水曜日, 11月 5, 2025
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筑波大付属病院 大幅減なぜ 来年度の臨床研修医マッチング

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筑波大学付属病院

【山崎実】厚生労働省は、来年度から臨床研修を開始する臨床研修医のマッチング結果を発表した。茨城県分は、募集定員に対し166人を確保したものの、筑波大付属病院は募集定員92人に対しマッチ者数が54人と、前年度比19人の減。県医療人材課は、大幅な減に首をかしげており「減少した要因の精査、検討を急ぎたい」としている。

医師臨床研修マッチングは、臨床研修が義務化されたことに伴い、日本医師会や研修医を受け入れる病院などで構成する「医師臨床研修マッチング協議会」が、医学生と病院の研修プログラムを一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピュータで組み合わせを探り決定するシステム。

公表結果によると、茨城県は募集定員225人に対し、マッチ者数は166人で、充足率(募集定員に対する確保人数)は73.8%。

病院別の募集定員とマッチ者数は別表の通りだが、県内の参加20病院中、募集定員に達した病院は昨年度の5病院(水戸医療センター、土浦協同病院、筑波メディカルセンター病院、JAとりで総合医療センター、茨城西南医療センター病院)から、今回は水戸赤十字病院、県立中央病院、日立製作所ひたちなか総合病院、牛久愛和総合病院、総合守谷第一病院が加わり、計10病院に増加した。

全体のマッチ者数は前年比3人の減だが、県がショックを受けているのは筑波大付属病院の19人の減。県内最多の募集人員(92人)と確保人数(マッチ者数54人)をけん引しているだけに、危機感を隠さない。

県内の参加20病院で組織する県医師臨床研修連絡協議会と連携しながら、研修医のさらなる確保ー医療人材確保の底上げに取り組む方針だ。

茨城県の臨床研修医マッチ者数
医療機関名 2019年度 2018年度 マッチ者数の増減
募集定員 マッチ者数 募集定員 マッチ者数
水戸赤十字病院 4 4 4 0 4
水戸協同病院 10 9 10 7 2
水戸済生会総合病院 10 7 10 8 ▲1
水戸医療センター 8 8 9 9 ▲1
茨城県立中央病院 9 9 9 4 5
日立製作所日立総合病院 11 9 12 9 0
日立製作所ひたちなか総合病院 8 8 8 7 1
土浦協同病院 15 15 14 14 1
霞ケ浦医療センター 2 1 3 1 0
筑波記念病院 10 10 8 6 4
筑波大学付属病院 92 54 90 73 ▲19
筑波メディカルセンター病院 12 10 10 10 0
筑波学園病院 2 0 5 1 ▲1
東京医科大学茨城医療センター 8 4 10 4 0
牛久愛和総合病院 5 5 5 4 1
つくばセントラル病院 2 0 3 0 0
JAとりで総合医療センター 5 5 5 5 0
総合守谷第一病院 2 2 3 1 1
友愛記念病院 4 0 4 0 0
茨城西南医療センター病院 6 6 6 6 0
合計 225 166 228 169 ▲3

※定員に空席がある病院は今後二次募集を実施する

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つくば市中心地区に屋外アート現わる 国内外16人が滞在し制作

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中央公園の池とつくば市民ギャラリーに映像を投影するプロジェクションマッピングが開幕を告げた

【相澤冬樹】国内外の芸術家がつくばに滞在し、作品を制作・展示する「つくば国際アーティスト・イン・レジデンス2019―第7回国際つくば現代美術『周縁の美学展』」が4日、幕を開けた。つくば市とNPO法人つくばアートセンター(篠原光子代表)主催で、17日まで。同市吾妻の中央公園をはじめとするセンター地区の屋外空間を会場に展開される。

7回目を迎えた今年は、米国、フランス、インドなど10カ国から16人のアーティストが参加。現代アートの空間造形の手法である「インスタレーション」による公開制作が10月26日から行われてきた。つくばセンタービル広場には舟のように木の枝が組み合わされた展示が並ぶなどした。最終的に、展示会場はさくら民家園、中央図書館中庭、つくばカピオ別棟、つくば美術館屋外展示場などに広がった。

4日はオープニングイベントが行われ、市民ギャラリーで開催の開会式にはアーティスト全員が集まって、それぞれ展示に臨む意欲を語った。つくばの中心市街地は「古びたところもあって、インスピレーションを刺激する」という作家もいた。

開会式直後、いきなり中央公園からつくば駅方面へ街歩きのパフォーマンスが始まる展開で、遊びに来ていた家族連れは「何事か起こったのか」ときょとんとした表情。日没を待って、市民ギャラリーをキャンバスに投影するプロジェクションマッピングも行われた。

同展は一部ワークショップを除き無料。会期中、9日、10日、16日には小学生と保護者を対象にしたアートガイド(市民ギャラリー集合で約1時間、要予約)が、最終日17日には午後4時30分からさくら民家園集合でナイトアートツアーが、それぞれ行われる。問い合わせは、つくばアートセンター(hearth.art981@gmail.com)

出展のアーティストが並んで自己紹介する「周縁の美学展」開会式=つくば市市民ギャラリー

➡つくばアートセンターの過去記事はこちら

膝に人工関節も連日の登山 土浦「小町山」の愛好会長

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斎藤さん(㊨先頭)が考案した山登りのサポート杖=土浦市小野
斎藤晃さんと小町山周辺の山並み

【相澤冬樹】低山といえど、山頂を目指すならトレッキングやハイキングではなく「登山」。筑波山系に連なる標高361メートルの小町山(土浦市小野)では、地元の愛好家がルート整備をしながら山登りを楽しんでいる。小町里山愛好会―。会長の斎藤晃さん(77)は毎日午前中の登山を欠かさないほどの熱の入れようだが、その右膝には人工関節が入っているというから、“健脚”っぷりには驚かされる。

