【山口和紀】新型コロナウイルスの感染が首都圏で急速に広まっていることから、筑波大学(つくば市天王台)は2日までに、4~9月の春学期について、教室での授業は行わず、オンライン授業を基本にすると発表した。
同大学はこれまで、入学式を中止し、さらに学生には2週間以上、宿舎やアパートなどで健康観察をした上で、新学期の開始を3週間遅らせるとしていたが、大幅な見直しとなる。
同大は3日、学生に対し帰省を促すのではなく、現在の居住地(実家も含む)に待機し、できるだけ移動を避けるよう改めて呼び掛けた。春学期は基本的に、宿舎やアパートまたは帰省先の実家など遠隔地からパソコンを通して授業を受けることになる。
一方、実験などどうしても対面での授業が必要な科目については、大学の新型コロナ感染症リスク対応チームの指示が出るまで実施できないとしている。ただし教員が日常的に学生の健康状態を把握している研究室など少人数での実験や演習の場合は、マスクを着用し、検温を行った上で、換気をし、密閉された空間でないことを条件に実施できるとしている。
一方、実家などに帰省せず、やむを得ず宿舎やアパートにとどまる場合は、不要不急の外出を避け、健康管理を徹底して生活するよう呼び掛けている。
4月、5月に学生宿舎に新たに入居を予定していた新入生などに対しては3月28日時点では、2週間以上の健康観察期間をとるため4月6日までに引っ越してくるよう要請していた。しかし今回、引っ越しを延期して自宅待機を要請している。荷物を宿舎宛てにすでに送ってしまった学生に対しては大学が荷物を受け取り各部屋に届ける。すでに引っ越してきた新入生への資料など配布物は各学群などで受け取ってもらう。受け取りに来られない学生には実家などに郵送するという。
その上で全学生に対して、手洗い励行やマスク着用などのほか、人混みには行かない、毎朝体温を測り平熱であることを確認することなどを求めている。
オンライン授業の形式について詳細は明らかになっていない。形式によっては、パソコンを所有していない学生やデータ通信量に制限があるモバイルルーターなどを使用する学生に大きな負担をかけることになる。また大学には、手に麻痺がある、耳が聞こえないなど障害のある学生も多く在籍している。誰ひとり取り残さない授業環境をオンラインでどのように作るのか。懸念点も多い。
➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら