日曜日, 2月 5, 2023
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新日本フィルがつくばで新春コンサート 首席オーボエ奏者、岡北斗さんインタビュー

新日本フィルハーモニー交響楽団によるニューイヤーコンサートが6日、つくば市吾妻、ノバホールで開かれる。在京オーケストラがつくばに来るのは、2019年以来3年ぶりだ。楽団員で首席オーボエ奏者の岡北斗さん(45)に意気込みを聞いた。 今回のノバホールでのプログラムは「スターウォーズ」「ハリーポッター」「となりのトトロ」など映画音楽と、正月には欠かせない「美しく青きドナウ」など親しみやすい。 指揮者は、今注目されている若手の一人、角田鋼亮(こうすけ)さん(42)が務める。角田さんは、ドラマ・映画「のだめカンタービレ」で俳優に指揮を指導していた。角田さんと岡さんは共に東京芸術大学出身。大学時代からの友人で、留学先も一緒だった。岡さん自身も「のだめ」のアニメ・映画音楽の演奏に長く関わり、のだめオーケストラで演奏してきた。 岡さんは昨年2022年8月に入団したばかり。「今、自分がメンバーになれたことは、大きな喜び。歴史ある新日本フィルでの演奏はやりがいがある」と語る。愛知県立芸術大学と東京芸術大学大学院時代の恩師で、国内では最も多くオーボエを習った小畑善昭さん(70)をはじめ、数々の名奏者が名を刻んできたからだ。岡さんも長年の新日ファンだった。「演奏を通じて、つくばの皆さんと交流できるのは、とてもうれしい」と話す。 オーボエは、ギネスブックで最も難しい楽器に認定されている木管楽器だ。理由は、音色の決定打になるリードを奏者自身が作ることにあり、常に試行錯誤が必要となる。「オーケストラの中でこそ、オーボエはいきると思っている」と岡さんは語る。 福島市生まれ。「茨城県民の皆さんのことは身近に感じる」という。小学校の音楽の授業で、オーボエを初めて知り、その響きに魅了された。中学でテニス部から吹奏楽部に移り、迷わずオーボエを手にした。愛知県立芸術大学卒、東京芸術大学大学院を修了し、ドイツに留学。帰国後は芸大フィルハーモニア管弦楽団で演奏しながら、母校の愛知県立芸術大学でも学生を指導する。昨年、試用期間を経て、入団を迎えた。

土浦で回遊型まちなか演劇企画 10月開催に向け始動

2023年、土浦を演劇のまちに—と旗揚げしたグループがある。「つち浦々まちなか演劇めぐり実行委員会」(久保庭尚子委員長)だ。これまでに市内の店舗や社寺など8つの会場の協力を取り付け、劇団や演者9団体などの参加を得て、土浦初の回遊型演劇イベントを10月28、29日開催することを目指す。5日からは、会場の提供ができる企業・店舗と、演劇公演に参加できる個人・グループの新規募集に乗り出す。 グループは、同市真鍋の小劇場「百景社アトリエ」などで公演を重ねてきた演劇関係者が中心となり昨年7月、市民が身近に舞台芸術を楽しむ機会を広げようと立ち上げた。 舞台芸術の魅力とともに、地域の魅力を再発見し、まちや地域文化を活性化することを目指しており、同市中央で「城藤茶店」を経営するコンサルタントの地立堂、工藤祐治さん(54)が地域側のとりまとめを担った。「最初は街頭演劇も考えたが、参加団体との調整を図るなか、今回は公演会場を確保して行うことになった。初めてのことで第2回があるかどうかも含め手探りで進めている」 コロナ禍で危機意識、演劇の可能性探る これまでに演劇しょく堂(仲谷智邦代表)、劇団ルート6(福田琢哉代表)など、全9団体の参加が決まっている。委員長を務める久保庭尚子さん(61)は、フリーの俳優、演出家。水戸芸術館の開館時に創設された劇団ACMの1期メンバーで、現在はかすみがうら市に居住し、「城藤茶店」で朗読会を開くなど、土浦での活動を積み重ねてきた。「コロナ禍以降、演劇は難しい状況に置かれている」と危機感を募らせている。 舞台関係者など多くの人間が関わるため、一人でも感染者が出ると直前でも公演を中止にせざるを得ない。劇場は密な場所だし、演者同士がマスクを外さずに行う稽古などにも限界があった。だから「場を作っていくことの大事さを感じている。一個人、一団体だけはできないことをまちの人と結びつくことで演劇の可能性としたい」と語る。

