火曜日, 6月 23, 2026
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常磐線スピードアップのカギは? 《茨城鉄道物語》20

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第2竜ケ崎街道踏切

【コラム・塚本一也】在来線の常磐線水戸~東京の最速ダイヤは75分です。新幹線ではありますが、宇都宮(栃木県)~東京は最速49分で結ばれています。このように時間距離が短いことで、宇都宮は東京通勤が十分可能な都市になっています。ちなみに、「水戸~東京:75分」を東北新幹線で探すと、「郡山(福島県)~東京:78分」に相当し、常磐線水戸~東京の時間距離がいかに遠いかが分かります。

都市間競争を考え、茨城の県都・水戸を東京通勤圏内とするには、常磐線の一層のスピードアップが必要となります。しかし、取手~東京においては、通勤時間帯にこれ以上ダイヤが入りません。根本的な解決策はバイパスをつくることですが、朝の通勤時間帯に1本だけ特急を走らせようとした場合、ホームに設ける柵など安全対策がネックになります。

茨城内の常磐線は踏切だらけ

取手以北の問題は踏切の数が多いことです。茨城県内の総キロ程数は180キロ669メートル、千葉県内のそれは23キロ940メートルですが、茨城の踏切数は167カ所(2020年現在)であるのに対し、千葉はなんとゼロなのです。千葉県内のキロ程は、ほぼ取手~荒川沖(26キロ340メートル)となりますが、その間に踏切は34カ所もあります。

千葉県の常磐線沿線自治体は、鉄道と道路の立体交差事業に積極的に取り組んできたわけです。千葉県は東京への通勤圏として人口が増加し、その通勤手段である常磐線の安全・安定輸送が課題でした。そのため、鉄道側は常磐線に緩行線を設けて複々線化し、千代田線との相互乗り入れも図りました。加えて、第2常磐線を計画し、つくばエクスプレス(TX)につなげたのです。

また、我孫子市や柏市などは、踏切事故があるたびに、その対策として立体交差事業を進め、「開かずの踏切」解消策として跨(こ)線橋などを地道に設置してきました。その結果、現在の輸送体制を築くことができたのです。

「開かずの踏切」解消は立体化が必要

これに対し茨城県内では、例えば友部駅構内の友部里道踏切など、大きな事故がありましたが、立体交差には至っておりません。通常、駅舎の建て替えは、自由通路を建設するための支障移転として駅舎を橋上化する―という理屈で予算要求をします。

常磐線・水戸線が通過する友部駅構内にある友部里道踏切

その際、駅周辺整備事業として、駅近くの踏切を立体交差化したりするケースはよくあります。しかし、茨城県の場合、神立も石岡も友部も、踏切を残したまま駅舎を建て替えてしまいました。

今、県内の常磐線で一番の問題は、龍ケ崎市駅の水戸方面にある「第2竜ケ崎街道踏切」です。国道6号線への抜け道となっているため、通過交通が多く、要注意踏切の代表格になっています。同市の萩原勇新市長には是非、立体化に取り組んでもらいたいと思います。(一級建築士)

高性能ベーゴマに「剣」の筆文字 土浦の匠が世に問う新シリーズ

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新発売の「剣」とカスタマイズ型の「メカベー」を紹介する高橋克己さん=スピニングトップ(土浦市港町)

「メカベー」はメカニカルベーゴマ。スピニングトップ社(土浦市港町)代表取締役の高橋克己さん(65)が医療機器開発のスキルを活かし、最長10分間も回り続ける安定感とステンレス製の美しいボディーの高性能ベーゴマを作り上げた。11日には、筆文字のデザインを施した新シリーズ「剣(つるぎ)」の第1弾が発売される。

医療機器の製作スキル生かし

今回登場は、コマの天面に筆文字「剣」をあしらった「Japanese calligraphy(ジャパニーズカリグラフィー)シリーズ」の第1弾。書道家の江森葵鶯(きおう)さんの筆による。筆文字の背景色はシャンパンゴールド、マットシルバー、レーシンググリーン、ワインレッドの4種類がある。これまでにも「虎」や「深海」「一撃入魂」という漢字フォントでデザインした「メカベー」を発表して海外ファンの人気も高い。「剣」も発売前から問い合わせがきているという。

製作者の高橋さんは国内や外資系の医療機器メーカーで40年間医療機器開発、品質保証業務に従事した。日本人の体に合わせた人工心臓駆動装置や血管内の病変部を削る高速回転ドリルなど、高度な精密さが要求される医療機器の製作に携わった。手術室にも何度も入り、機器の改良を繰り返してきたという。培った技術を活かしたいと定年退職後の2017年に会社を起こし、超精密なベーゴマ「メカベー」を作り上げた。

高橋さんは「医療機器を作って病気の人を治そうという使命感で働いてきたが、ベーゴマにも人を元気にする力があると感じる。子どもの教育にも良く、お年寄りの方も健康にする力がある。作り続け、世界中にメカベーを広めたい」と話す。

紐を巻き付けやすい構造=スピニングトップ提供

その特徴は遊びやすさと強さ。ステンレスなどの素材でできており、10分間回すこともできる。普通のベーゴマは紐を結んでこぶを作りコマに巻き付けるが、「メカベー」はこぶを作る必要がなく、より簡単に紐を巻き付けることができ、誰でも短い練習時間で回せるようになるという。

高速での回転バランスを保つ機構や紐巻きの構造などは3つの特許を取得。さらにコマの外周の直線と曲線を交えたくぼみ形状にも特徴があり、「メカベー」どうしで対戦させた時には打撃力が伝わって弾け飛ぶように設計されている。この外周の形状は意匠登録を受けている。パーツを交換したり、内部に5円玉硬貨を入れたりして自分好みにカスタマイズできるのも特徴だ。安定性があるため、他の種類のベーゴマと対戦させると競合するものがないほど強いという。

高橋さんはこれまで、強さを追求した「バトル系メカベー」や美しさを際立たせた「フィギュア系メカベー」、コマを回すのに適した台「バトルリング」などを製作し、オンラインショップで販売してきた。

新発売のメカベー「剣」=同

ベーゴマを改良したおもちゃにはタカラトミーが販売する「ベイブレード」がある。世界80以上の国と地域で発売されており、累計出荷数は5億個を突破。世界大会も行われているため世界中にベーゴマ愛好家がいる。「ベイブレード」からベーゴマ愛好家となった人が、より強く美しいベーゴマを求め「メカベー」について問い合わせしてくるそう。今後は同シリーズの系譜で、日本の思想や文化を象徴する「柔」や「道」「龍」などの筆文字デザインの「メカベー」を製作予定。桜をイメージしたデザインも考案、開発中だ。(田中めぐみ)

◆「剣」は3960円(税込み)。「メカベー」はAmazon、楽天市場、メカベーオンラインショップで購入が可能。メカベーの回し方・基本フォームはこちらの動画で。

鹿島立ち 鹿島神宮と湫尾神社、三瓶神社《遊民通信》34

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カーテン越しの鹿に導かれ鹿島神宮に参った

【コラム・田口哲郎】前略

令和4年(2022)2月1日は旧暦の元日だったそうです。1月31日、たまたま見かけた鹿島神宮公式ツイッターにそう書かれていていました。「鹿島立ち」という言葉があり、それは新たな出発という意味だとも書かれていました。小学館の「デジタル大辞泉」には「鹿島立ち」とは防人・武士が旅立つ際に道中の無事を鹿島神宮に祈願したところから、旅立ち、門出という意味になったとあります。

