土曜日, 5月 4, 2024
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アートで現代社会を切り取る美術家たち 21日までつくば市民ギャラリー

【田中めぐみ】主に県内在住の写真愛好家や美術家たちによる作品を展示した「フォトMAX美術展」が16日、つくば市民ギャラリー(同市吾妻)で始まった。21日まで。2015年から毎年開催されており、今年で6回目。20人の作家が、写真や絵画などジャンルにとらわれない現代アート作品31点を出展している。 主催者の佐々木元彦さん(アース808ギャラリー代表、牛久市)は、元は「週刊新潮」の報道カメラマンだった。仕事でアーティストを取材したのがきっかけで感銘を受け、40代でアートの世界に入ったという。同美術展には、過去の自分の写真や靖国神社に参拝する若者、絵物語作家の山川惣治作品などのモチーフをコラージュした作品「HISTORY(宇宙5秒の世界)」を出展し、宇宙から見れば短い人類の歴史を表現した。 「この美術展に出展する作品には特に基準や制限を設けていない。製作者の好奇心や感性、直観を大切にし、他の美術展には出せないような作品を出してもらっている。アートとは答えがないもの。表現したエネルギーや情報はその人の一部分であり、魂。魂には嘘がない。それが見る人に伝われば」と話す。 桜川市在住の大和田清さんは、「運転御法度時代考(高齢者・飲酒・ノーベルト)」と題した写真を出展した。5、6年前にもらい、家に置いてあったという人体模型から着想を得、運転席に乗せて撮影。高齢ドライバーや違法運転といった社会問題をコミカルに風刺した。「社会的な問題をテーマに、現代に合った作品を作ろうと思った」と話す。 清水牧夫さんが出展したのは、今年1月に渋谷で撮影した写真「STOP!COVID-19」。撮影当時は、日本初のコロナウイルス感染者が確認されたとの報道で世の中が騒ぎ始めた時期だったという。大きな口を開けた看板モデルと対照的に、被写体の男性は少し口元を気にしながら立っている。「まずは見ている人に足を止めてもらい、その後作者が何を思っているのか、立ち止まって考えてもらえるような作品を心掛けている。きれいなだけの写真ではなくて、何かメッセージを持たせたい」と語る。 布施谷敏子さんは、主催者の佐々木さんが講師を務める写真同好会「写心遊学クラブ」のメンバーで、5年前から写真を始めたという。「雨上がり」と題した写真は、絵のように見えるが加工ではなく、自分の影を写したもの。「歌舞伎座に出かけた時、外階段に出ようとすると水たまりができていて、偶然自分の影が映ったのを撮影した」と話す。外出していておもしろい光景があると撮影をして楽しんでいるという。 ◆フォトMAX美術展Vol.6「過去~現在~未来の自伝」 21日(月)までつくば市市民ギャラリー(つくば市吾妻2-7-5、中央公園レストハウス内)。開館は午前9時半~午後5時(最終日は3時まで)。入場無料。 問い合わせ:佐々木元彦さん(080-1210-1695)

【気分爽快 りんりんロード】2 土浦-岩瀬往復80キロを毎日走破 越後睦陸さん

【田中めぐみ】土浦駅付近から岩瀬駅までの「つくば霞ケ浦りんりんロード」をほぼ毎日、自転車で往復している元サラリーマンがいる。越後睦陸(よしたか)さん(73)だ。往復距離はおよそ80キロ。5時間半から6時間程度で走破する。 ヨットから自転車に 越後さんは、元は小型ヨット、ディンギーの愛好家だった。ディンギーは風が強くなると、傾かないように反対側に体重をかけてバランスを取る「ハイクアウト」という体勢で操縦する。船の外に体を出し、足で強く踏ん張るため、上半身と下半身の筋肉を使う。かなりの持久力も必要だ。この「ハイクアウト」でずっと体を鍛えていた。 1989年にクルーザーを手に入れた。霞ケ浦に臨む土浦港のヨットハーバー、ラクスマリーナに停泊し、以来25年間クルーザーで寝泊まりした。 ラクスマリーナは土浦駅から徒歩10分の距離にある。勤め先は都内だったため常磐線で通い、休みの日には家族と外洋に出て、大島に出掛けたり、途中の漁港で食事をしたりして楽しんだ。 その後、クルーザーを手放し、ディンギーにも乗らなくなった。今は家族とマンション暮らし。なまってしまった下半身を鍛えたいと5年ほど前から自転車に乗るようになった。 最初は普通の自転車で走っていたが、クロスバイクを手に入れてから走行距離が少しずつ伸びていき、土浦から岩瀬の往復が日課となった。越後さんの記録によると、昨年1年間の走行距離は2万6557キロに達する。 移り変わる四季を五感で感じる 毎朝、早朝5時に出発。りんりんロードの虫掛休憩所-藤沢休憩所-小田城跡歴史広場-筑波休憩所と過ぎて、出発地点からおよそ22キロ地点にあるコンビニに立ち寄ってコーヒーを味わうのが越後さんの習慣だ。 それ以外は水分補給だけでほとんど休憩を取らない。岩瀬までのコースの魅力は、日々刻々と移り変わる季節を五感で感じられることだという。 沿道の春は、梅のつぼみから咲き始め、桜の開花やウグイスの初鳴きを楽しむことができる。特に虫掛から藤沢休憩所の辺り、小田城跡から筑波山バスターミナル辺りの桜はアーチのようで絶景だ。 夏はアジサイや青々とした田んぼが美しい。ヘビが横切って驚かされることも何度かある。 晩夏からは初穂がだんだんと頭を垂れる様子が、秋が深まると筑波山の紅葉が目を楽しませる。冬には身が引き締まるような季節風を感じるようになる。 様々な種類の鳥や、派手ではないが美しい小さな花々も見え、日々小さな変化を感じるそう。毎日走っても飽きないという。 平坦で初心者向き グルメも魅力 土浦から岩瀬間は途中、傾斜もあるが、それほどきつくなく平坦で初心者向けのコースだと話す越後さん。 最近は女性のサイクリストも多くなってきたそうだ。途中、グルメを楽しめるのも魅力という。 越後さんのお薦めは筑波休憩所近くの「松屋製麺所」(つくば市沼田)。店内で食べられるだけでなく、ラーメンや、つけ麺の生麺とスープを買って帰ることができるため、よく立ち寄って購入する。 また、少し坂はきついが、りんりんロードから筑波山神社の方に少し上ると、かりんとう饅頭で知られる「沼田屋本店」(同市沼田)もある。手打ちそばと鴨料理が食べられる「鴨亭」(桜川市真壁町)もお気に入り。 土浦港から遊覧船に自転車を持ち込みクルーズする「広域サイクルーズ」を利用して潮来港まで足を伸ばすときは、「錦水」(潮来市潮来)でうなぎを食べるのが楽しみだそうだ。

