木曜日, 5月 15, 2025
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旧筑波西中に来春開校 通信制高校「S高」

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中継動画が生配信された記者会見の様子

学校法人角川ドワンゴ学園は15日、つくば市作谷、筑波西中学校跡に、2つ目の通信制高校、S高を開校すると発表した。2018年3月に廃校となった同中の校舎を改修して活用する。

同学園は、2016年に通信制高校N高(本校・沖縄県うるま市)を開校し、現在1万5000人以上の生徒がいる。沖縄の高校だけでは、実際の教室で教師と対面しながら授業を受けるスクーリングの受け入れがいっぱいになることを見越して、つくばに2校目を開校する。現在、設立認可を申請している。

S高の生徒は2年次につくば市内などに宿泊し、4泊5日のスクーリングを受ける。同学園の夏野剛理事は、N高と同じ1万5000人規模を目指すとした。

校長には、IT技術者で、ニコニコ生放送の技術開発に携わり、N高のプログラミング教育を構築した吉村総一郎N高副校長が就任する。

新しいコースとして、最新のバーチャルリアリティ技術を活用した「普通科プレミアム」と、ネット上で少人数のグループワークを中心にした「オンライン通学コース」を新設する。

普通科プレミアムは、VRゴーグルなどを装着して、まるで教室にいるかのように、学びを体感できるという。教室には共に学ぶ仲間のアバター(分身)がいて、仲間の存在を感じることができる。分子模型を立体的に観察したり、名所や歴史遺跡を見て回るなど体験型の教材を用意する。

記者会見の様子は動画中継され生配信された。大井川和彦知事、五十嵐つくば市長も出演した。

旧筑波西中=つくば市作谷

【アングルつくば市長選】4 通学区の再編審議始まる 小中学校適正配置

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2023年4月開校の研究学園小中学校予定地

【鈴木宏子】児童生徒数の増加を受け、つくばエクスプレス(TX)沿線に新設予定の小中学校の通学区域を定める審議が今月8日、つくば市学区審議会で始まった。

新設されるのは▽島名小学校から万博記念公園駅近くに分離新設する香取台地区小学校(2023年4月開校予定、学校名は仮称)▽学園の森義務教育学校から分離する施設併設型小中一貫校の研究学園小中学校(同、同)▽みどりの義務教育学校から分離する施設併設型のみどりの南小中学校(24年4月開校予定、同)の3地区だ。

前年度とメンバーを入れ替えた今年度の学区審議会は、3地区が立地する谷田部地区小中学校のPTA代表、校長、区長など地区代表、学識経験者などで構成する。8日の審議会で市は叩き台となる通学区の原案を明らかにした。早ければ今週中にも市ホームページで原案を公表したいとする。

学区再編のスケジュールは、今年度中に数回審議会を開き、来年3月に3校の通学区域をどう設定するか答申を出す。2021年度は答申をもとに各地区で住民説明会を開いてさらに保護者や地域住民の意見を聞く。最終決定の期限は開校前年の10月という。

通学区をめぐっては、TX沿線で児童生徒数の増加が問題となり校舎の増築が続く中、市は昨年11月、教室に余裕がなく、今後も児童生徒数が増えると予測される竹園西小、竹園東中、学園の森、みどりの義務教育学校の4校を越境通学などの受け入れ困難校と指定した。学園の森義務教育学校では開校直前に市が越境通学の受け入れを緩和、昨年は、受け入れ困難校指定をめぐり、保護者の間で混乱が生じた。市にはより丁寧な説明が求められる。

小規模校は課題先送り

通学区の見直しに先だって市は今年3月、小中学校の新設や統廃合方針を定める適正配置計画を見直した。義務教育学校は大規模校化するので新たにつくらない、小規模校も良さがあるので統廃合しないという新たな方針が示された。

つくば市の小中学校は現在、小学校29校のうち大規模校が1校、小規模校が13校、中学校は12校のうち大規模校が1校、小規模校が5校、義務教育学校は4校のうち大規模校が2校と、大規模校と小規模校の両方の課題を抱える。

学校適正配置計画の見直しを審議した昨年度の学区審議会では委員から「つくば市は減っていく地域と増えていく地域とに二分されている。増えていく地域は新設校計画がありこれから学区をどうやって割っていくか課題がある。減っていく方は小規模校をどこまで小規模で残していくのかという具体的なところに入らないと、行き付く先は、今後検討していきます、維持を図りますという言葉で終わる。具体的にどうしていくのかという、その次の段階が見えない」などの指摘があった。

大規模校の場合、TX沿線のみどりの義務教育学校から、みどりの南小中学校を分離新設しても、教室不足が解消されず、今以上にさらに校舎を増築しなくてはならなくなる恐れが9月議会一般質問でも指摘された。

一方、小規模校は統廃合せず児童生徒数を維持するとされたが、どのように維持するのか、学区を見直すか、小規模特認校として特徴を出し指定区域全域から児童生徒を集めるのか、学区審議会で問題提起はあったものの、新たな方向は盛り込まれなかった。課題先延ばしのようにもみえる。

テレワーク移住促進事業始動 県と土浦市など5市町

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土浦市が来年1~2月、テレワーク移住体験ツアーを開催する「星野リゾートBEB5土浦」

【山崎実】県と県内5市町(土浦、日立、笠間、潮来市、大子町)は10月から「たのしむ茨城テレワーク移住促進」事業をスタートさせた。「withコロナ時代」を視野に、茨城県もテレワーク移住競争に名乗りを挙げる。魅力度ランク、8年ぶり最下位脱出が追い風となるか?

新型コロナウイルスの影響による企業テレワークの急速な広まりと、人口減少、地域振興に悩む地方の移住誘致気運の高まりを背景に、テレワーク企業人の移住促進を図るのが狙い。

土浦市では、星野リゾートBEB5土浦(土浦駅ビル)に滞在し、テレワークと自転車を活用したテレワーク移住体験ツアー(来年1月下旬~2月、3泊4日)を実施する。

すでに日立市では9月定例市議会で、テレワーク移住者を対象に、住宅取得助成(最大151万5000円)や、テレワーク機器購入費助成(40万円)などの補助事業の実施を決めている。

笠間市は、笠間焼を活用した笠間暮らし体験ツアー(12月、1泊2日)、潮来市はテレワーク設備を完備した水郷旧家、磯山邸の滞在を通した移住体験(ライフバランスtoテレワーク、来年2月、3泊4日)、大子町は奥久慈茶関連施設でのテレワーク、地域住民との交流による移住体験(テレワークツアー、11月12~13日、来年1月に1泊2日)など、移住後の生活を見据えた宿泊型移住体験ツアーを計画している。

一方、県もテレワーク移住PRサイトをオープンさせ、移住希望者への情報発信を強化するなど、市町村の移住誘致を積極的に後押しする。各自治体の移住支援策のほか、空き家バンクや住宅、土地購入情報など、移住に有用な情報を発信、提供する。

テレワーク移住促進に関する問い合わせは、県政策企画部計画推進課(電話029-301-2536)