そういえば数日前、うちのベランダのガラス戸に掛けてあるレースのカーテンに、鹿の影が映っていたことを思い出しました。日光が差す角度と洗濯物の配置とが絶妙に重なって、鹿がいるような影がカーテンに浮かび上がったのです。最初びっくりしましたが、よく考えればうちのベランダに鹿がいるわけもなく、影なのだと思い直しました。珍しく面白いので、スマホで写真を撮りました。

鹿島神宮には鹿がいたなあと思い、奈良市の春日大社を思い至りました。春日大社は、茨城出身の中臣氏(なかとみうじ)が鹿島から奈良に移ったときに、武甕槌(たけみかづち)大神を御蓋(みかさ)山に祭ったことが最初だそうです。

春日大社の鹿は有名ですが、その鹿は鹿島から神様が乗って奈良に行った鹿の子孫ということになっているようです。これは神のお告げかもしれないと思い(込み)、鹿島神宮にお参りをしてきました。まん延防止等重点措置発令中ですので、自家用車で感染対策をしての「鹿島立ち」でした。神宮の境内は清らかで静かで、厳かななかにどこか穏やかな空気に包まれていました。

湫尾神社と三瓶神社 ご先祖さまに思いを馳せる

本殿で拝んだあとに、山門の横にある遥拝所で沼尾(ぬまお)神社に拝みました。沼尾神社は鹿島神宮の基になったとされる神社のひとつです。ひたちなか市の武田地区に同じ読み方で湫尾神社があり、現在は武田神社となっています。

この湫尾神社は中臣氏が武田地区にお祭りしたもので、のちに甲斐武田氏に通じる武田氏族の氏神になりました。母方の父系は武田氏ですので、縁を感じました。母方の母系は田口姓なのですが、家紋は井桁(いげた)に三つ巴(ともえ)で、鹿島神宮の神紋の巴と似ています。笠間に住む伯母から、うちは神社系で巴紋は水に関係していたらしいと聞きました。

うちの本家は笠間の飯田にあり、そこの神社は三瓶(みかめ)神社です。三瓶神社は鹿島神宮系で、武甕槌大神が水をもらいに飯田に来たときに、8つの甕(かめ)を差し出されたが、5つは持てても、3つはどうしても動かせなかった。そこで3つ残した甕が祭られて神社になったという神話があります。江戸時代には飯田の庄屋で帯刀も許されていたと言いますから、神主だったかは不明ですが、水に関する神社にゆかりがあるのは確かでしょう。

笠間市飯田の三瓶神社

鹿島から笠間に「鹿島立ち」して、三瓶神社にもお参りをしてきました。思いがけず、2月1日はご先祖さまに思いを馳(は)せる日となりました。今年がいろいろな意味でよい門出の年になればと思います。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

強制わいせつ逮捕の教授を懲戒解雇 筑波大学

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筑波大学正門

筑波大学教授が昨年12月7日、強制わいせつの疑いでつくば警察署に逮捕された問題で(21年12月7日付)、筑波大は9日、逮捕された生命環境系長の男性教授を8日付けで、懲戒解雇処分にしたと発表した。

筑波大によると男性教授は、昨年4月ごろから9月にかけて、自身の研究室などで、女子学生の胸を触るなどわいせつ行為を複数回行ったとされる。大学は、この行為は重大なセクハラ行為で、女子学生に多大な精神的苦痛を与えたとしてている。

一方、男性教授がセクハラを認めているかどうかについて筑波大は、今後の裁判に影響をきたす恐れがあるので、大学としてのコメントを差し控えたいとしている。

処分にあたって永田恭介学長は「学生を教育・指導する立場にある教員がこのような事案を起こしたことは極めて遺憾であり、被害学生並びに関係者の皆様に心からお詫び申し上げます」などとするコメントを発表した。さらに「従前よりハラスメント防止のための取り組みを推進してきたが、今回の事案を真摯(しんし)に受け止め、学内教職員に対しハラスメント防止研修の一層の充実・強化を図るなど、再発防止に向けたさらなる啓発活動を行うと共に、学内におけるガバナンスの徹底を図り、学生の修学環境の整備並びに大学の社会的信頼の維持・向上に努める所存です」などとしている。

小学校臨時休校を18日まで延長 中高大学も部活の原則禁止を 茨城県

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

小学校で新型コロナウイルスの感染者が増加しているとして、茨城県は8日、当初10日までとしていた小学校の臨時休校を18日まで1週間延長するよう県内市町村に要請したと発表した。さらに中学、高校、大学に対しても、部活動は原則禁止とするよう要請した。

県教育委員会が、小学校の臨時休校などを要請した1月26日時点では、リモート学習と分散登校の併用を要請していたが、今回は原則、リモート学習とする。

つくば、土浦市はいずれも1月31日から、すべての小学校を臨時休校とし分散登校は実施していないため、リモート学習の期間を18日まで延長し、オンライン授業やプリント学習などを継続する。

ただし保護者が仕事の都合で子どもの面倒を見ることができない場合などは、引き続き学校で受け入れる。児童クラブなども引き続き利用できる。

今回の臨時休校期間中、学校が受け入れている児童数はつくば市の場合、7日時点で児童数全体の12%だという。土浦市の場合、各校数人程度で、土浦市教育委員会担当者は「昨年9月に臨時休校を実施した際は、学校で受け入れた児童がある程度いたが、今回は保護者が感染リスクを考慮し、ほとんどいない状況」だとしている。

県はさらに中学、高校、大学に対しても20日まで、対策の強化を要請した。授業は、長時間・近距離での対面形式となるグループワーク、調理実習、密集や接触を伴う運動などリスクの高い活動を20日まで自粛するよう要請した。

部活動については20日まで原則禁止とする。ただし大会を控えている場合に限り活動可能とするが、県内大会は主催団体に対し、延期または中止を要請している。修学旅行などは行き先に関わらず、すべて延期または中止とするよう要請している。

県内は全域で1月27日から2月20日まで、まん延防止等重点措置が適用されている。8日発表の県全体の感染者数は1261人で、2日以降、1週間連続1000人を超えている。このうち小学生児童は120人。つくば市の感染者数は67人、土浦市は56人。

家計ときちんと向き合う 《ハチドリ暮らし》10

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【コラム・山口京子】1月のある日、家計の棚卸しをして、今年の予定をおおまかに立ててみました。皆さんはどうでしょうか? 2021年の1月1日から12月31日までの1年間の収入と支出の額を確認されましたか? 12月31日時点の資産の残高を書き出し、1年前と比較してどうなったかを点検されたでしょうか? それを踏まえ、これからのライフイベントについて話し合われましたか?

