水曜日, 4月 23, 2025
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我が家の名物 栗の渋皮煮 《くずかごの唄》95

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】

「栗の渋皮煮、今年はまだかしら。崩れたのでいいから、送ってね」

娘から催促の電話。

「宍倉の栗が今日届いたの。でも『全自動栗むき機』がうまく作動するかどうか?心配なのよ」

「『全自動栗むき機』なんてあだ名付けられて、パパもかわいそうに。元気なんでしょう」

「元気よ。栗を見せたらむきたくなって、むいてしまうけれど。パパ、血液凝固防止剤を飲んでいるでしょう。刃物でけがした時の出血が心配なのよ」

つやつやした栗を見たトタンに、亭主の目の色が変わった。

「僕は栗むきのような単純作業が大好きだ」

筋取りから1週間

彼は学生時代に植物成分の研究の手伝いをさせられ、その時の思い出がよみがえってくるらしい。早速、丁寧に包丁を砥石(といし)で研いでいる。私は急いで止血剤のアドレナリン液を用意して、彼の手元に置いた。

アドレナリンの発見者は高峰譲吉先生。1900年にこの薬を発見した。私の10歳年上の兄の婚約者、明子さんが高峰譲吉の姪(めい)であった。小学生の時、安房大原の明子さんの家へ、夏休みによく遊びに行ったのを覚えている。

アドレナリン0.1パーセントの液。亭主がけがをすると、止血剤としていつも利用している。我が家にとってアドレナリンはありがたい救急薬なのだ。

栗の堅い皮をむき終わっても、渋皮の筋取りが根気仕事だ。私は重曹を少し入れて、2~3分煮沸する。中にいる虫を殺して、筋も柔らかくなる。一晩そのまま放置すると、液が真っ赤になる。そこで、竹串を使って渋皮の太い筋を丹念に取る。

重曹で真っ赤になった液を捨てて、今度は1時間煮沸。栗に火を通す。一晩おいて、まだ赤身の残っている液を捨ててよく洗い、また筋取りをし、今度は砂糖を5%だけ入れて1時間煮沸する。

この時の砂糖の入れ方が難しい。濃いと、栗がしまって堅くなってしまう。少し甘くなった栗を2~3日放置し、最後の仕上げにかかる。ザラメ糖35%の液を煮沸し、そこへ、よく洗った渋皮の栗を入れて30分煮沸、液を栗にしみこませて、出来上がりとなる。筋取りをはじめてから、1週間かかってしまう。

亭主と私の根気。どちらが欠けても我が家の名物・渋皮煮はできない。(随筆家、薬剤師)

センタービル改修 公金差し止め住民訴訟始まる つくば市「違法ない」答弁書

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水戸地方裁判所=水戸市大町

つくば市が進めるつくばセンタービルのリニューアル事業に対し、大規模事業評価を実施しないのは違法だなどとして元大学教授の酒井泉さん(72)ら6人が、五十嵐立青市長を相手取って、同事業に対する公金支出の差し止めを求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が7日、水戸地裁(廣澤諭裁判長)で開かれ、つくば市側は、公金の支出に違法は存在しないなどとして、請求の棄却を求める答弁書を出した。

酒井さんらは、まちづくり会社に対する市の出資金6000万円を含め事業は総額約10億3800万円であり、10億円以上の事業は大規模事業評価を行うと市が要綱で定めているのだから、評価を実施しないのは要綱に違反し、必要な手続きを踏んでいないのから公金支出は違法だ、まちづくり会社を設置した際、総務省の第3セクターの経営健全化指針に基づく手続きを欠いたのは違法だ―などと主張し、市がすでに支出した約7000万円の返還と、新たな公金支出の差し止めを求めている。

これに対しつくば市側は答弁書で、大規模事業の進め方の評価対象となる事業は施設の整備事業であり、出資金は株式取得を内容とするものであって施設の整備を内容とするものではないから、金額の多寡にかかわらず、評価対象事業に当たる余地はない、市が作成した事業整備費用10億3800万円とした資料は、市民に対する説明のために作成したものであり、支出予定の全体を分かりやすさの観点から、支出の性質による区別をせずに全体像として示したものであって、大規模事業の評価対象事業に当たるか否かの観点から記載したものではない、などとして要綱に関する手続き違反は存在しないなどと主張した。

総務省の第3セクターの経営健全化指針に違反するとの酒井さんらの主張に対しても、出資に先立ち、2019年度策定のエリアマネジメント検討業務でエリアマネジメント団体の法人形態の比較検討を行っていること、学識経験者を委員とする検討委員会を開催し、委員会を通じて外部の専門家の意見聴取を行っていることなど、指針に基づく検討を行っている、と主張している。

原告の酒井さんは「(リニューアル計画では)公共スペースの半分をまちづくり会社に貸し出すこと、まちづくり会社が自ら、貸しオフィスの運営という商売をやること、出資会社が不透明であることの問題がある」として、裁判を通して明らかにしたいとしている。

地域で芽生えたつながりを表現 つくばで写真展「ほにゃら」

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写真展と映画会のチラシを持つ柴田大輔さん

障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保、川島映利奈代表)の設立20周年を記念し、牛久市在住の写真家、柴田大輔さん(41)が19日から、つくば市民ギャラリー(同市吾妻)で写真展を開く。テーマは「ほにゃら―地域の中にある、それぞれの暮らし」。「障害者が地域で生活することで、様々な人のつながりができることを感じてもらえれば」と語る柴田さんに話を聞いた。

障害者のいることが当たり前

柴田さんが、ほにゃらの活動に出会ったのは3年前。最初は、障害のある人もない人も楽しめるイベントの写真撮影を頼まれた。何回かイベントに参加するうちに、「雰囲気がおもしろく、つながり続けたい」と思った。「土浦で育ったが、同じ地域で生活する障害者の存在は全く知らなかった。地元のことをもっと知りたい」という思いもあり、今年1月から同団体で定期的に障害者の介助もしている。

障害者と関わりをもったきっかけは、以前住んでいた都内のシェアハウス。重度知的障害を持つ同居人が介助者から支援を受けながら生活していて、写真家活動の合間に、知的障害者の外出支援をするようになった。またシェアハウスの1階では、「バリアフリー社会人サークルcolors(カラーズ)」(石川明代代表)が、毎月10回ほど、障害の有無に関係なく、様々な人が集うイベントを開催していて、柴田さんも顔を出すようになった。

そこでは、障害者を特別扱いはしないが、必要な配慮は自然にされていたという。「シェアハウスに住むまでは、障害者は別の世界の人だと思っていたが、自分よりも知的障害者の方が片付けまでするなど、きちんと生活している面があって、価値観が変わった」と柴田さん。

シェアハウスで3年過ごし、茨城へ移住するときにほにゃらを紹介された。「特に障害者と関わりたいとは意識していなかったが、東京にいたころから障害者と周囲の人との関係性を身近に見てきた。障害者が自分の生活のことを主体的に決めながら、地域の中で当たり前に暮らす自立生活に興味があった」

今回のテーマはほにゃらだが、障害者の写真展ではない。ほにゃらで活動する障害者が普段立ち寄る店など、自立生活をする障害者と何らかの形で関わる人たちを撮影した。「ほにゃら周辺には、障害者がいることが当たり前の地域ができている。障害者の地域生活を支援するほにゃらがあることで、障害の有無に関係なく人と人とのつながりができていることを表現したかった」。そのために展示する写真には、障害のある人もない人も同じ大きさで映っている。

柴田さんは「何気なく生活している地域には障害者を含めた多様な人が暮らしている。写真の中の誰にどのような障害があるかは説明しないが、一人一人の背景を想像してもらい、関心を持つきっかけになれば」と写真展に思いを込めている。

