月曜日, 8月 8, 2022
ホーム つくば 「ありがとうの1年でした」 コロナ禍、食材無料配布続けた冨山香織さん つくば

「ありがとうの1年でした」 コロナ禍、食材無料配布続けた冨山香織さん つくば

コロナ禍、アルバイトが減った学生やひとり親家庭などに食材の無料配布を続けてきたつくば市の市民団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE」の活動が12月で1年を迎えた。冨山香織代表(40)にインタビューし、1年間で何が見えてきたのか聞いた。

―つくばPEACEの発足のきっかけは何ですか。

冨山 私自身が筑波大近くで飲食店を経営していて、困窮している学生を目の当たりにして、何かやってあげられることはないかと思い、知人や友人に声を掛けたのが始まりです。コロナ禍でバイトがなくなってしまった人や仕送りがなくなったという声も行動を起こすきっかけとなりました。

―1年経った感想はいかがですか。

冨山 初めはこんなに続くと思っていませんでした。この活動が続くということはそれだけ困窮している学生がいるということでもあり、素直に喜ぶことはできませんが、カンパをくれたり野菜を届けてくれる支援者がいてこそ活動が続けられたので、とても感謝しています。配布を受ける学生の人数に波はあったものの、頼れる場所になることができてよかったと思います。支援者の皆さんには本当に感謝しかありません。しかし、支援物資の提供を頼んだ時に「大学生ってそんなに生活に困ってないでしょ」と、困窮している大学生がいるという実情を知らない人もいました。一方でカンパを寄せてくれた人から、顔も知らないのに「活動応援しています。がんばって」という励ましのメールをもらったこともありました。支援する立場であるはずが、逆に励まされることもたくさんありました。

―1年を通して印象に残った出来事は何ですか。

冨山 ある学生に食材配布を行ったらお礼のメールが来て、その学生はもらったものをすべて実家に送っていることを知ったことです。実家には幼い弟と身体的に不自由な母がいて、その学生は自分のことよりも弟と母親を優先させていることに涙が出てきてしまいました。その状況に胸が痛くなりました。その学生は、自分に時間があったら手伝いたいとも言ってくれました。自分自身が生きるのに精一杯なのに。心からの優しさを感じ、私自身も視野が広がりました。

―活動を通して周囲にどんな変化がありましたか。

冨山 私たちの活動がSNSや口コミで地域に知れ渡り、支援してくれる人が増えました。私自身も今まではカンパを集めることに必死でしたが、今では少し心の余裕ができました。また、利用者が増加し、延べ3200人になりました。リピーターも多いです。

―活動を通してうれしかったことは何ですか。

冨山 学生たちが笑顔で(食材を)持って帰ってくれること。顔を合わせて直接話せることもうれしいです。この活動を通して地域住民や大学生、農家の方や企業などとも関わることができました。また、今年5月ごろから学生スタッフが増えました。スタッフになってくれた学生は、最初は自分が支援される立場として配布会に来て、「何かお手伝いできることはありませんか」と自ら声を掛けてくれた人たちです。一緒にダイコンを配ったこともありました。懐かしい。いろいろな人と出会うことができました。

―ほかに印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

冨山 支援者の中には10万円を匿名で持ってきてくれた人がいました。その方は名前こそ教えてくれませんでしたが、「前からこの活動を気にかけていました。支援のきっかけを作ってくれてありがとう」とおっしゃった。またメディアに載ったことで今年1月と2月にカンパが増えました。配った食材でつくった料理をSNSでアップして報告してくれた学生もいました。そんなツイートを見かけるとうれしくなります。スタッフも10代から70代まで本当に幅広い人たちに支えてもらいました。一年間走り続けてきて、支援者とスタッフには感謝しきれません。たくさんのありがとうをもらいました。

