水曜日, 6月 24, 2026
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対岸の家 《短いおはなし》16

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美浦村から見た霞ケ浦と筑波山(筆者撮影)

【ノベル・伊東葎花】
歩くことが困難になり、施設のお世話になっています。
施設の前には大きな湖があります。湖の向こう側は、私が生まれ育った町です。
晴れた日は高台の小学校が見えます。その先が私の家です。
誰も住んでいません。両親はとうに亡くなり、独り身なので家族もいません。
残された家が不憫(ふびん)でなりません。

「そろそろ戻りましょう」

職員さんが来ました。陽が暮れて、向こう岸にチラチラ灯りが揺れています。

「ねえ、湖の向こう側に行くには、車椅子でどのくらいの時間がかかるかしら」

「丸一日かかりますよ。ここからまっすぐ、橋でも架かっているなら別だけど」

職員さんは笑いながら車椅子を押してくれました。
本当に橋が架かっていたら、どんなに近いでことでしょう。

それから私は、湖のほとりに行くたびに想像しました。ここからまっすぐ、向こう岸まで延びている橋を思い浮かべました。
透明な硝子で出来ている橋はどうかしら。まるで湖の上を歩いているみたいで素敵(すてき)。
そんな夢みたいなことを考えていると、寂しさや不安が消えていきます。

ある日のことです。日暮れまで、湖のほとりで対岸の町を眺めていました。
夕凪(なぎ)の中に、誰かの声がしました。目を凝らすと、向こう岸から誰かが叫んでいます。
「ごはんだよー」と言っています。
母の声です。母が私に向かって叫んでいます。
きっと帰りたい気持ちが、幻を見せているのです。

目が眩(くら)むほどの強い光が湖の上を走りました。
次の瞬間、私の足元から向こう岸まで、橋が架かっていたのです。
それは、私が夢見た硝子(ガラス)の橋でした。
私は立ち上がりました。自分でも驚くほど自然に立てたのです。
あれほど重かった身体が、走り出すほど軽やかです。
橋に足を乗せました。すっかり藍色になった湖の上を、ゆっくり歩き出しました。
時おり魚が跳ねて、小さな水音を立てます。楽しくて、踊るように橋を渡りました。

対岸の町に着くと、一気に坂道を駆け上がりました。毎日のように上っていた坂です。
とうに閉店したはずの駄菓子屋が、店先でラムネを売っています。

「早く帰らないと叱られるよ」

とっくに死んだはずの店のおばちゃんが、笑いながらラムネをくれました。
青い瓶に映った私は、おかっぱ頭の小さな子供になっていました。
家の前に母がいて、「いつまで遊んでるの」と私を叱ります。
夕餉(ゆうげ)のいい匂いがします。

私は振り返り、向こう岸を見ました。
湖のほとりに、空の車椅子がポツンと置かれています。
硝子の橋は、跡形もなく消えていました。
もうあの場所に戻ることはありません。
私は扉を開けて、「ただいま」と大きな声で言いました。(作家)

見学者5倍、熱心に説明聞く 重要文化財の旧矢中家住宅を公開

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ガイドツアーに参加し別館2階の応接間を見る見学者ら

国の重要文化財として指定するよう答申があったつくば市北条、旧矢中家住宅(6月23日付)が24日、一般公開され、通常の公開日の5倍の約150人が見学に訪れた。新聞報道などで指定を知り、ボランティアによるガイドツアーに参加して熱心に説明を聞いたり、建物内を見て回る様子が見られた。

ボランティアで同住宅を管理し、定期的に一般公開しているNPO法人矢中の杜”の守り人の井上美菜子理事長や中村泰子事務局長、所有者の森洋さんなども集まった。

ガイドツアーは午前と午後の2回催された。共に二手に分かれ各10人ぐらいのグループになって、詳しい説明を聞きながら約1時間かけて住宅内を見て回った。本館(居住棟)の表玄関から入り、別館(迎賓棟)に移動。本館では居間、座敷、書斎などのほか、風呂や台所、女中部屋なども見て回った。居間や書斎などの各部屋には時代を意識させる調度品などがあり、参加者は、別館の最上級のふすま絵、ふんだんに設置された通気口など、細かなところまでこだわった豪華絢爛で実験的といわれる造りに興味深く見入った。

2011年の東日本大震災と12年の北条竜巻の二つの災害で受けた被害の説明もあり、窓が破壊された痕跡もあった。

地元の北条から見学に訪れた70代男性は「旧矢中家住宅がかつて空き家だった頃は小学生で、子供の遊び場だった。今回改めて地元の財産を知ることになった」と話した。

所有者の森洋さん

所有者の森さんは「購入した時は本当の価値が分からず途方にくれるようなことがあったが、多くの人の協力で、素晴らしい栄誉をいただけることになった。本当にうれしい。これを機にもっと来場者が増えるといい」と話した。

北条在住で同住宅の保存活動にも関わってきた北条街づくり振興会の坂入英幸会長(73)は「重要文化財の指定は大変喜ばしいことで、『地元ももっとがんばれよ』と言われた感じがした。これからも地域の財産として活用していき、北条地区振興に役立てたい」と語った。(榎田智司)

24日から海外出張 五十嵐つくば市長

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つくば市役所

つくば市の五十嵐立青市長が24日、海外出張に出発した。7月1日まで7泊8日の日程でフランスとルクセンブルクを訪問するという。

今年3月31日、OECD(経済協力開発機構)の先進的市長(チャンピオン・メイヤー)に選ばれ、同先進的市長会議に参加したことから、27日にパリで関係者に面会する。29日にはルクセンブルクで、世界各国のICT(情報通信技術)業界関係者が集まる「ICTスプリング」に登壇し、つくば市の取り組みを紹介する。

市市長公室によると、24日から27日までパリに滞在し、新しい働き方として注目されている労働者協同組合の関係者と面会し視察や意見交換をしたり、文化芸術財団と意見交換する。さらにパリ市役所を訪れ労働者協同組合や文化芸術について話を聞く。27日はOECD先進的市長会議の関係者と面会する。

同先進的市長会議は、2016年にOECDが呼び掛けて立ち上げた先進的な取り組みを進める首長の会議で、格差や不平等をなくし、国連が掲げる誰一人取り残さない包摂的な都市の実現を目指す。約60の首長が参加し、日本からは小池百合子東京都知事、高島宗一郎福岡市長、福島県広野町長らが参加している。五十嵐つくば市長は、誰一人取り残さない包摂的で持続可能な社会の実現に向けた様々な施策を推進しているとして選ばれたという。

その後28日からルクセンブルクに移動し、29日にICTスプリングに参加する。世界約70カ国から5000人以上が集まるイベントで29、30日の2日間開かれ、企業によるブース展示やワークショップなどのほか、最新のデジタル技術とイノベーションをテーマに閣僚や著名人による講演やパネルディスカッションなどが催される。五十嵐市長は登壇者の一人という。

海外出張には市職員2人が同行するほか、つくばスーパーサイエンスシティ構想の全体統括者を務める市顧問の鈴木健嗣筑波大教授も同行する。

市長公室によると、海外出張費用は現時点で未確定だとしている。(鈴木宏子)

土浦駅に決定 TX県内延伸先 県

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つくばエクスプレス

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を検討してきた県は23日、第3者委員会からの提言(3月31日付)と5月に実施したパブリックコメント(意見募集)の結果を踏まえ、延伸先を土浦方面に決定したと発表した。

