月曜日, 6月 15, 2026
ホーム ブログ ページ 72

台湾16代総統・賴清徳氏就任《雑記録》60

0
バラ(写真は筆者)

【コラム・瀧田薫】5月20日、台湾16代総統・賴清徳氏は就任演説で「台湾への言論での威嚇や武力による挑発をやめよ」と中国を名指しで批判した。中国はこれに反発、賴政権に対する懲罰として、台湾周辺での大規模軍事演習を開始した。今後、中国の賴政権に対する姿勢は厳しいものになるだろう。

台湾の政治史において、台湾総統選挙の最大の争点は常に対中国姿勢の取り方であった。賴氏の前任総統・蔡英文氏の場合、2016年時就任演説において「1992年に両岸の両会(海峡交流基金会と海峡両岸関係協会)が話し合いを行い、若干の共通の認知と理解が得られた。私はこの歴史的事実を尊重します」と述べ、中国と話し合う姿勢を見せていた。

しかし、2024年の賴氏の就任演説は、この件に全く触れなかった。同じ民進党に所属していながら、前台湾総統・蔡氏と新総統・賴氏、それぞれの対中姿勢には大きな隔たりができていた。台湾の側に限って言えば、中台関係に関する考え方の変化に加速度がついている感じがする。

他方、中国側は、1992年の交渉において中台は「一つの中国」原則で一致したとの主張を、現在までの約30年間ずっと貫いてきている。中国共産党の一党支配が続く中国に対して、台湾においては、86年に民主化を目指した民進党が誕生し、政治環境が激変した。

民進党の登場によって、もともと中国と対立してきた蒋介石由来の国民党が、相対的に中国寄りのカラーを身に付けるようになっていく。国民党は92年合意について「一つの中国原則」を認めるものの、肝心の「一つの中国」が何をさすかについて、中台間の話し合いが必要であるとの立場を主張している。

最近、中国政府は国民党(最大野党・議席数52議席)と民衆党(第3党・議席数8議席)に接近しようとして様々な方法を試している。民進党が台湾立法院の前回選挙で、過半数・57議席を獲得できず、51議席にとどまったことを、賴政権の最大の弱点と見ての動きであることは明らかだ。

今後、賴政権は人事や予算について、野党攻勢に遭い、苦境に追い込まれる可能性が高い。中国政府はこれに追い討ちをかけようと、狙いを2年後の立法院選挙に絞り、もちろん水面下でのことであるが、野党に対する資金援助、地方議員の取り込み、地方の中小企業経営者に対する利権の提供など、なりふり構わぬ選挙干渉に出る可能性がある。

賴政権、そして台湾の今後は、台湾の有権者の政治判断や状況認識いかんにかかっているということだろう。

ちなみに最新の世論調査によれば、「海峡両岸は2つの異なる国家」と見る人が76.1%に達したのに対し、中国の主張「両岸は1つの中国に属する」に賛同する人は9.7%に過ぎないそうである(東洋経済オンライン5月23日付「現状維持だが中国に配慮もしなかった台湾新総統」=小笠原欣幸氏)。(茨城キリスト教大学名誉教授)

今度は市全域でオンデマンド投票提案 選管見解は再び「時期尚早」 つくば市長選・市議選

23
3日開かれたつくば市選挙管理委員会で委員(右側)らに、新たな案を提案する松本玲子副市長(左端)ら

今年10月のつくば市長選・市議選で、市が市北部の一部地域で実施するとして当初予算を計上した、投票箱をワゴン車に積んで自宅前まで行く「オンデマンド型移動期日前投票」について、市選挙管理委員会(南文男委員長)が「一部地域で実施することは公平性の観点から時期尚早」だとの見解を示したのに対し(5月30日付)、インターネット投票などスーパーシティ国家戦略特区に関する取り組みを担当する松本玲子副市長と市政策イノベーション部は3日開かれた市選管で、今度は、自力での歩行が難しい要介護3と4の高齢者などを対象に市全域でオンデマンド型移動期日前投票を実施する計画に改め、再提案した。これに対し市選管は同日、再び「(10月の実施は)時期尚早」だとする結論を出し、現時点でオンデマンド投票を実施するのか否か、見通せない状況となっている。

市選管の南委員長は「全市に広げるなら、本当に(オンデマンド投票を)望んでいる人がどれくらいいるのか、(市が全額助成するタクシー券を利用した)福祉タクシーで救われるのか、数字が把握できていない。オンデマンドを全市で実施するにはまだまだ解決しなくてはならない課題が山積しており、もう少し(他地区で)実証実験を重ねて、課題を解決できてから」だとしている。

一方、市全域での実施を再提案した市科学技術戦略課の中山秀之課長は取材に対し「(時期尚早だという)理由を確認してないので、それに対応していけるよう検討したい」としている。

新たな提案は、車いすのままワゴン車内に入り投票できる福祉車両2台が、市全域の希望者宅を1日8件程度巡回し、計100人程度を対象に実施するというもの。必要な場合はヘルバーが自宅から福祉車両まで連れていくなどする。

これに対し市選管の委員からは「全市の申込者宅を現地調査し(投票したい日時の)希望を聞くということだが、かなりの労力が必要になる。できるのか」「(新たに計画している)タクシー助成を使って、福祉タクシーや介護タクシーを利用して期日前投票所に行くことはできないのか」「雨が降って車いすでの移動に時間がかかったり、(近所の人などが)時間ぎりぎりに投票に来て、時間オーバーした場合、次の投票所(申込者の自宅)に間に合うのか」「(9月の自民党総裁選後の衆院解散・総選挙の見方がある中)国政選挙と同時になった場合は想定しているか」などの質問が出た。

市科学技術戦略課の中山課長は「(時間オーバーした場合は)予備の車両で次の投票所に向かう」、国政選挙との同時選挙の想定については「同時になった場合は(国政選挙などの)投票箱を別の車両に持ち込む」などと回答した。

一方選管の各委員からは「オンデマンド投票をいくら重ねてもインターネット投票にはつながらないのではないか」「オンデマンド投票は、インターネット投票がスタートだが、何でここまで、次から次へと手法を変えて執着するのか、理由が分からない」「これから先(ネット投票の実現まで)どれくらいかかるか見通せない中、どうして固執するのか理由を知りたい」「結論に合わせて、無理につくっているように思える」などの意見も出た。

オンデマンド型移動期日前投票は、市がインターネット投票導入につながるステップだと位置付け、今秋の選挙で実施するとしている。(鈴木宏子)

本サイトは今秋で発足から7年《吾妻カガミ》184

10
NEWSつくば活動拠点の日本国際学園大学体育館㊧と、体育館入り口の看板

【コラム・坂本栄】本サイトが発足したのは2017年10月ですから、今秋に7周年を迎えます。スタートから半年間の1日平均閲覧数と23年度の同数を比較すると、7倍強になっており、地域のネット媒体として定着しつつあります。5月に開いた会員総会では、今年度の掲載本数を1日平均3本(23年度は2.23本)に増やす目標を確認しました。

1日3本掲載が当面の目標

編集室がある日本国際学園大学(旧筑波学院大)で、NEWSつくば立ち上げの記者会見を開いたのは17年9月27日でした。研究学園担当の記者に「1日何本アップするのか?」と聞かれ、「コラムも含め朝昼晩各1本、1日3本を目標にしたい」と答えたこともあり、これが目標になっています。

