火曜日, 11月 4, 2025
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中川清市長が立候補表明 11月の土浦市長選

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市議会一般質問に答え立候補を表明する中川清市長=11日、土浦市役所

【鈴木宏子】任期満了に伴って11月3日告示、10日投開票で行われる土浦市長選について、現職の中川清市長(74)は11日、5選に向け立候補する意向を明らかにした。市議会9月定例会で海老原一郎氏(郁政クラブ)の一般質問に答えた。同市長選をめぐっては現時点でほかに立候補の動きは見られない。

中川市長は「体力、気力共に充実している。引き続きまちづくりの先頭に立って市政運営に全身全霊で取り組み、市の発展に全力を尽くしたい」と述べた。

4期目の実績については、新図書館と市民ギャラリーの整備、神立駅舎の橋上化、施設一体型新治義務教育学校の開校など数々の取り組みを挙げ「市発展の根幹となる社会資本整備に重点的・集中的に取り組んだ」と強調した。

ソフト面についても、土浦協同病院や霞ケ浦医療センターへの支援により医療体制を強化したほか、市内小中学校すべての普通教室にエアコンと電子黒板を整備したなどと述べた。

一方、市政の課題については「急激な人口減少、少子高齢化、ICT(情報通信技術)社会の進展など、地方を取り巻く環境は大きな転換期を迎え、変化に的確に対応することが求められている」とし「これからが土浦市の将来を決める、真価が問われる大事な時期」だと強調した。

5期目については「『改革と協働で創る未来の土浦』を基本理念に、さらなる行財政改革を推進する」としたほか、「これまで整備した施設を積極的に活用しソフト面の充実を図り個性と魅力を高めながら活気あふれるまちづくりを進める」と話した。日本を代表する自転車道『ナショナルサイクルルート』の第1次候補の一つに「つくば霞ケ浦りんりんロード」が選ばれたことにも触れ「機を逃さず、日本一のサイクリング環境の実現と新たな誘客を図る」などと語った。

中川氏は同市真鍋出身、県立土浦一高、慶応大卒。土浦商工会議所会頭、県公安委員長などを経て2003年11月から4期市長を務めている。

重陽の節句、土浦彩る 90店に菊被綿とかれんびな

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手前は菊の花に赤、白、黄色の真綿をかぶせた菊被綿(きくのきせわた)、奥はハスの花托でつくった霞蓮雛(かれんびな)=土浦市中央の市観光協会

土浦駅前の商店や銀行など約90店の店頭に9日から、菊の花の上に赤、白、黄色の綿をかぶせた「菊被綿(きくのきせわた)」と、土浦特産のハスの花托(かたく)で作った「霞蓮雛(かれんびな)」が飾られ、市中心市街地を彩っている。

健康長寿を願う五節句の一つ「重陽の節句」(9月9日)にちなんだまちおこしの取り組みで、市内の商店や事業主の女性12人で構成する同好会「菊被綿文化を守る会」(木村恵子会長)が作り、各店が飾り付けた。5年前から毎年秋に催している。

五節句は季節の変わり目を表す中国の暦。中国では奇数は「陽」、偶数は「陰」とされ、奇数の中で最も大きい数字の「9」が重なる9月9日は、めでたい日とされた。日本に伝わると、平安時代に宮中行事となり、8日の夜に菊の花を赤、白、黄色の真綿で覆い、翌朝の9日、菊の露と香りが移った綿で体を拭い、長寿を願ったとされる。

これを再現し、各店の店頭に、色を染めた真綿を菊の花にかぶせた手作りの菊被綿を飾った。会長の木村さん(74)によると「重陽の節句を知らない人が多いので、店で菊被綿を展示してもらうことにより、お客様とのコミュニケーションにつなげてほしい」との思いで始めた。

重陽の節句には、3月3日のひな祭りに飽き足らず、9月9日に再びひな人形を飾る「後(のち)の雛」という江戸時代の風習もある。守る会では「土浦ならでは」を考え、霞蓮雛も手作り。ハスの花托でひな人形をつくり、衣裳は折り紙でていねいに作り上げた。

木村さんは「5回目になり展示場所がつくばにも広がった。千年昔の伝統を身近に感じていただけたら」と話している。

展示は10月7日まで。展示場所など詳しくは菊被綿文化を守る会(電話029-821-1607=すがた美容室 )まで。

霞ケ浦 小規模事業所の排水規制強化へ 県が普及啓発に全力

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霞ケ浦流域小規模事業所の排水規制強化に関する茨城県の普及啓発ちらし

【山崎実】霞ケ浦の日(9月1日)に前後して、霞ケ浦のごみ問題など流域住民による浄化運動が行われた最中、県霞ケ浦水質保全条例などの関係条例、法令を一部改正し、流域に立地する小規模事業所の厳しい排水規制に乗り出した県は、改正内容の普及啓発活動に全力を挙げている。

霞ケ浦は1972年11月、環境庁(当時)から全域が湖沼Aに類型指定され、汚染の目安とされるCOD(化学的酸素要求量)値を1リットル当たり3ミリグラム以下に抑えること、また1986年4月の環境庁告示で全窒素は1リットル当たり0.4ミリグラム以下、全リンは0.03ミリグラム以下にするとされている。

しかし現実は昨年度の調査でCOD値が7.4と前年度の7.2とほぼ同程度の横ばい、全窒素は前年度が1.1、全リンも0.091と、環境基準値を大幅に上回っている。

汚濁負荷要因は様々だが、生活排水、中でも流域に4~5万経営体はあるといわれる小規模事業所からの排水が問題になっている。飲食店やコンビニなど、全ての事業所や工場がこれに該当し、排水基準超過は55%に上る(県資料)。

そこで県は今年3月、罰則規定を盛り込んだ霞ケ浦水質保全条例の一部改正を県議会に提出し承認されたのを機に同月28日に公布した。

改正内容の骨子は▽排水の基準超過に対し改善命令、排水の一時停止命令が出せる▽改善命令に従わなかった場合、最大100万円の罰金が課せられるなど、罰則が適用される▽条例などに届け出対象のうち、排水量が1日当たり10立方メートル未満のすべての工場、事業場は、定期的な排水の水質測定と結果の記録を義務付けるーの3点。内容に関する相談などについては、ワンストップ窓口(県環境対策課、電話029-301-2966)で対応している。

施行は2021年4月1日。現在は改正内容を周知徹底する猶予期間で、県は県環境保全施設資金融資制度など、流域小規模事業所を対象とした制度金融による支援策も打ち出している。

流域住民の飲料水だけでなくサイクルツーリズム(自転車観光)のメッカとして脚光を浴びつつある霞ケ浦。観光面からも、待ったなしの水質浄化対策が迫られている。

➡霞ケ浦流域小規模事業所の排水規制に関する過去記事はこちら

台風15号 つくば、土浦で停電や倒木被害

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強風で葉がめくれ裏側を見せるレンコンの葉=土浦市手野町

【鈴木宏子】9日未明から朝にかけて茨城県を通過した台風15号の影響で、つくば、土浦市では強風により停電や倒木などの被害が出た。両市は8日午後6時にそれぞれ避難所を開設、つくば市は4人、土浦市は1人が避難所で一夜を明かした。両市共けが人はなかった。土浦市では強風により特産のレンコンの葉がめくれたり茎が折れるなどし影響が心配されている。

つくば 3100軒が停電、31カ所で倒木

つくば市では9日午前5時過ぎ、最大瞬間風速29.6メートルを観測した。同市危機管理課によると、市全域の約3100軒で停電があり、午後4時になっても1000軒超で停電が続いた。建物被害は、茎崎地区の住宅2軒で屋根の一部が壊れる被害があった。屋根瓦が飛んだり屋根の一部が壊れたなどの通報が住民から相次いで寄せられていることから、建物被害はまだ増えるとみられている。

倒木は市内全域にわたり31カ所であり、道路沿いの樹木が倒れ電線に引っ掛かるなどの被害もあった。道路冠水も森の里、沼田地区など5カ所であり、一時通行止めになったがすぐに解除された。道路は同市寺具の国道125号が一時通行止めになり午前7時50分解除された。

土砂災害の恐れから同市は8日午後6時、沼田地区と北条地区の2カ所に自主避難所を開設、3世帯4人が一夜を明かした。避難所は9日午前10時に閉鎖された。

土浦 2500軒で停電 レンコンの葉や茎に被害

土浦市では9日午前6時ごろ最大瞬間風速23.2メートルを観測した。同市危機管理室によると9日午前4時50分ごろ、小松、荒川沖東、蓮河原新町などで最大計約2500軒が停電になり、正午になっても荒川沖東、沖宿、上高津、宍塚など700軒で停電が続いた。

