金曜日, 7月 1, 2022
ホーム コラム 外国語を学ぶコツ③ 《ことばのおはなし》37

外国語を学ぶコツ③ 《ことばのおはなし》37

【コラム・山口絹記】「あいつのこと、好きなの?」というセリフがあったとする。特に違和感はない。しかし「トマトのこと、好きなの?」とは言わないだろう。

理由を説明できるだろうか? 説明できなくてもよいのだ。経験上おかしいと感じられるのが多くの日本人の言語感覚であり、これこそが大量の文章を丸暗記する価値だ。

今回は、語彙(ごい)力をつけるための、次のステップについて述べていこうと思う。

あなたが仮に「鯔」という漢字が読めなくても、魚だろうと推測ができるように、英語にも知らない単語を推測する手がかりが存在する。

それは、ラテン語由来の接頭辞+語幹+接尾辞で構成される「語源」というものだ。英単語は日本語訳で多くの意味を持つことが多い。詳しい解説は割愛するが、これは英語がラテン語、ギリシャ語を語源とする語が数多く存在することによるものだ。

例えばastronaut「宇宙飛行士」、astronomy「天文学」、disaster「天災」。これらはast(e)r-「星」という語幹によるものである。

語源の知識が付くと、気持ちの良い和訳が見つからなくとも大体の意味がつかめるようになることが多い。

また、そろそろ洋書の単語帳を用いた学習を始めてもよいかもしれない。英語ネイティブが語彙力を伸ばすために使用するものだ。今ではネット通販で簡単に手に入るものも多いため、ペーパー版で手に入れてみるとよいだろう(書き込み式が多いため、電子版はおすすめしない)。

語彙の知識にこだわる

さて、どうしてここまで語彙の知識にこだわるのか。

私たちは日常的に多くのことばに出会う。もはや無意識に、注意深く読むべきか、耳を傾けるべきか取捨選択をし、誤字脱字はある程度補完し、たとえ知らない単語でも大体の意味が分かれば調べなくてもよいと判断している。例えば、

「私は昨日、織田信長と桃太郎と釣りに行き、鯔(ぼら)を食べて復をこわした」

この文章を一蹴するには、実は日本の歴史や童話の基礎知識を前提に、「復」という誤字を自然と「腹」に置き換えなければならないのだが、さらっと読み飛ばすことができるだろう。

しかし、人物がConfucius「孔子」とLittle Red Riding Hood「赤ずきん」に入れ替わり、その後の文章に知らない名詞や誤字脱字があったら?

単語帳の語彙だけでは太刀打ちできず、辞書を引いても該当する単語が無い。

テストでは高得点が取れても、英語の児童文学すら読めなかったりするのは、こういったところにも原因があるのだ。

日本人の多くは『ハックルベリー・フィンの冒険』も、『聖書』も読んだことがない。恥ずべきことではなく、そういうものだ。

言語とは、その使用者が積み重ねてきた歴史と文化の上に形成される。広く前提とされているような知識に欠落があるということがいかに苦しいことか。しかし、そういった発見が苦しさから楽しさに変わる瞬間というのが必ず訪れる。

その瞬間というのが、ある程度の語彙を身に着けた状態、つまり、一定の語彙力を手に入れた瞬間なのだ。(言語研究者)

1コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

日本はプーチンのロシアになるのか 《ひょうたんの眼》50

【コラム・高橋恵一】プーチンのロシアの理不尽なウクライナ侵攻を見て、日本の危機と防衛力の強化が叫ばれている。よくメディアに登場する「専門家」は、防衛省関係者・自衛隊幹部OB、あるいは旧大日本帝国の残影が残る関係者が大半だ。 「専門家」の解決策は、ロシアを押し返して、妥協できるところで停戦するシナリオだろうが、それまでにどれだけのウクライナ人が死ななければならないのだろう。ロシアの兵士は何万人死ぬのだろうか。世界の穀倉地帯の混乱で飢餓に陥る人々は16億人を超すとも予測されている。 プーチン大統領は、核兵器使用もいとわないという、無茶ぶりだ。NATO欧州加盟国は、防衛費をGDPの2%に増額するという。長期戦略として効果的かどうかも疑わしいが、少なくとも今のウクライナには間に合わない。 現在の日本の防衛予算は世界第8位。取りざたされているGDPの2%になれば、米国、中国に次いで、世界3番目の軍事費大国になる。 プーチンの侵略行為が、先の大戦のナチスドイツや大日本帝国軍の行動によく似ていることを考えれば、日本の防衛力強化は軍国日本の復活ともとられ、世界や日本国民が受け入れるとは思えない。世界は、そう見るのだ。 当然、中国もロシアも北朝鮮も、対抗して防衛力を強化する。それどころか、日本を警戒する意味で、韓国、台湾、フィリピンなどとの緊張も高めてしまうかもしれない。米国も、軍事産業部門以外からは、歓迎されないのではないか。

