日曜日, 4月 20, 2025
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街の記憶 東京・つくば 《遊民通信》16

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5月19日、1階がオープンする「トナリエ クレオ」=つくば市吾妻、つくば駅前

【コラム・田口哲郎】

前略

「木綿のハンカチーフ」などで知られる作詞家、松本隆さんは2012年に東京から神戸に移住したそうです。当時雑誌記事で読んで、衝撃を受けました。松本さんは生粋の東京人です。生まれ育ちは港区青山、慶應義塾に通い…と、シティ・ボーイの体現者です。のちの渋谷系につながる、いわゆるニューエイジの山手文化を生み出し、けん引してきたことはご存知の通りです。

都心文化を屈託なく表現できる人は、上京者の街でもある東京にはそれほど多くいません。その松本さんが東京を離れたことは、一個人が地方に引っ越したという事実以上の何かがあるに違いないと思わせられました。東京がかつての東京では無くなったという旨の発言をされていました。

コロナ前の東京は色々限界だったのかもしれません。諸々(もろもろ)が集中・蓄積しキャパシティ・オーバーとなり、はち切れる寸前でした。そんな東京をコロナ禍が襲いました。東京は破裂せず、しぼみ始めました。今後も東京は東京として続くでしょう。でも、かつての東京はもう戻ってこないでしょう。

恐らく、かつての東京、例えば第2次大戦前の東京は戦後の東京とは全く違う東京でした。戦前の東京を戦後に語ったところで、それはノスタルジーに過ぎないわけですが、街の記憶は人をなんとも言えない感覚に誘います。沈みゆく東京は、これから無数の記憶の華に飾られるでしょう。

つくばに陽は昇る

では、つくばはどうでしょうか? つくばの記憶…。つくばの記憶は、特に1985年のエキスポ以後、東京の栄華とは逆の衰退のものでしかありません。かつて、つくばセンター前の西武百貨店には高級スーパー・マーケットのザ・ガーデン自由が丘が入っていました。高級スーパーがあることが、その街の東京度を測る基準となります。例えば、六本木や横浜の青葉台には、明治屋ストアがあり、港区の魚藍坂には大丸ピーコックがありました。

昔のつくばは、茨城屈指の東京っぽい街でした。外国人が多い国際性は、さらに東京の港区っぽくもありました。でも、その西武が撤退し、官舎が取り壊され、つくばの中心から人がいなくなりました。東京圏に飲み込まれるにしては、遠い距離感がつくばを苦しめました。一極集中の歯止めが効かず、東京は巨大竜巻のように周辺の街の栄華を吸い取りました。つくばエクスプレス(TX)は格好のストローになりました。

しかし、コロナ禍によって、東京に向いていた流れがつくばに向かって流れています。つくばには東京と真逆のことが起きるでしょう。沈没する大都会を眺めながら、常に陽の当たる街は静かにそのエネルギーを回復すると思います。

新しい繁栄はこれまでの栄華とは違うことは確かです。人と物資を集中させることしかしてこなかった人類が、初めて分散をも目論(もくろん)んでいます。群れることなく楽しむ術は、類まれなる田園学研都市つくばの市民が得意とするところでしょう。

ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

「大規模事業評価行わないのは違法」 18人が住民監査請求 つくばセンタービル改修で

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監査請求書を市監査委員事務局職員に提出する代理人の坂本博之弁護士(左)と請求人代表の酒井泉さん(中央)=12日、つくば市役所

つくば市が取り組んでいる総事業費約10億3800万円のつくばセンタービルリニューアル事業について、10億円以上の事業は大規模事業評価を行うと市の要綱で定められているにも関わらず、事業評価の手続きが踏まれていないのは違法だなどとして、元大学教授の酒井泉さん(72)ら市民18人が12日、市監査委員(高橋博之代表監査委員)に対し、すでに支出された約7000万円の返還請求と未支出額の支出差し止めを求めて住民監査請求をした。

同要綱は、住民投票で白紙撤回となった市総合運動公園事業を教訓に、五十嵐立青市長が2018年9月に定めた。10億円以上の大規模事業と市長が必要と認める事業を実施する際には、評価会議を設置し、事業の必要性や妥当性などの評価を行うことなどが定められている。

監査請求によると、同リニューアル事業は10億円を超えるのだから「同要綱の対象であることは明らかであるが、市はこの要綱に従った評価を全く行っていない」としている。

一方、大規模事業評価をめぐっては、今年3月議会で、飯岡宏之氏(自民党政清クラブ)と山中真弓氏(共産)が一般質問し、それぞれ大規模事業評価を実施するようただしたが、市は、約10億3800万円のうち、まちづくり会社「つくばまちなかデザイン」への市の出資金6000万円はリニューアル事業の事業費ではないなどとし、10億円を超えないのだから大規模事業評価を実施しないとした。

監査請求した酒井さんは「議会で質問した議員がいたが、数の力で無視された。議会が道理を通すことができなくても、市民は道理を通すということをはっきりさせたい」と話した。

監査請求ではほかに、まちづくり会社は市が出資する第3セクターであるにもかかわらず、総務省が2014年に出した「第3セクターの経営健全化指針」に基づく検討を行っておらず、市の出資金6000万円の支出は公金支出のための必要な手続きを欠いており違法だと指摘している。

さらに、つくばセンタービルの中の市所有施設は公の施設なのに、市が一部をまちづくり会社に賃貸し、さらに同社が個々の企業に賃貸の事業所として貸し出すのは、公の施設としての利用を拒否することになり地方自治法に違反する、リニューアルの基本設計策定をプロポーザル方式で随意契約したのは市契約規則に違反するーなどと主張している。

その上で、すでに支払われたリニューアル事業の基本計画策定費用とまちづくり会社への出資金計約7000万円について、市は五十嵐市長などに損害賠償請求または返還請求を行うべきで、いまだ支出されていない金額は支出を差し止めるべきだなどとしている。

監査結果は60日以内に出される。(鈴木宏子)

ほうきの力で「魔女のフェスタ」 29日 旧筑波小に集結

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魔女とほうきのイメージ=旧筑波小教室で撮影

つくば市国松の旧筑波小学校を会場に、29日開催する「魔女のフェスタ」の準備作業が佳境を迎えている。2018年以来3年間、人の手が入らずにいた校舎を利活用する廃校リノベーション企画。フェスタ実行委員会(いしざき緑子代表)は校長室や各教室の大掃除から始め、ほうきの力で学校ばかりか地域社会にも魔法をかけた。

