月曜日, 4月 28, 2025
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高級ホテルを誘致 県 つくばなど4エリア候補

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茨城の絶景。つくば市、筑波山の夜景(左)、ひたちなか市、国営ひたち海浜公園のコキア(右上)、大洗町、神磯の鳥居(右下)=Zekkei×IBARAKI

【山崎実】県が上限10億円の補助金を用意し、高級ホテルの誘致に取り組んでいる。候補地は、つくば市など県内4エリア。来年3月までには事業者(ホテル)、立地場所を決める方針だ。

外国人観光客を含む観光宿泊者を県内に取り込み、観光消費額の増加などを図るのが狙い。新たにフラッグショップとなり、茨城の観光のイメージアップにつながる国際観光ホテル級の誘致をしている。

ホテル誘致制度の内容は、概ね100室以上、平均客室面積20平方㍍以上で、国際観光ホテル整備法の施設基準を満たすことが要件。投資額(土地、建物、設備)の5%(上限額5億円)を補助。県の観光イメージの向上に特に顕著と認めらる場合は、投資額の10%、上限10億円まで増額される。

大井川和彦知事の今年度の目玉施策だけに、県議会でも議論を呼び、第3回定例会の営業戦略農林水産委員会では、橘川(きっかわ)栄作観光物産課長が県内4エリアで調査を進めていることを明らかにした。▽筑波山・霞ケ浦エリア(つくば市)のほか、▽海浜リゾート(大洗・ひたちなかエリア)▽歴史・文化の街(水戸・笠間エリア)▽県北エリア(日立市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・常陸大宮市・那珂市・東海村・大子町)ーの各エリアだ。つくばエリアについては学園都市があるのでコンベンション(国際会議や見本市など)機能のあるホテル誘致に絞りたいとしている。

県は、東京・千代田区平河町の都道府県会館に東京渉外局PR・誘致チームを組織し、本県各地の観光資源と、圏央道県内区間の全線開通、茨城空港と成田空港の近接性、つくばエクスプレス(TX)による都心からのアクセス利便性など、交通体系までを網羅した事業者への制度説明(誘致活動)に力を注いでいる。

橘川課長によると、大手デベロッパー、ゼネコン、信託銀行、ホテル業界など、既に80社以上に足を運んでいるという。この国際観光ホテル級の立地は、最終的には平均客室面積、価格などを総合的に勘案し、外部有識者による審査会の意見を踏まえて決定することになる。

仮装してお菓子ゲット 27日、土浦ハロウィーン 参加者募集

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参加を呼びかける実行委員会のメンバーたち=土浦市内

【谷島英里子】子どもたちが仮装して土浦のまちを散策しながら商店街をまわり、スタンプラリーでお菓子をもらう「つちうらハロウィン」が27日、土浦駅西口駅前のアルカス土浦をスタート地点に行われる。

NPO法人まちづくり活性化土浦が土浦商店街連合会、プロジェクト土浦力、NPO法人土浦スポーツ健康倶楽部と共催し、2015年からスタートした。イベントの目的は土浦に愛着を持ってもらうことだという。

参加者は午後1時30分にアルカス土浦に仮装姿で集合し、参加者全員で記念撮影。その後行列を作ってモール505まで散策。2時から、同イベントに協賛している約50店舗の店先で「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ)」と英語で呼びかけるとキャンディーやチョコなどのお菓子とスタンプがもらえる。ゴールもアルカス土浦で、3時30分からスタンプの数に応じた景品のプレゼントやコスプレ大賞を決める表彰式が開かれる。

実行委員長の岡島学さんによると、昨年は200人を超える参加があり、カボチャや魔女、ゾンビ、ディズニーキャラクター、スパイダーマンなどの仮装でにぎやかだったという。参加商店のなかには再び訪れてもらおうとお菓子に割引券を付ける店もある。岡島さんは「友達と仮装を見せ合ったりお菓子をもらったりと楽しいイベントなので、ぜひ参加してみて」と呼びかけている。

参加できるのは中学生以下で、費用は500円(保険料含む)。申し込みや問い合わせはNPO法人まちづくり活性化土浦(電話029・826・1771)まで。

戦国武将「小田氏治と戦国時代の城館」巡回企画展 人物像にファン増 つくば

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小田氏治にスポットを当てた巡回企画展。左は今回初公開されている小田領の西の守り「海老ケ島城絵図」=つくば市小田

【相澤冬樹】つくば市小田を根城に時代を駆け抜けた武将を取り上げる巡回企画展「小田氏治と戦国時代の城館」が3日、ご当地の小田城跡歴史の広場(つくば市小田2532-2)で始まった。近年の戦国武将ブームのなか、NHKの歴史番組が“戦国最弱”の武将として氏治を取り上げるや人気に火がつき、負け戦さを続けながらも71歳の生涯を全うした人物像にファンを増やしている。主催のつくば市も「便乗」を認め、“常陸の不死鳥”をうたっての企画展開催、再評価の機運に地元も盛り上がっている。

小田氏は、鎌倉時代戦国時代までの約400年間、常陸国南部で最大の勢力を誇った一族で、氏治(1531-1601)は15代当主。18歳のとき家督を継いだものの、結城政勝や上杉謙信、佐竹義昭・義重親子らと小田城をめぐる攻防に明け暮れ、2度は落城後に奪還、1度は開城、4度目の手這坂合戦(1569)後にはついに小田城を失った。土浦城や藤沢城に逃げ延びながら奪還は果たせず、最後は結城秀康を頼り、福井で没している。

そんな名だたる弱将だが、なぜか人望があって、破れるたびに再起する不屈さが後世になって好感された。企画展では“常陸の不死鳥”小田氏治をクローズアップして、戦いの舞台となった小田城をはじめ、海老ヶ島城や土浦城、藤沢城など周辺の城館の史料を集め、展示した。

氏治ファンや子孫の交流を広げたい

猫を抱いた小田氏治像は吉原一行さんの制作(小田城跡歴史の広場)

地元の観光ボランティアガイドにも氏治ファンは多く、企画展に盛り上がっている。会長の吉原一行さん(67)は得意の創作こけしで氏治像を制作して会場入口に据えた。会期中に夫人の像も彫って2体並べての展示を考えている。

また常陸小田城親衛隊の会メンバーなどが会場に詰めて、年表や系図の説明に当たっている。「ここに来て、氏治の子孫を名乗る方々が横浜や郡山から名乗りを上げて、連絡をくれたり、小田を訪れたりしてくれている」そうで、展示をきっかけに交流を広げたい意欲を持っている。

