土曜日, 4月 20, 2024
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救援用トロッコが車いす運ぶ TX異常時総合訓練を実施

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区)は21日、つくばみらい市筒戸の同社総合基地でTX異常時総合訓練を行った。同社社員やつくば市消防本部、常総広域消防本部など、関係機関の職員たち約180人が参加した。総合訓練の実施は今年を含め計13回目。 訓練は、同日午後1時21分ごろ、TX秋葉原駅発つくば駅行きの下り区間快速列車がATO(自動列車運転装置)で運転中、軌道に隣接する道路で交通事故が起き、トラックから鉄骨が軌道内に落下して架線と線路を損傷した、快速列車は非常ブレーキをかけたものの、線路内に落ちた鉄骨に衝突し列車は脱線、車いす利用者を含め複数の乗客に負傷者が出たーとの想定で行われた。 訓練では、乗務員や列車に乗り合わせた同社の社員たちが、乗客や自力で歩ける軽傷者を非常用ドアから軌道敷に下ろして、避難を誘導した。列車内にいる外国人乗客に対しては、避難を呼び掛ける日本語を英語などの外国語に翻訳する「多言語メガホン」を使って誘導した。事故現場に駆け付けた消防隊員たちが負傷者や重傷者を救出し、車いす利用客は車輪をレールに合わせた専用トロッコ「救援用搬送トロ」に乗せて運んだ。 救助活動が終了した後も、社員たちが鉄骨の撤去や切れた架線の修理、脱線した車両を線路に元通りに戻す復旧作業に取り組んだ。事故発生から約2時間で、列車は運転を再開した。 同社の中山登介安全総括部長(63)は「(異常時総合訓練の)『総合』という言葉が極めて重要」と述べた上で、社内の複数の部署や消防・警察など関係機関が連携して事故対応に当たる重要性を説明した。 TXは、列車乗務員が運転手1人のワンマン運転のため、「お客様が乗っているから乗務員がパニックになってはいけない。冷静な対応が必要」(中山部長)と改めて訓練の必要性を説いた。(崎山勝功)

東海第2「事故が起こればつくばにも被害」 再稼働反対で街頭宣伝

東海第2原子力発電所(東海村)の再稼働反対と廃炉を訴える各地の市民団体の連合体「東海第2原発いらない首都圏ネットワーク」が11日、つくば、土浦両市など県内6カ所を含む全国45カ所で一斉に街頭宣伝活動を行った。全国各地での統一行動は、同ネットワークが発足後初めて。 このうちつくば市では、脱原発を掲げる市民有志らで組織する同ネットワークつくば実行委員会の会員ら約20人が、同市吾妻のつくばセンター広場周辺で「声をあげよう 東海第2原発はいらない」「いのちこそ宝 原発は即廃炉に」の2種類の横断幕を掲げる「サイレントスタンディング」を行い、同原発運転差し止めを認めた今年3月の水戸地裁判決を解説したパンフレットを通行中の市民らに配布した。 当初はシール投票などのイベントも予定していたが「コロナ禍でもあり、できるだけ人と接触しない、サイレントでのスタンディングを」と今回の形式となった。 実行委員会の阿部眞庭代表(73)は「原発が再稼働するということは、何か事故が起きれば(原発)30キロ圏内だけでなく、つくばにも被害が及ぶ」と訴えた。福島第1原発事故での住民の被害状況を念頭に「東海第2で事故があれば、私たちも(福島の)二の舞になる。自分たちや子どもたち、孫たちにそんな思いをさせたくない」と述べた。 しかし、直接請求署名を8万6703筆(法定必要数の1.78倍)を集めて昨年6月の県議会に提出された「東海第2原子力発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例」案は賛成5、反対53で否決された。運転差し止めを認めた今年3月の水戸地裁判決に対しても、同原発を運営する日本原電が東京高裁に控訴して係争中と、脱原発を訴える声が広まりにくい現状にある。 原発再稼働問題については、賛成・反対派双方が同じ考えの人々だけで固まり、多くの人々に問題が共有されにくい現状を踏まえ、阿部代表は「無関心な人たちをどうやって『政治が自分たちの日常に深く関わっている』を知ってもらうことが必要」と無関心層に原発問題を含め政治に関心を持ってもらう必要性を説いた。(崎山勝功)

緊急事態宣言下、期日前投票始まる 知事選

任期満了に伴う知事選挙が19日に告示され、期日前投票が20日から始まった。コロナ禍の中、国の緊急事態宣言が出された中での選挙戦となる。 立候補しているのは、いずれも無所属で、2期目を目指す現職の大井川和彦氏(57)=自民、公明、国民民主推薦=と、新人で元茨城大学副学長の田中重博氏(74)=共産推薦=の2人。現職と新人の一騎打ちとなっている。感染拡大防止の観点から両陣営とも街頭演説を中止・縮小するとしており、動画配信などネットを駆使して政策を訴える。投票日は9月5日で、即日開票される。 20日、つくば市役所コミュニティ棟に設けられた期日前投票所には、入り口にアルコール消毒液が設置され、受付カウンターには飛沫(ひまつ)感染防止用の仕切り板が設置された。投票用紙記載台は、投票に来た有権者同士の間隔を空けた上で、定期的に消毒を実施する。記入に使う鉛筆も一人ひとり消毒し、感染防止対策を徹底する。 期日前投票に訪れた市内の女性(73)は「(感染を警戒し)本当は来るのが嫌だったけど(市役所に)用事があったのでついでに投票した」と話し、候補者に対しては「コロナ対策を頑張ってもらわないと人類滅亡になっちゃう。あとは住み良い環境を整備してほしい」と語った。 期日前投票所はつくば市内に計10カ所、土浦市内には計5カ所設けられている。 新型コロナウイルスに感染し、病院または宿泊・自宅療養を受けている有権者は、一定の要件を満たせば郵便で投票できる「特例郵便等投票制度」が設けられる。投票用紙一式を居住地の選挙管理委員会に請求することが必要。ただし投票締め切りは郵送の都合上、9月1日と設定されている。(崎山勝功) ◆大井川和彦氏の公式サイト http://k-oigawa.jp/◆田中重博氏の公式サイト https://www.shigehirotanaka.net/

居酒屋など続々休業告知 まん延防止重点措置、県内31日まで

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、国の「まん延防止重点措置」が8日からつくば、土浦市など茨城県内38市町村に対して適用された。適用期間は今月31日まで。 適用初日の8日、居酒屋やバーなど酒類を提供する飲食店が集まるつくば市天久保地区では、店頭に「臨時休業」の張り紙を出す店舗が目立った。店舗の中には、臨時休業を知らずに来た来店客のために、問い合わせ先の電話番号を貼り紙に明記する店舗もあった。 重点措置適用地域では飲食店に対して▽午後8時から午前5時までの営業自粛▽酒類の提供(利用客の店舗への持ち込み含む)は終日停止▽カラオケ設備の利用も終日停止―の要請が県から出されている。 「酒類提供の終日停止」は、居酒屋やバーなど酒類を主に提供する飲食店だけでなく、ラーメン店や焼き肉店、牛丼店など、全ての飲食店に適用される。このため、ビールなどを提供していたラーメン店では「8月31日まで酒類の提供を停止致します」との張り紙を出して対応した。 同地区の居酒屋の女性店主は「今日は日曜日だからいいけど、これからが心配。(売り上げが)どうなるか分からない」と不安を口にした。その上で「8月中は休みだと思っている。その間に業者を入れてお店の清掃をする。これからも頑張っていくしかない」と店舗の続への強い意思を語った。 土浦市桜町の飲食店の店頭にも、同様に「休業」の張り紙が出されていた。(崎山勝功)

