土曜日, 10月 23, 2021
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近代俳人直筆の100点を展示 つくばで「色紙・短冊に見る俳句の世界」

【池田充雄】つくば市吾妻の古書店ブックセンター・キャンパスで企画展「色紙・短冊に見る俳句の世界」が開催されている。6月末まで。入場無料。

代表の岡田富朗さん(84)が65年の古書店人生の中で集めた、75人約100点の短冊・色紙がショーケースに並ぶ。明治以降の主要な俳人はほぼ網羅しているそうで、「なるべくいろいろ見ていただこうと1作家1枚は必ず入れた。ほかにもご希望があれば出してお見せします」と岡田さん。

俳人の個性が書にも発露

いずれも作家の直筆で、人柄や作風が書にも表れている。例えば高浜虚子は筆の運びに疾走感があり、まさに俳壇の先導者らしい。茨城(取手市神住)生まれの高野素十は客観写生のお手本と言われ、書にも優等生的な素直さや真面目さがうかがえる。水原秋櫻子は繊細で鋭敏、中村草田男は伸びやかで力強い。ことさらに名は体を表すのが俳号といえる。

自由律の祖である河東碧梧桐は、書も奔放でけれん味がある。「赤い椿白い椿と落ちにけり」は代表作としてよく知られる。書を見ると紅白が絡み合った、いっそう鮮やかな光景が浮かんでくる。短冊の効果かもしれない。

店内には碧梧桐の色紙も飾っている「散る頃の桜となりのも咲きさそひ来る」 右は瀧井孝作(号は折柴)の句

小説家の作品もある。尾崎紅葉は美文家らしく書も流麗で、いかにも大先生にふさわしい。室生犀星は書体にも句にも素朴な温かみがあり、詩情を感じさせる。意外だったのは瀧井孝作。至極の恋愛小説とされる「無限抱擁」をこの字で書いたかと思うと驚かされるが、俳句は碧梧桐の弟子だったと知れば、少しは納得できる。

大学生らにも人気再燃

「短冊は句会などの折に即興的に書かれ、掛け軸ほど改まったものではないが、やはり人に見せることを意識している分、生原稿などと違って鑑賞のしがいがある」と岡田さん。筆文字の面白さがあり、向かい合った際の気分によっても、うれしいときや悲しいときで見え方が違うという。

「俳句は短い形式で、強烈な印象を残すところがすごいと思う。俳人以外の句もまた、流派や定型に縛られない魅力がある」とも話す。大学生ら若い人にも愛好者が増えており、特に種田山頭火や尾崎放哉ら自由律の作家に人気があるそうだ。

店内には近現代の俳人の句集や研究書も多く取り揃えている。素十では1947(昭和22)年発行の処女句集「初鴉(はつがらす)」もある。

  • ブックセンター・キャンパス つくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)午前10時~午後4時(火曜日定休)電話:029-851-8100

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