【気分爽快 りんりんロード】1 「自分の世界広がる」髙山了さん

秋はサイクリングシーズン。コロナ禍で、密にならない身近な野外レジャーが注目されている折、「つくば霞ケ浦りんりんロード」をさっそうと走れば気分もリフレッシュできそう。昨年ナショナルサイクルルートに指定され、モデルコースは充実、レンタサイクルもある。日々、りんりんロードと周辺を走る地元の自転車愛好家に、魅力を聞いた。 ポタリングがおもしろい 【田中めぐみ】土浦市在住の髙山了(さとる)さん(73)は、「普段の足慣らし」として日常的にりんりんロードを走っている。 定年退職後、60歳から10年かけて、奈良からローマまでのシルクロード約2万キロを自転車で横断した経験がある。以前から日本の歴史や文化のルーツをたどりたいと考え、定年になり、シルクロードを自転車旅行する愛好サークル「シルクロード雑学大学」(事務局・東京)に所属し、仲間と共に走破した。 次の新たな目標は、日本の海岸線を一周すること。自らを「鉄っちゃん(鉄道ファン)でもある」という髙山さんは、自転車と鉄道を組み合わせて一周する計画を立てている。 日頃走る、りんりんロードの魅力について「りんりんロードを軸に、気ままに脇道に入ってポタリングするのがおもしろい」と話す。「ポタリング」は、目的地を特に定めることなく自転車でめぐる散歩のこと。気ままにサイクリングすると、思いもよらぬ発見があるという。 例えば、土浦に前方後円墳があることを知っているだろうか。りんりんロードの虫掛休憩所からほど近い「常名天神山古墳」(土浦市常名)で、なんと全長約70メートルの前方後円墳が見られる。 りんりんロードを外れ、筑波山麓方面に足を延ばすと行き当たる「六所皇大神宮霊跡」(つくば市臼井)も、髙山さんには発見したばかりの興味深いスポットだ。かつて筑波山神社の里宮とされ、現在は廃社となっている。往時どのような人たちがどのように神様を拝んでいたのか、時の流れに思いをはせるという。 「平沢官衙(かんが)遺跡」(同市平沢)で立ち止まってみるのも気持ちがいい。広々とした開放感を満喫できる。北条から筑波山への参詣道である「つくば道」は日本の道百選にも選出されており、古の情緒を感じるスポットだ。 都内から訪れた人を髙山さんが案内すると「こんなところがあったとは」と皆一様に感動し、必ず喜んでくれるそうだ。 りんりんロードを霞ケ浦湖岸沿いに下り美浦村まで足を伸ばせば、初めて日本人の手によって発掘調査が行われ「日本考古学の原点」とされる「陸平(おかだいら)貝塚」がある。史跡・文化に興味ある人におすすめのスポットが満載だ。 人も歩けば望に当たる 地元の人との交流も髙山さんの楽しみのひとつになっている。田植えの季節には農作業する人に声を掛け、田植え機に詳しくなったそう。土浦出身だが「地元でも知らないところがまだまだたくさんあり、りんりんロードは何度走っても飽きることがない」という。 「犬も歩けば棒に当たる」をもじり、「人も歩けば望に当たる」と笑う。望とは新しい希望という意味だ。地域の魅力を再発見することで、自分の世界が広がっていくのを感じると話す。髙山さんの言うように、風の向くまま気の向くままに自転車で行けば、新しい希望を見つけられそうだ。 初心者はすぐ買わない 「りんりんロードはよく整備されていて、都内の有名サイクリングロードと比べても格段に走りやすい」という。比較的空いているため初心者にも安全だが、いくつか注意点があるそうだ。 まず、自転車を始めるからと言ってすぐに買わないこと。自転車には様々な種類があり重さや値段もピンキリ。自分がどのように自転車に乗るのか、スタイルが定まらないうちは中古車を買って試したり、レンタサイクルを活用したりして様子を見ることが大事だ。 走り方のスタイルが定まったら、経験者や自転車屋さんに相談しながらどのような自転車が合うか吟味するとよい。 自宅に駐車スペースがない場合は折りたためる小径車もおすすめだ。また、けが防止のためにヘルメットを着用し、服装は長袖長ズボンとし、肌を出さないこと。ハンドルの滑り止め用の手袋をはめることも必要だ。 忘れがちなのが保険加入。対人事故の可能性も考え、自転車保険に入っておくことも忘れずに。サドルの高さ調整やペダルを踏む際ひざを平行に保つこと、ブレーキのかけ方などにもコツがある。初心者はけがにつながらないようよく勉強してから始めたい。髙山さんは「自転車の楽しみ方はいろいろ。人それぞれ見つけてほしい」と話した。(続く)

【語り継ぐ 戦後75年】① 6日から土浦で「2020原爆と人間展」

【田中めぐみ】広島市の高校生が描いた原爆の絵30点や写真パネルを展示し、戦争の悲惨さや核兵器根絶を訴える「2020原爆と人間展」が6日から、土浦市大和町の茨城県県南生涯学習センターで開かれる。9日まで、入場無料。 同展は被爆から60年の2005年から始まり、今年で16回目。主催する土浦平和の会の事務局長で、県平和委員会常任理事の近藤輝男さん(79)は、「展示を通し、核兵器の問題についてもっと多くの人に関心を持ってほしい」と話す。近藤さんに平和活動への思いを聞いた。 戦中・戦後、ひもじかった原体験 近藤さんは1941年、長野県飯綱町で生まれた。叔父は戦争で亡くなったという。親からも戦時中苦労した話を聞いていた。物心ついた頃は食べる物が少なく、ひもじい思いをした。田舎だったので、都会の人が着物を食べ物と交換しにくる様子もよく見たという。よく食べていたのはじゃがいもとご飯を混ぜた芋めしや、麦の割合が多い麦めし。 「肉が食べられるのは盆か正月だけ。飼っていた鶏や兎をつぶして食べた。かわいそうで殺せないので、人に頼んでやってもらっていた」 甘いものもなく、貴重品だった砂糖を母親が隠していたが、幼い近藤さんはそれを見つけては盗みなめしていたという。母は近藤さんに、赤ん坊だった近藤さんをヤギのミルクで育てた話をよくした。食べ物がないせいでお乳が出なかったという。大きくなってからもヤギのミルクを時々飲んだそうで「甘くておいしかった」と振り返る。 1964年、埼玉県川口市にあった資源技術試験所(現在の産業技術総合研究所)に入った。石油資源に関する研究に従事し、インドネシアやアメリカなど様々な国を訪ねた。オランダのアムステルダムに行った際にはアンネ・フランクの家を見学し、ナチスから身を隠すための隠れ家に通じる入り口を見て戦争の悲惨さを感じたという。 2001年から2005年はブラジルに滞在し、海底油田から採れる石油の質をよくするための研究に携わった。ブラジルにも日系ブラジル人の被爆者がいて平和活動を行っていることを知り、当時から平和活動に関心を持っていたという。ブラジルからの帰国後、仕事を引退し「土浦平和の会」で活動を始めた。 歴史から学び、社会構造の見直しを 国連は2017年、核兵器禁止条約を採択した。核兵器の全面廃止と根絶を目的にしている。50カ国が批准すれば効力を発揮するが、条約を批准した国は今40カ国であと10カ国。 「核を多く持つロシアやアメリカ、フランスといった大国が反対しているし、被爆国で賛成すべきはずの日本も反対している。戦争を体験している世代は年々少なくなり、後世に語りつぐ人も少なくなってきた。歴史を学び、戦争について知り、想像力を養わなければなけない。新型コロナウイルスの感染拡大、地球温暖化など、今までのやり方では人類が存続できない状況に差し掛かってきた。一人ひとりの行動変容が求められている。核兵器についても同じ。これから運動が広がり、これまでの社会構造を考え直すきっかけになるのではないかと期待している」 終戦から75年もの時が流れ、戦争を直接体験した人たちから記憶を聞くのが難しくなった。遺品や証言に接しながら昭和・平成と戦争体験を語り継いできた人たちも高齢になった今、世代を超えて戦争をどう伝えるべきなのか。NEWSつくばが8月に問いかけるシリーズを随時掲載する。

