金曜日, 11月 7, 2025
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広域連携、県が打診も進まず 法改正後の水道事業

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茨城県庁

【山崎実】急速に進む人口減少に伴う水需要の減少や、老朽化した施設更新による将来負担増に対する懸念などから、水道事業をめぐる議論が浮上している。広域、官民連携が中心課題で、安定かつ持続的な経営を迫られる同事業にとって避けられない問題になっている。

契機は、2018年12月の水道法改正で、都道府県は市町村を超えた広域的な水道事業の連携推進施策を策定し、これを実施するなど、県が広域連携に取り組む必要があることを想定している。

県水政課によると、茨城県の場合、水道法の改正より前の16年度に、全市町村が参画する「広域連携検討の場」を設置した。以降、全体会議やテーマ別検討会などを開催し、市町村と広域連携について協議し検討を重ねてきた。

土浦市加わり3市町が共同発注

連携形態は、経営統合や一部施設の共同設置、事務の広域的処理など様々だ。先駆的な例として、かすみがうら市と阿見町の共同発注があるが、4月から土浦市も加わって3市町による広域連携に拡大された(同課)。

共同発注は、窓口、検針などの業務を複数市町村が共同発注することで委託費の削減を図るもので、設備投資などを必要としないことから、経費の削減効果が期待できる。しかしメリット論は認識しつつも、市町村間の広域連携に対する認識の相違から具体的な取り組みは進んでいないのが実情だ。

打開策を模索する県は、市町村との勉強会などを通して、組み合わせ市町村を”打診”するなど、個別的な市町村への調整と支援に乗り出しており、「広域連携は、水道事業の基盤強化を図る上で、有効な手段の一つ。事業の持続可能性に資する広域連携の取り組みを、市町村と共に推進していく」(県議会における保健福祉部長答弁)と、意欲的な姿勢を示している。

コンセッション方式は慎重

官民連携では、水質検査、浄水場の運転管理業務や水道料金徴収業務などの民間委託があるが、運営権を委ねるコンセッション方式については、人件費削減などの財政負担の軽減は期待できるが、業者が破綻した場合、事業継続が不可能になりサービスが低下、料金値上げの懸念など課題も多く、県は導入に慎重姿勢を崩していない。

水道事業はライフラインの中枢を担う事業だけに、広域連携をめぐる議論はさらに活発化しそうだ。

《土着通信部》39 霞の向こうの赤い月 6月の天文暦

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【コラム・相澤冬樹】写真はコロナではない。霞ケ浦から昇る月、夏至に一番近い満月を「ストロベリームーン」と呼ぶと聞いて、2年前の6月、土浦市蓮河原の湖畔まで行ってカメラに収めた。

しかし月はいつだって、赤く染まって地平から昇ってくるものだ。地平線近くにあるとき、月の光のうちの波長が長い赤い光が吸収されずに残ることで深紅に見える。6月の月に特有の色彩ではない。

霞ケ浦の土浦入りでは春以降、東方に低く雲が霞んでかかるようになるから、梅雨時に、これだけの月の出が見えることの方が貴重といえる。2年前は写真のシーンから1分後に、月は雲間に隠れてしまった。

月食も日食もある西の空

今年6月の満月は6日で、土浦では午後6時18分ごろが月の出の時間となるが、実は同じ日の早朝、半影月食が見えるとの予報がある。食の始まりは午前2時43分ごろで食の最大は同4時25分ごろ、月に地球の半影(真影ではない)がかかる半影月食だから、食が分かりにくい上、午前4時30分ぐらいには月没の時間となってしまうため、天体ショーとしては派手さに欠ける。

そして半月後の21日には、新月となった月が太陽を隠す日食が起こる。アフリカからアジアにかけての一部の地域で金環食となるが、日本では午後4時~6時ごろに部分食が見られる。最大食分は那覇で約0.84、東京で約0.47、東日本では半分も欠けない。

この日は夏至で、晴れさえすれば観測時間は長いが、よく見えないから、と太陽を直視してはいけない。日食グラスなど専用の観察器具を正しく使って、安全な方法で観察したい。コロナは危険(!)なのだ。

半影月食も部分日食も西に傾いた空の観望となる。5月まで西の空で光り輝き、主役を務めた「宵の明星」金星は6月4日に「内合」となる。太陽と地球の間に位置を移して、少し見にくくなる。

代わって西の空に存在感を増すのが水星で、4日には見かけ上、太陽から最も離れて(東方最大離角)夕方見つけやすくなる。水星は18日には「留」となって見かけの動きを止める。こちらも太陽近くを見ることになるので、観察には注意したい。

入梅は暦の上では10日。関東甲信の梅雨入りは平年なら6月8日ごろ、今年は7日ごろと予想されている。あすから6月、天体観望には空模様が気がかりだ。(ブロガー)

《令和楽学ラボ》7 コロナ禍の保育園事情

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みらいのもり保育園の室内

【コラム・川上美智子】4月に開園したばかりの本園は、予期せぬ新型コロナウイルス感染症の流行に遭遇し、竣工式も、入園式もすべて中止し、4~5月は、感染予防・感染防止対応に終始しました。特に、首都圏通勤者の多いTX沿線のつくば市などは、4月2日に、知事より不要不急の外出自粛要請が出て、にわかに危機が迫ってきたことを感じ、対策の強化を余儀なくさせられました。

当園では、4月中旬に風邪症状を示す園児が10名前後も出て心配をしましたが、子どもたちは間もなく回復し、コロナではなかったのだと安堵しました。その後、政府の緊急事態宣言などを受け、小学校の休校や保育園の登園自粛などが出されましたが、保育園も、併設の児童クラブも、働く保護者がいる限り休園はしない方針で、保育士始め全職員が前線で頑張ってきました。

もとより、保育園は、新型コロナウイルスに限らず、感染症の宝庫で、次々と子どもたちが病気を持ち込むのが当たり前の場です。また、保育室の中で、子ども同士、保育者と子どもの間の密な環境を避けるのは、ほぼ不可能です。

そのため、感染症が広がらないように、園をつくる段階で、いろいろ感染症対策や安全対策を講じてきました。従来の次亜塩素酸ソーダによる消毒、アルコール消毒に加え、次亜塩素酸水製造装置の導入、非接触型の体温計の利用、おしぼり製造装置の導入、哺乳瓶殺菌庫、玩具のUV(紫外線)殺菌装置、HACCP(危害要因分析必須管理点)に準じた厨房装置などなど、出来る限りの装備をして保育を行っています。

