水曜日, 4月 23, 2025
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「面の皮」の薄い人、厚い人 《くずかごの唄》93

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【コラム・奥井登美子】

「肌の荒れないマスクありますか?」

「顔のお肌に何か炎症でも…」。

客は若い女の人。マスクを外して肌を見せてくれた。

「ほら、こんなに赤くなってしまって」

目の下、頬のあたりが赤くなってしまっている。ここ2~3日の蒸し暑さは普通ではない。マスクでふたをされて、顔にいわゆるアセモができてしまっている。

「あら、赤くなってしまっていますね」

「皮膚科で診てもらいたいと思っても、お医者に行くのにもマスクが必要なので困っているの」

世の中には、私みたいに精神的にも肉体的にも面の皮の厚い人と、薄い人がいる。薄い人は敏感で、ちょっとした刺激でも皮膚に炎症を起こすので、暑さの中、マスクと顔の皮膚炎の心配もしなければならない。

自分の「精神安定剤」を自分でつくる

コロナ禍のなか、友達からの電話相談も多い。

「もしもし、家族がコロナになったらどうしよう。心配で、心配で、夜、眠れないのよ」

「体を動かしていたら、疲れて、夜、ぐっすりよく眠れるわよ。体を動かせばいいのよ」

「外へ出たりしたら、コロナが大変だから、どこにも出たくないの」

「私は家庭菜園をやって、体を鍛えているの。今日も、ナス3本とキュウリがとれたわよ。どうやって料理して亭主に食べさせようか、料理を考えるのも楽しいし」

「そんなの、私には無理だわ、明日、医者に行く日なの。先生に頼んで、よく効く眠り薬を入れてもらいたいの。名前教えて…」

「睡眠薬? それだけはやめた方がいいわ。副作用で認知症が進むというデータもあるし、認知症にだけはなりたくないでしょ」

「父の認知症で苦労したの。絶対なりたくないわよ」

「自分の精神安定剤を自分でつくりなさいよ」

「薬? 薬なんか、つくれないでしょうよ」

「何か一つ、創造的なものを目標にして、それにまい進してみるの。絵でも、俳句でも、料理でも…」

友達だから面の顔の厚さで、ずけずけと、精神安定剤の怖さも言えるけれど、薬局のお客には言えない。(随筆家、薬剤師)

常総線の未来は?《茨城鉄道物語》15

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守谷駅の常総線車両

【コラム・塚本一也】茨城県内で乗車できる鉄道は11路線あります。古河駅から乗車できる東北線、下館駅から乗車できる真岡線、鹿島神宮駅から乗車できるJR鹿島線などもカウントしておりますが、県内を通過しているものの、乗車できない東北新幹線などは含んでおりません。これまで取り上げた路線は8路線となっており、残りが少なくなってきました。

今回は身近に存在し、歴史もあるのですが、話題として取り上げづらかった常総線について少し触れたいと思います。

常総線は取手駅から下館駅まで、関東鉄道が経営する非電化の私鉄です。営業距離は51.1キロですが、取手駅から水海道駅までの17.5キロは1984年に複線化が完了し、首都圏へ通勤客を輸送する役割も果たしています。平日の7時台は上下線とも6~7分間隔でダイヤを編成しており、取手駅ではJR常磐線、守谷駅ではTX(つくばエクスプレス)と接続しています。

常総線沿線は、東京23区の過密対策として、1970年代に入ると常総ニュータウンの開発が始まりました。当時の住宅公団による、計画人口9万人の大規模な開発です。開発当初、常総ニュータウンから東京駅へ直通電車が通るという触れ込みに引かれ、多くの方が住宅を購入したといわれています。

そのため、丸の内の大手企業に勤務するエリートサラリーマンが多く住んでいるといううわさを聞いたことがあります。しかし、およそ35年後にTXが開通したときには、そういった方々は定年を迎えていたという「ブラックジョーク」もささやかれているそうです。

常総線の路線図

非電化でも複線区間を持つローカル線

非電化でありながら複線区間を持つ営業線は全国でも珍しいですが、鉄道貨物輸送が華やかだったころには、こういった路線は結構ありました。その後、貨物輸送が衰退したために、電化に至らずにそのまま営業線として残っているようです。

その点で常総線の場合は特異であり、非電化の原因は本コラムでも以前取り上げたこともある気象庁地磁気観測所(石岡市)の影響です。東京近郊の通勤電車としての機能を期待されながら、「非電化のローカル線」というレッテルを貼られてしまう常総線は、将来構想が大変描きづらい路線と思われます。

私たちが子供のころ、県西地区の田園地帯を走る常総線は「まぼろしの常総線」と言われていました。特に2両編成で走る姿を見られたときには、何か良いことがあると言われたものでした。今、常総線は、通勤時2両編成、イベント時4両で走っています。

コロナ禍により、在宅勤務という新しいライフスタイルが注目されていますが、TXや常磐線と接続している常総線は、そのポテンシャルをどう活かしていけばいいのか、関係者のご尽力に期待したいと思います。(一級建築士)

外国語を学ぶコツ③ 《ことばのおはなし》37

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【コラム・山口絹記】「あいつのこと、好きなの?」というセリフがあったとする。特に違和感はない。しかし「トマトのこと、好きなの?」とは言わないだろう。

理由を説明できるだろうか? 説明できなくてもよいのだ。経験上おかしいと感じられるのが多くの日本人の言語感覚であり、これこそが大量の文章を丸暗記する価値だ。

今回は、語彙(ごい)力をつけるための、次のステップについて述べていこうと思う。

あなたが仮に「鯔」という漢字が読めなくても、魚だろうと推測ができるように、英語にも知らない単語を推測する手がかりが存在する。

それは、ラテン語由来の接頭辞+語幹+接尾辞で構成される「語源」というものだ。英単語は日本語訳で多くの意味を持つことが多い。詳しい解説は割愛するが、これは英語がラテン語、ギリシャ語を語源とする語が数多く存在することによるものだ。

例えばastronaut「宇宙飛行士」、astronomy「天文学」、disaster「天災」。これらはast(e)r-「星」という語幹によるものである。

語源の知識が付くと、気持ちの良い和訳が見つからなくとも大体の意味がつかめるようになることが多い。

また、そろそろ洋書の単語帳を用いた学習を始めてもよいかもしれない。英語ネイティブが語彙力を伸ばすために使用するものだ。今ではネット通販で簡単に手に入るものも多いため、ペーパー版で手に入れてみるとよいだろう(書き込み式が多いため、電子版はおすすめしない)。

語彙の知識にこだわる

さて、どうしてここまで語彙の知識にこだわるのか。

私たちは日常的に多くのことばに出会う。もはや無意識に、注意深く読むべきか、耳を傾けるべきか取捨選択をし、誤字脱字はある程度補完し、たとえ知らない単語でも大体の意味が分かれば調べなくてもよいと判断している。例えば、

「私は昨日、織田信長と桃太郎と釣りに行き、鯔(ぼら)を食べて復をこわした」

この文章を一蹴するには、実は日本の歴史や童話の基礎知識を前提に、「復」という誤字を自然と「腹」に置き換えなければならないのだが、さらっと読み飛ばすことができるだろう。

しかし、人物がConfucius「孔子」とLittle Red Riding Hood「赤ずきん」に入れ替わり、その後の文章に知らない名詞や誤字脱字があったら?