土浦日大が霞ケ浦に逆転勝ち 常総は辛勝【高校野球’21】

第103回全国高校野球選手権茨城大会は20日、ベスト8を決める4回戦8試合が4球場で行われた。土浦・つくば勢は、土浦日大と霞ケ浦の強豪校同士が対戦、土浦日大が逆転勝ちをおさめた。常総学院は茨城キリストに逆転で辛勝した。両チームは22日の準々決勝で対戦する。一方、土浦三は水戸一に及ばなかった。 霞ケ浦の送球逸れ、土浦日大が本盗 J:COMスタジアム土浦の第1試合は、霞ケ浦対土浦日大という地元勢同士の対戦。土浦日大が2-1で逆転勝ちし、ベスト8へ駒を進めた。小菅勲監督は「夏の大会らしく厳しい試合が続いているが、選手も受け身にならず戦い、いい野球ができている」と手応えを語った。 序盤は霞ケ浦が優勢だった。3回表、大塚碧人がショートへの内野安打で出塁、2番でスタメン起用された本橋優太郎が左前打を放ち先制。土浦日大の先発・山田奏太をマウンドから引きずり下ろし、エース小谷野奨大を引っぱり出した。 しかし土浦日大が4回に逆転する。4番菅野樹紀の中前打と、5番大島優太朗の右中間への三塁打でまずは同点。霞ケ浦の山名健心投手によると、菅野にはチェンジアップ、大島には高めに浮いたカットボールと、どちらも追い込む前の変化球が狙われた。 「送って点にならないケースが2つあったので、大島には積極的に打たせてみた。見事期待に応えてくれた」と小菅監督。「直球を狙っていたが、甘めの抜け球が来たので、良いイメージで振れた」と大島。 気を取り直した山名は続く2人を打ち取るが、8番の大木莉生を四球で出し2死一・三塁。ここで大木が二盗を狙うと、日渡騰輝捕手の送球はバランスを崩し、大きく逸れてしまう。この間に三走・大島が本塁を陥れ、貴重な勝ち越し点を挙げた。 「捕手が投げた瞬間、高かったので行けると思った。本盗は実戦では初めてだが練習通りいった」と大島。「挟まれている間に突っ込めというサイン。まさか決勝点になるとは思わなかったが、思い切って動いてよかった」と小菅監督。 一方、霞ケ浦の髙橋祐二監督は「日渡は投げられる体勢になかったし、2死なのだから走らせてもよかった。長打を打たれても頑張って抑えていたのにもったいない。あの1点が大きかった」と、沈痛な表情。 その後は互いにチャンスを作りながら得点はならず。霞ケ浦にとって悔やまれるのは5回と9回のスクイズ失敗だ。5回は西村貫次朗と大塚の2安打で1死二・三塁、ここで深谷怜がバントをするがサインミスでランナーは走れず。9回は宮崎莉汰と日渡の2安打で1死一・三塁、西村は2球目をスクイズに出てファール、4球目は低めのボール球に手を出して内野フライ。 「西村にはもう1回スクイズでもよかった。押せ押せの状況なのに気持ちが追い込まれていた。もっとリラックスさせてあげられればよかった」と髙橋監督。「取れるところで取りきれず、最後に詰めの甘さが出てしまった。チームの伝統を壊す形になってしまい、先輩方に申し訳ない」と、新山秀男主将はうつむきがちに語った。(池田充雄・崎山勝功) 常総、ソロホームランで逆転 第2試合の常総学院は、茨城キリストに6-5で辛勝した。試合中、小さなミスから苦戦し、次戦に課題を残す試合運びとなった。 常総は1回裏に柴田将太郎が二塁打を放ち2点を先制したが、2回表に先発の時岡秀輔が茨キリ相手に四球を重ねて失投し、結果4失点のミス。「先発投手(時岡)は春の関東で投げているが、こういう一発勝負で投げるのは緊張していたと思う。3回くらいまで行く予定だったが早めに交代した」(田邊広大主将)。 次に登板した石川丈翔も1失点の上に暴投と安定を欠き、5回表に大川慈英の登板を待つまで、不安定な試合だった。 期待を背負って登板した大川は「マウンドに立ったとき負けていたので、流れを持ってこさせるピッチングをして最後に絶対勝ちたい、そういうピッチングができた。エースを任された以上、流れが相手の方に行っていたので引き寄せよう」との思いで、最終回まで無失点で投げ切きった。 打撃陣も4回裏に相手投手陣の死球続きによる敵失で1点を得た以外は振るわず湿りがち。7回裏に打席に立った三輪拓未は「前半3点を追う展開。やることは変わらない。1点ずつしっかり返していこう」と安打を放ち、常総打線はコツコツと安打を続けて同点に追いつく。 8回裏2死の場面で、三輪がツーアウトから単独本塁打を放ち6-5と逆転。「高めを狙って打て」との思いで初球高めを狙い、「自分の打席、つなぐ意識でボックスに立ち、結果的にホームラン」と安堵した様子。 反省材料が多かった試合を振り返り、島田直也監督は「最後まであきらめずにやったのは成長しているかなと思うけど、一つのミスは怖い。状況判断がなかなかできないのかな。補えるミスばかり。最後の夏ということなのでプレッシャーが大きいと思う」と、厳しい表情を見せた。田邊主将も「エラーも目立った。気の緩みがないよう締めていきたい」と、次戦への改善点を示した。(崎山勝功) 笠間市民球場第一試合は、土浦三が水戸一に敗れ、ベスト8はならなかった。

土浦三、5回コールド発進【高校野球’21】

第103回全国高校野球選手権茨城大会3日目の11日、3球場で1回戦6試合が行われた。J:COMスタジアム土浦では、序盤から打線が勢いづいた土浦三が14-1の大差を付けて玉造工に大勝した。大会は12日から2回戦に入り、常総学院など強豪校が登場する。 土浦三は1回に藤田寛大の三塁打を皮切りに打線が爆発。続く薄田匠篤が二塁打を放った上に、主将の田口雄大の三塁打などが続き、打順が一巡しても勢いが止まらず計8点を先取した。 土浦三が2回、3回と安定して得点を重ねる一方で、マウンドに立った前田隼利や土浦三守備陣が玉造工の打線を抑え、4回終了時までは14-0と無失点で試合が進んだ。 5回、玉造工に失点を許す場面があったものの大勢には影響なく、そのままコールド勝ちを収めた。 坂本佑真監督は「バッティングのチームなので、いい形で先制できた。うまく(流れに)乗ってくれた。(今回は)点数を取り過ぎたところはあるけど、(境との)次戦は細かいところまでしっかりとやって、一球一球集中してやってくれれば」と語った。 田口雄大主将は「初回を無失点で抑えた中で、初回の攻撃も走塁ミスやプレーミスも無く常に先の塁を狙ってプレーすることができたので、その結果初回に8点取ることができたのかな」と振り返った。 今回で初めて先発投手として登板した前田は、5回の失点について「前の回に最後のバッターだったので休憩ができずに体力を欠き、最後に球が浮き始めて捕まった。変化球が浮き気味だったので、変化球でカウントを取れるようにしていきたい」と次戦に向けての改善点を示した。(崎山勝功)