《ご飯は世界を救う》28 学園の森の「ハレゴハン」

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】今月も「密」にならない場所を探して。数年前に2度ほど行ったカフェ「ハレゴハン」さん。つくば市学園の森の「MeeToco」(筑波ハム直売所、陣屋敷地内)にあります。久々にこちらをセレクションしたのは、テラス席があるから。席数が少ないので前日に予約しておきました。

お伺いしたのは、第1土曜日。ちょうど月1回の「陣屋市」で、筑波ハム直売所の割引とバザーが開催されていました。11時半に行ったときは、大きめの駐車場もいっぱい。コロナでも「割引」というのは求心力があるのですね。

今回食したのは「アヒージョ」というオリーブオイルとニンニクで食材を煮込むスペイン料理です。具材は魚介類やキノコのよう。初体験。

熱したオリーブオイルのスープ底には、ニンニクや香りづけの素材。フランスパンが添えてあって、漬けて食べると絶品!ですが、猫舌の私はちょっとやけど。冷ましながら時間かけて、具のエビなども。パンは別料金ですが、追加オーダーできました。

「ハレゴハン」さんは、他のお料理、そしてインテリア、エントランスも、とってもステキです。女性お2人で運営なさっているとか。オシャレって、心まで癒してくれますね。食べてお腹が満たされ、心まで温かくなったランチでした。(イラストレーター)

【アングルつくば市長選】3 公共施設が欠落「らち明かない」 TX沿線

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第2回市長と語る会の様子(「新しい街・研究学園駅周辺を住みやすくする会」提供)

【鈴木宏子】「つくばエクスプレス(TX)沿線は急激に人口が増加しているのに、地域交流センターや図書館、児童館などの公共施設がない。都市基盤が欠落している」。住民団体「新しい街・研究学園駅周辺を住みやすくする会」事務局長の山本進二さん(73)はこう指摘する。「つくば駅周辺と比べて、あまりに差があり過ぎる」という。

同会は、研究学園駅周辺のマンションや一戸建て住宅などに新たに転居してきた住民らでつくる。地域を住みやすくしたいと、2018年から「市長と語る会」を2回開き、参加者から出された意見や疑問を質問書にまとめ、市に要望してきた。市地区相談課を窓口に2年間やりとりを続け、市から計4回の回答があったが、満足のいく回答は得られず、山本さんは「らちが明かない」と嘆く。

要望は、地域交流センター、図書館、児童館の建設のほか、公立の保育所や幼稚園の開設、公立幼稚園の送迎バスの運行、通学路交差点の右折規制、とりせん前交差点の立体交差化、通りの愛称の命名など多岐にわたる。

国基準は中学校区単位

このうち地域交流センターの建設要望に対する市の回答は「市役所コミュニティ棟1階や、高齢者支援としての空き店舗活用、他用途公益施設の共用など、市全体として施設を増やしていくことを検討する」だった。

山本さんは「市役所のコミュニティ棟を利用してほしいということだが、コミュニティ棟は市役所の会議室も併用している。毎週定期的に利用できなかったり、制約が多い」と語り、「国の公民館設置運営基準は、中学校の通学区域単位で設置することが実態に即して望ましいとなっている。研究学園駅周辺は春日学園、学園の森と、研究学園(建設予定)と中学校が3校なので、3カ所以上が適切な配置」だと指摘する。

2館目となる図書館を建設してほしいという要望に対しても市の回答は「自動車図書館の市役所への巡回を今年度から2週間に1回から毎週巡回に増便した」「市役所に設置していたブックボックスを午後10時まで開館しているコミュニティ棟に移した」など、木で鼻をくくったような回答だった。

山本さんは「TX沿線の守谷市、千葉県流山市、柏市と取手市の4市と比較すると、つくば市の図書館は個人貸出登録率、蔵書数、利用者数、貸出冊数で劣っている。国の制度に図書館設置及び運営上の望ましい基準というのがある。図書館サービス対象地域の人口分布、人口構成、交通網の変化を考えて、つくば市は設置基準を見直すべき」だという。

2項目に絞り議会に

市に要望を続けても進展が見えないことから、同会は今年7月、要望項目のうち住民の関心が高い、地域交流センターと図書館の2項目について、市議会各会派に公開質問状を出した。各会派からは概ね好感触が得られており、同会の室生勝会長(84)は「市と、やりとりを今後も続けたい」と話す。

TXが開業して15年。全国的に高齢化や人口減少が課題となる中、つくば市の人口はTX開業時の19万人(2005年5月)から現在は24万4000人と5万人以上増加し、来年にも25万人に迫る勢いだ。人口増に合わせて個人市民税や固定資産税などの市税収入も増え、05年度は338億円だった市税収入が18年度は453億円と120億円増えた。

TX沿線開発区域の土地利用計画には、公共施設建設用地が確保されている。が、今のところ地域交流センターや児童館、図書館などを建設する計画はない。(つづく)

投票行ったら「選挙割」 つくばで初 筑波大生と飲食店がコラボ

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選挙割のポスター㊧と参加店舗一覧(ドットジェイピーつくばのホームページ画面)

【岡本穂高】25日投開票で行われるつくば市長選と市議選を前に、同市で初となる「選挙割」の呼び掛けが行われている。若年層の投票率向上を目的に議員インターンシップなどを展開しているNPO法人ドットジェイピーつくば支部が企画し、クラウドファンディングのCAMPFIREつくば、つくば飲食店部会有志のメンバーがプロジェクトを組み、筑波大生有志が中心となって運営している。

「選挙割」は、投票所で撮影した自撮り写真または投票済証明書を提携店舗に提示することで、会計10%割引やドリンク一杯無料などのサービスが受けられる仕組み。提携店舗は市内の飲食店を中心に35店舗となっており、それぞれの店舗によってサービス内容は異なる。適用される期間は公示日翌日の19日から11月1日までの2週間で、期間中は加盟しているすべての店舗でサービスを受けることができる。

プロジェクトのリーダーを務める筑波大学工学システム学類3年の金龍泰さんは、「まずは市民の方が自ら投票に行きたいと思うほど選挙を魅力的なものにしなければ、投票率は向上しないと考えた。このプロジェクトをきっかけにして、将来的には年齢・地域差問わず市民全体が投票することの意義を理解したうえで、選挙について自然と考えられるような社会を目指したい」と語った。

若者ばかりでなく全市民が使える。現在、同プロジェクトではデザイン費や印刷費などの資金調達のためにクラウドファンディングも行っている。期限は10月16日までで、目標金額は50万円。

クラウドファンディングはこちらから

公式HPはこちらから

《遊民通信》1 「ゆうみん」がコロナ禍に思うこと

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【コラム・田口哲郎】

前略
はじめまして。みなさんは「ゆうみん」と聞いて何を思い浮かべますか? ポップスの女王ユーミンでしょうか? 今回お話したいのは「遊民」のことです。

字面から遊び人を連想されるかもしれませんが、ただの遊び人ではありません。遊民はまず街を歩き回ります。暇とお金がなければできません。金持ちという意味では遊び人ですね。でも、遊ぶと言っても飲み歩くわけではなく、日がな一日散歩をするのです。