写真展に先立ち、「colors」に集う人々を追ったドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」(佐藤隆之監督)も上映される。柴田さんは「映画には障害者も多く登場するが、障害がテーマではなく、イベントで多様な人たちが交差する人間模様を描いている。障害の有無に関係なく、様々な人のつながりを表現している点は写真展とも重なってくるだろう」と話している。(川端舞)

●写真展「ほにゃら―地域の中にある、それぞれの暮らし」 19日(火)から25日(月)、つくば市民ギャラリー(つくば市吾妻)。開館時間午前9時から午後5時(最終日は3時閉館)。入場無料。
●映画上映会は16日、17日の午後2時30分から。会場はHappy Plus親子工房(つくば市竹園)。上映後に佐藤監督のトークライブも開催。参加費1000円。定員25人。申し込みは15日までに柴田さんにメール(daisuke.pp@gmail.com)で。

地価が上昇 ウィズ・コロナ時代の郊外 《遊民通信》26

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ひたち野うしくに出た虹

【コラム・田口哲郎】

前略

先日、郵便受けに不動産仲介業者のチラシが入っていました。近所の土地が売りに出されていたのですが、見て驚きました。地価がコロナ禍前の4〜5倍になっていたのです。新様式の生活でテレワークが進み、東京郊外や地方都市に移住する人が増えているとは聞きますが、まさか「ひたち野うしく」にもその波が押し寄せているとは…。

でも、よく考えてみると、確かに最寄りのひたち野うしく駅周辺は、スーパーマーケットは西友、ヨークベニマル、ドラッグストアはツルハやセイムズ、ホームセンターはホーマック、書店はワンダーグー、それに市役所の出張所を兼ねた郵便局があり、さらにスターバックスもあり、便利です。

例えば、県南の常磐線沿線を思い浮かべても、駅近で商業施設が徒歩圏内に一通りそろっていて、しかも郊外的な住宅地も駅の近くにある駅というのはひたち野うしくくらいかもしれません。土浦駅周辺は都会で住宅地はあまりないし、取手駅や藤代駅、佐貫駅を見ても、生活便利施設と住宅地のセット開発は見当たりません。牛久駅東口は便利そうですが、生活便利施設同士が少し離れています。

鉄道駅が中心の生活はもう主流ではなくなるから、駅近はパワーワードではないかもしれませんが、テレワークといっても月に何度か出社しなくてはならないから、ギリギリ東京に通えるところと考えると、ひたち野うしく駅が北限なのかなと思います。東京ほど密集していない郊外で、便利な駅近というのが不動産では今はやりなのでしょう。

世の中は想像以上に変わるもの

親戚が横浜市青葉区あざみ野に住んでいます。開発初期に住み始めたので、駅近です。地価は随分高いようです。コロナ禍前にひたち野うしくを散歩しながら、この辺りの地価があざみ野みたいに高くなることはないだろうな、大きな社会変革があれば、ここが都心になる日が来るかも…などと考えていました。

あざみ野ほどにはならなくても、地価が上がって、これから多くの人が移住してくる可能性があるだけでも、世の中は変わるものだなと思います。

新型コロナ専用病院を野戦病院と言ったり、飲食業が大打撃を受けてテナントが続々退去する歌舞伎町を焼け野原と言ったりする人がいるということは、コロナ禍は戦争に例えられるような一大事です。戦後は東京一極集中が加速しましたが、今度は分散開発をするらしい。コロナ禍前には、倦怠(けんたい)感と閉塞(へいそく)感でしか語られなかった郊外が見直されて、本来の価値を与えられるのは自然なことですし、よいことだと思います。

あるハウスメーカーの宣伝文句が気になります。「生きるための家」というフレーズです。今までは寝に帰る家が、生活の大半を過ごす空間に変わりました。人間的生活の到来を予感させるよい兆候ですね。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

シャッター通りに飾り付け 7日から土浦「名店街DEハロウィン気分」

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ハロウィンの飾りが並ぶ土浦名店街=土浦市川口

土浦の戦後のにぎわいを代表するアーケード街だった土浦名店街(土浦市川口)が、7日からハロウィン仕様になる。ハロウィンの31日まで開催の「名店街DEハロウィン気分」。企画を考えたNPO法人まちづくり活性化(横山恭教理事長)や商工会議所のメンバーらが6日、飾り付けを行った。

同法人は毎年、ハロウィンの時期に「つちうらハロウィン」を開催していた。子どもたちが仮装して土浦の町を散策して商店街でお菓子をもらうイベントだが、昨年も今年も、コロナ感染拡大のため中止になった。

これまでイベントを先導してきた事務局長の小林まゆみさんは「このまま何もやらないのはよくない。せめてハロウィンの飾りを見て明るい気持ちになってもらいたい」と発案した。「この機会に土浦名店街に足を運んでもらいたい」という思いもあったという。ファッション専門店などが軒を並べたアーケード街は平成になると客足が遠のき、ほぼシャッター通りとなっていたが、ちょっと怪しい雰囲気がハロウィンムードにマッチする。

今回は、全長約80メートルのアーケードの天井に、ひも状の飾り付け「ガーランド」を約30本取り付けた。ガーランドそれぞれに、画用紙に描いたかわいいお化けやちょうちんなどを飾っている。飾りの材料はほとんど100円ショップで買いそろえたものだという。

大きな白いお化けは、長さ約100センチメートル。100円ショップの雨合羽に頭を付けてアレンジした。オレンジのお化けも、100円の手提げ袋に顔のパーツを取り付けたものだ。そのほか、お化けの運転手と客が乗ったキララちゃんバスのイラストなどユーモラスな飾りが並ぶ。これらは小林さんらが、仕事のかたわら1カ月かけて制作したという。

さっそく飾りを見に来たチビっ子も

アーケードの脇には、直径30~50センチのハロウィン用特大カボチャも6つ並んでいる。小林さんの知人が育てたものを、譲ってもらったそうだ。壁に飾られた社会福祉法人尚恵学園(土浦市神立)の入所者らが描いたイラスト15枚も、彩りを添える。

仮装写真コンテストも実施

横山理事長は、「名店街は屋根があるので雨が降っても飾りが濡れないのがいい。市民の皆さんにはハロウィンを見て楽しんで欲しい。ハロウィン仮装写真コンテストも実施しているので、大人も子ども仮装して申し込んでもらえたら」と語った。

ハロウィン仮装写真コンテスト「#つちハロ写真コンテスト」の募集は31日まで。11月1日に審査を行う。応募方法などの詳細はこちら。(伊藤悦子)

サイクルトレイン運行記念の筑波山ヒルクライム 16日にワンウェイツアー

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いばらきサイクルトレイン車内イメージ=JR東日本提供

アトレ(本社・東京都渋谷区、一ノ瀬俊郎社長)が運営する「プレイアトレ土浦」(JR土浦駅ビル)は、JR東日本水戸支社が16日に運行するJR常磐線団体臨時列車「いばらきサイクルトレイン」の運行を記念し、筑波山ヒルクライムなどが楽しめるサイクリングイベント「石岡~土浦ワンウェイツアー」を開催する。

同トレインは16日と11月27日、上野駅から常磐線の友部駅を通り、水戸線の岩瀬駅まで運行する団体臨時列車。輪行袋なしで、自転車のまま乗車できる。

16日のワンウェイツアーは、JR石岡駅発プレイアトレ土浦着のサイクリングイベント。コースは、石岡駅から石岡フラワーパークを通り、筑波山の不動峠ヒルクライムを体験、平沢官衙(かんが)遺跡に立ち寄り、土浦駅まで約50キロのコースとなる。サポートライダーの案内により、ヒルクライム初心者でも安心して参加できるそう。

当日はゲストに、いばらきサイクルナビゲーターのもえさんを迎える。もえさんは、自転車を活用し、徒歩以上、車未満の視点で、町や地域の魅力を探求し、見知らぬ土地を訪れ「だれもが真似できるサイクルツーリズム」を広げる活動を実践している。

