火曜日, 5月 30, 2023
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古民家改修終えお披露目 土浦 宍塚の自然と歴史の会

里山保全活動の拠点に 使われなくなった古民家を再生・活用する「百年亭再生プロジェクト」に取り組んできた認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」(森本信生代表)が7日、改修を終えた「百年亭」をお披露目した。土浦学園線沿いの土浦市宍塚に建つ。家屋は8畳2間の広さ62平方メートルで、キッチン、トイレ、シャワーが新設された。 プロジェクトは昨年3月にスタートした(2022年3月28日付)。クラウドファンディングを利用して寄付を募り、県内外の223人から目標金額を17万5000円上回る317万5000円が集まった。この日は雨が降る中、会のメンバーや支援者ら約30人が集まり、プロジェクトを請け負った建築家らの話に耳を傾けた。 お披露目された「百年亭」 「売りに出されていた古民家を、会の活動拠点に利用できないかと考えたのがプロジェクトの始まりだった」と、プロジェクトリーダーで同会顧問の佐々木哲美さん(70)が振り返る。同会は1989年の発足以来、宍塚大池と周囲に広がる約100ヘクタールの里山を保全するために、野鳥観察や田んぼ・畑作業などを通じて県内外から人を呼び込み幅広い活動をしてきた。

4年ぶり つくばでメーデー集会

5月1日のメーデーを前にゴールデンウイーク初日の29日、TXつくば駅前の中央公園(同市吾妻)で、第94回つくば中央メーデー集会(同実行委員会主催)が開かれた。市内の研究機関や県南・県西の民間企業、自治体の労働組合19団体、215人が集まり、「働く者の団結で希望の持てる社会を次世代につなごう」などのメーデー宣言を全会一致で採択した。 研究機関の労働組合、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会(学研労協)などがつくる同実行委員会が主催した。コロナ禍で2020年から3年連続開催を中止しており、4年ぶりとなった。 主催者あいさつをする窪田昌春実行委員長 集会では学研労協議長で、同実行委の窪田昌春委員長(54)が、コロナ禍の医療関係者の労働環境やウクライナの戦禍など昨今の状況に触れ、「一人ひとりが意見を述べ、忌憚(きたん)のない議論ができるよう民主主義を守り、最優先事項である平和についてよりより議論ができ、よりよい答えが出れば」と話し「一人ひとりの悩みや生きにくさなどの解決に向かえるよう、団体間でも交流を深め、仲間同士のコミュニケーションの再開のきっかけにしたい」などと呼び掛けた。 集会では参加者から、研究機関や大学への運営費交付金が毎年削減され基礎的な研究費が削られる中、エネルギー価格の高騰で中断を余儀なくされた研究があったことや、秘密に縛られる防衛研究圧力への懸念なども表明された。 続いて、すべての労働者の大幅賃上げと労働条件の改善、雇用の安定や、ジェンダー平等、東海第2原発の再稼働反対、国の基礎的研究費の拡充などを求めるメーデー宣言を読み上げ採択した。

草分けの足取りたどる 筑波実験植物園で牧野富太郎企画

国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保、細矢剛園長)で29日から、ミニ企画展「牧野富太郎と植物を観る眼」が始まる。現在放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者が採集した標本や植物図を通じ、日本の植物学の草分けの足取りをたどる。 牧野富太郎(1862~1957)は94年の生涯で1500種類以上の植物を名付けた近代植物分類学の権威。収集した標本は約40万枚といわれ、その一部は同博物館にも所蔵されている。押し花のように新聞紙を重ねて乾かす手法で作られた押し葉標本と呼ばれるもので、今回は1894年4月に筑波山で採取されたアズマスゲなど4標本が展示された。 手前が筑波山で牧野が採取したアズマスゲの標本=同 標本を葉や茎、花などパーツごと精緻にスケッチした絵は植物図と呼ばれ、解説文書とセットになっているのが特徴。これらを元にした「牧野日本植物図鑑」は牧野の代表作で、現在でも研究者や愛好家の必携の書とされる。同書の初版本(1940年)と手書きの校正原稿、改訂版の「新牧野日本植物図版」が並べられ、その熱の入った仕事ぶりが垣間見られる。  企画は同博物館植物研究部、田中伸幸陸上植物研究グループ長が「らんまん」の植物監修を務めた縁で実現した。牧野の生地である高知県立牧野植物園(高知市)の協力を得て、合わせてパネル25点、標本類15点を展示した。 担当の同研究部、堤千絵研究員が一押しなのは、つくば市の花にもなっているホシザキユキノシタ。2枚の花弁がユキノシタほど長く伸びないことから、変種として学名をSaxifraga...

