火曜日, 5月 7, 2024
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23年度売上1.6倍増目指す まちづくり会社が決算報告 つくば市議会

つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が20日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が、2022年度3月期(22年4月-23年3月)決算と23年度の目標などについて報告した。23年度については、つくば駅周辺のロボット配送の運営などコンサルタント受託事業費が増えるなどから、22年度売上実績約8790万円の1.6倍の1億4000万円の売り上げを目指すとした。 設立2年目の22年度決算は、約8790万円の売り上げに対し約9775万円の経費(販売費及び一般管理費)がかかり約985万円の赤字(営業損失)となった。支払利息などの営業外損失を加えると当期損失は約2163万円(税引前)となり、これにより22年度末の負債残高は、社債などを含め約3億3226万円になった。 同社は第3セクターとして21年4月に設立された。市と民間企業3社による出資金1億2100万円のほか、社債を発行してファンド(投資信託)から3億1600万円の資金を調達して始動した。市が区分所有するつくばセンタービル1階を改修し、22年5月から「働く人を支援する場」として、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどがあるco-en(コーエン)を運営する。今年4月からは新たに市の指定管理者としてつくばセンター広場を管理、運営する。調達資金の元本の返済は24年度から始まる。 22年度決算は、co-en全体の売り上げが目標5637万円に対し81%の約4571万円で、経費などを差し引いた営業損益は、開業に伴う初期費用などから約1694万円の赤字となった。売り上げの内訳は、貸しオフィスが昨年8月に満床になり売り上げ目標3027万円に対し95%の約2900万円。23年度は2700万円の売り上げを目指す。コワーキングスペースは3月末の会員数が個人・法人合わせて39者(目標43者)で、売り上げ実績は目標2490万円に対し47%の約1171万円にとどまった。23年度は3000万円を目指す。カフェ(ビア&カフェエンギとシェアキッチン)からの収入は120万円の目標に対し4倍超の500万円、23年度の目標は120万円。23年度はco-en全体で前年度の1.27倍の5820万円の売り上げを目指す。 co-en以外の事業として、地下駐車場の売り上げが約1213万円、利益が約438万円、つくばエキスポセンター内のカフェからの収入が約80万円、ロボット配送などのコンサル受託費が2000万円超など計約4219万円の売り上げがあったとした。 23年度の売り上げ目標は、地下駐車場が1300万円強、エキスポセンターのカフェからの収入が200万円、ロボット配送の運営受託費などコンサル受託事業が5400万円のほか、つくばセンター広場の管理運営収入が市からの指定管理費と利用料金収入合わせて1000万円など、co-en以外の売り上げを22年度実績の1.9倍の8180万円にするとした。 議会特別委では、23年度の売上目標の内訳や、当初co-en内に計画されていた「子連れで働ける場」がいまだに開設されてない問題、つくばエキスポセンター内の「ほしまるカフェ」撤退後、今年4月オープンしたサンドイッチ専門店の業者選定の経緯、つくばセンタービル4階の吾妻交流センターをオフィスに改修する計画などについて議員から質問が出た。 吾妻交流センターについては、現在、市が改修工事を進めている市民活動拠点がつくばセンタービル南側に完成し吾妻交流センターが移転した後の来年6月以降に工事に着手する計画で、内山社長は、工事費用の約5000万円は、現在、手元にある現金及び預金3295万円と消費税の還付金約2500円でまかなえるとした。昨年6月の決算報告では改修費用をまかなうため増資を検討するとしていた(22年6月9日付)。 子連れで働ける場について内山社長は「(まちなかデザインの)持ち出しが出続ける事業は経営的に難しい。家賃は取れなくても自走していただける経営者を検討している」とし、吾妻交流センター跡の第2期工事の中で子育て支援拠点なども含め幅広く検討していくとした。吾妻交流センター跡は当初、貸しオフィスの増床が計画されていた。(鈴木宏子)

宇宙ビジネスへの「橋渡し」つくばで いばらきスペースサポートセンター開所

つくば市千現のつくば研究支援センター内に1日、「いばらきスペースサポートセンター」が開所した。宇宙ビジネスの活動拠点として、茨城県が専任コーディネーターを常時配置し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や企業と連携した展開を図る。 コーディネーター2人が常駐 県内の特に中小・ベンチャー企業の宇宙産業への挑戦意欲を高め、新規参入や取引機会の拡大を図るのがねらい。県は1日付で、専任コーディネーター2人を配置、宇宙ビジネスに関する企業からの相談にワンストップで対応する常設の拠点として、県内企業による新製品開発や受注拡大、県外宇宙ベンチャーによる県内企業との連携等を支援する。 県は2018年に「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げ、宇宙ベンチャーの創出・誘致や宇宙ビジネスへの新規参入を目指し、支援体制の構築を進めてきた。さらに「いばらき宇宙ビジネス創造コンソーシアム」で宇宙ビジネスに挑戦する企業の事業化推進にも取り組み、昨年にはJAXAでの勤務経験を持つ黒田信介さん(66)が専任コーディネーターとなり活動を強化させた。 コーディネーターの鈴木貞明さん(左)と黒田信介さん その成果を踏まえ、今回黒田さんに加え、ひたちなか地区などで中小企業支援のための産業活性化コーディネーターを務めてきた鈴木貞明さん(68)との2人の陣容で、研究支援センター1階に常駐体制を組んだ。宇宙産業とのつながりや専門知識を生かし、技術開発のノウハウやニーズについて助言する。必要に応じて開発商品の販路開拓も支援。JAXAや宇宙ベンチャーとは、開発した商品の活用提案や試作品発注の橋渡し役を担う。 1日には、同センターで開所イベントの講演会が開かれ、宇宙ビジネスにかかわるJAXAの担当者や先発企業の実例発表などが行われた。県内の企業を中心に60人以上が集まり、聴講し、名刺交換などを行った。 開所イベントで、コーディネーターの黒田さんは「SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれて久しいが、(スペースデブリなどで)遅れをとっているのが実は宇宙利用。技術による可能性追求に民間主導で盛り上げていきたい」などと抱負を述べた。 イベントに参加していた研究機器の設計・製造企業、オオツカ(つくば市大曽根)の大塚美智夫社長(71)は「我々のような小さなところではJAXAあたりには営業をかけられないし、こちらから研究開発を提案するのも難しい。でも話によっては提供できる技術もありそうなので、情報交流の新しいチャネルが開けることへの期待は大きい」と語る。(相澤冬樹) ◆いばらきスペースサポートセンター(つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センター1階)電話080-9158-0947(平日午前10時~午後4時)ホームページはこちら

「日本で夢を追いかける」 日本つくば国際語学院で入学式

つくば文化学園による日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が16日、同市小野崎のつくば山水亭で開かれた。現地でのビザ発給の遅れなどから新入生の到着がずれ込み、約1カ月遅れての開催となった。新入生は、ベトナム、中国、タイ、スリランカ、マレーシア、ネパール、モンゴル、ナイジェリアの8カ国からの18人で、それぞれ出身地域の民族衣装やスーツに身を包み、日本での新生活への一歩を踏み出した。コロナ禍の影響で2020年、21年は入学式を開けず、昨年は3年ぶりの開催となっていた。 式典で挨拶に立った東郷理事長は「本校の教育理念は日本語を楽しく学び、日本を好きになってもらうこと。困ったことがあれば先輩や職員を頼ってください」と呼びかけ、「さまざまな国籍の人の中で語学力を身につけ、皆さんが国際人となって世界へ羽ばたくことを期待しています」と新入生へメッセージを送った。 「将来は日本語を生かして車の開発に携わりたい」と夢を語るマレーシア出身のチュアン・ヨン・フォンさん(23)は、新入生代表挨拶の中で「皆さんもきっと、自分の夢を追いかけていると思う。一緒に明るい未来へ向けてがんばりましょう」と力を込めた。 ナイジェエリアからきたオコイさん(30)、母国でサッカーのコーチをしていた。「得意な英語とこれから学ぶ日本語を生かして、日本でもサッカーを教えていきたい」と目標を語った。スリランカ出身のカウシャリヤさん(26)は、スリランカの大学で建築を学んできた。日本では筑波大への進学を目指し、「さらに建築を学んでいきたい」と意気込みを語った。 留学生の受け入れ促進、国内定着目指す 政府の教育未来創造会議(議長・岸田文雄首相)は先月27日、留学⽣の派遣・受⼊れに関する「第二次提言」をまとめた。政府は、コロナ前に31.8万⼈だった外国人留学生を2033年までに40万⼈へ増やす目標を盛り込み、留学生が在学中に必要となる環境の整備だけでなく、卒業後の日本社会への定着を推進するために必要となる、多言語での相談支援の充実、受け入れ企業の体制や在留資格制度を改善するなどの考えを示した。夏ごろをめどに工程表を作るとしている。 文科省によると、2022年5月1日現在の外国人留学生数は23万1146人で、出身国・地域別では中国が10万3882人で最多となり、ベトナム3万7405人、ネパール2万4257人と続いている。日本つくば国際語学院では現在、27カ国の約90人が在籍している。(柴田大輔)