コロナ感染の影響はどれくらいありましたか? 教育資金の準備や住宅ローン返済の見通しなど、計画は実現できそうですか? 見直しが必要になっていますか? 家族を取り巻く環境は様々です。大事なのは家計ときちんと向き合うことです。

わが家はリタイア世帯となりました。収入は年金と少しの就労で、収入と支出はほぼ同じとなり、貯蓄ができなくなりました。今ある資産がこれからどう推移するのかを、ざっくりキャッシュフロー表で見ていきます。あと数年はこの状態を続け、生活のために資産を取り崩すのは70歳以降に延ばしたいと考えています。

そう思っても、将来のことは分かりません。一寸先は闇かもしれません。あるいは、新しいスタートがあるかもしれません。事情が変われば、その都度見直して、乗り切っていきたいものです。

父の施設入所を機に資産残高が目減り

今年から親の家計も見ることになりました。母は銀行に行くのも買い物をするのも、面倒になっています。家計の管理を引き継ぐ時期が来ていると感じました。

収入は年金のみです。支出は生活費と父の施設費用や医療費です。年間の収支がどうなっていて、資産の残高がいくらなのかを把握しました。すると、それまで横ばいだった資産の残高が、父の施設入所をきっかけに目減りしていることが分かりました。

このまま目減りすると、いつ底を突くのか? 母も施設に入ることになったら、そのためにかかるお金はどれくらいになるのか? 今からどんな見直しをすべきなのか? そういうことを初めて妹と話合いました。できるところから書き出しを始めました。

母が施設に入ると仮定して、かかる費用の目安、家や農地の維持にかかる費用―など。兼業農家だったので、小さな田んぼや畑があります。母が言うのには、近所の農家の方に管理してもらっているそうです。ですが、私や妹にはその場所が分かりません。固定資産税の納税通知書を見て、ため息をついています。

親の老いていく姿に、自分の20年後の姿を重ねます。そして、なるべく子どもたちに面倒をかけないようにと願うのですが、どうなるのでしょう。目の前のことを一つひとつ片付けて、片付けが終わるときが来るといいのですが。

あちらこちらで、荒れた畑が目立つように感じます。(消費生活アドバイザー)

91歳 和子さんの絵を描く《続・平熱日記》103

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【コラム・斉藤裕之】和子さんは91歳。今も東京で1人で暮らしている。和子さんは長女の嫁いだ先のおばあちゃんで、つまり私の孫からすればひいおばあちゃんということになる。その和子さんの絵を描いてほしいという。たまたま私の描いた孫の絵の画像をご覧になった、和子さんご自身が望まれたそうだ。

ちゃんとキャンバスに描いた方がいいのかな?とも思ったが、いつも描いている素材がいいということで、遠慮なくそうさせていただいた。人を描くのは嫌いじゃない。なぜかというと、ひとつには余計なことを考えなくていいから。人という単体を描けばいいから。そして、その人「らしさ」が描けるのが面白い。

やがて、ご家族が選んだ写真がメールで送られてきた。集合写真の中から、和子さんを拡大しながらよさそうなのを探すのだが、写真写りがいいのと、絵に向いているのとは若干違う。お若いときの写真もある。迷った末に、1枚の写真に決めて描くことにした。

人を描くのが好きだとは言ったが、うまいとは言っていない。だいたい、最初の描き出しからしばらくは調子がいい。ところが、しばらく描いているうちに、何となく雲行きが怪しくなってくる。

描いているときには、比例、奥行き、明暗、質、立体感、固有色…など、様々なことを瞬時に考えながら筆先を動かしているのだが、人の顔を描くと、どうしても目鼻口などに気を取られて、知らず知らずのうちに、芯のないペラペラな絵になっている。

例えば、日本の地図がいかに正確に描けていても、丸さが描けていなければ地球には見えない。一見複雑に見えるものにでも、必ず軸がある。その軸に対して構造があり、秩序があり、バランスがある。天体にも走る犬にも人の顔にもある。

はからずも前回の逸話の続きになってしまうのだが、それを最初に教えてもらったのが高3の夏。ひたすら石膏(せっこう)像を描いたアトリエだ。先生は初めて木炭を持つ私に、このことだけをしつこく言われ続けた。あれから何10年も経っているのに…。「斉藤! やり直し! 」

戦争を経験した母と同じ世代

選んだ写真は数年前のものだったが、お年の割に皴(しわ)もなく、年寄じみた感じがしない。和子さんのことはほとんど知らないのだが、絵を描きながら、勝手にお人柄などを想像しながら筆を進める。送ってもらった写真のほとんどは何かのお祝いでご家族が集まったときのものだった。

和子さんは一族の母親としていつも中心にいらっしゃる。もしかすると、数年前に亡くなった母と同い年かもしれないとも思った。

戦争を経験した母の世代。生前の母の姿や言葉なども思い出された。もしも生きていたら…ひ孫を抱く姿も容易に想像できた。私が母の絵を描くことはなかったが、母が私に書いた手紙が額に入れて残してある。字を書くのが好きだった母が、我が家の新築を祝って寄こした手紙。

改めて読んでみると、母の気持ちが素直に書かれていて、和紙に少し薄めの墨の色も美しい。あれ?おかあちゃん、カナコの漢字が違っちょるよ!

さて、小さな絵を描き始めて何日目かの朝、私が勝手に想像する「和子さんらしさ」が何となく感じられてきた。出来上がった絵を手製の額におさめた。(画家)

つくば市長の市民提訴 その顛末を検証する 《吾妻カガミ》126

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】ミニ紙に市政を批判され、ウソが多いと発行人の市民を訴えた市長。ところが裁判に勝てないと気付き、取り下げを図ったものの、条件付きの和解を拒否され、逆に「追訴」で裁判を補強した市長。それでもダメと分かり、無条件取り下げをのんでもらい、自ら裁判の幕を引いた市長。つくば市長の市民提訴の顛末(てんまつ)はこんな流れでした。

原告・市長の取り下げ声明(1月20日)は記事「名誉毀損訴訟を取り下げ 五十嵐つくば市長、FBで公表」(1月20日掲載)で、被告・市民(亀山元市議)の記者会見(同1月21日)は記事「当初、口外禁止を条件に和解案 …つくば市長」(1月21日掲載)で、ご覧ください。五十嵐さんの1人芝居に終わった感がある裁判のあらましが分かります。

よく調べずに高齢市民を提訴

発信力がある市長が80歳の高齢市民を提訴(2020年11月、被告が知るのは2021年1月)するという、このユニークな裁判沙汰については本欄でも5回取り上げました。今回はその続きです。

五十嵐さんの当初の主張は、亀山さんが発行する「つくば市民の声新聞」の市政批判記事は虚偽が多く、市長としての名誉を傷付けられた、だからその損害を賠償せよ―というものでした。ところが、記事は市長個人を批判したものでなく、市政の不出来を批判したものだから、民法の名誉毀損にならないことが分かった―これが取り下げの理由、その1です。

途中で補強した主張(2021年9月)は、市長選挙前、ミニ紙は市政について虚偽の記事を載せ、事実をゆがめたから、公職選挙法の虚偽事実公表罪に当たる―というものでした。ところが、それを立証できなかった―これが取り下げの理由、その2です。

よく調べないで裁判に持ち込んだあと、両者の弁護士と裁判官による審理の過程で、ミニ紙の記事は名誉毀損に当たらない、公選法上の問題も立証できない―ことが分かったというのです。実にお粗末です。