不用品の地域循環を 29日 筑波大学生団体と自転車店がマルシェ

筑波大学(つくば市天王台)の学生団体と、大学近くの自転車店が主催する「くるくる桜マルシェ」が29日、同自転車店で開催され、不用品のフリーマーケットや同大の音楽サークルによる演奏会などが催される。学生と地域との交流を通して困りごとの解決や地域活性化を目指す学生団体「かざぐるま」(青木日花代表)と、大学構内に放置されている自転車の活用を目指す「サイクルシックつくば(CYCLE CHIC Tsukuba)」(つくば市桜)が共同で開催する。 かざぐるまは大学の授業から生まれた。副代表で社会工学類4年の松浦海斗さんは「大学2年のときの授業が、大学の外に出て地域の人たちと共に活動するという演習だった。そこで出会った仲間が、授業が終わった後も市内の高齢者との交流などを続け、昨年、大学公認の学生団体になった」と話す。 「くるくる桜マルシェ」は今年2月18日に続き、2回目の開催となる。テーマは「もったいないを、シェアしよう。」だ。「使われなくなったものをもう一度使ってもらえるようにすることが、今回のテーマ」と松浦さん。自宅に眠るお宝や不用品のフリーマーケット、使わなくなった教科書の販売、JA谷田部の野菜配布などが行われる。 第1回のサイクルシックつくば駐車場の様子(同) 会場となるサイクルシックつくばは、同大職員だったつくば市在住の矢部玲奈さんが運営する自転車店で、同大の放置自転車を修理し、定額制で自転車を貸し出す試みを行っている(2022年6月8日付)。

推しは地元農産物の加工品 「道の駅常総」28日オープン

常総市が首都圏中央連絡自動車道(圏央道)常総インターチェンジ(IC)付近で整備を進めてきた「道の駅常総」が28日午前11時、オープンする。27日には関係者を招いて内覧会が催された。午後から市民向けにプレオープンし、行列に入場制限が出るほど来場者でごった返した。 道の駅は、常総IC周辺の約45ヘクタールで整備中の産業団地「アグリサイエンスバレー常総」の一画にできた。区画整理事業後の新町名である常総市むすびまちの約2万平方メートルの敷地に、鉄骨造2階建て延床面積約2千平方メートルで建設された。 1階が農産物加工品を中心にした物販店、2階が「常総 いなほ食堂」名で展開する飲食店となる。運営は、指定管理者のTTC(本社・静岡県熱海市、河越康行社長)が常総市に作ったCOLLECT(コレクト、河越敬仁社長)による。TTCグループは全国に13の食のテーマパーク、道の駅を展開しており、地域産品を発掘してのオリジナル品開発を得意としている。 メロンの甘い香り漂うメロンパンの販売 今回は料飲メニューを含め約1500アイテムの商品を展開する。農産物直売所には常総市内の80軒をはじめ県内を中心に180軒の地元生産者から1100種の商品が届くという。陳列商品の9割がたは加工品で、メロンを使ったパンやソフトクリーム、サツマイモのケンピやチップス、地元養鶏農家の卵を「天てり卵」と名付けて加工した各種スイーツなどオリジナル商品が並ぶ。

