土曜日, 4月 27, 2024
ホームつくば倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

【鈴木宏子】周辺市街地を元気にしようと「総額400万円 1件最高200万円」と銘打って、つくば市が5月1日から6月14日まで公募した「つくばR8地域活性化プランコンペティション」の応募者が、市の想定を大幅に上回り計47件あったことがわかった。当初、採択は2~4件と見込んでおり、10倍を超える倍率になる。ただし実際に何件採択するかは現時点で未定という。

市周辺市街地振興室は「周辺市街地を振興しようという取り組みはこれまで市としてやったことがなかった。初めてだったので何件応募がくるか分からなかったが、かなりの数に驚いている」と話す。応募した団体のメンバーの一人は「金額も大きいし、(使途の制限が少ないなど)使いやすい支援金だったからではないか」と分析する。

市内外の45の団体や企業、個人から応募があったという。市は現時点で応募団体や事業内容を公表してないが、1次審査を経て、7月27日に公開コンペによる2次審査を予定していることから、1次審査を通過した応募者の事業案を公開したいとしている。NEWSつくばが6月2日付けで紹介した谷田部地区の「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏会長)などは応募の一つだ。同会議は、江戸時代にからくりや和時計を発明した飯塚伊賀七をシンボルに、演劇公演や寄り合い所を開所するなど、すでに活動をスタートさせている。

「総額400万円」をアピールした市の公募チラシ

8カ所に50万円補助事業も

同コンペは、国の地方創生推進交付金を活用して、人口減少や高齢化などの課題を抱える市周辺地区の旧市街地を活性化しようという試み。合併前の旧町村の中心市街地などだった北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所を振興する事業が対象で、採択者には今年8月から半年間で、地域住民と協働で事業を行ってもらう。地域との連携が図れるか、新しいアイデアで独創的か、実現可能性や継続性などが審査されるという。

コンペに向けて市は昨年1月から、8地区でそれぞれ勉強会を開いたり、地域会議を開催するなどしてきた。今回のコンペのほかに市は今年度、周辺市街地活性化事業として、8カ所の地域住民らで構成する各市街地の活性化協議会にそれぞれ上限50万円、計400万円を補助する「周辺市街地活性化チャレンジ補助金事業」、旧小田小学校に約2000万円で地域拠点を整備する事業などに取り組む。

商店街を活性化する取り組みとしては、市内で先輩格なのが北条地区の「北条街づくり振興会」だ。県の「がんばる商店街支援事業」や、2007年の市制施行20周年コンペ事業などを活用し、10年以上前から年4回、青空市「北条市」を開いたり、「北条米アイスクリーム」など特産品を開発してきた。2012年5月の竜巻被害の復興でも底力を発揮した。同振興会の坂入英幸会長(69)は「今回の市のコンペには応募しなかったが、県の事業や市制20周年のコンペで採択されたことが、これまで12年間の活動のはずみになった」と振り返る。

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壁なくす交流の場に つくば在住スリランカ人 28日 母国の正月祭り

つくば市在住のスリランカ人らによる「スリランカお正月祭り」が28日、同市花畑の花畑近隣公園で開かれる。スリランカの新年は4月。正月祭りの主催団体「スリランカお正月祭り実行委員会」で活動する市内在住のニルマール・ペレラさん(46)は「たくさんのスリランカ人が住んでいるが、地域の人と交流する機会は限られている」と言い、「お互いの壁をなくせるような交流の場にしたい」と思いを語る。 2023年6月末時点で県内には3614人のスリランカ人が暮らしている。全国で3番目に多く、人口10万人当たりに換算すると国内最多となる。つくば市には昨年1月末時点で399人が暮らす。 留学生のレクリエーションが始まり つくばでスリランカの正月祭りが始まったのは約10年前。筑波大学で学ぶスリランカ人留学生たちが集まり、食事をしたりレクリエーションをしたのが始まりだったとペレラさんは言う。当初は学生中心だったが、つくば市や周辺で働くスリランカ人たちにも輪が広がった。市内で妻と3人の子どもと暮らすペレラさんが参加したのは2018年から。その後コロナ禍で2年間開催できなかった。昨年3年ぶりに再開すると、100人余りの同胞人や日本人が参加した。 ミルクライス食べる儀式から スリランカでは太陽がうお座からおひつじ座に移ったときに年が変わるとされており、占星術師たちが毎年その時間を国民に知らせる。4月中旬ごろになるが、今年は4月13日午後9時5分に新年を迎えた。 占星術師が年明けの時刻を予告すると、その前後に何もしてはいけない時間帯がある。年が明けてから初めてかまどに火を入れ、器にココナッツミルクとライスを入れて沸騰させ吹きこぼし、新年最初の食事はココナッツミルクで作るミルクライスを食べる。仕事を始める時間も、占星術師によって決められた時刻に行うのが慣習だ。「吹きこぼし儀式」「食べ始めの儀式」は、五穀豊穣を祈るものとされる。 つくばの正月祭りでも母国の儀式をもとに、ミルクを器に注ぎ、ココナッツオイルに火を入れて、ミルクライスを食べる儀式からスタートする。その後は、母国でするのと同様に、ダンスや綱引き、マラソン大会、パン食い競争、口に加えたスプーンにレモンを載せて走るなど、さまざまなレクリエーションを参加者同士で楽しみつつ、用意された食事に舌鼓を打つ。 10年以上続く中で地域の日本人との交流も少しずつ広がった。今年は家庭で備える防災について、外国人にもわかりやすくやさしい日本語と英語で表現した「防災かるた」を使い、考案者であるつくば市在住の防災士、水谷浩子さんを招いてカルタ大会を初めて開く。 子どもたちが母国文化と接する機会 ペレラさんは「日本で生まれたスリランカ人の子どもがたくさんいる。多くは地域の学校に通っていて、スリランカの文化に触れる機会が限られる。使う言葉も日本語が中心。一方で、つくばには沢山の外国人が暮らしているが、地域との関わりを持てずに暮らしている大人も多い。子どもたちにとってはスリランカ文化と接する機会に、大人たちにとっては地域との交流の場になるといい」と話し、「将来的には日本とスリランカ、互いの文化が持つ良い面が混ざり合い、つくばだからこその新しい文化が育っていくきっかけになれば」と思いを語る。(柴田大輔) ◆「スリランカのお正月祭2024+防災」は4月28日(日)午前9時~午後5時、つくば市花畑3-11-5の花畑近隣公園で開催。参加費無料。