筑波大・東京芸大若手による20作品 スタジオ’Sで「絵画の筑波賞」展

若手作家の創作活動を支援しようと創設された「絵画の筑波賞」2023(主催・筑波銀行、関友商事)のつくば展が14日、つくば市二の宮、関彰商事つくば本社内のギャラリースタジオ'Sで始まった。大賞を受賞した東京芸大大学院生、伊藤藍さんの油絵「白斑」など20人の若手作家による洋画と日本画が展示されている。 創作活動の拠点を共に県内に置く筑波大と東京芸大の洋画(油画)、日本画の両研究室から寄せられた作品を一堂に展示する。在学生や卒業生など35歳以下を対象に、各研究室に作品20点を推薦してもらい、5人の審査員が大賞、準大賞、優秀賞などを選考する。2020年に始まり今年で4回目。受賞作品9点は協賛企業が買い上げて若手を支援するほか、つくばと都内で展覧会を開催し作品を発信する。 大賞の「白斑」は、前屈し丸まった裸の男性を描いた作品。作者の伊藤さんは、知的障害がある兄をモデルにした作品を描き続けている。同展に協力する筑波大芸術系の仏山輝美教授は「ふわっとした丸い塊が浮遊しているように見え、見る人は遅れて人体だと認識する。造形上の効果を計算して描いている」と評価する。 準大賞は東京芸大大学院生の川田龍さんの油絵「untiiled(Bacchus4)=無題(バッカス4)=」。キリストの受難をイメージさせるイバラの冠を付け、顔を白く塗った男性が描かれている。仏山教授は「他の作品とは一味違った大胆なタッチで、絵をまとめようとせず力強さがある」と評す。 ほかに、冬の陽だまりに身を寄せる3匹の猫を、光を使って優しいまなざしで描いた東京芸大大学院生の斎藤愛未さんの日本画「光の瞬き」、イグアナの顔を無数の模様で描いた筑波大大学院修了の澤田麻実さんの日本画「まぜこぜ」などが展示されている。 会場を訪れた市内に住む男性(75)は「両国立大学のベスト20が展示されていて、なかなか個性がある」と感想を話し、スタジオ'S担当コーディネーターの浅野恵さんは「実力ある若手作家の作品が展示されているので、みずみずしい感性を感じていただければ」と来場を呼び掛ける。 筑波大の仏山教授は「つくばの企業や個人にご支援いただき4回目を迎えた。若い作家の力作を見てほしい」と話している。 ◆「絵画の筑波賞」2023 つくば展は28日まで。会場のスタジオ'Sはつくば市二の宮1-23-6。午前11時~午後6時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話029-860-5151。池袋展は8月23~29日、西武池袋本店6階アートギャラリーで開かれる。

ウクライナ大使が筑波大で講演 避難学生と懇談も

駐日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏が24日、筑波大学(つくば市天王台)を訪れ、日本人学生やウクライナからの避難学生、大学関係者ら約100人を前に講演したほか、ウクライナからの避難学生と懇談した。 同大は昨年4月にウクライナからの避難学生の受け入れを表明し、渡航費用や生活費を一部支給している。さらに学生宿舎の無償貸与、日本語学習プログラムの提供、カウンセリングの実施など、サポート体制を整えてきた。現在は、国立大学としては国内最多の42人を受け入れているなどから大使の訪問に至った。 講演では、ウクライナが誇る芸術のバレエや、卵の殻に花や鳥などを描き込んだ工芸品の「プィーサンキ」、郷土料理などを、スクリーンに写真を映しながら紹介し、ウクライナの歴史と、ロシアから侵攻を受け破壊された街並み、犠牲となった市民の姿に触れながら、戦争により傷ついた祖国の現状を訴えた。 大使はまた「侵攻後、最初に支援を表明したのが茨城県」であるとし「茨城とは特別な関係がある」との述べ、感謝の意を表した。今後の日本への期待として「日本の企業などとは戦後復興について、インフラ再建への投資など協力関係構築について協議をしている」とした上で、「難民の帰還への協力とともに、新しいウクライナを共につくっていくことを期待したい」と語った。 講演の後には避難学生との懇談会が開催され、大使から学生に「学生たちは、この大学で学ぶことができて、明るい未来があると私は思っています。しっかり学んでください。ウクライナはあなたたちを必要としています」とメッセージが送られた。 講演を取材した、同大の学生で筑波大学新聞の川上真生さん(19)は「ウクライナのことはこれまでテレビなどの報道で接してきたが、直接、話を聞いたことはなかった。講演を聞く中で、被害を伝える場面での声の強弱などによる感情の変化に接して、現状をよりリアルに感じられた」と話した。 茨城県は、ロシア侵攻が始まった翌日の昨年2月25日、県議会が「ロシアによるウクライナ侵攻に断固抗議する決議」を全会一致で可決。さらに全議員から募った義援金100万円を大使館に贈った経緯がある。また同年3月には、守谷、常総、坂東、つくばみらいの4市が連携し、ウクライナからの避難民受け入れを表明している。(柴田大輔)

聖地「イチグラ」お披露目 筑波大サッカー場改修完了 

人工芝の全面改修が完了した筑波大学(つくば市天王台)第一サッカー場が16日披露された。披露式典のあいさつに立った永田恭介学長は、「聖地『イチグラ(第一サッカー場のこと)』が新しい形で戻ってきた。(日本代表の)三苫選手や谷口選手をしのぐ選手が出てきてくれることを願っている」と祝辞を述べた。改修事業は今年、前身の師範学校創基から 151 年、大学開学 50 年を迎える同大記念プロジェクトの一環。 同大蹴球部は、1896(明治29)年に設立された高等師範学校フートボール部にはじまる127年の歴史を持つ日本最古のサッカーチーム。ワールドカップカタール大会に出場した三苫薫選手や谷口彰悟選手など、日本を代表する選手を多数輩出してきた。 一方で、開学と同じ1973年につくられた同サッカー場は、2004年に張り替えられた人工芝の劣化が進み、グラウンドの衝撃吸収や安定性が日本サッカー協会による基準値を下回るなど、練習環境としての安全性の低さが指摘されていた。人工芝がはがれた箇所でつまづくなどし、怪我をする部員も出ていた。その中で持ち上がったのが、今回の人工芝の全面的な改修事業だった。同大によると、改修にかかった約7000万円のうち、クラウドファンディングと寄付で4000万円、残りを地元企業などからの支援と大学の資金で賄った。 中山雅史さんら、協力呼び掛け 今回の改修事業への協力の呼び掛けには、現在J3アスルクラロ沼津で監督を務める元日本代表の中山雅史さんら、多数のOB、OGが協力した。学生が中心となりクラウドファンディングも立ち上がった。クラウドファンディングでは、想定していた1000万円を大きく上回る約1800万円が集まった。 蹴球部の小井土正亮監督(44)は「我々の力だけではなく。関係者、OG、OB、地域の皆さん、サッカー部と筑波大を応援してくれる方々のおかげで改修できた。感謝の気持ちを忘れず、ここを使っていきたい」と述べるとともに、「選手には安全な環境でサッカーをさせたかった。高い目標に向かって、仲間と切磋琢磨していってほしい」と語った。 同大女子サッカー部主将の野嶋彩未さん(21)は「新しい芝はボールも蹴りやく走りやすそうだと感じている。インカレ優勝という目標に向かって頑張っていきたい」と力を込めた。 蹴球部主将の山内翔さん(21)は「これまでのグラウンドは硬かったり、はがれた芝がけがに繋がった。芝の感触は柔らかく質もいい。自分たちのやりたいサッカーが思い切りできる。協力していただいた方への感謝を日々の行動で返していきたい」と述べ、「筑波に一つでも多くのタイトルを残したい」と目標を掲げた。(柴田大輔)