ネット上のフエイスブック(FB)に、「提訴の時点で検討が不十分であったことについては反省しております。亀山氏に応訴の負担をおかけしたことについても申し訳なく思っております」(取り下げ声明)と書き込んで済む話ではありません。亀山さんに直接会い、弁護士費用は負担しますと、謝罪するのが大人の作法でしょう。

市長としての適格性に疑問符

亀山さんによると、五十嵐さんが最初(2021年6月)に取り下げを図ったとき、その和解案には「和解により(裁判が)終了したことを除き、正当な理由なく第三者に口外しないことを相互に確約する」「本件訴えの提起や和解内容に関して、論評しないことを相互に確約する」との条件が付けられていたそうです。

分かりやすく言えば、提訴をコッソリ取り下げたいので、その経緯はメディアなどに喋らないでほしい―ということです。取り下げの詳細を市民に知られたくなかったのでしょう。

法律をよく調べないで市民を訴える(市長の適格性に疑問符)。市民への謝罪をネットで済ませる(大人の社会常識が不足)。取り下げの実相を市民に隠す(正しい情報発信とは真逆)。市民の市政批判を萎縮させる(民主政治の基本「言論の自由」を軽視)。今回の一件を検証して、五十嵐さんのこんな行状が明らかになりました。 (経済ジャーナリスト)

<名誉毀損提訴を取り上げたコラム>
▽101「…名誉毀損提訴を笑う」(2021年3月1日掲載
▽103「…提訴を検証する」(2021年4月5日掲載
▽105「…近く裁判開始」(2021年5月3日掲載
▽111「…提訴を取り下げ?」(2021年7月19日掲載
▽120「…批判封じに新手」(2021年11月15日掲載

海軍のまち土浦は元祖パンのまち 《ポタリング日記》5

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【コラム・入沢弘子】「霞浦海軍航空隊にパンを納めていた」と話すパン屋さんが、幼少期に住んだ土浦の家の近所にありました。以前から土浦にはパン屋さんが多かったと思い出し、土浦駅周辺の店11軒を訪ねました。駅ビルやスーパーの店舗内にもあるのですが、今回は地元の独立店でパンを焼いているお店から、昔ながらの味「あんパン」を選びました。

浦総合公園のオランダ型風車の展望台から湖の景色を堪能し、駐車場でトランクの「BROMPTON(ブロンプトン)」を組み立てて出発。高校の購買部でもお馴染みの「栄パン」は霞ケ浦文化体育会館横を通過し国道を渡るとすぐ。工場併設の売店があります。

次の「コパン」は栄パン横のなだらかな坂の上。お店前の信号から住宅街を進み、大通りを渡って土浦日大高校の前を通過。先の常磐線線路を跨ぐ歩行者専用橋を渡ります。坂を下って駅方向に進むと「プレジール」。

この先は土浦第二小学校横の道を線路に向かいます。県道を渡り線路沿い道を行くと、突き当りに「鈴家パン」。工場横の厚い木の扉を開けると、パンの世界が広がっています。鈴家パンも高校の購買部の思い出のある方も多いでしょう。

城下町の街並みに溶け込むパン屋さん

この後は少し離れたお店へ。桜川橋を渡り左岸を上流にひた走り。土浦橋を過ぎた自転車専用道の手前を下ります。桜川保育園の先の「パン工房T-LAMP」は、市内の別の場所から移転してきました。

お店の隣のヨークベニマル前で県道を渡り住宅地を進み、洋菓子屋さん手前を右折直進。旧6号(国道354号)を越すと、道は染谷石材店で直角にカーブ。ここは土浦城の南門跡。屈曲した道は城の防御拠点の馬出があった場所です。

右手に可愛い四角い建物の「小林パン店」。子ども時代に等覚寺の墓地横を通って来たお店です。土浦宿の面影が残る中城通りを抜け、駅前通りを渡ると土浦宿本陣跡の商工会議所に至ります。向かいに昭和のたたずまいを残す「木村屋パン店」。お店の先を左折直進し、駅前通りを亀城公園方面に進むと右手に「フランドル」。赤い店舗テントが目印です。

筑波銀行本店前を左折し瀧泉寺前を進むと、旧町名・鷹匠町の石碑が建つ道にぶつかります。左折しすぐ右折すると「猪俣パン店」。路地を抜けて町の空気を感じられるのが土浦散策の醍醐味(だいごみ)。小回りのきく自転車は最適です。

あとの2軒は駅方向。完成直後の亀城モールを通ります。ここは霞ケ浦へ続く川口川のあった場所。同じく川口川跡のモール505横に「千勝堂本店」。最後は駅前から伸びる八間通りの一つ目の信号先の左手に「中村屋」。れんこんサブレ―が置かれた棚から、あんパンを選びました。

城下町の街並みに溶け込む土浦のパン屋さん。昭和初期から続く店もあり、人々の生活に寄り添うように続いてきました。ふんわりとした生地のパンは、老若男女に愛される、やさしく親しみやすい味。海軍のまち・土浦は、カレーも有名。次の買い歩きはカレーパンにしようかな。(広報コンサルタント)

3年ぶり開催へ準備継続 かすみがうらマラソン

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かすみがうらマラソンのスタート地点

かすみがうらマラソン大会事務局(会長・安藤真理子土浦市長)は4日、4月17日に予定される「第32回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2022」開催に向け、引き続き準備を進めていくことを公式サイトで発表した。一方で、オミクロン株による感染拡大など「今後の状況によっては開催中止もありうる」とした。

イベント開催要件の範囲内

かすみがうらマラソンは、2020年以降、新型コロナ感染拡大により、2大会連続で中止となった。今年開催されれば3年ぶりとなる。

今回、中止の判断を回避した理由として大会事務局の土浦市スポーツ振興課は、新型コロナ感染が拡大しているものの、地域の医療状況のひっ迫度と専門家の判断を踏まえ、国、県、市等が定めるコロナ禍でのイベント開催要件の範囲内であることから判断したと説明した。今後は、自治体の開催要件、日本陸連が提示するガイダンスを踏まえながら、専門家と協議しつつ開催の可否について総合的に判断していくとした。

時間差でスタート

今大会の特色として、スタート時のランナー同士の「密」を回避するため、ランナーを複数のグループに分け時間差でスタートさせる「ウェーブスタート」を実施する。

感染対策としてほかに、今大会の参加条件として、ランナー、運営スタッフ・ボランティアの大会関係者、マスコミ関係者は、開催1週間前から専用アプリを通じた体調管理チェックと結果の提出が必須となる。アプリは後日、大会公式サイトからダウンロードできるようにする。また、アプリ使用環境を持たない場合は、同サイトからチェックシートを入手することが可能だ。大会参加に際して、現段階でPCR検査や抗原検査による陰性証明は求めてないが、今後の状況次第で参加条件に加える可能性があるとした。

ランナーは、レース中以外、マスク着用を必須とし、使用後のマスクや給水所での紙コップなどのごみに関しては、持ち帰りを基本とする。捨てる場合も指定の場所に捨てるよう要請する。

ランナー用の更衣室は、2019年大会と同規模のものを用意する。ただし使用に際しては、換気・消毒を徹底した上で、マスク着用を必須とする。視覚障害者によるマッサージのコーナーは、感染対策の観点から中止する。

