうと努力した結果なのかもしれません。(以前、コミュニケーションが苦手な美人がお高くとまっていると思われるというコラムを書いたことがあります。)

人を見るとほえる犬、かむ犬がいます。威嚇をしてくるぐらいに、強気な犬であると考える。「ほえる」「かむ」は事実で、「強気」は推測あるいは評価ですね。強気どころか怖がりでビクビクしているから、ほえたりかんだりする犬はいます。

「自分が相手を嫌いだ」「相手が自分を嫌っている」

学校に行けないのは不真面目だからでしょうか。もしかしたら、真面目過ぎて、全てを完璧にこなさなければいけないと、重く考えていて学校に行けなくなったのかもしれません。

認知のゆがみや物事への決めつけは、とても生きづらい悪循環を起こすことがあります。周りとうまくいかないことが多い場合は、事実と推測の区別がついているか、もう一度考え直す必要があるかもしれません。もしかしたら自分は、目が合ったらけんかを売ってきたと決めつける、不良少年のような感覚で生活しているかもしれないということを。

防衛機制という言葉を聞いたことがあるでしょうか。保健体育の授業で習ったかもしれませんが、人がストレス状態になるとき、自分を守るための心のメカニズムです。その防衛機制の一つに「投影」というものがあります。自分の中にあるものを認めたくないときに、それを相手のせいにする心の動きです。「自分が相手を嫌いだ」ということを認められず、「相手が自分を嫌っている」というようなものです。

世界は自分を嫌っている、社会はたいしたことができない、周りの人たちは無能だ、みんなが悪意を持って接してくる―などなど。実は、自分自身が受け止めきれないために認められない、自分自身への評価なのかもしれませんよ。(精神保健福祉士)

大河ドラマに登場「八田知家と小田家」特別展 19日から土浦市立博物館

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藤原友家(八田知家)の名がみえる鎌倉将軍家政所下文の説明をする西口正隆学芸員=土浦市立博物館

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する「八田知家と名門常陸小田氏」の特別展が19日から、土浦市立博物館(同市中央)で開幕する。中世の大規模な平城として国の史跡指定を受けているつくば市の小田城を根拠とする小田氏は近年、15代氏治がクローズアップされるが、特別展はその始祖にさかのぼり、子孫が全国に散らばる現代までの系譜を追っている。5月8日まで。

同館で43回目となる企画展で、小田氏を取り上げるのは2回目。5月1日には「常陸小田氏の新視点」のテーマでシンポジウムが予定されている。

展示は5章で構成される。下野国の宇都宮氏の系譜をひく八田知家が常陸国の守護職となったのを機に小田に居城を構え、時の勢力に翻弄(ほんろう)されながらも、15代約300余年に及んで常陸国南部一帯を支配した栄枯盛衰を描写する。今回は特に、歴史の舞台から消えた氏治以降の家臣たちの末裔(まつえい)の足跡を追い求め、その後の活躍ぶりも紹介している。

展示資料は、甲斐の国(現在の山梨県)への通行許可証となる武田信玄朱印状や小田家と同盟を結ぶ地方有力者の所在録「小田みかたのちり」(国宝)などの古文書、小田家が使用したとされる軍配団扇(うちわ)、小田家家臣の末裔が所持していた江戸時代の陣羽織、小田氏治肖像画など計157点。

同館をはじめ、小田家や鎌倉幕府とゆかりある全国各地の博物館や個人から集めたもので、吾妻鏡(あずまかがみ)に登場する八田知家の記述と照らし合わせながら紹介している。中には主に将軍が用いていた、文頭に署名代わりの記号「花押(かおう)」を記した小田家の古文書なども紹介され、小田家と鎌倉との親密な関係もうかがい知ることができる。

