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創薬研究に産学連携拠点 筑波大 クライオ電子顕微鏡お披露目

筑波大学生存ダイナミクス研究センター(TARAセンター、つくば市天王台、林純一センター長)は16日、クライオ電子顕微鏡施設のオープニングセレモニーを開いた。競争激化する創薬研究で必須となっている構造解析に不可欠な装置で、セレモニーには研究者ばかりでなく産学官の関係者が集まり、研究の加速、利用の拡大への期待を語った。つくばにおける2号機、3号機となる2台がお披露目された。 クライオ電顕は、液体窒素温度条件下(クライオ)でタンパク質などの生体分子に対して電子線を照射し、試料の観察を行うための装置。タンパク質の立体構造を高分解能で決定する手法として、目覚ましい技術革新を遂げている。2017年その開発に貢献した研究者3人にノーベル化学賞が授与された。以来、日本でも関心が広がり、つくばでは2018年4月に高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所に最初の1台が導入された。 タンパク質の構造解析に威力 TARAセンターには、電子を200キロボルトと300キロボルトにそれぞれ加速する2台の装置が導入され、このほど稼働を開始した。国の2020年第3次補正で総額32億円、全国3拠点に6台のクライオ電顕を措置したうちの2台。新型コロナウイルスや創薬研究のための構造解析に向けた基盤構築を早期に実現するのを目的に、日本医療研究開発機構(AMED)が導入先を選んだ。 導入を指揮した岩崎憲治教授らによれば、クライオ電顕は試料を凍結したまま観察することができるため、タンパク質などの壊れやすい生体高分子、特に分子量の大きなタンパク質複合体の観察に適しているという。創薬研究では治療の標的物質に薬が「くっつくか」の見極めが極めて重要で、特に結晶化というプロセスを介さずにタンパク質の立体的な構造解析が可能なクライオ電顕の可能性は大きい。 装置や撮影技術の高度化の一方、測定試料の事前調製に精緻(せいち)な作業と膨大な労力が必要なのが課題だ。タンパク質の構造決定で自動化が実現すれば、下処理などにかかる回数や時間の大幅な改善が期待できる。遠隔化が可能になればパンデミックのような状況でも研究が継続できると見られている。 本格運用は7月から 今回導入の2台はともに日本電子(本社・昭島市)製。セレモニーであいさつした同社、栗原権右衛門会長は「世界でクライオ電顕を手掛けるメーカーは2社しかない。出遅れていた米国社にようやく追いつき、自動化、リモート化で盛り返してきた。わが社がYOKOGUSHI(ヨコグシ)と呼んでいる産学連携のいっそうの推進を図りたい」とした。 KEKの千田俊哉構造生物学研究センター長は「KEKでも今回、実験棟を新設、クライオ電顕を移設した。筑波大、物質・材料研究機構と組んで立ち上げたTCEF(クライオ電顕フィート)チームで、利用の一体的な体制整備を進めたい」とした。つくば地区に研究所を構える製薬メーカーからは「勘や経験に頼っていた探索にビッグデータやAI(人工知能)を活用する時代。クライオ電顕の共同利用に期待は大きい」との声も聞かれた。 岩崎教授は目標として稼働の50%を企業支援に当てたいとする一方、「大学は教育機関なので、学生やインターン、電子光学を志す専門家の研修にも役立たせていきたい」とした。筑波大では6月ごろまではトライアル期間として、7月以降課金しての本格運用を目指している。(相澤冬樹)

21日で解除を要請 茨城県 まん延防止重点措置

21日で期限を迎える茨城県に対するまん延防止等重点措置の適用について、大井川和彦知事は15日、21日までで解除するよう国に要請したと発表した。 県内の新規感染者数は高止まりが続いている一方、高齢者の3回目のワクチン接種が進み、病床稼働数は2月下旬から減少し低い水準を維持していること、社会経済活動に与える影響を総合的に判断したとしている。 今後の対策の在り方については、飲食店を中心とした経済活動の制限は効果が薄れてきており、ワクチン接種対象でない未就学児や、接種が開始されたばかりの児童に、対策が移ってきているのではないかとの見方を示した。 保育所や小学校で幅広い検査再開 現在の県の感染状況については、新規感染者数が前週と比べ1.02倍と高止まりし、自宅療養者数も若干増加傾向にあるとした。 要因として、特に小学生や未就学児など20歳未満の感染が増えているとし、それが家庭内で親の世代まで広がり、全体として感染者数が減らない状況にあるとした。 対策として、検査能力が足りず一時中断していた濃厚接触者以外の幅広い検査を16日から保育所や小学校などで再開し、検査を徹底して症状がないケースも早期に発見するとした。 さらに職場などのワクチン接種を促進するため、4月中旬までに職員全員の3回目の接種が完了するよう、企業や大学などに接種の促進を要請する。 「いば旅あんしん割」を再開 重点措置の適用が21日までで解除になった場合、飲食店への営業時間短縮要請を解除する。 観光事業者を支援するため、県内に宿泊の際、割引が受けられる「いば旅あんしん割事業」を再開し、16日から予約を再開する。ただし期間は今月31日まで。4月以降の利用は国の補助金の延長が決まり次第、改めて発表する。今回「あんしん割」を利用できる条件は、3回目のワクチンを接種済または検査で陰性の県民。 年度末、年度始めは人の移動がひじょうに増える時期であることから県はさらに、歓送迎会などの会食は少人数、短時間とする、花見は2メートル以上の距離を確保し、会話の際はマスクを正しく着用するーなどを呼び掛けている。

「気軽に豪華なキャンプ」を記者が体験 19日、土浦にオープン

グランピングヒルズ「アウテラス茨城」 「気軽に豪華なキャンプを楽しむ」をコンセプトに、全棟独立型で完全プライベート空間を実現したグランピングヒルズ「アウテラス茨城」(にしがき、本社・京都府)が19日、土浦市東城寺にオープンする。関東平野を見渡す山の斜面に、白いドーム型テントと、コテージが点在する。都心から車で1時間、土浦、つくば市街地から10キロほどの場所にある。周囲には、県内外から多くの観光客が訪れる筑波山や、パラグライダー、ハンググライダーなどスカイスポーツが楽しめる朝日峠がある。 家族で気軽に ペット同伴も オープンに先立ち、メディア向けに施設が公開され、記者も宿泊体験をした。 以前からキャンプには関心があったが、テントをはじめとする装備をそろえたり、設置したりといった手間を負担に感じていた。それがここでは着替え一式あればよく、バック一つで気軽に行くことができる。 記者が泊まったのはドーム型テント。幅約8メートルの窓からは、周囲の山と関東平野を見渡せ、床はカーペット敷きで、そのまま寝転ぶこともできる。各部屋にある専用浴室で、いつでも汗を流すことができるのもありがたい。たき火セットもレンタルでき、夜は各棟でさらにキャンプ気分を満喫できる。 遮音性にすぐれたコテージもあり、小さな子どもがいる人も安心して泊まることができる。犬同伴で宿泊ができる「コクーンテント」は、犬が走り回れる屋外スペースや、犬用アメニティも準備されている。「ペットと泊まれる場所が少ないという飼い主たちの思いに応える取り組み」と、アウテラス茨城の広報、森下めぐみさんは話す。 豊富な地元食材を堪能 バーベキューは、食材の準備、火起こしや加減の調節、後片付けなど、手間がかかる。ここでは、各部屋のダイニングキッチンにはバーベキューコンロが設置され、届けられた食材を焼くだけでよい。 食材は常陸牛、ローズポークのスペアリブ、土浦産レンコン、貝類など、豪華な茨城の味を堪能できる。アヒージョやラタトィユなど、手のこんだ料理もスキレット(鉄製のフライパン)ごとコンロに入れるだけ。後片づけも任せられるので、家族や友人とゆったり過ごすことができる。ビールやハイボール、つまみなどをそろえた無料のフリードリンクバーもある。野菜をたくさん食べたい人は、共有スペースに用意された茨城産の野菜(無料)を部屋に持ち帰り、焼くこともできる。 素泊まりプランで、好みの食材を持ち込むなど、予算や場面に応じて自由な楽しみ方も可能だ。森下さんは「女子会などでも気軽に使ってほしい」と言う。このほか、ピザづくりやヨガ、貸し切りサウナなども体験できる。幅広い年齢層が楽しむことができる。 ポテンシャル高い地域 新型コロナ対策に関し、森下さんはこう話す。「当施設は全棟独立型で、他のお客様との接触も少なく24時間換気を行っているので、比較的安心してご利用いただけるのではないかと思います。希望によっては、チェックイン、チェックアウトをそれぞれのお部屋で行うこともできますし、食材も冷蔵庫に入れておくなどして、接触を減らすことも可能です」。こうした機能的な背景から「コロナ禍でもグランピングの需要は伸びている」という。 全国グランピング協会によると、新型コロナ感染拡大により影響を受ける中小企業への支援策として2021年3月から始まった事業再構築補助金制度には、200件以上のグランピング事業が採択されており、コロナ禍、グランピング施設の増加が予想されているという。 「この地域は首都圏からのアクセスが良く、気軽にアウトドアを楽しむ機会をつくりたい」とし、森下さんは地域の魅力をこう話す。「霞ケ浦も筑波山も近く、豊かな自然と、山と海の食材が豊富な茨城は、ポテンシャルの高い地域。そして何より人がやさしい。そこに助けられている。皆さんに支えてもらい、私たちも茨城に貢献できたらと思っています」。(柴田大輔) ◆客室は全15棟、それぞれに冷暖房が完備され、シャワー・バスルーム、トイレ、個別食事スペースがついている。料金は、1泊2食付きグランピングBBQプランが2万3430円から(消費税込み)、素泊まりが1万2980円から(同)。予約や詳細は、公式サイトにて。また、その他の問い合わせは、電話050-3198-5845にて受け付けている。

一般会計1千億円突破 4年連続で過去最大更新 つくば市22年度当初予算案

つくば市の五十嵐立青市長は3日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比13.2%増の1015億3200万円となり、初めて1000億円を突破し、4年連続で過去最大を更新する。特別会計などを加えた総額も同比8.5%増の1622億6700万円となり、こちらも4年連続過去最大となる。 BMXコース、スケボーパークなど整備 児童生徒数の急増により、研究学園小中学校(44億9200万円)、香取台地区小学校(22億7300万円)、みどりの南小中学校(22億5000万円)の3校の建設を進めるのが主な要因。さらにみどりの地区に屋内温水プールを建設し24年4月のオープンを目指す(11億1900万円)。給食センターも2020年に谷田部地区に新設したばかりが、足りなくなる見通しであることから、新桜学校給食センターを新設するための設計を実施する(3800万円)。 主な新規事業は、廃校となった旧筑波東中学校にBMX(自転車のモトクロス競技)コースなど自転車拠点(2億2300万円)と、ジオパーク中核拠点(1億5000万円)を整備する。さくら運動公園北側の流星台に2023年4月オープンを目指しスケートボードパークを整備する(5400万円)。 さらに筑波山ふれあいの里を魅力あるアウトドア体験施設とするためキャンプ場改修の設計を実施する(1500万円)ほか、市北部の廃校を文化芸術創造拠点とするため基本計画策定や改修を実施する(1300万円)。 課題となっている最終処分場は、焼却灰などの最終処分を委託している下妻市内の民間最終処分場が満杯になり受け入れができなくなることから、4月から山形県米沢市に加え、新たに青森、秋田県内の最終処分場に処分を委託する。これにより最終処分費が前年度と比べ8600万円増え、4億1100万円になる。一方、ごみ減量のため生ごみ処理容器購入補助金を3倍に増やし500万円を計上する。 コミュニティバス「つくバス」(4億1200万円)は、実証実験を行っていた茎崎地区の路線バスをつくバス路線とするほか、上郷シャトルを増便する。筑波地区の支線型バス(4900万円)は4コースのうち3コースを廃止し1コースのみで本格的に運行する。新たな実証実験として、学園の森を経由する石下-土浦路線と松代地区の路線バスに2路線に負担金(760万円)を出す実証実験を行う。 昨年12月、計画を大幅に見直したつくばセンタービルの改修は、市民活動拠点の整備工事などに2億6700万円を計上する。エスカレーター2基の設置などが無くなったが、全体事業費は9億円で、当初より約8000万円安くなるにとどまるという。 コロナ対策としては、昨年暮れ、子育て世帯臨時特別給付金10万円の給付を受けることができなかった離婚家庭の子供などに市独自に10万円を給付する(給付金2400万円)。中小企業の販路拡大補助や雇用促進支援など経済支援を継続し1億3800万円を計上する。 ほかに、市民に正しい情報を発信するためとして、市政情報を深く知ってもらうための「かわら版」の発行回数を増やすほか、動画によるかわら版チャンネルを制作・配信などする(6400万円)。 一方、歳入のうち市税収入は、人口増加に伴う個人市民税や固定資産税の増加により前年度当初比5.5%増の約484億7500万円を見込む。前年度当初はコロナ禍により税収が減ると見込んでいたが、給与所得者が多い人口構成のため、全体として大きな影響はなかったとして新年度は増加を見込んだとしている。 借金である市債は同比71.5%増の105億2500万円を発行し、一般会計の市債残高は今年3月末の567億5900万円より43億円増え、22年度末は611億2400万円になる見込み。(鈴木宏子)

