水曜日, 9月 9, 2026
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地元生徒に厳しい水海道一高受験《竹林亭日乗》11

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12月の筑波山(写真は筆者)

【コラム・片岡英明】私は霞ケ浦高校で卒業生を10回送り出したが、常総市に住む6回目の卒業生からもらった年賀状に、子どもが中学受験で苦労していると書かれていたので、先日、常総市の受験事情を聞いた。

常総市は人口6万人弱。市内には、水海道一高という伝統校も含め、県立高校が3校ある。つくば市は人口25万人なのにたった3校なので、常総市の中学生の県立高受験環境は恵まれていると思っていたが、どうも違うようだ。そこで、今回はつくばエリア内の常総市の県立高入試を考えたい。

地元の水海道一高入学は37

2023年春の常総市の中学卒業生は521人。県立高の定員は、水海道一高6学級、水海道二高6学級、石下紫峰高4学級―合計16学級で640人。常総は卒業生より県立高入学枠が大きい市といえる。

では、なぜ常総の受験生が苦労しているのか? その指標として水海道一高への入学数を見ると、2023年入試で常総市から水海道一高に入学した生徒は37人と少ない。

市別の入学者を調べると、①守谷78人、②つくばみらい48人、③常総37人、④坂東30人、⑤つくば29人―である。生徒が増えているTX沿線からの入学が多く、地元中学生が水海道一高への入学に苦戦している。

試験で合否を決めるので、成績上位者が入るのは当然。また、上位者に遠くからでも入学してほしいとの意見もあるが、「地域の伝統校」とは何だろう?

伝統校には、〇〇大学何名合格だけでなく、大卒後の豊かな社会人を視野に入れ、「ノブレス・オブリージユ」をめざす面がある。ともに学び、青春し、進路で花を咲かせる―学習のノウハウもある。さらに、卒業生のネットワークが地元の産業や文化をしっかり支える。

高校はある意味、「港」である。出港し、地元の卒業生は港に戻ってくる。それが地域になくてはならない伝統校の価値をさらに高める。

中高一貫でますます狭き門に

水海道一高に注目して、常総市の中学生の進学先を並べてみる。

▽21年入試:①水海道二98、②石下紫峰78、③水海道一52(7学級)

▽22年入試:①水海道二99、②石下紫峰69、③守谷56、④水海道一49(6学級)

▽23年入試:①水海道二84、②石下紫峰71、③守谷41、④下妻二38、⑤水海道一37

21年は市内3校が上位を占めたが、22年は水海道一が4位、23年は5位となった。常総の中学生が市外の県立高にかなり入学している。水海道一は付属中設置に伴い、22年から7学級募集が6学級、25年からは5学級となる。地元中学生の水海道一高への入学はますます困難になる。

付属中に入って高校に進級する生徒もいるので、高校の減少分は相殺されるという意見がある。しかし、常総から付属中に入学した生徒は少なく、22年の付属中1期生は4名であった。

つくばエリア内の常総の高校入試でも、TX沿線の県立高校不足のため、このような激震が起きている。つくばエリア全体の小中学生にとって、県立高新設が焦眉の課題であることを示している。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

無償譲渡は来年2月1日目標 洞峰公園めぐりつくば市が追加議案

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秋の洞峰公園=つくば市二の宮

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、五十嵐立青市長は11日、市が譲渡を受ける時期は来年2月1日を目標とし、市に移管後、来年3月までに協議会を設置して公園の管理運営方法や施設の使用料などを改めて検討していくことを明らかにした。新たな方針をいつまでに決めるかについては、現時点で期限を設けていないとしている。

同日開かれた12月議会本会議に、洞峰公園を市の公園にする市都市公園条例の改正案や補正予算案などを追加提案し、説明した。

条例改正案や補正予算案は14日の市議会都市建設委員会、19日の予算決算委員会で審議された後、12月議会最終日の22日、採決が行われる。一方、県議会には同様の議案が6日提案され、つくば市と同じ22日の最終日に採決が行われる。

7日から11日に開かれた市議会一般質問では、無償譲渡を受けた後に市が負担する体育館、プール、新都市記念館など公園施設の大規模改修費や長寿命化対策費などについて質問が出たが、市は、移管を受けた後、施設の健全度調査をするなどと答弁するにとどまった。

市によると、無償譲渡を受ける来年2月からの管理運営については、現在、県の指定管理者となっている「洞峰わくわく創造グループ」の構成企業で、現在、施設などを管理運営している東京アスレチッククラブに23年度と24年度は引き続き業務委託する方針。委託料は2023年度の2カ月間が約5980万円、24年度1年間は約3億7900万円。プールや体育館、テニスコート、多目的広場、会議室、駐車場などの使用料、スポーツ教室の会費などは、協議会で新たな方針が決まるまでは当面、現状のまま。使用料収入は市の収入になる。

協議会の構成は、市、県、公園管理事業者のほか、同公園で花壇づくりや清掃などのボランティア活動を実施している活動団体、公園利用者、地域住民、学識経験者など計20人を選定する予定で、23年度の補正予算案として1回分20万円を提案した。

アンケート回答1338人、74%が無償譲渡に賛成

一方、洞峰公園の無償譲渡をめぐって市が11月10日から30日まで実施したアンケート結果について市は8日、速報を市ホームページで公表した。速報によると、回答者は計1338人で、無償譲渡を受けることに「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて995人(74%)、「どちらでもない」が139人(10%)、「反対」「どちらかといえば反対」が計173人(13%)だった。記述部分については現在、集計中という。(鈴木宏子)

74件の提言まとめる 気候市民会議つくば

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五十嵐市長に提言する気候市民会議つくばのメンバー(左)
水素中心のまちづくり、レンタサイクル増やすなど

2050年までに「ゼロカーボン(二酸化炭素排出量 実質ゼロ)で住みよいつくば市」を実現するため、つくば市役所で10日、抽選で選ばれたつくば市民が主体となり、「気候市民会議つくば2023」が開催された。最終回となった今回は、参加市民らがこれまで議論した気候変動対策への提言を最終検討し、提言書としてまとめ、五十嵐立青つくば市長に提出した。

「次世代エネルギーとして水素を中心としたまちづくりの推進」や「自転車移動を増やすためレンタルサイクルを増やす」など計74件の提言がまとめられた。

気候市民会議は、無作為抽出で選ばれた市民が気候変動対策について話し合う場で、欧州各国で広がった。日本では札幌市を皮切りに全国各地で開催されてきた。つくば市では今年9月から12月まで計6回にわたり開催された。

同会議に参加したつくば市民は43人で、同市の人口比率を参考に、年齢、性別、地区などに偏りがないよう抽選が行われた。参加者は4〜5人のグループに分かれ、「移動・まちづくり」、「住まい・建物」、「消費・生活」など気候変動対策に対するテーマと掲げ、それぞれアイデアを検討し、議論を重ねてきた。第5回会議までに、それぞれ31件、30件、26件のアイデアが提案された。最終回となる今回は、これまで出されたアイデアを修正し、再検討した。参加者の最終投票により、全87件のうち74件が提言として採択された。

最終回となった第6回会議の様子

参加した市内に住む会社員女性(32)は「一人ひとりがゼロカーボンを意識した行動をとり、できることから始めることが重要。2050年までに目標達成できることを信じて、子どもにも学んだ知識を教えたい」と話した。

