日曜日, 5月 19, 2024
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「被爆ピアノ」コンサート 8月9日つくばで【戦後77年】

77年前に広島で被爆した「被爆ピアノ」のコンサート&映画上映会「未来への伝言 つくば~平和へのいのりwith被爆ピアノ」が8月9日、つくば市吾妻のノバホールで開かれる。桜川市出身の声優で、朗読企画会社「ヴォイスケ」(東京都練馬区)代表の飯島晶子さんが主催する。飯島さんがつくばで被爆ピアノコンサートを開くのは2012年以来、10年ぶり2回目。 被爆者からピアノを託され、全国各地でコンサート活動をしている広島市の調律師、矢川光則さん(70)が、4トントラックでつくばに被ばくピアノを運んでくる。爆心地に近い民家で被爆したアップライトピアノという。 矢川さんは、1998年に被爆者からピアノを託されたのをきっかけに、2001年から全国各地でコンサート活動をしている。現在7台の被爆ピアノを保存しており、託された当時は、ガラスが突き刺さった跡があったり、ピアノのすき間からガラスの破片が出てきたり、原爆の爆風や熱線で倒壊し崩れた家の土塀の赤土が出てきたピアノもあった。音色は1台1台異なるが「古いピアノなので、奥行きのある音がする」と矢川さんはいう。 「私自身、被爆2世だが、平和の問題に無関心で、ピアノを託されたことをきっかけに目覚めた。戦争体験者がどんどんいなくなっている中、被爆ピアノの音色を聞いて、平和に思いをはせ、平和の尊さ、命のいとおしさを感じ取っていただければ」と矢川さんは話す。 「朗読したい」 コンサートを主催する飯島さんは2005年、友人のジャズピアニスト、西郷正昭さんから「私を弾いてー広島被爆ピアノ物語」と題した自作の詩を受け取ったことがきっかけで被爆ピアノの存在を知った。戦争をくぐりぬけた被爆ピアノが調律師の矢川さんと出合い、再び音楽を奏でるまでをつづった詩だ。 「私を弾いてください。私の体に刻まれた運命と歴史と様々な思いをその指先であなた自身が確かめてください」「私の鍵盤で平和の音楽を奏でてください」など、つづられていた。飯島さんは詩を読み、「朗読する者として、皆に聞いてもらいたい」と思ったと振り返る。 以来、飯島さんは毎年、都内のほか全国各地で、被爆ピアノの朗読会やコンサートを開催し続けている。県内では土浦、水戸、牛久などでこれまで5回のコンサートを開いてきた。 飯島さんは「去年、牛久で被爆ピアノコンサートを開いたが、コロナ禍でピアノを広島県外に移動させることができなかった。今年はノバホールで開催できる。毎年続けることが大事だと思う」とし、「8月9日は長崎に原爆が落とされた日。戦争をくぐりぬけたピアノがあることをいろいろな人に知ってもらい、戦争や平和について考えるきっかけにしてもらえたら」と話す。 8月9日は午後1時30分開演。第1部はコンサートで、ピアニストで聖徳大学音楽学部講師の浅井寛子さんが被ばくピアノを演奏し、飯島さんが被ばくピアノの詩を朗読する。ほかに、つくば市在住のビオラ奏者、脇田優子さんらが、広島、長崎とウクライナへの祈りを込めて、六重奏を演奏する。さらに調律師の矢川さんが被ばくピアノについて話す。第2部は、矢川さんの活動を映画にした佐野史郎主演の「おかあさんの被爆ピアノ」を上映する。(鈴木宏子) ◆「未来への伝言」は8月9日(火)午後1時30分から、つくば市吾妻1-10-1、ノバホールで。入場料は一般2000円、学生1000円。全席自由。チケットはノバホール(電話029-851-5881)またはカンフェティチケットセンター(電話0120-240-540、セブンイレブンで購入可)などで販売している。

つくば市長リコール運動、11日スタート 市民団体 旧総合運動公園用地の売却問う

つくば市大穂、旧総合運動公園用地(高エネ研南側未利用地、46ヘクタール)を一括売却する相手先として、つくば市が、外資系物流不動産会社「グッドマンジャパン」を候補者に選定した(6月21日付)のを受けて、民間売却に反対する市民団体「つくば市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)は8日記者会見し、五十嵐立青つくば市長のリコール(解職)を求める署名活動を11日から開始すると発表した。同市で市長のリコール運動が実施されるのは初めて。 署名を集める期間は8月10日までの1カ月間。同市の有権者数は19万3972人(6月21日現在)で、リコールが成立するには有権者数の3分の1以上の6万4658人以上の署名が必要になる。 リコール運動実施は、酒井代表が市選挙管理委員会(南文男委員長)に届け出た。市選管は6月30日付で告示した。市選管によると、選挙期間中はリコールの署名活動ができないため、参院選終了後の7月11日からの開始となるという。 「2年に一度、市長選と市議選を交互に」など3点 同会によるとリコール運動の目的は、①旧総合運動公園の売却を止めさせて、同用地を市民の公共の福祉と国益を守るために活用する②市長の解職によって、市長と与党議員の一体化が進む4年に一度の市長・市議選同一選挙を改め、2年に一度、民主主義の原則に基づき、市長選と市議選を交互に実施する③市民一人当たり年間8万円という、市民の税負担に見合った仕事をする市役所に改革するーの3点。 酒井代表(73)は「将来の発展のために必要な公共用地(旧総合運動公園用地)を売って、データセンターや物流基地にすることに、とても黙っているわけにはいかない。止める方法はリコールしかない」と話し、同会の大須賀鬨雄さんは「売却は、将来の種もみを食ってしまうことに等しい」、亀山大二郎さんは「つくば市は研究学園都市なのだから、国が研究機関の用地として取得した土地を、市が外国企業に売ることはやってはいけない」と語る。 11日のリコール署名開始を前に、同会は10日、ちらしを新聞折り込みで配布するという。11日からは、実際に署名集めをする受任者が、署名用紙を地区ごとに各戸に配布する。署名は受任者が対面で確認し、さらに封筒に入れて封印して、同会事務所に届ける。酒井さんは、11日以降も受任者を増やしたいとしている。 一方、8月10日の期限までに、署名数が有権者数の3分の1に達しなかった場合は、署名を選管に提出せず、署名用紙が入った封筒の封を切らずに裁断または焼却処分するとしている。 酒井さんは「やれることは全部やったので、後は、市民が問題意識をもってくれるかどうか。市民のほんの少しの勇気でつくば市は大きく変わると思う」と話している。 旧総合運動公園用地をめぐっては、売却候補者のグッドマンジャパンの購入金額が約110億3000万円であること、同市は8月22日までに同社と土地売買契約を締結する予定であることなどが6月21日に発表された。(鈴木宏子) ◆つくば市長リコール住民投票の会のホームページはこちら

ウクライナ避難学生50人受け入れへ 筑波大

447人が申請 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は23日の定例会見で、ウクライナからの避難学生を50人程度受け入れると発表した。国立大学としては全国で最大規模の受け入れになるという。第1期として20人を選考し、7月中旬以降、来日する予定だ。 ロシアの侵攻により、学ぶ場や研究する場を失ったウクライナの学生や大学院生、卒業生などを対象に、4月中旬から、筑波大のホームページなどで募集した。6月22日までに計447人の申請があったという。 第1期として、5月6日までに申請者があった83人を対象にオンライン面接などを実施し、勉強したい内容が筑波大が実施する授業や研究と一致するかや、英語や日本語の語学力があるかなどを選考し、20人の受け入れを決めた。 20人はウクライナの11の大学の学生で、現在、ウクライナ国内のほか、国外に避難している学生もいるという。 筑波大では受け入れ学生に、渡航費用上限15万円を支給するほか、学生宿舎を無償貸与し、月額5万円の生活費を支援する。入学金や授業料は免除し、日本語学習プログラムを提供したり、心のケアなどカウンセリングも実施する。 受け入れ期間は来年3月末までだが、ウクライナの情勢によっては延長も検討している。 ただし特別聴講学生として受け入れるため、筑波大での学位の取得は難しいという。 7月に来日する20人はこれからビザの取得手続きなどをする。ウクライナ政府は18歳から60歳の男性の出国を原則認めていないことから、太田圭副学長は、男子学生8人のうち出国できない学生もあるかもしれないとしている。 残り30人程度の受け入れについてもなるべく早く選考し、秋学期が始まる10月までには授業を受けられるようにしたいとしている。 筑波大には現在、ウクライナの留学生が5人在籍している。留学生には、避難学生を支援するスタッフとして協力を依頼したいとしている。 日本財団が実施している「ウクライナ避難民支援」に、渡航費や生活費の支援申請をするほか、学生宿舎がいっぱいになってしまった場合は、県やつくば市とも住まいの支援について連携したいとしている。さらに避難学生支援のための基金を設置し、学内、学外から寄付を募りたいとしている。(鈴木宏子)