2波、3波が来たときどうするか

保護者や訪問者には、マスクの着用、ハンドソープ、使い捨てペーパータオルを使った手洗とアルコール消毒をお願いしています。それでも、外から持ち込まれる感染症を予防することは難しい状況です。今後、第2波、3波が来たときどうするか、課題は残ったままです。せめて、PCR検査や抗体検査がスムーズに受けられる環境を国や県にはつくっていただきたいものです。また、治療薬やワクチンの早期開発が待たれるところです。

このような中でも、子どもたちは園での生活を楽しみ、成長し続けています。4月には鯉のぼり、5月にはお池の生き物の、大きな作品づくりにみんなで挑戦しました。この子どもたちが、安心して生活できる日常を早く取り戻したいと願うばかりです。(みらいのもり保育園園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

参加事業者募集 県産品販促キャンペーン 2割引でお取り寄せ

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24時間年中無休で注文を受け付ける「いばらき県産品お取り寄せサイト」

茨城県観光物産協会(会長・大井川和彦知事)は、「いばらき県産品販売促進キャンペーン」の参加事業者を募集している。

新型コロナウイルスの自粛生活に伴う消費低迷などから、販売機会が減少している県内事業者(生産者)の販売活動を支援するのが狙い。

同協会が運営する、県内の名産品などを取り扱う通販サイト「いばらき県産品お取り寄せサイト」を活用する。事業者には店舗登録料、商品登録料、販売手数料などに県から補助があり、消費者は価格の2割引で購入できる。

参加希望事業者の募集は、5月から始まったばかり。同協会は名産品や特産品の魅力が伝わるサイトへリニューアルしたり、販売商品を増強するなど意欲的。応募資料は「観光いばらき」ホームぺージでダウンロードできる。

売り上げ低迷の商品を県職員が購入支援

同協会はさらに、「いばらき応援!キャンペーン!」と銘打ち、イベントの中止、販売店の自粛などから売り上げが著しく低迷している事業者を応援するため、県庁生活協同組合と協力し、県職員向けの販売支援に乗り出した。

県庁の生協システムを利用し、在庫を抱えてしまった商品などを割引価格で県職員に販売することで事業者を応援しようという試み。

第1弾は、煎餅・おかきセットのほか、国営ひたち海浜公園のネモフィラをイメージした創作菓子、バウムクーヘンなど5品目。現在、予約を募集中で6月からは第2弾が予定されている。

県産品販売促進キャンペーン、茨城応援キャンペーンとも、詳しい問い合わせは県観光物産協会(電話029-226-3800)。

《食とエトセトラ》3 萌木色、鶸色、若菜色、若苗色…

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目には青葉…筑波大学構内

【コラム・吉田礼子】先日、筑波大学構内と土浦市水郷公園をドライブした。新緑の美しさ、季節の移ろいや自然の再生する力に、活力が湧き起ってきた。コロナ禍で外出を控えていたが、買いものをして遠回りの寄り道。視界に入って来るもの、みな麗(うるわ)しい。

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」。山口素堂の俳句が頭を過ぎり、日本に生まれ育ってよかったと改めて感じ入った。若いころは、どの季節が好きかと聞かれると、四季それぞれのよさがあって、どれが一番などと言えなかったが、今は確信をもって春と答える。

桜の花が満開になり、散り始まると、葉桜が芽吹き、いよいよ新緑が始まる。萌木色(もえぎ色、緑 の萌え出ずる色)、鶸色(ひわ色、雀の種類で羽の色が薄黄緑)、若菜色(わかな色、春の七種)、若苗色(わかな色、田植えの早苗の色)など、繊細で微妙な色の違いや色名を教えてくれる本(『日本の色辞典』) と巡り会えた。

 先日、NHK BSプレミアムで、染色家・吉岡幸雄さん出演の「失われた色を求めて」が放送された。吉岡さんは、古代から日本人が愛(め)でた色を草木や自然界の染料・顔料を使って再現、2000年に『日本の色辞典』を発表した。17年に放送された番組が先日再放送されたが、昨年9月、73歳で急逝されたとのこと。胸が痛くなった。

日本ならではの色彩感覚は海外でも注目され、英国の博物館でも吉岡さんの作品の展覧会が1カ月以上開催された。

紅絹、古代紫、黄八丈、弁柄、堆朱

私が色に強く興味を持つようなったのは、小学5~6年生のころ。国語の教科書に玉虫厨子(たまむしのずし)の物語が載っていたことによってだった。玉虫色はどんな色なのか知りたくて、母に聞いたり虫の図鑑で調べた。

母や周りの大人たちが話している色が面白い。着物で、藍染(あいぞめ)、紅絹(もみ)、古代紫(こだいむらさき)、黄八丈(きはちじょう)。塗り物で、溜(ため)ウルミ、弁柄(べんがら)、黒柿(くろがき)、堆朱(ついしゅ)、青磁(せいじ)、白磁(はくじ)、赤絵(あかえ)など、生活の中にあった彩、優しい響きの色名も、大切な日本の文化だと思う。

生活様式の変化や技術革新などにより、自然由来の染料や材料の入手が困難になり、絶滅の危機すら感じる。国を挙げて、文化遺産継承として歌舞伎などと同様に保護していく必要があるのではないか。  この2カ月、コロナ禍で不自由なこともあったが、新発見もあった、人の温かさ、優しさ、家族の絆。そしてテレワーク…。face to faceの大切さも感じた。これから経済は、予期せぬ展開もありそうで、予断を許さないと思うが、心を合わせて乗り切りましょう。(料理教室主宰)

休校中の中学校駐車場に不法投棄 つくば市の歴史緑空間用地

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不法投棄された現場の写真(つくば市提供)

つくば市は28日、同市さくらの森、市立桜中学校西隣の駐車場に、大型ダンプ3台分の土砂やがれきなど約30立方メートルが不法投棄されたと発表した。

駐車場は普段、生徒を送迎する保護者などが利用している。休校中は車の出入りがあまりなかったという。

市公園・施設課によると、26日に桜中の教員から通報があり、不法投棄が分かった。同中は22日に異常がないことを確認しており、22日夜から25日朝までの間に投棄されたとみられるという。