―今後について聞かせてください。

冨山 これからも学生支援を引き続き実施できるよう努力していきたいと思います。皆さまのご支援、よろしくお願いします。本当にありがとうございます。

聞き手・武田唯希

1コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

「真実が知りたい!」 赤木雅子さんが水戸で訴え 《邑から日本を見る》117

【コラム・先﨑千尋】森友学園問題に関する公文書改ざんを強いられ、それを苦に自死した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんらの講演会が7月30日、水戸駅前の駿優教育会館で開かれた。この講演会は、旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)の元職員6人が同機構に損害賠償を求めている訴訟で、原告を支援する団体が主催したもの。 雅子さんは、夫が自死した真相解明を求めて、国と、改ざんを指示したとされる元財務省理財局長の佐川宣寿氏を訴えてきた。この日は、雅子さんの裁判などを支援してきているジャーナリストで元NHK記者の相澤冬樹さんと対話する形で、別室からのオンラインで登壇した。私はそれを会場で聞いた。 雅子さんが起こした2つの裁判のうち、国は、昨年12月に雅子さんの賠償請求を全面的に認める「認諾」の手続を取り、改ざんが行われた経過などは不明のまま、いわば「肩透かし」の手法で国に対する請求を終結させた。残る佐川氏への訴訟は、氏への尋問は行わずに7月27日に大阪地裁で結審し、11月25日に判決が下される。 雅子さんはこの日、佐川氏に2度手紙を書いたが返事はなく、法廷にも姿を見せなかったことを非難し、「私は、夫がなぜ改ざんさせられたのかを知りたいから裁判を起こした。法廷で佐川さんにそのことを証言してもらいたかった。しかし佐川さんは姿を見せなかった。あまりにも悔しい。夫は日頃、公務員は権力を握っている人のためにではなく、国民のために仕事をするのだと言っていた。佐川さんは誇りを持って仕事をしてきたのか。佐川さんが本当のことをしゃべらない限り、私は幸せになれない」と怒りをあらわにした。 国、無慈悲、無機質な組織 この雅子さんの話を聞いて、相澤さんは「佐川さんはこの事件に関わったので、もうエラくなれない。ホントのことを話した方が、気持ちが楽になれるはずだ。ホントのことを話せない佐川さんはかわいそう。哀れだ」と語った。
エアレース・パイロット、室屋義秀選手=LEXUS PATHFINDER AIR RACING提供

8月の晴れた空に笑顔を描く 室屋義秀選手が茨城フライト

国際的なエアレース・パイロット、室屋義秀選手(49)が8月の晴れた日に茨城の空を飛び、土浦、つくば両市など8カ所にニコちゃんマークを描く。「Fly for ALL(フライ・フォー・オール)#大空を見上げよう」フライトで、8月中下旬の快晴の日を選び、天候や航空交通状況などを見て決行する。 室屋選手による「Fly…」フライトは2020年から9都県10カ所で行われ、これまで全国に93個のニコちゃんマークを描いてきたという。茨城県内は初の実施となる。 今回は16日-19日、23日-26日のいずれか快晴の1日を選び、正午ごろ古河市から県内に入って、午後1時ごろ日立市に抜けるルートで実施する。土浦では午後0時19分ごろ、つくばでは同24分ごろ、ニコちゃんマークを描いての飛行が見られるはず。実施判断は、14日以降、室屋義秀公式ツイッターで随時発表されることになっており、当日のライブ配信も予定されている。 21年3月、東京で実施された時のニコちゃんマーク=PATHFINDERによる 室屋選手は2009年、国際航空連盟(FAI)公認の「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」に初のアジア人パイロットとして参戦。2016年千葉大会で初優勝。2017年ワールドシリーズでは全8戦中4大会を制し、アジア人初の年間総合優勝を果たした。モータースポーツのトップカテゴリーでの年間総合優勝はアジア初の快挙だった。

目抜き通りをご存じか 土浦キララまつりの夏《土着通信部》53

【コラム・相澤冬樹】7月30日に始まった「土浦キララまつり」は8月7日まで続く。新型コロナウイルス「第7波」の急速拡大と歩調を合わせるようなタイミングとなってしまったが、何とかやり切れそうな雲行きである。 3年ぶりの本格開催。人出があっても、なくても、告知を担った媒体としては結果が気になるイベントで、2度目の週末となった6日、土浦の「まちなか」を訪ねてみた。暑さが幾分やわらいだこともあって、会場周辺には「密」にはならない程度の人出が繰り出していた。若者や家族連れが目立ち、途中出会った商工会議所の顔見知りは「パレードがないのは寂しいけれど、賑わいが少しは戻った感じでうれしい」と上気した表情で語った。 キララまつりは従来、土浦駅前通りを歩行者天国にして、市内の各種団体が隊列を組んで練り歩く七夕踊りパレードがメーンイベントだったが、今季は新型コロナ感染対策から実施を見送った。代わって亀城モールからモール505にかけ、飲食や雑貨などの露店ブースが立ち並ぶマルシェスタイルが集客の核となった。 失われた名前を探す 告知の段階では、この会場の説明に頭を悩ませた。亀城モールというのは、桜橋交差点の中央2丁目側から土浦駅方向に向かい、川口1丁目でモール505に接する、メーンストリート沿いの遊歩道。普段は小公園と歩道の組み合わさったオープンな空間になっている。土浦市の事業で、21年度に整備が完了したが、中央2丁目側がキララまつりで使われるのは今回が初めてだ。 古い土浦市民には「旧祇園町」という方が、川口側の街区との接続を含め説明がしやすいのだが、1974年に行われた住居表示で祇園町の名はとうになくなっている。

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。 今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。 選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。 なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。 今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。 議会議決で住民同意も