水曜日, 11月 4, 2026
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粘土で広がる世界 自閉症の粘土作家・松橋克希さん つくばで個展

6日から

自閉症スペクトラムなどの障害のある粘土作家で、水戸市在住の松橋克希(よしき)さん(20)の作品展「イマジネーション クリエイト 想像から創造へ」が6日から、つくば市千現、二の宮公園前のギャラリーネオ/センシュウで始まる。アニメや映画などのキャラクターをモチーフにした新作を含む約250点の粘土作品とイラスト15点を展示する。22日まで。

普段は地域の保育園などで毎週、子どもたちに作品作りを教え、「よっちゃん先生」の愛称で親しまれている。制作活動を通じて自分の世界を広げてきた松橋さんの十数年の歩みに触れる作品展だ。昨年12月には、障害のある人の芸術活動を支援する拠点として県に設立された「障害者芸術文化活動支援センター」が、県つくば美術館で開いた作品展「めぐる展2025」に出展。創作実演や対話型鑑賞会も行われ、多くの来場者の関心を集めた。

250体の作品が並ぶ

地域の中で活動を広げる

克希さんは、粘土で作った小さなパーツを一つ一つ繋ぎ合わせてオリジナルのキャラクターを生み出している。その数は、数千体。頭の中には、常に新しいキャラクターのイメージがあふれているのだという。

幼い頃から創作に打ち込んできた。幼稚園のころから小麦粘土や折り紙を用いた工作に夢中だったと、母親の裕子さん(54)は振り返る。地域の小学校に進学すると、支援クラスの教員や放課後に通った学童保育の担当者らが制作活動に寄り添った。さまざまな粘土を試す機会をつくり、時には1日6時間に及ぶ制作を共に見守った。

幼い頃はコミュニケーションが難しく、裕子さんは戸惑うことも多かった。夕方になると長時間泣き続けることもあったという。しかし成長とともに落ち着き、作品を通じて人とのつながりが広がっていった。展示会では「すごい」「また見たい」と声を掛けられるようになり、それが創作の励みになった。

設営作業をする母・裕子さんをいたわる克希さん

裕子さんは「当時、頭の中は大好きな怪獣でいっぱいだったのだと思う」と話す。克希さんは2、3時間に一つほどのペースで、思い浮かんだ怪獣を次々と形にしていった。

小学6年の時、障害のある他の子どもたちと地元のホテルで初めて展示会を開催。さらに水戸市内の空き店舗を使った販売会やワークショップにも参加し、地域との交流が生まれた。裕子さんは「できるだけ地域の中で、いろいろな人と同じ場所にいてほしかった。障害のある子どもは外との接点が少なくなりがち。だからこそ作品を見てもらう場をつくりたかった」と語る。

映画制作が転機に

活動の大きな転機となったのが、自身も出演し、克希さんの作品をもとに制作された映画「欲望の怪獣」(2019年松本卓也監督)だ。母親がイベントで出会った人との縁から企画が動き、映画制作の中で克希さんがオリジナルキャラクターを考えるようになった。「そこから自分の世界を形にする力が強くなった」と裕子さん。上映会などを通じて、さらに人との出会いが広がったという。

人との交流を重ねる中で、徐々に会話などのコミュニケーションも増えていった。「人に興味を持ってもらえることはとても大きい。作品について意見を聞きたいなど、人との関わりにも意欲的になった」と裕子さん。

克希さんの作品の源は、戦隊ものや海外映画、人気アニメ「ONE PIECE(ワン ピース)」などのアニメやゲームの世界だ。特に仮面ライダーシリーズの敵怪人デザインを多数手掛けた韮沢靖氏は大きな目標の一人。怪人や恐竜、特撮のキャラクターなど、独自のデザインを粘土や絵を通して生み出していく。思いついた瞬間に制作に取りかかる。多い時は短時間で複数の作品を作ることもあるという。

会場に置かれるファイルには克希さんのアイディアが収められている

展示について克希さんは「デザインを見てほしい。作品を見た人から『かっこいい』『すごい』と言われるとうれしい」とし、「詳しい人が来たらアドバイスもほしい」と話す。将来については「なるべく認知されて、作品と自分のことをみんなに知ってほしい」と語った。出会いが増えたことについて尋ねると、「言い方が思いつかないんですが」と考えを巡らせながら、「うれしい気持ちです」と言葉を選んだ。

会場では完成作品だけでなく、キャラクターのアイデアやデザインのメモがぎっしりと詰まったスケッチブックも公開される。主催者でギャラリーの山中周子さんは「想像から次の創造へというタイトルに込めた思いとして、たくさんの作品とともに、よっちゃんの想像力が詰まっている制作過程がわかるスケッチブックの膨大なメモも含めて見てほしい」と話す。(柴田大輔)

◆松橋克希個展「イマジネーション クリエイト 想像から創造へ」は、つくば市千現1丁目23-4マイコーポ二の宮101、ギャラリーネオ/センシュウで、3月6日(金)から22日(日)まで開催。開館は金・土・日曜。開館時間は金曜は午後3~7時、土日は午後1~5時。入場無料。問い合わせは、メール(info@neotsukuba.com)でギャラリーへ。

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