アメリカナマズに熱視線 「ガチ中華」で食べて活用【桜川と共に】3

桜川で増えている外来魚アメリカナマズを食べて活用できないかと、新たな模索が始まっている。4月上旬、「東京ディープチャイナ研究会」に所属するつくば市在住の医療通訳士、松永悠さん(49)が中心となり、アメリカナマズを使った本格的な中華料理を試食する会を開いた。 集まったのは同会代表で、「ガチ中華」を発掘するメディアサイトを運営する「東京ディープチャイナ」編集長の中村正人さんや、インバウンド・地方創生に関するメディアで編集に携わる大坊比呂志さんなど、本格中華に興味を持つ30代から50代10人と、中華料理のシェフ1人。都内からつくば市松塚の桜川漁協拠点を訪れてナマズ釣りを体験し、中華料理2品を試食した。 「ガチ中華」は、日本で暮らす中国語圏の人が好む、日本人向けのアレンジをしない本格的な中華料理だ。中国語圏のオーナーが経営する「ガチ中華」の店は、新宿、池袋、新橋、上野などを中心に都内で急増しており、都内近郊にも広がっている。顧客は主に日本で暮らす中国人だが、近年は海外旅行気分を味わいたいと訪れる日本人ファンも増えているという。本格中華にはナマズを使った伝統料理がいくつかあり、中でも四川省の麻辣(マーラー)を使った料理が有名だ。 ナマズと聞いて「ガチ中華」ファンの食指が動いた。中村正人編集長は「麻辣中華と結びつけることで新しい地域の可能性が見つかったらおもしろい」と話す。 釣り上げたアメリカナマズを自らさばく石坂みずきさん 参加者らは朝9時頃から釣りを開始。すぐには釣れず、途中漁協の組合員2人も手伝いに加わった。午前11時過ぎ、釣りは初めてという石坂みずきさんの竿(さお)にナマズがヒットし、見事に釣り上げた。その後、3匹釣り上げ、計4匹を参加者らが絞めて、田悦良さんがその場で料理した。田さんは北京出身だが四川料理も手掛け、都内のいくつかの中華料理店を掛け持ちするシェフ。麻辣鍋とトマト鍋2種類の鍋を作り、参加者らと桜川漁協の鈴木清次組合長が試食した。

色とりどりのボタンとシャクヤクが競演 つくば牡丹園

5000輪の花いかだも ボタン、シャクヤク合わせて800種類、約6万株を栽培する「つくば牡丹園」(つくば市若栗、関浩一園長)で、ボタンが見ごろを迎えている。シャクヤクも咲き始め、色とりどりのボタンとシャクヤクが競演している。 22日には来園客が午前9時のオープン前から行列をつくった。来園客らは色とりどりの花々にカメラを向けたり香りをかいだりと、思い思いに楽しんでいた。今年は8日にオープンした。5月21日までの44日間開園する。 暖かい日が続き例年より10日ほど早く開花している。シャクヤクはゴールデンウイーク前に見ごろとなり、週末には池に5000輪以上のシャクヤクの花を浮かべる「花いかだ」を開催する予定だ。花いかだに使用するシャクヤクは近隣の農家で育てられ、市場に出す前に咲いてしまって花摘みしたもの。毎年開催しており、花いかだを楽しみにしている常連客も多いという。 シャクヤクを池に浮かべた花いかだ(2020年撮影)