外資系物流会社に110億円で一括売却へ つくば市 旧総合運動公園用地

つくば市が民間に一括売却する手続きを進めている旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)について、市は21日、候補者選定委員会を18日に開催した結果、売却候補者を外資系物流不動産会社「グッドマンジャパン」(東京都千代田区、グレゴリー・グッドマン社長)に決定したと発表した。 市の発表によると、データセンター、物流施設、防災拠点施設、アメニティ施設などを建設する計画という。 売却金額は約110億3000万円。市が最低売却価格としていた約68億5000万円(利子を含む購入金額)と比べ約42億円高い金額となる。 市が売却先事業者から賃りる予定の防災備蓄倉庫(2400~2600平方メートル)は、無料で20年間借りる契約を結ぶ。市が示していた条件は年間賃料4000万円以内だった。 グッドマンジャパンはオーストラリアの総合不動産会社グッドマングループの物流施設開発・管理会社で、近隣では常総市の圏央道インターチェンジ周辺、千葉県印西市などで大型物流拠点を開発している。 市公有地利活用推進課によると、一括売却の公募には、同社のほか、NTTグローバルデータセンター、つくばDC合同会社、フジタの計4社が参加した。 18日、選定委員会で順位を付け、7人の委員の評価点合計が最も高い601点(700点満点)を付けたグッドマンジャパンが選定された。次点は562点だった。 グッドマンとは8月22日までに諸条件を整理した上で、土地売買契約を締結する予定。 今後について同課は、非公開としている候補者選定委員会の会議概要や選定委員の氏名を今後1カ月以内に公表するほか、グッドマンの詳細な事業計画については8月下旬ごろまでに公表するとしている。 購入代金は契約締結日から30日以内にすべて支払うことが必要で、代金支払い終了と同時に所有権が売却先に移転する。平行して市は都市計画の変更手続きを行う。 「何を考えているのかと感じる」 同用地は2014年、市開発公社がUR都市機構から約66億円で購入した。15年、住民投票の結果を受けて市原健一前市長が総合運動公園計画を白紙撤回した。 今回、売却候補が決まったことについて、15年に住民投票を実現させた市民団体「総合運動公園建設の是非を住民投票で問うつくば市民の会」共同代表の一人で、元研究者の山本千秋さん(81)は「物流基地にすると聞きびっくりしている。あの土地は元々、農家の人たちが研究機関の用地として提供した。つくば市が研究学園都市と名がついている以上は、今(土地を使いたいという)研究機関の需要がないとしても、将来にわたりどうしたらいいのかという視点をもってほしかった。つくば市は何を考えているのか、と感じる」と話している。 市民グループは市長リコールを準備 一方、民間事業者への転売に反対する市民グループ「つくばのまちづくりを考える会」(酒井泉代表)は、市長リコール(解職請求)運動を実施するとするチラシを20日、新聞に折り込み、準備を進めている。 同会は旧総合運動公園用地を、研究施設用地や、自然の森、陸上競技場など市民のための公共用地として利用すべきだなどと主張し、7月11日から8月10日まで市長リコールを請求する署名を集めるとしている。リコール請求は有権者の3分の1以上の署名が必要になる。(鈴木宏子) 【追加 21日午後3時50分】市民の反応(小見出し「何を考えているのかと感じる」の部分)を追加しました。

市民の集いに市長、県議、市議ら集結 「つくばに県立高校を」テーマに意見交換

つくば市に県立高校の新設や既存校の定員増などを求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)の第3回市民のつどいが19日、つくば市内で開かれた。市民のほか、五十嵐立青市長、つくば市区選出の県議5人全員と、市議のほぼ半数が勢ぞろいし、これまでの取り組みを報告したり、意見交換などをした。 人口が急増するつくば市で、県立高校が少ないため、中学卒業者の6人に1人しか市内の県立高校に通えない実情となっていること、県が新たに中学卒業者数の推移を推計し直した結果、2030年のつくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総市)の中学校卒業者数が、2022年と比べ800人増加する見込みであることが今年3月の県議会で新たに明らかになったことなどを受けて開催された。 800人増、不足さらに深刻 片岡代表は「県は2019年2月の県立高校改革プランで、つくばエリアの中学卒業者が440人増えると推計し、2026年までに2クラス(80人)増を計画し、つくば工科高校を来年4月から2クラス増とするが、(800人増加するにもかかわらず)2クラス増だけでは、エリア外に進学する中学卒業者がますます増え、県立高校の不足はさらに深刻になる」と指摘した。 さらに、つくば市内に県立高校が少ないないため、隣接市の県立高校に通うことになり、土浦市や牛久市などの中学卒業者にも大きな影響を与えていることを数字を示し明らかにした。 「県の英断を待つ」 県県南地区PTA連絡協議会の樋口弓子さんは「東京から移住してきた時はつくばに高校がないと考えたこともなかった。並木高校が中等教育学校になり、上郷高校が統合されて2校がなくなった。(転居してきた)新しい人たちは、つくば市に希望がないと思ったらすぐに離れる」などと話し、五十嵐市長に「市立高校をつくったらいかがか」と提案した。 五十嵐市長は「県には正しい数字をもとに推計してほしいとお願いしていた。県はつくば市が出した数字に基づいて(800人増えるという新しい推計を)出してくれた」とした上で、市立高校の新設要望について「市内で小中学校を5校建設中。中根金田台でも1校つくる。6校で300億円からの事業となる。市の予算は1000億円、県の予算は市と比較にならない。(県の)英断を待つしかないと思っている」などと話し、市立高校新設は困難だと退けた。一方、市役所に県立高校問題の担当者を置いたことを説明し「総務部のエースを担当にした。皆さんとコミュニケーションをとりながらできるだけ(県に)働き掛けをしていきたい」などとした。 つくば市区選出の星田弘司、田村けい子、鈴木将、山中たい子、塚本一也県議もそれぞれ、これまでの取り組みや意見を話した。「県からはTX沿線に県立高校を新たにつくるという答弁はなく、つくばエリアの中学卒業者は増えるが、周りのエリアは減る、という言い方をしている」(山中県議)など、県の現在の対応を問題視する報告もあった。 参加した市民からは「土浦一高の生徒の5割がつくば市からきており、地元の人が入れなくなっている。周辺部の県議と危機感を共有してほしい」などの意見が出た。 同会は昨年5月に第1回市民のつどいを開催し、昨年のつくば市議会9月議会に、市内に県立高校を早急に設置することなどを求める請願を出した。全会一致で採択され、10月に知事に意見書が出された。今年3月の県議会では2人の県議がつくば市の県立高校不足問題をただした。さらに市に対し、県立高校問題の担当係や部署を設置するよう要望し、実現させた。 片岡代表は「市民の集いで出た意見をもとに、県に新たに要望書を出していきたい」などと話している。(鈴木宏子)