つくば市の幸和義肢研究所 《日本一の湖のほとりにある街の話》9

【コラム・若田部哲】様々な別れと出会い、新しい人生がスタートする季節、春。今回は、義手や義足といった福祉機器により、多くの人達の新たな一歩をサポートする企業、つくば市の幸和義肢研究所をご紹介します。 2021年に創業100年を迎え、義手や義足・車椅子などの福祉器具の製造のみならず、ユーザーの生活を多岐にわたりサポートする事業内容について、同社の三浦さん、志賀さんにお話を伺いました。 創業は1921年。現在の常総市でメスやハサミなどの医療器具の販売からスタートしました。1983年、社名を「株式会社幸和義肢研究所」と改め、義肢・装具の製造販売を本格的に開始。現在製造する品目は、義手や義足といった義肢・コルセットなどの装具・車椅子や、靴の悩みを解消するインソールなど、実に多彩です。 同社の心臓部ともいえる製作室には、義手や義足などの元になる様々な素材が並び、ユーザー一人ひとりで異なる身体形状に合わせた義肢装具を製作しています。1点ごとに微妙に異なる形状、要求される性能を満たすため、熟練の手作業により製作・調整がなされていますが、さらなる精度向上のため、ユーザーの身体形状を3Dデジタル化し、切削機で身体形状を再現する最新機材「CAD / CAM(キャドキャム)」を導入するなど、品質向上に余念がありません。 ユーザーを「トータルサポート」 また、アフターメンテナンスについての態勢も万全。常に体をサポートし続けるこれらの器具は、強い負荷がかかるため、数カ月ごとの定期的なメンテンスが欠かせません。ところが通常、義肢装具は病院のカルテに基づき製作されるため、ユーザーは転院・転居などにより、義肢装具の来歴が分からない「装具難民」となってしまうことが少なくないのだそうです。 こうした状況を解消するため、装具の状態を常に把握できるよう、製品状態を管理する「義肢QRコード『ぽーさぽーとシステム』」を開発、製品に添付しているとのこと。さらに、約2カ月ごとにメンテナンス会を開催し、気軽にメンテナンスに訪れることができる機会を提供しています。 そして、同社の事業理念で最も特筆すべきなのが、ユーザーの生活を「トータルサポート」するという姿勢が貫かれている点。その一環として、2016年に障害者就労支援継続支援B型「ワーク・イノベーション・センター(WIC)」を設立しています。 これは、それまでは装具による生活のサポートにとどまり、ユーザーの就労までサポートできていなかった、という思いから設立された施設で、既存の建物を改修している場合が多く使いづらい面がある他の就労施設と異なり、設計に十分余裕をとったユニバーサルデザインとなっています。その広さは茨城県内の同種施設では随一とのことで、そのゆとりと細部まで配慮がなされた室内空間に驚きました。 こうした多岐にわたる取り組みを紹介するため、同社では定期的に福祉機器展を開催し、装具の紹介や業界の啓発活動を行っています。開催の際はぜひご覧になり、福祉にかける真摯な思いをご体感ください!(土浦市職員) <注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

つくば市の幸和義肢研究所 《日本一の湖のほとりにある街の話》9

【コラム・若田部哲】様々な別れと出会い、新しい人生がスタートする季節、春。今回は、義手や義足といった福祉機器により、多くの人達の新たな一歩をサポートする企業、つくば市の幸和義肢研究所をご紹介します。 2021年に創業100年を迎え、義手や義足・車椅子などの福祉器具の製造のみならず、ユーザーの生活を多岐にわたりサポートする事業内容について、同社の三浦さん、志賀さんにお話を伺いました。 創業は1921年。現在の常総市でメスやハサミなどの医療器具の販売からスタートしました。1983年、社名を「株式会社幸和義肢研究所」と改め、義肢・装具の製造販売を本格的に開始。現在製造する品目は、義手や義足といった義肢・コルセットなどの装具・車椅子や、靴の悩みを解消するインソールなど、実に多彩です。 同社の心臓部ともいえる製作室には、義手や義足などの元になる様々な素材が並び、ユーザー一人ひとりで異なる身体形状に合わせた義肢装具を製作しています。1点ごとに微妙に異なる形状、要求される性能を満たすため、熟練の手作業により製作・調整がなされていますが、さらなる精度向上のため、ユーザーの身体形状を3Dデジタル化し、切削機で身体形状を再現する最新機材「CAD / CAM(キャドキャム)」を導入するなど、品質向上に余念がありません。 ユーザーを「トータルサポート」 また、アフターメンテナンスについての態勢も万全。常に体をサポートし続けるこれらの器具は、強い負荷がかかるため、数カ月ごとの定期的なメンテンスが欠かせません。ところが通常、義肢装具は病院のカルテに基づき製作されるため、ユーザーは転院・転居などにより、義肢装具の来歴が分からない「装具難民」となってしまうことが少なくないのだそうです。 こうした状況を解消するため、装具の状態を常に把握できるよう、製品状態を管理する「義肢QRコード『ぽーさぽーとシステム』」を開発、製品に添付しているとのこと。さらに、約2カ月ごとにメンテナンス会を開催し、気軽にメンテナンスに訪れることができる機会を提供しています。 そして、同社の事業理念で最も特筆すべきなのが、ユーザーの生活を「トータルサポート」するという姿勢が貫かれている点。その一環として、2016年に障害者就労支援継続支援B型「ワーク・イノベーション・センター(WIC)」を設立しています。 これは、それまでは装具による生活のサポートにとどまり、ユーザーの就労までサポートできていなかった、という思いから設立された施設で、既存の建物を改修している場合が多く使いづらい面がある他の就労施設と異なり、設計に十分余裕をとったユニバーサルデザインとなっています。その広さは茨城県内の同種施設では随一とのことで、そのゆとりと細部まで配慮がなされた室内空間に驚きました。 こうした多岐にわたる取り組みを紹介するため、同社では定期的に福祉機器展を開催し、装具の紹介や業界の啓発活動を行っています。開催の際はぜひご覧になり、福祉にかける真摯な思いをご体感ください!(土浦市職員) <注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

旧筑波小にインド系インターナショナルスクール 2024年4月開校へ

2018年に廃校になったつくば市国松、旧筑波小学校(約8800平方メートル)に来年4月、インド系のインターナショナルスクールが開校する。初年度の24年度は、つくば市在住者を中心に2歳半の幼児から小学校5年生まで40~50人が通学すると想定されている。その後受け入れを拡大しながら、高校生まで500人規模の学校にする。3日、同市議会全員協議会に報告された。 外国企業誘致施策の一環で県が誘致し、昨年9月には地元住民との意見交換会が開かれた(22年9月27日付)。 開校するのは、シンガポールに本社があるグローバル・スクールス・ファウンデーションの日本法人で、株式会社のグローバル・インディアン・エデュケーション。同社は現在、東京都江戸川区でインターナショナルスクールを運営している。同区内に三つのキャンパスがあり、1000人を超える児童生徒が学んでいる。 旧筑波小での開校に向けては、今年夏頃につくば市と賃貸借契約を結び、市から、鉄筋コンクリート3階建ての教室棟とグラウンドを年間約390万円で賃借する。その後、同社が教室などの部分的な修繕を行う。体育館は耐震基準を満たしていないことから使用しない。 江戸川区の同インターナショナルスクールによると、旧筑波小では国際バカロレアの教育プログラムによって授業を行う方針だ。教室は普通教室を分割し、最大20人前後の少人数とする。主につくば市内に住む子どもたちがスクールバスで通うことを想定しており、インド出身者ばかりでなくさまざまな国籍の児童生徒を募集する。 地域住民に向けては、ヨガなどのカルチャースクールを開設するほか、校庭を地域に開放するなどして、地域の文化・スポーツ活動を支援する。現在、防災備蓄倉庫が設置されていたり、選挙の際の投票所となっていることから、開校後も引き続き防災倉庫を設置し避難所として利用できるようにしたり、投票所として利用できるようにするという。