翌日の毎日新聞は県版のトップで「ウェブ『NEWSつくば』開始 『常陽新聞』元記者たち再起」と報じてくれました。この記事でも上のコメントが引用されていました。

閲覧先は県内と東京が同数

5月の会員総会に際し、23年度の閲覧数が多かった記事を抜き出してみました。地域開発、道路整備、教育関係、催事/観光、市政関係、高校野球などへの関心が強いことがわかります。

閲覧数分析では、県内からのアクセスと東京からのアクセスがほぼ同数であることも分かりました。県内と東京がそれぞれ45%、残り10%は北海道・2府・他県です。市町村別では、つくば市>水戸市>土浦市…の順でした。ネット媒体の面白いのは、全国(世界?)どこからでもアクセスできることです。

社会学者と作家の講演会

私たちは昨春、つくば市の有志と一緒に、著名建築家・磯崎新氏を追悼するシンポジウムを開きました。今春は桜川漁協などと協働し、桜川を見守る人を養成する体験学習会「桜川川守養成プログラム」を開催中です。今秋には、土浦ツェッペリン倶楽部と連携し、コロナ禍で延期していた「霞月楼お宝写真展(仮称)」と関連講演会を開きます。

写真展は、土浦の歴史ある料亭・霞月楼が所有する地元画家の絵、山本五十六も勤務した霞ケ浦海軍航空隊の記録類、独飛行船ツェッペリン号が霞ケ浦に飛来した時の写真など、本サイトの特集《霞月楼コレクション》(20年6月から12月にかけて12回連載)から選んだ写真を展示します。

講演会は、「『軍都』を生きる 霞ケ浦の生活史1919~1968」(2023年2月、岩波書店刊)の著者=慶應大学専任講師・清水亮氏、「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」(2023年7月、早川書房刊)の著者=作家・高野史緒氏を招き、巨大な飛行船のこと、旧海軍基地と当時の土浦の関係など、お二方に話してもらいます。(NEWSつくば理事長)

<参考> 関連する記事のリンク先

▽磯崎氏追悼シンポジウムはこちら

▽桜川川守養成プログラムはこちら

▽霞月楼所蔵品紹介連載①はこちら

▽清水亮さんの新刊本紹介はこちら

▽作家・高野史緒さん紹介はこちら

コロナ禍越えて「みんなの食堂」 土浦の町内会に店開き

12
「いただきます」みんなの食堂が始まった=土浦市大岩田二区コミュニティーセンター

土浦市大岩田2区のコミュニティーセンターに2日、「みんなの食堂」がお目見えした。地元にキッチンカー「八右衛門」の厨房を持つ久保田紀子さん(47)が子ども食堂をモデルに始めた。用意した50食は30分程度で完売、月1回ペースでの今後の継続に手応えを得た。

1回目のメニューは、地元産のレンコンをふんだんに使った大岩田ツェッペリンカレー。久保田さんが自宅で調理したものをコミュニティーセンターで加熱して容器に盛り、子供たちが配膳した。

子ども100円、高校生以上300円で提供した。地域の子供たちは開店前に6人が集まったが、全員がエプロンを着けボランティアスタッフとして提供側に回り、自ら食べる間もなく売り切った。

食のシンポジウムで発言する久保田さん=クラフトシビックホール土浦

久保田さんは神奈川県横浜市出身、食育インストラクター1級を取得している。2021年に地元食材を使った手作り弁当のキッチンカーを始め、嫁ぎ先の屋号「八右衛門」を掲げた。最初の出店場所がコミュニティーセンターで、その後土浦市の霞ケ浦総合公園やつくば市の研究学園などに展開している。

「折からコロナ禍真っ最中でなかなか大変だったが、3年間続けて何とかやっていけそうと感じている。これまでいろいろ支えてくれた地元の人たちに少しでもお返しできたら」とコミュニティーセンターを拠点にしたみんなの食堂を企画した。キッチンカーに食材を提供してもらっている同市内外の農家などの協賛を受けている。

子ども食堂をモデルにしたというが、開店してみると来店客の大半は地域のお年寄り。ボランティアの子供たちから手渡されるカレーライスをうれしそうに持ち帰った。

食堂を支えるボランティアスタッフ

土浦の旧村部にある大岩田は少子高齢化が進行、コロナ禍が加わることで町内会の行事は休止を余儀なくされた。区長の長谷部勝弘さんによれば「夏祭りは昨年3年ぶりの開催にこぎつけたが、この間子供たちには何のイベントもなくかわいそうだった。だからボランティアとして参加したい気持ちはよくわかる。高齢者にもコミュニケーションのいい機会になったのではないか」と語る。

大岩田小2年、坂本りおんさんは「楽しかった。次もまた手伝いたい」という。次回は7月21日の開催を予定している。(相澤冬樹)

家族に加わる新参者のおはなし《ことばのおはなし》70

2
写真は筆者

【コラム・山口絹記】今年になって、10年連れ添った観葉植物のパキラが枯れてしまった。つくばに引っ越してきてすぐ、まだ1人暮らしだった頃に買ったパキラだった。私がパッキーと呼んでいたので、家族からもそう呼ばれていた。世話を怠ったつもりはないのだけど、昨年の猛暑から元気がなく、ついぞ息を吹き返さなかった。

葉が少しずつ落ちてしまっていたのだが、小さい頃の上の娘や下の息子が何度葉をむしっても、春になれば元気に新しい葉をつけていたので、少し油断してしまっていた。

残った幹もスカスカになってしまい、生き返ることはないとわかっていても、なかなか捨てることができないでいたのだが、決心をして捨てた。そして、捨てたその日に娘と花屋に行くことにした。10年前にも1人でパキラを買いに来た花屋だ。花を買う時はいつもお世話になっている。

名も知らぬ観葉植物たちを娘とふたりで眺める。室内に置くので、あまり大きくなり過ぎるのも困る。さりとて大きくならないのも少し味気ない。娘と考え、店員さんにも相談して買ったのは、ゴムの木だった。ついでに娘の選んだ一回り大きめの鉢も購入した。

名前はゴムちゃん!

世話の仕方はパキラとおおむね同じらしい。季節にもよるが水やりは2週間に一度くらい。あげ過ぎはだめとのこと。家に戻ってさっそく新しい鉢に移し替えた。まだ鉢も小さいので、とても軽い。パキラを置いていた窓際に置こうと思ったが、まだ小さいのでしばらくテーブルの上に置くことにした。

散々私に注意されたので葉をむしらなくなった息子が、興味深げに新参者のゴムの木を眺める。どうしても触りたそうだったので、やさしくならいいんだよ、と伝えると、葉をなでて土の匂いをかぎだした。娘も気になったのか鉢の中をのぞき込むと「アレ、何かキラキラしてる」と声をあげた。

私ものぞき込む。「バーミキュライトだね、水をためてくれるんだよ」と私が答えると、娘が鉢からキラキラしたかけらを器用に取り出して、息子と一緒に不思議そうに観察しだした。

「名前は何にしようか」と私が言うと、「ゴムちゃん!」と娘が即答する。息子もいろいろ言うものの、姉に押し切られるカタチで名前はゴムちゃんになった。こどもたちと一緒に、元気に大きくなってくれたらと思う。(言語研究者)

死生観と自然《看取り医者は見た!》20

0
写真は筆者

【コラム・平野国美】伝統的な宗教や新興宗教が無数に存在し、それぞれがその死生観を表現しています。異なる民族であっても科学的には真理は一つであるはずですが、宗教間では解釈に相違が生じています。科学ではなくて宗教ですから、どちらが正しいという話ではありません。各民族の宗教観や死生観がどこから発生したのか? 私は、その土地の気候に起因していると思っています。

