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2020
6月
学生と議員がコロナ禍の政策を討論 14日オンラインで
2020年6月12日
【岡本穂高】若者の投票率向上を目指し議員インターンシップなどを実施している学生団体、NPO法人ドットジェイピー茨城エリアつくば支部が14日、新型コロナウイルスの影響を受けた社会について討論する「議員交流会」を開催する。筑波大生ら26人と、つくば市など県南地域の市議会議員6人がビデオ会議アプリ、Zoom(ズーム)上で討論する。 「新型コロナウイルスによる教育の遅れ」「落ち込んだ経済をどう活性化させていくか」など、テーマごとに学生と議員が意見交換をし、国や地域がいかに対策を打つべきかを考える。さらに考えた政策をグループごとに発表し、実際に学生と議員が投票を行うことで、学生が選挙を身近に感じられるようにする。 ドットジェイピーは夏の議員インターンシップと併せて、現状の社会問題や背景を調べ、学生自身が政策を考える「未来国会」という政策立案コンテストを主催しており、議員交流会はその一環。例年、1カ所の会場に集まって開催しているが今年はビデオ会議形式で実施する。 今回の交流会は同コンテストの簡易版で、学生にとって身近な新型コロナウイルスの問題について意見を交わすことで、社会問題を考えるきっかけとする。つくば支部代表の筑波大2年の田邉渓太さんは「新型コロナウイルス感染拡大の影響がいまだ続く現在、若者の間でも政治への関心が高まっていると感じる。今回のイベントを通して学生が少しでも議員や政治を身近に感じてもらい、社会に問題提起を起こすきっかけになれば」と語る。 同支部は筑波大生を中心とした計13人で構成されており、年2回の議員・NPOインターンシップを運営している。交流会の様子は参加者のみに公開されるが、希望があればその様子を公開する予定。
《宍塚の里山》64 初夏の里山 「ぶらっと歩き」①
2020年6月12日
【コラム・及川ひろみ】今回は初夏の宍塚の里山の「ぶらっと歩き」です。出発は土浦学園線近くの「ふれあい農園」。農園近くには、親子で年間を通し活動をする「子ども田んぼ」、無農薬、無化学肥料、耕さない田んぼなど「自然農田んぼ塾の田んぼ」、そして農家の方が耕作する「宍塚米のオーナー制の田んぼ」と、3種類の田んぼが並んでいます。 田んぼの上空には里山の鷹「サシバ」が悠然と飛び、運がよければ田んぼのカエルを狙う姿が見られます。田んぼを過ぎると、若いアシが一面に広がるあるアシ原が広がります。アシ原ではオオヨシキリが「ぎょうぎょうし、ぎょうぎょうし」と、「仰々しい」の語源になったとされる賑やかなさえずりが聞かれます。 宍塚では、アシの上ではなく、近くの樹の枝で鳴いていることもしばしば。そんなときには、近くの木を仰ぎ見てください。オオヨシキリは一夫多妻(二妻)の鳥です。鳴いているのは雄、アシ原での子育ては複家族? 人の気配を感じると鳴き止んでしまうこともありますが、一時なりを潜めても間もなくまたけたたましく鳴き始めます。茶色で目立ちませんが、鳴いているときの口の中は真っ赤。驚くような赤さです。この赤色は仲間に元気であることを伝える手段といわれています。 カイツブリ、シジュウカラ、ヤマガラ… ふれあい農園から小川沿いに歩き、最後少し坂を上がると、目の前に宍塚大池が広がります。大池ではカイツブリがキリッキリッ、キリリリと鋭く鳴き、雌雄が鳴きかわす声が池に響き渡っています。 そして、親の周りを泳ぐカイツブリの子どもも見られます。カイツブリの好物はアメリカザリガニ。今年、宍塚大池ではアメリカザリガニが大発生。ザリガニ好きのアオサギ、ゴイサギもよくみられます。 カイツブリ。何か異変を感じれば、ピッ、ピッと鋭い声で仲間に合図を送ることもしばしば。上空にはオオタカなどが小さな命を狙っています。生き延びることは大変。池のほとりの林では、キビタキが明るい声でピヨピ、 ピッピキ、ピピッピキピなどと、美しい鳴き声が聞かれます。 初夏の里山は木々が生い茂り、小鳥の姿を確かめることは難しいのですが、耳を澄ますと、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガなど、小鳥のさえずりをいろいろ聞くことができます。 新型コロナウイルス問題で遠くに出かけることがはばかられる昨今、親子、カップル、グループで里山歩きをされる方が増えています。身近なところにこんな素敵なところがあったと、大層驚かれる方もいます。じっくり里山をそぞろ歩きすると、日ごろ見落としていた小さな命、驚きの命にめぐり合えること請け合いです。(宍塚の自然と歴史の会代表)