土浦市小野の「小町伝説」に由来する小町山。愛好会が勝手につけた名だが、最近はグーグルマップにも載っている。会の結成は2017年3月、所有する地元砕石メーカーの協力のもと山に立ち入り、同所の「小町の館」から山頂に至る3つのハイキングルートを整備している。

東のハイキングコースに連結する朝日峠展望コース、中央の急勾配を登る尾根コース、西の沢伝いを回り巨石群に抜ける天の川コースの3コース。お隣りの宝篋山(ほうきょうさん、標高461メートル)の登山道整備に一役買ったメンバーが加わって、ルート整備を担っている。

秋の紅葉シーズンともなるとごった返すほどの人出となる宝篋山の混雑を避けて、小町山に移ってきた愛好者が多い。「標高は100メートル低いが難易度からいえば小町山。甘く見てると意外な急勾配に息が上がってしまう」そう。変成岩の一種、ホルンフェルスが大きく露頭している場所などがあり、「小町の舞台」だの「おかめ岩」だの名付けて楽しんでいる。

「山は診療所」健康増進に新兵器も

活動の先頭に立つのが、登山道入口近くに自宅を構える斎藤会長。70歳を超えて人工関節を右膝に入れ、とぼとぼ歩いていたところを山に誘われた。一念発起して登ってみると、脚の痛みも忘れ、一気に病みつきになった。以来毎朝、多少の雨ぐらいは意に介さず登るようになった。今では1時間ほどかければ登れるという。

「年取ると何かにつけ出歩くのがおっくうになるが、山歩きほど健康増進にいいものはない」と斎藤さん。多くの人に山の良さを知ってもらいたい、と最近、足腰が心許ない高齢者を同伴するための新兵器も開発した。2メートルほどの長さに切った竹材2本を布のない担架のようにして用いる。介助者が前後に立ち、中央に高齢者などハンデキャップ者をはさんで山道を登るものだ。

「山は診療所」といい、自宅の納屋は「山小屋」と呼んで活動の拠点にしている。2日開催のスタンプラリーには家族連れなど約180人が参加した。こうしたイベントは年1回しかできないが、山道の整備作業は月1回程度行っており、ボランティア参加を歓迎している。

申し込み・問い合わせは斎藤さん(電話:090-2526-2131)

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筑波大、流経大に敗れる 関東大学サッカー茨城ダービー

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【筑波大―流経大】後半9分、流通経済大ゴールを攻める筑波大MF山原怜音(水色のユニホーム)=龍ケ崎市中里のたつのこフィールド

【崎山勝功】第93回関東大学サッカーリーグ1部後期第19節の筑波大―流通経済大戦(通称「茨城ダービー」)が3日、龍ケ崎市中里、市陸上競技場たつのこフィールドで行われ、筑波大が0-1で流経大に敗れた。筑波大は3日時点でリーグ4位で、残り3試合を前に全日本大学サッカー選手権(インカレ)出場圏内の上位5チーム入り(リーグ優勝の明治大を除く)を維持できるか、微妙な情勢となった。

筑波大は、前半13分に流経大FW山口大輝(4年)にシュートを決められ失点を許した。同点に追いつこうとMF高嶺朋樹(4年)らがシュートを計3本放ち流経大ゴールを攻めるも得点にはつながらず、前半を折り返した。

後半も流経大優勢の流れは変わらず、筑波大ゴール前をGK大川圭為(4年)ら守備陣の健闘で辛うじて点差が広がるのを阻止していた。筑波大は後半12分にFW森海渡(1年)、同30分にFW和田育(1年)、同44分にMF加藤匠人(2年)を相次いで投入したが、試合の流れを変えるには至らず、同点に追いつけないまま試合は終了した。

5月に行われた前期第9節の茨城ダービーでは、筑波大が流経大に1-0で勝利していた。しかし流経大は茨城国体の県チームに選手14人が出場して、茨城県の優勝に貢献。国体が終了しメンバーが復帰してからは、流経大はこれまでの関東大学リーグ最下位(12位)の不調を取り戻すかのように快進撃を続ける。3日時点で11位ながらも10位の早稲田大とは勝ち点差を1まで縮めて、2部降格圏脱出を図っている。

筑波大は2日のインディペンデンスリーグ(Iリーグ)=大学トップチーム以外の選手対象=でも流経大と対戦し、筑波大U-22Aチームが1-2で流経大U-22Aチームに敗れた。

「完敗と言っていい」筑波大の小井土正亮監督 流経大が隙無く戦って、我々のミスを確実にものにした。我々は一度も相手の隙を見つけることができなかった。完敗と言っていい。(流経大は)国体も戦って、リーグ戦も戦って、というハードな日程をこなしていることにリスペクトしている。茨城国体で優勝したことが少なからず(流経大)選手の自信になっていると思う。まだ(インカレ)出場権は確定した訳ではないし、出られるために勝ち点を1ポイントずつ稼いでいくしかない。残り3試合をいい準備をして勝ち点を取る戦いをしていきたい。

「国体の経験生きた」流経大の中野雄二監督 ウチ(流経大)は今の順位が良くないので勝つしかない、という気持ちがゲームのいろんな場面に出ていた。筑波大とは昨日(2日)もIリーグでもいい試合をやらせてもらって、今日(3日)もまた2日連続でこういう試合になったけど、筑波大という素晴らしいチームがそばにあるので、切磋琢磨して頑張ろうという気持ちになれる。国体は47年に一度。僕らの今年の一番の目標は「国体優勝」だった。リーグ戦に影響があったのは事実だが、ここに来て国体の経験が生きて4連勝している。

スタンドから声援を送る筑波大蹴球部員たち=同

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中川氏と安藤氏が一騎打ちへ 土浦市長選告示

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出陣式の様子

任期満了に伴う土浦市長選が3日告示され、現職で5期目を目指す中川清氏(74)=無所属=と、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=同=が立候補を届け出た。市政の継続か刷新かを巡って、一騎打ちの選挙戦に突入した。

