金曜日, 11月 22, 2024
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5年ぶり ライブや模擬店も 学園祭「KVA祭」19日開催 日本国際学園大

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KVA祭実行委員と学友会のメンバー。左から小林亮太さん、野口千咲さん、菊地大輔さん、石嶋萌夏さん、大和田廉さん、柴田心歩さん、日高悠希さん=つくば市吾妻、日本国際学園大学
日本国際学園大学(旧筑波学院大学、つくば市吾妻、橋本綱夫学長)の学園祭「KVA祭」(大和田廉実行委員長)が19日開催される。大学の名称が日本国際学園大学に変わって初めての学園祭となる。コロナ禍で開催できなかった軽音サークルのライブや、学生による模擬店での飲食物販売を5年ぶりに開催する。

学生団体、学友会の会長で経営情報学部ビジネスデザイン学科4年の日高悠希さんは「学生が模擬店で食べ物を売るのはコロナ明けとなって初めて。そういった意味でも大変重要な意味がある学園祭になる。今年のKVA祭で本来の形を取り戻したい」と話す。

無駄な出会いはない

今年のテーマは「どのような出会いも無駄にはならない」という意味の「No Encounter is Ever Waste(ノー・エンカウンター・イズ・エバー・ウェイスト」。実行委員長の3年 大和田さんは「新たな世代の融合と、新しい大学名に変わった思いから付けた」とし「コロナ禍でサークルの引き継ぎがうまくいかなかったという苦労もあった」と思いを語る。

KVA祭の横断幕を、市内の大通りに架かる陸橋などに掲示してPRしている。横断幕は、実行委員で模擬店を担当する3年 菊地大輔さんと、広報を担当する2年 柴田心歩さんがデザインした。柴田さんは特設サイトでのPRも担当する。「先輩がデザインで関わっているのを見て、自分もできることはないかと実行委員会への参加を決めた」と話す。

KVA祭の横断幕デザイン

国際色豊か

模擬店は、留学生が多い同大ならではの国際色豊かな点が特徴だ。スリランカ人留学生らは母国のスパイスを利かせたフライドポテトを販売する。中国人留学生らは模擬店で、茶道や折り紙を体験できる「三銃士茶道折り紙屋台」を出店する。ほかに学友会が芋煮会を開いて販売する。

模擬店を担当する菊地さんは、食品を調理して販売するため保健所とのやりとりなどの準備で多忙な日々を送っていると話す。

外部からキッチンカーも出店し、ケバブ、クレープ、焼きそば、から揚げなどを販売する。キッチンカーを担当するのは実行委員の3年 野口千咲さんによると、アリーズケバブの店長は、同校の卒業生だという。

大教室では、お笑い芸人を招いたライブが午後0時30分から開催される。ほかに軽音サークルのライブが同会場で催され、学生バンド2グループが出演する。ギターの弾き語りやピアノ演奏なども予定されている。

お笑い芸人を呼ぶメーンイベントの運営は3年 石嶋萌夏さんが担当する。軽音サークルのライブ開催を担当する実行委員会副会長で2年の小林亮太さんは「私自身軽音サークルの部長であり、軽音ライブは5年ぶりなのでうれしい。成功させたい」と意気込みを語る。

実行委員長の大和田さんは「模擬店も出るので盛り上がったらうれしい。多くの人にご来校いただき、1日楽しんでいただきたい」と語る。(伊藤悦子)

◆KVA祭特設WEBサイトは、日本国際学園大学KVA祭2024 (craft-student.org)へ。

一服の清涼感感じて つくば駅前商業施設に大型タペストリー展示

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2日から展示が始まった関口千奈さんの大型タペストリー「夏の風物詩」。手前は優秀賞と奨励賞を受賞した日本国際学園大学の学生=トナリエMOG1階通路脇のプラザ・パフォーマンス・ギャラリー

日本国際学園大の学生がデザイン

涼しさを演出しようと、日本国際学園大学(つくば市吾妻)の学生がデザインした幅6メートル、高さ2.7メートルの大型タペストリーの展示が2日から、つくば駅前のトナリエMOG(モグ)1階プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで始まった。

つくば都市交通センターと同大が10年前の2015年から連携して実施している取り組みで、両者による「タペストリーアートコンペティション」で優秀賞を受賞した2作品を9月13日まで交互に展示する。

2日から23日まで展示されるのは同大経営情報学部ビジネスデザイン学科1年、関口千奈さん(18)の「夏の風物詩」。夏を彩るアジサイ、スイカ、アサガオ、星空、かき氷の五つが、風鈴の鐘と短冊の形にそれぞれデザインされ、淡い青、水色、緑、オレンジ、ピンクの配色で描かれている。関口さんは「タペストリーの揺れから風鈴の揺れを連想して描いた」と話す。絵を描くのが好きで小さい頃からよく描いていた。今回初めてデザインの制作に挑戦し優秀賞に輝いた。

23日から9月13日まで展示されるのは同大同学科4年、矢治竜乃介さん(21)の「夢の蒼幻舞(そうげんぶ)。澄んだ青い海と空を舞台に、少女が夢の中で、空を泳ぐクジラやイルカ、カメ、マンタ、クラゲなどと一緒に踊る様子が描かれている。矢治さんは「見てくれる方が涼しさを感じてくれれば」と話す。卒業後は映像クリエーターとしてゲーム会社に就職することが決まっている。

8月23日から展示される矢治竜乃介さんの「夢の蒼幻舞」イメージ図
同大の学生6人から応募があり、関口さんと矢治さんの2作品が優秀賞、同大2年の柴田心歩さん(19)と4年の菊地祥真さん(22)の2作品が奨励賞に選ばれた。

コンペの審査委員長を務めた都市交通センターの関俊介理事長は「コンペは10回目となり、力作がそろった。買い物をする方、駐車場を利用する方、駅を利用する方が通る通路沿いに展示するので、ご覧になった方が一服の清涼感を感じると確信している」と述べ、「出来栄えがいいので他の駐車場にも展示できないかと考えている」などと話した。

同大の高嶋啓教授は「発想力や色のバランス、カラフルさなど、展示する場所に合う作品が選ばれている。クオリティーが高く、夏にふさわしい迫力ある作品になっている」と今年の受賞作品に対する評価を語る。

つくば都市交通センターの関俊介理事長(左端)から優秀賞の授与を受けた関口千奈さん(左から3人目)、矢治竜乃介さん(同4人目)、奨励賞を受けた柴田心歩さん(同2人目)、菊地祥真さん(同5人目)と、日本国際学園大学の高嶋啓教授(右端)


つくば市に住む娘の家族と駅前の商業施設に買い物に訪れた埼玉県に住む会社員、畠野智美さん(57)は、展示が始まった大型タペストリーについて「清涼感があってすてきだと思う」と話していた。