単語帳の語彙だけでは太刀打ちできず、辞書を引いても該当する単語が無い。

テストでは高得点が取れても、英語の児童文学すら読めなかったりするのは、こういったところにも原因があるのだ。

日本人の多くは『ハックルベリー・フィンの冒険』も、『聖書』も読んだことがない。恥ずべきことではなく、そういうものだ。

言語とは、その使用者が積み重ねてきた歴史と文化の上に形成される。広く前提とされているような知識に欠落があるということがいかに苦しいことか。しかし、そういった発見が苦しさから楽しさに変わる瞬間というのが必ず訪れる。

その瞬間というのが、ある程度の語彙を身に着けた状態、つまり、一定の語彙力を手に入れた瞬間なのだ。(言語研究者)

つくば市職員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は30日、市立中央図書館に勤務する職員が29日、新型コロナウイルスに感染したことが分かったと発表した。

職場に濃厚接触者がいるため、保健所から指定された濃厚接触者を対象に、PCR行政検査を実施する。

図書館は現在、県の非常事態宣言及び国の緊急事態宣言を受け、9月13日まで休館している。職員が勤務している部署は消毒作業を行い、一部のサービスを引き続き実施する。

少女にみだらな行為 20代男性教諭を懲戒解雇 筑波大

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筑波大学正門

SNSで知り合った当時18歳未満の少女2人にみだらな行為をしたり、わいせつ自撮り画像を送らせたなどとして、筑波大学は30日、産休代替教諭の20代の男を同日付けで懲戒解雇処分にしたと発表した。

同大によると教諭は、同大に採用前の2019年2月、SNSで知り合った当時18歳未満の少女とみだらな行為をし、携帯電話で撮影した。

さらに採用後の今年2月、SNSで知り合った別の18歳未満の少女に、わいせつな画像を自撮りさせ、教諭の携帯電話に送らせたとされる。

今年6月、教諭が愛知県警に逮捕され、発覚した。同大の調べに対し教諭は事実関係を認めているという。

教諭の勤務先や採用期間などは被害者のプライバシー保護などの観点から公表しないとしている。

永田恭介学長は「児童・生徒を教育・指導する立場にある教諭がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾であり、被害者並びに関係者の皆様に心からお詫び申し上げます。今回の事態を真摯に受け止め、学内教職員に対し、再発防止に向けたさらなる啓発活動を行い、児童・生徒及び学生の修学環境の整備、大学の社会的信頼の維持・向上に努める所存です」などとするコメントを発表した。

飯泉あやめさんが個展 生きている禍福、文字列ドローイングを進化

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飯泉あやめさん

つくば市在住のアーティスト、飯泉あやめさん(32)がきょう30日まで、同市古来の喫茶店、珈琲倶楽部なかやまに併設されたギャラリーJINで個展を開いている。飯泉さんがこれまで描いてきた抽象画の画風と異なり、文字列に色彩を加えたドローイングが新たな試みとして並ぶ。飯泉さんがアーティストとして走り出すきっかけとなった「心の衝動の表現」を基にした進化の一コマだ。

「子供のころから数式を解く文字列に魅入られていました。それと一緒で、思い立つと何度でも繰り返して、そのとき心に留まった言葉や文字を繰り返してドローイングしていました。書き取りの宿題は大好きだったのです」

ギャラリーJINで30日まで開かれている個展

ギャラリーにはカレンダーの裏側に書き記した様々な数と大きさの文字列が張り出され、ある意味異様な迫力を醸し出していた。この裏書ドローイングは、飯泉さんの創作原点。20代以前の書き取り遊びだったものが、ある日を境に異なる次元に彼女をいざなうこととなった。

「東日本大震災が発災した日、祖母と青森県に旅行に出ていました。大きな被災は受けませんでしたが、ライフラインの停まってしまった宿泊先で、災害の状況がわかるにつれ、何かとても恐ろしいことに引き込まれたと感じ、聞いたこともない被害や犠牲者の数を耳にして、私自身がパニックに陥ってしまいました」

震災時に描いた54万3000回の一部

戦争を経験でもしなければ、あり得ない数の「死」を突き付けられた飯泉さんは、それを受け止める自分自身の「生」をもって対峙することとなり、自身が「死」へと引きずられないために、書き取りに没頭し、「□」を繰り返し、繰り返し、54万3000回繰り返した。

「最初は形の定まらないぐりぐりだったのですが、それでは心の平たん線を保てないと、〇にしたり渦にしたり、これだなと感じたのが、角を正確に書くという手段としての □ にたどり着きました」

その後の時間をどのように過ごしてきたかは彼女の胸のうちにとどめられているが、書き取りドローイングは続けられ、創作家という道を切り拓き、文字列とは異なる抽象画に、胸の内から聞こえる叫びを描くようになる。

飯泉さんには失礼だが、それらの画風は、説明を受けなければ理解できない領域にある。だからこそ、個展に登場した文字列のドローイングは、ストレートに見る者の心にも伝わってくる。新たなドローイングは「光」「風」「大地」「水」などのエレメントをモチーフに、アルファベットつづり化されたそれらをアクリル画材で描いた。筆では描けない繊細なつづりは、個展の1週間前に「ケーキ装飾用のクリーム絞り出しが使えるのではないか」とひらめいた。

新作のドローイング

「それぞれのエレメントは、それらに触れることによって、そこに自分が存在し生きていることを教えてくれます。私自身、時折、人生を投げ出してしまいたくなる負の激流にのまれることがあります。そうなってはならないという克己の叫びが、私を突き動かす。ドローイングは原点に返ったというのではなく、基本と土台であって、私の背中を押すものも、生きているという禍福であることは変わっていません」