沿道での感染対策については、自粛を求める指針はないとした上で、大声は控え、ランナーとのハイタッチを控えるよう、今後、折込チラシや公式サイトを通じて告知するとした。

参加申込者8000人減

今大会の参加申込者の総数は、2019年大会から約8000人減の1万1690人。全種目で定員割れとなったため抽選は行わない。今後、大会が中止になった場合の参加料の返金については、3月17日までは20%が返金され、それ以降の返金はない。参加賞は、中止の有無に関わらず、参加申込者全員に発送する。

同事務局の担当者は「過去2年中止になり、開催を待ち望むランナーの声も届いている。ランナーだけでなく、地域やボランティアへのリスクも考えつつ、安心・安全な大会開催へ向けて今後の状況を注視したい」と述べた。(柴田大輔)

レストラン中台のレトルト5品 カレーオブザイヤー特別賞 土浦

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自信作の「幻の飯村牛キーマカレー」と「弓豚のスープカレー」を紹介するオーナーシェフの中台義浩さん=土浦市桜町、レストラン中台

土浦カレーフェスティバルで6年連続優勝を果たし、殿堂入りしている、レストラン中台(土浦市桜町)のレトルトカレー「つちうらカレー物語」5品が「カレーオブザイヤー2022」特別賞を受賞した。昨年発売された「弓豚スペアリブのスープカレー」「幻の飯村牛キーマカレー」「弓豚のプレミアムカレー」「土浦ホワイトレンコンカレー」「クリーミートマトカレー」の5品だ。

カレーオブザイヤー2022は、カレー総合研究所(井上岳久社長、東京都渋谷区)が運営する「カレー大學」が、革新的、画期的だがまだ世間に知られていないカレーに、1月22日のカレーの日に合わせて賞を授与しているもので、2017年から毎年名品カレーを選出している。

オーナーシェフの中台義浩さんによると、新商品のレトルトカレー5品は、佃煮加工の小松屋食品(土浦市大和町)の煮釜の1つをカレー加工専用にしてもらい製造した自信作だ。レシピだけを監修したのではなく、シェフ自身が味を確認し調整しながら作っているこだわりのレトルトカレーだという。

「コロナ禍の一昨年はお客さんが来なくなり従業員も呼べない状況だった。仕事がしたくてもできず、レトルトの新商品を作ろうと思い開発した。特に『幻の飯村牛キーマカレー』と『弓豚のスープカレー』は完璧な出来上がり。ぜひ食べてみてほしい」と話す。

材料にもこだわった。飯村牛や弓豚といった希少な銘柄肉のほか、野菜はなるべく地元産のものを使用。土浦、阿見などの契約農家と提携し新鮮なものを仕入れている。土浦特産のレンコンを使用しているのも特徴だ。

レストラン中台ではこれまで「幻の飯村牛ビーフシチューカレー」と「幻の飯村牛牛すじカレー」を発売しており、レトルトカレーは新商品を加え全7種類となる。同店のほか、スーパーマーケット「カスミ」やJA直売所各店、オンラインでも購入することができる。

店内で紹介されているレトルトカレー7品

今年で創業83年目となる老舗。今後の目標は霞ケ浦のテナガエビを使用したカレーを開発することだという。「テナガエビはまだあまり注目を浴びておらず、地元の漁師さんからもっとテナガエビを売りたいという声を聞いている。土浦や阿見の名産カレーとして商品化できたら」と中台さん。また、アスリート向けにタンパク質を増やし、カロリー計算した「奇跡のKOカレー」の商品化も目指している。冷凍食品も開発中で、店の味を完全再現したカレーやハヤシライスを試作中だ。(田中めぐみ)

嫌いな人に嫌われても構わない 《続・気軽にSOS》102

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【コラム・浅井和幸】毎日の生活の中で嫌なことが重なり疲れてくると、せっかくの休日なのに、学校や職場での嫌なことばかりを考えてしまうものです。苦しく余裕がなくなると嫌なものに過敏になるのは、生物の長所でもあるのでしょう。危険を避けるためには必要な特徴です。

ですが、まるで恋焦がれるように、嫌なクラスメートや授業、嫌いな同僚や上司、仕事などを、ずっと考え続けることはお勧めできません。次の月曜日に試すために、対策を練るのであればよいのですが、ずっと「嫌だな、嫌だな」と繰り返すのは、疲労をため込むだけになってしまいます。

この習慣を続けると、良い友達、面白い授業、尊敬する上司、意義を感じられる仕事があったとしても、それらをないがしろにし始めます。そして、嫌なことばかりを繰り返し考えるのです。

自分にとって好ましい人、尊敬できる人の価値観を軽く見て、自分が嫌いな人、尊敬できないとの価値観を大切にしようとしている状態になっていることに気づきにくくなります。嫌いな人に嫌われることを恐れます。

好きな人に悪い態度をとる

なので、人の悪口を言いたくないと思っていても、人の悪口を言う嫌な人に嫌われたくないので、自分が嫌いな人と一緒になって誰かの悪口を言う毎日。能力のない上司に気に入られるために無駄なことをする、性格の悪い同僚のご機嫌を取るために性格の悪い言動を繰り返す。

好きな人や尊敬できる人は、自分を攻撃してこないので、無視してもよい人間となります。場合によっては、少々、八つ当たりしても優しく受け止めてくれるので、厳しく当たってしまいます。

これはとても疲れることですよね。好きな人に悪い態度をとり、嫌いな人に良い態度をとる。だんだん、自分が望まない、自分が嫌いな人間になる努力をしているようなものです。そうはいっても、嫌いなクラスメートや上司を無視してよいかとなれば、そう簡単なものではないですよね(せめて離れているときは無視してもよいと思いますが)。

そこは、どれぐらい最小限の付き合いができるかを考えつつ、もっと大切な、自分が好きだったり尊敬できたりする人との関係をどのように大切にできるかを考えましょう。極端に言えば、嫌いな人に嫌われることを甘んじて受け入れて、尊敬できる人に尊敬されるような、好きな人に好かれるような人間を目指すと考えてみましょう。

そして、それに近づくために現実的に自分に何ができるかを考えて試します。余裕がないときはその考えが浮かばず、「絶対無理」とか「~するしかない」という考えしか浮かばないと思います。そんなときは、尊敬できる人に何かしらのアイデアを分けてもらいに行動に移してみてください。(精神保健福祉士)

一般会計1千億円突破 4年連続で過去最大更新 つくば市22年度当初予算案

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記者会見する五十嵐立青つくば市長=3日、市役所

つくば市の五十嵐立青市長は3日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比13.2%増の1015億3200万円となり、初めて1000億円を突破し、4年連続で過去最大を更新する。特別会計などを加えた総額も同比8.5%増の1622億6700万円となり、こちらも4年連続過去最大となる。

BMXコース、スケボーパークなど整備

児童生徒数の急増により、研究学園小中学校(44億9200万円)、香取台地区小学校(22億7300万円)、みどりの南小中学校(22億5000万円)の3校の建設を進めるのが主な要因。さらにみどりの地区に屋内温水プールを建設し24年4月のオープンを目指す(11億1900万円)。給食センターも2020年に谷田部地区に新設したばかりが、足りなくなる見通しであることから、新桜学校給食センターを新設するための設計を実施する(3800万円)。

