高校生たちが自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」で上位入賞した県立並木中等教育学校(つくば市並木、柴﨑孝浩校長)の野末紗良さんが5月、米国 ロサンゼルスで開かれる世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に日本代表として挑む。竹材から取った繊維を舗装材に使うことで保水性を高め、都市部で気温が上がるヒートアイランド現象の対策に活用できる可能性を示した。
野末さんは高校の3年生にあたる同校6年次生。昨年行われたJSEC2023に「竹繊維保水性舗装によるヒートアイランド現象への挑戦」をテーマに研究を発表した。全国174校の634人から、過去最多の343件の応募があり、審査でJFEスチール賞を受賞した。副賞として協賛社から学校に、100万円相当の位相差顕微鏡が贈られている。
理数系のコンテストに数多く参加し県内きっての実績を誇る同校だが、野末さんは科学部所属ではなく、中学入学時から剣道部員という異色の理系女子だ。母親が民間企業の研究職という家庭で育ったが、夏休みの自由研究などに熱中し、ずっと独力で取り組んできた。
剣道を始めて、竹刀を通じて素材としての竹に興味を持った。木刀と違って竹刀は打たれてもそんなに痛くない。竹がしなって衝撃を吸収するのは保水性のためと知った。入学しての3年間は素材研究に取り組み、竹を繊維化すると吸水性が向上し、繰り返し吸水できることを調べた。
5年次になって、保水性を生かした竹繊維の実用化研究に取り組んだ。舗装のすき間に吸水・保水性のある注入材を使う「保水性舗装」は、路面温度の上昇を抑える機能が注目され近年施工例を増やしている。水分の蒸発時に気化熱を奪って温度を下げる効果、いわゆる「打ち水」の原理に通じる。
コンクリートはセメントに砕石や水を加えて作るが、保水性舗装には吸水ポリマーやゼオライトなどの保水材を混ぜている。この材料を竹繊維に代えてサンプルを作り、吸水試験による他の吸水材との比較、経年劣化試験による耐候性及び疑似舗装を使った効果の検証を行った。
水酸化ナトリウム水溶液で竹繊維を作り、電子顕微鏡で観察するなどの研究は学校の実験室で行い、ホームセンターで購入した材料でサンプルのコンクリートを作って自宅で実験を繰り返した。その結果、通常のコンクリートに比べ路面温度が約5℃低くなる効果を確認できたという。
竹は周辺の竹林の孟宗竹、真竹を利用した。野末さんは「地域では(放置竹林が周囲に侵入、拡大する)竹害が深刻化している。竹繊維の利用を進めることでヒートアイランド以外の環境対策にもつながると思う」と語る。
5月12日から18日まで開催のISEFへは、JSEC2023で上位入賞した10研究が派遣される。並木中等科学部の粉川雄一郎教諭によれば、同校からは9年ぶり2人目の参加となる。現地では審査員を前に2分間のスピーチを含む15分間のプレゼンテーションを行う。発表やポスター展示の資料はすべてが英語だが、これらも準備作業を終えた。
「剣道では目立った成績は上げられなかったが、竹について真剣に5年間取り組めたのはよかった。アメリカでは竹への関心があまりないみたいなので、どんな反応が返ってくるか楽しみ」と野末さん。将来は「新素材・新材料の研究者になりたい」そうだ。(相澤冬樹)
「竹」でイッポン! 並木中等6年生 保水性舗装研究引っ提げ米国へ
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応援されるチーム、人の心動かす野球目指して 土浦日大 小菅監督【高校野球展望’25】㊥
第107回⾼校野球選⼿権茨城⼤会開幕まであと2日。大会を前に、強豪校の名監督インタビュー2回目は、土浦日大の小菅勲監督にお聞きした。
団子状態
ーチームの状況を教えてください。
小菅 正直に言えば、今の時点で完成度は高くありません。欠けている部分も多く、まだまだ課題の多いチームです。
ただ、高校野球は「発展途上人」の集まりです。大会に入ってから成長してくれればという期待がありますし、「これでいけるぞ」という手応えも少しずつ感じています。優勝には足りないピースもありますが、それを大会中に埋めていきたいと思っています。
──茨城全体のレベルについて、今年は突出したチームがいないと思いますが。
小菅 その通りで、まさに「団子状態」です。だからこそどのチームにもチャンスがあるとも言えます。
完璧に抑えられた
ー春に準々決勝で常総学院に3対7で敗れました。反省点や手応え、対策など教えてください。
小菅 まず良かった点は、前半が競り合いになったことです。打撃では事前に分析したデータに基づいて狙い打ちができていました。
一方で、守備は機動力を使われた際に対応できなかったことが反省点です。データに出ないような「余白の部分」への対応力も足りませんでした。ここをどうアプローチしていくかが課題ですね。
ー相手ピッチャーの小澤頼人投手は、対戦してみてどうでしたか?