スウェーデンの死生観は独特で、「死者は森へ還(かえ)る」と考えています。国土が広大な森林地帯で覆われていることにより、スウェーデン人にとって森は故郷であり、死者はその故郷へと還るという考え方が根付いているようです。

仏教やバラモン教の「輪廻転生(りんねてんしょう)」は、生者が迷妄の中で生死をずっと繰り返すと考えられており、自然の循環に共鳴しています。この思想は、インドの気候や季節の変化、モンスーンが存在する自然循環が影響しているのではないでしょうか。

沖縄の「ニライカナイ」

沖縄の死生観は独特で、豊かな自然の要素を含んでいます。古代の沖縄人は祖霊の存在を身近に感じながら生活し、祖先をまつる行事を重視してきました。沖縄の死生観に「ニライカナイ」という考え方があります。海の向こうには神々の住まう楽園があり、それを「ニライカナイ」と呼んでいました。

沖縄は四方を海に囲まれており、自然の恩恵は海から授かるものと考えられてきました。実生活が海に依存しているからでしょう。そこは、自然の恵みや生命の誕生の場所としてだけなく、死者の魂が帰る場所でもあり、魂はここで生まれ変わることによって守護神となるという考えなのです。

この考え方は、学術的には祖先崇拝と呼ばれ、形は違っても世界中に存在するようですが、中国、朝鮮、日本など東アジア圏には祖先崇拝が存在します。日本では祖霊信仰と呼ばれ、縄文時代や弥生時代には存在していました。

日本の「祖霊信仰」

日本人は「あの世にいる先祖は山や海に住んで、お盆や正月に子孫の元に帰ってくる」と信じていたとされています。古代日本では「先祖の霊は死後、時間の経過とともに浄化され、やがて氏神になり子孫を守るようになる」ことを信じていました。仏教による行事と思われる「お盆」も、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事であり、 「祖霊信仰」は日本の文化や風習に深く根付いています。

そして、神聖な場所や神が、視界にある山岳・海・川・滝といった場所にあると考えられたのでしょう。海外の文化からすると、多神教、アニミズムと言われ、不可思議な存在と思われるかもしれませんが、この自然と四季の中で当然のように発生したものであると思うのです。(訪問診療医師)

アストロプラネッツ 最下位脱出 栃木に勝利

0
6回裏、先頭のマーティン(中央)がソロホームランを放つ(撮影/高橋浩一)

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは30日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で栃木ゴールデンブレーブスと対戦し、4-1で勝利した。これで茨城は7勝16敗、福島レッドホープスにゲーム差なしだが勝率で上回り、7チーム中6位と最下位を脱出した。

【ルートインBCリーグ2024公式戦】
茨城アストロプラネッツ-栃木ゴールデンブレーブス
栃木 010000000 1
茨城 00000103X 4
(5月30日、J:COMスタジアム土浦)

先発の福田

茨城は先発の福田拓也が6回1失点5奪三振で試合をつくり、残る3イニングを富樫晃毅、浅野森羅、根岸涼のリレーで乗り切った。「まっすぐと変化球をバランスよく使いながら相手を抑えられた。高めに浮いたフォームでタイムリーを打たれたが、イニング間にフォームを見返したりして変化球の精度を修正し、長いイニングを乗り切ることができた」と福田。

勝利投手の浅野は「普段はまっすぐで押す投球が多いが、今日は相手によって配球を変えながら、ストライク先行で有利なカウントをつくることができた」とコメント。8回の3人を見逃し三振2つとファウルフライに仕留めている。

8回表に登板、勝利投手となった浅野

打線は1点ビハインドで迎えた6回、先頭のアンディ・マーティンがレフトスタンドにソロホームランを放ち同点。8回は再びマーティンから始まり、北原翔の送りバントをはさんでホルヘ・エルナンデス、原海聖、大友宗まで4連打。ジョ・ミンヨンも遊ゴロで出塁しており、この回3点を追加した。中でも原はこの日4打数4安打の活躍。MVPを獲得し「しっかりとボールを打っていい試合ができた」とコメントした。

マーティンは「自分が打って同点、逆転できてとてもよかった。これからどんどん自分のプレーを見せていきたい」と話す。今月来日したばかりで、出場3試合で2ホーマーの活躍。千葉ロッテマリーンズで活躍したレオネス・マーティンの年の離れた弟だ。「同じ外野手で強肩・俊足、まだ23歳で伸びしろは大きい」と巽真吾監督は見ている。

8回裏1死二・三塁、原の右前適時打で勝ち越す

4月を1勝7敗と低空飛行を続けた茨城だが、5月は6勝9敗と持ち直してきた。特にここ半月に限って見れば、5勝4敗と勝ち星が先行している。

「先発がゲームをつくる、安定した試合が増えてきた。リリーフ陣も短いイニングで多くの三振を奪っており、安心して終盤を任せられる。奪三振数と盗塁数はリーグでもトップなので、こうした長所を生かしながら勝利を挙げていきたい」と巽監督。ちなみに今日も4盗塁を成功させた。

打線の調子も上向いてはいるが、あと一歩の奮起が必要という。「今日は10安打と4四死球で4得点。もう少し点を取ってほしい。打てるぞとなると打線がつながってくるので、そのきっかけをつくるような、雰囲気を変える1本を打てる選手に出てきてほしい」と巽監督の期待。今日のところは、マーティンの一発がそれを実現してくれた。(池田充雄)

勝利投手の浅野(左端)、MVPの原(左から3人目)、ホームラン賞のマーティン(右端)。ゲームスポンサーの関彰商事からそれぞれガソリン券が贈られた

移動困難な高齢者、障害者に 期日前投票のタクシー券配布 つくば市長選・市議選

7
つくば市選挙管理委員会事務局のサイン=つくば市役所

10月20日告示、27日投開票のつくば市長選・市議選で、市は移動困難な市全域の高齢者や障害者を対象に、期日前投票をするためのタクシー券を配布し運賃を全額助成する方針だ。配布対象は、同市の助成制度に申請しタクシー運賃助成を受けている高齢者や障害者など約4000人。市は6月6日開会の市議会6月定例会議に同事業の補正予算案約2000万円を提案する。

今年3月議会で市は、ワゴン車に投票箱を積んで自宅前まで行くオンデマンド型移動期日前投票を市北部の一部地区で実施するとし、予算を計上した。これに対し市議会から投票の公平性を懸念する意見が出され、市は市全域を対象にした施策を実施するとしていた。

期日前投票のタクシー券助成は県内で大子町、常陸大宮市などが実施している。ただし寝たきりで期日前投票ができない高齢者などは、郵便投票の利用が必要になる。

タクシー運賃助成は、自宅から各期日前投票所までの往復運賃と、投票時の待ち時間の運賃を全額助成する。1人当たり片道3~5キロ程度、運賃5000円程度を想定している。

すでにタクシー運賃の助成を受けている高齢者や障害者は申請不要で、期日前投票が始まる告示日翌日までに、市から期日前投票のタクシー券が自宅に届く。現在、助成を受けていないが、移動困難なためタクシー券が必要な高齢者や障害者には、6月定例会議で議決後、随時、市選挙管理委員会で申請を受け付ける。利用できるタクシーは市内の会社とする方針。