小学校区に1カ所を【広がる子ども食堂】6

子どもに無料または低料金で食事を提供し、地域交流の場ともなっている「子ども食堂」。2017年から県内の子ども食堂など、食を通じた地域の多様な居場所づくりの設立・運営のサポートに取り組んでいる茨城NPOセンター・コモンズ事務局長で、子ども食堂サポートセンターいばらき(水戸市)の大野覚さん(43)によると、子どもが1人でも安心して利用できる子ども食堂には、子どもの貧困対策と地域の交流拠点の2つの柱がある。 ところが、子ども食堂イコール貧困対策のイメージが広がり、多感な時期の子どもは「周囲から貧困家庭と思われたくない」と利用を控えてしまうことがあるという。支援を必要とする子どもが入店しにくい状況を生まないため店の名称をあえて「子ども食堂」とせず、地域交流を前面に打ち出している食堂が多い。大野さんは「生活が苦しい子どもだけに限定している食堂はわずかで、全体の8~9割の子ども食堂が『地域の誰もが利用できるみんなの居場所』と広く門戸を開いている」と話す。 子ども食堂を開設する方法は、食品衛生責任者の資格が必要など保健所の問題だけで「参入の敷居が低い」と大野さんが言い表すように、開設しようという仲間がいて、調理と食事ができる公的施設などを借りることができれば始めることができる。運営者の7割を市民団体とNPO法人が占め、近年は民間企業が運営する子ども食堂が出現してきた。大野さんはその理由を「社会貢献として消費者に得点が高いからではないか」と分析する。 運営は明確な定義があるわけではなく、運営団体によって開催頻度、スタイル、メニューなどはさまざま。開催頻度は月に1回または2回が多く、土曜の昼食時や平日夜に営業したり、日曜の朝食時間帯に取り組む食堂もある。料金は子どもは無料、有料の場合は100~300円が主流で、大人については子どもより割高に設定されている。年齢を問わず誰でも無料の食堂もある。また、釜でご飯を炊いたり、地域の伝統食の提供や野菜の収穫と料理体験など、食育活動を行っている子ども食堂もある。 県内の子ども食堂の多くが市民ボランティアが主体となって運営されており、課題は「運営費の確保」だ。ボランティアが基本となる経営は必ずしも恵まれたものではなく、寄付や助成金制度などを活用しながら運営を行っているところが多いと大野さんはいう。 食材は農業協同組合からコメや野菜、フードバンクから加工品などの提供を受けているほか、野菜を多く作り過ぎた農家や、地域住民からの寄付で賄われている。 同サポートセンターいばらきコーディネーターの伊東輝実さん(37)によると「運営を担っているのは子育てが一段落した50代から60代の女性たちで、生き生きと活動を続けている」と話す。県内各地の現場を訪ねている伊東さんが、活動が長続きする理由を尋ねたところ「参加自由で義務ではない、無理せず出来る範囲で参加できるから」を挙げた人が多かった。また、地域に貢献しているという自信が生まれ、仲間同士の交流も離れがたい魅力で、「活動の喜びについて、皆さんが『子どもたちの笑顔』と答えてくれた」と話した。 大野さんは「困窮世帯はコロナ禍による収入減と物価高に追い打ちをかけられている。困っている人に無料または低料金で食事を提供する子ども食堂は社会を支える仕組み」だとする一方、県内の小学校区に子ども食堂がいくつあるかを比較した子ども食堂の充足率は、県全域で18・8%と、小学校区5.3校に子ども食堂が一つというのが実情だ、 県全体と比べると比較的多い県南の子ども食堂充足率は20・5%。「5つの小学校区に1カ所という状況にある」とし、「地域を問わず、子どもたちが徒歩で通える小学校区域に1カ所、子ども食堂ができるよう設立と運営をサポートしていく」と意気込みを口にした。また「コロナで交流が遮断されて人と人とのつながりが薄れてしまった。地域コミニティーを深める場としての役割を高めていきたい」と語った。 子ども食堂は2012年に東京で始まり、2年後の14年、厚労省が子どもの貧困率は16・3%で6人に1人の子どもが貧困状態にあると発表したこともあって、貧困対策として全国に普及した。全国に広がる子ども食堂をサポートするNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(湯浅誠理事長)の発表によれば、日本全国に少なくとも7331カ所、県内には149カ所ある(22年11月19日現在)。物価や光熱費の高騰で困窮する世帯の子どもへの支援はもとより、コロナ禍で失われた地域コミュニティーを取り戻す場として必要性が高まる。(橋立多美) 終わり

コロナ禍 シングルマザー5人が立ち上げ【広がる子ども食堂】4

コロナ禍の2020年、シングルマザー5人が立ち上げた子ども食堂がある。阿見町を中心に食料を無料で配布するフードパントリーや子ども食堂、無料塾などの活動をしているami seed(アミ・シード)だ。代表の清水直美さん(44)ら30~50代の女性10人が中心となって運営する。 2月初め、阿見町のコミュニティセンター、本郷ふれあいセンター(同町本郷)で開かれた無料塾と子ども食堂「おにぎり食堂」に小学生から高校生まで約15人が集まった。毎週木曜日に開催している。子どもたちは机の上にそれぞれの教科書やノートを広げ、集中して鉛筆を走らせている。ボランティアの山田美和さんら2人が講師として子どもたちに勉強を教える中、調理室では清水さんら6人が調理に追われていた。 この日の献立は翌日が節分の日であることに合わせて、恵方巻とさつまいもの肉巻き、さつまいもとりんごのサラダ、あさりとしじみ2種類の味噌汁、牛乳。訪れた子どもたちの分と子どもたちが持ち帰る家族の分、合わせて50食を作り、容器に盛り付けていく。献立は調理師の資格を持つ林久美子さんが考えた。食材はいずれも寄付されたものだ。 しばらくすると勉強が終わった小学生たちが食事の準備を待ちきれず調理室にやってきた。「お腹減った?自分の分を自分で巻いてみる?」。林さんが恵方巻の作り方を教えると、子どもたちは真剣な様子で巻きすに手を添え巻いていく。完成すると笑顔がこぼれた。続いてやってきた中学生たちも自分で作った太巻き1本を、恵方を向いてほおばると「とてもうまいです」と顔をほころばせ、親指を立てて見せた。 近所の人が助けてくれた ami seedは20年4月、清水さんらが立ち上げた。阿見町には茨城大学農学部と県立医療大学の二つの大学がある。コロナ禍、一人暮らしの大学生や一人親世帯に食料を無料配布する活動から始まった。 清水さんは22歳になる双子の娘を持つ。娘が中学生の時に離婚し、仕事を掛け持ちした。忙しい生活の中、母が余命1年と宣告を受け、清水さんは自宅で最期をみとる選択をした。仕事と介護、子育てに追われる生活を見かね、近所の人たちが料理を作って持ってきて助けてくれた。 この体験を経て「それぞれいろいろな事情があったとしても、とにかくごはんを食べていればなんとかなる」と、食の支援を思い立った。 「おにぎり食堂」は、企業や個人からの寄付や、JAなどから支援を受けて集まった食材で運営している。最近は物価の高騰からか、集まる食材が減ってきたという。乳児用のミルクやおむつ、ベビーチェアやチャイルドシートなどが足りていないことも課題だ。 活動を知った土浦市や取手市などからも相談や問い合わせがあるという。子育ての仕方が分からないと育児ノイローゼになりながらも一人で子育てしている女性、離婚調停中で経済的に困窮している女性、仕事がなく昼夜逆転の生活をしている人。清水さんが寄り添ってきた人たちだ。「骨と皮になっているママもいる。職場でも友だちがつくれず、上司からパワハラを受けていたりもする人もいる」と清水さん。 一人暮らしの大学生は、経済面だけでなく心の問題を抱えていることが多いという。学業の相談を受けたり、自殺の連絡が来て止めたりしたこともあった。痩せていく様子を見て診察を勧め、医療につなげたこともある。 大学生との間でこんなエピソードもあった。ある時、90代の夫婦が寄付金数万円を携えて訪れた。県外出身の一人暮らしの男子大学生はその寄付金による支援で食料をもらうことができ、無事卒業した。社会人になった男性が夫婦に感謝の手紙を書いて送ったところ、子どものいない夫婦は「本当の孫からもらったようでこの手紙が宝物」と清水さんに語った。夫婦と男性を会わせたいと考えた清水さんは、夫婦宅の草取りの手伝いに男性を呼び、3人は対面することができた。 孤立しやすい一人親家庭や大学生、一人暮らし高齢者を、清水さんはいずれの場合も見守りながら、必要であれば本人の同意を得て行政の支援につなげる。しかし、傷ついた経験から行政の介入を拒む人もいるとし、「とにかく(気持ちを)吐き出させて帰らせることが大切」と話す。 今後の目標については「シングルマザーの暮らす家をつくりたい。第三の居場所、公共施設を使わずに活動できる場所をつくりたい」と話した。(田中めぐみ) 続く

