金曜日, 4月 26, 2024

つくば市民活動センター 指定管理者の応募ゼロ 来年4月から直営に

【鈴木宏子】市民のボランティア活動や社会貢献活動を支援するつくば市市民活動センター(同市吾妻)の運営が、来年4月から市直営になる。今年7月、市が来年度から3年間の指定管理者を公募したところ、応募がなかったためだ。市は今年3月策定の未来構想(総合計画)第2期戦略プランで同センターをさらに充実させることを明記し、指定管理料を2割引き上げた矢先だった。 同センターは2001年11月にオープンした。当初の運営は市直営だったが、07年度からNPOつくば市民活動推進機構が指定管理者として管理運営を担い、13年度から8年間は現在のNPOスマイル・ステーション(松浦幹司代表)が運営している。現在の指定期間は来年3月末で終了する。 同センターは、年末年始を除き、土日も休むことなく午前10時から午後10時まで毎日開館し、市民活動の場を提供してきた。同NPOが市に提出した事業報告書によると、19年度は年間1万3795人が施設を利用した。施設の貸し出し以外に、自主事業として市内のさまざまな市民活動の情報を収集して発信したり、相談に乗ったり、市中心市街地のつくばセンター広場でイベントを開催したり、自主講座や交流会を開催するなどして市民活動を支えた。 特に相談件数は年間211件と多く、助成金、ホームページ作成、市民ビジネスなど他分野にわたった。 19年度の事業費は年間約1400万円。うち市からの指定管理料収入は約1200万円。自主事業収入は約110万円で、収支は赤字だった。 コロナ禍、自主財源確保厳しく 市市民活動課によると、来年度から3年間の指定管理者の公募の際、説明会には現在の指定管理者とは別の1団体が参加したが、応募はゼロだった。応募がなかった原因について同課は「コロナ禍で自主事業の財源確保が難しくなっている」と状況を話す。 再公募については「かなり増えてきている相談事業に対応できるNPOが想定できなかった」などとして、実施しなかった。 一方、20年度から5年間の第2期戦略プランは同センターについて「施設の提供や各種相談機能の充実を図る」「市民活動の情報提供や市民団体のネットワーク化を図る」などの目標を掲げ、来年4月からの指定管理料を、現在の年間約1200万円から約1400万円に引き上げて公募した。 来年度から市直営となった場合、現在のサービスは維持されるのか、事業費はどれだけ増えるのか。 同課は、来年度以降の事業内容や事業費の検討はこれからだとし「来年度(現在の指定管理者の同NPOが)どの程度協力してくれるのか、どういう事業を展開していけるか、検討したい」としている。 一方、2022年度以降も引き続き市直営とするか、指定管理者に戻すのかは現時点で未定という。 現在同センターを管理運営している同NPOの松浦代表は、来年度からの指定管理者に応募しなかった理由について「8年間、10人強で運営してきて、くたびれてしまったというのが正直なところ。指定管理者の応募がなく、逆に迷惑を掛けてしまった」とし、来年度以降について「(これまで実施してきた)自主事業の部分で引き続きお手伝いできれば」と話す。

《食とエトセトラ》9 今年もいざ、おせち料理づくり

【コラム・吉田礼子】10代のころより母とおせち料理を作る時間は至宝のような時間であった。縁あって1977年に宮城県で結婚生活が始まったが、盆と暮れには茨城県の主人の実家に帰省した。暮れには茨城のレンコンを使ったおせち料理を教えてもらう。ユズをたっぷり入れたレンコンの酢バスは宮城のお友達にも大好評。きんぴらと言えばゴボウとニンジンが定番と思っていたのに、縦に1センチ角の拍子切りにしたレンコンのきんぴら、レンコンの丸煮などは産地ならではのお料理と驚きの連続。 コンブ巻きは東北ではニシンと決まっていたのに、茨城では焼きワカサギを巻く。良いだしが出てこちらもおいしい。所変われば品変わる。一つの料理が気候、風土、歴史によって様々に作られることを実感した。私の実家の十八番(おはこ)料理も加わって、栗きんとん、のっぺい、…。義父が活躍する餅つきは、29日は避けて28日につくものと教わって、家族総動員で正月の準備をする。 13日過ぎごろからおせちの材料をお店に相談したり、予約注文したりする。日持ちの良いものは2週間ぐらい前から作るが、25日ごろから集中して作る。正月は歳神様がいらっしゃるので、煮炊きをすると神様が落ち着けないから、年末にあらかじめ用意しておくとのこと。 定番の料理には意味がある 子供のころは、お寺の除夜の鐘を百八つ数えて1年が終わる。その後、父のすることを真似て二礼二拍手、一礼し、新年のご挨拶をしてお神酒を歳の順にいただく。子供は飲む真似だけといわれたハレの日の中でも、お正月は別格。 餅は特に大切な食べ物。まずは神様に供え、下げていただく。生もの、四足ものは避けると祖母が話していた。おせち料理の定番には意味がある。お重詰めにするのは良きことが幾重にも重なるように、黒豆は真っ黒になるまで元気に働けるように、田作りは豊作を祈願して、カズノコは子孫繁栄の象徴として―と。 さらに、だて巻は反物に見立てて反物がたくさん買えるように、また巻物に見立て学業が向上するように、養老エビは腰が曲がるほど長寿に、栗きんとんはお金がたくさん入るように、かまぼこは初日の出を表す―と。昨今は、何日もかけておせち料理を作ることは難しい時代ではあるが、数品でも十八番料理を家族と作って食べていただきたい。(料理教室主宰)