土浦一、つくば工科2回戦へ 高校野球県大会開幕

雨で順延となった第103回全国高校野球選手権茨城大会は9日開幕し、5球場で1回戦10試合が行われた。土浦・つくば勢は、土浦一が八千代を14⁻7の大差で破った。つくば工科は6ー5で岩瀬を下し、それぞれ2回戦に進出した。土浦二は勝田に敗れた。 土浦一、7失点ひっくり返し八千代に大勝 J:COMスタジアムの第1試合は、土浦一が序盤の7失点をひっくり返し、14-7の大差を付けて大勝した。 土浦一は1回表に先制点を決めたものの、1回裏に4失点で先発の橋口柊太から鶴町開に交代。だが2回裏に3失点で1-7と点差を広げられ、試合の流れは八千代優位に見えた。 3回以降はマウンドに立った鶴町や土浦一守備陣が八千代打線を抑える一方で、攻撃回ではコツコツと安打や盗塁を重ねて1点ずつ返し、5回表には松田瞬の二塁打を皮切りに土浦一打線が爆発。川井大輔の二塁打などが続いて一気に5点を獲得し8-7と逆転した。 7回表は花垣謙が三塁打、8回表は打席に立った鶴町が二塁打を放つなど土浦一打線は勢いを増し、14-7で8回コールド勝ちを収めた。 柴沼剛己監督は「今日の勝利は、去年思い切り野球が出来なかった代(の選手たち)を含めての勝利。3回終わった時点で2-7だったので『1点ずつ取っていけば追いつけるよ』と話し、それを本当に選手たちが(打線を)つなぐ意識でやってくれた。(投手の)鶴町が頑張る裏で3年生が一生懸命やってくれたので、3年生全員でもぎ取った勝利」と語った。 成田圭梧主将は「春(大会)負けてから『1イニング毎回1得点を取っていこう』と話し合っていたので、それが生きてきた。春の負けが今日の勝ちにつながった。あそこ(5回)で5点取れたのが大きかった」と振り返った。 勝利の立役者となった鶴町は「自分のやるべき仕事を全うできたと思う」と述べた上で、守備陣を含めた仲間に向けて「仲間への感謝の気持ちを忘れずに投げれた」と感謝の意を示した。(崎山勝功) 2年ぶりに観戦「母校応援 生きがい」 昨年は「茨城県独自の大会」となり無観客(選手や保護者のみ入場可)だったが、今年は各球場に2年ぶりに一般の観客が入った。この日土浦市は小雨が降ったり止んだりの不安定な天気。J:COMスタジアム土浦では第1試合の土浦一―八千代戦を熱心な高校野球ファンらが観戦した。 有観客での開催を行うにあたり「コロナ禍での大会」として特別態勢を取り、学校応援やブラスバンド演奏応援は禁止となった。一般の来場者は入り口前で検温に応じ、手指をアルコール消毒してから入場した。検温に当たったスタッフは「皆さん、協力的でスムーズに進んでいる。高校野球に付きものの応援団が無いけど、(野球が)できるだけでもありがたい」と話した。 「地域の母校を応援するのが先輩にとっての生きがい」という土浦一高OBの川島一男さん(78)=同市=は「毎年母校の応援だけは欠かさずに来ている」と語る。孫が土浦一高の野球部所属ということで「応援に熱が入る。こうやってグラウンドを眺めて子どもたちのすがすがしい姿を見ていると元気づけられる」と語り口に熱が入る。 三塁側の階段付近には焼きそばやソフトドリンクなどの売店が2年ぶりに出店し、来場者が購入する姿が見られた。男性店員は「夏は高校野球が無いと活気が出ない。皆が楽しみにしている」と話した。(崎山勝功) つくば工科、岩瀬に逆転勝ち 笠間市民球場の第1試合は、つくば工科が岩瀬に6-5の逆転勝ちを収めた。同点で迎えた8回裏2死一・二塁の場面、木村尚樹主将が殊勲の一打。ツーボールからの直球を「絶対返そう」という気持ちで中前へ運んだ。「どちらに転んでもおかしくないゲームを、選手たちが気持ちを出して粘り強く頑張ってくれた」と佐藤将光監督。 先発投手も務めた木村は「抜け球が多かった」と苦しい投球で5回までに5失点。だが打撃では逆転打を含む3安打の活躍で、2回には反撃の口火を切る三塁打も放った。「みんなが盛り上げてくれて気持ちが楽になり、初球から狙っていけた」と好調を語る一方、今日の勝因については「チームが心を一つにして、全員で守りきれた1勝だと思う」と振り返った。 「1年生のときは体も小さくひ弱だったが、実力が付いてくるにつれて向上心が出てきた。一人だけ残った3年生として苦労してチームをまとめ、引っ張ってきた」と、佐藤監督の木村評。今のチームがスタートした時は上級生は木村だけで、メンバーは9人揃わず、試合では助っ人を頼みながら戦ってきたという。 助っ人の一人がレフトの井上直弥だが、野球部へは出戻りという形になる。足のけがの悪化で野球部を辞め、回復後はハンドボール部で活動してきた。「チームに迷惑がかかると思って退部したが、みんなが頑張っている姿を見て、悔しさや申し訳ないという気持ちがあった。だが、もう一度やりたいと思っても、どういう顔をして戻ればいいのか分からなかった」という。 3年になってハンドボール部の活動を終えた後、「お願いだから戻ってきてくれ」と木村が声を掛けてくれたときは、思わず涙目になったそうだ。6月から本格的に合流すると、2人が中心になって朝練を始めるなど、夏の大会に向けて準備を進めてきた。 そうした思いが実を結んだのが9回表、この回を守りきれば勝利という場面。相手4番打者の打球が左中間に上がった。「もしこれを落としたら無死一・三塁。みんなのために抑えようと体が勝手に動いた」と井上がこれを好捕。絶体絶命のピンチの芽を摘んだ。 「自分はあきらめかけてしまうことが多いが、野球は何があるか分からない。できる限りのプレーを出しきりたい」と井上。今度は絶対にあきらめないという気持ちで次戦に臨むという。(池田充雄) 日立市民球場第2試合の土浦二⁻勝田は、土浦二が1ー9で勝田に敗れ、2回戦進出はなからなった。