倒木被害はおおつ野、富士崎などで12件あった。屋根瓦が飛んだり、塀が倒れたなど強風による破損・散乱が36件あった。電線が切れて発火したなどの被害も出た。冠水は中神立と中貫の2カ所であり一時通行止めになった。

桜川の増水に備え、8日午後6時に新治地区と四中地区の2カ所に自主避難所を開設。1人が避難所で一夜を明かした。避難所は9日正午に閉鎖された。

同市農林水産課によると農産物の被害は、日本一の生産量があるレンコンが、強風で茎が折れたり葉がめくれたりした。今年は7月の日照不足で生育が遅れていたことから、生育に影響が出るのではないかと心配されている。

ナシはこれからの収穫期を迎える晩成品種のうち、半分ほどが強風で落下する被害があった。コメは、収獲目前の稲に倒伏被害が出たが、水に浸かっておらず収獲に大きな影響はないとみられている。

TX、常磐線とも始発から運休

交通機関は、つくばエクスプレス(TX)、JR常磐線いずれも始発から運休したが、TXは午前9時前に運転を再開、常磐線は取手ー勝田間が午前11時ごろ運転を再開した。

映像投影「進化する日本列島」にくぎ付け つくば 地質標本館

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地質図に活断層をマッピングさせた立体模型を見る参加者=地質標本館

【相澤冬樹】進化する模型を見にいこう―という呼び掛けに7日、全国からファンが地質標本館(つくば市東、森田澄人館長)に集まった。お目当ては、巨大プロジェクションマッピングに浮き上がる34万分の1の日本列島模型。地図や地質のマニアに加え、模型づくりのファンらが世界最大級という列島模型をぐるり取り囲んだ。

産総研発ベンチャーが作成

呼び掛けたのは同館が所在する産業技術総合研究所発のベンチャー、地球科学可視化技術研究所(芝原暁彦代表)。フェイスブックなどSNSで募集したところ、1日も経たず定員の50人に達したという。7日は東京周辺で窪地や谷間を探し歩くサークル「スリバチ学会」メンバーや国土交通省の河川専門家、名古屋からの単身参加者などが顔をそろえた。

同館1階には「日本列島の立体地質図」が設置されている。全長約9メートルの日本列島の精密立体模型を“白地図”に、地質などに関するさまざまな情報を投影できる立体の地質図だ。精密模型とプロジェクションマッピングを地球技研が手がけ、全面リニューアルされた昨年春に一般公開された。代表の芝原さん(41)によれば、その後も新たなプログラムを加えるなどし、「進化する模型になっている」と胸を張る出来になった。

学校をマッピングすると都市部が浮かびあがる。操作するのが芝原さん㊧=同

地球技研はNHK番組に地図模型を提供するなどしており、地図や模型マニアの間にファンを増やしている。今回は芝原さん自身が解説にあたるとあって、集まった参加者も少なくなかった。

立体模型の精度は、空間解像度が陸上は10メートル、海底は数十メートルで、この空間解像度で海陸の地形を継ぎ目なく接合したプロジェクションマッピングとしては、世界最大級のサイズという。画像の投影にはコンピューターで制御された5台のプロジェクターを使用する。花崗岩や変成岩などの地質図をベースに、火山や活断層を示したり、道路網や学校のマッピングにも切り替えられる。

模型を取り囲んだ参加者を相手に、芝原さんが技術的解説をした後は、森田館長が直々に地質や中央構造線などを熱っぽく講義。参加者自身がプロジェクションマッピングの切り替え操作を行えることもあって、1時間以上、同展示にくぎ付けになるイベントとなった。

【総合運動公園用地問題】つくば市の売却方針に異議相次ぐ イーアス規模の商業用地に懸念 住民説明会で

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6日午後2時からつくば市筑穂、大穂交流センターで開かれた第1回住民説明会の様子

【鈴木宏子】住民投票で白紙となったつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂)を一括売却し、商業施設や物流倉庫などとして利活用する民間企業の事業提案=8月19日付=に対する住民説明会が6、7日の2日間、地元の大穂交流センター(同市筑穂)と市役所で計3回開かれた。参加者からは民間企業に同用地を一括売却するという市の方針に異議を唱える意見が相次いだ。事業提案にある商業用地がイーアスつくば(同市研究学園)と同規模であることから、交通渋滞対策や既存商業施設への影響について懸念の声も出された。

6日午後2時から大穂交流センターで開かれた第1回目の説明会には22人が参加した。地元区長らの姿も目立った。「上郷高校跡地に計画がある陸上競技場を(総合運動公園用地に)つくるべき」「企業のためでなく市民のために土地を生かしてほしい」など全部を一括売却する市の方針に反対し、一部でも公的に利用してほしいと要望する意見が相次いだ。一方「事業提案(の土地取得価格)は高値。できるだけ早く、高く売って市民負担を少なくしてほしい」と、売却に賛成する意見も出された。

同日午後7時からの第2回説明会には15人が参加した。イーアスつくばと同規模の大規模商業施設計画に対し、つくば駅周辺の市中心市街地に都市機能を集積するという市立地適正化計画との整合性を問う声や、イーアスつくば並みと予想される買い物客の交通渋滞対策、既存商業施設へのマイナスの影響を懸念する声が出た。

7日午前10時から市役所で開かれた第3回説明会には11人が参加した。前日に引き続いて市の一括売却方針に疑問を投げかける意見が相次いだ。参加者が少なく、説明会開催自体を知らない市民も多かったとして、市民の声を聞く姿勢を問う意見も出た。

3回の説明会に市側から中根祐一都市計画部長、岡田克己公有地利活用推進課長らが出席し、岡田課長が参加者の質問に答えた。説明会の主なやりとりは以下の通り。

※   ※   ※

「市民のためがなく企業のため」「提案は高値、早く売却を」

―6日午後2時から開かれた第1回説明会の主なやりとり。

参加者 総合運動公園の土地は市体育協会や関係者などが大変な尽力をして取得した。購入の経緯をご存知か? 陸上競技場を上郷高校跡地につくるということだが、つくば市にとって恥ずかしい。これだけ広い土地があるのだから見直してもらって(旧総合運動公園用地に)陸上競技場をつくってもらった方がいい。

課長 庁内で跡地の公的利用をとりまとめたところ(市内部で利用したい意向が)無かったこともあり、こういったこと(売却)を検討している。上郷高校跡地は決まったことではなく今後検討していきますということ。

参加者 総合運動公園は白紙撤回となったが、市民の憩いの場をつくっていただきたい。

課長 ご意見をいただいたことを庁内で共有したい。

参加者 事業提案の募集要件に、市民のためにどう土地を生かすかということが入っていない。企業が収益を上げるための募集だ。総合運動公園計画は白紙になったが、事業提案の募集に市民のために生かすということが加えられるべき。

課長 市も財政的に余裕のある状況ではない。(今回の事業提案募集は)市の負担ができる限りない形で土地利用するというベースがあった。ご理解いただきたい。

参加者 提案事業者の名前を出せない理由は何か。

課長 (提案事業者の)土地取得が決定したわけではない。今の段階では今後の進捗(しんちょく)に影響を及ぼす可能性もある。

参加者 66億円で買った土地を(五十嵐立青現市長が2016年の市長)選挙で「URに買い戻させる」と言ったのはただのパフォーマンスだったと思う。(今回の事業提案の)40億円は随分高値で買ってくれると思う。(事業提案の)商業施設の面積(13.5ヘクタール)はイーアスつくば(14.5ヘクタール)と同規模。市は4月の募集開始時点で大型ショッピングセンターはお断りなどという条件を付けすぐに見直したが、できるだけ高く、できるだけ早く売って、市民負担を少なくするよう努力していただきたい。そのためにも(土地利用の)制限を付けること自体おかしい。

課長 用途は準工業地域への変更を考えている。土地利用が決まらないと進まないので計画をつくっていきたい。

参加者 総合運動公園計画に代わる将来像は今つくば市にあるのか。つくば市はもうすぐ25万都市になる。日立市にも水戸市にもアリーナがある。つくば市に今ある体育館は雨漏りしている。子供たちの育成や若者たちの練習の場を今後も与えなくていいのか。

