金曜日, 6月 9, 2023
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魔女のフェスタ、石岡へ里帰り 「岩戸開き」テーマに27日

つくば市国松の旧筑波小学校跡で開かれていた「魔女のフェスタ」が27日の第6回開催で、発祥の地、石岡市柴内の朝日里山学校に里帰りする。主催するいしざき緑子(魔女の学校主宰者)さんによれば、今回は「魔女の岩戸開き」がテーマで、心を閉ざした人々に、多くの人との関わり持ってもらいたいとの願いをこめたという。 魔女のフェスタは「魔女の学校」(2021年2月17日付)の生徒たちを中心に、小学校跡の教室にタロット、工芸品、占い、オーガニックなどの模擬店を設け、校庭にキッチンカーやテントの飲食ブースを展開するマルシェ。子供からお年寄りまでの一般参加者が加わり、ダンス、手作り太鼓のワークショップなどでにぎわい、近県からも広く参加者を集めるようになった。 今回は特別に「岩戸開き」のイベントが加わる。天の岩戸の神話は、弟スサノオの乱行に嘆き悲しんだアマテラスが岩屋の奥にひきこもってしまい、世は闇夜に包まれた。困った八百万(やおよろすの)神は岩戸の周囲に集い、大騒ぎし、女神アマノウズメが髪を振り乱しおどけて踊りだすと、アマテラスが「何事か」と岩戸を開き、覗き見たことにちなむ、再生の物語だ。 アマテラス、スサノオの両親であるイザナギ、イザナミこそは男女二柱の祖神を祀(まつ)る筑波山の神。こうした縁起にちなみ、今回は歌舞音曲の企画を充実させた。ミュージシャンの奈良大介は「魔女音頭」を披露するという。 「魔女の学校」主宰者、いしざき緑子さん=つくば市国松 いしざきさんは山麓地区のつくば市国松に2020年から住み始め、地元の人との交流の中で筑波山への信仰がいかに地域に溶け込んでいるかを知っていく中で、今回のテーマに至ったそう。「豊かさとは、お金、地位、名誉だと思っていた人が、心が邪魔になり、心を閉ざして生きるようになってきた。立場主義を否定することによって、心を開いていける、そのことが人とつながる。楽しにあふれているので是非とも仮装して遊びに来て欲しい」と語る。

筑波大・東京芸大若手による20作品 スタジオ’Sで「絵画の筑波賞」展

若手作家の創作活動を支援しようと創設された「絵画の筑波賞」2023(主催・筑波銀行、関友商事)のつくば展が14日、つくば市二の宮、関彰商事つくば本社内のギャラリースタジオ'Sで始まった。大賞を受賞した東京芸大大学院生、伊藤藍さんの油絵「白斑」など20人の若手作家による洋画と日本画が展示されている。 創作活動の拠点を共に県内に置く筑波大と東京芸大の洋画(油画)、日本画の両研究室から寄せられた作品を一堂に展示する。在学生や卒業生など35歳以下を対象に、各研究室に作品20点を推薦してもらい、5人の審査員が大賞、準大賞、優秀賞などを選考する。2020年に始まり今年で4回目。受賞作品9点は協賛企業が買い上げて若手を支援するほか、つくばと都内で展覧会を開催し作品を発信する。 大賞を受賞した東京芸大大学院生、伊藤藍さんの油絵「白斑」 大賞の「白斑」は、前屈し丸まった裸の男性を描いた作品。作者の伊藤さんは、知的障害がある兄をモデルにした作品を描き続けている。同展に協力する筑波大芸術系の仏山輝美教授は「ふわっとした丸い塊が浮遊しているように見え、見る人は遅れて人体だと認識する。造形上の効果を計算して描いている」と評価する。 準大賞は東京芸大大学院生の川田龍さんの油絵「untiiled(Bacchus4)=無題(バッカス4)=」。キリストの受難をイメージさせるイバラの冠を付け、顔を白く塗った男性が描かれている。仏山教授は「他の作品とは一味違った大胆なタッチで、絵をまとめようとせず力強さがある」と評す。

