金曜日, 11月 7, 2025
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【亥年折り返し】㊤ フロントラインは県南にあり 農研機構イノシシ研究者が警告

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仲谷淳さん。㊧のグラフはイノシシによる被害率の変化

【相澤冬樹】亥年(いどし)も折り返し。農作物を食い荒らすイノシシ対策の研究に長年取り組んできたつくばの研究者は、捕獲や防除柵の設置対策は、誤ると被害を増加させる可能性があると指摘する。茨城県は現在、県南の未生息地にまで分布が広がるかのターニングポイントに立っており、このフロントラインを突破されると全国1、2を争う被害県となるかもしれないという。イノシシを止める手立てはあるのだろうか。

被害が出てからでは遅すぎる

捕獲されたオスイノシシ(兵庫県内で撮影)=仲谷さん提供

警告を発しているのは、農業・食品産業総合研究機構(農研機構)専門員、仲谷淳さん(63)。イノシシ研究歴は西日本農業研究センター、中央農業研究センターを通じ40年を超える。仲谷さんによれば、農業産出額に占めるイノシシ被害の割合(被害率)で、現在西日本は東日本の4倍程度高いが、近年は茨城、千葉の被害額が拡大しており、茨城県は2001年の30位から、17年には10位に順位をあげた。この増勢が懸念材料だ。

イノシシ対策には、猟銃や檻(おり)による「捕獲」、柵を設置しての「防除」、食物や隠れ場所を取り除く「環境整備」の3対策があるが、いずれも中途半端では被害の拡大につながるおそれがあるという。

実際、捕獲数が多い地域ほど、被害も多くなる傾向がみられる。「統計的に、檻で除去できるのは生育頭数の半数以下にとどまる。ある地域で、1年目に100頭捕獲して次の年200頭捕獲したという場合、取り逃がしたイノシシは1年目には100頭以上だが、2年目には200頭以上。コストをかけて被害を拡散させていることになる」。捕獲数の増加は単純には喜べない。生息数増加の反映とも考えられ、むしろ警戒すべきべき状況とも言える。

防除柵も、設置した場所の被害は着実に減少する。しかし、柵の設置を計画的に進めなければ、押し出すようにイノシシを里や街の中へと誘導し、被害を拡散させてしまう。「江戸時代の対馬藩では、年貢確保のため細切れに柵で囲った中へのイノシシを追い込み、駆除する殲猪令(せんちょれい)という強硬手段で絶滅を図った」(仲谷さん)というが、島の中だからできたことだし、現代社会ではここまでの徹底は難しい。

近年、耕作放棄地が増えて、イノシシは山間から山里へと勢力を拡大し、平地まで下りてきている。全県的にみるとこの分布生息域は行方市や潮来市、稲敷市などに広がって目撃や捕獲例が見られるようになり、放置すれば県南都市部へ進出する勢いという。そのフロントラインがつくば市だと旧筑波町の筑波山ろく、土浦市では旧新治村域を超えて今泉地区あたりに達している。

仲谷さんは「そこを突破されると被害は農作物にとどまらず、対策費も増大する一方となる。予防対策こそ重要で、そのラインに合わせて、捕獲・防除・環境整備の3つの基本対策を連携して徹底的に実施する必要がある」とアピールする。すなわち、被害が出てからでは遅すぎる、見つけ次第捕獲、除去する早期対策が望まれるという。

しかし、被害が出ていない段階で、行政が予算措置を講じて対応に動くのは容易でなく、問題提起にとどまってしまいがちだ。(つづく)

【茨城 高校野球展望’19】2 土浦三、強豪私学と渡り合う力秘める

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エースで4番の土浦三、濱崎鉄平

【伊達康】次につくば・土浦エリアのノーシード校を見ていこう。土浦工は秋に部員不足のため4校連合として出場し、春は地区予選で霞ケ浦に大敗。初戦は毎年しっかりと守れるチームを作ってくる難敵・麻生と対戦する。

土浦三は春の県大会初戦で下館工に4対6で惜敗も、エースで4番の濱崎鉄平(3年)が最速142キロを誇りツボにはまれば強豪私学とも渡り合う力を秘めている。初戦は牛久と、勝てば霞ケ浦と対戦する。

140キロ近い速球が武器の土浦一、古宮学樹

湖北に豪腕投手出現

土浦湖北は春の県大会初戦で多賀に敗退も、6月2日に行われた土浦市招待試合にて春の関東王者・東海大相模を相手に大坪誠之助(2年)が最速142キロをマーク。試合は0対10と大敗を喫したが、豪腕投手の出現に注目が集まっている。

土浦一は古宮学樹(3年)が140キロ近い力強いストレートを武器とする。佐野翔(3年)は分厚い体から柵越えが打てる強打者で、春の地区予選でも土浦日大エース荒井からレフトスタンドに放り込んだ。初戦は太田一と対戦する。

そのほかに土浦二は那珂湊と、つくば工科はつくば国際と、筑波は東海と1回戦で対戦する。いずれも勝機は十分にある。(続く)

トーナメント表

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「感謝して手放したい」 1000体の人形を供養 JAつくば市谷田部

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持ち込まれた人形を祭壇に並べるJAつくば市谷田部の職員たち=つくば市榎戸のJA谷田部つくばホール

【橋立多美】JAつくば市谷田部(横田伊佐夫組合長)主催の人形供養祭が29日、同市榎戸のJA谷田部つくばホール(建物面積1248平方メートル、220人収容)で行われ、持ち込まれた約1000体の人形の供養が行われた。

祭壇に並んだのは、子どもの健やかな成長を願ったひな人形や五月人形、遊び相手として親しまれてきた大小のぬいぐるみ、日本人形、羽子板など。受付は1家族につき20体までとされ、数体持ち込む人がいる一方、箱に入ったままの段飾りのひな人形を運び込む参列者もあった。僧侶による人形供養が執り行われ、読経に合わせて約100人の参列者が焼香して人形に別れを告げた。

フランス人形など7体を持ち込んだ谷田部在住の55歳の女性は「人形に感謝してきちんと手放したいと申し込みました」。70代の女性は「10年前に他界したしゅうとめが大事にしていたフランス人形で、ケースが壊れたので思い切って供養することにしました」。5歳の女児と一緒に参加した30代の女性は「姉と私がかわいがったぬいぐるみを持ってきました。押し入れの奥から出したら娘が喜んで、子ども時代を思い出しました」と話した。