巡回企画展第一期の会期は12月6日まで。12月11日からは谷田部郷土資料館(つくば市谷田部4774-18)に会場を移しての開催となる。問い合わせは029-883-1111(つくば市教育局文化財課)

独特の書体 書家・鈴木赫鳳さん 日展受賞作品と近作 つくば

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日展特選の書の前に立つ鈴木赫鳳さん=つくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリー

【鈴木萬里子】第21回筑波銀行ギャラリー企画展「気韻とロマンを求めて 書家・鈴木赫鳳展~日展特選受賞作品を中心に筆跡と近作~」が、つくば市竹園の筑波銀行ギャラリーで開かれている。

高萩市在住の鈴木赫鳳(かくほう)さん(68)は、1989年日展に初入選し、2014年と16年には特選に選ばれている。読売書法展でも2年連続の準大賞を受賞するなど茨城の書道会を牽引する書家の一人。会場には日展特選作品のほか、掛軸六幅組、六曲屏風(ろっきょくびょうぶ)、巻子(かんす)など全57点が展示されている。このほか貴重な印材や愛用の文房四宝(筆、墨、硯、紙)も多数出品されており、興味深い展示になっている。

赫鳳さんは書家の鈴木雲鳳氏を父に持ち、書に囲まれて成長した。大学卒業後は建築家を目指し建築関係の会社に就職した。「サラリーマンでは書に時間が取れない。本格的に書に力を入れたい」と、36歳の時に建築事務所を立ち上げた。同年、日本芸術院賞の書家、故殿村藍田(らんでん)氏に師事し、鎌倉まで通い指導を仰いだ。その2年後、早くも日展に入選するなどの経歴を持つ。

書は芸の道であり、芸の到達点

書と建築は全く異なる世界の様に思われるが、赫鳳さんは「書も建築の設計図も真っ白な紙にゼロから書いていく。無から作り上げていく工程が両者に共通している」と話す。無から何を書き出すのかが重要なのだという。「書は芸の道であり、芸の到達点。文字を媒体とする書道を、芸術として皆さんに面白いと思ってほしい。私自身も芸術により近づいていきたい」と話した。

会場には行草体の作品が多く並ぶが「漢字ばかりではなく観る人に楽しんでもらいたい」と急きょ書いた、かな交じりの調和体の作品も展示され、運筆の美しさが際立つ。土浦から来場した60代の女性2人は「文字の線が素晴らしい。線質に迫力があって、さすがだと思う」「独特の力強い書体の中に繊細さがあって面白い」と話していた。席上揮毫(きごう)が7日(日)、8日(日)午前11時より行われる。

熱心に書や硯に見入る来場者たち=同

◆会期は28日(日)まで。午前9時~午後5時(土・日・祝日も開館)問い合わせは筑波銀行地域振興部(電話029・859・8111)まで。

障害学生を支援 クラウドファンディングで出資募る 筑波大

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DACセンターの窓口。同センター研究員の後藤由紀子さん㊧、准教授の佐々木銀河さん(中央)、人間系障害科学域助教の野口代さん=つくば市天王台
日本学生支援機構による障害学生数推移の調査結果

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)が、障害のある学生の勉学を支援するためクラウドファンディングで出資を募っている。大学で学ぶ障害学生は近年、全国的に増加している一方、支援が足りていないという。同大は「プロジェクトを多くの人に知っていただくことで、共生社会のために何ができるか、考えるきっかけになれば」としている。

日本学生支援機構の調査によると、国内の大学などに在籍する障害学生は近年増加している。2017年度は全国で約3万人、これは全学生の約1%で、割合は依然として少ないが、14年度が約1万4000人(約0.4%)だったのと比較すると急増している。

背景には16年4月の障害者差別解消法施行がある。障害のある人も無い人も互いを認め合い、共生できる社会をつくることを目指して制定された法律だ。施行後、各大学で障害学生数の把握が進み、増加につながったと推測されるという。

筑波大学は開学当初から多くの障害学生に門戸を開いてきた。01年度には「障害学生支援委員会」を、07年度は「障害学生支援室」を設置、15年に「ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(DACセンター)」に組織再編し、全ての障害学生に就学支援がなされ、合理的な配慮がなされるよう運営を行っている。

点字ディスプレイ

しかし支援は十分ではない。例えば全盲の視覚障害学生は、資料や文献を読む際にパソコンの読み上げソフトを使ったり、点が浮き上がり点字を表現する点字ディスプレイという機器を用いる必要があるが、器機は高額で全ての希望者に行きわたっていないのが現状だ。

また肢体不自由の学生は、授業以外でも論文執筆の支援や、移動、食事、排せつなどの介助が必要だが、介助サービスをしてくれる事業所は少ない。周りの生徒に頼むとヘルパーの初任者研修受講が必須となる。受講料は高く、国からの交付金だけでは賄いきれない。

こういった現状を解決したいと、筑波大学はクラウドファンディングプロジェクトを行っている。DACセンターの佐々木銀河准教授は「障害は人そのものにあるというよりは環境によって生まれる。支援を整え、受け入れる環境があれば、社会的な障壁は無くなる」とし「いろいろな立場の人が学べ、多様性を尊重できる大学を目指したい」と話す。

プロジェクト「障害のあるなしに関わらず、共に学び合えるキャンパスへ」の実施期間は31日まで。目標金額120万円に対し、9月26日現在60万4000円集まっており、達成率50%。詳細はhttps://readyfor.jp/projects/tukubadac

◆DACセンターは多様性を受け入れる共生キャンパスを目指し、10日(水)~12日(金)、同大で「ダイバーシティ・ウィーク2018~多様性がひらく未来」イベントを開催する。詳しくはhttp://www.tsukuba.ac.jp/event/e201809201720.html

台風24号 つくば、土浦で2人軽傷 倒木、建物損壊など各地に爪痕

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霞ケ浦総合公園の倒壊したポプラの大木=土浦市大岩田

【鈴木宏子】9月30日から10月1日にかけて本州を縦断した台風24号により、つくば、土浦市では女性2人が軽傷を負ったほか、倒木や建物の一部損壊など、両市内各地で強風による被害が相次いだ。

つくば市では1日午前1時52分、最大瞬間風速32.7㍍、土浦市では同2時37分、28.8㍍を観測した。つくば市の最大瞬間風速は1950年からの観測史上5位、土浦市は2008年からの観測史上1位の記録となった。