洞峰公園工事予定地に絶滅恐れの希少種 つくばの市民団体、県に保全要望

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)のリニューアル問題で、市民団体「地域参加型の洞峰公園整備計画を求める会」(木下潔代表)は17日までに、県などに対し、希少な動植物を保全するよう求める要望書を提出した。県は民間事業者に委託して、洞峰公園整備運営事業としてリニューアルする計画を立てているが、同会は、公園内の工事予定地などで絶滅の恐れがある希少種が確認されたなどとしている。 同会は、公園管理者と地域の利用者が話し合う「協議会」を設置するよう、県などに要望しており=5月13日付=、今回、新たな要望書の提出となった。 木下代表(61)によると、13日、元ミュージアムパーク茨城県自然博物館主席学芸員の小幡和男さんと現地調査したところ、公園南側の駐車場拡張予定地の樹林地内で、県が準絶滅危惧種に指定しているラン科の多年草、キンランとギンランが確認された。 ほかに公園全体では、日本野鳥の会茨城県や、同会メンバーの観察などにより、絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されている希少な野鳥が、トモエガモ、カイツブリ、ハチクマ、オオタカ、オシドリなど13種類、植物がキンラン、ギンランを含め4種類確認されているとしている。 県の希少野生動植物保護指針によると、希少野生動植物の生息の可能性がある場合、開発事業者は、調査を実施する必要があると定められている。さらに開発による影響を把握し、保護方針を決めて保護対策を実施し、対策の効果を検証しなければならないとされている。 これに対し県都市整備課は「要望書を受け取ったばかりなので、コメントできない」としている。今回、公園のリニューアルを実施するに当たり、動植物の調査はこれまで実施されていない。 一番最初に行う工事 洞峰公園のリニューアルは、県からパークPFI(公園設置管理制度)事業者の委託を受けた「洞峰わくわく創造グループ」(代表法人・長大)が、公園南側の野球場などにグランピング施設やドッグラン、バーベキュー(BBQ)ガーデンなどをつくる計画。併せて南側の樹林を伐採し、駐車場を127台分拡張する計画となっている。 木下代表によると、駐車場拡張のため伐採される樹木は300本ほどで、洞峰公園が開園した1980年より前からあるアカマツ、ヤマザクラ、コナラ、シラカシ、ケヤキなど。樹齢100年を超える樹木もあるという。 駐車場の拡張工事は、一番最初に行う工事とされ、グランピング施設やBBQガーデンなどを整備する工事車両の動線となる。完成後は、グランピング施設やドッグラン、BBQガーデン、多目的フィールドなどの利用者が目的施設まで車でアクセスしやすくなり、利用者の利便性が飛躍的に向上するとされる。 一方、地元の五十嵐立青つくば市長は「駐車場の改善以外は、市として大きな課題がある」(5月13日の定例会見)とし、グランピング施設とBBQガーデンは「臭いやアルコールなど懸念がある」=4月14日付=とする一方、駐車場の拡張は渋滞解消につながるとして受け入れる方針をこれまで示している。これに対し木下代表は「つくば市にはこれから、自然を保全してほしいという要望書を出すことを予定している」と話す。 以前からあった環境残す 木下代表は「洞峰公園は(埋め立てて公園をつくる1980年以前から)洞峰沼周辺にもともとあった樹木を生かしてつくられた。さらに緑の帯であるペデストリアンデッキで筑波研究学園都市のほかの公園と結ばれ、小さな動物が行き来できるように設計された。絶滅危惧種を含めて生物多様性を保全する公園整備をしてほしい」としている。 「日本野鳥の会茨城県」副会長の内田初江さんは、1982年から2000年まで毎月1回、洞峰公園で探鳥会を開催したところ、希少種を含め101種類の野鳥が観察されているという。「洞峰公園のような都市公園で100種類を超える野鳥が見られること自体、多様な環境があるすばらしい公園である証拠」だとし、「公園をつくる際、学園都市ができる前から洞峰沼周辺にあった環境を残したことが、今も100種類を超える野鳥が生息したり、営巣したり、エサを取ったりできる環境を生んでいるのではないか」と話している。 協議会設置「すぐにお答えできない」 一方、都市公園法に位置付けられている公園管理者と地域の関係者が話し合う場である協議会設置の要望について同会は、14日、さらに1925人分の署名を県に提出し、署名数は計4034人分になった。一方、県からは6月1日付で「協議会設置の可否は、多くの関係者と調整が必要であり、すぐにお答えできる状況にない」などとする回答があったという。 協議会設置の要望書は、パークPFIの代表事業者である長大とつくば市にも提出した。長大などで構成する洞峰パークマネジメントからは9日付で「現在、県と進め方を協議している段階で個別の回答は控える」「今後、県主催の県民向け説明会を開催する方向で県で調整しており、事業者としての改善策や考え方についても示したい」、つくば市からは14日付で「協議会の設置は重要であるので文書で県に要望する」などの回答がきているという。 木下代表は、協議会設置を要望する署名活動を続けるほか、いつまで経っても説明会を開いてくれないので、7月9日午後1時から二の宮交流センターで「洞峰ワークショップ」を開きたいなどとしている。(鈴木宏子)

茎崎庁舎跡地に小売店誘致 保健センターは存続 つくば市

庁舎解体後、更地のままになっているつくば市の茎崎庁舎跡地(同市小茎)について市は、2年前に住民に示した案(20年8月7日付)を見直し、跡地に食料品や日用品を販売する1000平方メートル規模の小売店を誘致する方針を明らかにした。前回、解体するとしていた隣接の茎崎保健センターは解体せず存続させる。 10日と11日、地元説明会を開き、新たな方針を説明した。10日の説明会では参加者から「大賛成」「一刻も早く誘致してほしい」などの意見が相次いだ。 誘致する小売店は、跡地約2700平方メートルに、建築面積1000平方メートル程度の店舗を誘致する。店舗は平屋建て、駐車場は30台程度となる。土地は市が事業者に貸し付ける。賃料は固定資産税評価額の1000分の25という。7月中旬ごろから事業者を公募し、9月中旬ごろまでにプロポーザル方式で選定する。来年6月ごろまでのオープンを目指す。 市公有地利活用推進課は小売店の選定について、自宅に宅配する、地元産品を扱うなど、地域住民のライフスタイルに合わせた評価基準を示した上で、学識経験者、住民代表、市職員で構成する候補者選定委員会を開いてより優れた事業者を選定したいとした。 保健センターでは、集団健診や健康相談などを引き続き実施する。2階建ての建物は耐震基準を満たしている一方、老朽化していることから、トイレや冷暖房などの設備を一部改修したり、市民のたまり場となるオープンスペースを設置したり、会議室の貸し出し手順を見直し利用しやすくするなどを検討しているという。保健センターの改修も小売店の出店と同時進行で進める。ただし改修時期は未定。 出店、20年以上 10日の説明会では参加者から、小売店に対し「生鮮食品を売ってほしい」「重いものを配送してくれる事業者を誘致してほしい」「防災協定を締結して、災害時に水やティッシュ、タオルなどを市が買い上げる体制をつくってほしい」などの意見が出た。「バスを待つ時間、風雨をしのげるスペースをつくってほしい」「条件など付けず早くオープンしてほしい」などの声もあった。「人口が減少している地域で本当に定着してくれる見通しはあるのか」という質問に対し、市は「20年以上くらい(定着の)見込みがあると考えている」とした。 一方、保健センターの改修に対しては「エレベーターを設置してほしい、和式トイレを洋式にしてほしい、エアコンを取り換えてほしい、塗装し直してほしい、フェンスがみすぼらしい―などすでに15項目の要望を出しているのでお願いしたい」「前回の計画(2020年時点)では相当額(保健センター解体、埋蔵文化財調査、商業施設内の公共施設整備など計7億円)を考えていただいた。相当額で保健センターを改修してほしい」「改修内容を開示してほしい」などの意見が出た。 複数事業者が可能と回答 茎崎庁舎跡地は2010年4月に閉庁、16年1月に解体され、現在、跡地の一部はバスロータリーとなっている。 跡地利活用について市は20年8月、庁舎跡地に隣接する茎崎保健センターを解体し、庁舎跡地と保健センター敷地を一体的に活用して商業施設を誘致し、商業施設内に公共施設を併設させる案を住民に説明した。住民の間では、商業施設誘致に賛成する意見と、保健センターを存続してほしいとする意見の両方が出た。 一方、当初案について市が20年に事業者15社に聞き取りした結果「市の計画案は施設規模が過大で、建設費用、運営コスト、商圏を分析すると採算性が見込めない」などの調査結果が出て、市は利活用案の見直しを実施していた。 見直し案を再検討する中、市が21年に事業者5社から聞き取り調査をした結果、複数の事業者から、1000平方メートル規模の小売店なら出店可能との回答を得たという。(鈴木宏子)