ただ漫然とは歩きません。きょろきょろしつつ、興味を引いたものをじっと観察します。人々を、街を、自然を…。つまり、この世界のありとあらゆることを。遊民は散歩者でもあり、文明批評家でもあるのです。

私は今、2度目の大学生をしています。暇はありますが、金はないので、半遊民(貧遊民?)といったところでしょうか。

憧れの夏目漱石が学んだ東京大学に通っていますから、漱石の小説の登場人物たちのように「高等遊民」になってみたいですが、贅沢は言えません。劣等遊民でかまいません。その代わり、観察したことをお伝えしたいのです。

未曾有の社会変革の予感

アウトローとは言わないまでも、フツーの道をまっすぐ歩かずに、ウロウロ回り道してきたからこそ見えてくるものがあります。それが私のなけなしの財産かもしれません。

氷河期世代と言われた私の世代も四十路を過ぎました。バブル崩壊、平成大不況、IT革命、デフレ不況と、色々社会変化がありました。しかし! コロナ禍ほどの大変革がいまだかつてあったでしょうか? 高嶋政伸主演のドラマ「HOTEL」の名台詞(せりふ)を借りれば、「姉さん、事件です!」と、世界中に特大拡声器で叫びたいくらいです。

遊民(こう自称することをお許しください)にとって、死活問題が起こりました。コロナ禍で街から人が消えたのです。緊急事態宣言が出されている間、巣ごもりを強いられ、外出自粛を余儀なくされました。

遊民の唯一の目的である、目的無き散歩は不要・不急ですから、まずもって遊民が外出できない。仮に外に出られたとしても、人々が街にいません。人間が行き交ってこその街です。無人の街は、最初は珍しいかもしれませんが、すぐに飽きてしまうに決まっています。

ウィルスの拡大が収まれば、また元の社会が戻ってくると思っていました。が、そうではありませんでした。人間の移動はオンラインにとって代わり、街に人々は戻らず、歓楽街の灯は日ごとに小さくなっています。

6月18日の会見で安倍総理(当時)は、コロナ禍を機に国土の在り方を「集中から分散へ」「根本から変えていく」と述べました。「姉さん、事件です!」と、私はまたもや世界中いや全宇宙に叫びたくなりました。

なぜなら…。おっと、紙幅があまりありません。続きは次の便でお届けすることにいたしましょう。ごきげんよう。
草々(散歩好きの文明批評家)

  • 【たぐち・てつろう】慶應大学大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。専門は19世紀パリの遊歩者について。その後、家庭教師、派遣社員などを経て、四十路過ぎで2度目の大学生。東京大学文学部在学中。興味・関心は、神秘主義、スピリチュアル、宗教、高等遊民、鉄道模型。茨城在住20年(現在は牛久市)。大阪・仙台育ち。

プカプカ「水に浮く」耐水害住宅 メーカーがつくばで実証実験

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濁流のなか「船のように」浮かび上がる耐水害住宅=つくば市防災科学技術研究所

【相澤冬樹】浮かぶなら浮かしてしまえ-と逆転の発想で、洪水時の浮力対策を講じた耐水害住宅の実証実験が13日、防災科学技術研究所(つくば市天王台、林春男理事長)で行われた。大型降雨実験施設の水槽に一条工務店(東京、岩田直樹社長)が新機軸の「水に浮く」木造住宅を設置、水位3メートルの洪水状態を再現して、住宅性能をチェックした。係留装置でつながれた住宅は地面から1.5メートル前後浮かび上がり、浸水、逆流、水没や浮上に伴う被害は見られなかった。

水位1.4メートルで浮き上がる

今回の実験では降雨設備を封印し、浸水対策を施した木造住宅と施していない住宅の2棟を水槽に設置し、6基の水流ポンプで約1500トンを注水した。2棟の2階建て住宅から各種計測データや動画を収集した。流速は洪水時の勢いを想定して最大秒速3メートル。水位3メートルに達するまで約1時間半かかった。

耐水害住宅は基礎が二重構造となっており、べた基礎から上部が浮き上がる。四隅に係留装置を配し、復元装置付きのワイヤなどで住宅をつなぎとめる。水の引いた後の着地対策も施したほか、電気の引き込み線や水道管などの接続にも工夫をした。

実験では予想通り、水位が1.4メートルに達したあたりで基礎が外れ、プカプカ揺れながら「船のように」浮上を続けた。比較対照の1棟は早々に床下浸水から1階部分が水没、停電したのに対し、モニターで見る限り耐水害住宅に被害はなかった。

同社の耐水害住宅は、1年前にも同施設で実験を行った(19年10月2日付)。床下換気口や排水溝にフロート弁を設けるなどして床下浸水に備え、外壁のサイディングやサッシガラスなどを強化仕様として床上浸水を防いだ。

この際、設定水位は1.3メートルだったが、これを超えたあたりで起こると予想された住宅の浮上問題が実験でも確認され、課題となった。国や自治体のハザードマップで、ゲリラ豪雨や台風による想定水位は3メートル以上に達しており、浮上を放っておくと二次災害が危惧された。

同社は1年前の実験後に予定していた耐水害住宅の販売を急きょ取りやめ、浮上対策を講じることになった。防災研でも「コロナ禍で、在宅避難は魅力的な選択肢になる」(林理事長)と官民共同での実験を後押しした。

同社によれば、住宅の重さは80トンあるが、1.4メートルあたりでバランスをとるため浮き上がるという。「木造住宅は軽量が持ち味。重くして浮き上がれないようにすると耐震性が損なわれ、地盤対策などでコスト的に折り合わない」(開発責任者の萩原浩さん)そうだ。実験に使われた延床面積100平方メートルの住宅で、浮上性能を加えた耐水害住宅は価格的に100万円程度上昇する見込み。9月1日から試験的な販売を始めており、すでに120件ほどの注文があるという。

【アングルつくば市長選】2 なぜ貸しオフィス、議会で論戦 センタービル改修

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つくばセンタービルのセンター広場

【鈴木宏子】「エリアマネジメント団体のビジネスプランはどうなっているのか。どういう経営収支で成り立つか分からないと、議会としても判断ができない」。6月に市がホームぺージ(HP)で示した「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」をめぐり、9月議会一般質問で、山中真弓市議が経営収支計画を示すよう迫った。

エリアマネジメント団体とは、来年3月に市が主導して設立する予定のまちづくり団体だ。つくばセンタービル1階を改修して新たにつくる「多様な働き方を支援する場」を運営するほか、中心市街地のまちづくりを担うとされる。市は同団体に6000万円を出資する。加えて市所有のアイアイモールと地下駐車場の床の区分所有権の一部を渡し、現物出資することも検討している。