29日は校庭に飲食店のキッチンカーやテントが並び、3階建ての校舎全体に占いや癒し療法、手づくり品、子供向け工作教室のワークショップなどが展開する。10日現在、その数は95店になった。10代から80代の「魔女」が集結する。

いしざきさんは昨年、学校近くの国松地区の古民家に移住して、アロマテラピーの教室「魔女の学校」を開設(2月17日付)。誕生日が4月30日で、ドイツの魔女祭り、ヴァルプルギスの夜にちなむ「世界魔女デー」であることから、自身「魔女」と称して活動を行ってきた。2019年4月には石岡市内で「魔女のフェスタ」を催したことがあり、旧筑波小でも開催を計画した。

「地区に子供たちがいないわけではないのに、放課後や休日に声がしない。校庭に集まって遊ぶ様子がない」のを残念に思ったためだ。

音楽教室のいしざきさん=旧筑波小

校長室アーカイブス

旧筑波小は、2018年開校の秀峰筑波義務教育学校(つくば市北条)に統合された旧筑波町9小中学校のうちの1つ、筑波山の男体山麓にある。1975年建設の地上3階建て校舎は、耐震構造で上下水道も整ったまま残された。

同市教育総務課によれば、閉校後はグラウンドの手入れ程度の管理しか行っておらず、設備の点検もしていないため、イベント等への貸し出しには原則応じていなかった。学校跡地の利活用については市の公有地利活用推進課が窓口となり、譲渡先などを探しているが、これまで動きはない。

地元区長・区会の協力を条件に、市が貸し出しに応じたことから、いしざきさんは地元の同意を取り付け、フェスタ実行委員会を結成。4月末は農繁期となるのに配慮して、開催期日を1カ月ずらした。石岡開催時の仲間や「魔女の学校」スタッフらの参加で、今年に入って開催準備を本格化させた。

2月、真っ先に行ったのは教室や職員室など校舎内の大掃除だ。徹底した掃除から始める古民家再生の手法を取り入れた。出店者のグループごとに教室を割り振って、窓を拭き、床を磨き上げる掃除は、毎週土曜・日曜ごとに行われた。

戦前の撮影も含め大量に出てきた記念写真=旧筑波小

すると、ホコリに埋まった校長室はまさにアーカイブス(記録保存所)だった。卒業生を毎年撮影した記念写真や古写真、給食用の食器、卒業記念に学校に贈られたはく製などが次々現れた。これらは一教室分そっくり当てて、資料展示することにした。

卒業生らが黒板に描き残したチョーク絵は、大切に残した。再び日の目を見られるよう手を付けなかった。

卒業生の描き起こしたチョーク画はそのままに=旧筑波小

交流と活性化の魔法

こうした動きに地元も応じた。卒業生の経営する設備業者がトイレの改修を買って出て、1階の水洗トイレをきちんと使えるようにした。学校に隣接する住宅にあいさつに行くと、自作の化粧品を販売したいと逆に出店を申し込まれたりした。開催日に備えた駐車場も学校周辺に大量に確保できたという。

地元出身のシンガーソングライターの参加で、新たに「魔女の学校」の校歌も制作、CDにして販売することにした。グランドピアノのある3階音楽室では、コンサートのほか「バーカウンターを設けてジャズ演奏も楽しめるよう保健所の許可もとった」(いしざきさん)そうだ。

「これをやりたいと思ったら、自分に魔法をかけて立ち上がることで皆に喜んでもらえるものになっていく。少子化だ、過疎化だと言われ続けた国松地区にも交流によって活性化が訪れるはず」と語る。魔女フェスタは1日限りだが、秋にはハロウィン企画の構想も練っており、さらに魔法をかけ続ける構えだ。(相澤冬樹)

◆魔女のフェスタ 5月29日午前10時から午後5時、旧つくば市立筑波小学校。マスク着用での来場を呼び掛けている。「魔女の学校」ホームページはこちら、「魔女のフェスタ2021」Facebookはこちら

対象拡大も利用は1件 つくば市障害者向け発電機購入補助、道半ば

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人工呼吸器を使用する根本希美子さんの息子(根本さん提供)

人工呼吸器を使用している障害者を対象に、つくば市が2019年4月から開始した停電時のための家庭用発電機購入補助制度について、昨年4月に利用条件が緩和されたにもかかわらず、実際の利用はいまだに1件にとどまっていることが分かった。

市の購入補助制度は当初、人工呼吸器を常時使用する障害者を対象に、停電時も医療的ケアができるよう、家庭用発電機の購入を最大10万円補助するものだった。しかし対象者は人工呼吸器を24時間、常時使っている人に限られた。夜間のみ使用する場合など「医療機器の電源確保が必要なのに、発電機の購入補助を利用できない」という声が多く寄せられた。そのため、20年4月に市は、補助の対象を1日1回以上人使用する者に広げた。

補助制度のもとになったのは、医療的ケア児の親の会「かけはしねっと」(根本希美子代表)が2018年に市議会に提出した請願だ。同会は当初から、できるだけ幅広い人が補助の対象になることを望んでいた。実際に補助制度が始まってからも、対象を広げるように市に働き掛けた。「補助の対象が広がったのは一歩前進だが、人工呼吸器に限らず痰(たん)吸引機など電源が必要な医療機器を使用している人なら対象になるように、もう少し対象を広げてもらえるとさらに良い」と、同会代表の根本さん(43)は話す。

制度の周知も課題

市障害福祉課によれば、新しく補助の対象が拡大してから補助制度の利用相談が複数あり、支給に向けて準備を進めているケースもあるという。しかし5月6日時点で実際に支給が決定されたのは、対象拡大前の1件のみ。補助の対象を拡大したことについて、市ホームページに掲載されている制度要綱を更新したり、障害者手帳取得時に窓口で説明しているが、幅広い周知が課題だ。

「昨年から市ホームページも新型コロナに関する情報があふれていて、4月に補助の対象が拡大されたことの周知が十分ではなかったと感じる。必要な家庭に情報が届いていないかもしれない」と根本さんは心配する。

市障害福祉課の担当者は「今年3月に新しく医療的ケア児のための相談窓口ができたため、発電機の購入補助の相談も増えるだろう」と期待する。(川端舞)

➡家庭用発電機購入補助に関する過去記事はこちら

私も経験した介護離職 《ハチドリ暮らし》1

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介護のため栃木県の実家に帰り、畑の手入れをする筆者(左下の写真)
山口京子さん