つくば市では午前1時30分ごろ、同市梅園のコンビニ店で、入り口のガラス扉が強風で急に閉まり、仕事中の女性従業員(52)が胸部打撲の軽傷を負った。土浦市では午前7時15分ごろ、停電により90代女性が自宅で転倒し軽傷を負った。

土浦で建物被害41件

建物の被害は、土浦市で住宅の屋根の一部が壊れたり、倉庫や物置、カーポートの屋根が飛ばされるなどの被害が41件発生した。

倒木は、つくば市で65件、土浦市で27件発生し、つくば市高野台、国道408号では倒木により午前4時20分から6時まで片側通行止めとなった。

各地で停電が発生、つくば市では約1万5000件、土浦市では1619件が停電となった。

暴風警報や大雨土砂災害警報が発令されたのを受けて、つくば市は9月30日夕方、同市沼田に避難所を開設したが避難者は無かった。土浦市は3カ所に開設し、このうち同市新治、新治公民館に70代女性1人が避難した。

強風が大木と屋根を直撃

屋根が壊れ撤去中に電線に接触した現場=土浦市真鍋

土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園のポプラの大木が根こそぎ倒壊した。歩道フェンスを破って隣に設置されている太陽光発電のパネルを一撃した。同公園管理事務所の大川さんによると、周辺でほかにも2本大木が倒されたとのことだ。

土浦市真鍋5丁目の2階建てビルは強風で屋根が壊れ、撤去作業中に屋根が電線に触れて一部が燃えだし、土浦市消防が出動した。この騒ぎで道路が一時通行止めとなり、近くの住民は心配そうに見つめていた。

洞峰公園内、片付け作業に追われる

つくば市二の宮、洞峰公園では、園内あちこちに折れた枝が散乱した。根元から倒れた樹木もあり、作業員が片付け作業に追われた。作業員の男性は「今回の台風は風が強くて、枝折れの被害が大きかった」と話し「ここは粘土質で根が深く張らず横に張るため、根元から倒れた木が30本ぐらいあった。枝が途中で折れる枝折れがたくさん発生し、子どもたちがよく遊ぶ場所から優先して落ちた枝を片付けている。地面に落ちないで途中で引っ掛かっている枝もあり危険なので、高所作業をして引っ掛かった取り除かなければならない。片付けるのに1週間以上掛かるのではないか」と話していた。

折れて散乱した枝を子供たちがよく遊ぶ場所から優先して片付ける作業員=つくば市二の宮、洞峰公園

「NEWSつくば」は発足から1年経ちました

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TXつくば駅前
理事長 坂本栄

「ネットによる新聞」をキャッチコピーにして、NEWSつくばがスタートしてから今日1日で1年になります。地域のニュースを扱う+媒体はインターネット+運営は非営利のNPO―という未体験の組み合わせですから、当初はどうなるものかと心配でしたが、何とか軌道に乗ってきました。これも、支援者の方々、多くの読者のおかげと感謝しております。

ページビューは3倍に

閲覧データを見ますと、代表的な数字であるページビューはこの1年で3倍に増えました。これを、来年3月(今年度末)には4倍にしようと、5月に開いたNPOの初総会で確認しました。そのためにはどういった工夫をしたらよいかですが、「読者が関心を持つニュース・コンテンツを提供する」ことに尽きます。

ネットの特性を生かす

NEWSつくばのメンバーは、地域紙で仕事をしていた記者を中心に構成されています。ですから、取材のプロ集団ではありますが、どうしても紙という媒体の特性に縛られ、ネット媒体についての理解が十分でないという問題があります。伝達手段として使い勝手がよい、ネットの特性をいかに生かすか。この点は走りながら考えるしかありません。

ネットの特性(活字・写真・動画・音声を即時に提供できる、これらコンテンツを保存もできる、ほかのネット媒体との連動もできる)を引き出すために、いろいろなことを企画しています。例えば、首長の記者会見を上記の4表現手段でお届けすることです。近く実現できると思います。

大学高校生記者も参加

どんな事業でも活性化できるかどうかは、言うまでもなく「人」次第です。NEWSつくばは5~6人のスタッフライターでスタートしましたが、今ではライターが倍になりました。大学生のライター、高校生のライター、別の仕事をしているライターが参加してくれたからです。これはNPOのメリットと言えます。スタッフライターとは違った視点の記事は、ネット新聞の幅を拡げるからです。

NEWSつくばでは、通常の記事のほか、地域で活躍している(活躍していた)方々のコラムを原則毎日アップしております。月1回の方と月2回の方がおりますが、寄稿していただいている方は20人になりました。どういった顔ぶれかは各コラムニストの経歴欄をご覧いただければと思います。見識を持った方々のコラムは、ネット新聞の奥行きを深めることになります。

米の寄付文化がモデル

冒頭、NEWSつくばは「非営利のNPO法人」と自己紹介しました。ということは、この組織は寄付によって成り立っているということです。われわれは、寄付によって運営されている米国のネット地方新聞をモデルにスタートしました。でも、日本の寄付文化は米国に比べるとまだまだで、資金面では苦労しております。大口・中口・小口のご寄付によって、地域に欠かせないメディアに育てていただければ幸いです。(NEWSつくば理事長 坂本栄)

家庭ごみ処理10月1日から有料化 土浦市 県内で最も高い指定袋に

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10月1日からの家庭ごみ処理有料化を知らせる注意書きが貼られたごみ集積所=土浦市内

【鈴木宏子】家庭ごみ処理の有料化が土浦市で10月1日から始まる。「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」の指定ごみ袋が最大で10枚入り500円となり、県内市町村で最も高いごみ袋になる。

指定ごみ袋に、市がごみ処理手数料を上乗せして徴収する。袋の価格は1㍑当たり1~1.1円で、容量15㍑の大きさの袋が10枚入り150円、30㍑が300円、45㍑が500円と、これまでの3倍ほどとなる。環境省の2014年度調査では水戸市など県内18市町村ですでに導入しているという。

料金設定の根拠について市は、1世帯の1カ月のごみ袋代を300~500円以内と想定したとしている。一方、生ごみや容器包装プラスチックなどリサイクルするごみの収集を無料のままとすることで、ごみの分別収集が進み、可燃ごみの減量化が進むとしている。さらに使用済み紙おむつと庭木の剪定(せんてい)枝を有料化から除外し、市民の負担軽減を図るとしている。ただし葉っぱは有料。