センタービルの改修案は、センタービル1階アイアイモールの一部に多様な働き方を支援する場をつくり、ノバホール西隣のつくばイノベーションプラザなどに吾妻交流センター、市民活動センター、国際交流、消費生活などの機能を集めた市民活動拠点をつくるとされる(6月26日付)。

併せてセンター広場に屋根を掛け、エスカレーターを設置することも検討されている。概算工事費は約13億6000万円。1983年に建設されて以来初の大規模改修工事になる。(6月28日付)。

一般質問では、改修計画自体が市民に周知されていないこと、さらに屋根を掛けることに対し「(つくばセンタービルは建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家の代表作の一つであるなどから)磯崎新氏の思いを壊してしまうことにならないか」(山中氏)との疑問も出された。

一般質問を受け、市がようやく明らかにしたのは、▽エリアマネジメント団体の初期の必要事業費として4~6億円を想定している▽出資額割合や具体的収支は秋ごろには整理する▽次年度以降、市は運営費を負担する予定はない▽同団体の主な事業として、オープンカフェ、不足しているイベントの開催、シェアオフィスやコワーキングスペースの運営、情報発信をする▽市民活動拠点を含め、配置図案を11月ごろ市ホームぺージで公表し、12月ぐらいにオープンハウス等で市民の意見を聞くーなど。肝心の経営収支計画は明らかにされなかった。

市民説明会の予定なし

センタービル1階をなぜ貸しオフィス(シェアオフィスやコワーキングスペース)にするのかについては、山中市議と五十嵐立青市長の間で論戦が交わされた。

五十嵐市長は「つくば駅前にはオフィスが不足している。つくばで生まれた企業が、成長段階でオフィスがないことで他の自治体で移ってしまうことが起きている。市がまちづくり会社のような適切な家賃で場所を提供することが求められている。雇用を生み出すことで市民がわざわざ他県に行かないで、働く場所を生み出す」と強調。エリアマネジメント団体をつくる理由については「なぜ中心市街地が発展してこなかったのか。覚悟をもって本気でまちづくりに取り組むプレーヤーがいなかった。この段階で動き出さなければ、いよいよつくば駅前は人がいなくなる場所になる。今まさにターニングポイント。つくばに雇用を生み出すことを強い危機感をもって取り組んでいる」とした。

これに対し山中氏は「2017年の市民アンケートでオフィスを希望していた人はほとんどいなかった。センタービルはつくば市の一等地にあり市民の財産。オフィスになると一部の市民しか使えない。つくば駅周辺には民間のオフィスがたくさん用意されている。補助金制度を充実させて、民間オフィスを借りた場合、家賃補てんをするなど市が援助することも可能」とし、図書館機能を分散させたり、子供たちが雨の日も遊べる場所をつくるなどを提案。「つくば駅周辺と研究学園駅周辺のすみわけが必要。つくば駅周辺は文化芸術機能が集まっており、センタービルは文化芸術の拠点になる」などと主張、議場での議論は平行線に終わった。

センタービル改修をめぐり論戦が交わされたのは、今のところ山中氏の9月の一般質問、一度きりだ。市民が共に意見を交わし、共にまちをつくる機会となる市民説明会が開催される予定は、現時点で無い。

《続・平熱日記》71 ハトの子と動物園

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【コラム・斉藤裕之】我が家の軒先がよほど居心地がいいのか、山鳩が年中巣を掛けるのだが、先日、エアコンの室外機の下にハトの子がいるのを見つけた。産毛が少しあるが、結構大きい。巣から落ちたのか、羽ばたき損ねたのか。近づくと陰に隠れたので、そのまま放っておいた。

それからしばらくしたある日。突然、動物園に行こうとカミさんが言い出した。休日だからか、子供が小さかったころ以来の千葉の動物園は、多くの家族連れが入場門から長蛇の列をつくっていた。

実は故郷の実家のそばに動物園があって、物心ついたころからよく親に連れていかれた。小学校や中学のスケッチ大会もこの動物園だったが、動物園が主催する絵画展に1人で出かけて行って象の絵を描いていたら、地元のニュースにその映像が流れて驚いたこともある。

大人になってから、「ぞーさん、ぞーさん…」の歌は、この動物園の象をモチーフにして、同郷の偉大な詩人まど・みちおさんが作詞したものだと知った。

「そういえばあのハト、どうしたかしら?」とかみさん。「何か食べているのかなあ」「でも、親が餌を運んで与えるのを見たことないよねえ」。どうやら、ハトは親が吐き戻したものを子供に与えて育てるらしい。

フラミンゴなどが有名で、ハトの仲間がそうした習性を持つことから、その吐き戻したものを「ピジョンミルク」というそうだ。なるほどね。そういえば、そういう名前の哺乳瓶の会社があったなあ。

「わんわんランド」にも行ってみた

早速ググると、こちらの会社は平和の象徴としてハトを使っているとのこと。哺乳瓶といえば、長女は哺乳瓶の吸い口の好みが激しく、当時あれこれ試した結果、「吸い口博物館」のようになってしまった。

結局、ドイツ製のある限られた吸い口を好むことが分かった。それでもちょっとした具合のせいで、同じ製品の中でもさらに好みがあって手間がかかった。次女は全く頓着なくカミさんの母乳を本体ごと見事に吸い尽くした。

さて、カミさんは意外にもペットロスらしく、動物園に行きたかった理由のひとつは、ふれあいコーナーで動物を触りたかったらしいのだが、あいにくコロナ禍で閉まっていた。カミさん、今度は「わんわんランド(犬のレジャーランド)」に行ってみたいと言う。休日の遅い時間にもかかわらず、ここも予想外の人出で驚いた。

故郷の動物園に話は戻るが、私は、象舎の一番左側で餌を手にして柵越しに背を伸ばすと、象の鼻を触れることを知っていた。象の鼻はかたくて優しかった。「触る」ことで、人は気持ちのバランスを保つ。そのバランスは今や大きく傾いている。

また、軒先でハトの鳴き声がする。もしや巣立った子バト、お前なのか? 哺乳類と違って唇や頬を動かす筋肉も表情もないので、ハトの顔は見分けがつかない。カミさんは、あの子バトと思い込んでいるようだ。(画家)

元研究者、酒井泉氏が出馬表明 つくば市長選三つどもえに

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立候補を表明する酒井泉氏=つくば市記者クラブ

【鈴木宏子】任期満了に伴い18日告示、25日投開票で行われるつくば市長選に、新人で元高エネルギー加速器研究機構研究者の酒井泉氏(71)=無所属=が12日記者会見し、立候補を表明した。同市長選にはすでに、現職で2期目を目指す五十嵐立青氏(42)=同=、新人で自動車販売会社などを経営する富島純一氏(37)の2氏が立候補を表明しており、三つどもえの選挙戦になりそうだ。

酒井氏は、現職の五十嵐氏が4年前、総合運動公園用地を買い戻させるため元所有者のUR都市機構と返還交渉を行うと公約に掲げながら、「URに要望しただけで交渉した形跡がない」と情報開示資料を示して指摘し、「言ったことをやらないのは最低最悪」だと批判した。