中川氏は4期16年の実績を強調。「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴える。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の15人の応援を受けて万全の組織で再選に挑む。

安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴える。市立保育所を守ってほしい、コミュニティバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴え、市民に浸透を図る。

有権者数は11万8348人(2日現在)。選挙権が18歳以上に引き下げられたことから前回より約3000人増えた。前回の投票率は28.42%だった。

投票は10日午前7時~午後6時まで市内50カ所で行われ、午後7時から、同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育館)で即日開票される。大勢判明は午後8時ごろの見込み。

出陣式で訴えを述べる中川清候補

中川清(なかがわ・きよし)氏 74 市長 無所属 現④

【公約】①民間活力の誘致による魅力ある霞ケ浦湖畔の創出②サッカー等多目的広場の整備③若い世代の結婚・出産・子育て支援の充実
【略歴】県立土浦一高、慶應義塾大経済学部卒。土浦商工会議所会頭、県公安委員長を歴任。2003年11月から現職。

【中川陣営の出陣式】午後4時から同市城北町のホテルで出陣式。地元の青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男両県議、市議15人のほか、商工・農業団体代表者、県内各地の市町村長らがずらりと顔をそろえ「難しい時代だからこそ安定、継続、安心」(伊沢氏)が求められるなどとアピールした。中川氏は「人(市職員数減)やお金(財源)がなくなっていく中で時代に合わないものは止めていった。そういうことをして(市立図書館や消防庁舎など)老朽化し狭あい化していた公共施設を建て替えることができた」と行財政改革の成果を強調。今後は新しく整備した公共施設を活用しソフト面を充実したまちづくりを進めたい、国に先駆けて実施した子育て支援コンシェルジュやふれあいネットワーク事業をさらに充実させたいなどと訴えた。

 

出陣式で訴える安藤真理子氏

安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新

【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持

【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。

【安藤陣営の出陣式】午前11時から同市下高津の選挙事務所で出陣式。駆けつけた市議は2人だったが、同僚だった県議14人が顔を並べた。片山さつき参院議員(元内閣府特命相)が応援の先陣を切り「ケンミンショーで嫌な思いをさせられてきた茨城のイメージを一新するには、これまで一人もいなかった女性市長の誕生しかない」とハッパをかけた。安藤氏は「県内一古く全国でも3番目に古い市立土浦幼稚園の存続を支援したい。元気な高齢者が社会を支えていける制度を作っていきたい。財政の危機が言われるが、土浦には企業や消費を呼び込める立派な宝がたくさんある。支出を抑える施策はもう限界で、収入を増やす方策を考えるべき。売り込みに自ら足を運ぶトップセールスで臨みたい」とアピールした。

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筑波大とつくば市の図書館が連携協定 記念にブックカフェで交流

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屋外にオープンしたブックカフェで、日常とは異なる環境の図書館を楽しむ参加者ら=つくば市天王台、筑波大学付属図書館脇

【鈴木宏子】筑波大学付属図書館(つくば市天王台、阿部豊館長)と同市中央図書館(同市吾妻、柴原徹館長)が連携協定を締結し、2日、第1弾の事業として付属図書館脇で記念イベント「ライブラリーピクニック」を催した。本を積んだ車が屋外でブックカフェをオープンしたり、市の自動車図書館が本を貸し出すなどの催しが展開された。

将来は教育・研究機関とも

互いの図書資料やウェブ上のデータの相互活用、人的交流などを推進しようと今年9月、連携協定が締結された。大学と市町村図書館の協定締結は県内初という。

今後、どのような事業を展開していくかは、協定締結に合わせて設置した「つくば市域図書館連携協議会」で検討していく。同大学術情報部アカデミックサポート課の村上康子課長は「まずは垣根を取り払って、互いが持っているリソースや人材の交流ができれば」と話す。同市の柴原館長は「将来、市民がワンストップの窓口で互いの資料を利用できるようになれば」と期待を寄せる。

市内には、各研究機関に図書館や図書室などがあり、それぞれ専門資料を所蔵していることから、将来は、市内の研究機関や他大学の図書館にも参加を呼び掛ける。

2日のライブラリーピクニックは、日常と異なる環境で図書館を楽しみ、利用者同士が交流しようと開かれた。神奈川県横浜市都筑区で活動する「つづきブックカフェ」が会場でカフェを開き、参加者は車に積んである本を手に取って、屋外に設置されたイスに座ってコーヒーを飲みながら本を読んだり、読み聞かせを楽しんだりしていた。

大八車で商店街に乗り込む つくば出身の若者グループ

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「スタジオウイークエンド」の(左から)横山大貴さん、小林大介さん、鶴身侑未さん

【相澤冬樹】再生整備に取り組む古くからの町によく似合う――と、大八車の再活用を提案する4人の若者が2日、「秋の北条市」開催中のつくば市北条商店街に3台の大八車を持ち込み、移動式屋台への転用を目論むプランなどを披露した。

4人は県立並木高校出身の横山大貴さん(25)らでつくる「スタジオウイークエンド」。竹中工務店大阪本店の設計部門に勤務する同僚グループで、つくば市の「つくばR8地域活性化コンペティション」に、活性化プラン「旅する大八車と小さなパレード」を応募して採択された=7月27日付け。かつて荷物運搬道として栄えた「つくば道」などで用いられた大八車を再活用し、つくば市周辺の旧市街地を移動しながら、地域で開催される祭などに参加、新たな繋がりをつくるプロジェクトという。

大八車は江戸時代から昭和初期まで、家財や商材などを荷台に載せて人力で運んだ木製の貨物運搬車。採択以降、周辺市街地で眠っている大八車がないか探したところ、北条、小田、谷田部の3地区で1台ずつ見つかり、譲り受けた。呉服店やタバコの運搬に使われたもので、大正年間の記録も出てきた。