杜の都と学園都市を結ぶ 日本国際学園大の橋本学長【キーパーソン】

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橋本綱夫 日本国際学園大学理事長・学長

つくば駅から徒歩7分の一等地にある筑波学院大学(つくば市吾妻)が、4月から「日本国際学園大学」に名称を変更し、新たな開学を迎えた。学びの場も「杜(もり)の都」仙台と「学園都市」つくばの2キャンパス制になった。同時に、理事長を務めていた橋本綱夫さんが新大学の学長も兼務する。新名称+学長兼務+2キャンパスの狙いは何なのか、橋本学長に聞いた。

日本発の国際的人材を育てる

「新大学の名称は、一言でいえば日本発の国際的人材を育てたいということ。自分の国、日本の文化を知ることが国際化の第一歩という意味合いも込めた。当然、外国からの留学生がたくさん来てほしいという思いもある」

「小規模な大学の場合、学長が理事長になるケースが多い。この5年半、理事長だったが、学長候補者選考委員会の推薦を受けて検討した。学長を兼ねることで教育と経営の一体性を図ることができ、大学経営のスピード感も高められる。理事長を引き受けてからの変革期が終わったので、学長を兼務することが可能と判断した」

仙台市で専門学校も運営する橋本学長は2018年秋、東京家政学院大学の姉妹校・筑波学院大が1法人1大学体制となるに当たり、理事長に就任した。この5年半、大学再生の仕事にコロナ禍による留学生減が重なり、経営はハードだったようだ。これまでが大学再生の第Ⅰ期とすれば、大学名称変更及び新大学開学は第Ⅱ期への移行宣言ともいえる。

2キャンパス活用は来年から

日本国際学園大学・つくばキャンパス

名称変更・新大学開学に合わせ、大学はつくば市内と仙台市内の2キャンパス制になる。仙台キャンパス(仙台市青葉区)は仙台駅から徒歩10分の専門学校(外語系とホテル系)の建物を使う。

「仙台での授業は来年4月からになる。今の時代、(ネットを使うなど)学びの地理的なハードルは低くなっている。うちでは、今年はつくば、来年は仙台といった形で学べる。今年度入学生は、1年時はつくばキャンパス、2年以降はコースによって両キャンパスに分ける」

1学部1学科(経営情報学部ビジネスデザイン学科)の学園大には、①国際教養②英語コミュニケーション③現代ビジネス④国際エアライン⑤国際ホテル⑥公務員⑦AI・情報⑧コンテンツデザイン⑨日本文化・ビジネス(対象は留学生)のモデル(コース)があり、この9コース構成は筑波学院大と専門学校の特性が生かされている。

来年度は200人定員充足へ

大学再生の最大の課題は「定員200人」の確保になる。今年度は126人(うち留学生は40人)にとどまったが、「来年度は仙台キャンパスが本格的に稼働することもあり、定員を充足できると思う。知名度では大規模大学に及ばないが、入学希望者にはキャンパスに足を運んでもらい、大学の良さを知ってもらいたい」と語る。

また、専門学校を大学に統合する計画はないのか、新たな学部を創設する計画ないのか―との質問には「いずれも現段階では考えていない。仙台キャンパスの立ち上げで定員が不足することも予想されるので、中期的には定員を300人に増やすことを考えたい」と、2キャンパスの活用に意欲を見せた。

【はしもと・つなお】2005年、東北大学経済学部卒。監査法人、コンサル会社を経て、10年、東北外語学園(外語観光専門学校、ホテル・ブライダル専門学校、幼稚園・保育園を運営)理事。13年から同学園理事長。18年9月から筑波学院大理事長。経営学修士。

【インタビュー後記】東北外語は旧満州のハルピン大学で数学教授をしていた祖父が創設した。学校教育者としては3代目。公認会計士の資格を持っており、大学再生には適任といえる。大学教授だった祖父は大学創立に強い関心があったそうだ。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

日本国際学園大学が開学 1期生126人が入学 つくば

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新入生を代表して宣誓する初見大翔さん(中央)

日本国際学園大学(橋本綱夫学長)が4月、つくば市吾妻の旧筑波学院大学に開学した。5日、開学式と入学式が催され、第1期生126人が入学した。筑波学院大の名称を変更して開学した。つくばと仙台に2つのキャンパスをもつ。初代学長に、同大を運営する学校法人日本国際学園の橋本綱夫理事長が就任した。

式典の最初に橋本学長が開学を宣言した。新しい大学名について橋本学長は「国際的視野を持ち多文化と共生できるマインドをもった人材を育てる教育は重要。それだけでなく日本の産業や豊かな文化への造詣を深めることは国際的に活躍するためにも重要」と述べ「日本というローカルな視点と、国際というグローバルな視点を組み合わせた日本初の国際的人材を養成したい」と思いを話した。

新入生に向けては「皆さんは第1期生。日本への理解を深め、世界に視野を広げてほしい」と呼び掛けた。さらに、何度失敗しても挑戦し戦い続けた戦国武将、山中鹿之助を例に挙げ「人は成功よりも失敗からたくさん学ぶ。大学での学びもたくさんの壁に当たるかもしれないがチャンスだと思ってほしい。壁が高過ぎると乗り越えることはできないので、自分の力に合った小さな目標を立て、小さな目標を達成することを繰り返せば大きな目標を達成することができる」などと話した。

開学を宣言する橋本綱夫学長(中央)

新大学は経営情報学部ビジネスデザイン学科の1学部1学科制で、カリキュラムに①グローバル企業や大学院進学を目指す「国際教養」(キャンパスはつくばと仙台)➁外資系総合職や英語学校講師を目指す「英語コミュニケーション」(つくば、仙台)➂企業総合職や営業職を目指す「現代ビジネス」(つくば、仙台)④キャビンアテンダント(CA)やグランドスタッフを目指す「国際エアライン」(仙台)⑤ホテルや旅館業界を目指す「国際ホテル」(仙台)⑥行政職や消防士、警察官を目指す「公務員」(つくば)⑦情報システムエンジニアやプログラマーを目指す「AI・情報」(つくば)⑧グラフィックデザイナーやアニメクリエイターを目指す「コンテンツデザイン」(つくば)と、⑨留学生対象の「日本文化・ビジネス」(つくば)の九つのモデルがある。

新入生は日本人学生86人と留学生40人。式典では一人一人の名前が読み上げられた。新入生を代表して初見大翔さんは「1期生として新たな歴史を刻むことができ、うれしい。コンテンツデザインモデルを選択しイラストレーションの勉強や制作をしたい。さまざまな講義や実習を通して自分でつくりあげたもので人の心を動かす体験をしたい。何ごとにも臆することなく挑戦し、さまざまな課題に立ち向かっていきたい」と決意を述べた。

