土曜日, 7月 5, 2025
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フラワーアレンジメントで記憶力向上! 農研機構と県立医療大が訓練手法開発

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キットを使って作成したフラワーアレンジメント

【田中めぐみ】農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市観音台)と県立医療大学(阿見町)が、フラワーアレンジメントを作成する作業を通して認知機能改善の訓練を行うプログラムを開発した。臨床研究では、脳に損傷を負った人を対象にフラワーアレンジメント作成プログラムを行った結果、記憶力の改善が見られたという。今後、医療、福祉施設などでリハビリへの活用を促進していく考えだ。作成用のキットが考案され、生花店やインターネットで購入できる。

誰でも簡単に作成

印の付いた吸水スポンジ

作成プログラムでは、〇、△、◇の印の付いた吸水スポンジを用い、印に葉、大きな花、小さな花の順に花材を挿していくことで、パズルを組み立てるようにフラワーアレンジメントを作成する。

フラワーアレンジメントは健常者でも難しいが、キットを使えば誰でも簡単に丸型のをつくることができる。印付きのスポンジ資材や手順書、花材を含む作成キットは、つくば市千現の生花店プアラニ(塚田祐一代表)で購入できるほか、全国の生花店、インターネットでも購入が可能だ。キットは特許を取得している。

リハビリに効果期待

臨床研究では、不慮の事故や脳卒中などの病気で脳が損傷し、記憶や注意、言語などに障害のある高次脳機能障害者27人を対象とした。フラワーアレンジメント作成プログラムに参加した群と参加していない群とに分け、図形の記憶力テストを行ったところ、プログラムに参加した患者群に記憶力の改善が認められたという。効果は3カ月持続した。また左半側空間無視という症状=メモ=のある患者に対しても注意機能の改善が見られた。

さらに、患者の家族を対象に神経症の諸症状の程度を調べる質問を実施した。質問はGHQ(一般精神健康質問紙)によるもので「夜中に目を覚ますことは」、「いつもよりいろいろなことを重荷に感じたことは」といった内容の28項目をチェックしたところ、生花を家に飾ることで患者の家族の神経症状が軽減されることが分かったという。

農研機構の望月寛子上級研究員は「今後、高齢者やアルツハイマー型認知症の方のプログラムも開発していきたい。一人一人の症状に合った方法を模索していければ」と話す。

※メモ
【左半側空間無視】右側の脳が損傷を受けることで左側の刺激を無視してしまう症状。見えているが注意が向かない

生花店 プアラニ
住所▽ つくば市千現1-23-28
電話▽029-856-7788  FAX▽029-856-7790
営業時間▽午前10時~午後8:00
販売しているキット▽大小2種類の花と葉、印の付いた給水スポンジ、器、ラッピング紙、手順書で1セット。吸水スポンジの印が少ないMサイズと多いLサイズがあり、価格は2000円から。

フラワーアレンジメントキットを医療機関などに販売している生花店プアラニ(つくば市千現)。店内でキットの説明をする塚田代表

【あと一勝の壁】6 配球パターンを丸裸 4度目のチャンス

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決勝後ベンチ前で泣き崩れる霞ケ浦ナイン

【伊達康】いよいよ甲子園へのラストチャンスとなる夏の大会を迎えた。春の決勝で敗れた霞ケ浦は第2シードとなったが、このゾーンには打力の高い有力校が並んだ。

初戦の下妻二は上野と綾部翔(横浜DeNAベイスターズ。取手シニア出身)の継投により6回コールドで下した。3回戦のつくば国際大は好投手・福田海人の前に打線が沈黙し5回まで1対1。6回から上野が登板したが連打で逆転を許す苦しい展開となった。直後に一死満塁から1年生・根本薫(オリックス・バファローズ。取手シニア出身)のライトフェンス直撃スリーベースで逆転したが、最終回はホームスチールで1点差まで迫られる大苦戦を強いられ上野を温存できる展開とはいかなかった。

フルイニングの接戦続き

4回戦の水戸商には上野が8回まで7安打1失点。最終回は安高に継投したが、強打を誇る水戸商打線の前に早い回からの継投策は打てなかった。準々決勝は明秀学園日立と鹿島学園を1点差で退けて粘り強く勝ち抜いてきた石岡一だったが4対0と上野が完封した。

準決勝の取手松陽はノーシードながら勝ち上がった勢いのあるチームだった。上位に強打者が居並び一瞬の隙も見せられない。ここでも頼みの上野が完投で3対1の接戦をものにした。準決勝を終えて打撃陣が5試合で打率.289と調子が上がらず初戦以外はコールドゲームに持ち込めなかった。フルイニングの接戦続きで上野の投球イニングは34回2/3にのぼっていた。1年秋から5季連続で決勝の相手だった常総学院は準決勝で敗れ2強の牙城は崩れた。いよいよ甲子園まであと1勝。相手は藤代。甲子園への4度目の、そして最後のチャンスだった。

「決勝を迎えてアドレナリンが出ていたからか疲れは感じず、いつもどおりの調子だと思っていた。でもブルペンに入るとボールが思うようにいかなくて。マウンドでも身体がコントロールできなかった」。球威も制球も本来の出来とは程遠く、1回表に藤代打線につかまった。ヒットと四球で一死一、二塁から、4番・根本文弥にライト前タイムリーを浴びて1点を失った。続く5番・小林慧太には初球のチェンジアップを狙い撃たれ2点目を失った。さらに押し出しで3点目を献上した後、死球で満塁から竹内悠に2点タイムリーを浴びて一挙に5点を失った。

「秋の県大会では準々決勝で藤代に完封でコールド勝ちした。後日、藤代に進んだ取手シニアの同期から聞いたのですが、藤代の菊地一郎監督は秋以降、夏までほぼ毎日ミーティングで『茨城は上野を打てないと優勝できない』と言い続けて、打倒・上野を執念深く植え付けていたそう。夏の期間中も霞ケ浦の映像を見て研究していたと」

「すると大会中に霞ケ浦の配球パターンが分かってしまったんですって。2年夏までは濱部さん(駿稀。駒澤大中退―滋賀ユナイテッドBC)が配球のサインを出していたんですが、最上学年になってからは捕手が固定されなくてベンチが出していた。2点目のタイムリーを打った小林君には『初球チェンジアップが来るから絶対に振れ』とベンチが指示していたらしく、初球のチェンジアップを見事にレフト線に弾き返されてしまった。配球パターンを丸裸にされて、コントロールが利かないのとどこに投げても打たれるのとであれよあれよという間に5点取られていた」。