「ありがとうの1年でした」 コロナ禍、食材無料配布続けた冨山香織さん つくば

コロナ禍、アルバイトが減った学生やひとり親家庭などに食材の無料配布を続けてきたつくば市の市民団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE」の活動が12月で1年を迎えた。冨山香織代表(40)にインタビューし、1年間で何が見えてきたのか聞いた。 ―つくばPEACEの発足のきっかけは何ですか。 冨山 私自身が筑波大近くで飲食店を経営していて、困窮している学生を目の当たりにして、何かやってあげられることはないかと思い、知人や友人に声を掛けたのが始まりです。コロナ禍でバイトがなくなってしまった人や仕送りがなくなったという声も行動を起こすきっかけとなりました。 ―1年経った感想はいかがですか。 冨山 初めはこんなに続くと思っていませんでした。この活動が続くということはそれだけ困窮している学生がいるということでもあり、素直に喜ぶことはできませんが、カンパをくれたり野菜を届けてくれる支援者がいてこそ活動が続けられたので、とても感謝しています。配布を受ける学生の人数に波はあったものの、頼れる場所になることができてよかったと思います。支援者の皆さんには本当に感謝しかありません。しかし、支援物資の提供を頼んだ時に「大学生ってそんなに生活に困ってないでしょ」と、困窮している大学生がいるという実情を知らない人もいました。一方でカンパを寄せてくれた人から、顔も知らないのに「活動応援しています。がんばって」という励ましのメールをもらったこともありました。支援する立場であるはずが、逆に励まされることもたくさんありました。 ―1年を通して印象に残った出来事は何ですか。 冨山 ある学生に食材配布を行ったらお礼のメールが来て、その学生はもらったものをすべて実家に送っていることを知ったことです。実家には幼い弟と身体的に不自由な母がいて、その学生は自分のことよりも弟と母親を優先させていることに涙が出てきてしまいました。その状況に胸が痛くなりました。その学生は、自分に時間があったら手伝いたいとも言ってくれました。自分自身が生きるのに精一杯なのに。心からの優しさを感じ、私自身も視野が広がりました。 ―活動を通して周囲にどんな変化がありましたか。 冨山 私たちの活動がSNSや口コミで地域に知れ渡り、支援してくれる人が増えました。私自身も今まではカンパを集めることに必死でしたが、今では少し心の余裕ができました。また、利用者が増加し、延べ3200人になりました。リピーターも多いです。 ―活動を通してうれしかったことは何ですか。 冨山 学生たちが笑顔で(食材を)持って帰ってくれること。顔を合わせて直接話せることもうれしいです。この活動を通して地域住民や大学生、農家の方や企業などとも関わることができました。また、今年5月ごろから学生スタッフが増えました。スタッフになってくれた学生は、最初は自分が支援される立場として配布会に来て、「何かお手伝いできることはありませんか」と自ら声を掛けてくれた人たちです。一緒にダイコンを配ったこともありました。懐かしい。いろいろな人と出会うことができました。 ―ほかに印象に残ったエピソードがあれば教えてください。 冨山 支援者の中には10万円を匿名で持ってきてくれた人がいました。その方は名前こそ教えてくれませんでしたが、「前からこの活動を気にかけていました。支援のきっかけを作ってくれてありがとう」とおっしゃった。またメディアに載ったことで今年1月と2月にカンパが増えました。配った食材でつくった料理をSNSでアップして報告してくれた学生もいました。そんなツイートを見かけるとうれしくなります。スタッフも10代から70代まで本当に幅広い人たちに支えてもらいました。一年間走り続けてきて、支援者とスタッフには感謝しきれません。たくさんのありがとうをもらいました。 ―今後について聞かせてください。 冨山 これからも学生支援を引き続き実施できるよう努力していきたいと思います。皆さまのご支援、よろしくお願いします。本当にありがとうございます。 聞き手・武田唯希