JR常磐線と接続する駅は土浦駅とし、今後は県内延伸構想の具体化に向けた検討を進める。さらに土浦駅延伸が実現後、自衛隊との共用空港である茨城空港の着陸制限の緩和など空港を取り巻く状況が変化した場合、改めて茨城空港延伸について議論するとした。

5月1~30日に実施したパブリックコメントは個人と団体計283人(団体)から意見が寄せられ、県内延伸に賛成は82%、反対は12%だった。

延伸先については土浦方面が最も多く全体の44%で、理由としては「4方面の中で費用がかからず実現可能性が高い」「事故・災害時の代替交通の確保につながる」などの意見があった。

延伸先を茨城空港方面とする意見も全体の25%あったほか、水戸方面は7%、筑波山方面は5%あった。反対意見の中には「採算性に乏しく赤字となる延伸は必要ない」などの意見があった。

意見を寄せた283人(団体)の内訳は、土浦市在住者が25%と最も多く、次いで小美玉市が22%、つくば市が17%の順。年代別は50代が20%と最も多く、次いで40代が18%、60代が17%の順。

「採算性の懸念共有している」

意見募集の結果について県は、土浦や茨城空港も含めて、延伸に賛成する意見が圧倒的に多く大きな期待が確認できたとした。土浦と決定した理由について大井川和彦知事は23日の記者会見で「実現可能性のある延伸先であることがまず最も重要」だとした。

一方で大井川知事は「反対の主な理由が採算性に対する懸念で、延伸したはいいが、赤字をずっと出し続けるのであれば最終的には県財政の負担につながるだけ、というような趣旨だった。我々も懸念は共有している」と述べ、「今後、単なる運賃収入だけじゃなくて、周辺開発なども含め事業採算性をいかに向上させていくかの方策を練ることが、反対意見の不安を払拭する最大の答えになる」と述べた。

県は3月に、土浦駅に延伸する場合の概算事業費や需要予測について、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人と見込まれ、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測される、鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しを示している。

東京延伸と同時、28年の答申目指す

今後の進め方については第1段階として、土浦駅であっても赤字であることから、沿線開発なども含めてどうやって採算性を確保していくかを調査検討し、県としての叩き台(素案)をつくっていく。

第2段階として素案をもとに、国や、TX出資者の東京都、埼玉、千葉県、TXを運行する首都圏新都市鉄道などの事業者と調整をし、2028年の国の交通政策審議会の答申に位置付けていくことが大きなステップになるとした。最終の第3段階では路線計画、建設計画、事業資金などを決めていく。

大井川知事は事業費1400億円の負担について「県内延伸は茨城県が全部やれ、という竹内知事時代の覚書があって(20年12月22日付)、それを1回チャラにしてもらって、各都県に協力もいただいた上で、県内延伸と東京延伸を同時にやりましょうという構図に持っていきたい。マイナスですけれどもお願いします、は多分通らない。是が非でも知恵を絞らなきゃいけない」と述べた。

事業費負担の理解を得る見通しについては「一にも二にも採算性。採算性がマイナスの時点で周辺近隣都県に理解を求めることは非常に難しい。これからの検討において、いかに採算の見込みを向上させていくかということが次の鍵になる」と強調した。理解を得る鍵として「(土浦延伸により)首都圏を中心とした経済圏をバックアップする後背地が大きく広がることの経済的メリットと、首都直下型地震などの大きな災害時に、常磐線とTXがつながることによって交通の代替性が確保されること」の二つを挙げた。

雑草の不思議 蒲の穂《くずかごの唄》129

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】コロナで休んでいた「河童(かっぱ)サロン」の復活。笛の名人・相崎伸子さんが「わらべ歌」を皆で歌おうと提案してくれた。歌いながら、みんなで手の指、足の指を動かして、外反母趾(ぼし)の予防運動にもなる。伸子さんの発明した楽しい遊びである。

伸子さんのご主人、相崎守弘先生の同僚だった島根大元教授の森忠洋先生も参加してくださった。森先生は「やってみませんか 家庭でできる生ごみの処理 生ごみ堆肥化・分解大作戦」という分かりやすく、面白い本を書いた人である。

「わらべ歌」も奥が深い。昔の歴史を知らないと理解しにくいわらべ歌もある。大黒様の唄(明治38年 石原和三郎作詞)。

♫ 大きな袋を肩にかけ、大黒様が来かかると、ここにいなばの白兎(うさぎ)、皮を剥(む)かれて赤裸、大黒様は哀れがり、「綺麗(きれい)な水に身を洗い、蒲(がま)の穂綿(ほわた)にくるまれ」とよくよく教えてやりました。大黒様のいうとおり、綺麗な水に身を洗い、蒲の穂綿にくるまれば、兎はもとの白兎 ♫

ガマのホワタとホオウの関係は?

「ガマのホワタって、いったいどのようなものなの?」

「聞かれたら、困ると思って、原っぱを探して、蒲の実を持ってきたわよ」

伸子さんは真茶色の、膨らんだ細長いダンゴのような蒲の草の実を、採ってきてくれて見せてくれた。赤裸の兎が、たちまち元の白い毛の生えた兎に戻ってしまう不思議さ。私は穂をごしごしとこすってみた。中からたくさん出てきたのは鮮やか過ぎるほど鮮やかな真黄色の粉末だ。

漢方薬「蒲黄(ホオウ)」という名で薬用の止血剤に使った粉らしい。「白くてふわふわしたものかと思ったら、違うのね」。わらべ歌に出て来る「ガマのホワタ」と「ホオウ」の関係は何なのだろう。

「ねっ、牧野富太郎先生教えてください」(随筆家、薬剤師)

中長期の施設修繕費6億円 つくば市負担 縮減し年1億8600万円に 洞峰公園

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洞峰公園の施設状況と維持管理費について市議会に説明する五十嵐立青市長(中央)=23日、市役所

無償譲渡を受けることが望ましいとして、つくば市が県と協議を進めている県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、五十嵐立青市長は23日、体育館・プール棟や新都市記念館など園内施設の中長期的な修繕費用は計約6億970万円かかり、年平均で3500万円程度になるとの見通しを示した。毎年の維持管理費約1億5100万円と合わせて市の費用負担は年約1億8600万円になる。

6月議会最終日の23日開かれた市議会全員協議会で説明した。無償譲渡に向けた協議の中で県から資料提供を受けるなどして市が算出した。

今年2月の議会への説明(2月14日付)では施設の修繕費用は、県が2023年度から27年度までに計画した大規模修繕費用と同額の年平均約7800万円かかり、年間維持管理費約1億5000万円と合わせて年約2億2800万円かかるとしていたが、2月の試算より年約4200万円縮減される。

園内施設の中長期的な修繕費用は、県がすでに実施した工事費や、目標使用年数を80年として県が策定した長寿命化計画の策定資料などから市が試算した。計約6億970万円の内訳は、体育館・プール棟が約4億6000万円、新都市記念館が約6900万円、トイレなどがあるフィールドハウスが約5600万円、運動用具倉庫やトイレ、井戸ポンプ、管理棟などが約2300万円。

算出にあたって市は5月、建築士に依頼し、体育館・プール棟、新都市記念館、フィールドハウスの3施設について、壁や天井など53カ所の調査を実施した。判定を「早急な修繕が必要な箇所」「近いうちに修繕が必要な箇所」「現状のままで使用可能な箇所(経過観察)」の3段階に分け、「早急に修繕が必要な箇所」12カ所については県と協議し、県が修繕を検討することになった。

