土曜日, 4月 27, 2024
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実証実験同意の個人情報を漏えい つくば市立保育所の保護者27人分

実験は中止 つくば市は25日、民間企業が市立保育所2カ所で予定していた実証実験で、実験に参加することを同意した保護者の個人情報が、6日から11日の6日間、他の参加同意者に閲覧できる状態になっていたと発表した。市は個人情報の不適切な取り扱いがあったとして、今回の実証実験は中止するとしている。 市科学技術戦略課によると、漏えいしたのは、保護者の氏名、メールアドレスと、子供の発達状態に関するアンケートを集計した概要。アンケートの概要は、保護者個々人の氏名などと紐づけされたものではないという。 先端技術を活用し子育て支援サービスを開発、提供するエフバイタル(東京都中央区、安島真澄社長)が作成したインターネット上の回答フォームで、実証実験に同意した保護者が、他の保護者の氏名などを閲覧できる状態になっていた。 同社は昨年10月、同市と「先進技術を活用した子育て支援及びSDGsの推進に係る包括連携協力協定」を締結した。協定に基づいて、市立保育所2カ所で、3~5歳の園児の保育所での様子を動画で撮影し、人工知能を活用して行動の特徴や傾向を解析し、得られた結果を保育所で活用する可能性について検証する計画で、6日から回答フォームで保護者に参加を募っていた。 11日午後6時ごろ、保護者の一人から、他の保護者の回答内容が閲覧できる状態になっていると市に連絡があり発覚した。 市は同社に対し、保護者の回答情報を閲覧できないよう速やかに設定を変更するよう指示したとし、さらに27人を含む2カ所の保育所の3~5歳児の保護者全員に、市と同社がそれぞれ謝罪し対応状況を知らせたとしている。 原因について市は、エフバイタルがオンライン回答フォームを作成した際、設定を誤ったためだとし、同社に対し、検証と再発防止策を求めているとしている。今後の同社の実証実験について市は、現時点で未定だとしている。

つくばオフィスをオープン バックオフィスのタスキー

経理や労務などの業務を後方から支援するバックオフィス総合支援事業のタスキー(本社 東京都中央区、青谷貴典社長)は22日、つくば市二の宮に「つくばオフィス」をオープンした。同グループの拠点としては5カ所目となる。つくば市内のホテルで21日、関係者約200人を集め記念式典が催された。 つくばは人口増加が続き、集積する研究機関を中心にスタートアップ企業が生まれ続けていることから、ローカルビジネスやスタートアップビジネスを支援しようと開設した。 つくばオフィスは、スタートアップ企業の創業支援や、中小企業の会計、税務、人事、労務などを支援する。公認会計士の菊池友博さんが所長を務め、公認会計士、税理士など4人が配属される。 会計ソフトなどを開発するマネーフォワード社のクラウド型会計ソフトを積極的に活用し、業務を代行する企業の日々の取引データの入力などを効率化して会計業務にかかる時間を大幅に短縮。さらに給与計算、売上管理、労務管理、経費精算などをネットワーク化することなどが特徴だ。 地域開発を行うグループ会社のBTも同オフィスに拠点を置く予定で、外食産業の坂東太郎(青谷英将社長)と、筑波山麓でフォトウェディング事業や複合施設運営事業などの地域開発を行う。 タスキーは2018年に設立された。バックオフィスのDX化が強みで、バックオフィス総合支援事業、HR(人材)ソリューション事業、経営コンサルティング事業を3つの柱としている。マネーフォワード主催のフォワード・アワード2021では「バックオフィス改革 チャレンジ賞」を受賞した。 タスキーグループは、グループを統括するタスキ―を中心に、士業業務を担うタスキー税理士法人、タスキー社会保険労務士法人、バックオフィスアウトソーシング事業を運営するB-tas、地域開発事業を担うBTの5社から構成されている。グループ全体で、公認会計士、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士、行政書士など計32人のスタッフがいる。 21日の記念式典であいさつした青谷貴典社長(44)は「坂東太郎、青谷洋治会長の次男として生まれ、両親が事業を大きくしていくのを見てきた。社員や地域のために、坂東太郎の後を継ぎたかったが、公認会計士の道を目指した。主に仙台で仕事を学び、自分のふるさと茨城の地で事業を始めることになった。人手不足など経営者の悩みに沿った運営をしていきたい」と語った。 つくばオフィスの所長を務める菊池友博さん(34)は「人と人をつなぎ未来へたすきをつなぐということで、会計、労務、人事、情報サービス、ウェブサービスなど専門的な業務を総合的にやっていく。スタートアップ企業の多いつくばという地で役立ちたい」と意気込みを語った。 式典ではつくば市の五十嵐立青市長、筑西市の須藤茂市長、阿見町の千葉繁町長、境町の橋本正裕町長のほか、桜井姚つくば市商工会長、岡田広元参議院議員らが祝辞を述べた。続いてマネーフォワードSMB事業推進本部の服部穂住さんが「企業を成長させる組織づくりとは」というテーマで記念講演し、中小企業のDX化やバックオフィスの重要性などを語った。(榎田智司)