情報・コミュニケーション条例を要望  つくば市の福祉団体、障害種を超え連携

つくば市内の11の福祉団体が21日、連名で「(通称)つくば市障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進条例の制定施行」に関する要望書を、五十嵐立青市長に手渡した。国が昨年施行した障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法に基づき、情報の取得・利用や意思疎通に困難を伴う障害者への自治体レベルでの支援施策を求める。 五十嵐市長は「今の情報社会の中で、前提となる情報を受け取れないのは、あらゆる問題の出発点。どのような技術があれば、どんな障害があってもコミュニケーションが可能なのかを、当事者の方と相談しながら、実効性のある条例をつくっていきたい」と述べた。 土浦は今月、手話普及の条例施行 要望書によると、聴覚障害者の中でも、日常生活で手話を言語として使用するのが聾(ろう)者だ。聾者の場合、周囲とコミュニケーションをとるには手話通訳が欠かせない。つくば市は、市在住の聴覚障害者に手話通訳者を派遣しているが、個人の趣味や政治活動のためには派遣されない。 また、高齢になった聾者が老人ホームなどに入所する時、他の入所者や職員は手話が分からないため、会話ができず、孤立するという問題もあるという。 全日本ろうあ連盟(東京都新宿区)の調べによると、手話を言語として認める手話言語条例は全国に広がっていて、茨城県と県内3市が制定している(4月18日現在)。土浦市では、昨年3月、同市聴覚障害者協会が市議会に手話言語条例の制定を求める請願を提出。今月、「市手話言語の普及の促進に関する条例」が施行された。

3年半ぶり完全開催 筑波山神社で御座替祭

筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)で1日、山頂の本殿と中腹の拝殿で神座が入れ替わるとされる春の御座替祭(おざがわりさい)が催され、祭りのメーンとなる、みこしをかついで中腹の集落を巡る神幸祭(じんこうさい)が3年半ぶりに行われた。新型コロナの影響で神幸祭は2020年の春から6回連続中止となっていた。 男体山と女体山山頂の本殿にある神衣(かんみそ)を新しい衣に取り替える「神衣祭」(かんみそさい)、中腹の拝殿で舞いを捧げる「奉幣祭(ほうべいさい)」と併せて、三つの祭りが2019年秋の御座替祭以来、3年半ぶりに完全開催された。 中腹の筑波山神社周辺ではソメイヨシノと山桜がほぼ同時に満開になり、花びらが春風に舞う様子が見られた。コロナ5類移行が間近に迫る中、マスクを外して見物する人の姿もあった。 神幸祭では黄色や赤、白など色とりどりの装束をまとった約150人の行列が、中腹の筑波山六丁目から筑波山神社拝殿まで、急な坂道や階段をみやびやかに登った。今回は稚児行列も最後に加わった。 御座替祭は毎年4月1日と11月1日の春と秋に催されており、観光資源としての役割も担っている。御座替祭の日に限り、3代将軍徳川家光が江戸時代初期に建造し県指定文化財になっている、神社境内入り口の神橋(しんきょう)を渡ることができる。この日は午前9時30分から午後4時まで特別開門が行われ、たくさんの観光客が橋を渡ったり、記念写真などを撮っていた。 神橋を渡るみこし

冷蔵庫内で薬品が引火か 物材機構が火災原因発表

つくば市千現、物質・材料研究機構(NIMS)千現地区の研究本館 標準実験棟6階の実験室で今年1月13日午後10時6分ごろ出火し、実験室約44平方メートルが焼けた火災で、同機構は31日、出火原因を、冷蔵庫内で薬品が引火し爆発したと推測されると発表した。 ただし出火元の損傷が激しく出火原因は特定されていないとし、薬品が引火し爆発した原因について①冷蔵庫内に保管されていた引火点が低い薬品が気化し、冷蔵庫の電気スパークの火花が引火、爆発した②冷蔵庫内に保管されていた水と反応する金属から湿気により水素ガスが発生し、電気スパークの火花により引火、爆発した③冷蔵庫内に保管されていた水と反応する物質が湿気や水と反応し発熱して発火、爆発したの3つのいずれかが考えられるとした。 火災があった実験室では、超伝導材料や磁性材料の創製に関する作業が行われていた。最終退出者が実験室を出て約3時間30分後に出火した。火災によるけが人や環境影響はなかったとし、実験室の実験機器や設備は使用不能となったとしている。 同機構は再発防止策として、実験室にある一般の冷蔵庫を防爆対応冷蔵庫に置き換えていくと共に、薬品管理のガイドラインを改訂し、化学物質の取り扱いや保管方法について、安全データシート(SDS)に基づき適切な管理の徹底を図るとしている。さらに従来から実施している教育研修に加え、今回の火災事故を踏まえた教育研修を改めて実施するとしている。