駐車場の出入口は、鎖で施錠しているが、当時は施錠されてなかったという。

同市は28日、つくば警察署、県県南県民センター環境・保安課と現場確認を実施した。今後さらに、がれきの成分調査を行った上で、市が撤去する予定だ。

同駐車場は、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の一つ、中根・金田台地区内の国指定史跡、金田官衙(かんが)遺跡周辺にある。将来、緑地公園などとして整備する「歴史緑空間用地」だが、現在は中学校が駐車場として利用している。

市では29日に、再発防止用の看板を設置するほか、今後、防犯・環境美化サポーターによるパトロールを強化する。防犯カメラの設置も予定している。

笑顔になるカヌー体験 土浦ラクスマリーナ、土日限定の予約プラン

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「誰でも楽しもう霞ケ浦」でのカヌー体験の様子=昨年5月、ラクスマリーナ(土浦市川口)

【田中めぐみ】緊急事態宣言の全面解除を受け、子どもたちに少しでも笑顔になってほしい―と土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)がカヌー体験プランの提供を始めた。受付の換気やパーテーション、手指の消毒など感染対策を徹底し、5月から11月までの毎週土曜日と日曜日に実施する。

体験時間は漕ぎ方の練習を含めて1回45分。密集を避けるために1回につき3家族までの完全予約制となる。料金は子ども500円、大人800円(保険料、税込み)。足湯やシャワーもあり無料で利用できる。

ラクスマリーナでは2005年から年に4回「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦主催)という乗船体験イベントを開催してきた。障害の有無や年齢にかかわらず霞ケ浦に親しんでもらうことを目的としており、参加者はカヌーやカッターボートなどさまざまな種類の船に試乗できる。親子連れを中心に人気を集め、昨年5月の同イベントには約270人が参加。今年5月にも61回目の開催が予定されていたが、新型コロナの影響で中止せざるを得なくなった。7月、10月に予定されている同イベントも開催できるか見通しがたたないため、代わりとして少人数制のカヌー体験プランを企画したという。

同社の秋元昭臣専務は「子どもたちに少しでも元気になってほしい。カヌーに乗ることで霞ケ浦に興味を持つきっかけになれば。自分たちが飲んでいる水の水源でもあるのだから」と話す。

カヌー体験だけでは物足りない人に、追加料金500円でエンジン付きゴムボートに試乗できるオプションも準備。また、お弁当を持参すれば、体験の前後に施設内の芝生やテーブルを利用してピクニック気分も味わえるという。施設利用料が別途必要となるが、バーベキューやキャンプをしたり、レンタサイクルでりんりんロードを巡ったりするのもお勧めだという。

体験は毎週土曜日・日曜日の午前10時~10時45分、午前11時~11時45分、午後1時~1時45分、午後2時~2時45分の4回実施。それぞれ先着3組まで。 予約・問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)メール:info@lacusmarina.com

保育ボランティア89人の個人情報 つくば市が誤送信

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つくば市役所

つくば市は27日、幼児を対象にした家庭教育学級の保育ボランティア89人の氏名、性別などの個人情報を、誤って国等の18研究機関に電子メールで送信し、個人情報を漏えいしてしまったと発表した。

同市教育局生涯学習推進課によると、研究者が小中学校などで出前授業をする「科学出前レクチャー」について、市内18の研究機関に対し4月10日午後3時ごろ、講師となる研究者がボランティア保険などに加入するための書式を、電子メールで送信したところ、過去に使用した別の事業である家庭教育学級保育ボランティアの情報が、非表示状態で残っていた。

5月26日午前10時ごろ、1研究機関の担当者から「個人情報のデータが入っていた」と電話連絡があり、漏えいが分かった。発覚後、18機関に連絡し削除を依頼した。17機関は個人情報が含まれていたことに気付かなかったという。

漏洩したのは、保育ボランティアを2019年度に実施したうちの89人の氏名と性別。一部についてはメールアドレス、生年月日、郵便番号も記載されていた。同市は27日までに89人に電話連絡し謝罪した。

再発防止対策として市は、今後は、データを送付する際は新規に作成した書式を使用し余分なデータが含まれないようにする、データを送信する際は職員2人以上がチェックするとしている。

《ひょうたんの眼》27 三密を避ける新しい生活とは

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【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染症の拡大対策のため、小池都知事が隣接県の知事に呼び掛けた。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県による首都圏知事の対策会議である。このニュースに違和感を覚えた。茨城、栃木、群馬が入らないで、山梨が首都圏か? 問題の本質から外れるが、茨城県人としては心穏やかではない。ちなみに、東京駅あるいは皇居を中心に同心円を描くと、一番遠いのが山梨県である。

話を感染対策に戻すと、大都市の隣接県で危険なのは、通勤電車の混雑である。東京一極集中の象徴で、三密の極みであろう。大体、ウイルス感染以前に、ラッシュ時の密着度はもともと異常なのだ。座ることも出来ず、下手すると痴漢のえん罪も受けかねない。輸送態勢の強化・改善、時差出勤の徹底、職場の郊外移転、勤務時間の短縮―。日本人の年間労働時間をヨーロッパ並みにすることだ。

次は、学校だ。1学級の定数を減らす。小学校だと、15人ぐらいが最良だと聞いた。さらに、児童生徒を、過重な受験勉強から解放してあげられないか。小学生がなぜ満員電車やバスで通学しなくてはならないのか。義務教育期間に、児童生徒が身につけなくてはならない学力はどれだけなのか。

受験のためだけの知識・技術は、その後の社会人として必要な知識なのか。絵画や音楽を楽しむことが主体の部活ではいけないのか。スポーツも楽しむ程度ではいけないのか。日本語の豊かさは、スポーツで「勝負」と言わずに「試合」という。金メダルだけが価値があるような風潮は疑問だ。

医療介護体制整備が喫緊の課題

それにしても、三密を避けるのが感染症対策の基本なのだろうか。親子・家族の関係は、会話と接触抜きに成り立たないだろう。友人関係だってある意味三密が無ければ、空々しいものになる。

特に、子どもの世界はより大切だ。会話力と共に育つ思考力、社会性。夫婦や恋人関係だって、コミュニケーション不足が不幸を生む主因なのは明らかだろう。特に日本人は下手なのだ。ついでに、三密の象徴になっているような飲み会を、この際、職場のお付き合いから家族ベースに直したらよいのではないか。変化してきているとはいえ、夜の街は男性社会の象徴なのだから。

検査体制を確たるものにして三密を取り戻している国が台湾だ。医療サービスも介護サービスも三密抜きに成り立たない。ここは、サービスの受け手も提供側も対象者全員の検査をして、対応すべきだ。