高齢者におせち配達 コロナ禍の安否確認兼ね 土浦市社協

【崎山勝功】一人暮らしの高齢者らに豊かな正月を迎えてもらおうと、土浦市社会福祉協議会は28日、手作りしたおせち料理を市内153世帯に届けた。同事業は1996年に始まり今年で25年を迎えた。高齢者の安否確認も兼ねている。 この日は、午前8時30分ごろから同市大和町の市総合福祉会館にボランティアら37人が集まり、紅白なますと筑前煮の2品を調理した。冷ましてから容器に手際よく盛り付け、市販の栗きんとん、伊達巻、黒豆、紅白かまぼこ、昆布巻きと合わせて、流れ作業でおせちを詰めた。 さらに市内の小学生らが描いたイラスト入り掛け紙でおせちを包んで彩り、社協職員とボランティアらが市内の高齢者宅に配送した。 おせちを受け取った飯村政夫さん(90)は「正月に孫が来てから(おせちを)食べる予定」と喜んでいた。飯村さんは今年10月ごろから市社協の宅配型食事サービスを利用し始め、おせちを受け取るのは初めて。 正月は毎年、家族全員が集合していたが、コロナ禍の新年は、東京方面に住む孫が帰省を見合わせるという。土浦市内在住の孫らと新年を祝う予定だ。 市社協の担当者は「高齢者は『出歩かないで』と言われているので、誰にも会わなくなってしまう」として、見守り活動の重要性を訴えた。飯村さんも、コロナ禍前は毎週のようにグラウンドゴルフに励んでいたが、今年は外出自体を控えているという。 おせち配布の負担費用は1世帯400円で、歳末たすけあい募金の一部を活用している。

《邑から日本を見る》78 ひたちなか市で「干しいもの歴史」展

【コラム・先﨑千尋】茨城県の冬の風物詩は干しいもにアンコウ。その干しいもづくりは今がピークだ。産地は、ひたちなか市、東海村、那珂市など。北東からの寒風にさらされ、独特の甘さになり、他の追随を許さない。中でもひたちなか市は明治末期からの伝統があり、生産農家、生産量が飛び抜けて多く、直売所や国道沿いの直販店は、歳暮・年始の贈答用に買い求める客でにぎわっている。そのひたちなか市那珂湊支所で「干しいもの歴史」展が開かれている。以前は「乾燥いも(なまって“かんそいも”)」と呼ばれていたが、今では「干しいも」だ。 干しいものルーツは静岡県御前崎市。江戸時代末期に、サツマイモを煮て、皮をむき、細かく切り、干すという製法が考案された。それが明治40年代初めに那珂郡湊町(現ひたちなか市)の魚の干物屋に伝わり、やがて近辺の農家の副業として広がり、今日まで続いている。 1955(昭和30)年までは、元祖の静岡県が日本一の生産量を誇っていたが、「産地は移動する」という言葉のように、現在は茨城県が日本一。農林統計では全国のほぼ100%に近い。三重、愛媛、高知の一部の地域などで作られている(呼び方は違う)が、地場消費の生産量しかない。 干しいもづくりは、かつては農家の副業だった。ひたちなか地方の農家は、冬場の暇な時期に干しいもづくりに励み、家計の足しにしていた。干しいもの販路は、北海道や長野、群馬などの機織りが盛んな地域が主だった。軍隊にも納められていた。いつでもどこでも食べられる干しいもは「貧しい人が作り、貧しい人が食べる」と言われていた。原料のサツマイモも、貧乏人が食べるもの。飢饉のときや戦時中の救荒作物だった。 大きく変わった作り方 しかし今ではまったく違う。サツマイモはヘルシーな食べ物として女性に人気があり、焼き芋もスーパーの店頭で買うことができる。コンビニやドラッグストアでも中国産の食べきりの干しいもが買える。国産の干しいもは値段が高くなり、丸干しのものは高級和菓子と言ってよい。 「干しいもの歴史」展では、生産農家である永井喜平さんと木名瀬一さんの資料をもとに、伝統的な製法と最近の人工乾燥機を使った製法や、干しいもの品種などが実物やパネルで展示され、会場を一回りするとその歴史がわかるという構成になっている。 かつては、サツマイモを蒸し、皮をむき、スライスして、農家の庭先や畑で干したが、今の主流は人工乾燥機。最も速いやり方だと8時間で干し上がる。魚の干物と同じだ。大きな農家はほとんどがこのやり方。この10年で大きな変化を遂げている。また製品も、以前はカチカチになるほど干しあげ、白く粉が吹くのが好まれたが、今の消費者の好みは柔らかめ。 会場の一部に、私が『農業いばらき』という農家向けの雑誌に1月から1年間連載した「茨城の干しいも物語」の記事が、拡大したパネルで展示されている。また映像も流されているので、茨城だけでなく、これまでの干しいも作りの歴史や製法などを知ることができる。会場は那珂湊支所1階の展示室、会期は来年1月24日まで。(元瓜連町長)