その後も3点を奪われ上野は5回途中で無念の降板となった。霞ケ浦は7回に2点を返したが及ばず、藤代が12対3で霞ケ浦を下して3年ぶり3度目の優勝を飾った。

甲子園への4度目のチャンスにもあと1勝の厚い壁が立ちはだかり、遂に憧れの舞台にたどり着くことなく高校野球を引退することとなった。

=続く

土浦労働総合庁舎 15日、宍塚にオープン

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15日オープンする土浦労働総合庁舎=土浦市宍塚

【鈴木宏子】土浦労働基準監督署(同市中央2丁目)とハローワーク土浦(土浦公共職業安定所、同市真鍋1丁目)が移転し、15日、同市宍塚にオープンする土浦労働総合庁舎で業務を開始する。

新庁舎は鉄筋コンクリート造り、延べ床面積約3600平方㍍で、1~2階がハローワーク、3階が共同会議室、4階が労働基準監督署などになるという。移転前の二つの庁舎を合わせた延べ床面積より3.3倍広くなる。

雨水をトイレの洗浄水や屋上緑地の散水に再利用したり、太陽光発電設備を設置するなど環境にやさしい造りとなる。庁舎の外観デザインは、1929年、霞ケ浦飛行場に着陸したドイツの巨大飛行船ツェッペリン号をモチーフにしたという。敷地面積は約4600平方㍍で71台分の駐車場スペースを設ける。

現在の土浦労基署は1972年に、ハローワーク土浦は76年に建築された。老朽化し手狭になっていたことから、移転し合同庁舎として新築する準備が進められてきた。特にハローワークは混雑緩和が期待されている。

移転をめぐっては当初、同市滝田地区が候補地に挙がっていたが地元の理解が得られず断念した経緯がある。その後、宍塚大池周辺地区の業務核都市構想に基づいて市が先行取得していた用地などを、2014年に国が購入し、16年に着工、このほど完成した。

移転後の跡地は、労基署(約2100平方㍍)、ハローワーク(敷地面積約900平方㍍)とも2020年3月までに解体するという。その後の利活用について財務省水戸財務事務所は、一般的な手順として、公共的利用がないか確認した上で、なければ入札を実施し民間に売却することになるとしている。

◆移転先の住所は同市宍塚1838。移転後の電話番号は土浦労働基準監督署(電話029-821-5127)、ハローワーク土浦(電話029-822-5124)いずれも変更はない。バスでの行き方は、土浦駅西口とつくばセンターから関東鉄道バスが運行し、新設されたバス停「土浦監督署・ハローワーク入り口」で下車する。土浦駅西口からは「つくばセンター」方面行きバスで約10分、つくばセンターからは「土浦駅西口」行きバスで約15分、バス停から徒歩5~6分。

【あと一勝の壁】5 3度目のチャンス 力投報われず

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3年春季関東大会で横浜をコールドで下した

【伊達康】失意の敗戦から数日後、監督から「上野に甲子園に連れて行ってもらうぞ」と冗談とも本気ともつかない檄(げき)を受けて、最上学年となった上野はキャプテンに指名された。やがてその言葉を体現し、2年秋に甲子園への3度目のチャンスを迎えることになった。

上野は地区予選から県大会決勝までの全6試合で先発し、県大会2回戦から決勝までは4試合全てを完投した。決勝は宿敵・常総学院と延長15回で決着が付かずに完投。大会を通じての投球回数は驚異の55イニングに及び投球数は900球を超えた。翌日の再試合は安高颯希(桜美林大3年)が1失点に抑える快投を演じて霞ケ浦が春以来の優勝を遂げた。

秋季関東大会は開催県には3校、開催県以外の6県には2校の出場枠があり全部で15校が出場する。通常は2回勝たなければセンバツ当確ラインの準決勝に進めないが、開催県の1位校だけは1回戦を免除され準々決勝から出場する特典(スーパーシード)が与えられる。つまり、開催県の1位校は1回勝てばセンバツ当確という訳だ。この年の秋季関東大会は茨城開催だったため、茨城1位の霞ケ浦がスーパーシードを獲得した。

1回戦を終え準々決勝の相手は桐生第一に決まった。先発はこの試合も上野だ。霞ケ浦は2回裏に先制を許したが、4回表に相手のエラーで同点に追い付いた。その後、1対1の膠着状態のまま9回裏に突入。二死二塁から打ちとった当たりが痛恨のサヨナラ打となった。霞ケ浦打線は散発5安打と沈黙。上野の力投が報われず甲子園への3度目のチャンスもあと1勝の壁に阻まれた。「最後は際どいところに打たれた自分が悪い。県大会決勝の後は1週間ボールを握らずにノースローで調整した。痛みはなかったが、県大会の疲労は抜け切ってなかった」

投手陣の底上げへ 上野に頼らない春

一冬を越えて3年春の県大会。霞ケ浦の投手起用方針は秋から一転した。「春先の練習試合で調子が上がらず東海大相模にめった打ちを食らったというのもあるが、大会前に監督からは『関東大会がかかった準決勝だけ完投で行くぞ』と言われていた」。1人でも多く夏の大会で投げられるめどが立つように、上野以外の投手の経験値を上げる方針で大会に臨んだ。霞ケ浦はその思惑どおりに安高颯希を中心に、秋は出番のなかった岩田直也や浅賀蒼太の継投で勝ち上がり、準決勝の土浦湖北戦は上野が2失点完投で春季関東大会行きを決めた。さらに常総学院との決勝では1年生の飯村将太(桜美林大2年)と根本将汰(桜美林大2年)にも登板機会を与えた。決勝では敗れたものの、上野一人に頼ることなく勝ち上がる中で投手陣に経験を積ませることに成功した。

横浜を撃破 夏に向け自信

神奈川開催の春季関東大会では淺間大基(日本ハム)と髙濱祐仁(同)を擁する神奈川1位の横浜と対戦した。場所は神奈川高校野球の聖地「横浜スタジアム」だ。完全なるアウェーの中、県大会の疲労が全くない上野は横浜打線を相手に5安打2失点に抑える粘投を見せた。打線は6回まで1安打に抑えられていたが11個の四球と相手投手の制球難に乗じて長短打を絡め、7回表に一挙7点を挙げ7回コールド勝ちを収めた。横浜のコールド負けは1970年春以来44年ぶりのことであった。1年秋の東海大相模に続いて横浜を下す大金星。投打ががっちりかみ合っての勝利は夏に向けて自信となった。