理解を増進する必要施策は【LGBT法、つくば市議アンケート】上

性的マイノリティーに関する理解を広める「LGBT理解増進法」が昨年6月施行され、市町村は、地域の実情を踏まえ、性の多様性に関する国民の理解を増進する施策を実施するよう努めるとされた。NEWSつくばでは、つくば市議のLGBTに対する考えを知るべく、昨年、市議26人を対象にアンケート調査を実施した。回答があったのは16人。結果と当事者の声を3回に分けてお伝えする。 「胡散臭い」投稿きっかけ 同市議会の五頭泰誠議長が昨年2月、自身のツイッターに「やはり、LGBTを声高に主張する人。胡散(うさん)臭い」と投稿したことが、記者が調査を実施する契機になった。五頭議長は数日後に自身の投稿を削除。同年4月には、県内のLGBT当事者団体「にじっぺ茨城」(永瀬大紀代表)と懇談し、翌月、投稿に関する釈明文をフェイスブックで公開した。だが、釈明文の中で、トランスジェンダーと「女性」「子ども」の権利が対立するかのように書くなど、特にトランス女性に対する発言に記者は違和感をもった。 その直後、記者は、何人かのLGBT当事者に五頭議長の発言に対する思いを聞き、依然としてLGBTに対する差別が根強い社会だからこそ、公人の差別発言でさえ黙認されてしまうのではないかと問題意識を持った。 研修、事例集、相談窓口 まず「LGBT理解増進法に関連して、つくば市では、どのような施策が必要だと思いますか?」と質問し、50字程度で書いてもらった。 各議員の回答は「市職員への研修の実施」「性的少数者に配慮した対応事例集の作成」「相談窓口の設置」などを挙げる議員が多かった。 市男女共同参画室によると、つくば市では、申請書類の性別記入欄をなくす、または男・女どちらかを選択するのでなく記述式にする取り組みや、LGBT当事者を講師とする理解啓発のための市民向けセミナーを行っているという。市にはLGBTに特化した相談窓口はないが、各行政窓口で性の多様性に配慮した対応をするためのハンドブック作成を検討中だとしている。 市人事課によると、市の全職員を対象に、LGBTの基礎知識や当事者への対応事例を、専門の大学教授から学ぶ研修を22年度から数年かけて実施予定だとしている。22年度からは、市職員が取得できる看護休暇や結婚休暇の対象範囲を、配偶者だけでなく同性パートナーにも広げた。 各議員の回答は以下の通り(敬称略、議席番号順)。 ▽小村政文 当事者の声を反映させた形で、市民全体に対し、多様性の理解を深め、「平等が当たり前」な社会に近づくような施策。具体的なやり方は、当事者と慎重に話し合って決めたい。 ▽川久保皆実 LGBT理解増進法第 5条及び第10条第1項に基づき、学校教育や市民への講座・広報等において性的少数者への理解増進のための取組を実施。性的少数者に寄り添う相談体制の整備。 ▽川村直子 市職員、教職員がLGBTQへの理解を深める研修を受講すること(実際に現在進行中)。非正規職員や、市の業務委託先等である、保健、高齢、障害分野等に関わる施設の方への研修も必要。 ▽中村重雄 性的少数者に配慮した対応事例集を作成する事。 ▽あさのえくこ キレッキレのチラシを作り、全戸配布(「生活保護は権利」のチラシを全戸配布して認知度をあげている自治体を参考に回答)。相談先明記パンフレットを、つくスマアプリで配布。 ▽山中真弓 世田谷区のようなパートナーシップ制度を導入する。東京都もやっている。 ▽小森谷さやか つくば市では、全ての職員・教職員への研修が始まり、「まずは知ること」の第一歩は踏めていると思う。今後は申請書類等の男女別記載の工夫や、学校等公共施設での誰でもトイレ・更衣室設置等でしょうか。当事者の声を聞きながら一緒に考えていきたい。 ▽高野文男 つくば市議会では昨年7月、市民経済委員会が世田谷区の「男女共同参画と多文化共生を推進する取組」を学んだ。市が、LGBTの支援団体と連携し、多様性の理解を深める活動を学びながら、啓発することから始めるべきだ。市が中心市街地等に相談窓口を設置し、運営やイベント企画を当該団体に委託することも必要だろう。 ▽黒田健祐 まずは職員、市民への啓発を促進する事が大切。 ▽皆川幸枝 設問に例示された、埼玉県などの「性の多様性に配慮した地域の企業を評価、公表する」取り組みは、多くの人がLGBTQへの理解を進めていく上で有効だと考える。 ▽五頭泰誠 回答無し ▽木村清隆 LGBTを知りサポートするためのガイドラインを創り、誰もが自分らしく生きることを認め合う社会をめざし研究して、「性の多様性の尊重に関する条例」法整備に取り組む。 ▽浜中勝美 理解増進の意識調査やアンケートの実施。 ▽橋本佳子 パートナーの方々も利用できる行政サービスを見直し、利用できる施策の一覧を公表する。行政窓口等において、性的少数者に配慮した対応事例集を作成する。相談窓口を開設する。パートナーシップ制度の導入。 ▽小野泰宏 自治体職員向けガイドラインの制定と公開。相談窓口の設置と住民に正しい理解を促すための取り組み。 ▽金子和雄 法律が施行され、多様性に関する国民の理解と増進が求められる。特に一人ひとりの人権を守る取り組みの推進です。つくば市の男女共同参画推進基本計画でも多く触れられているが、協働して活動を進めたい。 ほかの法整備「必要」は13人 次に「LGBT理解増進法のほかに、LGBTなどの性的少数者に関する法整備は必要だと思いますか」と質問した。「必要、どちらかといえば必要、どちらかといえば必要でない、必要でない」のいずれかを選んでもらい、その理由と、必要だと思う場合は、その具体的な法整備の内容を、それぞれ50字程度で書いてもらった。 回答のあった16人のうち、13人が「必要」または「どちらかといえば必要」と回答した。具体的な法整備としては、差別を禁止する法律や条例の制定、同性婚を認める民法改正などが挙げられた。一方、3人が「どちらかといえば必要でない」と回答した。理由としては「まずは既存の法律を活用していくべき」などがあった。「必要でない」と回答した議員はいなかった。 ▽小村政文 必要 (理由)同性婚が可能な国にしたいから! (具体策)戸籍法74条における異性婚を前提とした「夫婦」という単語から「両者」などの表記に改める整備。 ▽川久保皆実 必要 (理由)LGBT 理解増進法は、あくまで理解増進のための取組を努力義務とするもので、性的少数者に対する差別解消のための直接的な法的根拠とはならないため。 (具体策)性的少数者のみならず、人種差別、性差別、障がい者差別などを包括的 に禁止する法律の整備。 ▽川村直子 必要 (理由)LGBT理解増進法はマジョリティの視点に立つ内容。少数者であるLGBTQの人権を守り、差別を明確に禁止し、少しでも不利益を解消する法律が必要なため。 (具体策)アウティングの禁止等、個別具体的な取り決めをする「差別禁止法」。希望するすべての人が結婚出来るように、同性婚を認める「民法」などの法改正。性別適合の要件を定める「性同一性障害者特例法」は非人道的な内容であるため、法改正が必要。 ▽中村重雄 どちらかといえば必要 (理由)前提としてLGBTについて広く認知されているのでは? (具体策)差別禁止条例・パートナーシップ条例 ▽あさのえくこ 必要 (理由)これは「理念法」であるので、「正法」を定め、差別解消実施計画等について縛りのある取り決めができるようにすべき。(具体策)権利擁護という点でさまざまあると思うが勉強不足のため今後勉強します。 ▽山中真弓 必要 (理由)法的に認められていなければ、家族と同様の権限が与えられないため。(具体策)同性婚・登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を整えている国と同様な、法整備を行う。差別的な扱いをした人、会社等への罰則制度も作る。 ▽小森谷さやか 必要 (理由)差別禁止法に向けて継続的に働きかけていくことが必要。問題となった「~不当な差別はあってはならない」という表現を一刻も早く削除してもらいたいです。(具体策)「LGBT差別禁止法」をつくること ▽高野文男   必要 (理由)LGBTの方、そうでない方、双方が不安を感じずに生活や仕事が出来るようにする為 (具体策)LGBTの方、そうでない方、双方が不安を感じずに生活や仕事が出来る社会にする為の法整備 ▽黒田健祐 どちらかといえば必要でない (理由)様々な議論を経て出来た現行法の運用をまずは進めるべきと考える。  ▽皆川幸枝 必要 (理由)LGBTQカップルでも婚姻と同等の権利が認められるような法整備をしていくべき。(具体策)今後、調査・研究して参ります。 ▽五頭泰誠   どちらかといえば必要でない (理由)私のSNSにて、表記しています。ご一読ください。  ▽木村清隆 必要 (理由)LGBTに関して様々な立場で、自由でありつつも、理解し合う、守り合う仕組み(法整備)が必要。(具体策)詳細な法整備に至る前に、LGBTを理解しあえる社会を創る事が大切。LGBTを思い込みや一部の報道・噂などで得た情報・知識で、法整備に対して良し悪しを判断するのは問題が起きる。 ▽浜中勝美 どちらかといえば必要でない (理由)まずは、この法や既存の取り組みを活用して様々な運用をしていくことが必要。 ▽橋本佳子 必要 (理由)同法は差別禁止ではなく、あくまでも国民に知らせ基礎的な知識を広げるという目的だから。(具体策)同性婚を認める民法改正。LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的少数者の権利保障と理解促進を図る。 ▽小野泰宏 必要 (理由)誰もが暮らしやすく差別を受けない社会を作るため、特につくば市は多くの海外出身者の方が住んでいるため。(具体策)性的少数者の方々への差別を禁止する条例、パートナーシップやファミリーシップ制度等の施策導入を柱とする計画の策定。 ▽金子和雄 必要 (理由)多くの国民が同じ待遇を受けられない限り、その人に合った利益が地域から活動報告で知ることができる。不便を感じるし、生活にも苦労する。(具体策)提案者と協働で学びながら努めたい。 10人が回答なし なお宮本達也、長塚俊宏、神谷大蔵、小久保貴史、木村修寿、塚本洋二、飯岡宏之、鈴木富士雄、塩田尚、久保谷孝夫議員の10人からは回答が無かった。(川端舞) 続く