八田知家ら「鎌倉殿の13人」の名がみえる吾妻鏡の条(左ページ)=同

企画展をとりまとめた同館の西口正隆学芸員は「八田知家は大河ドラマ鎌倉殿に登場する13人衆の1人。この13人は2代将軍源頼家が取り入れた合議体制にかかわり、天下国家に大きな影響を与えた。テレビドラマの放映を機に小田城との関わりや一族が長きにわたりこの地方を支配した史実に興味を持ってもらえれば」と話している。(大山茂)

◆第43回特別展「八田知家と名門常陸小田氏―鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史」 3月19日(土)から5月8日(日)午前9時から午後4時30分まで。毎週月曜日(3月21日を除く)休館。入館料は一般105円、小中高生50円(税込み、毎週土曜日は小中高生の入館料無料)。電話029-824-2928(同博物館)。▽シンポジウム「常陸小田氏の新視点」は5月1日(日)午前10時30分~午後4時、クラフトシビックホール土浦大ホール(定員300人)で開催。

3館連携で小田氏推し

特別展に合わせる形で、19日から5月8日まで上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館、同市上高津)でテーマ展「中世から近世へ―小田氏が活躍した時代の考古学」を開催。「土浦の遺跡27」として、中世の特徴ある遺物や発掘調査で発見される中世特有の遺構を紹介する。

さらに26日からは、土浦市民ギャラリー(同市大和町)で「サムライたちのデザイン-諏訪原寛幸イラスト展」を開催。戦国時代の人物で名高い諏訪原寛幸さんのイラストを、中世の武将が用いた家紋や花押とともに展示する。5月8日まで連携展開催記念のスタンプラリーも行われる。

当たり前に介助を受けられる安心感 《電動車いすから見た景色》28

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【コラム・川端舞】私は障害のため、口周りの筋肉をうまく使えず、食事を食べこぼしたり、よだれをたらしたりしてしまう。それが原因で、子どもの頃は周囲から怒られたり、からかわれたりしていた。きちんと唾液や食べ物を飲み込めるようにリハビリをし、親にも「毎回、意識して飲み込みなさい」と言われ続けた。

しかし、勉強や遊びに集中すると、いつの間にか、よだれで服を汚してしまう。親からは「よだれは努力次第で直せる」と言われたが、どんなに気を付けていても、少し気を抜くとよだれは出てしまい、再び親に注意されることの繰り返しだった。中学・高校時代は、よだれで制服を汚してしまったことを親に知られないように、毎日、親が仕事から帰ってくる前に、自分でハンカチを濡らし、制服の汚れを拭いていた。

大人になった今でも、食べこぼしたり、よだれをたらしたりしてしまったとき、どうすればいいのか分からなくなる。服を汚してしまったのを介助者に見られるのが恥ずかしい。

しかし、介助者は嫌な顔一つせず、当たり前のように、食べこぼしを拾ったり、ティッシュでよだれを拭いたりしてくれる。私が無意識に謝ると、「なぜ謝るの?」と逆に聞かれることもある。「介助者は舞さんの介助をするために、舞さんの家に来ているのだから」と。自分が悪いから出てしまうのだと思っていたよだれを、ただの生理現象と捉え、さりげなく片付けてくれる介助者を見ると、「今の自分のままでいい」と言われているようで安心する。

「当たり前」を絶やさないように

障害者に対し、「助けてもらって当たり前に思うな」と言われることがあるが、食事をする、服を着替える、買い物に行くなど、生活するために必要な介助を当たり前に受けられることが、「自分はここにいていいのだ」という安心感につながる。

でも、その「当たり前」は昔からあったわけではなく、今まで多くの障害者たちが社会と闘い、重度障害者が介助を受けて1人暮らしができる仕組みを作った上に、現在、私の気持ちを大切にしながら生活を支えてくれる介助者がいるからだ。その「当たり前」に感謝しながら、「当たり前」を絶やさないために、私のできることをしていきたい。

その1つが、自分のような障害者のありのままの暮らしを社会に発信することで、介助者のサポートがあれば、どんなに障害が重くても1人暮らしできることを多くの人に知ってもらうことだと私は思っている。(障害当事者)