課長 担当部署に意見を伝えたい。

参加者 取得金額と金利は今いくらになっているのか。今はひじょうに低金利の時代だが利息軽減に向けどんな努力をしてきたのか。

課長 取得額は約66億1000万円、利息は年3500万円くらいで累計は約1.7億円。合計67.8億円。公的、民間の利活用が決まらない中、利息を払わなくてはいけないので、この状態は好ましくないと、今年春から事業提案を募集し、本日、結果を説明している。

参加者 今回の提案に「公園、スポーツジムや運動場、市民の憩いの場」というのが入っているが、具体的にどのようなものか。

課長 事業者にヒヤリングし、どういった内容か質問したが、正確な答えをいただけておらず把握できてない。

参加者 以前、市の試算では基盤整備に46億円くらいかかるということだったが、今回の提案事業者は30億円くらいと見込んでいるという報道があった。市の負担はないということでいいのか。

課長 市の負担がないよう進めたい。この金額(30億円)で造成することを確認している。

参加者 40億円からという事業提案だが、売却価格の設定は再度し直すのか。

課長 市として不動産鑑定をとらないといけない。やり方は内部で検討している。価格は不動産鑑定と市場動向を踏まえて設定する。

参加者 これだけ(広い)の土地はなかなかない。一部でも市が使う予定はないのか。

課長 全部購入するのが事業提案の条件となっている。今の段階で公的利用は考えてない。

参加者 全部売却する決定はだれが決めたのか。

課長 売却する方向で進めている。最終的には議会の理解を得て売却という流れになると思う。

参加者 (取得費と利子を含め)67.8億円ということは(40億円で売却すると)28億円が損金になる。市民の税金で買ったものだ。処分する場合できるだけ高く、67.8億円に近い金額で売却していただきたい。

課長 40億円はあくまでも事業提案の額。市の方は不動産鑑定をして市場の動向を踏まえ売却価格を決めていく。

参加者 市長は総合運動公園に反対して当選した。自らトップセールスで動いてほしい。

参加者 事業提案をベースに土地利用計画をつくるとのことだが、市として(事業提案に対し)どの程度柔軟性があるのか。

課長 上水道、下水道、雨水、調整池などインフラ関係に注意して土地利用計画を考えたい。

参加者 10年、20年先のまちづくりに禍根を残さないようにしてほしい。(同用地は)市北部の拠点になる。大曽根地区は地元の人が土地を手放しながら商業をつくった。イーアスつくばと同程度の商業施設をつくると既存の商業がどうなるか、慎重に考えてほしい。

課長 市の各種計画との整合性は必要。そういうことを踏まえて土地利用計画をつくる。

参加者 担当課がいないので答えられないというのではなく、市長が出てきて明確な答弁を出すべき。市民に(28億円の)マイナスを強いるのではなく、(用地の)半分は市が使っていきしょうということを考えてもいい。しっかり考えて結論を出すべき。

課長 大事な意見として承って、市の中で話をしていきます。

6日午後7時から大穂交流センターで開かれた第2回住民説明会

「つくば市は不動産屋ではない」「倉庫で地域が活性化するのか」

―6日午後7時から開かれた第2回説明会の主なやりとり。

参加者 取得費、利子など重要な情報が(説明資料に)示されてない。URの返還交渉が失敗して前提条件が違っている。こんなやり方で来年の市長選、市議選は大丈夫なのか。

課長 取得費は66.1億円、利子分は累計1.7億円で合計67.8億円。不動産鑑定しさらに市場動向を踏まえて売却価格を決める。URの返還交渉は2回交渉したが結局返還に至らなかった。その後の経緯の中で、庁内のニーズ調査、民間へのサンプリング調査をしたが、土地利用が決まらない中、今年春に市に負担のない土地活用として、全体を一括購入していただき、合わせて整備していただく事業提案を受けた。最終的には公募して売却したい。

参加者 (同用地の)土地利用は都市計画マスタープランや立地適正化計画にそもそもどう位置付けられているのか。郊外型の大型商業開発が現状の市街地に与えるインパクトをどう考えるのか。イーアスつくばと同程度の大型商業施設計画を進める市のスタンスをうかがいたい。

課長 都市計画マスタープランや立地適正化計画を策定し、中心市街地と身近な日常生活圏が連結したまちづくりを考えている。当該地は北部地域の拠点であり、研究、産業、商業が複合的に機能する場所と位置付けている。周辺への影響は、特に商業施設の立地がにぎわい創出、雇用創出、利便性につながる。一方で既存商業施設の環境の変化も考えられ、その辺は市としても考えないといけない。今日はあくまでも提案者の計画を示したが、具体的な店舗計画は示されていないので今後ヒヤリングしながら検討していきたい。

参加者 検討するプロセスが違う。土地利用ありきではなく、本来、市の方針があって、このようなものがほしいからと持ってくるべき。そうではなく民間提案ありきでそれに沿って進めるのはまちづくりとしてどうなのか。つくば市は不動産屋ではない。

課長 皆さまの意見をうかがって市としての土地利用計画を検討していく。

参加者 もともと前市長が購入したが、購入した以上、人任せにしないで、市長選を抜きに、市が主体になってどういう地域をつくるかという土地活用ビジョンをもってほしい。先ほど「市は不動産屋じゃない」という意見が出たが、ここをこうしたいのでこういう人集まれ、という夢のある持って行き方をしてほしい。

課長 ご意見として承ります。

参加者 上郷高校跡地に陸上競技場をつくる計画がある。適地を比較分析していたが、学校跡地だけしか比較候補になっておらず、なぜ(総合運動公園用地が)比較対象になってないか不思議でしょうがない。前市長の計画に反対した人たちが勢いに乗っているから戻れる状況でなくなっているのか。市のスポーツ推進計画はスポーツを振興しましょうといっている。「前市長に反対したから戻れません」というのではなく、地域が活性化する元気の出る施設を大穂につくろうとなってほしい。

課長 陸上競技場の調査の中に(旧総合運動公園用地が)入ってないのは、基本的に市が所有している未利用地を対象にしたため。(同用地は)土地開発公社がもっていて、サウンディング調査(民間意向調査)をやっているため比較対象に入れなかったと聞いている。

参加者 市の費用負担が発生しない計画だというが、68億のものを40億で売ったら市は28億円負担することになる。さらにイーアスつくばと同規模のものができたら、この周辺も影響を受ける。(事業提案があった会社は)倉庫会社だと思うが、倉庫をつくって地域が活性化するのか。(誘致するとある)商業施設はだれがつくるのか、撤退したらどうなるのか、倉庫になるのか。北側の道路整備は幅員20メートルという計画だがだれが整備するのか。イーアスつくば程度の車が集まるとすれば、現状でも渋滞があるのに、交通処理はどうするのか。

課長 道路は市の負担がない形で事業者にやっていただく。渋滞は今も国道408号が渋滞しているのを認識している。今後、土地利用を検討する中で考えていき、道路整備をさらに推進していかなくてはいけない。

参加者 ここが開発されるとやらなくてはいけないことを整理すると、全体でいくらになるのか。(68億円と40億円の)差し引きだけの話ではない。(事業提案では)大手ショッピングモール、スーパー、ホームセンターを誘致するとあるが、例えば筑穂のホームセンターが撤退することになったら空き地はどうなるのか、マイナスのコストも含めて考えるべきだ。

7日午前10時から市役所で開かれた第3回説明会

「反対票には計画見直しも入っていた」「買い戻させる公約果たせない責任は」

―7日午前10時から市役所で開かれた第3回住民説明会の主なやりとり。

参加者 (11~12月に事業者を公募するなどのスケジュールが示されたが)こんな早く進めてしまって大丈夫か。全部売らなくても一部陸上競技場にして、幹線道路沿いを高く売ればいい。(16年の市長選で)五十嵐市長は選挙を有利にしようと思ったのだと思うが、対立軸を鮮明にして何でも悪者にするので、(前市長が購入した用地を)積極的に活用しようとしないで処分するという考えになってしまう。市長は「会える市長」と言っていながら、なぜ(今日の)大事な会に来ないのか。(五十嵐市長の政治手法は)やるか、まったくやらないかの両極端だ。住民投票の反対票の中には計画見直しも入っていた。

課長 今後の進め方はご意見を踏まえてスケジュールを考えているところでもある。一部を公的利用にという案をいただいたが、これまでの経緯は、住民投票での白紙撤回後、公的ニーズ、民間サウンディング調査をしたが利活用に至らず、今現在はこうした進め方で進めている。皆さんのご意見を承り庁内で共有したい。

