火曜日, 5月 7, 2024
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ロウバイが満開、筑波山梅林

筑波山中腹のつくば市沼田、筑波山梅林で、春の訪れを告げるロウバイが満開になっている。14日は小雨の交じる天候で観光客は少なかったが、訪れた人たちは、黄色く咲き誇るロウバイの写真を撮ったり、香りを嗅いだりしていた。園内では早咲きの紅梅もちらほら咲き始め、わずかだが花びらが開いた白梅を見つけることができる。 筑波山梅林は標高約250メートル付近に位置し、中腹の斜面に広がる4.5ヘクタールの園内には約1000本の白梅や紅梅が植えられている。1970年に開園し、2005年にリニューアルした。筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石が園内のあちこちにあり、筑波山地域ジオパークの見どころの一つともなっている。 ロウバイは園内の標高の低いところに数十本ある。中国原産で黄色い花と甘い香りが特徴。梅の一種ではなくクスノキ目に属する。梅はバラ目なので遠縁になる。 たびたび梅林を訪れるという、近くに住む女性は「ここは見晴らしが良くて、梅を間近で見ることが出来るのが良い」と話していた。 コロナ禍により筑波山梅まつりは、2020年は会期途中で中断、21年は2週間遅らせて開幕、昨年は中止となった。さらに昨年は、梅の収量が少なく(22年6月6日付)、梅まつり中止と収量大幅減のダブルパンチに見舞われた。 つくば観光コンベンション協会観光推進課の本間亮太さんによると、今年は気温が低い時もあったが、紅梅の開花、白梅の開花も例年並みで、紅梅の見頃は2月初旬ごろ、白梅の見頃は3月初旬ごろになるとみられるという。今年の筑波山梅まつりは第50回目となり、2月18日に開幕する。(榎田智司)

災害弱者となって気付いたこと【防災介助士ってどんな仕事?】下

つくば市在住の防災介助士、金栗聡さんのホームページ「やさしい防災」の冒頭でつづられていることだが、金栗さんは脊髄に障がいのある車椅子生活者の一人だ。地質調査の仕事をしていた金栗さんは勤務中の事故で重傷を負い、日常が一変した。 「2014年にけがをしまして、下半身の自由がなくなりました。そのような自分に何が出来るだろうかと考え、もともと持っている地質学の知識と、防災を結び付けることを思い付いたのです」 それは過去の地震記録や地域の地下に存在する、あるいは存在するかもしれない活断層の情報といった、防災上の必須項目だ。地震に限らず気象災害として生じる河川氾濫なども、地形や地質から読み解くことが出来る。 ただ、金栗さんの場合、災害時の対応を前提としながらも、むしろそのような知識を学びながら、家庭内に閉じこもらずレクリエーションや観光の機会を作ってほしいと、災害弱者とその介助・介護の人々にメッセージを発信している。 防災を楽しく身近に知ってもらうために 「インターネットを調べると、筑波山登山でケーブルカーに乗られた車椅子の人のブログを見つけました。おそらく介助の人々は大変な苦労をされたと思います。でも車椅子でも山に登れたという実感は、とても楽しい記憶になったはずです。それならば、事前に、どこまでなら行ける、どういった現地状況か、何を備えておけばいいかを、情報として提供できるだろうと考えました」 森の里に住む金栗さんは、公共交通機関を使って筑波山に何度も赴き、乗り継ぎの経路上にどんな斜面や道筋があるかを調べている。市内の公共空間も併せて、雨天でなければ毎日のように出かけていくという。つくば市の生涯教育指導者(社会・自然・科学)にも登録され、生涯学習推進課を介して依頼があれば、指導講座を開催する。 「健常者でない以上、行けるところの限界はあります。それでも行ける範囲を示すことが出来れば、行ってみようかというポジティブな気持ちにもつながるのではないか」 筑波山地域のジオスポットを紹介 金栗さんは障がい者や高齢者の暮らしにも楽しみや潤いがあるべきと考え、あえて筑波山登山という目標へと誘導する。 「筑波山には『筑波山地域ジオパーク』という自然科学の学びの場がジオスポットとして存在します。時にはそれらの場所から土砂災害などのメカニズムを知ることもできます。そこへ積極的に遊びや観光で出かけていただきたい。そのためには安全か危険かの認識に、健常者とは異なる視点も必要です。これは私個人の活動ですが、『防災』というと取っつきにくいイメージもありますから、防災の視点も持ちながら、筑波の地質や自然に接していただくきっかけを情報提供したいのです」 金栗さんのにこやかな表情を見ると、孤軍奮闘という言葉は似つかわしくないと感じるが、他の防災介助士との連携や交流があるかをうかがうと、金栗さん自身も「特に横のつながりはありません」と苦笑する。現在のコミュニティは障がい者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)や有志で活動する「筑波山地域ジオパークユニバーサルデザイン検討会(仮称)」への協力にとどまる。 「防災介助士は国家資格ではありませんが、いつかやってくる災害への対応や、進行する高齢社会という情勢下で、これから横のつながりも大事になるでしょう。この資格を有することでの、地域社会とのかかわりも重要さが増していくと思います」 金栗さんの活動は、災害に対する「備え」だ。備えることはまさしく防災であり、備え方次第で災害弱者の生活に新しい気概を生み出すことが期待される。(鴨志田隆之) ◆「やさしい防災」のホームページはこちら 終わり