さらに昨年、五十嵐氏が、同用地を40億円で民間に一括売却しようとした点についても「わずか2カ月の公募で、買い値の66億円より26億円も安いのは極めて不自然な経緯」だと批判。「総合運動公園用地は研究施設用地として大事なところ。あそこがなくなったら、つくばにもう研究機関が立地しない。新しい研究分野のための施設用地として保全し、つくば研究学園都市の将来の発展の可能性を次世代に残すべき」だと主張した。

その上で、①URと再交渉し、総合運動公園用地を元の研究施設用地に戻して66億円を取り戻す②肥大化した部長・次長職を整理し市役所改革を行う③広すぎるつくば市を、地域ごと地区ごとに、議員と市民が政策提案して問題を解決できるようにするーなどを公約に掲げるとした。

総合運動公園用地の返還交渉について具体的には、まず研究所のリーダーを集めてつくばの将来計画をつくり、URによる買い戻しを国に働き掛けたいとした。返還交渉などの公約実現が困難だと分かった場合は、任期途中でも職を辞すと強調した。

酒井氏は同市上境在住。土浦一高、東北大学工学部卒。日立電線研究員を経て、高エネ研准教授、福井大学大学院教授を歴任した。現在、TX沿線開発地区の一つ、中根・金田台地区の地権者らでつくる桜中部まちづくり協議会副会長を務め、緑地と菜園と住宅が一体となった緑農住一体型住宅を提唱などしている。

【アングルつくば市長選】1 次は白紙委任なのか 総合運動公園問題

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旧総合運動公園用地=つくば市大穂

任期満了に伴うつくば市長選が18日告示、25日投開票で行われる。市議選(定数28)との同日選となるなか、市政のかじ取り役に問うべきテーマがいくつか浮かび上がってきた。それらの課題をNEWSつくばのアングルで追った。

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【鈴木宏子】「総合運動公園問題の完全解決」という、五十嵐立青市長の最大の公約が、未解決のまま、改選後の市長と議会に委ねられる。

約66億円で購入された旧総合運動公園用地(同市大穂、高エネ研南側未利用地、約46ヘクタール)を40億円以上で民間に一括売却するという、昨年突然出された方針は、議会が特別委員会を設置して事実上の待ったをかけ、白紙撤回となった。

現時点の市の方針は「議会と話し合って決める」だ。民間に一括売却する選択肢を撤回したなら、では、一部に公共施設をつくり残りを民間に売却するのか、すべてを公的に活用するのか、現時点では有権者に選択肢すら示されていない。

公共施設をつくるとした何をつくるのかー。民意が示される最大の機会である選挙を前に、有権者は、改選後の市長と議会に白紙委任せよということなのだろうか。

売却方針は突然に

4年前の選挙戦は、住民投票の勢いに乗った現職の五十嵐立青氏が、一つの争点に的を絞った「シングルイシュー」といわれる選挙運動を展開し、「総合運動公園問題の完全解決」を最大の公約に掲げ初当選を飾った。

当選直後、1174万円をかけて著名な弁護士に依頼し検証委員会を設置したが、結果は「個人的な動機や、不正の事実は認められなかった」とされ、責任の追及はなされなかった。続いて公約に基づき、元所有者のUR都市機構に返還交渉をしたが、応じてもらえなかった。

その後2年間、庁内や市場のニーズ調査を実施していたが、昨年3月に突然、民間に売却する方針が示された。市は事業者を公募。1社が40億円以上で用地を一括購入し物流倉庫や商業施設などを建設する提案をした。しかしその後の住民説明会で異論が噴出し、市議会はこれを受ける形で特別委員会を設置し、判断は議会に委ねられた。しかし議会も利活用方針を打ち出せないまま改選時期を迎え、結論は改選後に持ち越しとなった。

旧総合運動公園用地をめぐる4年間の動きをどう見るのか。5年前、住民投票に取り組んだ市民団体「総合運動公園建設の是非を住民投票で問う市民の会」共同代表の1人で、筑波大元教授の松本栄次さん(80)は「市長は(返還交渉など)やれる最大のことをやってくれたと思うが、その方向では進まないことがはっきりしたので、民間に売る方向に向いたと思う。が、20億円以上の差額があった」とし「方向転換し、公有地として有効活用する方向もあると思う。例えば、市内に少なくなっている緑を残すような森林公園をつくるなどもある。総合運動公園のような大きなお金を掛けないで、有効な公的な使い方があると思う」と話す。

一方で市は現在、旧総合運動公園用地を候補地の一つとして、陸上競技場建設を検討する審議会を設置し、検討を進めている。

利活用方針について、市民の意見を積極的に聞く機会は、いつ、どのような形で設けられるのだろうか。

共に申請1000件超す つくば・土浦市の新型コロナ特例貸付

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【山口和紀】ことし3月利用条件が大幅に緩和された緊急小口資金貸付制度の申請件数が、8月までの合計で、つくば市1068件、土浦市1398件にのぼった。利用条件緩和は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響を考慮したもので、休業や減収などを理由に一時的な資金が必要な場合等に利用できるようになった。

3月に始まった特例貸付は、4月に入り申請件数が急増した。4月は両市ともに100件超え。5月、そのままの勢いで申請は増加し、6月には高止まりとなった。7月以降は両市ともに減少傾向にあり、4月の申請件数と同水準だ。

申請件数のピークは両市ともに5、6月となった。土浦市の申請件数は5月が398件、6月が429人で、つくば市はそれぞれ339人、334人だった。県内で緊急事態措置による休業要請の本格化は4月中旬、緊急事態宣言の解除は5月下旬だった。人口当たりの申請率は、8月末の段階で土浦市が1%、つくば市が0.5%となった。

一方、生活保護制度の利用は例年同様に推移している。相談件数、申請件数ともに増加のきざしはない。

新型コロナ対策として国が行っている貸付は「緊急小口資金」と「総合支援基金」の2つ。「緊急小口資金」は、20万円を上限として返済期間1年から2年内以内で、無利子で借りることができる。「総合支援基金」は2人以上の世帯は1カ月で最大20万円を、単身の場合は同15万円を、無利子で3カ月借りることができる。最大で6カ月まで延長可能。これらの特例貸付は、9月末までの予定だったが、国は新型コロナの影響が続いていることから12月末までの延長を決めている。

《邑から日本を見る》73 安倍政治を検証する(3) 農業・沖縄に冷たかった!