飯泉さんは震災を機に創作の道を走り続けているが、スタートラインから10年を経て、衝動や狂気とともに、やさしさをも見出したのかもしれない。

つくば市出身。武蔵野美術大学造形学部卒。2018年より作家・芸術家として創作活動を本格化。「生きているとは何か」をテーマとした絵画、壁画やアートパフォーマンスを手掛ける。(鴨志田隆之)

コロナ医療崩壊 つくば市の誤判断 《吾妻カガミ》114

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日本財団つくば研究所跡地

【コラム・坂本栄】コロナ感染者が急激に増え、首都圏で医療崩壊が起きています。陽性者を含む医療が必要な人の数と、これらの人を受け入れる病床数の需給が崩れ、コロナ患者が医療システムの外に置かれるという非常事態です。昨春、日本財団が打診してきた軽症者収容施設をつくば市が受け入れていたら、こういった惨状はかなり緩和されたのではないかと、残念でなりません。

「戦争ができない国」になった日本

本欄ではコロナ禍を有事と捉え、何回か、国や自治体が実施すべき(あるいはやってはいけない)対コロナ策(作戦)を取り上げました。初回「…つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)では、ワクチン(武器)入手や接種所(前線)への配送(後方支援)はもちろん、対コロナ(敵)の基本は国境・県境で阻止する、それに失敗したら密空間(戦域)での拡散(戦闘行動)を抑える―ことが大事と指摘しました。

こういった枠組みで考えると、県境を越えるGO・TOトラベル、国境を越える東京五輪は間違った対応でした。ワクチンの自国開発不調は後日検証するとしても、河野太郎氏をワクチン担当相(兵站司令官)に就けたのは人事ミスでした。目立ちたがりの彼は、次々と場当たり策を打ち出し、ワクチン配送と接種所を混乱させたからです。米国では軍の兵站(へいたん)部門が配送を担当したと聞きます。

また、政府が私権制限を可能にする法整備を怠ったのは失態でした。これでは、国民が密になる場所に集まることを放置、コロナの犠牲になる(効果的な機銃掃射の標的になる)のを許すようなものです。菅首相は有事と平時の違いを理解できないのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、日本は「戦争ができない国」になってしまいました。

残念だった「コロナ野戦病院」拒否

小粒ですが、つくば市にも似たような対応がありました。コラム「…コロナ対応を点検」(昨年5月4日掲載)で、2つの事例(小中学校の密状態容認、人の市境越え誘導)を挙げておきましたので、詳しくはリンク先をご覧ください。それよりも、9000もの病床を備える軽症者施設の市内設置を断ったことは、大局観に欠ける失態でした。

競艇の収益で公益活動をしている日本財団が、つくば市にある1万7300坪の同財団研究所跡に、軽症コロナ患者(戦傷者)を収容する大テント病棟群を設置したいと、市に同意を求めてきたところ、五十嵐市長は市民の同意を得るのが難しいとの理由で拒否した、というのがその経緯です。秋の市長選を前にして、「迷惑施設」は政治的にマズイと判断したようです。詳しくはコラム「『大型コロナ病床の是非』の是非」(昨年4月20日掲載)に出ています。

このテント病棟(野戦病院)が実現していれば、首都圏の重症者(治療は集中治療室)、中症者(同病院か在宅)、軽症者(同原則在宅)のうち、軽症者と中症者の相当数を収容でき、首都圏の病床需給は劇的に改善されたでしょう。コロナ禍を有事と考え、施設を受け入れていれば、五十嵐さんはその見識が評価され、将来の首相候補になっていたしょう。残念。 (経済ジャーナリスト)

歴代最高のB1初昇格チーム目指す 茨城ロボッツが開幕前イベント

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堀義人オーナーのGO GO ROBOTSの掛け声に合わせ、チームとファンが一つになって拳を突き上げた(撮影/高橋浩一)

男子プロバスケットボールB1リーグに昇格した茨城ロボッツは、2021-22シーズンのスタートアップイベント「ブートアップ!ロボッツ!!(BOOT UP!ROBOTS!!)」を29日、水戸市南町のまちなか・スポーツ・にぎわい広場(M-SPO)で開催。昇格して最初のシーズンを迎えるにあたっての、クラブや選手の意気込みをファンに向けて披露した。

今季のシーズンスローガンは「ビルドアップ(BUILD UP)」。ロゴデザインには3段のステップが組み込まれた。西村大介社長によると、3つの成長への思いが込められているという。1つはクラブとブースター、スポンサーが一体となって成長すること。2つ目はアップテンポ、アンセルフィッシュ、メンタルタフネスというチーム文化のさらなる定着を図ること、3つ目は2026年からの新B1基準へ向けて売り上げ、観客数、ホームアリーナの3要素を充実させていくこと。

新ユニフォームも発表され、ホーム用は谷口大智選手(左)、アウェー用は遥天翼選手がモデルを務めた(同)

今季の勝利数では20勝を目標に置いた。これは歴代最高の昇格チームを目指すということ。過去のB1初昇格チームの中での最高勝利数は、昨季の信州ブレイブウォリアーズの20勝なので、これを超えようという意味だ。「少ないと思う方もいるかもしれないが、20勝はミニマムターゲットで、さらにその上を目指していく」と西村社長。

選手は全13人のうち、まだチームに合流していないハビエル・ゴメス・デ・リアノ選手(フィリピン代表経験者)を除く12人が出席。新加入はリアノのほか、西川貴之(三遠ネオフェニックス)、多嶋朝飛(レバンガ北海道)、エリック・ジェイコブセン(仙台89ERS)、谷口大智(広島ドラゴンフライズ)の4人。すでにチームは開幕に向けて、激しい練習に取り組んでいるという。「ロボッツの練習は時間は短いがハード。ペースが速く、次から次へとメニューをこなす」と多嶋選手。2年目の中村功平選手は「昨季よりだいぶ体が絞れている。良いパフォーマンスをお見せできると思う」と話す。

今季開幕戦は10月2日、秋田ノーザンハピネッツとアウェーで対戦する。ホーム開幕戦は10月16日、相手は昨季ファイナリストの宇都宮ブレックスだ。ホームアリーナのアダストリアみとアリーナも、今季はB1仕様になった。天井からは5×15mの大型LEDビジョンを吊り下げ、壁にはビッグユニフォームや懸垂幕などが掲げられ、アリーナ全体をチームカラーのブルーに染め上げる。