手を伸ばし 子育てを“孤育て”にしない【広がる子ども食堂】2

米5キロと食品、洗剤などの詰め合わせを各世帯1箱ずつ無料配布するフードパントリーが1月末、牛久市の三日月橋生涯学習センターの一室で開催され、予約した30世帯に手渡された。毎月1回配布している。食品ロス削減のため規格外品などを引き取るフードバンクや、支援団体NPO全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都新宿区)などからの物品、企業や個人が寄付したものが配布される。この日受け取った女性は「特にお米が助かる。自分では買わない物も入っていて面白い」と話した。会場は牛久市が無料で開放し、活動を支援している。 主催しているのはNPOきらきらスペース(牛久市牛久町、諏訪浩子代表)だ。2016年8月から活動を始め、7年目になる。元々は50人ほどが利用するビュッフェ形式の子ども食堂を開催していたが、コロナ禍で食品を持ち帰ってもらうフードパントリーの形式に変えた。 子育て世帯だけでなく、だれでも利用することができる。「お米や野菜など寄付が集まって活動できている。来る人は大体決まっているので、月1回顔を見て、元気かどうかの安否確認という意味もある」と諏訪さん(53)。 この日参加したボランティアの女性4人は、「子どもに何が欲しいのと聞くと飲み物を欲しがる。お菓子もあるといい。生活のうるおいが大事。子どもは楽しいことがないといけない」、「男親だけ、女親だけの子がここに来て父親、母親代わりのスタッフと疑似体験をしている。自分もおばあさんとして役に立っているのかな」と口々に話し、他愛ない雑談の中で、感想や情報を共有していく。 ウオーキング仲間とスタート 代表の諏訪さんは大学生2人の子を持つ母親だ。PTA副会長を務めた経験もある。同じく子育てをするウオーキング仲間の母親たちと互いの悩みを話し合う中、7年前、「何か子どものためになる活動をしたいね」と子ども食堂をスタートさせた。食を通じて「子育てを孤育てにしない」をモットーに活動しており、子育て相談も随時受け付けている。 スタッフは18歳から85歳まで約50人で70代が多い。全てボランティアだ。市ボランティアセンターからの紹介で参加するスタッフもおり、「グループの周りに応援団がたくさんいる感じ」という。民生委員、児童委員を務めているスタッフもいる。 諏訪さん自らが運転し、フードパントリーに来られなかった人や車のない人に食品の配達もしている。1月末は、荷物を積み込んで2件を回った。「もらいに来る人もいい人が多い。配布するものの中に不良品がたまにあるが、遠慮して言わないことも。互いに許しあえている関係」だ。 フードパントリーの他にも同生涯学習センター前にある古民家「とみさんち」(牛久市城中町)で月1回、「子民家はなみずき」(牛久市牛久町)で毎週土曜日、子ども食堂の少人数カレー昼食会を開いている。かっぱの里生涯学習センター(牛久市城中町)では週1回、無料塾の自習室「一歩」を開催する。 食堂では肉、魚などのタンパク質の寄付が少ないことが悩みだ。タンパク質は成長期の子どもに必要だが、冷凍する必要があるなど輸送が大変でなかなか手に入らないという。「肉、魚はもらえないのできらきらスペースで買うしかない」と話す。 行政につなぎ、行政から依頼も 活動を通して得た情報を牛久市につなぎ、実際に行政の支援につながったケースも多数ある。逆に行政から、食料の支援や古着の制服の提供、不登校の子の居場所の提供、お風呂に入っていない子の入浴支援などを依頼されるケースもある。ママ友同士のつながりで、困っている家庭の紹介を受け、支援につなげたケースもあった。 どこまで支援の手を広げるか、コロナ禍での活動のあり方が課題だという。「きらきらスペースのフードパントリーや子ども食堂は誰でも利用できるが、あまり広げてしまうと本当に困窮している人に支援が行き渡らない恐れが出てくる。困窮者だけに支援と限定すると、来なくなる人もいる。今度コロナが感染症法の5類になると聞く。そうするとまた活動の仕方を変えていかないといけないのか、それとも今までどおりなのか」と諏訪さん。活動の在り方を模索している。 子ども食堂サポートセンターいばらき(水戸市)の大野覚さんによると、外に手を伸ばし、さまざまな組織と連携して、子ども食堂やフードパントリーなどに来られない人にも支援を広げるきらきらスペースの活動は、福祉の分野で「アウトリーチ」と呼ばれる活動だ。県内の子ども食堂を対象に実態調査などを実施してきた大野さんによると、アウトリーチに取り組む子ども食堂はまだ少ない。実態調査では「個人情報保護の壁が高く、支援を一番必要としているところに手が届かないことに歯がゆさを感じている」などの声が寄せられた。大野さんは「アウトリーチは、さまざまな組織とつながりがつくれているかどうか」がかぎになっていると話す。(田中めぐみ) 続く

今、考えよう! 無報酬性の限界 《宍塚の里山》98

【コラム・佐々木哲美】私たちの会は、宍塚の里山が土浦市主導による土地区画整理事業で開発されることに危機感を持った人たちにより、1989年9月に設立されました。その後、2003年7月にNPO法人に認証され、2010年に認定NPO法人として承認され、現在に至っています。 認定NPO法人でありながら、専従の職員もいなければ、有償のスタッフもいない、ボランティア団体のままの運営方法をとっています。多くの方に宍塚里山の良さを知って頂き、支援者を増やすために、様々な活動を立ち上げ、ほとんどのイベントを無償で提供しています。 おおらかで自由な雰囲気もあり、新たな参加者が増え、活動も活発に行われ、盛況をみせています。 しかし、活動が広がると、他の人が何をやっているのか関心がなく、自分の興味があるところだけしか参加しない人や、無償のサービスを受けていながら意識しない人が多くなっているように感じます。 組織には、その基盤を支える労力、マネジメント能力を備えた人材と資金が必要です。そういった外部から見えにくい負担が一部の人たちにのしかかってきています。 無償でサービスを提供できるのは、無償で奉仕してくださる方がいるから成り立ちますが、そのバランスが崩れようとしています。また、無償性であることを誇りにして参加している方もいますが、無償にはなじまない専門性が必要な作業もあります。 「NPO=ボランティア」ではない 一番の問題は、行政をはじめ、多くの人が「NPO=ボランティア」と解釈して対応していることにもあります。 これらの食い違いは、NPOへの理解が浸透していないことから発生しています。NPOとは、Non-Profit Organization(非営利団体)の略称です。非営利とは、収益を得てはいけないという意味ではなく、収益を構成員で分配してはならないということで、収益を得た場合は、それをNPOの事業に使いますという意味です。 また、認定NPO法人制度は、法人への寄付を促すことにより、法人の活動を支援するために、税制上の優遇措置として設けられた制度です。 ボランティア活動とは、自主性、公共性、無償制に基づく地域貢献活動です。NPOも求めるものは同じですが、ボランティアとNPOとの大きな違いは無報酬性か非営利性の違いとなります。 また、NPOと株式会社は、ミッションがNPOは社会的利益、株式会社は株主に対する経済的利益と、違いがありますが、株式会社は企業の社会的責任(CSR)が大きく問われるなど、もはや同一レベルにあると言えます。NPOも企業並みの経営感覚が求められます。 私たちは、特定非営利活動促進法(NPO法)の主旨に沿って、独自の収益の道を模索し、最低限の専従職員を雇用し、ボランティア活動の素晴らしさを生かしつつ、理念に基づいた活動をすることです。そのために、行政、一般市民、参加者もNPO団体を支援し、育てるという視点が重要です。(宍塚の自然と歴史の会 顧問)