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(下) 『徒然草』の伝え

【田中めぐみ】土浦市内の小中学校、義務教育学校では今週から通常登校となった。土浦日本大学中等教育学校でもオンライン授業をひとまず終了し、通常登校が始まる。新しい学校生活様式はどのようになるのだろうか。 感染を防ぐ教室環境の整備 生徒も教職員も登校前に体温を測定し、登下校時や学校にいる間はマスクを必ず着用する。教職員にはフェースシールドの用意もある。昇降口や教室、職員室にはアルコールを置き、手指を消毒できるようにしている。手洗いの徹底、こまめな水分の補給も指導する。ドアの取っ手やスイッチ、階段の手すりなど生徒が手を触れる場所は教職員が1日1回以上消毒を行う。 さらに、教室はできるかぎり2方向の窓を同時に開けて換気しなければならない。しかし、これからの時期、雨風の強い日、蒸し暑い日は一体どうなるのだろう。マスクをしたままの活動は熱中症の危険もある。エアコンを適宜使用し、快適な教室環境を守りつつも感染を防ぐ配慮が必要となってくる。 制限される国語の活動 近距離で一斉に大きな声で話す活動はできない。国語の授業では全員一斉に大きな声で教科書を朗読したり、活用表を読み上げたりすることがある。今までは生徒たちに「もっと大きな声で言ってみよう」などと促していたが、このような音読活動はしばらく控えるべきだろう。 複数の生徒が近距離で話す活動も「密集」「密接」になるおそれがある。発表したり話合わせたりする活動は、これまでグループワークで行ってきたが、それも当面は見合わせることとなる。生徒が楽しみにし、毎年白熱する百人一首のかるたも現状ではできないだろう。 課題の提出・採点にオンライン利用 生徒同士が持ち物を共有したり、個人の持ち物に触れたりすることも良くない。これまでノートや課題などの回収を生徒に任せることがあったが、回収係の生徒を感染のリスクにさらすことになるかもしれない。回収用のボックスを作り、各自入れてもらうなどの工夫が必要だ。もしくはGoogle Classroom(グーグル・クラスルーム=課題のオンライン管理システム)を用いる。先月は作文の課題を配信した。 生徒は課題についての質問をチャット形式で教員に送ることができ、提出もオンラインでできる。採点結果やコメントもシステム内でフィードバックされるので感染の不安がない。 非常事態だからこそ学びを 兼好法師『徒然草』に「世に語り伝ふること」という段があり、高校2年生と読んでいる。冒頭に「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」とある。世の中で語り伝えられていることは嘘が多い、というのである。 また、こうもある。「よき人はあやしきことを語らず」―教養がある人は疑わしいことを語らない、と。『徒然草』の別の段には、発熱する疫病が流行しそれに伴って鬼を見たというデマが流れ、人々が騒然としたという記述もある。鎌倉時代に書かれたこの古典を、生徒らはどのように考えるだろうか。 テレビやインターネットに様々な情報があふれる今、子どもは放っておくとSNSや動画サイトなどで、特定の情報にばかりにアクセスしてしまう。不確かな情報が飛び交う中、必要以上に不安を煽(あお)られたり、反対に感染の危険性を軽視したりすることもあるだろう。 学校では様々な問題、課題に触れ、情報の扱い方について学んでいく。根拠を示した意見と感想の違い、一次情報と二次、三次情報の違いなど、様々な教科で考え、新たな視点を手に入れていく。自分を取り巻く状況について考え、問題を解決しようとする主体性を身に付ければ、フェイクニュースに躍らされることもない。また、もし身近に感染者が出てしまった場合、差別をしたり誹謗中傷をしたりすることは絶対にあってはならないことだが、正しい知識を持つことは偏見を防ぐことにもつながる。このような非常事態だからこそ、学ぶことには大きな意味がある。 今後、感染拡大の第2波、第3波の可能性もあるといわれている。オンラインの備えをしながら感染を防ぎ、より良い学校生活を送るにはどうすればよいのか。教材を通じて、生徒らと共に考えたいと思っている。

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(中)生徒の意外な一面

【田中めぐみ】授業で使用しているウェブ会議アプリにはチャット機能がある。チャットは、生徒自身の発信内容を教員にしか見えない設定にするか、生徒全員に見える設定にするか生徒側から選択できる。問題の答えや質問、意見を書いて送ってもらうこともできる。 この機能がとても良い。教室では普段あまり話さない生徒がこの機能を使って質問をしてきたり、驚くような良い答えを書いてきたりする。無口な生徒が気さくにあいさつしてくれることもある。教室の授業では見えなかった生徒の一面をオンライン授業で垣間見るようになった。 また、問題を解いていく際、設問ごとにチャットで答えを送ってもらうことでクラス全体の正答率が見え、どういった傾向の問題に弱いか、どこまで知識が定着しているかといったことも分かるようになった。理解度に合わせて問いかけや解説も変えることができるので便利な機能だ。教室での授業に戻ったとしてもオンラインの長所は利用し、並行して取り入れていく価値があると感じている。 友達と話したい アプリには少人数のグループに分けることのできる機能もあり、話し合わせたり、互いに発表をさせたりする授業も行った。 中学1年生は、学校で一度も授業を受けていない状態でグループセッション機能を使い、クラスメイトと顔を合わせた。授業の最後に感想を求めたところ、「友達と話せて楽しい」「もっとやりたい」という声が多く上がった。授業中に生徒が個々でチャットをすることは許可しない設定にしているため、友達同士のコミュニケーションに飢えているのだろう。 近くの席の友達同士で目を合わせたり、先生の言ったことにリアクションし合ったり、通常の学校生活が送れていれば当たり前に享受できたような些細なコミュニケーションが休校で一切無くなってしまっている。 一瞬で見渡すことできない 1クラスに30人以上の生徒がいる場合は、全ての生徒の様子をカメラで瞬時に把握するのは難しい。教室では一瞬で全体を見渡すことができるが、ディスプレイから個々を確認するのには時間がかかってしまう。できればせいぜい10人~15人ほどの小人数でやりたいというのが本音だ。 途中で生徒の接続が切れてしまうこともある。通信環境が良くなったとは言え、それぞれの状況によっては.カメラが消えたり、音声がとぎれとぎれになったりすることもあるようだ。頻繁にあるわけではないので許容範囲内だが、すべての生徒に平等、均一で安定的な学習の機会が与えられているとは言いにくい。高速大容量の5Gが普及すればこういった問題も解決するのだろうか。 デジタルストレス心配 デジタルストレスによる健康面も心配になる。勤務校では生徒の健康を考慮し、1コマ50分、1日4コマの授業を実施しているが、私自身2コマ連続で授業をやるだけでもかなりの目の疲れを感じる。 画面で共有するファイルの文字に注視しながら、カメラに映る生徒たちの様子に集中していると授業後は目がかすんでしまい、休み時間はしばらく目をつむっていることもある。授業以外の時間も準備でPC作業が長いせいもあるだろう。やはり紙の教科書やノートが目に優しいと改めて思う。 生徒たちの目も心配になり、読み上げて書かせるなどして、できるだけ画面ばかり見る授業にしない配慮をするようになった。数年前研修で聞いた、ICT先進校がデジタル黒板を取り入れた事例で、6時間目には生徒たちの目が疲れて授業にならないという話を聞いたことがあったが、それを今実感している。 依然として課題も多いが、非常時に学びの機会を無くさないこと、授業を止めず生徒と関わり続けることの価値を感じている。 (続く)