貸しギャラリー建て個展 つくば市の水彩画家 佐々木量代さん

つくば市桜が丘の水彩画家、佐々木量代さん(73)が、自宅近くの住宅団地内に、貸しギャラリー「アート・スペース コリーヌ」を建て、個展「樹々たちのざわめき」を14日まで開催している。 これまで描きためた自身の作品を展示したり、地域の人が作品を発表する場に使ってほしいと、自宅近くの空き地を購入しギャラリーを建築、コロナ禍の昨年6月、オープンさせた。 ギャラリーは平屋建て、展示スペースは約25平方メートル、ほかにアトリエや収納スペースがある。 オープン後の昨年は、自身の個展や、自身が主宰する水彩画教室受講生の作品展を開くなどした。「知られてない」ため、まだ一般の利用はあまりないという。 普段は水彩画教室を開いているほか、常時、自身の作品を入れ替えながら展示しており、佐々木さんは「気軽に立ち寄ってほしい」と話す。 佐々木さんは福島県相馬市出身。南フランスの農村風景を描いた筑西市出身の水彩画家、柳田昭(1948-2012)に師事し、2012年、武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業。現在、現代美術家協会や水彩画連盟に所属する。風景、花、樹木、静物などをモチーフに創作活動を続け、個展やグループ展を開いている。

古民家改修終えお披露目 土浦 宍塚の自然と歴史の会

里山保全活動の拠点に 使われなくなった古民家を再生・活用する「百年亭再生プロジェクト」に取り組んできた認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」(森本信生代表)が7日、改修を終えた「百年亭」をお披露目した。土浦学園線沿いの土浦市宍塚に建つ。家屋は8畳2間の広さ62平方メートルで、キッチン、トイレ、シャワーが新設された。 プロジェクトは昨年3月にスタートした(2022年3月28日付)。クラウドファンディングを利用して寄付を募り、県内外の223人から目標金額を17万5000円上回る317万5000円が集まった。この日は雨が降る中、会のメンバーや支援者ら約30人が集まり、プロジェクトを請け負った建築家らの話に耳を傾けた。 お披露目された「百年亭」 「売りに出されていた古民家を、会の活動拠点に利用できないかと考えたのがプロジェクトの始まりだった」と、プロジェクトリーダーで同会顧問の佐々木哲美さん(70)が振り返る。同会は1989年の発足以来、宍塚大池と周囲に広がる約100ヘクタールの里山を保全するために、野鳥観察や田んぼ・畑作業などを通じて県内外から人を呼び込み幅広い活動をしてきた。

ファンの支援受け再起動 石岡・ギター文化館

コロナ禍で演奏会が開けず昨年、存続の危機に直面したクラシックギターの殿堂「ギター文化館」(石岡市柴間、池田由利子館長)が、全国のギターファンの支援を受けて再起に向け歩み始めた。 4日にはギターのフリーマーケット初開催 今年からは、コロナ前も開催してきた演奏会や貸しホール、音楽教室に加えて新たに、同館が所蔵する貴重なギターの館内貸し出し、演奏会の動画配信などに取り組み始めた。4日には出店者を募って、自宅に眠っている思い出の中古ギターやお宝ギターを販売してもらうフリーマーケットを初めて開催する。専属ギタリストを地域イベントに派遣する回数も増やし地域全体の音楽文化の振興にも力を入れる。 2020年から演奏会が相次いで中止となり、21年末、運営母体の東京労音(事務局・東京都新宿区)から、30周年を迎える22年11月以降は運営費の補助が難しいと通告を受けた。存続を賭け、昨年4月と5月、年間運営費の700万円を目標にクラウドファウンディングを実施した(22年5月2日付)。 全国各地のギターファンなど445人から計745万円が集まり、400人を超えるファンから「大切な施設」「存続させてほしい」などのメッセージが寄せられた。池田館長(62)は「こんなにも愛されていることを改めて感じ、感銘を受け、運営する東京労音が、何とか維持し運営を続ける方向にかじを切ってくれた」と振り返る。 昨年6月からは、中小企業の無料経営相談所「県よろず支援拠点」(水戸市)で10回近くオンラインで相談に乗ってもらいながら、昨年末、経営改善企画書を練り上げ、新規事業を一つずつスタートさせている。