傍聴した東京都八王子市在住で現在、都内の大学に通い政治学を学ぶ皆川果南さん(22)は、自身の研究のため、同会議をこれまで3回傍聴した。他自治体で開催されてきた会議と比較して「6回にわたって細かく本格的な政策立案をしていたのが印象的。市民と行政がつながる場の重要性を再認識し、継続的に開催がなされれば」と話した。

市民から提言書を受け取った五十嵐市長は、参加した市民や助言した専門家らに感謝を述べた後、「地球温暖化をはじめとする気候変動という危機的な地球の状況に対して、実践をすることに意味がある」などと話した。

同市は今後、提言の全ての項目に対して、目標数値の設定と1年ごとに達成度を計るロードマップを作成し、市の政策に反映するとした。(上田侑子)

東海第2原発の拡散シミュレーション《邑から日本を見る》149

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東海村役場から見た東海第2原発(写真奥)

【コラム・先﨑千尋】本コラムの読者は既に報道でご承知の通り、茨城県は11月28日、東海村の日本原子力発電(原電)東海第2原発で炉心が損傷する重大事故が起きた場合、放射性物質が周辺地域にどのように拡散するのかを示すシミュレーション(予測)を公表した(県ホームページ)。それによると、事故対応状況や気象条件を変えた22パターンのうち、原発から30キロ圏内の避難者は最大で約17万人に上る。

東海第2原発は2011年の東日本大震災後、運転を停止しており、運転再開のための防潮堤工事などを進めている。

予測は、県が避難計画策定を進めるために原電に作成を依頼し、昨年12月に提出された後、県の専門委員会で検証され、周辺15市町村の首長でつくっている「東海第二原発安全対策首長会議」で公表が了承されていた。

予測はまず「30キロ周辺まで避難・一時移転の対象となる区域が生じるよう、事故や気象の条件を設定」という前提でなされている。事故時に放射性物質を取り除くフィルター付きベントなど安全対策設備が動作した場合と、設備がすべて喪失した場合を分け、気象条件も、同じ方向に風が長期間吹くなど風向きごとに示した。拡散範囲を30キロと限定したのがミソだ。

避難者数が最大になるのは、風が北東から南西に向けで吹き、降雨が長時間続いた場合、那珂市、ひたちなか市で10万5000人、5キロ圏内からの避難者を加え、約17万人となる。風が西ないし北西方面に吹くと、私が住んでいる那珂市北部も対象になる。

県の大井川知事は28日の記者会見で、予測は「実効性ある避難計画策定の目安になる」と述べ、予測を活用することで計画策定が前進するとの考えを示した。県は、原発の30キロ圏内には約92万人が住んでいるが、そのすべてが一斉に避難するのではなく、風向きや降雨の状態によって避難重点地区を決めたい考えを持っているようだ。

実際には役に立たない絵空事

私がこの予測の発表を見てまず感じたのは、放射性物質の拡散範囲が30キロにとどまらない場合もあるのではないかということだ。風向きもずっと同じ方向ということは実際にはあり得ない。さらに、1日で事故が終息するとは限らない。東京電力福島第1原発事故の際は、50キロ離れている飯舘村の村民は、原発から放射性物質が飯舘村方面に達していることを知らされなかった。また、県内でも霞ケ浦周辺や守谷市、取手市などで放射性物質の数値が高かったことが知られている。

東海第2原発運転差止訴訟原告団が11月30日に発表したコメントによると、「ヨウ素131の放出量は福島事故の1000分の5、セシウム137は100分の4と、防災に役立たない極めて過小な事故想定」だ。

30キロの範囲にとどめていることと合わせると、最悪の事態を想定していない今回のシミュレーションは、実際には役に立たない絵空事ではないか。最悪の事態を想定すれば、それ以下の事故でも余裕をもって対応でき、住民の被曝を回避できる。福島の事例を原電や県は忘れてしまったのだろうか。それとも知らんふりをしているのだろうか。(元瓜連町長)

支援のお礼にトップがエスコート つくばで収蔵庫ツアー 国立科学博物館

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ツアー参加者を出迎える篠田館長(正面左から2人目)=筑波研究施設自然史標本棟

国立科学博物館(東京・上野、篠田謙一館長)の筑波研究施設(つくば市天久保)で10日、館長と副館長が直に収蔵庫を案内するバックヤードツアーが行われた。8月から11月にかけ実施されたクラウドファンディングの寄付に対するリターン(返礼品)の一つで、午前と午後の2回、合わせて10組20人が化石標本などのコレクションが収められた自然史標本棟の奥深くに足を踏み入れた。

化石世界最深部まで

同博物館の500万点以上に上る登録標本・資料数のほとんどを保管しているのが、つくば市の収蔵庫。2011年に完成し、科学技術週間などのオープンラボで一部が公開されているが、今回はこれらの機会でも見せたことのない化石世界の最深部に参加者を案内した。

古生物学が専門の真鍋真副館長がガイド役を務めたのは、恐竜化石標本を収蔵した収蔵庫。ロッカーの扉を開け、首長流のフタバスズキリュウやトリケラトプスの歯など骨格化石を取り出して見せ、肉食から草食に至る恐竜の進化のスタイルをたどった。ステゴサウルスの前肢、ボリューム感ある上腕骨の化石は触ることもできた。

恐竜の化石標本を手に解説する真鍋副館長

同博物館は8月7日から11月5日に1億円を目標にクラウドファンディングを実施した。新型コロナの影響で入館料収入が落ち込む一方、光熱費の高騰などを受けて国内最大規模の動植物の標本や化石などのコレクションを収集・保管する資金が危機的な状況にある、として協力を呼びかけた。

すると初日にいきなり目標額を達成し、最終的には7万人以上から約9億2000万円を集める異例の展開になった。同館では複数のバックヤードツアー(寄付金5万円)を含む40種類以上のリターンを選定していたが、館長&副館長コースには定員を超す応募があり、今回を含む3日間計6回の開催に拡大して行われることになった。

静岡市の会社員、西雅彦さん(32)は小学生のころからの「科博ファン」。夏休みや企画展のたびに上京していたという。クラウドファンディングには初日早々に応募し、つくばには友人と連れ立ってやってきた。

横浜市からきた櫻井美涼さん(28)もクラウドファンディング初日の応募組、複数のメニューで応募した。「夫との初めてのデートが科博だった。それまでまったく関心のなかった科学にがぜん興味が湧いて、今日は夫をつくばまで連れてきた形。スペシャルなツアーにとても感激している」と語る。

つくば市の収蔵庫は空調など温度・湿度管理を厳格に行っており、光熱費の高騰は特に大きな痛手となっていた。その現状を見てもらえるバックヤードツアーの意義は大きい、と篠田館長は持続的な支援を呼びかけた。今回の支援金のうち、約3.2億円を間接経費(返礼品など)として支出し、約6億円を事業経費として活用していく中で、つくばの収蔵庫の増築も計画していくという。(相澤冬樹)

小学生8チームが熱戦 第1回つくば学園ロータリークラブ小関迪杯

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初の小関迪杯を手にする優勝した中根FCの選手ら。左から3人目は大会会長でつくば学園ロータリークラブの野澤俊夫会長