小菅 手強いピッチャーでした。ゾーンにしっかり投げ込む力があり、変化球でもカウントが取れるタイプです。うちの打線も前半はよく対応していましたが、7回以降は完璧に抑えられてしまいました。そこをどう攻略するかが、今後の課題だと感じています。
素材的に差はない
─打撃陣の調子はいかがでしょうか。甲子園4強入りした2年前の世代と比べてどうでしょう。
小菅 素材的にそれほど差はありません。ただ2年前の世代は課題に向き合う姿勢や思考、行動が非常に優れていました。今年の選手たちはその点でややアプローチ不足があると感じています。
理想は「波状攻撃」ができる打線です。1、2番がダメでも3、4番が、そこがダメでも5、6番がカバーする。春の時点ではそこまでできていませんでしたが、今は徐々にその形に近づいてきています。
─投手について教えてください。
小菅 エースは右腕の永井です。際立ったボールを投げるタイプではありませんが、「打たせて取る」ことを理解し、自分の投球スタイルを確立しつつあります。守備との信頼関係も生まれ、テンポ良く投げられるようになってきました。非常に頼もしい存在になりましたね。
徐々に自覚芽生え
─1年生は甲子園4強を見て進路を決めた世代ですね。入部希望者は増えましたか?
小菅 ありがたいことに問い合わせは例年の2倍ほどありました。やはり甲子園効果は大きいです。
─甲子園4強世代はダブルキャプテン制でしたが、今年は?
小菅 今年は梶野悠仁がキャプテンです。新チーム発足時は別の選手に任せていたのですが、徐々に梶野の自覚が芽生えて言動がリーダーらしくなり、キャプテンを交代しました。年によって適した体制を選ぶようにしています。
負ける要因つぶすこと再認識
─春の敗戦から、チームはどう変わりましたか?
小菅 春は「取れるアウトをしっかり取る」という基本が徹底できていませんでした。今はまずそれを完璧にしようと取り組んでいます。負けない野球をするには、まず「負ける要因」をつぶすことが大事だと再認識できました。守備への意識が大きく変わったと思います。また、常総に負けたことで「夏こそは」という雰囲気がより一層強くなりました。
OBの自己分析を共有
──大学野球でOBが活躍していますね。
小菅 亜細亜大の芹澤優仁(4年)は東都大学リーグで首位打者とベストナイン。國學院大の藤本士生(2年)は防御率4位。法政大の小森勇凛(2年)は慶応大から初勝利。
そのほか、明治学院大の太刀川幸輝(2年)、常磐大の川井康晟(3年)もそれぞれのリーグで結果を残してくれています。芹澤と太刀川には、なぜ活躍できたか自己分析を5つずつ出してもらい、チームと共有しました。選手たちにも好評でした。
脚本家のように
─夏の大会の土浦日大の組み合わせゾーンは「死のゾーン」とも言われています。
小菅 まさに「一戦必勝」。厳しいゾーンですが、戦いながらチームは強くなっていくもの。決勝戦の頃にはまったく別のチームになっているはずです。
本番までに「負けにくい材料」をさらに整備し、仕上げていく。そして大会中も進化していく選手を見守っていく。監督として脚本家のように準備を進めていきます。