【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(上)伝え方を模索

【田中めぐみ】新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校により、勤務する中高一貫校で4月からオンラインでのリアルタイム授業が始まった。 学習用端末の普及で実現 土浦市の土浦日本大学中等教育学校で高校生に古文を教えている。文科省のGIGAスクール構想に先駆けて、本校では以前より生徒1人に1台ノートパソコンを支給し授業で活用していたことや、スマートフォンなどの普及で自宅でも情報端末に困らない環境にあることが後押しとなった。 通信ネットワークの問題はどうか。総務省の要請により、4月からドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯キャリアは容量超過後も50GBまで無料、テザリング=メモ=オプションも追加無料となった。自宅にインターネット回線がなくても容量超過を気にすることなく授業が受けられるようになり、こちらもクリアできた。 教材や課題はデジタルデータ化し、学校ホームページやクラウドにアップして共有する。生徒らは自宅のプリンターで印刷して準備し授業に臨む。中にはプリンターを持っていないという生徒もいるが、画面上で教材データを見てノートで解いている。 国語の教科ではどうしても大量の文字を読まなければならない。スマホから接続している生徒も多いため、最初は文字が小さくて見えないのではないかという懸念があり、「見えますか?」という問いかけを頻繁にしていたが、ピンチアウト(画面を拡大する操作)を使い慣れている生徒たちに特に心配はいらなかった。 教材をデジタル化 黒板やホワイトボードに書いたものを映すのでは見えにくいため、今まで板書して説明していたものをデジタル化する必要がある。教材の文章をOCR(印刷された文字をスキャナーやデジタルカメラによって読みとりデジタルデータ化する技術)でデータ化し、文を引用しながら要点を解説するスライドを作った。 だが、スライドではアドリブがきかない。生徒の様子を見ながら説明する順序を変えたり補足したりするのに、板書の方が良い部分もある。 スライドやPDFファイルにそのまま書き込む方法を考え、10年ほど前に買ったペンタブレットを出してきた。書き込みながら説明ができるように設定し、なんとなくの授業スタイルができあがった。 準備に長時間 教科指導におけるICT(情報通信技術)の活用ということが現実味を帯びて議論され始めたのは10年ほど前からではないだろうか。15年前はスマートフォンも普及しておらず、スキャナーやOCRなど電子テキストデータ化の技術も実用に足るレベルではなかった。当時はうまく認識しないソフトや周辺機器と格闘し、一晩費やしたことも一度や二度ではない。 それが今や一瞬だ。スマートフォンの進化にも比例する技術発達の恩恵をひしひしと感じる。新型コロナウイルスの感染拡大がもし15年前に起きていたとしたら、休校になっても泣き寝入りするしかなかったに違いない。 しかし、技術の進歩はあっても授業の準備にはかなり時間がかかる。プリントを印刷する時間が一切無くなったのは良い点だが、体感的に教室で行う授業準備の3~5倍の時間を費やしている。それでいてたくさんの情報を伝えようとすると難しい。通常の授業と同様の内容で一度はスライドを作ったものの、情報量が多くなりすぎていると感じてスライドの枚数を間引くこともあった。 生徒、教師、双方とも慣れていないせいもあるが、現段階ではリアルの教室よりも伝えられることが少なくなっているように感じる。 (続く) ※メモ【テザリング】モバイルデータ通信ができる端末を利用してPC、タブレットなどをインターネットに接続すること。

笑顔になるカヌー体験 土浦ラクスマリーナ、土日限定の予約プラン

【田中めぐみ】緊急事態宣言の全面解除を受け、子どもたちに少しでも笑顔になってほしい―と土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)がカヌー体験プランの提供を始めた。受付の換気やパーテーション、手指の消毒など感染対策を徹底し、5月から11月までの毎週土曜日と日曜日に実施する。 体験時間は漕ぎ方の練習を含めて1回45分。密集を避けるために1回につき3家族までの完全予約制となる。料金は子ども500円、大人800円(保険料、税込み)。足湯やシャワーもあり無料で利用できる。 ラクスマリーナでは2005年から年に4回「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦主催)という乗船体験イベントを開催してきた。障害の有無や年齢にかかわらず霞ケ浦に親しんでもらうことを目的としており、参加者はカヌーやカッターボートなどさまざまな種類の船に試乗できる。親子連れを中心に人気を集め、昨年5月の同イベントには約270人が参加。今年5月にも61回目の開催が予定されていたが、新型コロナの影響で中止せざるを得なくなった。7月、10月に予定されている同イベントも開催できるか見通しがたたないため、代わりとして少人数制のカヌー体験プランを企画したという。 同社の秋元昭臣専務は「子どもたちに少しでも元気になってほしい。カヌーに乗ることで霞ケ浦に興味を持つきっかけになれば。自分たちが飲んでいる水の水源でもあるのだから」と話す。 カヌー体験だけでは物足りない人に、追加料金500円でエンジン付きゴムボートに試乗できるオプションも準備。また、お弁当を持参すれば、体験の前後に施設内の芝生やテーブルを利用してピクニック気分も味わえるという。施設利用料が別途必要となるが、バーベキューやキャンプをしたり、レンタサイクルでりんりんロードを巡ったりするのもお勧めだという。 体験は毎週土曜日・日曜日の午前10時~10時45分、午前11時~11時45分、午後1時~1時45分、午後2時~2時45分の4回実施。それぞれ先着3組まで。 予約・問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)メール:info@lacusmarina.com

オンライン授業始まり中高生に笑顔 土浦日大中等教育学校

【田中めぐみ】新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が続く中、子どもたちの学習機会を確保したいと土浦日大中等教育学校(同市小松ヶ丘町、西山勝治校長)で13日、オンライン授業の配信が始まった。 「先生に会えてうれしい」 授業はオンラインビデオ会議アプリZoom(ズーム)を用い、月曜日から金曜日、1日に3時間ずつ行われる。生徒たちは自宅のコンピューターやタブレット、スマートフォンなどを使用して授業に参加。使用する教材は学校のホームページにアップロードし、生徒がそれぞれダウンロードできるようにした。 初日の月曜日はほぼ全員の生徒が授業に出席してディスプレイ越しに元気な顔を見せた。新入生の中学1年生の男の子は、1時間目の授業で今年度の目標やノートの取り方の説明を聞き、うなずきながらメモを取ったり教師からの問いかけに答えたりした。授業の終わりには「やっと先生に会えた。会えてうれしい」と笑顔で画面から手を振った。 オンライン始業式で校歌斉唱 同校では、朝のホームルーム活動も学級担任が配信して行う。また、主要教科の授業だけではなく体育や技術・家庭、音楽、道徳などの授業も配信している。 教務主任の藤田晃久教諭は「一方通行ではなく、教師から生徒、生徒から教師と双方向の授業になるようにしている。8日に行われた始業式では全校生徒およそ700人がオンラインで校歌を斉唱した。14日からは教員も在宅勤務で自宅からの授業配信が可能となった。新しい試みだと思う」と話す。 国語科の佐藤登貴恵講師は「Zoomでの授業はまだおぼつかないが、今回のような非常時でも教育活動が続けられるのがありがたい。生徒たちもオンラインだと平時の授業より発言しやすいように感じることもある。ただ、デジタルデバイド(【メモ】参照)によって、生徒が受け取る情報量に差があるのではという点が気になる。今後技術で解決していけたら」と意欲を語った。 今後の課題も 「楽しい」「テンションがあがる」など好感を伝える生徒がいる一方、職員室には教材をうまくダウンロードできないなどと訴える電話も多く入ってくる。Zoomの通信履歴をたどると音声が途切れたり、画面が固まってしまう例が報告されるなど課題もあった。 教員はそれぞれの状況に耳を傾け、できる限り個別に対応している。よくある問題について集約し、教員同士で情報共有しながら改善を重ねていくという。 【メモ】デジタルデバイド インターネットなどの情報通信技術(ICT)を利用できる環境にある者(地域)とそうでない者との間にもたらされる格差のこと。ここでは通信環境や機器の性能などによって生じる個人間の情報格差を指す。