供養祭は「押し入れに入ったままだが、ごみのように処分するのは忍びない」人たちに感謝されているという。今年で3回目。地元谷田部地区のJA組合員だけでなく、近隣住民の参加もある。供養祭を終えた参列者たちは一様に晴れやかな表情でホールを後にした。

【茨城 高校野球展望’19】1 常総が優勝候補筆頭

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高校通算本塁打54本の常総学院、菊田拡和

【伊達康】7月6日に開幕する第101回全国高校野球選手権茨城大会の組み合わせ抽選会が21日に行われ対戦カードが決まった。参加93チーム(出場100校で4つの合同チームがある)のうち、春の県大会で4強に残った藤代、水戸商、常総学院、鹿島学園がAシードを獲得した。

140キロ超え3投手をひた隠し

3年ぶりの夏制覇を見据えた常総学院は、春の県大会で昨夏も中心となって登板したエース級右腕の塙雄裕(3年)や岡田幹太(3年)、菊地竜雅(2年)をあえてひた隠しに、ライバル校に球筋を明らかにしなかった。

この140キロ超え3投手を引っさげつつ、打線は高校通算54本塁打でプロ注目の強打者・菊田拡和(3年)や、長打にバントに補殺と何でもこなせる中妻翔(3年)など世代屈指の打者がそろっている常総学院が優勝候補の筆頭だ。

春優勝の藤代は投手力充実

秋準優勝、春優勝の藤代は最速142キロの中山航(3年)とスライダーの切れ味抜群の一條遥翔(3年)の右腕2枚看板を筆頭に投手力が充実している。

春に常総学院にサヨナラ勝ちで準優勝となった水戸商はエースで4番の小林嵩(3年)が投打をけん引しチーム力で追いすがる。

プロ注目投手擁す霞ケ浦

最速146キロでプロも注目する霞ケ浦の鈴木寛人

春県大会の初戦で明秀学園日立に乱打戦の末に敗れた霞ケ浦はDシードとなったが、プロ注目右腕・鈴木寛人(3年)や福浦太陽(3年)を擁し実力十分。夏は無難に勝ち上がるだろう。

Bシード・石岡一はセンバツに21世紀枠で出場し盛岡大附をあと一歩のところまで苦しめた。しかし春は初戦でエース右腕・岩本大地(3年)が大乱調で水戸商に惨敗。夏も岩本の調子次第だ。

Cシード・明秀学園日立は春の県大会3回戦で、優勝した藤代に2対3と惜敗した。北野凱士(3年)や高橋隆慶(3年)などが強打を誇り例年通り打線は強力だが投手力が例年に比べ劣る状況だ。そんな中、春に目覚ましい活躍をした右腕・佐藤紅琉(1年)が駒不足を解消する可能性を秘めている。

春4強の鹿島学園はびっくりするようなピッチャーはいないが、堅実につないで好機を作る。

土浦日大左腕は左打者翻弄

マウンドに集まる土浦日大の内野陣

3連覇がかかっているCシード・土浦日大は変則左腕の荒井勇人(3年)が左打者を翻弄(ほんろう)するが、右の強打者にいかに対峙するかが見どころだ。キャプテンの石渡耀(3年)は華のある大型二塁手。

秋4強のBシード・水城はエースで4番の櫻井隼人(3年)が大黒柱だが、ここに春公式戦デビューを果たした1年生右腕の樫村佳歩が加わり投手層の厚みが増した。

Bシード・常磐大高は6月16日に行われた大分県高野連強化遠征にて春センバツ4強となった明豊を山田悠斗(3年)が完投して3対2で撃破。今夏の仕上がりはひと味違いそうだ。

Cシード・水戸癸陵は小橋一輝(3年)と定塚涼(3年)のダブルエースに安定感がある。

安定感のあるつくば秀英の吉田青矢

Cシード・つくば秀英は右腕の吉田青矢(3年)とBシード・竜ケ崎一の右腕・幸山耀平(3年)も好投手で打者の裏をかく能力が非常に高い。

秋春と結果を残せずノーシードとなった日立一は不気味な存在だ。(続く)

スマートシティの先の未来のつくば語る 筑波大教授と県局長が講演 筑協総会

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「スマートシティ『つくばモデル』の実現に向けて」をテーマに講演する筑波大の大沢義明教授=つくば市竹園、研究交流センター

【鈴木宏子】つくばの研究機関や民間研究所などで構成する産官学の交流組織「筑波研究学園都市交流協議会」(事務局・文科省研究交流センター)の2019年度総会が28日、同市竹園の同交流センターで開かれた。つくばが国交省の先行モデルに採択された「スマートシティ」をテーマに、今年度から実際に実証実験に取り組む筑波大学システム情報工学研究科長の大沢義明教授と、けん引役の県産業戦略部技術振興局の飯塚一政局長がそれぞれ講演し、スマートシティの先の未来のつくばの姿を語った。

大沢教授は、同大とトヨタがこれまで取り組んできた共同研究の成果を話し、車に搭載されたセンサーなどの情報を収集・分析して、周辺の道路状況を把握したり、災害復旧支援などに活用する近未来の地域社会の姿を語った。

今年度からつくばで始まるスマートシティ先行モデル事業の実証実験の中身も紹介した。筑波大学を行き来する路線バスで、顔認証によるキャッシュレス決済を行うほか、公共交通と医療サービスをつないで、バスに乗った人が顔認証により筑波大附属病院の受診受付や診療費の支払いなどを一括して行えるようにする。さらに排気ガスの心配がない水素燃料電池の路線バスや救急車を運行して、病院の建物の中に直接入る実証実験なども計画しているという。大沢教授は「つくばで日本版スマートシティを実現したい」と意欲を語った。

大沢教授はほかに、車の走行台数と駐車場空きスペースなどさまざまな情報を最適にマッチングさせることで、鹿島アントラーズ試合開催日のサッカースタジアム周辺の渋滞解消や、ゴールデンウイークや紅葉シーズンの筑波山周辺の渋滞解消などに取り組む計画があるという。