さらに洞峰公園の指定管理者から施設や設備の状態を確認し、温水プールの室内暖房の故障など現時点で修繕が必要な12カ所についても、県が修繕を検討する。

県が27年度までに計画した年平均約7800万円の大規模修繕については、例えば県はフィールドハウスについて約1億4600万円で建て替えを計画していたが、市が実施した建築士の調査で「建て替えを行うほどの劣化は見られない」との判定が出たなどから、修繕内容を一部見直すほか、現時点で不具合がある設備については県が修繕を検討する。

県都市整備課は取材に対し「現時点で、故障などにより公園利用者に不具合がある設備については、修繕してから市に移管したい」としている。

市民説明会を実施へ

今後のスケジュールは、市が無償譲渡を受ける時期については、県による修繕が終わった後となり現時点で未定という。園内の洞峰沼は国有地であることから国との協議も今後必要になるとした。

一方、五十嵐市長は7月中に市民説明会を開くと話し、洞峰公園体育館で週末と平日に開催するほか、市北部と南部でも開くとした。合わせて市民アンケートも行いたいと述べた。

無償譲渡を受けた後の運営方法については「地域住民や公園利用者、有識者による協議の場をつくることを考えている」と述べるにとどまった。現在、スポーツ教室や文化教室などが開催されており、利用者サービスを低下させない維持管理方法を協議するため、当初、維持管理方法が定まるまでは、現在の事業者と業務委託などにより管理を行うことも検討しているという。

全協では議員から「洞峰公園を普段利用しない市民から反対の声が上がっている。1億5000万円の支出は市全体にとってメリットがあることを示すべき」「中長期の修繕計画にテニスコートや遊具が入ってないので計画を出してほしい」「樹木や洞峰沼の状況も県と情報共有し調査してほしい」「市として無償譲渡は決定していることか」「2023年度に市の公園にかかる予算は11億円強。洞峰公園の1.5億円は11億円の14%弱で決して少なくない。費用削減をしっかり考えてほしい」などの意見が出た。

市全体のメリットについて五十嵐市長は「遠方の方から『そこ(その地区)ばかり』という声が上がるのは当然。100%満足は難しい。各地区の公園を早急に前倒ししてきちんと修繕したい」などと答えていた。(鈴木宏子)

旧矢中家住宅が国の重要文化財に つくば市北条

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旧矢中家住宅本館(つくば市提供)

NPOが保存、活用

国の文化審議会は23日、つくば市北条にある昭和初期の近代和風建築、旧矢中家住宅を、新たに国の重要文化財に指定するよう文科相に答申した。官報に告示後、正式に指定される。

約2500平方メートルの敷地に本館(居住棟)と別館(迎賓棟)の2棟が建ち、庭園が広がる。建材研究家でセメント防水剤を発明し、大正時代に油脂化工社を創業した北条出身の実業家、矢中龍次郎(1878-1965)が、1938年から53年にかけて自宅として建築した。

「理想というべき木造のモデル住宅」を目指し龍次郎自ら設計した実験的な住宅で、木造建築を基本としながら石造やコンクリート造などを取り入れている。木造では珍しい平らな「陸屋根」を設け、自身が発明した防火板など近代的な材料を使用している。建物の各所には換気や通風など通気性向上の工夫がされていることなども大きな特徴となっている。

内部は、近代の上流階級の間で流行した和洋折衷の様式で、色鮮やかな杉戸絵やふすま絵、水墨画などが室内を飾り、要所でサクラやケヤキ、スギなどの銘木が使用されている。周辺住民から「矢中御殿」と呼ばれるような豪華絢爛なつくりで、上流階級の邸宅として意匠的に優れた特徴がある。調度品や設備なども当時のまま残っている。

別館1F食堂。天井に通気口がある(同)

貴重な歴史的建築として2011年7月に登録有形文化財に登録された。今回、実験的住宅としての学術的な意義や、意匠的に優れていることなどが改めて評価された。

国重要文化財に指定されるのは本館と別館の2棟。住居として建てられた本館は木造平屋建て、建築面積約197平方メートルで、1942年建築。陸屋根、大谷石造の地下室があり、建具は部屋ごとに異なる。別館は「皇族のような上流階級の人々を迎賓できるように」と建てられた。2階建てで、1階は鉄筋コンクリート造、2階は木造、建築面積は約90平方メートルで、1949年建築。敷地内の石塀、石積、擁壁、横井戸も併せて指定される。

つくば市の国指定文化財は8件目、建造物としては2件目となる。

没後40年空き家に

龍次郎は1965年に死去するまで北条の住宅で過ごしたが、没後、約40年間にわたって空き家に近い状態となっていた。2008年、現在の所有者である森氏に所有が移り、保存活用活動が始まった。

当時、荒れた状態になっていた住宅や庭園を、学生、地域住民、後にNPOを構成するメンバーも加わり、掃除したり手入れしたりして公開できる状態に整えた。住宅と敷地を合わせた空間を新旧の所有者にちなみ「矢中の杜」と名付けた。現在はNPO法人 “矢中の杜”の守り人のメンバーがボランティアで日常的な管理をし、定期的に一般公開している。

同NPOの井上美菜子理事長は「国の重要文化財に指定されたことは大変栄誉あることで喜ばしい。空き家の状態から、国登録有形文化財の登録と続き、東日本大震災(2011)、北条の竜巻(2012)と二つの大災害、さらにはコロナ禍を乗り越え保存活用に努めてきたので、これほどうれしいことはない。今まで関わってきた人に感謝したい。しかし矢中の杜を後世に残していくには、大規模な修繕工事など困難な課題がある。これを契機に興味を持ってくれた人に、ご支援、ご協力をお願いしたい」とコメントした。

つくば市の五十嵐立青市長は「この建物を、北条地区のシンボルであり市を代表する文化遺産として未来へと継承していけるよう今後も所有者やNPOと協力し支援していく」などとするコメントを発表した。(榎田智司)

◆旧矢中住宅はつくば市北条古城94-1。NPO法人 “矢中の杜”の守り人が毎週土曜日午前11時から午後4時まで一般公開し、午前11時からと午後2時からの2回、ガイドツアーを実施している。料金は住宅の維持修繕協力金として一般500円、中学生以下無料。

「花火の原理がわかる手持ち花火」販売 火薬研究の第一人者が開発

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「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ色火剤」のパッケージを手に持つ松永猛裕さん=つくば市内

発光の原理学び興味持って

火薬研究の第一人者で、つくば市在住の松永猛裕さん(62)が、手持ち花火と分光シートをセットにした「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ 色火剤(いろびざい)」を開発した。分光シートをスマートフォンのカメラに貼り撮影することで、花火がどのような光を発しているか分解して観察できる。夏休みの自由研究や科学実験での活用を想定しているという。7月1日から販売を開始する。

「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ 色火剤」のセット内容(松永さん提供)

松永さんは産業技術総合研究所の元研究者で、現在も招聘(しょうへい)研究員として研究を続けている。2011年1月に花火研究のベンチャー企業「グリーン・パイロラント」をつくば市東の産総研内に設立した。火薬研究の第一人者としての知見を生かし、同社ではテーマパークで用いる安全性の高い花火の受注開発や、火薬を扱うメーカーでの事故の現象解明などを手掛けてきた。コロナ禍でテーマパークからの注文が減ったことから、一般向けの手持ち花火の開発を始めた。分光シートと花火を組み合わせて観察できるようにした商品は他になく、特許庁に実用新案登録を受けている。