例年より開花進む 筑波山梅まつり開幕

【田中めぐみ】第47回筑波山梅まつりが15日、筑波山中腹にある梅林(つくば市沼田)で始まった。暖冬の影響で例年より開花が進み、現在、紅梅は八分から九分咲き、白梅は二分から三分咲きの開花状況だという。 15日は開園式が催された。式典には五十嵐立青つくば市長のほか、振袖姿の第14代つくば観光大使らが参加した。五十嵐市長は「梅はもちろんすばらしいが渋滞の問題がある。今、県と一緒になって、一方通行にするのかパークアンドバスライドにするのか、協議会を立ち上げて取り組んでいる。(隣接の)フォレストアドベンチャーのコースも新しく追加された。これから筑波山をさまざまな体験ができるような場所にしていく。受け身の観光だけでは限界がある。いいものがあるので、エリアを面としてとらえ全体像を描いた上で、本当の意味で喜ばれる、愛される観光地にしていく」などとあいさつした。 毎年2月から3月にかけて約1000本の梅が花を咲かせる。こけむした筑波石の合い間に植えられた梅は筑波山地域ジオパークの見どころの一つとなっている。 市観光ボランティアガイド298の吉原一行会長は、今年は全体的に開花が早く、梅まつりの終わりの3月下旬まで花が持たない可能性もあると話し「ぜひ早めに見に来ていただきたい」と早めの来園を呼び掛けている。 龍ケ崎市から訪れた75歳の男性は「梅まつりには毎年来ている。今年は暖かいので咲くのが早い。開花状況を推測して来る人もいるので、これから来園者がもっと増えるのでは」と話した。千葉県から姉妹4人で訪れた72歳の女性は「毎年姉たちと来ている。梅というと水戸の偕楽園と思う人が多いが、私は筑波山が気に入っている。ここの梅は高低差があって、筑波山の自然の懐に抱かれているようなところがいい」と魅力を語った。 ◆梅まつりは3月22日(日)まで。会期中は毎日、梅緑茶の無料サービスがあるほか、土・日曜はつくば大使の出迎えがある。主催は筑波山梅まつり実行委員会とつくば市など。問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会) フォレストアドベンチャーがリニューアル 筑波山梅まつりの開幕に合わせて、梅林隣りのアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・つくば」がコースを新しくしてリニューアルオープンした。昨年12月からリニューアル工事のため閉園していた。今回のリニューアルでは、子ども向けの「キャノピーコース」が2コースから4コースに増えたほか、大人向けに難易度の高い「エキサイトコース」1コースが増えた。 リニューアル初日、五十嵐市長が新コースを体験。小学生から「市長がんばってー、落ちないでー」という声援を受け、「ありがとう」と答えながら揺れるつり橋を渡り、梅林の上を100メートル滑空するジップスライドにも挑戦した。 梅林の上を滑空するジップスライドは、筑波山梅まつり期間中のキャンペーンとして3月22日まで体験できる。事前予約が優先。詳しくは電話090-4755-7800(フォレストアドベンチャー・つくば)

親子で体験、パラスポーツに白熱 つくばで「2020」

【田中めぐみ】オリンピックイヤーに合わせて、市民がパラリンピックスポーツを体験するイベント「つくパラ2020」(カスミ主催)が9日、つくば市流星台、桜総合体育館で開かれ、親子連れなど多くの来場者でにぎわった。 皆が一緒にいきいき暮らせる共生社会を目指そうと、東京ガス、関彰商事が共催した。 会場には、白い目標球にカラーボールを投げ、どのくらい近づいたかを競うボッチャ、針のついていないピンを的に当てるハンドアーチェリーなど、5つの障害者スポーツの体験ブースが並び、親子連れなどが列を作った。 サッカー元日本代表で鹿島アントラーズの中田浩二さんが登場し、大勢の親子連れらが見守る中、車いすバスケットやブラインドサッカーなどに自ら挑戦。ゴールを決めると大きな拍手が起こった。 市内から参加した強瀬(こわせ)菜乃葉さん(11)と阿川凛央さん(11)は「学校でイベントのチラシをもらって参加したいと思い、誘い合って来た。卓球バレーが結構白熱した」と話した。同じく市内から親子で参加した伊藤朱莉(あかり)さん(10)は、別府花音(かのん)さん(10)と共に「ボッチャを体験してみたい」と挑戦し、体験後は「楽しかった」と顔をほころばせた。 主催者の小浜裕正カスミ会長は「つくば市はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを推進している。パラリンピックスポーツを体験する機会は少ないので、市民にもっと知ってもらおうと開催した。一企業としてこういう場をもっとつくって毎年毎年より大きな活動にしていきたい。つくば大会、茨城県大会などをつくっていけたら」などとあいさつした。五十嵐立青市長は「障害者スポーツの可能性は大きい。継続して地域に根付いて初めて意義のあるイベントになる」などと話し、盲導犬と歩行体験するデモンストレーションを見せた。 https://www.youtube.com/watch?v=wWIk4jptUfE&feature=youtu.be

異例の真冬開花 世界で最も大きな花 筑波実験植物園

【田中めぐみ】世界で最も大きな花の一つ、ショクダイオオコンニャクが18日、国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)の温室で開花した。これまで同園では5~8月に開花しており、真冬の開花は国内で初めて。開花期間は短く、咲いてから3日目にはしおれてしまう。 同園での開花は5度目となる。同じ株が連続して花を咲かせるのも国内初で、世界でも極めてまれな事例だという。 18日午後9時半現在、高さ2メートル32センチ、直径86センチでまだ開いている途中だという。虫を呼び寄せて受粉するため、動物の死骸に似た独特の臭いを放っている。 栽培計画担当の小林弘美さんは「ショクダイオオコンニャクが機嫌よく育つように皆で考え育ててきた。職員総出で手塩にかけて世話をしたことが開花の要因と考えている。しかし、開花スイッチがどこで入るかはまだ分かっていない」と話す。 絶滅危惧種で、インドネシア、スマトラ島の限られた地域にしか生えないサトイモ科の植物。同園では2006年に小石川植物園(東京都文京区)から株を譲り受けて栽培を始めた。02年から2年ごとに花を咲かせ、7年おきや十数年おきにしか咲かないとされていた定説を覆した。 今回は、昨年11月6日に67キロのコンニャクイモを定植。12月16日に地表に芽が出て、年明けの1月2日に花芽であることを確認した。18日、日没とともに花が開き始めた。 できるだけ多くの人に見てもらいたいと同園は19日から21日まで開館時間を延長し、午前8時半から午後5時まで(入園は午後4時半まで)開館する。開花までの成長の様子は同園ホームページで公開している。開花の様子のライブ配信も行う。入園料は一般320円。問い合わせは029-851-5159(同園) https://www.youtube.com/watch?v=MSdEkc-2uZY&feature=youtu.be ➡筑波実験植物園の過去記事はこちら