県内の聖火リレー つくばでフィナーレ

4日、5日の2日間にわたり、県内16市町を176人でつないだ東京オリンピックの聖火が、県内最終地点であるTX研究学園駅前公園(つくば市学園南)でフィナーレを迎えた。 5日夕方、土浦市では、市内出身の柔道家で2009年世界選手権金メダリストの福見友子さんら13人が県立土浦一高前から土浦駅前の市役所までを走った。つくば市では、宇宙飛行士の毛利衛さん、野口聡一さんら21人が、ノバホール前からTX研究学園駅前公園までをリレーし聖火をつないだ。 同駅前公園では、各日の最終聖火ランナー到着時に開催される、聖火を聖火皿へ点火する式典が行われた。出発やゴール地点には大勢の市民が駆け付けた。 「コロナ禍の思いを炎に乗せて走った」 つくば市の第1走者を務めた宇宙飛行士の毛利衛さん(73)は「科学の街・つくばで第1走者を務めることを誇りに思う」とした上で、「コロナ禍で困っている人がたくさんいる中で、そうした人々の思いを炎に乗せて走った」と語った。今回の聖火は、歴史上初めて水素を燃料としたことに触れ「新しい科学技術が生まれるつくばの街で、クリーンな、新しい社会のシンボルとなる水素の聖火を灯せたのは誇らしく思う」と話し、「賛否両論ある中での開催ではあるが、オリンピックの成功が世界に勇気を与えられるのではと考えている」と話した。 つくば市の最終ランナー、加藤澤男さん(74)がTX研究学園駅前公園に入ると、到着を待つ市民が拍手で迎えた。筑波大学名誉教授の加藤さんは、1968年メキシコ大会、1972年ミュンヘン大会、1976年モントリオール大会、計3度のオリンピックで体操競技に出場し、日本最多記録である8個の金メダルを含む計12個のメダルを獲得した。 聖火リレーを見ようと会場を訪れた市内の櫻井芳則さん(52)は「いよいよ(オリンピックが)始まるなという感じですね。抽選で当選して、今日は仕事を早めに切り上げて家族と来ました」と感慨深げに話し、「中学校でテニスをする息子にとってもいい思い出になる」と話した。 聖火は明日6日から3日間にわたり埼玉県を、9日からは最終地となる東京都を走り、23日正午過ぎ、最終ゴール地点となる東京都庁前に到着する予定だ。開会式は同日夜8時から国立競技場で行われる。埼玉県では新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、「まん延防止等重点措置」対象区域の川口市、さいたま市で公道での聖火リレー中止が決定され、東京都は島しょ部を除く全日程で公道での実施を見送る方向で調整が進んでいると報道されている。(柴田大輔) 「五輪は中止」抗議行動、つくばでも つくば市では、オリンピック開催に抗議する市民らが、聖火リレー出発地点のノバホール前(同市吾妻)と、終着地点の研究学園駅前公園(同市学園南)でそれぞれプラカードを掲げるなど抗議活動を行った。 ノバホール前では、開始前の午後6時ごろから市民ら約10人が集まり、「五輪は中止」などと書かれたプラカードを掲げた。 抗議行動に参加した牛久市の福祉関係勤務の男性(48)は「元々オリンピックに反対だけど、コロナ禍が無ければこういうアピールはしなかった。東京では飲食店に営業自粛させているのにオリンピックをやるのはおかしい。オリンピックにお金を使うなら、飲食店の救済にお金を使ってほしい」と語った。 終着地点の研究学園駅前公園では、約20人が「オリンピック廃止」の横断幕などを掲げて抗議活動を行った。 つくば市の団体職員男性(62)は「コロナ対策と全く正反対なオリンピックをやってはいけない。心の中ではみんな反対していると思う。声を上げるべきではないか。日本だけでなく世界中が(コロナ禍で)苦しんでいる。(オリンピック開催は)人の道に反する」と話した。(崎山勝功)

90チームの組み合わせ決まる 高校野球茨城大会 7月8日開幕

7月8日に開幕する第103回全国高校野球選手権茨城大会(県高校野球連盟・朝日新聞社主催)の組み合わせ抽選が23日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館で行われ、参加90チーム(うち合同連合チーム4チーム)の組み合わせが決まった。決勝は7月26日。 シード校16校のうち、今年春の選抜高校野球全国大会に出場し、5月の春季関東地区高校野球県大会で優勝した常総学院はAグループ、2019年の第101回県大会で優勝し、昨年夏の県独自大会でベスト4入りした霞ケ浦はBグループ、土浦日大はCグループで出場する。 常総学院の田邊広大主将(3年)は「去年の3年生は甲子園が無いという中で代替試合で戦った。自分たちは甲子園がある。感謝の気持ちを忘れずに、去年の先輩たちの分もしっかり戦って、いい結果を報告できるよう頑張っていく」と決意を語った。 霞ケ浦の新山秀男主将(3年)は「去年の3年生の分まで、という気持ちが一番強い。甲子園に行きたくても去年の3年生たちは行けなかったので、自分たちが先輩の分まで甲子園に行けるようにと練習に取り組んできた。それが発揮できるようになればと思う」と意気込みを見せた。 学校応援やブラスバンド演奏 禁止 昨年は「県独自の大会」として無観客(選手や保護者のみ入場可)としたが、今大会は2年ぶりに観客を入れて開催する。ただし「コロナ禍での大会」として特別態勢を取る。 全出場校が一堂に会しての開会式は実施せず、代わりに「開始式」として、ノーブルホームスタジアム水戸(水戸市民球場)の開幕試合(茨城―神栖・茨城東連合チーム)開始前に主催者あいさつなどを行う。 感染拡大防止対策として、学校応援やブラスバンド演奏応援は禁止とする。組み合わせ抽選会前に行われた各出場校の顧問教員向け説明会で、出席した教員から「応援の練習をしてきた子どもたちに向けて説明がしたい」として、学校応援禁止に至った経緯の説明を求める声が上がった。 これに対し、県高野連の榎戸務専務理事は「茨城県の感染状況は(累計で)1万人を超えている。47都道府県で1万人を超えているのは13都道府県。関東に集中している」と述べた上で「声を出しての応援は禁止。ブラスバンドも飛沫感染になる」と述べ理解を求めた。 入場制限も実施し、県内5球場のうち3球場(ジェイコム土浦、ノーブルホームスタジアム水戸、ひたちなか市民)は観客数を約5000人に制限する。日立市民球場は約2000人、笠間市民球場は約1500人と、外野席を除く収容人数の50%に制限する。 入場券は当日券のみの販売で、一般客は入場料1000円(高校生以下は無料。高校生は学生証など必要)。(崎山勝功)

筑波大、流経大に完敗 2年ぶり茨城ダービー

第95回関東大学サッカーリーグ1部前期第6節の筑波大―流通経済大(流経大)戦、通称「茨城ダービー」が15日、千葉県東金市の東金アリーナ陸上競技場で行われ、筑波大は1-3で流経大に敗れた。コロナ禍により茨城ダービーの開催は2019年以来2年ぶり。 第95回関東大学サッカーリーグ1部前期第6節 5月15日 東金アリーナ陸上競技場筑波大1ー3流経大前半0-2後半1ー1 両校は、今月9日にひたちなか総合運動公園陸上競技場(ひたちなか市)で行われた天皇杯県代表決定戦の決勝戦で対決し、延長戦の末、筑波大が流経大に2-3で惜敗した。筑波大は雪辱を期して臨んだが、流経大に返り討ちに遭った格好となった。 筑波大は、前半6分に流経大DF佐久間駿希(4年)にシュートを決められ失点を許した。同35分にも流経大FW満田誠(4年)にシュートを決められ2失点。巻き返しを図ろうとするも得点を決められず0-2と流経大優勢のまま前半を折り返した。 ハーフタイムに交代した筑波大MF田村蒼生(1年)が後半17分に1点を決めて1-2に持ち込み、流経大に一矢報いたが、同21分に流経大FW齊藤聖七(3年)に3点目を決められた。 筑波大は最後まで奮闘するも、放ったシュートが流経大ゴールポストの上をかすめるなどチャンスをものにできない場面が散見され、流経大優勢の流れを変えるには至らず試合終了となった。 流経大は2019年の茨城国体で県代表チームに選手14人が参加し茨城県の優勝に貢献。有力選手を国体に出した影響で同年の関東大学リーグ1部で最下位(12位)となり、2020年は2部に降格した。しかし同年のリーグ2部で優勝を果たし、わずか1年で1部に復帰した。 「実力通りの差が出た」 筑波大の小井土正亮監督は「先週9日も流経大と天皇杯(県代表決定戦決勝)で対戦して延長戦まで行って負けてしまっているので、選手の中ではかなりリベンジを期するものがあり、メンタルでもやる気があった、戦術的にも特に困っているところがあった訳ではない。その中で負けたのは、実力として完敗。実力通りの差が出た」と振り返った。 一方、流経大の中野雄二監督は「ウチの学生はのびのびしていたと思う。筑波大の方が上手くいってないというか、早いうちから失点してしまった。中6日で『(流経大に)リベンジしたい』という強い気持ちで臨んだとは思うけど、前半6分の先制点が筑波大の気持ちを沈めたと思う。それくらい貴重な先制点だった」と勝因を話した。(崎山勝功)