堀義人オーナーは「B1ではどんな景色が見られるのか、この5年間ずっと楽しみにしてきた。来月からの開幕を前にわくわくが止まらない。今季は成長がテーマだが、今のままでは足りない。みんなで一歩一歩確実にステップアップしていきたい」と期待を語った。(池田充雄)

村上茉奈も金メダリストも観たかった《ひょうたんの眼》40

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百日紅

【コラム・高橋恵一】東京オリンピックが終わり、24日からパラリンピックが始まった。多くの課題を抱えたままのオリンピック開催だった。日本選手団は、金メダル27個を含め計58個のメダルを獲得し、史上最多になった。

日本メディアの報道は、日本人選手のメダル、特に金メダル獲得が主題で、私たちがオリンピックに託している期待、理想を踏まえた報道とは、かけ離れていた。メディアが、国民の好みに合わせて報道しているのであれば、日本人の品格、感性はこれほどまでに低下してしまったのだろうかと情けなくなってしまい、やはり日本は、オリンピックを開催する資格の無い国だと思えて仕方がない。

体操競技では、内村航平選手の最後の挑戦があり、19歳の橋本大樹選手が個人総合と鉄棒で金メダルに輝いて、日本体操を引き継いだ。女子体操では村上茉奈選手が床運動で銅メダルを獲得し、その素晴らしい演技は何回も繰り返し放映された。

ところで、女子床運動の金メダルはジェード・キャリー選手(米国)、銀メダルはフェラーリ選手(イタリア)なのだが、中継時に視聴していなかったので、どのような演技だったのかわからない。世界一の演技も観たい。金メダリストのインタビューもプロフィールも知りたい。銀メダリストについても同じだ。

体操競技だけではなく、日本のオリンピック報道の偏狭さが目立ちすぎる。前評判の高い日本人選手の情報は、有り余るほど披露されるが、外国人選手の情報は乏しい。それどころか、格闘技のテレビ中継中に「(日本の)〇〇選手が相手の選手の……」という表現があった。外国人選手の名前も、所属国地域もとっさに言えないのだ。

甲子園の中継で、対抗チームの学校名が言えないアナウンサーがいるだろうか? オリンピック報道なのに、日本の対戦相手選手の名前も所属も紹介されず、日本の弱い種目の金メダルを獲得しても、競技の放映もプロフィールの紹介もされなければ、大変失礼な扱いなのではないか。主催国の報道姿勢が問われる。

メディアは日本選手の金メダルだけに集中?

日本の金メダルへのこだわりは、メディアの一角を成す解説者にもあり、元々口数の多い元アスリートは、日本の酷暑と感染症の蔓延を、外国からの参加が少なくなるので、日本人選手に有利だと解説していた。開催する以上、外国選手に良い環境を用意しなくてはならない側としては、許せない、というよりあまりにも情けない発言だった。日本の選手が金メダルを取ると、重要な政治課題の番組中でも、臨時のスーパー字幕が流される。外国人選手のオリンピック新記録はニュースにもならない。

我々は56年前、柔道のヘーシンクやエチオピアのアベベなどの活躍で、世界のアスリートの偉大さを実感し、それまで知らなかったアフリカや東南アジア、中南米の小さな国からの参加選手に親しみを持ち、応援もした。

開催中のパラリンピックは、障害者アスリートたちが、持てる能力と存在のたくましさ、すばらしさを主張して、参加している。しかし、日本のメディアは、相変わらず、日本選手の金メダルだけに集中するのだろうか? 日本の品格が問われている。(地図好きの土浦人)

つくば市職員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は28日、市役所本庁舎2階に勤務する職員1人が27日、新型コロナウイルスに感染していることが判明したと発表した。

職場に濃厚接触者がいることから、保健所の指導でPCR行政検査が実施される。

職員が勤務する部署は消毒作業を行い、通常通り業務を実施する。

五輪スイス選手団をコロナ禍サポート 筑波大生たちの「熱い夏」

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筑波大での練習最終日 スイス選手団とスタッフの集合写真(筑波大学提供)

東京オリンピックを共に戦った筑波大生の「熱い夏」が終わった。事前合宿からスイス選手団のサポートに当たった学生スタッフたちだ。新型コロナの感染対策からソーシャルディスタンス以上の距離を保ちながら、選手とのコミュニケーションを取り続けた。スタッフの一人は「競技に出たい人、サポートをする人がいて初めて実現されたオリンピックであることを身をもって実感した」と振り返った。

「精力善用」「自他共栄」の理念で

筑波大学では7月14日から8月2日の約3週間、オリンピックに出場するスイス選手団の事前合宿のサポートをしてきた。受け入れた競技は、マウンテンバイク、柔道、陸上競技。指導者やトレーナー含めて約50人が筑波大学を訪れ、学生のサポートを受けながら、五輪本番前の最終調整を行った。

スイス柔道チームは、女子52キロ級と男子73キロ級の選手各1人と監督、トレーナー含め、計10人が7月に来日。当初は学生が練習相手を務める想定だったが、新型コロナ感染防止対策から「受け」と呼ばれる稽古相手も一緒に来日していた。大学武道館内の道場や学内ループ、中央体育館のトレーニングジムで汗を流した。

大学側のサポートスタッフは、オリンピック・パラリンピック推進室の職員を中心に学生を加えた計13人だった。7月14日から1週間にわたって、毎日5人ほどで交代しながらサポートを務めた。大学柔道部からは、石本結菜さん(19)とアマンダ・コスタ・ドレッザさん(29)ら3人がスタッフとして選ばれた。感染防止対策でスイス選手団とは常に2メートル以内には近づかず、必ずマスクを着用しなければならなかったが、最低限のコミュニケーションをとる必要から、ドイツ語や英語を話せるスタッフとして加わった。

スイス選手団をサポートしたアマンダさん(左)と石本さん=筑波大学武道館

柔道場には、柔道の父、嘉納治五郎の肖像が唱えた理念「精力善用」「自他共栄」の額と共に掲げられている。大学の前身である高等師範学校の校長で、アジアで初の国際オリンピック委員会委員も務めた。この理念がコロナ禍のサポートにも通じる心得になった。

主なサポートは、道場などの練習場所の消毒と掃除。柔道場ではスイスチームの使用前後に1時間ずつ掃除をした。選手団らが通行可能な道や使用可能なトイレなども限られていたため、道案内なども行った。