在校生を代表して同大4年の佐藤碧さんは「私たちの大学は幅広い分野の学問を学ぶことができる素晴らしい場所。将来の道筋がなかなか決まらなかったり、悩んでしまう方もいると思うが、本学の最大の魅力は学生と教員の距離がとても近いこと。先生方はいつも親身に話を聞いてくださるので、不安なことや分からないことがあれば先生方に相談してください。きっと道を見つけることができる」と語った。

開学式と入学式には新入生のほか父母らも参加した。県立八千代高校出身の新入生、宮永一輝さん(18)は「1年生から公務員の勉強ができる大学はこの近辺にここしかない。公務員を目指して勉強に励みたい」などと話した。スリランカ出身の留学生、エブダ・マリワッタゲ・ディニティさん(21)は「就職活動をよくサポートしてくれる大学なので入学した。日本文化、ビジネス、英語を学びたい。将来についてはまだ決めてないが日本で就職したい」などと話していた。

望月学長「何度も立ち上がりやり直す生き方こそ指針に」 筑波学院大学で卒業式

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望月学長から学位記を受け取る卒業生代表の堀江紅音さん=つくば市吾妻、筑波学院大学

筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)の2023年度卒業式が18日に催された。ビジネスデザイン学科の145人がスーツやはかまに身を包み、晴れやかな表情で式に臨んだ。卒業生代表の堀江紅音さんが望月義人学長から卒業証書を受け取った。

望月学長は、南米ウルグアイの前大統領ホセ・ムヒカ氏を尊敬する人物として挙げ、同氏が述べた言葉を引用し「(ホセ・ムヒカ氏の)貧しいけれども清い生き方は国内外の人々に共感を与えてきた。何度も立ち上がりやり直すという生き方こそ、これから社会の荒波に飛び込む皆さんの生き方の一つの指針となる。人生の価値はどれだけの富や地位を得たかではない。常に自らを磨くために努力を続け進化を遂げていく人の姿はまぶしく映る」と話して激励した。

橋本綱夫理事長は、卒業生が新型コロナウイルス感染拡大の時期に入学したことに触れ、さまざまな制約があったにもかかわらず、我慢して努力し卒業を迎えたことをねぎらった。また「卒業で学びは終わりではない。自分自身で学びたいことを見つけていくことが必要になる。主体的な学びの姿勢は重要で、ぜひ学び続けていってほしい。今の社会は変化に満ちており、さまざまな困難や課題から逃げないで取り組んでいくことが大切」とあいさつした。

卒業生代表として答辞を述べた飯島瑞樹さんは「大学に入学した最初の頃は新型コロナウイルスの影響によって友だちをつくることができず、孤独を感じながら授業を受けていたが、たくさんの友人や先輩と出会い一生の宝物となった。このような多くの友人との出会いによって、これまでの私であれば決してありえなかった経験をすることができた」と思い出を振り返り、支えてくれた友人や教職員、家族への感謝の気持ちを述べた。

「たくさんの人との出会いはかけがえのない財産」と答辞を述べた卒業生代表の飯島瑞樹さん

ビジネスマネジメントコースで中国出身のリュウ・ニヘイさんは「6年日本で暮らしたが、時間が短く感じる。卒業後は中国に帰る。まだ何をするか決めていないが、事業を起こしたい」と話した。情報デザインコースの斉藤優希奈さんは「卒業の日を迎えてうれしい。プログラミングやウェブデザインを学ぶことができた。卒業後は県内の製造業で働く」と笑顔を見せた。

同大は新年度から大学名を日本国際学園大学に変更し、仙台キャンパスが開学。つくばと仙台の2キャンパス体制となる。グループである東北外語学園(仙台市)の教育メソッドを取り入れ、語学教育に力を入れていく。(田中めぐみ)

◆日本国際学園大学のホームページはこちら

ウクライナ留学生のニキタさん 故郷を語る 筑波学院大

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参加者にウクライナの文化や歴史を紹介するニキタさん(左端)

展覧会「ウクライナの子どもたちの絵画展」(12月13日付)の関連イベントとして、ウクライナ出身で筑波学院大学に留学中のトロプチン・ニキタさん(19歳)が「日本で暮らすウクライナ人学生の現在」と題し講演。先が見えない状況への不安や、日本の支援に対する感謝などを語った。

ニキタさんはできるだけ多くの機会を捉え、ウクライナのことを日本の人たちに伝えたいと活動している。この日も、ニュースだけではウクライナという国のイメージが伝わりにくいと考え、同国の歴史や文化、人々の暮らしなど幅広い話題を提供。ウイーンで世界初のカフェを開いたのがウクライナ出身のコサック兵だったことや、ハルキウの郵便局で世界で初めて郵便番号が使われたといった豆知識も披露し、身近な国であることを印象付けた。

避難生活を送るウクライナの少女が描いた絵の前で撮影に応じるニキタさん

「来日したときはウクライナの状況が盛んにニュースで流れた。そのころと比べてニュースは減っているが、戦いはずっと続いている。そんな中で日本は、民間も政府も財界も私たちに寄り添ってくれている。大変ありがたい。今はガザ地区に世界中の目が向いているが、ウクライナのことも忘れないでほしい」

ニキタさんはドニプロ州ポクロヴ市生まれ、4歳からキーウで育った。キーウ市立ボリス・グリンチェンコ大学に在学。昨年2月のロシア侵攻はキーウへ戻る列車の中で知り、キーウで家族と合流後、なるべく早くキーウを離れようと、友人の家に避難した。

日本への留学は、大学で日本語を学んでいたという縁もあった。筑波学院大がウクライナの学生を支援する目的で留学生を募集し、これに応募する形で昨年7月、母と妹と共につくばへ来た。特別奨学生として学費と生活費の支援を受けながら、筑波学院大では経営学を学ぶ一方、キーウの大学の課題もオンラインでこなしている。

絵画展の会場を訪れたつくばに住むウクライナ人の留学生仲間とニキタさん(左から3人目)

父はキーウでタクシードライバーとして働いているが、いつか戦争に動員されないとも限らない。母と妹は父が心配で一時帰国し、ニキタさんは今つくばで一人暮らしだ。結婚した姉もキーウで暮らしており、叔父の一家も戦地に近いところに住んでいるため、心配は絶えないという。「日本は安全に暮らせるが、土地に根差して生きるウクライナ人の心情として、危険があっても生まれた土地を離れたくない」と話す。

先が見えない状況にニキタさんは今、日本で大学を卒業し、就職することも視野に入れ始めているという。「一番怖いのは戦争に慣れてしまい、日常になってしまうこと。それが問題」と、警鐘を鳴らす。(池田充雄)

故郷を思うウクライナの子どもたちの絵を展示 筑波学院大

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筑波学院大学ビジネスデザイン学科の野田美波子講師(左)と同大3年の矢治竜乃介さん

ロシアの侵攻により避難生活を送る子どもたちが描いた絵、約40点を紹介する展覧会「ウクライナの子どもたちの絵画展」が17日まで、つくば市吾妻のつくば市民ギャラリーで開かれている。筑波学院大学(つくば市吾妻)が主催し、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)と日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)が共催する。