県の飯塚局長は、つくばが、国交省のスマートシティモデル事業と新モビリティサービス推進事業の二つの先行モデルに選ばれたことを強調し、その先に「まるごと未来都市」と呼ばれるスーパーシティがあるなどと未来のつくばを話した。

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新たな政治倫理審査会委員決まる 公募市民は含まず つくば市

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市政治倫理審査会条例の改正について採決が行われたつくば市議会本会議=28日、つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市が、公募の上内定していた市政治倫理審査会市民委員の議会提案を見送った問題=6月8日付=で、五十嵐立青市長は6月議会最終日の28日、公募した市民委員を含まない、新たな委員7人を追加提案し、全会一致で可決された。

追加提案に先立って、委員の要件から「市民」を削除し「市民で地方行政に関し優れた識見を有する者」に改める市政治倫理審査会条例の一部改正案が審議された。実質的に公募による市民委員を無くすという内容だ。

本会議では「これまでの任命経緯に沿うもの」「(資産報告の審査は)プライバシーに関わるので一歩立ち止まり改めて議論すべき」とする賛成意見と、「公募による市民委員を推進すべき」とする反対意見が出たが、賛成多数で可決された。

続いて追加提案された委員7人を同意するか否かの採決が行われ、全会一致で可決された。公募による市民委員を推進すべきと主張していたつくば・市民ネットワークの4人は採決を退席した。

新たに選任された7人は、司法書士、元郵便局長、税理士、弁護士、大学教授、元市職員、元教育委員。市法務課によると、いずれも同審査会委員を務めた経験があり、条例に定められた法律や会計に専門的知識があって、市長や議員らの職務や市政に知識がある人を選任したとする。

任期は通常は2年間だが、今回は特例により7月1日から2021年3月末までの1年9カ月間の予定。7月に、市長や議員らの資産報告の審査を行い、9月中に審査報告書をまとめて市長に提出する予定だという。

市長や議員らの今年の資産報告は6月14日から公開されており、法務課と議会事務局でそれぞれ閲覧できる。8月1日の市広報誌には市長、副市長、教育長の資産報告概要を掲載する予定という。

つくばの標本470万点を経営資源に 国立科学博物館がイノベーションセンター設立

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記者団に公開された動物研究部所蔵の剥製標本=つくば市天久保、国科博標本収蔵庫

【相澤冬樹】国立科学博物館(科博、林良博館長)は27日、つくば市の科博筑波研究施設に報道関係者らを集め、約470万点に及ぶ科学系標本を収めた収蔵庫を特別公開した上で、「科学系博物館イノベーションセンター」(池本誠也センター長)の設立を発表した。これらのコレクションを、東京・上野の科博本館と結んでのバーチャル展示をはじめ、地方の科学博物館と連携しての巡回展などに役立てることで、博物館の経営資源としても活用、収益を研究人材の育成に振り向けていく枠組みを想定している。

報道発表であいさつする宮田亮平文化庁長官㊧と林良博国科博館長

同センターは政府の文化経済戦略(2017年度策定)に基づく立ち上げで、設立発表には宮田亮平文化庁長官、文科省の中村裕之政務官らも出席。力の入れようをうかがわせた。博物館資源を活用した経営基盤の強化、地域博物館も含めた事業活性化を取り組みの目標に掲げており、そのベースとなるのが筑波研究施設の約470万点に及ぶ標本資源だ。1877年に創立した科博の140年にわたる収集活動の成果だという。

この保管のため整備された筑波研究施設は2012年に開設、8階建ての自然史標本棟には各階1100平方メートルの標本室が確保され、植物、動物、地学、人類、理工学の研究部の標本が収められる。同じ敷地にある筑波実験植物園は一般に公開されているが、収蔵庫は科学技術週間の行事開催時を除き、一般公開されていない。

上野本館と結んでバーチャル展示

2001年に独立行政法人化された科博は当時90万人だった入場者を、第4期に入った現行の中期計画平均で267万人にまで増やしてきた。21年から5カ年の第5期では300万人にまで増やす計画を立てている。科博イノベーションプランと銘打っており、「科学を文化として育む博物館への展開」(林良博館長)を目指している。

入場者数には筑波実験植物園の分も含まれるが、同プランでも収蔵庫の公開は考えていない。標本管理のため温湿度や空調を一定に保つ必要などから公開が難しい。このためデジタルアーカイブ化して上野本館と結んだバーチャル展示などに活用する。

また各地の科学博物館に動物の骨格標本を貸し出したり、共同での巡回展も企画して、新たな収入確保につなげたい考え。センターは科博の横断的な組織として、11人のスタッフにより立ち上げており、来年度には「化石」をテーマにした事業が具体的に動く見通しになっている。

記者団に公開された人類研究部所蔵の人骨標本。手前が縄文時代で奥へ江戸時代まで並ぶ

6年越しの大同団結 つくばJC・RC・LCが災害救援相互協定

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災害救援相互協定を締結した(左から)つくばOAKライオンズクラブの森重英明会長、つくば青年会議所の山谷憲司理事長、つくば学園ロータリークラブの大里喜彦会長=つくば市役所コミュニティ棟

【鈴木宏子】共助の立場から災害時に相互に協力してより効率的な救援活動をしようと、つくば青年会議所(JC、山谷憲司理事長、会員約90人)と、つくば学園ロータリークラブ(RC、大里喜彦会長、会員約90人)、つくばOAKライオンズクラブ(LC、森重英明会長、会員約140人)の3団体が27日、つくば市役所コミュニティ棟で、災害時救援相互協定を締結した。

2011年の東日本大震災と12年の北条竜巻被害の復旧支援活動を立て続けに経験し、6年越しの構想だという。いずれも国際組織である青年会議所、ロータリークラブ、ライオンズクラブが災害協定を締結するのは全国的にも珍しい。

竜巻被害当時、青年会議所理事長で現在は学園ロータリークラブ会員の木村英博さんが、翌年に「つくばのボランティア団体は大同団結しよう」と呼び掛けたのがきっかけ。竜巻被害時、青年会議所はいち早く災害本部を立ち上げ、ロータリークラブやライオンズクラブなどの協力を得て、朝昼晩1日3食を計1000食分、14日間にわたって被災した地域住民に届けた経験があり、協力の重要性を感じていたという。