紛争に直面した難民の故郷たどる つくばで柴田大輔写真展

土浦市出身のフォトジャーナリストでNEWSつくば記者の柴田大輔さん(42)の写真展「あの山の記憶」が17日、つくば市天久保の「ギャラリーY」で始まった。柴田さんは南米コロンビアの山岳地帯に滞在を繰り返しながら現地の人々を取材。紛争に直面し難民となった人々の暮らしや、人々が捨てざるを得なかった故郷の風景を撮影した写真20点を展示している。会期は25日まで。 柴田さんがコロンビアで出会った難民は、故郷の山を懐かしがり、「あそこは豊かでなんでもあった」と話したという。紛争が落ち着いても高齢で足が悪くなり帰れなかった人、最期まで故郷を思いながら亡くなった人もいた。 難民たちの言う故郷の山とはどのような場所だったのか。柴田さんは2013年に初めて「あの山」を訪ね、以後毎年通い続けた。今年5月から6月にも渡航し取材を重ねた。生命力にあふれた山とその山に包まれて生活する人々はまるで一つの生き物のようだったと語る。 今回展示した写真は、コロンビアの様子を撮影した2500枚以上の中から選んだ20枚。死や暴力、薬物などセンセーショナルな写真というよりも、日常の写真だ。「ニュース的な見せ方をする写真ではなく、そこに暮らす人々の普通の日常を展示したかった」と柴田さん。 「ワールドカップの前回大会で日本と熱戦を繰り広げたコロンビアですが、様々な問題を抱えながらも、本当にたくさんの人々が国を良くしようと課題解決に立ち上がっている。距離的に日本から遠いところにあるが、より多くの方が関心を持つきっかけになれば」と来場を呼び掛ける。今後も現地の人々と親交を続けていくという。 柴田さんは2004年にラテンアメリカ13カ国を旅したことがきっかけで現地の風土や人々の生活にひかれ、2006年からコロンビアの山岳地帯を中心とした取材を始めた。コロンビアでは1959年のキューバ革命をきっかけに、社会格差の是正を求めて複数のゲリラ組織が生まれた。政府とゲリラが敵対し、50年以上にわたって内戦が勃発。暴力や麻薬が横行し、約740万人が難民となったとされる。2016年には政府とゲリラとの間で和平合意が成立。今年8月には史上初の左派政権が誕生した。(田中めぐみ)