紹介されている絵画は、ウクライナ南部のドニプロなどから、同国西部のウジホロドや近隣国のポーランド、ブルガリアへ避難した子どもたちが描いたもの。ミサイル爆撃の恐怖から逃れ、多少落ち着きを取り戻したものの先は見えない状況の中で、さまざまな思いを絵に託している。

展示作品より

明るく鮮やかな色彩でウクライナの暮らしや自然豊かな様子を描いた作品がある一方、モノトーンで暗い印象を与える作品も少なくない。母と子だけで故郷を離れる様子を描いた絵には、静けさが感じられる列車の車内とは裏腹に、窓の外には不吉なミサイルの影が描き込まれている。神や天使に平和への祈りを捧げたものも多い。

展覧会のスタッフの一人で同大3年の矢治竜乃介さん(21)は「一つ一つの絵から、それぞれの子どもたちの思いが確かに伝わってくる。戦争を経験しながら、その中でただ生き抜くだけでなく、信念をもって生きていることが分かる。作品を通じ、現地の子どもたちの思いに触れてほしい」と話す。

展示作品より、レミャコバ・ミロスラーバさん(5歳)の作品「花咲く私の国」

支援のお礼に

これらの絵はJCFに対し、避難民の子どもたちから支援のお礼として送られてきた。今年6月以降、日本全国を巡回している。

つくば展は、筑波学院大学ビジネスデザイン学科の野田美波子講師および野田ゼミの学生らの呼び掛けにより実現した。同ゼミでは以前からJIM-NETと連携し、難民支援のためのポストカードのデザインに係わるなどの活動もしていた。

「戦争では、弱い立場の子どもたちが一番つらい思いをしていると思う。その彼らが、自分なりにできることはないかと考え、絵を描いて送ってくれた。そこには故郷を守りたいという思いがあふれており、ぜひ多くの人に見てもらわなくてはいけないと思った」と野田さん。

展示風景

会場ではポストカードの販売や、募金の受付なども行っている。また最終日の17日は、トークイベントも開催され、午前10時からは「日本で暮らすウクライナ人学生の現在」と題し、同大に留学中のトロプチン・ニキタさんらが、祖国を離れて暮らす心境や、ウクライナの現状などについて話してくれる。午後1時からは「ウクライナ/イラク/子どもたち」と題し、JCF理事長の神谷さだ子さんとJIM-NET海外事業担当の斉藤亮平さんが支援の様子について話し合う。(池田充雄)

◆会場はいずれもつくば市吾妻2-7-5、つくば市民ギャラリー。入場無料。

爽やかで涼し気 筑波学院大生の大型タペストリー展開催

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18日から展示が始まった筑波学院大学4年、松山紫音さんの大型タペストリー「レモネード」=つくば市吾妻、トナリエMOG1階

つくば駅前の商業施設トナリエMOG(モグ、つくば市吾妻)1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで18日、「タペストリーアートコンペティション2023・大型タペストリー展」の授賞式が催され、優秀作品に選ばれた筑波学院大学の学生によるタペストリーの展示が始まった。

同大4年の松山紫音さん(22)の「レモネード」と、3年の佐藤緑咲さん(21)の「雲の中のダンス」の2作品で、8月30日まで順に展示される。筑波学院大学とつくば都市交通センターが2015年から主催し、今年8回目を迎えた。

授賞式での記念撮影の様子。右端がレモネードを制作した松山紫音さん、右から3人目が「雲の中のダンス」の作者の佐藤緑咲さん

作品は、同大メディアデザインコースの学生が制作し、6月27日から7月3日にかけて、トナリエつくばキュート1階の壁面に8作品が展示された。買い物客など来場者による投票とウェブでの投票、それを踏まえた審査員の選考会によって優秀賞2作品が決定した。

審査員の一人、同大の高嶋啓教授は「選考は難しかった、審査員でも意見が割れることもあったが、展示されることを念頭において、作品が決まった」と述べた。

「レモネード」を制作した松山さんは自身の作品について「夏に飲みたくなるカラフルなレモネードのイメージで、レモネードの爽やかさが出るような色がポイント。レモンやミントのデザインにグラスに注がれたレモネードが見えるようにした」と述べ、「今回の受賞は大変うれしい。これを機にもっとうまくなれるように努力したい。将来はデザイン関係の仕事に行ければ」と喜びを話した。

「雲の中のダンス」の佐藤さんは「『ツバメが低く飛ぶと雨』という言い伝えがあるが、この作品はそれを打ち消すような意味を込めている。雨が降りやすいといわれる入道雲の中をさっそうと飛んでいる様子を表した」とし「ツバメのリアル感を出すのに苦労した。展示されることが決まって頑張ったかいがあった」と話した。

8月8日から展示される佐藤緑咲さんの「雲の中のダンス」のイメージ図

同日、買い物に来て、同ギャラリーに立ち寄った市内に住む50代の会社員女性は「レモネード」について「爽やかで涼し気で、色もパステルカラーできれい。プロの方の作品かと思った。学生の作品とは分からなかった」と話していた。(榎田智司)

◆松山さんの「レモネード」は8月8日(火)まで、佐藤さんの「雲の中のダンス」は8月8日(火)~8月30日(水)まで展示される。入場無料。

来年開学の日本国際学園大、米ノースウッド大と提携 筑波学院大で調印

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協定覚書を締結した(左から)ノースウッド大学のリーブス真美子学長代理、学校法人日本国際学園の橋本綱夫理事長、学院大の望月義人学長=筑波学院大学(つくば市吾妻)

来年4月に日本国際学園大学(学園大)として開学する筑波学院大学(学院大、つくば市吾妻、望月義人学長)で2日、米国ノースウッド大学と結ぶ協定覚書の調印式が行われた。ノースウッド大が日本の大学と提携するのは初めて。

来年4月の開学(22年12月1日付)に合わせて学園大の学生は、ノースウッド大に留学したり、両大学の学位を取得できるようになる。併せてつくばキャンパスにノースウッド大の留学生を迎えるなどする。

ノースウッド大は米国のほか、中国、スリランカ、スイスなどに国際プログラムセンターを設け、学位が取得できる英語の授業を行っている。さらにフランス、ポルトガルなどにも広げる計画であることから、学生は米国だけでなく各国の国際センターで学べるようになる。

開学に合わせて学園大は来年4月、つくばキャンパス(現在の学院大)にインターナショナルプログラムセンター(IPC)を開設し、留学や学生同士の相互交流について案内したり、米ノースウッド大学から留学生を迎えるための教育プログラムをつくる計画だという。

ノースウッド大はミシガン州にある私立大学で1959年に創設された。自動車マーケティング、ファッションマーケティングとマネジメント、保険リスク管理、eスポーツマネジメントなど、ビジネス分野のユニークな教育プログラムを提供する大学として知られる。特に自動車マーケティングは、学生が毎年モーターショーを企画、開催し、世界各国から現役の自動車ディーラーも訪れている。