格上げし国際都市推進課を市長公室に つくば市人事異動’22

つくば市は18日、4月1日付け組織改編と人事異動を内示した。政策強化を図る組織改編として、国内の国際交流のみならず海外の諸都市との連携を図るため、市民部市民活動課の課内室だった「国際交流室」を「国際都市推進課」に格上げし、市長公室に移設する。 内閣府国家戦略特区諮問会議からスーパーシティ特区の指定を受けたことなど、スマートシティの実現に向けた取り組みを具体化するため、政策イノベーション部の「スマートシティ戦略室」を「スマートシティ戦略課」に格上げする。 複数の部署に分かれていた子供に対する支援を一体化するため「福祉部社会福祉課こども未来室」と「こども部こども政策課子育て相談室」を統合し、こども部に「こども未来課」を新設する。 地方公営企業の上下水道事業は、組織の合理化を図るため「上下水道局」を新設する。 異動の規模は20.4%の267人(消防本部等を除く)で、前年度同様、業務の継続性を重視し、専門性、効率性を高めるため必要最低限の異動とするとしている。 4月1日付の全職員数は前年度より35人増えて2004人になる。定年退職者は51人、普通退職者は37人、新規採用職員は76人、再任用職員は134人。 女性管理職の割合は、消防本部を除き、2021年度の25%から22年度は25.3%になる。 国や県との人事交流は、引き続き文科省出身職員を政策イノベーション部長に配置する。国、県などに実務研修生6人を配置する。 任期付き職員として、学校などの特別支援教育に豊富な知識と経験がある人材を特別支援教育推進室長に配置するほか、学校にICT(情報通信技術)指導員を3人配置する。幼稚園長に、幼稚園や小中学校の現場で管理職として働いた経験のある人材5人を配置する。 国際都市推進課長に岸田和克子市長公室統括政策監 4月1日付人事異動は以下の通り。カッコ内は現職。敬称略。 【部長級】▽政策イノベーション部長兼市長公室政策調整監(政策イノベーション部長)森祐介▽市民部長(市民部次長)大久保克己▽福祉部長(保健部次長)安曽貞夫▽こども部長(市長公室次長兼秘書課長兼広報監)塚本浩行▽都市計画部長(都市計画部次長兼都市計画課長)大里和也▽上下水道局長(生活環境部次長)坂入善晴▽消防長(消防本部消防次長)木村勝平 【次長級】▽総務部次長(政策イノベーション部次長)杉山晃▽政策イノベーション部次長(企画経営課長)大越勝之▽市民部次長(生活環境部環境政策課長)池畑浩▽市民部地区担当監兼地区相談課長(市民部市民活動課長)大木茂樹▽市民部地区担当監・大穂相談センター所長、再任用(消防長)植木利男▽市民部地区担当監・豊里相談センター所長(生活環境部次長)野原浩司▽市民部地区担当監・谷田部相談センター所長、再任用(総務部総務政策監、再任用)藤後誠▽市民部地区担当監・桜相談センター所長(生活環境部次長)嶋崎道徳▽市民部地区担当監・筑波相談センター所長(福祉部次長)吉原衛▽市民部地区担当監・茎崎相談センター駐在、再任用(財務部財務政策監、再任用)髙野正美▽福祉部次長(障害福祉課長)根本祥代▽保健部次長(福祉部高齢福祉課長)中根英明▽こども部次長(幼児保育課長)吉沼浩美▽経済部次長(都市計画部次長)岡田克己▽都市計画部次長兼都市計画政策監、再任用(都市計画部長、再任用)中根祐一▽都市計画部市街地振興監(教育局次長)貝塚厚▽生活環境部次長(市民部スポーツ振興課長)伊藤智治▽上下水道局次長(総務部次長)中泉繁美▽会計管理者(財務部次長)飯島正志▽教育局次長(教育局次長兼教育施設課長)飯泉法男▽教育局次長(経済部産業振興課長)久保田靖彦▽消防本部消防次長・消防本部担当(同・消防署担当)五月女謙次▽消防本部消防次長(消防救助課長)青木孝徳▽消防本部主任参事兼中央消防署長(消防総務課長)小島幸司▽消防本部主任参事兼消防指令課長(消防指令課長)山田和美 【課長級】▽市長公室秘書課長(秘書課長補佐)伊藤尚美▽市長公室国際都市推進課長(統括政策監兼企画監)岸田和克子▽政策イノベーション部企画経営課長(生活環境部環境政策課長補佐)横田裕治▽政策イノベーション部科学技術振興課長(科学技術振興課スタートアップ推進室長兼産業振興センター所長)前島吉亮▽政策イノベーション部スマートシティ戦略課長(科学技術振興課スマートシティ戦略室長)中山秀之▽財務部管財課公共施設マネジメント推進室長(都市計画部建築指導課長)吉田和行▽財務部納税課長兼徴税管理監(納税課長補佐兼徴税監)柳田賢一▽市民部市民活動課長(地区相談課長)荒澤浩俊▽市民部市民活動センター所長、再任用(こども部長)中山由美▽市民部大穂窓口センター所長(文化芸術課長)日下由美子▽市民部豊里窓口センター所長(豊里窓口センター所長、課長補佐級)伊藤紀子▽市民部谷田部窓口センター所長(経済部農業政策課長)垣内伸之▽市民部桜窓口センター所長(大穂窓口センター所長)中川和子▽市民部筑波窓口センター所長(教育局生涯学習推進課長)大久保文子▽市民部茎崎窓口センター所長(谷田部窓口センター所長)宮本孝雄▽市民部副地区担当監、大穂相談センター駐在(オンブズマン事務局長)栗山正行▽市民部副地区担当監、大穂相談センター駐在(保健部国民健康保険課長)木澤伸治▽市民部副地区担当監、谷田部相談センター駐在(建設部道路管理課長)色川英雄▽市民部副地区担当監、桜相談センター駐在(大穂相談センター駐在)渡辺寛明▽市民部副地区担当監、筑波相談センター駐在(桜相談センター駐在)御田寺義郎▽市民部副地区担当監、筑波相談センター駐在(福祉部社会福祉課長)安田正幸▽市民部スポーツ振興課長(政策イノベーション部科学技術振興課長) 岡野渡▽市民部スポーツ振興課参事、つくば市スポーツ協会派遣、再任用(市民部長)横田修一▽市民部文化芸術課長(文化芸術課長補佐兼係長)矢口治重▽福祉部社会福祉課長兼非課税世帯等給付金室長(社会福祉課長補佐兼係長兼非課税世帯等給付金室長)相澤幸男▽福祉部障害福祉課長(障害福祉課長補佐)岡田治美▽福祉部高齢福祉課長(医療年金課長)日下永一▽保健部国民健康保険課長(社会福祉課長補佐兼企画監)飯村修▽保健部医療年金課長(医療年金課長補佐)城取美知枝▽保健部健康増進課感染症対策室長(こども部こども政策課長)美野本玲子▽保健部健康増進課新型コロナウイルスワクチン接種対策室長(中央図書館副館長兼視聴覚センター所長)松浦智恵子▽保健部健康増進施設いきいきプラザ館長、再任用(福祉部長)津野義章▽こども部こども政策課長(保健部健康増進課長補佐)鈴木加代子▽こども部こども未来課長(福祉部社会福祉課こども未来室長)中澤真寿美▽こども部幼児保育課長(幼児保育課長補佐)岩田光弘▽経済部産業振興課長(財務部管財課公共施設マネジメント推進室長)柳町哲雄▽経済部農業政策課長(農業政策課長補佐)根本隆▽経済部観光推進課長(観光推進課ジオパーク室長)伊藤祐二▽都市計画部都市計画課長(周辺市街地振興課長補佐)大久保正巳▽都市計画部周辺市街地振興課長(周辺市街地振興課長補佐)吉岡誠生▽都市計画部建築指導課長(建築指導課長補佐)中泉弘行▽建設部道路管理課長(建設部道路管理課長補佐)石塚一弘▽生活環境部環境政策課長(経済部産業振興課経済支援室長)渡邊俊吾▽上下水道局水道総務課長(生活環境部上下水道総務課長)小吹正通▽上下水道局下水道総務課長(財務部管財課長補佐)桜井克仁▽上下水道局上下水道業務課長(生活環境部水道業務課長)本山雅之▽上下水道局水道工務課長(生活環境部水道工務課長)植木亨▽上下水道局水道監視センター所長(経済部観光推進課長)兼平勝司▽上下水道局下水道工務課長(生活環境部下水道課長)渡辺高則▽教育局教育施設課長(建設部公共施設整備課長補佐兼係長)鈴木聡▽教育局生涯学習推進課長(教育総務課長補佐兼企画監)澤頭由紀子▽中央図書館副館長(政策イノベーション部企画経営課長補佐兼オリンピック・パラリンピック推進室長)沼尻祐一▽選挙管理委員会事務局副局長(政策イノベーション部企画経営課持続可能都市戦略室長)吉岡直人▽オンブズマン事務局長、再任用(市民部地区担当監、筑波相談センター所長)木村徳一▽消防本部消防救助課長(予防広報課長)鈴木浩▽消防本部消防総務課長(消防救助課長補佐)廣瀬好▽消防本部予防広報課長(予防広報課長補佐兼危険物係長)高野順一▽北消防署長(中央消防署並木分署長)太田義春▽中央消防署参事兼中央消防署副署長(中央消防署副署長)細田義美▽北消防署参事兼筑波分署長(中央消防署豊里分署長)青木節 【退職】3月31日付▽市民部長 横田修一▽市民部主幹、つくば市国際交流協会派遣 飯村通治▽福祉部長 津野義章▽こども部長 中山由美▽消防長 植木利男▽市民部地区担当監・筑波相談センター所長 木村徳一▽経済部次長 中澤正登▽会計管理者 酒井作徳▽消防本部兼中央消防署消防監 東郷道明▽消防本部主任参事兼北消防署長 山田勝▽財務部納税課長兼徴税管理監 上方和男▽市民部副地区担当監・大穂相談センター所長 矢島正弘▽市民部副地区担当監・谷田部相談センター所長 秋葉芳行▽市民部副地区担当監・桜相談センター所長 関口正昭▽市民部副地区担当監・筑波相談センター駐在 星野和也