参加者 市の活性化になるよう、老朽化している県の保健所と笠間にある動物指導センターをもってきたらと思う。

課長 ご意見として承ります。

参加者 市長派とか反市長派ではない(ことを前提に発言しているが)、現市長は白紙撤回を掲げた。反対意見がある人は代替案をもっていると思うが、民間に丸投げなのか。URに買い戻させると公約したがこれもできなかった。政治的な責任はないのか。66億円で購入した土地を26億円の差損を覚悟で40億円で売却してしまうのは反対だ。利息は年間3400万円と聞く。10年で3億4000万円。40億円で売却するのはあまりにも拙速な考えだ。多額の差損を覚悟して売却する別の理由があるのかと不信感を招きかねない。差損の26億円は今つくば市に住んでいる人のために使われるべき。つくばは上下水道が来てないところがある、道路はでこぼこ、道路排水は十分でない、保育所も少ない。市民生活を優先させないと「世界のあしたがみえるまち」は実現できない。(もし事業計画が採択されたとすれば)周辺道路に配慮することを求める。物流倉庫が全体面積の48%を占め大型トレーラーがどんどん来て大変なことになる。差損を覚悟して進めなくてもよい。

課長 総合運動公園の白紙撤回後、公的利用やサウンディング調査の中で、利活用がなかなか図れなかった。市の負担を考えて事業提案をいただいた。URの買い戻しは2017年5月と6月に交渉したがURの最終的な回答として市の要望にお応えできないという結論になってしまった。40億円で売却が決まったわけではない。今後売却する場合、不動産鑑定をし市場動向をみて設定する。道路の混雑は周辺の国道408号と北側の県道の混雑を認識している。今後土地利用計画をつくるがそういったことを踏まえて考えなくてはいけない。北側の道路は延伸計画があり、推進して道路ネットワークを構築しなくてはいけないと考えている。

参加者 3回の説明会で皆さんから心配している意見が出た。こんなに早く売却しなくてもいい、20何億も損金出してまでも処分しなくていい、住民投票の反対票には総合運動公園計画の見直しも含むという意見もあった。20何億円の損金は財政調整基金にまともにくる。来年度の市の財政に大変な負担がかかる。財政部門との話し合いはしているのか。

課長 売却金額そのものが決まっておらず財政部との具体的な調整は行っていない。

参加者 今の経済状況の中で、不動産鑑定が40億円より低かった場合は考えているのか。

課長 今の状況ではお答えできない。

参加者 たった一つの事業提案だけで都市計画を変更するのか。いくつかの案が出てから、じっくり考えて変更するのが筋ではないか。

課長 土地利用計画が固まってからでないと(都市計画変更の)手続きに入れない。今の段階で手続きに入るわけではない。

参加者 3回の説明会があり、きのう午後は20人くらい、夜は10人くらい、今日は10人くらい。それだけで市民の意見を吸収できたと言えるのか。9月の広報つくばに説明会のことが3行くらい(実際は6行)書いてあった。市民が何人見たのか。地域で聞いたら、皆さん、説明会のこと知らなかった。2~3週間前に知らせてくださいという意見もあった。つくば市には(合併前の)旧町村がつくった施設はあるが、敬老会を開くにも市民が一堂に集まれる場所が必要。大事な市有財産を市民のために使う構想が必要。こんな土地がほかにあるわけではない。業者の提案で販売することには賛同しかねる。

課長 説明会の案内は市報の後ろの小さい記事になってしまった。回覧では終了するまでに時間がかかってしまう。できる限り届く広報誌が有効。財政的なことはあるが人が集まる場所という意見は担当部署と共有したい。

➡つくば市総合運動公園に関する過去記事はこちら

また給食に異物 今度はつくば市立二の宮保育所

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混入していた9ミリ程度のカタツムリの殻(つくば市幼児保育課提供)

【鈴木宏子】つくば市は6日、市立二の宮保育所(同市二の宮、御田寺喜代子所長、園児数128人)の給食に同日出されたホウレンソウのごまあえに、大きさ9ミリ程度のカタツムリの殻が混入していたと発表した。回収したほかのごまあえに混入はなかった。

市幼児保育課によると、4歳児がクラスで給食を食べ始めようとしたところ、カタツムリの殻を見つけた。担任の保育士がすぐに所長に連絡し、食事を始めたばかりの3~5歳児クラスのごまあえをすべて回収した。0~2歳児のクラスは食事を終えた後だった。

市はつくば保健所に連絡した。医療関係者に確認したところ、熱湯処理した食材であるため健康影響はないという。市は所長名で全保護者にお詫びの文書を出した。

ごまあえは、市内の業者から生のホウレンソウを納入し、同保育所内の調理室で調理員が調理した。袋から取り出して洗い、10分間ゆでて、冷水でさらに5回洗うなどしたという。市は混入経路を調べている。

五十嵐立青市長は「先日、異物混入事案が発生し各公立保育所に注意喚起をしたばかりにもかかわらず、同様の事案が発生し申し訳ありません。今後は給食のマニュアルの再確認、定期的な研修を行うなど徹底した再発防止に努めます」とするコメントを発表した。

15人が熱中症、うち4人が救急搬送 つくば市谷田部中

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つくば市立谷田部中学校

【鈴木宏子】つくば市は6日、市立谷田部中学校(同市谷田部、岡野光浩校長、生徒数456人)で同日、体育祭の練習を校庭で行っていたところ、正午ごろから午後1時ごろの間に、1~3年生の男女15人にめまいや気分が悪いなどの症状が出て、うち4人が救急車で病院に運ばれたと発表した。熱中症による症状とみられるという。学校は翌日7日に予定していた体育祭を延期した。

市教育局教育指導課によると、同中では朝9時ごろから全校生徒約450人が校庭に出て、翌日7日の体育祭の練習をしていた。正午ごろ、女子生徒1人がめまいを起こし保健室に運ばれた。

学校はこの時点で体育祭の練習を中止し、生徒全員が教室に戻った。その後、給食をはさんだ午後1時ごろまでの間に、さらに1~3年の男女14人が気分が悪いなどの症状を訴えた。

気分が悪い生徒を保健室で休ませたが、症状が回復しない生徒がいたことから、学校は救急車の出動を要請。ドクターカーが駆け付け、搭乗してきた医師が全員を診察し、症状の重い女子生徒3人と男子生徒1人の計4人を病院に救急搬送した。4人は快方に向かい、同日午後6時までに全員が病院から帰宅した。病院に行かなかった11人も教室に戻り通常通り帰宅した。

水戸地方気象台のデータによると6日のつくば市の最高気温は33.6度と真夏日を記録した。学校では、競技の練習の際などは7分ぐらい走って3分くらい休憩するなどを繰り返し、休憩時間は生徒に水を飲むよう教員から声を掛けていたという。

門脇厚司市教育長は「体調を崩してしまった生徒の皆さんや明日の体育祭を楽しみにしていた生徒や保護者の皆様に申し訳なく思います。市内全校に熱中症予防について具体的対応を求める文書を送付し再発防止を指導します」とするコメントを発表した。

同性カップルも受付 つくば市の市営住宅

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10月の定期募集で入居者を募集する9団地の一つ、市営駒形団地=つくば市谷田部

【鈴木宏子】市営住宅の入居申し込みについて、つくば市は10月の定期募集から、LGBTなどの同性カップルも受け付けると5日発表した。性的マイノリティのカップルがパートナーシップの関係にあることを宣誓する茨城県の「いばらきパートナーシップ宣誓制度」=メモ=を適用する。同宣誓書を県に提出し、県から受領書の交付を受けていることが必要となる。

県福祉指導課人権施策推進室によると、県内の市町村営住宅で同性カップルなどの入居を受け付けているのは水戸、笠間、常陸太田、守谷、日立の5市。10月からつくば市のほか、潮来市、茨城町が受け付ける予定で計8市町になる。

つくば市で入居者を募集するのは、市内に21ある市営住宅(うち8団地は廃止予定のため募集停止、1団地は建て替えのため解体済)のうち、駒形団地、金田住宅、戸ノ山団地など9団地の18戸。募集期間は10月1日から15日までで、入居できるのは来年1月6日からの予定。