一括売却に厳しい意見相次ぐ つくば市が市民説明会 旧総合運動公園用地

住民投票で計画が白紙撤回された旧総合運動公園用地約46ヘクタール(つくば市大穂)を、市が民間に一括売却する方針案を出したことを受けた(11月11日付、26日付、12月1日付)市民説明会が10日と12日開かれた。10日は午後2時30分からと7時からそれぞれ大穂交流センターで開かれ、1回目は約35人、2回目は約15人が参加した。12日は午前10時から市役所で開かれ、約30人が参加した。参加者からは「(一括売却案は)何を実現したいのかが無い」「なぜ今、一括売却かの説明がない」など、厳しい意見が相次いだ。これに対し説明に当たった五十嵐立青市長は、財政の厳しさを強調し「前に進めたい」と繰り返した。 第1回目の説明会の主なやりとりは以下の通り。 参加者 (防災拠点施設を整備することについて)水、交通について質問、意見したい。水は、上水はいろいろな給水方法があるが、下水はトイレの汚物を含む下水、汚物処理どうするのか。道路がうまく使えない災害を想定すべき。ここの地点(大穂)は遠い。汚物処理拠点としての機能が必要。交通は、道路が(地震などで)割れたらどうするのか。航空によるしかない。まっ平らな広いところが必要。46ヘクタールは滑走路を確保するにはぎりぎりの広さ。ドローンで運ぶ場合もある。そういうことが全く抜け落ちている。航空は高いものを建てるともうだめ。そこを計画に入れていただきたい。 五十嵐市長 汚物処理は危機管理課から説明する。道路は滑走路確保は厳しい。ドローンの活用など災害時は様々な可能性がある。1カ所だけですべてまかなうのは難しいと思っている。ヘリポートは、このスペースがあればいくらか離着陸できると考えている。高い建物は、10階建てが建つことはない。 市部長 処理場は下横場にある。災害時はそこに流して滞留させる。市の容量の2日分をためることができる。 参加者 流路が割れたらどうするのか。(汚物を)一次的に置いておくことを一番最初に考えないといけない。 市長 市全体としてどういうことができるか考えたい。 参加者 (売却)価格設定は簿価ベース、68億円以下はないということか。(方針案では)公共施設は備蓄倉庫とか避難場所になっている。広報つくばやかわら版を読むと、最大のポイントは地域の活性化だと言っているが、倉庫だとか備蓄倉庫だとか、活性化じゃなくて空洞化を起こすような施設しか出てない。事業者はメリットがないと地域の活性化を前提にしない。地域の活性化がポイントであれば、より具体的に、どういう施設を置くんだと言うことをポイントにしてほしい。防災倉庫は、利用者が整備したものをリース契約のようにするのか。 市長 価格設定は用地取得費66.1億円と利子2.4億円を足した金額以上と考えている。地域活性化は、物流施設では雇用が生まれないというが、聞き取りの範囲だが、物流施設ができたとしたら6000人ぐらいの雇用が生まれるだろうと聞いている。働く場として大きな期待感をもっている。防災倉庫はリース契約ではなく賃貸契約。民間が整備したものを市がお借りしていくという形のもの。 参加者 用地を購入したのは運動公園をつくるのが大きな目的だった。施設の半分を売却して、後は運動施設、野球場、サッカー場、グランドゴルフ場、テニスコート、体育館などをつくる予定はないのか。小学生の孫がサッカークラブに入っている。土浦市の新治運動公園、下妻市のほっとランド・きぬに行く。つくば市には運動施設がない、ぜひとも整備をお願いしたい。 市長 当初、運動施設が目的だった。何より305億円かかると、結果として住民投票でなくなった。スポーツの拠点をつくることは必要だと考えていて、上郷高校に陸上競技場を整備する計画を立てて(大規模事業評価の)審議をしていただいている。サッカーができるスペースもできる。障害者スポーツをしやすくしたり、高齢者スポーツや、地域の皆さんが集まってスポーツができる環境を上郷高校で準備している。お孫さんにもそういう場所が出来れば使っていただきたい。 参加者 当初のこの土地は運動公園として使うため取得した。研究学園駅につながなきゃ利用価値がない。どのように道路をつくるのか。 市長 南側の道路をどうするかは、事業者からの全体計画が出てきてからになると思っている。災害の時、市の防災備蓄品が取り出せないとか、そこは(売却事業者選定の)評価項目になってくる。 参加者 市執行部、議会の怠慢ではないか。 市長 この土地について少しでも早く解決することが重要と考えている。議会から提言書をまとめていただくことができた。(一括民間売却案は)基本的には議会の提言書に沿ったものと理解している。急ぎ過ぎという意見もあるが、かなり議論を積み重ねている。前に進めたい。方向性を出していきたい。 参加者 つくばには平地林がたくさんある。木を使って、バイオマス発電をつくって、つくば地区の環境整備、林業再興を目指し、地元でつくったエネルギーを地元で使う、あれだけの土地を地元のエネルギー供給源にできないのかとパブリックコメントで提案している。将来に対する投資という意味で、一緒に環境を改善していく企業を誘致してはどうか。 市長 どうやって環境を守るか、さまざま取り組んでいる。ゼロカーボンの問題意識を持っている。街路樹も守らなきゃだめだと、工事が始まったのを止めてもらったこともある。(事業提案の中に)発電施設の提案もいくつかあった、EV(電気自動車)開発の複合施設の提案もいただいている。どの事業者も、エネルギー、環境に配慮をしないことのマイナスを理解している。どういう形になっても確実に環境に配慮する様々な工夫はされるだろうと思う。(売却先の事業者選定では)事業の中身と価格の両方で審査する。中身の審査も環境に配慮しているか審査する。化石燃料をどんどん使ってCO2を出しまくる場所にはしてはいけないと思っている。 参加者 いちはら病院のメディケアレジデンスに住んでいる。(用地の)南側を散歩コースにしている。見事な木がはえており、建物に代えられない資源だと思う。そこを生かして快適な素晴らしい散歩コースを残していただきたい。 市長 私も歩いて通っている。あの辺り、いい環境になっていると感じている。多くの企業から聞き取りしたところ、南側に病院と住宅地があり、新しくできる施設と病院との緩衝地帯にしていくことは理解を得ている。南側を全部丸坊主にすることはしたくない。そこは安心をしていただければ。 参加者 大穂で、通勤・通学時間に子供たちの誘導をやっている。通勤時間は交通渋滞となり、安全性も含め危険な状態になっている。運動公園のときも幹線道路含めて(配布資料の図面の)左側に道路が予定されていたが、今の計画では6年後と聞いている。運動公園跡地の開発では間に合わないと思ってる。全体の交通インフラを含めて早急に進めないと大変な問題になる。 飯野副市長 北部工業団地から東光台を結ぶ都市計画道路のことだと思う。(高エネ研との間の)県道213号を拡幅したら、結ばれてネットワークができる(計画がある)。県の方も、用地買収しながら北部工業団地に続く道路の事業計画をしている。未買収のところも残っているので、この事業と合わせて進めたい。 参加者 住民投票(で計画の白紙撤回)が決まった時、跡地の利用を考えないといけないよ、と五十嵐さんに言ったことがあるが、(プランは)何もなかった。(今回の一括売却方針案は)一体、何をやりたいんだろうか。何を実現したい、ということが無い。大事なことは何も言ってない。やるべきことはたくさんある。今慌てて売るんじゃなくて、市がやるのがいいのかも含めて、きちんと(市が用地を)持っている必要がある。自分たちはこういうのを実現したいんだというのが無かったら、待つ方がいい。つくば市は研究学園都市にある。つくば市は地方自治体だけれども、もっと日本全体のことを考えることを期待したい。早急に決めることは絶対に反対。 市長 つくば市がここをどうしたいか、それは明確。どういう形で地域に資するものにしていくかだが、研究所は待っていれば来るというものではない。この土地をずっと持っていることはできない。66億円で買ってしまった。運動公園の目的がなくなった。土地を返すか、有効活用するか。日本を代表するエリアは必要。それはこの土地でなく、つくば駅に隣接する(吾妻地区の)70街区。(70街区は)放っておいたらマンションに売られてしまう。つくばの最先端の研究機関のショーケースとして、国や県と一緒に整備していきたい。取捨選択するのが市長としてすべきこと。運動公園は上郷高校(につくる)。何もしたいことがないのではなくて、今回の方針案のような施設を誘致することが将来のつくば市にとってプラスになる。 参加者 反対というより(市の方針案では)何をやりたいか分からない。何をやりたいのかが出てないから困ってしまう。ここを使って何を実現したいのか、今もお話いただいてない。 市長 1期目では結論が出なかった。その時と何が違うかというと、議会が特別委員会をつくってくださったこと。1期目は議会側の意見がさまざまあった。その中で委員会として提言書をまとめてくださった。そうやって確実に進んでいる。陸上競技場も基本構想ができた。着実に進めていけると思っている。きちんと伝わられないのであればいろいろな方法を使って伝える方法をしていきたい。 参加者 水守のクリーンセンター近くに住んでいる。いい空気ではない。もしこの土地(旧総合運動公園)を利用できれば、第2クリーンセンターをつくりたい。それから半導体不足で、TSMC(台湾の世界的半導体メーカー)は(熊本県の)ソニーの敷地に工場をつくっている最中。つくばにつくってもらえればよかった。世界一有名な半導体工場を誘致していただければ活性化になる。TXの駅にも使いたい。膨大な敷地があり、駐車場もバスも入る。ぜひ検討してほしい。今つくば駅前では国の研究所の宿舎を次々に壊している。つくば市は終わりだと感じる。よし、私(市長)がやるんだと、もうちょっと市民の先頭に立ってやっていただきたい。 市長 クリーンセンターは地元の理解を得ながら(現在地の施設を)長寿命化をしながら使っている。ここにつくることは考えられない。TX延伸はいろいろな意見があるが、その先の整備費は国は出さない。整備するとした地元がやっていくことになり現実的でない。TSMCは熊本に工場をつくるが、つくばの産総研に研究開発拠点をつくる。つくばが世界の最大手に選ばれる場所であることを示すことができた。世界経済フォーラムに呼ばれて参加しているが、そこでつくばの注目度が上がっていると紹介してもらったりしている。メディアで取り上げられる回数も増えている。つくばは確実にいい方向に進んでいる。 参加者 民間の4事業者から提案があったということだが、4事業者の案は示してもらえないのか。 市課長 4事業者の提案は(配布資料の)1(工業団地等)、2(物流倉庫施設等)、3(物流施設・データセンター等)、5(EV実験場等)だが、公募したとき、4事業者が応募するとは限らないし、それ以外の民間事業者の応募を妨げるものではない。 参加者 選考はどなたがどういう過程で選考するのか 市課長 事業者の事業計画提案、価格提案の両方の観点から評価したい。いくつかの手法があるが、公募型プロポーザルが望ましい。ガイドラインに従い、評価委員を選定して、公募期間が過ぎた後にプレゼンしてもらい、評価を行って候補者が決定する流れになる。 参加者 案が示されてない。案が決まった後、再度、住民説明会を開いてほしい。つくばみらい市では70町歩の工業団地の造成が進んでいる。市でお困りであれば、具体的な案をもって県に相談いただければいくらでも力を貸す。 市長 当然、事業者が決まったら皆さんにきちんとお話する機会をつくりたい。先日も県の担当者に来ていただいて意見交換したところ。県ともさまざまな形で随時話していきたい。 参加者 問題は、46ヘクタールの公有地、66億円の購入費用、民間一括売却が果たしていいのかということ。歴史を考えてみると、URが全面買収し、平成11(1999)年に研究施設用地として不要と判断した。(前市長の)市原さんが総合運動公園用地として購入した。五十嵐さんは、URと交渉したが、らちが明かなかった。民間事業者1社に売却し地域にプラスになることを進めるというが、URに返還することが一番いい。臨海副都心のように暫定用地として使うこともできる。五十嵐さんは「URと返還交渉する」「裁判も辞さずにやる」と言った。拍手喝采した。交渉をどの程度やったのか。研究施設用地の発展余地として残しておくことが絶対必要。交渉すれば66億円は返ってくると思っている。暫定利用として地元のために使うことができる。民間事業者に売る前にURとの交渉をもう一度考えるべき。売るにあたっても一括売却が本当にいいのか、昨日(9日)の議会(一般質問)の答弁で部長が固定資産税が入ってくると言ったがちょっと違う。固定資産税は行政サービスに対する対価。地主は税金を払っているが、つくば市は土地をもっていても税金を払わないで済む。市は46ヘクタールの土地を保有コストなしにもっていける。もっとじっくり利用を考えるべき。民間売却しかないのか、民間に貸与する方法もある。売らなくも税収相当分がはいってくる。一括売却して地域にとってプラスになるのかというと、中根・金田台地区に物流施設がきたが、ちっともプラスにならない。熱に浮かされたように一括売却するというのは危険。URは(坪)1000円で買った土地を4万6000で売った。まずURと本当の交渉をやった方がいい。 市長 国の方針としてURに資産の整理をさせ、URは全国で資産を手放している。交渉は事務方とさまざまな話をした。プロセスに瑕疵(かし)があれば瑕疵を交渉の材料にしていくと徹底して調査したが、契約に瑕疵はなかった。(当時は)ソーラー(発電会社)が買おうとしていて、早く買わないと売っちゃうよとなった。URに返還は現実的でないと考えているが、仮に返還しても、URが売ります、というとソーラー発電になってしまうかもしれない。暫定利用は簡単にできない。造成費として1ヘクタール1億円かかる。(売った場合は)68億円、市として極めて大きな金額。恵まれた自治体なら別だが、現在のつくば市はそういう自治体ではない。66億の土地をそのままにしておく余裕はとてもないというのが、市長として仕事をしている実感。貸与と言ってもそう簡単ではない。民間利用だが、商業施設は筑穂に影響を与える施設にはしていかない。前に進んでいかなければならないタイミングが来ている。 参加者 財政的に厳しいのは分かる。だからこそURに元の研究施設用地に戻せと返還交渉すべき。それをやらないで民間売却と言っているからおかしなことになる。URと交渉をやったというならその内容を知りたい。 市長 繰り返しになってしまうが、先ほど申し上げた通り様々な話はしている。今、国は売却をどんどんしている状況。必要な土地は残さなきゃいけないから、つくば駅前(吾妻70街区)は2段階で売却していく。UR交渉は現実的ではない。 参加者 (研究機関や大学などで構成する)筑協(筑波研究学園都市交流協議会)に(用地活用の意向を)聞いたが何もなかったということだが、つくばの研究機関は余剰の土地を持っている。追いつけ追い越せ型の研究機関ではなく、新しい分野の研究用地が必要になる。 市長 URとの交渉内容はお話している。(質問した参加者が)納得してないだけ。市長、議員は選挙で選ばれた。議会に伝えて議会がOKと言えば、それが民主主義。 参加者 五十嵐さんは住民の力を忘れている。住民投票で8割が反対だった。それを背景に交渉してはどうか。五十嵐さんは研究状況を分からない。民主主義どうのというのは間違い。 市長 (質問した2人に)納得していただくことは難しいと考えるが、何もしないでこのままにしておくのは無責任な姿。 参加者 民主主義の原則は情報共有、対等な議論、少数議論を見逃さないこと。情報共有をしてない。 参加者 上郷高校跡地の運動公園はここと比べてどのくらいか。 市長 6分の1か5分の1、上郷高校は7ヘクタール。   □   □   □ 「買戻し特約は必須」 第2回説明会 2回目の市民説明会では、一括購入した民間事業者がその後、切り売りしたらどうするのかという質問が出て、市から、10年間の買戻し特約を検討していると説明があった。主なやりとりは以下の通り。1回目と重複したやりとりは省略した。 参加者 問題は取得価格。URがつくば市に66億円で売ったことが大きな問題、どういう交渉があったのか。400メートルトラックの運動施設をつくるという話があった。そんなにかけなくても整備できる。400メートルトラックはどのように位置づけているのか。 市長 土地を取得した交渉過程は第三者の弁護士に調査していただいた。結論として、URは国から(資産の)処分を強く求められている、市は運動公園をつくりたがっている、ソーラー発電に売りますよ、市が買いたいのだったら早く表明してくださいと、価格もある意味でURの言い値になっていった。総合運動公園は305億円という大きな金額になってしまった。大きなお金をかけなくても陸上競技場をつくることができる。上郷高校に400メートルトラックがある陸上競技場を整備したい。現在、評価をしていただいているプロセスにある。高エネ南側(旧総合運動公園用地)は防災拠点としての施設にする。(防災拠点は)1カ所では心もとないので、上郷高校跡地も役割を果たしていきたい。 参加者 土地の取得の経緯は終わった話。これからどうするかを考えなくてはいけない。気になるのは(市長は)一括売却にこだわられているが、売却した後に切り売りされたら一体性は確保できるのか。最も大きな懸念だ。短冊にされて、ばら売りされたら一体性が保てるか。全体を行政がやるのは難しいかもしれないが、4分の1とか3分の1は公共活用を図り、未来永劫維持した上で、付加価値を上げてから売却する方法もある。なぜ今、全面売却しなければならないのか、そこのところの説明がない。 市長 もしそういうこと(一括取得後、民間事業者がばら売りする)が起きてしまえば市が目指している計画は実現できない。買戻し特約を設定するのは必須と考えており、公募要領の売買契約の条件にして事業者公募を行っていくことを考えている。ご懸念のことは起きない。 参加者 譲渡後を縛る契約ができるのか。一般的な土地取引でそれができれば世の中の土地問題は起こらない。 市課長 他自治体を確認している。債務不履行があった場合(他自治体では)10年間の買戻し特約が主流。 参加者 債務不履行とは、お金を払わなかった場合ではないか。 市課長 第3者に移転する場合も法的に(買戻し特約の対象になり)妥当だ。 参加者 仮にデータセンター、物流センターができたとして、流星台に行くと、あの巨大な施設は圧迫感がひじょうにある。将来につながるものなのか。 参加者 買戻し特約は学校用地ならあり得るが、46ヘクタールを全部買い戻すのは大変。買戻し特約を付けても買い戻すことは非常に難しい。 副市長 土地利用方針に沿った土地利用を将来どう担保するか、担保の仕方の一つの方法として契約上で買戻し特約をするのも一つの方法だ。期間は10年間とする。基本は地区計画、都市計画で、将来的に(ばら売りされないよう)担保できる手当てをできるように考えていくことが必要。 参加者 日本は所有者の権利が強い。地区計画で禁止することは難しい。こういうふうに利用しなさいというのも、一括売却のものについて買戻し条項は現実的に不可能。一括売却を考え直さないといけない。 副市長 担保できないと言われちゃうと、法治国家の中で、後ははない。法的なものを根拠とする。 参加者 現実的に66億円の買戻しができるのか。実効性のない計画だ。 副市長 無理だといわれても、一つの方法として(買戻し特約が)ある。 参加者 であれば、できるというなら(説明の)資料として付けるべきだ。できるというなら資料に付けなければ説明にならない。実現しようとするのであれば、実現を担保しようとする資料が出るはずだ。 副市長 土地利用方針が定まってない中、まず土地利用方針が定まらないと先に進めない。 参加者 土地利用方針は一括売却でしょう。一括売却で話をしている。 参加者 結局どうしようとしているのか。 市長 今さまざまな自治体の調査をしている。地区計画も合わせてやっていく。法の下でさまざまな検討をしている。 参加者 陸上競技場が上郷にできていけばとてもうれしい。経済的なものはとても大事。(旧総合運動公園用地に)子どもの城をつくってほしいという願いはあるが、一括売却が一番、経済的にいい。担保を法的にやるならきちんとした文書に起こせる。安心できるためには文書に起こす、文書ができたら、有効に使っていただきたい。もっと費用対効果があれば提案してもらわないと進まない。 市長 財政に余裕があればいいが、そういう状況ではない。利子を少しでも減らす努力をしている。貯金をためて返済をなんとか終えて1億円ぐらい影響を減らす努力をした。しばらく寝かせて持っておくべきだという意見もあるが、今はそういうことをしている余裕はつくば市にはない。できる限り有効に活用していきたい。建物が建てば固定資産税も上がる。建物で3億数千万円は見込んでいる。税収を増やすためにやっているのではなくて、実現をしていくことが私の使命。 参加者 今日は(市民が市の)説明を聞く場なのか、市民の意見を聞く場なのかー。都市計画はものすごく大事。中根・金田台の物流施設はあの始末だ。用途を準工業地域に変更して(中根・金田台では)現実にそういうことが起きている。買い戻し特約をつけるということだが、66億円を積むのか。それこそつくば市の財政が大騒ぎになる。一括売却はものすごく危ない。 副市長 一括売却の優位性を話したい。土地利用方針に沿った内容できちんとした土地利用を図ってくれる業者が出てくるかを(つくば市が)いかに選べるかが大変重要。家を建てる時、角に電柱が建っている土地より、まっさらな土地の方がいい。真っさらな土地の方が参加してくれる事業者が多くなる。(事業者が)プランニングしずらい前提条件を取り除くことが、選択肢が広くなる。 参加者 この話はいつもつくば市単独で解決するストーリーになっているが、県とか、近隣自治体、国などに、この土地を一緒に使ってほしい、一緒に考えようという相談はしたことがあるのか。国レベルとして、首都直下地震の防災拠点の最前線基地として使えないでしょうかという相談を内閣府などにしたことはあるか。 市長 周辺自治体とはさまざま話をしている。陸上競技場について土浦市長と整備の可能性はどうですかと話をしたけれども、それぞれ議会の皆さんがいるし、土浦には土浦の計画がある。(自治体による)共同の整備は、広域でやろうとしてうまくいかないで、プロセスだけでものすごい年月が経っていることがある。複数の主体が一体となって整備するのは20年、30年かけられるのであれば、選択肢として有効。運動公園は県に整備してほしいと繰り返ししている。 参加者 国とは話をしてないのか。 市長 国とは防災拠点の話はしてない。 参加者 防災拠点とは限らない。民間にぽんと売却するのはもったいないという印象をぬぐえない。 市長 つくば駅前の財務省がもっている宿舎跡地(吾妻70街区)はかなり交渉を重ねて2段階の入札にすると、国と共同でサウンディング調査をしている。つくばの拠点となる場所を構築していく。夢物語を語ることは大事、いろいろな連携をしていくことも大事だが、前に進めていかなければならない。 参加者 (旧総合運動公園の活用方法について)国に話したことはないということか。 市長 国会議員に随分前に聞いてみたりした。国もなかなか新しい場所をつくっていく状況にはほとんどない。県にはいろいろ、知事とも話をしている。 参加者 一括売却して地域にとってプラスになる望ましい施設を整備するということだが、何が地域にとって望ましいのか分からない。