第2波、3波の流行や、別の感染症だってあるかもしれない。医療介護体制の整備が喫緊の課題だ。そのためには、施設整備が必要であり、従事者の確保が必要だ。さらに、従事者の給与・待遇の改善が必要だ。政府は、社会保障費の削減を指向し、この部分への支出を抑え込んできた。今こそ、命と生活を守る政治に180度変更すべきだろう。(土浦の地図愛好家)

使いこなしへ踏み出そう 孤立する在宅高齢者の情報化支援 つくば

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地域団体の仲間とオンラインで話し合う前田さん=つくば市大角豆のビーンズ地域総合ケアセンターで

【池田充雄】新型コロナウイルスの感染拡大で、社会全体がリモートワークに移行する中、取り残されつつあるのが情報弱者である高齢者たちだ。高齢者の社会活動を支援する市民活動団体「UDワーク」(つくば市大角豆)は、シニア支援型オンラインサロンの開設プロジェクトにクラウドファンディングを立ち上げ、26日までに第一目標金額の100万円を達成した。

オンラインサロン体験会を開催

外出自粛が求められ、地域活動などが軒並み中止に追い込まれるなか、特に独居高齢者を取り巻く環境は厳しさを増した。感染リスクを恐れて介護保険サービスなどの利用を控え、家族との行き来も極力減らし、孤立した生活が続いている。このままでは体力や認知機能の低下など、健康を損ねる懸念が大きい。UDワーク代表の前田亮一さん(43)は、スマートォンやタブレットなどの情報端末こそが、孤立しがちな独居高齢者の新しい命綱になると訴える。

「操作が難しい」「費用が高額では」という思い込みから、高齢者はこれらの機器を遠ざけがちだが、はじめの一歩を踏み出さない限り、情報弱者の状況は改善されないと考えている。

一番の難点が初期設定の大変さだ。販売店によるサービスもあるが、見ず知らずの人に教えてもらうのは高齢者にはストレスが大きく、やはり家族や身近な人の手助けが必要になる。家族が遠方にいるとか感染防止のため来られない場合は、普段から交流のあるデイサービス、ホームヘルパー、訪問リハビリ等のスタッフがサポートしたい。「今は災害時と同じ。制限ある中でやれることを考え、動ける人が動くことが重要」と前田さんは提言する。

アプリの設定まで済ませて高齢者に渡し、利用する手軽さや楽しさを味わってもらえれば、後は自然に操作にも親しめるようになるという。

心理的障壁を乗り越えるための多くの提案をするなか、UDワークでは、スマホ等を使ったオンラインサロンとはどういうもので、何ができるのかを知ってもらおうと、5月から体験会をスタートさせた。

その1つ「健康のイロハ」では、せせらぎ在宅クリニック(つくば市天久保)の清水亨医師が、コロナ禍における生活のポイントなどを指導した。さらに参加した近隣の高齢者や民生委員、見守り支援員、地域包括支援センター相談員らが、現在の生活の悩みを話し合うなどした。

使ってみて前向きな気持ちに

使用するアプリには、LINE(ライン)のグループビデオ通話機能を勧める。これは料金面からの理由もあるが、最大の理由はワンアクションで利用できる容易さだ。着信が来たときに画面上に現れる緑色のボタンを押すだけで、電話に出るのと同じ感覚でビデオ通話を始めることができる。ビデオ通話は、家族や友人と離れていても顔を見て会話することで、相手の存在を身近に感じられる。遠隔での安否確認の際にも、得られる情報量は電話より格段に増え、緊急時のサポートもしやすくなる。

料金的には、LINEモバイルのSIMカードの利用を勧める。月額600円から(税別)のプランがあり、LINEアプリによる音声通話とビデオ通話、テキストや音声、画像など各種データファイルの送受信が使い放題になる。

「自分にはとても使いこなせない」との思い込みが強かった高齢者も、一度体験すると意識が大きく変わるという。「孫の元気な姿を見られて自分も元気が出た」「いままでは必要性を感じなかったが、こういう使い方ができるなら始めてみたい」と前向きになれ、「特技を生かし、オンラインで子どもたちに英語を教えたい」などと新たな目標を見いだした人もいる。

使い方の工夫も生まれた。一例がリモートお散歩会だ。友人と同じ時間に外へ出て、各自が好きなコースを散歩しながら、オンラインで会話を楽しんだり、花などの写真を撮って見せ合ったりする。「やってみると意外に面白い。これなら一人だけの散歩でも楽しく続けられる」との感想が出たそうだ。

今後は行政・医療・介護等と手を組み、高齢者向けの体験会や個別サポートを充実させ、支援の輪を広げていく考え。また市民サークルや地域団体などに対しても、活動をオンラインで再開できるよう後押しをする。

クラウドファンディングページのトップ画面

クラウドファンディングは26日に第一目標金額の100万円を達成、ネクストゴールを120万円に設定して6月5日まで支援を受け付けている。支援金を貸し出し用タブレットの購入や、コンテンツ作成費用に充てると同時に、活動の意義を全国に訴え、ネットワークを広げる場としても役立てたいと前田さんはいう。

「新型コロナウイルスの怖さは、地域のコミュニティーを分断し、生きる力を弱めてしまう点にある。これまで参加してきた活動やつながりを新しい形で取り戻し、みんなで頑張ろうと励まし合って、この難局を乗り切っていけると信じている」(前田さん)

解雇や雇い止め深刻化 連合茨城 緊急労働相談第3弾

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緊急労働相談は現在、第4弾を実施中=連合茨城

【山崎実】新型コロナウイルスに伴う緊急労働相談を3月から実施している連合茨城は、4月13日からGW期間中の5月1日までの第3弾相談の開催結果をまとめた。

相談件数は143件(稼働日14日、1日平均10.21件)で、年齢別では50歳代が18件、60歳代が14件を占め、男女別では男性61件に対し、女性は82件と21件も多かった。業種別ではサービス業の19件をトップに、医療福祉11件、飲食宿泊9件、製造、卸小売り7件と続く。

ハードル高い雇用調整助成金

相談内容の特徴は、解雇や休業などが日ごとに増えてきているが、国の各種助成制度を利用しない企業があり、大学生などはアルバイト先を失い、親も援助ができなくなっている現実が浮き彫りにされたという。