今、考えよう! 無報酬性の限界 《宍塚の里山》98

【コラム・佐々木哲美】私たちの会は、宍塚の里山が土浦市主導による土地区画整理事業で開発されることに危機感を持った人たちにより、1989年9月に設立されました。その後、2003年7月にNPO法人に認証され、2010年に認定NPO法人として承認され、現在に至っています。 認定NPO法人でありながら、専従の職員もいなければ、有償のスタッフもいない、ボランティア団体のままの運営方法をとっています。多くの方に宍塚里山の良さを知って頂き、支援者を増やすために、様々な活動を立ち上げ、ほとんどのイベントを無償で提供しています。 おおらかで自由な雰囲気もあり、新たな参加者が増え、活動も活発に行われ、盛況をみせています。 しかし、活動が広がると、他の人が何をやっているのか関心がなく、自分の興味があるところだけしか参加しない人や、無償のサービスを受けていながら意識しない人が多くなっているように感じます。 組織には、その基盤を支える労力、マネジメント能力を備えた人材と資金が必要です。そういった外部から見えにくい負担が一部の人たちにのしかかってきています。 無償でサービスを提供できるのは、無償で奉仕してくださる方がいるから成り立ちますが、そのバランスが崩れようとしています。また、無償性であることを誇りにして参加している方もいますが、無償にはなじまない専門性が必要な作業もあります。 「NPO=ボランティア」ではない 一番の問題は、行政をはじめ、多くの人が「NPO=ボランティア」と解釈して対応していることにもあります。 これらの食い違いは、NPOへの理解が浸透していないことから発生しています。NPOとは、Non-Profit Organization(非営利団体)の略称です。非営利とは、収益を得てはいけないという意味ではなく、収益を構成員で分配してはならないということで、収益を得た場合は、それをNPOの事業に使いますという意味です。 また、認定NPO法人制度は、法人への寄付を促すことにより、法人の活動を支援するために、税制上の優遇措置として設けられた制度です。 ボランティア活動とは、自主性、公共性、無償制に基づく地域貢献活動です。NPOも求めるものは同じですが、ボランティアとNPOとの大きな違いは無報酬性か非営利性の違いとなります。 また、NPOと株式会社は、ミッションがNPOは社会的利益、株式会社は株主に対する経済的利益と、違いがありますが、株式会社は企業の社会的責任(CSR)が大きく問われるなど、もはや同一レベルにあると言えます。NPOも企業並みの経営感覚が求められます。 私たちは、特定非営利活動促進法(NPO法)の主旨に沿って、独自の収益の道を模索し、最低限の専従職員を雇用し、ボランティア活動の素晴らしさを生かしつつ、理念に基づいた活動をすることです。そのために、行政、一般市民、参加者もNPO団体を支援し、育てるという視点が重要です。(宍塚の自然と歴史の会 顧問)

桜土浦IC周辺に産業系用地誘導 土浦市23年度当初予算案

場所難航の上大津統合小 用地購入へ 安藤真理子土浦市長は17日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比5%増の552億8000万円、特別会計などを合わせた総額は同比3%増の969億3000万円となる。予算規模が前年度当初を上回るのは2年連続。厳しい財政状況が続く中、創意工夫を凝らしたとしている。 主な事業は、常磐道・桜土浦インターチェンジ(IC)周辺に企業誘致を図る産業系土地利用に向け、事業採算性を検討したり地権者組織を設置するなど同IC周辺地区土地利用促進事業に8900万円を計上するほか、市内の常磐道にスマートインターチェンジ(IC)を設置することを目指し調査したり国や県と協議するスマートIC整備事業に700万円を計上する。 教育では、場所の選定が難航し建設候補地を見直す上大津地区統合小学校の用地購入や新校舎の基本・実施設計など同小整備事業に1億200万円を計上し、28年度の開校を目指す。 公共交通は、公共交通不便地域である中村南・西根南地区と右籾地区にコミュニティ交通を導入したのに加え、新年度は新たな地区でコミュニティ交通を導入したり、高齢者など交通弱者に三輪自転車の購入費を補助する地域公共交通確保維持改善事業に9200万円を計上する。 子育て支援は、公約により公立の認定こども園として存続させ、今年10月の開園を目指している「認定こども園土浦幼稚園」に、3億9900万円を計上して園舎の改修工事を実施する。ほかに産前・産後家事ヘルパーを派遣して妊産婦に家事援助サービスを提供したり(83万円)、妊娠・出産時の伴奏型相談支援や経済的支援(9300万円)などきめ細かな支援をする。 福祉は、市聴覚障害者協会から出された請願をきっかけに、手話が言語であるという認識の下、手話への理解を促進する手話言語条例を今年3月に制定する予定であることから、260万円を計上し、手話ハンドブックを小学3~6年生に配布したり、手話奉仕員を養成したり、市長会見の動画に手話通訳を加えたり、手話ができることを示すバッチを作成し手話奉仕員に配布などする。 土浦方面が有力視されているつくばエクスプレス(TX)県内延伸については、決定すれば沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討し調査する。 ほかに、つくば霞ケ浦りんりんロードの自転車利用促進では約3100万円を計上し、新たに台湾にウェブ広告を配信したり、都内の駅でプロモーション活動をするなどインバウンドや国内観光客に向けた知名度向上を図る。 防災では、浸水想定区域の洪水ハザードマップがすでに作成されている霞ケ浦と桜川に加え、県が今年度中に新たに乙戸川、花室川、備前川、上備前川、新川、境川、天ノ川の市内の中小7河川を新たに浸水想定区域に指定する予定であることから、200万円を計上し、市内の中小7河川を加えた洪水ハザードマップを更新し、全戸に配布などする。 安藤市長は「就任以来の公約であるスマートIC設置やIC周辺への企業誘致は税収を確保すると共に市民の雇用創出にもつながる。交通不便地域のコミュニティ交通導入は順次、実証実験として進めているが、1年に2地区ぐらいずつ増やしたい。子育て支援は、安心して土浦で子育てができるよう取り組みたい」などと話し、「土浦は人口が少しずつ増えている。コロナ禍で注目されているサイクリング環境を整備し、土浦に来る人を増やし土浦を元気にしたい」などと述べた。 一方、歳入は、個人市民税が同比1.7%減となる一方、コロナによる経済活動の回復に伴い、法人市民税が4.4%増加し、市税全体では同比1.3%増を見込む。一方、財源不足を補うため財政調整基金から15億円を繰り入れる。市の借金である市債は、児童福祉施設や社会教育施設の整備費が増え、同比13.2%増となる。23年度末の市債残高は22年度末より4.3%減り、854億3000万円になる見込み。