それぞれ分解し、車輪や荷台を採寸して図面に書き起こす一方、どのような屋台を載せたらいいか、花車などのミニチュアを製作して、修復に向けた作業を進めた。来年2月に予定される成果報告会までに完成させる予定。活性化に向けたリノベーションなどに取り組む周辺市街地で、イベントやお祭りに貸し出すなど、地域振興のツールとして活用を図りたい考えでいる。

まちなか運動会の開催で賑わう「秋の北条祭」=2日、つくば北条商店街

今回の「大八展」は、さらにどんな展開ができるか、完成後の適当な保管場所がないか、など情報収集も兼ねての展示となった。折から「まちなか運動会」を開催中の北条商店街では、「うちの蔵にもあったから」と大八車の車輪を持ち込んで展示に加える商店主もいて、関心を引いた。

同グループは3日、谷田部地区で開催の「オータムフェア」にも出展する。

漆塗りでよみがえる「神橋」渡り初め 筑波山神社御座替祭

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修復を終えた神橋を渡る御座替祭のみこし=つくば市筑波、筑波山神社

【鈴木宏子】江戸時代初期に建造された筑波山神社(つくば市筑波)の神橋(しんきょう)が30年ぶりの修復を終えた。1日、山頂と中腹の神が夏と冬に住まいを替えるとされる秋の御座替祭(おざがわりさい)が催され、色とりどりの装束をまとった祭りの行列が神橋の渡り初めをした。

神橋は、第3代将軍、徳川家光が1633年に筑波山神社を整備した際、建造された。明治政府の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)政策によって多くの建物が破壊されたが、神橋は破壊を免れ、現在は県指定文化財になっている。

屋根を備えた幅3メートル、長さ7.3メートルの朱色の太鼓橋で、日光東照宮と同様に彫刻と彩色で華麗に装飾され、江戸時代初期の建造物の特徴を備えている。

修復工事は2018年5月から今年10月まで実施された。前回は1988年に実施し30年ぶりの修理となった。

30年ぶりに漆塗りがよみがえった神橋

土台や柱の腐食部分を交換した。柱は、くぎや金具を使わない「金輪継(かなわつぎ)」という伝統的技法で組まれた。屋根は厚さ3ミリのサワラの薄い板を3センチずつずらしながら7枚重ねる「杮葺(こけらぶき)」という技法で全部ふき替えた。塗装は、30年前の修復時は合成塗料が使われたが、すべて除去し漆塗りとした。

文化財の修復を全国各地で手掛ける金剛組が施工し、小西美術工藝社が塗装などをした。修復費用は約1億2000万円で、県と市、同神社が実施した。

神橋は普段は立ち入ることができず、御座替祭が催される4月1日と11月1日の年2日だけ渡ることができる。修復が完成した今年の御座替祭は昨年より多くの見物客が訪れ、御座替祭の一行に続いて渡り初めをしたり、写真に収めたりしていた。

昨年に続いて祭りを見物した、かすみがうら市の主婦、袖山幸子さん(68)は「去年は工事中で神橋は工事の足場に覆われていた。今年はきれいになっていて、渡れて良かった」と話していた。

修復工事完了の特別企画として現地説明会を開いた市文化財課の石橋充さんは「神橋は日光東照宮より早くできた。筑波山神社の建物を見直してもらえたら」と話していた。

たすきリレー土浦駅前から出発 児童虐待防止啓発の「オレンジリボン」

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オレンジ色のタスキを付けた走者たち=1日午前8時30分ごろ、土浦市大和町のアルカス土浦

【崎山勝功】児童虐待防止の啓発活動、オレンジリボン運動=※メモ参照=を広める「子どもを守ろう!オレンジリボンたすきリレー2019」の出発式が1日、土浦市大和町のアルカス土浦屋外広場で開かれ、県内の児童施設職員ら22人がゴールの茨城県庁(水戸市笠原町)に向かって出発した。

出発式で児童養護施設「窓愛園」(土浦市殿里)の上方仁理事長は「大切な子どもたちを守っていかなきゃいけない」と述べ、児童虐待防止を訴えた。上方理事長と中川清土浦市長からオレンジ色のたすきを手渡された走者たちは、午前8時30分ごろに中川市長の競技用ピストルの合図に合わせ、晴天の下、県庁まで約50キロの道のりを駆け出した。

たすきリレーは、児童虐待防止を広く市民に知ってもらうために、県児童福祉施設協議会、県要保護児童対策地域協議会が主催して開かれ、2013年から今年で7回目の開催。

取材に上方理事長は「虐待だけでなく、いじめも増えていて子どもが大切にされなくなっている。もう一度子どもの大切さを再認識してもらいたい」と訴えた。

◆増える一方の児童虐待通報

県こども家庭課の統計によると、県内の虐待相談対応件数は、直近の2018年度で2687件(全相談件数5995件中44・82%)で、虐待相談対応件数が急増し始めた16年度の2038件よりも約600件も増加している。県では、土浦など県内3カ所の児童相談所(児相)で対応した全ての児童虐待案件の概要を県警に情報提供する取り組みを18年1月から実施しているが、児童虐待は増加の一途だ。


同課によると、18年度での児童虐待2687件の内訳は▽心理的虐待56・6%▽身体的虐待26・6%▽ネグレクト(育児放棄)15・3%▽性的虐待1・5%。児童虐待の加害者別では、▽実母46・6%▽実父44・8%▽実父以外の父6・3%と、実母と実父で約8割以上を占めている。

被害児童の年齢別では▽小学生34・6%▽3歳~就学前24・7%▽0~2歳児18・0%▽中学生14・8%▽高校生ほか7・9%と、自力で抵抗できない小学生と未就学児だけで被害児童の約7割強を占めている。

児童相談所や市町村間での適切な引き継ぎの実施や警察との連携強化、児童福祉司などの専門職員の増加を盛り込んだ議員提案条例「茨城県子どもを虐待から守る条例」が、昨年12月県議会で成立し、4月1日から施行された。