心ひきつける存在に
─最後に、応援してくれるファンや地域の方々、OBの皆さんにメッセージをお願いします。
小菅 選手たちには常に「人気のある選手であれ」と伝えています。ここで言う「人気」とは、人の心をひきつける存在であること。
ガッツあるプレー、笑顔、明るさ─選手それぞれの「自分らしさ」が人の気を引き寄せるのだと思います。感謝の念を持ちつつ、自分を押し殺さず、のびのびと自然体でプレーしてほしい。その姿が、きっと見る人の心を動かすはずです。
全力プレーで心を動かす試合を届けられるよう、「応援されるチーム」を目指していきます。高校野球ファンの皆さま、ぜひ球場に足を運んでいただき、熱い声援をよろしくお願いいたします。
【取材後記】春の敗戦を経て、どこか張りつめたような、それでいて希望に満ちた空気がチーム全体に漂っていたのが印象的だった。小菅監督の言葉は一つひとつに実感がこもっており、単なる反省ではなく、「何を得て、どう変わるか」にフォーカスが当たっていたことが、特に心に残った。「取れるアウトを確実に取る」─言葉にすれば当たり前のようだが、春にできなかったことを素直に認め、そこから逃げずに積み上げ直していく姿勢に、このチームの芯の強さを感じた。夏は“いける”、そう語る監督の眼差しはどこまでも冷静で、それでいてどこか楽しそうでもあった。
そして、今年のチームを語る上で欠かせないのが、キャプテン・梶野の存在だ。新チーム発足当初は目立たなかったという彼が、今では自然と声を上げ、チームを導く姿に変わったというエピソードは、まさに今のチームの成長そのものだろう。与えられた立場ではなく、自らの意思でリーダーシップを育ててきたその過程に、大きな可能性を感じた。
取材を終えて強く思ったのは、「このチームはまだ完成していない」ことこそが、最大の魅力なのだということ。大会を通してどのように進化していくのか──まさに“成長の物語”が始まろうとしている。その主役たちがどんな姿を見せてくれるのか、夏の開幕が今から楽しみでならない。(伊達康)
お好み焼きとジャガイモ、それからビール③《ことばのおはなし》83
【コラム・山口絹記】河岸を変えようと移動した店で、彼女からかわいらしい包みを渡された。共通の台湾の旧友(本コラムに登場)の結婚式のお祝いをわざわざ届けてくれたのだ。
どうやらぎりぎりまで私を招待しようかどうか迷ってくれていたらしい。呼んでくれれば駆けつけたのに、と思ったものの、結婚式の招待というのはいろいろと気をつかうものだ。海外となればなおさらだ。実際に足を運んだわけでもないのに参列者のお祝いの品を届けてくれたことに感謝しなければなるまい。
これはめでたいと再度乾杯をする。それにしても、当時は中学生だった20年来の友人たちが皆それぞれの環境で家庭を持つに至ったのはなんとも感慨深いものがある。
本コラムの上に載っているのがその時頂いた品の一つで、「囍」という喜が二つ並んだ漢字の書かれたコースターである。二重の喜び(ダブルハピネス)を意味する漢字で、結婚式にはぴったりのシンボルである。手書きのメッセージカードを読みながら、しばし思い出にひたった。
乾杯! 乾杯!