=続く

【あと一勝の壁】4 サヨナラホームラン 阻まれた2度目のチャンス

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3年夏の3回戦(つくば国際)

【伊達康】2年夏には2度目の甲子園へのチャンスを迎えた。初戦の鉾田一に1点差で辛勝したが、その後は順当に勝ち上がり、3季連続で霞ケ浦と常総学院という決勝のカードとなった。霞ケ浦の先発は2年生の上野だ。対する常総学院の先発はエース右腕の飯田晴海となり、茎崎ファイターズのOB同士で投げ合うこととなった。

「これまでも常総と対戦していたが僕が投げている時は別のピッチャーが投げていたので直接対決はなかった。小学生時代に雲の上の存在だと思っていた晴海君と夏の決勝の舞台で投げ合えるとは、自分はなんて幸せなんだろうと。でも甲子園に行くために負けてたまるかと初回から飛ばしていった」。

上野はその言葉どおり4回二死まで3安打無失点と圧巻の投球で強打の常総学院打線を翻弄(ほんろう)し、2番手の市毛孝宗(星槎道都大―きらやか銀行)にマウンドを託した。霞ケ浦は初回に菅原直輝のタイムリーで先制し8回表にも田村祐一のタイムリーでリードを2点と広げた。

しかし、8回裏に常総学院が連続タイムリーで同点とし試合は振り出しに戻る。霞ケ浦は3番手に片野凌斗を投入した。同点の9回裏、常総学院は先頭から2者連続で凡退したが、3番の進藤逸(國學院大4年)がレフト前ヒットで出塁し4番の内田靖人(楽天イーグルス)につないだ。ファウルを打たれてカウント2ボール1ストライクから一度タイムを取って攻め方を確認する霞ケ浦バッテリー。しかし次に投じた外角高めの甘いボールを内田は見逃さず、打球は右中間スタンド上段に吸い込まれた。劇的なサヨナラ2ランホームランで幕切れとなり、甲子園への2度目のチャンスはあと1勝のところでついえた。

「1年夏の頃から2年生主体のチームで、この学年と1年半ずっと一緒に野球をやってきた。寮でも仲が良くていっぱいかわいがってもらって。大好きな先輩たちと甲子園に行くぞとこの試合にかける思いが強かった。負けてしまって申し訳ないという気持ちが強い分、2年の夏の敗戦が僕の高校野球生活の中で一番悔しかった」

=続く

【あと一勝の壁】3 高校1年夏 鮮烈デビュー

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2年夏

【伊達康】高校は県外の強豪校に行きたい気持ちもあったが、親の薦めもあって地元に残り父親の母校でもある私立霞ケ浦高校に進学した。中学までは常に叱られながら野球に取り組んできた上野だが高校では環境が一変した。監督は上野の全てを受け入れてくれたのだ。

「1年からすぐに試合で使っていただいたので気を遣ってもらっていたのかなという部分はありますね。好きにやらせてもらった。だからといって練習を手抜きした訳ではありません」。否定されることも叱られることもない分、自主性と自立心が要求された。

迎えた1年夏、2回戦の境戦で2番手として公式戦デビューを果たすと、3回戦の第7シード土浦湖北戦では先発を任され9回まで1失点。後を受けた片野凌斗(東京経済大―筑波銀行)が無失点でしのぎ延長15回の激闘を制した。3年生がベンチに4人しか入っていない2年生中心のチームはノーシードながら準々決勝まで勝ち進んだ。

インパクト残した1度目のチャンス 2強時代へ

甲子園への1度目のチャンスは1年秋に訪れた。霞ケ浦は県大会決勝で常総学院に0対7で敗れ茨城2位となり関東大会に進出。初戦は神奈川1位で大会優勝候補の東海大相模となった。誰もが東海大相模には勝てないだろうと予想していたカードであったが、なんと上野が完投して5対3で大金星を挙げた。あと一つ勝てば甲子園に手が届く。しかし続く準々決勝で宇都宮商に4対5と逆転負けを喫した。センバツ甲子園出場はかなわなかったが、東海大相模を倒したインパクトは大きく、1年サウスポー上野拓真の知名度は一気に上がった。

2年春には県決勝で常総学院に3対2で競り勝って念願だった夏の第1シードを獲得した。この頃から高校野球ファンの間で霞ケ浦と常総学院を称して「2強」と呼ばれるようになった。それだけ2校の力が抜きん出ていた。

=続く

【あと一勝の壁】2 心も体も成長 叱られ続けた中学時代

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中2秋のシニア関東大会決勝

【伊達康】中学では学校の軟式野球部ではなく硬式クラブチームを選択。茎崎ファイターズでバッテリーを組んだ石川竜聖(竜ケ崎一)と一緒にまだ創設されたばかりの取手リトルシニアに3期生として入団した。ただ、自宅から練習場までは車で抜け道を通っても30分以上かかった。「駅まで遠くて自力で通うことができないので、毎日の送迎では親に大変な苦労をかけた。石川の親と交代で送迎してもらってお互いの負担を減らして。そうでもしなかったらとても続けられなかった」

取手リトルシニアに入ってからも叱られながら野球に取り組む日々だった。「小学生の時も毎日叱られたが、シニアではその比にならないくらい叱られた。もう何をやっても叱られる感じ。言われ続けてようやく気付いてできるようになることってありますよね」

「よく『叱られて伸びるタイプはタフなだけ。褒められればもっと伸びていた』という人がいますが、僕の場合は叱られなければ伸びなかった。叱られて自分ができないことが身に染みて分かる。だから悔しくてさらに自ら練習するから伸びるのではないか。もし褒められていたとしたら調子に乗って自分から練習していない。言い続ける指導者も大変だったと思いますよ。本当に毎日罵声ですもん(笑)。でもそのおかげで人間的にも野球に取り組む姿勢も成長できた。シニアで僕の人間としての礎を作ってもらった」

同期は30人。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、指導者に励まされながらの取り組みは大いに結実した。のちに高校3年夏の決勝で甲子園をかけて対決することになる根本文弥(藤代―東洋大4年)が4番打者。その後高校まで同じ釜の飯を食べた菅原直輝(霞ケ浦―白鴎大4年)がショート。今や東京6大学のスター選手で今年のドラフト候補でもある柳町達(慶應義塾高―慶應義塾大3年)が1学年下ながらもレギュラーと、そうそうたるメンバーを擁して3年の全国選抜大会で初優勝を果たした。もちろんエースは上野である。「その年のジャイアンツカップ(中学硬式クラブナンバーワンを決める大会)にも出場できたんですよ。取手リトルシニアの11年の歴史において、ジャイアンツカップに出場できたのは唯一、僕らの代だけなのでちょっとした自慢です」と表情を緩ませる。