選手の飲み物は、基本的にホテルで用意されたものを持ってくるようにしていたが、足りない時などは選手からお金をもらいスタッフが武道館内の自販機に買い出しにいくこともあった。選手たちが飲むスポーツドリンクには好みがあり、一度に3本頼まれたこともあったそうだ。

選手団は毎日、スタッフはサポートの頻度によって毎日から週に1回、PCR検査を行っての事前合宿となった。石本さんによると、そのような厳重な感染対策を講じながらのサポートを受けた選手団の中には、「安心して練習できた一方で、もっと日本の人と交流したかった」ともらす選手もいたそうだ。

きめ細やかなサポートへの感謝の気持ちを表すかのように、選手らはスタッフに対して距離を保ちながらも気さくに話しかけてくれただけではなく、サインまで快くしてくれたそうだ。筑波大での柔道チームの最後の練習日には、道場で集合写真を撮り、スイス選手団からは大学での最終日に、スタッフ全員に傘がプレゼントされた。

アマンダさんは「スタッフに選ばれたときはうれしい反面、不安もあったが、柔道という同じスポーツを通してオリンピック選手やほかのスタッフと関わることができ、将来に活きるいい経験になった」と話した。(武田唯希)

県立高校は9月12日までリモート授業 小中学校にも要請 知事

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

31日までとしていた茨城県独自の非常事態宣言について、大井川和彦知事は27日、期間を国の緊急事態宣言期間に合わせて9月12日まで延長すると発表した。延長に伴って県立高校や特別支援学校などの県立学校は12日までリモート授業とする。

市町村の小中学校にも16日、すでにリモート授業を要請し、県内全市町村で準備をしているという。私立学校、大学にも9月12日まで、同様の対応を要請している。

10代の感染経路は現在、家庭内感染が78%で、夏休み中は学校での感染が減っていたが、登校が再開するとさらに感染が広がることが予想されるためだとした。

学校の部活動も9月12日まで全面的に禁止、県内大会は主催団体に延長または延期を要請し、体育祭や修学旅行も延期または中止を要請している。ただし進学指導や就職指導など在宅での指導が困難な場合は、学校が個別に対応する。

27日の県内の新規感染者数は328人で、伸び率は若干鈍化しているが、人数の増加傾向は続いているという。年代別では20代が25%、次いで30代と40代が各17%。デルタ株が猛威をふるう今回の第5波は1月の第3波と比べ20代の感染者の割合が1.3倍に増えているという。一方、県内の8割以上が2回のワクチン接種を済ませた60代以上は大きく減少している。

入院患者は現在、40代と50代が半数を占め、40代未満も増加傾向にある。

医療提供体制は、既存のコロナ患者受け入れ病院に不急の手術延期を要請したり、臨時の医療施設(野戦病院)を新設し病床を40床増やしたり、コロナ患者をまだ受け入れていない病院に受け入れを要請するなどし、9月中旬までに814床に増やすとした。コロナ患者をまだ受け入れてない県内48病院に対する、感染症法に基づく受け入れ要請は3病院が応じ14床が増える。

軽症や中等症でリスク患者には21日から宿泊療養施設で抗体カクテル療法(※メモ)を開始し、25日からは医療機関でも開始しているとした。

千葉県柏市で自宅療養していた妊婦が早産となり受け入れ病院が見つからず赤ちゃんが死亡した問題に対しては、新型コロナに感染した妊産婦を受け入れる病院を県内に9カ所指定し、保健所などによる入院調整が困難な場合は、周産期専門医が24時間365日電話相談に対応する。

県独自の非常事態宣言の延長に伴って、図書館や美術館などの県の施設も休館の期間を12日まで延長する。

※メモ抗体カクテル療法】人工的に作られた2つの中和抗体を組み合わせた点滴薬(ロナプリーブ)を投与することで、新型コロナウイルスの細胞内への侵入を阻止して増殖を抑制し、重症化を防ぐ。海外の臨床試験では、入院や死亡のリスクを約70%減らす効果が確認されている。日本では7月19日に厚労省が特例承認した。

ナラ枯れの脅威! 被害対応奮戦記(下) 《宍塚の里山》80

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【コラム・佐々木哲美】ナラ枯れ被害木の対応は何とかなりましたが、次に問題となるのは、ナラ枯れ被害が比較的軽い経過観察木と新たにカシナガの削孔(さっこう)が発見された樹木の対応です。

経過観察の樹木のナラ枯れ対応には、クリアファイルのトラップが有効であると森林総研の升屋主任研究員から教えられ、実施することにしました。このトラップは、トランク・ウインドウ・トラップ(TWT)と呼ぶ静岡県で考案されたもので、市販のA4クリアファイルの1枚と1/4を使って作るため、非常に安価にでき、設置も簡単です。

さっそく、調査の希望者を募ったところ、会員の山口かなえさんが、子どもたちにも挑戦させたいと手を挙げてくれました。山口さんにTWTを100枚ほど作っていただきました。

6月初めに升屋主任研究員に来ていただき、大人5名、子ども10名でナラ枯れ対策のトラップを設置しました。子どもたちも活躍し、楽しく作業ができました。山口さんが、子どもたちにチャレンジさせたいと思ったのは、ナラ枯れ対策を通じて子どもたちが生態系を学ぶいい機会になると考えたからだそうです。

以後、毎週、トラップを子どもたちと巡視して、捕獲状況の確認と石けん水の補充を続けています。また、状況に応じてトラップを増やす、隣接した樹木にもトラップを設置するなどしています。

「ナラ枯れ対策は『試行錯誤』」

ナラ枯れの基礎知識を学ぶために、「ナラ枯れ学習会」を7月17日(土)に開催しました。升屋勇人さんを講師に「カシナガキクイムシによる樹木の枯損」と題して1時間半ほど話してもらい、その後、現地で説明していただきました。参加者は環境教育部会を中心に12名でした。環境部会は、9月に筑波大学生命環境系の学生30名ほどを受け入れますが、野外体験学習に「ナラ枯れ」をテーマに行いたいと考えています。学習会は大変有意義で好評でした。

学習会の最後に、升屋さんから「ナラ枯れ対策手法は確立されておらず、試行錯誤を繰り返している状況である。ただ、熱意をもって、やり方を考えながら取り組んだ地域は成功している。3年ほど頑張らなければ、効果は確認できない」と、継続して取り組む必要性をアドバイスされました。