平均年齢80歳 漁協組合員ら不法投棄撤去し見回り【桜川と共に】1

県西の桜川市を水源とし、つくば市や土浦市などの平野部を通って霞ケ浦に流入する桜川。流入する56河川の中で最大規模の一級河川だ。上流の磯部稲村神社(桜川市)付近は古くから桜の名所として名をはせ、桜川は歌枕や文学作品の舞台ともなってきた。 桜川に漁業協同組合がある。土浦市との境界にあるつくば市松塚に拠点を置き、組合員は107人、平均年齢は約80歳。漁協は桜川の生産力の増進を図ることが役割で、事業内容はフナの稚魚やワカサギの卵の放流、河川の清掃、河床耕耘(こううん)といった漁場の整備、特定外来魚の駆除など多岐にわたる。 幼い頃から桜川で遊び、桜川を見つめてきた漁協組合長、鈴木清次さん(80)は、この60年ほどで桜川の環境が大きく変わってしまったと話す。桜川漁協の活動を追いながら、桜川の置かれている現状を取材する。 1時間で2トントラック1台分に 3月上旬、漁協の組合員6人とつくば市水質浄化対策推進協議会(会長・鈴木清次組合長)の会員12人の計18人と市職員2人が桜川沿いの清掃活動を実施した。朝8時50分、参加者が同市栗原の桜川沿いに集合すると鈴木さんがあいさつ、掃除の工程についても説明し、市職員が用意した軍手やごみ袋を参加者に配布した。参加者たちはそれぞれ軽トラックやワゴン車など数台に分かれて乗り込み、約1時間、桜川沿いを走りながら、ごみが不法投棄された地点を巡って拾い、トラックに積み込んだ。 桜川沿いの数カ所には、空き缶やびん、ペットボトル、ビニール袋、衣類、おむつなどの生活ごみ、テレビなどの粗大ごみや金属ごみが投棄されていた。バッテリーや機械部品のようなものもある。比較的最近捨てられたと思われるもの、何層にも積み重なって埋もれているものも掘り起こして回収する。「こんなものも捨ててあるよ」、「まだ埋まっている」。時間内に全部は回収しきれず、諦めたごみもあったが、それでも集められたごみは2トントラック1台分ほどになった。

入管問題描いた「牛久」を上映 筑波大学生サークル

筑波大学公認団体の学生サークル「クローバー(CLOVER)〜難民と共に歩むユース団体」がこのほど、日本の入国管理問題に焦点を当てたドキュメンタリー映画「牛久」(トーマス・アッシュ監督、2021年)の上映会を開催した。 クローバーは「難民に寄り添う(Care & Love for Refugees=CLOVER)」を掲げ、日本で暮らす外国人が日々希望を持ってもらえるよう活動する団体で、09年に難民問題に興味を持った同大生により設立され、14人が所属している。 現在は週に一度、勉強会を開催し、所属するメンバーがドイツと日本の難民受け入れ制度の比較や難民が描くアートの紹介、外国人が日本で永住権を取得することなど関心のあるテーマを持ち寄っている。さらに世界や日本で暮らす難民・移民についての情報をメンバー間で共有し、その様子をSNSで発信している。また、諸外国と比べ、非常に低い日本の難民認定率や日本の入国管理制度が持つ問題の認知拡大に取り組んでいる。 同団体代表で社会国際学群国際総合学類2年の菅原瑠莉さん(20)は高校生の時に、自由や尊厳を奪われている人々、特に紛争地域や貧困地域で保護を必要としている人々を手助けする活動に興味を持った。大学に進学し、クローバーと出会ったことで「入管」の存在を初めて知り、困難な人々に寄り添うという理念にひかれ支援の輪に加わった。代表に就任してからは、日本の入国管理制度の概要やその問題点を議論する中で得た勉強会の知識を生かし、竹園高校ボランティア部と交流会を開催するなど、学生に向けた活動に力を入れている。 映画「牛久」は、不法滞在者として国外退去を命じられ、牛久市にある東日本入国管理センターに収容されている難民申請者らに、トーマス・アッシュ監督が面会し、証言を記録したドキュメンタリーだ。