一般会計1千億円突破 4年連続で過去最大更新 つくば市22年度当初予算案

つくば市の五十嵐立青市長は3日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比13.2%増の1015億3200万円となり、初めて1000億円を突破し、4年連続で過去最大を更新する。特別会計などを加えた総額も同比8.5%増の1622億6700万円となり、こちらも4年連続過去最大となる。 BMXコース、スケボーパークなど整備 児童生徒数の急増により、研究学園小中学校(44億9200万円)、香取台地区小学校(22億7300万円)、みどりの南小中学校(22億5000万円)の3校の建設を進めるのが主な要因。さらにみどりの地区に屋内温水プールを建設し24年4月のオープンを目指す(11億1900万円)。給食センターも2020年に谷田部地区に新設したばかりが、足りなくなる見通しであることから、新桜学校給食センターを新設するための設計を実施する(3800万円)。 主な新規事業は、廃校となった旧筑波東中学校にBMX(自転車のモトクロス競技)コースなど自転車拠点(2億2300万円)と、ジオパーク中核拠点(1億5000万円)を整備する。さくら運動公園北側の流星台に2023年4月オープンを目指しスケートボードパークを整備する(5400万円)。 さらに筑波山ふれあいの里を魅力あるアウトドア体験施設とするためキャンプ場改修の設計を実施する(1500万円)ほか、市北部の廃校を文化芸術創造拠点とするため基本計画策定や改修を実施する(1300万円)。 課題となっている最終処分場は、焼却灰などの最終処分を委託している下妻市内の民間最終処分場が満杯になり受け入れができなくなることから、4月から山形県米沢市に加え、新たに青森、秋田県内の最終処分場に処分を委託する。これにより最終処分費が前年度と比べ8600万円増え、4億1100万円になる。一方、ごみ減量のため生ごみ処理容器購入補助金を3倍に増やし500万円を計上する。 コミュニティバス「つくバス」(4億1200万円)は、実証実験を行っていた茎崎地区の路線バスをつくバス路線とするほか、上郷シャトルを増便する。筑波地区の支線型バス(4900万円)は4コースのうち3コースを廃止し1コースのみで本格的に運行する。新たな実証実験として、学園の森を経由する石下-土浦路線と松代地区の路線バスに2路線に負担金(760万円)を出す実証実験を行う。 昨年12月、計画を大幅に見直したつくばセンタービルの改修は、市民活動拠点の整備工事などに2億6700万円を計上する。エスカレーター2基の設置などが無くなったが、全体事業費は9億円で、当初より約8000万円安くなるにとどまるという。 コロナ対策としては、昨年暮れ、子育て世帯臨時特別給付金10万円の給付を受けることができなかった離婚家庭の子供などに市独自に10万円を給付する(給付金2400万円)。中小企業の販路拡大補助や雇用促進支援など経済支援を継続し1億3800万円を計上する。 ほかに、市民に正しい情報を発信するためとして、市政情報を深く知ってもらうための「かわら版」の発行回数を増やすほか、動画によるかわら版チャンネルを制作・配信などする(6400万円)。 一方、歳入のうち市税収入は、人口増加に伴う個人市民税や固定資産税の増加により前年度当初比5.5%増の約484億7500万円を見込む。前年度当初はコロナ禍により税収が減ると見込んでいたが、給与所得者が多い人口構成のため、全体として大きな影響はなかったとして新年度は増加を見込んだとしている。 借金である市債は同比71.5%増の105億2500万円を発行し、一般会計の市債残高は今年3月末の567億5900万円より43億円増え、22年度末は611億2400万円になる見込み。(鈴木宏子)

今年も開幕延期 筑波山梅まつり

筑波山の中腹、筑波山梅林(つくば市筑波)で12日から開催を予定していた「筑波山梅まつり」について、主催者の筑波山梅まつり実行委員会(委員長・五十嵐立青つくば市長)は1日、まん延防止等重点措置の茨城県への適用に伴い、開幕を延期すると発表した。12日から3月13日まで開催の予定だった。新型コロナの感染拡大が始まった一昨年は会期途中で中断、昨年は県独自の緊急事態宣言により約2週間遅らせての開幕となっていた。 開催可否は、状況を見て判断 今年の延期措置について市観光推進課は、市内で感染が拡大している状況をみた上での判断だったと説明し、今後についてはまん延防止等重点措置の解除後の開催に向けた準備をしつつ、重点措置の期限である20日を目安に「県外を含めた周辺地域の状況を踏まえ開催の可否を判断していく」とした。開催に関する情報は、「筑波山梅まつり」のオフィシャルサイト、市のホームページ、プレスリリースなどで発表する。 3日現在の開花状況は、早咲きの紅梅が5分咲き、白梅はまだつぼみだ。両方が咲きそろう見頃は、2月下旬から3月初旬にかけてと見込まれているが、見頃までに開幕できるか否かは現時点で未定だ。  ただし園内を散策することはできる。筑波山梅林一帯を含む林道沼田新田酒寄線(梅まつり会場~酒寄丁字路)は、梅まつり予定期間である12日-3月13日の間、午前9時から午後4時まで車を通行止めとし、歩行者専用にする。同実行委員会は、梅を鑑賞する際にはマスクなど感染対策をした上で、「密」を避けるよう呼び掛けている。 つくば市臼井の会社員・鮏川拡さん(41)は「難しい状況ですよね。この時期は毎年地域がにぎわっていたので、中止になるとしたら残念です」と地元住民としての複雑な思いを話した。 政府によるまん延防止等重点措置は、1月27日から2月20日まで県全域に適用されている。 筑波山梅林は標高約250メートル付近に位置し、広さは約4.5ヘクタール。約30種約1000本の白梅、紅梅が植えられ、紅梅が2割、白梅が8割を占める。園内の最上部にある「展望あずまや」からは眼下に梅林や山麓の田園風景、好天日は遠く首都圏のビル群や富士山を望むことができる。園内には筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石があちこちにあり、筑波山地域ジオパークのジオサイトの一つになっている。(柴田大輔) 【3月8日追加】筑波山梅まつり実行委員会市は8日、茨城県のまん延防止等重点措置が21日まで再延長されたことに伴い、開幕を延期していた今年の第49回筑波山梅まつりを中止すると発表した。梅林内は散策できる。

旧筑波東中にBMXコース整備へ 自転車チーム「弱虫ペダル」提案

つくば市は25日、同市北条、旧筑波東中学校グラウンドに新たに、自転車競技の一つ、BMX(バイシクルモトクロス)コースを整備すると発表した。 市内に活動拠点があるプロの自転車チーム「弱虫ペダルサイクリングチーム」(5月18日付)から昨年、市に提案があったのを受けて、市が来年度、約7500万円でコースを造成する方針だ。2023年に完成予定で、完成後は弱虫ペダルチームがコースを管理運営する予定だという。 BMXは、いくつもの小高い大小のこぶや、曲がり角がつくられた土のコースを、専用の自転車で300~400メートル走り抜けてタイムを競う競技。同中のグラウンド約1.17ヘクタールに全日本大会なども開催可能な最大約380メートルのコースと、子供用コースなどをつくる。さらに300台以上収容できる駐車場も整備する。 同中は秀峰筑波義務教育学校の開校に伴い2018年3月に廃校となった。跡地活用として校舎の一部を、筑波山地域ジオパークの中核拠点施設とサイクリング拠点として整備するため、今年度それぞれ約2200万円と約290万円で設計が実施されている。サイクリング拠点としては1~2階の教室の一部を改修し、自転車修理スペースやシャワー室などを整備する計画だ。 同中は、自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の沿線にある。市は、シャワー室などを備えているだけでは短時間の利用が多くなってしまうが、BMXは滞在時間が長く、食事や宿泊など地域への波及効果が期待できると強調する。 弱虫ペダルチームはロードレースなどの選手が多く、BMXの選手は現在、在籍していない。一方、BMXは子供たちが遊び感覚で楽しむことができるため、BMXをきっかけに将来、自転車競技の道に進む選手が出ることが期待されるという。 市は弱虫ペダルチームと近く連携協定を締結し、BMXコースの運営のほか、同中に整備するサイクリング拠点の運営、自転車安全教室の開催協力などを実施してもらう方針だ。 弱虫ペダルチームは人気漫画「弱虫ペダル」の作者、渡辺航さんが立ち上げたチームであることから、市は、同チームと連携することを通して、人気漫画のキャラクターなどを利用し、サイクリング拠点としての集客力向上を図りたい狙いがある。(鈴木宏子)