小学4年生を対象とする、つくば学園ロータリークラブ(野澤俊夫会長)主催のミニサッカー大会「第1回つくば学園ロータリークラブ小関迪杯」が10日、つくば市東光台のブロッソンフットサルコートと隣接の東光台グラウンドで開かれ、つくば市と近隣市の少年サッカーチーム8チームが熱戦を繰り広げた。

同ロータリークラブ会員で筑波記念病院を創設した小関迪(こせき・すすむ)さんが昨年12月に逝去。小関さんは地域や同ロータリークラブの発展に貢献したことから、青少年の健全育成と地域の発展を目的に、小関さんの名前を冠したミニサッカー大会を初めて開いた。

8チーム約120人の小学生がトーナメント方式で戦い、決勝は牛久市立中根小学校を拠点に活動するサッカー少年団「中根FC」と、地元つくば市東光台のクラブチーム「ブロッソン」が対戦、試合は0-0の結果に終わったが、PK戦で中根FCが勝利し、初の小関迪杯を手にした。

参加チームはほかに▽つくば市立手代木南小を拠点に活動する「手代木SC」▽同市立前野小の「マエノD2C」▽牛久市の「アルコイリスfc」▽同市立ひたち野うしく小学校の「ひたち野ライズFC」▽龍ケ崎市立龍ケ崎西小の「龍ケ崎ペレグリンJr.FC」▽同市のレプロSCの計8チーム。

各チームの最優秀選手ら

野澤会長は「第1回の大会となったが、本当に素晴らしい大会となり、子供たちは皆いい姿を見せてくれた。学園ロータリークラブとして来年以降も継続して開催したい」と語る。

元Jリーガーで、FC東京や湘南ベルマーレなどで活躍し、この日の大会会場となった東光台でフットサルコートを経営するブロッソン社長の阿部吉朗さん(43)が大会競技委員長を務めた。阿部さんは「僕たちが子供のころと比べて小学生のサッカーのレベルがすごく上がっていると感じた。小学生のサッカーチームは、サッカースポーツ少年団とクラブチームに分かれて活動しているが、この大会には少年団とクラブチームの両方が出場した。同じサッカーの仲間として、互いにそれぞれのいいところを知ってもらう機会になったと思う」と意義を話す。

次女のおねだり《続・平熱日記》147

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】「じゃあお願いね。よろしく!」。次女は私の絵を何かの贈答品ぐらいに思っている。これまでも、友人へのお礼だとか知り合いに子供がいてだとか…、何枚かの絵をねだられて描いた。冗談で手数料としての値段を言ってみたりするが、全く払う気もないし、「ありがとね」くらいの感じで済まされる。

では、それが私にとって腹立たしいことであるかというと、そうでもない。というのも、日ごろ、自分としてはまず描かないだろうというお題をもらっているようなもので、引き受けたときは少し躊躇(ちゅうちょ)することもあるのだけれども、いざ描き始めると結構楽しかったり、意外な発見があったり、出来上がりを喜んでくれたりするのがいい。そこが自分勝手に好きなものを描いているのと違うところだ。

その次女が、是非とも私を誘って行きたいというバーがあるというのだが、お酒もやめて久しいし、夜は8時に床に就く生活をしている私にとって、下北沢のバーなど海の向こうの国の話ほどにリアリティーを感じない。まあ、行くことはないだろうと思っていた。

ところが、その日はまず長女の家に行って、そうそう、長女の住む高円寺の阿波踊りを見に行った日のことだ。その後、下北沢の次女の家に泊まることにして連れていかれたのが件(くだん)のバーだ。

バー・オーナー夫妻の絵

細い階段を昇っていくと、暗い店内には音楽が流れて数人の客がいた。壁一面にびっしりと並んでいるのはレコード。それこそ、昭和の時代にタイムスリップしたかのような…。私はウーロン茶を注文して、出されたポップコーンをつまんだ。それから、次女はオーナー夫妻に私を紹介した。

それから、「実は2人の絵を描いてほしいの」と耳打ちをして、オーナー夫妻をテーブルに座らせて写真を撮り始めた。聞けば、何十年もこの店をやってきたのだけれども、建物の建て直しに伴って、来年には店をたたむのだそうだ。次女はその思い出を私の絵にして、オーナー夫妻にプレゼントしたいというのだ。

「好きな曲を言ってごらん。すぐにオーナーが棚から引っ張り出して、かけてくれるから。どこにだれの何の曲があるか、オーナーの頭の中には全部あるの…」。次女にそう言われたものの、それほどのマニアでもない私は、おびただしい数のレコードを前にして咄嗟(とっさ)には何も出てこなかった。

しばらくして、次女から画像が届いた。それは件のバーの店内に以前次女に渡した、私の作品展のハガキが飾られている様子が映っていた。「オーナー、飾ってくれてるよ」というメッセージが添えられていた。もう少し後で描こうと思っていたのだけれど、オーナー夫妻の絵を描き始めることにした。今度次女に会うときに渡せるように。多分、私はバーに行くことはないだろうけど。(画家)

人工都市つくばの草創期を記録 齋藤さだむさん写真展

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「人工都市つくば 草創の風景」展を開く齋藤さだむさん。齋藤さんの右側に展示されているのは解体されるつくば科学万博のパビリオン

1980年代を中心に建設途上だった筑波研究学園都市の草創期を記録した、つくば市在住の写真家、齋藤さだむさん(74)の写真展「人工都市つくば 草創の風景」が8日から、つくば市千現、ギャラリーネオ/センシュウで開かれている。モノクロ写真やカラーのポストカードなど約80点が展示されている。

平らに造成された土の大地の向こうにぽつんと建つ完成したばかりのつくばセンタービル、造成工事で出た残土が堤防のように長く積み上げられた現在のカピオ駐車場周辺、伐採した樹木をその場で生木のまま燃やし白い煙が立ち込める現在の大清水公園―。筑波研究学園都市建設時の生々しい光景が写る。

完成したばかりの国家公務員宿舎群や、夜は真っ暗になる街中で異様な光を放つパチンコ店のネオンで赤茶色に光る雑木林などの作品もある。

齋藤さんは長野県出身。1977年、筑波大学芸術学系に技官として赴任し、つくばに転居。90年まで同大職員を務めた。大学の仕事の傍ら、国家プロジェクトによってつくられた人工都市の草創期を撮影し記録に収めてきた。

「初めて土浦駅に降り立ち、バスに乗って筑波研究学園都市に入った途端、がーん、がーんという杭を地面に打ち込む大きな音が響いた」と当時を振り返る。

85年に開催されたつくば科学万博のきらびやかな建物や、見物を楽しむ人々の様子、その後、次々に解体されるパビリオンの変遷を記録した写真もある。「何もないところに突然、科学万博の建物ができて、隆盛を極め、人々が楽しんだが、1年も経たないうちに壊された。映画を見ているかのようにわずか1年で変わっていく姿を実体験し、街の運命も人の運命と同じように、生まれて、成長して、新しいものに変わっていくということを衝撃をもって感じ、写真とは何かを考える転機になった」と話す。

写真展の会場の様子

写真展は、1979年から2000年までつくばの文化発信拠点だったライブハウス「クリエイティブハウス アクアク」の記録を残したいと、12月から来年2月まで、トークイベントや展示会を開催する有志でつくる「アーカイブ アクアク」(12月8日付)が、同イベントの開催に合わせて企画した。