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【コラム・先﨑千尋】安倍政治は農業、農民にとってどうだったのか。安倍前首相はかつて「美しい日本」という表現を使った。その美しい日本は、自然豊かな風景と農山村、風光明媚(めいび)な海岸線などから形作られている。そこには昔から人が住み、農業、林業、漁業をなりわいとして生きてきた。江戸時代には「百姓は生かさぬように殺さぬように」という言葉があったが、民百姓はその中身はともかく、生きてきた。

今はどうか。ここで細かい数字を挙げることは控えるが、第1次産業といわれる農業、林業、漁業いずれでも、専業で暮らしている人はほんのわずかしかいない。理由は簡単だ。それでメシが食えない、生活できないからだ。それだけではない。山間部では「挙家離村(きょかりそん)」によって集落が消滅しているところも出てきている。

現日本郵政社長の増田寛也氏は、その著『地方消滅』で、864の市町村が消滅すると警鐘を鳴らしているが、田畑、山林が荒れ、イノシシなどが跋扈(ばっこ)し、小さな漁港も消えてしまっている。それを「美しい国」と言うのか。「美しい日本」を維持するために安倍政治は何をしたというのだろうか。自分の故郷を見よ。

安倍前首相は「岩盤規制にドリルで穴を開ける」と豪語した。そして農業つぶし、農協つぶしに走った。国会の議決によってではなく、規制改革推進会議という首相のお仲間の人たちが農業現場の声を無視し、大規模化や生産・流通の自由化、農業への企業参入、農協制度の見直しなどを進めていった。

とどめは、環太平洋経済連携協定(TPP)に反対した全国農協中央会(全中)を解体してしまったことだ。「美しい」という言葉とはまったく逆のことを安倍政治はやってきた。

安倍政権が「岩盤」と言う農村社会は、人々が弥生時代から山野を切り開き、作物を育て、家畜を飼い、自然と共生しながら文化を育み、地域社会を維持してきた。それをズタズタにしたのが安倍政治だ、と私は断罪する。

「地方自治体に抑圧的な政権」

安倍政権は地方の声を拾い上げることもしてこなかった。その典型は沖縄であろう。世界一危険な普天間飛行場を名護市辺野古に移設する計画に対して、沖縄県民は県民投票や相次ぐ国政選挙でノーの声を上げ続けてきた。

しかし、安倍政権は「辺野古が唯一の選択肢。それ以外は国の安全保障に反する」と言うだけで、議論を封殺し、他の選択肢を与えない。すり寄ってくる知事や自治体には予算の大盤振る舞いをし、反対の声を上げ続けた翁長知事には面会すら拒否した。

「丁寧な説明をする。県民に寄り添っていく」と言い続けながら、実行されたことはなかった。「歴代で最も沖縄に冷たい首相。これほど地方自治体に強権的、抑圧的な政権はなかった」と沖縄の識者たちは訴えている。

沖縄、そして日本のために政権がやるべきことは、わが国にとって屈辱的な日米地位協定の改定だ。首都東京上空の制空権はいまだにアメリカが持っている。コロナ患者の米兵がこの国に自由に出入りしている。米兵が犯罪行為をしても、基地内に逃げ込めば、わが国は手出しできない。

お隣の韓国や北朝鮮には強いことを言い続けていながら、武器の爆買いなどでもわかるように、アメリカには先方の言いなり。これで独立国と言えるのか。悲しいことだ。(元瓜連町長)

B2ロボッツ、東京Zを2タテ ホーム連勝17に伸ばす

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試合後、ガッツポーズで観客と喜び合う眞庭城聖=アダストリアみとアリーナ(撮影・高橋浩一)

【池田充雄】男子プロバスケットボールB2リーグの茨城ロボッツは10、11日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで、2020-21シーズンのホーム開幕節、アースフレンズ東京Zとの2連戦に臨んだ。10日は78-67、11日は89-79で2連勝を挙げ、通算成績を2勝2敗のイーブンに戻すとともに、ホームでの連勝を17に伸ばした。

●2020-21 B2リーグ第4戦(11日、アダストリアみとアリーナ)
茨城 81-79 東京Z
茨 城 |23|13|17|28|=81
東京Z|15|27|27|10|=79

最大19点差をひっくり返す

茨城は今季、リチャード・グレスマン新ヘッドコーチ(HC)を迎え、人もボールも動くアップテンポなバスケを構築中。対する東京Zは昨季B2中地区最下位に沈んだが、今季は元日本代表のビッグシューターの岡田優介(土浦日大高出身、元つくばロボッツ)を獲得し、ベテランと若手の融合を目指している。

第2クォーターでドリブル突破する平尾充庸=同

11日の試合、茨城は第1クォーターから好調な立ち上がりを見せた。パスがテンポよく動き、外からと中からの攻撃のバランスも良好。東京Zはスロースタート気味でシュート精度も低く、茨城が大きくリードする。

東京Zは第2クォーター、栗原翼、坂井レオら途中投入の若手選手がアグレッシブなプレーで茨城の守備をかき乱し、引き付けて逆サイドからの3点シュートや、ゴール下に入り込んでのシュートで急激に点差を縮め始める。逆に茨城はパスは回るものの相手を崩しきれず、外からの単発の攻撃でボールを失う場面が増えてくる。残り2分38秒で逆転を許すと、第3クォーターも流れを変えられず、第4クオーター開始直後には19点差をつけられてしまう。

しかし茨城はここからの立て直しが見事だった。しっかりとした守備からアグレッシブに攻めていこうとコート上の5人が意思統一。相手に自由に攻撃をさせず、足を止めることに成功。そこに平尾充庸や中村功平の3点シュートが次々と決まり、厳しい追い上げを見せる。残り3分9秒で平尾のレイアップが決まり試合をひっくり返すと、残り時間も81-79で勝ちきった。

第4クォーターでシュートを決めるマーク・トラソリーニ=同

「19点差のときのタイムアウトでは、チームにポジティブなメッセージを送った。まだ新しいシステムに慣れていない部分があり、落ち着かせたい部分もあった。チームは戦う姿勢だけでなく、しっかりと立ち直る力を見せてくれた」とグレスマンHCは試合を振り返った。

平尾は「去年までは劣勢になるとボールが回らず、個人で戦ってしまっていたが、今日は最後までボールを回しきれた。悪い時間帯もあきらめず全員で戦い、逆転できたことは自信になる」とコメント。今季から主将を務め、最後の追い上げにも中心選手としての自信と責任感がうかがえた。

逆転のもう一人の立役者となった中村は「第4クォーターは頭から出させてもらった。自分は3点シュートが得意なので、流れを変えてこいというメッセージだと感じた。リバウンドも自信があり、思い切ってくらいついていった」と話した。

第4クォーターでドリブル突破する中村功平=同

次節、茨城は17、18日、日立市池の川さくらアリーナで青森ワッツと対戦する。

障害者団体が提案型公開質問状 つくば市長・市議選に向け

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選挙立候補予定者に質問状を渡しに行く「住みよいつくばの会」メンバー

【川端舞】障害者やその家族、支援者などからなる市民団体「障害×提案=住みよいつくばの会」が、今月行われるつくば市長選挙、市議会議員選挙の立候補予定者に公開質問状を渡している。障害とともに生活しているからこそ思いつくアイデアを、各立候補予定者に提案している。

市民のアイデアを市政に

障害者やその周りにいる人は様々な課題を抱えている一方で、障害とともに生活することで、課題解決のためのアイデアも持っている。会の主催者、斉藤新吾さん(45)は「障害ゆえの困りごとを解決してくれるように行政にただ要望するのではなく、市民から課題の解決策を政策提案することで、もう少し住みよいつくばを創造していきたい」と語る。