障害学生の学習環境整備に緊急支援基金 筑波技術大学が募集
2020年6月11日
【相澤冬樹】国内で唯一の聴覚障害者、視覚障害者のための大学、筑波技術大学(つくば市、石原保志学長)に緊急支援基金を求めるクラウドファンディングが11日立ちあがった。「障害学生へコロナで必要なサポートを」プロジェクトで、聴覚障害、視覚障害、盲ろうの学生に対して、遠隔授業を実施するための高度な情報保障(➡メモ)を伴う様々な設備環境の整備や、学生寄宿舎での生活維持のため、500万円をクラウドファンディングで募る。 新型コロナウイルスの感染拡大は、同大学で学ぶ学生たちへ大きな影響を与えており、新入生は学生寄宿舎への入居を見合わせている状況が続いている。5月末日現在、すべての授業を遠隔で実施しているが、通信の遅れによって手話がスムーズに動かないなど、コミュニュケーションが難しいケースも少なくないそう。さらに実習系の授業が行えないため、カリキュラムを予定通り進めていくことが大変になっているという。 不足500万円をクラウドファンディングで 大学ではすでに遠隔授業等で必要な通信機器の貸し出しや、学生寄宿舎の消毒作業などの支援を行い、筑波技術大学基金(「教育研究活動支援基金」「修学支援基金」)を通じて支援金を募っているが、基金全体予算1000万円のうち、なお500万円の財源が不足している。 このため国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)を運営するREADYFOR社(本社・東京都千代田区、米良はるか代表)との業務提携に基づき、第3の寄付金募集を開始した。これより先、READYFORの感染症拡大防止活動基金による助成が採択され、学生寄宿舎の消毒作業を業務委託、毎日消毒を行えるようになった。現在、学生寄宿舎には63人の聴覚・視覚障害学生が共同生活している。 今回のプロジェクトは、聴覚、視覚に障害がある学生に対して、①必要不可欠なコミュニケーションがとれる、双方向型の遠隔授業を実施するための学習環境整備②寄宿舎の学生に対する感染予防及び感染時に対応できるようにするため及び対面授業実施に向けた感染予防対策の備品購入―の資金に充当する。 大学によれば、今年度の授業開始に際して、学生には自宅の通信環境を整備すること、端末機器を用意することを要請したが、個々の経済的事情により、十分な環境を整備することができない学生もおり、まずは大学の備品(パソコン、タブレット、モバイルルータ等)を貸与した。ただ、双方向授業に適用可能なテレビ会議システムに対応する性能を有する機器を必要学生分用意することができず、一部学生においては授業で画像や音声に支障が生じる事態が発生しているということだ。 具体的な支援策としては、広角カメラ等の機材を用いた授業の検討、寄宿舎生活の健康管理や感染予防のための衛生用品や非接触型体温計の購入、アクリル板、フェイスシールドなど実験、演習等の対面授業に向けた感染予防対策品の購入などを想定している。 公開期間は11日から7月31日までの50日間。目標金額の達成の有無に関わらず、集まった寄付金を受け取ることができるALL-IN形式を採用。プロジェクトへの寄付は税制優遇の対象となる。 大学は11日、学長名で「聴覚、視覚に障害がある学生に対するオンライン授業では、双方向型のコミュニケーションが不可欠です。このための性能を有する機器を学生分、用意するための支援を皆さまにお願い申し上げる」とのコメントを発している。 ➡プロジェクトページはこちら 【メモ】情報保障 人間の「知る権利」を保障するもの。いつでも、誰も情報が伝わらない状況に陥る可能性がある。特に聴覚障害者は、音声によって提供される情報や会話を理解できないため、日常的に情報から疎外されてしまう。そのため、一般的に「情報保障」とは、聴覚障害者に対するコミュニケーション支援を指して用いられる。