新入生ら「筑波大に入ってよかった」 つくばの食料無料配布に240人

「筑波大に入ってよかった」。無料配布の食料を受け取った筑波大の新1年生たちから歓喜の声が上がった。つくば市天久保の松見公園で18日、食料の無料提供会(学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)主催)が開かれ、入学したばかりの筑波大学1年生をはじめ、大学生や家族連れなど約240人が食料を求めて集まった。 無料配布会の情報をツイッターで入手した新入生らは、入学後に新しくできた友人らと一緒に並び、米(1袋2キロ)やカップラーメン、レトルト食品などの保存食、ネギなどの生鮮野菜、日用品などを受け取った。新入生らは仲間内で「こんなにたくさんもらえた」「筑波大に入って良かった」など喜びあった。 食料無料配布会を告知する主催団体の公式ツイッターは在学生や新入生の間では広く共有されており、多くの大学生らが「ツイッターで(無料配布を)知った」と口をそろえた。会場では、生理用品への出費が負担となる「生理の貧困」に悩む女子学生に向けた無料配布も行われた。 特に他県からつくばに転入した新入生の間では、食料無料配布は非常に喜ばれた。栃木県出身の筑波大1年生男子(18)は「主食から何までもらえた」と感謝した。「来たばっかりなのでお金も大変。引っ越しにあたって家具も揃えないと」と、つくばでの新生活を始める際の経済的な負担を訴えた。 愛知県出身の筑波大1年生男子(18)は「入学したばかりなのでうれしい。愛知県だと(食料無料配布会が)中々ない。お米もいただけたので助かった」と語った。「こんなに(食料を)もらえるとは思ってなかった」という群馬県出身の筑波大1年生男子(18)はと驚きを隠せない様子。「もう少し生活が安定してゴールデンウイーク過ぎからアルバイトを始めようと思っていた」という。 主催団体によると、今回来られなかった大学生のために、19日午前11時と午後4時の2回に分けて、追加の食料配布(各回先着20人、要事前申し込み)を行い、5月にも同公園で食料無料配布会を再度実施する。 「市長も視察に来てほしい」 食料無料配布会は昨年12月6日から始まり今回で6回目。回を重ねるごとに市民有志からの寄付も集まっている。常総市内の会社経営者からコメ600キロが寄付されたほか、土浦市内で家庭菜園を営む市民からネギの寄付を受けたという。 一方で生活に困窮する大学生らは後を絶たず、主催団体では「18歳以上の市内在住の学生に現金か商品券を配布する」生活支援を求める陳情の署名活動を進めている。 主催団体代表の冨山香織さん(40)=同市天久保=は「市議会に請願を届けたいし、学生を連れて市長に面談して、生の声を直接届けたい」と五十嵐立青市長に、食料無料配布会の視察に来てほしい旨要望した。(崎山勝功)

雨の中、自転車担いで悪路を走る 土浦でシクロクロス競技

障壁などが設けられた荒れ地のコースをオフロード競技用自転車で走る「シクロクロス」の大会「2020-21茨城シクロクロス第3戦土浦ステージ」(茨城シクロクロスつくば事務局など主催)が21日、土浦市川口のりんりんポート土浦で開かれた。朝から雨が降りしきる中、県内外から参加の276人が悪戦苦闘のレースに挑んだ。 シクロクロスはオフロードを走る自転車競技の一種で、1周数キロの舗装・未舗装が入り混じる不整地のコースを周回する。 コースには柵などの人工の障壁が設けられ、必ず下車して自転車を担がなければならない部分が作られている。今回は荒れ地に加えて、周辺のアスファルト舗装路などもコースに組み込んだため、雨で滑りやすくなった路面に多くの参加者が苦しめられた。 競技種目は年齢・実力別に分かれて行われ、1周約2キロの特設コース(小学生向けは1周約1.5キロ)で周回レースを実施し、タイムを競った。 このうち中学生以上の女性が参加する「CL2+CL3の部」で優勝した福田咲絵選手は「全然ダメだった。不完全燃焼だった」と自身のレース展開に不満を見せながらも、「優勝してこんなに(賞品の)お米をたくさんもらえてうれしい」と喜んだ。 同大会は当初は今年1月24日に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い開催期日を延期。これまでは会場内に競技結果を貼り出していたが、密集を避けるために掲示を取り止めウェブ上で告知するなど、感染防止に配慮した。大会事務局の影山代表は「こういう事例が春や夏の(各地の)マラソン大会でも活かしてもらえればと思う。いつまでもコロナと言ってられない。健康を創り出すきっかけになれば」と自転車スポーツを通しての健康増進を呼び掛けた。(崎山勝功) ◆各部門の優勝者は次の通り。(敬称略)【男性・C1(19歳以上)の部】加藤健悟【同・C2(17歳以上)の部】吉田敬【同・C3(15歳以上)の部】水上央渉【同・C4(中学生以上)Aの部】竹内貴紀【同・C4(中学生以上)Bの部】小笠原拓也【同・CJ(17~18歳)の部】永野昇海【女性・CL1(17歳以上)の部】渡部春雅【同・CL2(中学生以上)+CL3(同)の部】福田咲絵【男性マスターズ(40歳以上)・CM1の部】生田目修【同・CM2の部】秋山純一【同・CM3の部】紫藤仁【U17(15~16歳)の部】室伏碧透【U15(13~14歳)の部】中仙道侑毅【WU15(15歳以下の女性)の部】石川七海【CK3(小学5~6年生)の部】松村拓弥【CK2(小学3~4年生)の部】馬島史弥【CK1(小学1~2年生)の部】阿部咲太朗