《食う寝る宇宙》76 年末の大掃除と宇宙のゴミ

【コラム・玉置晋】本来、本コラムは沖縄旅行の合間に書くつもりだったのですが、残念ながらコロナ禍が収束せず、旅行は断念しました。会社には事前にお休みの申請を出していたので、わが家は大掃除を行っています。 旅行がなくなってしまったので、わが家の奥方もご機嫌ナナメのご様子で、僕としては暗雲が通り過ぎるまで低姿勢で地雷を踏まぬようにと、気をつけてはいるのですが、「ほら、そこ、汚れ落ちてない!」と。しまった、大掃除という地雷原に迷い込んでおります。 宇宙のゴミに関するお話は、SFの中では随分昔から題材になっていますが、今や現実の問題として日本のみならず世界中で議論されています。この原稿を書いている時点(2020年12月22日)で、4万7295個の宇宙物体が登録されています。これは観測可能な10センチ以上のものです。 このうち3万9021個は宇宙ゴミ(Space Debris)として分類されています。1万7702個は大気圏に突入して燃え尽きましたが、残りは軌道上を高速で飛び回っています。 10センチ未満の宇宙ゴミはもっと沢山あるのですが、現時点では観測・公開はされていません。放っておくと、これからどんどん増えていきます。運用中の人工衛星に宇宙ゴミが接近する場合は逃げる必要があるので、衛星運用者はとっても困っています。 宇宙ゴミを回収する仕事が、ビジネスとして成立する世界が出来つつあります。日本の民間会社も数社参入してきているので楽しみですね。僕が研究している宇宙天気も宇宙ゴミの掃除とも関係していて、太陽活動が活発な時期は宇宙ゴミが大気圏に落ちて掃除されやすくなります。 大学院の半期学費はお小遣い2ヵ月分 僕が大学院で宇宙天気や宇宙ゴミの研究を進めるためには、年に2回授業料を納入する必要があります。僕が在籍している茨城大学の場合、半期で26万7900円なのですけど、授業料半額免除(年収900万円未満なら通ります)+長期履修制度(3年間を6年間に延長)を適用すれば、6万6975円で済みます。 僕のお小遣いを暴露しますと、月あたり3万円いただいていますので、大体お小遣い2カ月分で半年間大学院研究することができます。研究したいテーマがある方は挑戦してはいかがでしょうか。 もう一つアドバイス。研究生活においては、くれぐれも奥方の地雷を踏まぬようにね。(宇宙天気防災研究者)