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異星人と犬 《短いおはなし》15

【ノベル・伊東葎花】若い女が、ベンチで水を飲んでいる。傍らには、やや大きめの犬がいる。「犬の散歩」という行為の途中で、のどを潤しているのだ。なかなかの美人だ。身なりもいい。服もシューズも高級品だ。彼女に決めるか。いやしかし、犬が気になる。動物は敏感だ。余計なことを感じ取ってしまうかもしれない。 私は、遠い星から来た。今はまだ体を持たない。水のような流体だ。ターゲットを探している。性別はどちらでもいいが、女の方に興味がある。すっと入り込み脳を支配して、地球人に成りすますのだ。そして我々の星にとって有益なデータを持ち帰ることが目的だ。誰でもいいわけではない。容姿は重要。生活水準も高い方がいい。あの女は、大企業に勤めている。申し分ない。犬さえいなければ。 私には時間がない。地球時間で5時間以内に入り込まないと、気体になって宇宙に戻ってしまうのだ。意を決して、女に近づいた。耳の穴から入り込む。一瞬で終わる。一気に飛び込もうとジャンプした私の前に、犬が突然現れて大きくほえた。 しまった。犬の中に入ってしまった。 「ジョン、急にほえてどうしたの?」女が、私の頭をなでている。どうしたものか。地球人については学習してきたが、犬についてはまったくの無知だ。逃げようと思ったが、首からひも状のものでつながれている。とりあえず、犬になりきって様子を見よう。そしてチャンスを狙って女の方に移るのだ。立ち上がって歩き出した私を見て、女が目を丸くした。「ジョン、2足歩行が出来るの? すごいわ。ちょっと待って、動画撮るから」しまった。犬は4本足だった。 それから私は「人間みたいな犬」として、ユーチューバー犬になった。ソファーでテレビを見たり、フォークを使って食事をするところをネットでさらされた。想定外だが、女と同じベッドで寝られることだけは、まあよかった。女は優しくて、いつも私をなでてくれた。「いい子ね」と褒めてくれた。女が眠っている間に、犬の体から女の体に移動することは易しい。しかし女の無防備な寝顔を見ると、なぜか躊躇(ちゅうちょ)してしまうのだ。

11カ国の出演者決まり制作発表 「世界のつくばで子守唄」コンサート

歌のコンサート「世界のつくばで子守唄 海のシルクロードツアー2023制作発表会」が28日、ホテル日航つくば(つくば市吾妻)ロビーで行われた。同市在住の脚本家、冠木新市さんの企画・プロデュースで、7月1日に開かれる。11カ国、15曲の子守歌をそれぞれの国や地域の出身者、約40人が歌や舞踊で披露し、コンサート後は各地域の交流会を行うという。 中国語の歌「祈り」を歌う劉暁紅さんと伴奏する大川晴加さん=同 制作発表会はコンサート会場となる同ホテルの「ジュピターの間」前で行われた。大川晴加さんのピアノ伴奏に合わせ、中国出身の劉暁紅(リュウ・ギョウコウ)さんが中国の歌「祈り」を歌い、披露した。「祈り」は日本の「竹田の子守歌」と同じ曲調で、中国だけでなくミャンマーでもよく知られる曲だという。演奏後はバングラデシュ出身のアナミカ・スルタナさんや台湾出身の潘頤萱(ハン・イガン)さんら出演者たちがそれぞれ自己紹介し、挨拶した。 挨拶する出演者の潘頤萱さん=同 つくば市在住で外国人サポートの仕事をしているアナミカさんは、コンサートで「アイアイチャンドママ」(日本語訳「来て、来て、ムーンおじさん」)という歌を披露する。この歌はアナミカさんが子どもの頃に母親から聞いた歌で、アナミカさんの母親も子どもの頃に聞き、代々伝わってきたという。「どのくらい古くから歌われているか分からない。子どもがよく眠ることを願う歌。バングラ語(ベンガル語)で歌います」と話す。