「10年経っても苦難は続いている」 福島県の被災者が3.11集会で訴え

【崎山勝功】東日本大震災と福島第1原発事故から丸10年を迎えた11日、脱原発と護憲を訴える「3.11から10年 さよなら原発! 守ろう憲法! 昼休み集会」がつくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれた。市民ら約100人が参加し、東海第2原発の再稼働反対や新型コロナウイルス対策の拡充などを訴えた。市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」と「安倍9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」の共催で行われた。 集会では、参加者らの1分間の黙とうの後に、原発事故被害者らで組織する「原発事故被害者相双の会」の国分富夫会長(75)=福島県相馬市在住=が発言し「もう(原発)事故から10年になった。人生の大半を使ってしまったような感じがする。10年経っても変わらない」と原発事故を振り返った。 その上で国分会長は「復興は(原発事故前の)元に戻ること。安心安全な社会に戻ること」とし、進まない生活再建や高齢被災者の孤独死などの問題を挙げて「今でも福島では苦難が続いている」と訴えた。 東海第2原発運転差し止め訴訟原告団の大石光伸共同代表は、今月18日に水戸地裁で判決が出される東海第2原発の運転差し止め訴訟について「福島の人がいまだにどういう状態にあるのか。原発を再稼働することが何をもたらすのかを考えて(裁判官は)判断してほしい」と語った。 集会では「運転開始から43年目を迎えた東海第2原発は周辺30キロメートル圏に94万人が住む危険な原発。94万人の住民にとって実効性のある広域避難計画など策定できないことは明らかで、新型コロナウイルス感染対策との両立は不可能」だとして、再稼働反対などを訴えるアピールを採択した。 同集会は震災後の2012年から毎年3月11日に行われ今回で9回目。例年は集会後、つくば駅周辺をデモ行進するが、今年も2年連続で新型コロナウイルス感染拡大の影響でデモ行進を取り止め、屋外集会のみの実施となった。 主催者代表の山本千秋さん(80)は「世の中から忘れゆく流れは否定しようがないけど、あえて(原発事故を)忘れないように集会を開きながら皆さんに訴えていく」と述べた。(2ページに続く) つくば市役所などで半旗掲揚、黙とう この日は東日本大震災と福島第1原発事故から丸10年とあって、官公庁や一部企業などで、震災犠牲者を追悼する半旗が掲げられた。 このうち半旗を掲げたつくば市役所では、地震発生時刻の午後2時46分に合わせ、来庁者や手の空いた職員に対して1分間の黙とうを呼び掛ける庁内放送が流れ、職員や来庁者らが応じていた。 震災当時は筑波大生だった市職員男性(31)は「毎年この時期になると、停電とか断水とかいろいろあったのを思い出す」と10年前を振り返った。

「学用品 用意できるか不安」ひとり親家庭から声相次ぐ 土浦食料配布会

【崎山勝功】コロナ禍で生活に困窮するひとり親家庭や学生などを支援しようと、土浦市内で6日、2回目の食料配布会が開かれた。ひとり親家庭の声を拾った。 市民団体「コロナに負けるな!つちうら食料支援プロジェクト」が同市中村南の三中地区公民館駐車場で開いた。「第2回学生・ひとり親支援 食料・日用品無料配布会」には親子連れなど約50人が集まった。 土浦市内の接客業女性(32)は、小学4年(10)と2歳の男の子(2)を連れて来場し、コメや日用品などを受け取った。コロナ禍による営業自粛の影響で収入が減少した女性は「子どもが4月から新学期を迎えるので、学用品を新たに用意できるか不安」と訴えた。 別の女性(33)は、5年前に感染症の後遺症で働けなくなった。中学1年の男子(13)を筆頭に小学生、保育園児など6人の子どもを抱え、市内の借家で生活保護を受けながら計7人で生活している。子どもたちが成長期のため「食費や光熱費の出費が大変」と話す。女性は運転免許証を持っていないためなかなか就職できないという。 40代後半の介護職員女性は、仕事で腰を痛め昨年から休職している。収入は休職前より約4割減少した。息子(20)と小学6年の娘(12)がおり「娘がいるので、お米や生理用品などの消耗品がもらえて助かった」と話した。 市内の自営業女性(65)は「リラクゼーションの店を経営しているが、(県独自の緊急事態宣言などで)収入がほぼゼロだった」。女性は持続化給付金を申請したが、光熱費など固定費の出費が大きく、減収分を補うには至っていない。 「近所のおばちゃんから(無料配布会の)チラシをもらった」という事務職女性(40)は「収入は減ってない」としながらも、昨年3月から5月の休校期間中は子どもの食費の出費がかかったと言い、「お米や野菜、生理用品をもらえるのがありがたい」と語った。 ボランティアスタッフの1人は「以前から生活に困窮していたひとり親家庭世帯などが、コロナ禍を契機にさらに困窮するようになっている」と解説する。 会場で食料無料配布のボランティアをしていた、つくば国際大学4年の女子学生(23)は、前回の配布会で野菜など食料品を受け取った。女子学生は「自分が(食料を)もらったのを還元していきたいと思った」と、恩を返す気持ちで参加をしたと話した。 配布会を主催する同プロジェクトの長坂法子さん(74)は、前回の参加者から人づてに紹介され来場した人がいる例を挙げ「必要としている人たちがいれば応えていきたい」と、今後も継続して開催できるか検討する考えを示した。 ◆14日につくばで「子育て応援フードパントリー」 つくば市内で子育て家庭などを支援する「つくば子ども支援ネット」は、14日午前11時から午後4時までの間、食料品などを無料で配布する「子育て応援フードパントリー」を実施する。事前申し込み制で、配布会場は申込者に連絡する。先着80世帯。申し込み方法は、つくば子ども支援ネットのLINE公式アカウントを友だち追加して、トークで「314」と氏名を送信する。または事務局電話(070-4451-6328)でも受け付けている。詳しくは「つくば子ども支援ネット」公式サイトまで。

イオン土浦でワクチン集団接種訓練 民間会場は県内初

【崎山勝功】65歳以上の高齢者や基礎疾患がある市民に、新型コロナウイルスワクチンを集団接種する訓練を、土浦市は5日、同市上高津の商業施設、イオンモール土浦2階クリニックエリアで実施した。市職員や市医師会関係者ら約60人が参加した。市コロナワクチン接種チームによると、民間施設を使ってワクチンを集団接種するのは県内初という。 訓練では、接種を受ける役の参加者が、係員の指示に従って検温してから受け付けを済ませ、予診票に記入、医師による予診の後、ワクチン接種を受ける訓練をした。さらに接種済証の交付、2回目の接種予約、接種後の経過観察と、一連の訓練を実施し、どれだけの時間がかかるかなどを測定しながら問題点を洗い出していった。 受け付けを済ませてから接種まで約8分、接種後の経過観察終了までを含めると合計約26分かかり、順番が後になればなるほど時間がかかる傾向が見られた。 市担当者は「接種後の経過観察のところが一番時間がかかってしまった」と話し、予診待機場所と接種後の経過観察場所が混雑する傾向があり、運用面での改善を検討する考えを示した。 訓練には安藤真理子市長も被接種者として参加し、検温から接種までの一連の流れを確認した。安藤市長は「意外なところで時間がかかることが分かった。問題点を洗い出せた」と、訓練を評価した。 同市の65歳以上の高齢者は4万1022人(1月1日現在)で、同商業施設と市保健センター(同市下高津)の2カ所が集団接種会場となる。さらに市内約70カ所の協力医療機関でも個別接種できる対応をとる。 接種のスケジュールは、4月12日以降に国からワクチンが配送され次第、順次対応していく。接種に必要な「接種券」の配布も国次第となる。 同市は今月22日からワクチン接種の問い合わせ窓口となるコールセンターを開設する予定。市内在住の外国人にも対応できるよう、英語と中国語でも対応する。 買い物客との交錯課題 イオンモール土浦は、交通の便が良く、駐車場も広く、市民が訪れやすい半面、接種を受ける人と買い物客とが交錯するなど混雑する恐れも指摘される。イオンモール土浦の担当者は「どうソーシャルディスタンスを取るかが課題」とする。 同市が接種会場の一つを商業施設にしたのは、霞ケ浦水郷体育館やクラフトホール土浦(土浦市民会館)などの「空きが無かった」(同市担当者)という事情があるという。 今回の訓練では実施されなったが、接種後、副反応を起こす人が発生した場合の対処については、車で5分の距離にある霞ケ浦医療センターが協力する。会場にはストレッチャーも用意する。 一方、接種に必要な接種券を紛失したり、事前予約制にも関わらず予約無しに訪れる人がいることも想定されることから「今後は検討していかないといけない」としている。