具体的には「学校給食関係に勤めているが、休校で仕事が激減した。会社からは正社員には補償があって、パートにはないと言われた。このままでは生活できない」「運転代行業をしている。仕事がない。このままでは生活できない。国や県の制度を利用できないか」「会社から、5月以降は仕事がないので辞めてほしいというようなことを言われた。雇用調整助成金の話をしたら、考えていないと言われた。自宅待機、賃金未払いとなる。諦めるしかないのか」など、生活に直結した相談が相次いだ。

相談内容も、休業補償に関するものが33件で最多。次いで、解雇・退職強要・契約打ち切り・内定取り消しが25件、労働・雇用契約・就業規則10件、賃金9件、有給休暇5件などとなっている。

多くの事業所が休業に追い込まれているが、法に基づいて休業手当等を支払っている事業主は少ない。事業主の都合で休業して従業員を休ませたときに「最低でも6割の休業補償を支払わなければならない」ことを知らない事業主もいる。真剣に雇用調整助成金制度を利用しようとする事業主がいる一方で、従業員から制度の利用を提案されても検討しようとしない事業主もいる。零細企業にとっては制度そのものが複雑で、社労士などの専門家を頼らないと利用できないことにも問題があるという。

連合茨城は「これからは休業手当ての未払いに加え、雇用問題が深刻化することは明らかで、解雇や雇い止め、派遣切りなどが多発するものと思われ、ケースによっては労働組合を結成して、会社と交渉することも考える必要がある」と危機感を募らせている。

緊急労働相談は現在、第4弾を実施中で、18日から当面の間(土、日、祝日は除くが、30日の土曜日は開催)としている。相談時間は、朝9時~夕方5時半。電話フリーダイヤル0120-154-052。メールはinfo@ibaraki.jtuc-rengo.jp。詳しい問い合わせは電話029-231-2020。

生活福祉資金の貸付、倍増の勢い つくば市社協

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生活福祉資金、倍の勢いで増加

【山口和紀】新型コロナウイルスの影響から生活に困った人に少額資金を貸し付ける緊急小口資金制度、つくば市では申請が3月下旬から始まり(4月14日付)、4月以降利用者が急増、5月は前月の2倍を超える勢いで増加していることが分かった。他方、つくば市の生活保護の相談・申請件数は微増に留まり、踏みとどまっていることもうかがわれた。

同制度は、20万円を限度に無利子で貸し付けを受けられるもので社会福祉協議会が実施している。新型コロナウイルス対応のため特例という形で、3月に利用条件が緩和された。同市社協によると、緊急小口資金の申請件数は、3月は11件、4月が128件、5月は15日までの半月で152件だった。条件緩和のため単純に比較することはできないが、昨年度の同市の申請件数は年間を通じて3件しかなかった。

緊急小口資金の利用が急増する一方で、生活保護は4月末時点で微増の傾向だ。同市によると、生活保護制度の申請件数は3月が16件(前年度平均比107%)で4月が17件(113%)だった。全国的には東京都23区や横浜市などで、生活保護の申請件数が増加していることが報道されている。

経営悪化、しわ寄せは従業員へも

つくば市の経済に及ぼした影響をみると、茨城県の緊急事態宣言発令は4月16日だったが、それ以前から経済への影響は深刻だった。市が市商工会員などを対象に、3月19日から4月3日に実施した新型コロナウイルスに関する影響調査によれば「売り上げが20~50%低下」した事業者が42%あった。感染が長期化すれば「従業員の解雇や廃業を検討する」との声もあった。

4月に入ってからは、初旬から市内の大型商業施設が休業した。筑波山の観光ホテルや旅館も4月初旬から休業状態となり、ゴールデンウイーク前の25日から5月17日まで筑波山の駐車場は封鎖された。市内の飲食店も軒並み休業や短縮営業を行った。

《県南の食生活》13 新茶の季節

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畑の縁に植えられた茶の木:手前

【コラム・古家晴美】茨城県でもようやく緊急事態宣言が解除されましたね。油断は禁物ですが、ホッと一息、新茶を楽しまれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今年の八十八夜は、5月1日とのことです。緑茶はよく飲むけれど、茶葉は購入するという方がほとんどだと思います。しかし、昭和30年代ごろまでは、どこの家でも家庭で飲む茶葉を自給していた地域がありました。

ここで取り上げるのは、牛久市下根(しもね)・東猯穴(ひがしまみあな)・島田地区の自家用茶の栽培と製造です。5月上旬に1日がかりで1年分の茶を摘みます。隣近所の人々とユイ(労働交換)で互いに協力しながら行うこともありました。

茶の木の上の部分の新芽は腰をかがめて摘むことができましたが、下の方は座らねばなりません。その際は、俵(たわら)の側面の円形部分のわら細工をお尻に敷いたこともあったとか。摘んだ新芽はチャブカシという竹で編んだ蒸籠で蒸してから、ホイロ(焙炉、紙製やトタン製などの乾燥炉)の上にあけ、下から間接的に加熱しながら、茶葉が針のように細くなるまで手で揉(も)みあげるという、気の遠くなるような作業が必要でした。

その後に乾燥させて仕上げるのですから、一連の工程は、夜明け前に始めても終わるのは日暮れ後という、非常に手間のかかるものでした。特に茶を揉んでほぐす作業は、暑くなり始めた季節に火の前で行わねばならなかったので、大変な重労働だったようです。茶摘みは女性、手揉みは男性の仕事でした。

お茶を飲みながら新緑を眺める

平成に入ってからもしばらく、このような自家用のお茶を栽培していた農家もあったそうです。畑のまわりに植えられた茶の木は、飲用以外に畑の土の飛散防止にも役立っていました。自家用の茶を飲まなくなってからも、茶の木を防風用に残している農家もあります(『下根・柏田・東狸穴の民俗』『島田の民俗』)。

このような自家用の煎茶の栽培・製造は、関東各地で行われていました。しかし、昭和16年に、北海道から沖縄まで全国58カ所で行われた「食集調査」によれば、半数以上の28カ所で自家用の茶を製造していますが、西日本の大半の地域では、自家用の茶としては番茶を製造していました。

地域により若干の違いはありますが、自家用の「番茶」とは、「煎茶」に使う新芽を刈り取った後に出てきた2番茶・3番茶を刈り取り、ホイロを使った丁寧な手もみは行わず、干して保存し、必要なときに煮出して飲むものです。これらの番茶は、飲用以外に茶がゆや茶漬けなどに用いられてきました。

テレワークから徐々に日常生活へと戻りつつあるこの時期、お茶をいただきながら新緑を眺めるのもよいのでは。(筑波学院大学教授)