市議会からの懸念受け

同市は22年4月、今年の市長選・市議選でインターネット投票を実施することを看板施策に掲げ、国からスーパーシティ国家戦略特区の認定を受けた(22年8月3日付)。しかしネット投票に対して、なりすましや強要をどう防ぐかなどの課題が指摘される中、今秋の選挙では実施しない。代わって市は、ネット投票導入につながるステップだと位置付け、投票箱を積んだワゴン車が高齢者や障害者などの自宅前まで出向いて、立会人を付け、車内で紙で投票してもらうオンデマンド型移動期日前投票を実施する方向で、今年1月、高齢化率が高い市北部の筑波、臼井地区で模擬投票の実証実験を実施した(1月26日付)。

実証実験を受けて市は、移動期日前投票を市北部で実施するとして、3月議会で約1300万円の当初予算を計上した(2月1日付)。

これに対し市議会から「タクシー券発行の方が投票の権利や公正さ、利用しやすさから現実的」(昨年9月議会、川村直子市議)、「(筑波、臼井地区の)2カ所の地区だけで行うのは、各地区から候補者が出る市議選では公平性、公正性という選挙の大原則が保たれるのか」(今年3月議会、飯岡宏之市議)などの質問が出ていた。今年3月議会で五十嵐立青市長は飯岡市議に対し「実証実験の結果を踏まえて選管で十分協議していただく。市内全域で、移動が困難な高齢者、障害者が投票しやすい施策を検討したい」などと答弁していた。

その後、4月9日と24日に開かれた市選挙管理委員会(南文男委員長)では、移動期日前投票の実施の是非について、一部地域で実施することは公平性の観点から時期尚早だとする意見が出ている。タクシー運賃助成については5月7日の市選管で「市全域で実施するなら別段問題ない」とする見解が出ていた。

オンデマンド移動期日前投票実施の是非については6月3日の市選管で引き続き協議する。20日時点で五十嵐市長は、NEWSつくばの取材に対し「タクシー券とオンデマンドをセットで考えている。市選管に協議していただいている」としている。(鈴木宏子)

わらべ歌の文化《くずかごの唄》139

1
イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】土浦の自然を守る会で、今年の環境展に何を出品するか議論した。そのあと、相崎伸子さん指導の「わらべ歌」を8人で、踊って、歌って、お手玉を投げ合って遊んだ。

かっぱ かっぱ らった
かっぱ らっぱ
かっぱらった
とって ちって た
かっぱ なっぱ かった
かっぱ なっぱ いっぱいかった
かって きって くった
(谷川俊太郎)

明治、大正、昭和のはじめ、子供の集団での遊びは「わらべ歌」。わらべ歌のルーツは奥が深い。

地域でバラバラの唄と地域で共通の唄もある。なぜバラバラなのか、なぜ共通なのか? 人間の歴史と生活が複雑に関わっているらしい。唄いながら踊って、最後に笑う。

尾原昭夫著「日本のわらべうた」(文元社)。戸外遊戯歌、室内遊戯歌、歳時・季節歌。

図書館から4~5冊借りてきて一生懸命読んだが、読めば読むほど地域の不思議が増えてくる。

荻窪の景色の中で遊んだリズム

私は幼い時に荻窪で育った。井の頭公園の近くの「みどり幼稚園」。

そうめん にゅうめん ひやそうめん

かきがらちょうの ぶたやの おつねさん

5~6人で円をつくり、ぐるぐる回る。「そうめんにゅうめん」を唄いながら、自分の肘から手首にかけて、指先でくすぐる。

「かきがらちょう」で、隣にいる子の手か腕をかく。「ぶたや」で、次に来た子の腕をぶつ。「おつねさん」で次に来た子の腕をつねる。輪になって歌いながら、友達と互いに体を寄せ合って、つねったり、くすぐったりして、最後は皆で大笑いするゲームである。

野原の多かった昔の、のどかな荻窪の景色の中で遊んだリズムが、まだ私の中に残っている。(随筆家、薬剤師)

自家用車で乗客を有償運送 つくば市が2地区で実証実験 来年1月から

1
実証実験が実施される予定の桜ニュータウン

一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「自家用有償旅客運送」の実証実験を、つくば市が来年1月から市内2地区で計画している。スマートフォンのアプリでドライバーと乗客をマッチングさせ、公共交通の運行がない時間帯に限定して実施する。

6月6日開会の市議会6月定例会議に提案する。実証実験は3年間で、運行は2026年度まで。つくば市が、土浦、牛久、下妻市に呼び掛け、4市共同で取り組む。日本版ライドシェアはタクシー会社が運営主体となるのに対し、今回の実証実験は4市がそれぞれ運営主体となる。ドライバーの健康管理や車両点検などは地元のタクシー会社やバス会社に委託する方針だ。

つくば市が取り組む2地区は、同市下広岡の住宅団地 桜ニュータウンと筑波山地域。桜ニュータウンは昨年1月末、つくば駅に向かう路線バスが廃止された。代替公共交通である乗り合いタクシー「つくタク」が運行していない時間帯の朝夕に、地域住民などを対象に、桜ニュータウンとつくば駅の区間などで実施する。

筑波山地域は、中腹のつつじケ丘や筑波山神社を運行する関東鉄道 筑波山シャトルの最終便が夕方5時ごろであることから、バスの運行が無くなる5時以降、観光客などを対象に、中腹からふもとの筑波山口までの区間で実施する。筑波山口からは公共交通などを利用してもらう。

市総合交通政策課によると、運転手不足の中、公共交通の課題がある地区で実施する。24年度の事業費は4市合わせて約3億3500万円。実証実験ではまず、一般ドライバーが登録するためのドライバーバンクアプリと、ドライバーと乗客をマッチングさせる配車アプリを4市で協議しながら共同開発する。一般ドライバーの募集は10月以降開始し、審査と研修などを実施する予定だ。4市で計76人の登録を目標にしている。

運行エリアや実施時間帯をどう設定するか、乗車運賃や支払い方法をどうするか、ドライバーが待機する時間帯の賃金などをいくらにするか、乗客によるドライバーの評価を点数化するかなど詳細は、4市での協議のほか、行政、交通事業者、地域住民などで構成する市公共交通活性化協議会で協議して決める。国は運賃についてタクシー運賃の8割などを目安としている。(鈴木宏子)

大切にしたい茨城の陶芸文化《令和楽学ラボ》29

1
第43回陶炎祭=笠間芸術の森公園

【コラム・川上美智子】陶芸を楽しむ人が増えてきている。コロナの3年間には陶芸に関する催し物も中断され、教室に通う人も減り、茨城の陶芸の火が消えてしまうのではないかと心配していたが、今年は完全に復活した。4月29日~5月5日の大型連休に、笠間芸術の森公園イベント広場で開催された第43回陶炎祭の人出は8万6000人と2年連続で増え、来場者の多くが駐車場探しが大変だったと口にしていた。

出店数も250を超え、若い陶芸作家たちの参加が目立った。県内からのお客さまだけでなく、近県からも訪れる人が大勢いて、笠間の陶炎祭の集客力は目を見張るものだった。

高校生に自作を値引き販売

昨春、初個展を開いた筆者も、陶芸を学び合う仲間3人で初出店した。暑さ、雨天、強風など7日間の開催期間中のテント下での販売はとても過酷だった。陶器の販売だけにしておけばよかったのに、欲張って茨城ロボッツの選手に補食として提供しているインドカレーとチャイの提供もしたので、それは大変だった。