=続く

【あと一勝の壁】1 日本一の悔し涙 胸中に迫る

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上野拓真さん

【伊達康】4年前、茨城の高校野球で話題を席巻した小さな大エースがいた。身長166㌢と小柄ながら、私立霞ケ浦高校で1年夏から主戦投手として活躍し、1年秋から3年夏まで6季連続で県大会決勝に進出。秋と春の関東大会では全国区の強豪・東海大相模と横浜に完投勝利を収め、2年春と2年秋の2度、県大会優勝と、投手として一時代を築いた上野拓真(22)さんだ。

投手としての実力が圧倒的に抜きん出る一方で、彼のもう一つのドラマにも注目が集まった。秋の関東大会準々決勝と夏の茨城大会決勝で合計4度甲子園に王手をかけたが全て敗退。大一番で先発を4度経験しながらもあと1勝の厚い壁が立ちはだかって甲子園への切符をつかむことなく高校野球を引退した。

その後は神宮球場での登板を夢見て東都大学野球リーグの青山学院大に進学。3年春には念願のリーグ戦デビューを果たし4年秋には7試合に登板した。大学野球を経て今春からは社会人野球「北海道ガス」に所属し都市対抗野球出場を目指すという。新たな高みを目指す上野さんの胸中に迫った。

全国大会で3位 小学生時代

野球を始めたのは小学2年。通っていたつくば市立茎崎第一小を本拠地とする茎崎ファイターズに入団した。全国大会常連の名門チームであるだけに練習が厳しく、「野球の技術も精神的にも未熟だった」という上野は、毎日叱られながらもめげることなく練習に取り組み3年からピッチャーを任された。1学年上には、のちに高校2年夏の決勝で先発として投げ合うことになる飯田晴海(常総学院―東洋大―新日鉄住金鹿島)がおり、「当時からすごくて憧れの存在」だったという。4年からは全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)に3年連続で出場し逸材ぞろいの茎崎ファイターズは県内で無敵を誇った。さらに6年の時はエースとして同大会の全4試合で完投し3位になった。

=続く

「よいお正月を」 高齢者におせち届ける 土浦市社協

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おせち料理を受け取る高齢者(右)=土浦市内

【谷島英里子】お正月を前に、土浦市社会福祉協議会のボランティアが28日、手作りのおせちを作り、市内の一人暮らしの高齢者154世帯に届けた。今年で23回目を迎える年末の恒例行事で、高齢者の安否確認や触れ合いを兼ねている。

料理を盛り付けるボランティアたち=土浦市大和町の市総合福祉会館

料理は宅配や会食の食事サービスを行うボランティア38人が、午前8時30分から同市大和町の市総合福祉会館で作った。大鍋で紅白なますと筑前煮の2品を作り、容器にていねいに盛り付けたあと、昆布巻き、だて巻き、栗きんとん、紅白かまぼこを詰めておせちセットに仕上げた。そして市内の小中学生や六中地区公民館の折り紙同好会がデザインした包装紙で包んだ。包装紙にはイノシシの絵や縁起の良い正月言葉が添えられ、新年を祝う気持ちが込められた。

その後、ボランティアたちが高齢者宅を訪問し、「体に気をつけて良いお年を迎えてください」と手渡した。毎年、おせち料理の配布を心待ちにしている山本忠さん(81)は「とてもうれしい。楽しみながら少しずつ食べたい。来年も体を大切にしていきたいですね」と話していた。

この配布は1世帯400円で、2018年度地域歳末たすけあい募金(12月1日~31日)の一部を活用しているという。

小3男子を平手打ち 元児童館長を停職処分 つくば市

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つくば市役所

【鈴木宏子】口答えをした小学3年生の男子児童の頬を平手打ちしたなどとして、つくば市は27日、当時児童館長だった男性職員(50)=現こども部こども育成課課長補佐=を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。

元館長は、今年5月31日午後4時ごろ、外でおにごっこをしていた児童から、仲間外れにされたという訴えを受け、グループを庭に集めて注意した。そのうちの1人が口答えをしたことから左頬を平手打ちした。男子児童のほおは赤くなったが、けがはなかったという。当時、児童館は117人の利用があり、ごった返していたという。

保護者から訴えがあり、元館長の暴力行為が発覚した。元館長は昨年4月に赴任した。訴えを受けた後、本庁勤務に異動になったという。

一方その後の調べで元館長は、昨年7月から12月までに男女の児童に対し、平手打ちをした、胸ぐらをつかんだ、部屋に閉じ込めたなど計5件の不適切な行為をしていたことが分かり、公務員にふさわしくない行為があったとして処分に至ったという。

併せて管理監督責任があったとして、17年度と18年度のこども部長、同次長などを訓告処分にした。

五十嵐立青市長は「児童への暴力という非違行為により、児童、保護者、市民の信頼を裏切り、多大なる御迷惑をお掛けしたことを深くお詫びし、信頼を回復できるよう取り組んでいきます」などとするコメントを発表した。

Jリーグへ5選手 筑波大蹴球部 

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会見で笑顔でポーズをとる4選手(左から鈴木大誠選手、会津雄生選手、西澤健太選手、鈴木徳真選手)=つくば市天王台の筑波大学

【池田充雄】つくば市天王台の筑波大学で26日、同大蹴球部から来季Jリーグのクラブへ進む各選手の合同記者会見が開かれた。内定が決まった5人のうち、インフルエンザで欠席した小笠原佳祐選手を除く4人が、プロサッカー選手としての目標や意気込みなどを語った。

卓越したテクニックでトップ下を務めた西澤健太選手は、ジュニアユースとユースの6年間を過ごした清水エスパルス(J1)でプロデビューが決まった。下部組織から大学経由でトップチームに入るのは、同クラブでは初めての例だそうだ。入団コメントでは「大学を経たからこそできることがあるという姿を、後輩たちに示すのが自分の役割だと思っている」と語っている。