《土着通信部》43 2021年どうする?  GoTo初詣

【コラム・相澤冬樹】年の初めの例(ためし)とて-とはいうものの、コロナ禍の2021年、初詣は例年通りとはいかず、様変わりしそうだ。県内の主な神社に聞くと、大みそかから元旦の終夜参拝を取りやめる例は確認できなかったが、「密」を避けるため「分散参拝」を呼び掛けるなど、「新しい生活様式」に準じた参拝方法を提案している。 常陸国一之宮の鹿島神宮(鹿島市)では、「初めて参拝した日が初詣」という考え方や、正月三が日にこだわらず節分までは初詣だとの理解を求めている。楼門参入口にサーマルカメラを導入して体温を測り、37.5度以上の人には境内の外から本殿を向いて拝む「遙拝(ようはい)」にとどめてもらう。マスクをつけない人も参拝を遠慮してもらうなどの対応だ。 同神宮では遠隔初祈祷を案内している。ホームページを介した郵送祈祷に加え、代参祈祷の参拝方式を取り入れる。昭和初期まで存在した参拝者の世話をする「御師(おし)」を復活させ、ネットを通じて代参する様子の動画を依頼者に見てもらう。同神宮によれば、神道の本義から外れることなく、インターネットという現代の技術を用いて新しい生活様式の選択肢を提案したそうだ。 あんばさま総本宮、大杉神社(稲敷市)は、分散参拝に取り組むのは今回が初めてではないという。厄年・八方除(よけ)の厄払いで知られており、立春や旧正月(2月12日)も新しい年の始まりと扱うことから、従前3月までを初詣とみなしてきた。 「新年は、節分の豆まき行事を中止にした以外は例年どおり神事を行う」(市川久仁守宮司)としながらも、手洗い場に次亜塩素酸水の噴霧装置を設けたり、お守りの授与にICタグを用いた会計方式を取り入れるなど新機軸も打ち出している。 筑波山神社(つくば市)は、「一月中のお参りが初詣となるので、混雑を避けてお参りください」と呼び掛けている。ご祈祷は例年拝殿に300人ほどを招き入れたが、新年は「密」を避けるため昇殿は代表者1人に限り、1回約50人で執り行うことにした。7日までの祈祷は予約制。控室の入室前に、体温計測、手指の消毒、マスク着用などの決まりを設けている。 筑波山では緊急事態宣言が出された4月、5月の大型連休中には、神社周辺のつくば市営駐車場(4カ所470台)が一斉閉鎖となったが、大みそかの夜間を含め新年は供用となる。筑波山観光鉄道のケーブルカー、ロープウエイによる初日の出早朝運行も午前4時30分始発で行われる。 土浦市の八坂神社でも大みそかからの初詣は、手洗いやマスク装着の励行などを呼びかけるほかは例年通りの催行。境内には出店も立つが、「境内では食べずにお持ち帰りになるよう」求めるということだ。(ブロガー)