ツアーにはサイクルトレインを利用せずとも申し込め、参加費は3000円(税込み)。特設サイトからの申し込みとなる。定員50人。

いばらきサイクルトレインの運行区間と時間は10月16日、11月27日いずれも▽往路=上野駅8時13分発~土浦駅9時21分着~石岡駅9時39分着~友部駅10時着~岩瀬駅10時32分着▽復路=友部駅15時59分発~石岡駅16時29分発~土浦駅16時51分発~上野駅17時56分着。旅行代金は大人4300円、子ども3200円(いずれも税込み)専用ページからの申し込みとなる。

BEBほしいもフェス=アトレ提供

土浦駅ビル内のホテル「星野リゾート BEB5土浦」では11月21日まで、宿泊者を対象に茨城県の名産品、干し芋をテーマにした「BEBほしいもフェス」を開催している。イベント期間中、パブリックスペースには「ほしいも神社」(ひたちなか市)の分社も設けられる。

ほかに干し芋セットを購入してさまざまなトッピングと組み見合わせて食を楽しむなど、ユニークなイベントが企画されている。(山崎実)

東北本線・古河駅が面白い 《茨城鉄道物語》16

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古河駅の電光掲示板

【コラム・塚本一也】前回述べた通り、茨城県内で乗車できる鉄道は11路線ありますが、これまでのコラムで、そのうち9路線を制覇しました。残りわずかとなりましたが、今回は東北本線の古河駅へ行ってきました。

古河駅は1885年に茨城県で最初に開業した駅であり、130年以上の歴史があります。建設当時は、利根川に橋を架ける技術が確立されておらず、水戸~東京間は水戸線経由で小山から東北線を利用していたそうです。古河駅を訪れたのは初めてでしたが、3つの点に驚きました。

1つは、古河駅の形態です。鉄道の駅舎は、地下駅、地平駅、橋上駅、高架駅―と、基本この4パターンに分類できますが、古河駅は、茨城県内ではTX(つくばエクスプレス)以外ではあまり例のない、高架駅という形態になります。

これは、例えば武蔵野線の駅舎のように、元々高架橋に線路があって、あとからホームを造る場合などに採用されます。しかし古河駅の場合は、駅舎だけを高架駅にして、その前後は線路が地平に降りてしまうという、ある意味、無駄な造りをしていることが不思議に思いました。

自由通路を優先して造る場合は橋上駅が基本であり、山手線の五反田駅のように、幹線道路が駅近辺を横断する場合には、高架駅が採用されます。しかし、あえて古河駅だけを高架にした理由について、元鉄道建築技術者の私は大変興味を覚えました。

古河駅のホーム

東京駅・新宿駅まで乗り換えなし

さらに、改札を抜けてホームへ上がると、始発駅でもないのに2面4線というぜいたくな設備にも驚きましたが、時刻表と行先の電光掲示板を見て一層驚きました。なんと、東京駅にも新宿駅にも乗り換えなしで行けるではないですか。千葉駅でさえ、新宿へ行くには錦糸町で乗り換えなければならないのに、古河駅はどちらへ行くにも乗り換えなしで、およそ75分の乗車時間です。

そして、最後の驚きは、なんと日中の湘南新宿ラインは快速の停車駅になっているではないですか。快速を利用すると、新宿までは約1時間であり、東海道線の駅に例えるならば平塚駅と条件的に等しくなると思われます。また、1日の乗降客数は約26,000人で、常磐線ならば勝田駅とほぼ同じぐらいです。

このように、いつの間にか底知れぬポテンシャルを備えてしまった古河駅ではありますが、駅前のビルは空室が目立ち、駅ビル以外にこれといった商業施設はありません。先月は古河駅に入構している20台ぐらいのタクシー会社が、事業から撤退してしまいました。

古河近辺では、圏央道を利用できる工業団地や企業の誘致に取り組んでいると聞きます。鉄道による都心へのアクセスも非常に便利ですので、2次交通などの整備に取り組めばさらに発展が見込めるのではないでしょうか。(一級建築士)

第6波に備え 20日からつくば市独自のPCR検査

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20日から市民を対象に市独自のPCR検査が実施されるつくば市役所

つくば市の五十嵐立青市長は5日の定例会見で、新型コロナウイルス感染拡大の第6波に備え、無症状の市民や在勤・在学者を対象にPCR検査を20日から市独自で実施すると発表した。一般に数千円から数万円の検査費用がかかるが、市民は1000円の自己負担で検査できる。

市民の自己負担は1000円

県内では、住民や職場などが自主的に行うPCR検査費用を一部または全額補助してきた自治体が9月時点で17市町村あるが、五十嵐市長は、市がPCR検査を実施するのは全国でも初めて、としている。感染者の早期発見や日常の不安解消が目的という。陽性が分かった場合は保健所に知らせ、保健所が対応する。

だ液を採取して検査する。検査費用そのものは1検体3000円。そのうち市民が1000円を自己負担し、残り2000円は市が負担する。市内在勤・在学者の場合は2000円を自己負担する。検査期間は20日から来年3月まで。対象は小学生以上。

18日からインターネットで予約受け付けを開始する。だ液の採取は平日の午前9時から11時に、市役所の敷地内に検査場所を設け採取する。現時点で場所は未定という。午前11時に検体を回収し、当日の午後3時までにインターネットで個別に検査結果を通知する。陰性証明書などは発行しない。

検査人数は1日60人を想定し、希望者が多ければ順次、増やしていく。来年3月までに延べ1万800人の検査を想定している。市が負担する今年度の検査費用は約2200万円で、10月中に臨時議会を開き補正予算の追加を提案する。

検査は、NPO法人つくば臨床検査教育・研究センター(つくば市天久保、小松京子理事長)の検査センター「つくばアイ-ラボラトリー有限責任事業組合」(同市天久保)が実施する。自動化、電子化された全自動検査機器により、複数の検体を混ぜて同時に検査する「プール検査法」という方法で検査する。陽性反応が出た全検体は、それぞれの検体から再検査する。

同検査センターは、筑波大学とLSIメディエンス(東京都千代田区、渡部晴夫社長)が共同運用する。県内のクラスター対策の検査部門で中心的役割を担った実績があり、2021年は約4万件のPCR検査に対応したという。

併せて、10月1日付で、筑波大学付属病院感染症科長で、つくば臨床検査教育・研究センター理事の鈴木広道・筑波大医学医療系教授が、市の顧問に就任したと発表した。五十嵐市長は、保健所と連携をとり、鈴木教授のアドバイスを受けながら、早めの対応をしたいとしている。

自民党新総裁誕生 この国はどこへ? 《雑記録》28

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【コラム・瀧田薫】9月29日の自由民主党総裁選の結果、岸田文雄前政調会長が新総裁に選任された。岸田氏は4日の衆参両院本会議で首相に指名され、新内閣を発足させた。

岸田氏の勝因には、菅首相の総裁選不出馬宣言により自民党の支持率が回復し、それに伴って、自民党議員の次の選挙への危機感が薄れたことがあると思う。つまり、「安倍・菅氏路線」の刷新を標榜(ひょうぼう)しなくとも、衆議院選挙を勝ち抜ける見通しが立ったということだろう。

岸田氏は、総裁選出馬にあたり、安倍・菅路線の基本的な方向性は受け入れつつ、小泉政権以来の「新自由主義的な経済政策」を改め「成長と分配の好循環」を目指すと宣言した。安倍・菅路線を正面から否定はせず、部分的な修正を施しながら新味も出そうという狙いだろう。

この岸田氏の妥協姿勢が、河野氏と比較して、より「穏健」なものと受け止められた。自民党国会議員の間に、衆議院選を前にして、党内の力学を優先する余裕あるいは内向き志向が働いたという見方もできるだろう。