精度の高いキックが武器の西澤選手。「運動量の部分が課題なので、鍛えてステップアップしたい」=全日本大学選手権準々決勝(12月17日、柏の葉公園総合競技場)より

センターバックの鈴木大誠選手とボランチの鈴木徳真選手は共にJ2の徳島ヴォルティスに内定。大学の同期で同じプロチームに進む希有な例だ。高校では徳真選手が前橋育英、大誠選手が星稜の主将同士で選手権の決勝を戦った仲でもある。「進路について相談したことはなく、それぞれにベストの選択をした結果。だが人生に大事な刺激を与えてくれる仲間であり、安心感や心の支えにもなっていると思う」(大誠選手)と互いを認め合う。

鈴木大誠選手は「ゴールを守るため大事な場所、必要な場所にいられることが自分の一番の長所」という(左)、鈴木徳真選手はフィジカルの弱さを克服するとともに、長所であるゲームメークのうまさを磨いてきた=同

FC岐阜(J2)へ進むのは、左右のサイドバックおよびサイドハーフもこなすユーティリティープレーヤーの会津雄生選手。「クラブではどこでも求められるポジションで、自分なりのいいプレーをしていきたい」と話す。運動量が豊富でボール扱いにも長けるテクニカルな選手であり、岐阜はしっかりとボールを保持し、ショートパスをつなぎながらプレーを組み立てていくスタイルなので、相性の良さを感じているという。

会津選手は柏レイソルU-18出身。「日立台でクラブやサポーターの皆さんに成長した姿を見せたい」と話す=同

来季J3で戦うロアッソ熊本に内定したのが小笠原佳祐選手。全日本大学選抜の経験もあるDFだが、今季は主将としてチームの得点力不足に悩み、自らFWへのポジション変更を願い出た。「東福岡高校ではFWとしても活躍したが、4年のいまそれをやることで、DFとしての評価は下がるかもしれない。それでもチームが勝つためと決断し、実際に点も決めてくれた。感謝しかない」と小井土正亮監督。なお、熊本ではDFとして獲得されている。

DFとしての小笠原選手は足元の技術や集中力、クレバーさなどが評価されている=同

小井土監督は各選手について「自分の強みや弱みを知り、上へ行くために何が足りないかを考えて努力してきた選手ばかり。考え方も一人一人違い、すり合わせるのにひと苦労だが、方向性が合ったときは大きな力を発揮してきた。プロの世界でも周りとぶつかりながら、成長を続けていってほしい」と期待を語った。

 

土浦ブランド 新たに6品認定 魅力発信してにぎわい創出を

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ワカサギの加工品などを試食する関係者ら=土浦市大和町の市役所

【谷島英里子】土浦市の名産品を認定する「土浦ブランド」第3期分の6点が選ばれ、25日、同市役所で認定式が行われた。新たに加わった名産品はワカサギの加工品やみそなどで第1、2期分と合わせて計32点。市はイベントなどを活用してPRを行い、まちの活性化につなげていく考えだ。

土浦ブランドは、市の魅力を知ってもらうことでブランド力を向上させ、多くの人に訪れてもらうことを目的に、名産の農林水産物とその加工品を「土浦ブランド」として認定している。

第3期として認定品に加わったのは、▽土浦農業協同組合の「梨」▽吉田農園の「吉田農園のれんこん」▽小松屋食品の「わかさぎのエスカペッシュ」▽スイーツ・アトリエレガルの「れんこんショコラ」▽土浦市農業公社の「土浦小町みそ」▽どら焼き志ち乃の「紫峰しょうゆばにら」の6点。いずれも土浦を代表する名産品として引けを取らないが、土浦一高生が発案し老舗の柴沼醤油と志ち乃がコラボした「紫峰しょうゆばにら」は、土浦みやげとして人気を呼んでいる。

認定式で中川清市長は「土浦ブランドを積極的に活用して魅力を発信していただき、地域の活性化や交流人口の増加につながることを期待している」とあいさつ。企業や団体の代表者に認定証を手渡した。

「土浦ブランド」に認定された企業や団体の代表者ら=同

認定品は、食品にかかわる有識者らでつくる「土浦ブランドアッププロジェクト推進協議会」が独自性や品質などを選考基準に審査した結果、応募のあった6点全てがブランドに決まった。会長の原忠信さん=筑波大学芸術系准教授=はこれまでの認定品も含め、「土浦の気候や風土、歴史、自然を感じられる名産品がさらに充実した」と話した。

式後には、出席した同協議会会員や市議らが認定品を試食した。わかさぎのエスカベッシュは、新鮮なワカサギとニンジン、タマネギ、パプリカが入った洋風の南蛮漬け。「さっぱりとした酸味がいい」と好評だった。紫峰しょうゆばにらどらは、甘さとしょっぱさのバランスが絶妙という。

認定品の包装には「土浦ブランド」のマーク入りのステッカーが使用できるほか、同市のふるさと納税の返礼品やシティプロモーションなどでも優先的に活用できる。

住民目線で市長にまちづくり提案 研究学園地区に市民団体発足 つくば

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新しい街・研究学園地区を住みやすくする会のメンバーたち。前列左から山形和夫さん、室生勝さん、桐生顕さん。後列左から山本進二さん、石井勇治さん、田中邦宏さん、小澤泰幸さん=つくば市研究学園5丁目

【橋立多美】人口が急増する一方、交通渋滞や公共施設の不足などの課題を抱える、つくば市の副都心、研究学園葛城地区に、住民目線でまちづくりを提案していこうと、市民団体「新しい街・研究学園地区を住みやすくする会」(室生勝代表)が発足した。

同地区に住む60~80代の有志6人が発起人となって10月に発足した。初会合として商業施設イーアスつくば内のイーアスホールで15日、「市長と語る会」を開催した。

同地区のまちづくりに関心のある住民65人が参加。同会事務局を務める山本進二さんは「研究学園駅周辺の当地区には公立保育園や幼稚園、図書館、保健センターは皆無で公共施設は市役所以外何もない。公共サービスの地域間格差をなくし、全世代が住みやすい街にするために住民たちで議論して市に提案していく」と狙いを説明した。

「市長と語る」で課題になったのは、来春の学園の森義務教育学校の教室不足への懸念、公立幼稚園への送迎バスの運行、TXのガード下に地域コミュニティセンターの設置、谷田部地区区会連合会からの分離、イーアスの横を南北に結ぶ幹線道路の立体交差化など。課題は発起人らが幅広い世代から要望を聞き取ったもので、活発に意見交換が行われた。

五十嵐市長と意見交換をする住民たち=同市研究学園のイーアスホール

五十嵐市長は学園の森義務教育学校の教室不足について「新1年生の増加でプレハブ校舎を増築しないと無理な状況にある。都市計画の失敗。学校を分散すべきだった」と述べた。本庁舎北側に建設中の市庁舎コミュニティ棟(仮称)内の地域交流センターとは別に、TXガード下(現在は駐輪場)にサンダル履きで行けるコミュニティセンターについては「考えていきたい」。