当時は7団体で相互協定を検討したが方向性が定まらず、いったん話は流れた。その後、全国各地で災害が頻発し、地域の人同士が助け合う「共助」の大切さが改めて認識される中、今回、青年会議所のOBが比較的多い学園ロータリークラブとOAKライオンズクラブとの協定締結が実現した。

3団体のメンバーは主に中小企業の経営者で合わせて300人を超える。市内各地に居住し、業種も多岐にわたることから、日頃から協力体制をつくって、いざという時もネットワークを生かせるようにする。災害時には、行政の支援が届くより前などに、各地域で迅速に機動的な支援活動ができるようにする。

ロータリークラブの大里会長は「実際に役立つよう、温かく大きなものに育てたい」と述べ、ライオンズクラブの森重会長は「これを核として、いろいろな団体が加わっていけたら」と話した。青年会議所の山谷会長は「組織の枠を超えた協力体制を構築し、つくばの防災、減災に貢献出来たら」と語った。

協定締結に立ち会った五十嵐立青市長は「機動性をもって初動で動くことができ、地域の人が継続的に支援をするというのは全国的にも例がない。すごくありがたい」と話していた。

ハスの花開く 土浦・霞ケ浦総合公園

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例年より早く開花した霞ケ浦総合公園の花蓮園=25日午前

【鈴木宏子】約200種類の花ハスを栽培する霞ケ浦湖岸の土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園の花蓮(はなはす)園で、ハスの花が咲き始めた。7月上旬から中旬には見頃となり、朝早く、一面にピンク、赤、白、淡い黄色など清らかな花を咲かせる。

土浦市内で育種された天照爪紅(てんしょうつまべに)=26日早朝

6月19日前に開花した。今年は春の気温が平年より高かったことなどから例年より開花が早いという。花は日が昇ると咲き始め昼頃には閉じてしまう。

約1000平方メートルの園に池70升とたる240個を設置し、霞ケ浦の水をくみ上げてオランダ風車でろ過し栽培している。2001年に開園し、12年からは、はす博士として知られる元日本花蓮協会学術研究主幹の香取正人さんの指導を受けて、花蓮園として本格的に整備してきた。土浦市内で育種された品種や霞ケ浦原産の品種など、よそでは見られない品種も栽培している。

写真撮影に訪れた市内の男性(68)は「ハスの花が好きで毎年見に来ている。今年は咲くのが早いね」と話していた。

花蓮園に隣接するネイチャーセンター職員の坂本美佳さんは「これから見頃になりますのでぜひお越しください」と来園を呼び掛けている。

◆入場無料。7月7日(日)午前7時から、同園で市公園管理アドバイザーでもある香取正人さんによる「はす博士の解説会」が開催される。問い合わせは電話029-826-1111(土浦市公園街路課)

千葉市検見川の遺跡で発掘された2000年前の古代ハス「大賀(おおが)ハス」=26日早朝

クレオ旧イオン棟の解体工事始まる つくば駅前

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足場が組まれ解体工事が始まったクレオ旧イオン棟=25日、つくば市吾妻

【鈴木宏子】百貨店やスーパーが撤退し閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(つくば市吾妻)で、旧イオン棟の解体工事が始まった。今年3月にクレオを取得した不動産会社、日本エスコン(東京都千代田区)によると、解体工事は6月15日から来年5月20日までの予定。解体後、跡地にマンションを建設する。マンションは2022年に完成予定だが、規模などは現時点で未定という。

一方、新たな複合商業施設として再オープンする旧西武棟は、年内に内部の改修工事に着手し、来年オープンする予定という。具体的にどのような施設になるかについて同社は、まだ公表できる段階にないとしている。

クレオはつくば科学万博が開かれた1985年に開業した。筑波都市整備(同市竹園)が運営していたが、2017年2月末に西武筑波店が撤退、翌18年1月末にイオンつくば駅前店が撤退し閉鎖された。その後、つくば市が取得を表明したが断念。日本エスコンが18年12月に隣接の商業施設キュートとモグを取得、続いて19年3月にクレオを取得した=3月27日付

日本エスコンは今年3月、クレオの旧イオン棟は解体してマンションを建設し、旧西武棟は行政や教育機関、研究開発系企業と連携し複合商業施設にすると発表し、商業施設について「キュート、モグを含め、駅直結の立地を活用し、マーケットニーズに合う業種業態・店舗を構成して魅力的な施設を設計し、駅前街区全体の新たなにぎわいを創出する」などと表明している。

クレオは敷地面積約1万5600平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造り地下2階・地上8階建て、延床面積は約5万7000平方メートル。

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花火の光束で絵筆のように描く 黒沢富雄さん つくばで写真展

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自作を解説する黒沢冨雄さん

【池田充雄】日本写真家協会会員の黒沢富雄さんが、つくば市豊里の杜のギャラリー夢工房で写真展「花火 Fireworks Flowers」を開いている。黒沢さんは常陸大宮市に写真工房を構える。花火を撮り続けて35年。多重露光やアウトフォーカスなどさまざまな技法を駆使しながら、驚きのある独自の花火写真を作り出している。

黒沢さんの手にかかると、花火がさまざまな姿に変容する

花火の撮影スタイルは「カメラを筆代わりにして描いていく」というもの。たとえば光の渦のように見える作品は、スローシャッターでカメラを回転させながら作り出した。赤いチューブがうねうねと四方八方へ伸びたような写真は、星の飛び散る様子をクローズアップでとらえたもの。400ミリの超望遠レンズによる手持ち撮影で、打ち上がっていく花火の玉を追いかけ、開いた瞬間に手を止めてシャッターを切っている。

「最初にどういう撮り方をしようかと考え、デッサン帳にイメージを書き入れながら練り上げていく。だが思った通りに撮れるのは2、3割ほど。花火は偶発的要素が多い。構図やバランスがなかなかうまくいかないし、色や明るさも開いてみるまで分からない。そこが難しさでもあるし醍醐味でもある」