近代俳人直筆の100点を展示 つくばで「色紙・短冊に見る俳句の世界」
2020年6月11日
【池田充雄】つくば市吾妻の古書店ブックセンター・キャンパスで企画展「色紙・短冊に見る俳句の世界」が開催されている。6月末まで。入場無料。 代表の岡田富朗さん(84)が65年の古書店人生の中で集めた、75人約100点の短冊・色紙がショーケースに並ぶ。明治以降の主要な俳人はほぼ網羅しているそうで、「なるべくいろいろ見ていただこうと1作家1枚は必ず入れた。ほかにもご希望があれば出してお見せします」と岡田さん。 俳人の個性が書にも発露 いずれも作家の直筆で、人柄や作風が書にも表れている。例えば高浜虚子は筆の運びに疾走感があり、まさに俳壇の先導者らしい。茨城(取手市神住)生まれの高野素十は客観写生のお手本と言われ、書にも優等生的な素直さや真面目さがうかがえる。水原秋櫻子は繊細で鋭敏、中村草田男は伸びやかで力強い。ことさらに名は体を表すのが俳号といえる。 自由律の祖である河東碧梧桐は、書も奔放でけれん味がある。「赤い椿白い椿と落ちにけり」は代表作としてよく知られる。書を見ると紅白が絡み合った、いっそう鮮やかな光景が浮かんでくる。短冊の効果かもしれない。 小説家の作品もある。尾崎紅葉は美文家らしく書も流麗で、いかにも大先生にふさわしい。室生犀星は書体にも句にも素朴な温かみがあり、詩情を感じさせる。意外だったのは瀧井孝作。至極の恋愛小説とされる「無限抱擁」をこの字で書いたかと思うと驚かされるが、俳句は碧梧桐の弟子だったと知れば、少しは納得できる。 大学生らにも人気再燃 「短冊は句会などの折に即興的に書かれ、掛け軸ほど改まったものではないが、やはり人に見せることを意識している分、生原稿などと違って鑑賞のしがいがある」と岡田さん。筆文字の面白さがあり、向かい合った際の気分によっても、うれしいときや悲しいときで見え方が違うという。 「俳句は短い形式で、強烈な印象を残すところがすごいと思う。俳人以外の句もまた、流派や定型に縛られない魅力がある」とも話す。大学生ら若い人にも愛好者が増えており、特に種田山頭火や尾崎放哉ら自由律の作家に人気があるそうだ。 店内には近現代の俳人の句集や研究書も多く取り揃えている。素十では1947(昭和22)年発行の処女句集「初鴉(はつがらす)」もある。 ブックセンター・キャンパス つくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)午前10時~午後4時(火曜日定休)電話:029-851-8100
《映画探偵団》32 野口雨情作詞『爆弾三勇士』
2020年6月11日
【コラム・冠木新市】雨情茨城民謡の謎を解くため、1930年代に作られた映画や1930年代を舞台にした映画を探して見ている。ある日、昭和初期を時代背景に作られた東映の任侠映画があったことに気が付いた。雨情と任侠映画はミスマッチであり盲点だった。 東映の任侠映画は『人生劇場 新飛車角』(1963)から始まる。TVの普及で斜陽となった日本映画界で観客を集め、『日本侠客伝』『昭和残侠伝』『緋牡丹博徒』などのシリーズ物を生みブームは約10年間続いた。だが当時の映画評論家や文化人からは毛嫌いされ、批判の的だった。 鶴田浩二主演『博奕打ち 総長賭博』 ところが、作家の三島由紀夫がある任侠映画を絶賛したところから潮目が変わる。お墨付きを得たからだ。「何という絶対的肯定の中にギリギリに仕組まれた悲劇であろう。しかも、その悲劇は何とすみずみまで、あたかも古典劇のように、人間的真実に叶っていることだろう」 三島が評価した作品とは、ギリシャ悲劇を参考にした笠原和夫脚本、様式美で描いた山下耕作監督の『博奕打ち 総長賭博』(1968)である。 昭和10年、東京江東地区に縄張りを持つ天竜一家の総長が脳溢血(いっけつ)で倒れ、跡目相続問題が起きる。