つくば駅前彩る5000個の灯 3年ぶりランタンアート

つくばの冬の風物詩「ランタンアート2022」(つくばセンター地区活性化協議会など主催)が17日、つくばセンター広場などつくば駅周辺で3年ぶりに始まった。公募で参加した市内16校の小中学生が絵などを描いた約5000個のランタンに灯がともり、駅前の通りを温かく彩った。18日まで2日間催される。 同市吾妻のエキスポセンター前から竹園のデイズタウン前までの遊歩道約1.2キロにランタンが配置された。ランタンの装飾カバーには小中学生が、雪だるまやトナカイなど思い思いの絵を描いたり、色画用紙を切り抜いて複雑な模様の切り絵をつくった。 ランタンの温かな灯に浮かび上がる切り絵の作品=つくば駅前ペデストリアンデッキ 17日夕、会場には大勢の家族連れが訪れ、自分の作品を探したり、作品の前で記念写真を撮る姿が見られた。両親と訪れた市立九重小2年の佐野蒼真さん(8)は、冬をテーマに雪だるまとモミの木の絵を描いた。自分の作品が飾られてるのを見て「めっちゃうれしい」と話していた。 会場の一角には、次々と色が変化する81本のペットボトルが置かれ、子供たちの人気を集めていた。LEDの色が変化する「マイクロビット」と呼ばれるプログラミング教材の上に、水が入ったペットボトルを置いて様々な色に光らせた作品で、市内でプログラミングサークルを開催している「コーダー道場つくば」の高松基広さん(58)が、子供たちがプログラミングした作品を初めて展示した。 当初、2020年に参加する予定だったが、コロナで2年遅れの参加となった。高松さんは「3年越しでやっと出来た。来年はもっとたくさんの子供たちとやりたい」と話していた。

無声映画に命吹き込む女性弁士 「つくば山水亭」創業35周年記念上映会

つくば市小野崎の料亭「つくば山水亭」で17日、創業35周年を記念して無声映画の上映会が行われた。活動写真弁士の第一人者で、今年デビュー50周年を迎える澤登翠(さわと・みどり)さんが、阪東妻三郎主演の時代劇「雄呂血(おろち)」の映像に、七色の声でセリフを当てて命を吹きこんだ。 上映は2部に分けて行われ、第1部と第2部合わせておよそ300人の予約があったという。「つくば山水亭」を運営するサンスイグループの東郷治久社長は、活動写真弁士の文化を保存したいと無声映画の上映を企画。上映前に「文化庁の支援がありこの公演を開催できた。我々の企画を選んでいただいてありがたい」とあいさつした。 あいさつする東郷さん ホテルやレストラン、教育事業など運営するサンスイグループは1946年に映画館の経営を始め、水海道(常総市)の「宝来館」のほか県内16カ所で映画館を開いていた歴史がある。3代目社長である東郷さんは小学生のころ、父が運営する映画館の楽屋で生活していたと話す。「スクリーンの裏に住んでいて夏は暑くて大変だったが、冬は少し暖かかった」と振り返る。映画館に特別な思いがあるという。 活動写真弁士の澤登さんはスクリーン横でななめに構え、スクリーンと観客席を交互に見ながら巧みに声色を変えてナレーションと複数の役柄を演じ分けた。バックミュージックは湯浅ジョウイチさんがギターと三味線で、鈴木真紀子さんがフルートで演奏し、それぞれの場面を盛り上げた。

桐朋学園オーケストラ招き「つくばリサイタル」 来年1月、初のインカレ企画

筑波大生有志が主催するコンサート「桐朋学園オーケストラ×つくばリサイタルシリーズ~共に描く未来の音楽~」が来年1月21日、同市竹園、つくばカピオホールで開催される。今回は桐朋学園大学の桐朋学園オーケストラを招く初のインカレ企画で、コロナ禍により入学時から大きな制約を受けてきた学生同士、励まし合い、力を合わせ、共に乗り越えていきたいという願いが込められているという。 同コンサートは、筑波大生有志でつくる「つくばリサイタルシリーズ実行委員会」が、学生や市民に手ごろな価格で気軽にクラシックを楽しんでもらいたいと、毎年トップクラスの演奏家をつくばに招いて開催している。2012年にスタートし、今回が12回目となる。 桐朋学園大学(東京都調布市)は、日本を代表する音楽大学の一つで、指揮者の小澤征爾さんを始め、世界的な音楽家を輩出してきた。同オーケストラは、桐朋学園音楽部門の学生らで構成される。 桐朋学園の名前にある「桐」は、東京文理科大学・東京高等師範学校に由来する。筑波大学の紋章である「桐」紋も東京高等師範学校に由来するなど繋がりがあり、かつて戦後の混乱期を共に協力して乗り越えた歴史があるという。 公演には、桐朋学園大学の学生の中から総勢17人の弦楽オーケストラが出演し、世界的に活躍する気鋭の指揮者でバイオリニストとしても知られる清水醍輝さんが指揮する。清水さんは、第57回日本音楽コンクール第1位、1998年から2001年まで新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターを務めたことでも知られる。 実行委員で筑波大学人間学群障害科学類2年の加藤千尋さん(20)は、学生オーケストラを公演に招く背景にあるのはコロナ禍だと話す。実行委員会の多くのメンバーが新型コロナが始まった後に大学に入学している。以前はあったイベントがなくなり、自粛を強いられる大学生活を送ってきた。