「1基は無くてもよい」で一致 エスカレーター計画で市議会 つくばセンタービル

つくばセンタービル(つくば市吾妻)のリニューアルで、市がセンター広場にエスカレーターを2基建設する計画を立てている問題(4月27日付)を扱う市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が3日開かれた。エスカレーターを計画通り2基設置すべきかなどについて各会派が意見を出し合った結果、議会として、北側(ホテル日航つくば側)の1基は無くてもよいとする意見で一致した。 市は、今回の議会の意向を踏まえて改めて検討し直し、結果を議会に示す。3月時点では、エスカレーターを2基設置する内容の実施設計を6月にも発注する予定だったが、ずれ込む見通しだという。 一方、今回は「西側(クレオ側)のエスカレーター1基をつくって(2基目は)改めて検討する方がよい」などとする意見と、「つくばセンタービルは文化財的価値が高い建造物なのだから2基とも設置する必要がない」などの意見に分かれたほか、新たに「北側(ホテル側に)にエスカレーターではなくエレベーターを設置してはどうか」などの意見が出された。特別委では、市民活動拠点の配置なども含めて今後さらに検討する。 各会派の主な意見は次の通り。(鈴木宏子) 2基が妥当、妥協点として1基でもよい つくば自民党・新しい風(発言者は黒田健祐市議)エスカレーターを2基つくるのが妥当だが、妥協点として1基でもよい。視認性、回遊性をみても2カ所が妥当。ソフト面とハード面、両輪で推進することを考えた場合、中心市街地まちづくり戦略全体の中で、ハード面が先行し、議論の的になっている。2基が妥当な考えだが、活性化した姿を前提に、まちづくり戦略を進めていく中で、1基造って様子を見て、もう1基つくるという考え方もある。市民活動拠点は原案通り。 2基ともいらない 自民党政清クラブ(飯岡宏之市議)2基ともいらない。市民への説明が足りない。市の顔である建造物をいじるのはいかがなものか。景観と費用対効果の観点から2基ともいらない。2階から1階に行く動線を考えても、市民がエスカレーターで1階に降りるということではない。エスカレーターを設置したから人が行き来するようになるかどうか分からないところに設置するのはいかがなものか。 ホテル側はエレベーターに つくば・市民ネットワーク(皆川幸枝市議)北側(ホテル側のエスカレーター)は無し、西側(クレオ側)のみ1基だけつくる。障害当事者と現地を確認した。北側エレベーターはセンター広場の手前で止まってしまい(広場までは)スロープか階段で移動することになる。スロープは角度が急で、車いすの一人での上り下りは危険。その部分にエレベーターを設置する方が重要。(改修計画では既存のV字型の)階段をL字型にするが、手すりが設置できない。(既存の)階段に手すりを設置することを提案したい。▽市民活動拠点は、つくば駅周辺で住宅の建築が進むので、行政の案内をするコンシェルジュを置くことを提案したい。(市民活動拠点の)公共スペースは狭いという指摘があるので、(市役所の)窓口事務室をBiViつくば2階に移動させ、その分、キッズスペースを設け、子供連れの親子が集える場所をつくったり、授乳室を設けてはどうか。市民活動を増やしていく機能も求められる。吾妻交流センターの各部屋の利用状況を調査し、畳の部屋が必要か、調理室の使用頻度が高くないなら調理以外も利用できないか、ダンスも盛んなので音楽室の壁の1面全部に鏡を付けたりなどを検討すべき。 外観の改修行うべきでない 公明党つくば(小野泰宏市議)つくばセンタービルには(設計者の)磯崎新氏の深い哲学や理念があり、こうした下地があって、重要な文化財的価値がある。2階(ペデストリアンデッキ)から見る劇場型広場(センター広場)など、価値を市民に周知すべき。つくばならではの財産だ。動線は、既存のエレベーターの利便性を高めるなどするのが適切。外観に関わる大規模改修は行うべきではない。市民活動拠点は、概ね市執行部提案に同意する。 西側の1基のみでよい 創生クラブ(中村重雄市議)エスカレーターは西側(クレオ側)の1基のみでよい。北側はV字型の階段を残し、デザインや費用の面から、エスカレーターがよいか、エレベーターの方がよいか、数年後に検討すればよい。液晶パネルなどを使って、誘導・案内看板を増やし、動線を表示したらよい。市民活動拠点は市執行部提案に賛成。 西側の1基で足りる つくばチェンジチャレンジ(川久保皆実市議)エスカレーターは西側の1基で足りる。費用対効果を考えると、エスカレーター1基のひと月当たりの経費は46万円。市民活動拠点1日当たりの利用人数は平均200人、働く人を支援する場は2000平方メートルなので1日当たりの利用者は多く見積もっても400人。計600人の利用人数のために2基設置するのは費用対効果から適切ではない。(エスカレーター設置の目的は)視認性や回遊性を高めるためということだが、市民活動拠点も、働く人を支援する場も、明らかな目的をもった人が行く場であり、雑貨店やカフェのような、目に付いたからふらっと行くというのは低い。エスカレーターで人を誘導するというのは低い。▽市民活動拠点は乳幼児の授乳室などはあるが、靴を脱いで上がれるキッズスペースがあったらいい。窓口センターの待ち時間に利用できるように設置してほしい。 シンボル壊す2基ともいらない 日本共産党つくば市議団(山中真弓市議)エスカレーターは2基ともいらない。つくばセンタービルは歴史的な価値の高い建造物であり、つくばのシンボルを壊してエスカレーターを設置するのは反対。センター広場には筑波山ジオパークを凝縮したような造形部分もある。エスカレーターを設置してほしいという要望が市民から多く寄せられているわけでもない。バリアフリーのためには案内板を設置して動線を行き来しやすいようにしたり、既存のエスカレーターを改修することで解決すべき。▽公共エリア(市民活動拠点)は面積が十分でない。市民の声が生かされている改修計画になっていない。市民の声を生かして、1階の(市民活動拠点の)面積を広げるべき。オフィスありきで考えるのであれば、吾妻交流センターや消費生活センターを生かすなど、いろいろ検討すべき。議会としても執行部も、市民の声を聞く場を設けるべき。 西側設置し様子見て 清郷会(木村清隆市議)エスカレーターの需要がどの程度あるか、西側(クレオ側)の1基を設置して、その後、様子を見て、検討すればいい。▽青少年や若者が集える場をより多くしてほしい。(つくばセンター研究会から出された要望書=6月1日付=に)「市民の意見を十分聞いてない」とある。市は、時間を掛けて市民の声に耳を傾けてきたと思うが、そういう声があることを真摯に受け止め、説明の仕方を工夫し、新たな周知の仕方をお願いしたい。 丁寧にやるべき 新社会党つくば(金子和雄市議)つくばセンタービルは今日まで40年くらい、つくばの中心的役割だったが、店舗が撤退したり、民間が出て行ったことは事実。そういうときにどうしたらいいか。歴史的建造物なので、どう改修するか、丁寧にやるべき。エスカレーターが必要か、必要でないかだけでは解決できない。今あるものをどうやって利用して(現状を)乗り越えていくかに力を注ぐべき。 【7日訂正】つくばチェンジチャレンジの川久保皆実市議の発言で「エスカレーター1基の1日当たりの経費は46万円」とあるのは「ひと月当たり」の誤りです。お詫びして訂正します。

「最年少」の後任に「初の女性」 つくば市副市長に松本玲子市長公室長

全国最年少の副市長として26歳で就任し3月末で退任するつくば市の毛塚幹人副市長(30)=3月10日付=の後任に、市長公室長の松本玲子氏(62)が4月1日就任する。同市初の女性副市長となる。市議会3月定例会最終日の19日、本会議が開かれ、五十嵐立青市長が提案した。全会一致で同意を得た。 本会議であいさつした松本氏は「市政運営では議員の皆様から様々な意見をいただき、多くの課題を抱えていると認識している。議員の皆様とのコミュニケーションを大切にしながら、課題の一つひとつに丁寧に取り組み、五十嵐市長が掲げる『世界のあしたが見えるまち』の実現に向け、誠心誠意努力していきたい」などと決意を話した。 五十嵐市長は「松本公室長は市役所の総司令塔。男女の分け隔てなく働く環境を切り開いてきた」と評した。 任期は4年間。就任後は、毛塚副市長が担当した政策イノベーション部、保健福祉部、こども部、教育局などを担当するという。 取材に対し松本氏は、市の課題について、旧総合運動公園用地の利活用、中心市街地の活性化、学校建設などをしっかり進めていきたいとした。女性職員の活躍促進については「市の職場環境に男女の差はないので、女性職員のモチベーションや意欲をより高めることを一緒にやっていきたい」などと話した。 松本氏はつくば市出身。筑波大卒、同大学院修士課程環境科学研究科を修了し、都市計画などを学んだ。1983年に合併前の旧桜村役場職員となり、合併後はつくば市職員として、環境都市推進課長、国際戦略総合特区推進部次長、科学技術振興部次長などを歴任。つくばエクスプレス(TX)沿線開発、シティプロモーション、環境モデル都市構想や筑波山地域ジオパーク構想の策定などに取り組んだ。 2016年4月から市長公室長を務めている。(鈴木宏子)