だが、相次ぐ児童虐待に対して上方理事長は、児相に一時保護要請が毎日のように来ている現状に触れて、児童養護施設は「どこも定員いっぱい。虐待児童を受け入れたくても受け入れられない。本当は(親元に)お返ししないで、少しお預かりしたほうがいいけど」と苦しい事情を明かした。

※メモ・オレンジリボン運動
2004年、栃木県小山市で当時3歳と4歳の兄弟が、同居していた父親の友人から暴行を受けた末に川に投げ込まれて死亡した事件を受けて、05年に同市の市民グループ「カンガルーOYAMA」が事件の再発防止と児童虐待防止を目指して始まった。

【アングル土浦市長選】6 サイクリスト1.5倍に 駅ビルが起爆剤

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世界レベルのサイクリング拠点と評価される土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」

【鈴木宏子】霞ケ浦や筑波山をめぐる全長約180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2018年度の利用者数が8万1000人と前年度の1.5倍に急増した。20年に10万人という目標を今年度中に上回りそうな勢いだ。

昨年、1.5倍に急増した理由について県地域振興課は、自転車道の整備などハード面の環境整備と、サイクリスト向けサービスの充実や情報発信などソフト面の取り組みのほかに、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」がサイクリング拠点として開業したことが非常に大きいと分析する。

「土浦駅ビルは世界レベルのサイクリング拠点」だという評価も専門家から出ているという。駅直結の拠点施設で、シャワーやロッカーも整っていること、さらに駅ビル内にあるレストラン、物販店、コンビニまでもがすべて、自転車で利用できる「自転車ファースト」が貫かれていること、来年3月にはサイクリングを楽しむためのホテルが完成し、自転車の拠点施設としてのスケールの大きさが世界に例を見ないという評価だ。

選定されれば「次は世界」

つくば霞ケ浦りんりんロードは、日本を代表し、世界に誇る、国のナショナルサイクルルートの第1次指定候補にも選ばれた。瀬戸内海を渡る「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県・愛媛県約70キロ)、琵琶湖を一周する「ビワイチ」(滋賀県、約190キロ)と並ぶ候補だ。

正式に選ばれれば、次は「世界に打って出る」と県担当者。英語や中国語などの看板表記を増やすなど環境を整え、さらにこれまでは台湾など自転車が盛んなアジアを中心にモニターツアーなどを開催してきたが、今後は個人旅行が主の欧米などからの旅行客にもPRしたいとする。

結節点から玄関口に

駅ビル「プレイアトレ土浦」のオープンは土浦市の位置づけを、サイクリングコースの結節点から、玄関口へと変えた。

こうした中、市は今年3月、霞ケ浦を臨む土浦港周辺の旧京成ホテル跡地にサイクリング施設「りんりんポート土浦」を整備した。今年度は次の段階として、マリーナを含む南側3.9ヘクタールに民間事業者の創意工夫を生かした集客・誘客施設の整備を促せないかと、民間事業者のヒヤリングなどを実施している。気運を捉えて、官民連携による観光拠点を整備し、にぎわいを創出したい考えだ。
=終わり

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出走! サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト 茨城大学など産学連携

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発酵堆肥「サラブレッドみほ」を掲げて記者会見に臨む(左から)関浩一園長、荻島光明事務局長、黒田久雄教授=つくば国際会議場

【相澤冬樹】競走馬の育成牧場から毎日大量に排出される馬ふんを有効活用し、環境循環型の地域農業への展開を図る「サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト」が県南地域の大学、民間企業、農業従事者の連携で動き出した。良質な堆肥の生産体制が整い、農水省の研究開発プラットフォーム活動の1つに取り上げられたことから、メンバーがコンソーシアム(議長・黒田久雄茨城大学農学部教授)を立ち上げ31日、記者会見を開いてスタートを宣言した。

馬ふんベースの発酵堆肥「サラブレッドみほ」を製造、販売するのはリーフ社(つくば市若栗、鈴木総一社長)。つくば牡丹園(つくば市若栗)の関浩一園長(59)が約20年にわたって培った土壌改良の技術を元に、馬ふんを短期間で完熟堆肥とすることに成功した。関園長は土壌研究のため、東京農工大学の連携大学院のある茨城大学農学部に籍を置き、現在博士課程3年に在学中。

美浦トレセンのある茨城県南には35の育成牧場で作る馬牧場協議会があり、約1500頭が飼われている。ここから出るふん尿まみれの敷きわらは毎日約30トンにもなり、霞ケ浦をはじめとする環境への負荷が懸念された。同協議会が黒田教授に相談したことから、関園長に堆肥化研究の白羽の矢が立った。

競走馬はドーピングの厳しさから飼料に抗生物質や薬物を使わないよう管理されるため、原料としては良質だが、堆肥にする場合、炭素/窒素の比率が高いのがこれまで技術上の課題だった。微生物が大量発生して窒素を消費するため、作物の生育に障害となった。

関園長は米ぬかやカニ殻、酵素などを混ぜることによって、微生物の発生をコントロール。糸状菌や放線菌などの働きにより、ふん尿廃棄物を早ければ20日間で完熟堆肥にすることができた。敷きわらの植物成分は高温ですっかり分解し、ほとんど匂いのしない状態に仕上がる。完熟堆肥を使った土壌は保水力や柔軟性に優れ、肥料や農薬の使用が抑えられるという。現在3棟の堆肥ハウスで製造を行っている。

「作物が丈夫になった」

「サラブレッドみほ」はボタン栽培で実績を積み、今春までに製品化、一部ホームセンターで取り扱いを開始した。さらに阿見町の農事組合法人大地のめぐみの組合員農家で、農作物での実践的な試用が始まっている。同法人の荻島光明事務局長によれば「ハクサイなど今季は台風15号、19号の被害を免れなかったが、作物が丈夫になったと思う。回復力がめざましい。農地の健康が作物の健康、ヒトの健康、地域の健康につながっていくはずだ」という。