しかし、この総裁選の結果を受けて、この国の今後を楽観することができるだろうか。新型コロナウイルス禍もあり、この国の経済も外交も安全保障も極めて困難な状況にある。外に吹き荒(すさ)ぶ嵐を自民党の党内安定だけで乗り切れるものではないだろう。

「成長と分配の好循環」に注目

いずれにしろ、次の衆議院選挙が間近に迫っている。新政権が心すべきは、国民の思い、意志、希望を真摯(しんし)に受け止め、それを国政全般そして外交に反映させていくことだ。もし、新政権が前政権と同様に、異論を封じ込め、疑問に正面から向き合わず、説明責任を果さない独善的な政治姿勢を踏襲するなら、この国の将来はまことに暗いものとなる。

菅首相の退陣は、9年近く続いた安倍・菅路線の功罪を検証し、それを清算、克服する絶好の機会である。アベノミクスは為替を円安に誘導し、輸出企業の業績を好転させ、株高をもたらし、雇用を拡大したというが、この間、日本の経済成長は停滞し、勤労者の生活は以前より貧しくなっている。この事実をどう評価するのか。

IMF統計によれば、1990年代初頭、日本のGDPは全世界のGDP総額の約17%を占めていた。2020年現在、この数字は6%まで落ち込んでいる。つまり、世界経済における日本の存在感はこの四半世紀間に3分の1にまで縮小していることになる。経済の専門家は、30年には4%、つまり、1960年代の水準までさらに落ち込むと予想している。

岸田氏は、首相になった暁、「これまでの新自由主義的な経済政策を改め、成長と分配の好循環を目指す」と約束した。時宜にかなった政策であると思う。ただ、この約束を果すことが容易なこととは到底思えない。岸田新首相には、この困難に敢然と立ち向かい、正直で誠実な政治家がこの国にまだ存在していたことを証明してもらいたい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

外国語を学ぶコツ④ 《ことばのおはなし》38

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【コラム・山口絹記】

「英会話スクールって、どうなんですか?」。周囲からこんな質問を受けることがある。漠然と訊(き)かれても困ってしまうのだが、すでにある程度英語を話すことができるのであれば、発音や語彙(ごい)表現力の向上には役に立つというのが私の意見だ。少なくとも、0から1を作るには効率の悪い場だ。

また、普段から英語で話す機会があっても、友人知人から会話表現の不自然な部分をいちいち訂正されることもあまりないので、講師と生徒という関係、レッスンという形には意義があるだろう。

実際に会話の中で「困る」という体験を繰り返すことで、今の自分に何が足りないかを効率よく知ることもできる。

私も2年ほど、毎日25分のオンラインレッスンを受けていた時期がある。英会話のレッスンといっても、英語で書いた論文の文章チェックをしてもらいながら議論したり、退官した哲学の教授に英語で講義をしてもらったりといった活用方法だった。

要は、英語で英語を教えてもらうだけではもったいないということだ。必要なこと、興味のあることを、英語を使って学んでしまえば一石二鳥である。

もちろん、本来の目的も忘れてはいけない。私の場合、自分の英語表現の不安な部分を会話の中で質問し、発音や文法に関しては厳しくチェックして、適切な表現はリアルタイムでチャットに書いてもらっていた。チャット欄に残されたテキストは印刷して、自分の英語表現上の悪い癖を直す教材にしていた。

普通の学校生活同様、主体性なしに意義のある時間を過ごすのは難しいだろう。

「今日はフリートークで」

また、どうしても疲れているときは、「今日はフリートークで」とお願いしていた。講師との関係性にもよるが、家族の話や、音楽、映画、写真などの趣味の話をするのは、よい気分転換にもなるし、語彙力の向上にもかなりの効果がある。

同じ英会話スクールを何年も利用していれば、中にはお互いのことも深く知り合うような関係も生まれてくる。そうなってくると、「この間、他の生徒さんがこんな話をしてたんだけど、日本にはこういう文化があるの?」と逆に質問をされたり、英語では検索しても出てこないような情報を、こちらが英語に訳して説明をしたり、料理のレシピを提供したり、時には人生の節目における相談事を受けたり、落ち込んだ時はお互いをなぐさめるような場面もあったりする。

仲のよい講師に出会えるかどうかはもちろん運次第なのだが、英語というのは言語であり、言語はコミュニケーションのための道具なのだ。もっと話したい、相手のことを知りたい、自分のことを知ってもらいたいと思う気持ちに勝る勉強の動機はなかなか無い。

英会話スクールでこれだけ英語力が伸びました、という要素はもちろん第一義なのだが、この人に会えて良かったと思えるような出会いの可能性があることも、英語を学び、英会話スクールに通う意義であると、私は考えている。(言語研究者)

つくばFCホーム最終節、終盤の失点で首位に惜敗

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攻撃の中心を担ったFW伊藤隆人(いずれも写真提供/つくばFC)

関東サッカーリーグ1部後期第11節、ジョイフル本田つくばFC対クリアソン新宿(Criacao Shinjuku)戦は3日、つくば市山木のセキショウ・チャレンジスタジアムで開かれた。終盤まで両チーム無得点の競り合いとなったが、後半43分に失点しつくばは0-1で惜敗、通算6勝4分10敗、勝ち点22で7位(参加12チーム)となった。この試合は、リーグ規定により無観客で開催され、YoutubeのつくばFCチャンネルでライブ配信された。

今節ホームに迎えた新宿は、現在リーグ戦9連勝中で首位。得点ランキング首位タイの岡本達也らJリーグ経験者も多く、高い技術で手堅い試合運びをするチームだ。

試合開始2分、新宿があいさつ代わりのシュートを放つ。左サイドからのクロスに前線の選手が頭で合わせるが、これはバーの上。対するつくばのファーストシュートは7分、MF安東輝のフリーキックを折り返し、後方で待ち構えていたMF中村翼がミドルシュートを放つが、枠の右へ外れる。新宿は11分にもコーナーキックからヘディングシュートを放つが、ポストに救われる。

前半、チーム一丸となって新宿の攻撃を封じる

25分ごろからは新宿がチャンスの数では圧倒的に上回る。FWのポストプレーから分厚い攻撃につなげ、何度もゴール前へ迫られる。だがつくばは、駒﨑公一ら守備陣がシュートに体を投げだし、GK木戸裕貴も鋭い飛び出しでボールをキャッチ。最大のピンチだった42分のコーナーキックも、何度もシュートをはね返し、前半を無失点で終えた。

今回、新宿は中2日での連戦になるため、中断明けのつくばが体力面では有利かと思われていた。だが新宿は早めの選手交代もあり、後半も運動量が落ちず攻撃数でもつくばを上回る。後半15分、つくばはFW昼間拓海を投入しフォーメーションを整理。ここからようやく盛り返し始める。安東が積極的に攻撃にからみ、25分にはゴール前でのルーズボールをダイレクトシュート。だが惜しくも左ポストをかすめる。

途中出場で奮闘した昼間(左)

しかし43分ついに失点。左サイドからのクロスを受けたFW原田が中央へ切れ込み、ペナルティアーク付近から左足シュート。ブロックに行ったMF木本拓夢の脚の下を抜け、ゴール右隅に決まってしまった。その後新宿は、ボールをキープしながらアディショナルタイム6分間を守り切り、試合を終了させた。

新宿はこれでリーグ戦10連勝。勝ち点47で首位をキープ。つくばは現在7位だが、残り2試合の結果によっては6位浮上の可能性を残す。ホーム流通経済大学FC戦と、アウェー流経大ドラゴンズ龍ケ崎戦で、いずれも日程は未定。(池田充雄)

●冨田大介監督の話 前半頭から相手のロングボールやクロスにしっかりと対応でき、全体としては締まった試合になった。残り試合も日程が決まっていない中、個人およびチームとしての成長の時間をつくり、必ず勝つための準備をしたい。