安売りカメラ店 《写真だいすき》9

【コラム・オダギ秀】また昔の話で、ゴメン。でも、店への愛を込めて書きたいのだ。とても若いころ、写真家仲間が頼りにしていた安売りカメラ店のことだ。 新宿の裏通りのその店は、間口が2、3間ほどだったろうか、住宅のような、お店とは思えないようなところだった。ガラスの引き戸を開けて入るとカウンターがあり、商品は並んでいない、カメラや写真の材料を売る店だった。近所にかつて浄水場があったので、その名前が付けてあった。 カウンターで「トライ、長巻き、2缶」のように言うと、無口な細っこいアンチャンが奥の棚から品物を持って来てくれた。貧しいカメラマンたちには、ありがたい安売り店だった。品物は並んでいないから、何というどんな商品か、価格はいくらならいいのか、わかる者だけが出入りする店だった。プロ機材ならまず手に入ったし、価格に不満なこともなかった。安かったのだ。 1年ぐらいしてからか、天井に穴を開け、2階の倉庫から品物をひもで吊り下げるようになって、品ぞろえとスピードが少し増し、店員も2人から5人くらいに増えたと思う。 昔、写真は、フィルムという感光シートか、それを細く巻いたロールで撮影していた。フィルムはパトローネという小さな金属ケースに巻き込まれていて、パトローネには36枚撮影分のフィルム入り、というのが普通だった。 プロやそのタマゴたちはパトローネ入りではなく、ずっと長くてコスパのいい100フィート入りの缶を買い、適当な長さにフィルムを切って、使用済みのパトローネに詰め、フィルム代を安くあげるようにしていた。

つくばの坂路で実証実験 森林総研に電動四足歩行ロボット

森林総合研究所(つくば市松の里、浅野透所長)は28日、ソフトバンク(本社・東京都港区、宮川潤一社長)と取り組む「電動四足歩行ロボット」による実験を公開した。スマート林業の実現と脱炭素社会をめざし、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、21年度からロボットの歩行実験を行っていたもので、6月から研究所内の施設で実証実験を開始した。 取り組むのは「NEDO先導研究プログラム/農山村の森林整備に対応した脱炭素型電動ロボットの研究開発」。傾斜角度が30度までの斜面の上り下りが全自動で出来るアメリカ製の四足歩行ロボットを採用して、森林環境において、高精度な自動歩行がどこまで可能になるか、通信の改善をどのように実現するか、など実地に検証する。 造林作業向けに開発 従事者の高齢化や担い手不足から、わが国の木材自給率は40%程度に留まり、国産材の供給力の強化が林業の課題になっている。近年は特に木材を伐採した後、新たに苗木を植えての「再造林」が進まないことが悩みになっているそう。 抜根や下刈りなどに人手を要するうえ、傾斜地での作業となるため労働負荷が大きい。この「造林」作業にマッチした走行性能を有するモビリティーの開発を目指している。具体的には、シカの食害対策のため設置する防鹿柵の点検、苗木の運搬、森林資源の調査・計測などの作業を想定している。 21年度は森林総研と連携協定を結ぶ北海道下川町で、造林地や急傾斜地、積雪などの環境下で電動四足歩行ロボットの歩行能力について調査・検討を行った。一定の条件下であれば斜面や障害物などがあっても安定した歩行ができることが分かった。

500号の大作も 県つくば美術館で「茨城の美術セレクション」展

茨城県で活躍中の作家たちの作品を展覧する「茨城の美術セレクション」展が28日、県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。県の美術界を代表する27人の作家による日本画6点、洋画16点、彫刻5点を展示する。 今年1月に県近代美術館(水戸市)で開かれた「第12回現代茨城作家美術展」に出品した100人の中から27人、27点の作品を選抜して展示する。19日までの県陶芸美術館(笠間市)に続く移動展覧会で、来年3月1日から12日には県天心記念五浦美術館(北茨城市)開催と、それぞれ異なる作品の展示となる。 昨年の開催では約1400人が来場した。作家自身が来場者に技法や制作への思いを話す「ギャラリートーク」が毎回好評だが、今回は来場者との対面スタイルでは実施せず、会期終了後にYouTubeでトークの動画を配信予定だという。 会派やジャンルの垣根を越えた大作が一堂に会する。展示された作品の中には、500号の大きさの絵画2つで構成された筑波大学名誉教授、玉川信一さんの作品「愚者の階梯(かいてい)」や筑波大教授、仏山輝美さんが自らの顔や手をモチーフとして描いた作品「月光」など、生と死を感じさせるような作品が並ぶ。 県美術展覧会事務局(水戸市千波町)の学芸員、天羽かおるさんは「生と死のテーマは作家が生きていく中で突き当たる必然。現役の作家が今まさに感じていることを表現している。コロナ禍以後は、作品にじっくり対面し丁寧に見られている方が多くなった。肌感覚だが、以前より特に男性で、お一人で来場される方が増えているように感じる」と話す。 市内から訪れた男性は「図書館に寄ったついでに見に来た。近代的な感じの作品が多く、おもしろい展覧会」と話した。(田中めぐみ)