筑波大でアトリエ見学やアート体験を 10日「キッズツアー」 3年ぶり対面で

スタジオ'Sが参加者募集 子どもたちがさまざまなアートを体験する「キッズアートツアー」が10日、筑波大学で開催される。つくば市二の宮のアートスペース、スタジオ'Sが筑波大と連携し運営する「スタジオ'S with T」の企画だ。今回は同大芸術系学生の案内で子どもたちが大学のアトリエ施設を見学したり、ワークショップを体験する。コロナ禍、2020年から22年夏までは展覧会形式での開催となっていた。対面での開催は3年ぶりとなる。 今回のテーマは「日本画」だ。同大の芸術系日本画領域と協働する。会場となるのは同大芸術系アート&デザイン実習室で、アトリエ見学ができる。見学コースの一つ、大石膏(せっこう)室は巨大なダビデの石膏像などがあり、同大の象徴的施設の一つだ。その後、日本画ワークショップが行われる。絵の具を和紙にしみ込ませて模様を付け、クリスマスランタンを作る。 キッズアートツアーはこれまで同市二の宮にあるスタジオ'Sで開かれてきた。今回は場所を移し筑波大学での開催となる。スタジオ'Sは「今回は2016年から行ってきた企画のリニューアルとして筑波大学でやることになった。今後も継続して筑波大学で行っていくかは分からないが、一つの試み」と話す。 2019年夏の「古代文字を書いてみよう」のキッズアート体験様子(同)

伊東葎花さん公募童話賞で2冠 NEWSつくばに執筆の作家

NEWSつくば朝のコラムに「短いおはなし」を連載中の伊東葎花さん(筆名)=美浦村在住=が、ことし公募の童話賞で相次いで大賞を獲得した。30日発表の第34回新見南吉童話賞(半田市教育委員会主催)で最優秀賞(文部科学大臣賞)に選ばれ、第37回家の光童話賞(家の光協会主催)の受賞作は12月1日発売の雑誌「家の光」1月号に掲載される。コロナ禍以降、各公募コンテストはリモートによる投稿数を増やし気味というなかで、注目の2冠達成となった。 新美南吉童話賞には、自由創作部門一般の部766編、中学生の部604編、小学生高学年の部43編、小学生低学年の部59編、新美南吉オマージュ部門369編の合計1841編の作品が全国から寄せられた。審査の結果、オマージュ部門に「きつねの母さん」で応募した伊東さんが同部門大賞に選ばれると共に最優秀賞も獲得した。 小学生の兄弟がお祭りから帰ると家のかまどの影に1匹のきつねがいた。兄にきつねにとりつかれる話を吹き込まれていた弟は、きつねを母だと思いこみ世話を焼いたり、心配して泣き出したりしてしまうのだが…。新見南吉の「狐」に材をとった原稿用紙7枚の作品で、伊東さんによれば過去の受賞作から傾向を読み取り、父と子の物語を母と子の人物配置などに変えるなど工夫したという。 最優秀賞は賞金50万円、ダブル受賞は初めての快挙というが、規定からオマージュ部門の賞金を重複して受け取ることはできないそうだ。 家の光童話賞は副賞30万円、今回は全国から680編の応募があった。JAグループの出版文化団体が主催することから、農作物や農作業にちなむ作品を募集している。受賞の報は9月半ばに届いた。 受賞作は「手ぬぐいそうせんきょ」。おばあちゃんは毎日違う柄の手ぬぐいを姉さんかぶりに畑仕事に出る。気になって仕方がない孫娘は、夜ごと選挙で次の日かぶる手ぬぐいが選ばれるシーンを目撃する。ほのぼのとするお話だが「異議あり」とか「静粛に」とか、少しきつめの言葉がアクセントをつけている。