工事費増額、増資を検討 つくばまちなかデザイン

市議会に決算報告 つくば市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が6月議会開会日の9日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」の内山博文社長が、2022年3月期(21年4月-22年3月)決算と今後の見通しについて報告した。 つくばセンタービル1階東側と4階吾妻交流センターを改修して貸しオフィスなどにする改修事業費について、昨年12月時点では約4億7700万円としていたが、1階の改修の際、想定していない構造体等があったこと、設備改修に想定より費用を要したことなどから、家具や備品費などを圧縮しても事業費が約3000万円増え、約5億700万円になるとする見通しを示した。 今後さらに、4階の吾妻交流センターをオフィスにする改修工事などを予定していることなどから、増資を検討するとした。 「順調」 4月にオープンした貸しオフィス7区画については、現在3社が4区画に入居することが決まっているとした。残り3区画は3社と契約手続き中で、そのうち1社は6月中に入居、2社は7月をめどに入居する予定で満室になるとした。昨年12月の事業収支見通しでは空室率15%(稼働率85%)を想定していたが、100%稼働するという。 5月にオープンしたコワーキングスペース(共同仕事場)は、利用料を無料とした5月は129人302件の利用があったとした。有料利用がスタートする6月は、3日時点で月額個人会員28人、月額法人会員4社、ビジター会員6件から申し込みがあり、個人会員15人、法人会員1社と契約したという。当初想定目標は個人会員30人、法人13社であったことから、内山社長は「順調に申し込みが入っている」と強調した。 一方、設立1年目の2022年3月期決算は、つくばセンタービル1階東側の貸しオフィスなど「co-en(コーエン)」が開業前であったことから、売り上げ収益約1100万円に対し、人件費や家賃、水道光熱費などの経費(販売費及び一般管理費)が約4100万円かかり、営業損失約3000万円と赤字になった。 設立2年目の2023年3月期(22年4月-23年3月)のco-enは、約5300万円の売り上げを目指すとした。(鈴木宏子) ◆9日の調査特別委員会での主なやり取りは以下の通り。 山中真弓市議(共産) 今年(22年4月-23年3月)の売り上げ目標が5300万円ということだが、内訳を教えてほしい。 内山社長 5300万円は売り上げであり、利益ではない。(5300万円の内訳は)シェアオフィス(貸しオフィス)が3000万円強、コワーキングスペースが2500万円弱。地下駐車場事業の売り上げは入ってない。カフェ&バーの収入は家賃が月14万円、プラス、歩合として売り上げの8%を見込める。月500万円の売り上げとするとプラス40万円が入り、予想をかなり上回る。 山中市議 昨年12月(に議会に出された資料)の「働く人を支援する場」の事業収支の資料では2022年3月期は営業利益が134万円の赤字となっている。今回の決算は3000万円の赤字となっている。どうして差が発生するのか。 内山社長 昨年12月の事業収支はセグメント(区分)ごとの収支。働く人を支援する場の事業収支を切り取って示した数字で、一般管理費は(事業収支に)落としてない。(一般管理費は)開業後(2022年4月以降の事業収支)に織り込んでいる。決算と性質が違う。 山中市議 四半期ごとに決算を議会に報告してほしい。 内山社長 半期に1回ぐらいは報告できる。収益改善には第2期(吾妻交流センターをオフィスにする改修工事)が行われないとプラスに転じない。ここ(1階)の部分だけでは厳しい。 川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ) co-enが5月にオープンしたが子連れワーキングスペースができてなかった。今後の方針はどうか。 内山社長 協働実施を予定していたNPO法人と1、2月の、直前まで協議していた。NPO法人に経営上の問題が発生したので、NPO法人と協議し、いったん中断した。3月の判断なので代替の事業者の検討が進んでいない。これまでいろいろな事業者とコミュニケーションをとる中で委託費が払われないと実施できないということだったこともあり、代替の事業者が見つかってない。具体的な話ができない。 川久保市議 スケジュールはどうか。 内山社長 できるだけ早く、秋口ぐらいまでにはめどを立てたいと思っているが(子連れワーキングスペースのみの)事業収支はプラスマイナスゼロを見込んでいる。収支を大きく左右する部分ではないので、内容にこだわって検討したい。 川久保市議 コワーキングスペースの個室(ウェブ会議等をする部屋)だが、音が外に聞こえていた。防音の必要があるのではないか。 内山社長 音が反響するという意見をいただいており、吸音対策の方が急務かと思っている。 川久保市議 ウェブ会議での秘匿性の高い内容が外に漏れてしまうのではないか。 内山社長 具体的なご意見をいただきならが検討したい。 川久保市議 秘匿性がある会議はミーティング室を利用すればよいか。 内山社長 そちらの方もある。 川久保市議 授乳室のところに2段の段差がある。ベビーカーをどこに置けばいいのか。 内山社長 左手にベビーカー置き場がある。 ヘイズ委員長 (つくばまちなかデザインから出されている)報告に関する質問にだけにしてほしい。 川久保市議 情報発信だが、(つくばまちなかデザインが発信する)「つくまちノート」は2件しか更新がない。 内山社長 3月まではハードの整備にスタッフの労力を注力した。マンパワーに限りがある。 山中市議 コロナ禍で工事費が増え(1階の改修工事に)3億2000万円かかったということだが、決算書の有形固定資産は2億6000万円しか計上されてないのはどうしてか。 内山社長 工事完了は5月なので、すべてを有形固定資産として計上するのは今期(2023年3月期決算)になる。部分的に支払ったものが3月までに計上されている。シェアオフィスは安定収益につながる。増設することで3期目から8000万円を超える売り上げになる。増資を図ることで資金確保を図り安定経営につなげたい。 山中市議 出資者を新たに募るということか。 内山社長 (現在の)株主に事業報告が必要になるが。 鈴木富士雄市議(自民党政清クラブ) 決算書の「販売費及び一般管理費」だが、売り上げ収益1100万円に対し、役員報酬1170万円となっている。役員は非常勤が3人、常勤が2人。従業員給与は457万1000円となっている。スタート時は厳しい面があるが、年間売り上げ収益と役員報酬が同じということに疑義を感じる。 内山社長 株主やつくば市から、出向という形で、各社に人件費を負担いただいている。役員報酬は2人分、従業員報酬は実質的に1人。かなり抑えながら進めている。 飯岡宏之市議(自民党政清クラブ) 今回は(設立から)1期目なので、2期目に注目したい。去年12月ごろ(100万円しか出資してない株主の)LIGHTz(ライツ)のいい報告ができると聞いていたが。 内山社長 中長期の中で(増資の)話をすることを再開したい。 飯岡市議 連携事業者の(市内でコワーキングスペースを運営する)シビックパワーはどうか。 内山社長 限定的な委託先として考えており、コワーキングスペース全体(の運営)ではない。(コワーキングスペースの)ユーザーを引き継いでいただくなど協力いただいた。月1回程度のイベントを実施していただくことで150万円程度の委託を行いながら運営に協力していただく。 橋本佳子市議(共産) 次の段階(吾妻交流センターをオフィスにする改修計画)に進めることにゴーサインを出せるか慎重になってしまう。シェアオフィス(貸しオフィス)の需要が高いという根拠をもう少し説明してほしい。 内山社長 この段階で(貸しオフィスの)契約すべてが完了していることが何よりの実績。シェアオフィスは当初想定より値上げし、家賃を坪1万5000円に設定している。近辺より高い設定だがすべて埋まった。現場ではかなりの問い合わせがあり、第2期工事を実施することが会社にとって急務だと考える。 塩田尚市議(山中八策の会)増資を図るということだが、LIGHTzに増資してもらうということか。 内山社長 LIGHTzも一つ。もともと立ち上げの際、7~8社の出資を目指していた。様々な株主の開拓を含めて検討したい。 塩田市議 3セクなので(増資すると)つくば市が持っている議決権割合が下がるのではないか。 内山社長 その辺りは(つくば市と)協議を重ねた結果、増資も一つの手段だとご理解を得ていると思っている。人材等、様々な立場で協力いただける会社を募っていきたい。

放置自転車問題の解決目指す新店舗 21日、筑波大近くにオープン

筑波大学の放置自転車問題の解決を目指す新業態の自転車店「CYCLE CHIC Tsukuba(サイクルシックつくば)」(矢部玲奈店長)が21日、大学近くのつくば市桜にオープンする。 大学構内の放置自転車のほか、卒業生が使っていた自転車や、一般家庭の自宅に眠っている自転車などを引き取って、部品を交換するなど修理し、新入生などに4年間貸し出す。卒業時に返却してもらい、放置自転車にならないようにする。 ほかに同大の校章「五三の桐」や、開学の理念「IMAGINE THE FUTURE(イマジン・ザ・フューチャー)」などの文字がアルミフレームにデザインされた筑波大学公認自転車のほか、各種メーカーの新品の自転車も販売する。タイヤのパンク修理なども行う。都内のスポーツ用品メーカーの協賛を得て開業にこぎつけた。 同大事業開発推進室によると、大学では毎年800台から1000台の放置自転車がある。10年以上前から、市シルバー人材センターの協力で、そのうち毎年100台程度を修理し新入生に安く販売してきた。 まだまだ放置自転車の解消につながってないことから、今年から同店が加わり、シルバー人材センターと共に放置自転車のリサイクルに取り組む。同店は年間約300台を目標に修理し、学生などに貸し出す予定だ。 貸し出す金額は、自転車の種類に応じて月額1000円から2000円程度で年単位で貸し出すことを想定している。一般に放置自転車のうち再利用できるのは3割程度といわれている。修理にどれくらいのコストが掛かるのかも含めて、店長の矢部さん(27)は「これから実証していきたい」とする。当初3年間は利益が出ないと見込んでいるが、4年目からは利益を出すことを目指す。 大学職員辞め店長に 矢部さんは今年3月まで同大東京キャンパスの職員だった。実家は東京都世田谷区の自転車店で、サイクリングが趣味。同大事業開発推進室に勤務し、筑波キャンパスの放置自転車を目の当たりにした中、昨年暮れ、大学を退職し、実家の自転車店の支店をつくばに出店して、放置自転車問題の解決に挑戦することを決意した。 矢部さんは「まさか自分が組織を離れることになるとは思わなかったが、やるしかないと思った」と振り返り、「たくさんの人の協力があったので、大学にいた者として、大学に貢献し恩返しができれば」と意気込みを話す。 交流の場に 新店舗は平屋建てで面積約60平方メートル、敷地面積は約340平方メートル。店内はカフェのような雰囲気で、中央にテーブルといすが置かれ、両側の白い壁沿いに国内外の新品の自転車が並ぶ。カウンターの奥はメンテナンス室で、たくさんの工具が置かれ、来店客が自分で修理することもできる。 「学生や地域の人に気軽に立ち寄ってもらい、学生同士や、学生と地域の人との交流の場にできれば」と矢部さん。今後は、筑波山など周辺を自転車でめぐるポタリング(自転車散歩)を企画したり、自転車の修理が自分でできるようになるメンテナンス講習会を開催するなど、イベントの開催も計画している。 3月まで矢部さんの上司だった同大事業開発推進室の畑山進・特定ミッションプロジェクトマネージャーは「放置自転車を修理しサブスクリプション(定額利用)で貸し出す取り組みを3、4年続ければ、大学の放置自転車が目に見えて減るのではないかと期待している。将来的には近隣のサイクルショップの協力も得て、この取り組みが徐々に広がれば」と期待を話す。(鈴木宏子) ◆CYCLE CHIC Tsukubaはつくば市桜2丁目15-5。営業時間は午前11時から午後6時。水曜定休。中古自転車の引き取りやリサイクル自転車の貸し出しは筑波大学の学生だけでなく、だれでも利用できる。問い合わせは、メールslowglide017@icloud.comまたは電話029-886-8682(21日以降)。