高齢者がスマホ予約に挑戦 AIで乗合タクシーを便利に【公共交通を考える】4

高齢化が進むつくば市茎崎地区を対象に12月1日から、同市が運行する乗合タクシー「つくタク」のスマホ予約実証実験が行われている。スマートフォンで専用アプリを開き、乗車時間と場所、目的地を入力して予約すると、AIが自動生成したルートで複数の客を乗せながら効率良く目的地まで運行するという実験で、AIオンデマンドシステムと呼ばれる。来年2月29日まで3カ月間実施される。 「分からない」手を挙げる人続出 実証実験に先立ち11月21日、茎崎交流センターで、自分のスマートフォンからネット予約するための説明会が開かれ、60代から80代の高齢者56人が市職員らのサボートを受けながらネット予約に挑戦した。 つくタク利用者の8割を高齢者が占める。アプリを用いた予約に慣れてない高齢者が説明会に集まった。説明会は、高齢者が自分のスマートフォンに、QRコードからアプリをダウンロードすることから始まった。会場から「分からない」と手を上げる人が続出し、サボートにあたった市職員ら8人が1人ひとりに向き合って操作を支援した。 参加した同市自由ケ丘の民生委員で70代の男性は「みんなに教えないといけないから」と、前かがみになりながらスマートフォンの画面に目を凝らした。森の里の谷中絹代さん(80)は「外出にはつくタクを利用している。予約は当日利用が朝8時半から、当日以外は正午からと決められていて時計を見ながら予約している。操作ができると予約が便利になると聞いて来たが、インストールとかタップとか用語が分からないし難しい」と話した。 実証実験を推進する市科学技術戦略課は来年1月10日まで、同センターのほか茎崎地区の各所でスマホ相談会を開いて普及に努めている。森の里の自治会長、倉本茂樹さん(81)は「つくタクを利用するのは75歳以上の後期高齢者が多くを占めると思う。スマホ操作に不慣れな状況を踏まえて、高齢者でも使いやすいシステムにしてほしい」と、操作に不安な高齢者をおもんばかった。 25年度にネット予約導入へ 国交省の「スマートシティモデル事業」に選定された同市は、筑波大学、KDDIをはじめとする47機関で構成する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青市長)を設立。先端技術を取り入れて都市が抱える問題を解決する事業に取り組んでいる。つくタクの実証実験は、市と同協議会、AIを活用した効率的な配車システムのノウハウを持つ民間企業との連携事業で実施されており、同地区で使用されている8人乗りジャンボタクシー3台のうち1台が実証実験に使われている。 つくタクは現在、市内5つの地区(筑波、大穂・豊里、桜、谷田部、茎崎)ごとにオペレーターが電話予約を受け、2011年の運行開始以来、人手作業による配車を実施している。運行は1時間に1便で平日の午前9時台から午後5時台まで。年約4万4000人が利用し、そのうちの8割が高齢者で買い物や通院目的での利用が主体となっている。 同課がまとめた今年4~8月のつくタク利用実績によると、利用者数は5カ月間で2万590人で、前年度同期と比較して158人(0.7%)増えている。月別利用者数や地区別の1時間毎の利用者数などは地区によって増減が見られる。乗合率は全地区平均で52%(昨年は51%)と、ほぼ半数が1人での利用となっている。 一方、全ての地区で予約のお断り数が増加してキャンセル待ちが生じており、利用者からは「予約をとるのが面倒」「予約センターが混み合い、予約できない」など改善を求める声が挙がっている。 茎崎地区では3カ月間にわたる実証実験の後、利用者数や運行距離などのデータ、利用者とつくタクを受託している事業者の感想や要望などを元に検証が行われる。つくタクの運行を担当する市総合交通政策課は、現状の人手による電話予約に加えて2025年度から、24時間いつでもネットで予約受け付け可能なAIオンデマンドシステムを導入することを検討している。(橋立多美) 続く ➡「公共交通を考える」の過去記事はこちら

つくばの児童養護施設にサンタがプレゼント 商工会青年部

クリスマスの25日、サンタクロースやトナカイ姿の商工会青年部メンバー21人がつくば市前野の児童養護施設「筑波愛児園」(小林弘典施設長)を訪れ、クリスマスケーキやチキン、お菓子、おもちゃなどのプレゼントを子供たちに届けた。 同園には、様々な事情で家族と暮らせなくなってしまった幼児6人、小学生15人、中学生14人、高校生11人の3~18歳の計46人が生活している。子供たちは毎年、訪問を待ちわびている。 新筑ブロック商工会青年部連絡協議会(会長・佐藤武志)が実施した。同連絡協は、つくば市や土浦市など旧新治・筑波両郡の45歳以下で構成される5つの商工会青年部でつくる。同園への訪問は2008年に始まり、プレゼントは今年で16回目。各青年部の負担金と企業などからの寄付でまかなっている。 サンタやトナカイ姿のメンバーは、子供たちが生活している各部屋に出向き、全員にチキン、各部屋ごとに8つのクリスマスケーキと、1500個を超えるお菓子などのプレゼントを子供たちに手渡し、大喜びのクリスマスとなった。 同連絡協ブロック長の佐藤さんは「子供たちの笑顔を見ると本当にやって良かったと思う。これからもずっと継承していきたい」と話した。 同園の小林施設長は長きにわたる支援に感謝し、今後も続けてくれればありがたいとあいさつした。(榎田智司)

もっと“ムダ”なことを つくばで障害者の青春を語り合うトークイベント

9日 障害者週間 知的障害がある若者たちの「青春を楽しみたい、もっと学びたい」という思いを実現させる学びの場「福祉型専攻科シャンティつくば」(つくば市天久保)が、障害者週間(12月3~9日)最終日の9日に、市内でトークイベント「知的障害者の豊かな人生を考える学習会」を開催する。シャンティつくば代表の船橋秀彦さん(68)にイベントへ向けた思いを聞いた。 選択肢が欠如 「普通」の若者のように、仲間とたくさん“ムダ”なことをして青春を楽しみ、夢や希望を見つけてほしいー。そう語るのは、障害のある子を持つ保護者らによって2016年に設立されたシャンティつくば代表の船橋さんだ。 「福祉型専攻科」は主に知的障害や発達障害がある若者が中等教育卒業後、社会生活に欠かせない力を伸ばすための、「就労」「就学」とは異なる「第3の場所」として、近年、全国で拡大している。利用する人は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス「自立訓練(生活訓練)事業」等の制度を活用し、2年から3年間通うことができる。 シャンティつくばでは現在、特別支援学校や高校を卒業した7人が、月曜から金曜の午前9時から午後3時まで、詩作、外国語、パソコン、芸術、性や人権教育の授業を通じて自己表現を学び、地域活動にも参加している。福祉型専攻科の意義を船橋さんは、「社会に出る前の『自分探しの場』」だとし、背景に「障害者の進路選択肢の狭さ」が問題にあると指摘する。 文科省によると2021年、一般高校を卒業した約75%が大学、専門学校等へ進学したのに対し、特別支援学校高等部の卒業生の同進学率は約2%。その中でも知的障害がある人に至っては0.5%と、一般高校卒業生との差は大きく、障害のある若者の90%以上が社会福祉事業所に入所・通所するか一般企業に就職している。障害のある若者には、大学や専門学校で勉強やスポーツに打ち込んだり、仲間と他愛のない時間を過ごす中で将来を選択する時間を得る機会がないのが現状だ。 船橋さんは「(障害のある若者の)進路選択では就職が前提となるため『できる・できない』が重視され、『できない』人だと分けられ傷つく人がいる」とし、「できないことへの劣等感から自信をもてず、自分が何に関心があり、どんな人生を歩みたいか表現するのを怖がる人がいる」と言う。「障害があることで劣等感を持つことなく、『自分は自分でいい』と気づいてほしい」と力を込める。 「できる」ことより「やりたい」思いを 「夢や希望を育てていくことが、豊かな人生を歩む第一歩。友達とワイワイやって、周りがムダだと思うことをたくさんしてほしい。青春期に経験する『ムダ』なことから自分の生き方を見つけられるはず。長い人生を考えると、そんな“ムダ”が人生でぶつかる困難を乗り越える力になる」と船橋さんは話し、「知的障害があっても青年期に楽しく豊かに色々な経験を積むことで自分探しができる。それはアイデンティティの形成に大きな意味を持つ」とし、「自分は自分でいい。そう思ってほしい」と、今回の企画への思いを語る。 9日に開催される「知的障害者の豊かな人生を考える勉強会」では、トークイベントのゲストに、筑波山麓を拠点に知的障害者や精神障害者らが農業やアート活動に取り組む場を作る自然生クラブの柳瀬敬さん、つくば市内で放課後等デーサービスなどを行うにっこりの森の菊池涼代さんらのほか、障害のある子を持つ親たちも登壇する。(柴田大輔) ◆トークイベントの会場はつくば市春日2-36-1、春日交流センター。スタートは午前9時50分から。入場無料、予約不要。問い合わせは福祉型専攻科シャンティつくば(メール、電話029-893-3970)へ。