レトロな市街地と自然の魅力を体感 桜川遊覧船が「こたつ船」に

【田中めぐみ】風光明媚(めいび)な桜川の魅力を体感してほしいと、霞ケ浦で遊覧船を運航するラクスマリーナ(土浦市川口)が、桜川を遊覧するサッパ船(小型船)を就航している。桜川のサッパ船が1月から暖かな「こたつ船」となってお目見えした。 「こたつ船」は、土浦港にあるラクスマリーナから出航。桜川を遡上(そじょう)して土浦港に戻るルートで往復約14キロを約1時間かけて周遊する。船長の坪田哲也さんによると、冬は景色が遠くまで見え、ユリカモメ、カモなどさまざまな種類の野鳥を観察することができる。 河口付近から虫掛方面までの桜川沿いには約500本の桜が植えられている。春には「こたつ船」の暖かな船内で花冷えすることなく桜を楽しむことができるとあって毎年人気を博しているという。 ラクスマリーナ専務の秋元昭臣さんは「かつては桜川に貸しボート屋があり、ボートでデートをするのが若者の憧れだった。桜川には冬にしか見られない景色があり、この地域は筑波山地域ジオパークでもあるので、ぜひ船に乗って体感してほしい」と話す。 乗船し澄み切った冬の景色を満喫 13日、記者は「こたつ船」に乗船し桜川を上った。土浦港から霞ケ浦の沖に出ると冬の澄み切った空気の中、遠く南に牛久大仏が見える。やがて桜川の河口に入り、水郷橋、土浦橋、桜川橋、匂橋と4つの橋の下をくぐり抜けていく。匂橋は人と自転車しか通れない趣ある石橋で、映画のロケ地にもなったという。 橋を過ぎると真正面には徐々に筑波山が見え始め、鳥の群れが水面をたたきながら羽ばたいていく。レトロな市街地と絶景の筑波山、雄大な自然の魅力を感じた。 ◆桜川の「こたつ船」は毎年1月から4月まで限定。乗船料は大人1名3300円(税込み)、飲み物、お菓子付き。飲食物の持ち込みも可。午前10時から午後3時まで1日6便運航している。 ◆霞ケ浦の沖合を運航する86人乗りの定期観光遊覧船ホワイトアイリス号も期間限定で「こたつ船」となっている。乗船料は大人1570円、子ども780円。午前10時から午後4時までの運航。 問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)。 ➡霞ケ浦や桜川の水辺観光に関する過去記事はこちら

【霞ケ浦を遊ぶ】1年越しのリベンジへ 冬の味覚ワカサギ釣り

【田中めぐみ】記者は今年1月、土浦港―ラクスマリーナ(土浦市川口)のイベント「手ぶらでワカサギ釣り体験」に参加した。まったくの初心者、それも午前中限定の“腰かけ気分”では、懇切丁寧な指導にもかかわらず釣果はゼロの残念な結果だった。1年越しのリベンジへ、改めて体験イベントを振り返る。 エサの「サシ」にひるむ 2018年の霞ケ浦北浦のワカサギ漁獲量は177トンで全国第4位。ワカサギ漁の最盛期は10月から3月ごろで、寒くなる秋から脂がのってくるが、霞ケ浦では毎年、産卵期の親魚の保護のために春の禁漁期間がある。2020年は1月21日から2月末日まで。採捕禁止期間は産卵後の5月1から7月20日にも設けられている。 体験イベントは春の禁漁期を前にしての開催。旬のワカサギを狙って朝10時、続々とラクスマリーナ事務所前に人が集まってきた。本来ラクスマリーナ内は釣りの禁止区域だが、この日は特別に開放され、大人と小学生の子ども、合わせて25人が参加を予定していた。釣りは全くの初心者でも、道具類はすべて貸してくれるというので安心だ。桜川漁業協同組合の組合長、鈴木清次さんをはじめとする3人の組合員さんとマリーナの職員さん1人が指導についた。 釣り糸には釣り針が5つ付いており、それぞれの釣り針にピンク色の「サシ」というハエの幼虫をひっかけていく。自分で付けろと言われると少しちゅうちょするが、組合員さんがエサ付けも全部やってくれる。至れり尽くせりだ。 ゆったり時間が流れるだけ 桟橋に行き、いよいよ釣り始め! リールの使い方が分からないでとまどっていると職員さんが丁寧に教えてくれた。「気長な人より気が短い人の方が良く釣れる。気が短い人は釣るために試行錯誤するので釣れやすい。場所を変えるのもいいですよ」と聞き、どんどん場所を変えながらトライしてみることにした。 ほどなくして、近くで釣れたという人が出た。全長12センチほど。銀色の透き通った体がきらきらと美しい。確かにワカサギがいるようだ。「よーし、自分も!」と意気込む。 が、どんなに待っても手応えはない。そろそろとリールを回して引き上げてみるも、エサは付いたままだ。「ワカサギは暗く冷たいところにいる」という組合員さんのアドバイスを聞き、日陰に場所を変えてみた。しかし、やはり何の手ごたえもない。別の桟橋からは「釣れたー!」という女の子の声が聞こえてきた。 長い竿でチャレンジしている隣の男性2人も釣れないようで首をかしげている。 釣れなくとも水平線と青空を眺めているだけで心地よい。静かで冷たい空気の中、鳥が飛んでいくのを見ながら、釣り糸を垂れる。それだけで心が洗われていくようだ。ゆったりとした時間が流れる。なんとか1匹は釣り上げたい。ワカサギが隠れて居そうなボートと桟橋の間の日陰に場所を移した。 ワカサギヒットか 残り時間20分ほどになったころ、急にぐんっと釣り糸が引っ張られる感覚があった! 「あっ、ちょっと、待って!」 かなり強い力だ。しかし、落ち着いて対応しなければならない。静かに腕に力を込めていると、ふっと糸が緩まった。逃げられてしまったようだ。だが、ワカサギはこれほど強い力だろうか。そろそろとリールを巻いてみると、一番上の餌がない。やはり何かが食いついたのだ! 隣の男性を見ると、こちらの慌てぶりを見ていて互いに苦笑い。その後そのまま同じポイントで続けたが結局午前の釣果はゼロに終わった。姿は見えなかったが、それでも魚と1度は勝負できたという満足感があった。午前中のみの参加だったため、今回はここでタイムアップ。 午前は全く釣れなかった人も多かったが、組合長の鈴木さんによると、前年の同時期はよく釣れたのだという。釣れなかった人にも味わってほしいと、組合員さんたち自らが去年獲れたワカサギの冷凍をてんぷらにしてくれた。揚げたてのあつあつをいただく。 釣れなかったのが悔しく、帰宅して改めてワカサギの釣り方を調べた。エサを生きているように見せるために、動かしたり止めたりしなければならないが、自分のやり方は止める時間が短かったかもしれない。霞ケ浦の暗い水底で餌を狙って隠れすむワカサギに思いを巡らせた。 新年も1月11日に開催 今季、霞ケ浦(西浦)のワカサギは豊漁だそう。県水産試験場内水面支場(行方市)では、餌となるプランクトンが多かったことが原因とみている。大きさは例年よりやや小ぶりだが、痩せすぎているわけではなく味も例年とそん色ないという。 食べ方についても、霞ケ浦北浦水産事務所(土浦市真鍋)が12月、コミュニティーウェブサイト「クックパッド」にワカサギやシラウオ、エビなどを使ったレシピを紹介するページ「霞ケ浦北浦水産事務所のキッチン」を開設した。地元漁師の漁師飯や郷土料理、職員の一押しの料理25品のレシピを公開している。釣る前に食欲で釣られてしまいそう。 ラクスマリーナの「手ぶらでワカサギ釣り体験」は2020年も1月11日に開催される。定員10人、参加料は大人1000円、子ども500円、前日までに予約が必要。詳しくはラクスマリーナ(電話029-822-2437)まで。

筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。 書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。 『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む  並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。 「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。 「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。 記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。 本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。 「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。 物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。 高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。 ◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)