●駒﨑公一選手の話 チーム全体でまずしっかり抑えようとしたが、終盤に失点してて悔しい敗戦になった。残り2試合、全員でもう一度まとまって1つ1つ戦っていきたい。

栽培支援アプリで共生の市民農園へ つくばの営農プログラマーが開発

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新しい市民農園の開設を目指している中野一秀さん=つくば市酒丸で3日開かれたイベント「ハルファームキャンピング」で

つくば市酒丸で農業を営む中野一秀さん(72)が、新しい市民農園の開設を目指している。プログラマーでもある中野さんが開発した栽培支援アプリが、野菜づくりを一から教える。

クラブハウスもつくり、交流や情報交換を通して、自然と調和しながら豊かに過ごすコミュニティーづくりを目指す。2022年にオープンする予定だ。

3日、PRを兼ねたイベント「ハルファームキャンピング」が現地で催され、野菜や焼き菓子、アクセサリーなどを販売するテントが並んだ。野菜収穫体験、せんべい焼き体験、工作体験コーナーも設けられ、大勢の家族連れでにぎわった。

市民農園は「ハルファーム」と名付ける。中野さんが飼育しているヤギ「ハル」の名前から命名した。約3500平方メートルの畑に、1区画10~15平方メートルの農園を200区画程度つくる。

栽培支援アプリはダウンロードし、どんな野菜を作りたいかを選ぶと、うねづくり、種まき、草取り、肥料のやり方、枝のせん定、収穫など、時期ごとに、どのような作業をしたらいいかを教えてくれる。栽培管理もできる。

農園では、マスコットのヤギ「ハル」とチャボが出迎える。クラブハウスにはシャワールームなどを完備するほか、コーヒーを飲んでゆったりした時間を過ごしたり、共同で利用できる調理場などもつくる予定だ。農機具なども貸し出す。

中野さんは「自然と共生しながら楽しく過ごす理想郷をつくりたい」と話す。(鈴木宏子)

◆市民農園予定地はつくば市酒丸元中東字新田前311ー2。オープンは2022年夏以降、利用料金は1区画(10平方メートル)月6000円程度を予定している。

介助者という社会資源の少なさ【かなわなかった自立生活】㊦ 

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宿泊体験中、介助者とカラオケを楽しむ蛯原千佳子さん

自立生活がかなわず今年1月に亡くなった蛯原千佳子さん(60)は、つくば自立生活センターほにゃらで2017年8月から宿泊体験を14回繰り返した。19年11月には、ほにゃらの介助者も蛯原さんの介助に自信が出てきて、人数さえ増えれば、一人暮らしを始められる状況になった。しかし、一人暮らしを支える介助体制をつくれないまま、蛯原さんは亡くなった。

ほにゃら事務局長の斉藤新吾さん(46)は、「地域で生活したい障害者の希望をかなえるためには、障害者が入所施設ではなく、地域で暮らすことは人間としての当たり前の権利であることを、ほにゃらの職員だけでなく、社会全体が認識していく必要がある」と話す。

街中で求人チラシ配る

蛯原さんに関わる介助者を増やすためには、当初から蛯原さんに関わっていた介助者が蛯原さんの介助に十分に慣れ、新しい介助者に障害の特性や体調に合わせた介助方法を伝えられるまでになる必要がある。宿泊体験を始めてから1年8カ月後の19年春、蛯原さんの介助に慣れてきたころ、ほにゃらでは蛯原さんの一人暮らしを支える介助者を募集した。

求人チラシを作成し、駅前で配ったり、全国の福祉系大学に求人票を郵送した。介助という仕事が持つ負のイメージを変えるために、仕事内容の紹介動画を作り、ホームページに載せたりもした。蛯原さん自身も宿泊体験中に介助者と一緒に街中に出かけ、直接チラシを配った。

ほにゃらの介助者だけでは足りず、他の訪問介護事業所と連携することも考え、20年1月には相談支援専門員を探し始めた。相談支援専門員とは、訪問介護や訪問入浴など複数の事業所が1人の障害者の生活に関わる際、事業所間の連絡調整をおこなったり、必要なサービスを受けるための行政的な手続きをおこなう機関である。

本来なら蛯原さん自身が自分に合った相談支援専門員を探すはずだったが、新型コロナが蔓延し、ほにゃらの介助者が施設で面会することもできなくなったため、ほにゃら側で蛯原さんの地域生活を支える相談支援専門員を探した。

20年7月に一度だけ短時間の面会が許可され、蛯原さんと相談支援専門員が初めて顔を合わせることができた。が、それ以降はまた面会が制限された。

一人暮らしに向けて、他の介護事業所とも連携したかったが、具体的にいつから介助派遣を依頼するか定まらないと、相談支援専門員から他の介護事業所に協力を求めるのも難しい。蛯原さんとほにゃら介助者、相談支援専門員が面会し、一人暮らしを始める具体的な日程を決められないまま、蛯原さんは体調を崩し、今年1月亡くなった。

つくば自立生活センターほにゃらのスタッフ・介助者と蛯原さん(手前)

「重度障害者の地域生活を支える社会資源の少なさと、新しい社会資源をつくり出せなかったことが、蛯原さんの一人暮らしが実現できなかった一番の原因なのでは」と、斉藤さんは話す。

権利知ってもらうことから

2014年に日本も批准した国連の障害者権利条約第19条では、障害者に、他の者と平等に、どこで誰と住むかを自分で選択し、特定の生活様式で生活することを義務づけられることなく、地域社会で生活する権利を保障し、そのために必要なサービスを提供するなど、適切な措置をとることを国に求めている。

しかし、障害者が入所施設ではなく地域で生活することは権利だという認識が、行政機関を含めて社会全体に浸透してないことが、障害者が地域で生活したくてもなかなかできない理由の1つだろうと、斉藤さんは話す。

「日本の学校では、人に優しくするというような道徳教育が重視され、自分がどのような権利を持っているかを学ぶ機会は、障害のない人でも少ない。自分の権利についても意識が低いのだから、障害者の権利と言われてもピンとこない人も多いだろう」と、ほにゃら代表の川島映利奈さん(39)は付け加える。

さらに川島さんは「相談支援専門員や行政機関の人の中でも、重度障害者が介助者を使いながら地域で生活できることを知らない人も多い。重度障害者でも地域で生活できることを社会に発信することもほにゃらの役割だと思う。まずは、障害者が堂々と社会に出ていき、障害者の存在を身近に感じてもらうことから始める必要がある」と話す。(川端舞)

終わり

霞ケ浦から桜川へ自転車散歩 《ポタリング日記》1

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三帆ひろばからラクスマリーナを望む。チョコ(右)はナショナルサイクルルートのロゴ入り
入沢弘子さん

【コラム・入沢弘子】高架道でまちを抜けると霞ケ浦が見えてきました。こんな快晴の日の湖面は透明感のある瑠璃色。沖には数隻のヨットの白い帆がくっきり。今日は湖の近くを走ってみましょうか。

りんりんポート土浦の駐車場は、県外ナンバーでほぼ満車。ロードバイクのサイクリストの間で車から自転車を降ろします。さっき見えた土浦港に行ってみようかな。隣接する三帆ひろばでラクスマリーナのヨットを撮影。見晴らしがよく気持ちがスッとします。

停泊するモーターボートを眺めながら港沿いを行くと、日本三大水天宮の水天宮に到着。水神宮と稲荷大明神と三社が並んで見送ってくれました。近くの出島状に湖に突き出た港町地区には湖岸道があったはず。ジョギングや散歩の人たちがちらほら。岸から釣り糸を垂らす人がたくさん。小さな船だまりの木造船の先に養殖さおや漁網もあるのは、漁をしていた頃の名残かな? 湖面を渡る風は、かすかに潮の香り。