日越国交50周年 関彰商事とハノイ工科大が記念事業

ジョブフェア、日系企業向け最大のイベントに 日本とベトナムが1973年9月21日の外交関係樹立から今年で50周年を迎えたのを記念し、関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)は3日、ハノイ工科大学のフィン・クェット・タン学長らを招き、同大学へのスポンサー契約更新の調印式と日越外交樹立50周年の記念品贈呈式を行った。 関彰商事は2016年にハノイに駐在員事務所を設立、同年からグループの人材派遣会社セキショウキャリアプラスがハノイ工科大の協力を得て、同大学で合同企業説明会「セキショウ・ジョブ・フェア」をスタートさせた。同フェアは今年で第10回を迎え、日系企業のベトナム高度人材採用およびベトナム人求職者の就労サポートに貢献している。 18年からは同大学との間にスポンサー契約を締結。19年にはサッカー部を日本に招き、鹿島アントラーズFCや筑波大学蹴球部などの協力を得て、交流試合やサッカー教室を開催するなど活動支援を行ってきた。 今回のスポンサー契約更新について、関社長は「16年のベトナム進出以来、同大学には非常にお世話になっている。今年のジョブフェアは2600人の参加者を集め、同国で最大の日系企業向けイベントとなった。今後も人材関連事業のみならず、同大学やベトナムとの関係拡大・深化につながる取り組みを継続発展させ、相互文化理解の促進など両国の架け橋として大きな役目を果たしていきたい」と述べた。 ハノイ工科大のフィン・クェット・タン学長は「関彰商事にベトナムの若者が大勢勤務していることを知ってうれしく思う。社員とも意見交換したが同社とハノイ工科大の間には共通の教育理念があると思う。それは誠実で優秀な人材を輩出し、グローバルに活躍してもらうことだ。学生が日本の企業でより良く働けるよう、日本の文化に詳しくなる機会なども提供していきたい」と語った。 筑波大学とサッカーで交流も 今回の招聘(しょうへい)にはハノイ工科大のサッカー部員3人も同行。記念行事として同日、筑波大学セキショウフィールドで、ハノイ工科大と関彰商事サッカー部の混合チームが、筑波大蹴球部と交流試合を行った。 ハノイ工科大はベトナムでは強豪とされるが、日本の大学サッカー界でトップレベルにある筑波大との対戦を経験し、選手たちは「(筑波大は)技術や体力、チームワークも優れている。貴重な機会をいただけた」「楽しく参加させてもらった。今日学んだことを生かし、もっと頑張りたい」などと語った。 試合を視察した関彰商事スポーツアドバイザーでU-22日本代表監督の大岩剛さんは「サッカーは言葉が伝わらなくても交流を深めることができる。今日の経験が彼らの将来の一助となってくれるといい。ベトナムのサッカーは近年非常にレベルが上がり、アジアでも注目度が高い。今後は日本にとっても強敵になってくると思う」と話した。(池田充雄)

新NISA開始を前に 水戸財務事務所長が各所で講演

来年1月から新NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が始まるのを前に、財務省水戸財務事務所の梅村知巳所長が県内の企業や市役所などの職場に出向いて、社員や職員らを前に新NISA制度の普及と活用促進に向けた講演を実施している。 1日にはつくば市竹園、筑波銀行つくば本部で「ライフプランに基づく資産形成~新NISA制度の活用」と題した講話を実施し、投資信託など預かり資産セールスなどを担当する行員約30人が聴講した。同行から依頼があり出向いた。 新NISAは、資産運用立国を実現し資産所得倍増プランを推進するという岸田政権の方針を受けて、来年1月から開始される。現行のNISAでは2023年までとされていた口座開設期間が恒久化し、年間投資枠が最大360万円まで拡大するほか、非課税で保有できる期間が無期限になるなど、制度が恒久化し抜本的に拡充される。 講話で梅村所長は、国の方針を説明した上で「経営者にとっては、従業員の資産形成に取り組むことで従業員の金銭面でのストレスを減らし、安心・安定した生活を提供することになる」「お金の運用に、遅い早い、多い少ないはない。税金が得なNISAは選択肢の一つ」「せっかく貯蓄や当面使わないお金があるのに運用しないのはもったいない」などと話し、「NISAは無税のため、リスクを低くして同じ運用成績が期待できる」などと話した。 聴講した行員からは「新NISA制度の内容や目的についてよく理解できた」「お客様の長期的な資産形成支援のために新NISAを推進していきたい」などの声が出た。同行では講話を録画し、全行員にウェブ配信するという。

11/7-20つくば市PayPayポイントが最大30%戻ってくるキャンペーン

つくば市は11月7日(火)から20日(月)まで、市内の対象店舗で電子決済アプリPayPay(ペイペイ)を使って支払いをすると、支払い額に応じて後日、ポイントが付与されるキャンペーンの第2弾を実施している。 エネルギー価格高騰の影響を受けている市民と、市内の中小事業者を支援するのが目的。 決済金額の最大30%のポイントが後日、付与される。ただし決済1回当たりの上限は5000ポイント。キャンペーン期間中の上限は1万ポイント。 市内の利用可能店のうち、中小企業や個人事業主が経営する店舗約3800カ所が対象で、対象店は店頭にポスターやのぼり旗を掲示している。大企業の系列店、チェーン店、フランチャイズ店、大規模店内の店舗などは対象外になる。アプリ上のマップで対象店を公開しているほか、つくば市ホームページでも対象店のリストを公開している。

貸出金残高初の2兆円台 筑波銀行が中間決算

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)は10日、2024年3月期第2四半期(23年4月から9月まで半年間)の決算を発表した。財政状況は、貸出金残高が前年度末比531億円増の2兆43億円となり、2010年の同行設立以来初の2兆円台となった。 エネルギー価格など物価高騰の影響を受けた地元中小企業の資金繰り支援や本業支援に積極的に取り組んだ結果、中小企業の貸し出しが増えたことに加え、TX沿線の宅地開発やマンション需要の増加に伴う住宅ローンなど個人向け貸し出しや、地方公共団体向け貸し出しが増加したことが要因。貸出金残高のほか、預金残高(2兆5844億円)、預り資産残高(3124億円)も第2四半期としていずれも過去最高となった。 生田頭取は「貸出金が初めて2兆円の大台に乗った。3行(関東銀行、つくば銀行、茨城銀行の)が合併した時の貸出金は1兆円だった。合併して13年、ワンチームとして皆で積み上げてきた結果」だとし、「2兆円をクリアし、一つの節目を通過した」と強調した。 増収減益に 連結の中間決算は、売り上げに当たる経常収益が前年同期比11%増の206億2300万円と増収となる一方、国債など債券の売却損の計上や外貨調達コストの増加に伴う経常利益の減少などにより、中間純利益は同比14.5%減の19億3000万円となり、増収減益となった。 経常収益は、銀行本来の利息や手数料で稼ぐ本業はほぼ順調に推移した一方、国債など債券の売却損の増加を、株式などの売却益で相殺した形という。 要管理債権が増加 一方、不良債権の状況は、正常債権から要注意の要管理債権にランクダウンした債権が前年度末の80億円から41億円増えて121億円となった。 生田頭取は「新型コロナの影響や、その後の原材料高、エネルギー高、人件費などから、企業が収益を出しずらく、キャッシュフロー不足になる先があった」とし「(新型コロナ対策として国が実施した無利子・無担保の)ゼロゼロ融資の返済も重なって要管理債権が増えた。これをどう支援していくかが当行の役目。膝詰めで(企業の)経営計画をつくって、どうすれば価格転嫁を図れるかや、販路拡大などの支援を一緒にやっていきたい」とした。