「手持ち花火Ⅰ 色火剤」は、黄、赤、緑、青、紫、ピンクの6色と炎色反応がある元素を入れない花火を加えた7本組が2セット(合計14本)と、分光シート、解説書が入っている。色火剤は、火炎に色を付ける金属化合物のこと。花火には基本的にナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、銅(Cu)が使われ、それらが炎色反応によって黄、赤、緑、青の4色に発光する。他の色はこの4色を混ぜ合わせて作り出している。

分光シートで観察すると、ナトリウムを使った黄色の花火は一つの波長の光しか出ない。ストロンチウムやバリウム、銅の炎色反応では複数の光が観測され、すべての花火でナトリウムに由来する黄色の波長が観測される。いろいろな物質の中にナトリウムが微量に混入しているためだという。

スマホで観察する様子(左)と、観察できるスペクトル(松永さん提供)

火薬の研究、危険と敬遠

現在は、ナトリウムと、ストロンチウムやバリウム、銅の炎色反応の原理の違いについて、大学院レベルでも学ぶことがなく、知る人が少なくなっていると松永さんは話す。研究者も火薬の研究は危険と敬遠しがちで、知識を持つ人が少なくなっている現状があるという。「高校生くらいの方に使ってほしい。花火にはいろんな原理が詰め込まれている。原理を知って花火を見ると、見る目が変わってくる。ワクワク感を大切にしてほしい」と松永さん。手持ち花火で発光の原理を学び、興味を持ってほしいと、教育現場での活用も見込んでいる。

今回発売するのはシリーズ第1弾で、商品名を「手持ち花火Ⅰ」とした。第2弾、第3弾の構想もある。第2弾は花火の輝きを観察するセットで、中に入れる金属粉をアルミ、チタンなど変化させ、その違いを見る。第3弾は酸化剤を変えた花火でどのくらい見え方が変わるか観察するセットだという。

松永さんは1960年、静岡県浜松市生まれ。中学生の頃、東京の大気汚染を目の当たりにし、光化学スモッグの研究をしたいと志を立て、東京大学工学部の反応化学科に入った。しかし、当時研究室に入った3人のうち、光化学スモッグについて研究できるのは1人だけ。1枠を賭けてじゃんけんをしたところ負けてしまい、火薬の研究をすることになった。この研究室は伝統ある火薬研究室で、教えを受けながら爆発性物質の研究を続け、1988年に通産省工業技術院化学技術研究所(現在の産総研)に入所した。高校時代に化学を教わった恩師が旧日本軍の研究所で火薬と毒ガス弾の研究をしており、2000年頃には、毒ガス弾の安全な処理方法の開発研究にも携わったことから、火薬や爆発の研究は導かれた天命と思うようになったという。火薬などの安全研究に携わる国内で数少ない専門家で、著書に『火薬のはなし』(講談社ブルーバックス)などがある。

◆「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ 色火剤(いろびざい)」はインターネットで販売。価格は2980円(消費税込)。グリーン・パイロラントの公式オンラインストアはこちら

オカルティズムが似合う街《遊民通信》67

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【コラム・田口哲郎】

前略

生まれてこのかた新興住宅地に住んできました。東京、大阪、宮城、茨城の中の新しくつくられた街にしか住んだことがありません。もちろんほかの地域には古い街があり、そこでは古来の風習が残ったりしているわけですが、私はそういうものとは無縁に育ってきました。住んだことのあるところは、どこでも身の回りには、古い寺社仏閣がありませんでした。

新しい街はきれいですが、伝統がありません。寺社仏閣が担う伝統がないのです。あるのは、家、公園、スーパーマーケット、ホームセンターや家電量販店ばかりです。ですから、土浦の中心部のような古い城下町に憧れたりするわけですが、それも憧れで終わるわけです。

そこに住んでらっしゃる方々の生活にも憧れます。いわゆる年間行事があり、伝統的なしきたりに従ってすることも多いのだろう、なんて思いをはせるのです。こうした行事の多くは宗教的なものだと思います。街に伝統があるということは、宗教的な色彩が強いということかもしれません。しかし新興住宅地には、そういった色合いもないわけです。

新しい街にはオカルティズムが妙に合う

ひたち野うしく駅は、関東の駅百選に選ばれるほどの造形美がある銀色の近代的な建物です。その周りには整然と並ぶ新しく美しい家々が広がっています。所々にマンションが建ち、広い道路には今どきの自動車がスイスイと通っています。こうした街並みを見ながら、ふと「ここにはオカルティズムが似合うなあ」と思いました。

オカルティズムは前に書きましたが、19世紀ヨーロッパで誕生した新しいスピリチュアリティです。キリスト教の支配から解放された社会に出現した、新しい霊性ともいえます。

世の中が変わっても、人間自身は変わらないと言われます。宗教の束縛を受けなくても、科学や理性を信じていれば、豊かに安全に暮らせるようになった人間は、自由です。でも、新興住宅地に住みながら伝統的な街の暮らしに憧れる者がいるように、自由な生活の中で、旧来の霊性というものに憧れる者もいるでしょう。この近代的な街にあって、生活している者が持つのは、そう簡単には変わらない人の心です。

自由ゆえの不安がわいてきても、逃げ込む神社やお寺、教会も近くにはない。さて、それではタロット占い、水晶占い、星座占いをしてみようかと思うこともあるでしょう。

実際、私はエリファス・レヴィの影響で、タロットを勉強しています。そして、変わりばえのない整った街を歩きながら、さきほど出たタロット・カードの絵柄を思い浮かべながら、自らの来し方と今のうつつと、ゆく末に想いをはせたりするのです。その感覚が風景に妙にマッチすることは、発見でした。街の風景とタロットの絶妙な調和などについて書いてゆきたいと思います。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

89チームの対戦カード決まる 高校野球茨城大会 7月8日開幕

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開会式の選手宣誓が決まった霞ケ浦高校の新保玖和主将

7月8日に開幕する第105回全国高校野球選手権茨城大会の組み合わせ抽選会が21日、水戸市のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれ、出場する96校89チームの対戦カードが決まった。

昨秋と今春の大会結果により16校がシード校となり、今春の県大会で優勝し関東大会でベスト4の成績を残した常総学院と、昨秋に県大会で優勝し今春準優勝した土浦日大、霞ケ浦はAシードで、2回戦から出場する。

抽選会を見る常総学院の澤田一徹主将(前列右端)と、土浦日大の塚原歩生真主将(同右から3番目) 

6年ぶりの優勝を狙う常総学院の澤田一徹主将は「去年の夏は悔しい思いをしたので夏の大会で力を出す。どんな相手がきても一戦必勝で戦う」と力強く語った。昨年夏に決勝で明秀日立にサヨナラ負けをして惜しくも甲子園出場を果たせなかった土浦日大の塚原歩生真主将は「結束力をスローガンに甲子園に向けてプレッシャーを感じることなくいつも通り自分たちの力を出す」と決意を述べた。

Bシードから大会初優勝を狙うつくば秀英の池内航主将は「大会に向けて投手、野手含めて全体的に順調に仕上がってきている。昨年はベスト8だったが常に甲子園を意識して力を発揮出来るようにしっかり準備していきたい」と話す。

開会式直後の開幕1試合目に下館一高との対戦が決まったつくば工科(つくばサイエンス)の橫嶋翔太主将は「開幕1試合目から熱い試合をしていきたい。3年生は自分だけで若いチームなので勢いに乗って戦っていきたい。最後まで全力プレーで頑張っていきたい」と意気込みを語った。