アーカイブ アクアクのメンバーで同ギャラリーを主宰する山中周子さん(39)は「齋藤さだむさんの作品はただの記録ではなく、そこにある光、そこにあった環境をとらえ、芸術性がある。ずっとつくばにいる人も、新しくつくばに来た人も、いろいろな世代に見てほしい」と来場を呼び掛ける。

齋藤さんは「草創期のころのつくばをテーマに、演劇や音楽のパフォーマンスを展開しようとする若いメンバーたちの考えに賛同して写真展を開いた。46年前に土浦駅に降り立ってからのつくばでの時間の往還を、会場でお会いできる方一人一人と感じたい」と話す。(鈴木宏子)

◆齋藤さだむ写真展「人工都市つくば 草創の風景」は8日(金)~24日(日)の金・土・日曜の午後1~5時まで、つくば市千現1-23-4 マイコーポ二の宮101、ギャラリーネオ/センシュウで開催。入場無料。詳しくは同ギャラリー(メールinfo@neotsukuba.com)へ。

秋夜の熱燗に酔いしれる《医療通訳のつぶやき》3

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写真は筆者

【コラム・松永悠】去年から日本酒に目覚め、日ごろ、自宅で地酒の飲み比べをして楽しんでいます。今年に入ってから飲むだけでなく、和酒フェスティバルのボランティアスタッフもして、日本酒との関わり方がさらにアクティブになってきています。そしてこの前の週末、日本酒好きな友人らと一緒に、埼玉県小川町にある酒蔵、松岡醸造を見学してきました。

驚きと幸せに満ちる1日でした。もちろん奥の深い世界だと知っていましたが、ここまで面白いとは…。お米の種類の解説から始まって、製造工程と発酵、タンクに振動を加える実験などの技術の話や、酒税と税務局常駐の歴史、世の中で流れている日本酒にまつわる噂話の真偽まで、興味津々の話題がてんこ盛りでした。

普段、違う銘柄の日本酒を飲み比べることが多いのですが、同じ酒蔵のラインナップを片っ端から飲み比べるのはなかなかできないことです。若々しくてフレッシュな新酒にうっとりしたり、芳醇(ほうじゅん)で濃厚な15年ものの古酒に驚いたり…。微発泡のものや濁り酒など、どれを取っても味や香りなどそれぞれ違っていて、様々な表情を見せてくれて、まさに「みんな違って、みんな良い」でした。

私は仕事柄、消化器内科に行く機会が多く、これまで胃カメラ・大腸カメラの立ち会いも数えきれないほど経験しました。もちろんアルコールは健康に良くないという概念は昔から知っています。肝臓がんの患者、胃がんの病巣画像写真もリアルに見ていますので、恐らく一般の人よりお酒による健康被害を実感しています。

「これらの数値、心当たりありますか?」

一方で、私自身はお酒が大好きです。気のおけない友人と熱燗(あつかん)のお酒を飲みながら談笑するのは、まさしく至福の時間であり、人生でなくてはならない楽しみの一つです。父方の祖母は99歳まで生きて、大変お酒の強い人で、毎日のように飲んでいたそうです。祖母に及びませんが、どちらかといえば、多分飲める人に入ると思います。

体というのは、とても素直なものです。お正月のような、短期間でたくさんのお酒を飲む連休の後に血液検査をすると、肝機能数値がぐんと上がります。今年2月に、私が人間ドックを受けた後、看護師から「尋問」を受けました。

「これらの数値、心当たりありますか?」「はい、もちろんです。私は忘年会から始まって、お正月も毎日お酒を飲んでいましたから」「どうすればいいと思いますか?」「しばらく休肝します」。まるで先生に怒られる小学生のようでした。そして4月にもう一度血液検査を受けて、コントロールした効果が見事に現れて、2月の数値の半分以下でした。

ぼちぼち忘年会の予定が入ってくる時期になりましたね。そして来年の2月にはまた人間ドックがあります。同じやりとりになりそうな予感がする今日このごろです。(医療通訳)

<参考>医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

樹木の伐採始まる つくば市 旧総合運動公園用地

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森林の伐採が始まったつくば市大穂、旧総合運動公園用地=7日午後3時ごろ

つくば市土地開発公社が外資系デベロッパー、グッドマンジャパンつくば特定目的会社に売却した同市大穂の約46ヘクタールの森林(旧総合運動公園用地、高エネ研南未利用地)で7日までに樹木の伐採が始まった。

同用地は、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回となった後、住民投票の勢いに乗り、一つの争点に的を絞ったシングルイシューといわれる選挙戦を展開して「(元の持ち主の)URと返還交渉する」ことを最大公約に掲げて初当選した五十嵐立青市長が、2期目当選直後に民間への売却を決めた。グッドマンジャパンが110億円で購入、倉庫やデータセンターの建設が計画されている。

7日午後3時過ぎ、隣接する高エネ研敷地に面する出入口には、重機が出入りするための鉄板が敷かれ、すでに広い面積の樹木が伐採されていた。さらに敷地周囲を囲っていた杭が抜かれ、境界付近の草が刈られていた。

今回の伐採面積や1期工事の内容、工事スケジュール、住民説明会開催の有無などについて事業者のグッドマンジャパンは「現在メディア等の取材対応は行っておりません」などとしている。伐採面積などは不明だが、高エネ研に近い東大通りに接する倉庫区画(7工区E区画、約6.1 ヘクタール)付近で伐採が始まったとみられる。

事業者は現在、つくば市に対し、都市計画法に基づく開発行為の許可申請を出しているとみられるが、8日時点で市はまだ開発許可を出してないとみられる。さらに、市開発許可の手引きでは「開発区域の周辺おおむね100m以内の住民と土地所有者に対し住民説明会を開催する」とあるが、事業者は近隣にちらしを配布し、対面での住民説明会は開かれていない。

伐採や住民説明会などについては8日開かれた同市12月議会一般質問で取り上げられ、飯岡宏之市議の質問に対し、市は「(樹木の地上部分の)伐採は(土地の区画形質の変更ではないため)開発行為に当たらない。(木の根っこを抜き取る)伐根は開発行為の許可を得て実施する」などと答弁した。

住民説明会の開催について市開発指導課は「開発行為にあたって必要な説明会は書面開催の方法で周知し、(住民説明会は)なされたと事業者から報告を受けている」としている。一方、一般質問した飯岡市議は、周辺住民からは住民説明会開催を要望する動きがあるとしている。

事業者が10月に近隣住民に配布した資料によると、全体計画は、東大通り沿いの東側に倉庫3区画、西側にデータセンター4区画を建設する。南側の約4.5ヘクタールには防災多目的利活用広場を建設する予定で、防災拠点の整備は市が掲げた売却目的の一つだが、市と事業者との具体的協議はまだ行われていない。(鈴木宏子)

伝説のライブハウス「アクアク」原点回帰 つくばで3つのイベント

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アクアクを主宰した野口修さん

山下洋輔さんジャズコンサートなど

かつてつくば市に存在した、多くの著名人が足を運んだライブハウス「クリエイティブハウスAkuAku(アクアク)」。今も、当時を知る市民に語り継がれる「伝説的」な存在だ。アクアクに関連する3つのイベントが、12月から来年2月にかけてつくば市内で開催される。