7世帯に計210万円を重複振込 つくば市 1人10万円の給付金

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つくば市役所

新型コロナウイルスの緊急経済対策として1人一律10万円を支給する特別定額給付金について、つくば市は26日、7世帯に計210万円を重複して振り込んでしてしまったと発表した。同市は25日、7世帯に連絡し謝罪した。今後、返金してもらう。

市総務部臨時給付金室によると、25日、振り込みを受けた1人から、重複して振り込まれていると連絡があった。

調査の結果、受け付けを開始した1日に、マイナンバーカードによるオンライン申請をした7世帯に、二重に振り込んだことが分かった。14~18日の間に1回目を振り込み、25日に2回目を振り込んだ。いずれも、1日に申請を受け付けた後、5月中旬ごろ再び申請があった世帯だという。

オンライン申請をめぐっては、全国各地で重複申請や誤入力などが多発している。申請しても振り込まれるまで日数が掛かることから、再び申請してしまうケースが多発しているとみられる。

重複申請のチェック体制について市は、2日からは表計算ソフトを活用し、チェックできるシステムを整えたが、初日の1日はまだソフトが完成しておらず、目視で照合していたため突合点検に漏れが生じたとしている。初日の1日には計947件のオンライン申請があった。

新型コロナの影響 知的障害者の学びの場にも つくば

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シャンテイつくばの広報誌

【川端舞】知的障害者などに高校卒業後の学びの場を提供する「福祉型専攻科」にも、体験活動の場が限定されるなど、新型コロナの影響が出ている。現状を、つくば市天久保の福祉型専攻科シャンテイつくばのスタッフである磯京子さんに聞いた。

直接会う機会が減る懸念

大学進学率が50%を超える現在でも、知的障害者の高校卒業後の進路は一般的に就職か福祉的就労しかなく、進学という道はほとんどない。福祉型専攻科シャンテイつくばは、高校を卒業した知的障害や精神障害を持つ人に青年期教育や文化的経験を提供する福祉事業。NPO法人茨城の専攻科を考える会(守谷市)が障害者総合支援法に基づく自立訓練(生活訓練)として行っている。

施設は現在、手洗いやマスク着用を徹底したり、今まで学生と一緒にしていた給食の配膳をスタッフのみでしたりするなど、感染予防に努めているが、それでも通学に不安を持つ学生もおり、緊急事態宣言が出た直後は、約15人いる学生の中で5人休んでいた時期もあった。休んでいる学生は家族に手伝ってもらいながら、オンライン通話で授業に参加している。

シャンテイつくばでは、スポーツをしたり、「おしゃれ」を体験したりなど、月ごとの授業の内容を学生たちが話し合いにより決めている。授業内容によっては外部から講師を呼んでいたが、感染拡大後は、外部講師は取りやめ、オンライン通話で授業をしてもらうなど、可能な範囲で対応している。また、卒業後も地域で生きていくために、週に一回、プールなどに公共交通機関を使って行ったり、月に1回は、学生たちが自ら計画を立て、つくば市内や都内の公共施設などに出かけたりする授業もあったが、感染拡大後は公共の場での学習は取りやめている。

「県内は感染が収束に向かったようだが、再度感染が広まって、学生と直接会う機会が減ってしまうと、今まで学生との間に築いてきた関係性が切れてしまわないか不安」と、磯さんは語った。

家族と離れる時間を保障するには

シャンテイつくばに通う学生の保護者でもあり、自身も知的障害者のバスケットボールチームの代表をしている福原美紀さんは「外出自粛の中で、重度の知的障害者はオンライン通話でのコミュニケーションも難しい。ずっと家族だけと接することになり、本人も家族もストレスが溜まってくる」と心配する。その上で、福原さんは「障害者の余暇活動の場を増やすことで、本人と家族が離れる時間をつくることの大切さを改めて感じた」と語った。

《続・平熱日記》62 ネット授業は苦手 黒板が恋しい

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【コラム・斉藤裕之】ついにネットで授業をする羽目(はめ)になってしまった。羽目という言い方は先生としてどうかと思うが…。まず一度に数百人を相手にするので、双方向のやりとりは無理。生徒の顔も見えないし、反応がない画面に向かって冗談を言う気も起こらない。

思った通り美術という分野はネットに向いていない。テクニックやハウツーを学ぶのにはネットで十分なのかもしれないが、そもそも失敗や工夫をしてなんぼの世界。先生はむしろ絵の上手い隣の〇〇君だったりする。美術の先生はインストラクターではないのだ。というか、私自身が普段特に何も教えていないことがバレてしまう。

学校にいると、いわゆる若者言葉を耳にすることがある。何の意味か分からないまま、特に気にすることもない。ところが、最近珍しく聞いた瞬間に意味が推測できる言葉と出会った。「エモい」だ。もしかして「エモーショナル、感情的」という意味?

学校再開までに「なんでもいいから絵を1枚描いてこい」でいいと思うのだが、昨今の教育は妙に過保護だ。それでも何とか授業をしなさいということなので、高校生に「表現」について一席ぶった。

心が動かされることが表現のきっかけとなる。しかし、それを表現たらしめるには理性的な構築の過程が必要となる。こんな話を、「エモい」とその対語として理性的、合理的なという意味のラショナル、「ラショい」という造語を使って説明してみた。

無観客、完全アウェイな感じ。伝えられないことのもどかしさ。黒板が恋しい。頭の中を南野陽子の「吐息でネット」のメロディーが巡る。当時はインターネットがなかったので、このネットの意味は違うらしいのだが、正直「ネットで吐息」である。

表現のきっかけは「エモい」できごと?