2日の調印式では、学院大を運営する学校法人日本国際学園の橋本綱夫理事長と望月学長、来日したノースウッド大のリーブス真美子学長代理が協定覚書に調印式した。

橋本理事長は「新しい大学の開学を機に連携協定を締結できて大変うれしい。学生が海外に挑戦できる機会になる。ノースウッド大は米国だけでなく世界各国にキャンパスをもっており、学生はいろいろな国に行って学べる。そういった可能性が開け、学生が世界に目を開くすばらしい連携協定になる」などと話した。

リーブス学長代理は「ノースウッド大は、ソ連が1957年に世界初の人工衛星打ち上げに成功し、米国の大学がサイエンス教育に一色になった時代に、会社を経営する人材育成は必要だと感じた2人が、退職金を前借りして1959年に創設した。開学の精神は息づいており、現在も34%の学生が卒業して6年以内に起業するなど、起業家精神が旺盛な学生がたくさんいる。学園大学との提携を機に、クリエーティブで起業家精神がある学生と一緒に学べるといい。長くお付き合いしていきたい」と語った。

来年4月に開学する日本国際学園大学は、国際教養、英語コミュニケーション、現代ビジネス、公務員、国際エアライン、国際ホテル、AI・情報、コンテンツデザイン、日本文化・ビジネスモデルの9つのコースがあり、つくばと仙台に2つのキャンパスがある。

「強くしなやかに成長する4年間に」 筑波学院大で入学式

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宣誓をする新入生代表の田井真央さん=筑波学院大学

筑波学院大学(つくば市吾妻)で1日、2023年度の入学式が行われ、スーツに身を包んだ新入生たちが新生活のスタートを切った。教職員や理事、保護者らも参列し門出を祝った。中国やウクライナなど5カ国からの留学生7人を含む新入生51人が入学し、新入生代表の田井真央(たいまひろ)さんが「大学生活をよりよいものにし、不安定な社会で貢献できる人材になりたい」と宣誓した。

望月義人学長は式辞で「漫然と過ごす4年と、竹のように節目を付けながら強くしなやかに成長する4年との差は極めて大きい。教職員は皆さんを心から支え応援する」と述べた。また2学期制のカリキュラムを今年度から春、夏、秋の3学期制に、1コマ90分だった授業を105分にしてアクティブラーニング(能動的学習)の時間を増やし、論理的思考力、応用力を養っていくと話した。

式辞を述べる望月義人学長=同

橋本綱夫理事長は「4年間どういったことをやりたいか、探究、模索して見つけていってほしい」と激励し、同大のルーツとなる東京家政学院大学の創設者で家政学の先駆者だった大江スミの建学の精神を同大が現在も受け継いでいることを話した。

今年、同大は東京家政学院大学の創立から数えて100周年を迎える。また4月からは同校の運営法人名が日本国際学園大学に変更された。来年度より大学の名称も日本国際学園大学に変わる。

挨拶する橋本綱夫理事長。右の写真は東京家政学院大学創設者の大江スミ=同

同大では一昨年度から、英語ですべての授業を行うILA(国際リベラルアーツ)コースが新設され、学生らは様々な専門分野を学ぶ総合コースとILAコースのいずれかのコースで学ぶ。2年次からは人文科学、社会科学、経営学、情報デザインの4つの専門科目から主専攻や副専攻を選択し、学びを深める。

新入生として式に臨んだ男子学生は「勉強していろんなコンピュータープログラムを作れるようになりたい。特にゲームのプログラミングについて学びたいと思っている。ゲーム実況のYouTubeチャンネルを運営しているのでチャンネル登録者数も増やしていきたい」と目標を笑顔で話した。(田中めぐみ)

2023年度の新入生ら=同

「自身で困難克服する力を」 筑波学院大で卒業式

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望月義人学長から卒業証書を受け取る石﨑達也さん(左)

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2022年度卒業式が13日に催され、経営情報学部ビジネスデザイン学科の133人が卒業した。卒業生代表として、総代の石﨑達也さんが望月義人学長から卒業証書を受け取った。会場でのマスク着用は個人の判断に任され、一部の卒業生はマスクを外して式に臨んだ。

元朝日新聞記者だった望月学長は、記者時代に、今年亡くなったトヨタ名誉会長の豊田章一郎氏に何度も取材し聞いた話を挙げ、「トヨタが経営不振に陥った時期、ちくわの生産を考えるほど困窮した時代があった。この話を聞いた当時、既に優良企業だったトヨタとちくわとのギャップに驚きを禁じ得なかった。トヨタはその後経営不振を乗り越え、自身の力で困難を克服し、繁栄の時代を迎えた。この例は、個人のあなたにも十分に役立つはず」と述べて、困難の乗り越え方や、現場に赴き真実を自分の目で把握することの重要性について告示した。

橋本綱夫理事長は「みなさん一人一人が社会において欠かせない存在となり、自分の力を生かして喜んでもらうこと、それが人生において何よりも幸せなことではないかと思う。これからぜひその力を生かしてたくさんの人に喜んでいただき、みなさん自身も充実した幸せな人生を歩んでほしい」と挨拶した。

式に臨む卒業生ら

卒業生代表として答辞を述べたサンジュオントン・パッサコンさんは、大学院に進学することを話し、「MBA(経営学修士)を取得し、IT企業を立ち上げるという目標を達成した将来の自分の姿を想像し、受験への意欲を高めた。受験でも学園祭でも将来をはっきり思い描くことが成功につながると感じた」と述べた。また「友人や、大学生活の様々な助言をしてくれた先生方、そして何より最後まで自分を支えてくれた両親に感謝します」と感謝を伝えた。

卒業生らは大教室での式の後、各教室に分かれ、一人ずつ名前を呼ばれて卒業証書を受け取ると、互いに卒業を喜び合っていた。(田中めぐみ)

2024年度から日本国際学園大学に 筑波学院大 仙台にもキャンパス

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筑波学院大学=つくば市吾妻3丁目

筑波学院大学(つくば市吾妻)は1日、2024年4月1日から大学名を日本国際学園大学に変更し、新大学として開学すると発表した。併せてキャンパスを現在のつくばキャンパスに加え、仙台市に新キャンパスを設置し2キャンパス制にする。

同大学の開学準備事務局(仙台市)によると、来年4月1日にまず大学を運営する学校法人名を、現在の筑波学院大学(橋本綱夫理事長)から学校法人日本国際学園に名称変更する。翌24年4月1日に新大学を開学する。併せて24年度から、姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する仙台市の東北外語観光専門学校に新たに仙台キャンパスを設置する。

現在、筑波学院大は入学定員200人で、経営情報学部ビジネスデザイン学科にILA(国際リベラルアーツ)コースと総合コースがある。名称変更後も学部や学位に変更はない。つくばと仙台のいずれもキャンパスでも学べるようになる予定だという。