イーアス横の幹線道路。往復4車線の中央部分が立体交差のためのリザーブ用地。写真上部がとりせん前の交差点

また、週末や休日はイーアスの買い物客でスーパーとりせん前の交差点が終日渋滞し、緊急車両が走行できない幹線道路の立体交差化について市長は「県は渋滞対策はしない方向で高架、地下化を問わず造れないと思う。イーアスに集中している状況を変えていくほうが早い」と話した。

発起人の石井勇治さんは「9年前にマンション購入を契約した際に『将来道路が渋滞した時の改善策として立体交差の用地を確保している』と言われた。今も片側2車線の道路の中央にリザーブ用地があり、立体交差を望む住民は多い」とする。

19日には同地区のマンションで、会のメンバーたちが市長と語る会の総括と今後の取り組みについて意見を出し合った。「市長と語る会」で配ったアンケートは参加者の86㌫にあたる56人が回答。回答者の半数を70代以上の高齢者が占めたためか、TXガード下のコミュニティセンター設置への関心度が最も高く、次いで幹線道路の立体交差化、図書館の順だった。また「市長のざっくばらんな話が聞けてよかった」「シルバー層と若者が共存し、暮らしやすい街に」などの意見があった。

今後は文字が薄くなった道路標示の明示や通学路の安全対策など、市が時間とお金をかけずに取り組めることから要望していく計画。山本さんは「半年ごとに会を開いて住民の意見を聞き、建設的な提言につなげたい」としている。

【直売所めぐり】4 野菜ソムリエがアドバイス JAつくば桜農産物直売所

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JAつくば市桜農産物直売所の店内

【田中めぐみ】開店直後の朝9時、この日はあいにくの冷たい雨で品出しが遅れているとのこと。にもかかわらず、来店者は途切れることがない。今回はJAつくば市桜農産物直売所を訪れた。産直課の小岩勇太さんによると、今年で開店25周年を迎えるという。直売所ブームが起こる前から地域に親しまれてきた店舗だそうだ。つくばセンターから車で10分弱という立地もあり、研究学園地区からの来店者も多いという。

店内に入り真っ先に目につくのがみずみずしい葉物野菜。11月から暖かい日が続いたため生長がよく、値段も安くなった。生産者の市村典子さんがちょうど品出ししていたのはサラダほうれん草にレッドマスタード、サラダからし菜、ルッコラ、ワサビ菜の5種類が入ったサラダセットだ。葉の種類は手書きで丁寧に書かれている。ベビーリーフのセットはよくスーパーで見かけるが、このように大きく生育し茎まで付いたセットは珍しい。そう思って市村さんに聞くと「ベビーリーフだとひとつひとつの香り、味わいが少ないので、もっとしっかり野菜を味わってほしいと思いこのセットを作ったんです」と話してくれた。野菜ソムリエの資格を持っているという。

市村さんが作ったサラダセット(左上)、大根(右上)、パプリカ(左下)、さつまいも(右下)

店内を回り、さらに市村さんが薦めてくれたのは、葉付きの立派な大根。この日はなんと1本50円から100円だった。繊維の多い皮はきんぴらにするとおいしく、中はおでんや煮物に、葉は下ゆでして冷凍し汁物の具や炒め物にと余すところなく味わえるとのこと。色とりどりのパプリカも肉厚で甘くお薦めという。緑のパプリカを追熟させたものが赤や黄色のパプリカなのだそうだ。

サツマイモの人気品種の「紅はるか」は水分が多く糖度が高いので干し芋や焼き芋に向いているという。もし、てんぷらにしたいのなら「紅はるか」ではなくほっこりとした「紅あずま」を薦めるという市村さん。とにかくその知識の豊富さに舌を巻く。品出しの時、運よく市村さんに会うことができたなら、ぜひ相談してみてほしい。その日の献立にぴったりの品種を教えてくれるそうだ。

「どうも」と笑顔で挨拶しながら入店してきたのは、常連客の吉田和夫さん(71)。「ここは自分の家みたいなもの。自分の好みのものを好きに買って顔見知りにあいさつをする、それが元気の秘訣かな」と話す。吉田さんのお気に入りはつくば美豚の切り落としや豚白もつ。「もつはネギとショウガ、ニンニクを入れて漬け込み、日本酒を入れて炒めるのが最高だよ」と教えてくれた。寒い朝だったが、市村さんの野菜への熱い思いに丁寧なアドバイス、吉田さんの明るい笑顔に心がほっこりとあたたまる、そんな直売所巡りだった。

野菜ソムリエの生産者市村典子さん(左)と常連客の吉田和夫さん(右)

JAつくば市 桜農産物直売所
住所▽つくば市古来1608-1
電話▽029-867-8290
営業時間▽午前9時~午後6時
定休日▽水曜日・お盆・年末年始

 

高安に歓声 大相撲土浦・牛久場所 稀勢の里は欠場

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横綱・白鵬に寄り切りで勝ち会場を沸かせた大関・高安(左)=22日、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館

【崎山勝功】2018年冬巡業大相撲土浦・牛久場所(同実行委員会主催)が22日、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館で開かれた。土浦市出身の大関・高安が横綱・白鵬を寄り切り、約3600人の来場者を前に健在ぶりをアピールした。牛久市出身の横綱・稀勢の里はけがの治療を最優先させるため欠場した。

高安は午前中の公開稽古で、土俵上で精力的にぶつかる姿を見せた。結びの一番の横綱・白鵬との対戦では、「高安頑張れ」の応援が飛び交う中、寄り切りで勝つと、場内から大歓声と拍手が沸き起こった。

白鵬と四つに組む高安(右)

観戦した高安土浦後援会の折本明副会長は「生で見ると迫力が違う。高安には1月場所で優勝して2月には(横綱の)綱を張ってもらいたい。親方衆もみんな期待している」と述べた。土浦ロータリークラブの交換留学生としてカナダから来日している高校生のソフィア・ラミレスさんは「初めて力士を見た。本当に面白い」と日本の相撲に関心を示していた。

中川清土浦市長は「ぜひ来年はいいスタートを切ってもらい、常に優勝争いに加わってほしい。そのためには心技体をもっと磨いていただきたい」と期待を寄せた。

報道各社の取材に応じた高安は「たくさんの方から直接励ましの言葉をいただいた。なかなか茨城に帰ってこれなかったので(言葉を)いただけてうれしい」と、地元ファンに感謝の意を示した。