それが示されないで一括売却すると言っている。駅前の公務員宿舎用地と違って、ここは研究施設用地だ。望ましいまちが何になるか分からないのに、あまりにも楽観的だ。 市長 できることをできる限りしていく。 参加者 市議会が特別委員会を立ち上げて、こういう視点でやってくれというのが民意だと思う。(一括売却を)進めていただきたい。市がやると伐採費も相当なお金がかかる。これだけ大きい面積になると(何かあった場合)業者は日本中で信頼を失う。(一括売却して)損はない。 市長 お金の件は最低価格を68億とし、市の財源になっていく。二元代表制であり、市議会の皆さんの話はすごく大事に思っている。市議会が提言としてまとめてくださった。市民25万人が満足するとは思っていない。総合運動公園の計画も(反対)8対(賛成)2だった。それぞれにそれぞれの思いがある。全員が納得できない状況は分かるが、私は前に進めていかなければならないという決意のもとにやっている。 参加者 今の、市長がおっしゃることが心配だ。ここにいる(参加者の)大人の人たちはそれで大丈夫なの?って思って控えめにお話になっている。市長さんに自信があればいいでしょうけど、そういう事業をやったことがない。そういうことを皆さんがひじょうに心配していることが分かりますか。そこのところをもう少し謙虚にお答えいただかないと、ご返答を聞いていて心配になる。 市長 この計画が完璧なものと言うつもりはない。方針案として出して、変えるところは一緒に改善していきたい。 参加者 市長が先ほど、議会は、議会は、とおっしゃっているので議会として一言、言いたい。特別委員会の提言書は作業部会の中で意見が分かれて、一括売却したほうがいい、しない方がいいという意見があって、一括売却すべきだということを議会では出していない。11月11日に方針案が示されて、これから議会がもんでいくのかと思ったら、次の週からパブコメをやります、(議員は)意見をそれぞれ特別委員会の中で出してください、パブコメで出してくださいとなっていた。こんな乱暴なやり方はおかしいと思っていたら、今度は(12月1日発行の)市報の1面で(一括売却の方針案が)出た。市報は2カ月前に内容を決める。(市長は)議会に丁寧な説明をして進めて参りましたというが、市はこういうやり方をずっと続けてきた。 市長 山中議員のおっしゃったことが議会の総意であれば、多くの議員が不満を表明すると思う。 参加者 (土地開発公社の契約書を一部書き換えて民間売却を可能にする)契約書の議案が(開会中の12月議会に)出ている。 副市長 (契約書の議案は)今ごろ出てくるのがおかしい、白紙撤回と同時に議決をしておかないといけない。 参加者 (契約書を書き換えると)民間に転売できるという内容も入ってくる。 参加者 民主主義で一番大事なのは約束を守ること。嘘を言ってはいけない、不確定なあいまいな情報も出してはいけない。五十嵐さんが最初に約束したURとの返還交渉も、一番大事なことは(情報開示された交渉の資料には)書いてない。URとの交渉はどうでもよくて、売りたくて売りたくてしょうがないのかな。(他の参加者から出た)全国レベルの話はそれ。46ヘクタールは研究学園都市にとって研究施設用地としてなくてはならない土地。つくば駅前の土地が高いのは研究学園都市というブランドがあるから。 参加者 広大な土地を市民としてどうやって保全し生かしていくか。一番大事なのは用途指定だ。46ヘクタールもあるのだから、それを変えればいい。用途指定で土地の値段が変わってくる可能性がある。(買戻し特約は)10年保証でなく、私たちは永遠に住んでいる。研究施設用地をURがつくば市に売ったことはおかしいと思う。時間かけてでも交渉していくべきだ。もともとそういうことで研究学園都市ができている。 参加者 土地開発公社が取得していた負担金は市が清算して今、銀行からの借り入れはないということか。それを市が取得しない理由はなぜか。 副市長 取得目的がないから。地方自治法上、取得目的がない取得はない。 参加者 では売却する目的はあるのか。 副市長 現在、土地開発公社の所有地になっている。運動公園用地なら市の方で取得する。 参加者 目的が出れば取得できるということか。今は目的がないから取得できないということか。 参加者 つくば市ではなく土地開発公社がもっているのは、つくば市が取得する場合、事業をやろうとしたときに国から補助金が出るから、ということを聞いている。市長と副市長が説明しないので付け足す。つくばは研究者のまちではないけれど、研究施設あってのつくば。研究施設の発展余地がなくなったらつくばは死んでしまう。 参加者 ここは研究学園都市に残されたいい土地、そこをまず使おうとしないで、売ろうということにひじょうに違和感を感じる。何で使おうとしないのか。使おうとするためには予算がいる。予算を確保できる案を出すべき。(市長が)何をやろうとしているのかわからない。お金がほしいというのが目的のようだが、そこの土地はそういう土地ではないのではないですか。 参加者 あそこが研究用地として活用できるのであれば、長い間残っていたのでしょうか。そこで(URは)つくば市に話をもってきた、URの現状を皆さんご存知のはず。これから市民が活用していくのは膨大な拠出になる。経済的に埋めていきたいという提案でよいと思う。ぜひ前に進めてほしい。(一括売却案以外の)提案があるならどんどん出してほしい。 参加者 研究用地の発展余地をもっているから研究学園都市であり続けられる。    □   □   □ 参加者同士、怒鳴り合う場面も 第3回説明会 3回目の市民説明会は、12日午前10時から市役所で開かれた。参加者同士が怒鳴り合う場面もあった。3回目の市民説明会の主なやり取りは以下の通り。 参加者 政治家は本当に信用できない。研究所を持ってこい、はあり得ない。66億で買って2億5000万の金利がかかった。固定資産税が年7000万無くなっている。こんなことを永遠にやっていては市民のためにならない。早く売却した方がいい。伐根伐採するだけでも46億円かかる。それをどこから金を出すのか。いつまでもいつまでもあーじゃこーじゃと言わないで、あんなもんは早く民間に売っちゃった方がいい。体裁だけ考えずにつくば市民のことを思うのであれば、早く売って子供たちのために使ったらどうか。 市長 政治家の一人として少しでも信頼を取り戻せるよう様々仕事をしている。研究所用地として使われなくてずっとそのままになっていた土地。研究所を引っ張ってくるというのは現実としては無いということ。これまでの土地のプロセスは、元々国がURに売却を求めた。URはつくば市に、買うか買わないか、買わないんだったらソーラー発電にするぞといって、つくば市は半ば慌てながら買ったということが(総合運動公園事業検証委員会の)報告書で示されている。財政にゆとりがあればうれしいが、とても遊ばせている余裕はない。就任して貯金を積み上げて(借入金の)土地代は払った。年間利子3000万円だけでも大きな負担だが、(利子を前倒しで返済したため)結果として1億円ぐらい市の財政にプラスになった。これから、どの事業も精査しながら来年度予算の査定が始まる。無駄なものを削って浮いたお金で市民サービスしないといけないということでやっている。今のような話(一括民間売却)でまとめていくのがつくば市にとって必要なことと考えている。 参加者 お金の面から売却がいいと言う話もよく分かるが、しかし住民として純粋な希望だが(配布資料の)この写真を見ても分かるように(旧総合運動公園用地は)緑が多くて貴重な土地だと思う。ここをどのように市民のために使うか、お金のことは置いておいて、純粋な希望として、今、市民が必要としているのは高校用地であったり、周辺小学校では生徒が増えてパンクしているので小学校をつくる案もあるだろうし、図書館も駅前の図書館は駐車場がないので子ども図書館であったり、ウオーキングコースやマラソンコースもある。地球環境を考えたとき、森をそのまま残すこと、お金をかけてもこの場所を守る方法もある。森林保全など環境関係で補助金をもらえる方法はないのかなと思う。 市長 私も木にこだわりを持っている。就任前に街路樹が伐採される計画があったが、残した。まだつくば駅周辺に街路木が残っている。そのままだったらほぼ木は残ってなかった。森林保全のお気持ちは理解する。しかし木として持っているだけでは森林保全にならない。この土地の南側の緑を少しでも残して、散歩コースであるとか(にする)。地域住民にとって貴重な緑だと思っている。しかし管理されていないので、すべての緑がいい緑だといえない。高校や図書館は市に必要な施設だ。高校は繰り返し知事に対し、つくばの高校対策をきちんとしてほしいという話をしている。ようやくいくつかの高校、まだ一つだが、定員を増加することをしてもらったりしている。小学校は人口試算をして、大穂地区は小学校が必要になる状況ではないが、数字を見ながらやっていきたい。図書館は十分でないという話をいただいているが、市に図書館を整備していく財政的な余裕はない。土浦市は20年くらいかけ、お金も総額で100億円近くかかったと聞いている。つくば市は10年後を目途に市としての図書館の方向性をつくっていきたい。いろんなご希望がある。お金があればかなえた。現実の制約の中でやるのが高エネ研南側未利用地。必要なところに必要な整備をしていく。 参加者 計画の中にスポーツ施設は入ってないのか。地域の活性化とは人が集まること、気軽に集まること、それはスポーツ施設。市原さんが総合運動公園を提案したとき説明会があった。いろんな話があった。プロ野球の2軍がくるとか。高校野球の県大会をつくばでやってほしい。土地を買い取りたいところがあるそうだが、ぜひスポーツ施設を盛り込んでほしい。 市長 サウンディング調査では(事業提案者が)全部で12件あった。そのうち1社からスポーツツーリズム拠点の整備という提案をいただいている。ただし土地を買うのではなく、つくば市から借りたいという提案なので、つくば市は土地を持ち続けなければいけない。公募の際、一括売却とする方針だが、もしこういう事業者が、買うとか手を挙げてくれればそういう施設の可能性もあるが、全部買い取りを希望する企業にスポーツ施設は入ってない。私もスポーツがもつ価値は大きいと思っている。そういう拠点がないというのがつくば市の大きな課題。今、上郷高校跡地に陸上競技場の整備を計画している。スポーツの重要性は私が肌で体験してきた。今後もできることをそれぞれの場所でやっていきたい。 参加者 民間の経済活動がくるとき、市が稼ぐことができるかを考えると、都市計画税、固定資産税が入ってくるが、法人税が市に入るかという視点も大事。つくば市で活動しても東京に本社があって税金は東京都に収めると市が潤うことはない。そういう視点も必要。雇用を生むこともつくば市の将来を考えると必要。そういうことも考えて経済活動する法人が必要。データセンターは、すごい電力がかかる。小型原発1機分くらいの電力を使う。これをやられるとSDGsの面から、日本は火力発電がメーンなので二酸化炭素排出量が増える。データセンター等、環境に悪い経済活動をする法人は入れないという視点も必要。 市長 市民サービスのために税収を確保することは重要だと思っている。法人税はつくば本社でなくても、働いている人の数によって税金が入ってくる。東京本社の大きな企業から、つくば市に法人税をいただいている企業もある。(旧総合運動公園用地の売却は)法人税の収入にもつながる。大きいのは働く場ができること。物流施設ができると6000人くらいの雇用を生み出すことができるとサウンディング調査の企業から聞いている。雇用を生み出すことは地域活性化や地域が持続可能になるのに重要。環境への配慮は重要。公募してプロポーザルで審査する。環境への配慮がどうされているかも審査の評価対象に入ってくる。もくもくと煙を上げて環境を汚す企業がつくられることはない。多くの企業が環境に配慮して持続可能な事業をしないと企業価値を下げる。ただデータセンターがダメとは申し上げていない。 参加者 もう一度、ここの土地の原点に戻ってみたい。(配布資料の)土地利用方針の三本柱だが、「敷地の一体的整備」は異存ない、「公的利活用」もいい、「用途地域変更」だが、現在、利潤を上げなければ使えないような用途地域にしようとしている。今は研究開発用地(第2種住居地域及び第2種文教地区)だから、そこを変えてしまって、お金の問題になっている。市長さんは、研究学園都市という世界でまれな都市の市長さんになったのだから、そこまで考えていただきたい。(第1回、第2回の説明会で)用途地域や法律で縛ろうという話があったが、つくば市はそういう方法で土地の管理ができていない。農地も(用途、法律で)整備されていない実績がある。1社で購入すれば、つくば市に対して1社が対応する。つくば市は対応できない。一番心配しているのは、資本系列を調査しているのか。外国資本は欲しがる。(資本系列などを)まだ調査してないとしたら自分たちは満足に土地を扱えないということ。やるならきちんと調査すべきだ。もともとはURから高価な買い物をしてしまったことがある。つくば市が損害を受けた、市民が損害を受けたということ。今のままでいくと、もっと大きな損害を受けることになる。研究用地の需要がないとおっしゃっているが、あなたが(市長が)そう思っているだけ。例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)をみても、中心的にやる研究所が必要。日本は技術を下で支える教育がされてない。日本は給料が安いから。そんな状況を変えようと思わなかったら研究学園都市ではない。 市長 研究学園都市としての使命を捨てることではない。 参加者 (市長の言うことが)理解できない。 市長 この土地についてはこういう利活用をするということ。つくばのショーケースとなる場所がないということに対しては、つくば駅前(吾妻70街区)につくるよう、国とサウンディング調査をやっている。DXの人材が足りてないことは明らか。私もさまざまな関係者とそういう話をしている。原点に戻ると言う話だが、研究学園都市の使命は人類に貢献することだと思っている。(つくば市は)それぞれの事業を通じてモデルをつくってやっている。この土地がなくなると研究学園都市の使命を果たさなくなるということはない。(発言者が)現役でいらっしゃったときと国の方向性が違っている。国と話ができればという状況にはなってない。 参加者 今のようなことを常識と考えていることがおかしくないかと言っている。 参加者 五十嵐さんは市民無視の政治を改めると言って市長になった。市報とかわら版で情報発信しているが、これだけ大きな問題になるといろいろな角度からの検討が必要だ。情報共有、対等な議論、少数意見を見逃さないことが必要。少数意見は、どんな革新的な意見も最初は一人だから。市報は民間のちらしと一緒に宅配(戸別ポスティング)されている。宅配でちらしを入れようとしたが、政治のちらしはだめだと断られた。やむなく折り込みで入れた。新聞を購読している人は半分しかいないので、新聞折り込みでは市民からの情報はなかなか伝わらない。市民や議員が対価を払った上で、意見広告などを(市報と一緒に)宅配できるようにしたらどうか。五十嵐さんは名誉棄損で市民を訴えているので、お互いに誤った情報を出さないようチェックしてもらってもいい。市の広報と一緒に市議会議員の広報とか、市民の意見とかを(宅配で)入れていただきたい。情報の共有と対応な議論、少数意見の尊重をぜひ実現させてほしい。 市長 政治のちらしがダメということはないと思っている。私もちらしの折り込みをお願いしてきた。事業者の判断を行政から言うことはできない。情報共有や対話は重要。情報量は市役所の方が多い。双方向で対話しながら進めている。(双方向の対話は)就任以来、一貫して続けている。(市民の意見広告などを)行政の広報と一緒に配布するのはなかなかハードルが高いのかなと思うが、皆と直接お話をすることを続けていきたい。情報が基本というのは大事にしながら取り組みを進めていきたい。 参加者 子供たちとか市民が気楽に使える用途にしたらいいんじゃないかという話があったが、子供たちを育ててきて、将来を見据えて子供たちが楽しめる場所があったらいい。つくばは小さい子が雨の日に行く場所がない。民間のゲームセンターがいっぱいだったりする。防災備蓄とあるが、トレーラーハウスとかキャンピングカーがいっぱい置いてあって、万が一のときは仮設住宅になるなどを民間に提案していはどうか。子供たちが気楽にのびのび遊べる場所が拠点としてあればいい。 市長 私も子供が4人いる。雨が降ればショッピングセンターにはあまり連れて行きたくないし、どうすればいいか苦労してきた経験がある。(雨の日に遊べる場所は)つくば市に必要だと思っている。最近は泥だらけになって遊べばいいかなと思っている。つくば市にはプレイパークがある。泥だらけになったり、全身を使って遊べる場所を順次整備していっている。(サウンディング調査には)賃借だが、道の駅、農業自然体験エリアなども提言としてある。どうなるかは別として、子供たちが全身を使って遊べる、元気に過ごせる場所が必要。どういう場所がいいか、現役の子育て世代として、意見として承る。 参加者 2,3年前、神栖の防災・多目的施設(かみす防災アリーナ)を見たことがある。アリーナみたいだったら子供たちに開放してスポーツに使える。46ヘクタールのうち、市が使えるのは4ヘクタールというのは狭いのではないか。その中にスポーツ施設があればいい。神栖の施設はカフェがあって皆が集まれる場所だった。 市長 神栖の防災アリーナはかなりの金額がかかる。現時点ではアリーナや体育館をつくることは想定してない。芝生の広場になる。上物(うわもの)の建設は考えてない。体育館をつくると数十億の整備になる。テニスコートは、つくば市は市内各地に整備されている。きちんと補修しながら皆さんの使いやすい環境にしたい。公共投資はあまりにも過大になる。 参加者 市の方では一体的な整備でやっていくということだが、公的活用は意外とできる部が広がると思っている。引っかかるのは利益追求だ。民間活用についてサウンディング型調査をしているということだが、そういうやり方もあると思うが、先のことを考えると、何のための利益追求か、何のためにお金が欲しいかがあいまいだ。他市ではブランデングを一生懸命進めて、生き残れる施策を練っているところがある。目先で、民間に任せて利益を上げるのではなく、もう少しブランディングを考えて、つくばならではのものを生かして何かやっていけないか。一次的な利益でなく、つくばならではの強みを生かす活用方法をぜひ考えてほしい。つくばは他の自治体と比べてやりやすい思う。 市長 利益を追求しているわけではない。これまでの過程が重要だ。ここに地域活性化のお題目で305億円の事業が計画されていたのを、住民がそれは違うと結論を出した。陸上競技場が(旧総合運動公園用地に)つくれないかと検討したが、最終的には上郷高校跡地になる。つくばだからこそ4社が(一括購入に)手を挙げてくれたんだろうと思っている。つくばは様々な取り組みをしているおり注目度が高い。そういった意味でつくばの特性を生かしたものになる。公共で全部整備していくのは現実的には不可能。決してお金のことだけを考えて言っているのではない。つくば全体にとってプラスになるものだと思っている。 参加者 土地利用方法の決定をこれから進めるということだが、市長の説明は防災拠点にしていくことだけ。あとのことは、全体としてこうしたいという説明がない。一括で土地業者に買ってもらうにも、土地業者任せの利用方法になっていくのではないかと不安。インフラ整備が必要になることは総合運動公園でも問題になった。もともと研究施設用地として計画されていた。商業用地や事業用地として活用されていくことや、408号の共同溝や下水道を想定したことはなかった。歩道も、左折車線をつくるため、歩道を壊さなければ左折用地がつくれない。インフラ整備がネックになるのではないか。 市長 今示しているのは土地利用方針案。先日も(市は)何をしたいか分かっらないという話があったが、従来であればこうした説明会は開かない。すっと延ばして、こういうことが決まりましたというところで説明会になる。事業計画が決まった際も説明会を開催して、より具体的な提案をしたい。次のプロセスでより具体的な話ができると思っている。インフラ整備や道路をどうしていくかは、事業者が実際にどうしていくのか、地区計画の協議で進めたい。 飯野副市長 道路拡幅とか408号線の右折、左折帯をつくるのは、どういう事業提案があっても必要になる。もっと具体的に、道路幅員をいくらにするとか、408号だけでなく西側のアクセスをどうするか必要になる。事業者提案によって発生する交通量が決まってくる。物流倉庫なら大型トラックとか勤務する従業員の車とか。事業が決まったら推計をして、それをもとに決める。現段階ではどういう土地利用がされても必要となる道路などを(方針案に)示している。 参加者 基本はこの土地の取得のいきさつが間違って、相当高い金額できていること。つくば市の負の遺産だ。いろんな意見があるが、お金があればつくば市はどんなことでもやってくれる。問題はお金がないから売るしかない。自分の懐を傷めないで、あーじゃこーじゃと同じことをやってもしょうがない。売れば固定資産税が3億ぐらい入ってくる。早めに処分した方がいい。今は7000万円の固定資産税が入ってこない。カネがなければ売っちゃえばいい。基本はカネ。カネがないから売るしかない。 参加者 観光ボランティアガイドで県内ほとんどを歩いている。つくば市の評価を聞くと、つくば市は頭脳都市だという評価。すばらしい評価がされている。 参加者 お金の問題だということだが、お金がないから苦労されているのは分かっている。しかしお金を確保するにはいろいろな方法がある。一つはURとの交渉が中途半端で終わっていること、一つは研究所だが、皆さんに声を掛けてどうしたらいいだろうかと考える機会をつくってはどうか。そういうことも試みていない。あれだけの土地を利用する計画はそう簡単につくれない。一括で売ってしまうとそういうことはできない。そう簡単に売ることをやっていただいては困る。市は収益を上げなければならない土地をもっていいいことにはなっていない。市が買った結果(URと)裁判をすることまで考えられたのですよね。五十嵐さんは5年間苦労されたが、今のような心配なことばっかりある形で進んでいいいのかな。1社に売るときいろいろな条件を付けたとしても、つくば市は実行させたことがない。用途変更、こんな簡単なことですらやってない。ましてや相手は資本系列が外国じゃないの?そういう確認はしましたか。 五十嵐 サウンディングにきた会社は分かっているが、明かせない。 参加者 何をやりたいかわからない。つくば市として何を実現したいのか。借金を返したいだけなのか。防災用地を借りるのに費用がいくらかかるかも聞けない。皆さん、それを聞けないから、いろんなこと言う。防災用地をつくるなら、お金がかからないで済む用途にして(市が)もっているべき。 参加者 3回出席して、3回で明らかになったことは、URとの交渉が十分でないこと、つくば市が何がほしいのかが明確でないこと、一括売却に伴う不安要素として土地利用が将来にわたって保証されるのか明確でないことだ。お金のことはその通りだが(将来、旧総合運動公園用地が)国レベルの新しい研究分野のためのスタートアップ支援拠点になるかもしれない。そのことを国が分かれば66億出してくれるかもしれない。その辺の交渉をやった方がいい。 以上 ※3回目の市民説明会の主なやりとりを、12日付で追加しました。