議会から違和感相次ぐ「市民活動よりオフィスに重点?」 つくばセンタービル改修

【鈴木宏子】つくば市中心市街地活性化の担い手として、同市が来春設立予定のまちづくり会社(地域運営会社)と、同まちづくり会社がつくばセンタービル1階アイアイモール部分と4階吾妻交流センターを改修して貸しオフィスとして運営する事業計画について、五十嵐立青市長は25日、市議会12月議会閉会後開かれた議会全員協議会で説明した。 議会からは、4日にようやく示された、つくばイノベーションプラザ部分1~3階を新たな市民活動拠点にするというリニューアル計画と合わせて「市民活動よりオフィスの比率が大きいと感じる」「高齢者、障害者、中高生など、幅広い世代や多様な市民が集える場なのか」「日本エスコンが開発する商業・業務の複合施設クレオとの連携を図るべき」「磯崎新氏の思想が込められた建築にエスカレーターはいるのか」などの意見が相次いだ。 一方、市が当初検討していた、市所有の地下駐車場と1階アイアイモールの床の区分所有権を、まちづくり会社にあげて現物出資する案について五十嵐市長は、現物出資と賃貸を比較した結果、賃貸することが望ましいとした。現物出資に対しては、12月議会一般質問でも、まちづくり会社が破綻したらどうなるのかという懸念が出ていた。五十嵐市長は「破綻した場合(地下駐車場と1階アイアイモールの)区画がつくば市のものから第3者にわたる可能性があるため」だとした。 議会での説明によると、1階アイアイモール2500平方メートルには、シェアオフィス約1300平方メートルとコワーキングスペース約400平方メートルが整備される。改修費は約2億7300万円で、来春設立される地域運営会社が改修工事をし、利用料をとって貸しオフィスを運営する。吾妻交流センター部分もシェアオフィスにする計画だが、センタービル内の他の場所と等価交換する場合もある。 シェアオフィスの利用料は1坪(3.3平方メートル)月額1万3000円、コワーキングは1人月額1万3000円で貸し出し、5年目の想定として、シェアオフィスは9割、コワーキングは個人40人、法人20社強が利用し、貸しオフィスの利用料収入と駐車場利用料収入として年間約1億1500万円の賃料収入を想定しているとした。 まちづくり会社7つのプロジェクト まちづくり会社の出資者は、市が6000万円を出資するほか、沼尻産業、関彰商事と、AIのベンチャー企業LIGHTz(ライツ)が各3000万円を出資する。ほかに数社が出資予定で、資本金計2億円と7000万円の融資を受けて資金計2億7000万円でスタートする。ただし7000万円の融資の保証や担保等をどうするかについて市は明らかにしなかった。 社員は7人程度で、社長はまちづくり事業に精通している人を当てる、市から2人、ほかの出資会社から数人出向し、直接雇用は1~2人。経費のうち人件費(当初)は年2400万円で、市から出向の2人の人件費は市が全額負担する。年間維持管理費は計約6830万円。 地域運営会社は、つくばセンタービルでの貸しオフィス運営のほか、中心市街地全体を活性化するため、②中央公園でわくわくする場をつくる③センター広場で人がつながる場をつくる④中心市街地全域で生活に役立つ情報を発信する⑤アプリや電子看板など情報発信のベースをつくる⑥科学を遊びながら体験できるAI学習室など子供が体験する場をつくり、ゲストハウスをつくる⑦多様な住み方を支えIot住宅などシェアハウスをつくるーなど7つのプロジェクトが示されたが、具体的に、何を、いつ、いくらでつくるのかなどの事業計画は示されなかった。 1983年に建築されて以来、初めて実施されるつくばセンタービルの本格的なリニューアルについて、全体の具体案が示されたのは今回が初めてだが、五十嵐市長は25日の記者会見で住民説明会は実施しないとした。一方、市議会は12月議会最終日の同日、「つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会」(ヘイズ・ジョン委員長)を設置した。小久保貴史議長は「(今回出された)市執行部の提案内容についてさらに情報共有しながら、内容についていろいろ協議したい」としている。来年1月中にも同調査特別委を開くという。 「活動スペースは用意する」 25日の全員協議会のやり取りは以下の通り。敬称略。 山中真弓市議 (地下駐車場の区分所有権をまちづくり会社に現物出資しないで賃貸することになったのに)駐車場料金がまちづくり会社の収入に入っているが、どういうことか。 五十嵐市長 駐車場の利用料がまちづくり会社の収入に入る。市には、駐車場をまちづくり会社に貸すお金が入る。 山中 中央公園でのプロジェクトなど7つのプロジェクトは(今回示された)まちづくり会社の収支に入っているのか。 市長 含まれない。(収支は)順次示す。ふわっとやるのではなく、経営としてやっていく。 川久保皆実市議 (シェアオフィスが9割の入居を想定している等)稼働率の根拠は何か。 市長 周辺の同様の施設やアンケートのデータを踏まえた。 川久保 子連れで働ける環境とあるが、どういうものか。 市長 保育所と同じように子供を一定時間預けて仕事に集中したり、子供を横で遊ばせながら仕事をするスペースを用意する。 川久保 機密性の高い仕事もあり、音が漏れない個室のニーズがあるのではないか。 