木曜日, 8月 5, 2021
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大震災10年後の山菜採り《県南の食生活》23

【コラム・古家晴美】ちょうど10年前、東日本大震災という大惨事に見舞われた。この地震は、多くの方々の命、家族、家、仕事、故郷を奪い、漁業・農業など第1次産業に携わる方々の生活にも深刻な影響をもたらした。 食との関わりで言えば、春秋の楽しみとされてきた野山での山菜やキノコの採取にも大きな打撃をもたらした。現在、店頭に並ぶキノコ類の多くは栽培されたものであり、野菜類とともに、セシウム含有量は基準値以下なので安全性が保証されている。 しかし、茨城県のホームページを見ると、昨年末(2020年12月25日)のデータによれば、県南地域では、石岡市の野生・・山菜であるコシアブラ(特に放射性セシウムの含有量が多いとされる)や、つくば市や石岡市の野生・・キノコの出荷が制限(実質的には禁止)されている。 どうして畑の野菜が大丈夫なのに、事故後10年近くもたつ森林の中の植物に食用にできないほどのセシウムが残留しているのか。専門外のことなので、理解が不十分な点があると思うが、その点あらかじめご容赦いただきたい。 吉田聡氏(放射線医学総合研究所2012)によれば、「大気中に放出されて地表に沈着した放射性物質の多くの部分は、様々な生物が共存する生態系であり、かつ人が木材、食糧、水、燃料を供給源とする森林・・に存在する。樹木やその落葉に沈着した放射性セシウムの73パーセントは深さ5センチでの表層土壌表層に存在するが、残りの部分は、より深い土壌と植物(主として樹木)である」(傍点は筆者)。 放出されたセシウムは森林に残留

農林水産業の再生へ 福島で祈念大会《邑から日本を見る》84

【コラム・先﨑千尋】福島の農協団体が13日、郡山市で東日本大震災復興祈念大会を開き、同県の農林水産業の再生に総力を挙げて取り組む決意を確認した。東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から10年になり、多くの報道がされているが、私も大会前後に現地に入り、取材した。同県の第1次産業は、震災と原発事故によって、農業が8割以下、林業が7割以下、漁業が5割以下にまで落ち込んだ。 大会は農協グループが主催し、県森連、県漁連、生協連などが共催。関係者約800人が参加した。菅野孝志・県農協中央会長は挨拶で「生産者の熱い思いを受け止め、担い手確保の支援対策や生産、加工、流通を一体的に確保する産地づくりに全力をあげる。福島の農林水産業の明るい未来のために、共に手を携えていこう」と呼び掛けた。祝辞では、全国農協中央会の中家徹会長が「安全・安心だというPR活動の展開や消費者対策だけでなく、流通対策も含めて復興支援に力を入れていく」と述べた。 決意表明では、飯豊ファーム(相馬市)の竹澤一敏社長、あかい菜園(いわき市)の船生典文社長、会津よつば農協の吉津紘二さん、陽と人(ひとびと、国見町)の小林味愛社長が登壇し、それぞれの取り組みを述べ、岩瀬農高の生徒たちが動画で発信した。 「地域の人たちに、変わらぬ『農の風景』を届けていくのが私たちの責務」という竹澤さん。「震災と台風、コロナなどの試練を乗り越えてきた。持続可能な農業を次世代につないでいく」と述べた船生さん。「地理的表示(GI)保護制度に登録された南郷トマトのように、福島全体の農産物が特別のものになっていけるように」と表明した吉津さん。「震災時は国家公務員だったが、福島応援のために福島で起業した。競争ではなく、共存共栄の考えで新しいことに挑戦していく」と明るい表情で語った小林さん。それぞれに若い人たちの強さとたくましさを感じ取ることができた。 「農業の復興なくして福島の復興はない」 協同メッセージの発信では、県漁連の野﨑哲会長が試験操業の終了を踏まえ、「操業拡大を図るには風評対策、流通の回復が最重要課題だ」と強調。県森連の秋元公夫会長は「森林・林業の再生を図る取り組みは緒に就いたばかりで、やめることなく進めていく」と述べた。消費者代表として登壇した県生協連の吉川毅一会長は「もう10年なのか、まだ10年なのか」と会場に問いかけ、「農業の復興なくして福島の復興はない。今後も『地産地消ふくしまネット』に結集し、皆さんと共に連携していく」と誓った。