一門の組長でそれぞれ兄弟盃(さかずき)を交わした、中井(鶴田浩二)、松田(若山富三郞)、石戸(名和宏)が総長候補である。 中井の妹は松田の妻、石戸の嫁は総長の娘という関係。さらに一門の叔父貴分の仙波(金子信雄)は、大陸進出の野望を秘め、何かと口を出す。そして総長は石戸に決まり、中井は様々なしがらみに縛られ、花会の準備を進める。 何度か見ていた作品だが、今回初めて気が付いたカットがあった。中井を差し置いて総長の座を受けた石戸に不満のある松田が、自分を狙った刺客は石戸の差しがねと思い込み、事務所に押しかける場面だ。 そこに「ビクターレコード 歌藤原義江 野口雨情作詞 中山晋平作曲」のポスターが貼ってあったのだ。残念ながら、曲名は柱の陰になってわからない。昭和10年は、雨情が日本民謡協会を再興し理事長に就任した年である。 上海事変 満州建国 団琢磨暗殺 その3年前、昭和7年(1932)1月28日に「上海事変」が起きる。3日後の1月31日、2月2日に、雨情は竜ケ崎のまちおこし民謡『今朝も別れか』(常陸竜ケ崎音頭)と『竜ケ崎小唄』を作詞している。2曲は、男と2人の女との別れと出逢いを描いた恋歌である。 2月9日には前蔵相、井上準之助暗殺。2月22日上海事変で肉弾三勇士の戦死を軍部が発表。3月1日満州国の建国宣言。3月5日三井合名理事長、団琢磨暗殺。 時代はテロと大陸進出とで騒然とした雰囲気だった。こうした中でまちおこし民謡をつくる雨情は、大陸での出来事をどう意識していたのだろうか。雨情は昭和7年、『幼年倶楽部』7月号に『爆弾三勇士』の詩を発表する。「上海事変」で爆弾抱えて突撃し亡くなった3人の男の詩だ。 くもの巣よりも なほしげく縦横無尽に はられたる鉄条網を うちながめにくや 小しゃくな 十九路軍日本男児の この意気を今こそ見せん 時は来ぬ(以下略)雨情茨城民謡は、日本とアジア大陸とのしがらみの中で読み直せば、いろんな映像が見えてくるのではないかと思っている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)
福祉施設の商品買って! 県社協若手が応援キャンペーン
2020年6月10日
【山崎実】茨城県社会福祉協議会(水戸市千波町)の若手職員有志による「新型コロナウイルスに負けない!『福祉施設の商品を買って応援!キャンペーン』」が展開されている。 感染拡大でイベントの中止や店舗営業の縮小が相次ぎ、障害者が福祉作業所などで作っている菓子やパン、弁当などを販売する機会が激減。商品が在庫となっているほか、工賃も減り、仕事と生きがいが失われていることを懸念し、若手職員らが「一助になれば」と立ち上がった。 具体的には、在庫商品などの販売に支障をきたしている県内の就労支援事業所が、県社協のホームぺージ(HP)に事業所名、商品名、販売方法などを掲載する(掲載料は無料)。 応募キャンペーは当面6月末日まで。購入希望者は直接、事業所に問い合わせる。県社協では販売しない。 掲載を希望する事業所は、商品掲載依頼申込書に、商品原稿を電子メールにより添付して提出する。 問い合わせは県社会福祉協議会CI会(シーアイ)、電話029-244-3755) ➡県社会福祉協議会「福祉施設の商品を買って応援!キャンペーン」のHPはこちら
【赤青白のサギの群れ】㊦ 「アマビエ」似? アオサギが街を飛ぶ
2020年6月9日
【相澤冬樹】鷺山のある桜川は、学園大橋下流から土浦市の中心市街地を抜けて霞ケ浦に注ぐ。サギ類は市民生活と隣り合わせで暮らす身近な鳥となってきた。それでも市街地上空を飛翔していくアオサギのいかつい姿にはなかなか慣れることができず、いつもぎょっとさせられる。 体長が1メートルほど、翼を広げると長さ150―170センチにもなる大型の鳥。後頭に黒い羽毛が伸長(冠羽)し、繋がるように眉状の黒い筋模様(眉斑)が入る。アオサギは桜川の鷺山には加わらず、周辺の里山で樹上生活をしているが、木の上にじっとたたずむシルエットが、疫病退散の妖怪として話題の「アマビエ」に似ているというものまでいる。 農研機構中央農業研究センター(つくば市)の研究員、益子美由希さん(34)を訪ねた。コロニー(集団繁殖地)を作って暮らすサギ類の生態に詳しい。