有料化により従来の指定袋は使えなくなる。集積所に指定以外の袋で出された場合、警告シールが貼られ一定期間、周知を行ってから回収するという。すでに購入してしまった従来の指定袋は、袋を裏返すなどして使えば、容器包装プラスチックやペットボトルなどを出すときに使用できるという。

同市の主婦(64)は「ごみ袋が変わることは、1カ月ぐらい前に各戸に新しいごみ袋が1枚ずつ配られたので市民に周知されているとは思うが、どういう理由で有料化するのかまだよく分からない」とし「自宅で猫を飼っているのでこれまで1回に2袋ごみを出していた。これからは小さい袋を組み合わせて出す工夫をしなければならない」と困惑気味に話す。

燃やせるごみと燃やせないごみの新しい指定袋。価格は10枚入り150~500円。

手数料収入2億2600万円

同市は15年度から市全域で生ごみと容器包装プラスチックの分別収集を実施し、同年度は可燃ごみが前年度比約25%減少した。しかし、ごみの中身を抽出調査したところ、燃やせるごみの中に生ごみや容器包装プラスチック、雑紙などがまだ多く含まれており、燃やせるごみの35%、燃やせないごみの41%はまだ分別収集できるとしている。

同市のごみ処理経費は15年度が約19億5000万円。一方、生ごみとプラスチックの新たな分別収集が始まり、収集運搬費と処分費が約4億円増えている。

今回の有料化により、市には今年度見込みとして、2億2600万円の手数料が入る見通し。一方、指定袋の製造費や広報啓発などの経費が約1億3500万円掛かり、差し引き9100万円の収入が増える見通しだ。全国では有料化したことで可燃ごみの量が約2割減っていることから、同市は3年後の21年度までに家庭ごみを10%以上減量化し、リサイクル率24.6%以上(15年度は21.7%)を目指すという。

茨城ロボッツ開幕戦勝利 逆転に次ぐ逆転で白星つかむ

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試合後、MVPとしてインタビューを受けるカール・バプティストと、彼のためにボードを捧げ持つ平尾充庸=水戸市青柳公園市民体育館

【池田充雄】男子プロバスケットボールのB2リーグは29日に2018-19シーズンの開幕を迎えた。茨城ロボッツは水戸市の青柳公園市民体育館に2026人の観客を集め、西宮ストークス(兵庫)と対戦。試合終盤まで激しい競り合いを繰り広げたが、最後に茨城が1点差で西宮を振り切り、初戦を白星で飾ることができた。

34得点を挙げたバプティスト。第2クォーター開始直後のシュート=同

昨季は昇格プレーオフのチャンスをあと一歩のところで逃した茨城ロボッツ。その悔しさから今季はぶっちぎりの強さでB2リーグを勝ち抜け、悲願のB1昇格を果たそうと大型補強を敢行。登録選手12人中8人が新メンバーとなった。

プレースタイルも昨季とは大きく変わり、走り勝つチームを目指している。その背景にあるのが、インサイドの強さに加えて走力もある外国人選手がそろったこと。また、自分たちが走ることで相手の外国人選手を疲れさせ、ベンチへ下がる時間を多く作り出そうという狙いもあると、岡村憲司スーパーバイジングコーチは語る。

ただその観点からすると、この日の試合展開は目指す姿とは大きくかけ離れていた。前半は相手のシュートミスにも助けられ、37-28と9点差をつけて折り返したものの、第3クォーターで49-49と追い付かれてしまう。「身長の低い相手チームに対する優位性を生かそうとして動きが止まり、自分たちで自分の首を絞め、楽に勝てなくしてしまった」と真庭城聖主将は分析する。

 

残り1分13秒、平尾がレイアップシュートを決めて69-67と勝ち越す=同

第4クォーターには壮絶なデッドヒートを演じることになったが、そこに終止符を打ったのが平尾充庸の活躍だ。残り1分13秒で69-67と一度は勝ち越すが、その1分後に3点シュートを決められ69-70と逆転を許す。最後、茨城に残された時間はわずか13秒。ここで平尾が相手DFのファウルを誘い2スローを獲得すると、2本とも冷静に決めて71-70と再逆転。ガードとしても残り9秒をしっかりと守りきり、ついに開幕戦の勝利をその手に収めた。

地域防犯願って青パト出発式 土浦市桜ケ丘町

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導入された青パト車と防犯パトロール隊員ら=土浦市桜ケ丘町公民館

【谷島英里子】土浦市桜ケ丘町の防犯パトロール隊が青色回転灯装備車両(青パト)を初めて導入し、29日に同町公民館で出発式を開いた。隊員のほか警察、小・中学校校長、児童らも参加し、地域の安心安全に向け決意を新たにした。

青パトは日本財団から車両の80%の助成を得て導入し、回転灯や白黒の塗装が施されている。2005年に同パトロール隊が発足した以降は自家用車に回転灯を設置してパトロールを行っていた。

式典には、土浦署荒川沖交番、市生活安全課、下高津小、土浦四中、同町子ども会など約55人が出席。那珂伸一区長(55)は「防犯活動のシンボルとして安心安全なまちづくりの一助になれば」とあいさつした。日本財団から贈られた青パト車の大きな鍵の模型も披露された。

隊員は50~70歳代の61人で、4グループに分かれて小中学生の下校時の見回りや犯罪抑止のパトロール活動を行っている。今後は青パトが町内で親しまれる存在になればと愛称を募集していく。

日本財団が土浦市内の町内会に青パト車(原則として軽自動車)の購入資金の助成をするのは、おおつ野自治会に続き2カ所目という。日本全国で約4万台の青パトが活躍し、同財団は約240台の青パト車助成支援を行っているという。

入館者50万人を達成 土浦市立図書館

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50万人目の入館者となった野口浩美さん家族にグラジオラスを贈る入沢弘子館長㊨

【鈴木宏子】土浦市立図書館(同市大和町)の入館者数が29日、50万人になった。昨年11月27日に土浦駅西口前に移転、開館以来、約10カ月での達成となった。

開館以来、毎月約5万人が来館し、8月2日には年間目標の40万人を、予定より4カ月早く達成していた。移転前の旧館(文京町)と比べ、貸出者数は1日約600人と2倍、貸出冊数は約2000冊と2倍、新規登録者数は1日平均63人と9倍になっているという。

29日、同館2階入り口でセレモニーが催され、50万人目の入館者となった土浦市木田余東台の野口浩美さん(38)と、長女で真鍋小3年の陽向詩(ひなた)さん(8)、長男で幼稚園児の侑珠(ゆず)ちゃん(6)の3人に、入沢弘子館長からJA土浦のレンコンとグラジオラスが贈られた。