もっと日常に音楽を つくばの若手2人がサロンコンサート企画

コロナ禍でコンサートやライブが少なくなった中、質の高い音楽をもっと身近で聞いてほしいと、つくば市在住の音楽家2人がオーボエとピアノの第1回サロンコンサート「樹の詩(きのうた)」を12月2日、アルスホール(つくば市吾妻)で開催する。 主催者のオーボエ奏者、川澄萌野さん(39)は「コンサートでは出演者との交流はもちろん、聞きに来てくれた人同士でも交流し、人のつながりの温かさを実感してほしい。音楽をきっかけにしたつながりの輪を大切にしたくて『サロンコンサート』とした。身近で良い音楽を聞いて、ほっとしたり元気になったりして帰ってもらいたい。いいものを聞いたなと思うような音楽を提供できたらうれしい」と話す。 ピアニストの吉田琢磨さん(38)は「それぞれの人の日常の中に少しでも音楽があるとうれしい。私たちの音楽がみなさんの日常の一つになれるともっとうれしい。近くに住む人にぜひ聞きに来ていただけたら」と来場を呼び掛ける。 川澄さんは14歳からオーボエをはじめ、東京芸術大学を卒業した。大学在学中には水戸芸術館主催「茨城の名手・名歌手たち第16回演奏会」に出演、プロオーケストラのエキストラ奏者として活動し、東邦音楽大学大学院、桐朋オーケストラ・アカデミーを修了した。現在は音楽の家庭教師を務めながらオーボエの演奏活動に注力している。 吉田さんは中学卒業後に渡仏。パリ・エコールノルマル音楽院在学中にパリ国立高等音楽院に入学。その後エコールノルマル音楽院で研さんを積んだ。2007年、第9回イル・ド・フランス国際ピアノコンクール2位、2010年、第6回テレザ・リャックーナ国際ピアノコンクール3位など国際ピアノコンクールで実績を残す。帰国後はリサイタルなど演奏活動を行いながら、現在はつくば市二の宮で「吉田ピアノ教室」を開き、講師としても活動している。 川澄さんと吉田さんの出会いは、コロナ禍の中、川澄さんの夫がピアノを習いたいと教室を探し、吉田さんの教室に通うようになったのがきっかけという。吉田さんの妻、紗代さんは絵画教室「アトリエ彩り」(同市二の宮)で講師を務める画家。芸術活動を通じて夫妻で交流を深めてきた。川澄さんと吉田さんは今年6月と10月にもユーチューブを使ったオンラインライブで共演し、好評を博したという。しかし、やはり生の音も聞いてほしいと、アルスホールでのコンサートを企画した。