市長 そういう場所も用意する。 川久保 子連れで働く人が利用できる子供の月齢はどれくらいからか、授乳はできるのか。 市長 まちづくり会社で検討する。 小森谷さやか市議 コロナで就業形態が変わり、つくばに移住する人が増えているということだが、どのくらい増えているのか。 市長 正確な数字は把握していない。問い合わせはある。 小森谷 まちづくり会社に(アイアイモール部分などを)いくらで貸し出すのか。 市長 固定資産税の2.5%。(収支見通しの中の)運営コストの中に入っている。これから不動産鑑定する。かなり安い金額になる。 黒田健祐市議 (7つのプロジェクトが)重要になる。体制やイメージ、どう稼いでいくのか。 市長 天下りOBのような3セクとは一線を画す。(まちづくり会社の社長には)民間で起業した経験があり、まちづくりに精通している人を代表取締役にする。会社設立の際に、一瞬、私が社長になる場合もあるが(自分は)経営はしない。 山本美和市議 日本エスコン(のクレオ)との調整だが、情報共有し、(中心市街地の活性化のため)巻き込んでいかなければならない。センター広場のエスカレーターだが、何でエスカレーターなのか。つくば市は国際会議場から中心市街地に名だたる建築家の建築が並んでいて、思いがこもっている。つくば市民だけではなく日本のまちづくりに大きな意味がある。 市長 エスコン(のクレオ)は来春オープンできると聞いており、随時情報共有している。つくばセンター地区活性化協議会にも加入してもらっている。クレオとセンタービルは双子の兄弟姉妹のようなもの。エスカレーターはセンター広場の課題の一つ、1階と2階の動線に弱さがある。どこから下りていけばいいかわからない。1階と2階を結んでいくことを重要視している。(つくばセンタービルの)意匠はできる限り継承する。(磯崎新氏から)ライブなどをやる北側の階段はさわらないで継承してほしいという意思を受けている。 山本 (リニューアル計画は)オフィスや働く人を支えるという重点が大きいと感じる。クレオの中にもオフィスは入ってくる。旧ライトオンビルも(商業ビルから)オフィスになった。さらに市がこれほど入れる必要があるのか。 市長 エスコン(のクレオ)もオフィスになるが、区画が大きい。かなり大きな企業がフロアを使う。センタービルはシェアオフィスなど区画が小さい。 山本 (センタービル周辺地域の)全体としての貸しオフィスのすみわけがどうなっているのか、概要を出してほしい。 川村直子市議 (リニューアル計画は)働く人を支える重点が大きい。全世代に役立つことが重要だ。高齢者や、リタイアして元気な人が交流するという視点はあるか。高校生の娘がいるが、つくば駅は中継点になっていて、相当数の高校生がつくば駅を通る。中高生の居場所はあるか。 市長 市民活動拠点があり、高齢者が新しい活動をしてみようという場合、最初の窓口になる。中高生のフリースペースは用意しており。300平方メートルを超えるスペースになる。中高生が勉強や自習をしたり、若者が活動するスペースは用意する。 川村 高齢者が働くこと(を支援すること)も検討してほしい。中高生はフリースペース、勉強部屋を用意するだけでなく、居場所となるような、親や教師と違う大人と話をする場という視点も必要だ。 橋本佳子市議 中心市街地を活性化する団体の形態として、調整する機能と実行する機能があり、人やコトをつなぐコーディネート、専門組織が必要とある。(改選前の)中心市街地まちづくり調査特別委員会の中では、プロジェクト2のわくわくする場をつくる、プロジェクト3の人がつながる場をつくるとなるが、(今回のセンタービルのアイアイモールを改修してつくる)働く場は、それとぷつっと切れる。AI学習室とかいろいろな近未来的なものをつくるのか、会社として(貸しオフィスを)運営していくのか、にぎわい、わくわくするものをつくるのか。 市長 (会社として運営するのかという質問は)順番が逆。市民のニーズを満たし、ビジョンや戦略を実現する事業を行う中で収益を上げる。市民ニーズを満たす中で、どのような事業があるか精査して、まちづくりに資する事業を行い、適正な利益を確保する。まちのために事業がある、経営のためにあるのではない、 橋本 (イノベーションプラザ部分の)市民が活動する場についてだが、(市民には)さまざまな人がおり、高齢者や障害者も活動できる場を増やしていかなくてはならない。市民が活動する場と、働く人の場の比率をもう少し考えられないか。 市長 ニーズとして(オフィスの)スペースが必要。高齢者や、企業や研究所で働いた人が、市民活動の場から流れて働く場につながっていくこともある。障害者がフリースペースを使ってイベントを開催したり、市民活動と働く場を切り離すのではなく、副次的に、働く場がリタイア後の活動の場になる。 浅野英公子市議 人件費が2400万円ということだが内訳はどうか。男女共同参画センターをつくってほしい。新しいスペースを生かして(男女共同参画の)展示、相談機能をもたせることを実現してほしい。 市長 人件費はプロパー社員の人件費と、出資会社から出向する社員の一部を負担する。男女共同参画センターは(リニューアルにあたって)最後まで検討したが、DVなど難しい相談が多い状況なので人目に付くとかえって活用はしぼんでしまうので、市役所の中で対応していく。