【コラム・山口京子】コロナ禍で生活や家計が一変した人が多いのでは! 自分もその1人として感じたことを伝えたい。

昨年5月、コロナの影響で、両親が通っていたデイサービスが一時閉鎖。介護のために栃木県の実家に帰り、一緒に生活することになった。仕事の方は、初めのうちは介護休暇や有給休暇を取り、それがなくなると欠勤扱いにしてもらった。自宅と実家を往復する生活が半年。結果的に、復帰の見通しが立たずに退職した。現在、父は施設に入所、母はデイサービスに通っている。

調べてみると、全国の65歳以上の人口は3600万人を超え、要支援・要介護認定者は約670万人。働きながら介護をしている人は約350万人。介護を理由に仕事を辞める人が年間で10万人弱。国は介護と仕事の両立支援のために制度を作ったが、まだまだ周知されていない。また、使い勝手の点で課題が多いことを当事者となって分かった。

結果的に退職となった場合、例えば、50歳で年収600万円の人が介護離職した場合、その後の収入の損失は1億円近くになるだろう。辞めた後は、厚生年金ではなく国民年金加入者となり、65歳から受け取れる年金額も下がってしまう。介護が終わって再就職したいと願っても、正社員として働くことは非常に難しいのが現実だ。

人生後半の生活設計が狂う

人生後半のライフプランが大きく狂ってしまうのが、介護離職だ。介護に直面した場合、1人で悩みを抱えずに、いろいろな相談機関に出向いてほしい。勤務先にもその旨を伝え、働き続けたいという意思を示したうえで話し合ってほしい。

問題解決には、最新の情報を入手し、どんな制度を利用できるのか知ること。そして、介護される人が親であれば、親の年金や資産についても確認すること。親のお金でやりくりできるのか、どんな介護の方法があるのか―などについて、専門家を交えて決めたい。

私は現在、1人暮らしをする母の様子を見るために月3回ほど帰省する。病院通い、銀行通い、買い物、行政から届く書類の確認、農家だった家の周りの掃除、草取り、野菜作り…。春になると自然は足早に進み、忙しくなる。母に指示されて、庭の一角に作った畑を耕し、種をまく。(消費生活アドバイザー)

【やまぐち きょうこ】2020年まで、いばらきコープ生活協同組合の「くらしの電話相談ダイヤル」相談員を15年務める。また組合員を対象にした「くらしの講座」講師として、生活設計、家計管理、年金、相続、遺言、終活、保険見直しなどのセミナーを企画。現在「社会保険労務士 やまと事務所」所属。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、消費生活アドバイザー。1958年、栃木県生まれ。龍ケ崎市在住。

土浦の子育てをアプリでフルサポート 「つちまるKids」導入

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記者会見をする安藤真理子市長=10日、土浦市役所

土浦市、安藤真理子市長の定例会見が10日、同市役所で開かれた。安藤市長は、スマートフォンを活用した子育てアプリ「つちまるKids(キッズ)」を同日から導入すると発表した。

携帯電話向けモバイルコンテンツ配信会社、エムティーアイ(東京都新宿区)が開発、運営している母子手帳アプリ「母子モ(ボシモ)」を土浦市版として提供する。

市に住む子育て中の両親を妊娠中からサポートする。市の子育て支援施設や公園などでのイベント情報、補助金や子育て支援制度、災害時の緊急情報など育児に必要な情報を配信する。

妊婦や赤ちゃんの体重を自動でグラフ化することもでき、変化に応じ医師監修のメッセージが表示される。子どもの誕生日に応じた予防注射のスケジュールを自動調整し、接種日をプッシュ機能で知らせる。

妊娠中の思い出や赤ちゃんの成長記録、記念日などの写真もコメント付きで保存できる。離れて暮らす祖父母らと共有も可能だ。

既存の母子手帳を、アプリの機能を利用して補完するもので、県内市町村で導入するのは13番目。利用料金は無料。

日本語のほかに、英語、中国語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ロシア語、ネパール語の12言語に対応している。

初の土浦現代美術作家展を開催

会見ではほかに「土浦現代美術作家展」が6月3日から、市民ギャラリー(同市大和町)で開催されると発表があった。1947年に始まった県内で最も歴史のある市民公募展「土浦市美術展」で奨励賞を3回以上授与され、鑑査なしで同展に出品できるなど、市内外で活躍している作家ら81名による初めての展覧会となる。

会期は2期に分けられる。第1会期は6月3~13日で、日本画、美術工芸、書が42点、第2会期は6月17~27日で、洋画、彫刻、写真が43点展示される。(伊藤 悦子)

災害時に備え保管も 医療的ケア児相談窓口を開設 つくば市

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医療的ケア児者に特化した災害時対応ガイドブック

つくば市は「医療的ケア児等相談窓口」を今年3月開設した。人工呼吸器や痰(たん)吸引など医療的ケアが日常的に必要な子どもと家族を対象に、生活する上で受けられる公的サービスの紹介や、就園・就学の際に必要な支援をスムーズに受けられるように相談に応じる。

相談窓口を一元化

つくば市に住む18歳未満の医療的ケア児は、市が把握しているだけで36人。今まで医療的ケア児について相談したいときは、医療の相談は病院や保健センター、福祉サービスの相談は障害福祉課など、相談窓口が分かれていた。今回、新しく相談窓口が開設されたことで、窓口を一元化することができ、ここに相談すれば、医療機関や保育園、福祉サービスなどにつながることができるようになった。

新しい相談窓口について、市内の医療的ケア児の親の会「かけはしねっと」代表の根本希美子さん(43)は「医療的ケアが必要な子どもでも、身体的機能の障害は軽い場合もあり、制度の枠で考えるとどこに相談すればいいか迷う家庭もある。医療的ケア児に特化した相談窓口はありがたい」と話す。

災害時に自宅や避難所にお届け

相談窓口では、痰吸引に必要なチューブや胃ろう等の経管用栄養剤など医療的ケア用品を、1家庭に付き約1日分、市役所で事前に預かり、災害時に自宅や避難所まで可能な限り届ける事業も開始した。災害時に備えて消耗品の予備を保管している家庭も多いが、家庭と市役所で分散して保管することで、外出先で災害に遭った場合にも医療的ケア用品を入手しやすくなる。

また、医療的ケア児者に特化した災害時対応ガイドブック・ノートを作成し、相談窓口やホームページで配布している。ガイドブックには一般的な防災知識のほか、停電時の電源確保の方法など、災害時も医療的ケアを続けるために必要な情報を掲載している。ノートには普段の医療的ケアの情報を書き込めるようになっていて、初めて本人に接する医療者でもノートを見れば対応できる。

5月6日時点で、具体的な相談を受け付けたケースはまだないが、2家族が医療的ケア用品を預けに来て、災害時対応ガイドブック等を受け取った。相談の受付は原則18歳以下の子どもと家族が対象だが、医療的ケア用品保管事業と災害時対応ガイドブック等は、医療的ケアの必要な成人も利用できる。