卒業記念に一人展 気象女子の「旅のきろく」 16日から土浦

【相澤冬樹】この春、筑波大学大学院教育研究科を修了、茨城県教員として採用が決まっている牛久市在住の石田理紗さん(23)の個展「旅のきろく展」が16日から、土浦市中央の「がばんクリエイティブルーム」で始まる。 筑波大学では地球学類、大学院では理科教育コースに学んだ。高校教育でいう理科4領域(物理・化学・生物・地学)のうち地学、中でも気象を専攻した。フィールドワークがものをいう学問分野、国内のみならず海外に旅した経験を得意の絵画に記録した作品展となる。 海外ではカナダのオーロラ、オーストラリアの巨石ウルル、ロシアのバイカル湖などを見に、厳しい環境の大自然を旅してきた。アクリルガッシュによる小品中心に13点ほどを展示する。 春から高校で教壇に 土浦の街なかで個展を開くことになったのには経緯がある。石田さんは「高校、大学、大学院と見守ってくれた皆さんにご報告がてら、これまでをたどれたらうれしいじゃないですか」という。 出身高校は県立土浦二高(土浦市立田町)、冬のある日、あまりの寒さに通学路にあるカフェ城藤茶店(同市中央、工藤祐治さん経営)に飛び込んだ。同市内外から常連が集まる店だが、実は比較的年齢層が高い。地元の高校の女子生徒となると、にわかにちやほやされる。 明るい笑顔で応えた石田さんはすぐにアイドル的存在になった。大学に進学すると、同市永井で漢方の薬草を育てる理系農家に招かれて、地球学類の仲間らと筑波山地域ジオパークのセミナーを開いたりした。カフェの常連も応援団よろしく聴講に駆け付けた。 地学、気象への興味を膨らませる一方、「得意」としていた絵画の才も磨いて、カフェで小さな個展を開くようになった。 こうした活動から、応援団に後押しされる格好で、武田康男 (気象予報士)さんの著作「今の空から天気を予想できる本」(緑書房)の挿絵を担当するなどした。「例えば積乱雲のイラストを描く際、雲底(うんてい)の様子など細かいところの注文をしなくていいのが重宝されたみたい」 大学から大学院合わせて6年間は、毎年のように異常気象が列島を襲った。線状降水帯とか爆弾低気圧とか猛暑日とか、気象用語にも新語の嵐が吹き荒れた。担当教授が出張して休講となるケースも少なくなかった。 そして6年目、コロナ禍の中での修士論文作成と就職活動となった。「修論のテーマは富士山の波状雲。集中力を高めるリモートワークがいい方向に働いたけど、教員採用試験は大変だった。高校の理科教諭のうち地学は採用枠が1人しかなかった」。地学を教える高校自体が少ないのだ。 その難関をかいくぐって合格を決めると、土浦の応援団が湧きたった。カフェの工藤さんは自身が運営するギャラリー「がばん…」での卒業記念展を持ち掛けた。「うれしくて二つ返事でした」 個展は21日まで。4月からは高校で地学の教鞭をとる。会期までには赴任校も決まりそうだという。

筑波山の中身が見える! 体験アプリ「ジオ・ビュー」開発中

【相澤冬樹】筑波山にスマホを向けると「地質」が見える—という体験アプリの開発が進んでいる。産業技術総合研究所 地質調査総合センター(つくば市東)が開発中の「ジオ・ビュー」で、15日から公募モニターによる実証実験が行われている。 アプリは、スマートフォンのカメラで取り込んだ風景に、GPSの位置情報を与えることで、地質図や観光スポットなどの情報を重ねて表示する。国内の地質情報を整備する同センターが地質図の活用法を模索する中で、スマホの普及やAR(拡張現実)技術の発達に合わせた「見せ方」をアプリで表現しようとした。 国内ジオパークになっている筑波山地域を対象に試作し、つくば市のSociety(ソサエティー)5.0社会実装トライアル事業に応募、採択された。今年度は特に「With/Afterコロナの生活スタイル」をテーマとしており、同センターは「ひとり(少人数)で楽しめる筑波山観光アイテム」になるとアピールした。 モデルルートで実証実験 21日までの1週間は、同市が募集したジオガイドやモニターによる実証実験が行われている。モデルルートを周遊し、画面構成や操作性などに関わる意見を収集し、アプリのブラッシュアップを図る狙いだ。 18日は記者団に公開され、筑波山の山容を一望できる遠景から始まり、白梅・紅梅が見ごろを迎えた筑波山梅林や筑波山神社などを見て回った。見学には同センター地質情報研究部門の宮地良典副部門長らが同行し、スマホの操作法を手ほどきしながら専門的な地質情報も解説した。 ビューポイントでスマホを操作すると、「大地の中身」である地質図が風景画面に重なって浮き上がり、見どころなど解説記事も読めるようになっている。筑波山の山体が、地質的には標高の高いところから斑れい岩、花こう岩 土石流堆積物と連なり、なだらかに平野部に至るのがよく分かる。 モニターからは「すごい」という感嘆の声が聞かれたほか、「スマホに不慣れな高齢者には文字が細か過ぎるところがある」などの意見があがった。 宮地副部門長によれば「ここまでくるのに約3年かかっている。要望を聞いてアプリに反映していきたいが、詰め込み過ぎになってもまずいので整理していく必要がある」という。現時点では筑波山周辺の情報しか取り込んでおらず、市販アプリとして一般に提供、普及するにはなお時間を要しそうだ。

過去最大を更新 つくば市新年度予算案 総合運動公園の借入金62億円を返済

【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長は4日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比1.3%増の約897億1300万円、特別会計などを含めた総額は同比0.5%増の約1495億1300万円で、3年連続で一般会計、総額いずれも過去最大を更新した。 主な事業として、つくばエクスプレス(TX)沿線で小中学校3校と、11校が共同利用する温水プール、学校併設のコミュニティ施設2カ所を新設するほか、総合運動公園用地購入借入金のうち計62億円を3月補正も含めて返済する。 コロナ禍 法人市民税13%減 新型コロナの影響で、歳入は市税収入が前年度比2.2%減ると見込む。同市ではTX沿線地区の人口増などによりここ数年、市税収入が毎年10億円程度増えてきた。市税が減収となるのは、2011年のリーマンショック以来、10年ぶり。 市税のうち、法人市民税が同比13%減少すると見込む。固定資産税は3年に1度の評価替えなども行われることから2.2%減、個人市民税は1.1%減を見込む。 利子負担1億円減らす 総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)は、市土地開発公社が金融機関から66億円を借り入れて購入し、24年3月が返済期限となる。毎年約3600万円ずつ増える利子を減らすため、3月補正で約53億円、21年度当初予算で約9億円を、市が公社に無利子貸し付けをして返済する。残り約6億円は22年度と23年度にさらに約3億円ずつ返済し、1年前倒しで完済する。これにより利子を約1億円減らすことができるという。 歳出の主な事業のうち学校建設は、23年4月開校の研究学園地区小中学校(建設費約20億5700万円)と香取台地区小学校(建設費約9億5300万円)で校舎の建設が始まる。24年4月開校のみどりの南小中学校は設計費(約2億2200万円)を計上する。 学校関連ではほかに、みどりの地区に新設の共同利用温水プールは約6700万円で設計を実施する。学校利用のほか、市民が利用することもできる。葛城小学校の新校舎と香取台小学校には、学校に併設して、地域住民が利用するコミュニティ施設を新設する(建設費計約1億3600万円)。 給食センターをまた新設 児童・生徒の急増により、学校ばかりでなく給食センターも足りなくなることが想定されるため、25年度の開所を目指し新桜学校給食センターの設計(約2200万円)を実施する。給食センターは今年4月、1万2000食を調理できる「つくばほがらか給食センター谷田部」が開所したばかりだが、さらに新設する。 文科省が進めるGIGA(ギガ)スクール構想の一環として約3億6200万円を計上し、小中学生に1人1台パソコン端末を整備する。 春日の旧消防庁舎を解体(2億2800万円)し、筑波大と連携して、跡地に児童発達支援センターを開設するための内装設計(900万円)を実施する。 つくばセンタービル改修設計費6300万円 つくばセンタービルの改修は、市民活動拠点を再整備するための設計費として約6300万円を計上する。 観光では、1986年に建てられ老朽化した筑波山観光案内所を建て替える(約1億7800万円)。 今年、再認定審査が実施されイエローカードが出されると危惧されている筑波山地域ジオパークは、旧筑波東中の一部教室に中核拠点を整備するための設計費(約2200万円)を計上する。 旧筑波東中には併せて、つくば霞ケ浦りんりんロードのサイクリング拠点を整備するための設計(約290万円)も実施する。 つくば駅と研究学園駅周辺ではシェアサイクルの実証実験を開始する(約1600万円)。 五十嵐市長が2期目の課題(20年11月5日付)に挙げた広報のあり方については、市民に市政情報を深く知ってもらうため、新たに「市政情報かわら版」を制作し、区会回覧で配布する(約190万円)。 今年もいつ収束するか先が見通せない新型コロナ対策費については、21年度当初で児童館のエアコン設置やタクシー事業者支援など計約6億4300万円を計上する。1人10万円の特別定額給付金があった20年度のコロナ対策費は279億円だった。