おやつは「リンリンチョコ」

秋は土浦全国花火競技大会が開催される時期。今年も中止だけれど、会場付近の様子を見に桜川を上ってみましょう。桜川堤の右岸は歩行者と自転車のみ通行可能な道が整備され、自動車も通行可能な区間は、河川敷の道に降りられるので安心。約500本の桜並木の堤防は、昔からのお花見の名所で有名です。

港町から水郷橋のたもとを渡り、常磐線の橋梁をくぐり、桜川橋、匂橋、銭亀橋、土浦橋を通過すると学園大橋に到着。この辺りが花火大会の時は桟敷席になる場所です。来年は夜空に咲く大輪の花が見られますように。

広い河川敷で休憩。土浦駅前の老舗・高月堂で買った「リンリンチョコレート」でおやつタイムです。特産品のレンコンのチップ入りチョコは食感が楽しく、まろやかな甘さに癒されます。さあ、この後はどこに行こうか。町なか探検をしようか…。

自転車と泊まれる駅のホテル

日本で2番目に大きな湖・霞ケ浦のほとりにある城下町土浦市。世界に誇る「ナショナルサイクルルート」に認定された「つくば霞ケ浦りんりんロード」の玄関口です。JR土浦駅は日本で唯一のサイクリスト仕様のアトレ(「プレイアトレ土浦」)。部屋に自転車と泊まれる星野リゾートのホテルも開業しました。

サイクルウェアに身を包み、輪行バッグで改札口を通る人も多く、市内の店舗のサイクルラックにも、ロードバイクが停められている「自転車のまち」。

駅前の図書館に勤務していたころは、土浦が「自転車のまち」として変貌するのを他人事のように見ていましたが、次第に自転車ライフを楽しみたくなり、駅ビルの店で自転車を購入。小型自転車BROMPTON(ブロンプトン)は、折りたたんで車に乗せられる気軽さをとても気に入っています。

これから、土浦市やその周辺を自転車散歩した様子を「ポタリング日記」として記していきます。本格的な自転車乗りの方には物足りないと思いますが、ご容赦ください。(広報コンサルタント)

つくばFCレディース逆転負け、残留は最終節に持ち越し

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先制点を挙げる活躍をしたつくばFCレディース(青のユニフォーム)の古寺未佳(撮影/高橋浩一)

日本女子サッカーリーグのプレナスなでしこリーグ2部、つくばFCレディース 対 吉備国際大学シャルム(Charme)岡山高梁の試合が2日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催された。ホームゲーム最終節のつくばは1-2で敗れ、残留を決めることはできなかった。13節を終え、つくばは3勝1分9敗、勝ち点10で6位のまま。残留は次の最終節に持ち越しとなった。

プレナスなでしこリーグ2部 第13節
つくばFCレディース 1-2 吉備国際大学シャルム岡山高梁
前半 1ー0
後半 0ー2

今節は勝ち点10で6位のつくばFCと、勝ち点5で最下位8位の吉備国際大による下位対決。負けると後がない吉備国際大は、序盤からロングボール主体の攻撃でつくばに襲い掛かる。前線には抜群の動き出しを見せるFW西村や、スプリントに強いMF鵜木らをそろえ、どこからでも1本のパスでシュートチャンスをつくってくる。つくばはベテランの小田切美咲、ルーキーの渋谷巴菜によるCBコンビが高さと強さを発揮、吉備国際大の突破を許さない。

攻撃でつくばは、右MF岸川りなのクロスや左SB藤井志保のドリブル突破で、中央で待つFW古寺未佳にボールを集めようとするが、相手CB陣のマークも厳しく、効果的なパスを供給できない。

それでもゲームが落ち着きを見せるととともに、つくばが勢いを増してくる。先制点は前半38分、相手のゴールキックを右サイドで収めた岸川が、サポートに来た古寺にパス。ドリブルに入るかに見えた古寺は、ペナルティエリア外から意表をつくミドルシュート。このボールが相手GKの頭上を抜け、左サイドネットに突き刺さった。「追い風もあったので狙っていた。前を向けるタイミングが少なかったので、チャンスが来たら打とうと決めていた」と古寺。前半を1-0で折り返した。

右サイドから好クロスを連発した岸川りな(同)

後半、吉備国際大は選手交代やポジションチェンジで前線の枚数を増やし攻勢を強めてくる。必然的につくばは重心が後ろに下がり、前からのプレスがかけられず、前線と中盤の距離も開いてくる。つくばはFW大坪菜が古寺と縦関係をつくり、ボールのつながりを改善しようとするが、勢いに乗った攻撃を取り戻すことはできなかった。

後半38分、相手の波状攻撃からコーナーキックを与えると、このボールを中央で頭でつながれ、ファーサイドのFW古谷に蹴り込まれ、同点とされてしまう。さらに43分、左サイドのクロスからゴール前で混戦となり、最後はDF川名に決められ逆転。終盤の2失点で、引き分けでも残留が決まる状況をみすみす逃がすことになった。

失点を生んだ後半38分のコーナーキック(同)

「最も警戒していたセットプレーでやられたのが特に悔しい。相手FWとの1対1ではうまく対応できていた。混戦の中ではっきりとプレーすることや、あと一歩寄せることを徹底しなくてはいけなかった」と小田切。「前半は良い戦いができているが、後半は失点が増えてしまう。思うように戦えていないわけではないが、一瞬の隙を与えないことや球際の強さなど、練習からやっていることを徹底したい」とGKの稲葉寧々。

第13節を終え、最下位の岡山湯郷Belleとは勝ち点3、得失点9の差がある。「残留争いでは有利な位置にいるが、勝負に絶対ということはない。ぜひとも勝って終わりたいし、そのプロセスが来季につながる」と橋野威監督。最終節は10月10日、優勝を狙うバニーズ群馬FCホワイトスターとアウェーで対戦する。(池田充雄)

ホーム最終戦を黒星で終え、サポーターにあいさつするつくばFCレディースイレブン 

【かなわなかった自立生活】㊤ 準備進めた5年間

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宿泊体験中、車いすで介助者と一緒に買い物に行く蛯原千佳子さん

蛯原千佳子さんの死

約20年間、県内の障害者施設に入所していた蛯原千佳子さん(60)が、今年1月に亡くなった。蛯原さんは生まれつき重度の運動障害と言語障害があり、首から下は自分で動かせなかった。しかし、いつか施設を出て、地域で暮らしたいと強く願い、5年前から障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保、川島映利奈代表)の支援を受けながら、一人暮らしに向けて準備を続けていた。

しかし、蛯原さんの体力面や介助者不足などで、ほにゃらの介助者と一緒に一人暮らしの練習をするのは月1回が限度で、介助者が蛯原さんの介助やコミュニケーションに慣れるのに時間がかかった。介助者さえ増やせれば一人暮らしを始められる状況までいったものの、その間に、新型コロナの蔓延により、施設でほにゃら職員との面会も制限されてしまった。会えない期間が続く中、蛯原さんは体調を崩し、亡くなった。

「もう一度、地域で生活したい」

生前、蛯原さんはほにゃらの機関誌の中で、それまでの人生を振り返り、なぜ地域で一人暮らしをしたいのか、文章につづっている。

蛯原さんは小学校から高校まで養護学校に通うため施設に入所していた。高校時代は学校で生徒会活動をしていたが、施設の中で生活していたため、親から「社会性が弱い」と言われた。その頃から、「障害者はもっと外に出ないと、健常者に理解してもらえない」と感じていたという。

高校在学中に施設を退所し、家族と暮らし始めた。地元の大学生が運営する、障害児と健常児の交流会に関わりはじめ、会長になった。「学生と話すことで、障害に対する考え方を変えたかった」と、機関誌の中で蛯原さんは振り返る。