陽向詩さんは「すごくびっくりした」と話し、母親の浩美さんは「広くて、きれいで、とても使いやすいので、これからも使っていきたい」と話していた。毎月2回くらい家族で来館し、絵本や図鑑などを1人10冊ずつ借りるという。

入沢館長は「毎日多くの方にお越しいただきとてもうれしい。これからも利用者ニーズに応えられる運営をし、土浦の図書館ならではの特色を出すと共に、まちづくりに貢献するシティプロモーションの核として市民に喜んでいただける図書館にしていきたい」とコメントした。

出資会社作りクレオ全部取得を提案 子供向け科学体験型商業施設に再生 つくば市負担34億

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クレオ

【鈴木宏子】百貨店などが撤退し今年2月から閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)について、同市の五十嵐立青市長は28日、市が出資するまちづくり会社をつくってクレオの土地と建物全部を約38億円で購入する案を発表した。子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生し、出資会社が運営する。市が負担する費用は20年間の賃料なども含め総額約34億3000万円になるという。同日開かれた市議会全員協議会に示した。

新たな商業施設は、1、2階に食品スーパー、百貨店、地元の飲食店や物販店のほか、温浴・健康施設、自転車・アウトドアスポーツ拠点施設などを配置する。目玉となる3~5階は、子ども向け科学体験教育施設、世界のおもちゃ体験施設、書店などを入居させる。市は5階に子供や科学に関する本を集めた子ども科学図書館と市役所窓口を出店する。

各階の配置案(つくば市作成)

体験施設の具体的な中身やどのようなテナントが入居するかについては現在、打診中でまだ決まっていないという。ただし東京・お台場と豊洲に新しいデジタルアートミュージアムを開設して話題のデジタルコンテンツ制作会社「チームラボ」、ロボットスーツを開発・販売する筑波大発ベンチャー企業の「サイバーダイン」、廃校になった小学校で世界のおもちゃに触れて遊べる体験型ミュージアムを運営する「東京おもちゃ美術館」など、注目を集める会社などと協議していると強調している。

商業施設を運営するまちづくり会社は、市が20億円、民間事業者が30億円を出資し資本金50億円とする。民間の出資会社はまだ確定してないがサイバーダインなどと協議中という。さらに金融機関から21億円を借りて計約71億円の資金を元に、約38億円でクレオを購入、約29億円で改修し、約4億円を初期の運転資金に充てるという。入居するテナントの賃料は、クレオの周辺相場が1坪(3.3平方㍍)当たり1~2万円程度なのに対し、3~7割安い7500円程度とし、開業2年目から約1億円の黒字になると試算している。

マンション建てるべきでない

クレオはつくば科学博が開催された1985年に建築。地下2階、地上8階建てで、面積は約1万5000平方㍍、延床面積約5万6000平方㍍。

クレオの再生をめぐって五十嵐市長は6月、約22億円で5、6階に図書館など公共施設を入居させることを検討していることを明らかにした。その後、所有者の筑波都市整備が、年内にも売却を行いたい意向を示したことを受け、今回、新たな案が提示された。

年内に売却の場合、商業施設と併設して14階建てマンションが建設予定であることから、マンション建設をすべきでないとして、全部購入する案としたという。さらに6月時点では標準耐用年数を超えている施設をすべて更新した場合、51億6200万円かかると試算されていたが、あと20、30年は使えるとして長期改修を15億円程度にとどめる。

市の新たな案について筑波都市整備は「市の案が出たということなので、中身を見て確認したい」としている。

10月16日まで市民の意見を募集

市は今回の案を市ホームページで公表、さらに10月7日ごろに市広報臨時号を新聞折り込みなどで配布して、29日から10月16日まで市民の意見を募集する。市民説明会は10月14日午前10時から市役所2階で開く。

アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会臨時議会を開き、20億円の出資の是非について諮る。議会で可決されれば11月中にまちづくり会社を設立、12月中旬にクレオを購入するという。

一方、市議会全員協議会では「さまざまな課題がある中、なぜクレオを優先するのか」「周辺部にどれだけ波及効果があるのか」「公共性があまりにも少ない」「テナントが埋まらないというリスクはないのか」「拙速に進めるべきでない」などの質問や意見が相次いだ。

キャンパス内に商業施設 10月1日筑波大に開店 支払いキャッシュレスに

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10月1日オープする筑波大学ショッピングプラザ=筑波キャンパス南地区

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)のキャンパス内に10月1日、スーパーとカフェを併設したショッピングプラザ(仮称)がオープンする。

スーパーはカスミ(同市西大橋、石井俊樹社長)が運営する同筑波大学店(箱田直美店長)で、同社初の取り組みとして現金のやり取りを行わず、クレジットカードや電子マネーで買い物するキャッシュレス化の店舗となる。

スーパーの建築面積は約1000平方㍍。生鮮食料品や日用品を販売するほか、留学生が多いことから、アジア各国の調味料など輸入食材や、イスラム教の戒律に沿って調理・製造されたハラール認証の食材なども豊富に取りそろえる。学生向けのため、商品価格は他の店よりやや安めにするという。

店舗には、その場で飲食できるイートインコーナー(店内33席、テラス44席)を設置。無料のWi-Fiが使用できるようにする。さらに簡易キッチンを備えた多目的スペース(8席)を設け、学生や教職員がミーティングなどで利用できるようにする。イートインコーナーには一誠商事のセルフ不動産検索機を設置し、新居探しもできるという。

店舗入り口付近にはスマートフォン充電シェアリングサービスを設け、店舗横に宅配便ロッカーを設置し宅配便が受け取れるようにする。自転車の無料空気入れスタンドも設置し、パンク修理も対応する。

学生、教職員計約2万2000人と周辺住民約3200世帯を対象に、年商3億4000万円を目指している。

カフェは、サザコーヒー(ひたちなか市、鈴木美和子社長)が運営する筑波大学アリアンサ店で、建築面積は約200平方㍍。同大と共同開発したコーヒー豆、アリアンサコーヒーのほか、ドイツ製の焙煎機で焙煎したこだわりのあるコーヒーなどを提供する。

同大は、学生と教職員の福利厚生と利便性向上を目的に、平砂学生宿舎北側に食品スーパーを中心にした商業施設を整備することを計画。昨年7月、運営会社を公募した。鹿島リース(東京都港区、稲葉仁社長)が施設を整備し20年間運営して、同大が土地の賃料を得る仕組みで、整備が進められてきた。