不登校支援のあり方検討スタート つくば市 事業者選定の迷走受け

つくば市が昨年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、今後の市の不登校支援のあり方について検討する「市不登校に関する児童生徒支援検討会議」の第1回会合が17日、市役所で開かれ、検討がスタートした。 市が、2020年10月から22年3月末までNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で実施した「むすびつくば」の事業について検証するほか、今後の市の全体的な支援方針を策定する。 検討会議のメンバーは、森田充・市教育長と市教育委員4人の計5人。不登校の保護者など当事者は入っていない。来年1月までに計14回程度の会合を開く。今年9月ごろ、新たな予算を必要とする施策を決め、来年1月ごろまでに全体的な支援方針をまとめる。 むすびつくばの検証については、利用者の小中学生と保護者にアンケートをとったり、運営者のリヴォルヴに自己評価を作成してもらうなどする。リヴォルヴによる運営は、来年3月までの1年間延長されただけであることから、23年度以降どうするかについても検討会議で協議する。 今後の市の支援方針については、先進自治体を調査したり、市内の民間フリースクールの利用状況を調査したり、市内の不登校児童生徒と保護者にアンケート調査などを実施した上で、フリースクールのあり方や支援策などについて検討する。 検討を始めるにあたって、現在の課題については▽専門職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの人数が十分か注視する必要がある▽発達障害の早期発見や診断が遅れると個人の特性に応じた支援や対応が遅れる▽民間フリースクールは有料であるため公設の支援施設の利用者と負担に差が生じている▽不登校の児童生徒数が増えているのに対して公設支援施設の定員は2割程度しかない▽児童生徒数が増加している市南部に公設支援施設がない▽学校での別室登校による支援は専属の教員がいないーなどを挙げている。 その上で検討にあたってはまず、不登校をできるだけ生じさせないようにするため、楽しく魅力ある学校づくりや、学校で気軽に相談できる環境を整える必要があるとした。さらに、不登校になった児童生徒には多様な学習機会や居場所を確保することが必要だとしている。 市の不登校支援をめぐっては、昨年12月、市が実施した不登校学習支援施設「むすびつくば」の運営事業者の選定で、以前から「むすびつくば」を運営していたリヴォルヴが2位となり、新規のトライグループ(本社・大阪市、平田友里恵社長)が1位となった。選定結果に対し、むすびつくばの保護者会がリヴォルヴによる運営継続を五十嵐立青市長らに陳情。五十嵐市長は「現在の利用者や保護者に多大な不安を与えてしまった」などと謝罪し、2022年度は、リヴォルブが「むすびつくば」の運営を産業振興センター(同市吾妻)で継続し、1位になったトライは場所を移して新たに研究学園駅前のトライ研究学園駅前校で支援事業を開始するという異例の決着を図った。 一方、むすびつくばの一部の保護者などから、市内の不登校児童生徒すべてを公平に支援するよう求める要望が出ていたことなどから、市は、22年度に支援のあり方について検討する場を設けるとしていた。 4月から校内フリースクールや別室登校モデル校 現在の市の不登校支援は、公設の支援施設が、市が直営する市教育相談センター内のつくしの広場(同市沼田、利用者11人)、リヴォルヴが運営する「むすびつくば」(吾妻、33人)、トライが運営する「ここにこ広場」(研究学園、18人)の3カ所。ほかに民間のフリースクールが10カ所あり53人が利用している。 小中学校内での支援は、今年4月から新たに、谷田部中に専属教員を2人配置し校内フリースクールをスタートし10人が利用している。茎崎中では別室登校のモデル校としてNPO法人Leaning for ALL(ラーニング・フォー・オール、東京都新宿区、李炯植代表)からスタッフ1人の派遣を受け教員などと連携しながら支援を実施し3人が利用している。ほかに各校で空き教室などで別室登校を実施しており76人が利用しているという。(鈴木宏子)

コロナ禍、預金も貸出金も過去最高額に 筑波銀行 2022年3月期決算

筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は13日、2022年3月期決算(21年4月1日-22年3月31日)を発表した。コロナ禍、預金、貸出金額いずれも過去最高になった。 コロナ禍の20年3月から22年3月末までの約2年間に同行が実施したコロナ関連融資は県内最多の計約1万4300件、総額約2420億円になったという。7割以上で返済が始まっている。 経常利益2.1倍 22年3月期の連結決算については、銀行本来の業務の収支である業務粗利益は、連結子会社の見直しなどにより役務取引利益が減少したほか、国債債権売却益が減少したなどその他の業務利益が減少したが、有価証券利息配当金や預け金利息が増加したなどから、前年比13億7600万円増の296億3500万円となった。 銀行本来の業務で稼ぎ出した1年間の利益となる、業務粗利益から人件費などの経費を差し引いた実質業務純益(単体)は、業務粗利益の増加に加え、10年間で店舗を147店から74店に半減させる統廃合が終了したなど、経費が人件費を中心に減少したことから、前年比25億500万円増加の54億3500万円となった。 銀行の通常の活動から生じた利益を表す経常利益は、資金利益の増加による業務粗利益の増加や、営業経費が人件費を中心に減少したことにより、銀行本体の収益力が大幅に改善したことに加えて、取引先の貸出金が回収できなくなった場合に備える与信関係費用が低水準に抑えられたことなどにより、前年比27億3300万円増益(110.7%増)の52億100万円となった。前年3月期の経常利益24億6700万円の2.1倍となる。 預金(単体)は、コロナ禍による手元流動性確保意識の高まりなどを背景に、個人預金、法人預金いずれも増加し、過去最高の2兆4663億円になった。預かり資産も、投資信託が増加したなどから過去最高の2780億円になった。 貸出金は、コロナ禍の影響を受けた地元中小企業などへの資金繰り支援や本業支援に積極的に取り組み、中小企業貸出が前年度末比218億円増の7610億円になったことや、地方自治体向け貸し出しが増加したなどから、貸出金全体で679億円増加し過去最高の1兆8825億円となった。 健全性の指標となる、リスク資産に対し資本金などの自己資本がどれだけあるかを示す自己資本比率(連結)は、親会社株主に帰属する当期純利益42億円の計上などにより自己資本は増加したが、貸出金や有価証券が増加し、リスクの度合いに応じて調整したリスク・アセット額が増加したなどから、前年度末比0.21ポイント低下し8.94%となった。 金融再生法に基づく開示債権額(単体)は、危険債権の減少などにより前年度末比74億円減少し394億円となった。この結果、不良債権残高の割合を示す開示債権比率(不良債権比率)は同0.48ポイント低下し、2.04%となった。 来期(23年3月期)の業績予想については、コロナ禍の長期化により県内の経済や社会活動がさまざまな影響を受けており、コロナ禍の収束がさらに長期化した場合には与信関係費用の増加が懸念されること、ウクライナ情勢を背景に原材料価格の高騰やインフレ懸念、米国金利の上昇や円安の進行など先行き不透明な状況が続いているなどとして、経常利益を22年3月期と比べ15億円減益の37億円としている。貸出金利の低下に伴う貸出金利息の減少や、日銀の当座預け金における貸出促進付利制度(コロナオペ)が6月で終了することなどにより資金利益の減少や、有価証券売却益の減少を予想していることなども要因としている。(鈴木宏子)