同大学は、英語で授業を行ったり海外の名門大学に留学体験するILAコースを2021年度に開設するなど、英語でディスカッションやプレゼンテーションができ、国際的にも地域でも活躍できる人材育成に力を入れている。こうした取り組みを、つくば市だけでなく、東日本の中核都市である仙台でも展開し、日本を代表する大学に発展させようと取り組む。

同大学は1990年、東京家政学院が、県とつくば市の協力で筑波短期大学を開学。96年に4年制の筑波女子大学になり、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度から、東京家政学院から新学校法人の筑波学院大学に移り、1法人が1大学を運営する体制になった。

今回の大学開学と2キャンパスの設置は、国内外の大学入学志願者層を広げ、少子化という国内の試練を乗り越え、大学の発展と充実を実現する大きな一歩だとしている。

街中に涼しさを表現 「大型タペストリー展」開催

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優秀賞を受賞した倉田舞さん(左)と相川奈月さん(右)。後ろに展示されているタペストリーは倉内さんの「かき氷」

つくば駅前の商業施設トナリエMOG(同市吾妻)1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで1日、筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「大型タペストリー展」の授賞式が行われ、優秀作品に選ばれたタペストリーの展示が始まった。

作品は、同大メディアデザインコース3年生が制作した。7月12日から19日にかけて、トナリエクレオ3階のスペースに同コースの学生25人の作品が展示され、買い物客など来場者による投票と、それを踏まえた審査員の選考会によって、優秀賞2作品が決定した。受賞作品は倉田舞さん(21)の「かき氷」と、相川奈月さん(20)の「夏の庭」。投票は、オンラインと手書きを合わせて115票が集まった。

倉内さんの作品は、かき氷にかかったイチゴとレモン、サイダーをモチーフにした爽やかな色使いが特徴的。特に、サイダーの「シュワシュワ感」がポイントだと倉内さんは話す。「かき氷は、子どもから大人まで誰が見ても楽しめる、伝わりやすい作品になったと思う。たくさんの人の心に残ることができたらうれしいと」喜びを話した。

相川さんの作品は、縁側から見た庭の景色を表現した。障子をイメージした白地に赤い金魚があしらわれ、5本のタペストリーの中央には、障子越しにのぞく夏の庭の風景を、淡い緑のグラデーションで表した。相川さん「受賞はとても良い経験になった。将来は、伝わりやすく、楽しんでもらえる作品を作っていきたい」と思いを語った。

同展は2015年にスタートし、今年9回目を迎えた。展示期間は、倉内さんの「かき氷」が8月1日(月)〜22日(月)、鮎川さんの「夏の庭」は8月22日(月)~9月12日(月)の期間、プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで展示される。入場無料。(柴田大輔)

筑波学院大、神田女学園と高大連携協定を締結

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高大連携協定に調印した(左から)神田女学園中学校高等学校の芦澤康宏校長と、筑波学院大学の望月義人学長

筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)は神田女学園中学校高等学校(東京都千代田区・芦澤康宏校長)と22日、高大連携協定を締結した。同日、同大で調印式が催された。

連携協定の具体的な内容として、神田女学園での取り組みである、生徒自らが学ぶテーマを決め、調べながら理解を深める「探究学習」に、同大がアドバイスしたり、リサーチに協力したり、その成果物を評価することなどが検討されている。

ほかに、女学園での進路ガイダンスに同大が参加したり、生徒・保護者にプレゼンテーションしたり、女学園に出張講義をしたり、同大のオープンキャンパスに女学園の生徒がグループ参加したりするほか、教員同士の意見交換や、同大からの教育実習生の受け入れなどが検討されている。

協定は、同大が女学園への関与を通じて、大学の特色や教育・研究内容の周知を図り、互いの隔たりを解消し、両校間での円滑な教育的移行(進学)を目的としている。

グローバル社会に貢献できる女性を

この日、同大を訪れた女学園の芦澤康宏校長は「複雑な国際社会・地域社会に生きる市民として、多様な背景を持つ他者の考えや立場を理解し、場面に応じた適切な対話と読解を通して意思疎通と協働を可能にする能力を身につける」など、同大が掲げる3つの教育理念をあげ、「本校が目指す、グローバル社会に貢献できる女性を目指すこととの親和性がひじょうに高く、筑波学院大の力を借り、生徒たちの興味関心をさらに向上させることができるのではないかと考えるに至った」と、協定締結に至った思いを述べた。また「学問、スポーツ、文化など幅広い分野における学生、生徒の進学や、キャリア構築を支援するとともに、教育・研究に関する相互理解の促進に取り組むことを目的とし、今後も両校の発展に少しでも寄与したい」と協定の意義を語った。

筑波学院大の望月義人学長は「高校と大学という区分はあるが、神田女学園の先端的な取り組みを学びながら、本学も高大連携の協定に応えられるよう、変化していきたい」と、今後への意欲を語った。(柴田大輔)

【延期】「ウクライナの平和」中村逸郎教授の講演 7月9日に筑波学院大学

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中村教授講演会チラシから

ロシアのウクライナ侵攻以来、テレビにひっぱりだこの中村逸郎教授が7月9日、所属の筑波学院大学(つくば市吾妻3)で講演する。「大学で学ぶ」ということ~ウクライナから考える平和づくり-がテーマ。高校生対象の内容ながら、一般からの申し込みも広く受け付ける。

講演会は、今回のウクライナ侵攻についてが分かりやすく解説するとともに、今、 最も知りたい「ウクライナの平和」を通して大学での「学びの意義」を考えてみるという。

中村教授は現代ロシア政治が専門、モスクワ国立大学、ソ連邦科学アカデミー「国家と法研究所」に留学経験があり、22年3月まで筑波大学人文社会系教授を務めた。5月に岸田首相はじめ閣僚、国会議員、メディア関係者、研究者など日本人63人にロシアへの入国を無期限で禁止する、ロシア政府による日本への報復措置が発表されたが、この中に名があがった。

講演会は7月9日午後2時から筑波学院大学で開催。参加は無料だが、申し込みは6日まで、先着200人を定員としている。

問い合わせは電話029-858-4815。特設ページはこちら

【開催延期】同大は5日、講演会について妨害予告連絡を受けたため、会場の安全確保上の理由から開催を延期すると発表した。開催日時は未定。

「解のない時代、社会の求める人材に」 筑波学院大学で入学式

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新入生代表として宣誓する伊藤陸さん=つくば市吾妻、筑波学院大学

筑波学院大学(つくば市吾妻)で2日、2022年度の入学式が行われた。留学生3人を含む61人が入学し、新たな一歩を踏み出した。新入生代表でILA(国際リベラルアーツ)コースの才川峻大(さいかわしゅんだい)さんが入学誓約書を提出した。