主な新規事業は、廃校となった旧筑波東中学校にBMX(自転車のモトクロス競技)コースなど自転車拠点(2億2300万円)と、ジオパーク中核拠点(1億5000万円)を整備する。さくら運動公園北側の流星台に2023年4月オープンを目指しスケートボードパークを整備する(5400万円)。

さらに筑波山ふれあいの里を魅力あるアウトドア体験施設とするためキャンプ場改修の設計を実施する(1500万円)ほか、市北部の廃校を文化芸術創造拠点とするため基本計画策定や改修を実施する(1300万円)。

課題となっている最終処分場は、焼却灰などの最終処分を委託している下妻市内の民間最終処分場が満杯になり受け入れができなくなることから、4月から山形県米沢市に加え、新たに青森、秋田県内の最終処分場に処分を委託する。これにより最終処分費が前年度と比べ8600万円増え、4億1100万円になる。一方、ごみ減量のため生ごみ処理容器購入補助金を3倍に増やし500万円を計上する。

コミュニティバス「つくバス」(4億1200万円)は、実証実験を行っていた茎崎地区の路線バスをつくバス路線とするほか、上郷シャトルを増便する。筑波地区の支線型バス(4900万円)は4コースのうち3コースを廃止し1コースのみで本格的に運行する。新たな実証実験として、学園の森を経由する石下-土浦路線と松代地区の路線バスに2路線に負担金(760万円)を出す実証実験を行う。

昨年12月、計画を大幅に見直したつくばセンタービルの改修は、市民活動拠点の整備工事などに2億6700万円を計上する。エスカレーター2基の設置などが無くなったが、全体事業費は9億円で、当初より約8000万円安くなるにとどまるという。

コロナ対策としては、昨年暮れ、子育て世帯臨時特別給付金10万円の給付を受けることができなかった離婚家庭の子供などに市独自に10万円を給付する(給付金2400万円)。中小企業の販路拡大補助や雇用促進支援など経済支援を継続し1億3800万円を計上する。

ほかに、市民に正しい情報を発信するためとして、市政情報を深く知ってもらうための「かわら版」の発行回数を増やすほか、動画によるかわら版チャンネルを制作・配信などする(6400万円)。

一方、歳入のうち市税収入は、人口増加に伴う個人市民税や固定資産税の増加により前年度当初比5.5%増の約484億7500万円を見込む。前年度当初はコロナ禍により税収が減ると見込んでいたが、給与所得者が多い人口構成のため、全体として大きな影響はなかったとして新年度は増加を見込んだとしている。

借金である市債は同比71.5%増の105億2500万円を発行し、一般会計の市債残高は今年3月末の567億5900万円より43億円増え、22年度末は611億2400万円になる見込み。(鈴木宏子)

今年も開幕延期 筑波山梅まつり

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早咲きの梅が咲く筑波山梅林=2日

筑波山の中腹、筑波山梅林(つくば市筑波)で12日から開催を予定していた「筑波山梅まつり」について、主催者の筑波山梅まつり実行委員会(委員長・五十嵐立青つくば市長)は1日、まん延防止等重点措置の茨城県への適用に伴い、開幕を延期すると発表した。12日から3月13日まで開催の予定だった。新型コロナの感染拡大が始まった一昨年は会期途中で中断、昨年は県独自の緊急事態宣言により約2週間遅らせての開幕となっていた。

開催可否は、状況を見て判断

今年の延期措置について市観光推進課は、市内で感染が拡大している状況をみた上での判断だったと説明し、今後についてはまん延防止等重点措置の解除後の開催に向けた準備をしつつ、重点措置の期限である20日を目安に「県外を含めた周辺地域の状況を踏まえ開催の可否を判断していく」とした。開催に関する情報は、「筑波山梅まつり」のオフィシャルサイト、市のホームページ、プレスリリースなどで発表する。

3日現在の開花状況は、早咲きの紅梅が5分咲き、白梅はまだつぼみだ。両方が咲きそろう見頃は、2月下旬から3月初旬にかけてと見込まれているが、見頃までに開幕できるか否かは現時点で未定だ。 

ただし園内を散策することはできる。筑波山梅林一帯を含む林道沼田新田酒寄線(梅まつり会場~酒寄丁字路)は、梅まつり予定期間である12日-3月13日の間、午前9時から午後4時まで車を通行止めとし、歩行者専用にする。同実行委員会は、梅を鑑賞する際にはマスクなど感染対策をした上で、「密」を避けるよう呼び掛けている。

つくば市臼井の会社員・鮏川拡さん(41)は「難しい状況ですよね。この時期は毎年地域がにぎわっていたので、中止になるとしたら残念です」と地元住民としての複雑な思いを話した。

政府によるまん延防止等重点措置は、1月27日から2月20日まで県全域に適用されている。

筑波山梅林は標高約250メートル付近に位置し、広さは約4.5ヘクタール。約30種約1000本の白梅、紅梅が植えられ、紅梅が2割、白梅が8割を占める。園内の最上部にある「展望あずまや」からは眼下に梅林や山麓の田園風景、好天日は遠く首都圏のビル群や富士山を望むことができる。園内には筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石があちこちにあり、筑波山地域ジオパークのジオサイトの一つになっている。(柴田大輔)

【3月8日追加】筑波山梅まつり実行委員会市は8日、茨城県のまん延防止等重点措置が21日まで再延長されたことに伴い、開幕を延期していた今年の第49回筑波山梅まつりを中止すると発表した。梅林内は散策できる。

義務教育で「キャリア」を考えさせよ 《地方創生を考える》21

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ダイヤモンド筑波(筑西市)

【コラム・中尾隆友】現在の小学校から高校までのカリキュラムでは、児童や生徒は自分がどのような仕事に向いているのか、考えさせられる機会が全くと言っていいほど与えられていない。私の経験からも、高校の時は大学に入るのが大きな目標だったし、大学に入学後も自分が本当に何をしたいのか、よく分かっていなかった。

本稿をご覧になっている多くの人々が私と同じような経験をしているとは思うが、いまの先生方はとにかく忙しく、キャリア教育にまでが手が及ばない状況だ。

保護者対応や事務作業、部活だけでなく、新教科(英語・道徳)やプログラミング必修化への対応にも追われ、児童や生徒の将来の方向性について一緒に話し合ったり考えたりする余裕がないのだ。

しかしながら、これからのデジタル化の時代では、しっかりとしたキャリア教育の体系を確立していく必要がある。そのためにも、初等教育(小学校)から中等教育(中学校・高校)の受け持つ役割は、決して軽視できるものではない。

「自分は何に向いているのか」

そういった意味では、自分が何に興味があるのか、自分が何に向いているのか、児童や生徒は教師とコミュニケーションを取りながら、自らも自問自答する機会を与えられる教育が求められているように思う。

個人個人がそういった過程を経ながら、中学生か高校生のうちに得意分野や適性を伸ばす教育に変えていかなければ、大学生になって自分が本当に何をしたいのかと考えても、なかなか答えは見つからないだろう。