市営住宅は年4回定期的に募集している。ただし住宅に困窮する市民などが対象のため所得に基準がある。

※メモ
【いばらきパートナーシップ宣誓制度】一方または双方が性的マイノリティであるカップルが、互いに協力して継続的に人生を共にすることを約束し、2人そろって県に宣誓書を提出し、県が受領証を交付する制度。7月1日からスタートした。受領証があると、県営住宅の入居申し込みや県立病院での手術同意などの際、同居者が親族であると認められる。ただし婚姻制度と異なり法的効果はない。県によると9月5日までに17組が県に宣誓書を提出している。

給食に異物混入 つくば市立今鹿島保育所

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コウナゴに混入していた異物(つくば市こども部幼児保育課提供)

【鈴木宏子】つくば市は4日、市立今鹿島保育所(同市今鹿島、鳥羽清美所長、園児数57人)で同日出された給食のコウナゴに、輪ゴムのような異物が混入していたと発表した。保育士が気付き、すべてのクラスのコウナゴを回収した。現時点で園児に健康被害はないという。

市幼児保育課によると、同日午前11時ごろ、1歳児クラス(園児数3人)で、担任の保育士の白米の上にかかったコウナゴに、輪ゴムのようなものが混入しているのを保育士自身が見つけた。

市立保育所の給食は、ご飯は各自が持参し、おかずは保育所内の調理室で調理士が調理している。この日のコウナゴは市内の業者から納入があったパック入りのものを、調理士がフライパンで炒って、クラスごとにボウルの容器に分け、ラップをかけて各教室に運び入れた。各クラスの担任は手袋をして、各自が持参したご飯の上にボウルの中のコウナゴをふりかけた。

1歳児クラスは、担任の保育士が園児3人と自身のご飯にコウナゴをふりかけた。給食を食べ始めようとしたところ異物に気付き、担任はすぐに事務室に連絡した。

同保育所はすぐに園児と職員全員分のコウナゴを回収。回収した中で異物の混入が確認できたのは1歳児の担任のものだけで、ほかに混入はなかった。1~3歳児は食べ始めたばかりで、4~5歳児はまだ食べてなかった。

同課は、納入業者と確認を行ったが、現時点で異物が何であるかの特定はできておらず、混入経路も不明で、調査中だとしている。

同保育所は同日付けで保護者全員に、異物混入についてお詫びの文書を出した。

五十嵐立青市長は「今後も原因調査を継続し、調理開始前の材料の点検を複数で実施するなど異物混入に注意を払い再発防止に努めます」とするコメントを発表した。

TX茨城空港延伸へ早期の研究着手を 結成1年半、期成同盟会が要望

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つくばエクスプレス

【山崎実】つくばエクスプレス(TX)茨城空港延伸議会期成同盟会(会長・市村文男小美玉市議会議長)は、TXの茨城空港延伸に関する要望書を大井川和彦知事に提出した。年度内に県議会や県選出国会議員などに協力を働き掛け、延伸実現への気運醸成に結び付けていきたい考えだ。

利用者の増加に対応した茨城空港の利便性向上、沿線地域の農業・経済など産業の振興、その波及効果による県勢の発展を期待して、期成同盟会が設立されたのは昨年5月=18年5月7日付=。市村議長の呼び掛けに、土浦、石岡、つくば、かすみがうら、行方、鉾田の6市議会議長が同調した。県南、県央、鹿行の7市議会がスクラムを組み、国土交通省やTXを運行する首都圏新都市鉄道など関係機関への延伸要望活動を行ってきた。

今回の要望書提出もその一環として行われた。要望内容は▽県総合計画に記載されたTXの延伸ルートについて、茨城空港への延伸を要望する▽茨城県が主体となって国、関係機関連携による調査・研究の早期着手を要望するーの2点。

昨年11月に策定された県総合計画「新しい茨城への挑戦」では、2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに”茨城空港ルート”が描かれているとして、期成同盟会はまず政治ベースで実現に向け動き出すことにした。

延伸とはいえ、新線建設には莫大な資金と年月がかかる。TXもかつての第2常磐線構想から常磐新線と名称を変えながら、幾多の難局を乗り切ってきた経緯がある。

期成同盟会もその辺の事情は織り込み済みで「大事なことは、必要な夢や希望をあきらめず、実行運動を展開すること。年度内に7市議会でさらなる行動を起こしていきたい」と意気込んでいる。

高速バスは10月スタート

一方、県が都市間連携による交流人口の拡大をベースに、県全体の活性化を目指す研究学園都市・つくばと県都・水戸を直結する高速バスの増便実証実験が10月からスタートする=19年5月13日付=。つくば―茨城空港、水戸―茨城空港の高速バスもそれぞれ増便される。

今年2月と3月に高速バス利用者アンケート調査を行い、増便の要望が多かったことを踏まえ、県、関係市、交通事業者、学識経験者などで実証実験協議会を設置し、運行計画(運行ルート、ダイヤなど)を審議してきた。

現在、運行事業者となる関鉄バスが国交省関東運輸局に認可申請中で、「10月には(増便実証実験の)実施にこぎ着けると思う」(県交通政策課)と話している。

TXの茨城空港延伸への働き掛けと、水戸とつくばを結ぶ高速バス増便運行ー県内の高速交通網整備計画が、構想の段階から具体化へと大きく動き出そうとしている。

豪華!「土浦名物花火弁当」予約開始

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試食会でお披露目された今年の土浦名物花火弁当=2日、土浦市役所

【鈴木宏子】10日26日実施される第88回土浦全国花火競技大会を前に、恒例の土浦名物花火弁当の予約が始まった。市観光協会土浦名物弁当事業者部会の8店1組合が、地元土浦の特産品を生かし、工夫を凝らした三段筒の豪華な弁当やオードブルなど16品を販売する。

販売店は▽うなぎ・佃煮の「小松屋」(電話029-821-0373、ファックス029-822-8075)
▽霞月楼グループの日本料理店「茶寮かげつ」(電話029-869-8416、ファックス029-869-8418)
▽和洋レストラン「さくらガーデン」(電話0120-396-014、ファックス029-896-8255)
▽すし・和食店「蓮の庭 にぎりや松」(電話029-842-4481、ファックス029-842-4432)
▽土浦中華組合 福来軒(電話029-821-1162、ファックス029-821-1162)
▽フランス料理店の「ル・タブリエ」(電話029-857-8110、ファックス029-857-8110)
▽明治22年創業の料亭「霞月楼」(電話029-822-2516、ファックス029-822-2518)
▽ふぐ・あんこうの「喜作」(電話029-831-7472、ファックス029-831-7657)
▽レストラン「つくし」(電話029-821-2195.ファックス029-823-1728)

三段花火筒弁当の価格は1800円~3000円(消費税込み)。

花火弁当は、戦後直後まで花火大会の日に、土浦の芸者衆が馴染みの旦那衆を招いてお重を振る舞いながら花火を見物した歴史を、「土浦食のまちづくり検討委員会」委員長の堀越雄二さん(75)がひもとき、例年80万人が集まる花火大会で土浦を全国に発信しようと15年ほど前にスタートした。昨年は計約3000個、約700万円の売り上げがあり、毎年販売額は1割ほど伸びているという。

予約方法は、販売数量限定の弁当もあるため、各店に電話して在庫を確認の上、所定の用紙に必要事項を記載してファックスなどで申し込む。料金は前払い。弁当は当日午後2時から7時の間、桟敷席近くの引き渡し所で受け取る。

詳しくは市観光協会のホームページ

各店の花火弁当について説明する各店関係者

➡土浦全国花火競技大会の過去記事はこちら

【つくば市教育長インタビュー】方針を転換 「5校目の義務教育学校はつくらない」

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門脇厚司つくば市教育長=市役所教育長室

【鈴木宏子】施設一体型小中一貫校を新設してきたつくば市の教育方針が大きく転換する。門脇厚司教育長は「5校目の義務教育学校はつくらない」と表明し、人口が急増するつくばエクスプレス(TX)沿線に今後新たにつくる小中学校は、施設一体型の一貫校とはしない方針を示した。つくば市の教育はどこに向かうのか、門脇教育長にインタビューした。

大規模校になってしまう

―人口が急増するつくばエクスプレス(TX)沿線にさらに2校を新設する計画が発表された19日の市議会全員協議会で、門脇教育長は「5校目の義務教育学校はつくらない」と明言されました。つくば市の小中一貫校を検証した市教育評価委員会の調査報告書「つくば市の小中一貫教育の成果と課題」(2018年7月)でも「小中一貫教育の効果は小中分離校でも発揮されている。施設一体校では中一ギャップは解消しているが、新たに小6問題が顕在化している」などの課題が出されています。義務教育学校、つまり施設一体型の小中一貫校はつくば市ではもう止めるということでしょうか。