県内初、会社案内版るるぶ発行 関彰商事

つくばなど地域情報も豊富 関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)は創業115周年を記念し、JTBパブリッシング(本社東京都新宿区、盛崎宏行代表)とコラボ会社案内「るるぶ特別編集セキショウグループ」を発行した。るるぶの会社案内版が制作されるのは県内の企業で初めて、全国でも2例目という。 「るるぶ」はJTBパブリッシングが1973年から発刊する旅行情報誌。2010年12月には発行点数が世界最多の旅行ガイドシリーズとしてギネス世界記録に認定された。ビジュアル性を重視した分かりやすく親しみやすい誌面づくりが特色で、今回の「セキショウグループ」にもそのノウハウが生かされている。 内容は1908年(明治41)の創業から今に至る発展の歴史をつづった「関彰商事ヒストリー」をはじめ、グループの事業内容や支店・営業所網、アスリート社員の活動や文化支援の取り組み、未来へ向けた新規事業や社会貢献など幅広い。各部門から選ばれた社員4人の一日の業務の流れを追った「スタッフのお仕事密着レポート」もあり、「それぞれエリアや職種は違っても、地域への感謝と奉仕を心に、業務に励む姿をお見せできたと思う」と、広報部の田中利明部長。 見開き10ページにわたる大型特集「スタッフおすすめスポット」は、県内および周辺4都県の社員19人が、ランチや手土産に適した各地の名店や観光名所などを紹介。「各営業所の若手社員を多く抜擢した。地域情報を伝えるとともに人を知ってもらう意味もある。取引先や職場内のコミュニケーションツールに役立ってくれるといい」と田中部長。 つくばエリアでは、エネルギーパートナー課の川上兼一さんが天久保のラーメン店「七福軒」を紹介。「初めは取引先に教えていただき、行ってみたらおいしくて、家族とも食べに行くようになった。これを見て利用する人が増えてくれたらうれしい」との感想。松野木にある「蔵出し焼き芋かいつか」を紹介したのは事業開発課のダンティ・トゥイ・ヴィさん。「ベトナムではサツマイモはゆでて食べることが多く、かいつかの焼き芋はすごく甘くてねっとりしていて驚いた」とのこと。自分が載った冊子は「帰ったらさっそく、故郷のおばあちゃんにビデオ通話で見せてあげたい」と語った。 るるぶ特別編集シリーズは、これまで自治体版や地域イベント版などが中心だった。JTBパブリッシングでは、るるぶ発刊50周年を機に、今後は会社案内版にも注力したい考えで、今回はその良い見本となる一冊が作れたと話しているそうだ。 るるぶ特別編集「セキショウグループ」は1万部を制作。書店販売や施設等での配布はせず、従来の会社案内と併用し、営業やリクルートなどのツールとして活用していくという。(池田充雄)

装着型サイボーグのサイバーダイン 《日本一の湖のほとりにある街の話》8

【コラム・若田部哲】多くの研究所が立地する科学のまち、つくば。今回はその中でも最先端企業のひとつ、CYBERDYNE社(サイバーダイン)についてのご紹介です。同社が開発した世界初の革新的技術・製品について、広報の片見さんにお話を伺いました。 サイバーダインは筑波大学の山海嘉之教授により2004年に設立され、世界初の装着型サイボーグ「HAL」をはじめとする機器により、医療をはじめとして様々な社会課題の解決に取り組んでいます。 HALは、装着するだけで「サイボーグ化」する身体装着型の機器。その仕組みは、体を動かそうとするときに脳から発生するごく微弱な信号をセンサーで検出し、認識した動作に合わせてパワーユニットが作動、装着した人の意思に沿った動きをサポートするというものです。 ここまでは、すごいなあと思いつつ、なんとなくイメージしやすいところですが、さらにここからが驚きです! HALが脳からの信号を読み取りアシストした後、その「動いた」感覚は脳にフィードバックされ、それを繰り返すことにより、身体機能の改善・機能再生が図られるそうです。 つまり、弱って動かなくなってしまった身体機能が、HALのサポートで繰り返し動かすことにより回復し、再度動けるようになるとのこと。日本では、神経筋難病という従来は治療が困難とされていた疾患に対し、機能を維持・改善する効果が認められ、病院で治療できるようになっているそうです。 また海外では、脊髄損傷や脳卒中などの治療にも使われているとのこと。介護などの作業支援用や医療用など、様々なタイプのHALが製品化され、世界20カ国で約2500台が稼働中だそうです。 介助や運搬などに恩恵は多大 さて今回は、イーアスつくば内のつくばロボケアセンターで、高齢者向けのフィットネスプログラムとして、腰に装着するHALを体験させていただきました。ここからはそのリポートとなります。 腰部3カ所に電極を貼り付け、器具を腰と太ももに取り付けると準備完了。腰の装着部がしっかりしているため、それだけでウエートトレーニング時につける保護ベルトのようなサポート感があります。 おもむろにスクワットの動作を開始すると…。かがんで、足を伸ばして立ち上がろうとするや、その動きに合わせてHALが作動し、動きをサポートしてくれます。サポートは自分の動きより早くも遅くもなく、まさに意思と同時になされ、スムーズに立ち座り動作をサポートしてくれます。 その感覚に最初は戸惑いを覚えましたが、何度か繰り返すと、すぐに自然にアシストを受けられるようになりました。なるほど、介助や運搬など、常に腰に負担のかかる分野にあって、この恩恵は多大なるものであることが容易に感じられます。 お話を伺い、また体験する中で、このような技術が地元で生まれたことに誇らしい気持ちが湧いてきました。高齢化社会の進展にあたり、今後さらに人々の暮らしを支えるであろう、同社製品の活躍が楽しみです。(土浦市職員) ①サイクリストの宿(2022年7月8日付)②予科練平和記念館(8月11日付)③石岡のおまつり(9月8日付)④おみたまヨーグルト(10月6日付)⑤冷たくてもおいしい焼き芋(11月12日付)⑥阿見町のツムラ漢方記念館(12月9日付)⑦行方市でコイを養殖(2023年1月11日付) <注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えます。

装着型サイボーグのサイバーダイン 《日本一の湖のほとりにある街の物語》8

【コラム・若田部哲】多くの研究所が立地する科学のまち、つくば。今回はその中でも最先端企業のひとつ、CYBERDYNE(サイバーダイン)についてのご紹介です。同社が開発した世界初の革新的技術・製品について、広報の片見さんにお話を伺いました。 サイバーダインは筑波大学の山海嘉之教授により2004年に設立され、世界初の装着型サイボーグ「HAL」をはじめとする機器により、医療をはじめとして様々な社会課題の解決に取り組んでいます。 HALは、装着するだけで「サイボーグ化」する身体装着型の機器。その仕組みは、体を動かそうとするときに脳から発生するごく微弱な信号をセンサーで検出し、認識した動作に合わせてパワーユニットが作動、装着した人の意思に沿った動きをサポートするというものです。 ここまでは、すごいなあと思いつつ、なんとなくイメージしやすいところですが、さらにここからが驚きです! HALが脳からの信号を読み取りアシストした後、その「動いた」感覚は脳にフィードバックされ、それを繰り返すことにより、身体機能の改善・機能再生が図られるそうです。 つまり、弱って動かなくなってしまった身体機能が、HALのサポートで繰り返し動かすことにより回復し、再度動けるようになるとのこと。日本では、神経筋難病という従来は治療が困難とされていた疾患に対し、機能を維持・改善する効果が認められ、病院で治療できるようになっているそうです。 また海外では、脊髄損傷や脳卒中などの治療にも使われているとのこと。介護などの作業支援用や医療用など、様々なタイプのHALが製品化され、世界20カ国で約2500台が稼働中だそうです。 介助や運搬などに恩恵は多大 さて今回は、イーアスつくば内のつくばロボケアセンターで、高齢者向けのフィットネスプログラムとして、腰に装着するHALを体験させていただきました。ここからはそのリポートとなります。 腰部3カ所に電極を貼り付け、器具を腰と太ももに取り付けると準備完了。腰の装着部がしっかりしているため、それだけでウエートトレーニング時につける保護ベルトのようなサポート感があります。 おもむろにスクワットの動作を開始すると…。かがんで、足を伸ばして立ち上がろうとするや、その動きに合わせてHALが作動し、動きをサポートしてくれます。サポートは自分の動きより早くも遅くもなく、まさに意思と同時になされ、スムーズに立ち座り動作をサポートしてくれます。 その感覚に最初は戸惑いを覚えましたが、何度か繰り返すと、すぐに自然にアシストを受けられるようになりました。なるほど、介助や運搬など、常に腰に負担のかかる分野にあって、この恩恵は多大なるものであることが容易に感じられます。 お話を伺い、また体験する中で、このような技術が地元で生まれたことに誇らしい気持ちが湧いてきました。高齢化社会の進展にあたり、今後さらに人々の暮らしを支えるであろう、同社製品の活躍が楽しみです。(土浦市職員) ①サイクリストの宿(2022年7月8日付) ②予科練平和記念館(8月11日付) ③石岡のおまつり(9月8日付) ④おみたまヨーグルト(10月6日付) ⑤冷たくてもおいしい焼き芋(11月12日付) ⑥阿見町のツムラ漢方記念館(12月9日付) ⑦行方市でコイを養殖(2023年1月11日付) <注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えます