農業用ロボットに大賞 県イノベーションアワード 第2回もつくば発

茨城県内の企業などによる先端技術を活かした新製品・新サービスから、特に優れたものを表彰する「第2回いばらきイノベーションアワード」で、県は29日、大賞(賞金 100 万円)にDoog(ドーグ、つくば市吾妻、大島章社長)社の農業用クローラーロボット「メカロン」を選んだと発表した。優秀賞3件もつくば市所在の企業・個人が独占した。 概ね3年以内に発売された先端技術を活用した新製品・新サービスのうち、特に優れたものを表彰する。一層の製品化や地域経済を支える新産業の成長を促すのを目的にしている。県内に本社・工場・研究所などの主な事業所を有する企業と個人の応募から審査して選んでおり、今回は20件の応募があった。 高齢化や人手不足の課題に貢献 大賞に選ばれたのは、Doog社の農業用クローラーロボット「メカロン」。農業現場をターゲットにした運搬ロボットで、自動追従機能やメモリートレース(走行させたいルートを一度走らせるだけでロボットが経路を記憶して自動走行できる機能)を搭載している。他社の自動追従機能は追従対象に電波式のビーコンや位置特定のためのマーカーを設置するが、「メカロン」はビーコンやマーカーを必要とせずに任意の物体を追従できる。自動走行の走行経路の構築は、作業者が歩くだけで構築可能という。 不整地や傾斜地での走行も可能で、噴霧器を載せての消毒作業や草刈り機のバッテリーを運ぶなど、収穫時期だけでなく年間を通して活用できる汎用性・市場性も持っている。 審査では特に、農業従事者の高齢化や人手不足の課題に貢献できる製品であり、革新的な技術であるにも関わらず直感的に使うことができる点が高く評価された。 同社では10月から、マーケティング機の発売を開始。複数のスマート農業プロジェクトや自治体からの引き合いがあり、県内のナシ農家からも関心を寄せられているそうだ。この先、全国の農家への販売体制を準備中という。受賞について「茨城県の取り組みの中で、農業ロボットの開発・実用化を模索してきた。農業県である茨城県において賞をいただけたことを大変うれしく思っている」とコメントしている。 優秀賞には、▽物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点(つくば市並木)電子機能高分子グループリーダー、樋口昌芳さんのメタロ超分子ポリマー「Poly(Fe-btpyb)Purple」(金属イオンと有機モジュールの錯形成により合成されたエレクトロクロミック特性をもつポリマー材料。調光ガラスの材料となる)▽エアメンブレン(つくば市千現、古賀義紀社長)の「2層グラフェン TEM グリッド」(クライオ電子顕微鏡向けに独自開発合成により生産した革新的試料支持膜。高強度、高清浄度、高電気伝導性、高熱伝導性を有している)▽PLIMES(つくば市天王台、鈴木健嗣CEO)のウェアラブル嚥下(えんげ)計/摂食嚥下モニタリング解析サービス「GOKURI」(ウェアラブルデバイスにより、嚥下に関わる医療・福祉をデジタル化し、患者のマネジメントを包括的に支援するサービス)-の3件が選ばれた。 同賞は第1回の昨年、医療相談アプリのLEBER(リーバー、つくば市、伊藤俊一郎社長)社が大賞を受賞した。県科学技術振興課は「つくば市が独占した格好になったが、あくまで結果。県内各地に優れた技術が育っている」としている。表彰式は後日行われる。(相澤冬樹)