「福島に輝く夜空と豊かな暮らしを知ってほしい」 つくばエキスポセンターで写真展

福島の自然と暮らしをダイナミックに捉えた公募写真展「ふくしま星・月の風景写真展」が20日から、つくば市吾妻、つくばエキスポセンターで開催されている。 展示写真は、郡山市ふれあい科学館が主催する「第5回ふくしま星・月の風景フォトコンテスト」の受賞作品。コンテストは、福島がもつ豊かな人の暮らしと、その頭上に輝く月や星の姿を、写真を通じて全国に紹介したいと、2008年に第1回の公募が始まった。18年の第5回目は、106人による351点の作品が全国から集まり、その受賞作品による全国巡回展が19年から開催されている。北は秋田、西は兵庫までを巡回し、今回のつくば市で47カ所目になる。 大賞には、満月をバックに遊ぶ母子を幻想的に捉えた丹野順子さんによる「月と遊ぶ」が選ばれた。「今までの(応募)作品にはない発想」だと審査員が絶賛した。特別賞の「仲夏の輝き」(田中 祐二さん)は、夜の田んぼを舞う蛍を長時間露光で捉え、その背景の暗がりに浮かぶ一軒家から漏れる光を対比させ、肉眼では見逃してしまう農村の美しい一面を視覚化した。その他、ダイナミックに満点の星や月を捉えた写真や、人の息吹を感じる作品が全40点展示されている。 大賞に輝いた丹野順子さんの「月と遊ぶ」 つくばエキスポセンターでは、これまで年に数回企画展を開催してきた。例年は体験型のイベントが中心だったものの、新型コロナウィルス感染防止の観点から、人との接触が少ない写真展開催となった。企画を担当する、つくば科学万博記念財団の徂徠裕子さんは、「美しい福島の写真を大人の方も一緒に楽しんでもらいたい」と来場を呼びかける。

10年目も被災企業に影 第2期復興・創生期間へ

信用調査機関、帝国データバンクは、東日本大震災発生直後の2011年3月から21年2月末まで10年間の倒産動向調査結果をまとめた。 震災被害が、直接または間接的な要因となった倒産は、10年間で県全体で122件発生し、負債総額は累計で478億4100万円となった。復旧・復興が進む中、8年目と9年目に各2件、10年目になっても1件の倒産が発生するなど、大震災と原発事故が現在でも企業経営に影を落としていることが分かった。 震災倒産のうち、累計件数で最も多かったのは「小売業」の26件、次いで「建設業」「製造業」「サービス業」が各21件、「卸売業」が18件と続いている。「小売業」の約半数(12件)は飲食店関係。 この傾向を同バンクは「震災による設備損壊や(原発事故による)風評被害で客足の落ち込みが長引き、借入金の返済猶予など資金繰り支援を受けながらも、売上回復や収益環境の改善につながらず倒産に至ったものと考えられる」と分析している。 今後の取り組みについては、政府は3月末に終了する「復興・創生期間」を引き継ぎ、第2期「復興・創生期間」を2026年3月まで定めるが、被災企業でも今後は本来の自主経営を求められることになる。 ただ現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営環境が激変している。これらの要因を背景に同バンクは「業界によっては震災前の水準まで回復しないことも想定され、11年目以降も震災に起因した『息切れ型倒産』のリスクがくすぶり続けるのでは」と予測している。(山崎実)