反戦や平和テーマに つくばで「茨城現展」開幕

個性を尊重し自由な表現活動を行う美術団体「現代美術家協会茨城支部」(佐野幸子支部長)の第39回茨城現展が11日、つくば市吾妻、県つくば美術館で開幕した。支部会員ら36人の絵画、立体造形、工芸、写真作品など約150点が一堂に展示されている。ウクライナで戦争が長期化する中、反戦や平和をテーマにした作品が目立った。 佐野支部長は、ウクライナ国旗の青と黄色が人々の涙雨のように焦土に降る「遥か、ウクライナ」を出品した。戦争がいつ終わるとも知れないウクライナの人々の悲しみを表現したという。ほかにウクライナの避難民を連想する福田徹さんの「霧の中の人々」、ウクライナの国花ヒマワリの写真を合成した佐々木誠さんの写真作品「ウクライナ」などが展示されている。 会場入り口の廊下には、平和をテーマにした会員による合同作品も紹介されており、佐野支部長は「戦禍をこうむった当時者はいかばかりかと思う。皆さんと共に全世界の平和を願いたい」と話す。 佐野幸子支部長の「遥か、ウクライナ」 会場にはつくば、土浦、牛久など県内の40代から80代の支部会員による油絵、アクリル画、リトグラフ、パッチワーク、写真、彫刻、陶芸などが展示されている。 つくば市の佐々木量代さんは、Tシャツとこいのぼりが風に揺れる作品「5月の空に」など3点を出品した。「固定観念なく個性を尊重する団体なので、自分の表現の可能性にチャレンジできる」と話す。

筑波大 学生有志が企画 注目のピアノ三重奏団、来月公演 

筑波大生有志が主催するコンサートが来月21日、同市竹園、つくばカピオホールで開催される。第13回目の今回は「葵トリオー3人で奏でるシンフォニー」と題して、東京芸術大学(東京都台東区)出身のピアノ三重奏団「葵トリオ」が出演する。第67回ミュンヘン国際音楽コンクールで日本人団体として初めて優勝した注目のトリオで、ヴァイオリンの小川響子さん、チェロ伊東裕さん、ピアノ秋元孝介さんで構成する。 「本当にすごい方が来ていただけることがうれしい」と話すのは、同コンサートを主催する「つくばリサイタルシリーズ実行委員会」の同大障害科学類3年、加藤千尋さんだ。葵トリオのマネージャーが過去の公演を見に来ており、それが今回の公演実現につながったという。「今回念願かなって、ようやくお三方に出演していただけることになった」と加藤さん。 ピアノ三重奏は、ヴァイオリン、チェロ、ピアノによるアンサンブルを指す。演奏されるのはベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第3番」、ラフマニノフ「ピアノ三重奏曲第2番」と、つくばリサイタルシリーズを創設した同大の江藤光紀准教授による新曲の計3曲。 ラフマニノフの楽曲は演奏時間が50分にもなる重厚な楽曲で「ピアノ三重奏を味わうのにもってこいの楽曲」と加藤さん。江藤准教授の新曲はこれまでの公演でも演奏されており(2020年12月2日付)、今回は「ポップで楽しくて聞きやすい感じ」だという。 つくばリサイタルシリーズは主に学生にクラシックに親しみを持ってもらうことを目指し、毎年第一線で活躍する演奏家を招きコンサートを開催している。今回の公演も学生は無料で見ることができる。同大の学生主体で運営されており、助成金やクラウドファンディングによる寄付を募るなどして開催する。加藤さんは「今年から私たちの学年が実行委員会の幹部になる。良いコンサートをつくっていきたい」と話す。(山口和紀) ◆「葵トリオー3人で奏でるシンフォニー」は5月21日午後2時開演。チケットは学生無料、一般1500円。全席指定。チケットの案内はつくばリサイタルシリーズ公式ブログへ。