開会式直後に対戦する下館一高の主将と握手するつくば工科(つくばサイエンス)の池内航主将(右)

4年ぶり開会式、声出し応援可能に

3年続いた新型コロナウイルス感染症が5類になったことから、4年ぶりに全チームが参加して開会式が催され、観客は声を出して応援ができるようになる。

昨年同様に入場制限はない。入場料金は一般、学生800円、高校生は学生証の提示があれば無料、中学生以下は無料。試合会場はノーブルホーム水戸、ひたちなか市民球場、J:COMスタジアム土浦、笠間市民球場、日立市民球場の5会場で行なわれ、決勝は26日ノーブルホーム水戸で行われる。(高橋浩一)

第105回全国高校野球選手権茨城大会トーナメント表

23年度売上1.6倍増目指す まちづくり会社が決算報告 つくば市議会

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つくば市議会特別委員会で決算報告などをするつくばまちなかデザインの内山社長(中央)=20日、つくば市役所

つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が20日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が、2022年度3月期(22年4月-23年3月)決算と23年度の目標などについて報告した。23年度については、つくば駅周辺のロボット配送の運営などコンサルタント受託事業費が増えるなどから、22年度売上実績約8790万円の1.6倍の1億4000万円の売り上げを目指すとした。

設立2年目の22年度決算は、約8790万円の売り上げに対し約9775万円の経費(販売費及び一般管理費)がかかり約985万円の赤字(営業損失)となった。支払利息などの営業外損失を加えると当期損失は約2163万円(税引前)となり、これにより22年度末の負債残高は、社債などを含め約3億3226万円になった。

同社は第3セクターとして21年4月に設立された。市と民間企業3社による出資金1億2100万円のほか、社債を発行してファンド(投資信託)から3億1600万円の資金を調達して始動した。市が区分所有するつくばセンタービル1階を改修し、22年5月から「働く人を支援する場」として、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどがあるco-en(コーエン)を運営する。今年4月からは新たに市の指定管理者としてつくばセンター広場を管理、運営する。調達資金の元本の返済は24年度から始まる。

22年度決算は、co-en全体の売り上げが目標5637万円に対し81%の約4571万円で、経費などを差し引いた営業損益は、開業に伴う初期費用などから約1694万円の赤字となった。売り上げの内訳は、貸しオフィスが昨年8月に満床になり売り上げ目標3027万円に対し95%の約2900万円。23年度は2700万円の売り上げを目指す。コワーキングスペースは3月末の会員数が個人・法人合わせて39者(目標43者)で、売り上げ実績は目標2490万円に対し47%の約1171万円にとどまった。23年度は3000万円を目指す。カフェ(ビア&カフェエンギとシェアキッチン)からの収入は120万円の目標に対し4倍超の500万円、23年度の目標は120万円。23年度はco-en全体で前年度の1.27倍の5820万円の売り上げを目指す。

co-en以外の事業として、地下駐車場の売り上げが約1213万円、利益が約438万円、つくばエキスポセンター内のカフェからの収入が約80万円、ロボット配送などのコンサル受託費が2000万円超など計約4219万円の売り上げがあったとした。

23年度の売り上げ目標は、地下駐車場が1300万円強、エキスポセンターのカフェからの収入が200万円、ロボット配送の運営受託費などコンサル受託事業が5400万円のほか、つくばセンター広場の管理運営収入が市からの指定管理費と利用料金収入合わせて1000万円など、co-en以外の売り上げを22年度実績の1.9倍の8180万円にするとした。

議会特別委では、23年度の売上目標の内訳や、当初co-en内に計画されていた「子連れで働ける場」がいまだに開設されてない問題、つくばエキスポセンター内の「ほしまるカフェ」撤退後、今年4月オープンしたサンドイッチ専門店の業者選定の経緯、つくばセンタービル4階の吾妻交流センターをオフィスに改修する計画などについて議員から質問が出た。

吾妻交流センターについては、現在、市が改修工事を進めている市民活動拠点がつくばセンタービル南側に完成し吾妻交流センターが移転した後の来年6月以降に工事に着手する計画で、内山社長は、工事費用の約5000万円は、現在、手元にある現金及び預金3295万円と消費税の還付金約2500円でまかなえるとした。昨年6月の決算報告では改修費用をまかなうため増資を検討するとしていた(22年6月9日付)。

子連れで働ける場について内山社長は「(まちなかデザインの)持ち出しが出続ける事業は経営的に難しい。家賃は取れなくても自走していただける経営者を検討している」とし、吾妻交流センター跡の第2期工事の中で子育て支援拠点なども含め幅広く検討していくとした。吾妻交流センター跡は当初、貸しオフィスの増床が計画されていた。(鈴木宏子)

マジョリティとしての特権 《電動車いすから見た景色》43

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イラストは筆者

【コラム・川端舞】マジョリティと呼ばれる人々は多くの場合、特権を持っている。入り口に段差があるかどうかを気にせずに、飲食店やホテルを選べるのは、車椅子やベビーカーが必要ない人の特権。音声による説明がなくても、インターネット上の写真・グラフなどから情報を得られるのは、目が見える人の特権。店員から商品の説明を口頭でしてもらって買い物ができるのは、耳が聞こえる人の特権。

婚姻届により、血縁関係のない2人が家族として認められるのは、戸籍上の異性同士で愛し合った人だけの特権。どんなに2人が愛し合っていても、戸籍上の性別が同じであれば、現行の法律では婚姻届は出せない。

日本の難民認定手続きがどう変わっても、日本を追い出される心配をしなくていいのは、日本国籍を持つ人たちの特権。日本国籍を持つ私には、日本を追い出される恐怖など想像すらできない。

奪った権利をマイノリティに返すだけ

マジョリティとは誰のことだろう。私は車椅子がないとどこにも行けない点ではマイノリティだが、視覚的な図で表された情報でも、音声だけの情報でも困らずに利用できる点ではマジョリティだ。入管難民法がニュースとして話題になるまで、自分が日本国籍という特権を持っている自覚すらなかった。

また、私は誰に身分証明書の性別欄を確認されても、何も困らない。これもマジョリティの特権なのだが、出生時に割り当てられた性と性自認が一致しない「トランスジェンダー」に対し、自分のように生まれた時の性と性自認が一致する多数派は「シスジェンダー」と呼ぶことさえ最近まで知らなかった。

しかし、シスジェンダーとしての自覚を持つと、今の社会がトランスジェンダーの権利を犠牲にし、シスジェンダーが生活しやすいようにつくられていることが見えてくる。例えば、学校の制服を男女で分ける仕組みは、自分らしい性を表現したいトランスジェンダーの生徒を犠牲にしている。

そして、自分もそのような社会をつくっている一員だと思うと、シスジェンダーである私たちこそ社会を変えていかなければならないことに気づく。

マイノリティの人権問題は、マジョリティ側が自分たちの持っている特権に気づき、その特権をマイノリティ側にいかに還元するかの問題でもある。決してマイノリティに特別な権利を与えることではなく、マイノリティから奪ってきた人間としての基本的な権利を、彼らに返すだけだ。(障害当事者)

土浦博物館の郷土史論争拒否で議論沸騰 《吾妻カガミ》160

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土浦市立博物館(左)と市役所

【コラム・坂本栄】今回も土浦市立博物館と地元郷土史家の歴史論争問題です。1回目は158「…博物館が…論争を拒絶」(5月29日掲載)、2回目は159「…論争拒否、土浦市法務が助言」(6月5日掲載)。コメント欄への投稿に加え、コラム《ひょうたんの眼》(6月14日掲載)や市議会も論争に参入。議論が沸騰してきました。