当時は地域で暮らしたい障害者は東京に引っ越すことが多く、蛯原さんも友人から「東京に来ないか」と誘われたこともある。しかし「茨城で生まれたから、茨城から社会を変えなくてはならない」という使命感から、茨城で生きていくことを決めた。仲間と一緒に障害者団体をつくり、「親が高齢になるなど、家族が介助できなくなったあとも、障害者が地域で暮らせる場所をつくってほしい」と、行政に働き掛けたこともあった。

40歳の頃、母親が体調を崩し、蛯原さんの介助ができなくなったため、施設に入所した。施設の中では限られた人にしか会えず、外出の機会も制限される生活だった。

それまで活動的だった蛯原さんは、おとなしくしていることができず、「もう一度、地域で生活したい」と思った。障害の進行により、以前より体は動かなくなっていたが、なんとか頬の筋肉でパソコンを操作できるようになり、2015年12月、「施設から出て、一人暮らしをしたい」というメールをつくば自立生活センターほにゃらに送った。

「一人暮らしを始めたら、今までの経験を生かして、障害のある仲間を支援したり、地域の人たちに障害について伝える活動がしたい」と蛯原さんは機関誌に綴っている。

車いすで散歩する練習から

重度障害者が介助者の介助を受けながら、一人暮らしをする場合、障害者自身が「今、何をするか」「夕食は何を食べるか」を考え、介助者に何をしてほしいか伝える必要がある。毎日、決められた生活リズムや食事の献立がある入所施設とは異なる。多くの障害者の一人暮らしを支援してきた自立生活センターには、障害者が一人暮らしを始めるための支援方法が蓄積されている。

一人暮らしを始める準備として、まず、介助者とのコミュニケーション方法や、介助者に指示を出して料理をする方法など、一人暮らしを始めるために必要な知識や技術を、すでに一人暮らしをしている先輩障害者から学んでいくのが一般的だ。蛯原さんから相談を受けた、ほにゃら事務局長で自身にも重度運動障害がある斉藤新吾さん(46)は、施設に通い、半年かけて一人暮らしに必要な知識などを伝えた。

一通りの知識を伝え終わると、ほにゃらが借りているアパートで、介助者のサポートを受けながら数日過ごす「宿泊体験」を始めるのが一般的だ。しかし、蛯原さんの場合、施設ではほとんどベッドの上にいて、自分の車いすも持っていなかった。そのため、まずは車いすを借り、介助者と一緒に施設周辺を散歩したり、近所に買い物に行くことから始め、車いすに何時間乗っていられるかを試した。施設からほにゃら事務所まで車で移動しても、蛯原さんが体力的に耐えられると判断できたことから、2017年8月から宿泊体験を始めた。

平均3~5年

宿泊体験を何泊から始めるか、最初から何人の介助者が関わるかも、本人の障害の状態や必要な介助内容によって異なる。ほにゃら代表の川島さん(39)は、「蛯原さんの場合、自分では体をほとんど動かせず、介助者が蛯原さんの体を動かす場合も、注意しないと関節に痛みが生じるなど、介助で注意すべき点も多かった。蛯原さん自身の体力がどのくらいあるのかも分からなかったため、1泊2日の宿泊体験から始め、少しずつ宿泊体験の日数や関わる介助者を増やしていった」と振り返る。

蛯原さんは24時間、介助を必要としていた。宿泊体験中、介助者が慣れるまでは、事故防止のためもあり、日中は介助者2人で対応した。夜間は介助者1人で対応したが、介助者は他の利用者の介助にも行く必要がある。また、それまで外出の機会が制限されていた蛯原さんは、施設からほにゃらまで片道1時間かけて車で移動するだけでも体力を使った。ほにゃらの介助者の勤務調整の面でも、蛯原さんの体力の面でも、宿泊体験は多くても月1回が限度だった。

リフトを使い、一人で蛯原さんの介助をできないか試行錯誤する介助者ら

インフルエンザが流行する冬は、感染予防のため施設から外出することが難しく、また蛯原さん自身が体調不良で入院し、宿泊体験を中止せざるを得ないこともあった。それでも2年2か月かけて、14回の宿泊体験をおこなった。その間に、どうしたら介助者1人でも安全に介助できるか、様々な方法を試し、その都度、蛯原さんの感想を確認しながら考え、蛯原さんに合った介助方法を確立していった。

川島さんによると、施設に入所している障害者が地域で一人暮らしを始めるまで平均3~5年かかる。蛯原さんが入所していた施設はほにゃらから離れていて、宿泊体験以外では月に1回ほどしか施設に面会に行けず、一人暮らしに向けての具体的な話をなかなか進められなかったことも、一人暮らしを始めるのに時間がかかった理由だと、川島さんは話す。(川端舞)

続く

料理を作らない人が味に文句を言う 《続・気軽にSOS》94

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【コラム・浅井和幸】「うちの旦那は、いつもは何も言わないで、おいしくない時だけ文句を言ってくる。文句があるのならば、自分で作ればよいのにと言ってやりたい。料理を全くできないのに、文句ばかり言うなとも言ってやりたい」

いろいろな場面で見られることですね。上司、親、子供、客、利用者、支援者、評論家などなど。自分ができないのに、人に言ってくるなという感覚も分かります。でも、自分ができないことは誰にも言ってはいけないとなると、完璧な人間でないと不満や指摘も伝えられなくなってしまいます。

なので、言う方と言われる方の関係性が良好であるかどうか、良い部分の指摘もできるかどうかということが、お互いが受け入れられるか拒否感を感じるかの大きな要因となるでしょう。

何か悪いところを指摘する方と指摘される方では、指摘をする方がちょっと上であるような、物事を知っているような、ちょっとした上下関係が生まれます。相手に嫌な思いをさせてまで、相手より自分の方が上だとして優越感に浸る。いわゆる「マウンティング」と言われるものでしょうか。有効的な関係を保つにはよくない、悪手ですね。

相手を打ち負かして勝ち誇る「論破」という言葉が、ネット上でもよく見られます。それは、知恵や知識を使って相手をやっつけるようなやり取りです。それで「論破」できれば、すべて自分の方が分かっている気分になれます。気分はよいでしょうが、それはとても危険なことです。

「あれ? そんなに言い切って大丈夫?」

どんなに頑張っても、人はすべてを知ることはできません。理論によって勝ったところで、現実に何かを組み立てるにはかなり荒っぽいものとなります。まるで、大きなコンクリートブロックだけで建築物を建てるようなものです。細かなところはガタガタで、見ていられないものです。

例えば、優しく人に接すれば、人は優しく接してくれる。「優しく接する」って具体的にはどうすればよいだろう? お互いが頑張って相手に思いやりを持てばよい関係がつくれ、否定はしないけれど、それを聞けば誰とでも仲良くなれるわけではないですよね。

「つくば市から水戸市に行き、おいしいリンゴを買ってくる」。文章にすれば簡単なことかもしれませんが、移動すること、おいしいリンゴを見分けることは簡単ではないと思います。もちろん、人によって何が難しいか、どこで支障が出るかは違ってきます。支障が出る部分をどのようにフォローするかで、ガタガタだった理論が実行に反映されるようになるのです。

かなりの知識人や論破王が、多くの人を納得させる言論をしても、その筋の専門家からすれば、「あれ? そんなに言い切って大丈夫?」と感じることも多々あります。本人がいないところで勢いよく批判をしているコメンテーターも、本人登場で急にトーンが下がり、歯切れが悪くなることも多々あることですよね。(精神保健福祉士)

つくばセンタービルの保存すべき価値示す 市民団体が報告書作成

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作成されたシンポジウム報告書を紹介する「つくばセンター研究会」共同代表の山室真澄さん(左)と冠木新市さん=つくばセンタービル正面玄関前

市のリニューアル計画に対峙

つくばセンタービルの価値はどこにあり、何を未来に残すべきなのかーつくば市がつくばセンタービルのリニューアル計画を進めようとしている中、見直しを求めている市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、「緊急討論!つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した報告書(A4版、64ページ)を作成した。