食材の仕入れ・保管と、毎日100食分のカレーの調理、現場への運搬など、祭りを楽しむどころか、ヘトヘトに消耗し、今も尾を引いている。

筆者にとっては初めての作品販売だったが、展示した花器、抹茶椀(わん)、ぐい飲み、ペンダントの半分程を購入いただいた。販売という行為自体苦手であるが、初日に千葉からお母さんと一緒に来られた男子高校生とのやりとりは印象に残った。緑色系の氷裂釉薬(ひょうれつゆうやく)をかけた抹茶椀を気に入られて、何度も何度も足を運ばれ、閉店間際にやはりこれが欲しいと来られた。

聞けば、最近、高校で茶道を始めたばかり、どうしてもこのお茶碗で飲みたいと言う。お母さんから小遣いで買うよう言われていて値段が折り合わないようだった。茶碗との出会いも一期一会、彼の茶道への思いを応援したくなり、大事に使ってねとお小遣い価格に値下げしてお渡しした。

このようなやり取りも陶器市ならではのこと、うれしそうに持ち帰る姿を見て、私の茶碗を気に入ってくれたことへ心から感謝した。陶磁器に興味関心を持つ人、購入したい人がたくさんいることを確認した7日間であった。

水戸芸術祭美術展覧会内覧会=水戸芸術館

魯山人の漆器、日本画、篆刻…

5月28日(火)~6月7日(金)には、第55回水戸芸術祭美術展覧会が芸術館で開かれる。本展覧会には15年前から委嘱出品しており、今年も出来上がったばかりの新作の壺(つぼ)を出品した。展覧会用の手捻(びね)りの大きな作品は、時間もエネルギーも要し年に2~3個しか作れないが、今後も自己の感性を大事にして丁寧な作品作りをしていきたいと思う。

また、茨城県陶芸美術館では7月7日(日)まで「魯山人(ろさんじん) クロッシング」の企画展が開催されている。県内に所蔵される魯山人の陶磁器、漆器、日本画、篆刻(てんこく)、書、約70点が出展され、魯山人特有の赤絵付けされた食器など、筆者が勤務する関彰商事が所蔵する器40数点も初披露されている。

陶土を産する笠間を拠点とする器の芸術、誰でも簡単に触れ、体験でき、学べる環境は本当に貴重である。筆者も近くにその環境があったから、60歳を過ぎてその道を歩み始めた。太古からつないできた人間の手による土の芸術文化、茨城の地で大切に継承していってほしいと願っている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

次は竹園高の学級増を つくばの市民団体が要望 県立高校不足問題

33
県教育庁学校教育部の庄司一裕部長に要望書を手渡す「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表(右)

つくば市などつくばエクスプレス(TX)沿線で児童生徒数が増加し県立高校の入学枠が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は28日、柳橋常喜県教育長宛てに、竹園高校を2学級増やし10学級とする、つくばエリアの全日制高校の定員を県平均水準まで引き上げるーなど3項目を要望した。

同会は2021年から県教育長に要望活動をしており、今回が6回目。今回初めてつくば市選出の県議5人全員を含め県議6人と、つくば市議会議長ら市議3人が同席した。

片岡代表はまず、サイエンス高の普通科設置(5月24日付)に対し「開校2年で見直したなど、柔軟な訂正力に注目したい」と普通科設置を評価した。その上で、竹園高について、中高一貫校への移行により土浦一の定員が減り、水海道一、下妻一も25年度からさらに削減されることなどから「中学生の苦労は深刻になる」と話し、「TX沿線は県立高校の不足が地域発展のボトルネックになっている面がある」などと指摘した。

さらに片岡代表は「(県立高校が不足しているため)つくばではクラスの半分以上が中学受験をする小学校もあり、小学3年生ごろから塾に通う。塾の費用は夏期講習、冬季講習などを含めると年100万円くらいかかり、教育格差が広がる」など保護者らの切実な声を紹介した。

要望書を受け取った庄司一裕県学校教育部長は「TX沿線の人口増により(高校問題を)解決しなければならないことは十分認識している。(今年4月から)牛久栄進高の学級増、筑波高の(進学コース設置など)魅力化に取り組み、来年度からはつくばサイエンス高に普通科を設置する。普通科も科学技術科もますます魅力化を図っていきたい」と述べた。竹園高の学級増要望に対しては、県高校教育課の深澤美紀代課長が「ご要望として伺いたい」などと答えるにとどまった。

考える会(奥)と県教育庁(手前)との懇談の様子

懇談では県議から、定員割れを解消する方法として「大学の指定校となり推薦枠を確保してはどうか」などの提案が出た。サイエンス高に新設される普通科について、考える会から「科学技術科と普通科とで行き来(転科)できるのか」「普通科は文系も理系も大学進学を選択できるのか」などの質問が出て、県は「科学技術科は1年次に工業科目を履修するので転科はハードルが高い」「普通科は文系、理系どちらも対応できる」などと答えていた。(鈴木宏子)

大きな裁ちばさみ《続・平熱日記》158

0
絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】大きな裁ちばさみで、シャキ、シャキと新聞の記事を切り取ることがある。とても気持ちよく切れる。古道具屋で買った、柄が黒く塗ってある大きな裁ちばさみ。それからあとは、洗って乾燥させた牛乳パックを半分に切るときに使う。

半分に切った牛乳パックには2通りの使い方がある。ひとつは、まな板の上に置いて肉や魚を切るのに使う。もうひとつの使い方は、絵を描くときのパレット。朝のコーヒーは牛乳を多めにして2杯飲むから、だいたい1週間でひとパックのペース。

確かなことは覚えていないが、多分小さな絵を描き始めてから自然と、牛乳パックを使い始めたのだと思う。今まで相当な数の牛乳パックをパレットに使ってきたが、試しに今年の初めから捨てずにいた。というのも、使い終わったパレットは案外美しくもあり、抽象画のようでもあるから。

笠間の日動美術館には有名な画家のパレットのコレクションが展示してある。当たり前だが、パレットは一つの道具なので、その人の目的に合った道具としてのカタチをしている。そのパレットから作品を想像するのも面白いし、逆に作品からパレットを見るとなるほどと思う。そういう意味でいえば、私の絵は牛乳パックのパレットで充分だ。

5月の終わりから丸亀市で個展

新聞の記事を切り抜くことは本当にたまにしかない。1年間に数枚ほど。例えば、絵を描いている人の言葉が気になることはあまりないのだが、面白いことに数学者や物理学者、詩人たちの言葉にはドキッとすることがある。

偶然目にした彼らの言葉を、私は大きな裁ちばさみで切り取って日記兼雑記帳のノートにスクラップする。でも多くの場合、その切り取った記事を読み返すことはない。内容を覚えていることもほとんどないが、頭の隅に切り取った記憶だけはあって、数年を経て「そういえば…」と、探して見返すことがある。

5月の終わりから、香川県の丸亀市にある「あーとらんどギャラリー」で個展が始まる。ゴールデンウィークの前に、ほぼ作品を描き終えて梱包(こんぽう)した。ふと気になって、使い終わって積み重なっていた牛乳パックのパレットを数えてみたら、20数枚あった。1カ月に約6枚を使っている計算だ。

今年前半は個展やグループ展が続いたから、ちょっと頑張り過ぎたかもしれない。しかし、どのパレットにも数色の同じ色が大体同じ所に出してあって、つまりそれは私の身の回りのものごとの色彩を表しているのでもあって、何とも地味な色合いである。