バリアフリーな演奏を楽しんで 土・日にカスミつくばセンターで音楽祭

【田中めぐみ】カスミつくばセンター(つくば市西大橋)で30日と12月1日の2日間、「ムシカヒストリア音楽祭」が開かれる。クラッシック音楽を通し、楽しみながら音楽の歴史を学ぶ体験型コンサートで、茨城県にゆかりのある演奏家を中心に2日間で約60人が出演する。0歳から大人まで年齢を問わず参加できるという。 振動で音を感じるインターフェースの装着体験も 30日には、箏(こと)や尺八、バイオリン、ピアノなどの演奏のほか、県立下館工業高校のジャズバンド部総勢25人が登場する。また、観客に楽器を持ち込んでもらい、舞台で一緒にパッヘルベルのカノンを演奏する体験型コンサートも行う。 12月1日には、聴覚障がい者にも音楽を楽しんでもらえるよう、音を振動で感じることのできる富士通のインターフェース装置「Ontenna(オンテナ)」20台を貸し出す。髪にクリップで装着して使用するもので、貸し出しは聴覚障がい者優先だが、健常者も体験が可能。オンテナ使用のコンサートは市内では初という。障がいの有無にかかわらず、全ての人にコンサートを楽しんでもらいたい考えだ。 また、7人のゴスペルユニットVOJA-tension(ボジャ・テンション)から榊原暁さん、朝日美貴さん、林夏葵さんの3人が出演。榊原さんはつくば市、朝日さんは日立市の出身。つくば市在住のフリーアナウンサー、鈴木もえみさんによる「くるみ割り人形」の朗読も行われる。 「自由・平等・友愛」がテーマ 音楽祭を主催する音楽通史ムシカヒストリアの代表小又史江さんは、クラッシック音楽をもっと気軽にリラックスした雰囲気の中で楽しんでほしい、と昨年からつくば市内でコンサートを企画し、開催している。小又さんは、「来年は自由・平等・友愛の理念に共感した音楽家、ベートーベンの生誕250周年に当たる。今回も自由・平等・友愛をテーマにして、演奏家と観客の距離の近いコンサートを目指した。障がいのある人も無い人も平等に音楽を楽しんでもらえるように工夫した。一つの価値観ではなく、いろんな感じ方で自由に音楽を楽しんでもらえたら」と話す。 イベントは、食品スーパーのカスミ(つくば市、石井俊樹社長)の「第27回『わたしの企画』応援します!」に採択された企画。同日にはXmas Town(塙千佳子代表)が主催するクラフトマーケットと音楽フェスティバル「Xmas Townつくば」の同時開催。2日間で約130店が出店するほか、屋外ステージでのライブも行われるという。 ◆ムシカヒストリア音楽祭2days 30日(土)午前10時~午後5時、12月1日(日)午前10時~午後4時半。会場はカスミつくばセンター(つくば市西大橋599-1)。入場料は100円(中学生以上、福祉事業に全額寄付)当日は研究学園駅から無料シャトルバスが運行される。 問い合わせは、カスミ環境社会貢献部(電話029-850-1824)

《学生インタビュー》22 サイクリングから史跡に興味

筑波学院大学(つくば市吾妻)は、学生が地域に出て社会貢献活動に取り組む「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」活動を行っている。同大学2年の志賀旭さんは11月9日、10日の2日間、かすみがうら市の指定文化財一斉公開で、一般向けに現地公開した文化財を案内するガイドのボランティア活動を行った。志賀さんに話を聞いた。 筑波学院大学 経営情報学部ビジネスデザイン学科2年 志賀旭さん   ―OCP活動でかすみがうら市歴史博物館を選んだ理由は? 歴史に興味があり、大学では一般教養として世界遺産や世界史、日本史の授業を選択して勉強しています。小学生のころから自転車に乗るのが好きで、大学生になってからはクロスバイクを買ってりんりんロードを走っているのですが、様々な史跡があって見て回るのがおもしろく、地域の歴史にも興味がわきました。それで文化財のガイドをしてみたいと考え志望しました。 ―11月の指定文化財一斉公開ではどのようなガイドをしたのですか。 長福寺(かすみがうら市下軽部)にある出島のシイの木のガイドをしました。この木は樹齢が760年くらいと推定されていて、県の天然記念物です。シイの木は行けば誰でも見られるものなので、他の特別公開の文化財よりも価値が低いように思われがちですが、自分は一目見てその大きさと迫力に心を奪われ、ぜひこの木のガイドやりたいと思いました。幹は7メートル、高さは15メートルあり、周りには弘法大師の像が建てられています。 ―ガイドをやってみてどうでしたか。 小学生から70代の方までたくさんの方が来てくれ、楽しく充実した経験でした。最初は緊張して早口になってしまい上手くできませんでしたが、シイの木の樹木医さんが「相手の話を聞くのもガイドの仕事の秘訣(ひけつ)」と教えてくり、見学に来た方の話にも耳を傾けるようにしました。出島のシイは文献資料が少なく、事前に勉強をする際に困ったのですが、自分よりも知識の深い方からいろいろな話が聞け、大変勉強になりました。ですが、まだまだ分からないことも多い。初日に、こちらが余裕を持ってガイドしないと見に来た人も不安になるということに気が付いたので、2日目からは落ち着いてガイドするようにしました。優しい年配の方が多く「ガイドが上手いね」とほめてくださることもあり、うれしく感じました。 ―将来の夢は? 自転車が好きなので何か自転車に関わる仕事ができればと思っていますが、未定です。世界遺産に興味があるので、海外に行って実際に史跡を見てみたいという夢もあります。母がタイ人で仏教徒なのですが、今回、真言宗の長福寺でガイドをさせていただいたことで、お寺や仏教への理解がさらに深まりました。勉強を通して母に歩み寄りたいという気持ちもあります。 (聞き手・田中めぐみ)

日本の四季や風景を中心に35点 土浦で「茨城写人会」展始まる

【田中めぐみ】写真愛好家サークル「茨城写人会」の写真展が新治ショッピングセンター「さん・あぴお」(土浦市大畑)2階ギャラリーで始まった。日本の四季をテーマとした風景や人物の写真35点を展示している。16日まで。 会の代表、石川隆史さん(46)は、県内の風景を手巻き式のフィルムカメラで撮影し、自ら現像したモノクロ作品4点を出展。「小学4年生からカメラを始め、30年以上続けている。デジタルカメラで撮ることもあるが、最初に手にしたのがフィルムカメラで、その良さにひかれ戻ってきた」とアナログ撮影の魅力を語る。やわらかい質感を表現するため、紙質やプリンターにもこだわっている。 鈴木憲治さん(72)は、20歳からカメラを始め、途中仕事で中断していたが定年後再び撮影を始めたという。「年をとっても楽しめるのがカメラの魅力。とにかく自分が美しいと思うものを展示している。自分たちが楽しんで作っているので、観る人も楽しんでくれるのでは」と話す。 土浦市内から来場した女性(70)は、「自分も友達もカメラをやるので興味があって見にきた。山歩きも趣味なので、行ったことのある場所が撮影されていておもしろい。表現がとても詩的できれい」と話した。 会は2002年に発足。元は市内のカメラ店を拠点に活動していた「PhotoGenix(フォトジェニックス)」という会で、2007年から「茨城写人会」に改称した。現在は40代から70代の会員9人が所属し、交流を深めているという。同写真展は毎年6月と11月に開催されており、今回で32回目となる。 開催は午前10時から午後5時(最終日は午後4時まで)。入場無料。問い合わせは代表石川さん(090-9017-9692)