リソグラフを楽しもう! つくばでワークショップ開催

日本発の印刷技術「リソグラフ」に特化した印刷所、えんすい舎(小林佑生店長)が4月、つくば市天久保にオープンして半年が経った。障害者の就労を支援する多機能型事業所、千年一日珈琲焙煎(コーヒーばいせん)所(大坪茂人代表)が運営する。近年、欧米ではリソグラフの生み出す独特の「味」が人気を呼んで、国内でも再評価されている。20日には、えんすい舎で地域住民を対象としたワークショップが予定されている。店長の小林佑生さん(39)は「リソグラフは人の手が入る部分が大きく、表現の幅広さが特徴。楽しさを皆さんに伝えたい」と参加を呼びかける。 欧米から「逆輸入」再評価される印刷技術 リソグラフは、家庭用の簡易印刷機「プリントゴッコ」を手掛けた理想化学工業(本社・東京)が1980年に開発した事務用印刷機で、国内では主に学校などで、それまでのガリ版印刷に置き換わり普及した。 画像を読み取り複製するコピー機やインクジェット印刷とは違い、データ化した図案を色ごとに分けて版を作り、一色ずつ色を重ねていくのが特徴だ。 小林さんによれば「版画のイメージ。色が多いと印刷時のズレやカスレも出る。それを目視で調整するのも面白い」そう。「使える用紙も幅広い。和紙など薄いものから厚紙など、他のプリンターでは使えない紙が使用できる。濃度と色の重なり具合、用紙との相性、この広い選択肢がリソグラフの奥深さ。ものを作る感覚がより強い」 日本で生まれた印刷技術を表現手段と捉えたのが欧米のアーティストたちだ。リソグラフによるアートブックや雑誌、音楽家のフライヤー(チラシ)など、その特性が広く活用されるようになる。日本でも2000年以降、各地に専門の印刷所ができはじめ、今年10月に東京都現代美術館で開かれた、国内外の芸術家や出版社による「TOKYO...

ARでアートの魅⼒伝えたい つくば発画廊サイトお目見え

国内外の版画、油彩、⽔彩など美術品の卸売り、⼩売りを⼿掛けるアート・プロジェクト(つくば市古来、廣瀬健⼀会長)は14日、美術絵画の販売をイーコマース(電子商取引)で行うECサイトをオープンさせた。サイトでは100点を超える美術品を販売、オンライン上でも絵画の魅⼒を伝える試みとしてAR(拡張現実)を活⽤した展⽰を行う。 サイトは「Try on ARt-アートを試着しよう」をコンセプトにした。ARはAugumented Reality(オーグメンテッド・リアリティー)、「拡張現実」と翻訳されるが、VR(バーチャル・リアリティー、仮想現実)のような映像を投影する専用デバイスを必要とせず、スマホやパソコンの画面上で立体視できる。ARにトライの「t]をオンさせて「ARt」としている。 サイトの作品詳細ページでアイコンをタップすると、カメラを通じてAR体験できる。購⼊を検討している絵画を、自宅や職場などの環境にシミュレーションして飾ってみるものだ。衣料品のセレクトショップで試着してから購入するのに似たデジタル体験となる。PC版の場合は、360度の3Dビューが可能。美術品販売ではこれまで類例のないECサイトという。 ARに絵画を配置したECサイトの画面イメージ アート・プロジェクトは1985年にギャラリー広瀬として創業。当初からピカソやシャガールら、フランスの巨匠版画を中⼼に、⽇本⼈巨匠の版画や現代アートを加えた企画画廊として数多くの美術品を取り扱ってきた。従来、百貨店の美術画廊をメーンに全国展開の販売を⾏ってきたが、コロナ禍などから百貨店との流通チャンネルが相次ぎ閉鎖となり、販売戦略の立て直しを迫られていた。