3年半ぶり完全開催 筑波山神社で御座替祭

筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)で1日、山頂の本殿と中腹の拝殿で神座が入れ替わるとされる春の御座替祭(おざがわりさい)が催され、祭りのメーンとなる、みこしをかついで中腹の集落を巡る神幸祭(じんこうさい)が3年半ぶりに行われた。新型コロナの影響で神幸祭は2020年の春から6回連続中止となっていた。 男体山と女体山山頂の本殿にある神衣(かんみそ)を新しい衣に取り替える「神衣祭」(かんみそさい)、中腹の拝殿で舞いを捧げる「奉幣祭(ほうべいさい)」と併せて、三つの祭りが2019年秋の御座替祭以来、3年半ぶりに完全開催された。 中腹の筑波山神社周辺ではソメイヨシノと山桜がほぼ同時に満開になり、花びらが春風に舞う様子が見られた。コロナ5類移行が間近に迫る中、マスクを外して見物する人の姿もあった。 神幸祭では黄色や赤、白など色とりどりの装束をまとった約150人の行列が、中腹の筑波山六丁目から筑波山神社拝殿まで、急な坂道や階段をみやびやかに登った。今回は稚児行列も最後に加わった。 御座替祭は毎年4月1日と11月1日の春と秋に催されており、観光資源としての役割も担っている。御座替祭の日に限り、3代将軍徳川家光が江戸時代初期に建造し県指定文化財になっている、神社境内入り口の神橋(しんきょう)を渡ることができる。この日は午前9時30分から午後4時まで特別開門が行われ、たくさんの観光客が橋を渡ったり、記念写真などを撮っていた。 神橋を渡るみこし

音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会

カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。 飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。 その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。 飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。 店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。

(仮)のまま30回目の同人誌即売会 26日に土浦市亀城プラザ

同人誌即売会の第30回「亀城祭(仮)」が26日、土浦市中央の亀城プラザで開かれる。漫画やアニメの愛好者たちが集う交流イベントだが、仮称を思わすネーミングのまま、イベントは30回目を迎え、春に萌え(もえ)る。 亀城祭(仮)は漫画やアニメの愛好者たちが、読んだり見たりするのに飽き足らず、創作活動を始め、出来上がった作品を同じ趣味を持つ同士で売り買いする同人誌の即売・交流会。東京ビッグサイトなどを会場に大規模なイベントが開かれているが、地方でも同様に小規模な同人誌即売会が行われており、土浦では亀城祭(仮)がそれにあたる。 主催はコスモグループ。土浦市在住の女性会社員、三条深海さん(ペンネーム)が代表を務める。元々趣味で漫画を描くなどの活動をしていたが、県内で互いの作品を見せ合うなどして交流をする場を作っていきたいと同じ趣味の仲間に声を掛け、同市内で即売会「コミックネット」を開いたのが始まりという。 亀城プラザの大会議室や石岡市民会館を借りて、40小間程度の小規模な同人誌即売会を開催したが、会場が手狭になったため、2007年以降、亀城プラザ1階フロアを借り切る現在のスタイルになり、春と秋の年2回のペースで開催してきた。コロナ禍で20年の春、秋、21年の秋は中止となったが、参加意欲は衰えず、22年の2回の開催をこなし、今春第30回の節目を迎える。 この間ずっとタイトルから(仮)の字を外さずにきた。三条さんは、「イベントとしての発展への期待を込めて、今は(仮)である、という意味でつけている。また亀城祭という地域のお祭りがあるので、それとの区別のため名称を工夫した」そうだ。 イベントの参加者は毎回、延べ200人ぐらい。今回は出展者として50を超すサークルが参加する。1階フロアに約60台の机を並べて売り場とし、出展者の販売物が展示される。創作物は一次制作(自分で創作したオリジナル作品)、二次創作(元々あった作品に自分なりに手を加えたもの)がある。漫画やアニメだけでなく、手作りのアクセサリーや写真集などを扱う売り場もある。