土浦と県西のAM中継局停波へ 来年2月から茨城放送

FM放送局への転換を進める茨城放送(本社・水戸市、阿部重典社長)が来年2月から、AM放送の停波実験に取り組む。放送免許の更新に当たり、1日、AM放送の土浦と県西(筑西市)の2中継局の停波を総務省に申請した。実験は半年間続き、これ以降閉局になると、土浦市では高津丘陵のランドマークになっていた高さ88.5メートルの送信アンテナが姿を消すことになる。停波実験は、特例措置として電波を半年間止め、影響を調べるのが目的。同社は、FM転換に向け、FM親局(加波山)に加え、つくば中継局(宝篋山)、日立中継局(高鈴山)にFM補完局を整備し、すでに放送を開始している。AMの2中継局を停波してもFM放送で100%カバーできる体制になっている。FM補完局は、周波数が古いタイプのラジオでも受信できる88.1MHzだが、県央部をカバーするFM親局の周波数は94.6MHzで、ワイドFM対応のラジオが必要になる。このため、今回の実験期間中も、AM親局(水戸、1197kHz)は引き続き受信可能とする。FM波とAM波は、音声を電気信号に変えて飛ばす仕組みが異なる。AM波は波長が長く広範囲に届くが、建物内で聴きづらくノイズが入りやすい。一方、FM波は波長が短く届く範囲がAM波より狭くなるものの、高音質で音楽の放送に適している。これまで、難聴地や災害の対策として、AM放送を同時にFMで放送するワイドFMの採用が進められてきた。AMからFMへの転換は、経営基盤の強化や効率的な放送事業の維持継続を図るために、民放ラジオ業界にとって喫緊の課題になっている。全国の民放AMラジオ企業でつくる連絡会が、FM局への転換を目指す方針を打ち出したのが21年6月。現在、44社が2028年をめどに転換を完了させる推進体制をとっており、その先陣を切る形で同社が申請に踏み切った。AMラジオのキー局であるTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送はいずれも実施しない。NHKは2025年度にラジオ第2を廃止、ラジオ第1は引き続き存続する。 来夏以降姿消す土浦のランドマーク 茨城放送は1963年4月1日に開局した、県内をカバーする唯一の民間放送局。土浦市上高津の同市旧市街を見下ろす高台にある土浦局(1458kHz)は65年1月20日に開設した。高さ88.5メートルの電波塔は、電波法上の呼び名で「空中線」といい、塔全体が送信アンテナになっている。アンカーボルトに5本ずつ3方向に繋がれた鋼索支線(ステー)は一度だけ交換されたそうだが、鉄塔それ自体は60年近く使い続けられている。50年とされる耐用年数はすでに過ぎ、更新が迫られている。AM波の特性から電波塔は高さを稼ぐ必要があり、敷地内にはアース線が埋められていて、現在地での建て替えは難しい。技術的には同一ポイントに同様の規模で新電波塔を設置して、並行稼働させて切り替える措置が求められる。資金的にも維持が困難なことから、FM補完局の整備を先行させていた。停波実験の終了する来年8月1日以降閉局になり、電波塔や建屋は早々に撤去される見込みだ。同社は1日「今後ワイドFMの周知徹底とともに、リスナー、スポンサー、自治体などステークホルダーの皆さまへの丁寧な説明を行い、ご理解とご支援をお願いする所存です」とするコメントを発表。同日から来年1月31日までの3カ月間を告知期間とし、停波期間中の半年間も番組やSNS、ホームページなどで周知、徹底を図っていくとしている。(相澤冬樹)

環境研、つくばこどもの森保育園など 自然共生サイトに認定

環境省の新たな取り組み「自然共生サイト」に、つくば市内から申請していた国立環境研究所(同市小野川、5月3日付)とつくばこどもの森保育園(同市沼崎、22年3月30日付)、戸田建設筑波技術研究所(同市要)の3カ所が認定を受け、25日認定証が授与された。 環境研とこどもの森保育園の両者は今後、環境研究機関と幼児教育・保育の専門家というそれぞれの強みを生かし、生物多様性とその恵みを次世代に伝える取り組みを連携して進めていくという。 自然共生サイトは、2030年までに地球上の陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するという国際目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」に貢献するため、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を認定する制度。広大な原生自然だけでなく、公園や事業所緑地などの身近な自然も認定対象としている。 ノウハウ共有も評価 環境研では、構内の敷地面積約23ヘクタールのうち、5.1ヘクタールを「つくば生きもの緑地in国立環境研究所」と名付け、植生保全優先区域とした。創設50周年を迎える同所は、構内緑地としてアカマツやコナラなどの雑木林を残しており、研究学園都市ができる前からの里地里山の自然が維持され、希少な動植物の生息も確認されている。 今回の認定では、同所が中心となって取り組んでいる「つくば生きもの緑地ネットワーク」の取り組みも高く評価された。つくばの研究機関や事業所などの構内にある緑地を、保全・管理のノウハウなども共有しながら適切に守り、地域の生物多様性の保全に貢献しようというものだ。「重要なのはきれいに管理しすぎないこと。刈ってしまうと花が咲かなくなる植物もある。区域の特徴によって草刈りの頻度を変えたりすることで、多様な生き物が住みやすくなる」と、同所生物多様性領域主幹研究員の石濱史子さん。 教育システムが評価 つくばこどもの森保育園では、0.2ヘクタールの園庭ビオトープが認定を受けた。同園は2012年の開園当初から、隣接する「豊里ゆかりの森」との有機的なつながりを基に、日常的に自然環境の中で生き物と触れ合って遊び学べる「ビオトープがある保育園」を特色としてきた。農家や造園家、樹木医らの協力を受け、職員もビオトープ管理士などの資格を取得して維持管理に励み、21年の全国学校・園庭ビオトープコンクールでは環境大臣賞を受賞した。 「今回の認定では、原体験活動を通じて自然や人への思いやりの気持ちを育くむ教育システムが特に評価された。今後も人と自然が上手に共生できる考え方や仕組みを醸成できるよう、地域の関係者有志と連携し、子どもたちの未来につながる持続的な活動をしていきたい」と、園長の古谷野好栄さん。 同園の自然共生サイトへの申請にあたっては、環境研側から声掛けがあった。「環境保全には活動する人を育てることが必要。環境教育が大事だと考えており、園の取り組みを見て素晴らしいと感じた。われわれは子どもに教える専門家ではないので、例えば危険な生き物への接し方など、どうすれば子どもたちにうまく伝わるか、園から学ばせていただきたい」と石濱さん。「環境研はわれわれと違って規模も大きいし、専門家が大勢いることが心強い。いろいろと勉強させていただきながら連携を進めていきたい」と古谷野さん。 民間などが管理する緑地が自然共生サイトの認定を受けるメリットとしては、取り組みが「見える化」することが最大の効果だと、石濱さんは話す。「活動支援企業とのマッチングもしやすくなり、持続性向上も期待できる。他の研究機関などにも登録を呼び掛けており、われわれの経験を共有して促進したい。つくばは身近な公園などにもいい自然が多い。保全の方法を伝えて管理に役立てていただきたい」と、今後いっそう活動を広げていきたい考えだ。 戸田建設筑波技術研究所(同市要)は、在来植物で構成されるビオトープを核とする0.4ヘクタールの緑地が認定を受けた。(池田充雄)