◆カスミ筑波大学店の営業時間は平日が午前8時~午後9時、土曜・祝日は午前10時~午後7時。日曜定休。サザコーヒーは平日午前9時~午後9時、土・日・祝日午前10時~午後7時。10月1日のオープン時間はカスミが午前10時45分、サザコーヒーが同11時の予定。

20年来の作品を初お披露目 土浦市民ギャラリーで「木目込み人形展」

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「木目込・手芸同好会」の会員ら。後ろは展示される立ちびなの木目込み人形=土浦市大和町、土浦市民ギャラリー

【鈴木萬里子】土浦市の亀城プラザを拠点に活動している「木目込・手芸同好会」(代表・中野かすみさん、島田幸子さん)による初の作品展「木目込人形・手芸同好会展」が、28~30日の3日間、同市大和町の市民ギャラリーで開かれる。

会員10人が、20年来、活動を続ける中でそれぞれ作り上げ、箱に入れて家の中にしまっていた作品を、今回、市民ギャラリーがオープンしたのをきっかけに初お披露目する。1人10点以上を持ち寄り、100体を超える作品が並ぶという。

会は20年以上前に結成された。会員は現在、60代半ばから83歳までの10人。当初は講師の指導を仰いでいたが、講師が高齢になり、3年前から経験の長い会員が教え合うなどしている。

木目込み人形は、木製の人形に、衣服の形に筋彫りを入れ、布を押し込んで衣服を着ているように仕立てた人形。約250年前の江戸時代中期、京都上賀茂神社が発祥といわれる。

会員らは、既成の人形を土台に、自分の仕上げのイメージに合わせて筋や溝を彫り、衣装を着ているように仕立てる。「十二単(ひとえ)を着たおひな様の襟元を合わせるのが特に難しい」と会員の一人は話す。人形の衣装は、古布、絹の端切れや化学繊維までいろいろある。溝の彫り込み方や着物の柄などに作り手の個性が色濃く出るという。

島田さんは「これだけたくさんの木目込み人形が並ぶのは珍しいと思う。是非見てほしい」と話し、中野さんは「伝統技能なので次の世代に残していきたい」と語る。

ほかにハワイアンキルト、ちぎり絵、パッチワークのバックなど会員の多彩な手工芸作品も展示される。

◆同展は30日(日)まで。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029・846・2950)

◆会の活動は毎月第2、4月曜午前10時~午後3時、土浦市亀城プラザ。見学自由。問い合わせは同プラザ(電話029-824-3121)

ハワイアンキルトの作者で会の代表の中野かすみさん㊧と同代表の島田幸子さん=同

釣り針からみ衰弱 谷田川のコブハクチョウ

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川の中で針と糸を取ろうともがくコブハクチョウ=つくば市森の里前の谷田川(写真は富樫さん提供)

【橋立多美】つくば市森の里団地の脇を流れる谷田川にすみつくコブハクチョウが、釣り人が放置した仕掛けが足にからまって傷を負ったが、団地住民と市環境保全課の連携プレーで事なきを得た。

コブハクチョウの写真を撮り続けている同団地の富樫次夫さん(67)が26日夕方いつものように撮影に行くと、生息している7羽のうちの1羽が左足にからんだ針と糸を取ろうと必死にもがいていた。

コブハクチョウから除去した釣りの仕掛け

すぐに倉本茂樹自治会長を通じて市環境保全課に連絡し、同課の職員2人が捕獲用の網を持って駆け付けた。ところがビックリしたコブハクチョウに逃げられて捕獲に失敗した。

翌27日午前9時半、住民が見守る中で2度目の捕獲が成功した。ペンチで足に絡まった糸と足の付け根に刺さった針を除去し無事救出作戦が終わった。同課職員は「針を取ろうとくちばしで引っ張ったせいで、くちばしの一部が引きちぎられて血が出ていた。疲れ果てたのかヨタヨタした状態だった」と話した。

捕獲されたコブハクチョウ。背中に血がにじんでいた=谷田川堤防

その後コブハクチョウは同団地の住民から餌をもらい、安心した様子で仲間のところに泳いでいった。富樫さんは「ここはブラックバスやコイを釣りに来る人が絶えない。これまでも釣り人が持ち帰らない釣り針や糸がからんで死んだコブハクチョウがいる。放置せずに持ち帰ってほしい」と力を込める。

同課は、今回のような人為的な出来事に対処しており、「釣り人のマナー向上」を呼びかける。

【多文化共生を支える】3 コミュニケーション力磨き助産師が奮闘

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マタニティクラスで分娩の仕組みを説明しながら質問に答える玉置さん=つくば市上横場の筑波学園病院

【橋立多美】9月中旬、妊娠後期の中国とインド出身の妊婦4人が夫と一緒に、分娩(ぶんべん)の仕組みや入院中のスケジュールについて助産師から説明を受けた。つくば市上横場の筑波学園病院産科病棟で年4回行われている外国人対象のマタニティクラスのひとコマだ。やりとりは全て英語。終始フレンドリーな雰囲気で時折笑い声が混じる。

指導する助産師は玉置利香さん(46)。座学を終えると分娩室や病室を案内した。日本人向けの母親学級で分娩室を見学することはない。「マタニティクラスはお産の知識を得ながら友だちができる場。妊娠の段階で良い出会いがあると安心して出産できる。分娩室の見学はお産をイメージしてもらうため」と玉置さんはいう。

サービスより親身なケア

玉置さんは同病院の産科病棟に勤務する。3年ほど前、外国人の妊産婦が、安全性が疑われる母国のミルクを持ち込んだり、タイやインド出身の母親が冷たい水で赤ちゃんを沐浴(もくよく)させようとする場面を目の当たりにした。日本人でも母親学級を通して妊娠や分娩への理解を深めて安心して出産を迎える。言葉の壁がある外国人が母親学級に参加することはなく、母国と異なる病院環境に戸惑いと不安を覚えていると感じた。

病院に、外国人対象のマタニティクラスの開設を提案。一方で、出産後の育児を支援する訪問型の助産院を自身で開院しようと決意した。病院が願いを聞き入れ、マタニティクラスを受け持たせてくれた。英語が話せる後輩の助産師、岩瀬和恵さん(38)と共に同クラスの運営に取り組んでいる。