採石現場「石切山脈」へのプレミアムツアー 笠間に14日お目見え

【相澤冬樹】筑波山地域ジオパーク構成5市のひとつ笠間市に、地質年代的には6000万年以上、地表に表れてからでも120年以上という稲田石の採石現場「石切山脈」をめぐるツアーが、14日お目見えする。「茨城のグランドキャニオン」「地図にない湖」などとSNSで話題になったわが国最大級の採石現場を、専用ガイドと車でめぐる「プレミアムツアー」などが用意された。 ツアーは、現地で高級石材「稲田白御影石(稲田石)」の産出を行っている想石(そうせき、笠間市稲田、川畑真彦社長)が、新たに観光事業会社「U-A」社を立ち上げ、笠間名産の栗を使ったモンブランを石臼コーヒーで味わえるカフェの営業と合わせ、同日午前9時スタートする。 稲田石は白い石肌が特徴の花崗岩で、日本橋や東京駅、国会議事堂など全国有数の建造物に使われてきた。その岩石帯は東西約10キロ、南北約5キロ、地下1.5キロに及び、日本最大という。露天掘りによる採掘は1899(明治32)年から始まり、岩肌が石屏風のように切り立つ威容から「石切山脈」の名がつくようになった。 想石社によれば前山と奥山の2カ所にある採石場のうち、良質の石が採れなくなった前山では2014年に操業を止めた。その跡地に貯まった水が「地図にない湖」を作り、今では水深16メートルにもなっている。断崖から見下ろし撮影した景色などがSNSを通じ紹介され、話題になった。 筑波山地域ジオパークの活動では生産現場が除外されるため、奥山での操業を続けている石切山脈はジオサイトに登録されてはいないが、2019年には見学に約2万人が訪れた。同社では独自に、観光事業会社を立ち上げ、有料化して紹介の充実を図った。プレミアムツアーに同行するガイドとして、地元青年会議所や商工会青年部のメンバーが協力する。 見学できるのは毎日午前9時から午後4時。料金(税込み)は大人300円、中学生以下無料。車両で奥山の石屏風などを見て回るプレミアムツアーは要予約(電話0296-74-2537)、大人1000円、中学生以下500円。運が良ければ、ダイナマイトを使用した岩盤の発破シーンにも遭遇できるかもしれという。

3月のイベント相次ぎ中止決定 新型コロナでつくば、土浦市

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの全国的な広がりを受けて、つくば、土浦市は27日までに、2、3月のイベントを相次いで中止する決定を出した。 つくば市は26日、今後3週間(3月18日まで)の市主催・共催イベントについて、対応方針を決め、屋内での大規模なものは原則中止とする、食事を提供するイベントは提供方法の変更などを検討した上で可否を判断する、屋外開催などその他のイベントは対策を十分に講じ、できない場合は中止する―などとした。その上で中止や延期するイベントや会議などを発表した。 土浦市は21日に対応方針を決定=2月22日付。不特定多数が出席・来場し、感染者が出た場合には市民の安全確保や行政・企業経営上、多大な影響が予測されるものは原則中止することを決めている。 つくば市で26日に中止・延期が決定された市主催・共催イベントや会議は次の通り。 対応 日程 イベント名 会場 中止 2/27 男性の料理教室 東京ガスつくば支社 中止 2/28 自立支援型個別ケア会議 中止 2/28 多世代出前交流教室 中止 2/28 乳児家庭教育学級 中止 2/28、29 チャンレンジアートフェスティバルinつくば舞台発表(リハーサル、本番) つくばカピオ 上映会中止(審査会のみ実施) 2/29 つくばショートムービーコンペティション アルスホール 中止 2/29 児童クラブ保護者説明会 松代児童館 中止 2/29 おはなし会 中央図書館 延期 2/29 日本語講師ボランティア入門講座 中止 2/29、3/1 ミニバス指導者講習会兼県内B新人大会 中止 3/1 市文化協会 芸能祭 市民ホールくきざき 延期 3/1 つくばR8ロゲイイニングin栄 桜交流センター等 中止 3/1 つくばウォークの日 洞峰公園、竹園公園、赤塚公園等 中止 3/1,4,15 ラート教室 中止 3/5 2020年度保健予防事業全体会議 中止 3/6 とよさと落語 市民ホールとよさと 中止 3/7 筑波大テ二ピン体験 中止 3/8 人形劇「河の童」 つくばカピオホール 中止 3/10 とよさと長寿大学閉級式 豊里交流センター 延期 3/12 つくばスタートアップデーイン東京 中止 3/12 小倉良のAll That Music つくばカピオホール 中止 3/14、15 第9回ふるさとつくばゆいまつり つくばセンター広場 中止 3/19 2020年度予防接種協力医療機関説明会 中止 3/20 つくばね落語 市民ホールつくばね 中止 3/20~22 市子どものスキー教室   土浦市で中止が決定された市主催・共催イベントは次の通り。27日時点 中止 2/27 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦 中止 2/28 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館 中止 2/28 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練事前説明会 コープ土浦 中止 2/29 ウオーキング大会(湖畔サイクリングコース) りんりんポート土浦 中止 2/29 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等 中止 3/1 散走:ひなまつり散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等 中止 3/4 認知症カフェ「ふれあい茶屋おらが里」 新治総合福祉センター 中止 3/4 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン 中止 3/7 新治総合福祉センター「春まつり」 新治総合福祉センター 中止 3/7 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等 中止 3/12 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練 コープ土浦 中止 3/12 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦 中止 3/15 ウオーキング大会(霞ケ浦の風景堪能尾コース) 霞ケ浦環境科学センター 中止 3/15 博物館館長講座 博物館 中止 3/15 散走:ジオパーク散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等 中止 3/16 認知症カフェ「ふれあい茶屋さくら」 市役所 中止 3/18 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン 中止 3/20 テーマ展 展示解説会 上高津貝塚ふるさと歴史の広場 中止 3/20~21 プレイアトレ土浦グランドオープン記念BEB5宿泊サイクリングツアー つくば霞ケ浦りんりんロード等 中止 3/22 第41回特別展記念講演会「土浦城と山本菅助」 博物館 中止 3/26 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦 中止 3/27 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館 中止 3/28 第41回特別展 学芸員による展示解説会 博物館 ➡新型コロナウイルスに関する過去記事はこちら 関連記事 https://newstsukuba.jp/?p=22054