お薦めの地元食品味わって 筑波銀行が「駅前マルシェ」初開催 22日

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)お薦めの県内各地の加工食品や地元食材を一堂に紹介し販売する「つくば駅前マルシェ」が22日、つくば駅前の同市吾妻、つくばセンター広場で開催される。つくばや土浦市などの食品加工会社や飲食店など計20店が出店する。同行がマルシェを主催するのは初めて。 マルシェは、同行が11月8日につくばカピオ(同市竹園)で開催する商談会「2023ビジネス交流商談会+SDGs」のプレイベントとなる。商談会でブース出展する企業や、11月9日以降のオンライン商談会に参加する企業が、一般向けに様々な食品を販売する。 商談会の食部門に出展する企業などから「その場で調理した出来たての食品を提供したい」「地元の方々に自慢の商品を味わってほしい」という要望に応えて企画した。商談会を開催する銀行が一般向けのプレイベントを開催するのは珍しく、同行独自の取り組みだという。 つくば市からは5店が出店し、ハム、コーヒー、カレー、牛タンなどを販売する。土浦市からは2店が出店し、ラスクやレンコンなどを販売する。 筑波銀行の担当者は「地域の皆さま向けの一般物販会。お薦めする地元食材や食品が県内各地から集合する。ぜひご来場いただき、ご賞味ください」と呼び掛ける。 11月8日の交流商談会は、栃木銀行(黒木淳之介頭取)、東和銀行(江原洋頭取)との北関東広域連携での開催で、異業種交流によるビジネス機会の創出を目的としている。(田中めぐみ) ◆つくば駅前マルシェは22日(日)午前11時から午後5時まで、つくば市吾妻1-10-1、つくばセンター広場、ペデストリアンデッキで開催。 ◆マルシェに出店するのは▽らすく工房 美・Sekiyama(土浦/販売食品はラスク)▽マーケット・フィールド・インターナショナル(常総/弁当、芋チップ、プリン)▽湊屋味噌醸造所(桜川/こうじ味噌、ひしお)▽筑波ハム(つくば/ハム、ベーコン、ソーセージ、乳製品)▽就労支援施設ASHITAE-LAB(つくば/コーヒー、雑貨、野菜、花)▽Ryu’s Kitchen MINT TREE(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、タコライス)▽アオイ(つくば/炭火焼だんご)▽インドレストランガンズ(つくば/インドカレー)▽サザン珈琲(常陸大宮/コーヒー)▽モッツバー高の家つくば本店(つくば/牛タン焼、せせり焼ほか)▽ヨネビシ醤油(常陸太田/二度仕込み木桶蔵醤油)▽つかもと(龍ケ崎/甘納豆)▽木内酒造(那珂/日本酒、クラフトビール、ウイスキー)▽さしま茶の里 のぐち園本店(坂東/さしま茶、和紅茶、ほうじ茶)▽斎藤商店(北茨城/柳タコ)▽NIJC(栃木県鹿沼市/フリーズドライフルーツ、オイル)▽牛久醸造場(牛久/クラフトビール、ワイン)▽HAS-LAB(土浦/レンコン、レンコンパウダー)▽高橋肉店(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、プリン)▽NPO歩実(筑西/アイスクリーム、食用花)

2024年の米大統領選挙(1)《雑記録》52

【コラム・瀧田薫】次期アメリカ大統領選挙は前回選挙(2020年)の再現になると予想されている。各種世論調査では、2020年選挙時と同様に、ジョー・バイデン氏(民主党)とドナルド・トランプ氏(共和党)がそれぞれ党指名候補に選ばれる可能性が高いとされている。 バイデン氏については、支持率は4割台前半にとどまり、経済に関しては3割台の低支持率が続いている。彼が80歳の高齢であることを懸念する人も多い。しかし、一方で、彼が2020年選挙でトランプ氏に勝利し、共和党の圧勝が予想された2022年の中間選挙でも民主党が上院の多数派を維持し、下院で失う議席を小幅にとどめた実績が効いていて、民主党内にバイデン氏に代わる候補者が出てこない。 トランプ氏は今年3月に起訴されたことを「魔女狩りに遭った」と主張し、彼の岩盤支持層の熱い支援につなげ、党内での支持率も高めている。ただ、共和党の場合、状況によっては、かつての民主党・オバマ氏のような「超新星・候補者」が現われないとも限らない。 ともあれ、最近のバイデン、トランプ両氏はともに、党内の支持固めよりも本選に備えた布石を打とうとしているようだ。米自動車労働組合(UAW)が待遇改善要求のための大規模ストライキに突入していて、両氏ともにこれへの連帯を示すため、車産業の本拠地・米中西部、特にミシガン州訪問を予定しているという。 2016年の選挙で当選したトランプ氏の勝因は、ミシガン州やペンシルベニア州(もともと自動車労組が強力で民主党の支持基盤)で勝利したことにあった。そして、2020年選挙ではバイデン氏が両州を奪還し、これが勝因となった。両陣営が獲得した票数は二度とも僅差であったから、今回、両氏がミシガンやペンシルベニア、ひいては米中西部各州を重視するには十二分の根拠がある。 UAWストの行方に注目 UAWのストの背景には、米政府が巨額補助によって米自動車産業の電気自動車(EV)へのシフトを後押ししてきたことがある。EVはガソリン車よりも部品数が減るため、労働者側は将来の雇用が抑制されると懸念しており、今回のストについて、バイデン氏は企業側に譲歩を求めている。 しかし、もともと巨額補助に支援されて進めるEVシフトである。企業側にも余裕はない。このストがこじれれば、バイデン政権の産業政策批判に火が付き、大統領選挙の一大争点に浮上することは必至である。共和党がこれを見逃すはずがない。 2024年大統領選挙の前哨戦が、自動車労組のスト絡みで始まったことは、米大統領選の本質を象徴している。つまり、選挙ごとに多くの争点があり、その時の社会や世界の状況によって争点は多様に変化するが、経済問題は常に大争点となる。ここで失敗すれば、他の側面での評価が少々高くても、当選するのは難しい。 来年の11月までの約1年間、この基本を押さえつつ、大統領選挙の今後の動きを追っていきたい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

2024年の米大統領選挙(1)《雑記録》52

【コラム・瀧田薫】次期アメリカ大統領選挙は前回選挙(2020年)の再現になると予想されている。各種世論調査では、2020年選挙時と同様に、ジョー・バイデン氏(民主党)とドナルド・トランプ氏(共和党)がそれぞれ党指名候補に選ばれる可能性が高いとされている。 バイデン氏については、支持率は4割台前半にとどまり、経済に関しては3割台の低支持率が続いている。彼が80歳の高齢であることを懸念する人も多い。しかし、一方で、彼が2020年選挙でトランプ氏に勝利し、共和党の圧勝が予想された2022年の中間選挙でも民主党が上院の多数派を維持し、下院で失う議席を小幅にとどめた実績が効いていて、民主党内にバイデン氏に代わる候補者が出てこない。 トランプ氏は今年3月に起訴されたことを「魔女狩りに遭った」と主張し、彼の岩盤支持層の熱い支援につなげ、党内での支持率も高めている。ただ、共和党の場合、状況によっては、かつての民主党・オバマ氏のような「超新星・候補者」が現われないとも限らない。 ともあれ、最近のバイデン、トランプ両氏はともに、党内の支持固めよりも本選に備えた布石を打とうとしているようだ。米自動車労働組合(UAW)が待遇改善要求のための大規模ストライキに突入していて、両氏ともにこれへの連帯を示すため、車産業の本拠地・米中西部、特にミシガン州訪問を予定しているという。 2016年の選挙で当選したトランプ氏の勝因は、ミシガン州やペンシルベニア州(もともと自動車労組が強力で民主党の支持基盤)で勝利したことにあった。そして、2020年選挙ではバイデン氏が両州を奪還し、これが勝因となった。両陣営が獲得した票数は二度とも僅差であったから、今回、両氏がミシガンやペンシルベニア、ひいては米中西部各州を重視するには十二分の根拠がある。 UAWストの行方に注目 UAWのストの背景には、米政府が巨額補助によって米自動車産業の電気自動車(EV)へのシフトを後押ししてきたことがある。EVはガソリン車よりも部品数が減るため、労働者側は将来の雇用が抑制されると懸念しており、今回のストについて、バイデン氏は企業側に譲歩を求めている。 しかし、もともと巨額補助に支援されて進めるEVシフトである。企業側にも余裕はない。このストがこじれれば、バイデン政権の産業政策批判に火が付き、大統領選挙の一大争点に浮上することは必至である。共和党がこれを見逃すはずがない。 2024年大統領選挙の前哨戦が、自動車労組のスト絡みで始まったことは、米大統領選の本質を象徴している。つまり、選挙ごとに多くの争点があり、その時の社会や世界の状況によって争点は多様に変化するが、経済問題は常に大争点となる。ここで失敗すれば、他の側面での評価が少々高くても、当選するのは難しい。 来年の11月までの約1年間、この基本を押さえつつ、大統領選挙の今後の動きを追っていきたい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