現在は妊婦外来や助産師外来、産後2週間検診に携わり、主に玉置さんが外国人を担当している。お産は夫婦の共同作業という意識の表れから、ほぼ100%の夫が分娩時に立ち会うという。一方、外国人は産後の祝い膳やマッサージといったサービスより、安全な医療と親身なケアを求めていることも分かった。

同病院産科病棟の飯田ひろ美看護師長は「国籍に関係なく、患者の要望に添える看護を目指している。マタニティクラスは後継者が育ちつつあり見守っていきたい」と話す。

英語で質問が飛ぶ外国人対象のマタニティクラス=同

助産院開院し出産後の育児支援

週2日、同病院での勤務を続けながら、玉置さんは昨年4月、外国人をメーンにした「Aina(アイナ)助産院」を土浦市宍塚に開院した。

英語が通じる助産院の開院を知った外国人ママたちがSNSで発信し、利用する外国人が増えてきた。授乳指導や育児支援をするほか、赤ちゃんの予防接種に付き添い、問診票に記載するなどの支援もしている。料金は県助産師会の規定に基づき1時間4000円以上。玉置さんは「コミュニケーション力を磨いて彼女たちを応援したいが、私を雇えない人もいると思う。かゆい所に手が届いていない」と話す。Aina助産院の問い合わせは玉置さん(電話080-4007-4245)。

(終わり)

金井宇宙飛行士が市役所訪問 つくば市の応援に感謝

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国際宇宙ステーションで撮影した写真を五十嵐市長に手渡す金井宣茂宇宙飛行士㊧=つくば市役所

【鈴木宏子】国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士として昨年12月から5カ月半、宇宙に滞在し、今年6月帰還した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井宣茂宇宙飛行士(41)が26日、つくば市役所を訪れた。打ち上げ時や帰還時につくば市の応援を受けたことに対し、五十嵐立青市長に感謝の意を伝えた。

金井さんはフライトエンジニアとして、ISSの維持管理や運用、宇宙環境を利用した科学実験などに取り組んだ。

宇宙滞在を振り返り「宇宙での生活は意外に快適で不自由なかった。宇宙食もおいしいし、肩凝りもないし、夜はハンモックに揺られるようにすやすや眠れた。普通の人が宇宙旅行しても生活するノウハウは蓄積されていると感じた」と話した。もの散らかっているのが嫌いな性格のため、他の宇宙飛行士が出しっぱなしにしているカメラなどを片付けるなど、片付け係だったというエピソードも披露した。

今年2月、アジアや日本の学生たちが筑波宇宙センターの運用管制ルームで生中継を見守る中、学生たちから提案があった8つの宇宙実験を行った際は「宇宙でも学生たちのパワーを感じた」と話した。

帰還後の6月、つくば市は、金井さんに送る「おかえりなさいメッセージ」を市民から募集し、市民の寄せ書きをつくば駅前の商業施設BiViつくばに展示した。筑波宇宙センターでリハビリ中だった金井さんは会場を訪れ、居合わせた市民から「お疲れ様でした」などと声を掛けてもらったことがうれしかったなどと語った。

29日は筑波宇宙センターで催される特別公開で子供たち向けの講演会を開く予定。さらに全国各地に出向いて帰還報告などをする計画という。「経験をいろいろな人にお話しすることで宇宙を身近に感じていただけば」という。

◆筑波宇宙センターの特別公開は29日(土)午前10時~午後4時。金井さんは「教えて!金井宇宙飛行士」と題して、午前11時30分~、午後1時~、3時~の計3回、子供たちと対話しながらの講演会を開く。入場無料、先着順。問い合わせは電話050-3362-6265(同広報部)

【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

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いずれも中国出身で医療通訳ボランティアの伊藤春華さん㊧と松永悠さん=つくば市国際交流協会事務局が置かれている、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ前

【橋立多美】つくばで暮らす外国人は昨年10月1日現在9106人。増加に伴って医療機関を受診する外国人は増えているが、日本で医療を受ける最大の障壁は言葉の壁だ。病院が医療通訳を配置するのは極めてまれで、医療従事者も英語以外の言語に対応できることは非常に少ない。

病状重く派遣回数が倍増

日本人と外国人の交流や、外国人の生活支援を目的とするつくば市国際交流協会が、09年から医療通訳ボランティアの無料派遣を行っている。派遣回数は年平均40回で推移してきたが、昨年は88回と倍増した。病状が重い患者が多く通院が長期化する傾向にあるという。

医療通訳の国家資格はない。同協会が開催する養成講座を受講し選考試験に合格後、ボランティア登録をする。個人情報の保護や患者の権利擁護などの倫理規定を学び、言語能力だけでなく、患者に寄り添う人間らしさなどが問われて選考試験は狭き門。合格したが患者の命を支える重圧から登録しない人もいるという。

在日外国人の母語としてニーズが高い中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応する30人の医療通訳者が登録されている。その中から通訳歴4年以上の4人に話を聞いた。

中国北京出身で中国語通訳の松永悠さんは「医者の説明を通訳するが、患者が本当に理解しているか確認を怠らない」という。通訳者が勝手に補足するのはタブーで、理解していない時は別の言い方を医者に頼むことがある。

松永さんとパラグアイ出身でスペイン語通訳の岩﨑克司さんは、患者のルーツや宗教に応じた対応を次のように話す。「日本なら薬を処方される程度の小児の病気でも中国では点滴するケースがあり、同じように保護者に求められた時は医療者の説明を通訳して理解してもらう。薬も大量に処方されるのが当たり前で、日本での数日分の薬に『これだけ?』と。それだけに薬の飲み方や回数は丁寧に通訳する」と松永さん。

清原朗子さん㊧とペルー出身の岩﨑克司さん=つくば市吾妻の吾妻交流センター

岩崎さんは「宗教によっては重篤な状況をそのまま伝えず、フィルターをかけたほうがよい場合もある」と話す。また「患者の不安感を和らげるために予約の30分前に病院内で落ち合い、生活環境や困っていることを聞くことにしている。リピーターから、病院は嫌だがあなたがいるから来ると言われ、やりがいになっている」と話してくれた。

英語通訳の清原朗子さんは「日頃から医療用語や病気についての勉強を怠らないようにしているが、通訳当日は持ち込みが許される辞書を持参する。でも見る時間がなくて辞書はお守りです」と笑みを浮かべた。

9年前は認知されず

当初から中国語通訳として活動している伊藤春華さんは中国広西省出身。「医療通訳がスタートした9年前は活動が認知されていなかった。今は患者との関係づくりに役立つと医者や看護師から感謝される。円滑な診療と外国人への有効な治療が進められるよう続けていきたい」と語った。