磯崎新さんの思考をめぐる 「作品」つくばセンタービルで追悼シンポジウム

建築家、磯崎新さんの業績を振り返るシンポジウムが19日、つくばセンタービル(つくば市吾妻)のノバホールで開かれた。つくば市民が中心となる「追悼 磯崎新つくば実行委員会」(委員長・鵜沢隆筑波大名誉教授)が主催した。同ビルをはじめ、水戸芸術館などを手掛け、昨年12月に91歳で亡くなった磯崎さんをしのんで、県内外から約350人が訪れた。会場では、磯崎さんの「思考」をめぐってパネリストの白熱した議論が繰り広げられた。 来場者を迎える磯崎新さんの写真=ノバホールロビーに 登壇したのは、磯崎さんのアトリエ勤務を経て、建築分野で多数の受賞経験を持つ法政大学名誉教授の渡辺真理さん、横浜国立大名誉教授の北山恒さん、神奈川大学教授の曽我部昌史さん、2010年ベネチア・ビエンナーレ建築展で金獅子賞を受賞した若手建築家、石上純也さんの4人。登壇者それぞれが磯崎さんとの想い出を振り返ることから始まった。 「広島の廃墟」にルーツ 「ノバホールの入り口の壁と天井のパターンを手がけた」という渡辺さんは、1980年から95年にかけて磯崎新アトリエに勤務し、センタービル建築にも携わった。入社当時、磯崎さんは「街の全てをデザインする意気込みで取り組んでいた」と振り返る。

廃校から「文化芸術創造拠点」へ つくば 旧田水山小でアートラボ

廃校となった小学校跡地を「文化芸術創造拠点」として利活用するための試行事業が11日、つくば市水守の旧田水山(たみやま)小学校で始まった。「つくばアートラボ2022-23~田水山でつくる~」で、3人のアーティストが滞在制作を行う。11日は登校日として一般公開型のワークショップが開かれ、12日にはアトリエトークが行われる。 参加アーティストとテーマは、相澤万亀子さん「おりがみインスタレーション」、大井真希さん「枝と毛糸で生まれる田水山の“こだま”」、河津晃平さん「廃校の洗浄と観察」の3つ。昨年11月に公募をし、書類審査とプレゼンテーション審査により選出された。 相澤万亀子さんのプロジェクションマッピングによる作品展開 会場は旧教室棟2階の3教室で行われ、ワークショップに集まったのは、地域の児童や保護者たち36人。相澤さんのおりがみは「広報つくば」を使って、簡単な蝶を折り、一緒に影絵遊びをする。その後、蝶はオープンアトリエの展示作品に取り付け、作品「ゆめ」を完成させる。展示空間を含めて全体を作品として表現するインスタレーションだ。 会場では、見学者らが作品制作を見守りながら、旧小学校の利用について語り合う姿も見られた。 つくば市では、同市文化芸術審議会への諮問を経て、田水山小跡地を「文化芸術創造拠点」として新たに利活用する検討に着手、昨年にはサウンディング型(対話型)市場調査を実施するなどしてきた。市文化芸術課によれば、創造拠点のコンセプトは「出会う・つながる・創造する」。今回はこれを基礎に、人々の出会いからつながりが生まれ、田水山地域において創作する過程で、ひらめきを得て、アートを広げていくことを推進していくトライアルとして計画されたそう。

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音楽朗読劇「ヒロシマ」 7月、土浦公演 市民団体が主催

紙芝居やチンドン屋の練り歩きなどを行っている土浦の市民団体「つちうら駄菓子屋楽校」(石原之壽=のことぶき=代表)が主催し、音楽朗読劇「ヒロシマ」の公演が7月22日、土浦市大和町の県県南生涯学習センターで催される。2021年から毎年、土浦で開催し3回目となる。 「ヒロシマ」は、78年前に広島で被爆した路面電車を擬人化し、当時の記憶を語っていく物語。作中には被爆者たちの様々な証言を、できるだけ表現を変えずに用いているという。俳優で演出家の嶋崎靖さん(67)が平和への思いを込めて制作・演出した。今回の公演では、広島市の劇団で活動する原洋子さんと、俳優の保可南さん、地脇慎也さんが出演し、武蔵野音楽大学大学院の青山絵海さんがマリンバを演奏する。音楽は嶋崎さんが制作を手がけた。 音楽劇「ヒロシマ」の一場面(石原さん提供) チンドン屋の先輩と後輩 主催する「つちうら駄菓子屋楽校」は石原さん(64)が3年前に立ち上げた。飛行船「ツェッペリン伯号物語」や「土浦花火物語」など、土浦を中心に地域の歴史や物語を題材にした紙芝居を制作し上演している。