スケジュール見直し完成2年遅れに つくば市陸上競技場

つくば市が上郷高校跡地(同市上郷、約7ヘクタール)に建設を計画している陸上競技場について、五十嵐立青市長は13日の定例会見で、スケジュールを見直し、完成は予定より約2年遅れて2028年1~3月ごろになるとの見通しを示した。当初は26年4~6月ごろに完成する予定だった。 一方、市大規模事業評価委員会(委員長・横張真東京大学大学院工学系教授)から3月29日に「概ね妥当」とする答申=3月29日付=が出されたのを受けて、市として4月27日の庁議で、事業を進めることを決定したとした。 市スポーツ施設整備室によると、市の決定が当初予定より遅れたこと、大規模事業評価委員会からていねいに進めていくよう意見が出ていることなどから、住民説明会をていねいにやっていくなどとしている。 市が発表した新たなスケジュールは、6月議会に基本計画策定の予算を提案し、22~23年度に基本計画を策定、24~25年度に基本設計と実施設計を策定、26~27年度に建設工事を実施するなど。 観客席4000席、駐車場400~500台(普通車)を整備することから、周辺道路の渋滞懸念やアクセス道路の拡張の有無などについては、基本設計の中で調査、検討し住民に説明するとしている。 大規模事業評価委員会から注文が付いた、他自治体や市内の研究・教育機関などとの共同整備については「(他自治体などの)施設整備の動向を注視する」にとどめた。当初、評価委に示した概算事業費に校舎解体費やセミナーハウス建設費、道路拡張費などが含まれておらず、評価委に資料提出を求められて総事業費が22億円から28億円にふくらんだことについては「事業費の大幅な増加が見込まれた場合には、検討過程を明らかにし市民に分かりやすく周知する」などとした。 陸上競技場は、市内の小中学生の公式陸上記録会や、投てき種目を含めたつくば陸上競技選手権大会を実施するなどが目的。計画概要は400メートルトラック8レーン、インフィールドは天然芝、観客席はメーンスタンド1500席、芝生スタンド2500席とし、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をする。付帯施設として、サブトラックのほか、ジョギングコースとして利用できる園路広場、セミナーハウスを整備するーなどをつくる。陸上競技場の配置は現在、北側に配置する案と中央に配置する案の2通りがあり、周辺の交通への影響などを調査、検討して基本設計の中で配置を決めるという。(鈴木宏子) 【訂正・16日午前10時】3段落目、完成が2年遅れる理由について、「市議会」からを「大規模事業評価委員会」から意見が出ているに訂正しました。

「マイストーリー」で女性起業家を支援 つくば市 三島裕子さん【ウーマン】1

つくば市大角豆のレンタルルームに毎月2回、女性起業家たちが集まり、自分の人生を語る集いを開いている。同市研究学園の三島裕子さん(53)の呼び掛けで昨年3月にスタートした。 三島さんが代表を務める「マイストーリープロジェクト」主催の「かわせみ交流サロン」だ。毎回、2人の女性起業家が、友人5~6人を前に、自分はどう生きてきたか、なぜ起業したのかを、それぞれ30分間、図や表を盛り込んだ資料を見せながら発表する。 つくば、土浦市など県南各地から参加する。これまで計18回開催され、延べ約170人が集まった。 7割が100万円未満 女性活躍がいわれる一方、三島さんは「女性起業家の平均年収は100万円未満」と指摘し、「どうしたら年収を上げられるかというと差別化するしかない。自分はどんな思いでビジネスをやっているのか、人生に裏打ちされたビジョンをもって仕事をやっているというマイストーリーを語り、自分を発信できるようになることが差別化になる」と話す。 毎回三島さんは、発表者から事前に話を聞き、資料の作成を手伝う。「三島さんとの対話を通して自分の人生を客観的に振り返ることができた」「どこが売りなのか、三島さんに言われて初めて自分の個性やアピールポイントが分かった」と発表者は口々に言う。 女性起業家の人生に寄り添う中、「発表者には、自分の仕事がどのような社会課題の解決につながるかまでをまとめてもらっている」と三島さん。 中小企業庁の2012年版中小企業白書によると、女性起業家の個人所得は年間平均93万1000円で、7割が100万円未満だった。10年前の数字だが、コロナ禍で近年はさらに厳しいとも。白書は「交流や意見交換ができる場は女性が起業の課題を克服する上で重要な役割を果たす」とする。 証券会社で営業 三島さんはかすみがうら市出身。短大を卒業後、土浦市内の障害者施設で指導員として働いた。5年後、結婚退職したが、30代半ばで離婚。父親から「事務員になるなら手取り20万円くらいしかもらえない。それで一生生きていくのは大変」と株式投資を勧められたことが人生の転機となった。 投資口座を開設する手続きのため土浦市内の証券会社を訪ねると、地域限定の契約社員を募集するちらしが目にとまり、その場で応募。採用され、営業の職に就いた。 株式投資を一から勉強。毎朝、経済紙を隅々まで読んで、経済や社会の動きと株式の変動を学んだ。投資セミナーを企画し、会場周辺にチラシをポスティングして新規顧客を開拓し、飛び込み営業もこなした。 やがて得意客もできた。ほとんどが中小企業の社長だ。得意客に損をさせてしまうこともあったが、「次の作戦を練って、人間性と本気度と情熱」があれば、顧客は自分を信頼してくれた。 その後、乳がんが分かり手術。2020年会社勤めを辞め、昨年、つくばで女性起業家向けの交流サロンをスタートさせた。 証券会社で働いた経験が自分を大きく成長させたと振り返る。政治や経済の動きが自分のお財布と直結していること、結果を出すには日々の勉強が必要なこと、経済的に自立できないと自分らしく生きていけないこと、などを改めて知ったという。 2年目の交流サロンは、次のステップとして「いろいろなイベントを開き、女性起業家が活躍できるマーケットをつくるための仕掛けをしたい」そう。「証券会社にいたせいか、女性起業家たちを未公開株に見立てている自分がいる。上場できるように何とかしたい、という投資家の気持ちかな」と語る三島さんだ。(鈴木宏子)

「知床事故の影響ない、より一層安全安心に」霞ケ浦観光船

ゴールデンウイーク(GW)が29日始まった。コロナ禍、行動制限のないGWは3年ぶりだが、北海道、知床半島沖で起こった観光船遭難事故の影響は出ていないのだろうか。 土浦港から霞ケ浦を周遊する観光船を運行するラクスマリーナ(土浦市川口、社長・片山壮二副市長)の高野利夫専務は「今のところキャンセルなど知床の事故の影響はない」とし「今までも安全運航を第一にやってきたが、知床の事故を踏まえ、より一層安全安心に運航していきたい」と話し、身を引き締める。 同社が運行する観光船は、遊覧船「ホワイトアイリス号」(定員86人)とクルーザー遊覧艇「KLM」(定員9人)だ。午前9時30分から午後4時30分まで1日最大10便、霞ケ浦の沖合いを約30分間周遊する船の旅を提供している。船上から望む筑波山や阿武隈山脈などの景色が見どころだ。5月20日から6月19日までは「潮来あやめまつり」に合わせて、土浦港から潮来まで運航する。携帯電話は湖心も含め霞ケ浦全域で通じるという。 出航前に毎朝点検 安全に運航するため、同社では出航前に毎朝、エンジンや船体に異常はないか、救命胴衣などは整っているか、警笛は鳴るかなどを点検しているほか、乗員全員のアルコール検査を実施している。年1回、警察や消防の協力を得て、船上で落水者救助訓練と消火訓練にも取り組んでいる。 運航を中止する基準は、風速毎秒15メートル以上、波の高さ1メートル以上、肉眼で確認できる視程100メートル以下と運航管理規程で定めている。 27日には、国交省関東運輸局の立ち入り検査があり、問題なしとの判定を受けた。知床の海難事故を受け、国交省が全国の観光船運航事業者を対象に一斉に実施している緊急安全点検だ。 点検では、同社が国交省に届け出ている安全管理規程や運航基準、作業基準、事故処理基準などの書類が整っているかや、規程にもとづいて日々の点検や運航が実施されているかなどを、関東運輸局職員が出航前点検簿などを見て確認した。さらに船内に立ち入り、救命胴衣や浮器(救命いかだ)などが備えられているかなどを点検したという。 湖上スクール、今年度は予算が削減 ホワイトアイリス号は、流域の小中学生などが湖上に出て霞ケ浦の水質などを調査する県の事業「霞ケ浦湖上体験スクール」などに年300回程度利用されてきた。しかしコロナ禍の2年間は利用が半減していた。今年度は県の予算削減により開催回数が3分の1に減る予定だという。(鈴木宏子) ◆霞ケ浦観光船の乗船料金は大人(中学生以上)1570円、子供(小学生)780円など(いずれも消費税込み)。ホワイトアイリス号で運航するが、乗客数が5人以下の場合はクルーザー遊覧艇KMLになる場合がある。春から秋の出航時間は午前9時30分、10時、10時30分、11時30分、12時30分、午後1時30分、2時30分、3時30分、4時、4時30分の1日最大10回。運航時間はいずれも30分間。 ◆潮来あやめまつりの運航は、嫁入り船が出る5月20日(金)~6月19日(日)の水、土、日曜で、土浦港の出航時間は午前11時、午後2時、7時30分など。潮来までの乗船料金は往復が大人3760円、子供1880円。片道は大人2200円、子供1100円(税込み)。運航時間は片道1時間20分。1台300円で自転車の持ち込みもできる。 ◆ホワイトアイリス号の定員は86人だが、現在コロナ対策のため40人までとしている。予約申し込みは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)。