今後、3年も継続するには、子どもたちに新たな目標を示してやること、地元の小学校や中学校の自然観察や自由研究の題材、高校生や大学生の研究課題として示し、関わるように働きかけていきます。被害木の被覆作業や伐採作業も比較的重労働なこと、資機材の購入費などもあることから、何らかの助成金をいただいての対応も考える必要があります。

対処方法は、火災と同じで初期消火が一番効果あり重要なことですが、ボランティアだけでは対応に厳しいものがあります。現実の問題として見えてくるのは、行政、研究機関、学校、市民などが連携して取り組むことがカギのような気がします。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

新人3氏が届け出 県議補選告示 土浦

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マスク着用のまま、ガンバロー三唱で選挙戦に突入の両陣営

茨城県知事選に合わせて、県議補選が27日告示され、土浦市区(欠員1)はいずれも新人で無所属の歯科医師、高橋直子氏(37)、元国会議員秘書、吉田直起氏(39)、牛久市在住で無職の赤須理世自(りよじ)氏(59)の3氏が立候補を届け出た。有権者数は11万7969人(26日現在)。

高橋氏はつくばリボン歯科院長。すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地場産業の確立と中小企業の振興、TX土浦延伸などを訴えている。

吉田氏は国会議員秘書などを務めた。土浦の魅力を生かして、首都圏の受け皿として郊外住宅地として発展させ、自然と歴史を感じながら子育て世代がのびのび育める街にしたいなどと訴える。

投票は知事選と同日の9月5日、市内50カ所で行われ、即日開票される。(鈴木宏子、相澤冬樹)

【茨城県議会議員補選 土浦市区(欠員1)立候補者】届け出順

高橋直子氏 歯科医師 37 無新
【公約】①教育格差の是正や食育・子ども食堂の充実など子供たちに明るい未来づくり②健康な歯8020運動の徹底など福祉の充実③TX土浦駅延伸
【略歴】土浦日大高校卒、日大歯学部卒、王子リボン歯科入社、現在つくばリボン歯科医院長。

吉田直起氏 会社役員 39 無新
【公約】①首都圏の受け皿として魅力あふれる街づくり②多様な家族形態に対応した子育て支援③だれもがわくわく参加できる地域コミュニティーづくり
【略歴】土浦日大高校卒、流通経済大流通情報学部卒、元長谷川大紋参院議員公設第一秘書。

赤須理世自氏 無職 59 無新

子育て世代こそ声を上げよう

【高橋候補】午前10時から同市小岩田の「応援する会」事務所で出発式。無所属の高橋候補に対し、県議時代の安藤真理子市長が所属したいばらき自民党から9県議が駆け付けた。白田信夫議員会長は「安藤さんの後、党に不在になった女性議員を」とアピール。同市議会からは実父の島岡宏明氏が所属する郁政クラブの矢口清氏らが出席した。

高橋候補は「2児を設けて、これからは自分はわき役と決めたこともあったが、この先10年、20年先、愛する子どもたちに未来を託すために、今の子育て世代こそが政治に関心を持ち、声を上げていかなければならないと思った。コロナ禍や自然災害など大変な時代に立ち向かえるのは人間の力以外にない」とエネルギッシュな第一声。名前が同じマラソンランナーを意識したキャッチフレーズ「ともに走る」を掲げ、街頭に飛び出した。

地域の中を駆けずり回る

【吉田候補】吉田氏は午前10時から同市並木の選挙事務所前で第一声。小幡政人・元国交省事務次官、木村敏文坂東市長らが応援に駆け付けた。父親の吉田博史市議に近い柳沢明市議は「吉田候補は3人の代議士に仕えた。県会議員は片手間にできる仕事ではない。即戦力か雰囲気か、二者択一の選挙」だなどと話した。

これを受けて吉田氏は「コロナ禍で未曾有のピンチ。そういう時だからこそ政治の力がすごく大事。4年前、大井川知事を応援し、大井川知事と一緒に、茨城のために一生懸命働きたいという思いで立候補した」などと話し「首都圏から人を呼び込めるよう企業誘致、多様化する家庭に対応した子育て支援など3つの柱を掲げ、地域コミュニティーの中を駆けずり回ってしっかりと皆さんの力になりたい」などと訴えた。

【訂正:27日午後6時】27日午後、赤須氏の届け出があり、追加、訂正しました。

つくば工科高校サポートクラブ(3) 《塞翁が馬》4

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【コラム・三浦一憲】前回(7月30日掲載)、工科高生の見学先4つを紹介しましたが、今回はその続きで、人気があった3カ所を紹介します。「お台場科学技術未来館~ビーナスフォート~東京国際フォーラム」、「クラッシックフレッシュコンサート」、「外国人宿舎二の宮ハウス工事現場」です。大手建築会社の現場見学は普通の人では不可能ですが、建築科生の見学要望はすんなりと通り、大会社も高校生には優しいのだと驚きました。

第8回 お台場科学技術未来館~ビーナスフォート~東京国際フォーラム このコースは、修学旅行のコースにもなっていますが、建築科の高校生が見学することはとても重要です。日本人の常識を超える建築を体験できるからです。アーティストとして建築家は職業建築士とは立ち位置が違うことを体験できたと思います。

第7回 クラッシックフレッシュコンサート クラッシックコンサートは、普通の高校生はまず行きません。だから、目の前で聞かせる、これが重要なのです。同年代の若者が高いレベルで音楽を奏でることを、工科高生に伝えたいと思い、学内音楽室でコンサートを開催しました。毎日過酷な練習をして、芸大などに合格できる演奏レベルになる―これから大学受験を迎えはる高校生に伝えられたでしょう。

第5・9・10回 外国人宿舎二の宮ハウス見学 二の宮ハウスはつくば市内に設けられた外国人研究者向けの宿舎です。3回の見学会では、センスのよい住宅を見てもらい、日本人がいかに味気ない部屋に住んでいるか、どうしておしゃれな住居に住めないのか、高校生なりに問題意識を持ってもらうことを期待しました。

理論だけでなく現場を見せる

一連の見学会を総括すると、全11回のいろいろな建築を何も知らない高校生に見せ、よい刺激を与えられたと思います。机上の理論だけでなく現場を見せ、感じさせることの重要性を再認識したプログラムでした。

高校生が何を感じたのか、アンケートを取らなかったのでよくは分かりません。でも、大学受験が終えた学生と母親が私のところにお礼のあいさつに来たとき、「あのプログラムのおかげで、建築の面白さに目覚め、建築科に合格しました。ありがとうございました」と言われ、つくば「工科高校サポートクラブ」の苦労が吹き飛びました。

