水曜日, 8月 19, 2026
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TX県内延伸先は土浦方面 第三者委が知事に提言

接続は土浦駅が優位

つくばエクスプレス(TX)県内延伸先の絞り込みについて検討してきた県TX県内延伸第三者委員会(委員長・岡本直久筑波大社会工学域教授)は31日、第4回委員会を開き、効果と費用のバランスなどから延伸先を土浦方面とする提言をまとめ、同日、岡本委員長が大井川和彦知事に提言書を手渡した。

併せてTXつくば駅からJR常磐線に接続する駅について、土浦駅か神立駅かを検討し、需要予測や採算性などから、土浦駅に接続する方が優位性が認められるとした。

コスト最小も事業費1400億円

第三者委は昨年12月から計4回の会合を開き、新たな人の流れの創出、県全体の発展可能性、実現可能性など5つの判断基準を元に、土浦、茨城空港、水戸、筑波山の4つの方面から1方面への絞り込みを検討してきた。

まず筑波山方面は、つくばと水戸の交流拡大やJR常磐線の事故や災害時などの代理機能に寄与するとは言えず効果は限定的だとして退けた。水戸方面は影響が極めて大きいが、常磐線経由であってもつくばと水戸の交流拡大に一定の効果が得られるとし、土浦方面で接続されれば茨城空港方面や水戸方面への延伸に期待される効果が一定程度得られるとした。茨城空港方面は各自治体からの要望も多く将来性は考慮すべきだが、期待される将来の姿と現況とのギャップが大きく実現可能性があるとは言い切れないとした。

その上で土浦方面について、常磐線への接続が直線距離で8.4キロと最短でコストも最小となり、特急も停車するなどから、土浦方面以外での接続は現実的ではないとした。

第三者委はさらに接続駅についても土浦駅か神立駅かを検討し、土浦駅は神立駅に比べて駅前の市街地が発達し難工事が想定され、概算事業費は土浦駅よりも神立駅の方が低い一方、採算性や費用対効果は土浦駅の方が高いとし、土浦駅に接続する方が実現可能性は高いとした。

県は同日、土浦方面の概算事業費や需要予測を明らかにし、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測されるとした。鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しが示された。

1400億円の算出根拠としたルートについては、つくば駅から土浦駅方面に向けて、台地部は地下、その後地上に出て桜川をまたぎ南側から土浦駅に入るルートで算出したという。

31日開かれた第4回TX県内延伸第三者委員会であいさつする委員長の岡本筑波大教授(中央奥)

東京延伸などとパッケージで働き掛けを

第三者委員会の提言はさらに、実現に向けた課題についても踏み込んだ。土浦方面に延伸しても費用便益比は1.0を下回り、事業採算性も赤字が見込まれるとして、従来通りの沿線開発にとどまらず、さらなる需要増加と費用削減の方策を検討する必要があるとした。国の交通政策審議会の答申にも位置付けられているTX東京延伸や都心部・臨海地下鉄構想などの動向に留意し、一体的なパッケージとして国などに働き掛けていく必要があるとした。

提言を受け取った大井川和彦知事は「延伸実現による県内経済の発展、社会的な利便性の向上などさまざまなメリットはつくばの発展をみても実証されている。提言をしっかり受け止めて、課題についても、提言を踏まえた形で一歩一歩克服していきたい。方面を最終決定した上で国に対してもアプローチしていきたい」と話した。

第三者委の岡本委員長は「費用対効果の数字(費用便益比)が基準に達しておらず、実現に向けてはさらなる公共交通志向の生活スタイルが浸透していく必要がある」とし、将来、茨城空港方面や水戸方面についても改めて議論すべきだとした。

提言を受けて安藤真理子土浦市長は「TXの土浦延伸は長年にわたる私たちの悲願。正式決定はまだ先だが、私たちの熱い思いが実を結んだもので大変喜ばしい。土浦延伸は今やっとスタートラインに立ったところ。今後も茨城県を始め、各関係機関との十分な協力・連携を図ってまいりたい」などとするコメントを発表した。

6月目途に決定

県は今後、提言についてパブリックコメントを実施し、県民の意見を聞いた上で、6月を目途に方面を決定する。県はさらに2023年度、当初予算に2600万円を計上し、延伸ルートや事業の枠組みなどを検討する。土浦市は、沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討、調査する。(鈴木宏子)

【TX県内延伸をめぐるこれまでの動き】
▽2017年8月 知事選で橋本昌前知事と大井川和彦現知事が共に公約に県内延伸を掲げる
▽2017年12月 初当選した大井川知事が「新しい茨城づくり政策ビジョン」に「TXの県内延伸に向け検討を進める」と明記
▽2018年5月 TXをつくば駅から茨城空港(小美玉市)まで延伸しようと、つくば、土浦、かすみがうら、石岡、小美玉、鉾田、行方7市の市議会議長がTX茨城空港延伸議会期成同盟会を設立
▽2018年11月 県総合計画「新しい茨城への挑戦」に2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに〝茨城空港ルートを描く
▽2022年2月 県が22年度当初予算にTX県内延伸の調査費を初めて盛り込み、22年度内に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込む方針を掲げる
▽2022年12月 県がTX県内延伸第三者委員会を設置

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