中国経済の変調:経済の日本化《雑記録》51

【コラム・瀧田薫】中国経済の様子がおかしい。中国不動産大手「恒大集団」がニューヨークで破産を申請し、不動産最大手「碧桂園」の資金繰り難も表面化した。中国国家統計局によると、4~6月の国内総生産の伸びは前期比わずか0.8%増と急減速した。米英日の経済各紙は、中国経済の変調は「一過性のものではなく、構造的要因によるもの」とする見方で一致している。 2008年のリーマン・ショック後、「欧米経済の日本化」が指摘され、野村総合研究所のリチャード・クー氏と彼の「バランスシート不況」理論が脚光を浴びた。そして今回、「中国経済の日本化」が指摘され、クー氏と彼の理論が再び注目されている。 クー氏は、日本経済停滞の原因を、借り手企業が過剰債務解消に固執したことにあるとし、この状況を「バランスシート不況」と呼んだ。その後、企業の過剰債務は解消されていったが、投資意欲は低迷したままだった。中央銀行が異次元金融緩和を実施したが、借り入れ需要は高まらず、労働者の実質賃金は減少し、物価も上昇しなかった。 この状況下、クー氏はさらなる日本経済診断に挑戦し、その成果を『追われる国の経済学』(東洋経済新報社、2018~19年)において示した。それによれば、新興国における資本収益率が日本国内のそれを上回り、当時の日本国内には魅力ある投資先が見当たらなくなっていた。このこともあって、企業が選択したのは新製品の開発でも国内の設備投資でもなく、既存のビジネススタイルの海外移転であった。 そして残念ながら、日本政府はこれを傍観し、構造改革を率先遂行すべきところ、既得権益に対する支援策・保護策(積極財政)を優先した。狙いは選挙に勝利して政権を維持すること、つまり政府・与党にも既得権益への固執があったのである。 最大リスクは「聞く耳もたぬ」姿勢 クー氏の理論は、中国経済を「日本化」というフレーズに絡めて読み解く上で有効だ。中国経済は当初こそ低コストの労働力を梃子(てこ)として急速な工業化に成功したが、資本効率の低下、人口の高齢化と減少により成長は鈍化し、若年労働者の失業率が急激に上昇(20%)している。不動産市場の不調は巨大債務となり、デフォルトの可能性は特に地方政府において深刻である。 社会面では、出生率が下げ止まらない。過去の「一人っ子政策」の影響は、50年、100年単位で国力の阻害要因となるだろう。近未来の経済成長を担うと期待されるハイテク分野も米中摩擦の壁にぶつかっている。 もちろん、中国にも構造改革、投資偏重経済の是正、さらに若者が希望を持てる社会の形成、それぞれの大切さを認識している層もいるだろう。しかし、自国の経済成長を独自の「中国モデル」によるものとし、体制の優位性を自画自賛する習近平氏は、経済成長や「共同富裕」スローガンよりも国家安全保障や国家・国民の政治的統制を優先する。進行しつつある中国経済の変調は、この傾向に拍車をかけることになろう。 日本や欧米の側から見て、中国における最大のリスクは、中国指導層の「聞く耳もたぬ」政治姿勢にあるのではなかろうか。(茨城キリスト教大学名誉教授)

中国経済の変調:経済の日本化《雑記録》51

【コラム・瀧田薫】中国経済の様子がおかしい。中国不動産大手「恒大集団」がニューヨークで破産を申請し、不動産最大手「碧桂園」の資金繰り難も表面化した。中国国家統計局によると、4~6月の国内総生産の伸びは前期比わずか0.8%増と急減速した。米英日の経済各紙は、中国経済の変調は「一過性のものではなく、構造的要因によるもの」とする見方で一致している。 2008年のリーマン・ショック後、「欧米経済の日本化」が指摘され、野村総合研究所のリチャード・クー氏と彼の「バランスシート不況」理論が脚光を浴びた。そして今回、「中国経済の日本化」が指摘され、クー氏と彼の理論が再び注目されている。 クー氏は、日本経済停滞の原因を、借り手企業が過剰債務解消に固執したことにあるとし、この状況を「バランスシート不況」と呼んだ。その後、企業の過剰債務は解消されていったが、投資意欲は低迷したままだった。中央銀行が異次元金融緩和を実施したが、借り入れ需要は高まらず、労働者の実質賃金は減少し、物価も上昇しなかった。 この状況下、クー氏はさらなる日本経済診断に挑戦し、その成果を『追われる国の経済学』(東洋経済新報社、2018~19年)において示した。それによれば、新興国における資本収益率が日本国内のそれを上回り、当時の日本国内には魅力ある投資先が見当たらなくなっていた。このこともあって、企業が選択したのは新製品の開発でも国内の設備投資でもなく、既存のビジネススタイルの海外移転であった。 そして残念ながら、日本政府はこれを傍観し、構造改革を率先遂行すべきところ、既得権益に対する支援策・保護策(積極財政)を優先した。狙いは選挙に勝利して政権を維持すること、つまり政府・与党にも既得権益への固執があったのである。 最大リスクは「聞く耳もたぬ」姿勢 クー氏の理論は、中国経済を「日本化」というフレーズに絡めて読み解く上で有効だ。中国経済は当初こそ低コストの労働力を梃子(てこ)として急速な工業化に成功したが、資本効率の低下、人口の高齢化と減少により成長は鈍化し、若年労働者の失業率が急激に上昇(20%)している。不動産市場の不調は巨大債務となり、デフォルトの可能性は特に地方政府において深刻である。 社会面では、出生率が下げ止まらない。過去の「一人っ子政策」の影響は、50年、100年単位で国力の阻害要因となるだろう。近未来の経済成長を担うと期待されるハイテク分野も米中摩擦の壁にぶつかっている。 もちろん、中国にも構造改革、投資偏重経済の是正、さらに若者が希望を持てる社会の形成、それぞれの大切さを認識している層もいるだろう。しかし、自国の経済成長を独自の「中国モデル」によるものとし、体制の優位性を自画自賛する習近平氏は、経済成長や「共同富裕」スローガンよりも国家安全保障や国家・国民の政治的統制を優先する。進行しつつある中国経済の変調は、この傾向に拍車をかけることになろう。 日本や欧米の側から見て、中国における最大のリスクは、中国指導層の「聞く耳もたぬ」政治姿勢にあるのではなかろうか。(茨城キリスト教大学名誉教授)