通常であれば中学生から、遅くとも高校生から、生徒が自分で自分のキャリアについて夢を持って考える機会を育んでいく必要がある。

企業と学生の不幸なミスマッチを減らすようにするためにも、学生が大学を卒業する時に「自分はこういう仕事がしたいから、大学でこの専門を選んで勉強をしてきたのだ」と言えるような教育にしてほしい。

つくば市など教育で先進的な取り組みをする自治体では、義務教育でこういったキャリア教育の導入をしてみてはどうだろうか。(経営アドバイザー)

子孫が土浦市に寄付「一色家住宅」 観光や文化振興に活用へ

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一色家住宅玄関=土浦市西真鍋町

江戸時代末期の武家住宅の面影を残す、土浦市西真鍋町の登録有形文化財「一色家住宅」の土地と建物が昨年12月、土浦市に寄付された。所有者で牛久市在住の彫刻家、一色邦彦さん(86)が寄付した。市では壊れた部分の補修を行い、観光や文化振興に活用していく予定だ。

一色家住宅は、土浦藩年寄格で、1878(明治11)年に県内初の国立銀行「第五十国立銀行」(常陽銀行の前身の一つ)を創設した一色範疇(はんちゅう)の居宅だった。茅葺屋根の主屋(面積201平方メートル)は2001年に国登録有形文化財となっている。

主屋は、江戸時代末期につくられた土浦藩士、西川右近家の主屋を、範疇が明治時代に移築したと伝えられている。内部は8畳間が4室、田の字型に配された書院造で、正面側と庭園側は縁側になっている。主屋の北側には築山と池のある日本庭園がある。1989年に南側に離れが増築されている。

市内で唯一、武家住宅の面影をとどめる建物で歴史的価値が高い。2019年まで和食店として使われていた。現在、内部は非公開となっている。

寄付は一色邦彦さんが市に申し出て実現した。邦彦さんの父で彫刻家の五郎さんは一色家住宅で生まれ育った。

邦彦さんは東京生まれ。戦時中に空襲を逃れて土浦市に移り住んだ。現在は牛久市にアトリエを持ち、彫刻家として活躍を続けている。邦彦さんは「国の登録文化財であり、雰囲気がよく、心を癒す場所。価値ある建物なので市民の癒しの場として活用してほしい」と話す。

市文化振興課は、文化財である主屋部分に壊れているところがあるため、補修を進めていくという。今後どのように活用していくかは未定だが、自転車道のつくば霞ケ浦りんりんロードから500メートルほどの位置にあり、サイクリストが立ち寄りやすい立地であるため、土浦の歴史と文化を伝える観光スポットとしての活用も検討する考え。補修後は限定的に内部を公開することも検討中としている。(田中めぐみ)

真夜中の高速を走る 《ことばのおはなし》42

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【コラム・山口絹記】これは、昨年、真夜中の東北自動車道での出来事。

この日、私は、大学時代の同期2人と、自分の娘を車にのせ、4人で岩手山のふもとを目指していた。岩手山を登ろうというわけではない。世の中も少し落ち着いてきたということで、そこに住む旧友を訪ねようという、かねてからの計画を実行に移したのだ。

同行したのは、大学の経済学部非常勤講師とプログラマー兼フリージャズドラマー。向かう先に待っているのは、元パン屋さんで現役大工さんという、共通項といえば、今でも変わらず好きなことをやって生きているくらいの面々だ。

興奮のせいか、なかなか寝付かない娘もようやく寝静まった深夜3時ごろ。後部座席からも豪快ないびきが聞こえるので、ミラーに目をやると、講師の彼のほうは静かに景色を眺めている。

「あら、起きてたの?」

「いや、山口くんひとりじゃ寂しいかと思って」

いいヤツなのだ。大学時代から私は彼の下宿先に泊めてもらっては、おいしいコーヒーをごちそうになっていた。副業としてジャズ喫茶で働く彼は、当時から音楽を愛していた。今も昔も、彼の周りは音楽とコーヒーの香りがする。

道沿いに、放射線量を示す電光掲示板が見えてきた。原発事故があったのが、ちょうど私たちが大学を卒業した年。卒業式が中止になったため、皆で奔走して手作りで行った卒業式。学生代表の挨拶をしたのも彼だった。

未曽有の災害、原発事故、世界的なパンデミック。かつてSFの題材として扱われたこれらの事象は、すべて身近な現実となって日常の風景になりつつある。

ジョージ・オーウェルの「1984年」

いつしか話題は、SFで扱われる全体主義に対する、一般読者とアカデミックの世界での認識の違いという、学生時代に戻ったようなものになった。私たちはいつも通り、和気あいあいと話しているのだが、問題は車がはいているオールシーズンタイヤ。これが非常にうるさい。

いつもであればテーブルをはさんでコーヒーを飲みながら、小声で話すような話題だ。しかし、窓を閉め切っても鳴り響く走行音に、後部座席の彼は身を乗り出し、私は話すときだけ口をむけては大音声で話さなければならない。口調もだんだん荒々しくなる。

「んなこたぁわかるけどサァ! フィクションとしてぇ! 面白いのが!大切じゃん! 1984からこっち全体主義って言ったら」

ゴォー(走行音)

「えぇ?なぁに?」

「だからぁ! オーウェルの1984!」

「あぁ! ジョージ・オーウェルね! それはわかるよ! でもねぇ! 当時から学校ではきちんと」

ガタガタゴォー(走行音)

「あぁ? なんつった?」

思い返せばこのとき、いびきが聞こえなかった気がするのだ。朝方到着した盛岡の朝市で、眠そうにしているドラマーの彼は目をこすりながら言った。

「いやぁ、てっきりケンカしてるのかと思ってさ。やべぇと思って寝たふりしちゃったよね」

彼もいいヤツなのである。

おはなしというのは、やさしくするものだと改めて感じ入る出来事だった。文章だって、きっとそうだろうと思う。(言語研究者)

手と耳と鼻で自然を観察 《宍塚の里山》85

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講演する北村まさみさん

【コラム・森本信生】私たち「宍塚の自然と歴史の会」では、毎月、里山について学ぶ「土曜談話会」を開いています。昨年10月の談話会には、手話通訳者の北村まさみさんを招き、「障害者と里山」の題で話してもらいました。今回はその内容の一部を紹介します。

講演では、障害者と共に行う様々な行事についての話がありました。例えば、雄蕊(おしべ)と雌蕊(めしべ)や、受粉の様子を手話でどう表現するか―などです。植物の様子を的確に捉えていて、大変面白いものだったそうです。

また、暗闇の道を、目が不自由な人が目の見える人をリードする話。さらに、話をせずに情報をどのように他人に伝えるかを、言葉が不自由な人から教わる話。北村さんによると、このような活動を、つくば市の産業技術総合研究所など、いろいろな所で行ってきたそうです。

この流れで、北村さんに企画をお願いし、私たちの会でも「手と耳と鼻で楽しむ観察会」を開きました。木々を触り、植物の匂いを嗅ぎ、なめて味を確かめ、鳥の声を聞き、その気配を感じる―といった、他では体験できない観察会です。視覚以外で自然を感じる面白い観察会でした。