門脇 小中一貫の義務教育学校がつくば市にはすでに4校あり5000人が在籍している。小中学生約2万人のうち4分の1になる。小中一貫教育の義務教育学校を止めるとは言えないが、5校目以降はつくらない。すでにある4校の義務教育学校については、これからはできるだけ小学部と中学部の分離を意識した学校運営をやりたい。

例えば、今は小学6年生を終えても卒業式もないし、中学生になる際に入学式もない。これからは小学部1年生から6年生、中学部1年生から3年生の区切りとし、小学部の卒業式も中学部の入学式もきちんとやるようにしたい。

―義務教育学校をこれ以上つくらない理由は何ですか。

門脇 これからTX沿線につくる新設校を義務教育学校にすると、大規模校になってしまう。それから2018年7月の「小中一貫教育の検証と課題」で指摘されたように、同じ小中一貫教育でも、小学校と中学校が分離していた方が教育効果が高いということなら、高い効果が現れる方を選んだ方がいい。

つくば市で子供の数が増えるのはこれから10年間か15年間。15年後には減ってしまう。これからつくる学校は、将来、何に転用するか考えてつくらないととんでもないことになる。将来どういう施設として活用するかを今から考えながら設計をしていく。

子育て世代 想定以上に増えた

5月30日につくば市が発表した「今後の人口増加地域の児童生徒数の推計値」によると、新たに学校をつくったとしてもTX沿線では引き続き過大規模校のままとなってしまう学校が複数あります。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。

門脇 想定より多い子育て世代がどんどん入ってきている。前任者もこうなると思ってなかったのではないか。前任者が「教育日本一」を大々的に掲げたこともある。保護者は、教育日本一とは学力日本一だと考えて、つくば市の学校に入れればわが子の学力が上がると考え、想定以上に増えたのではないか。できたばかりの新しい学校は立派できれいなので、うちの子もこんなすばらしい学校で勉強させたいと、わざわざ引っ越してきた親御さんもいる。

「世界のあした」のトップランナーに

―つくば市の教育はこれからどういう方向を目指すのかを示す教育大綱を今、策定中です。つくば市の教育はこれからどう変わっていくのですか。

門脇 子供たち一人ひとりを徹底的に大事にする教育を目指す。どの子にも、自分はこういうふうに生きていきたいと願う気持ちがあるわけで、それを実現させる教育にしたい。

つくば市は五十嵐市長が「世界のあしたがみえるまち」を掲げている。ならば、つくば市は「世界のあしたの教育」のトップランナーになると言ってきた。これまでどこでもやってない教育をやりたい。

そもそも現在の公教育制度は、150年前に、産業社会を発展させるために必要な人間を育てることを目的に作った制度で、極めて不自然なことを無理を重ねてやってきた。

一例をあげれば、その国に生まれた子供は誰もが一定の年齢になったら必ず学校に行くことを強制されるし、同じ年齢の子でクラスを作り、全員が同じ教科書で同じことを一斉に教わる。学期が終わると必ず競争試験があって、できる子と出来ない子を分けて、できる子にはもっと勉強させて新しいモノを創り出すことができる能力を高め、できない子には先生や経営者の言うことを守ればいいと教える。こんなやり方はいやだ、自分のペースで学びたいと言っても許されないというふうに、今の公教育は経済成長を最優先させるため不自然な教育を無理を承知でやっているというのが実態。

だから、新しい教育大綱をつくって、つくば市がこれから目指す教育をはっきり示さなくてはならない。学力競争の教育から抜け出して社会力を育てることを基本にすえる。社会力とは人と人がつながって社会をつくる力、さまざまな人と人がよい関係をつくり、協力しながらよりよい街をつくる力のこと。子供も大人も社会力を育てるのがつくば市の教育の将来になる。

新設校は固定観念を一新する

―これからできる新しい学校は、つくば市が目指す新しい公教育の在り方を先取りしたものになるのでしょうか。

 

香取台小学校(仮称)建設予定地

門脇 例えばいま設計に取りかかっている香取台小学校(仮称、2023年4月に万博記念公園駅近くに開校予定)は、学校に対する固定観念をぶち破る学校にしたい。

職員室はつくらないで、1年生の教室が並んでいる真ん中あたりに1年生の担任の先生たちの授業準備室をつくる。先生が授業の準備をしたり、お茶を飲んで雑談したり休憩したりする。全教職員が一カ所の部屋に集まる今の職員室は同調圧力のもとで、互いに監視し合ったりする。仕事が終わったので早く帰りたいと思っても隣の先生はまだ帰らないので残っているということになる。

カフェテリアをつくり、勉強に使っている机で給食を食べるのではなく、カフェテリアで食べることで食事そのものを楽しんでほしい。

プールはつくらず、プールの敷地に保育所や児童クラブや、大人が集う市交流センターなどをつくって、学校を小中学生だけの施設でなく市民が集える複合施設にするとか、演劇や音楽や美術の発表を楽しむホールや大勢で遊べる遊び場は作っても、「全体回れ右!」といった軍隊式の集団行動を訓練する体育館は作らないというふうに、学校とはこういうものだというこれまでの固定観念を一新するような学校を作ってみせたい。

カエル姿で500人疾走 筑波山神社門前通りでがまレース

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カエルのかぶり物をして走る子どもたち=つくば市筑波(撮影/筑波大学1年・北村祐子)

【崎山勝功】第71回筑波山ガマまつりのメーンイベント「筑波山がまレース」が1日、筑波山神社(つくば市筑波)周辺で催され、県内外から約500人の参加者がカエルの被り物をして筑波山神社門前の通りを駆け抜けた。

がまレースは2013年から始まり、15年の鬼怒川決壊水害による中止を除いて毎年開かれ、今年で6回目。保育園と幼稚園児対象の「おたまじゃくしの部」(150メートル)から、中学生以上男女の「がまキングの部」(500メートル)といった個人競技部門に加え、今年は親子や仲間などが4人1組のリレー形式で走る「親孝行リレーの部」(一周200メートル、最終走者のみ300メートル)が新設され、合計11部門でレースが行われた。

このうち「小学4年生の部女子」(200メートル)で優勝した山本愛華さん(10)=つくば市=は「幼稚園の年長のころから出ている。小学校2年から1位で3連覇」と話した。18歳以上の男女ペアが2人1組で参加する「ガップルの部」で優勝した、山越貴洋さん(38)と妻の千佳さん(37)ペアは「昨年レースに参加して、レースの2週間後に結婚した。あさって(3日)で結婚1周年を迎える」と、同レースが取り持った縁を明かしてくれた。

同レースには県外からの参加もあり「小学5年生の部男子」で優勝した小野寺優斗さん(10)=埼玉県=は「カエルの格好で走っている人を見て出たいと思った」と、昨年に続いて今年も参加して2連覇を果たした。小野寺さんは「来年も1位を目指す」と意気込みを示した。

「ご当地キャラ」も疾走

「ご当地キャラの部 スピードの部」で健闘した、筑波大学アスレチックデパートメントの「コズミくん」(手前)と、つくば市の「フックン船長」

県内外のご当地キャラクターが集まって走る「ご当地キャラの部」(100メートル)がレースの余興として行われ、観客らの注目を集めた。

速さだけでなくユニークさなどを総合評価した「エンタメの部」と、速さのみで評価する「スピードの部」の2つでレースを実施。エンタメの部には、土浦市の「つちまる」や常総市の「千姫ちゃま」、つくばエクスプレスの「スピーフィ」など自治体や企業のキャラクター10体が参加。スピードの部には、つくば市の「フックン船長」や筑波大学アスレチックデパートメントの「コズミくん」など6体が参加し健脚を競った。

審査の結果、エンタメの部では、水戸市の「みとちゃん」が優勝し、準優勝には茨城国体の「いばラッキー」が受賞した。つちまるは受賞を逃したものの、つちまるに同行した土浦市の担当者は「みんな応援席から『つちまる』の名前を呼んでくれてうれしい。人気のあることが一番」と語った。

スピードの部の優勝は八千代町の「八菜丸」、準優勝は千葉県流山市の「ながれ~」で、フックン船長とコズミくんは揃って最下位だった。しかし、レース終了後に子どもたちがフックン船長に寄ってくるなど、注目を集めていた。