【直売所めぐり】7 新米の季節、至高の卵かけご飯に出会う JA水郷つくば「さんふれつくば店」

【田中めぐみ】新米の季節。つやつやに炊き上げたご飯を何のおかずで食べようか? 秋のうれしい悩みだ。最高のお米とおかずを探しに、今回はつくば市研究学園、イーアスつくばの敷地内にある直売所「さんふれつくば店」を訪れた。 朝7時、産みたてだという卵を運んできたのは岡田養鶏場の岡田恒雄さん。小松菜、大豆、米ぬかなどの材料を発酵させたこだわりの自家配合飼料で育てた鶏の卵だという。「臭みがないので生で食べるのが一番。卵かけご飯がお勧め」と話す。新米が発酵卵と出会う至高の卵かけご飯。まちがいない、朝ご飯はこれで決まりだ。 卵の後ろ側には新米が並ぶ。スタッフの遠藤拓海さんによると、夏の台風や日照不足の影響で例年よりやや少ない出来で、値段も1キロあたり10円ほど高くなっているとのこと。先月から「新米はまだ? いつ?」と心待ちにするお客さんが訪れ始め、先月半ばに新米が並ぶと売れ行きは好調。下旬からは筑波山麓で作られたブランド米として名高い北条米も並び、人気を集めていると話す。1キロから購入可能で好みに合わせて精米してくれるのもうれしい。卵かけごご飯用に奮発して北条米の特栽品を購入し、精米してもらった。 遠藤さんの話では、外国人のお客さんが多いのが特色というつくば店。外国人に人気のナスやカボチャは見慣れない種類が6~7種類ほど、また、10種類以上のハーブや香味野菜が並ぶ専用売り場もある。ハーブは外国人だけではなく日本人にも人気で、週3回品出しするが、売り切れることも多いそうだ。 小玉スイカを運んできたのは大関水耕さん。主にレンコンを作っているという。「ハウスがあるので、秋に食べたい人もいるかなと思ってすいかを作ってみた。遊び心でね」と笑う。まだ値札のラベルは貼られていない。 「いくらですか」と聞くと、「悩んでいるんだよね、どうしようか。300円から500円くらいかなあ」。遠藤さんに「スイカはいくらだと思う」と相談している。生産者さんが自分で値段を決めているのが直売所のおもしろさだ。 秋は果実も見逃せない 「今は果物も美味しいですよ。特にナシ」とお勧めを紹介してくれたのはスタッフの高野たいさん。「ナシの甘太という品種は他で売っていないからと、わざわざ探して買いに来るお客さんもいます」と試食用に甘太を切ってくれた。同店では今年から出しているという甘太は、その名のとおり甘みが強い。果汁が多くやわらかめの果肉。ちょうど梨を品出ししていた井形克美さんによると今年の出来は上々とのこと。秋の果物も見逃せない。 スタッフの井上松子さんは「イーアスの敷地内にあるので若いお客さんが多い。カボチャの煮方やナスの食べ方を教えると喜んでくれ、次に来た時、あの作り方おいしかったよと言ってくれるのがうれしい」と話す。 「漬物の加工者さんからお客さんに手紙をもらったという話を聞いた。その後、偶然話したお客さんから『漬物がおいしくて生産者さんに手紙を書いた』と聞いてびっくり。手紙をもらいうれしく思う生産者さん、味に感動したお客さんがいて、それをつないでいるのが直売所だなと思った」と相好を崩した。 【サンフレッシュつくば店】 住所:つくば市研究学園C50街区1(イーアスつくばアウトモール内) 電話:029-828-8313 営業時間:午前9時~午後7時 定休日:なし(年末年始は休み) ➡直売所めぐりの過去記事はこちら

【霞ケ浦を遊ぶ】女性に人気のSUPヨガで土浦の魅力発信 開放感たっぷり、癒やしに

【田中めぐみ】水に浮かべたボードの上でヨガをする「SUP(サップ)ヨガ」が女性を中心に人気を集めている。ゆらゆら揺れる水面で行うため体幹を鍛えるエクササイズとしての効果が高いといわれる。ヨガを体験したことがある記者も数年前から興味を持っていた。今回、霞ケ浦で「SUPヨガ」のクラスが開講していると聞きつけ、早速参加してみた。 講師は石岡市出身の滑川織美(あやみ)さん。プロのボディーボーダーでSUPヨガインストラクターだ。霞ケ浦は海と違って波や風が穏やかなため、初心者も難なく楽しめるという。女性に人気のSUPヨガで、霞ケ浦の魅力を発信したいと考えている。 土浦駅東口近くに今年3月オープンしたばかりの「りんりんポート土浦」(同市川口)で待ち合せた。コインロッカー、シャワー室、トイレなどを完備し、無料駐車場がある主にサイクリスト向けの休憩スペースで、屋上には展望スペースもあり、県外客や市民の憩いの場になっている。滑川さんは「りんりんポートは土浦インターから約20分と交通アクセスが良い場所にある。トイレやシャワーが利用できるので、手ぶらで来て体験しシャワーを浴びて帰れる」と話し、この「りんりんポート」を自転車ばかりでなく、SUPヨガの拠点にできればという。 SUPヨガの「SUP」とはスタンド・アップ・パドルボードの略で、ボードの上に立ってパドルをこぎ水面を移動していくアクティビティ。ゆっくりとした動きで進むため、初心者でも簡単に楽しめるのが特徴だ。 この日、SUPを初めて体験する私のために、滑川さんは初心者向けでバランスの取りやすいボードを用意してくれた。ボードはレンタルできるので手ぶらでOKだという。ただし水に落ちたときに備えて水着着用が条件。水着さえ着てくれば、SUPヨガ用のウェアも貸し出してくれる。 体験場所は、ボードに乗って水に入りやすいスロープがある土浦新港。岸壁に囲まれ波が穏やかだ。 まずSUPの操縦の仕方、基本動作の説明があり、その後準備運動を行ってからボードに乗る。最初は座った状態でこぎ出し、ボードが進み出してから立ち上がるのだが、落ちるのではという恐怖感がありうまく立つことができない。行きたい方向を見る、遠くを見るといったコツを教えてもらい、パドルの使い方についても指導を受けると徐々に慣れてきた。 確かにコツをつかめば簡単で、パドルの使い方に慣れたころには恐怖感は一切なくなっていた。湖面はとても静か。滑るように進むボードの上で徐々に気持ちが穏やかになってゆくのを感じる。目線を遠くにやると、土浦港を出入りするボートやヨットで遊ぶ人も目に入る。開放感たっぷりだ。 港湾の真ん中までこぎ出し、いよいよヨガのレッスン開始。まずはボードをまたぎ、足を水に浸けて水温を確認する。この日の気温は高めで汗ばむ。水温も温かく気持ちがいい。透明度も意外と高く、パドルで確認してみると80センチ程度の深さまで見えるようだ。水に落ちて泳いでみてもいいかなという気分になる。 最初に四つんばいになりポーズをとる。陸上で行うヨガと同じポーズも、水の上では体幹の強さが必要で、体幹がかなり鍛えられるのが分かる。続いてお尻を空に突き出して足と腕とボードで三角形を作る「犬のポーズ」。水面ではぐらぐらするのでいつも以上に集中力が必要だ。呼吸を整えることを忘れず、心地よい風を感じながらゆっくりとヨガの動作を行う。最後は立ちポーズにもチャレンジ。合掌であいさつして終わった。 SUPは愛犬と一緒に楽しめるのも醍醐味。滑川さんの愛犬も途中からボードに乗って霞ケ浦を満喫していた。水辺が好きなワンちゃんが居たらぜひ一緒に楽しみたい。 レッスン後はりんりんポート土浦に戻り、シャワーで汗を流す。シャワーは30分200円。ドライヤー、ボディーソープ、シャンプーもあり、快適だ。 ◆SUPヨガはSUPボード、パドル、ウェアのレンタル込みで2時間4000円。レッスンは予約制で、毎週日曜日と月曜日に開講している。霞ケ浦は海と比べて穏やかだが、天候によっては中止する場合もある。予約・問い合わせは電話080-2370-9848(滑川さん)。メール 2019.beach.life@gmail.com。フェイスブックhttps://www.facebook.com/ayami.namekawa。インスタグラムhttps://www.instagram.com/ayami_namekawa/ ◆土浦新港を使用する場合は許可が必要。問い合わせは指定管理者のラクスマリーナ(電話029-822-2437) ◆りんりんポート土浦は土浦市川口2丁目13番25号、開館時間は午前9時から午後6時。 ➡「霞ケ浦を遊ぶ」シリーズの過去記事はこちら ➡りんりんポート土浦の過去記事はこちら

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