コロナ禍のボランティア模索
筑波大学医学群看護学類2年の織田くれは(20)さんが、使い捨てコンタクトレンズ空ケースのリサイクル運動を実施した。回収ボックスを学生食堂や学生宿舎など大学構内13カ所に設置し、9月下旬まで約2カ月半で計2372個を回収した。
空ケースはリサイクル業者に買い取ってもらい、収益は角膜移植を普及啓発する「日本アイバンク協会」に寄付される。ほかに、空ケースのシールをはがすなどのリサイクル作業を、コンタクトレンズ販売チェーン「アイシティ」の障がい者部門に割り当て障害者の就労・自立支援に繋げたり、再資源化推進による環境保全につなげたりする。
織田さんが立案した企画は「アイシティecoプロジェクトinつくば」。「コロナ禍であっても、人同士の接触を避けながらできるボランティアはないだろうか」という思いから、大学が支援する「つくばアクションプロジェクト(T-ACT)」に企画を提案した。
高校時代から織田さんは障がい者施設などに出向きボランティア活動に親しんできた。「ボランティアというのは自分が相手に与えているようで、実は相手から与えてもらっていることが多い」という気づきを得ると共に、何かから解き放たれるような感覚を覚えた。
ボランティア活動に魅了される中、筑波大学入学前に手にした大学パンフレットで大学が学生の活動を支援する機関の存在を知り、入学後は T-ACT に携わろうという気持ちを強めたという。
しかし織田さんを迎えたのは、新型コロナと共にある大学生活だった。コロナ禍では満足にこれまでのようなボランティア活動はできない。そこで思いついたのが今回のプロジェクトだ。
今年2月に初めてT-ACTに企画を提案し、そこから実際に企画が終了するまで、約8カ月間奔走した。
実施にあたって厳しい感染対策が求められたばかりか、コミュニケーションの手段がオンラインであるなど様々な理由から、活動をアドバイスしてくれる大学のコンサルタントや協力してくれる仲間に自分の想いやコンセプトを「伝える」ということの難しさを感じる場面も多くあった。
加えて今回の企画は一企業であるコンタクトレンズ販売店「アイシティ」の活動に参画するというもの。大学内で実施するため、企業感を出さずに学生主体のボランティア活動であるということをしっかりとアピールすることや、貸し出された回収ボックスの管理を慎重に行うことが必要となるといった点で、様々な工夫を求められた。
一方で、企画に参加してくれた仲間との出会いや、回収BOX設置場所の提供といった協力を周囲から得る経験を通して「自分がやりたいと思ったことに周りの人も興味を持ってくれている」、「ボランティアというものは、色々な人の支えがあってこそ成り立っているのだ」という実感を得たことは、とてもうれしいものだったという。
今後については、外部団体と連携しながら行う活動ならではの苦労を乗り越えた経験を活かして、企画を立ち上げる学生のサポートをしていきたいと語る。