全国の駅弁掛け紙コレクションも つくばの古書店で鉄道150年展

つくば市吾妻の古書店ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)で、第16回店内展示「鉄道150年」が開催中だ。1872年(明治5)10月14日に日本初の鉄道が新橋-横浜間に開業してから150年を迎えたのを記念し、店内のショーケース3台に明治期から現在までの鉄道関係資料約80点を展示している。目玉といえるのが数百枚に及ぶ駅弁の掛け紙コレクションで、かつて名を馳せた土浦の駅弁も含まれている。 主な展示品は、明治~昭和期の各地の時刻表や鉄道地図、旅行案内などのほか、運転教範や線路工手教範といったマニュアル類、改札鋏(かいさつばさみ)や鉄道懐中時計、車両番号札などの実物も豊富だ。地域資料では旧筑波鉄道や筑波山ケーブルカーの絵はがき、つくばエクスプレスのカレンダー(2008年~2018年)などがある。 珍しいところでは、1881年(明治14)に発行された日本鉄道会社の鉄道特許条約書(国の設立許可書)もある。同社は岩倉具視らが中心となって立ち上げた日本初の私立鉄道会社で、後の東北本線、高崎線、品川線、常磐線などを運営していた。 駅弁の掛け紙はショーケース展示とは別に、地域ごとにファイリングされ、北海道から九州までの日本全国と、日本統治下の朝鮮や台湾のものもある。鉄道旅行黄金期とされる昭和初期を中心に、戦時中の「国民精神総動員」「車内も隣組」といった標語を刷り込んだものも目立つ。 「今は駅弁の販売は始発駅に集中しているが、昔は途中の駅で買うことが多かった。今と違って列車旅行は長旅で、駅弁の需要も大きかった。特に機関区(機関車の保守点検などをする車両基地)のある駅は停車時間が長く、車窓越しにホームの売り子から弁当を買う姿がよく見られた」と店主の岡田さん。そうした駅の一つが土浦で、水戸機関区の土浦支区があり、機関車の取り替えなども行われていた。 駅弁の歴史113年 土浦駅

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国も地方も政治劣化が止まらない 《地方創生を考える》27

【コラム・中尾隆友】日銀の異次元緩和が始まってもうすぐ10年になる。異次元緩和の最大の問題は、いくら政府が借金を増やしても日銀が国債を引き受けてくれるので、放漫財政が常態化してしまうということだ。 政府債務は恐ろしく膨らんだ 実際に、一般会計の総額は10年連続で過去最高を更新し、近年は補正予算の規模が数十兆円に膨らむ事態となっている。 その結果、過去10年間で政府債務は恐ろしく膨張した。税収で返す必要がある普通国債の発行残高は、2023年度末に1068兆円になる見通しだ。政府債務はGDPの2.5倍超にまで拡大し、持続的な金利上昇に脆弱(ぜいじゃく)な財政になってしまったといえるだろう。 日本の成長率は大幅に低下した

筑波大学開学50周年イヤー 室伏広治さん開幕告げる

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の開学50周年イヤーが4日、金メダリストの講演で幕を開けた。記念事業シンポジウム「芸術×体育で未来を拓く」が同日、つくば国際会議場(同市竹園)で開催され、これを皮きりに10月1日の記念式典まで各種イベントが展開される。 講演する室伏さん=同 シンポジウムで講演したのは、2004年アテネオリンピックのハンマー投げで金メダルの室伏広治さん(48)。日本記録保持者で日本選手権20連覇を遂げ、16年に引退、2年前からスポーツ庁長官に就任した。4日は「スポーツで未来を創る」のテーマで基調講演を行った。 室伏長官指揮下の同庁が昨年まとめた第3期スポーツ基本計画(2022-26年度)では、少子高齢化や地域間格差の広がりの中で、学校教育を中心にしたスポーツ振興からの脱却を意図した。性別や年齢、障害、経済事情などの違いによって、取り組みに差が生じない社会を実現し、機運を醸成するとしている。「健康増進の意味からも自治体や企業へ横展開していく地域の取り組みが重要になり、つくばでぜひ率先してほしい」とアピールした。 父親(重信さん)にはハンマー投げに進むこと、練習に励むことを一度も強制されたことがないと言い、それが充実した競技生活につながった。アスリートには幅広いスポーツ体験を積むこと、指導者には勝利至上主義からの転換を求めるなどした。 筑波大学は、国内初の官立高等教育機関として1872(明治5)年、創立された師範学校を礎としており、今年、創基151年となり開学50周年と合わせて記念事業を展開する。1872年は学制公布の年であることに触れた室伏さんは「当時、夏目漱石は日本の哲学は周囲にあるもの全て動かすべからず、心の修養を積んだ挙げ句の消極の極みに達する哲理と書いている。動的な西洋のスポーツ観とは違った見方があった」と紹介、未来を創るヒントがこの辺にありそうだと説いた。