《宍塚の里山》72 遅い紅葉のときを経た里山

【コラム・及川ひろみ】12月上旬、遅い紅葉のときを経た里山。今ではだいぶ木々の葉が散り(厳しい寒さを迎えてもまだ落ちない葉も結構あります)、林がだいぶ明るくなってきました。木々を飛び交う、シジュウカラ、エナガ、ヒガラ、メジロなど小鳥たちの群れ。寒さで里に降りてきたのか、見られる種類が最近グンと増え、観察が楽しみです。 この時期、雑木林をめぐると、乾いた落ち葉が足元でガサガサ音を立て、12月ならではの里山の音が響きます。この枯れ葉の音、今が最高。しばらくすると木の葉が湿り、今のような軽やかな音は鳴りを潜めます。 さて、里山が冬の装いを迎えるころになると、ガマズミやイイギリ、マンリョウ(万両)、シロダモなどの赤い木の実が目立つようになります。ガマズミは霜にあたると実が柔らかくなり、同時に酸味も熟し柔らかな味に変わります。 林でこの実を見つけると、つい口に含んでしまいます。いつでも、酸味は人を元気づけてくれますが、ガマズミも楽しみの一つです。酢大根を漬けるとき、この時期のガマズミを混ぜ込むと、大根が美しい紅色に染まり、これも初冬のお楽しみです。 鳥は植物にとって種子散布の道具 さまざま見られる赤い実の中で、今の時期の代表格はマンリョウ。雑木林や暗い杉林にも明るい赤が目立ちます。発芽後3年目ごろから実をつけ、年々成長し1メートルほどの高さに育ちますが、ヒョロッとした木の上部に葉と実を付ける独特なスタイル。 門松などの正月飾りによく使われるセンリョウ(千両)は、茨城ではもっぱら庭木。残念ながら自生していません。関東の南部、西日本、九州が自生地です。 カラタチバナ(百両)は、茨城県の宍塚でも見られます。ヤブコウジ(十両)は、林床に群生する高さ10センチほどの植物で、真っ赤な実を1個、ときに数個付けます。これらの植物はどれもサクラソウ科、実はどれも1センチほどの大きさ。 植物が赤い実を付けるのは、鳥に見つけてもらうためです。鳥は植物にとって種子散布の道具。動くことができない植物は、種子を遠くに運ぶために、誰かの力を借りなければなりません。赤い実は鳥をおびき寄せ、歯を持たない鳥は実を丸のみ、消化できない種子をふんと一緒に出します。結果、鳥によって種を遠くに運ばせるのです。 しかも、赤色は昆虫には見ることができない色。昆虫の食害からも逃れ、生き物同士の巧みな、絶妙な関係にある赤い実です。(宍塚の自然と歴史の会 元会長)

《遊民通信》7 土浦のキャラクター「つちまる」をゲット

【コラム・田口哲郎】 前略 メリークリスマス。宗教色の薄い日本では、クリスマスはモノと結びついていますね。ケーキにプレゼント。そして、この時期にたくさん出現する、サンタクロースの格好をしたキャラクターたち。カワイイは世界の共通語になりましたが、日本人のキャラ好きは文句なく世界一でしょう。 日本人のキャラ好きは今に始まったことではありません。『のらくろ』を読んでいたら、のらくろグッズに埋もれてご満悦の田河水泡(たがわ・すいほう)先生の白黒写真を発見して、我々キャラ好きはご先祖様からの有り難い遺伝なのだと思った次第です。 大学のとあるフランス語講師の話を思い出しました。このパリジェンヌが来日して間もなく、銀行口座をつくったときのこと。行員に無地の通帳かキャラクターの絵柄つきの通帳か選ぶように言われ、ムッとしたそうです。日本人なら抵抗なく「じゃあミッキーの方」とか言って喜ぶでしょう。 しかし、フランスではキャラ付きのモノは子供用であって、大の大人にキャラ通帳にするか訊くなんて、ワタシはバカにされているのかと思ったそうです。 おじさまもカワイイものがお好き 『おじさまはカワイイものがお好き』という漫画がはやり、ドラマ化されました。五十路のバツイチ小路課長がパグ太郎なる癒し系キャラを愛しているが、世間体を気にしてひた隠しにする苦労が面白く、切なく描かれます。 キャラ愛好はフランスのように子供のすること、とはいかないまでも、日本でさえ最近まで女子の嗜(たしな)み的なところがありました。しかし、ダイバーシティ先進国を目指す日本です。そこにジェンダーバイアスはあってはならぬと、男子も秘密の花園に進出し始めている。 かく言う私も、カワイイものがお好きになってしまいました。小路課長のように躊躇(ちゅうちょ)せず、推しキャラ(愛好しているキャラクター)を公表します。それは「つちまる」です。ご存じ土浦市のイメージキャラクター。永遠の1歳6カ月の男の子。 チャームポイントはつぶらな瞳とよちよち歩きです。J:COMで放送されている「マイシティつちうら」で目撃してから虜(とりこ)になりました。 きっと体重はレンコン3個分なのだろうと想像しています。好きが高じて、おじさま(私)は、商業施設にしか見えないと近ごろ話題になった土浦市役所の1階にある売店に赴き、「つちまる」のぬいぐるみとストラップをゲットしました。 なかなかやり手のデキる奴 ストラップは一緒におでかけして写真を撮り、「つちふぉとコーナー」に応募するため。安田講堂をバックに撮った写真が「マイシティつちうら」で紹介されたときは、つちまると喜びを分かち合いました。 大の大人が情けない、なんて言われたら、寅さんが出てきて言うでしょう。「それを言っちゃあおしめえよ」。カワイイは老若男女を問わず湧き出る自然な感情です。こんな当たり前なことを躊躇せず言う勇気を与えてくれるつちまる。 カワイイだけが取りえじゃない、なかなかやり手のデキる奴だと思うのです。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