こういったボランティア活動の最初の経験が、私の「まちかど音楽市場」につながっていくとは、この時は想像もしていませんでした。人生無駄になることはない。一喜一憂しないで目の前のことを解決していくことが未来につながる。まさに、塞翁が馬(さいおうがうま)です。(まちかど音楽市場代表)

30日からワクチン職域接種 供給遅れの筑波大に届く

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接種会場となる筑波大学学生会館前広場

筑波大学(つくば市天王台)で、新型コロナワクチンの職域接種が30日から始まる。現在接種の予約が始まっており、1回目の接種は同日から 9月22日まで、2回目は9月27日から10月20日まで予定される。接種会場は大学会館。学生、教職員、学内で日常的に業務を行う警備、清掃、派遣職員などが対象となる。接種は強制ではなく、あくまでも任意とされている。

職域接種は当初7月下旬の開始が予定されたが、ワクチン供給量の関係から、開始時期の後ろ倒しを余儀なくされていた。大学の担当者は「職域接種申請後に国が新規受付の停止を行い、ワクチン配分の見通しが立たなくなったことにより一時的に供給停止となったことが原因」と話す。

供給の後ろ倒しにより、当初学生に対して発表されていた開始時期も変更せざるを得ない状況となった。6月24日、大学は「7月の下旬」から職域接種を開始する予定だと発表。しかし、7月6日には「厚生労働省より8月9日の週以降」にワクチンの配給が遅れるとの通知があったとし、接種の開始時期を延期。7月30日には「8月23日の週以降」との見通しを示し、今月19日にようやく「8月30日から」と開始日時が確定したと発表した。

職域接種によるワクチンの接種人数について、大学担当者は「具体的な数字の提示は差し控える。厚生労働省には2万2000人で申請を行った。申請してからの間、65歳以下の地域接種が開始されるなど状況が変わった部分がある。そのため、当初の想定よりは少なくなる見込み」という。

ワクチンの配給量については「1回目の接種人数に応じて、2回目のワクチンが配送される仕組み。したがって、ワクチンの配給量は現時点では確定していない」と担当者。使用されるワクチンは「武田/モデルナ社製」で、ワクチン接種の打ち手は「当初の予定より本学内の医療従事者が担当する計画であり、変更はない」という。

接種の予約は大学が用意した特設のページで行われている。予約は23日に開始されたが、ページにアクセスが集中し機能しなくなることを避けるため、学群・研究科ごとに予約の開始時間が別々に設定されている形だ。

授業はオンラインに変更

新型コロナは「第5波」で、つくば市でも感染者数が急増しており、筑波大では夏休み中にもかかわらず課外活動所属学生らのクラスター感染が確認されている。こうした状況を受け20日、同大は授業形態を原則としてオンライン授業に変更すると発表した。サークル活動についても活動可能な形態の基準を厳格化し、原則的な自粛を求めた。

接種について人間学群4年の女子学生は「明るいニュースだと感じた。自分自身も打つつもりではいる」と話す。人間学群の男子学生(23)は「授業は原則オンラインで行われているので、大学の近くに居る意味がない。現在はつくばから離れた場所で暮らしている。そもそも、大学の職域接種の利用はあまり考えていないし、打つつもりもない」と話している。(山口和紀)

県議補選あす告示 土浦 新人2氏が一騎打ちか

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県議補選は県知事選と同日の9月5日投開票となる=土浦市内

9月5日投開票の知事選に合わせて、県議補選土浦市区(欠員1)が27日告示される。立候補を予定しているのは、いずれも新人で無所属の元国会議員秘書、吉田直起氏(39)と、歯科医師、高橋直子氏(37)の2氏。

ほかに牛久市の男性(59)が事前審査に出席している。有権者数は11万7986人(8月18日現在)

吉田直起氏

吉田氏は土浦日大高校卒、流通経済大流通情報学部を卒業後、長谷川大紋参院議員秘書などを務めた。父親は吉田博史市議。

土浦の魅力を生かして、首都圏の受け皿として郊外住宅地として発展させ、自然と歴史を感じながら子育て世代がのびのび育める街にしたいなどと訴えている。

高橋氏は土浦日大高校卒、日大歯学部を卒業後、王子リボン歯科に入社し、現在つくばリボン歯科院長。父親は島岡宏明市議。

高橋直子氏

すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地場産業の確立と中小企業の振興、TX(つくばエクスプレス)土浦延伸などを訴える。

投票は9月5日、市内50カ所で行われ、即日開票される。(鈴木宏子)

「風立ちぬ」考 その3 《遊民通信》23

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【コラム・田口哲郎】
前略

なぜ小説『風立ちぬ』は、社会的小説ではないにもかかわらず、文学作品に社会性を求める人々の心を掴(つか)むのでしょうか。それはこの小説が人間の生だけではなく、死について深く考察しているからではないでしょうか。そして、「生きめやも」派と「生きねば」派の間には、生きる意志のみならず死へのスタンスについても、深い溝が存在します。

「生きねば」派が求めるものを先に探りましょう。高橋源一郎氏は小説の主人公の企てを次のように読みます。「サナトリウムで、患者たちは死んでゆくだけだ。だから、『私』は、記憶の中にある『節子』との幸福な瞬間を、『物語』の中に閉じこめようとし、そして失敗するのである」。そして節子の死後、主人公はふたたび閉じられた愛の舞台を訪れ、リルケの「レクイエム」に出会います。「私」は節子に対して、「レクイエム」の最後の数行を聞かせます。

「帰っていらっしゃるな。そうしてもしお前に我慢できたら、死者たちの間に死んでお出。死者にもたんと仕事はある。けれども私に助力はしておくれ、お前の気を散らさない程度で、屡々(しばしば)遠くのものが私に助力してくれるやうに――私の裡(うち)で」

「生きねば」派は、死者の仕事に強く反応するようです。アニメ「風立ちぬ」のラスト近く、結核の果てに亡くなる菜穂子は、生き残った二郎に、「あなた、生きて」とつぶやきます。そして、二郎はつぶやきを残して天に昇る菜穂子に「ありがとう」と言い、物語は終わります。

死者の仕事とは、生者を自分の死から解放すること。菜穂子はいわば、死者の象徴であり、彼女は二郎の妻でありながら、誰かの妻であり女であり、男であり、夫であり、兄であり、弟であり…あらゆる存在の本質を保持する誰かなのです。