その第1弾となるのが、15日につくばカピオ(つくば市竹園)で開かれるジャズコンサート「特別な一日」だ。世界的ジャズピアニストの山下洋輔さん、ロックシンガーのカルメン・マキさん、作曲家兼アレンジャーで知られるベーシスト水谷浩章さんが出演する。かつてアクアクを主宰し、「特別な一日」実行委員長の野口修さん(68)と山下さんの40年にわたる親交により実現する。

活動の原点は山下洋輔さん

かつて天久保2丁目にあったアクアクの外観(野口さん提供)

「オープニングアクトは(山下)洋輔さん。あの日が私たちの原点でした」と、野口さんが当時を振り返る。

1979年、筑波大学のキャンパスに隣り合う現在のつくば市天久保に、1軒のライブハウスが誕生した。カフェとイベントスペースを兼ねそなえた「クリエイティブハウス アクアク」だ。旧桜村(現つくば市)出身の野口さんが、数名の筑波大生たちと立ち上げた。現在の天久保には、学生向けのアパートやマンションが立ち並ぶが、当時は筑波研究学園都市の開発初期。雨が降ると未舗装路はぬかるみ、栗や野菜の畑の中に立ち始めた建物は、まだまばらだった。天久保のアクアクからは「500m先の東大通りが丸見えだった」。

「アクアク」とは、モアイ像で知られるイースター島の言葉で「何かを創造しようとする欲求」を指すという。当時、23歳だった野口さんと学生たちは、まだ文化施設がなかった研究学園都市に文化の拠点をつくろうと考えた。オープニング企画を山下さんのライブに決めた理由を野口さんは「アクアクでは、自立した自由な個人が互いを認め合い、一緒に生きていくことを追求したかった。洋輔さんのステージにはそれがあった」と話す。

「洋輔さんたちは、自立した個人がステージに立ち、互いに認め合うことから始まり、舞台を成立させていく。初めはどんな音を出すのかわからないもの同士、演奏しながら関係性を築いていく。それを見ている私たち観客も、いつしかそこに引き摺り込まれ、演者と関係性を築いてく。会場全体がひとつの『社会』として形作られていく感覚になる」のだと語る。

1991年、アクアクでのライブに向けリハーサルする山下洋輔さん(左端)と、サックス奏者の早坂紗知さん(同)

このオープニングアクト以降、アクアクでは、幕を下ろす2000年までの21年間、山下さんとの企画を毎年続けてきた。さらに詩人・谷川俊太郎、思想家・吉本隆明、映画監督・若松孝二、俳優・大杉漣ら、数々の著名人を招いて詩の朗読会や音楽演奏、演劇、舞踏、映画上映、ワークショップなど多岐にわたる活動を、表現活動への熱にあふれるつくばの若者たちと共に繰り広げていく。

今を見つめ返すコンサートに

野口さんが、もう一つの「原点」と語るのが、劇作家の寺山修司。野口さんが寺山の作品に関心を抱いた70年代は、60年代に隆盛した学生運動が、意見を異にする人に暴力を向け、活動自体を閉塞させていく時代だった。そうした中で、舞台上で問題を提起する前衛的な寺山の作品に触れ、野口さんは強く感銘を受けたという。カフェとステージが同居するアクアクは、寺山が渋谷で主宰した、劇場と喫茶店が同居する「天井桟敷館」をモデルにした。

寺山の劇団「天井桟敷」が輩出したのが、今回、山下さんと共演するカルメン・マキさんだ。山下さんと共に、野口さんにとっての「原点」が同じステージに立つジャズコンサートへの個人的な想いをこう語る。

「コロナ禍で、表現活動が制限される苦しさを経験した。一方で、強者も弱者も区別なくコロナに罹ることで、垣根なく、互いに助け合う社会ができるのではと期待した。どう健康を維持し、どう生き延びていくかをみんなで考え合う機会になるはずだった。しかし、現実は差別が助長され、世界各地で戦争が続いている。混乱し続ける時代だからこそ、私自身、原点を見つめたいという思いがあった」

「人間にとって大切なことは戦争ではない。いかに個人が自立して、自由に生きるのかということ。コロナ禍の時代から、再び表現活動ができる時代になった。多くの方と共に、同じ会場で一緒にコンサートを聞くことで、改めて、人間を見つめる大切さを思い出す機会になれば。今回の企画は、私自身にとっても『原点回帰』だが、こんな時代だからこそ、皆さんにとっても、今を見つめ返す『特別な一日』になるといい」と野口さんが呼びかける。

絵本作家ののスズキコージさんの展覧会での一場面(同)

ジャズコンサート「特別な一日」は、12月15日(金)19時からつくばカピオホールで。全席指定。一般5500円、学生・障害者4500円。詳細、問い合わせはイベントホームページ、または電話090-8580-1288(野口さん)へ。

記録を残したい

第2弾、第3弾のイベントは、野口さんが「原点に返りたい」とコンサートを企画していたところ、アクアクの記録を残したいと考える有志がコンサートに合わせて関連企画を立ち上げ、3つのイベントが実現することになった。

第2弾は、12月16日(土)16時からギャラリーネオ(つくば市千現)で、野口さんとつくば市を拠点に活動する劇団「踊母会」によるアクアクに関するトークイベントが開かれる。第3弾は、1月25日から2月5日にかけて千年一日焙煎所カフェ(つくば市天久保)で、アクアクを振り返る展示会「アクアクの時代 1979-2000」がそれぞれ、野口さんを慕う有志らによるアーカイブアクアク実行委員会により開催される。問い合わせはメール(千年一日珈琲焙煎所)へ。(柴田大輔)

鉾田市の高品質イチゴ農園《日本一の湖のほとりにある街の話》18

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】農業大国・茨城県の中でも屈指の農産物生産地、鉾田市。メロンをはじめ、イチゴやゴボウ、水菜など、様々な農産物の生産量が全国トップクラスを誇っています。そんな中、銀座千疋屋やペニンシュラホテルなど、一流店で愛用される高品質なイチゴを栽培する「村田農園」代表の村田和寿さんに、農園の歴史と栽培にかける思いを伺いました。

村田さんは農園の2代目で、かつては春先にメロン、冬場はイチゴを栽培。それが25年ほど前、イチゴの品種が「女峰」から現在の主流品種「とちおとめ」に移ると、冬場から春にかけてもイチゴが出荷できるようになったため、イチゴ生産に特化することにしたそうです。

主力の品種は現在でも「とちおとめ」。甘味・酸味・香りのバランスの素晴らしさに加え、棚持ちが良く、今もってこれを超えるものは難しいと、村田さんはその品質に太鼓判を押します。

村田さんのイチゴが高級店で愛用されるようになったのは、2008年の洞爺湖サミットの頃。卸先の一つである築地で、ペニンシュラの野島シェフの目にとまったことがきっかけで、一躍パティシエ業界での認知度が高まったそうです。

ただし、村田さんのイチゴが売れるようになったのは、たまたま運が良かったから、ではありません。そこに至るまで、さまざまな栽培上の工夫や販売方法の工夫がなされた上での、必然的なものだったことがお話からわかりました。