望月義人学長は、ロシアのウクライナ侵攻や、国内の経済成長の停滞などについて触れ、「激動の時代、解決の難しい時代に私たちはどのように対処すればよいのか、その答えを見つけ出すのは容易なことではない」と述べた。また4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことについて「皆さんには権利と共に責任が求められる。選挙権も与えられ政治参加の機会も持っているが、この権利を生かすも殺すも皆さんの意識次第。その権利を生かすためには、何よりも判断力の元となる幅広い教養を身に付けること」だと呼び掛けた。

同大には昨年度から、英語ですべての授業を行うILA(国際リベラルアーツ)コースが設けられた。新入生は、様々な専門分野を学ぶ総合コースかILAコースのいずれかのコースで学び、2年次から人文科学、社会科学、経営学、情報デザインの4つの分野を専門科目として選択する。4つの分野は専攻の壁を越えて履修することができる。

望月学長はこのようなカリキュラムの特徴についても説明し「これらの授業を満遍なく履修することで、英語で仕事ができる公務員、経営に強いデザイナー、プログラムが書けITに強いビジネスマンなど社会の求める人材になれると確信している」と話した。さらに「何かの答えを見つける際にインターネットで検索すればすぐ答えが見つかる気がするかもしれない。しかし、解のない時代、本当に大事な場面で生きるのは、自分で考え抜き、試行錯誤をした経験だと思う。専門性を追求するのも大事だが、それ以上にベースとなる教養をまず身に付けてほしい。本を読んで、人と議論し、新聞などのメディアに接して、さまざまな世界があることを知る。入学を機会に、考え、試行するという過程を大切にしていただきたい」と式辞を述べた。

橋本綱夫理事長は、小さな達成と新しい刺激を積み重ねて、来たるべきチャンスに備えてほしいと話し、「いろんなことに興味を持って、疑問を持って、そこから学びを深めていってほしい。いろんな専門分野の先生がいらっしゃるので、皆さんの好奇心、探究心にどんどん応えていってくれると思う。ぜひ教職員の先生方を活用し、学びを深めていってほしい」とあいさつした。

緊張した面持ちで式典に臨む新入生たち

これを受け、新入生代表の伊藤陸さんは「このコロナの逆風の中で、あきらめず進み続けられた私たちならば、それぞれの目標を達成できると信じている。私たちは運命でつながっており、大学生活においても互いに協力することができる。この恵まれた環境で学ぶことの楽しさや新しい仲間との出会いを大切にし、大学生活をより良いものにしていきたい。それぞれが掲げている目標に向かってかじを取るのはもちろんのこと、物事を多角的視点から見られるようになるためにこれから様々なことに挑戦したい。ゆくゆくは社会に貢献できる人間に成長したい」と宣誓した。

式典に臨んだ新入生の髙橋つかささんは「この日を迎えられてうれしい。大学ではサークル活動をしてみたい」と大学生活への希望を話した。

式典は、新型コロナ感染防止のため新入生と教職員のみで行われ、保護者の出席はなかった。新入生は入り口での検温と手指のアルコール消毒を行って入場、1席ずつ開けて着席した。(田中めぐみ)

困難を乗り越える指針「ロールモデル」 筑波学院大卒業式の学長告示

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答辞を述べる大久保璃奈さん=筑波学院大(つくば市吾妻)

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2021年度卒業式が11日、行われ、経営情報学部ビジネスデザイン学科の学生108人が卒業した。望月義人学長は「(困難にぶつかった時に)ロールモデル、つまり生き方の模範となり生き方や考え方に共感し尊敬できる人物、そういった人の価値観や人生観を自分の生き方の指針にするという方法が解決策になる。自らを磨くために常に努力を続け、進化を遂げていく人の姿はいつも輝いている」と告示した。

卒業式は感染拡大防止のため、スーツや袴姿の列席者は1席ずつ離れて着席し、換気のため式典の最中は窓や扉が開けたまま、約40分間執り行われた。学位記の授与は卒業式の終了後、各教室で行われた。

望月学長は「この約2年間はオンライン授業であったり、対面授業であっても感染を気にしながら受講したり、サークル活動を制限されたり、と思い描いていたキャンパスライフを満喫できなかったと思う。大学生活としてはマスクとパソコンと我慢だらけの思い出などという人も多いかもしれない」とコロナ禍を振り返り、「厳しい状況の中、課題提出物の増加などを乗り越え、単位を取得して立派に卒業し学士の称号を得られたみなさんの努力を評価したいと思う」と苦難の大学生活を乗り切った卒業生たちを労った。

望月学長の話に耳を傾ける卒業生たち=同

橋本綱夫理事長は「一人ひとりの努力が結実して卒業となった。これまでたくさんの人の恵みを受けて今がある。たくさんの人に恵みを送り、たくさん返ってくる、それが幸せということだと思う。大変なこともあるかもしれないが、人生は楽しくすばらしいもの。幸せに満ちた人生が待っていることを祈っています」と挨拶した。

卒業生代表として答辞を述べた大久保璃奈さんは「学院大で学び、小学生のころから夢だった父と同じ会社に内定をいただくことができた。大学で出会った友人の存在は何物にも代えがたく、学生生活を豊かにしてくれた。この先も多くの新しい出会いがあると思うが、全てを大切にしていける人間になれるよう精進して参ります」と述べ、恩師や友人、家族への感謝の気持ちを述べた。

卒業生の今野奈々瀬さんは式典後、「単位を取るのがとても大変だったので卒業できてうれしい。今後ももっと勉強し、やりたいことを探していきたい」と卒業の喜びを語った。(田中めぐみ)

筑波学院大生、筑波ハムのヨーグルトラベルをデザイン

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ヨーグルトラベルをデザインした筑波学院大4年の下村月乃さん(左)と下村さんがデザインしたラベルが貼られたヨーグルト各種

食肉加工会社、筑波ハム(つくば市下平塚)が、自社が販売するヨーグルトのラベルデザインを一新する。新デザインを担ったのは、筑波学院大4年の下村月乃さん(22)だ。専攻するビジネスデザイン学科での卒業制作作品が、採用された。

曲線と色で「つくば」らしさを表現

筑波山を表す二つの起伏と、ヨーグルトをイメージする滑らかな波—。下村さんは、つくばの研究者との共同研究で生まれたヨーグルトを、3本の曲線と豊かなグラデーションカラーで表現した。自然と都市が同居する「つくば」らしさを打ちだし、商品の手に取りやすさと、ささやかな特別感を併せ持つイメージを形にした。

大学のサポートを受け地域企業と協働する「実践活動」の授業をきっかけに、筑波ハムと関わりのあった母親とのつながりから企画が始まった。当初は企業パンフレット制作を想定したが、ヨーグルトラベルの一新を検討していた筑波ハムから、ラベルデザインを持ちかけられた。