川遊び創出に海洋クラブ助け船 【桜川と共に】4

「最近の子どもたちは川に入ってはいけないと教わる。もっと川で遊んで、桜川の環境に興味を持ってほしい。そして澄んだ桜川を取り戻したい」。桜川漁協の組合員らは、大人が安全を重視するあまりに子どもたちが川から遠ざかっている現状を憂う。そんな中、子どもたちが川で遊ぶ機会を創出しようと、桜川に新しい風が吹き込んできた。 地元NPO、7月から本格的な活動へ 桜川での自然体験活動を先導するのはNPO法人Next One.(ネクストワン、つくば市研究学園)。筑波大学大学院で体育科学を修めた井上真理子さん(39)が代表を務める。桜川漁協の協力を得て今年から「B&G Next One.海洋クラブ」を発足させた。本格的な活動を7月から開始する。月1回、桜川での自然体験を行い、地域の人と交流しながら、環境問題についても学びを深めていく予定だ。 式で挨拶する山本杏さん=桜川漁協(つくば市松塚) 28日には、同クラブの活動拠点となる桜川漁業協同組合(つくば市松塚)でカヌーやライフジャケットなどの舟艇器材配備式が行われた。式では井上さんや器材を提供した公益財団法人B&G財団(東京都港区)の理事長である菅原悟志さんらが挨拶。市内外から訪れたクラブ員の児童ら16人とその保護者ら、つくば市環境保全課や観光推進課の職員も出席し、児童と漁協組合員らがクラブ発足を記念して桜の木2本の植樹を行った。式後は児童らが組合員やネクストワンのスタッフらから手ほどきを受けて釣りやカヌーの体験を行い、桜川の自然を満喫した。

土浦市立博物館が郷土史論争を拒絶!《吾妻カガミ》158

【コラム・坂本栄】土浦市立博物館と市内の郷土史研究者の間で論争が起きています。争点は筑波山系にある市北部(旧新治村の一角)が中世どう呼ばれていたかなどですが、博物館は自説を曲げない相手の主張に閉口し、この研究者に論争拒絶を通告しました。アカデミックディスピュート(学術論争)を挑む市民をクレーマー(苦情を言う人)と混同するかのような対応ではないでしょうか。 「山の荘」の呼称はいつから? 博物館(糸賀茂男館長)と論争しているのは、藤沢(旧新治村)に住む本堂清さん(元土浦市職員)。社会教育センターの所長などを務め、退職後は市文化財審議委員、茨城県郷土文化振興財団理事も歴任した歴史通です。「山の荘物語」(私家版)、「土浦町内ものがたり」(常陽新聞社)、「にいはり物語」(にいはりの昔を知り今に活かす会)などの著作もあります。 争点はいくつかありますが、主なものは現在東城寺や日枝神社がある地域の呼び方についてです。本堂さんは、同地域は古くから「山の荘」と呼ばれていたと主張。博物館は、同地域は「方穂荘(かたほのしょう=現つくば市玉取・大曽根辺りが中心部)」に含まれ、中世室町時代以前の古文書に「山の荘」の記載はないと主張。この論争が2020年12月から続いています。 博物館によると、この間、本堂さんは博物館を11回も訪れ、館長や学芸員に自分の主張を展開したそうです。そして、文書による回答を要求されたため、博物館は「これ以上の説明は同じことの繰り返しになる」と判断。これまでの見解をA4判3枚の回答書(2023年1月30日付)にまとめ、最後のパラグラフで論争の打ち切りを伝えました。 その末尾には「以上の内容をもちまして、博物館としての最終的な回答とさせていただきます。本件に関して、これ以上のご質問はご容赦ください。本件につきまして、今後は口頭・文書などのいかなる形式においても、博物館は一切回答致しませんので予めご承知おきください」と書かれています。博物館は市民との論争に疲れ果てたようです。