苦情と歴史論争は次元が違う

「博物館の仕事は、城郭(研究の砦)に籠(こも)って研究するだけではなく、その成果を市民に知ってもらうことにある。この論争を見ていると、博物館は市民とのコンタクトが薄いような気がする。本堂さんとの対話を面倒くさいと断つようでは、市立博物館とは言えない。博物館は学術と市民の間に立って、学問の成果を市民につなぐのが本来の仕事」(土浦の歴史好き)

「郷土史家との対話拒否は行政の下手なリスク管理の見本。歴史論争の回答書にあんな文言(コラム158で引用)を入れたらメディアに叩かれるのは当然。博物館が論争を打ち切るのはその存在を否定するようなもの。それを市の法務担当が指導したというのは論外。一般行政への市民のクレームと市民の博物館との論争は区別しなければいけない。次元が違うものだから」(リスク管理人)

議会も博物館の対応に疑問符

コメントの中には、本堂氏が博物館に11回も通ったことに注目し、博物館の論争拒否通告を支持するコメントもありました。

しかし、博物館の面談記録(各回60~90分、糸賀館長か担当学芸員が対応)によると、2020年12月1回、2021年2月2回、同3月1回、同9月1回、2022年6月1回、同7月1回、同9月1回、同10月1回、同11月1回、同12月1回だったそうですから、論争の間隔としてはむしろ控えめなぐらいです。

この問題は市議会教育厚生委員会(矢口勝雄委員長)の会合でも話し合われました。関係市議によると、博物館が面談拒否の理由を「11回も来られ困った」と説明したとの報告について、委員からは▼本堂氏はクレーマー扱いされて戸惑っている▼市の弁護士が間に入り拒否を通告させたのは問題ではないか▼微妙な問題であり博物館は冷静に対応すべきだ―などの発言があり、博物館の対応に疑問符が付いたそうです。

自分の立ち位置から語る歴史

コメントにはクールな意見もありました。「歴史とは自分の立ち位置から過去を描写する作業。郷土史家も館長も自分の史観に都合いいように解釈している」(歴史論争嫌い)。話が脱線しますが、私の旧友、門跡寺院(もんぜきじいん=皇族や公家の寺)の門主(もんす=住職)さんの史観はその極致でした。自分事なのです。

寺は天台宗ですから総本山比叡山を焼き払った織田信長は極悪人。寺に手水(ちょうず)石を寄贈してくれた豊臣秀吉は偉い。寺領の一部を奪い他寺に与えた徳川家康は小悪人。雄藩に担がれて権力に復帰した明治天皇は期待の星。天皇制と華族制(彼もその家柄)を廃止したマッカーサー元帥は「けしからん」と。(経済ジャーナリスト)

つくば駅前に戻して開催 まつりつくば2023

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ねぶたパレードなどで盛り上がる「まつりつくば」=2019年撮影

つくば市最大の夏祭り「まつりつくば2023」(まつりつくば大会本部主催)は今年、会場をつくば駅周辺に戻し、8月26、27日の2日間開催する。昨年初めて会場を研究学園駅周辺に移し開催を予定したが(22年6月27日付)、新型コロナの感染拡大により中止とした(8月6日付)。今年は例年通りつくば駅周辺に立ち戻る。

第40回目となる今年は、47万人が来場したコロナ前の2019年と同規模を予定し、4年ぶりの開催を目指す。つくば駅周辺のつくばセンター広場、大清水公園、中央公園、竹園公園などを会場に、ねぶたと市内の神輿などが競演する「まつりパレード」や、市内のグルメが勢ぞろいする屋台の出店、大道芸人によるパフォーマンスなどを予定している。

昨年は研究学園駅周辺で予定したが今年はつくば駅周辺に戻す理由について五十嵐立青市長は16日の市長定例会見で「複合的要素があった。パレードをする際にどのような形で実施できるかという調整の課題が多かった。今般、関係各位の理解を得て調整が十分できたので例年通りの開催ができる」などと説明した。

来年以降の会場について五十嵐市長は「多くの人がやはりあちら(つくば駅周辺)でやることを望んでいるので、そうでありたいと思っている」と述べた。

大会本部事務局の市観光推進課によると、2月に今年第1回目の本部会議を開き、会場をつくば駅周辺に戻すことを決めた。

4年前の2019年時点と比べつくば駅周辺はマンションなどの開発が進んでいる。まつりの2日間、パレード実施のため夕方から夜にかけて、つくば駅近くの土浦学園線の一部を通行止めにする。通行止めにより車の出入り台数を制限されるなどの影響を受けるマンション住民が増えているほか、まつりの資材置き場としていた空き地が減少したり、駐車場が減るなどしている。

同課によると現在、各マンションと調整を進めている。代替の資材置き場はほぼ確保できたという。駐車場については、今年はまつり関係者に公共交通機関を利用するなど呼び掛けるとしている。

まつりつくばは1981年に市民有志が開催したのが始まり。当初から現在のつくば駅周辺で開催され、1998年からは土浦学園線を通行止めにしてパレードが実施されてきた。新型コロナにより2020年から3年連続で開催中止となった。(鈴木宏子)

花火を観るなら有料観覧席でⅡ 《見上げてごらん!》15

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イラストは筆者

【コラム・小泉裕司】シーズン到来で、2023年の花火事情が見えてきた。隅田川花火のように、コロナ禍を経て数年ぶりの開催に至る大会が増える一方で、資材や火薬そのものの高騰、安全対策への不安などから、開催をあきらめた大会もあると聞く。

開催を決めた土浦や大曲のように、やむなく有料観覧席の値上げで支出の増大に対応する大会もある中、今回のタイトル付けに逡巡(しゅんじゅん)したが、それでも、「主催者おすすめのビューポイントから花火を見上げてほしい」(2022年7月17日付の本コラム)の思いは、揺らぐことはない。

それはさておき、これまで全国の主要な花火大会の魅力を取り上げてきたが、この時期に至っては、遠方の宿泊施設を個人で確保することは困難。旅行会社のツアー頼みも割高感は否めない。ということで、今回は、つくば・土浦方面から日帰り可能な都内および茨城県内の花火大会をラインアップしてみた。

東京編

国は一昨年11月、基本的対処方針を決定し、大規模イベントの開催にあたり、細部の運用は都道府県に委ねた。結果、昨年、土浦をはじめ多くの花火大会が3年ぶりの開催を決める一方、東京都は国の対応への不満から、開催に難色を示し、都内ほとんどの大会が中止となっていた。

そして今年、方針の撤廃に伴い、東京の夏の風物詩「隅田川花火大会」が4年ぶりに帰って来る。7月29日(土)、第1会場(桜橋~言問橋)は、午後7時打上開始、最大5号玉(直径15センチ)。1.5キロ下流の第2会場(駒形橋~厩橋)は、午後7時30分から打上開始、最大3号玉(同9センチ)。打上玉数は2会場合計2万発、第1会場では選抜業者10社による「花火コンクール」も行われる。

間断なき高密な打ち上げが印象に残る花火大会だ。ちなみに、川幅が狭く、観客の安全確保のために定められた「保安距離」が確保困難のため、大玉の打ち上げはない。市民協賛席と呼ばれる有料観覧席の募集はすでに終了したが、ビルや船上など、鑑賞スポットの選択肢の多様さは都会ならでは。道路上、ビルとビル、街路樹の枝の隙間から花火を見上げる「東京人」のたくましさに圧倒される。

