【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大によりアルバイトの収入が大きく減り、生活に影響が出ている学生が少なくないとされる。経済状況の悪化を受けて国は、家賃を肩代わりする住居確保給付金の支給要件に関して就職活動条件を一部緩和した。これにより筑波大などの大学生も支給対象になった。しかし対象となる学生はごく一部に限られる。
筑波大学や筑波学院大学など全日制の大学に通う学生であっても、要件を満たせば支給対象になるが、つくば市社会福祉課によると、対象は「扶養されておらず社会保険料を自ら支払っている」など、親から独立していて学費も生活費も自分でまかなっている学生に限られるとする。
同課は「学生を対象にした修学支援制度や奨学金拡充などの制度があるのでそちらを案内している」としている。
ハローワーク要件不要に
住宅確保給付金は収入の減少などにより経済的に困窮し、住居を失う恐れのある人などが家賃を代わって支払ってもらえる制度だ。原則として3カ月分、最長9カ月が対象となる。支給金額はつくば市の場合、単身世帯が1カ月3万4000円、2人世帯が4万1000円、3~5人世帯が4万4000円となる。
もともと仕事が無くなり経済的に困窮して、住まいを失ったり失う恐れがある人が支給対象だった。新型コロナウイルスの感染拡大により、仕事が無くなってはいないものの、離職などと同程度の状況にあり、住まいを失う恐れがある人などにも4月30日から支給対象が拡充された。
支給要件は従来、ハローワークで月2回以上職業相談をすることなどが要件だったが、「誠実かつ熱心に求職活動」とすることに緩和され、ハローワークへの求職申込などが不要になった。
支給対象者のうち学生について、厚労省は「もっぱらアルバイトにより学費や生活費を自らまかなっていた学生が、これまでのアルバイトがなくなったため住居を失う恐れが生じ、別のアルバイトを探している場合いも、収入要件や資産要件を満たせば、当分の間、例外的に支給される」とする。
例として「児童養護施設を出て大学に通う学生など」を挙げ、「事情により両親を頼ることができず、扶養に入ること等もできない学生」と規定する。
行政は修学支援や奨学金を推奨
学生向けの支援として行政が勧める修学支援制度は、授業料や入学金の減免や減額と、給付型奨学金の支給を受けられる制度で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で父母の収入が大きく減った場合(4人世帯の目安は380万円以下など)も支給対象になる。
奨学金は無利子(目安年収は約800万円以下)と有利子(同約1100万円以下)があり、新たに申し込みができる。すでに貸与奨学金を利用している学生なら利用額を増額することもできるが、こちらはあくまでも借金で返済が必要だ。