【震災10年】5 10年は区切りではない  古場泉さん・容史子さん

【柴田大輔】「原発災害は自然災害とは違う。10年で終わることはない」 つくば市で避難者同士の交流の場づくりに取り組む「元気つく場会(いい仲間つく浪会)」の共同代表・古場泉さん(65)が言葉に力を込める。避難者には、不安定な生活のなかで体調を崩す人も多くいる。 まるで世界が変わってしまった 泉さんとともに、会の共同代表を務める妻の容史子さん(65)も、避難生活の中で体調を崩した一人だ。現在も通院を続けており、制約のある生活を送っている。当初は不安定な生活の中で心のバランスも崩しかけた。震災後の10年を振り返り「まるで世界が変わってしまった」と話す。変化は体調だけではない。 「私にとって浪江の生活は、どこに行っても『こんにちは』って声掛け合う世界でした。それがいきなり知り合いの全くいない土地に。何も考えられなくなりました」 10年前、愛着ある自宅での、地域に根ざした生活が突然終わり、見知らぬ土地でのアパート暮らしが始まった。避難生活は、将来への不安と共に心身を圧迫した。周囲の人も同じだった。泉さんが振り返る。

【震災10年】4 今いる地域で働いて友達と遊べたらいい 宇名根悠樹さん

【柴田大輔】「あれを見ると、本当に『帰れないんだ』って実感しましたよね」 原発事故で双葉町から避難した土浦市の宇名根悠樹さん(22)は昨年11月、9年半ぶりに故郷に帰った。町から連絡を受け、小学校に残したままの荷物を受け取るためだった。12歳で東日本大震災に遭った。母校に向かう途中、フェンスで封鎖された自宅へ続く道を見た。隔離された自分の家に疎外感を覚えたと話す。 やりかけのゲームがあった 「僕は『もう帰らない』って覚悟を決めて出てきたわけじゃないんです。だから、このまま帰れないなんて思えないんですよね。なんか寂しいじゃないっすか」   当時は小学6年生で、卒業式を翌週に控えていた。4月には地元の中学に進学するはずだった。 「部屋にはやりかけのテレビゲームがあって、あと10分もやればクリアできたはずだったんです。最初は、それが本当悔しかったです」

【震災10年】3 止まった時間がやっと動き出した 森田光明さん・智美さん

【柴田大輔】つくば市で整体院を営む森田光明さん(53)は、趣味のバイクで時折、福島を走る。県境を超え、見上げる空や、流れる風景に目をやり、こう思う。 「地続きなので、そんなに他県と変わらないはずなんです。でも、福島に入るとなんだかいいなって。福島って、やっぱいいよなって思うんです」 父が独立した年齢を意識した 福島県双葉町の自宅は未だ、帰宅困難区域の中にある。49歳で勤務先の企業を退職し、避難先のつくば市東で2019年、妻・智美さん(46)とフォレスト整体院をオープンさせた。 10年前、父を津波で亡くした。悩んだときに背中をそっと押してくれる父だった。実直に働き家族を養ってきた父を「すごく大好きで、尊敬していた」と言い、「目標だった」と話す。光明さんは父の背中を見て生きてきた。51歳での開業は、造園業を営んだ父が独立した年齢を意識してのことだった。 光明さんは震災当時、福島第2原発に勤務していた。「泣きながら働いていた」というほど仕事に追われる日々だった。発電所内で揺れに遭い、避難所だった自宅近くの小学校で家族と落ち合った。だが、そこに父はいなかった。「100歳まで間違いなく生きる」と誰もが疑わないほど身体が強い人だったから「生きていれば、どんな状態でも帰ってくるはず」と思っていた。

【震災10年】2 浪江出身と言えなかった 原田葉子さん

【柴田大輔】「つくばに来て、やっと先が見えた気がしました」 夫、功二さん(44)が営む眼鏡店の2階で、原田葉子さん(44)が穏やかに話す。 福島県浪江町から避難中に経験した妊娠・出産、周囲に伝えられなかった自分のこと、未だ整理のつかない故郷への複雑な想い―。 震災は自身を取り巻く環境を大きく変えた。現在、つくば市学園の森の新興住宅地で新しい生活をスタートさせ、夫と長男の3人で暮らす。 「被災者」に後ろめたさ感じていた 「浪江出身」と伝えると返ってくる「大変だったね」「原発のとこだったんでしょ?」という言葉に、負担を感じていたという。葉子さんは、故郷の浪江町から避難し、5回、住む場所を変えてきた。その間、常に自分を「避難している人」だと感じていた。 「周囲の方に心配していただいて本当にありがたかったです。一方で、『被災者』だということに後ろめたさを感じていました」