ところが、学校が始まるは始まるで困ったことがある。例えば、間隔をあけて座ると教室に全員入れない。美術室は向かい合わせに座るので、多分使えない。共同で道具や絵具を使うことが困難。ならば外で風景画なら密にならない! しかし、これから梅雨に高温多湿の季節。

天井高のある美術室に足場を組んで、2階建てにして上と下に20人ずつというのはどうだろう…。いや、いっそ9月始業のついでに20人学級にするべし…。新しい生活様式は、学校をも劇的に変えるのかもしれない。

そんなある日の夕方、老犬と散歩していると、ふと道端に咲き乱れる外来種のけしが目に入った。「丘の上、ひなげしの花で…」。アグネスチャンのヒット曲が脳裏に浮かぶ。ひなげしの花びらって4枚? 明らかに占いに向いてない。

同様の発見をもうひとつ。南沙織の「十七才」という曲の発想を得た海は、沖縄でもハワイでもない。作詞家の故郷で私の故郷でもある「富海(とのみ)」というひなびた浜。親父がステテコでマテ貝を掘っていた海水浴場らしい。まさにシーズンオフには確かに誰もいない海だ。表現のきっかけとは、実に些細なエモいできごとなのかもしれない。なんだかばかばかしくて、気持ちが晴れた。

因みに、ネット授業は途中で抜け出してさぼってもわからないらしい。「サボる」はサボタージュからきた、元祖流行りの言葉である。(画家)

ワンチームで感染予防 土浦市消防本部、動画で市民にメッセージ

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左から持丸恒次さん、鈴木消防長、齋藤英雄さん=土浦市消防本部

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大に備え、土浦市消防本部(鈴木和徳消防長)は、救急隊員の厳重な感染予防対策を行う一方、「市民を元気づけたい」と動画を作成。市民との「ワンチーム」で危機に取り組んでいる。

救急隊員の徹底した感染予防

救急隊では「市民に新型コロナウイルスを広めないことが第一」(鈴木消防長)ながら、普段から感染防止対策をとって活動している救急隊員も最大限の防御を行っている。どのような状況の患者の搬送にも、隊員はN95マスク(米国労働安全衛生研究所認定の微粒子用マスク)、ゴーグル、手袋は2重、感染防護衣を上下身につけている。警防救急課課長補佐救急救助係長の齋藤英雄さんによると、感染を疑われた患者を何人か搬送したが、幸いすべての人が陰性だった。

消防署内では、危険区域と清潔区域をきっちり分けるゾーニングを採用しており、救急車が戻った場合、決まった動線を使う。救急車内はすべて消毒し、救急隊員は、慎重に感染防護衣を脱ぐ。脱衣時が最も危険だからだ。その後シャワーを浴びて、清潔な状態になってようやく建物内に入ることができる。

救急消毒室。救急隊員は、この中で着替え、シャワーを浴びてから建物の中に入る

鈴木消防長は「ゾーニングも、通常より増えている消毒作業も、完全な終息が来るまで続けていく。新型コロナウイルスで怖いのは急速な重篤化。移ってはいけないし、移してはいけないことなので、徹底して行う」という。

動画で市民にメッセージ

一方、土浦消防本部では市民に向けてメッセージ動画を作成、配信している。「こんなときだからこそ一緒にがんばろう」というメッセージで始まる動画は、19日時点で再生回数が2000回を超えている。

動画づくりを発案したのは、鈴木消防長だ。ちょうど外出自粛期間だったので、家で過ごす人が多く、たくさんの人に見てもらうチャンスだと思ったそうだ。安藤真理子市長に動画作成を電話で伝えたところ、すぐ「協力します」という回答をもらえたという。

自然災害では『自助・共助・公助』といわれる。新型コロナウイルスは感染症による災害ととらえる消防本部では「まずは自分たちで身を守る、共に助け合う。私たちが公助を担う」と考える。「感染症で自助は手洗いやうがい、共助はソーシャルディスタンス、そしてマスク。動画で、もうちょっとみんなで頑張ろうということを伝えたい」と語った。

動画は、警防救急課警防係の持丸恒次さんが作成を担当。撮影は、訓練の休憩時間やお昼休みを利用し、出動や勤務に支障のない時間に行った。編集は持丸さんが非番の日に行った。慣れていなかったため大変なところもあったが、「とにかく早く出したかった。市民もストレスが溜まっている状況、明るい話題があまりなかったので、逆手にとって明るく元気づけられればいいと思った」と話す。

フレッシュさを出すため出演する隊員は40歳以下に限定した。最初のうちは恥ずかしそうだったが徐々に慣れてきて、撮影に苦労はなかったという。同本部にはラグビー経験者が多いこともあり、ラグビーボールを隊員たちでパスしながら、「ワンチーム」を表現。動画の最後に組織の中枢である消防長ら幹部から安藤市長にボールをパスし、「土浦市としての統一感」を出したという。

空高く伸びたはしご車の撮影には、職員の私物であるドローンを使った。メーンは手洗い動画。持丸さんは「時間の関係でカットしている部分もあるが、正しい手洗いの参考にしてほしい」と話す。「ゴールデンウイークからの自粛が続いているため、市民の皆さんには自粛疲れもあると思う。いずれにしても長期戦になる。少しでも明るい形でメッセージが伝われば」(鈴木消防長)

➡動画 土浦市消防本部からの応援メッセージ

《邑から日本を見る》64 すべては1人から始まる

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【コラム・先﨑千尋】この18日、私はまずインターネットで、政府与党は検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案の今国会での成立を断念するということを知り、おやと思った。そのとき、とっさに思い浮かべたのは、本田路津子の「一人の手」(One man’s hands)という歌。澄んだ彼女の声が耳元によみがえってくる。

一人の小さな声 何も言えないけど
それでもみんなの声が集まれば
何か言える 何か言える
(訳詩:本田路津子 作曲:ピート・シーガー)

今月8日に30代の女性がツイッターで「検察庁改正案に抗議します」と投稿した。それが瞬く間に広がり、これまで政治的な発言をしてこなかった俳優の小泉今日子さんら芸能人らも加わり、最初はバカにしていた安倍首相も無視できなくなった。

15日と18日には、松尾邦弘元検事総長ら検察OBも反対の意見書を法務省に提出。世論調査でも反対が多く(朝日新聞では反対が64%)、国会での野党の反対の声も大きく、追い込まれた官邸は白旗を上げざるを得なくなった。ツイッターデモが始まってわずか10日のことだ。

「火事場泥棒」

「火事場泥棒」という言葉がある。混乱に乗じて、用心が手薄になったすきに他人の物を盗む輩のことだ。日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスの対策に追われており、いつ収束するか見通せない。ただでさえ対策で後れを取ったと批判されている我が国は、この際患者の救済や感染防止対策に全力を注ぐべきではないのか。そんなときに「不要不急」の法案をぶつけてくる。

そもそものきっかけは、報道されているように、今年1月に安倍内閣が、翌月に定年退官になる黒川弘務・東京高検検事長を8月まで定年延長したことに始まった。安倍首相は、黒川さんを次期検事総長にしたかったから。しかし検察庁法にはその規定はない。

