水素中心のまちづくり、レンタサイクル増やすなど
2050年までに「ゼロカーボン(二酸化炭素排出量 実質ゼロ)で住みよいつくば市」を実現するため、つくば市役所で10日、抽選で選ばれたつくば市民が主体となり、「気候市民会議つくば2023」が開催された。最終回となった今回は、参加市民らがこれまで議論した気候変動対策への提言を最終検討し、提言書としてまとめ、五十嵐立青つくば市長に提出した。
「次世代エネルギーとして水素を中心としたまちづくりの推進」や「自転車移動を増やすためレンタルサイクルを増やす」など計74件の提言がまとめられた。
気候市民会議は、無作為抽出で選ばれた市民が気候変動対策について話し合う場で、欧州各国で広がった。日本では札幌市を皮切りに全国各地で開催されてきた。つくば市では今年9月から12月まで計6回にわたり開催された。
同会議に参加したつくば市民は43人で、同市の人口比率を参考に、年齢、性別、地区などに偏りがないよう抽選が行われた。参加者は4〜5人のグループに分かれ、「移動・まちづくり」、「住まい・建物」、「消費・生活」など気候変動対策に対するテーマと掲げ、それぞれアイデアを検討し、議論を重ねてきた。第5回会議までに、それぞれ31件、30件、26件のアイデアが提案された。最終回となる今回は、これまで出されたアイデアを修正し、再検討した。参加者の最終投票により、全87件のうち74件が提言として採択された。
参加した市内に住む会社員女性(32)は「一人ひとりがゼロカーボンを意識した行動をとり、できることから始めることが重要。2050年までに目標達成できることを信じて、子どもにも学んだ知識を教えたい」と話した。
傍聴した東京都八王子市在住で現在、都内の大学に通い政治学を学ぶ皆川果南さん(22)は、自身の研究のため、同会議をこれまで3回傍聴した。他自治体で開催されてきた会議と比較して「6回にわたって細かく本格的な政策立案をしていたのが印象的。市民と行政がつながる場の重要性を再認識し、継続的に開催がなされれば」と話した。
市民から提言書を受け取った五十嵐市長は、参加した市民や助言した専門家らに感謝を述べた後、「地球温暖化をはじめとする気候変動という危機的な地球の状況に対して、実践をすることに意味がある」などと話した。
同市は今後、提言の全ての項目に対して、目標数値の設定と1年ごとに達成度を計るロードマップを作成し、市の政策に反映するとした。(上田侑子)