「稼げる大学」へ 挑戦を前向きに検討 筑波大 永田学長が所信

筑波大学(つくば市天王台)の定例記者会見が28日開かれ、永田恭介学長が2022年度の所信を表明した。現在国会で審議中の国際卓越研究大学(稼げる大学)法案について、認定を受け「10兆円規模の大学ファンドに挑戦することを前向きに検討している」と表明した。 国際卓越研究大学は、世界最高水準の研究大学をつくるため国が認定する制度で、認定要件は、国際的に卓越した研究成果を創出している、財源の多様化や大学独自基金など財源に裏付けらえた事業戦略と財務戦略があるなど。全国の国公私立大の中から数校程度を認定するとされ、選ばれれば、科学技術振興機構(JST)に設置される10兆円規模の大学ファンドの運用益の中から、年間で数百億円単位の助成が得られるとされる。一方、認定された大学は年3%程度の成長を求められ、達成できない場合、認定を取り消すこともあるとされる。 年3%の成長率達成について永田学長は28日「筑波大学はこの10年間、国から交付される運営費交付金は約400億円とほぼ変わらないのに対し、総事業費は約780億円から約1060億円になり、指定国立大学法人(9大学)の中では京都大学に次いで2番目となる2.8%の成長をしてきている」と話し、「筑波大学は伸びる余地があるので、20年間ぐらいは(3%達成が)できるだろう」とする見通しを示した。 大学の独自ファンドを設立するための準備もかなり進んでおり、今年度中に立ち上げが可能だとし、8大学と地方銀行が独自ファンドを設立する準備を進めていることを明らかにした。海外の未公開株を中心に投資し、運用益でスタートアップ企業を育成するという。 同大は今年4月から、世界最高水準の教育研究活動の展開が見込まれる指定国立大学法人になった。2022年度はさらに第4期中期目標期間の始まりの年でもあり、永田学長は所信で「固定化した社会や価値観を変える」と表明し、学群入試の見直し、研究力の強化、経営体としての大学への転換などに言及した。 廃案求め署名活動も 一方、国際卓越研究大学法案に対しては、筑波大教員を含む全国の国公私立大の教員らでつくる「『稼げる大学』法案の廃案を求める大学横断ネットワーク」が、①大学の認定に政治判断が優越しやすい仕組みとなっている②年3%成長という数値が一人歩きし、稼げる研究分野が優遇され、稼げないとみなされた研究分野や研究者が淘汰される恐れがある➂学外者を中心とする理事会などに大きな権限をもたせようとし大学の私物化を促す恐れがある④経営戦略が損失をもたらした場合、誰がどのように経営責任をとるのか定められていない⑤大学間や地域間の格差を著しく拡大するーなどと批判し、廃案を求める署名活動を展開している。(鈴木宏子)

LALAガーデンつくば 年内に閉店へ

つくば市小野崎の大型商業施設「LALA(ララ)ガーデンつくば」が年内に閉店することが分かった。施設を所有する三井不動産(東京都中央区)広報部によると、20年間の土地の定期借地契約期間が来年春で満了となるため。閉店後は建物を取り壊して更地にし地権者に返還するという。 閉店が今年の何月になるかについて同広報部は、現在、公表できる段階にないとしている。LALAガーデンは全国に4施設あるが、撤退はつくばが初めて。 同施設で飲食店を経営する男性店長は14日、「オーナーから10月にこの店を閉店すると聞いている。土日はお客さんがたくさん来ているが、コロナでお客さんが減った面もある。今、移転先を探しているところ」と話した。 買い物に来た、近くに住む50代主婦は「家が近いので何かにつけちょくちょく来ている。この地域はLALAガーデンができて住宅が広がった」とし「土日はお客さんが結構来ていると思う。この規模のスーパーは近くにないので、無くなると近所の人は困ると思う」と話した。別の50代主婦は「閉店の噂は聞いていた。壊すのはもったいない」と語った。 LALAガーデンつくばは、つくばエクスプレス(TX)開業前年の2004年3月、他の郊外型大型商業施設に先駆けて、市中心部から約1キロの土浦学園線沿いにオープンした。敷地面積は約5.7ヘクタール。 TX開業後は、08年10月にイーアスつくば、09年5月にイオンモール土浦、13年3月にイオンモールつくばなどが相次いで開業し、競争が激化していた。三井不動産広報部は、売上額や来店客数の推移などは非公表としている。(鈴木宏子)

嘉納治五郎の書を初公開 筑波大体育ギャラリーリニューアル

東京2020まで五輪の系譜たどる 筑波大学(つくば市天王台)体育ギャラリーが31日、リニューアルオープンした。明治時代、日本のオリンピックの礎を築いた同大ゆかりの柔道家、嘉納治五郎直筆の書から、昨年の東京五輪で活躍した筑波大出身アスリート49人の写真パネルまで、五輪にまつわる約90点の資料や記念品を展示し、同大にかかわる五輪の系譜をだとっている。 同ギャラリーは新型コロナ感染拡大防止のため約1年半休館していた。今回、内容を一新して再オープンした。 展示されているのは、初公開となる嘉納直筆の書、昨年7月つくばで開催された東京五輪聖火リレーのトーチ、昨年の東京オリンピック・パラリンピックで活躍した筑波大出身アスリート49人の写真など。 嘉納は筑波大の前身の東京高等師範学校校長で、東洋初の国際オリンピック委員会委員を務め、日本のオリンピック初参加に尽力した。展示を企画した同大体育系の大林太朗助教によると、直筆の書は嘉納が70代の時にしたためた。「天下で大きな成功をなす者は皆、努力をしている。名をなす者は小さな積み重ねを大事にしている」という意味の書で、大林助教は「筑波大アスリートにもつながる人生訓」だと説明する。 聖火リレーのトーチは、昨年つくばの最終ランナーを務めた元体操選手の加藤澤男名誉教授(75)が実際に持って走ったトーチだ。加藤名誉教授は東京教育大出身(現筑波大)で、五輪3大会に出場し8個の金メダルを含む計12個のメダルをとった。31日のリニューアル記念式典に参加した加藤さんは「嘉納先生の活躍から今日までの流れを大事に、これから変容していく中でも、精神を生かしていけるよう願っている」と後輩の筑波大アスリートに言葉を贈る。 写真パネルは縦1.8メートル、横3.7メートルで、昨年の東京オリンピック・パラリンピックで競技した選手たちの躍動する写真が1枚のパネルに貼られている。ギャラリー手前の廊下に展示されており、一般の見学者が筑波大アスリートに向けて、ボードの余白に直接メッセージを書くことができる。 記念式典であいさつに立った永田恭介学長は「力を尽くした人たちがいたことをレガシーとして次の世代に伝え、スポーツがもつ力やスポーツが何をなし得るかを皆で考えていければ」と話した。(鈴木宏子) ◆筑波大学体育ギャラリーは体芸棟(5C棟)2階にあり、平日のみ開館。だれでも無料で見学できる。

陸上競技場整備は「概ね妥当」 大規模事業評価委が答申 つくば市

つくば市が上郷高校跡地(同市上郷)に建設を計画している陸上競技場の必要性や効果などを検証する第8回大規模事業評価委員会(委員長・横張真東京大学大学院工学系教授)が29日、同市役所で開かれ、整備事業は「概ね妥当」とする答申をまとめ、同日、五十嵐立青市長に提出した。 一方、事業の必要性については、市単独で整備するという手法に対し「大規模な施設を整備する際は、原則として市単独での実施は避け、他自治体や企業、国公立の研究・教育機関と共同で整備する可能性など、さまざまな方法を検討し、相互比較し、プロセスも開示しながら、最も妥当な方法を選択すべき」だなどとして、今後も、他自治体や機関との共同利用などの可能性を検討すべきだなどとする注文が付いた。 評価委は昨年9月から計8回の委員会を開き、事業の必要性、妥当性、優先性、有効性、経済性・効率性、地域への対応の6項目について調査した。 結果は、事業の妥当性について、規模は想定される需要を上回る過度な計画にはなってない、候補地選定は比較が行われたなどから、概ね妥当だとした。 事業の優先性は、財政支出を平準化するなど市の財政に影響を与えるものではないことが検討されている、サッカー場は3カ所と数が少なく稼働率が高いなどから、妥当だとした。 有効性についても、市スポーツ推進計画の「成人の週1回以上のスポーツ実施率を65%以上にする」などの数値目標達成に貢献するなどとして、妥当だとした。 経済性・効率性については、費用がどれだけ膨らむ可能性があるか把握することが重要だとして、評価委側が、すでに公表している概算事業費約22億円以外についても費用を明らかにするよう求めた。市側は、既存校舎解体とセミナーハウス新設費が最大約5億円、道路約300メートル区間を4メートル拡幅する道路拡幅費が約7200万円、排水取り出し工事費が50万~450万円、受水槽設置工事費が1600万~3200万円などの金額を新たに示し、整備事業費は約6億円増えて総額28億円になることが新たに明らかになった。一方、維持管理費は年間8000万円程度、将来の大規模修繕費用は5年目2800万円、10年目6200万円、15年目1億5000万円が見込まれることも分かった。これを受けて評価委は、経済性と効率性について、概ね妥当だとした。 地域への対応についても、地元から「騒音、道路、進入路などの含めて考えてほしい」「騒音や駐車場問題への対応を検討してほしい」などの意見があり、交通環境を中心に周辺地域に与えるインパクトは大きいとしながら、渋滞が懸念される施設出入り口は既存道路に右折左折レーンを設けたり、駐車場の位置を工夫して渋滞を緩和する方針があるなどとして、概ね妥当だと結論付けた。 答申を受けて市スポーツ施設整備室は「答申を踏まえて、なるべく市の早く方針を決定したい」としている。 大規模事業評価は当初、計4回程度開催し、11月にも答申をまとめる予定だった。しかし委員から、他自治体や機関などと共同したり連携するなど代替の整備手法を検討したか、市民にどのようなメリットがあるのか、上郷地区だけでなく市全体の需要を見込んでいるか、陸上競技場本体だけでなく費用がどれだけ膨らむ可能性があるのかなど、たびたび追加資料の提出を求められ、委員の任期が終わる3月末にようやく答申がまとめられた。 市が昨年4月策定した陸上競技場整備基本構想によると、計画概要は、400メートルトラックを8レーン、インフィールドは天然芝、観客席はメーンスタンド1500席、芝生スタンド2500席とし、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をする。付帯施設として、サブトラックのほか、ジョギングコースとして利用できる園路広場、セミナーハウスを整備するーなど。基本構想時点の利用開始は2026年度の予定。(鈴木宏子)