土浦のひなまつり開幕 3年ぶり華やかに

立春の4日、第18回土浦の雛まつり(市観光協会主催)が、土浦駅前通りの観光拠点の一つ、土浦まちかど蔵(同市中央)などで始まった。新型コロナの影響で3年ぶりの開催となる。3月3日まで。 江戸時代や明治初期の蔵などが並ぶ旧水戸街道の中城通りを中心に、周辺の商店などが代々商家に伝わる江⼾から平成のひな人形やつるしびなを店頭に飾っている。市内108カ所の店や公共施設が参加している。 会場の一つ、土浦まちかど蔵大徳では、江戸末期から明治の名工、3代目仲秀英(なか・しゅうえい)が作ったひな人形を展示している。店蔵2階では浦島太郎や干支のうさぎをモチーフにしたひな人形などが飾り付けられた。中城通りの街並みと調和した和の雰囲気と、人形たちの個性豊かな表情を楽しむことができる。手作りのつるしびなは花や⿃や⼈形などちりめんの縁起物をひもにくくりつけて作る立体的な飾り付けで、空間を華やかに彩っている。 大正時代の「八女(やめ)の箱雛」(左)と明治末期から昭和初期の「見栄っ張り雛」(右)=福祉の店ポプラ中央店 福祉の店ポプラ中央店(同市中央)は1階に、市内の収集家が集めたという大正時代の「八女(やめ)の箱雛」や明治末期から昭和初期の「見栄っ張り雛」など貴重なひな人形を飾った。2階には市内外の社会福祉施設などで障害者が手作りしたひな人形を展示した。 前野呉服店(同市中央)ではショーウィンドウに23年前に購入したという三段飾りのひな人形と色鮮やかな着物を飾った。店の前を通る人は歩みを止め、あでやかな飾りつけに見入っていた。

運と感謝 《続・気軽にSOS》126

【コラム・浅井和幸】気分が落ち込んでくると感謝することなどなくなってきます。感謝するどころか、すべてが悪循環で、良いことが起こらないし、今までも良いことなんてなかったと感じるようになります。こんなに頑張っているのに、どうして自分ばっかり運が悪いのだろうかと考えるようになるものです。 過去に嫌なことばかり起こっているのだから、これからも悪いことばかり起こるだろうと予測をしてしまうのは仕方のないことでしょう。0か100かの考えを持つと、過去に嫌なことが一つでもあれば、今まですべての経験・人間関係は嫌なことばかりだったと自分に言い聞かせるように愚痴をこぼし、良いことなど一つもなかったと思い込むことでしょう。 物事は卵が先か、鳥が先かの判断が難しいことがあります。楽しいから笑うのか、笑うから楽しいのか。実際に笑顔をつくると気持ちが軽くなったり、けげんな表情をつくると集中力が上がったりということもあるようです。 さて、運が良いから感謝するのか、感謝するから運が良いのかも難しい問題ですね。運というものはよく分からないものなので、人力で変化させることは出来るものではないのでしょう。ですが、感謝するのは自分自身の考え方とか捉え方なので、繰り返し練習をすれば自然と感謝できるようになっていきます。 感謝とはありがたいと思うことやそう思ったことを相手に伝えたりすることです。うれしい、美しい、楽しい、おいしい、良い香り、良い手触り、好きな音楽―などを感じて喜ぶことです。そのものに感謝してもよいし、それをもたらしてくれたものや人に感謝を伝えてもよいでしょう。 歯が痛いと歯医者の看板が見つかりやすいように、運が良いと思っていると、ポジティブな物事を見つけやすくなるものです。運が悪いと思っていると悪いことに敏感になり、運が良いと思っていると良いことに敏感になります。