旧総合運動公園用地を一括民間売却へ つくば市が方針案 防災拠点は大幅縮小

住民投票で計画が白紙撤回となったつくば市大穂の旧総合運動公園用地46ヘクタールについて、五十嵐立青市長は11日、用地全体の開発プランを募集し、望ましいプランを提案した民間事業者に一括売却する新たな土地利用方針案を11日開かれた市議会高エネ南側未利用地調査特別委員会(浜中勝美委員長)に示した。今年2月時点で、約13ヘクタールに防災拠点を整備すると表明していた公的利用については、4.26ヘクタール以上に大幅縮小となった。 一括売却する理由について市は、民間企業などを対象に今年4、5月に実施した意向調査(サウンディング型市場調査)の結果、敷地全部を買い取りたいとした民間事業者が4者あった、意向調査で示された事業内容はいずれも実現可能性が高い、複数の事業者がばらばらに整備するより一つの事業者が全体をプランニングした方が合理的で有機的なつながりをもたらす―などとして、一括売却し全体を一体的に整備することが有効な手法だとした。 全部を買い取りたいとした4事業者の提案内容はそれぞれ▽工業団地として整備しつくば市に進出を計画している企業に賃貸または分譲する▽物流、倉庫施設などに特化した集合団地を整備し、災害避難施設ゾーンを併設する▽物流施設、データセンター、アメニティ施設、公共施設等を整備する▽次世代EV(電気自動車)実験場やエンジニア養成のための学校を建設し、データセンターも併設するーの4案。 望ましい役割や機能としては、市議会が今年6月に提言した①つくばならではの資源・特性を十分に生かせる②市民ニーズに対応し地域活性化に貢献する③災害に強いまちづくりに寄与する④市民のコミュニティ形成に寄与する⑤観光や産業振興に寄与するーの5項目だとし、4事業者からの提案はいずれも適合するとした。 防災拠点は民間が整備、備蓄倉庫を市が賃借 一方、防災拠点の整備については、備蓄面積2400~2600平方メートルの防災備蓄倉庫と、4ヘクタール以上の防災多目的利活用広場を、売却先の民間事業者に整備してもらう。防災倉庫は市が賃料を払って借り受け、備蓄品の保管と、支援物資の受け入れや一時保管をする。 広場は、平常時は地域に開放して芝生広場や駐車場などとして利用できるようにし、災害時は自衛隊や消防、警察の活動拠点や、車中泊による避難場所、がれき置き場などとする。さらに災害用の水源として飲料用の深井戸と生活用の浅井戸を広場に掘り、断水時には井戸水で利用できるトイレを整備する。耐震性の貯水槽も備える。広場の管理運営は民間事業者が行うが、災害時は防災拠点として市が無料で利用できるようにするとした。開発行為などによって整備する場合、緑地や公園、広場などを整備しなければならないことから、緑地などを防災広場に充ててもらうという。 用途地域については、旧総合運動公園用地は現在、研究・教育施設用地として位置付けられ、第二種住居地域及び第二種文教地区に指定されていることから、工場など多様な用途の建物が建てられる準工業地域に変更し、第二種文教地区の指定をなくすとした。 ほかに、商業施設を建てる場合、周辺の商圏に影響を及ぼさないよう、延床面積3000平方メートル未満とするなどの地区計画の策定を検討しているとした。商業施設はカフェやレストラン、美容室などを想定し、住宅や遊戯施設などを制限することなども検討しているとした。さらに用地の南側は病院や住宅が立地しているため、緑地などで緩衝地を設けることが望ましいなどの条件も検討している。 道路や下水道に8億円 周辺道路や上下水道などの整備については、道路は、国道408号からの直接乗り入れは不可とする。一方、大型トラックの走行が想定されることから、高エネルギー加速器研究機構に接する北側の県道213号を、現在の幅12メートルから18メートルに拡張する。さらに国道408号と県道213号の交差点に左折車線を新設し、右折車線の長さを延長するほか、上下水道などの整備をする。 道路や上下水道整備に伴う市の負担額は概算で、下水道の整備が約7億7000万円、右折車線の延長が3000~4000万円の計約8億円程度を想定している。左折車線の新設と県道213号線の拡幅はいずれも旧総合運動公園用地を削って整備するため事業者に負担してもらう方針だとした。 16日からパブコメ 今後のスケジュールについては、16日から12月15日までパブリックコメントを実施し、12月10日と12日に計3回、大穂交流センターと市役所で住民説明会を開く。12月下旬に結果を議会に報告するとした。 一方、公募や売却の時期について五十嵐市長は取材に対し「スピード感をもって取り組むが、議会や市民の意見をいただいて議論を積み重ね、スケジュールを決めたい」とし、時期の明言を避けた。売却価格については「市に損失を与えない簿価(取得価格である66億円)をベースに適正価格で売却する」とした。(鈴木宏子)

来年4月、初の衛星打ち上げ つくばの宇宙葬ベンチャー

遺骨を宇宙に打ち上げて散骨する「宇宙葬」ベンチャーのスペースNTK(本社・つくば市、葛西智子代表)は6日までに、カプセルに収めた遺骨などを搭載する人工衛星「MAGOKORO(まごころ)」の米国向け空輸を完了した。耐振動、耐熱試験などを経て、衛星は2022年4月1日(現地時間)、米国フロリダ州ケープ・カナベラルから、スペースX(イーロン・マスクCEO)のロケット「ファルコン9」に搭載され、打ち上げられる予定だ。NTK社にとって、初の宇宙葬フライトとなる。 5、6年周回し燃え尽きる 人工衛星は東京下町の町工場、加藤製作所(墨田区)に特注された。タテヨコ各20センチ、高さ10センチのボックス型の超小型衛星だ。3段積み重ねる形でフェアリング(ロケット先端部の貨物庫)に搭載される。 遺骨は円筒形のアルミ製カプセルに入れて衛星に収納される。NTK社の専用カプセルで、大中小サイズがあり、遺骨一体を収める大サイズ(約2キロ)で1100万円、遺骨の一部(50グラム)を入れる小サイズで55万円などの価格(いずれも税込み)設定で、募集をしていた。 人工衛星は地上500キロから600キロの軌道に打ち上げられるが、ロケットから切り離された後、フェアリングから放出されることなく、そのまま軌道上を周回する。スペースX社監視の下、5-6年後に大気圏に再突入し、人工衛星ごと燃えつきる。「スペースデブリ(宇宙ごみ)を出さず、まさに星になって最期を迎える」(葛西代表)、世界でも初となる宇宙葬スタイルだそう。 弔い方の変容 目の当たり 葛西代表(61)は「子供の頃、人は亡くなるとお星さまになると聞かされた。そう言っていた祖母がお墓に葬られたとき、違和感があった」という。長じて葬祭業に従事し、葬儀の司会から海洋葬など散骨事業を手がけるようになった。約30年、仕事で「弔い方」の変容を目の当たりにするなか、改めて「お星さまになる」宇宙葬のありようを模索して、2017年にスペースNTK社を立ちあげた。 特に縁故や得意先があったわけではない、つくば市内(スタートアップパーク)に本社を置いた。「JAXA(宇宙航空研究開発機構)があって、宇宙ならつくばってイメージだけ。でも宇宙ビジネスで米国に行くと通りがいい」そうだ。県が立ち上げた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」の支援も受けている。 スペースXとパートナー契約 しかし初フライトまでは多難。スペースXは、日本人宇宙飛行士の星出彰彦さん、野口聡一さんらを国際宇宙ステーションに送り届けたロケットの運用などをしている軌道輸送サービス企業だ。新しい宇宙葬スタイルに理解を示してもらえ、2020年にビジネスパートナー契約を結んだが、搭載の「権利」を得るために約1億円を要した。 潜在的なニーズは見込めても、実需はつかみどころがなかった。「宇宙旅行の夢」や「墓しまい」などを動機に、本人が宇宙葬を望んでも、タイミングや残された家族の意志を合わせるのは容易な作業ではない。埋葬許可など法律や倫理の問題にもきちんと対応しなければならなかった。 NTK社によれば、これまでに遺骨一体を受け入れるまでには至らず、8人の部分遺骨(ペット含む)の契約にとどまった。ほかに、メッセージをつづった約1000枚の短冊、DNA(髪の毛)添付のメッセージカードの搭載が決まっている。 問い合わせの多さに比べ実績が伴わない形だが、「今回は実績づくり」と10月から、生死問わず参加できる「MAGOKORO X」プロジェクトに切り替え、追い込みを図っている。宇宙に思いを馳せた短冊(5000円)やメッセージカード(1万2000円、DNA添付1万6500円)による参加者募集で、30日まで受け付ける。詳細はこちら。 葛西代表は、これら集まった品々を手荷物に12月6日、渡米する予定。「いろんな案件を1つ1つ処理してここまで来た。さまざまなジャンルの方々とも交流して世界が広がった。多くの方が次はもっと協力できるよ、見守っているよと言ってくれるので、やり遂げるしかない」という。第2弾、2024年秋の打ち上げも視野に入ってきた。(相澤冬樹)

コンタクト空ケースの回収運動展開 筑波大2年 織田くれはさん

コロナ禍のボランティア模索 筑波大学医学群看護学類2年の織田くれは(20)さんが、使い捨てコンタクトレンズ空ケースのリサイクル運動を実施した。回収ボックスを学生食堂や学生宿舎など大学構内13カ所に設置し、9月下旬まで約2カ月半で計2372個を回収した。 空ケースはリサイクル業者に買い取ってもらい、収益は角膜移植を普及啓発する「日本アイバンク協会」に寄付される。ほかに、空ケースのシールをはがすなどのリサイクル作業を、コンタクトレンズ販売チェーン「アイシティ」の障がい者部門に割り当て障害者の就労・自立支援に繋げたり、再資源化推進による環境保全につなげたりする。 織田さんが立案した企画は「アイシティecoプロジェクトinつくば」。「コロナ禍であっても、人同士の接触を避けながらできるボランティアはないだろうか」という思いから、大学が支援する「つくばアクションプロジェクト(T-ACT)」に企画を提案した。 高校時代から織田さんは障がい者施設などに出向きボランティア活動に親しんできた。「ボランティアというのは自分が相手に与えているようで、実は相手から与えてもらっていることが多い」という気づきを得ると共に、何かから解き放たれるような感覚を覚えた。 ボランティア活動に魅了される中、筑波大学入学前に手にした大学パンフレットで大学が学生の活動を支援する機関の存在を知り、入学後は T-ACT に携わろうという気持ちを強めたという。 しかし織田さんを迎えたのは、新型コロナと共にある大学生活だった。コロナ禍では満足にこれまでのようなボランティア活動はできない。そこで思いついたのが今回のプロジェクトだ。 今年2月に初めてT-ACTに企画を提案し、そこから実際に企画が終了するまで、約8カ月間奔走した。 実施にあたって厳しい感染対策が求められたばかりか、コミュニケーションの手段がオンラインであるなど様々な理由から、活動をアドバイスしてくれる大学のコンサルタントや協力してくれる仲間に自分の想いやコンセプトを「伝える」ということの難しさを感じる場面も多くあった。 加えて今回の企画は一企業であるコンタクトレンズ販売店「アイシティ」の活動に参画するというもの。大学内で実施するため、企業感を出さずに学生主体のボランティア活動であるということをしっかりとアピールすることや、貸し出された回収ボックスの管理を慎重に行うことが必要となるといった点で、様々な工夫を求められた。 一方で、企画に参加してくれた仲間との出会いや、回収BOX設置場所の提供といった協力を周囲から得る経験を通して「自分がやりたいと思ったことに周りの人も興味を持ってくれている」、「ボランティアというものは、色々な人の支えがあってこそ成り立っているのだ」という実感を得たことは、とてもうれしいものだったという。 今後については、外部団体と連携しながら行う活動ならではの苦労を乗り越えた経験を活かして、企画を立ち上げる学生のサポートをしていきたいと語る。