「かけはしねっと」の根本さんも、息子の医療的ケア用品を市役所に預けた。「息子は決まった時間に胃ろうから栄養注入をする必要があるが、災害発生時にデイサービスなど家族と離れた場所にいた場合、すぐに息子がいる場所に駆け付けられるか分からない。市役所からも必要な用品を届けてもらうことができるのは安心」と根本さんは話す。(川端舞)

➡医療的ケアに関する過去記事はこちら(2020年3月10日付

ほんとうに海に流してしまっていいのですか 《邑から日本を見る》87

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エネルギーの地産地消を目指す飯舘電力

【コラム・先﨑千尋】表題を福島県いわき市で発行されている「日々の新聞」4月30日号から借用した。同紙はこの号で「汚染水の海洋放出」を特集しており、12ページの紙面のうち実に11ページを使っている。発行者の安竜昌弘さんはいわき市で地方紙の記者をしていたが、そのあり方に疑問を持ち、2003年に「日々の新聞」を創刊した。現在は大越章子記者と2人で紙面をつくっている。

タブーのない、個の思いが詰まった新聞づくりをしていて、毎号届くのが楽しみだ。紙面の下には「海洋放出反対の理由」、「放射能汚染水で海を汚さないで」など、他の新聞にはほとんど見ることのない意見広告も載っている。

同紙は1面で「ほんとうに海に流してしまっていいのですか」と読者に問いかけ、2面で「海洋放出の反対はいささかも変わらない」と主張。これまでの経過をたどり、トリチウムなどを含む汚染水の説明、いわき市漁協の江川章組合長ら4人の話を載せている。

このほか、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さんの「トリチウムの海洋放出は人間の遺伝子組み換えによる殺人行為」という寄稿文があり、『被曝インフォデミック』という西尾さんの本を紹介している。

それによると、「トリチウムは原発から近いほど濃度が高く、生態系の食物連鎖の過程で生物濃縮する。トリチウムは人のDNAを構成している塩基の化学構造式まで変えてしまう。(これは)人間の遺伝子組み換えを行っていること。処理コストが安いからといって海洋放出することは、人類に対する緩慢な殺人行為」と警告している。

これらを受けて、安竜さんは最後に「一番は、海に流される液体の正体をきちんと知ることだ。これで引き下がっていいのか。他人事ではない」と訴えている。

国は水俣病の経験をなぜ活かせないのか

生体濃縮の怖さを指摘したのは水俣病患者たちだ。東京電力福島第1原発の処理水を海に流す政府の方針に対し、熊本、新潟両県の水俣病患者9団体などでつくる「水俣病被害者・支援者連絡会」は4月19日に反対声明を発表した。水銀を含む工場排水の海や川への放出が水俣病の原因になったことを踏まえ、国と東電は「同じ過ちを繰り返そうとしている」と抗議し、国に白紙撤回を求める要請書を提出した。

声明では、政府が放射性物質のトリチウムを含む水を希釈して海洋放出する方針を示していることについて、「希釈しても(トリチウムの)総量が減るわけではない。(食物連鎖によって濃縮する)生体濃縮でメチル水銀が人体に影響を及ぼした事実を私たちは水俣で経験した。(トリチウムなどの)人体への影響が明確になっていない段階での放出は許されない」と訴えた。

トリチウム汚染水をどれだけ薄めても、総量は変わらないという水俣病患者たちの指摘に注目したい。

水俣病はチッソ水俣工場が海へ流した工場排水に含まれるメチル水銀によって引き起こされた。1956年に公式に水俣病の発生が確認されたが、チッソは「八代海への排出に伴い、水銀は海中で希釈される」と主張していた。65年には昭和電工鹿瀬工場(新潟県)の廃水を原因とする新潟水俣病も確認されている。国は水俣病の経験をどうして活かせないのか。(元瓜連町長)

ロボッツ、B1昇格へ王手 プレーオフで佐賀に連勝

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第1Q、トラソリーニのシュートが決まる(撮影/高橋浩一)

男子プロバスケットボールB2リーグのプレーオフ準々決勝、東地区2位の茨城ロボッツは、西地区3位の佐賀バルーナーズと、ホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で対戦。8日の第1戦は101-93、9日の第2戦は86-79で連勝し、準決勝へ勝ち進んだ。いよいよあと2勝で、悲願のB1昇格が決まる。

2020-21 B2リーグプレーオフ準々決勝(9日、アダストリアみとアリーナ)
茨城 86-79 佐賀
茨 城 |21|14|26|25|=86
佐 賀 |16|16|17|30|=79

第4Q、得点に喜ぶ茨城ベンチの遥天翼ら(同)

前日のハイスコアゲームから一転、互いに厳しい守備が光る緊迫した展開。茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)は「今日は相手を80点以下に抑え、リバウンドでは13本も上回ることができた。良いディフェンスができた証拠であり、ここまでできれば間違いなく勝てる」と自信を見せた。

先発メンバーの中でも特にアブドゥーラ・クウソーと鶴巻啓太が素晴らしい守備でインパクトをもたらし、また短い時間で次々と選手が入れ替わりながら、各人がそれぞれにチームにエネルギーを与え、序盤からゲームの流れを引き寄せることに成功した。「レギュラーシーズンよりも、より相手とのマッチアップを考えながら起用した。多くの選手を起用することには難しさもあるが、個々の能力の素晴らしさと層の厚さは、他のチームにない我々の強みだと思う」とグレスマンHC。

第2Q、平尾が相手陣内に切り込む(同)

第1クオーター(Q)で茨城は早くも7点差をつけたが、負けたら後がない佐賀もしつこく食い下がる。フリースローや3点シュートなどで次第に差を詰められ、第2Q後半から第3Qにかけては競り合う展開。特に厳しかったのがガルシアの体を張ったインサイドアタックで、これにディフェンスファウルを取られてバスケットカウントを許してしまう。

その後茨城は、同様な場面をクリーンな対応でしのげるようになり、第3Q終盤には福澤晃平と小林大祐の3点シュートを含む4連続得点で一気に点差を12まで広げる。第4Qには佐賀の激しい追い上げに遭うが、点差を縮めるには至らず、茨城が勝利を手にした。主な個人スコアはマーク・トラソリーニの25得点10リバウンド、福澤と平尾充庸の18得点、小寺ハミルトンゲイリーの13リバウンドなど。

第2Q、福澤が相手DFと渡り合う(同)