5年連続で過去最大を更新 つくば市23年度当初予算案

中根・金田台で小学校建設に着手 五十嵐立青つくば市長は3日、新年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比6.9%増の約1085億1000万円、特別会計などを含めた総額は同比5.1%増の約1705億1000万円で、5年連続で過去最大を更新する。14日開会予定の3月議会に提案され審議される。 児童生徒数の増加に伴い学校施設の建設が続いているのが増加の主な要因。▽新たに、住宅開発が進む中根・金田台地区で小学校建設に着手し2026年4月開校を目指して用地取得と設計などを実施する(約14億8000万円)。前年度からの継続事業としては、▽TXみどりの地区に24年4月開校予定のみどりの南小中学校建設費に約51億2000万円▽主にTX沿線の小中学校などが利用する24年度オープン予定のみどりの学校プール建設費に約17億円▽25年4月稼働開始予定の新桜学校給食センター(供給能力7000食)建設に約19億円を計上する。 高齢者に電動自転車や芸術鑑賞チケットを補助 高齢者を対象にした新規事業として、▽免許返納などによる代替移動手段の確保や介護予防、社会参加の促進のため、70歳以上の高齢者が電動アシスト自転車を購入する場合、2輪自転車は最大5万円、3輪や4輪自転車は最大12万円を新たに補助したり(予算総額約3700万円)、▽70歳以上の高齢者が市と市文化振興財団が共同主催する演劇や音楽などの文化芸術公演を鑑賞する場合、1回当たり1000円を助成したり(約200万円)、▽高齢者や障害者を自家用車で移送する福祉有償運送サービスを実施しているボランティア団体を支援するため、運転者に必要な講習会を市が新規に実施(66万円)などする。 交流センターを地域コミュニティ拠点に 市民に最も身近な施設である地域交流センターの機能拡充として、17館ある交流センターを地域コミュニティの拠点とすることを目指し、全交流センターに無料Wi-Fiを整備するほか、ソファやテーブルを置いて用事がなくても居場所としてだれでも利用できるようにしたり、全館で相談業務を行えるようにする(約2750円)。 ほかに、つくばセンタービル南側を改修し、市民活動拠点(約9760万円)や国際交流拠点(約5100万円)を整備したり、つくば駅前の商業施設BiViつくば2階のつくば総合インフォメーションセンター交流サロンを改修し今年12月の開設を目指して、住民票などの交付を受けることができる市民窓口を新たに開設などする(約2700万円)。 五十嵐市長は「新型コロナの影響でこれまで内向きになっていたが、新年度は市民の活動や地域の交流を後押しし、静から動への転換を図りたい」などと話した。 市税収入6.8%増 一方、歳入は、全体のほぼ半分を占める市税収入が、前年度当初と比べ6.8%増えると見込む。内訳は人口増により納税者がさらに増え、個人市民税が同比7.9%増、立地企業の収益の伸びが続き法人市民税が同28.2%増、新築の戸建て住宅や分譲マンションの建設が続き固定資産税が同2.9%増えると見込む。 当初予算により、市の借金である市債残高は総額で22年度末と比べ約71億円増え、23年度末は約1176億3000万円になるとみられている。市の貯金である基金残高は、全体で約4億6000万円積み立てる一方、約41億6000万円取り崩し、22年度末の約224億4000万円から23年度末は約187億4000万円に減る見込み。(鈴木宏子)

公認更新へ危機脱する 筑波大陸上競技場(上)

募金に加え工事絞り込み 予算不足で4月から、日本陸上競技連盟(日本陸連)第3種公認の更新を受けられるか否か危ぶまれていた筑波大学陸上競技場(つくば市天王台)が、公認更新に必要な工事を実施できる見通しとなった。昨年11月5日から急ぎ募金活動を開始、12月12日までに約1370万円が集まり、これに大学の予算を加え、さらに改修項目を絞り込むことで危機を脱した。 レーン幅の修正必須 陸上競技場の公認制度は、日本陸連が競技規則に従い、公認競技会を開催するために適切な施設であることを認定するもの。第1種から第4種L(ライト)までの5種別があり、いずれも有効期間は5年間で、更新の際は再検定が必要となる。 筑波大の場合、第3種公認の有効期限が今年3月31日に迫っており、しかも今回の更新では、レーン(走路)幅の修正を含む大がかりな改修工事が必要となっていた。 従来、陸上競技のレーン幅は国内規格の1.25メートルと国際規格の1.22メートルが競技場ごとに混在していた。2019年度から国際基準への統一が図られ、旧レーン幅の競技場は次回の公認更新までに修正することになった。該当する競技場は全国で256ある。 2カ年に分けて工費分散 同大教育推進部教育推進課体育センター主幹の菊池文武さんによると、体育センターでは、今回の改修が厳しいものになると予想し、補修個所を必要最小限にとどめる一方、工事を2期に分けることで予算の分散化を図った。 2021年度の工事内容はトラック部分が中心で、レーン幅の修正とそれに伴うラインやマークの打ち直し、高圧洗浄などを行った。路面の傷みが激しいスタートライン付近などは、舗装を切りはがし、クッション材やエンボス材を再度吹き付ける「切削オーバーレイ」という工法により修復した。 22年度はフィールド部分で各種目のレーン幅修正と、踏み切り地点などの切削オーバーレイをする予定。加えてトラック部分の追加工事もある。8レーン中最内の第1レーンは、特に酷使され摩耗が著しく、切削オーバーレイが必要となった。ほかにも跳躍場の砂の補充や、インフィールドからはみ出した芝の刈り込みなど、こまごまとした補修も多い。これらは日本陸連の事前審査で指摘された部分だ。 物価高が大きなハードル 21年度の工事費約2860万円は大学の予算で賄うことができた。今年度分については、昨今の物価高、円安による資材費や物流費などの高騰、光熱費の高騰などに対応した学内全体の予算編成を行っていることを踏まえて、調整を行っているという。 不足分は寄付に頼るしかないと、昨年11月5日からメールやSNSなどを通じて寄付を募り始めた。当初は11月末だった期限を12月12日まで延長、陸上競技部の部員らも一部を負担することで、何とか学外からも寄付を募ることができた。なお寄付は現在も受け付けており、追加予算が取れれば、今回は断念した部分の修復に充てていくという。 支援金で予算不足を補う 予算不足には同大固有の事情もある。今年10月、開学から50年になり、多くの施設が一斉に改修時期を迎えている。他の施設・設備の老朽改善なども順次進めている。 総合大学として多様な施設・設備を有し、しかも国立大学では数少ない体育専門学群があるため体育施設は特に多く、一部施設に大きく予算を割くことは難しい。インカレなどの大舞台でしのぎを削る有力私大と比べると、収入や財源で差があり、同窓会の規模や年齢層の厚みも違うため、寄付金の額も大きく異なる。 そのような事情の中、いち早く活用してきたのがクラウドファンディングだ。陸上競技部の長距離パートでは、箱根駅伝復活プロジェクトの一環として2016年から取り組み、得られた支援金で強化費や遠征費などを捻出し、2020年の本戦出場を果たした。今年度は蹴球部が第1サッカー場の改修で約1820万円を集め、老朽化した人工芝の張り替えを実現できた。 大学としても今後、産学連携による企業からの資金導入や、文科省が創設した10兆円規模の大学ファンドの活用などにより、収入の改善を図るという。(池田充雄) 続く ◆筑波大学陸上競技場の改修寄付申し込みフォームはこちら

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