つくば市農業委員会委員の任期満了(定数24、任期は来年5月18日まで)に伴って、新しい農業委員の候補者を選考する同市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長、9人で構成)が4日始まった。
3年前の前回の改選時は、地区別人数割や農地法違反をめぐって紛糾した(21年5月20日付、同28日付)ほか、会長選をめぐって警察の捜査が入り、農業委員の一人が贈賄申し込みの罪で罰金50万円の略式命令を受け辞任するなどの事件に発展した。前回、紛糾の種になった地区別人数割や農地法違反の扱いをどうするかが注目される。
応募は39人
市は来年の改選に向け、10月2日から31日まで公募を実施。4日開かれた選考会では、39人の応募(うち農業委員会業務に利害関係がない中立委員は1人)があったことが報告された。
さらに前回の改選で問題になった地区別人数割や農地法違反について委員の一人から質問が出た。地区別人数割について飯野会長は「(法令では)市内全域が一つの選挙区になっているが、(選考会委員が採点する)選考シートの結果について極端な差があると後の運営に差し障りが出るのではないかということもあるので、一時的な評価の結果を見てみて、結果によってさらなる検討が必要な状況かどうかを判断して、それから会の中でどうしていくか、皆さんで協議をしていきたい」とした。
応募者の農地法違反については委員から「前回、親が違反転用して(本人は)全く知らなかったということがあった。前に親がやったことに対し責任を取るのか」などの質問があり、同事務局から「違反転用を本人以外の親がやった場合、(農業は)基本的に同一世帯の家族経営なので『親がやったから知らない』は好ましくない。(採点は)農地法に反する転用があるとマイナス5点、農地法と他法令に反する転用があり農地への復元も困難だとマイナス10点になる。前回は(違反者の)人数が多かった。今回、本人から聞き取りをしたが、今回はそんなにいない」などと説明した。
今後の日程は、選考会の委員9人がそれぞれ、候補者39人に対し、農地法に違反する転用があるか、委員としての責務を理解し意欲があるかなど、選考シートに基づき17項目(中立委員は11項目)について評価し評点を付けた上で候補者を選考し、五十嵐立青市長に答申する。
前回は地区別人数割のルール変更に反発
農業委員会は、担い手への農地利用の集約化、遊休農地の解消、新規参入の促進など農地利用の最適化を図ることを目的に、農地法に基づく農地の売買や賃借の許可、農地転用案件の意見具申などを行う。委員の任期は3年。つくばエクスプレス(TX)沿線開発などの影響で、同市は農地法に関する許可申請件数が県内で最も多い。
農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変わった。同市では18年から任命制が始まり、3年前の前回の選考から選考会が設置された。
地区別人数割については同市ではこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて農業委員が選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。3年前の選考会では事務局案として当初「農業委員会の活動は各地区ごとに、農地の所有権移転や農地転用などの許認可を行っているため、各地区の選出人数は各地区での活動に支障をきたさないよう、農地面積及び農家戸数に許可申請件数を加味した人数が望ましい」とする案が示されたが、選考会が、地区別の農業委員の人数を一律で「各地区3人以上」と変更し、農地転用の調査件数が多いのに地区別人数が減った谷田部地区などの農業委員から反発が出て、紛糾などした。(鈴木宏子)