6月27日に研究会が開催した「ーエスカレーターは必要か」と題したシンポジウムの講演や討議の内容、参加者から寄せられたアンケート結果などを掲載し、リニューアル計画の問題点やつくばセンタービルの何を保存すべきかを示している。

報告書で鵜沢隆筑波大学名誉教授はつくばセンタービルの価値について「センタービルと不可分な存在としてのセンター広場が最も特筆すべき点として世界的に評価されている」とし、さらに広場の特徴について「広場に行くことを目的とした人でないと通らない、動線的に全く分離された広場」と解説している、磯崎さんの設計意図については「1階の広場と2階のペデストリアンデッキとの間で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとして理解できる」とし、市によるセンター広場へのエスカレーター設置計画に対して「エスカレーターのような設備がつくことで解決できる問題ではない」と指摘している。

その上で「広場に降りる動機をつくりだす」ための活性化方法を提案し、「広場を活性化させる新たな主役は当然、市民」だとして、市民が提案し、つくば市やまちづくり会社が市民の提案を実践して、出来上がったものを市民が享受する仕組みづくりや、具体的なアイデアを提案している。

筑波大学の加藤研助教は、つくばセンタービル建築当時を振り返り、磯崎さんが筑波研究学園都市建設をどのように見て、つくばセンタービルがどうして現在の設計になったのかを解説している。

神奈川大学の六角美瑠教授は、磯崎さんが設計したつくばセンタービルと水戸芸術館の運営方法を比較し、つくばの磯崎さんの設計意図を理解できるキュレーター(学芸員)の配置を提案している。

報告書ではさらに「貴重な広場は当初設計のまま残し活用すべき」だなどとする参加した市民の意見も紹介している。

研究会代表の冠木新市さんは「エスカレーターが必要か、必要でないかということだけでなく、つくばセンター広場を活性化するにはどうしたらいいのかなども提案しているので、ぜひ読んでほしい」と話している。

報告書は計約350部作成し、市長や市議会議員、市民のほか、全国の著名な建築家などにも配布しているという。冠木さんは「とても好評で、残り少なくなっているので、いま増刷を検討している」としている。

◆報告書は500円(カンパ)。問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)またはメール(tsukuba.center.studygroup@gmail.com)へ。

本サイトはスタートから4年に《吾妻カガミ》117

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左は編集室がある筑波学院大の建物、右は1階入口に立て掛けてある案内版

【コラム・坂本栄】このサイトがスタートしたのは2017年10月1日。それから4年がたちました。開始数日前の発表会見では、1日に何本の記事がアップされるのかとの質問を受け、平均3本を目標にしたいと答えました。コロナ禍でイベント類の記事は減りましたが、逆にコロナ関連を増やすことで、この目標はほぼ達成できています。これからも、元新聞記者、市民記者、大学生記者による記事、一家言ある識者のコラムをご愛読ください。

大学生記者の記事が大ヒット

9月には筑波大生記者の記事が注目されました。(A)ある団体がつくば市の公園で食料無料配布会を開こうとしたが、コロナ禍を理由に公園の使用が認められなかった、(B)この記事が掲載されたあと、記者が担当課に改めて理由を取材したところ、密回避を条件に使用を認めるとの連絡が団体に入った、(C)万全のコロナ対策をして配布会が開かれ、大学生や市民に大変喜ばれた―以上のような流れの3本です。

詳しくは「『公園が借りられない』 つくば市の食料支援団体」(9月15日掲載)→「一転、つくば市が使用を許可」(9月16日掲載)→「支援団体 感染対策を徹底」(9月25日掲載)をご覧ください。コロナ禍でアルバイト先が減り困っている学生、彼らを助けようとしている団体、規則だから公園使用はNOと言う市、当サイトの記事と取材を受けOKに転じた市。一連の記事は大ヒットし、書き込みコメントも増えました。

3本の記事は、本サイトの編集方針である(1)地域の話題を取り上げる(2)自治体の行政をウォッチする―に沿ったものです。これらに地域の方々が強い関心を持ち、結果、市を動かしたことになります。「NEWSつくば4周年」にふさわしい内容でした。

3コラムニストが再・新登場

土浦市を扱ったヒットコラムも紹介します。コロナ禍で花火大会が取り止められたことを受けて書いた「また中止された土浦の花火を考える」(9月20日掲載)です。私はこの中で、花火大会が事故で2度も中断されたことを踏まえ、打ち上げ場所を変えたらどうかと提案しました。これにはアクセスが多かっただけでなく、賛成論・反対論がコメント欄に書き込まれ、論争になりました。これも本サイトの役割ではないでしょうか。

コラムは原則毎日1本アップされており、こちらも本サイトの「売り」です。10月から、入沢弘子さん(広報コンサルタント、元土浦市立図書館長)とオダギ秀さん(コマーシャルフォトグラファー、土浦写真家協会会長)が復帰、秋元昭臣さん(元ラクスマリーナ=土浦港のヨット/ボート係留・遊覧船運行会社=専務)が新たに参加します。三方には、土浦とつくばを中心に、地域の魅力を全国に向け発信していただきます。

もちろん、つくばの総合運動公園用地問題、陸上競技場新設問題、センター地区再生問題など、市民の関心が強いテーマも引き続き取り上げていきます。また、土浦も現市長が公約した課題が動き出しますので、こちらもウォッチします。本サイトの情報が皆さまのご参考になれば幸いです。(NEWSつくば理事長、経済ジャーナリスト)

シェアサイクル「つくチャリ」実証実験 つくばで10月1日開始

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出発式で、試乗する自転車の脇に並ぶ五十嵐立青市長(左から2人目)ら=30日、市役所

シェアサイクル事業「つくチャリ」がつくば市のつくば駅と研究学園駅周辺で10月1日から始まる。50台の自転車を20カ所に配置し、利用者は20カ所の間を24時間、自由に行き来できる。公共交通を補完する新しい移動手段として、つくば市が3年間、実証実験する。

利用方法はスマートフォンに専用アプリをインストールし、メールアドレスやクレジットカード情報を入力して会員登録する。乗る際は、自転車に付いているQRコードをスマートフォンで読み込み、カギを開ける。

利用料金は15分77円(税込み)、8時間上限1500円(同)、支払いはクレジット決済のみ。

自転車は、昨年秋発売された「ルートワン」という新機種を1台約7万5000円で購入した。ペダルを踏み込む力でギアに内蔵されたシリコンを圧縮し、反発する力で楽にこぐことができる。電動自転車と比べ、充電する必要がない。

シェアサイクル事業を各地で実施しているエコバイク(東京都千代田区、結城耕造社長)が、市から委託を受けてシステムを運営する。事業費は自転車購入費を含め3年間で約2200万円。

市外からつくば市を訪れ、駅を降りて利用したり、市民が日常の足として使うことを想定している。初年度の21年度の利用想定人数は1日平均20人、22年度は27人、23年度は37人、24年度は50人。

同市では2000年から全国に先駆けてシェアサイクル「のりのり自転車」を実施したが、自転車が盗まれたり、放置されるなどしたため事業を取り止めた経験がある。今回は自転車をGPSで追跡できるなど、当時と比べ進化したIT技術を活用する。

30日、市役所で出発式と試乗会が催され、五十嵐立青市長、小久保貴史市議会議長のほか、自転車のまちつくば推進委員会委員長の渡和由筑波大准教授、エコバイクの結城社長、サイクルポート4カ所を提供するカスミの山本慎一郎社長、つくば駅周辺でシェアサイクルと連携したまちづくりを行うつくばまちなかデザインの内山博文社長らが参加した。

五十嵐市長は「つくば駅周辺では中心市街地の活性化や人流をつくり、研究学園駅周辺では公共交通を補完する。やりながら課題を検証したい」などと話した。

県内では、土浦、筑西、笠間市などですでにシェアサイクル事業が展開されているという。(鈴木宏子)