今回は茨城大学、大地のめぐみ、リーフ社の3法人でコンソーシアムを組んだ。黒田教授は、阿見町、美浦村を中心につくば市、牛久市、稲敷市の農地に利用を拡大し、定量的な堆肥効果の把握に務める一方、農家レストランへの食材提供などによりブランド価値を高める「プロジェクト」にしていきたい考えでいる。

高校生が花いけバトル 2日、イオン土浦

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主催団体「いばらきの花振興協議会」の大会案内から作成

【山崎実】花を生ける文化を現代に合わせた新しい形で表現する「高校生花いけバトルいばらき大会」(いばらきの花振興協議会主催)が11月2日、イオンモール土浦1階花火ひろば(土浦市上高津)で開催される。

全国大会はあるが、県レベルでは初の試みで、高校生をはじめとする若い世代の花と緑に対する関心を喚起し、茨城県の花き文化の振興と、消費拡大を図るのが目的。

県内の同じ高校に通学する2人1組でチームを編成し、制限時間わずか5分間で、ステージに用意された花材を即興で生けるというバトル。生けた花や生ける所作の美しさなどで審査員や観客を魅了したチームが勝者となり、トーナメント方式で優勝者を決める。

今回の大会には、県立土浦三高、石岡二高、取手二高、八千代高校など県内8校の17チーム34人が、”生け花の美”を競い合う。

また会場のイオンモール土浦では2日から4日まで「いばらき花フェスタ」が開かれ、県内の産地から集めた花の販売が行われる。3日にはワークショップが開かれ、寄せ植え、アレンジメントなどが催される。

観戦無料。同大会に関する詳しい問い合わせは、県産地振興課内、いばらきの花振興協議会事務局(電話029-301-3954)

光と絹に魅せられて 土浦でステンドグラスと創作衣服の2人展

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ステンドグラスの鳳凰を前に、昭子さんの創作衣服を着た田崎さん夫妻=土浦市民ギャラリー

【伊藤悦子】土浦市の田崎慶三郎さん(78)、昭子さん(77)夫妻の「ステンドグラス・創作衣服2人展」が30日、同市大和町の市民ギャラリーで始まった。11月3日まで。慶三郎さん制作のステンドグラス作品は27点。ランプやお雛様のパネル、鳳凰(ほうおう)のついたて、オブジェなどが並ぶ。昭子さんの作品、創作衣服は13点が展示される。

慶三郎さんとステンドグラスとの出会いは今から40年前。田園調布駅(東京都大田区)近くの小さな美術館に何となく心が惹かれ、中に足を踏み入れたところ真っ暗な中にステンドグラスの光があったという。その光に魅せられ、「仕事中もステンドグラスのことばかり考えていた」と話す。

1979年に脱サラし、自らのステンドグラス工房を作った。82年には日本代表する木工家具デザイナー、林二郎さんの工房に通った。工房の家具に刺激を受け、家具とステンドグラスを組み合わせた作品を生み出した。

夢中になって作っているうちに、87年には三越(本社・東京都新宿区)や帝国ホテル(東京都千代田区)で個展を開くことができたという。2000年には筑波山ろくに創作活動の拠点を移し、ランプスタンドの鉄ベースのデザイン・制作も開始した。05年からは土浦市飯田に移転、工房を兼ねたギャラリーを構え、現在もステンドグラスを作り続けている。

今回展示されている鳳凰のついたては「デザインを考えるのに半年、制作期間は3カ月かかった」という労作だ。

創作衣服に触れる来場者=同

一方、昭子さんは「絹」に魅せられ着物から洋服を創作している。「絹は軽くて着やすいのが魅力。着物の元の柄を生かしながら、お客様一人ひとりに合わせて作るから創作。よく言われる着物のリメイクとは異なる」と語る。創作衣服はすべて直接手で触れて、絹の感触を実感することができる。

つくば市から訪れた41歳の女性は「本当に素敵、鳳凰のステンドグラスの迫力がすごい。色彩感覚がすばらしい」と作品に見入っていた。

田崎クラフト「ステンドグラス・創作衣服2人展」 11月3日(日)まで土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)。入場料は無料。午前10時~午後6時。問い合わせは田崎クラフト(電話080-3029-4138)

【アングル土浦市長選】5 公立の役割とは 市立幼稚園を廃止、保育所を民営化

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2018年3月に廃止された旧市立都和幼稚園

【鈴木宏子】公立幼稚園の廃止と公立保育所の民営化が土浦市で進んでいる。市の計画では公立幼稚園は2022年3月までにすべて廃止される。公立保育所は21年3月までに6園が民営化され、残り4園も25年度までに民営化の対象とされる予定だ。

公立幼稚園の再編計画によると、少子化と共働き世帯の増加により、公立は園児数が15年までの10年間で53%減少し、15年度の5園の平均園児数は定員に対し34%になっていたことが背景にあるとする。

一方、公立保育所については、同民間活力導入実施計画や市議会での説明によると、平均建築年数が36.5年(16年時点)となり更新や長寿命化を行う時期を迎えているが、民間にできることは民間にという国の三位一体改革により施設整備の国庫補助金が廃止されたこと、延長保育や多様なカリキュラム志向など多様な保育ニーズにきめ細かく対応するためなどという。

さらに18年時点の試算では、公立幼稚園5園の廃園と公立保育所10園の民営化により、人件費を含めて幼稚園が約9000万円、保育所が約4億円、計4億9000万円の市費の負担減になるという数値が明らかにされている。

母親たちが問題提起

幼稚園や保育園など幼児教育における公共の役割はないのだろうか。

公立幼稚園の廃止が公表された16年、突然の廃止の話に、子供を市立幼稚園に通わせていた母親たちが立ち上がり、同市では近年にない大きな住民運動が展開された。20代、30代の母親たちが市民団体「土浦公立幼稚園を守る会」を結成し、7401人の反対署名を集めて同年6月議会に反対陳情を出した。陳情は趣旨採択されたが、公立幼稚園を廃止とする議案は可決された。