茨城県内のサギについては筑波大学の生命環境科学研究科が1980年代から、コロニーやねぐらの分布を調査してきた。益子さんは学生時代の2008年から、その調査を引き継ぎ、大学院を経て今の研究生活に至るまで、調査を継続している。 調査対象にはアオサギも含まれており、県内での増加傾向を定量的にとらえた。「サギ類にかかわらず近年、大型の鳥類が個体数を増やす傾向にある。サギ類でみると、小型のアマサギ、コサギが減っているなかで、ダイサギ、アオサギに増加傾向が見られる」と自作のグラフを見せてくれた。 データは、フィールドワークで丹念に採取される。コロニー上空に小型ラジコンを飛ばし空撮を行い、緑地のなかで白い点に写った鳥の数をカウントする。地上からも飛び立つサギを種類ごとに数え、その比率からコロニーにおける6種の個体数を推定する。これを毎年、茨城県内で形成される約20カ所の営巣地で行った。 アオサギは6種中もっとも少ない個体数だったのが、近年チュウサギ、ゴイサギに次ぐ第3勢力に拡大した。論文発表済の2011年まで(2005年は空撮コロニー数が少ないため除外)をイラストグラフ化しているが、アオサギの増勢はその後も続いている。 動物食のサギに格好のえさ場 「以前は農薬散布が捕食動物の生息数の増減に影響を与えたが、今は農薬の影響は少ない。大型になるほど天敵が減って生態系のなかで優位に立つということではないか。えさ場の多い土浦周辺では増える要素が十分にある」と益子さん。 中央農研にはこの4月に移ったばかりだが、新型コロナウイルスの影響からフィールドワークに出にくく、研究者としては羽を休める日々が続いている。所属は鳥獣害グループ。今後は調査研究の対象をカモ類などにも広げたい意欲をもっている。 「サギは田んぼや畑で虫やカエル、ザリガニなどを食べて暮らす。基本は動物食なんです。土浦あたりに多いハス田は一年中水が張られ、えさが取りやすいから大好きなんだけど、植物のレンコンを食べることはない。農作物にとってはむしろ益鳥です」(益子さん) しかし、これだけ市街地に近い場所に、サギ類のコロニーが作られるようになると、周辺の住民にふんや鳴き声、臭いなどの生活被害をもたらす懸念は小さくない。 現状、サギは鳥獣保護法により、許可なく捕獲したり、巣を落としたりすることが禁じられている。カラスやカルガモを駆除の対象とする土浦市・かすみがうら市鳥獣被害防止計画にも、アオサギをはじめとするサギ類の記載はない。この先もヒトはサギとの適切な距離感(ディスタンス)を保って、お隣付き合いを続けていけるだろうか。
【オンライン授業奮闘記】教育現場から考える(下) 『徒然草』の伝え
2020年6月9日
【田中めぐみ】土浦市内の小中学校、義務教育学校では今週から通常登校となった。土浦日本大学中等教育学校でもオンライン授業をひとまず終了し、通常登校が始まる。新しい学校生活様式はどのようになるのだろうか。 感染を防ぐ教室環境の整備 生徒も教職員も登校前に体温を測定し、登下校時や学校にいる間はマスクを必ず着用する。教職員にはフェースシールドの用意もある。昇降口や教室、職員室にはアルコールを置き、手指を消毒できるようにしている。手洗いの徹底、こまめな水分の補給も指導する。ドアの取っ手やスイッチ、階段の手すりなど生徒が手を触れる場所は教職員が1日1回以上消毒を行う。 さらに、教室はできるかぎり2方向の窓を同時に開けて換気しなければならない。しかし、これからの時期、雨風の強い日、蒸し暑い日は一体どうなるのだろう。マスクをしたままの活動は熱中症の危険もある。エアコンを適宜使用し、快適な教室環境を守りつつも感染を防ぐ配慮が必要となってくる。 制限される国語の活動 近距離で一斉に大きな声で話す活動はできない。国語の授業では全員一斉に大きな声で教科書を朗読したり、活用表を読み上げたりすることがある。今までは生徒たちに「もっと大きな声で言ってみよう」などと促していたが、このような音読活動はしばらく控えるべきだろう。 複数の生徒が近距離で話す活動も「密集」「密接」になるおそれがある。発表したり話合わせたりする活動は、これまでグループワークで行ってきたが、それも当面は見合わせることとなる。