準決勝はホームで仙台と

次の準決勝戦、相手はワイルドカードから西地区1位の西宮ストークスを倒して勝ち上がった仙台89ersと決まった。このため日程は15日から、会場は再びアダストリアみとアリーナ。平尾主将は「仙台はリバウンドが強く、中を起点に外のシュートもあるバランスのとれたチーム。相手のビッグマンに簡単にボールを持たせないよう細かいところを大事にしていきたい」と警戒しながら、「お客さんがいい空気を作ってくれるので、後は自分たちが勝つだけ。皆さんの記憶に残るゲームにしたい」と、ホームでの昇格を全力で勝ち取ることを誓った。(池田充雄)

コーヒーのこと 《続・平熱日記》85

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【コラム・斉藤裕之】母は当時では珍しく料理学校に通っていて、先生の「お免状」のようなものを持っていた。覚えているのは地方テレビの料理番組に出演したことだ。何を作ったのかは覚えていないが、幼かった私は出来上がったものを食べて、カメラに向かって「おいしい」と言う役であった記憶がある。祖母をはじめ親戚のおばちゃんがおめかしして放送局にはせ参じていたのも覚えている。

そんな母が作る高校生の時の弁当の話。なぜか私の卵焼きは茶色い。腐っているのか? いや味は悪くない。不思議に思いながら、それほど気にもしなかった。しかしある時、謎は解けた。母が卵焼きを作るときに使う、砂糖の缶に入っているスプーン。そのスプーンの先には茶色いものが…。

その正体は、なんとインスタントコーヒー。おそらく母は同じスプーンでコーヒーも砂糖もすくってマゼマゼしていたせいで、卵焼きがコーヒー色に染まっていたというわけだ。なんともずぼらな母に、その時は腹も立ったが、後にはある意味での母のおおらかさとして思い出に残る逸話となった。

それから、一番長くやったアルバイトはコーヒー屋さん。20歳そこそこのころ、所は新宿。予備校に近いという理由だった。場所柄、今風に言えばジェンダーレスなお兄さんやお姉さんも常連で、時代に先駆けてダイバーシティを学ばせていただいた? そういえば、当時常連のお客さんにプロレス関係のお偉いさんがいて、やたら誘われたのを思い出した。

「サイトウコーヒー」は20周年

そして、火曜日の朝出かけるのは「サイトウコーヒー」。よく親戚ですかと聞かれるが、親戚以上に付き合いのある他人だ。

奥から2つ目のカウンターに座る。そうすると、ミルクのちょっと入ったコーヒーが出てきて、それをすすっていると、おなじみさんがひとり、ふたりとカウンターに。話しかけるときもあればそうでないときもある。このお店がこの5月で20周年を迎えるという。

ギャラリーを併設したカフェを始めると聞いて、「文化はカフェで生まれるんだよ」なんて、当時フランス帰りの私としては、サンジェルマン・デ・プレのカフェに集った文化人の話でもしたような気がするが…。

男気あふれるマスターは信頼厚く、こだわりの自家焙煎珈琲屋としてはもちろん、牛久の文化発信基地として知る人ぞ知る店となった。かくいう私も、「平熱日記展」をはじめ、仲間とTシャツ展を開かせてもらったり、ここはいろんな人や作品と出会って刺激を受ける場となった。

というわけで、風薫る吉日にささやかな記念イベントを催したいと言うので、記念の手ぬぐいを作ってさしあげた。いろいろ考えたが、カッパたちが遊園地のコーヒーカップに乗って楽しんでいる絵を描いた。それから、ずいぶんと久しぶりになるが、買ったばかりの軽トラにヘーベル窯を積んで、お店の駐車場でピザを焼いてあげることにした。

なにせ、ここの娘が「一番おいしいピザ!」と言ってくれるそうだから、焼きに行くしかあんめえ。(画家)

自然死の介護体験 《くずかごの唄》85

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】わが家の愛犬「ミミ」、外へ行きたくなると鎖を引きちぎって脱走する。散歩が大好きで、朝早く、ワンワンほえて散歩の催促をする。平成15年(2003)3月3日生まれの雌の野犬。18歳(人間にすると100歳に近い)なのに、昨年末まですこぶる元気がよかった。

今年の1月半ば、後ろ足がおかしくなって歩けなってしまったが、前足をひっかいて結構移動する。歩けなくなって一番困るのがウンチとオシッコ。それまでは犬の紙おむつというものが世の中に存在するのさえ知らなかった。ペットショップコーナーへ行ってみて驚いた。尻尾の大きさによって大中小の穴の開いた紙おむつが、たくさん並んでいる。

庭の犬小屋は寒いので家の中に連れてくる。おむつがぬれたり、ウンチがついたりすると気持ちが悪いらしく、ほえるのですぐわかる。鎖をやめても、2メートルくらい前足で移動してしまう。元の位置に戻すと怒る。

よく食べるのに体は骨と皮。肉がほとんどない。肉がないのに移動するせいか、褥瘡(じょくそう)が方々にできてしまった。中には化膿(かのう)した褥瘡もあり、よく洗って拭いて、抗生物質の軟こう、亜鉛華軟こうなど、いろいろ塗ってみる。人間と違って、犬は毛が生えているので、膿(うみ)を拭き取ったりするのに人間より時間がかかる。3月末に褥瘡は8か所になってしまった。

愛犬ミミちゃんありがとう

食べ物もペット用の介護食。固体、半固体、流動食、いろいろな種類のものが売っている。材料も鶏肉入り、豚肉いり、チーズ入りなどと凝ったものもある。値段もかなり高価だ。

犬は鼻がいい。その日食べたくなる餌の好みの匂いが問題だ。何種類も買ってきて用意し、その日食べてくれるものを口に押し込む。歯は健在でかむ力は最後までかなり強かったので、食べさせながら自分の手の指を何回もかまれてしまった。立てなくなってからは水が飲めないので、水は注射ポンプの太いもので口の中に入れてあげる。

4月。目も真っ白。白内障でほとんど見えなくなってしまった。「ミミちゃん」呼ぶと反応したのに、反応しなくなる。4月末、ほえなくなる。5月2日、とうとうご臨終を迎える。私の腕の中で、満足そうな顔をしながら少しずつ冷たくなっていくミミちゃん。

自然死というものはどういうものか。介護体験をしながら、いろいろ考えさせられた。「ミミちゃんありがとう」。(随筆家、薬剤師)