同協会の中村貴之係長は「病気が重い患者が多いため、通訳者が感情移入し過ぎると気分が落ち込むようになる。医療通訳者をどうケアして守るかが課題」と話す。

医療通訳ボランティア派遣は市内や近隣地域の病院からの申し込み制。医療通訳に関する問い合わせは、つくば市国際交流協会(電話029-869-7675)。

【多文化共生を支える】1 言葉の壁越えるには 

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子どもと交流しながら1対1で日本語の指導が行われている「こども勉強会」=同市吾妻のつくばイノベーションプラザ

【橋立多美】大学や研究機関、工業団地が集積するつくば市は、県内最多の外国人が住む多文化のまちだ。10年前と比べて約2000人増加し、留学生や研究者、就労者など143カ国の約9300人(市人口の4%)が暮らす。国が外国人労働者の受け入れ拡大に乗り出したことで一層の増加が見込まれている。

外国人のいる日常は今や当たり前になった。だが言葉の壁や文化、習慣の違いで彼らが戸惑ったり途方に暮れることは想像に難くない。彼らにどんな支援がされているのか。在日外国人の生活に密着した支援を3回シリーズで報告する。初回は、学齢期の子どもを中心とした言葉のサポートを紹介する。

半数が日本語指導必要

同市には日本語指導を必要とする小中学生が多く暮らす。市教委によると、市内の外国籍児童生徒は約350人で半数の約170人に日本語指導が必要という。主に市中心部の公立小中学校に在籍することから、小中9校に日本語指導の研修を受けた教員12人を配置している。学級を持たずに日本語指導に専念し、別教室で個別の指導も行われている。日本語が読めず、学校からの書類などが理解できない保護者とはスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっているそうだ。

7月中旬、同市吾妻の筑波学院大学で来春の高校進学を目指す外国籍の中学生と家族が、通訳付きで日本の高等学校の仕組みを学んでいた。内容は小中学校との違い、高校の種類やカリキュラム、入試、偏差値、学費と多岐にわたる。台湾出身で龍ケ崎済生会病院の産婦人科医・陳央仁さんが高校進学体験談を語った後は個別相談に応じた。ブラジル出身の父親は「高校のことがよく分かり、娘の学力レベルと通学時間や経済面を考えて受験する高校を決めることができた」とほっとした表情を見せた。

日本の教育制度や高校についての説明を聞く参加者たち。手前は県内の高校のパンフレットと夏季講習のチラシ=つくば市吾妻の筑波学院大学

国際交流協会が担い手に

この「高校進学相談会」はつくば市国際交流協会(小玉喜三郎理事長)が主催。講師を務めた同大の金久保紀子教授は「子どもたちは日本に永住する可能性が高く、高校入試は避けて通れない。しかし日本の教育システムが分からず、公立の小中のように高校に入学できると思っている」と話してくれた。

夏休み期間中は小中学生対象の「こども日本語勉強会」が行われた。市内4地区の学校と公共施設で全12回開かれ、同協会のボランティアが指導にあたっている。つくばイノベーションプラザでの今夏最後の勉強会では、中国とインドネシア出身の児童5人が日本語を学んでいた。小2の男子児童の机の上には「けさはパンをたべましたか」など、日常会話を学ぶドリルが置かれていた。この勉強会は冬・春休みにも実施されている。

外国人とその家族を対象にした「日本語講座」も開講されている。初心者から上級者までの5段階で昼コースと午後6時30分からの夜のコースがある。同協会の中村貴之係長は「日本で生活するために日本語の習得は欠かせず、子どもは学習言語、大人は生活言語を学ぶ必要がある」と話す。

毎週水曜日には無料の「外国人のための相談室」も開かれている。家庭内のいざこざや給料未払い、DV(配偶者、恋人などからの暴力)などの相談が寄せられる。未払いやDVなど弁護士や専門家が介在すべき問題は、たらい回しされないよう確かな相談先に橋渡しをしているという。

県南3JA 予定通り合併へ 竜ケ崎が総会で逆転可決

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臨時総会冒頭、あいさつする木村透JA竜ケ崎組合長=24日、牛久市柏田町、市中央生涯学習センター・文化ホール

【鈴木宏子】JA土浦、竜ケ崎、茨城かすみの合併をめぐり、JA竜ケ崎(木村透組合長)が臨時総代会で合併を否決した問題で、合併議案を再度審議するJA竜ケ崎の臨時総会が24日、牛久市中央生涯学習センター・文化ホールで開かれた。正組合員による投票の結果、3分の2を上回る賛成があり、合併は承認された。これによって当初の予定通り来年2月1日付けで3JAは合併し、新生「JA水郷つくば」が誕生することになる。

正組合員4908人のうち24日の臨時総会に足を運んだのは100人のみ。書面で意思表示した書面議決が3091人、委任状が89人あり、計3280人の出席となった。投票の結果、出席者の3分の2を上回る76%の2492人が合併を承認した。

一方、出席者からは「かなり多くの書面議決がある。賛否の表示がない場合、賛成として取り扱う根拠は何か」などの質問があり、事務局が、会社法の規程などを準用したと説明した。賛否の表示がない書面は562人からあったという。「(農協の)組織のための合併は分かるが、組合員にとってメリットはあるのか」などの質問も出た。

投票結果を受けて木村組合長は「総代会のときに組合員から『説明が足りない』と言われた。その後すぐに職員が一戸一戸訪問し、経過や合併のメリットについて説明して回った。その結果だと思う」と話し「竜ケ崎は土浦や茨城かすみと比べて販売部門が脆弱(ぜいじゃく)。土浦のレンコンは関西の方まで行っており、合併すればそういうところにアプローチがかけられうようになると思う」と組合員にとってのメリットを強調した。

3JAは今年8月1日、大井川和彦知事らの立ち合いで合併契約書に調印した。調印後の8月25日、各JAはそれぞれ臨時総代会を開いた。土浦と茨城かすみは3分の2以上の賛成を得て合併が承認されたが、竜ケ崎は賛成61.3%と3分の2に達せず合併議案は否決された。その後、JA竜ケ崎の正組合員1644人から農協法に基づく総会の招集請求が出され、24日、臨時総会開催に至った。

農協の合併は、国が農協改革の一環で来年5月までに一定の自己改革の成果を求めていることなどを背景に、JA自らが組織や経営基盤の強化を図る目的で進めている。