食料求める長蛇の列に支援情報提供 つくばの無料配布会

【崎山勝功】生活に困窮する大学生やひとり親家庭などを応援する食料の無料配布会が21日、つくば市天久保の松見公園で開かれた。昨年12月から始まり今回で4回目、回を重ねるごとに食料を求める参加者が増え、コロナ禍に伴う困窮の度が極まってきた。主催の学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)は、会場内に相談コーナーを開設、各種支援制度の情報を提供するなどした。 午前11時の配布開始前から、学生や子ども連れを中心に長蛇の列ができ、正午過ぎまで途切れることなく約270人が訪れ食料を受け取った。主催団体によると「途中で帰った人を含めると、実際には400人近く並んだ」という。 相談コーナーは、前回の無料配布会で学生たちから「休業支援金を受け取っていない」という声が相次いだことから開設した。新型コロナによる時短営業で勤務時間を減らされた場合、アルバイトや派遣労働にも休業手当ては支給されるが、制度の周知不足は顕著だった。会場内には休業支援金・給付金の申請用紙を設置。休業支援金や大学等修学支援制度、緊急小口資金などを紹介するチラシ作成し配布した。 飲食店でアルバイトをしている筑波大の女子学生(1年)は「部活動をしているため、(午後8時までの)時短営業の影響を受けてバイトに入れる時間が減った」という。時短営業前は、部活動と時間が重ならないように時間を調整してアルバイトをしていた。また「部活動以外がオンラインのため、部活外でのつながりができない」と人間関係での悩みも抱えている。 「足のケガで膝に水が溜まっている」という男子学生の一人は、「アルバイトのシフトを減らされ、お金が足りない。そのためMRIなどによるケガの精密検査を受けられない」という。 会場には外国人も姿を見せ、ボランティアスタッフらが英語で対応に当たった。男子留学生は、奨学金や親からの仕送りで生活しているが、「母国で仕事に就けたら退学も考えている」と退学を視野に入れている。 ツイッターで配布会を知った、つくば市内の会社員女性(47)は、中学1年生の男子(13)と一緒に食料を受け取りに来た。女性は「勤務時間が減って残業が無くなった分収入が減った。食料があると助かる」と感謝していた。 同団体の冨山香織代表(39)は「(配布会を)やればやるほど切実な声が出てくる。学生さんが孤立しているので、少しでも豊かになってくれれば」と語った。 会場で食料配布ボランティアに従事した高校3年生男子(18)は「コロナ(感染)が始まって1年経つのに、未だに大変な人がいると身に染みて感じた」と話した。高校生は4月から大学に進学するが「せっかく大学に入ったのに、リモート授業ばかりで直接授業を受けられないのが不安」と不安をのぞかせた。 ◆土浦でも3月6日に食料配布会 コロナ禍で生活が困窮している大学生やひとり親家庭の生活支援のため、3月6日午前10時から土浦市中村南の三中地区公民館駐車場で「学生・ひとり親支援 食料・日用品無料配布会」が行われる。昨年12月26日に同市東真鍋で開催したのに続き2回目。 主催する「コロナに負けるな!つちうら食料支援プロジェクト」の担当者によると「荒川沖方面にも困っている人がいる」として、今回は同公民館での開催となった。前回は、ひとり親家庭など約50人が来場し、食料を受け取ったという。 配布会の会場では、食料や日用品を無料で配布するほか、生活に困窮するひとり親家庭を念頭に、生活や労働、子育て、介護などの無料相談会も開く。 問い合わせは、事務局の土浦母親大会連絡会(電話029-824-8949)。

チビっ子炭治郎ら鬼退治 つくばの雷神様でコロナ退散願う

【崎山勝功】新型コロナウイルスの収束を願い、つくば市上郷の金村別雷(かなむらわけいかづち)神社で11日、節分祭が催された。邪気を払い、疫病退散にパワーを持つ祭神をまつることから、境内には人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターに扮した参拝客が多数参集、一風変わった「鬼は外」が展開された。 暦の節分から9日遅れての節分祭には、市内外から約150人が参加した。所雅彦宮司(60)が感染症の収束を願う祝詞(のりと)を奏上し、コロナ禍以前の生活に戻るよう祈願した。現在のコロナ禍や2011年の東日本大震災を念頭に、「歴史は繰り返すので、雷神様の故事にならって『コロナ禍が収束していい暮らしになる』よう願う神事にした」という。 雷神様は神社の祭神の別雷大神(わけいかづち)のこと。雷を支配する神で、雷除けや疱瘡(ほうそう、天然痘のこと)治癒の神としても信仰されている。 節分祭の運営に協力した上郷市街地活性化協議会によると、雷神様はとどろき渡る雷鳴のようなことば「霹靂一聲(へきれきいっせい)」で邪気を払うのだそうだ。これをアニメの登場人物、我妻善逸(あがつまぜんいつ)の必殺技「壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)」に引っかけて、同アニメのコスチュームでの参加をSNS上で呼び掛けたという。 すると、アニメの主人公、竈門炭治郎(かまどたんじろう)や嘴平伊之助(はしびらいのすけ)の扮装をした子供たちを中心に参加者が集まった。つくば市上郷の坂入恭輔さん(33)は冨岡義勇に扮して参加。「少ないかなと思ったけど、来てみたらけっこう多くの人がいた。皆さんの息抜きになっていいのではないか」と語った。 境内では地元バンド「ケンニイバンド」らがアニメの登場人物に扮して、アニメ主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」を演奏。登場人物に扮した子どもたちが「コロナは外」の掛け声に合わせて豆まきをした。つくば市の三谷心奈美さん(11)は「楽しかった」と鬼退治に興じた。 金村別雷神社は931(承平元)年の創建と伝わる。1707(宝永4)年ごろに天然痘ウイルスの流行や富士山噴火、宝永の大地震など自然災害が相次ぎ、翌1708年に災害収束を祈願して同神社の本殿を再建したという。こけら葺きの本殿などが県指定有形文化財(建造物)になっている。