出合いは1985年の水戸の千波湖花火大会。偶然に撮れたススキの穂のような形の写真に新たな可能性を感じ、そこから花火との対話の日々が始まった。最初の個展開催は95年の東京・キヤノンサロン。その後は99年のフジフォトサロンなど。1週間の会期で8000人の来場者を集めたこともあるそうだ。

今回の展覧会では30点を展示しており、その多くは90年代に撮影した。最近の作品も数点あるが、鮮やかさが違うという。「当時はリバーサルフィルムで撮っているが、デジタル写真と比べて透明度が高い。花火の色自体も昔と今とでは若干違う。今の花火はパステルカラーのような淡く透明感がある色彩。写真にするには色が濃い方が深みや重みが出せる」

今後考えているのは、茨城県内の全ての花火大会を写真で網羅すること。「小さいものも含めると40カ所くらいある。芸術的な撮り方ではなく一般的な撮り方で、なるべく早い時期にまとめたい」という。ほかにも久慈川の冬の風物詩のシガや、地元・常陸大宮市の文化遺産である「西塩子の回り舞台」、東日本大震災被災地の復興の様子など、追い求めているテーマは多岐にわたる。

◆写真展は30日(日)まで、つくば市豊里の杜2-2-5 ギャラリー夢工房で開催中。開館時間は午前10時30分~午後5時30分(最終日は3時まで)。入場無料。30日午後1時30分から黒沢さんによる写真教室が開かれる(参加費1000円、コーヒー付き)。問い合わせは電話090-4676-9623(同夢工房)

銀塩プリントならではの豊かな発色も見どころだ

子ども食堂を継続するためには? つくばで聞く ジレンマと台所事情

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子育て中の親子でにぎわう竹園土曜ひろば=つくば市竹園3丁目の竹園交流センター

【橋立多美】「子ども食堂」が全国各地に生まれ、つくば市内では6団体が取り組んでいる。調理と食事ができるスペースを確保できれば始められる一方、担い手や資金の問題から継続することが難しいとされる。「継続するために知恵を絞り努力する」を活動方針に掲げて子ども食堂を運営している同市の市民グループ「竹園土曜ひろば」(毛利正英代表)の活動と台所事情を取材した。

子ども食堂は、無料または低額で食事を提供し、子どもたちの居場所となる。2014年に子どもの貧困対策法が施行され、表面上は見えない貧困層の存在が社会に認知されるようになった。一方、同年に厚労省が発表した子どもの貧困率は16.3%で過去最悪を更新し、6人に1人の子どもが貧困状態にある。

会話を交わしながら野菜を切るメンバーたち=同

第4土曜日の22日午前9時過ぎ、同市竹園の竹園交流センター調理室に包丁で野菜を刻むリズミカルな音が響く。6つの調理台で計量や調理、食器などを洗う作業が進む。三角巾とエプロン姿のメンバーたちが家庭科の調理実習のように楽しそうに口と手を動かす。11時を回るとハッシュドビーフ、トウモロコシご飯、ヨーグルトマヨサラダが完成。デザート用のスイカもカットされた。

同ひろばは、昨年6月に開催された竹園交流センターの講座「貧困の連鎖を断ちきろう―私たちにできることってなんだろう」を受講した市民たちが始めた。講師は龍ケ崎市で子ども食堂を実施している団体代表で「自分もできることを…」と集った。地域住民が交流し、子どもの成長を支援する食堂を11月にスタートさせた。中高年の男女9人が運営を担っている。

活動は月1回で同センターの和室で午前10時30分から午後2時30分まで。昼食は正午からの1時間で、前後に遊びや手作り体験などを取り入れている。料金は乳児無料、中学生まで100円 、高校生以上300円。提供する食事は30食ほどでホームページでの事前申し込みを優先している。活動が周知され、春から、開催1週間前にはいっぱいになるという。

近隣農家から寄付される野菜をベースに、調理師も加わってメンバーがメニューを考える。また調理のプロの安全対策を共有し、調理ボランティアには手洗いを呼び掛けるなど、徹底した衛生管理を行っている。

補助金や助成金が頼みの綱

子ども食堂が子どもの貧困対策としてすぐに効果を表すことは難しい。それは「貧困状態にある家庭向け」にすると参加しづらくなるためだ。多くの子ども食堂は誰もが参加しやすい食堂づくりを心掛けている。そのため支援を必要としている家庭に届いているか分からない、というジレンマが存在する。

代表の毛利さんは「つくば市には貧困で居場所のない子どもが約1200人いて、竹園周辺地区には100人弱いると想定できる。貧困層を見分ける術はなく、孤立しない(させない)ための食を通じた交流を継続して続けていく」と話す。貧困対策に絞った活動ではないことで、困っている施設や人に食べ物を届ける活動をしているフードバンクの支援を受けられない悩みもある。

毛利さんによると、毎月の活動にかかる費用は約1万5000円。コメや生鮮食品と調味料、参加見込み人数で加入するボランティア行事用保険などが占める。野菜を寄付してもらうことで肉や魚を購入できるという。

利用者が増えて毎回の食事代収入は8000円以上になったが、資金が足りず補助金や助成金が頼みの綱だ。昨年は市の子ども食堂支援事業補助金(年5万円で申請は3回まで)の交付を受け、今年はキューピーみらいたまご財団の助成金を受けた。

つくば市は今年度から、生活困窮世帯の子どもの支援事業を充実させるため「つくばこどもの青い羽根基金」を創設した。基金は市が実施する学習支援事業や子ども食堂などに充当する予定だが、現時点で、いつ、どう振り分けるかは不明だ。「活動の拠り所であるだけに基金の運用が気になる」と毛利さんは気をもむ。

◆次回は7月13日(土)に開催予定。竹園土曜ひろばのホームページはこちら

つくバス改編 振るわず 4月の利用者3%減

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つくば市のコミュニティバス「つくバス」

【鈴木宏子】今年4月、8年ぶりの大幅な改編=1月18日付け=を実施したつくば市のコミュニティバス「つくバス」の4月の利用者数が、前年同期と比べ約3%減少したことが分かった。停留所の数を2倍に増やしたため目的地に到着するまでの所要時間が平均15分程度長くかかるようになったこと、所要時間増と路線数増に伴って、1日の運行便数が減ったことが原因とみられる。