重度障害者の息子との歩みを本に 試行錯誤でコミュニケーションを磨く つくば

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【橋立多美】生後6カ月の時にインフルエンザ脳症を発症し、後遺症で「一生歩くこと、しゃべること、笑うことはできないでしょう」と宣告された遥(はるか)君が笑顔を取り戻し、意思を伝えるまでの道のりをつづった「会話の軌跡―重度重複障害者の息子とのコミュニケーション」をつくば市の江藤睦さん(56)が自費出版した。

「会話の軌跡」の表紙

それは22年前の12月6日のことだった。長男が通う幼稚園の行事に生後半年の3男遥君をおんぶして参加した。行事が終わり、帰路について背中の遥君がけいれんしていることに気付き、筑波メディカルセンター病院に搬送された。

数時間後に対面した遥君はICU(集中治療室)で人工呼吸器とチューブにつながれていた。容態が悪化し緊急の脳外科手術を経て2ヵ月後に退院した。江藤さんは入院中のことを「体は硬直してまるで丸太のようだった。眼球は上転していて見えているかわからない。私にできることは、こわごわと荷物を抱えるような抱っこだけ」と記している。

病院や市立療育センターでリハビリを受けながら遥君の生活能力を上げるためにあらゆる福祉機器を使ってみたが、徒労に終わった。「誰かに生活を助けてもらわないと遥は生きていけない。遥が望む生活をさせてやるには意思の疎通ができなくては。意思疎通の方法を教えて体得させなければ」と思い至った。

根気強く何度も繰り返して単語を、文字は押すと音が出る50音表のおもちゃで教えた。やがて身体障害者向けの意思伝達装置の文字盤を使ってコミュニケーションがとれるようになっていった。公立幼稚園と小学校(特別支援学級所属)では文字盤で友だちと会話し、明るく毎日を送る中で言葉の幅を広げていった。

県立つくば特別支援学校(同市玉取)肢体不自由教育部門の中学部に進学すると、短文を発語して意思を伝達できるようになった。同校の高等部に学んだ遥さんは現在22歳。卒業後の支援プランづくりに本人が加わり、文字や口話で表した希望に添って障害者支援施設に通所している。

江藤さんは「人とふれあうコミュニケーションは生きる喜び。遥がその力を身につけたのは奇跡ではなく、親と子の努力の軌跡がもたらした」と記す。

同書は薬剤師の資格を持っているのに我が子の命に関わる事態に気付けなかった自分を責め、遥君の幸せを願って試行錯誤してきた一人の母親としての歩みでもある。「障害のあるなしに関わらず多くの人に読んでほしい」と江藤さんは話している。

一昨年の成人式の日の遥君(江藤さん提供)

◆167ページ、定価1800円(消費税別)。申し込みと問い合わせは江藤さんのEメール(uraraka22.kaiwa@gmail.com)まで。

◆自分の死後、障害がある子どもは生きていけるのか、と不安を抱く親のための「親なきあと相談室」を開設している。申し込みは上記江藤さんのEメールに。

つくばの大学生チーム、世界一を撃破! 縄跳び競技でアジア選手権優勝

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五十嵐つくば市長(左から2人目)に優勝を報告する藤田惇平選手(左端)、関公平選手(同3人目)、稲葉海哉選手(右端)

【鈴木宏子】つくばの男子大学生チームが縄跳び競技のアジア選手権で、世界選手権9連覇中の強豪、香港チームを破り初優勝した。30日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問し優勝を報告した。

7月24~30日、香港で開催された第10回アジアロープスキッピング選手権大会に日本代表として出場し、15歳以上男子の部で日本チーム初の金メダルを獲得した。

チームのメンバーは筑波大4年藤田惇平選手(22)、同3年関康平選手(20)、江戸川大2年稲葉海哉選手(19)ら。5人のメンバーのうち3人がつくば市在住の大学生だ。

香港チームは、実力世界一と目されるチーム。それぞれ2年に1度開かれているアジア選手権と世界選手権大会で、ともに9連覇中、地元、香港大会での10連覇を目指していた。つくばの大学生らによる日本チームが10連覇を阻止した。

個人総合優勝も稲葉選手

さらにメンバーの1人、稲葉選手は、個人戦でも総合優勝を果たした。15歳以上男子の日本人の総合優勝は10年ぶり2人目の快挙だ。稲葉選手は「小さい頃からの夢だった総合優勝ができてうれしい。総合優勝にこだわり続けてやってきて本当に良かった」という。

稲葉選手の母親で、日本ロープスキッピング連盟第10回アジア選手権委員会委員の稲葉正子さんは「香港チームを破ることはチームジャパンの長年の悲願だった。チーム一丸となってプレーしやっと達成できた」と話す。

競技は、できるだけ早く駆け足跳びをして他の選手にバトンタッチしながらリレー形式で何回跳べるかを競ったり、チーム全員で四重跳びや五重跳びなど難易度の高い技を繰り出しながらパフォーマンスを披露するフリースタイルなどの種目がある。

つくば市長にアジア選手権出場を報告した日本代表の小学生から大学生まで14人

縄跳びパフォーマー、粕尾将一さんの教え子

優勝した日本代表の3人はいずれも、10年ほど前、筑波大学出身で現在縄跳びパフォーマーとして知られる粕尾将一さんが、大学在学中に市内で開いた「なわとび教室」の教え子だ。粕尾さんはその後、世界的サーカス・エンターテインメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユに出演するため渡米した。現在は帰国し名古屋市を拠点に活躍する。

粕尾さん渡米後、つくばの教室にコーチはおらず、教え子たちは自分たちで動画を見ながら技を習得したり、互いに教え合ったり、後輩を指導したりしながら技を磨いてきた。教室のメンバーは現在、小学生から大学生まで約20人。週4日、市内の学校の体育館などに集まって練習を重ねる。

アジア選手権には3人を含め、小学4年生から大学4年生の教室のメンバー14人が日本代表として出場した。日本代表43人のうち14人をつくば勢が占めた。稲葉委員は「メンバーは小さい頃からつくばで一緒に練習し、切磋琢磨(せっさたくま)しながらやってきたことがチーム力につながった」と話す。

今後は、12月の全日本選手権、来年の世界選手権に向けて再び練習を始めるという。

沖縄の現在と戦後を伝える 島唄と美術がつくばでコラボ

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与那覇大智さん㊧と実行委の野口修さん。バックは島唄コンサートの舞台を飾る与那覇さんの作品=つくば市東平塚

【橋立多美】沖縄八重山民謡の第一人者と呼ばれる力強い歌声と、沖縄生まれの写真家と美術家が戦後から今のオキナワを伝える「南風の伝言2019」が、9月につくばで開かれる。島唄コンサートが14日つくばカピオホールで、写真と絵画の二人展が3日から16日まで県つくば美術館で開催される。芸術文化の振興を図り、特定非営利団体(NP)設立を目指している芸術文化振興NPO準備委員会が立ち上げた実行委員会(野口修代表)が主催する。

八重山民謡の大工哲弘さん

八重山のリズムで歌う島唄

「沖縄・島唄コンサート」に出演するのは、石垣島生まれの大工哲弘さん。八重山民謡の大家、山里勇吉に師事し、島唄や日本の唱歌を八重山のリズムで歌う。1994年にリリースした「沖縄を返せ」がヒットして注目された。八重山民謡を基本に世界の様々な音楽要素を取り入れて奥行きのある音楽世界を作り出し、海外公演歴も数多い。

大工さんは「終戦後、米軍占領下におかれた民衆が苦しみを吹き飛ばすために作った島唄は、民衆の汗と血の中から湧き出して今も歌い継がれている」と語っている。

写真と絵画が映し出すオキナワ

「鎮魂と不屈の沖縄」と題する二人展は、大戦後に糸満市で生まれた写真家、大城弘明さんとコザ市(現沖縄市)生まれの美術家、与那覇大智さんの計60点を展示する。

大城さんは戦争の爪痕を生活の中に見て育ち、少年の日の記憶をたどりながら沖縄の現状を撮り続けている。写真集「地図にない村」(2010年未来社)などを発表している。

大城さんの作品「傷だらけのヒンプン・糸満市喜屋武」

与那覇さんは沖縄が「日本化」する時代に育ち、沖縄県立芸術大卒業後、筑波大大学院を修了してつくば市に在住している。沖縄の歴史に向き合うことがなかったが、東日本大震災の原発事故で変わった。国や東電に対するやり場のない憤りが、戦後の沖縄につながったという。以来、不条理な連鎖が続く沖縄へのメッセージをアートの領域から発信している。