年の瀬に学生・ひとり親家庭への生活支援 土浦、つくばで配布会

コロナ時代の歳末助け合いー。生活が困窮している大学生やひとり親家庭の生活支援のため、食料品や日用品の無料配布が26日に土浦市内で、27日につくば市内でそれぞれ行われる。 年越し支援テント27日松見公園に再び つくば 【山口和紀】つくば市では27日午前11時から、松見公園(つくば市天久保)を会場に、学生らに対して野菜やコメ、日用品などの無料提供が行われる。実施するのは市民団体「学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)」(冨山香織代表)。前回の支援は今月6日に行われ、今回で2度目となる。 前回の支援では、口コミやSNSで支援物資を募り、約20人から家庭にある食品や日用品の提供があった。カンパも6万円集まり、食品の購入等に充てた。支援物資を受け取りに訪れたのは、当初の想定だった20人を大きく超えて、実際には学生を中心として140人ほどに上った。 プロジェクトを企画した冨山さん(39)は、つくば市内の飲食店を夫婦で経営している。アルバイトとして働く大学生や、店を利用する学生たちとの会話から「学生たちが大変な状況にある」ことが伝わってきたと話す。 前回、支援物資を受け取った人を対象にアンケートも実施された。回答した69人のうち、19人はアルバイトのシフト勤務が減り収入も減ったという。「親の収入が減っている」「アルバイトの収入が減り、親からの仕送りも減った」という声などもあった。 無料配布を受け取った人間学群の学生(21)は、「自分はとても困っているという状況ではないが、バイト先が短縮営業でシフトに入りづらい状況だから助かった」と話した。正月の帰省については「実家では(感染した際の死亡リスクが特に高い)高齢の祖父や祖母と同居して暮らしているので、今年は帰省できない。正月を一人で過ごすのは初めて。そういう学生も多いのではないか」という。 27日の無料配布は「年越し準備」に向けたもので、今後、月に1回程度の開催を目指している。冨山さんは「野菜や食品など支援物資の提供を募集している。学生たちのため、ぜひ協力していただけたらありがたい」という。募集しているのは、野菜、缶詰・レトルトなどの食品類、日用品のたぐいだ。 支援物資の提供など連絡はpeaceoftsukuba@gmail.com(冨山さん)まで。 シングルマザーにも呼びかけ26日市民会館駐車場 土浦 【崎山勝功】土浦市では26日午後1時から同市真鍋新町のクラフトシビックホール(土浦市民会館)駐車場で、学生・ひとり親支援の「食料日用品無料配布会」が行われる。主催は「コロナに負けるな!つちうら食料支援プロジェクト」。つくば市で行われた「学生応援プロジェクト」による食料無料配布会を知って、「土浦でもやりたい」と同市在住の長坂法子さん(74)が仲間たちとプロジェクトチームを立ち上げた。 近隣の農家に野菜やコメの提供を呼び掛けたところ「野菜を提供したい」と複数の農家から提供の申し出があったという。また市民有志からレトルト食品や日用品の寄付も相次ぎ、プロジェクトチーム立ち上げから約2週間で多くの支援物資が集まった。 長坂さんは「つくばと違って『学生の街』ではないので、ひとり親も支援しようと思った。桜町のお店で働いている人がどれだけ大変か」と目を配る。 同市桜町は県内有数の歓楽街、キャバクラをはじめ「接待を伴う飲食店」も立地する。こうした店に勤務する若いシングルマザーも少なくなく、コロナ禍に伴う営業時間短縮要請や営業自粛の影響を受け、収入減や失業する例も見られるという。 配布会の会場では、生活に困窮するシングルマザーを支援に、相談窓口の紹介も併せて行う予定だ。「本来は政治の仕事。公助が必要。みんな共助で助け合っているけど、(20代から40代の)女性の自殺率も高くなっている」と長坂さんは行政の積極的な支援を訴えた。 問い合わせは、土浦母親大会連絡会事務局(電話:029-824-8949)まで。

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