この運動の中で、母親たちから「公立が無くなってしまうと、発達障害など特別な支援を必要とする子供たちが受け入れなくなってしまうのではないか、私立だけで十分が対応ができるのか」などの問題提起が出された。

当時、守る会代表だった小沢恵子さん(37)は、長女が卒園した市立土浦幼稚園について「発達障害などの子には1人の子に1人の先生が付いて、皆が温かく子供たちを見守る雰囲気があった。自分の子に障害児などとの仲間意識が芽生えた」と語る。さらに「廃止や民営化によって土浦市はベテランの幼稚園教諭や保育士さんたちを失ってしまう。ベテラン職員は地域の児童館に異動することもあり、子供をよく知る見守りの輪が地域に広がっていると感じ安心だった」と話し、障害児と健常児が一緒に過ごす統合教育の充実と、地域との連携強化などに公立の役割はあるのではと話す。

幼稚園は、発達障害など特別な支援が必要な園児の受け入れ体制などを整えるため、市内すべての幼稚園と認定こども園園長による市幼稚園連絡協議会を設立した。保育所はこの問題について、後期の実施計画(21~25年度)の中で改めて検討していくとしている。

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3氏が考えを表明 土浦市長選公開討論会

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公開討論会でそれぞれの考えを述べる(左から)安藤真理子氏、中川清氏、相澤保男氏

【鈴木宏子】任期満了に伴う土浦市長選(11月3日告示、10日投開票)を前に、土浦青年会議所主催による立候補予定者の公開討論会が29日夜、同市中央、亀城プラザで開かれた。現職の中川清氏(74)、新人で県議の安藤真理子氏(58)、新人で水墨画家の相澤保男氏(81)の3氏が出席し、市の活性化、少子化や高齢化対策、安全・安心に暮らせる政策、霞ケ浦などの観光政策についてそれぞれの考えを表明した。

市の活性化について中川氏は「中心市街地は往来が増えた」と実績を強調し、立地適正化計画に基づき、めりはりのあるまちづくりをして、周辺地区に波及させたいなどと話した。安藤氏は「神立、おおつ野、新治、荒川沖とそれぞれ街ができているが、バスがとても少ない。点と点を公共交通機関で結んで回遊性があるまちにしたい」と語った。相澤氏は「モール505の空き店舗を全部、市で借り切って高校生などに無料で貸してあげたらいい。何かが生まれる」と話した。

少子化と高齢化対策について中川氏は、新婚世帯の引っ越し費用助成や産婦健診費用助成など数々の実績を挙げて「切れ目のない継続的な子育て支援を行っている」と述べた。高齢化対策については、中学校区ごとに専門スタッフを配置して支援の輪を広げる『ふれあいネットワーク』を土浦が日本で一番先につくったと強調した。安藤氏は、市立幼稚園の廃止と市立保育所の民営化について触れ「民でできることは民でやることが大切だが、市立の幼稚園と保育所を残すことも大切」と話し、高齢化対策については「元気な高齢者が街に出て、病院に行くだけでなく、遊びや趣味も楽しめるよう、公共交通網を整備する必要がある」と述べた。相澤氏は「高齢化は避けては通れないが少子化はどうにかできる」とし「1人目が生まれたら100万円、2人目200万円、3人目300万円の一時金をあげたらどうか」などと話した。

安全安心について中川氏は、自主防犯組織やLED防犯灯設置などの実績を挙げ「刑法犯認知件数が10年で半減した」と強調。防災や医療面でも実績を強調した。安藤氏は台風19号で避難勧告が出されたことを振り返り「旧市内の避難所は満杯状態だった。避難場所の見直しの必要性を強く感じた」などと話した。相澤氏は「花火大会でも事故があった。100%安全安心はない」とした。

霞ケ浦などの観光について中川氏は「来年(土浦駅ビルに)星野リゾートのホテルがオープンすればサイクリストを街なかに引き込める。つくば霞ケ浦りんりんロードがナショナルサイクルルートに選ばれたという機を逃さず首都圏のゲートウエイとして交流人口の拡大に努めたい」と話した。安藤氏は「霞ケ浦は土浦の宝。もっと多くの人が集まっていい素材」だと述べ、沿岸の市町村と連携して魅力を発信していくことが大事。SNSで情報を発信したり、足で出向いてPRしたり、国や県と連携して霞ケ浦の魅力をアップさせたい」と述べた。相澤氏は「霞ケ浦のまわりの市町村全部を合併させて人口44万人の政令市をつくり、霞ケ浦を船で行ったり来たりできる地域をつくりたい」などと語った。

【アングル土浦市長選】4 地元負担3割の壁高く コミュニティーバス導入進まず

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土浦駅西口のバスターミナル

【鈴木宏子】廃止されるバス路線が増え公共交通不便地域が拡大している土浦市で、代替の交通手段となるコミュニティーバスの導入が進まない。導入にあたっては、地域住民や商工業者などで運営委員会を組織し、運行経費の3割以上を運賃収入と地元負担でまかなうことを条件としているためだ。この「地元負担3割」が高い壁になっている。

「高齢化が進んだ地区になって、免許を返納し公共交通に目を向けたが、バス路線は無く、自分たちはどうしたらいいのかという話が出ている。ネックとなるのは3割の地元負担。10年前とは(高齢化率が)違うんだということでバス事業者と再検討をしてほしい」。市の公共交通の運行状況などについて協議する「市地域公共交通活性化協議会」で、利用者代表の委員から出された切実な声だ。

地元負担の問題は市議会でもたびたび取り上げられてきた。今年6月の一般質問では「土浦市のようにコミュニティーバスを走らせるために、市民に責任を負わせているやり方を行っている自治体はいくつあるのか。ほかの自治体のように、7割ではなく、全てを市が責任を持って公共交通網を形成をしていくことが必要」(田子優奈氏)、「地元負担金がネックになって、新治バスの後、いまだにどこの地域も導入できてない。地元負担を1割まで下げてくれという話をしている。そういう地元負担の設定をしない限りバスはどこにも走らせることはできない」(柳沢明氏)など厳しい指摘がされた。