一方、稀勢の里の休場について根本洋治牛久市長は「欠場は寂しい。でも稀勢の里の回復が一番。(欠場の)寂しさを我々が我慢しないといけない時期」と述べ「高安関もいるので(稀勢の里と)2人で千秋楽をにぎわせてくれるのが我々の望み。お互いに頑張ってほしい」とエールを送った。

高安が幼児らと交流

同巡業では高安が幼児を抱っこし、ファンとの交流を深めた。事前に申し込みをしていた約30組の親子が、まわし姿の幼児を高安に抱っこしてもらい記念写真を撮るなどした。

妊娠6カ月の青山りつこさん(33)=土浦市荒川沖=は、1歳7カ月の息子、虎ノ介ちゃんを連れて参加した。お目当ては高安に虎ノ介ちゃんを抱っこしてもらい、妊娠中のお腹をなでてもらうこと。古来から「強い力士に抱っこされると赤ん坊が丈夫で元気に育つ」「力士が妊婦のお腹を触ると安産になる」という言い伝えがあるという。

まわし姿の虎ノ介ちゃんは高安に抱っこされた途端、驚いて泣き出してしまったが、お腹をなでてもらった青山さんは「高安の手は大きくて温かかった。子どもは泣き出してしまったけど元気に育ちそう」と満足げな表情を見せた。

高安からサインをもらったという土浦相撲倶楽部の村野太紀キャプテン(12)=小学6年、つくば市=は「将来は力士を目指している。押し相撲ができる力士になり3役に入りたい。横綱・貴乃花のようになりたい」と話した。

ファンとの交流会で幼児を抱っこする大関・高安=同

冬至に火渉祭 桜川・加波山神社

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炎暑の道を素足で歩く火渉の神事=22日、桜川市・加波山神社

【相澤冬樹】火をかき分け炎熱の道を素足で通り抜ける「火渉(ひわたり)祭」が22日、桜川市真壁町長岡の加波山神社本宮(宮本昌明宮司)で行われた。修験(しゅげん)の山、加波山伝来の神事で、応永年間(1394-1428年)に復興したと言われ、今では冬至の恒例行事となっている。

境内には大量の薪(まき)が積み上げられ、社殿で祈とうの神事が始まった正午過ぎには参拝者らが二重三重に人垣をつくった。薪は加波山から切り出したマツ材で、白装束の修験者らが祭文を唱えながら火をたくと、威勢よく燃えあがった。

火焔(かいん)という炎で、火勢が弱まりが熾火(おきび)となると、修験者らが薪をかき分け幅50㌢、長さ5㍍ほどの道をつくる。先達の先導で、厄払い無病息災を祈り素足で通り抜けるのが火渉。信徒はじめ一般の参加者らはこわごわと足を踏み入れ、手を合わせながら小走りで次々に渡っていった。

つくば市からの参加した女性は「急ぎ足でお祈りする余裕もなかった。足裏の熱さを感じなかったが、全身の火照りがすごかった。来年はいい年にしたい」と感想を語っていた。

修験者らが火焔をかき分けてつくった火渉の道

【クレオ再生問題】キュートとモグ 筑波都市整備が日本エスコンに譲渡 つくば駅前

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つくば駅前の商業施設キュート=つくば市吾妻

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設キュート(Q’t)とモグ(MOG)が20日、不動産会社の日本エスコン(東京都千代田区、伊藤貴俊社長)に売却された。両施設を所有していた筑波都市整備(つくば市竹園、石原孝社長)と、新たに取得した日本エスコンが同日、それぞれのホームページで発表した。

日本エスコンは全国でマンションや商業施設、ホテルなどの開発を手掛けるデベロッパー。キュートもモグも引き続き商業施設として運営し、名称も当面変更はないという。

西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退した後、空き店舗となり閉鎖されているクレオについても、キュートやモグと一体で日本エスコンに売却する方向で調整を進めているとみられる。クレオについてつくば市は12月議会一般質問に答弁し、旧西武棟は既存建物を利用して商業施設とし、イオン棟は解体してマンションにすると聞いているなどと説明している。

筑波都市整備は、日本エスコンに譲渡した理由について「同社は、つくば市が掲げるまちづくり方針に共鳴し、施設運営のみならず、エリアマネジメントの発想に基づく面的な活性化に高い意欲をもっており、中心市街地の活性化に寄与できる」としている。

一方、両施設を取得した日本エスコンは「これまでの多面的な不動産開発のノウハウを生かし、つくば駅前開発を推進していく」とし「つくば駅前という交通拠点の強みと、ペデストリアンデッキでつながる駅周辺街区の回遊性の良さを生かし、地域に根差した開発を行うと同時に、エリアマネジメントを充実させることで駅前地区の活性化とさらなる発展に貢献していく」などとしている。

キュートは2005年3月に開業、敷地面積約9900平方㍍、地下1階地上4階建て。モグは1993年10月開業、敷地面積約1100平方㍍、地下1階地上4階建て。両施設には物販店、飲食店など約110店が入居している。

筑波都市整備は「売却後も、つくばセンタービルの運営など中心市街地の活性化に向け努力して参りたい」としている。

【ウェルネスパーク問題】市長提案の指定管理者案を否決 つくば市議会

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つくばウェルネスパーク入り口=つくば市山木

【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長が12月議会に提案していた、スポーツ施設「つくばウェルネスパーク」(同市山木)を来年度から管理運営する指定管理者案が、21日開かれた同市議会本会議で否決された。都内の事業者が候補者だったことから、地元事業者を優先すべきというのが理由の一つだ。

今後市は、3月議会前に臨時議会を開き、指定管理者の選定検討会議(座長・毛塚幹人副市長)の審査で次点だった事業者を、改めて議会に提案するという。次点は市内の事業者だが、5年間の指定管理料は、今回否決された事業者より約1480万円高くなる。

12月議会最終日の21日本会議が開かれ、賛成少数で否決となった。提案されていた事業者は、現在、全国70カ所でスポーツ施設や健康施設の管理運営を手掛けるスポーツ施設管理運営会社、シンコースポーツ(東京都中央区、石崎克己社長)だった。