水面に浮かぶシャクヤク8000輪 つくば牡丹園 会期後半のハイライトへ

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花が水面を埋めた昨年のシャクヤク池=つくば牡丹園提供

花季がボタンからシャクヤクに移った「つくば牡丹園」(つくば市若栗、関浩一園長)に8日、ファン待望のシャクヤク池がお目見えする。6万平方メートルを超す敷地にボタン、シャクヤク合わせて約800種、6万株を栽培する同園、今シーズンは4月17日オープンし、5月23日まで開園している。

花季のほぼ1カ月間だけ開園する会期中、後半のハイライトとなるのが、水面に約8000輪のシャクヤクを浮かべる企画だ。8、9日を皮切りに、15、16日、22、23日の毎週末行われる。

花は、稲敷市のシャクヤク農家で育てられたもので、市場への出荷時期を過ぎた分を譲り受けている。市場へは通常、つぼみの状態で出荷されるが、咲いてしまった分は翌年に備えて花摘みを行う。その作業を牡丹園スタッフが手伝い、園に持ち帰って企画に用いる。

池には竹で組んだかごに花を盛って花いかだを作り、全部で15かごほどを池に流し浮かべる。2018年に3000輪ほどで試行的に行い、翌年は5000輪と数を増やし、昨年は1万輪にまで数を増やした。

コロナ禍に見舞われた昨季は特に4月中、全国的な緊急事態宣言が発出されたことから例年の3割ほどに客足がダウンした。それでもシャクヤク池を待望するファンたちが足を運んでくれたことで、「後半の持ち直しを支えた」(関園長)という。

赤、白、黄の花々に彩られた園内(7日撮影)

7日には夕刻、シャクヤクが届き、閉園前に花いかだを組む予定で、雨模様にも関わらず入園のシーズンパスを持つ常連客らが顔をのぞかせた。筑西市の櫻井郁夫さん(65)は「今シーズンはまだ7回しか来ていない。来るたびに同じ場所でも雰囲気が変わるのがだいご味だ」という。

同園の大人入園料は1000円だが、シーズンパスは1800円(ともに税込み)で何回でも利用できる。「昨年の利用は99人だったが、今年は200人を超えた」と関園長。熱心なファンが世界最大級というボタン、シャクヤクの庭園を支える。(相澤冬樹)

問い合わせ電話029-876-3660(つくば牡丹園)ホームページはこちら

トランポリンで宇宙へ 《食う寝る宇宙》85

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【コラム・玉置晋】仕事から帰ってくると、6畳の僕の作業部屋兼寝室に、直径1メートル、高さ20センチメートルくらいのトランポリンが置いてありました。寝る場所がないぞ。

「最近さ、運動不足だからヨガでも習いに行こう」と、ウチの奥さんに提案されたのが3月上旬。行きつけの床屋でその話をしたところ、マスターから、「ヨガ教室は女性ばかりなので、そこに男性が入っていくのはなかなか勇気がいるよ」と妙な圧を受けて、おじけづいた僕。

奥さんに「いや、女性ばかりのところにおっさんが入っていくのは、ちょっと」と抵抗してみたものの、奥さんに「大丈夫、大丈夫」と押し返されて、市のヨガ教室に応募したのが3月下旬。しかし、コロナ禍のせいか、4月上旬、生徒が集まらず中止になりましたと通知があり、少しほっとしていました。

そしたら奥さん、次の手を打って、トランポリンがやってきたというわけです。インターネットで調べてみると、トランポリン・ダイエットがはやっているらしく、きっかけは、どうやら、NASA(米航空宇宙局)が宇宙飛行士の訓練にトランポリンを取り入れたことのようです。

トランポリン・ダイエットの成果は?

トランポリンと宇宙の関わりといえば、2014年、ウクライナ情勢が悪化した時のこと。米国がロシアへのハイテク製品の輸出禁止措置を強化した際に、ロシアの副首相が「我が国の宇宙産業に対する制裁の影響を検討した結果、トランポリンを使って宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送ることを米国に提案する」と言いました。

当時、米国のスペースシャトルは退役していて、ISSに宇宙飛行士を送る手段がありませんでした。宇宙であれ医療であれ、自国に技術とそれを運用する基盤がなければ世界では弱い立場になります。

その後、2020年に米国のスペースX社が宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを成功させた際には、スペースXのイーロン・マスク氏はジム・ブライデンスタインNASA局長(当時)との記者会見で、「トランポリンがうまくいった」と、トランポリンがネタとして使われています。

トランポリン・ダイエットの成果は如何ほどか? 半年後の僕の姿で立証できるでしょう。そうそう、市のヨガ教室は秋に再び募集をかけるそうです。こちらも注目です。(宇宙天気防災研究者)

市立学校教員が新型コロナ つくば市

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つくば市役所

つくば市は6日、市立学校教員1人が新型コロナウイルスに感染したことが分かったと発表した。

市教育局学び推進課によると、学校でのこの教員との濃厚接触者はいないという。

この教員は大型連休が始まった4月29日から出勤しておらず、学校は休校措置などは実施しないとしている。

つなぐ打撃で常総学院、春制覇 高校野球県大会

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1回裏1死一・二塁、田邊が左前へ先制の二塁打を放つ(撮影/池田充雄)

第73回春季関東地区高等学校野球茨城県大会の決勝が6日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で開催。常総学院が18-6と常磐大を圧倒して優勝した。島田直也監督にとって、初のタイトル獲得となった。

常総学院は1回、4番・田邊広大の中前適時打を皮切りに、打者13人の猛攻で8点を先制し、上々の立ち上がり。2回表には先発・秋本璃空が4被安打と2四球で4点を失うがダブルプレーで切り抜け、その裏には9番・中村蒼の中越え三塁打で2点を加えた。

2回表、1死満塁のピンチをダブルプレーで切り抜ける(撮影/高橋浩一)

「先制して気を抜いてしまうのがうちの悪いところ。点差があっても関係ない、つないでいこうと活を入れた」と島田監督。秋本は選抜大会の反省から制球に磨きをかけたが、この日は体調の不安もありストレートが決まらない。3、4回は変化球主体の投球で打たせて取り、5回途中から2番手の石川大翔にマウンドを引き継いだ。

「緊張したが、マウンドに立てば信頼する先輩が守ってくれる。しっかりと腕を振って自分のピッチングを心掛けた」と石川は4回を投げて無失点。マスクをかぶる田邊は「淡々と投げて動じない、メンタルの強さを出してくれた」と評した。

5回途中から登板した常総学院2番手の石川(撮影/池田充雄)

5回裏の常総学院は、中村の2点適時打などで4点を追加。7回には三輪拓未のソロ本塁打、8回にも3連打で3点を加え、順調に相手を突き放した。「1番・鹿田優や2番・田中隼人ら、入れ替えた選手が仕事をし、チームを勢いづけてくれた。今大会は田邊と三輪の2本のホームランが出たが、これもつなぐ意識の延長。打力・体力の向上の表れだと思う」と島田監督。