ある朝新聞を開くと、ある詩人の言葉が目に留まった。大きな裁ちばさみでシャキ、シャキと記事を切り取った。その日は、牛乳を買い忘れてストレートのコーヒーを飲んだ。それから、牛乳パックに同じ色の絵の具を同じ場所に出して絵を描いた。(画家)

6月1日から利用再開 さくら民家園 法令適合を確認

1
さくら民家園=つくば市吾妻、中央公園内

建築基準法上の違反建築物状態にあるとして昨年11月1日から建物の利用ができなくなっていたつくば市吾妻、中央公園内の古民家、さくら民家園(23年10月30日付)について、つくば市は24日、移築当時の法令に適合していたことが確認できたなどとして、6月1日から建物の利用を再開すると発表した。

さくら民家園は江戸時代後期ごろ建てられた古民家で、つくば科学万博が開催された1985年、合併前の旧桜村の委託を受けて住宅・都市整備公団(現在のUR都市機構)が旧桜村上大角豆から中央公園内に移築した。現在、市が所有、管理している。

昨年、市が、かやぶき屋根の改修に向けた手続きを進める中で、移築当時に必要だった建築確認申請書と検査済証が見当たらず、当時、建築確認申請の手続きをしないまま移築した可能性があることも考えられるなど、手続きの不備が判明したとして、市は昨年10月30日、違反状態を改善するため建物の利用を当面の間、停止すると発表していた。

市生涯学習推進課によると、その後の昨年11月、移築当時の建築確認申請や完了検査に関する交付年月日と交付番号を記録してある市建築指導課保管の計画通知台帳に、さくら民家園移築時に出された計画通知番号と検査済番号があることが分かり、移築当時の法令に適合していたことが確認できたとしている。一方、当時、市に提出されていたはずの建築確認申請と検査済証自体は現時点で見つかっていない。

市はさらに、さくら民家園が立地する地区は現在、火災の発生を防止するため建築基準法でかやぶき屋根の設置や改修ができない区域に指定されていることから、屋根の改修に向けて指定を解除する手続きを実施し、現在の法令に適合しながら屋根の改修をするための手続きがこのほど完了したことを受けて、利用を再開するとしている。

かやぶき屋根はこれから改修するが、時期は現時点で未定。改修工事中も建物の利用は概ねできるという。市は「市民の憩いの場、交流の場として、さらに利用しやすい施設となるよう見直し、老朽化が進んだ部分については改修を行いながら運営していく」としている。

さくら民家園の建物内は座敷、茶室、土間、かまどなどがあり、だれでも無料で見学できる。これまで、お茶会、お話し会、展示会などのイベントが開催されてきた。開園時間は午前9時30分~午後4時30分。休園日は毎週水曜など。

原発の本質はただ二つ 樋口元裁判長が講演《邑から日本を見る》160

0
講演する樋口英明さん

【コラム・先﨑千尋】「原発の本質はただ二つ。人が管理し続けないといけない。人が管理できなくなった時の被害は想像を絶するほど大きい」。2014年に福井地裁が関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた際に裁判長を務めた樋口英明さんの講演会が、5月12日、水戸市民会館で行われ、約400人が耳を傾けた。

この講演会は同氏講演会実行委員会(村上達也・海野徹共同代表)が主催し、樋口さんと宮嶋謙かすみがうら市長との対談も行われた。

樋口さんは冒頭、能登半島地震に触れた。震源に近い石川県珠洲市高屋地区に原発の建設計画があった(1975年)が、地元の反対運動で白紙撤回され、事故を起こさずに済んだ。樋口さんは、もし珠洲原発が稼働していたら大変な事故になったはず、国は反対運動をしてきた人に感謝しなければならない、と話した。

能登半島の中部にある志賀原発は運転停止中だったが、今回の地震で外部電源が喪失するなど、耐震性が低いことが証明されている。

大飯原発訴訟の際、住民側は原発周辺で強い地震が起きた際の不安を訴えたが、関西電力側は「大飯原発の敷地内に限っては強い地震は起きない」と主張した。

樋口さんが大飯原発を止めた理由は「原発の過酷事故は極めて甚大な被害をもたらす。それゆえに、原発には高度の安全性と耐震性が求められる。しかし、わが国の原発の耐震性は極めて低い。よって、原発の運転は許されない」というもの。原発の敷地内に限って強い地震は起きないなどということはあり得ない、というのが樋口さんの考えだ。

樋口さんによれば、一般に国民も裁判官も「原発問題は難しい」という先入観がある。原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればいいというのが多くの裁判官の判断基準だ。しかし、裁判官も国家公務員であり、極端な権威主義と頑迷な先例主義、科学妄信によって正当な判断ができなくなっている、と樋口さんは話す。

また、全国各地で原発が稼働しているが、これは、政権や電力会社の考えだけでなく、国民が、原発問題は難しい、専門家である原子力規制委員会の審査を経たのだから安全なんだろうという先入観があるからだ、とも述べていた。

かすみがうら市は「非核脱原発平和都市宣言」を決議

宮嶋さんが市長を務めるかすみがうら市は、東京電力福島第1原発の事故から2年後に「非核脱原発平和都市宣言」を決議している。宮嶋さんは市長就任直後の議会で東海第2原発の再稼働に反対することを明言し、「脱原発をめざす首長会議」のメンバーになった。同市は、東海第2原発が事故を起こした際にはひたちなか市から約7600人を受け入れることになっているが、宮嶋さんは「それは無理。バスも調達できないし、パニックになる。避難計画を策定するような危ない原発は止めるべき」ときっぱり言う。

対談の中で樋口さんは最後に「科学は万能ではない。現在の地震学では、地震がいつどこで起きるか予知できない。東海第2原発に関して、日本原電は1009ガル以上の地震は起きないと言っているが、誰がそのことを保証できるのか。99%無理」と結んだ。(元瓜連町長)

筑波大の理系男子2人 焼き芋を移動販売

0
「阿吽焼き芋屋」の金さん(左)と田邉さん(右)。中央はアオニサイファーム代表の青木さん

オフシーズンの新商品に「焼き芋ボール」

焼き芋の移動販売を昨年12月から始めた筑波大大学院1年の金龍泰さん(24)と同大4年の田邉渓太さん(23)が、焼き芋を使った新商品を販売している。金さんは工学システム、田邉さんは物理学を専攻する理系学生だ。

25、26日につくばセンタービル1階の貸オフィスco-en(コーエン)=同市吾妻=で開催されている同市上郷地区の物産展「EAT and kamiGO(イートアンドカミゴー)」で販売中。

「焼き芋を焼く温度は高すぎても低すぎてもダメ。ちょうどいい焦げ感を出すのも難しい」と、金さんが焼き芋作りの奥深さを語る。

新作の「焼き芋ボール」

金さんは昨年12月に田邉さんと、同市上郷でブルーベリーの観光農園やカフェを運営する「アオニサイファーム」(青木真矢代表)の事業の一環として「阿吽(あうん)の焼き芋屋」を始めた。市内を中心に県内外のイベントなどで、改良した軽バンを使った焼き芋の移動販売を手掛ける。

今回の物産展では、焼き芋のオフシーズンに向けた新商品として、すりつぶした焼き芋に片栗粉を練り込み、一口サイズに丸めて油で揚げた「焼き芋ボール」を考案した。焼き芋の風味を生かしつつ「外はカリッと、中はもっちり。サクッと食べられる」ように意識した。