死者の思い

遺(のこ)された者を死者の呪縛から解放してやることが死者の責務であるとし、高橋氏は戦死者に言及します。

「戦後文学」の主人公たちは「戦死者の代弁者であるべく義務づけられていた」のだが、「彼らの中に住み着いて、この国を告発する声の主は、ほんとうに存在したのだろうか。それは要するに、ただの『ことば』にすぎなかったのではないだろうか。『戦後文学』の担い手は、ほとんどが姿を消し、それと共に、彼らの中に住み着いていた者たちも、運命を同じくしたのである」と高橋氏は言い、戦死者の言葉は時とともに消えてしまったと嘆きます。

しかし、小説『風立ちぬ』のもたらした鎮魂歌は「ぼくたちの知っている『戦後文学』の語法とは異なったものだ。そして、それは、なぜかひどく新しく感じられる」と言います。つまり死者の真の思いを生き残った者たちに悟らせるのです。続きは次回。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

改修へ設計を発注 つくばセンタービル 専門家懸念「文化財の資格手放す」

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つくばセンタービル ノバホール3階から松見公園方向

つくば市が計画しているつくばセンタービル(つくば駅前)のリニューアル事業について、同市は、改修に向けた実施設計の入札を9月7日に実施する。

センタービルは、プリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新さんが設計し、ポストモダン建築の代表作として世界的に評価されている。市の改修計画に対しては、市民団体から見直しを求める要望書が出され、専門家からも「大がかりな改修をしてしまうと登録文化財の資格すら手放すことになる」など懸念の声が出ている。

リニューアルに向けた実施設計の一般競争入札は、5日に市ホームページで告示された。開札は9月7日に実施する。予定価格は4742万円(消費税抜き)、設計書などの作成期間は来年3月まで。

エスカレーター2基を設置するなどのリニューアル計画のうち、センター広場北側(ホテル側)のエスカレーター1基とV字型階段の改修は、市議会の意見を受けて取り止める。(4月27日付 6月3日付 6月22日付

一方、西側(クレオ側)のエスカレーターは当初の計画通り新設する。

リニューアル計画の主な内容は、ほかに▽現在の1階ノバホール小ホールや廊下、市民活動センターなどに市民活動総合センターや交流センター、市民窓口をつくる▽ノバホール西側の外階段の半分をスロープにして土浦学園線から車両が出入りできるようにする▽現在の吾妻交流センターの内装を解体するーなど。

これに対し市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)は6月1日、つくば市が進めようとしている計画は文化財としての価値を失うことになるなどとして、エスカレーター2基いずれも設置を取り止めるよう要望していた。(6月1日付

さらに同会が6月27日に開催したシンポジウムでは、筑波大学の鵜沢隆名誉教授が「つくばセンタービルの中央広場は主要な動線から孤立した、閉鎖的な屋外空間であることが広場の大きな特徴であり、広場に降りていくことを目的とした人でないと降りていかない広場なのだから(市が目的に掲げるにぎわい創出などは)エスカレーターを付ければ解決できる問題ではない」「磯崎さんの設計意図は、1階と2階で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとしてつくられた」「最も特筆すべき点はフォーラムと呼ばれる中央広場であると評価されている」など建築の特徴を話し、市のリニューアル計画に懸念を表明した。(6月27日付

神奈川大学の六角美瑠教授はシンポジウムで「つくば市の計画書には、磯崎さんが中央広場を『にわ』と言ったから『シェアガーデンにしよう』と書いてあるが、取り違えている。磯崎さんがいう『にわ』の意味はコスモロジーとしてのセンターであり、ここにしか展開できないようなスケールのものごとを起こせよ、と磯崎さんは言っているだと思う」などと指摘し、疑問を投げ掛けていた。(鈴木宏子)

庭の片隅の食べもの ミョウガ《県南の食生活》28

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【コラム・古家晴美】今夏も猛暑に見舞われ、かつ新型コロナの緊急事態宣言が発せられ、外出もままならない。暑苦しく、行き場のないいら立たしさを感じている方々もいらっしゃるのではなかろうか。しかし、このような中で、キーンと冷えたお素麺(そうめん)を喉から流し込む瞬間の心地よさ。そのお伴が、本日のお題の庭の片隅でひっそりと出番を待っているミョウガだ。主役になる機会は少ないが、なくてはならない脇役だ。今回はミョウガを取り上げてみよう。

実は、3世紀の『魏志倭人伝』に、すでにその名が記されている。日本人と長い時間を共に過ごしてきた。

阿見町大室のHさんは、ミョウガを輪切りにして素麺、蕎麦(そば)、うどん、味噌汁の薬味や吸い口にする。また、子どものころから、家の竹山にできるミョウガを摘んできて、母が甘酢漬けにしていた。水洗いした後に、十分に水を切らないと、そこから傷んでしまう。竹山のミョウガは竹の根が張っているせいか、全然増えないが、その分、他家のミョウガよりも大きく育った。

ミョウガには、7月ごろに摘み取る早生で小ぶりの夏ミョウガと、9月に入ってから採れる中生・晩生の秋ミョウガがある。ミョウガの芽が出始めて、程よい大きさになったものから順番に摘んできて使うのは、夏から秋にかけての楽しみの一つだ。

また、繁殖力が非常に旺盛で、一度摘んでしまっても、4~5日するとすぐに次の芽が出て、肥料もいらない便利な香味野菜といえる。天ぷらや卵とじにして吸物の具、ぬか味噌漬け、粕漬け、味噌漬けにしたり、浅漬けにもみ込むこともある。その利用法は多岐にわたる。さらに、甘酢漬けにすれば1年間持つという優れものでもある。

たくさん食べると物忘れする?

古くは茎を乾燥させ、繊維から縄をない、草鞋(ぞうり)や下駄(げた)の緒に用いた。また、根茎から取った粉末は目薬となった。

落語に「茗荷宿(みょうがやど)」という話がある。神奈川宿につぶれそうになった宿があった。そこに珍しく客が来て、百両を預けて寝てしまい、宿主はそれが欲しさにたくさん食べると物忘れするというミョウガをいっぱい食べさせる。旅人が百両のことを忘れて出立するが、すぐに戻ってきて事なきを得て別れる。宿主の妻は「何か忘れたものはないか」と聞くと「そう、そう宿賃の払いを忘れていった」と言う落ちである。

子供のころにミョウガは食べさせてもらえなかったという記憶のある方もおられるだろう。どこぞの政治家は、ミョウガを食べ過ぎたのであろうか。(筑波学院大学教授)