この日3安打の鹿田は「中軸につなぐために強いゴロを意識したのが良かった。1番は思い切って打てるし足も使えるのでやりやすい。関東大会では守備から入り、ヒットでつないでチームに貢献したい」と次に意識を向けた。

優勝旗と共に集合写真(撮影/高橋浩一)

決勝進出の両校は15日から山梨県で開幕する関東大会へ出場。常総学院の初戦は16日、富士吉田市の富士北麓公園野球場で群馬2位の東農大二と対戦する。秋本は「夏につなげるためにも関東は勝ちたい。東農大二は自分たちが勝てなかった健大高崎に勝ったチーム。簡単ではないがそこを倒し、流れに乗って優勝したい」と決意を語った。(池田充雄)

共用し交流する仕事・勉強の部屋 6月1日、つくばにオープン

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ROOMSの玄関に立つ滝波さん=滝波さん提供

利用者間の交流を重視した共用の仕事・勉強の空間、コワーキングスペース「ROOMS(ルームス)」が6月1日、つくば市苅間にオープンする。サービスを立ち上げるのは筑波大学大学院1年の滝波俊平さんと、つくば市で民泊を営む神脇和宜さん(つくば市在住)の2人。経営母体は同所で生活支援サービスを行っている東医ケアーセンターで、他にプライベート個室のレンタルサービスも行い、社会人のテレワークや学生のオンライン授業にかかわる需要の取り込みを狙う。

サービス着想のきっかけは、新型コロナの感染拡大だった。昨年、感染対策による自粛が始まるなか、家で過ごす時間が大きく増えた。滝波さんは「家にいる時間がとても多くなり、隣の部屋の騒音などが気になり始め、過ごしづらいと感じるようになった」。そこで、当時住んでいたアパートから引っ越すことを決めた。そして、引っ越した先が筑波大学近くにある民泊施設の春日ハウス(つくば市春日)だった。

そこで滝波さんはオーナーの神脇さんと出会った。春日ハウスで暮らす中で、滝波さんは孤独に陥りがちなコロナ禍における「共同空間の必要性」についての認識を神脇さんと共有し、意気投合した。その後、神脇さんから「ちょうど空いている物件があるから、そこでレンタルスペースを始めてみたい」と持ち掛けられ、今回のサービス立ち上げへとつながった。

学生なら1時間200円

サービス名の「ROOMS」は、英語で部屋を意味するroomの複数形だ。コワーキングスペースやレンタル個室は、神脇さんが所有する一軒家を改装する形で作っているが、「ROOMS」というサービス名はそこから来ている。「一軒家の『部屋』をそれぞれコワーキングスペースにしたり、プライベート個室として貸し出したりする。そういう意味では『部屋』の集合体としてROOMSがあるというイメージ」と滝波さんは話す。

レンタルスペース内の様子。市の中心街に近いが田園風景が広がるのどかな場所だ=滝波さん提供

コワーキングスペースは全8席で、1時間の利用につき学生が200円、一般が250円。Webカメラやサブモニターの貸し出しも行い、テレワークやオンライン授業の需要を取り込む。プライベート個室は1時間の利用につき400円で、より静かな環境でテレワークなどを行いたいユーザーの利用を見込む。(料金は税込み)

「今後はコワーキングスペースやプライベート個室だけではなく、ボードゲームカフェや育児をしながらテレワークをできるスペースなどの設置も検討している。空いている『部屋』がまだあるので、それらを有効活用していく。ぜひ多くの人に足を運んでほしい」と滝波さんは語る。

◆正式なオープンは6月1日だが、今月17日からプレオープンを行う。詳しくは「ROOMS」のホームページ公式ツイッター、電話: 029-856-4155。

憲法記念日に思ったこと 《つくば法律日記》16

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堀越さんの事務所があるつくばセンタービル

【コラム・堀越智也】コロナ禍という非常事態の下では、どちらかと言えば、憲法に関する議論は活発でなくなってしまうようです。なぜなら、憲法は国家権力を抑制するためにつくられたものですが、非常事態では、国家権力の発動により事態の解決を期待する方向にベクトルが向きやすいからです。

もちろん、菅首相がコメントしていたように、非常事態では憲法による国家権力への抑制を緩める議論は、コロナ禍で活発になります。しかし、せっかくの憲法記念日なので、コロナ禍であるために脇に置かれてしまった憲法の問題をゆっくりと思い起こす時間にしなければと思って過ごしました。

例えば、仮に楽観的に考えて、ワクチン効果が手伝って、コロナがある程度落ち着いたとすると、憲法に関する問題は山積みのはずです。

安倍前首相は、結局実現しなかったものの、憲法改正を積極的に進めようとしました。憲法改正には、国会の議決に加え、国民投票という厳しい要件があるので、簡単にはいかないにしても、油断しているうちに改正されてしまうのではないかと、心配になった時期もありました。

対中関係で9条の議論が再燃

米国の大統領にバイデン氏が就き、米中関係の影響を受けて、憲法9条の議論が再燃する可能性が大いにあります。現在のアジアでの中国の軍力と米国の軍力を比較すると、圧倒的に中国が勝っています。米国が日本に、今以上のことを求めてくることを想定しなければなりません。

これまで、憲法9条ないし自衛隊の活動範囲の問題は、中東やカンボジアなど、日本の国境から離れた地域の問題をめぐって議論されていましたが、お隣の中国との関係をめぐって議論がなされるとなると、それなりの恐怖感があります。

かつては巨大なマスメディアが君臨し、国民1人1人の政治的意見は届けにくかったのが、インターネットによりSNSの利用が広がり、国民が政治的意見を表現しやすい世の中になりました。その結果、国家権力の表現の自由に対する規制のモチベーションが高くなることに注意しなければなりません。

一方で、SNSを利用して誹謗(ひぼう)中傷される少数者を守るには、国民の表現の自由を一歩後退させざるを得ません。

コロナ禍であるがために、脇に置かれていた憲法問題を挙げればきりがなく、どれも重要な問題です。立ち止まって考える時間を与えてくれる憲法記念日の意義を、改めて痛感する令和3年の5月連休でした。(弁護士)

生き残りへ 弁当配達部門を新設 中国家庭料理「百香亭」つくば

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出来上がったワンコイン弁当を配達する準備をする統括マネジャーの許さん=百香亭筑波大学店