例年より開花進む 筑波山梅まつり開幕

【田中めぐみ】第47回筑波山梅まつりが15日、筑波山中腹にある梅林(つくば市沼田)で始まった。暖冬の影響で例年より開花が進み、現在、紅梅は八分から九分咲き、白梅は二分から三分咲きの開花状況だという。 15日は開園式が催された。式典には五十嵐立青つくば市長のほか、振袖姿の第14代つくば観光大使らが参加した。五十嵐市長は「梅はもちろんすばらしいが渋滞の問題がある。今、県と一緒になって、一方通行にするのかパークアンドバスライドにするのか、協議会を立ち上げて取り組んでいる。(隣接の)フォレストアドベンチャーのコースも新しく追加された。これから筑波山をさまざまな体験ができるような場所にしていく。受け身の観光だけでは限界がある。いいものがあるので、エリアを面としてとらえ全体像を描いた上で、本当の意味で喜ばれる、愛される観光地にしていく」などとあいさつした。 毎年2月から3月にかけて約1000本の梅が花を咲かせる。こけむした筑波石の合い間に植えられた梅は筑波山地域ジオパークの見どころの一つとなっている。 市観光ボランティアガイド298の吉原一行会長は、今年は全体的に開花が早く、梅まつりの終わりの3月下旬まで花が持たない可能性もあると話し「ぜひ早めに見に来ていただきたい」と早めの来園を呼び掛けている。 龍ケ崎市から訪れた75歳の男性は「梅まつりには毎年来ている。今年は暖かいので咲くのが早い。開花状況を推測して来る人もいるので、これから来園者がもっと増えるのでは」と話した。千葉県から姉妹4人で訪れた72歳の女性は「毎年姉たちと来ている。梅というと水戸の偕楽園と思う人が多いが、私は筑波山が気に入っている。ここの梅は高低差があって、筑波山の自然の懐に抱かれているようなところがいい」と魅力を語った。 ◆梅まつりは3月22日(日)まで。会期中は毎日、梅緑茶の無料サービスがあるほか、土・日曜はつくば大使の出迎えがある。主催は筑波山梅まつり実行委員会とつくば市など。問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会) フォレストアドベンチャーがリニューアル 筑波山梅まつりの開幕に合わせて、梅林隣りのアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・つくば」がコースを新しくしてリニューアルオープンした。昨年12月からリニューアル工事のため閉園していた。今回のリニューアルでは、子ども向けの「キャノピーコース」が2コースから4コースに増えたほか、大人向けに難易度の高い「エキサイトコース」1コースが増えた。 リニューアル初日、五十嵐市長が新コースを体験。小学生から「市長がんばってー、落ちないでー」という声援を受け、「ありがとう」と答えながら揺れるつり橋を渡り、梅林の上を100メートル滑空するジップスライドにも挑戦した。 梅林の上を滑空するジップスライドは、筑波山梅まつり期間中のキャンペーンとして3月22日まで体験できる。事前予約が優先。詳しくは電話090-4755-7800(フォレストアドベンチャー・つくば)

《土着通信部》37 「逆転層」から富士を見る 筑波山梅まつり

【コラム・相澤冬樹】筑波山には、中腹の斜面の気温が麓に比べて相対的に高くなる「逆転層」のあることがよく知られている。学術的には「斜面温暖帯」といい、研究者や学生らによる冬場の観測が行われてきた。 一般に気温は上方ほど低くなり、100メートル上昇すれば温度は0.5℃から1℃下がる(気温減率)。ところが、夜間から早朝にかけてよく晴れた場合には、地表の熱が上空に向け盛んに放熱され、地表付近の気温は低下する(放射冷却)。結果として地表から高層にいくに従って気温が上昇する大気層が出現する。この大気層のことを「逆転層」と呼ぶ。 この温暖な気候を利用したのが、筑波山の西側斜面で古くから行われてきたフクレミカンの栽培。かつては日本のミカン栽培の北限に位置した。 西側斜面は正面に、関東平野越しの富士山が望めるビューポイントでもある。空気が澄んだ冬場など、富士山がよく見えるときほど、放射冷却も盛んになるから「逆転」現象も顕著になる。 今年のような暖冬気配ではどうか。つくば市沼田の知人は、「数えているわけではないが、低く雲がかかることが多く、富士山を見る日が少ない気がする」と言っていた。筑波山ケーブルカーの沿線と宮脇駅で、1月25日から2月いっぱいの会期で始まった「臘梅(ロウバイ)と福寿草」では、例年より一回り大きめの福寿草が見られたものの、気温上昇で早めに花期を終えそうだという。 そんな西側斜面、標高約250メートル付近に広がるのが筑波山梅林。涸(か)れ沢沿いの約4.5ヘクタールに筑波石とよばれる班れい岩の巨石が散在し、縫うように約1000本の白梅・紅梅が植えられている。 「今日は富士が見える」と連絡を受けた1月末の朝、梅まつりの下見を兼ねて梅林まで足を運んだ。15日から47回目を迎える筑波山梅まつりが始まる。過日の大雨のせいで、涸れ沢には豊富な水量があり、開花の早い紅梅が枝先のつぼみを膨らませていた。 最上部にある茅ふき屋根の展望あずまやまで行くと、真正面に富士を望める。梅林は関東富士見百景の1つになっていて、あずまやの手すりには「富士山まで155.6キロ」のプレートが貼ってある。「逆転層」のせいか標高の高いあずまや周辺の方が、開花のテンポが早いように感じる。 知人は「咲き始めはこんなもの。例年通り、2月下旬から3月上旬が見ごろだろう」という。 紅梅越しに遠景の富士を撮っていると、南から雲が押し寄せてきて、午前9時30分にはすっかり山容を隠してしまった。早々の店じまい。「富士を見るには朝早くに限る」ということだった。 ◆第47回筑波山梅まつり 会期:2月15日(土)~3月22日(日) 会場:筑波山梅林(つくば市沼田) 主催:筑波山梅まつり実行委員会 共催:つくば市、筑波山地域ジオパーク推進協議会 問い合わせ:029-869-8333(事務局・つくば観光コンベンション協会) ➡相澤冬樹の過去のコラムはこちら

レトロな市街地と自然の魅力を体感 桜川遊覧船が「こたつ船」に

【田中めぐみ】風光明媚(めいび)な桜川の魅力を体感してほしいと、霞ケ浦で遊覧船を運航するラクスマリーナ(土浦市川口)が、桜川を遊覧するサッパ船(小型船)を就航している。桜川のサッパ船が1月から暖かな「こたつ船」となってお目見えした。 「こたつ船」は、土浦港にあるラクスマリーナから出航。桜川を遡上(そじょう)して土浦港に戻るルートで往復約14キロを約1時間かけて周遊する。船長の坪田哲也さんによると、冬は景色が遠くまで見え、ユリカモメ、カモなどさまざまな種類の野鳥を観察することができる。 河口付近から虫掛方面までの桜川沿いには約500本の桜が植えられている。春には「こたつ船」の暖かな船内で花冷えすることなく桜を楽しむことができるとあって毎年人気を博しているという。 ラクスマリーナ専務の秋元昭臣さんは「かつては桜川に貸しボート屋があり、ボートでデートをするのが若者の憧れだった。桜川には冬にしか見られない景色があり、この地域は筑波山地域ジオパークでもあるので、ぜひ船に乗って体感してほしい」と話す。 乗船し澄み切った冬の景色を満喫 13日、記者は「こたつ船」に乗船し桜川を上った。土浦港から霞ケ浦の沖に出ると冬の澄み切った空気の中、遠く南に牛久大仏が見える。やがて桜川の河口に入り、水郷橋、土浦橋、桜川橋、匂橋と4つの橋の下をくぐり抜けていく。匂橋は人と自転車しか通れない趣ある石橋で、映画のロケ地にもなったという。 橋を過ぎると真正面には徐々に筑波山が見え始め、鳥の群れが水面をたたきながら羽ばたいていく。レトロな市街地と絶景の筑波山、雄大な自然の魅力を感じた。 ◆桜川の「こたつ船」は毎年1月から4月まで限定。乗船料は大人1名3300円(税込み)、飲み物、お菓子付き。飲食物の持ち込みも可。午前10時から午後3時まで1日6便運航している。 ◆霞ケ浦の沖合を運航する86人乗りの定期観光遊覧船ホワイトアイリス号も期間限定で「こたつ船」となっている。乗船料は大人1570円、子ども780円。午前10時から午後4時までの運航。 問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)。 ➡霞ケ浦や桜川の水辺観光に関する過去記事はこちら