「使用するのは上郷の農家さんが作る芋。美味しいものを作ることで、私たちの食を支える農家さんの魅力を伝えていきたい」と2人は思いを語る。

焼き芋販売は「アオニサイファーム」の事業だが、金さんと田邉さんが収支計画を立て、売り上げの中で経費を賄っている。「青木さんには好きにやっていいと言ってもらっている。困った時に相談に乗ってくれる」

「焼き芋ボール」はオーダーが入ってから揚げ始める

「選挙割」「つくばクエスト」を企画

金さんと田邉さんは、若年層の投票率向上を目的に活動する学生団体「ドットジェイピーつくば支部」(現在は同水戸支部に統合)のメンバーとして、投票すると提携する店舗で割引を受けることができる「選挙割」や、街歩きイベント「つくばクエスト」などの企画に携わってきた。

その後も、地元の農家や飲食店に協力して食品開発をするなど、地域と関わる活動に力を注いできた。その中で出会ったのが、情報誌の作成などを通じて農業の魅力を発信している「アオニサイファーム」の青木代表だった。地元の上郷や周辺地域で作られるサツマイモを使った焼き芋販売は、青木さんから誘われスタートさせた。

「阿吽焼き芋屋」の移動販売車(阿吽焼き芋屋提供)

焼き方のパターンを実験

「普通の焼き芋じゃダメ、こだわりたいと思った」と話す金さんは「夜通し焼いて、美味しい焼き方を研究した」と販売に向けた努力を振り返る。田邉さんは「あえて意識はしていないが、いろいろな焼き方のパターンを実験しているのは理系的かもしれない。自分たちにとって焼き芋作りは初めての世界。知らない分野だからこその面白さがある」と話す。

改良した軽バンで各地のイベントに出店すると、「おいしい、あまい。焼き芋の質がいい」という声を掛けられた。田邉さんは「その声は僕らにとってもうれしいし、農家さんに伝えると喜んでくれる。僕らの焼き方がよかったというよりも、農家さんの力だと思っている。農家さんが買い手から意見を聞くことは難しいかもしれない。わたしたちが伝えられるといい」と、生産者と消費者の媒介者としての役目があると話す。「行った先で売れるかわからない難しさがあるし、コンビニやスーパーで売っている安い焼き芋との値段の差をお客さんにどう納得してもらえるか。見せ方を含めて考えていかなければ」と今後の課題も浮かんできた。

地域の魅力発信したい

金さんは「これまでに(選挙割など)イベントを企画はしてきたが、作るのは生産者の方に頼ってきた。焼き芋は初めて自分が作る側に立つ機会。ものづくりの奥深さにも気付かされた。農家のことを伝えるという意味での焼き芋。そのためにも一番美味しいものを作っていきたい」と今後について思いを語る。

田邉さんは「僕は宮崎出身。つくばに来て地域に関わる中で、自分たちなりに面白いと感じる地域の魅力がある。魅力的な方たちとの出会いもあった。大学にいると、つくばは学生の街、研究の街というイメージが先行していたが、一歩外に出ると田園があり、素朴な風景が広がっている。そのコントラストに魅力を感じる。活動を通じて多くの方と出会い、それぞれの価値観や、地域のことを知る機会になった。地域の魅力の発信と、実際にお客さんが来るためにはどうするかを考えていきたい」と話す。

2人に声を掛けた青木さんは「2人は地域を盛り上げようと意欲的。自分たちで考える姿を見守りながら、焼き芋をきっかけにさらに活動を展開していけたら。つくばの中心地域と農村部を繋いでいきたい。いろいろな人が関わることで、地域がさらに盛り上がっていくと思う」と話す。(柴田大輔)

◆「阿吽の焼き芋屋」の出店予定は公式インスタグラム「阿吽の焼き芋屋」へ。

つくばの地酒を普及へ おさけ推進協が発足

4
つくばのおさけ推進協議会のメンバーら

つくば市内の酒生産事業者が一体となり、同市の地酒乾杯条例を推進しようと24日、「つくばのおさけ推進協議会」が発足し、市役所で設立総会が催された。

協議会は、日本酒を生産する稲葉酒造、浦里酒造店の2社、ワインをつくるビーズニーズヴィンヤーズ、つくばヴィンヤード、カドヤカンパニー、ル・ボア・ダジュールの4社、地ビールのツインピークスマウンテンブルーイング、ペブルスの2社の計8社で構成する。多様なお酒があることから「おさけ」をひらがな表記にした。

協議会会長にペブルスの延時崇幸代表、副会長にビーズニーズヴィンヤーズの今村ことよ代表、監事に稲葉酒造の稲葉芳貴代表とつくばヴィンヤードの高橋学代表が選出された。事務局はつくば観光コンベンション協会が受け持つ。市産業振興課課、市商工会、同コンベンション協会が支援機関となる。

同市は2020年1月、地酒での乾杯により地酒の普及促進を図ろうと、乾杯条例を施行した。その直後コロナ禍になり、4年を経て協議会が発足した。

延時会長(42)は「つくばにはいろいろなお酒があるが、まだまだ市民に知られていない。まずは手にとってもらうことから始めたい」と述べた。つくばの地酒の普及促進のため、広報活動やイベント活動を実施することになるという。

市内の8事業者が生産する地酒

総会は、同コンベンション協会会長の五十嵐立青市長と同副会長の神谷大蔵市議があいさつし、規約、役員選任、2024年度の事業計画などを議決した。

同市は2017年ワイン特区に認定され、20年乾杯条例が施行、ここ5年の間に6事業所が開業した。博士号をもつ事業主が3人おり、ほかの地区にない特徴がある。

総会では、今後ツアーを計画するなどアイデアを出しながら活性化につなげていきたいという意見が会員から上がった。つくば駅にビール、ワイン、日本酒など地酒バーを設置する、市役所のロビーに展示ブースを設ける、つくバスを使ったバスツアーを実施するなどの提案も出た。

9月28日には「つくばおさけPRキャンペーン」をつくば駅前のつくばセンタービルやBiVつくばなどで開催する予定。まつりつくばや筑波山梅まつりにも出店が予定されている。(榎田智司)

「田んぼの学校」にようこそ《宍塚の里山》113

7
写真は筆者

【コラム・嶺田拓也】「田んぼ」とは、私たちが食べるお米を収穫することを目的に、イネが栽培できるように整えられた場所です。

イネの先祖は、もともとはアジアやオセアニアの比較的暖かい地域に生育していた多年生の湿地生植物でした。日本には、縄文後期から晩期(約4000~2300年前)ごろ、イネとその栽培法が伝わってきたとされていますが、かんがい(川などから水を引くこと)技術が未発達だったため、水を溜めやすい場所が良い田んぼの条件でした。

湧水が多く、また周辺の里山に降った雨が大池に溜まりやすい宍塚の谷津地形は「田んぼ」に適していました。しかし近代以降、効率よく生産性を上げるために「田んぼ」は、機械化に対応し大区画に、すぐ乾くように排水機能の強化が進みました。

宍塚の田んぼは、小区画で大型の機械には対応できず、また地下水位の調節が難しいため、天候などに大きく左右されがちで、現代の米作りには不利となってしまいました。

では、宍塚の田んぼを続ける意義はどこにあるのでしょうか。今でも野外でのイネの栽培は、天候や病虫害、土壌の理化学性の変化など、多くの影響を受けており、現在の技術を持ってしても、これらのすべての影響因子を人為的にコントロールすることは実現していません。そもそもお米は「つくる」ものではなく、「とれる」ものなのです。