3事業者が応募

現在の指定管理者の期間が来年3月末で満了となることから、市は来年度から5年間、同施設を管理、運営する事業者を7~8月に募集していた。同社のほか現在、同施設の指定管理者となっているT.P.Hウェルネス推進グループ(同市篠崎、代表・塚越産業)、つくばアクアファーム(同市竹園)の3者が応募していた。1次、2次審査を経て、10月に同選定会議でシンコーが候補者に選ばれ、12月議会に提案されていた。

11人の選定委員による採点の合計点は、1位のシンコーが計764点、2位が669点のアクア、3位が649点のT.P.Hだった。次点は、残り2事業者のうち第1順位を付けた委員が多かったT.P.Hとなった。

同選定会議の議事録によると、議会で否決されたシンコーは、運営目標として、運動する機会が少ない20~40代のスポーツ参加率を上げる、高齢者向け独自の教室事業を展開する、子どもが施設の中で遊べるボルダリングや頭を使う取り組みを展開する―などを掲げ、従業員はすべて市内のスタッフを雇用するなどと表明していた。

市が事業者に支払う5年間の指定管理料は1位のシンコーが3億5884万円、次点のT.P.Hが3億7470万円、アクアが3億5000万円だった。

同施設は温水プール、温浴施設、サッカースタジアムなどがある約9㌶のスポーツ施設で、プールと温浴施設は隣接のごみ焼却施設の余熱を利用している。2010年にオープンして以来これまで3年ごとに指定管理者の選定を行ってきたが、いずれもT.P.Hウェルネス推進グループが指定管理者に指定されている。

犬からイノシシへ 東筑波ユートピアで干支引き継ぎ式

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互いに鼻を突き合わせる今年の干支イヌと来年の干支イノシシ=石岡市吉生、東筑波ユートピア

【斉藤茂】石岡市吉生の動物園「東筑波ユートピア」で20日、今年の干支の戌(いぬ)と来年の亥(い)=イノシシ=の引き継ぎ式が行われ、同園のマスコット犬「りく」(柴犬)と、この夏同園で生まれたというイノシシが仲良く式に臨んだ。

式典は同園のエントランスに祭壇を設けて行われ、2頭が他の動物を代表して筑波山神社(つくば市)と神名神社(石岡市)の宮司から幸せと健康の祈願を受けた。

2頭は終始、おとなしくして式典に臨んだ。式典後、同園オーナーの小川高広さん(80)が2頭の頑張りに感謝して両脇に抱きかかえると、互いに鼻を突き合わせてそれに応えるなどほほえましい光景も。取り囲んだ報道陣や見物客らが盛んにシャッターを切っていた。

同園ではテレビ放映をきっかけに全国の大勢の動物ファンから寄せられた募金約5800万円を元に現在イノシシランドを整備しており、来年3月には約40頭のイノシシを一般公開する予定。

小川高広さんは「動物園の運営は決して楽ではなく、赤字続きで何度も止めようと思ったが、今年は全国から励ましの声が届き、若いスタッフたちも意を強くしている。来年はイノシシが活躍してくれることを期待している」と、笑顔で今年を振り返っていた。

【直売所めぐり】3 固定ファンがつくお漬物 JA谷田部「野っ食べ」

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JAつくば市谷田部農産物直売所「野っ食べ」の店内

【田中めぐみ】JAつくば市谷田部の農産物直売所「野っ食べ(やったべ)」を訪れた。5年ほど前にリフォームしたという新しくきれいな店舗だ。店長の埜口祐(のぐち・ゆう)さんのこの日のお勧めはおしゃれな赤ネギ。葉は緑、中間部は白、根元が鮮やかな赤色で、まるでイタリアの国旗のようでもある。普通のネギと同じように加熱すると甘く、生で薬味にもいいという。焼いた油揚げに刻んで乗せて食べるのが店長さんのお気に入り。この日は赤ネギだけでなく新鮮な長ネギもたくさん並んでいた。冬の時期鍋物には欠かせない売れ筋の一つだ。

店長さんお勧めの赤ねぎ(左上)、ねぎ(左下)、JA女性部の作った五目おこわ(右上)、さつまいも(右下)

品出しした瞬間からカートに入れられ、次々と買われているサツマイモがあった。「シルクスイート」という品種だ。品出しをしていたのは生産者の室町吉子さん。サツマイモに目がない記者は「安納芋」や「紅はるか」をケース買いすることもあるほどだが、この品種は見たことがない。室町さんによると外はしっとり、中はホクホクという今注目の品種だそうで、かなりの人気だという。焼き芋には最適とのこと。これは絶対買うしかない。値段も3本入って300円と格安だ。小ぶりの物や傷の付いたものだと100円のラベルが貼ってあるものまであった。「安いねえ」とお客さんも思わずにっこり。「あんまり傷は関係ないもんねえ」と室町さん。てらいのないやり取りが直売所の醍醐味(だいごみ)だ。

高野さんと室町さんのお漬物とおこわ(左)、記者が作ったシルクスイートの焼き芋(右)

加工品のコーナーにはおいしそうな五目おこわが並べられた。作ったのはJA女性部の岡野たか子さんら6人。もち米を業務用のふかし器で高圧でふかして作るので、ふっくらもちもちになるそうだ。具は別で味付けし、ご飯と合わせるこだわりでおいしいと評判。火曜日と金曜日しか作っていない。ちょうど買うことができてラッキーだった。

谷田部直売所で人気を集めているものの一つがお漬物だという。中でも高野愛子さんと、「シルクスイート」の生産者でもある室町吉子さんの作るお漬物はそれぞれに固定ファンが付くほどだそう。お客さんたちはラベルの加工者名を見て買って行き、いつも売り切れてしまうという。白菜やからし菜のお漬物も作るそうだが、この日並んだのは大根の麹漬け。やはり並んだ先から売れていく。大根を塩漬けしてから麹漬けにするという手間がかかるため、漬かるのに15日かかるそうだ。高野さんと室町さんのお漬物をぜいたくにも食べ比べてみた。微妙に塩梅(あんばい)が異なり、これは確かに好みの分かれるところ。どちらも後を引き、いくらでも食べられてしまった。

漬物名人の室町吉子さん

◆今月29日(土)と30日(日)には年末セールが開催され、大鍋で作ったけんちん汁を無料サービスするという。おせち料理の材料を買いに「野っ食べ」を訪れてみるのもよさそうだ。

JAつくば市谷田部 農産物直売所「野っ食べ」
住所▽つくば市谷田部2074-1
電話▽029-836-4101
営業時間▽午前9時30分~午後6時(4月~9月) 午前9時30分~午後5時半(10月~3月)
定休日▽1月1~3日