同会は、障害のある人とその家族がもう少し住みやすく、その友人がもう少し関わりやすく、支援者がもう少し支援しやすくなることを目標に、活動を2018年3月から開始した。昨年の茨城ゆめ国体・ゆめ大会前には、市内のバリアフリーマップの作成や、市内会場まで車椅子等でも行きやすいルートの周知などをつくば市に提案した。

公開質問状は国体終了後、つくば市長選挙、市議会議員選挙に向けて、障害者等が抱えている課題を洗い出し、約1年間かけて話し合いを重ね、作成した。

会のメンバーで、障害のある子をもつ女性は「何かが変わるためには時間がかかるが、多くの人が話し合って作ったこの質問状はつくば市を変えてくれると思う。自分の息子のときには間に合わなくても、少しずつ未来を変えていきたい」と語った。

候補者の回答をホームページで公開

提案は以下の6つ。立候補予定者は賛成するかどうか、実現に向けて積極的に動くかどうかを4択で答える。14日までの回答を求めている。

  1. 重度障害者の社会参加のために支給されている「つくば市障害者福祉タクシー利用券」は、現在使いきれない人が多く、予算が眠っている。車椅子のまま乗車できるタクシーが少なく、タクシー以外の公共交通機関の方が利便性の高い障害者もいる。タクシー券を各種公共交通機関の運賃またはガソリン代に充当できるように選択制にすることで、障害者の社会参加のために予算を有効活用する。
  2. 現在の制度では、障害者は就労時に公的な介助サービスを受けられないため、介助を必要とする障害者は、働く能力があっても就労が難しい。今年度から国の地域生活支援事業の中で始まった「雇用政策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」では、国と県から補助を受けて、市町村が職場等における介助や通勤の支援を行えるようになった。つくば市でもこの事業を実施する。
  3. 手話通訳者は市役所本庁舎にしか設置されておらず、本来は各窓口センターでできる届出なども、手話通訳が必要な聴覚障害者は本庁舎まで行く必要がある。本庁舎と各窓口センターをビデオ通話でつなぎ、各窓口センターからでも手話通訳を受けられるようにする。
  4. 新しい道路や飲食店ができても、新しい段差ができ、車椅子では不便なままになってしまう。今年改正されたバリアフリー法に基づき、障害者を含めたバリアフリーに関する協議会を設置して、バリアフリーの計画を作成する。
  5. どこに福祉避難所を設置するかなど、災害時の障害者や高齢者への支援方法が明確になっていない。災害の危険度が高い地域から個別避難計画の作成を進める。
  6. 通常の学校に通う障害のある子どもの介助等を行う特別支援教育支援員が、宿泊を伴う校外学習にも付き添えるようにする。

各立候補者の回答は、選挙告示日の18日までに会のホームページで公開される予定。任期満了に伴うつくば市長選挙、市議会議員選挙は25日投開票で行われる。

《食う寝る宇宙》71 おうちで「宇宙環境シンポ」に参加

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【コラム・玉置晋】10月7日、JAXAさん主催の「宇宙環境シンポジウム」に参加、講演させていただきました。一昨年は神戸大学が会場で、茨城から新幹線を使った日帰り弾丸ツアーでした。昨年は東京都市大学横浜キャンパスが会場で、自家用車で向かったのですが、首都高で道を間違えて、渋谷駅前から「遅刻しちゃうよ~」と、下道を泣きながら横浜に向かいました。

今年の宇宙環境シンポジウムはオンライン。自宅からパソコンでアクセスして講演を聴講、さらに発表できるのはうれしいことです。上はYシャツを着ていましたが、下はパジャマだったことは、ここだけの内緒です。

ノーベル物理学賞 今年も宇宙分野

今年のノーベル物理学賞は宇宙分野から選出されました。ブラックホールの形成の証明、銀河系中心の巨大ブラックホールの存在を明らかにした、イギリス、ドイツ、アメリカの3研究者が受賞しました。

昨年は宇宙論や太陽系外惑星に関する研究が受賞していますので、2年連続で宇宙分野から選ばれました。ノーベル物理学賞は、宇宙・素粒子分野と物性分野が1年毎に選出されるのが恒例でしたので、驚きました。

オンライン授業か 対面受業か

10月に入り、大学は後期授業が始まりました。僕が所属する茨城大学でも、一部の授業で対面での授業が開始されたようです。「ようです」と、他人事な表現なのは、僕が仕事にかまけて全く登校していないからです。

不真面目な学生のことは置いておいて、学生の皆さんにとって、オンライン授業と対面受業ではどちらが有益なのでしょうか。キャンパスライフを楽しむ、研究室での活動となると、対面に優位性を感じるのですが、授業となると果たしてどうでしょうか。

先生の立場、学生の立場、それぞれから聞いてみたいものです。パジャマじゃ、対面授業には出られないしなあ。僕はオンライン派かな。(宇宙天気防災研究者)

ビッグデータ活用AIコミュニティーバス 関東鉄道、新治地区で「つちうらMaaS」実証実験へ

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関東鉄道バスの「筑波山口」行きなど3路線が運行されている新治地区だが、125号を外れると公共交通の空白地域になってしまう=土浦駅前バスターミナル

【相澤冬樹】公共交通空白地域にAI(人工知能)コミュニティーバスの運行を図る「つちうらMaaS」実証実験で、関東鉄道(土浦市、松上英一郎社長)は、情報サービス事業のAgoop(アグープ、東京・渋谷、柴山和久社長)と契約し、提供されたビッグデータを元に、筑波大学と連携しての分析やルート設定作業に着手した。来年2~3月、土浦・新治地区での実証運行を予定している。

Agoop社はスマホ利用者のGIS(地理情報システム)から人の動きをとらえる独自の「流動人口データ」を扱っている。ナマの動態データが得られることから、住民意向調査など従来型の手法では容易に把握できなかった移動需要の予測ができ、運行ルートの設定やバス停位置の的確な選定などに活用できるという。

関東鉄道が路線決定にビッグデータを用いるのは初めて。提供された1カ月分のデータは早速、筑波大学都市計測実験室(代表・大澤義明教授)に渡され、学生らによって分析・検証が始まった。

土浦・新治地区は同社により3路線が1日30往復ほど運行されているが、いずれも125号(旧道)を走るルート。125号バイパスや県道つくば千代田線側に路線はなく、地元商工会などにより2011年から運行された巡回バスは利用が伸びず早々に廃止された。

AIコミュニティーバスは、公共交通の空白地域と既存路線バスのバス停や商業・医療・教育施設を自動運転で走行させる実験内容を想定している。利用時の決済方法の一つとして顔認証システムやサブスクリプションによるキャッシュレスの導入や、利用登録にマイナンバーカードとの連携を図るなどの試験も検討されている。実施に向けては、路線バス許可も必要になり、道路・交通管理者との協議を進めている。