ハムやベーコン、ソーセージなどを手がける筑波ハムでは、元農林水産省畜産試験場第一研究室の吉野正純博士との共同開発で生まれた乳酸菌を使用する乳製品を、吉野博士にちなむ「ナチュラル吉野」というブランド名で製造・販売している。

下村さんは、ラベル制作の過程で製造、営業など、企業内の多様な立場の人と意見を交わし、細部調整を繰り返した。その過程を「とても大変だった」と話しつつ、「立場による見方の違いを知り勉強になった」と振り返る。実際に店頭に並ぶ商品を見ると「本当に並んじゃった。よかった」と安堵し、「完成にこぎ着けられ自信になった」と喜んだ。

筑波ハム乳製部の岩本俊典さんは、下村さんのデザインを「試案からこちらの想像を超えるものでした」とし、「完成品に大変満足しているし、お客さんの反応もとてもいい」と笑みを浮かべる。

駆け抜けた学生生活

中学時代から、コンピューターゲームを自作し、小説を書くなど創作活動に打ち込んできた下村さんは、筑波学院大入学の動機を、「様々なことにチャレンジできる環境に魅力を感じた」からと話す。大学では、卒業制作につながった学外団体と連携をはじめ、文化祭実行委員、コロナ禍でのサークル活動のためのオンライン活動環境を作り上げるなど、積極的に活動してきた。そんな4年間を「あっという間。駆け抜けちゃったという感じです。いろいろな世界を知ることができ、社会勉強になりました」とさわやかに振り返る。卒業後は、アプリ開発やWebサイトのデザインを手がけたいという。

これから新ラベルが貼られたヨーグルトを手に取るお客さんに対して、「グラデーションの色使いやフォントなどの調和に目を向けてもらえたらとてもうれしいです」とし、「手に取るそれぞれが、好きなところを見つけてほしい」と話した。(柴田大輔)

自国の文化、価値観など語る 筑波学院大オンライン学園祭で海外出身教員

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クロスカルチャーフォーラムを主催し、あいさつする筑波学院大の池口セシリア教授

筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)の学園祭、第30回KVA祭が23日、「No Rain, No Rainbow」(ノーレイン、ノーレインボー=雨が降らなければ虹は出ない)をテーマにオンラインで催された。学院大の池口セシリア教授らによる国際交流委員会主催のクロスカルチャーフォーラムでは「グローバル世界に必要な新常識の発見」をテーマに、海外出身の大学教員がそれぞれの国の文化や価値観について英語と日本語で話した。

ベルギー出身で筑波大学教員のヴァンバーレン・ルートさん、カナダ出身で茨城キリスト教大学教員の沼館ジェニーさん、ネパール出身で筑波学院大教員のパンダ・ボーラさんの3人がそれぞれ話した。

ヴァンバーレンさんはベルギーについて、公用語がフランス語、オランダ語、ドイツ語と3つあり、それぞれの地方の方言もあって、ポスターや道路標識も複数の公用語と方言で表記されているなどと紹介。その上で、常識とは何かについて話し「日本人はかぜをひくとマスクをするが、ベルギーではかぜをひいてもマスクをしない。しかし新型コロナでベルギーの人もマスクを着けるようになったり、日本ではコロナ禍でハンコを押す押印文化が変わりつつあるなど、常識は変わる」などと話した。

沼館さんはカナダについて「平等主義で、多文化、多様性をすごく大事にしている国。同性婚を2005年から認めている。多文化主義を法律で定め、守っている」などと紹介し、カナダ人について「カジュアルだが、日本と似ていて礼儀正しい」と話した。「毎年30万人近くの移民があり、いろいろな人、いろいろな文化があるので互いに尊重、尊敬しないとうまくいかない」「消費税は13%と高いが、学校や医療は無料」などと紹介した。

視聴した学生からは「ベルギー、カナダ、ネパールに将来行きたい。お薦めの場所を教えて」「ベルギーはサッカーが強い印象があるがサッカー以外で人気のスポーツは何か」などの質問が出た。

KVA祭ではほかに、部活動を動画で紹介したり、黒板アートを制作するイベントや、アニメ声優のトークショーなどが催された。

「風立ちぬ」考 その3 《遊民通信》23

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【コラム・田口哲郎】
前略

なぜ小説『風立ちぬ』は、社会的小説ではないにもかかわらず、文学作品に社会性を求める人々の心を掴(つか)むのでしょうか。それはこの小説が人間の生だけではなく、死について深く考察しているからではないでしょうか。そして、「生きめやも」派と「生きねば」派の間には、生きる意志のみならず死へのスタンスについても、深い溝が存在します。

「生きねば」派が求めるものを先に探りましょう。高橋源一郎氏は小説の主人公の企てを次のように読みます。「サナトリウムで、患者たちは死んでゆくだけだ。だから、『私』は、記憶の中にある『節子』との幸福な瞬間を、『物語』の中に閉じこめようとし、そして失敗するのである」。そして節子の死後、主人公はふたたび閉じられた愛の舞台を訪れ、リルケの「レクイエム」に出会います。「私」は節子に対して、「レクイエム」の最後の数行を聞かせます。

「帰っていらっしゃるな。そうしてもしお前に我慢できたら、死者たちの間に死んでお出。死者にもたんと仕事はある。けれども私に助力はしておくれ、お前の気を散らさない程度で、屡々(しばしば)遠くのものが私に助力してくれるやうに――私の裡(うち)で」

「生きねば」派は、死者の仕事に強く反応するようです。アニメ「風立ちぬ」のラスト近く、結核の果てに亡くなる菜穂子は、生き残った二郎に、「あなた、生きて」とつぶやきます。そして、二郎はつぶやきを残して天に昇る菜穂子に「ありがとう」と言い、物語は終わります。

死者の仕事とは、生者を自分の死から解放すること。菜穂子はいわば、死者の象徴であり、彼女は二郎の妻でありながら、誰かの妻であり女であり、男であり、夫であり、兄であり、弟であり…あらゆる存在の本質を保持する誰かなのです。

死者の思い

遺(のこ)された者を死者の呪縛から解放してやることが死者の責務であるとし、高橋氏は戦死者に言及します。

「戦後文学」の主人公たちは「戦死者の代弁者であるべく義務づけられていた」のだが、「彼らの中に住み着いて、この国を告発する声の主は、ほんとうに存在したのだろうか。それは要するに、ただの『ことば』にすぎなかったのではないだろうか。『戦後文学』の担い手は、ほとんどが姿を消し、それと共に、彼らの中に住み着いていた者たちも、運命を同じくしたのである」と高橋氏は言い、戦死者の言葉は時とともに消えてしまったと嘆きます。

しかし、小説『風立ちぬ』のもたらした鎮魂歌は「ぼくたちの知っている『戦後文学』の語法とは異なったものだ。そして、それは、なぜかひどく新しく感じられる」と言います。つまり死者の真の思いを生き残った者たちに悟らせるのです。続きは次回。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)