やる気のある事業主体探してます つくば市が廃校跡地利用でアイデア募集

【相澤冬樹】つくば市は、廃校跡地を農業関連の事業で利活用する場合、どんなアイデアがあるか、事業主体となる意向のある法人を広く探すための募集に乗り出した。有効活用に向けて、計画のスタートから事業者と市が対話型で組み立てていく「サウンディング型市場調査」という手法を採用したもので、廃校になった旧筑波東中学校(同市北条)を事業化の対象としている。 募集するのは、農業の施設を含んだ利活用のアイデア。応募は事業主体となる意向を有する法人(法人グループ含む)に限られる。農産物生産施設、農産物販売施設、体験施設、地場産物を活かしたレストランなどを想定している。 申し込みは所定のエントリーシートで、応募期間は7月19日まで。今月17日から28日は予約制で、現地見学や個別相談にも応じる。提案書の形で受け付け、市と事業者が対面して、アイデアについて話し合うサウンディングは7月24日から31日まで、同市役所で行う。調査結果概要の公表は8月以降を予定している。 同校は小中一貫の秀峰筑波義務教育学校の開校に伴って18年3月末に廃校となった。敷地面積約3万7000平方メートル、都市計画区分は市街化区域(第1種中高層住居専用地域)。校舎の背後に筑波山が立ち上がる景観や立地から、同校跡地が対象に選ばれた。すでに筑波山地域ジオパークに関する基本的情報の提供、各ジオサイト巡りのための拠点施設として、教室の一部を使用する計画になっている。 担当の市農業政策課によれば、市長公約事業である「廃校跡地等を利用し地域農家が食材提供をするファーマーズビレッジの設立」に沿う形で、昨年来庁内で検討された結果、サウンディング型の採用が決まった。「行政主導の計画策定では限界があり、広くアイデアを求めたかった。1件の応募もないかもしれないし、サウンディングの結果1件も採択されないかもしれない。まったくの手探り」という。 応募の詳細はつくば市ホームページを参照。 ➡廃校利活用の調査結果はこちら ➡廃校利活用の意見交換会はこちら

豊かな自然あるまちを目指す ネイチャークラブにいはりの高田さん

https://youtu.be/0dHAX1sZLp0 【谷島英里子】土浦市の山ノ荘地域を中心に活動している「NPO法人ネイチャークラブにいはり」は9日、初夏の山の荘ジオツアー「いやしの大地と日枝神社の参道をひも解こう!」の講師を務める。同市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらきの「NEWSつくばチャンネル」に7日、理事長の高田正澄さんを招いてインタビューした。 ネイチャークラブにいはりは、▽大地と生物生態系の調査と地質・地形・生態系の活動保全活動▽体験型環境教育▽惑星と星座の天体観望会▽土浦市のふるさと再発見プロモーション事業ジオツアー―に取り組んでいる。目的は「人と自然をつなげ豊かな自然のある”まち”を未来の子どもたちに託す」こと。 土浦市やつくば市など6市でつくる筑波山地域ジオパークのテーマは、「関東平野に抱かれた山と湖」。高田さんは同ジオパーク推進協議会で市民活動部会の部会長も務めている。9日に土浦市小野で開催するジオツアーでは、山ノ荘の里の伸びやかな大地と流鏑馬(やぶさめ)祭で知られる日枝神社の参道のなりたちの謎を解く場所をハイキングする。人の営みは大地の歴史と関係が深いことを感じ取ってもらう考えだ。 市内でのジオツアーは今後も開催される予定。問い合わせは市商工観光課(電話029-826-1111)まで。

《霞ケ浦 折々の眺望》5 風葬―沖縄の風習と霞ケ浦傍の遺跡

【コラム・沼澤篤】話題の映画「洗骨」(照屋年之監督)を鑑賞した。この映画は沖縄の風葬をテーマに、美しい海、家族の絆、心の交流、そして生と死を、リアリズムと感性の平衡を保ちながら描いた名作。ラストでは、厳かな洗骨儀式の最中、参列した臨月の娘が産気づき、浜辺の出産シーンとなった。エンディングで名曲「童神」(わらびがみ)が流れる。見事な生と死の輪廻。 かつてカンヌ映画祭で今村昌平監督がパルムドールを取った「楢山節考」「うなぎ」、さらに米国アカデミー賞外国語映画賞受賞の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)、今も世界的に評価が高い名画「東京物語」(小津安二郎監督)を彷彿(ほうふつ)とさせ、日本映画の伝統を受け継ぐ作品といえる。沖縄の人々の原初的で楽天的な笑いと涙が織りなす物語の中に、ユーモアと自然の光景が散りばめられ、どの場面も見逃せない展開に引き込まれた。 葬儀の日、夫にとって愛しい妻、息子と娘にとって大切な母の遺体を木棺に入れ、海辺の横穴墓に納める。4年後に開棺し、骨をきれいに洗い改葬する。美しかった妻(母)が髑髏(どくろ)となって目の前に現れる現実。戸惑いながらも家族はそれを慈しんで受け入れる。現代の沖縄でも、風葬を継承する離島があるという。 かすみがうら市崎浜の横穴古墳群 「霞ケ浦」と関連して連想したのは、かすみがうら市崎浜の横穴古墳群(筑波山地域ジオパークのジオサイト指定)である。この遺跡は約1400年前(古墳時代後期)に成立した。当時内海だった霞ケ浦傍の崖のカキ化石層を横に掘って洞窟(玄室)とし、死者の台座を備えた横穴墓である。 崎浜の地名の通り、当時は横穴墓のすぐ下は海水が寄せる浜であった。人々は近親者の遺体を一定期間、横穴墓に納め、白骨化した遺骸を霞ケ浦の水で洗浄し、改葬したのであろうか。当時は仏教的死生観が浸透していなかった可能性があるが、霞ケ浦は死者が行く彼岸の世界と考えられていたのかもしれない。 夕刻、崎浜から眺める鏡のような湖面は錦に輝き、亡き人をしのぶ心を癒し、静謐(せいひつ)な浄土を想起させたのであろうか。奈良時代に成立した常陸国風土記には、当地は常世国ではないかとの記述がある。 沖縄や奄美には「ニライカナイ信仰」が伝わる。海の彼方にニライカナイ(浄土世界)があり、新しい命はそこから此岸の現世に誕生し、死者は彼岸へ還ると信じられた。信じることで死の悲しみ、生の苦しさが慰められた。 かつて,霞ケ浦でも同様の信仰があり、霞ケ浦を大切にした素朴な人々が暮らしたであろうと想像することは難くない。霞ケ浦の再生にとって、祖先のように、湖を祈りと信仰の対象として眺め、水神、水天宮、弁才天を祭る気持ちを尊重することが、地域社会が目指す方向の一つであろう。科学、技術、経済、効率、政策、合理主義だけでなく、歴史、文化、生命を尊重する平衡感覚が大切なのである。(霞ヶ浦市民協会研究顧問) ➡沼澤篤さんの過去のコラムはこちら

つくばの酒蔵を観光資源に 筑波学院大でシンポジウム

【崎山勝功】来年の東京五輪を前に、つくばの酒蔵を観光にどう活用するかを考えるシンポジウム「ジオパークと酒蔵ツーリズム―地域資産を観光にどう活かすか」が27日、つくば市吾妻の筑波学院大学で開かれ、市民ら約60人が参加した。つくばの地域振興を目指すNPO「つむぎつくば」(本部・石岡市)が主催し、筑波山地域ジオパーク推進協議会が共催した。 同ジオパーク教育学術部会長の久田健一郎筑波大教授、全国の若手蔵元らが日本酒文化を海外に発信しようとつくった「酒サムライ」コーディネーターの平出淑惠さん、地域活性化の調査研究に取り組むANA総合研究所シニアアドバイザーの丁野朗さんの3人が基調講演を行った。 その後、市内にある日本酒「霧筑波」の蔵元・浦里酒造(同市吉沼)の浦里浩司さんと、「男女川(みなのがわ)」の蔵元・稲葉酒造(沼田)の稲葉伸子さんの2人を交えて、訪日外国人観光客をどう取り込むかを考える「インバウンド需要を酒蔵へ」をテーマにしたパネル討論が行われた。ビジネスデザインを学ぶ筑波学院大学生の西村瑠夏さんもパネリストとして加わった。 久田教授は「リピーターをどれだけ獲得するかが重要」と話し、平出さんは「日本語だけの(日本酒)ラベルはダメ。誰に売りたいのかを考えてのラベルづくりが必要」と語った。丁野さんは「地域の資源を基に(地域を紹介する)ストーリーを作っては」など、さまざまな角度から意見を出した。 浦里さんは「どこに売るかは蔵元の社長により考えが違うので正解は無い。ウチは県外の販売比率は5%でほとんど県内で販売している。輸出はしていない」、稲葉さんは「私のところもつくば市内だけで(販売比率の)95%。つくば以外の県内にもほとんど出していないし、東京にも出していない」と、それぞれの現状を述べた。進行役を務めたNEWSつくばの坂本栄理事長は「霧筑波、男女川を飲みたかったらつくばに来なさい、という蔵元ツーリズムもある」と提言するなど、活発な意見交換が行われた。 交流会では「霧筑波」と「男女川」が来場者たちに振る舞われ、参加者はつくばが誇る銘酒を堪能した。

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