1階アイアイモール解体・改修工事、18日着工 つくばセンタービル

まちづくり会社が貸しオフィスに つくばセンタービルのリニューアルの一環で、1階アイアイモールの解体と改修工事が18日着工する。つくば市が出資する第3セクター「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が貸しオフィスなどに改修する。 解体と改修工事が実施されるのは1階アイアイモールの約2000平方メートル。1983年のつくばセンタービルオープン当初からあったレストラン街(飲食店は2018年6月に撤退)と廊下の一部は解体される。 まちなかデザインの小林遼平専務によると、改修後は、コワーキングスペース(共同オフィス)、カフェ、貸しオフィスなどとする。コワーキングスペースは個室、テレビ会議ブース、子連れで働ける場、会議室、イベントスペースなどを設け、登録会員のほか一時利用もできるようにする。カフェは朝から夜まで営業し、新規で飲食店を始めたい人のチャレンジショップやアンテナショップとしても利用できるシェアキッチンを設ける。オフィスのほぼ半分の約750平方メートルは9~10区画に区切り、地域の事業者やベンチャー企業などに賃貸する。オフィスは24時間利用できるようにし、運営については一部を業務委託することも検討している。 廊下の幅は、現在のレストラン街と比べオフィス面積を広げるため、狭くなる。現在と同様だれでも行き来でき、廊下の壁沿いに縁側のような長椅子を設置する予定だという。 一方、働き方を支援する場の整備計画約2500平方メートルのうち、残りの4階吾妻交流センター約500平方メートルの工事については、交流センターが1階に移転した後となる。 今回の工事期間は今月18日から来年4月中旬まで。12月ごろまで解体工事を実施し、その後来年4月まで引き続き改修工事をする。工事期間中の18日から来年3月までは1階の一部が通行できなくなる。オープンは来年4月の予定。当初、設備の現況調査をするため夏にも解体工事を開始する予定だったが、解体しなくても調査ができたため、10月の工事着工となったとしている。 一方、第3セクターは経営が悪化した場合、自治体の財政に大きな影響を与えることから、総務省は2014年に出した3セクの経営健全化指針で、議会への説明と住民への情報公開を求めている。小林専務は、議会に対してはすでに説明を実施したが、議員全員の理解を得られたかどうかについては議決案件ではない、などとしている。 改修内容についての市民説明会の開催などは予定しておらず、まちなかデザインのホームページで公表しているとする。改修工事の事業費や資金繰りなどについては11日時点で公表しないとしている。(鈴木宏子)

ベトナム人材の採用に「セキショウジョブフェア」 11月にオンライン開催

総合人材サービスのセキショウキャリアプラス(本社・つくば市、渡邊誠社長)は11月、「セキショウジョブフェア」をオンライン開催する。日本企業で働きたいベトナム人大卒予定者らへの合同企業説明・面接会。専門的な技術・知識を持つ人材を採用したい企業や、グローバルな展開を考える企業へ参加を呼び掛けている。 県内企業も熱視線 フェアは2016年からこれまでに7回開催され、次第に規模が拡大。最も盛況だった一昨年は参加企業が39社、学生・求職者の来場は2日間でのべ1089人に達し、うち101人が内々定を得た。このときは現地開催だったがコロナ禍により昨年からオンライン形式に変更された。「直接会って話すに越したことはないが、採用担当者が現地へ渡航しなくても、日本にいながらベトナムの学生と面接できるメリットもある」と、同社海外事業課の小田倉千明さん。 開催の背景には理系、特にシステム・IT系人材の確保が難しく、優秀な人なら国籍を問わず採用したいという企業が増えている現状がある。 今回参加対象のハノイ工科大学は、日本の東工大レベルと言われるベトナムきっての理工学系大学。ほかにハノイ工業大学、ハノイ交通運輸大学、ハノイ大学など。ベトナムにおいて筑波大など日本の大学が協力し、質の高いカリキュラムを提供している日越大学も含まれる。 参加者は、理系技術者では機械、電気電子、IT系など、文系では通訳・翻訳、貿易業務などで500~800人を想定する。オンライン化によりハノイ近隣以外からも参加しやすくなったため、さらに増えそうな見込み。昨年は日本に留学しているベトナム人学生や、現地日系企業からのステップアップを図る就業者の参加もあったそうだ。 出展企業は北海道から関西までと広域的だが、運営会社であるセキショウキャリアプラスのネットワークを生かし、約4分の1は茨城県内の会社だ。中堅以下の企業でも知名度や企業規模に左右されずフラットな目で見てもらえる。過去の説明会では大企業を上回る40~50人が着座した例もあり、国内学生向けの企業説明会でもなかなか見られない盛況だったという。 企業の将来性を広げる外国人材 「言葉の問題や住環境の提供、生活支援など、コストは日本人よりも正直かかるが、そこさえクリアすれば確実に優秀な人材が採用できる。5~10万円のプラスで、しっかりとした日本語教育を受けさせることもできる」と小田倉さん。 外国人材の受け入れは、組織のダイバーシティ(多様性)を高めるという副次的な効果もある。異なる価値観と接することで、従来は当たり前として見過されてきた企業文化や商慣習などが見直され、社内制度の改革につながった例もあるという。「今後ますますグローバル化が進み、人の行き来が盛んになる中で多様な文化を知り、新しいニーズをつかむことがビジネス展開上不可欠になる」と、同社営業部長の飯田理文さん。 新興国であるベトナムは、今後いっそうの経済発展が予想され、中国に替わる投資先として注目を集めている。企業からは新たなマーケットや海外拠点と見込まれ、また国内でのインバウンド需要の増大にも寄与しそうだ。その際にはベトナム人社員の存在が、大きな力になると期待されている。(池田充雄) ◆SEKISHO JOB FAIR(ベトナム高度人材合同企業説明会・面接会) 説明会が11月6日、面接会が12・13日。申し込みは9月30日まで。日本企業はZoomミーティング(事務局提供リンク)によるオンライン参加となる。詳細は専用Webサイトまで。

カフェベルガ、25年の歴史に幕 つくば 障害者が働くレストラン

つくばカピオの敷地内にあるレストラン「カフェベルガ」(つくば市竹園)が17日に閉店する。25年間、障害者に働く場を提供するとともに、店内で近隣住民が演奏会を開催するなど、市民の憩いの場にもなってきた。「障害者の就労支援とカフェの両立が難しいと感じるようになった。今後はパソコンを活用した就労支援に力を入れていきたい」と代表の吉田美恵さん(71)は話す。 今後は障害者の就労支援に特化 障害者の親たちが1996年4月、障害者の働く場を作ろうと設立した有限会社「友遊舎」により、カフェベルガの営業が始まったのは同年8月1日、つくばカピオが開業した当日だった。メンバーは飲食店の経験がなく、最初は経営することで精一杯だった。学習障害の息子を持つ吉田さんは、開店当初は店長としてカェベルガに関わり、2005年に「友遊舎」の代表になった。 現在は発達障害者を専門としているが、当初はまだ「発達障害」という言葉自体が社会で知られておらず、引きこもりや不登校の人も店舗に通っていた。 同店には障害者支援のための特別なプログラムはない。皿洗いや接客などの仕事を通して、ビジネスマナーやコミュニケーションを身に着ける。吉田さんなど運営側は、障害のある店員に対し、一人ひとりの気持ちを尊重し、やってくれたことには感謝を伝えながら、自分の得意なことと苦手なことが理解できるように接してきたという。 引きこもり等の人の中には、店の手伝いをしているうちに、元気を取り戻し、学校に行けるようになったり、高齢者施設や一般企業に就職した人もいる。発達障害者が主な対象だったが、車いす利用者や知的障害者が働いていたこともある。これまでに30人以上が店員として働いた。 店舗運営と障害者支援の両立への葛藤 障害者自立支援法改正により、発達障害者も障害者福祉サービスの対象になったのを機に、2012年に発達障害専門の就労支援事業所として正式に県から指定を受けた。店舗での接客が苦手な発達障害者もいるため、13年にはパソコンでの作業を中心に行う訓練事業所「カフェベルガ・サポートオフィス」(つくば市天久保)を新しく立ち上げた。テープ起こし、動画編集等の作業や、パソコンを使った調べ学習を通して、コミュニケーション能力や問題解決能力をつけていく。就職に向けて自分の特性などを周囲に伝える練習もする。 「人間関係が苦手で、自分は仕事ができないと思ってしまう人が多い。しかし、パソコンを使えれば、世界中の人とつながることや、様々なソフトを使い、自分の技術を超えたものを作ることができる。社会に出るのが怖いと思っている人にも、パソコンを通して、自分にも働く力があることに気づいてもらえるような支援がしたかった」と吉田さんは話す。 レストランで働ける人数は制限されることもあり、現在は店よりもサポートオフィスに通い、パソコンを学ぶ障害者がほとんどだ。 閉店を決めた理由として、吉田さんは「就労支援として障害者一人ひとりと話し、個々人に合った仕事内容を提案したいが、カフェの場合、接客が優先になり、話を聞いてほしい時に聞いてあげられない葛藤があった」ことをあげる。障害者が働く中で、問題が起これば一緒に解決策を考えたいが、レストランでは時間的余裕がない。 吉田さんは「引きこもっている障害者もたくさんいる。これからは、もっと多くの障害者に対して、一人ひとりと向き合い、困ったときに相談できる力をつけてもらえるような支援をしていきたい」と意気込む。(川端舞)

高橋氏が初当選 県議補選土浦市区

茨城県知事選に合わせて5日投開票が行われた県議補選土浦市区(欠員1)は同日午後8時から、同市大岩田、霞ケ浦文化体育会館(水郷体育館)で開票が行われ、無所属新人で歯科医師の高橋直子氏(37)が初当選を決めた。いずれも無所属新人で元国会議員秘書の吉田直起氏(39)、無職の赤須理世自氏(59)は及ばなかった。投票率は31.96%、有権者数は11万6746人。 県議補選土浦市区(欠1)当21,579票 高橋 直子 37 歯 科 医 師  無新 12,050票 吉田 直起 39 元代議士秘書 無新  1,189票 赤須理世自 59 無    職 無新   5日午後10時 土浦市選管確定 高橋氏は土浦日大高、日大歯学部を卒業。王子リボン歯科に入社し、つくばリボン歯科院長を務める。島岡宏明市議の長女で、島岡市議が所属する会派の市議らが応援した。 選挙戦では、すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地盤産業の確立と中小企業の振興、TX土浦延伸などを訴えた。 お母さん議員として精一杯 午後9時45分、開票速報が知らされると、高橋直子氏の選挙事務所では、大きな拍手と歓声が起こった。祝勝会には安藤真理子市長らも駆けつけた。 あいさつに立った高橋氏は「右も左も分からない中、皆さんの支えがあってここまでくることができた。私一人の力ではなし得なかった。今、感謝しかありません。まだまだ未熟ですが、皆さんの期待に応えられるよう、子どもたちに見せられる背中をもつ、お母さん議員として、精一杯頑張っていきます」と決意を述べた 高橋直子氏 歯科医師 37 無新 【公約】①教育格差の是正や食育・子ども食堂の充実など子供たちに明るい未来づくり②健康な歯8020運動の徹底など福祉の充実③TX土浦駅延伸【略歴】土浦日大高校卒、日大歯学部卒、王子リボン歯科入社、現在つくばリボン歯科医院長。

あす投開票 県議補選 土浦

知事選に合わせて、県議補選の投開票があす5日行われる。土浦市区(欠員1)はいずれも新人で無所属の歯科医師、高橋直子氏(37)、元国会議員秘書、吉田直起氏(39)、牛久市在住で無職の赤須理世自氏(59)の3氏が立候補している。1日現在の有権者数は11万7943人。 投票は5日午前7時から午後6時まで市内50カ所で行われ、午後8時から同市大岩田、霞ケ浦文化体育会館(水郷体育館)で即日開票される。県議補選の大勢判明は午後10時30分ごろの見込み。 同市の3日午後8時までの期日前投票の投票率は知事選9.7%(8月20日から15日間)、県議補選が8.4%(同28日から7日間)。 高橋氏は、すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地場産業の確立と中小企業の振興、TX土浦延伸などを訴えている。 吉田氏は、土浦の魅力を生かして、首都圏の受け皿として郊外住宅地として発展させ、自然と歴史を感じながら子育て世代がのびのび育める街にしたいなどと訴えている。 赤須氏は、現県政と従来の温かい住民密着型県政との調和をベースにした県政の実現、クリーンな政治。お金を使わない選挙の発信を選挙公報で訴えている。