市総合交通政策課が、このほど開かれた市公共交通活性化協議会に4月の実績を示した。同課によると、改編後、利用者から「止まるバス停が多くなって乗っている時間が増えた」「乗り継ぎがスムーズでなくなった」「最終便が早過ぎる」などの意見が寄せられたという。一方、同課は、これまで利用してなかった人に、つくバスを利用しやすくしたのが今回の改編だとして、さらに利用促進のPRをしたいとしている。乗り継ぎ時間が短くなったバス停については、協議会に諮り、時刻表の微調整はしていきたいとする。

つくバス改編の柱は、バス停の数を111カ所から223カ所に倍増した、これまでバスが運行してなかった市西部にバスを運行するなど路線を増やし走行総延長距離を7路線149キロから9路線205キロと1.4倍にした、それに伴って運行便数を334便から15%減らし283便にした―など。ほかに、高齢化率が最も高い茎崎地区と2番目に高い筑波地区で3年間の実証実験として、路線バスの運賃補助と、ワゴン車を使った支線型バスの運行をスタートさせた。

改編に伴って、市が実施している、つくバス、路線バス運賃補助、支線型バスと、乗り合いタクシー・つくタクを含めた公共交通の年間事業費は、約3億8700万円(2018年度当初)から約5億6600万円(19年度当初)と約1.5倍に増えた。

つくバスの路線別では、つくば駅から谷田部、茎崎地区を運行する南部シャトルを除いて、4月の利用者数が前年同期と比べ減少した。新たに路線を新設した、みどりの駅から谷田部、上郷地区を運行する西部シャトルの1便平均利用者数はわずか1.2人で、9路線のうち最も利用者が少なかった。

茎崎は健闘、筑波は不振

4月から、茎崎地区などと牛久駅を結ぶ路線バスでスタートした運賃補助など路線バスの実証実験は1日平均304.3人が利用した。前年度との比較はできてないが、上々の滑り出しとなった。運賃を市が補助し、つくバスと同等の金額で乗車できるようにした取り組みで、同課によると、バス利用を促進しようと、住民同士が積極的に声を掛け合っている地区もあるという。

一方、筑波地区でスタートした支線型バスの利用は振るわず、茎崎地区と明暗が分かれた。支線型バスは、10人乗りのワゴン車4台を使って、集落と集落をつなぐ4コースを運行し、乗り合いタクシーからの転換を図ろうという初の実験的取り組みだが、4月の1日平均利用者数は13.5人にとどまった。4コースに設けた停留所のうち2割で4月の1カ月間、1人の乗降もなかった。

同課は、車体のラッピングが遅れていて、支線型バスだとわからない人もいるかもしれないので、今後、地域の人に乗ってもらう取り組みをしていきたいとしている。

同市は、これまで循環型だったコミュニティバスの運行を、2011年度に直行型に改編してシャトル便を導入し、毎年、利用者を増やしてきた。4月の利用者が前年同期と比べ減少したのは、2011年度の直行型への改編以来、初めて。つくバスの乗車料金は距離によって1回200~400円。

予防接種委託料を26医療機関に誤振込 つくば市

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市は21日、予防接種を実施した市外の医療機関のうち26カ所に、誤った金額の予防接種委託料を振り込んでしまったと発表した。

誤って振り込んだのは、市内在住の乳幼児や高齢者などが4月に市外の医療機関で予防接種を受けた医療費のうち、市が負担している委託料で、市健康増進課によれば、同月の総額は205万9950円だった。

26カ所のうち12カ所には本来支払うべき額より少なく振り込み、14カ所は多く振り込んでしまった。少なかった医療機関には最大で43万2280円少なく振り込み、多過ぎた機関には最大で38万860円多く振り込まれている。一方、市内の医療機関に対しては、支払方法が異なるため誤りはないという。

4月分の支払い手続きをするため、同課の担当職員が、パソコンの表計算ソフトでデータを並べ替えた際、医療機関名とコード番号だけを並べ替え、委託料の金額を一緒に並べ替えしなかったのが原因と見られる。

20日になって市は誤りに気付き、各医療機関に謝罪した。振込日は21日だったが、すでに金融機関に手続きをしてしまったため振り込みを止められなかった。少なかった12カ所に対して市は21日中に差額分を振り込んだ。多く振り込んでしまった14カ所に対しては24日から差額の返還をお願いしていくという。

再発防止策として市は、書類作成時にあたっては、複数の職員によるチェックを徹底するとしている。

ウェブ上に「自然災害伝承碑」表示 国土地理院が新しい地図記号

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自然災害伝承碑の表示例=常総市三坂町の「決壊の碑」

【相澤冬樹】天災は忘れたころにくる――から、被災地では被害を伝える石碑などを建て後世に引き継ごうとしてきたが、その存在を忘れたころにやってくるのが天災ともいえ、残された教訓が役立たないケースもあった。つくば市の国土地理院は、防災意識の向上につなげようと、「自然災害伝承碑」という新しい地図記号を作り、19日から運用を開始した。過去の災害情報と合わせ、インターネット上の「地理院地図」に表示している。

常総市の「決壊の碑」の所在地が地図記号で表示される=地理院地形図から

「自然災害伝承碑」の地図記号は、石碑をイメージした形のデザインで、洪水や津波、火山の噴火など過去に起きた自然災害について書かれた石碑やモニュメントの位置を示している。新しい地図記号が作られるのは13年ぶりという。

地理院によると、昨年7月の西日本豪雨で被災した広島県坂町には、1907年に起きた大雨で犠牲者が出たことを伝える石碑があったが、地域の住民にあまり知られておらず、教訓が十分に生かされなかったことが被害を大きくした。同様のケースは2011年東日本大震災での津波対策や緊急避難にもみられた。

そこで、新たな地図記号を設定しつつ、自治体などと協力して設置場所や碑文の情報を収集した。まず48 市区町村の自然災害伝承碑158 基について公開準備が整ったため、19 日からウェブ地図「地理院地図」に記号を掲載した。死者数や建物被害などを示す情報を補足し、100字程度に要約したページともリンクしている。記号はこの先、2万5000分1地形図にも掲載される予定だ。