【震災10年】1 つくばで100年の歴史をつなぐ 原田功二さん

東日本大震災から10年を迎える。福島原発事故から避難し、つくば、土浦で生活を再建しようとしている6人に話を聞いた。 【柴田大輔】「浪江に住み続けたい」と誰もがそう思える街をつくりたかった。震災は、原田功二さん(44)らが未来を見据えた街づくりの最中に起きた。 つくば市学園の森の新興住宅地に、元・浪江町商工会青年部長の原田さんは眼鏡店「グラン・グラス」を2018年にオープンさせた。真新しい店内だ。 グラン・グラス店内=つくば市学園の森3-10-2 地域おこしのさなかに起きた

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中腹の筑波山観光案内所をリニューアル つくば市

つくば市の五十嵐立青市長は4日の定例記者会見で、筑波山中腹の筑波山観光案内所(同市筑波)をリニューアルし、建て替え工事を7月末から来年3月まで実施すると発表した。オープンは来年4月の予定。 新築される案内所は建築面積274平方メートルで旧案内所の2.2倍の広さになる。施設は2階建て、木造一部鉄筋コンクリート造で、1階は機械室のみ、2階に案内スペースのほか、旧案内所にはなかった公衆トイレ、授乳室、周辺観光事業者などが利用できる会議室を設ける。 案内スペースに新たに、日本語、英語、中国語3カ国語のタッチパネル式モニターを整備し、登山ルート、周辺の宿泊施設、グルメなどの情報を案内する。案内所には今年4月からすでに英語で対応できるスタッフが常駐し広域の観光案内を実施しており、外国人観光案内所としてJNTO(日本政府観光局)のカテゴリーⅡの認定を受けた。建て替えにより、コロナ後の外国人観光客の増加を見据えて、外国人の案内機能をさらに強化するという。 新型コロナ前の2019年度の筑波山観光客数は年間約270万人。市観光推進課によると観光案内所利用者の約6%が外国人だったという。 旧案内所が築35年と老朽化していたことから建て替える。旧施設は今年1月すでに解体した。現在は向かい側の駐車場に仮設の案内所を建て業務をしている。 近くの筑波山梅林の隣接地には、案内機能を備えた2014年度建設の「筑波山おもてなし館」がある。役割分担について同課は、おもてなし館は休憩所や自然の展示機能、筑波山の入り口にある観光案内所は案内機能とするとしている。

黄金虫の運命 《くずかごの唄》90

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失業したひとり親や学生の雇用を促進 雇い主に交付金上乗せ つくば市

つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例記者会見で、失業したひとり親や学生を新たに雇用した市内企業などの雇い主に、市独自の雇用促進交付金を1人の雇用に付き最大15万円上乗せすると発表した。新型コロナの感染拡大により、就職が厳しくなっているひとり親や、アルバイト先が減少している学生の雇用を促進することが目的。4日から受け付けを開始した。 新型コロナ対策として同市は昨年6月から、失業者を雇用した市内の企業や個人などを対象に、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は一時金として1人雇用に付き最大20万円を交付してきた。週20時間以上、3カ月以上の期限付きで雇用した場合は1人最大10万円を交付している。学生アルバイトに対しては、週10時間以上勤務する学生を雇用した場合、1人最大10万円を交付している。 4日から新たに、ひとり親を週30時間以上、期限の定めありで雇用した場合は最大15万円、週20~30時間の場合は最大10万円を、これまでの交付金に上乗せして事業主に支給する。 学生アルバイトについては支給対象を拡大し、週10時間に満たなくても、週5~10時間勤務する学生を雇用した場合、1人最大5万円を事業主に交付する。 ひとり親を雇用する中小企業などへの支援については、国の制度として、ハローワークなどの紹介で、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は60万円、週20~30時間勤務の場合は40万円を企業に助成する特定求職者雇用開発助成金制度がある。 今回つくば市が拡充した制度は、国の助成対象にはならない、期限の定めありでひとり親を雇用する雇い主に交付するという。