丹精した「赤い宝石」

イチゴ生産の最盛期は12月から1月後半、その後春先まで収穫が続きますが、第一に重要なのは「土づくり」。天敵製剤などにより極力農薬を抑えつつ、自家製堆肥を加え攪拌(かくはん)した土壌を1カ月以上発酵させ、良質な土をつくります。

苗にもこだわり、良い系統のものから厳選。さらにハウスごとに状態を細かく観察し、それぞれ微妙に異なる最適な栄養素を見極め、個別に栄養管理をしているそう。見せていただいたハウスのイチゴの苗は、大きく厚く色も鮮やかな葉で、とても生きの良さが感じられました。

村田さんのこだわりは、収穫後も続きます。繊細な果実であるイチゴを、鮮度を落とさず消費者まで届けるため、包装にも並々ならぬ力の入れようです。何タイプかある包装に共通する考え方は、イチゴが箱に触れるのを「点」でなく「面」にし、傷みを抑えるというもの。

最も高品質なイチゴを納める包装の名は、その名も「ゆりかーご」。箱にイチゴ型にくぼんだ薄いフィルムが張られており、そのくぼみに1個ずつ納めるというものです。それはまさに揺り籠のようで、これほど繊細に扱うのかと、驚きを禁じえませんでした。

また、パッケージデザインにも一目で村田農園とわかる、イチゴのみずみずしさとスタイリッシュさを兼ね備えたデザインがなされ、ブランディングにも一切手を抜いていません。こうした積み重ねがあるからこそ愛されているのだと、深く納得です。

そんな、イチゴにひたむきな情熱を注ぐ村田さんに、イチゴ生産の魅力を伺うと「消費者の声が直に聞ける点」とのこと。卸先の「生産者カード」などを通じ、「おいしかった!」と届く声が、何よりの喜びだそうです。この冬も、村田さんが丹精した赤い宝石が、たくさんの家々で笑顔を生み出すことでしょう。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

誤って印鑑登録を抹消 成年後見人選任開始の12人分 つくば市

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つくば市役所

つくば市は7日、成年後見人の選任を開始する「後見開始」審判の通知があった12人の印鑑登録について、誤って抹消してしまったと発表した。

発表によると12人は、今年6月1日から10月20日までの間に、後見開始の審判の通知があった住民。

今月6日に発覚した。同市印鑑条例では、後見開始の審判があっても本来は印鑑登録の発行制限のみを行うべきところ、誤って登録を抹消し、抹消通知を送付していた。

今年5月に印鑑登録事務の担当になった職員が、印鑑登録を抹消する旨の総務省通知を誤って解釈し、抹消してしまったという。

市は12人の印鑑登録を回復し、それぞれお詫び文を送付したとしている。

今後について市は、条例や規則などの再確認と業務手順の見直しにより、再発防止に努めたいとしている。

「超断熱素材」売り出し中のNIMS発ベンチャーに大賞 いばらきイノベーションアワード授賞式

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大賞受賞のサーマリティカ、小沼和夫代表(左)と大井川知事=茨城県庁

第4回いばらきイノベーションアワード(同アワード実行委員会制定)の授賞式が8日、水戸市の茨城県庁で行われた。賞金100万円の大賞受賞のThermalytica(サーマリティカ、本社・つくば市桜、小沼和夫代表)と優秀賞受賞の3企業に大井川和彦知事から表彰状が手渡された。

同アワードは先端技術を活用した新製品や新サービスを対象に募集し、革新性や市場性を評価し顕彰する事業。茨城県が事務局となる。今回大賞に選ばれたのは、断熱材「TIISA(ティーサ)」を開発し、本格的な事業展開に乗り出したサーマリティカ社。物質・材料研究機構(つくば市)の研究成果をもとに、2021年起業したNIMS発ベンチャーだ。

「TIISA」は、エアロゲル(酸化シリコン)の一種で、特殊な微細構造により、軽量かつ液体のような流動性を持つ粒子として開発された。市販の断熱材よりも桁違いに高い断熱性と遮炎性(耐火性)を備えており、「超断熱素材」として売り出している。断熱塗料として利用できるので、建物の断熱性や工場の加熱設備の保温性を高めることで地域の省エネルギーに貢献できるという。

加えてマイナス253℃の極低温でも優れた断熱性能を発揮するため、極低温保冷断熱材として非常に高い優位性を持つ。また、液化水素の保冷材として利用すれば水素の気化損失を大幅に防ぎ、地域の水素利用の促進に貢献できるとしている。建設関係から自動車、家電など各方面から照会や提案を受けており、同社はこの春、新たな資金として1億1250万円を調達、素材の量産化と多用途対応に乗り出している。

この成果に大井川知事は「夏の暑さがこたえる昨今、塗るだけで断熱効果が期待できるという素材はインパクトある。急いでビジネスチャンスをつかんでいってほしい」とエールを送った。

小沼和夫代表は「断熱材は今役に立つ技術だが、一方で水素社会に向けた脱炭素をはじめとする環境関係から多くの引き合いをいただいて手ごたえを感じており、今回の表彰を励みにしていきたい」と語った。(相澤冬樹)

第4回いばらきイノベーションアワード授賞式=同

◆このほか、優秀賞の3社は次の通り。(県外本社企業も県内に研究拠点などを有している)
▽Octa Robotics(本社・埼玉県さいたま市、鍋嶌厚太CEO、前川幸士COO)自律移動型サービスロボットを、エレベーター・自動ドア等の設備と連携させるサービス「LCI」
▽クォンタムフラワーズ&フーズ(本社・水戸市、菊池伯夫代表)中性子線照射による突然変異の誘発を利用し、生物資源の開発改良を行うサービス
▽ピクシーダストテクノロジーズ(本社・東京都中央区、落合陽一代表、村上泰一郎代表)誰が何を話しているかをリアルタイムで可視化し、聴覚障がい者と聴者をつなぐサービス「VUEVO(ビューボ)」

鉄道ファン格好の撮影アングル、10日で見納め 土浦

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一番橋からみた新二番橋。このアングルも10日で見納め

二番橋8日開通 一番橋は通行止め、撤去へ 

JR常磐線をまたぎ土浦市富士崎2丁目と小松ケ丘町を結ぶ跨線(こせん)人道橋、通称「二番橋」が8日午前10時に開通する。昨年9月から通行止めとなり、架け替え工事が行われていた。この開通を待って11日には、同じく通称「一番橋」が通行止めとなり、解体・撤去工事が始まる。

二番橋は自転車歩行者用の橋。土浦市が管理する市道で、常磐線3号橋が正式名称。同4号橋が正式名称の一番橋の撤去とセットになった工事で、21年6月からJRの関連会社が基礎工事や橋脚の設置を行い、市が橋げた製作と橋面舗装を行ってきた。延長32メートル、幅員3.7メートル、開通後も自動車の通行はできない。

隣り合う2橋は2016年の点検で、構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態であると位置付けられた。橋脚や手すりに古レールを使った構造で、建設時期は不明ながら戦前にさかのぼると見られ、老朽化が著しかった。17年度の交通量調査(日量)では一番橋が63人、二番橋が450人だったことから、二番橋のみ架け替えし、一番橋は撤去することになった。