めでたいことと言えば、と私が我が家にもう一人家族が増えることを報告すると、「これは喜が二つじゃ足りないね」ともう一度乾杯になった。「実はまだ名前が決まってなくて」と手元の紙にいくつか候補の名前を書いて見せる。こういう時に日本語の旧漢字に近い文字を使用する台湾の友人は心強いのだ。
この漢字は台湾なら画数増えるね、意味としてはこうで名前にするなら…と丁寧に説明してもらう。産まれてきた我が子が大きくなったら、おまえさんの名前はいろんな人の気持ちがこもっているんだよ、と教えてあげねばならない。
いつか私のこどもたちが大きくなったらドイツに留学させるとよいよ、と2人は言った。冗談かと思ったら本気らしい。ご縁というのは本当に不思議なものだ。私たちのかけがえのない友情とこどもたちの未来に、もう一度乾杯した(言語研究者)
武蔵美卒業生23人 個性あふれる98点一堂に 県つくば美術館
校友会茨城⽀部展
武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県在住者及び出身者で構成する同大校友会第22回茨城支部展が6日まで、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、会員23人が制作した油彩、日本画、水彩、工芸など98点の個性あふれる作品が展示されている。
同大を卒業した県在住者及び県出身者は約1000人おり、そのうち約30人が会員となっている。支部展は毎年開催されている。
黒川達也(65)さんは油絵「ジュンヌフィーユ」を出展した。「物語の1ページとして描いた作品。作品は決して完成するものでなく絶えず追及している。また絵を描くのは枠にとららわれない思考が必要で、技術だけで描くものではない」と話す。
黒川さんは、美人画で知られる洋画家の宮永岳彦(1919-1987)最後の弟子で、2016年と18年にしんわ美術展奨励賞を受賞したなどの実績がある。地域の絵画サークルの講師などもしている。「絵描きは目が大事、ある時は科学者、医者であるという観察眼が必要で、絵は装飾品になってはじめて生かされる」と語る。
今年はシーソーをかたどった大谷統一さんの木材作品「繋ぐ」が初展示となった。NEWSつくばコラムニストの川浪せつ子さんは昨年に引き続き、NEWSつくばに連載した「おいしい時間(ご飯は世界を救う)」「洞峰公園Ⅰ、Ⅱ」の水彩画の原画などを出展している。
会期中のイベントとして▽5日(土)午後1~3時=「モノづくりワークショップー万華鏡や缶バッジつくり」(参加費500円)▽6日(日)午後1時~2時30分=ギャラリートーク(作家による作品解説)を開催する。(榎田智司)
◆武蔵野美術大学校友会第22回茨城支部展は1日(火)~6日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話090-6923-7747(冨澤さん)へ。
昨夏の主力残るもチームを再編 霞ケ浦 高橋祐二監督【高校野球展望’25】㊤
第107回高校野球選手権茨城大会が5日開幕する。今年も、強豪の霞ケ浦、土浦日大、常総学院の名監督3人にインタビューした。第一弾は昨夏の茨城大会を制し、甲子園で念願の初勝利を挙げた霞ケ浦高校の高橋祐二監督。注目の指揮官に、新チームの仕上がりや今シーズンへの手応えを語ってもらった。
OBが活躍
ー昨年甲子園で初めて1勝を挙げました。それも相手は名門の智辯和歌山です。この結果、チームや学校、周辺の地域にどのような変化がありましたか。
高橋 中学チームから今までにない数の問い合わせがあります。智辯和歌山に勝つってことはそれだけすごいことなんだと、それくらいのインパクトだったのだろうと思います。
ープロ野球でOBが目覚ましく活躍しています。
高橋 千葉ロッテマリーンズの木村優人が5月にプロ初勝利を挙げ、先日は阪神との交流戦で高校時代にたどり着けなかった甲子園球場で先発を任されました。また、広島東洋カープの遠藤敦志は球速が最速151キロまで上がったそうです。つい先日1軍に呼ばれたものの雨で流れました。また近いうちにチャンスがあるのではないかと思っています。先輩の活躍が後輩たちの刺激になっています。
無駄失点が多い
ー今年のチームの強みをお願いします。
高橋 去年の甲子園メンバーが、ピッチャー、キャッチャー、ショート、センター、レフトと、5人残っています。秋は準優勝になって関東大会に進出しました。一冬越えてその他の選手の成長もあり、ポジションをチェンジするなどチームをつくってきました。
しかしまだ私が求めるレベルまで達していません。特にディフェンス面は正直いって不安な部分が大きいです。無駄な点数を与えない守りの野球がうちの信条なのですが、今年は無駄失点が多い。作戦面でも、勝てるチームの時は監督の意図を選手がよく理解してくれているのですが、今年のチームはちぐはぐなことがあります。大会までには私の考えを浸透させたいと思います。
ー打撃陣の鍵を握る選手は?