四季ごとに打ち上げる 「土浦花火百年の計」商工会議所提言  

土浦全国花火競技大会が4年連続中止となっている状況の中、土浦商工会議所(中川喜久治会頭)は25日、「花火のまち土浦の発展に向けて」と題した提言書をまとめ、安藤真理子市長に手渡した。年間を通して四季ごとに特徴のある花火打ち上げを検討する、土浦花火館を創設するーなどを提言し、長期ビジョン「土浦の花火百年の計」を策定するよう求めている。 会場は現行の桜川河川敷が適地 ①恒久的・安定的に花火競技大会が運営できる会場の設定②年間を通じた花火のまちの創出③花火に関する拠点とネットワークの整備ーの3点を提言している。 会場については、現在の同市佐野子、桜川河川敷は、全国花火競技大会の中でも日本一臨場感がある、駅から会場まで交通アクセスが良いなどから、現在の会場が適地だとした。一方、近年は開催時期に大雨が相次ぐなどしていることから増水対策など改善を図るよう提言している。 一方、長期的な取り組みとして50年先を見据えて、大会会場を買収し市有地化する、会場を防災公園として整備し、花火大会開催時は、打ち上げ場所、観覧席、保安距離区域などの安全を確保することが考えられるとしている。さらに100年先を見据えて、霞ケ浦湖上、土浦港周辺、霞ケ浦総合公園など会場移転の研究を進め、霞ケ浦周辺自治体と連携した広域大会の可能性も研究するよう提言している。 年間を通じた花火のまちの創出については、春夏秋冬と四季ごとの打ち上げを提言し、例えば、春は桜川畔の夜桜と花火が競演する「桜花火」、夏は土浦新港で二尺玉の打ち上げが見られる「キララ花火」、秋は「土浦全国花火競技大会」、冬は水郷イルミネーションとコラボした「ウインターイルミネーション花火」の打ち上げを提言している。 さらにコロナで中止となった花火大会の代わりに20年と21年に市が打ち上げたサプライズ花火を「コロナ禍、密の回避と共に、沈滞した人々の心を元気づけた」と評価し、これを応用し、企業や個人が記念日や祝い事などにプライベート花火を打ち上げられる仕組みをつくる、花火競技大会のライブ配信を継続するなどを提言している。 常設の資料館創設で拠点化 拠点とネットワークの整備については、総合的な情報発信拠点として「土浦花火館」など常設の資料館を設置し、観光スポットになるような、プラネタリウムなどで実物大のバーチャル花火を体験できるコーナーを設けたり、花火に触れ合えるイベントを開いたり、小中学生が花火の歴史や花火の作り方を学んだりする施設の創設を提言している。 ほかに、花火競技大会の運営をサポートするボランティア団体「土浦花火倶楽部」の創設、市の玄関口となる土浦駅前の市役所庁舎壁面への花火プロジェクションマッピングの実施、花火関連事業者の市内誘致、花火に関する土産品、グルメ、家庭用花火などの商品開発支援、インターネットや雑誌などを活用した情報発信の強化などを提言している。 提言は同会議所創立75周年にあたり、25日市内で開かれた通常総会に合わせて発表された。来賓として総会に出席し、提言を受け取った安藤市長は「提言を重く受け止め、先人が築き上げてきた宝をもっと磨き上げて、チャレンジさせていただきたい」などと話した。具体的には、今後検討したいとしている。 毎年秋に開催される土浦全国花火競技大会は、秋田県の大曲、新潟県の長岡と共に「日本三大花火」と称され、県内のほか首都圏各地から例年70万人が訪れる。一方、2018年と19年の大会は事故によりけが人が出て途中で中止、20年と21年は新型コロナの影響で中止となっている。 こうした状況を踏まえ、商工会議所は昨年8月から企画委員会(大山直樹委員長)で検討を重ね、提言に至った。(鈴木宏子)

7事業者が提案、イノベーション拠点誘導に厳しい意見も つくば市吾妻70街区

昨年実施されたつくば駅近くの吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地約5.7ヘクタールの土地利用調査について(2021年10月26日付)、財務省関東財務局とつくば市は18日、民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)結果を公表した。 財務省など市場調査結果を公表 土地活用の意向がある建設業者、不動産業者など計7事業者が参加し、マンションや戸建て住宅、商業施設、イノベーション施設などの提案があった。今後、関東財務局とつくば市が議論して開発の条件などの活用方針を検討し、二段階一般競争入札=メモ=で処分を行うとしている。関東財務局によると今後のスケジュールは未定という。 提案があったのはほかに、スーパーや飲食店、学習塾、書店、無人店舗など生活支援施設、社宅、学生寮、シティホテル、コワーキング施設、教育施設など。 「理念より現状把握を」「行政の補助必要」 つくば市が中心市街地まちづくり戦略で掲げている、研究学園都市の研究成果や最先端技術を実現する場となる「イノベーション拠点」の誘導に対しては、「2000坪をイノベーション施設、残り2000坪をオフィスとするイノベーションエリアの開発を想定する」(2000坪は約6600平方メートル)などの提案があった一方、「イノベーション拠点は一定規模導入可能で、近隣のスタートアップ施設とニーズの取り合いにならないよう差別化を図るが、今後の需要調査でニーズを把握し慎重に判断することが必要」「活用方針であるスタートアップ支援施設などは、周辺の既存施設に多数存在するが十分に活用されていない。理念より現状を正確に把握した上で市民にニーズのあるものを整備することが最優先」など厳しい意見も出され、市場のニーズと市の方針に乖離(かいり)があることが浮き彫りになった。 さらに70街区にイノベーション拠点を整備する場合の事業者が参加しやすい仕組みとして、「イノベーション施設は収益性が低く、行政の支援など積極的な協力、関与を希望する」「補助金、土地を安く貸す、施設の運営を市が行うなど行政の補助が必要」など、行政の支援を求める意見が出された。「ラボを整備する場合、危険物の貯蔵が必要となるケースがあり、第二種住居地域や近隣商業地域の用途では十分な貯蔵容量を確保できない。危険物貯蔵量の緩和など行政の特段の配慮を要望する」などの意見もあった。 こうした市場ニーズに対し、つくば市学園地区市街地振興課は「イノベーション拠点については厳しい意見もあるが、そうでない意見もある。市場ニーズは把握できたので、調査結果をもとに国と調整したい」としている。 事業コンセプトや事業内容については、ほかに「おしゃれで高級感のあるつくばらしい街づくりをする」「新たな買い物体験の場であるイノベーティブショッピングセンターを形成する」「スーパーは3000~4000坪を想定する」「商業施設、マンションの規模はマーケット分析を行い慎重に検討する」などの意向が示された。 処分方法については、売却、定期借地、PFIなどさまざまな意見が出た。処分時期も「可能な限り早く」「柔軟に対応可能」などさまざまな意見があった。(鈴木宏子) ※メモ【二段階一般競争入札】開発の条件をあらかじめ設定し、入札参加者から土地利用の企画提案書を提出してもらい、国が設置する審査委員会で開発条件との適合性を審査した上で、審査通過者による価格競争で落札者を決定する入札の方法。

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