アストロプラネッツ、巨人との交流戦に敗れる

ラミレスさんの障害児野球教室も プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは7日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で、NPB(日本野球機構)との交流戦として読売ジャイアンツ3軍と対戦し、1-5で敗れた。試合に先立って、横浜DeNAベイスターズ前監督のアレックス・ラミレスさんによる障害児向けの野球教室も開かれ、約20人の子どもたちが直接指導を受けた。 茨城アストロプラネッツ-巨人3軍(6月7日、J:COMスタジアム土浦)巨人 003100001 5茨城 000010000 1 茨城は要所で守備にほころびが出て、要らぬ失点を重ねた。3回表、ショート寺嶋祐太の捕球ミスなどで2死一・三塁とされ、中堅への適時打で1点を先制される。次打者の右前打では、土田佳武が処理に手間取るうちに2者が生還、0-3と引き離される。4回にも2死からエラーがらみで走者を出し、さらに1点を追加された。 先発の二宮衣沙貴は「エラーでランナーを出しても、自分が踏ん張って抑えていれば結果は変わっていた。そこが今日の反省点。自分の能力を高め、三振で切り抜けられる力をつけたい」と悔やむ。

オカルト、エリファス・レヴィ《遊民通信》66

【コラム・田口哲郎】 前略 ずいぶん前からオカルトに興味があります。オカルトといえば、学研の月刊誌「ムー」です。UFOやツチノコ、心霊現象など、科学で解明できない現象について扱っています。オカルトはちょっとゾクゾクしますし、謎が解けそうで解けないところが魅力だと思います。 オカルトについて調べてみると、オカルトの元となった思想があることがわかりました。それはオカルティズムと呼ばれるもので、19世紀フランス最大の魔術師といわれるエリファス・レヴィ(1810-1875)が大成したとされています。オカルトはヨーロッパのキリスト教文化圏で生まれ、発展したものであるのは確実なようです。 少しその背景を説明すると、18世紀末のフランス革命でカトリック教会の一強支配が崩れて、聖職者ではない俗世の作家たちが、キリスト教会が担っていた精神的役割を肩代わりするようになりました。そのとき、いわゆる「宗教」には収まらない「宗教的なもの」が次々に生み出されてゆきました。その「宗教」の枠をはみ出した「宗教的なもの」の中の一つが、オカルティズムです。 オカルティズムの大成者レヴィはなにを隠そう、元カトリック修道士であり、詩人でもありました。そのレヴィがキリスト教会と絶交して、しかし人類を救いたいという一心で、つくりあげたのがオカルティズムなのです。

阿見大空襲、むなしさこみ上げた【元予科練生からのバトン】下 

石岡市 萩原藤之助さん(94) 石岡市在住の萩原藤之助さん(94)は、土浦海軍航空隊甲種第13期飛行予科練習生だった。第14期生だった戸張礼記さん(94)=6日付=に回想録執筆を勧められ、去年2月、予科練の生活をまとめた「雛鷲の残像―そのままの予科練回想録」を自費出版した。「等身大の予科練―戦時下の青春と、戦後」(常陽新聞社)などの参考文献を元に、当時の記憶と照らし合わせてつづり、戸張さんが監修を務めた。萩原さんは長年、戦争の資料を集めており、3カ月ほどで書き上げた。多くの人に読んでほしいと700部制作し、200部を阿見町の予科練平和記念館に寄贈した。 『雛鷲の残像』表紙 萩原さんは中学3年の時、校内に貼りだされた「予科練習生募集」のポスターを見て応募を決めた。1943(昭和18)年のことだった。「戦局が悪化の一途をたどる中、13期は、もっと搭乗員教育を進めて飛行機搭乗員を大量に養成せよということで、入隊者数を大幅に増やした年だった」と、回想録に付した資料を示して説明する。 予科練では精神教育が行われた。「陸海軍軍人に賜はりたる敕諭(軍人勅諭)」に由来する五ケ条を暗唱。集会に遅れたり、訓練にやる気がなかったりすると罰を受けた。「アゴ」はこぶしで練習生のあごを殴る罰で、殴られた時には自分の至らなさを恥じたという。厳しい訓練に耐えていたが、卒業直前に体調不良に陥り、しばらくの間療養した。卒業前日になり、班長から卒業できることを告げられ、土浦海軍航空隊の分隊に所属して訓練を継続することとなった。所属した分隊で、44年9月には滑空訓練を行うようになった。