土曜日, 5月 16, 2026
ホーム土浦「鉄道がもつ物語性を美しく見せたい」 せきごうさん写真展

「鉄道がもつ物語性を美しく見せたい」 せきごうさん写真展

6日から土浦

土浦市在住の映像ディレクター兼写真家、せきごうさんの写真展「てつの遠音~ちょっとだけ鉄路のある風景」が6日から9日まで、土浦駅西口前のアルカス土浦1階、土浦市民ギャラリーで開かれる。展示作品は35点。常磐線および県内の各路線のほか、近県のレトロなローカル線なども幅広く撮り歩いている。

荒川線から広がる話題

せきさん=土浦市中央の喫茶蔵にて撮影

作品「バラ色の路面電車」で、せきさんが取り上げたのは都電荒川線。荒川区は40年ほど前からバラを使った緑化運動に取り組んでおり、撮影地の荒川2丁目停車場付近では、線路沿いに整備された花壇にさまざまな種類のバラが咲き誇る。「バラの花にカメラを向けるとその奥に、ゴトンゴトンと音を立てながら都電がゆっくりとフレームに入ってくる。近くで撮ってもいかめしい感じにならないのが都電のいいところ」とせきさん。

近くには1922(大正11)年に開業した日本初の近代下水処理施設の三河島水再生センターと、それに隣接する荒川自然公園があり、見学や散策にも適している。「現在の荒川区は実は荒川に接していない。ここに流れる隅田川の元の名前が荒川で、千住の北側に掘られた運河が荒川と名付けられてから、隅田川と呼ばれるようになった」との豆知識も、電車自体よりも地域の歴史や文化の方に興味が深いせきさんらしい。

過去へとはせる思い

「車両そのものを見せる鉄道写真ではなく、鉄道が持つ物語性を写真で美しく見せたい」との考えで、地元である土浦周辺で撮った作品にもそうした姿勢が見てとれる。例えば「懐かしさへのカーブ」では、常磐線下り電車がまもなく土浦駅へ到達する直前を、満開のサクラと共にとらえた。「小松の高台から緩いカーブを描いて下りてきて、切り通しを抜けて突然風景が広がるとき、はっとすると同時に町へ帰ってきた実感がわく。蒸気機関車の時代はこの坂を単機で登るのが難しく、最後尾に機関車がもう1機付いて押して登り、坂の上で切り離してバックで戻ってきたそうだ。その話を聞いて、ああ、見たかったなあと痛切に思う」

「蓮田(はすだ)と電車基地」では、生産量日本一と言われる土浦の蓮田の夕焼けに染まった雄大な景色と、その奥に連なる電車の窓明かりを捉えながら、いつしか話は被写体を離れ、この車両基地の場所が戦国時代の木田余城の跡地であることや、その本家筋に当たる小田城の末路にまで続いていく。

県内から近県まで網羅

県内は常磐線を筆頭に水戸線、水郡線、鹿島線、竜ケ崎線、常総線、鹿島臨海鉄道、ひたちなか海浜鉄道などひと通りを押さえ、近県では千葉、東京、神奈川まで足を伸ばしている。特に真岡鉄道や銚子電鉄など小さなローカル線に心引かれるそうだ。「流山鉄道も非常に魅力的。窓口では硬券の切符を買って鋏(はさみ)を入れてもらうことができる。すぐ近くをつくばエクスプレスのような最新型の電車が走る一方で、こういう昔のままの鉄道が経営できていることに驚嘆する」

作品の中には前著「平成土浦百景」や「北浦・霞ケ浦百景」で発表したものも含まれている。湖をテーマに撮影していても「もう少し先へ行くと鉄橋があったな」などと、鉄道が風景の一部やランドマークとして写り込む構図を無意識のうちに考えているという。

◆せきごう写真展「てつの遠音~ちょっとだけ鉄路のある風景」は11月6日(木)~9日(日)、土浦市大和町1-1、土浦市民ギャラリー内オープンギャラリー4で開催。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料。

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