折しも、国家公務員の定年を65歳まで延長する法案が検討され、どさくさに紛れ検察庁法も自分に都合のいいように変えてしまおう、そうすれば黒川さんの件も開き直れる、と安倍官邸が考えたことが混乱の大本である。

公務員の定年延長はだれも反対しない。問題なのは、当初はなかった「検事長などを内閣が認めればそのポストに留まれる」という特例規定が盛り込まれたことだ。時の政権に都合のいい幹部は続投させるというみえみえの「政権への忖度(そんたく)」条項。国会審議では、その基準はこれから作るという答弁しかなかった。

安倍政権は、これまで憲法や法律の解釈を自分に都合のいいように変え、とどめは準司法官と言われる検察官まで意のままに操ろうと考えた。それにストップをかけたのは、1人のツイッターでのつぶやき。本田路津子の歌が現実になった。

文春の衝撃的記事

話はそれで終わらない。21日発売の「週刊文春」は、やり玉にあげられている黒川東京高検検事長が新聞記者と、今月に入って2回も賭けマージャンをしていたという衝撃的な記事、写真を載せている。さらに同誌は、森雅子法相の近くでもきな臭いことが起きている、と伝えている。

安倍政権は末期症状。のたうち回り、悪あがきしているようにみえる。賭博を認めた黒川さんが辞めても、定年延長を強行した安倍首相の任命責任とこれから法案処理をどうするのかが問題として残る。小泉さんらの閣僚は、閣議で何も発言しなかったのかということも知りたい。

私たちも声をあげよう。主権者なのだから。(元瓜連町長)

車いすのまま着付けできます お出かけにフィット、つくばの着物工房

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車いすで着付けてもらう川島さん=4月1日、つくば市天久保「明日櫻」

【川端舞】車いすだと着物を着るのは難しい―との常識を覆す着物工房が2月、つくば市天久保に店舗兼スタジオをオープンした。楽着物工房「明日櫻」(朝倉早苗社長)で、同市の補助金を使ってトイレに手すりを設置するなどし、誰でも気軽に来られるようにしたという。

着付けには長時間立っている必要があるからと、着物をあきらめていた車いす利用者も多い。「車いすに乗ったまま着物を着られる」という宣伝を見て、この日店舗を訪れた川島映利奈さんもそんなひとり。「一回は車いすから降りる必要があるのだろう」と半信半疑だったという。

明日櫻の朝倉さんが、電動車いすに乗った川島さんに「ジャンパーだけ脱いでもらえれば、あとの服はそのままでいいですよ」と話しかける。短時間で着られるように開発された着物の説明をしながら、あっという間に川島さんを着付けていく。

一般の着物を上下2ピースに分けた作りで、下半身は巻きスカートの要領でマジックテープを留めるだけ。上半身は背中側が開いており、体の正面で腕を通し、背中側のファスナーで留めるため、車いすに乗ったまま無理なく着付けできる。背中側のファスナーで留める構造は特許を取得している。介助者と一緒に来店した川島さんだが、介助者の手を借りずに、浅倉さんとアシスタント1人の手によって、たった5分ほどで着物姿に変身した。

車いすでもベッドに寝たままでも着脱できる「早咲羅(さくら)」を開発し、販売・レンタルを始めてから5年。今年2月にオープンした店舗兼スタジオは、トイレもヘアメイクの部屋も車いすで入れるようにした。トイレに手すりを付けるために、つくば市の合理的配慮支援事業補助金も申請した。

この補助金はつくば市独自の制度で、商業者や地域団体が障害のある人に配慮するために必要な費用を助成する。折り畳み式スロープや筆談ボードなどの物品購入では最大5万円、段差をなくしたり手すりを付けたりするなど工事には最大10万円の補助が出る。2018年6月に開始された制度だが、同市によれば、これまで補助金により物品購入をした事業所と工事を施行した事業所が各2件にとどまるという。今年度は100万円を予算化、市のホームページなどで、市内の商業者や団体に制度の周知を呼び掛けている。

手すりを設けた店内のトイレ

店の入り口に段差が一つあるかないかで、車いすで店内に入れるかどうかが変わってくる。浅倉さんは「車いすで入れないお店もまだまだ多いが、車いすでも気軽に行ける場所が増えることで、歩けなくても生活に彩りが出るはず。そんな町の拠点にここがなれたら」と語った。

新型コロナウイルス感染予防のため来店は予約制にし、一度に店内に入る人数を制限している。来客の前後に店内をアルコール消毒や換気を徹底している。

➡「明日櫻」ホームページはこちら。電話029-852-9316

《食う寝る宇宙》62 人工衛星運用は大事な仕事

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【コラム・玉置晋】僕は人工衛星運用というちょっと特殊な仕事の近くで働いています。宇宙開発というと、ロケット打ち上げや衛星開発がニュースになりやすいですが、最も継続して絡むのは衛星運用です。

人工衛星運用で一番イメージしやすいのは、地上から衛星に命令を送る人でしょう。他にもいろいろな仕事があって、地上から衛星に向けてアンテナを動かす人、衛星がどこを飛んでいるか難しい計算をする人、衛星が正常に動作しているか専門的な知見をフル動員して確認している人(僕はこれね)、衛星から送られてきたデータを有益な形に加工する人―など、たくさんの人に支えられています。

僕が人工衛星運用という仕事を強烈に意識したのは、2003年10月、太陽で大爆発(太陽フレア)が連発したときでした。ハロウィンの時期に起きたので、宇宙天気界隈では「ハロウィン・イベント」と呼ばれています。このときの日本の衛星の通信途絶のニュースは、僕に衝撃を与えまして、「こりゃあ、宇宙天気的に人工衛星をまもらんといかんなあ」という思いを持って、今に至っております。

現代社会は衛星に大きく依存

人工衛星運用者は、社会の機能を維持する「エッセンシャル・ワーカー(Essential Worker)」です。現代社会は、地球観測や通信・測位をはじめとして、衛星に大きく依存しています。ゆえに衛星の運用体制は、縮小する可能性はあれど、継続させる必要があります。

コロナ禍で社会のみんながリモートワークに移行する中でも、人口衛星運用者は24時間体制でシフト勤務をこなしています。最前線でがんばっている彼らは(そして私も)、実に誇らしい仕事をしていると思います。どうか、みな元気にこの状況を乗り切りましょう。

人工衛星運用。地味だけど大事な仕事の一つとして、みんなに知ってもらいたいですね。(宇宙天気防災研究者)