高橋 荒木洸史朗と大石健斗を上位に据えていて、この2人が得点に絡んでいけたらと思っていますが、チーム全体として調子が上向きとは言えません。昨年もこの時期に調子が上がってきませんでしたが、かなり練習で追い込んで大会を迎え、勝ち上がるたびに奮発して頑張ってくれて甲子園の切符を手にすることができました。今年も同じように、大会を通して調子が上がってきてくれたらと思います。
2番手に伸びてもらうこと必須条件
ーエース左腕の市村才樹選手はどうですか?
高橋 市村は体重が増えてスピードもアップしましたが、スピードを追い求めて全体のバランスを崩して思うようにいかない時がありました。まさに春の県大会で明秀学園日立に痛打されました。
その後、やはりスピードではなく、本来の持ち味であるボールのキレを意識するようになり、崩していたバランスが整ってきました。最近では県外の強豪校とオープン戦をやってもまとまった投球ができています。
ー2番手投手に名前が挙がるのは?
高橋 右腕の稲山幸汰です。昨年うちが甲子園に行けたのは、調子が悪いときも2番手として使い続けていた眞仲が、県大会から甲子園にかけて覚醒して救世主になったことが大きな理由の一つです。今年うちが勝ち上がるためには、稲山にもっともっと伸びてもらうことが必須条件です。眞仲のような覚醒を期待して送り出したいと思います。
新キャプテン誕生
ー秋と春の戦いから、夏に向けて何か変えたことなどありましたら教えてください。
高橋 春を終え合宿を行う中でスタッフと相談し、夏には新しいキャプテンで臨むことになり、昨年の甲子園を経験した鹿又嵩翔をキャプテンに指名しました。まだキャプテン就任から2~3週間しか経っていないのですが、彼の持ち味を発揮してチームをうまく回してくれていると感じます。
ー近年、東北地方出身の選手が多いですが、理由は?
高橋 コーチでOBの白川拓海先生が仙台大学出身で、東北地方の野球指導者とつながりがあって、ありがたいことにうちを薦めてくれることがあります。最近では秋田県や山形県出身の選手がうちの門を叩いてくれています。
一つも気が抜けない
ー今年の茨城の勢力図はどのように見ていますか?
高橋 春に優勝した常総学院が頭一つ抜けた存在だと思います。
ー組み合わせの所感をお聞かせください。
高橋 Aシードのつくば秀英はもちろん、Cシードの土浦日大にDシードの守谷に加え、ノーシードの鹿島学園や日立一、下妻一、水戸商など、上位常連校がひしめく、一つも気が抜けない厳しいゾーンです。投手陣には頑張ってもらって、打線の奮起を期待するしかありません。
甲子園で二度、三度と
ー最後に、応援してくれるファンや地元の方々へメッセージをお願いします。
高橋 皆様に支えていただき、去年甲子園で初めて校歌を歌うことができました。日本全国の霞ケ浦高校の卒業生2万9000人に、少しでも勇気と元気を与えられたことと、やっぱり応援してくれている地域の方や、霞ケ浦高校のファンの方に、少しでも恩返しができたかなと思っています。
今年も甲子園で一度と言わず、二度、三度と勝って、全国に霞ケ浦高校の校歌を届けたいと思っています。まずは茨城大会で優勝できるよう精一杯戦います。
【取材後記】昨年は良い意味で開き直って大会を迎えた霞ケ浦高校が見事に茨城大会を制し、甲子園で歴史的な1勝を挙げた。一方で、今年は指揮官の言葉からもわかるように、ディフェンス面や戦術の浸透といった点で、チームづくりに難しさを抱えている様子がうかがえる。しかし、昨年もこの時期にはチームの調子が万全とは言えなかった。そこから大会を通して一体感を深め、結果として覚醒した姿は記憶に新しい。今年も夏本番でどのような進化を遂げるのか、引き続き注目していきたい。(伊達康)