中国家庭料理の店として長年つくば市民に親しまれている百香亭(ひゃっこうてい、本店・つくば市東平塚)が4月、社内にデリバリー部門を新設し、本店と筑波大学店(同市天久保)の2店で弁当の配達に力を入れている。

統括マネジャーの許徳生さんによると、コロナ禍で昨年は売り上げが8店舗全体で半分に落ちた。特に筑波大生の利用が多く広い宴会場がある筑波大学店2階の宴会場は、昨年4月の緊急事態宣言以来、一度も使われていない。大学近くの「千草華味(せんこうはなび)」は昨年10月に閉店を余儀なくされた。

現在売り上げは回復しつつあるが、まだコロナ前の7割ほどにとどまっているという。新サービスのデリバリーを強化し、生き残りを図りたい狙いがある。

これまではチラシを配布し電話で注文を受けていたが、デリバリー部門を新設した4月からは、LINEやインターネットなどからも注文を受けられるようにした。専用の配達車も用意し、特に500円のワンコイン弁当などをPRしている。

弁当を積み筑波大学店を出発する配達専用車=同

弁当の注文は現在、1日平均50食ほど。市内の研究機関や病院、事務所などから注文がくるようになった。

許統括マネジャーは「コロナ禍が1年を超え、デリバリー部門をつくった。外出を控えている年配の人たちも多いと思うので、つくば市民たちにおいしい中国料理を届けたい」と話す。

百香亭は、医食同源をコンセプトに、本場、中国の料理人がつくる家庭料理の店として20年以上、つくば市民に親しまれている。つくば本店、筑波大学店のほか、牛久、龍ケ崎、守谷、千葉県野田、成田市に計7店舗を構える。

◆500円(消費税込み)のワンコイン弁当は、揚げ豚肩ロースチャーハン弁当、鶏マヨチャーハン弁当、エビチリチャーハン弁当など10種類ある。つくば市内の事業所のほか一般家庭にも配達する。詳しくは電話029-858-4360(百香亭筑波大学店)またはホームページへ。

本当のこと、美しいもの 《ことばのおはなし》33

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【コラム・山口絹記】少し迷ったが、今回は本当のことについて書こうと思う。我ながら、思わせぶりな書き出しだ。何かについての本当のことを語るのではない。「本当のこと」そのものついて話してみよう。

多くの人々が共通の事物に関して本当のことを知りたいと思うとき、というのが、この世界では時折訪れる。多くの人々が求めるということは、すなわちその答えに需要があるということであり、需要があるということは価値があるということだ。

これが一般的な工業製品などであれば、製造には限界があり、対象の製品が品切れや生産中止になれば価値はうなぎのぼりになったりする。

しかし、本当のことは工場で作れるものではない。ざっくり言ってしまえば、私にもあなたにも、いくらでも作ることができる「ことば」だ。規格すら存在しない。需要があり、気軽に作れるからこそ、本当のことは氾濫する。

本当のこととはなんだろうか? 真実、事実、正しい解説、正確な情報? いくらでも言い換えはできるが、この手のことばを目にしたり聞いたときには、私は一歩引いてみることにしている。なぜなら、本当のこと、だとか、真実などというものは、世の中にたくさんあるからだ。求める人が多ければ多いほど、真実が一つになる可能性は低くなる。

私にとっての本当が、あなたにとっての本当であることもあるかもしれないが、そうでないことのほうが多い。この100年ぽっちの歴史を振り返って見ても、多くの人々が信じる本当が、時がたつにつれて当人たちにとっての本当ではなくなってしまったことなど、いくらでもある。

養われる審美眼が必要

つまるところ、本当のことというのは、自分にとって都合がよいことであり、いくらでも存在し、変容するからだろう。別に批判するつもりはない、そういうものなのだから。それでも、よく目にしたり、多くの人々が本当のことを大きな声で語っているときは注意しなければならないと感じている。

ならば、どうしたらいいのか、と言われてしまうかもしれない。ほら、どうしたらいいのかという問いに対する答えもまた、「本当のこと」だ。ここで私が何かしらの答えを提示してしまったら、それはまたひとつ、この世に本当のことを作ってしまうだろう。とはいえ、答えなどない、と投げ出すのも無責任なので、ここはひとつ、私のやり方を紹介しよう。

それは、「美しいものを探す」ことだ。本当でも、正しいでもなく、美しいもの。美しいと感じるものは自分で決めなければならない。美しいものを感じるためには、審美眼が必要だ。そして、審美眼というのは養われるものなのだ。それは、知識や経験、疑い調べ学び続ける意思に裏打ちされた直観だ。

そして、見つけた美しいものは、自分だけの大切なものとして胸の内にとどめておくことも、穏やかに日々を過ごすためのちょっとしたコツなのだ。(言語研究者)

つくば市などに時短営業再要請 6日から感染拡大市町村に追加

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの感染が拡大しているとして大井川和彦知事は3日、つくば市など5市町を感染拡大市町村に追加指定した。つくば市内すべての飲食店に再び時短営業が要請される。期間は6日から19日まで。

つくば市の4月27日から5月3日までの人口1万人当たりの新規感染者数は1.66人と、前の週より増加し、国の指標でステージ3相当となった。感染者数の急増や医療提供体制への大きな支障を避けるための対策が必要な段階だ。

一方、3日時点の県全体の感染状況や病床稼働率は、4月末と比べ少し改善している。大井川知事は、大型連休に入って検査数自体が減っており、連休明けに大きな変化が起きる可能性があるとし、「警戒の手を緩めないでいきたい」と強調した。

4月29日にすでに感染拡大市町村に指定された土浦市の人口1万人当たりの新規感染者数は1.16人で、指定時と比べ改善している。土浦市の指定は12日まで。

感染拡大市町村に対しては、飲食店の午後8時から午前5時までの営業自粛のほか、イベントは収容人数を50%以下とし最大でも5000人とする、不要不急の外出を自粛する、家族以外との会食はいつも一緒にいる4人までとする、テレワークや時差出勤を積極活用するーなどが要請される。時短営業に対する協力金として売上高に応じて、1店舗1日当たり2万5000円から7万5000円が支給される。

県内の感染拡大市町村(6日時点で17市町村になる)

▽4月22日指定の6市町
 水戸市、古河市、大洗町→5月12日まで1週間延長
 かすみがうら市、阿見町、城里町→6日以降解除

▽4月29日指定の9市町村、期間は5月12日まで
 土浦市、石岡市、下妻市、常総市、潮来市、守谷市、筑西市、茨城町、五霞町

▽5月6日指定の5市町村、期間は5月19日まで
 つくば市、結城市、龍ケ崎市、八千代町、利根町