人事を尽くして、また、さまざな生きものたちの営みの助けもかりながら、獲れたお米に感謝できるような「田んぼ」を作り続けていくこと。これが、かつての良田だった宍塚の田んぼ作りで目指すべきものではないでしょうか。

宍塚の田んぼで獲れるものは、決してお米だけではありません。畦(くろ)に植えられた大豆、大池から水を引くための水路で獲れるマシジミやドジョウ、さらには大池に水を供給する周辺の里山からたくさんの幸をいただくことができます。まだその役割がよく知られていない「ただの虫」をはじめ、たくさんの生きものたちすべても「田んぼのめぐみ」とすれば、もっと田んぼ作りが楽しくなるでしょう。

田んぼ作りでは、水路の整備、田植え、草取り、稲刈りなど、たくさんの人の手が必要です。そして、かっては農事暦にあわせて、お互いに作業の労をねぎらう親睦の場としてのさまざまな「祭り」も催されていました。宍塚での田んぼ作りでも、田んぼに関わるさまざまな人の環をしっかりと産み出してくれます。

田んぼの学校では、「生きものいっぱい お米もざくざく みんなで楽しく 田んぼ作り」を合い言葉に、谷津田に集う生きものや人(文化)を伝承していければと思っています。(宍塚の自然と歴史の会 田んぼの学校校長)

来年度から半分の3学級を普通科に つくばサイエンス高

8
24日開かれ、つくばサイエンス高校の普通科新設が報告された県定例教育委員会=県庁

2年連続の定員割れ踏まえ

2023年度に科学技術の専科高に改編されたつくばサイエンス高校(つくば市谷田部)が、開校から2年連続で定員割れとなったのを踏まえ、県教育庁高校教育課は24日開かれた定例教育委員会(柳橋常喜教育長)で、25年度から同校に普通科を3学級(定員120人)新設すると報告した。現在6学級240人の科学技術科は、来年度から半分の3学級120人に減らす。学校全体の定数は6学級240人のまま。

新設する普通科は、文系、理系どちらも選択できる文理融合型の選択科目や、総合的な探求の時間に自分の興味を探求できる「サイエンス探求」などを用意する。同校には、電子顕微鏡や分析機器など大学レベルの機材や設備が備えられていることから、普通科でも機器や設備を生かしたサイエンス探求ができるという。一方、科学技術科は、従来のまま2年次からロボット、情報、建築、化学生物の4領域の中から選択できる。

サイエンス高はつくば工科高校を改編し、2023年度開校した。つくばエリアの中学生が増加していることを受けて、定員を2学級80人増やして240人にした。一方、初年度の入学者は、一次募集の志願者が72人(倍率0.3倍)、二次募集を含めた入学者数は88人だった。2年目の今年度はさらに減り、一次募集の志願者は68人(同0.28倍)、二次募集を含めた入学者数は77人にとどまった。初年度の23年度は152人、24年度は163人の欠員が出ていた。

2年連続の定員割れについて県教育庁高校教育課は、開校後の進学実績がまだ見えない中で中学生が志望先に同校を選びにくい、中学3年の段階で理系の進路を選ぶのは難しいとして、普通科を設置する方針を決めた。

普通科設置は10月下旬の定例教育委員会での議決を経て正式決定となる。県は昨年7月、牛久栄進高校の1学級増や筑波高校の進学アドバンスコース新設などを発表しており、今回の募集定員の変更は昨年より2カ月早い公表となる。

ミスマッチに厳しい意見

24日の教育委員会では教育委員から厳しい意見が相次いだ。教育委員の一人、市原健一元つくば市長は「前々から何度も指摘させていただいているが、つくば市はよその市町村と比べ中学生がはるかに多いのに、なぜサイエンス高校の志願者が少ないのか、片方で高校をつくってほしいという要望があり、片方でつくば工科高校をサイエンス高校にして受け皿にしようとしたがミスマッチが起こった。根本的にどこが問題なのか、ニーズをしっかり把握していなかったことになるので重く受け止めてほしい」などと指摘した。

県高校教育課の深澤美紀代課長は「(ミスマッチの)原因の一つとして、中学3年時点で理系進学を決めるのはかなり難しいという意見を中学校から聞いている。高校の特色について地域の方への広報が足りなかった部分も感じている。それぞれの高校の特色をどう伝えたらいいのか、広報のツールについてもしっかり検証していきたい」と答えた。

サイエンス高校の定員割れ問題については、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が28日、県教育長宛てに要望書を提出する予定で、同校に普通科を設置するなど3項目を要望する方針だ。片岡代表は「28日に要望書を出す前に要望の一部が実現しうれしく思う。一歩ずつでも前進したことは良かった。実現してくれた関係者に感謝したい」とし、さらに「竹園高校を2学級定員増やし10学級とすること、つくばエリアの県立高校募集枠を県水準に引き上げることも、実現に向け要望したい」などと話した。(鈴木宏子)

サイバーダインの装着ロボット 東南アジア最大の医療施設で歩行改善治療に使用へ 

2
サイバーダインの山海嘉之社長(左から2人目)に発注リストを手渡すマレーシアのチー・キオン人的資源庁大臣(同3人目)=23日、つくば市学園南、サイバーダイン本社

マレーシアの大臣がつくば本社訪問

筑波大発のスタートアップ企業「サイバーダイン」(本社つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)が開発する医療用の装着型ロボット「HAL(ハル)」が、マレーシアに建設中の東南アジア最大の医療複合施設「国立神経ロボット・サイバニクスセンター」で、患者の機能改善治療に使用されることになった。23日、同国のスティーブ・シム・チー・キオン人的資源庁大臣がつくば市のサイバーダイン本社を訪れ、山海社長に発注リストを手渡した。

医療用HALは、交通事故や脳卒中、難病などにより自力で動かすことが難しくなった手足や腰などに、脳からの信号を伝え、筋肉や関節などの動きを補助して、脳や神経の働きを活性化し歩行改善などを促す最先端技術を使った装置。すでにドイツなど世界20カ国で機能改善治療に使用され、日本でもリハビリに活用されている。

マレーシアではすでに12の医療施設で112台のHALが使用されている。新センターはHALを使用する同国13カ所目の施設として今年11月に完成する。下肢、関節、腰用の3タイプ計65台がレンタルで提供され、同時期に700人を治療する予定だ。HALを使用する医療機関としては世界最大になる。

キオン大臣は「(すでにHALで治療を行っている)マラッカにある施設を訪れ、技術がどれだけ人を助けるかを目の当たりにした。患者の約半数が実際に歩けるようになった。サイバニクスセンターは今年11月から稼働する。今後もっと施設を増やし、東海岸に最低でも二つの施設をつくりたい」などと話した。

山海社長は「次の社会は、人とサイバーフィジルカル空間(インターネットやネットワーク上の空間と実世界)が融合する社会になる。新興国が積極的に新しい技術を取り入れ、社会がどんどん変わっていく『リープフロッグ』という現象が起こっており、サイバニクスセンターはひじょうに重要なセンターとなる。治療だけでなく人材育成も一緒にやっていきたい」などと語った。

サイバニクスセンターは、マレーシア政府系の従業員社会保障機構が運営する公的病院で、22年6月に着工した。面積は37ヘクタールで、医療費は無料。センターの名称になる「サイバニクス」は、山海社長が提唱した新しい学術領域だ。(鈴木宏子)