茨城県内からは今回3市計5カ所が登録された。2015年9月の関東東北豪雨で鬼怒川が決壊し、市域の3分の1が浸水した常総市の2カ所はじめ、龍ケ崎市の2カ所、行方市の1カ所、いずれの碑にも水害が記録されている。

地理院では、住民の防災意識の向上、学校での防災教育などに役立ててほしいとしている。今後、約150市区町村について、準備が整いしだい順次公開するとともに、引き続き情報を収集し、定期的に更新、公開をしていく。

➡地理院地図の初期表示画面へのリンク 左の情報リストから「自然災害伝承碑」が表示される

天童発「赤い宝石」土浦着 22、23日にサクランボ販売のフェア開催

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【谷島英里子】土浦市と観光物産協定を結ぶ山形県天童市は22、23日に土浦市内3カ所で「天童フェア」を開き、生産量日本一の同県産サクランボ「佐藤錦」を販売する。

サクランボを収穫する生産者=同

サクランボが日本に伝わったのは明治初期で、各地で栽培が試みられたが、ほとんどが失敗、霜害や台風被害の比較的少ない山形県の内陸部だけが「成果」をあげたという。佐藤錦は同県内で交配育成された品種で、「赤い宝石」とも呼ばれ、見た目がきれいな鮮紅色で光沢がある。果肉はジューシーで、さわやかな酸味と強い甘みが特徴だ。

天童フェアでの販売価格(税込み)は、フードパック1パック(200グラム)600円、2パック1100円、1キロバラ箱入り4700円。宝石箱のように手作業で箱詰めされたパッケージ(3500円)も用意される。

ほかに漬物やお菓子、くだものの缶ジュースなど特産品が並ぶ。一部会場ではサクランボシロップのかき氷を販売する。

山形県東部に位置する天童市は、江戸時代末期に市内の8村が旧土浦藩領だったことなどが縁で、土浦市と相互交流協定を結んだ。天童フェアの問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)まで。

天童フェアの日程と会場は次の通り。

◆土浦まちかど蔵(中央1丁目)=22日午前10時~午後5時、23日午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、お菓子、山形の玉こんにゃく実演販売
◆小町の館(小野)=22日午前10時~午後3時、23日午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、お菓子、山形の玉こんにゃく実演販売
◆J:COMスタジアム土浦(川口2丁目)=22日午前10時~午後3時 山形の玉こんにゃく実演販売、サクランボシロップのかき氷(天候不良の場合中止の場合あり)

つくばの歴史や文化、楽しく学んで 「秀峰筑波かるた」完成

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秀峰筑波義務教育学校区の歴史や文化が楽しく学べる「秀峰筑波かるた」

【谷島英里子】つくば市北部の小中学校9校の統合による市立秀峰筑波義務教育学校(つくば市北条)の開校(2018年4月)を記念した「秀峰筑波かるた」が、このほど完成した。学校区の歴史や文化を楽しく学べる内容で、生徒や保護者、地域住人など約3000人が協力した。

かるた制作委員会委員長の柿崎優子さん

制作を呼びかけたのは、同校のPTA役員を務めていた柿崎優子さん(47)。旧作岡小閉校の際も記念かるたを作った経験があった。「かるたはシンプルなゲームで誰でも楽しめる」と、多くの賛同により、義務教育学校の開校記念事業としてPTA役員を中心に制作委員会が発足した。

かるたの箱は染色家の柿崎さんが自らデザイン。「あ」から「ん」までの46種類あり、読み札は同校5年生が考え、美術部員が絵札を描き、札の裏側には解説分も加えられた。札には地域の特産品や伝統行事、歴史上の人物、方言が盛り込まれた。例えば、「矢中の杜(もり) 昭和感じる文化遺産」「乱世の世 何度も挑んだ小田氏治」といった文化や歴史にちなんだものや「空高く そびえるバナナ筑波山」など標高877メートルを語呂で学べるユニークな作もあった。

全部で110セットを制作。今後は地域などでかるた大会を開催する考えという。17日には同校で贈呈式が行われた。柿崎さんは「かるたは全て地元ネタなので楽しく笑いあいながらできる。3世代で競い合う姿も見てみたいですね」と話している。

希望者には貸し出しを行う。問い合わせは柿崎さん(メールpuninoie@alpha.ocn.ne.jp)まで。

農福連携 つくばの2社が障害者雇用で取り組み

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農福連携の推進を呼び掛ける茨城県のリーフレット

【山崎実】農業の生産現場で障害者を雇用する「農福連携」の動きが注目されている。今年2月には県農業総合センター(笠間市)で農業経営と障害者雇用をメーンテーマに講座が開かれ、つくば市西高野のHATAKEカンパニー(木村誠社長)など雇用に積極的に取り組んでいる3社と、障害者福祉施設が共同で仕事を受注する窓口となっている県共同受発注センター(水戸市)の関係者が、「農福連携」の現状と課題について意見交換した。

講座に参加したのはほかに、NPO法人つくばアグリチャレンジ(つくば市大角豆、伊藤文弥代表)と、おかの農園。サラダ用の野菜と、季節の有機野菜を生産からパッキング、販売まで行うHATAKEカンパニーは、ハウス14ヘクタール、露地90ヘクタールを経営し、社員は60人。パート100人体制で毎日出荷している。

福祉施設から約10人の利用者を受け入れ、直接雇用も現在4人いる。既に計量や袋とじの作業を任せられるなど、生産性の向上に貢献しているといい、「もっと多くの人に農福連携の情報を知ってもらいたい」(同社)と期待を込める。

畑7ヘクタール、田1.6ヘクタール、養鶏500羽を経営するつくばアグリチャレンジは、3カ所の農場を就労継続支援B型施設として運営する。畑では少量多品目の野菜を有機栽培し、野菜セットを近隣に宅配する。田んぼではコメを栽培、養鶏にも取り組み、3カ所平均で60人以上の障害者が働いているという。

同社は他にもレストラン、体験農園、農家の手伝いなどを引き受け、「障害者の働く場所をつくるだけでなく、地域の人たちと一緒にどのように暮らしていけるかを考えて事業を行っている」(同社)と将来を見据える。

県が運営費を負担し、B型施設(就労機会提供事業所)への仕事をあっせんしている共同発注センターが「農福連携」に取り組んだのは2011年からだが、仕事が少なく成約率が上がらないのが実情だ。昨年度は164件の仕事をあっせんしたが、うち農業関係はわずか11件だった。