障害を持つ方も楽しめる里山

講演では、「障害は社会がつくる」という言葉が印象に残りました。車いすで移動ができないとか、視覚や聴覚が不自由なために危険を感じるのは、バリアフリーでないからです。社会の仕組みが、障害をより深刻化させているのです。そういったことは、仕組みを変えることで改善できます。

目が不自由で文字を読めなくても、情報機器の発達で軽減されつつあります。文字が直接書けなくても、スマホの音声入力やパソコンのキーボードで可能になっているからです。

事故や病気によって、いつ障害者になるかはわかりません。また、だれでも老化します。障害者が住みやすい社会は、高齢者にも住みやすい社会です。私たちは、障害を持っている方でも里山を楽しめるよう、活動を続けたいと思います。(宍塚の自然と歴史の会 理事長)

公有地売却に見る つくば市の牽強付会 《吾妻カガミ》125

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市の「高エネ研南側未利用地土地利用方針」を読んで、「牽強付会(けんきょうふかい)」という四字熟語が浮かびました。「自分の都合がいいように強引に理屈をこじつけること」という意味です。市はこの未利用地を民間に一括売却する方針を打ち出し、市民に意見を求めましたが、強引に大方の市民は賛成とこじつけたからです。

運動公園用地 強引に民間一括売却へ

つくば市長の五十嵐さんにとって、高エネ研南側未利用地(総合運動公園用地)問題をどう片付けるかは最大の課題です。そこで、市民の声を聴いて市政を進めるという「五十嵐スタイル」に沿って、民間一括売却案を市民がどう思っているか、パブリックコメントの手法を使って意見を聴取しました。

その内容が議会に配られた「…土地利用方針」に出ています。その概要や市議と市側の質疑応答については、記事「『反対は一部』と民間一括売却 パブコメ受け最終方針…」(1月11日掲載)をご覧ください。

意見を寄せた77人のうち、A:明確に賛成した人が2、B:賛成も反対もせず別の利用法を提案した人が57、C:明確に反対した人が6、D:反対して別の利用法を提案した人が7、E:その他が5人―と分類されています。市は、Bの57人は反対ではないから基本的に賛成とこじつけて解釈、「民間一括売却は支持された」と結論付けたそうです。

何が何でも民間一括売却を押し通そうと、パブコメを曲解する「牽強付会」の見本のような整理の仕方です。常識的には、賛成(A)2人、反対(C+D)13人、対案(B)57人―と分類。対案提出者は賛成ではないのだから、反対多数(B+C+D=70)と集約すべきでしょう。

市民の声を知るには住民投票が一番

「クロ」を「シロ」と仕分けした市も、鋭い市議から「その分類はおかしい」と指摘され、まずいと思ったのか、記事「民間一括売却『明確に賛成』は2.5%…」(1月12日掲載)にあるように、対案提出者(B)57人を賛成に分類することを取り止めたそうです。

それでも、民間一括売却は強行するそうですから、思考経路はどうなっているのでしょうか? 何のためのパブコメだったのでしょうか? 市民の声を大事にする市政を捨て、市民の声を軽視することにしたのでしょうか?

市の最初のパブコメ分類は問題ですが、それに応じた方々が市民の代弁者であることは間違いありません。でも、少ないサンプルで市民の声を計るのは正しくありません。そこで提案です。市民の声を広く聴くため、市長発意による住民投票(総合運動公園の是非で実施)か、サンプル数が多い無作為抽出調査(土浦市との合併の是非で実施)をやったらどうでしょうか?

五十嵐さんは、市民発意(署名活動)による住民投票で、前市長の総合運動公園計画を撤回に追い込んだ活動家です。そのスタイルを貫くには、どちらかの方法で民間一括売却に賛成か反対か聴くのが一番です。(経済ジャーナリスト)

<参考> パブコメの対案と市の対応

▽対案:防災施設、公園・緑地、道の駅、学校、カフェ・レストラン、キャンプ場、再エネ施設、研究所、テーマパーク、商業施設、陸上競技場など。

▽対応:「提案は(土地を買う)事業者が地域に資する施設を敷地内の一部に配置する上での参考資料になる」と、事業者に取り入れを要望。

プーチンはウクライナ侵攻を決断するか 《雑記録》32

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【コラム・瀧田薫】ウクライナ情勢が緊迫の度を増しています。1月27日、米政府とNATO(北大西洋条約機構)がロシア側の要求「NATOの東方拡大の停止」を拒否したことで、米ロ間の外交交渉は行き詰まりつつあります。すでに昨年12月の時点で、プーチン・ロシア大統領は「米欧がロシアに対する攻撃的路線を続ける場合、適切な軍事技術的対応策をとる」と述べましたが、「適切な軍事技術的対応策」の具体的中身は明らかではありません。

プーチン氏の強硬姿勢は、裏返せば彼の焦りでもあるでしょう。クリミア半島の併合はロシア国内でこそ高く評価されましたが、ウクライナ国内の反ロシア感情に火を付けました。ウクライナ政府はこれを受けてNATO加盟の意思を表明、米欧諸国に急接近しています。この流れを止めなければとの思い、それがプーチン氏をせき立てています。

プーチン氏の強硬策には好材料もあります。米国は国内の分断があって、外国に対する軍事的介入に出る余裕がありません。アフガンにおける米軍の失敗を見て、プーチン氏が「米国の軍事対応はない」と判断しても不思議はありません。

また、米国と欧州、特にドイツとの間には、対ロシア政策において不協和音があります。ドイツはロシアのエネルギー資源への依存度を強めてきており、ロシアとの関係をこじらせたくないのです。中国については、米欧による対ロシア経済制裁をカバーする役割を期待できます。中ロは米国の弱体化を望む点で一致していますし、中国はいざとなれば、全力でロシア支援に向かうでしょう。

戦わずしてNATOから妥協を引き出す?

以上、プーチンの強硬策を後押しする材料はそろっているようですが、これだけで彼がルビコンを渡ることはないでしょう。彼の政策判断のもう一つの条件は、ウクライナ侵攻の費用対効果の問題です。ロシア軍と米軍が直接衝突する可能性は低く、問題はロシア軍とウクライナ軍の衝突にほぼ限定されます。

しかし、この衝突がウクライナ全土に波及するのか、親ロシア武装勢力が実効支配するウクライナ東部に限定されるのか、あるいは、クリミア半島併合時のハイブリッド戦の再現になるのか、それとも英国の情報部(MI6)が示唆する「ウクライナに親ロシア派指導者を擁立する政治的謀略」が発動されるのか、プーチン氏が何をいつ選択するかによって、その後の結果は大きく違ってきます。

そして問題が複雑になればなるほど、その問題のはらむリスクも大きくなります。ウクライナ侵攻はリスクが大き過ぎるとし、プーチン氏は武力侵攻を避けると予想する外交・軍事専門家もいます。プーチン氏の真の狙いは、戦わずして米国とNATOから妥協を引き出すことにあるとの見方です。

結局、プーチン氏がどう出るか、今の時点で予想はできません。ただ、武力侵攻のあるなしに関わらず、ウクライナ危機が長期化し、国際紛争の火種であり続ける事態を覚悟しておく必要はあると思います。(茨城キリスト教大学名誉教授)