一番橋。名残惜し気な冬の散歩道=土浦小松ヶ丘側から

8日の開通は渡り初めなどのイベントはなく、一連の事業は11日から一番橋の解体・撤去に移る。同橋は土浦市街地をふかんするロケーションにあり、鉄道写真ファンには格好の撮影スポットになっていた。撤去工事は来年5、6月ごろまでに完了する。同市道路建設課によれば、常磐線の環境整備などを含む全体事業費は約11億円になる見通し。同市には常磐線をまたぐ市道が1号橋(荒川沖)から6号橋(神立町)まであるが、一番橋の撤去により4号橋は欠番になるという。

地元、小松ケ丘町の松下恒正区長は「安全面から架け替えは待ち遠しかった。生活道路として大切に使っていきたい。一番橋が無くなるのはさびしいけれど、歴史的な古道の上にある橋、二番橋の名が残されてよかった」と語る。橋名を示すプレートには「常磐線3号橋(二番橋)」と記されている。(相澤冬樹)(相澤冬樹)

➡一番橋と二番橋の過去記事はこちら(2018年2月6日付22年9月24日付

巨大都市パリの郊外から見えるもの《遊民通信》78

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【コラム・田口哲郎】

前略

先日、NHKのBSで「地下鉄のザジ」というルイ・マル監督のフランス映画が放映されていました。1960年の作品です。冒頭はパリの郊外からパリ中心部に入る列車のフロント窓の風景が映し出されます。列車はパリの南東にあるオステルリッツ駅に向かうわけですが、沿線の風景を見て驚きました。

その風景は、郊外から東京都心に向かう京浜東北線や中央線、東海道線、常磐線から見える風景と変わらないからです。いわゆるパリと言われたら思い浮かべる、古いながらも豪華な外装のアパルトマンが立ち並ぶシャンゼリゼ通りのような風景ではなく、日本のどこにでもある機能的な建物が延々と続くのです。

パリは19世紀には世界の都と言われるほどに発展しました。世界の都というのは近代的な政治、経済、文化の中心という意味です。いま私たちが普通に目にしている大都市は、19世紀のパリやロンドンが人類史上最初だったと言えます。江戸も大きかったのですが、石づくりで道路も舗装されていたいわゆる近代都市としては、パリのほうが先でした。

パリの人口は増え続け、拡大してゆきます。古いパリはグラン・ブールヴァールという環状道路の内側で、新しいパリはその外に無限に増殖してゆくのです。東京の山手線の内側が古い東京、外側が新しい東京と言われるのに似ています。

欧米の枠組みとしての近代都市

東京も浅草や日本橋のような江戸風情の残るところを「東京」とするように、パリも19世紀の雰囲気が残る凱旋門の辺りを「パリ」とします。それが街の顔ですが、その周りには、どの国にも似たような「郊外」が広がっている。

前代未聞の巨大都市パリのような都市が、欧米文化の広がりとともに世界に広がりました。それはグローバル化の波と一致しているのだと、パリの郊外の風景を見ていて気づきました。江戸も当然、その波にのまれ、大きな変貌を遂げ、いまの東京があります。

コロナ禍を経て、欧米の価値観がどんどん流入してくるだろう、と以前に書きました。忘れてはならないのは、いまの私たちの生活基盤である都市も実は欧米の枠組みによって作られているということです。そういう意味で、日本にも欧米の価値観を受容する下地はつくられていて、ソフト面が入ってくる環境は整っていると言えます。

あたりまえの「都市」を見直すことで、新たな気づきがあるかもしれません。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

給食開始が最大50分遅れ つくば市の9小学校

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つくば市役所

つくば市は6日、学校給食に米飯を納入する業者の炊飯機械が同日故障し、米飯が学校に到着する時間が遅れ、市内の9小学校で最大50分、給食開始時間が遅れたと発表した。

学校では、5時間目の授業を給食前に繰り上げて実施したり、掃除の時間を前倒しにするなどして対応したという。

市健康教育課によると、同日午前9時ごろ、米飯を炊いて学校に納入する業者の炊飯機械のローター(回転子)部分に漏電が発生し、炊飯できなくなった。

同市の学校給食の米飯は、県学校給食会を通じて、2つの業者が小中学校と幼稚園にそれぞれ納入している。炊飯機械が故障した業者は、市内の幼稚園2園と小中学校14校の米飯を炊いて納入していた。

このうち2園と5校については、米飯の到着時間が遅れたものの、給食の開始時間に間に合った。

一方、小学校9校の計約3400食分は間に合わず、午後0時10分に給食を開始する予定だったが、最大で50分遅れ、午後1時に給食開始となる小学校もあった。

炊飯機械は修理が終わり、7日からは通常通り提供できるという。市は米飯業者に対し、設備管理の徹底を図るよう指示したとしている。

「魔女の学校」が地域住民と音楽祭 クリスマスに筑波山麓で

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魔女の学校を主宰するいしざき緑子さん(右)と、イベントに出演する地元ミュージシャンの塚Tさん

子供たちに体験と交流の場を

筑波山麓の廃校で手作り品などを販売するマルシェ「魔女のフェスタ」を開催してきたアロマテラピー教室「魔女の学校」(いしざき緑子さん主宰)が、クリスマスの25日、山麓のつくば市国松で地元有志の協力を得て、子供たちのための「魔女の学校 シリウス音楽祭」を開催する。

会場はいしざきさんが「筑波山天国」と名付けたガソリンスタンド跡地。数年続いたコロナ禍で、生の音楽や地域住民との交流が希薄になった地域の子どもたちに、地元住民がサンタクロース役になって、豊かな体験と地域住民との温かい交流の場をプレゼントしたいという。

「魔女の学校」は2019年4月から独自に、いしざきさんやアロマテラピー教室に通う生徒らが、いずれも廃校となった石岡市柴内の朝日里山学校やつくば市国松の旧筑波小学校でオーガニックな手作り品などを販売するマルシェを6回ほど開催してきた。今回は地元住民有志と、地域と一体となったイベントを開く。

シリウスは冬の空に輝くおおいぬ座の1等星。主催者は「暖かい薪ストーブの火を囲み、シリウスの光を浴びながら、多彩な音楽と素敵な魔法を持ち寄ったお店屋さんたちと豊かなクリスマスのひと時を過ごそう」と参加を呼び掛ける。

音楽祭では、アフリカン太鼓、生バンド、ピアノや弦楽器の演奏が無料で聞ける。当日は地元陶芸家による、陶芸体験も無料で開催。好きなことや得意なことを仕事にしている飲食、クラフト、占い、セラピーなど多彩な出店者が、イベントを盛り上げる。

会場となるガソリンスタンド跡地の「筑波山天国」

主催するいしざきさんは「激変する社会でいま子供たちに必要なのは、多様な人との出会いや体験が重要であると思い企画した。多様性を拒む現代の教育からはみでた子供たちに豊かな体験をプレゼントできたら」と語る。

地元区長の岡田実さん(72)は「少子高齢化と言われる中、子供たちが外で遊ぶ姿が見られなくなった。筑波山麓という自然環境に恵まれた地域で、元気に遊ぶ子供たちの姿を見たいと思う。子供たちのためという趣旨に賛同し、シリウス音楽祭を大いに応援したい」と語る。