東京23区内で、打上総数1万発以上で、これからでも有料観覧席が購入可能な大会をまとめてみた。

開催日大会名会 場打上玉数/煙火業者
7/22(土)19:20足立花火大会荒川河畔1.5万発、北陸火工
7/25(火)19:20葛飾納涼花火大会江戸川河畔2万発、イケブン
8/5(土)19:00 ※対岸同時開催いたばし花火大会 戸田橋花火大会荒川河畔合計1.3万発 ホソヤエンタープライズ
8/5(土)19:15 ※対岸同時開催江戸川区花火大会 市川市民納涼花火大会江戸川河畔合計1.4万発、宗家花火鍵屋

茨城編

4月16日付の本コラムで紹介した「おみたま花火大会」が加わり、さらに分散化した日程は、見る側、打ち上げる側の両者に好都合でもあり、「いばらきの花火暦2023」は、今までにない充実ぶりだ。

開催日大会名会 場打上玉数/煙火業者
7/29(土)19:30水戸偕楽園花火大会千波湖畔5千発、野村花火工業
8/12(土)19:00とりで利根川大花火利根川河畔7千発、山﨑煙火、筑北火工等
9/16(土)18:00利根川大花火大会利根川河畔3万発、野村、山﨑など4社
9/30(土)18:00大洗海上花火大会大洗海岸1.2万発、野村花火
10/7(土)18:00おみたま花火大会(新)霞ケ浦湖上5千発、山﨑煙火
10/21(土)18:00ちくせい花火大会小貝川河畔2万1発、山﨑、森煙火、野村
10/28(土)17:30常総きぬ川花火大会鬼怒川河畔詳細未定(4年ぶり)
11/4(土)17:30土浦全国花火競技大会桜川河畔2万発、55業者(実績)

※昨年開催した「いなしき夏まつり花火大会」(8/19)、「鹿嶋市花火大会」(11/26)は、出稿時点で日程が未発表のため表から除いた。

どの花火に行こうか迷ったときは、土浦全国花火競技大会の結果など参考にして、打ち上げ業者で選ぶのも一興だが、いずれも申し分ない実績を誇ることだけは保証付き。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

<注>表中の煙火業者は過去の実績であり、あくまでも参考

未来に続く挑戦 開設50周年の筑波宇宙センター

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記念式典の講演で、会場からの質問に答える毛利衛さん=つくば国際会議場

宇宙航空研究開発機構(JAXA、山川宏理事長)筑波宇宙センター(つくば市千現)の開設50周年記念式典が17日、つくば国際会議場(同市竹園)で開かれた。OB職員や感謝状を贈られた企業団体関係者に交じって、地元の中高生ら約80人が参加、同センターで訓練を積んだ元宇宙飛行士、毛利衛さんの講演に耳を傾けるなどした。

同センターは1972年6月1日に、当時の宇宙開発事業団(NASDA)が新治郡桜村に開設した。JAXA移行後、同センターはロケット開発から人工衛星の環境試験、宇宙ステーション運用などの研究セクションを有し、現在もっとも多くの人が働き、多くの部署が活動する中心的な事業所となった。50周年を迎え、昨年特別公開など記念行事(22年11月12日付)を行ってきたが、記念式典はコロナ禍による行動制限の緩和を待って1年ずらしての開催となった。

19企業・団体に感謝状が贈られた

同センターは宇宙飛行士養成の基礎訓練が行われることで知られ、そのパイオニアが毛利衛さん。1985年に選ばれた最初の日本人宇宙飛行士3人の1人となり、同年からNASDAに所属し、日米で訓練を受けた。

最初のスペースシャトル搭乗は88年に予定されていたが、86年のチャレンジャー号爆発事故で搭乗ミッションは92年にまでずれ込んだ。このミッションで行ったのが世界初の宇宙授業。無重力空間に浮かぶ球形の水滴に、塩漬けのサクラの花を添えて桜湯をつくる実験を行った。日米で評判になり、後の国際宇宙ステーションに滞在する日本人宇宙飛行士にも受け継がれる宇宙授業になった。

こうしたエピソードを紹介し、筑波宇宙センター時代の同僚らに謝辞を述べた後、講演は未来へのバトンタッチに向かう。先ごろ宇宙飛行士の候補に選ばれた諏訪理さん、米田あゆさんら次世代は月へ向かおうとしており、そのバックアップにはJAXAをはじめとする多くの科学者や技術者の存在が不可欠とした。

この日会場には、市内の中高生や日本宇宙少年団の児童らが参加。講演の後、熱心な質問が相次ぐなか、毛利さんは「君たちが目指すのは火星だ」とさらなる未来への挑戦を促した。

あなたは運が良い方ですか? 《続・気軽にSOS》135

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【コラム・浅井和幸】不遇な少年時代を経て、自分の実力で成功した人を、私たちはカッコイイと感動します。人に頼らず、自分の腕で不運を乗り越えて何かを成し遂げる、自分の力を見せつけることを私たちは夢見ます。それは悪いことではなく、物事を乗り越えるには必要な力です。

しかし、物事がうまく行っていないときには、この癖が嫉妬やさらなる不運を招いてしまうことになりやすいのも事実でしょう。自分よりうまく行っている人はただ運が良かっただけと切り捨て、自分よりうまくいっていない人に対しては頑張りが足りないからだと軽く見る。

苦しく余裕がないと視野が狭まり、周りの良い意見も悪い意見も区別がつかず、周りに対してのネガティブな感情がわきます。自分のことを誰もわかってくれないし、自分は誰のことも分かりたくない。

世の中は嫌な事だけしか起こらないのだから、目をつぶり、耳をふさいだ方がましだ。それが、休息になっていれば余裕につながるのですが、嫌なことばかり考えていると心理的に疲弊は大きいです。

人は運が良いときもあれば、運が悪いときもあるもの。ですが、上記のような状況になると、良い運には気づきにくくなり、悪い運には過敏になっていきます。自分は運が良いと思っている日常は、上記とは逆の道をたどるのですが、運が悪いと思っている人が自分は運が良いと思えように即変われというのは無理難題です。

ささいな喜びを見つける

人生一発逆転をするような、大きな意義のあるイベントに出くわすとか、生活を一変するような趣味を見つけるとかと考えずに、普段軽く見ているようなささいな喜びを見つけましょう。

せっかくの休みに何もせず無意味な時間を過ごしたと思わず、心身の休息は取れたかもしれないことに気づくことです。さっき食べた食事にちょっとだけおいしいと感じたものがあったことを思い出し、何かきれいな花を見つけてきれいだと声に出す。昔聞いた音楽を聞き、少しだけ心地よいなと感じる。ちょっとしたせっけんのにおいを良いかもと感じ、触り心地の良いタオルをなでて気持ち良いかなと感覚を味わってみる。

このささいな良さを感じて、積み重ねることを続けていると、心地よいことに敏感になっていけます。それはさらなる快さにつながり、運の良さにつながっていきます。

お金がたくさんほしいのに、お金の勉強をしない。ダイエットしたいのに、たくさん食べる。苦しむのは嫌なのに、今考えても改善しないのに、嫌な仕事や嫌な人のことを1日中恋焦がれるように考え続ける。自分が行きたい場所とは逆の方に全力疾走しているようなこの状態に、人はなりやすいものです。