同センターのコーディネーターは「農業側、福祉側共に(連携に)手探りであるため、初回に限ったお試し補助金制度があると、より理解と経験が深まるのではないか」と提言する。そのための予算獲得を熱望した。

昨年8月、中央省庁の障害者雇用水増し問題が発覚し、秋以降、2518人が採用されたものの、既に131人が退職していることが明らかになった。雇用促進を率先すべき旗振り役がこの有り様では心もとない。講座に参加した3社の取り組みは地道だが、「農福連携」の未来像を模索しながら多くのハードルを一つひとつ乗り越えて、新たな農業形態を生み出そうとしている。

着なくなった子供服を難民に 県立つくば工科高が取り組み

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出前授業でクイズに答えながら、ジーユーの湊賢吾さんからプロジェクトの説明を受ける県立つくば工科高校1年生ら=つくば市谷田部、同校体育館

【鈴木宏子】着なくなった子供服を回収して世界の難民の子供たちに届けるプロジェクトに、県立つくば工科高校(つくば市谷田部、中澤斉校長)1年生157人が今年度取り組む。カジュアル衣料品ブランド、ユニクロとジーユーが実施している「“届けよう服のチカラ”プロジェクト」に参加し、家族や親戚などに呼び掛けて、たんすに眠っている子供服を集める。

18日、ジーユー(東京都港区)社員の湊賢吾さんらが同校を訪れ、出前授業をして難民の現状やプロジェクトの意義などを話した。湊さんは今年秋にイオンモールつくば(つくば市稲岡)にオープンするGUの店長になる予定という。「世界には日本の人口の半分の6850万人の難民がいて、難民の半数は18歳以下の子供」だとしたうえで、「子供服を1枚届ければ1人の子供が笑顔になる。皆さんの力で子供たちが助かる」と呼び掛けた。

出前授業に参加した機械科の杉田丈さん(15)は「話を聞いて、いらない子供服があったらすぐに届けたいと思った」、ロボット工学科の坂巻翔太さん(15)は「遠い国の難民のために自分でできることや皆でできることを考えたい」と感想を語った。

同校で家庭科を教える塚本美幸教諭が、同プロジェクトに応募したのが取り組みのきっかけという。今後は6月中に各家庭に子供服回収プロジェクトの通知を出して協力を求める。7月の美術の授業で、校内に掲示するポスターや子供服の回収箱を飾り付ける絵などを制作する。実際の回収は9月に行い、11月には段ボールに詰めて指定の倉庫に発送するという。塚本教諭は「地域住民が子供服を持ってきてくれれば学校で受け入れたい。地域の保育所などにも協力を呼び掛けることができれば」と話す。

回収する子供服は赤ちゃん用から160センチまでのサイズで、洗濯してあるものが対象。ただし下着や靴下、帽子などは受け付けない。

同プロジェクトは2013年にユニクロとジーユーが全商品リサイクル活動の一環として始めた。これまで6年間で全国で延べ1445校、約16万人の小中高校生が参加し、223万着以上の子供服を回収した。昨年度は全国で388校が取り組み、県内から7校が参加した。今年度は全国で430校が参加する予定という。回収した子供服は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に従って世界各国の難民キャンプなどに届けられるという。

倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

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8カ所の周辺市街地の一つ、北条商店街

【鈴木宏子】周辺市街地を元気にしようと「総額400万円 1件最高200万円」と銘打って、つくば市が5月1日から6月14日まで公募した「つくばR8地域活性化プランコンペティション」の応募者が、市の想定を大幅に上回り計47件あったことがわかった。当初、採択は2~4件と見込んでおり、10倍を超える倍率になる。ただし実際に何件採択するかは現時点で未定という。

市周辺市街地振興室は「周辺市街地を振興しようという取り組みはこれまで市としてやったことがなかった。初めてだったので何件応募がくるか分からなかったが、かなりの数に驚いている」と話す。応募した団体のメンバーの一人は「金額も大きいし、(使途の制限が少ないなど)使いやすい支援金だったからではないか」と分析する。

市内外の45の団体や企業、個人から応募があったという。市は現時点で応募団体や事業内容を公表してないが、1次審査を経て、7月27日に公開コンペによる2次審査を予定していることから、1次審査を通過した応募者の事業案を公開したいとしている。NEWSつくばが6月2日付けで紹介した谷田部地区の「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏会長)などは応募の一つだ。同会議は、江戸時代にからくりや和時計を発明した飯塚伊賀七をシンボルに、演劇公演や寄り合い所を開所するなど、すでに活動をスタートさせている。

「総額400万円」をアピールした市の公募チラシ

8カ所に50万円補助事業も

同コンペは、国の地方創生推進交付金を活用して、人口減少や高齢化などの課題を抱える市周辺地区の旧市街地を活性化しようという試み。合併前の旧町村の中心市街地などだった北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所を振興する事業が対象で、採択者には今年8月から半年間で、地域住民と協働で事業を行ってもらう。地域との連携が図れるか、新しいアイデアで独創的か、実現可能性や継続性などが審査されるという。

コンペに向けて市は昨年1月から、8地区でそれぞれ勉強会を開いたり、地域会議を開催するなどしてきた。今回のコンペのほかに市は今年度、周辺市街地活性化事業として、8カ所の地域住民らで構成する各市街地の活性化協議会にそれぞれ上限50万円、計400万円を補助する「周辺市街地活性化チャレンジ補助金事業」、旧小田小学校に約2000万円で地域拠点を整備する事業などに取り組む。

商店街を活性化する取り組みとしては、市内で先輩格なのが北条地区の「北条街づくり振興会」だ。県の「がんばる商店街支援事業」や、2007年の市制施行20周年コンペ事業などを活用し、10年以上前から年4回、青空市「北条市」を開いたり、「北条米アイスクリーム」など特産品を開発してきた。2012年5月の竜巻被害の復興でも底力を発揮した。同振興会の坂入英幸会長(69)は「今回の市のコンペには応募しなかったが、県の事業や市制20周年のコンペで採択されたことが、これまで12年間の活動のはずみになった」と振り返る。