カイメンの自衛手段でフジツボ付着を防ぐ 世界大会に挑む筑波大学生サークル

生物学と工学の学際的研究分野である「合成生物学」を用いて、地球温暖化の問題を解決しようとする学生サークルが筑波大学(つくば市天王台)で活動している。4月に発足した「iGEM TSUKUBA(アイジェムつくば)」、生物学類2年の吉本賢一郎さんが代表を務める。 iGEMはマサチューセッツ工科大学(MIT、米国マサチューセッツ州)で毎年11月に行われる合成生物学の世界大会。世界中から約300チーム、約6000人の学生が集まり、研究成果を発表する。日本からは東京大学(東京)、京都大学(京都)、早稲田大学(東京)などが毎年参加しているという。これに筑波大学チームとして参加しようと、今年度から一般学生団体として立ち上がったのがアイジェムつくばだ。 同サークルが研究対象にしているのは、海洋生物のカイメン。主に海の岩などに付着して生息する動物で、これらは自分を守るための物質を藻類などの微生物に作らせている。この物質を、船底などに付着するフジツボの阻害に使えないかというテーマだ。 代表の吉本さんは「海に浮かぶ船の底にフジツボなどの生物が付着すると、重量や運航時の抵抗が増す。その結果、燃料の消費量を非常に大きくしてしまうが、除去にもコストがかかり問題になってきた」と話す。付着を阻害する薬剤が用いられてきたものの、自然環境の汚染などへの懸念から規制が強まりつつあるという。 これに対し、カイメンなどの「生物が作り出す物質」を微生物に合成させることによって、新たな生物由来の付着阻害剤を実用化することを試みていると話す。吉本さんによれば、生物由来であるために環境への悪影響が極めて少ないと考えられ、環境負荷を減らせる可能性がある。 「資金集めに苦労」 生物学類の学生の中で、昨年の1月ごろ「iGEM」に参加するチームを作ろうという計画ができた。当時、大学一年生だった吉本さんもその計画に参加していた。アイジェムつくばとして行うテーマを決めるとき、吉本さんは「授業の課題」から生物由来の付着阻害剤を着想した。 「科学概論」という新入生向けの授業で、生物由来の物質が生活の役に立っている例の紹介があった。その際に出された「授業では紹介していない例を挙げる」という課題を調べていく中で、一部の海洋生物がフジツボなどの付着を阻害する物質を体内で合成していることを知った。吉本さんは「生物が作り出している物質が、他の生物の『発生』を阻害することがあるのか」と興味深く思ったと話す。 同サークルには現在、約30人が所属している。多くは2年生で、生物学類や生物資源学類の学生が多い。4つのチームに分かれており、研究だけでなく、高校生への教育活動なども行っているという。 実験やそのまとめ、アメリカで開催される大会への参加など、資金も必要だ。それらの資金の獲得も、団体の活動として行っている。そうした役割を担う「総合運営班」のリーダーを務める石川風太さん(生物学類2年)は「やはり資金集めには苦労している。始まったばかりの団体だが、年間200万円ほどの予算が必要だ。企業の支援や、研究助成の獲得など、裏方も仕事が多い」と話す。 吉本さんは「iGEMは1年を通して、テーマを決め取り組む。1年というスパンは短くもあるが、大会では、研究成果に対するフィードバックや論文の執筆支援もあり、とても意義があるものだと思う。将来的には本格的な実用化に向けて頑張っていけたらと思う」と意気込みを話した。(山口和紀) ◇アイジェムつくばのHPはこちら

女性職員らの活躍推進へチーム設置 筑波銀行 

女性職員など多様な人材の活躍を推進しようと、筑波銀行(本店・土浦市)は14日、行内に、生田雅彦頭取をプロジェクトリーダーとする「ダイバーシティ(多様性)推進プロジェクトチーム(PT)」を発足させた。 女性職員のキャリア支援や仕事と家庭の両立支援のほか、シニアや障害者の活躍推進、外国人の登用などについてメンバーが意見を出し合い、業務に反映させたり、内外に発信などする。 同行は第5次中期経営計画(2022年4月-25年3月)で、25年3月末までに女性管理職比率20%以上、男性の育児休暇取得率100%ーなどを掲げており、PTでの協議を通して数値目標の達成や企業風土の醸成に取り組む。 今年3月末時点の数値目標の達成率は女性管理職が18%、男性の育休取得率は93%。すでにフレックスタイム制度や短時間勤務制度、在宅勤務制度など多様な働き方を導入したり、女性対象のキャリアアップやマネジメント研修などを実施しているという。 PTは生田頭取と、勤続11年から37年目の係長から支店長までの女性職員11人で構成する。3カ月に1回会合を開いて意見を出し合い、取締役会にも毎年、報告する。 同行は2014年8月にすでに「女性の活躍推進PT」を設立し、当時のメンバ―から出された意見を元に、育児休暇取得中の女性職員同士が情報交換したり、職場復帰に向けて準備や相談をする場を設けるなど、育児休業を取得しやすくする環境を整えてきた。 今回、PTが協議する対象を、女性職員だけでなく、シニア、外国人などにも拡大し、名称を「ダイバーシティ」に変更した。さらに生田頭取がプロジェクトリーダーに就任し、新たにスタートさせた。 14日開かれた第1回会合で生田頭取は「女性活躍や働き方改革はこれまでもやってきたが、今回、シニアや外国人なども含め幅広く取り組みたい。全行挙げて、どうしたら女性が活躍でき、多様な人材の活躍機会の拡大を図ることができるか、皆さんと議論し、経営に反映させていきたい」と話した。 同PTのプロジェクトマネージャーで人事総務部の田久保玲子主任調査役(54)は「頭取のリーダーシップの下、ダイバーシティに関する企業風土の醸成を高めていくと共に、メンバ―からの意見を参考に、様々な職員の能力や経験、価値観を尊重する環境を構築し、多様な人材が活躍できる機会を拡大させていきたい」としている。

23年度売上1.6倍増目指す まちづくり会社が決算報告 つくば市議会

つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が20日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が、2022年度3月期(22年4月-23年3月)決算と23年度の目標などについて報告した。23年度については、つくば駅周辺のロボット配送の運営などコンサルタント受託事業費が増えるなどから、22年度売上実績約8790万円の1.6倍の1億4000万円の売り上げを目指すとした。 設立2年目の22年度決算は、約8790万円の売り上げに対し約9775万円の経費(販売費及び一般管理費)がかかり約985万円の赤字(営業損失)となった。支払利息などの営業外損失を加えると当期損失は約2163万円(税引前)となり、これにより22年度末の負債残高は、社債などを含め約3億3226万円になった。 同社は第3セクターとして21年4月に設立された。市と民間企業3社による出資金1億2100万円のほか、社債を発行してファンド(投資信託)から3億1600万円の資金を調達して始動した。市が区分所有するつくばセンタービル1階を改修し、22年5月から「働く人を支援する場」として、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどがあるco-en(コーエン)を運営する。今年4月からは新たに市の指定管理者としてつくばセンター広場を管理、運営する。調達資金の元本の返済は24年度から始まる。 22年度決算は、co-en全体の売り上げが目標5637万円に対し81%の約4571万円で、経費などを差し引いた営業損益は、開業に伴う初期費用などから約1694万円の赤字となった。売り上げの内訳は、貸しオフィスが昨年8月に満床になり売り上げ目標3027万円に対し95%の約2900万円。23年度は2700万円の売り上げを目指す。コワーキングスペースは3月末の会員数が個人・法人合わせて39者(目標43者)で、売り上げ実績は目標2490万円に対し47%の約1171万円にとどまった。23年度は3000万円を目指す。カフェ(ビア&カフェエンギとシェアキッチン)からの収入は120万円の目標に対し4倍超の500万円、23年度の目標は120万円。23年度はco-en全体で前年度の1.27倍の5820万円の売り上げを目指す。 co-en以外の事業として、地下駐車場の売り上げが約1213万円、利益が約438万円、つくばエキスポセンター内のカフェからの収入が約80万円、ロボット配送などのコンサル受託費が2000万円超など計約4219万円の売り上げがあったとした。 23年度の売り上げ目標は、地下駐車場が1300万円強、エキスポセンターのカフェからの収入が200万円、ロボット配送の運営受託費などコンサル受託事業が5400万円のほか、つくばセンター広場の管理運営収入が市からの指定管理費と利用料金収入合わせて1000万円など、co-en以外の売り上げを22年度実績の1.9倍の8180万円にするとした。 議会特別委では、23年度の売上目標の内訳や、当初co-en内に計画されていた「子連れで働ける場」がいまだに開設されてない問題、つくばエキスポセンター内の「ほしまるカフェ」撤退後、今年4月オープンしたサンドイッチ専門店の業者選定の経緯、つくばセンタービル4階の吾妻交流センターをオフィスに改修する計画などについて議員から質問が出た。 吾妻交流センターについては、現在、市が改修工事を進めている市民活動拠点がつくばセンタービル南側に完成し吾妻交流センターが移転した後の来年6月以降に工事に着手する計画で、内山社長は、工事費用の約5000万円は、現在、手元にある現金及び預金3295万円と消費税の還付金約2500円でまかなえるとした。昨年6月の決算報告では改修費用をまかなうため増資を検討するとしていた(22年6月9日付)。 子連れで働ける場について内山社長は「(まちなかデザインの)持ち出しが出続ける事業は経営的に難しい。家賃は取れなくても自走していただける経営者を検討している」とし、吾妻交流センター跡の第2期工事の中で子育て支援拠点なども含め幅広く検討していくとした。吾妻交流センター跡は当初、貸しオフィスの増床が計画されていた。(鈴木宏子)

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