生徒が楽しみにし、毎年白熱する百人一首のかるたも現状ではできないだろう。 課題の提出・採点にオンライン利用 生徒同士が持ち物を共有したり、個人の持ち物に触れたりすることも良くない。これまでノートや課題などの回収を生徒に任せることがあったが、回収係の生徒を感染のリスクにさらすことになるかもしれない。回収用のボックスを作り、各自入れてもらうなどの工夫が必要だ。もしくはGoogle Classroom(グーグル・クラスルーム=課題のオンライン管理システム)を用いる。先月は作文の課題を配信した。 生徒は課題についての質問をチャット形式で教員に送ることができ、提出もオンラインでできる。採点結果やコメントもシステム内でフィードバックされるので感染の不安がない。 非常事態だからこそ学びを 兼好法師『徒然草』に「世に語り伝ふること」という段があり、高校2年生と読んでいる。冒頭に「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」とある。世の中で語り伝えられていることは嘘が多い、というのである。 また、こうもある。「よき人はあやしきことを語らず」―教養がある人は疑わしいことを語らない、と。『徒然草』の別の段には、発熱する疫病が流行しそれに伴って鬼を見たというデマが流れ、人々が騒然としたという記述もある。鎌倉時代に書かれたこの古典を、生徒らはどのように考えるだろうか。 テレビやインターネットに様々な情報があふれる今、子どもは放っておくとSNSや動画サイトなどで、特定の情報にばかりにアクセスしてしまう。不確かな情報が飛び交う中、必要以上に不安を煽(あお)られたり、反対に感染の危険性を軽視したりすることもあるだろう。 学校では様々な問題、課題に触れ、情報の扱い方について学んでいく。根拠を示した意見と感想の違い、一次情報と二次、三次情報の違いなど、様々な教科で考え、新たな視点を手に入れていく。自分を取り巻く状況について考え、問題を解決しようとする主体性を身に付ければ、フェイクニュースに躍らされることもない。また、もし身近に感染者が出てしまった場合、差別をしたり誹謗中傷をしたりすることは絶対にあってはならないことだが、正しい知識を持つことは偏見を防ぐことにもつながる。このような非常事態だからこそ、学ぶことには大きな意味がある。 今後、感染拡大の第2波、第3波の可能性もあるといわれている。オンラインの備えをしながら感染を防ぎ、より良い学校生活を送るにはどうすればよいのか。教材を通じて、生徒らと共に考えたいと思っている。
《続・平熱日記》63 我流養生訓
2020年6月9日
【コラム・斉藤裕之】玄関から上がって「?」。何か踏んだな。よく見ると大きな犬の歯。フーちゃんの歯。 フーちゃんはこの家を建てた次の年の春にやってきた。だから満17歳。歯も何本か失ったが、今は目も耳もほとんど利かないのだろう。呼んでもあらぬ方向を見つめたり、帰宅しても気づかずに寝ていたりする。おむつもするようになった。 それでも、とにかく食欲は旺盛なのだが足腰が弱っているので、食べている間にだんだんと手足がハの字に開いていってしまう。しまいには全開脚して、すっかり這いつくばったまま、それでも食べ続ける。 ひょいと尻尾を持って引っ張り上げて、足が開かないように私の足を両の後ろ脚の外側に添えてやると、なんとか姿勢を保ちながら、えさの入った洗面器を空にする。 洗濯物干しスクワット 実は私も、今年になってどうも左の膝に違和感を覚える。余談だが、こういうときにちょっと人に聞いてみるのはよいとして、最近ではSNSで体調が悪いだの、病院に行きましたとか、家族がどうしたとか呟くのはどうかと思う。 どこの家にも、具合の悪いことは一つや二つあるものだ。世の中がそんな投稿で溢れてはかなわない。私の場合、これまでケガなどの経験は人より多いと思っていて、大概(たいがい)自分流に対処してきた。 しかし今回は違う。明らかに経年劣化。それから確実に運動不足。だからといって、ウォーキングやジムに通うのはどうも。本来は、水汲みや雑巾がけなど、日々の暮らしの中に肉体労働がバランスよく入っているのが理想なのだが、生憎(あいにく)そこまで不便な暮らしでもない。そこで、私が毎朝密かに始めたのが、名付けて「洗濯物干しスクワット」である。 洗濯はもう十数年来私の役目。娘たちがいたころとは違い、夫婦2人の洗濯物は実にシンプルで、下着や靴下は洗濯ばさみが十(とお)も付いた小さな物干しハンガーで十分だ。 そのハンガーは床から60センチほどの高さにぶら下げてある。まずはカミさんの下着を持ってゆっくりしゃがむ。足は肩幅。一番きついところでキープして、洗濯ばさみでとめる。ゆっくり立ち上がって次は私のパンツ。そして靴下…。都合10回ワンセット。ポイントは呼吸法と膝を締めて開かないこと。すぐそばで寝ているカミさんに気付かれないこと。これだけで意外に効く。ライバルは三浦雄一郎、目指すは千代の富士の肩というところか。 抜けた愛犬の歯と私の歯 それから、フーちゃんの抜けた歯は、いつか描くこともあろうかと集められたガラクタどもと一緒に、アトリエの机の上に置いた。その横には自然に抜けてしまった私の歯も並んでいる。まさかこれを描くことはないが、生え変わることを願って放り投げることもないし。 さて今年も定期検診に行ってきた。何も問題はなかった。気がかりなのはやはり膝だ。そこで、洗濯物干しスクワットに加えて、台所仕事にもひと工夫して下半身を鍛えようと思う。今日から夕飯は「中腰料理」である。コラーゲンの有無はともかくも、シェフの膝はプルプルである。(画家)
学校再開 ただし距離保ち、触れ合わず 土浦小訪問記
2020年6月8日
【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月から休校となっていた学校が8日再開し、3カ月ぶりに児童、生徒全員が通常登校した。ただし友達同士、手をつないだり、肩を組んだり、大声でしゃべったりせず、マスクを着けて、互いに距離を保ちながらの新しい学校生活がスタートした。 県内では5月6日から新規感染者ゼロが続き、感染が抑制できているとして、8日から、外出自粛や休業要請がすべて解除となるステージ1に移行したのに併せて、学校も通常登校となった。 このうち土浦市大手町、市立土浦小学校(小島勝則校長、児童数622人)では8日、全校児童がそろって登校した。5月27日からクラスを半分に分けて分散登校が始まったが、全校児童がそろったのは3カ月ぶり。 子供たちは朝、登校するとまず、昇降口で熱がないことを報告。教室に着くと手を洗い、自宅で測ってきた体温を記入した「検温カード」を担任教員に見せた。 教室では、机と机の間隔を約1メートル空けて座り、マスクをしたまま授業を受けた。換気を良くするため、外側の窓を開けっ放しにし、廊下側の後ろのドアを取りはずした。 休み時間は、校庭で遊べる時間帯を学年ごとに割り振り、外遊びも密にならないようにした。さらに休み時間ごとに手を洗ったり、水を飲んで水分を補給。マスク着用による熱中症が心配されていることから、水分補給には特に注意しているという。 3カ月ぶりに給食が出されたが給食風景も大きく変わった。当番の児童が配膳するのを止め、担任教員が一人ひとりにおかずを配膳。グループごとに向かい合って食べていたのを止め、全員が前を向き黙々と食べた。 体育は、子供たち同士が接触する球技などは避け、当面、接触し合わない、かけっこなどをするという。 教員はさらに1日2回、教室やトイレのドアノブなどの消毒を実施。子供たちが帰宅した後は、児童全員の机といすの消毒などを毎日実施する。校庭の遊具なども毎日消毒する。 小島校長は「教員皆、今日の日を待ち望んでいた。子供たちも全員に会える日を心待ちにしていたと思う」と語り、「学校は多くの人が集うところなので密になることは避けられないが、3つの密が重ならないように、皆が協力して健康で安全に学校生活を送っていけたら」と話した。 学校再開初日の8日、子供たちの表情は休校前と変わらず明るく、加えて、コロナ禍の新しい生活様式として求められている「節度ある生活をしてくれている」と小島校長はいう。
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