会期中の9月8日午後1時30分から3時まで、大城さんと与那覇さんのアーティストトーク「写真と絵画が映し出すオキナワ」が展示会場で繰り広げられる。

【沖縄・島唄コンサート】

▽日時 9月14日(土)午後6時30分開場、7時開演
▽入場料 一般前売り4000円、当日4300円。学生・障害者は3000円(全席自由)
▽会場 つくばカピオホール(つくば市竹園1-10-1)
▽会場ロビーで飲み物や軽食などを販売する予定
▽チケットのweb予約 https://artsnpo.wixsite.com/home
▽予約と問い合わせ 実行委の野口さん(090-8580-1288)

与那覇さんの作品「Home-裏庭の宴」

【二人展「鎮魂と不屈の沖縄」】

▽会期 9月3日(火)~16日(月・祝日)
▽入場無料
▽会場 県つくば美術館(つくば市吾妻2-8)
▽開館時間 午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで、9日は休館)

「南風の伝言2019」の詳細は実行委員会ホームページで。企画のNPO準備委員会では、クラウドファンディングで会場費や運送費などの資金を募っている。申し込みはホームページで。

原木シイタケは里山保全のカギ握る つくばで初のサミット

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全国・原木しいたけサミットで行われたパネルディスカッション=ホテルグランド東雲(つくば市小野崎)

【相澤冬樹】全国・原木しいたけサミットが29日、つくば市内のホテルで始まった。全国で原木シイタケの生産に関わる農業者や関係者が、同サミット実行委員会(飯泉孝司会長)を組織して開く初めての会合。20道県の生産者はじめ、流通関係者ら約220人が集まって、原木シイタケの置かれた現状と未来図について議論した。

全国から生産者ら200人以上参集

コナラやクヌギをホダ木に菌を植えて栽培する原木シイタケ。オガクズなどを培地にハウス栽培する菌床シイタケと区別する。会合冒頭の「サミット宣言」で表明されたように、近年は生産者の減少や消費の低迷などにより、生産量は減少が続いているという。加えて2011年の原発事故以降、東日本の被災地では依然出荷制限・自粛の規制が解けず、風評被害にも苦しんでいる。

それは、一産業の消長のみならず、里山保全、ひいては循環型社会の構築にも影響を及ぼすとの危機感から、実行委員会は行政・消費者にも連携を呼びかけ、2日間の日程で開催した。当初150人規模の想定だったが、200人を超す参加者が集まった。

会場のホテルグランド東雲(つくば市小野崎)には大井川和彦県知事、五十嵐立青つくば市長はじめ衆参議員らが来賓に駆けつけ、原発事故の影響に苦しむ産地の窮状に理解を示した。そのうえで、産業基盤整備や後継者育成、輸出拡大に向けた取り組みに支援を惜しまないとあいさつした。

サミットでは基調講演、パネルディスカッション、分科会で議論した。パネル討議で、大会会長を務めた飯泉孝司東日本原木しいたけ協会代表理事は、つくば市周辺の5人の生産者は震災前、福島県下に合わせて1200ヘクタールの山林を手当し、20年かけて順繰りにホダ木を伐り出す計画でいたが、原発事故で産地を他県に求めざるを得なくなった事例を紹介した。これは山林資源の管理も放置するという意味で、森林の荒廃に直結する。「原木シイタケは里山管理のカギだった」という立場だ。

大分県から参加の阿部良秀日本椎茸農協会長理事も、国東半島宇佐地域の「世界農業遺産」認定に、干しシイタケ産業が果たした役割が大きかったと述べた。消費者はシイタケの購入を通じ地域の持続可能性に寄与してきた。今後の振興は「出口戦略に尽きる」として、食品機能性を絞りこんで健康志向に応えることなどが海外展開を図っていくうえでも大切とした。

「サミット宣言」は、若手・後継者団体の「森のゆかり」長浜隆行代表が読みあげた。「生産者及び関係者は、伝統ある原木シイタケ栽培の技術を受け継ぎ、時代の変化に対応した先進的な経営を取り入れ、日本の豊かな森林資源の有効活用と環境の保全を図り、中山間地の林業者、流通業者、消費者の皆様方すべてに資するように、原木シイタケの発展をめざす」とアピールした。

サミットは2日目の30日、同市中野のなかのきのこ園に会場を移し、原木シイタケ栽培の現地を視察、植菌ロボットの展示、創作シイタケ料理の昼食会などを行い散会する。

飲み会後に酒気帯び運転2件 つくば市職員2人を懲戒処分

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つくば市は28日、7日と23日にそれぞれ同僚らと有志の飲み会に参加した後、帰宅途中に酒気帯び運転をしたとして、市職員2人を同日付けで停職5カ月と6カ月の懲戒処分にしたと発表した。

都市計画部開発指導課の男性係長(42)と、消防本部中央消防署豊里分署の男性消防士(25)の2人で、係長は停職5カ月、消防士は停職6カ月。消防士は24日、道交法違反で現行犯逮捕された=24日付

市人事課によると、係長は7日、仕事を終えた後、市職員らとの飲み会に参加し、帰宅する際の8日未明、市役所近くで酒気帯び運転で警察に検挙された。市の調べに対し係長は、代行運転を頼み、待っている間、自家用車を駐車場から別の駐車場に移動しようとして酒気帯び運転をしてしまったと話しているという。

消防士は23日、仕事を終えた後、有志の飲み会に参加し、帰宅途中の24日未明、酒気帯び運転で現行犯逮捕された。警察の調べに対し当初は容疑を否認していたが、現在は認めているという。市の調べに対し、代行運転を頼もうとしたが電話がつながらなかったため、酒気を帯びて自家用車を運転してしまったと話している。逮捕され、報道されたなど社会に与えた影響の大きさから停職6カ月となった。

五十嵐立青市長は「本市の職員が市民の信頼を裏切り多大なる迷惑をお掛けしたことを心から深くお詫びします。今後、再発防止に万全を期すと共に、市民の信頼を招くような行為を厳に慎むようさらに綱紀の保持を徹底させます」とするコメントを発表した。

宍塚小廃校から5年半で再出発 土浦市教育相談室が移転

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改修工事中の旧宍塚小学校=土浦市宍塚

【鈴木宏子】2014年3月に廃校となった旧土浦市立宍塚小学校(同市宍塚)に10月1日、市教育相談室が移転する。教育問題に関わる電話相談に応じたり、不登校の小中学生などの適応指導教室「ポプラひろば」を実施し、増加している不登校の児童・生徒によりきめ細かな対応を図る。

旧校舎2階の教室や音楽室などを改修し、児童・生徒が勉強する学習室、体を動かすプレイルーム、相談ルーム、職員室、電話相談室などとする。現在、東真鍋町の市民会館脇にある教育相談室と比べ、学習室が2部屋になるなど広々とした環境になる。職員は移転前と同じ、指導主事や教育相談員など8人が配置される。

同適応指導教室には現在、小中学生10人程度が通学している。子供たちは学習室で自習したり、1対1で学習指導を受けたり、指導員に悩みを聞いてもらったりする。休憩時間にはゲームをしたり、卓球などをして体を動かす。

現在の土浦市教育相談室適応指導教室「ポプラひろば」

旧宍塚小では6月から9月中旬まで、教室の改修工事や校庭に駐車場を整備する工事が進められている。改修費は約3200万円。校舎1階と2階の一部は市の公文書書庫とし市内3カ所に分散している書庫を集約する。

現在、教育相談室がある東真鍋町の建物は、50年前の1969年に建てられた。移転後は解体され、改修工事中の市民会館駐車場拡張用地となる。

市教育委員会指導課の中山弘課長は「教室は改修され、装飾などもリニューアルされるので、子供たちが新鮮な気持ちでのびのびと生活ができる。さらに充実した環境となるので、お悩みの方は教育委員会にご相談いただきたい」と話す。

廃校時、地域住民から、宍塚小を売却せずに公共のものを入れてほしいという要望が出されたのを受けて、跡地活用の検討が進められてきた。当時、地域住民代表として同小教育後援会長を務めた同市佐野子の阿部守男さん(77)は「何か利用がないのか皆心配していたところ、3月に宍塚小で住民説明会が開かれ、そういう話があり、全員いいだろうとなった。利用してもらった方がいい」と話す。体育館やグラウンドなどは引き続き市民に開放される。