厳戒のつくば市、閑散の土浦市 成人式集中開催日の両市ルポ 

【崎山勝功】県内の成人式集中開催日の10日、中止を決めたつくば市では、会場のつくばカピオ(同市竹園)と隣接する大清水公園に多数の警備員や市職員が配置され、警察官らが巡回するなど警戒に当たった。カピオ周辺にはバリケードが設置され、警備員が等間隔で配置に着いた。警備員の一人は「来た人に『成人式は中止です』と伝えることと、あの建物(つくばカピオ)に人を近づけないことが任務」と説明した。 警備について、市の担当者は「会場前や公園で酒盛りをしたり、騒ぎを起こして近隣の住民に迷惑を掛けたり、(新型コロナウイルスの)感染拡大につながっては困る」と説明する。土浦市の2019年成人式で一部新成人が会場敷地内に一斗樽(いっとだる)などの酒類を持ち込んだ事例などが念頭にあるという。 つくば市では、2017年成人式で逮捕者を出して以降、18年から手荷物検査をはじめ警察官を大量動員したのを皮切りに、19年からは暴走族の車両侵入を防ぐために会場前の道路を封鎖、20年には暴走族対策としてビデオカメラの導入、式典終了後に出口付近をロープで規制して大清水公園まで誘導する措置を取るなど、年々警備が厳重化していた。 昨年まで会場周辺の道路で見られた、新成人の名前入りののぼり旗を掲げた暴走族の姿は見られず、平穏とも言える状態だった。 暖かくなってきた午後には、晴れ着姿の新成人たちが約20人前後姿を見せ、会場周辺で記念撮影をしていた。話を聞くと、成人式の中止は「仕方ない」としながらも、「無くなって悲しい」「一生に一回しか無いから残念」などつくば市への不満が相次いだ。 市内の女子大学生(20)は「正しい判断だったと思う。ただ土浦市みたいに延期とか、(将来への)望みが欲しかった」との感想も。自らの将来の希望については胸を張っていけるような職業に就きたい」と語った。 市民会館には「延期」の張り紙のみ 成人式延期を決めた土浦市では、会場のクラフトシビックホール(土浦市民会館、同市真鍋新町)に「土浦市成人式は延期となりました」の張り紙が貼られていた。 つくば市と異なり土浦市の会場では警備員や警察官を動員した物々しい警備は一切敷かれず、駐車場にチェーンが掛かっている程度だった。市職員の一人は「午前中に写真を撮りに来た若者が一組いるぐらいだった」というほど会場は閑散としていた。 会場周辺には晴れ着やスーツ姿の新成人はほとんど見られず、新成人の後輩らが「先輩の成人を祝福する」と生花や新成人の名前を書いたのぼりを会場敷地内に持ち込む行為も確認できなかった。

土浦市、成人式開催を延期 県の感染拡大市町村に追加指定

【崎山勝功】土浦市は6日、10日開催予定の成人式の延期を決定した。開催時期は現時点では未定。県は同日、土浦市を「感染拡大市町村」に追加指定している。 市文化生涯学習課によると、当初は新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じ、動画配信を組み合わせて実施する予定だった。しかし感染拡大が進み、東京都など首都圏1都3県を対象にした緊急事態宣言が今週中に発出の方針が示されたこと、若い世代に無症状の感染事例が多発していることなどから延期を判断したという。 開催の中止ではなく延期としたのは、新成人で構成する成人式運営委員と個別に行った電話協議による。担当者によれば「中止はちょっと…という声が多く、どこかの時期で(成人式を)やりたい」が大勢だったことから、意向を汲んだ形になった。 開催時期は未定 延期後の開催時期についても運営委員と協議しながら検討する構え。担当者は、6日からの1週間は県から土浦市民に向けてに不要不急の外出自粛要請が出されていることから「いつごろ会議ができるかも未定」としている。 延期の知らせは即日、市公式サイトや報道機関を通じ発表したが、すでに成人式の招待状を出した新成人1491人(2020年11月1日現在)への連絡については「今からだと個別通知が間に合わない」と同課。10日は会場のクラフトシビックホール(土浦市民会館)に「開催延期」の看板を掲示したり職員を配置して、成人式延期を知らずに来た新成人に対応する方向で検討している。 また、運営委員が同窓会の幹事を兼ねているケースがあり、運営委員のネットワークを通じてSNSなどによる開催延期の連絡をしているという。 市内全域に外出自粛と時短営業を要請 県は6日、国の指標であるステージ3以上に相当するとして、新型コロナウイルス感染拡大市町村に土浦市を追加指定したと発表した。県全体では常総、結城、ひたちなか、稲敷市、城里、阿見町の計6市町がすでに指定されている。 追加指定により、同市全域を対象に6日から12日まで1週間、不要不急の外出自粛と、飲食店の夜10時から朝5時までの営業自粛が要請された。時短営業要請は桜町だけでなく、市内全域の酒類を提供する飲食店と接待を伴う飲食店が対象となる。協力店に1週間で26万円の協力金が支給される。 また12日までの期間中、中学校地区公民館8館など市の施設の貸館業務を休止し、国民宿舎「水郷」霞浦の湯や市が運営する老人福祉センターを休館・休止する。  

呉服店「死活問題」にも つくば市成人式中止の余波

【崎山勝功】つくば市が4日、成人式「つくば市成人の集い」の中止を決めたのを受けて、振袖を販売する呉服店や着物レンタル店など成人式関連の業界は対応に追われている。 呉服店「大徳」(土浦市中央)の担当者は5日、「今日知ったばかりなので、お客さんの方に確認を取る」とつくば市の成人式開催中止に戸惑った様子だった。振袖着物専門店「Kimono21舞んyodonawa」(つくば市二の宮)の担当者は「ゆうべの今朝なので、そんなにキャンセルは出ていない。ただ検討している方はいるかもしれない」と不安げな表情。その上で「(中止は)心が痛くてしょうがない。ご家族でも『(振袖を)着せてあげたい』という気持ちの方もいらっしゃる」と心境を語った。 着物販売やレンタル、着付けなどを扱う「蜻蛉(とんぼ)屋」(牛久市中央)の中島淳子代表は「1件つくばの人から、小物のみのレンタルのキャンセルが出た」と明かした。中島代表によると、呉服店は年間売り上げの約70%が成人式によるもので、残りの約30%は卒業式やその他冠婚葬祭での利用。「ただでさえ着物業界はコロナの影響で着物が全く売れないが、呉服店は声を上げる場が無い。私たちは成人式が無いと死活問題」と和服業界の苦境を訴えた。 全国チェーンの着物販売・レンタル店「いつ和つくば店」(つくば市小野崎)の担当者は「延期かなとは思っていたが中止とは思ってなかった」と戸惑いを見せた。同店では成人式前に振袖をレンタルして事前に写真撮影をする「前撮り」の利用がほとんどで、現時点では「キャンセルはほとんどいない」という。しかしつくば市での成人式中止を受けて「半年以内に着付けの機会を設けようとは思っている」としている。 同店では成人式当日の10日に備えて多くの着付け師の手配をしていた。同店は近隣のつくばみらい市や桜川市からも利用客が来るが、つくば市の成人式中止で成人式当日の着付け利用は「当初の予定よりも減るかもしれない」と予想する。 成人式の中止連絡体制敷く つくば市は、成人式中止を知らずにいる新成人の来場に備え「当日会場のつくばカピオに職員を配置する」(市生涯学習推進課)などの連絡体制を整えた。同市では、新成人向けの案内状に当初から「1月4日に最終判断をする」と明記し、市公式ホームページを必ず確認するよう呼び掛けていたという。 また、新成人で組織する実行委員会が通信アプリ「LINE(ライン)」を使い、中学校区ごとに連絡体制を敷き、開催中止が確実に伝わるよう徹底を図っているという。

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