新人3氏が届け出 県議補選告示 土浦

茨城県知事選に合わせて、県議補選が27日告示され、土浦市区(欠員1)はいずれも新人で無所属の歯科医師、高橋直子氏(37)、元国会議員秘書、吉田直起氏(39)、牛久市在住で無職の赤須理世自(りよじ)氏(59)の3氏が立候補を届け出た。有権者数は11万7969人(26日現在)。 高橋氏はつくばリボン歯科院長。すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地場産業の確立と中小企業の振興、TX土浦延伸などを訴えている。 吉田氏は国会議員秘書などを務めた。土浦の魅力を生かして、首都圏の受け皿として郊外住宅地として発展させ、自然と歴史を感じながら子育て世代がのびのび育める街にしたいなどと訴える。 投票は知事選と同日の9月5日、市内50カ所で行われ、即日開票される。(鈴木宏子、相澤冬樹) 【茨城県議会議員補選 土浦市区(欠員1)立候補者】届け出順 高橋直子氏 歯科医師 37 無新【公約】①教育格差の是正や食育・子ども食堂の充実など子供たちに明るい未来づくり②健康な歯8020運動の徹底など福祉の充実③TX土浦駅延伸【略歴】土浦日大高校卒、日大歯学部卒、王子リボン歯科入社、現在つくばリボン歯科医院長。 吉田直起氏 会社役員 39 無新【公約】①首都圏の受け皿として魅力あふれる街づくり②多様な家族形態に対応した子育て支援③だれもがわくわく参加できる地域コミュニティーづくり【略歴】土浦日大高校卒、流通経済大流通情報学部卒、元長谷川大紋参院議員公設第一秘書。 赤須理世自氏 無職 59 無新 子育て世代こそ声を上げよう 【高橋候補】午前10時から同市小岩田の「応援する会」事務所で出発式。無所属の高橋候補に対し、県議時代の安藤真理子市長が所属したいばらき自民党から9県議が駆け付けた。白田信夫議員会長は「安藤さんの後、党に不在になった女性議員を」とアピール。同市議会からは実父の島岡宏明氏が所属する郁政クラブの矢口清氏らが出席した。 高橋候補は「2児を設けて、これからは自分はわき役と決めたこともあったが、この先10年、20年先、愛する子どもたちに未来を託すために、今の子育て世代こそが政治に関心を持ち、声を上げていかなければならないと思った。コロナ禍や自然災害など大変な時代に立ち向かえるのは人間の力以外にない」とエネルギッシュな第一声。名前が同じマラソンランナーを意識したキャッチフレーズ「ともに走る」を掲げ、街頭に飛び出した。 地域の中を駆けずり回る 【吉田候補】吉田氏は午前10時から同市並木の選挙事務所前で第一声。小幡政人・元国交省事務次官、木村敏文坂東市長らが応援に駆け付けた。父親の吉田博史市議に近い柳沢明市議は「吉田候補は3人の代議士に仕えた。県会議員は片手間にできる仕事ではない。即戦力か雰囲気か、二者択一の選挙」だなどと話した。 これを受けて吉田氏は「コロナ禍で未曾有のピンチ。そういう時だからこそ政治の力がすごく大事。4年前、大井川知事を応援し、大井川知事と一緒に、茨城のために一生懸命働きたいという思いで立候補した」などと話し「首都圏から人を呼び込めるよう企業誘致、多様化する家庭に対応した子育て支援など3つの柱を掲げ、地域コミュニティーの中を駆けずり回ってしっかりと皆さんの力になりたい」などと訴えた。 【訂正:27日午後6時】27日午後、赤須氏の届け出があり、追加、訂正しました。

県議補選あす告示 土浦 新人2氏が一騎打ちか

9月5日投開票の知事選に合わせて、県議補選土浦市区(欠員1)が27日告示される。立候補を予定しているのは、いずれも新人で無所属の元国会議員秘書、吉田直起氏(39)と、歯科医師、高橋直子氏(37)の2氏。 ほかに牛久市の男性(59)が事前審査に出席している。有権者数は11万7986人(8月18日現在) 吉田氏は土浦日大高校卒、流通経済大流通情報学部を卒業後、長谷川大紋参院議員秘書などを務めた。父親は吉田博史市議。 土浦の魅力を生かして、首都圏の受け皿として郊外住宅地として発展させ、自然と歴史を感じながら子育て世代がのびのび育める街にしたいなどと訴えている。 高橋氏は土浦日大高校卒、日大歯学部を卒業後、王子リボン歯科に入社し、現在つくばリボン歯科院長。父親は島岡宏明市議。 すべての子どもたちに明るい未来を残したいと、子育て支援や教育格差の是正、福祉の充実、地場産業の確立と中小企業の振興、TX(つくばエクスプレス)土浦延伸などを訴える。 投票は9月5日、市内50カ所で行われ、即日開票される。(鈴木宏子)

最低賃金879円に 10月1日から28円引き上げ

茨城地方最低賃金審議会(清山玲会長)は今年度の茨城県の最低賃金について、各種経済指標などを慎重に審議した結果、現行の時給額851円を28円引き上げ(引き上げ率3.29%)、879円にするよう下角圭司茨城労働局長に答申した。 引き上げ幅は過去最高で、異議申出に関わる調査審議などを経て、10月1日から適用される見通し。昨年度の引き上げ額は2円だったが、今年度は直近で見ても大幅アップとなる。 中央最低賃金審査会が引き上げ額の目安として示した全国加重平均28円(引き上げ率3.1%)と同額となる。28円は1978年に目安制度が始まって以来、最高額。 茨城県最低賃金の改定額 最低賃金改定額(円)対前年度引上率(%)対前年度引上額(円)20177963.242520188223.272620198493.282720208510.2422021(答申)8793.2928 コロナ禍のさ中、宿泊、飲食、観光、交通運輸などの業界では、事業継続の危機や、人員削減などの喫緊の対応に迫られている業者も多い。 このため県内では、県経営者協会、県商工連合会、同商工会議所連合会、県中小企業団体中央会の経済4団体が、最低賃金引き上げに伴う県内企業への支援に関する緊急要望を、大井川和彦知事、下角茨城労働局長に提出した。 主な内容は▽103万円の所得控除額の引き上げ▽下請け価格の適正化▽最低賃金の発効時期の延期▽適正な人件費の商品価格への反映と県民への啓蒙▽県独自の助成策の創設など。 答申もこれを受けて、危機的状況にある小規模事業者等に与える影響を踏まえ、業務改善助成金など既存施設の拡充はもとより、新たな支援策と速やかな給付体制の構築を国に求め、茨城労働局に対しては各自治体と連携し、各種支援策を必要とする中小企業等へ制度の一層の利活用の促進を求める周知、啓発の徹底が盛り込まれた。(山崎実) 2020年度都道府県別最低賃金額 都道府県最低賃金時間額(円)1東京1,0132神奈川1,0123大阪9644埼玉9285愛知9276千葉9257京都9098兵庫9009静岡88510三重87411広島87112滋賀86813北海道86114栃木85415岐阜85216茨城85117長野84917富山84919福岡84220山梨83820奈良83822群馬83723岡山83424石川83325和歌山83125新潟83127福井83028山口82929宮城82530香川82031福島80032徳島79633山形79333愛媛79333熊本79333長崎79333岩手79333鹿児島79333青森79333宮崎79341大分79241島根79241鳥取79241高知79241佐賀79241秋田79241沖縄792

失業したひとり親や学生の雇用を促進 雇い主に交付金上乗せ つくば市

つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例記者会見で、失業したひとり親や学生を新たに雇用した市内企業などの雇い主に、市独自の雇用促進交付金を1人の雇用に付き最大15万円上乗せすると発表した。新型コロナの感染拡大により、就職が厳しくなっているひとり親や、アルバイト先が減少している学生の雇用を促進することが目的。4日から受け付けを開始した。 新型コロナ対策として同市は昨年6月から、失業者を雇用した市内の企業や個人などを対象に、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は一時金として1人雇用に付き最大20万円を交付してきた。週20時間以上、3カ月以上の期限付きで雇用した場合は1人最大10万円を交付している。学生アルバイトに対しては、週10時間以上勤務する学生を雇用した場合、1人最大10万円を交付している。 4日から新たに、ひとり親を週30時間以上、期限の定めありで雇用した場合は最大15万円、週20~30時間の場合は最大10万円を、これまでの交付金に上乗せして事業主に支給する。 学生アルバイトについては支給対象を拡大し、週10時間に満たなくても、週5~10時間勤務する学生を雇用した場合、1人最大5万円を事業主に交付する。 ひとり親を雇用する中小企業などへの支援については、国の制度として、ハローワークなどの紹介で、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は60万円、週20~30時間勤務の場合は40万円を企業に助成する特定求職者雇用開発助成金制度がある。 今回つくば市が拡充した制度は、国の助成対象にはならない、期限の定めありでひとり親を雇用する雇い主に交付するという。 市が昨年6月から実施している失業者を対象にした雇用促進交付金は、2020年度は121社が262人を新規雇用した際に利用し、交付金額は計約3300万円になった。今年度も事業を継続し、当初予算で1000万円を計上したが、7月30日時点で44社から93人を新規雇用する申請があり、交付金額は計1100万円と当初予算を上回った。6月補正でさらに交付金の予算を2400万円追加するに当たって、制度を拡充し、ひとり親と学生の雇用を支援する。 一方、市内の公園などで毎月欠かさず、大学生やひとり親などに食料や日用品を無料提供している市民団体からは五十嵐市長に対し、大学生への現金または商品券の配布など公的支援を求める要望書が6月に手渡されている(6月4日付)。五十嵐市長は「直接的支援はどういうのが可能か、すでに検討している」としたが、具体的な中身は示さなかった。(鈴木宏子)

オリンピックと衆院選挙 《雑記録》26

【コラム・瀧田薫】古代オリンピックは、紀元前776年から紀元393年まで、1200年近くにわたって、ギリシアのオリンピアの地で行われた。この古代オリンピックと近代オリンピックとの違いは、古代オリンピックがゼウス神にささげる宗教的祭典だったことである。大会開催中、参加国は聖なる休戦(エケケイリア)を守り、オリンピアへの往還と神域における武力行使を堅く戒めた。 その結果、1200年間、戦争が原因で大会が中止されたことは一度もないという。一方、近代オリンピック120年の歴史には、2度の大戦による大会中止をはじめ、テロによる選手殺害事件(1972年)や、大国によるボイコットの応酬(1980年、1984年)があった。 西洋史学者の橋場弦(はしば・ゆずる)氏は「商業主義とグローバル資本の論理に翻弄される現代のオリンピックは、どこに向かうのか。金銭を超えた聖なる価値を、オリンピックが見失うことのないよう祈りたい」(UTokyo FOCUS 2020年4月)と述べている。 争点は財政政策(増税か減税)か? さて、衆議院議員選挙の日程だが、コロナの感染爆発中にオリンピック開催を強行した菅首相だけに、オリ・パラ会期中の選挙はないだろう。永田町では、パラリンピック後の9月6日に臨時国会を召集し、補正予算を通して、28日公示、10月10日投開票というスケジュールが有力視されている。ただし、これも「ワクチン接種」の進み具合で延期される可能性がある。 菅政権としては、選挙前に国民の60%程度の接種を終えておきたいところだ。その場合、選挙日程はギリギリ11月28日になる可能性がある。臨時国会を開き、10月21日の衆院議員の任期満了日に解散する方法だが、さすがにこの日程の現実味は薄い。選挙の争点は、コロナ対策、特に財政政策で、具体的には「増税か減税」か、与党、野党それぞれの思惑が交錯する選挙となるだろう。 政府は、コロナ禍への対応で、20年度に3次にわたる補正予算を編成した。医療現場への補助金、企業向け支援、全国民への一律10万円支給などがその中身だが、財源の大半は国債の追加発行(20年度の新規国債発行額は100兆円の大台を超えた)であり、これは過去に類例のない規模である。リーマン・ショック後には消費税の10%への引き上げがあり、東日本大震災後には所得税、住民税、法人税の上乗せがあった。現在、財政当局の本音は「景気回復を条件とする増税案(消費税15%?)」だろう。 これに対し、自民党は選挙前の「だんまり」を決め込み、菅首相は「10年間は消費税を上げない」と公言している。逆に野党は、この時とばかりに「減税」(れいわ新選組の消費税5%案など)を主張するだろう。選挙民にとっては、どう考え、誰に投票するのか、悩ましい選挙となるだろう。 専門家による投票結果予想としては、自民党の議席減で現政権の退陣もあり得るが、自民・公明両党での過半数は維持できるとの見方もある。選挙の結果がどう出ようとも、その後に、財務当局の増税案が急浮上してくることは確かである。(茨城キリスト教大学名誉教授)

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