日本版MaaS(マース、Mobility as a Service)は国土交通省の推進・支援事業で、公募により今年度は全国で38事業が選定された。中心市街地の空洞化と自家用車依存度の高さが課題となっている土浦市では、サイクルツーリズムや超小型モビリティー・コミュニティーバスに、キャッシュレス・AI・自動運転を組み合わせた実証実験を展開する。市や商工会議所、同社はじめ交通事業者などにより7月、つちうらMaaS(土浦市新モビリティサービス)推進協議会が発足している。

【気分爽快 りんりんロード】6 サイクルツーリズムの先駆者 張替幸一さん

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霞ケ浦湖畔を走る張替幸一さん

【伊藤悦子】土浦市の張替幸一さん(63)は「HMBアウトドアクラブ」という社会教育団体の会長として、妻のゆかりさん(57)と、家族向け、初心者向けなど、誰でも参加できるサイクリングイベントを多数企画している。

元公立学校の教員で、現在は土浦市小岩田西にある学習塾「學藝(がくげい)塾」を経営する。

ボーイスカウトの指導者だった経験を生かし、もともと塾の子供たち向けにアウトドア活動を行っていた。サイクリングの楽しさも伝えたいと考え、2004年に第1回「霞ケ浦サイクル&クルーズ」を企画した。

霞ケ浦で遊覧船を運航するラクスマリーナ(土浦市川口)のホワイトアイリス号をチャーターし、土浦から潮来まで自転車を載せてクルーズ、潮来から土浦まで約55キロを自転車で戻るというイベントだ。

以来「サイクリング天国いばらきを走ろう」を合言葉に、「自転車を通して休日を1日丸ごと楽しもう」という理念で、季節ごとにサイクリングイベントを企画している。

サイクル&クルーズは04年から07年まで4年連続実施し、18年に復活、19年に6回目を開催した。6回の参加者は延べ400人に及ぶ。

つくば霞ケ浦りんりんロードを活用したサイクルツーリズムは、17年の自転車活用推進法施行を受け、県が19年に自転車活用推進計画を策定して本格始動したばかり。張替さん夫妻の活動は、県を挙げての取り組みより15年も早く、つくば霞ケ浦地域のサイクルツーリズムの先駆者の1人でもある。

夫妻が目指すのは、みんなが驚いたり感動したりするテーマパークのアトラクションのようなイベント。ファミリー向けの「くるっと霞ケ浦35キロ」、ビギナー対象の「筑波山麓ご朱印ライド」、レンタサイクルで参加できる「つくば土浦カフェランチ自転車散歩」などユニークだ。

会員制ではなく、イベントごとに「この指とまれ」式で参加者を募集をする。すべてのイベントにはサポートカーが同行し、安全にも考慮している。

のんびり走り 楽しさに目覚めた

幸一さんと自転車との出合いは32歳のとき。筑波大学出身のトライアスロン選手から競技用の自転車一式を譲り受けたのがきっかけで、自転車競技に夢中になり練習に打ち込んだ。自分を追い込み、ひたすら霞ケ浦周辺を走った。今思うと「当時はつらかった」と振り返る。

しかし43歳のとき、体調を崩したことをきっかけに、のんびり走る家族向けサイクリングイベントに参加し、楽しさに目覚めた。かつて練習で何度も走った、霞ケ浦周辺の美しさや走りやすさに改めて気づいたという。

ゆかりさんも幸一さんの影響を受けて、クロスバイクに乗り始めた。2002年には30キロを走る東京シティーサイクリングに参加した。

筑波山を望みりんりんロードを走るイベント参加者

サイクリングの魅力をゆかりさんは「初めて会った人同士でも、1本激坂(げきさか=激しい勾配の坂)を一緒に登ると、苦しさのあまり自然に笑顔になり途端に打ち解けてしまうところ」だと話す。

張替さん夫妻にとってりんりんロードの魅力は「ずばり筑波山と霞ケ浦があること」。風光明媚な景観はどこにも負けないと強調する。特に筑波山は、見る方向、見る時間によって表情を変えるところが魅力的だという。

一方で「心配なこともある」と話す。「りんりんロードには街灯がほとんどない。生活道路や通学路として使っている人もいる。安全のためにも街灯を設置してほしい」と訴える。また「トイレが少ないのもサイクリストにとっては不安」だという。

◆HMBアウトドアクラブへの問い合わせは、https://hmb.lets-sports.net/。ツイッターアカウントは、HMBアウトドアクラブ 霞ケ浦 Cycling Team-イベント再開しました-

《茨城鉄道物語》6 「常磐新宿ライン」の可能性

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常磐線普通車両=土浦駅2番線

【コラム・塚本一也】つくばエクスプレス(TX)が開通して、北千住駅での乗り換えが非常に便利になった。橋上のコンコースで、常磐線や東武線と乗り換えが可能となり、地下へ移動すれば、千代田線とも乗り換えができる。これで東京の都心や繁華街をほぼ網羅することになるが、唯一アクセスが改善されなかったのが新宿方面である。

アプリを使って検索すると、幾つかのルートが候補となるが、乗り換えや所要時間を考えると、いずれも決め手に欠けるように思う。

私は拙著の中で、常磐線を、墨田操車場から田端操車場経由で山手貨物の線路を使い、池袋から新宿・渋谷方面へ走らせる「常磐新宿ライン」を提案したことがある。私の提案以前に、常磐線の輸送力増強のために、ある研究機関がその実現可能性を調査したことがある。

当時とは事情がだいぶ変わっており、埼京線や湘南新宿ライン、果ては相鉄線までもが山手貨物を利用して新宿・池袋方面へ直接乗り入れするようになった。現在では、山手貨物のダイヤがきつくなっており、また常磐線も利用者が減少していることから、その必要性を唱える者は私ぐらいであろう。

東京駅の後は新宿へのアクセス

しかし、本来であれば、上野東京ラインで東京駅へ乗り入れを果たした後は、東葛地区や茨城県が構想すべき鉄道網の整備は、新宿へのアクセス改善である。TXが臨海方面へ延伸する計画が取りざたされており、秋葉原から中央線と並行して新宿へ進む可能性はほぼ断たれている。

だが、歴史的に見て、千葉県や埼玉県が東京へのアクセスを計画した時に、どのような施策をとってきたかを考えれば、新宿へのアクセスがいかに重要であったかがわかる。

総武本線は快速が東京駅に乗り入れて横須賀線と直通運転をしている一方、緩行線はお茶の水から中央線へ乗り入れして新宿へ向かっている。京浜東北線が大宮から東京へ向かえば、埼京線は新宿へ向かっている。このように首都圏の鉄道網は、東京への乗り入れを果たした後は、新宿への乗り入れを実行してきたのである。

茨城県は東京への鉄道アクセスに関しては後発である。その間、東京の開発も変化をしてきた。都庁が新宿へ移転した後に、次の開発地域として湾岸地区から臨海地区が注目されている。茨城県には、将来を見据えた戦略的な鉄道の計画が求められている。(一級建築士)