◆「魔女の学校 シリウス音楽祭」は25日(月)午前11時~午後8時、つくば市国松162-1、筑波山天国で開催。入場無料。音楽祭ステージの出演者は▷ケイタモモ(栃木県・アフリカンジャンベ奏者)▷beee(千葉県・ドラム、ギター、ベースの生バンド)▷もっさん(茨城県シンガーソングライター)▷塚T&kiki(筑波山麓元シンガーソングライター)▷meiko(埼玉県・祈りのピアニスト)▷河村英之(千葉県・墨絵画家。ライブペインティング)▷村上忠(茨城県・魂の絵画家。ライブペインティング)など。

借金をして死ぬと家出《続・気軽にSOS》144

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【コラム・浅井和幸】日々、様々な相談に対応している浅井心理相談室。過去に下記のようなやり取りがあったとか、なかったとか。

「甥(おい)っ子が家出をして、どうしてよいかわからない」と、叔母に当たる女性から相談がありました。親子の不仲が原因の一つであるのは間違いないのですが、甥っ子は借金をしていました。無職の甥っ子は母親(来談者の姉)にそれをとがめられ、死んでやると家出をして、1週間ほど行方不明になっていました。

LINEをしても、電話をしても、応答がありません。うろたえている姉を見かねて、その方は相談に訪れたそうです。もう諦めたほうがよいのでしょうかという来談者に、とりあえず下記のことをしてみるように伝えました。

▽今までの半分のペースで、LINEを送る。内容は、何かをアドバイスするのではなく、心配しているとか、あいさつ程度の短い内容のものにする。

▽LINEで、浅井という人に相談していることを伝える。電話番号も一緒に。心配しているよと。

「アルバイトで返せる額じゃないかな」

次の日の昼、来談者の甥っ子から私に電話がかかってきました。

浅井「はい、浅井です」

甥っ子「〇〇です。叔母から聞いて電話をかけています」

浅井「ずいぶん、つらそうだね。力も出ない様子だけど、ちゃんと食べている? 心配だな」

甥っ子「一昨日ぐらいから何も食べていません。もう死にたいです。死ぬしかないんです」

浅井「どうして?」

甥っ子「借金をして、仕事もしていないし、返せないし…。このままだと、親にも迷惑をかけてしまうから」

浅井「そうなんだ。それはつらいね。ところで、君みたいに若い男の子が死ななければいけないほどの借金って、何億円ぐらい借りたの? というか、よくそんなに借りることができたね」

甥っ子「いえ、そんなには大きい額では…」

浅井「そっか。じゃ、何千万円ぐらい借りたの?」

甥っ子「いえ、そんなには…」

浅井「そうかぁ。細かくはいいから、だいたい、どれぐらいの借金があるの?」

甥っ子「〇〇〇万円です」

浅井「それは大変だね。でも、そのぐらいの額だったら、ちょっと良い大きめのバイクか、軽自動車の新車が買えるぐらいだね。君ぐらい若い男の子ならば、その辺のアルバイトをして返せる額じゃないかな」

甥っ子「そんな感じですか? でも、何もかも嫌になって」

「今日1日は生き、また電話して」

この間に色々と話をして、本人の様子や、どんな場所にいるのか、雰囲気で予想していました。

浅井「でも周りが敵ばかりに感じて、つらいよね。もうどうなってもよいって感じるんだね」

甥っ子「はい」

浅井「遠くにいるということだけど、場所さえ教えてくれれば、迎えに行くか、何か方法を考えるよ。でも、すぐにとも、無理にとも言わない。その代わり、今日1日は生きてみて。夏だけど、ちょっと外は寒いかな。けど頑張って考えてみて。それでよかったら、明日、また、電話してよ」

甥っ子「わかりました。もういいです」

後日、私が電話をした次の日に帰ってきたと、母親から電話がありました。その後、来談者からも、お礼の電話とおいしいクッキーが届いたとか、届かないとか。いや~、いただきものはうまい。(精神保健福祉士)

農業委員の選考会始まる つくば市 前回は紛糾、警察捜査も

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2023年度つくば市農業委員会委員候補者選考会第1回会合の様子=12月4日、市役所

つくば市農業委員会委員の任期満了(定数24、任期は来年5月18日まで)に伴って、新しい農業委員の候補者を選考する同市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長、9人で構成)が4日始まった。

3年前の前回の改選時は、地区別人数割や農地法違反をめぐって紛糾した(21年5月20日付同28日付)ほか、会長選をめぐって警察の捜査が入り、農業委員の一人が贈賄申し込みの罪で罰金50万円の略式命令を受け辞任するなどの事件に発展した。前回、紛糾の種になった地区別人数割や農地法違反の扱いをどうするかが注目される。

応募は39人

市は来年の改選に向け、10月2日から31日まで公募を実施。4日開かれた選考会では、39人の応募(うち農業委員会業務に利害関係がない中立委員は1人)があったことが報告された。

さらに前回の改選で問題になった地区別人数割や農地法違反について委員の一人から質問が出た。地区別人数割について飯野会長は「(法令では)市内全域が一つの選挙区になっているが、(選考会委員が採点する)選考シートの結果について極端な差があると後の運営に差し障りが出るのではないかということもあるので、一時的な評価の結果を見てみて、結果によってさらなる検討が必要な状況かどうかを判断して、それから会の中でどうしていくか、皆さんで協議をしていきたい」とした。

応募者の農地法違反については委員から「前回、親が違反転用して(本人は)全く知らなかったということがあった。前に親がやったことに対し責任を取るのか」などの質問があり、同事務局から「違反転用を本人以外の親がやった場合、(農業は)基本的に同一世帯の家族経営なので『親がやったから知らない』は好ましくない。(採点は)農地法に反する転用があるとマイナス5点、農地法と他法令に反する転用があり農地への復元も困難だとマイナス10点になる。前回は(違反者の)人数が多かった。今回、本人から聞き取りをしたが、今回はそんなにいない」などと説明した。

今後の日程は、選考会の委員9人がそれぞれ、候補者39人に対し、農地法に違反する転用があるか、委員としての責務を理解し意欲があるかなど、選考シートに基づき17項目(中立委員は11項目)について評価し評点を付けた上で候補者を選考し、五十嵐立青市長に答申する。

前回は地区別人数割のルール変更に反発

農業委員会は、担い手への農地利用の集約化、遊休農地の解消、新規参入の促進など農地利用の最適化を図ることを目的に、農地法に基づく農地の売買や賃借の許可、農地転用案件の意見具申などを行う。委員の任期は3年。つくばエクスプレス(TX)沿線開発などの影響で、同市は農地法に関する許可申請件数が県内で最も多い。

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変わった。同市では18年から任命制が始まり、3年前の前回の選考から選考会が設置された。

地区別人数割については同市ではこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて農業委員が選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。3年前の選考会では事務局案として当初「農業委員会の活動は各地区ごとに、農地の所有権移転や農地転用などの許認可を行っているため、各地区の選出人数は各地区での活動に支障をきたさないよう、農地面積及び農家戸数に許可申請件数を加味した人数が望ましい」とする案が示されたが、選考会が、地区別の農業委員の人数を一律で「各地区3人以上」と変更し、農地転用の調査件数が多いのに地区別人数が減った谷田部地区などの農業委員から反発が出て、紛糾などした。(鈴木宏子)