少しだけ今行っている努力を緩めて、余裕が出来たら、ちょっと方向を変えて目的の方向を向いてみる。無意識の行動に気づくことは難しいことですが、気づくことが出来たら大きな急激なことではなく、簡単でささいなことを繰り返し行うことで、いつの間にか運がよくなっている自分に気づく未来が訪れることでしょう。(精神保健福祉士)

4回 悪夢の3失点 土浦市デーのアストロプラネッツ

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土田のチーム初ヒット。野手のエラーもあって二塁打になった(撮影/高橋浩一)

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは16日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で栃木ゴールデンブレーブスと対戦し、0-3で敗れた。通算成績は8勝24敗で南地区4位。この試合には土浦市デーとして、同市在住・在勤・在学者が無料招待された。

茨城は先発、二宮衣沙貴をまたも助けられなかった。3回までは内野安打2本に抑えていた二宮を、4回に悪夢が襲った。先頭打者に初球を右前へ運ばれ、次打者は三ゴロに打ち取ったはずだったが二塁手の益子侑也が送球を後逸。無死一・三塁となり犠牲フライで1点を失う。その次も三ゴロを高橋拓也が捕球できず1死二・三塁。ここでカウント3-0からの4球目を中前へ運ばれ、2点適時打となった。

「自分としては今季一、二を争う良い出来だった」と二宮

「打ち取りたい気持ちで少し力んでしまった。チームをカバーできず悔いが残る」と二宮。投球自体は好調で、6回を5安打に抑え、自責点は0。力のある直球を内外へ投げ分け、変化球も決まっていた。「自分がいいピッチングをしていればいつか勝てる。気持ちを切らさずやっていきたい」と前を向く。

「敗因は打てなかったことに尽きる。打席での工夫がなく、同じようなアウトが続いてしまった」と伊藤悠一監督。相手投手の大宅健介は、いつもは変化球でかわしてくるイメージだが、この日は直球の調子が良く、それでガンガン押してきた。加えてボールの微妙な動きもあり、打者が捉えたと思っても少しずれ、フライアウトが増えていた。

ヒットは土田佳武が6回に放った1本だけで、それがなければノーヒットノーランを許すところだった。「前の打席では振りすぎてしまったので、このときは浮き上がってくる球を上から押さえるイメージで、自分自身もボールに入り込みながら打てた」と土田の振り返り。

四番のコリーナが2打数2三振、指名打者のエルナンデスが3打数3三振と外国人勢のブレーキも大きかった。来日して日が浅く、日本の投手の緩急をつけたピッチングに対応できていないという。今後の改善を期待したいところだ。

伊藤監督は「同地区の相手はそれぞれクセなども見えてきた。いつまでも負けていられない。自分たちが間違っていないことを証明するためにも、しっかり勝っていかないと」と気合いを入れる。

5回終了後のベースランニング。土浦市デーとして多くの市民が試合やアトラクションを楽しんだ

架空発注繰り返し2700万円を不正受領 元室長を処分 物材機構

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物質・材料研究機構千現地区(本部)=つくば市千現

物質・材料研究機構(本部・つくば市千現)は16日、機構の室長職にあった元職員(死亡により退職)が、2015年度から21年度までの7年間、計69回にわたって架空の業者に不正発注を繰り返し、約2700万円を私的に受け取っていたことが分かったとして、元職員を懲戒解雇相当と認定したなどと発表した。

発表によると元職員は、実態のない架空の個人事業主を機構の取引業者として登録し、役務などを繰り返し発注したとされる。実際には、元職員が自ら役務などを行い、納品していた。調達部門の承認手続きが必要ない50万円未満の少額契約や、競争性が無く入札に適さない調達や謝金などが対象の経費申請という手法で、発注を装っていた。

昨年12月、同機構に「元職員が架空業者に発注している疑いがある」などの情報提供があり、発覚した。機構は内部調査を進め、不正を認定したとしている。

同機構は、元職員に対し退職金を全額不支給とする処分を実施したほか、管理監督責任として元職員の当時の上司を厳重注意処分とした。併せて元職員の不正行為で生じた損害額について返還請求を行うとしている。

元職員の年齢、性別、死因、死亡年などは、個人の特定につながるなどから非公表という。

再発防止策として同機構は、少額契約の役務についても受注業者に対し、業務完了時に詳細な作業内容報告書の提出を義務付けたり、個人事業主の新規登録にあたっては事業実態の確認を徹底したり、同一業者に繰り返し発注を行う職員などにヒヤリングやモニタリングを実施などするとしている。

機能の宝野和博理事長は「元職員が在職中に行った不正行為は、機構職員としてあるまじき行為で、決して許されない。国立研究開発法人としての信頼を失墜させ、誠に遺憾。国民に深くお詫びし、今回の事態を真摯に重く受け止め、不正行員の防止策を強化し、職員のコンプライアンス遵守の徹底を図ります」などとするコメントを発表した。

市民の受付時間を朝夕で60分削減 10月から つくば市

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受付時間終了の午後5時15分過ぎに市役所正面玄関に掲示される業務時間終了を知らせる看板。10月からは午後4時30分過ぎに掲示される

つくば市の五十嵐立青市長は16日の定例記者会見で、市民が利用する市役所窓口などの受付時間と代表電話の受付時間を10月2日から、朝15分、夕方45分の計60分減らし、午前8時45分から午後4時30分までにすると発表した。市によると市役所窓口の受付時間を減らすのは県内で初めてという。

住民票などを交付する市民窓口のほか、市役所本庁舎の各課すべてで市民の受付時間を減らす。ほかに本庁舎隣のコミュニティー棟、合併前の旧町村ごとに計6カ所ある窓口センター、17カ所ある地域交流センター、3カ所ある保健センターの窓口も10月2日から一斉に受付時間を削減する。

現在の受付時間は午前8時30分から午後5時15分までで、職員の勤務時間と同じ。五十嵐市長によると、現在は残業を前提とした労働形態であり、時間外勤務が恒常的になっていることから「(市職員が)あまりに忙し過ぎて、考える時間もなく、ミスを振り返る時間もない。より良いサービスに気付いたとしても話し合う時間もない」などから「法的に適正化していくと共に、中期的に市民サービスの向上につなげる」としている。

市人事課の試算によると、窓口受付時間が職員の勤務時間と同じ午後5時15分までとなっていることによる職員の残業時間は、年間約5000時間、残業代は約1000万円と想定されるという。一方、残業代を削減するために時間の変更を行うのではなく、課題の検討や改善のための時間を確保することが目的だとしている。

時間帯別の市民の利用状況は、午前9時から午後4時までの市民窓口の利用者が全体の85%という。10月から利用できなくなる午前8時30分から8時45分または午後4時30分から5時15分に市民窓口を利用している市民は現時点で1割ほどと推定される。市は、住民票交付などのサービスについては、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付や市役所内のマルチコピー機での交付、オンライン申請などを一層推進していくとしている。

ただし10月2日以降も▽市民窓口延長は、第2と第4木曜日午後8時まで本庁舎で現行通り実施する▽毎週土曜の本庁舎の休日窓口は午前8時45分から午後4時30分までに変更になる▽地域交流センターの貸し会議室などは従来通り午後10時まで利用できる▽市役所の代表電話は受付時間以外は音声ガイダンスでの案内に切り替わる▽窓口センター、交流センター、保健センターの電話の受付時間は削減せず現在と同じ午前8時30分から午後5時15分まで受け付ける▽本庁舎の開庁時間は現在の同じ午前8時から午後6時まで。