市内を走行するコミュニティーバスは現在、NPOまちづくり活性化土浦が運行し中心市街地を巡回する「キララちゃん」の3路線のみ。市は、駅やバス停から遠い公共交通不便地域のうち市内12地区を、コミュニティーバスの運行が適する地域だとして導入を促している。神立中央、神立町、並木・板谷、木田余東台、中高津、永国東台、永国台、西根南・中村南・右籾、乙戸南の12地区で、17年には、それぞれ地区ごとに地元区長などを対象に、コミュニティーバス導入の条件や導入の流れなどについて説明会を開催した。しかし導入したいと手を挙げた地区はゼロ。2014年3月、コミュニティーバス「新治バス」が2年半で廃止になった教訓があるためで、地元負担3割という制度そのものが成り立っていないのが実情だ。

新治地区を巡回する「新治バス」は地元商工会などが運営委員会を組織して2011年10月、試験運転を開始した。地元負担3割が条件だった。しかし想定より乗客が少なく試験運転期間の3年を待たず運行を中止した。

2年半で2991万円の運行経費がかかったが運賃収入は243万円しか得られなかった。国の補助金を差し引いた3割(458万円)を地元で負担しなければならず、運賃収入を差し引いた215万円を地元商工会などが協賛金を集めて負担した。

新治バスの失敗後、市はコミュニティーバスの導入に向けて地域に助言、協力する相談窓口をつくるなどした。15、16年は数カ所の地区から制度の内容を知りたいなどの問い合わせがあったものの、ここ3年は相談が寄せられていないという。

県全体では路線回復

市内では路線バスの廃止が続き、バス路線の休廃止が許可制から届け出制になった2001年以降、40路線以上が廃止された。この間、増えた路線は、いずれも隣接のかすみがうら市地域公共交通会議が呼び掛けて12年6月に復活した土浦駅と玉造駅(行方市)を結ぶ「霞ケ浦広域バス」と、今年10月に運行が始まり、かすみがうら市旧千代田地区を巡回し神立駅と土浦協同病院を結ぶ「千代田神立ライン」の2路線だけだ。

一方、県全体では、路線バスはバス路線が届け出制に変わって以降一時減少し、14年度までの13年間で319系統、1677キロが廃止されたが、その後、市町村がコミュニティーバスの運行を増やしたため路線延長が増加し、最近は2002年とほぼ同じ水準まで回復しているという。

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【台風19号】避難勧告で防災への関心高まる つくば市森の里団地

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消防職員の水害への話を聞く住民たち=つくば市森の里(倉本さん提供)

【橋立多美】大型で非常に強い台風19号の到来で避難勧告を受け、つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里は防災への関心が高まった。19号に続いてやってきた21号の影響による大雨から一夜明けた26日、森の里公会堂で開催された消防訓練には通常の倍の住民約70人が参加した。

避難所では詳しい情報がつかめない

同団地は1970年代に計画的に整備された住宅街(面積33ヘクタール、約1300世帯)で東は小茎、西は牛久沼に注ぐ谷田川を挟んで茎崎、南は牛久沼を挟んで下岩崎、北は六斗と接している。

入居から40年。2011年の東日本大震災で地盤に液状化現象が発生したり、15年6月、1時間に81ミリの猛烈な雨が降って一部の住居が床下浸水の被害に遭ったが、団地住民は「避難」とは無縁の生活を送ってきた。それだけに避難勧告は予想外の出来事だったのではないか。地域住民の安全な暮らしが双肩にかかる森の里自治会長の倉本茂樹さんに話を聞いた。

同団地で問題となるのが東側の小茎地区との境の里山だ。高さ10メートルほどの緩やかな斜面で、同市作製のハザードマップ(被害予測地図)で土砂災害警戒区域に指定されている。

土砂災害警戒区域に指定されている森の里と小茎の境の里山

気象庁の「記録的な大雨になる」という発表を受けて11日夕方、市の危機管理課から里山に最も近い16軒の住民を対象に自主避難所=※メモ=を茎崎交流センターに設けるという連絡があった。倉本さんをはじめとする自治会役員が手分けして1軒ずつ連絡して回った。

翌12日午前9時、自主避難所だった茎崎交流センターは指定避難所となり、ペット同伴可能な避難所が茎崎中学校柔剣道場に開設された。午後2時3分に避難勧告が発令されると茎崎地区の土砂災害警戒区域の住民たちが避難し、森の里住民を含めて計154人が身を寄せた。

午後10時、暴風雨を押して避難所を見舞った倉本さんは「団地住民3人に会った。冷え込みが厳しくなかったのは幸いだった。避難所で最も知りたいのは台風の動きだがホールに行かないとテレビはなく、けたたましいスマホの緊急速報は短文で詳しい情報はつかめないと思った」と話した。

一方、自治会の事務局でもある公会堂には副会長ら5人が万一に備えて待機した。雨風が小康状態になるまで何度も電話が鳴った。防災・防犯部を兼務する副会長の松村健一さんによると「不安で心細い」という住民からの電話や、老親と離れて暮らす人が団地の状況を問い合わせる内容だったという。

森の里は水田を埋め立てた平坦な土地で、雨水は谷田川に直接ポンプで排水している。団地内に10カ所の排水施設があり、1カ所を除いて停電でも稼働する。台風19号と、21号の影響で激しい雨がまとまって降った25日も住宅が水につかる被害はなかった。

避難への質問相次ぐ

大雨が過ぎ去った翌26日午後1時30分からの消防訓練は、市南消防署茎崎分署の職員による「水害」に重点を置いた講話が行われ、集まった住民70人が熱心に聞き入った。その後「避難の判断はどう考えればいいか」「水害時の避難に車を利用するのは危険か」など、迅速な避難や対処について活発な質問が相次いだという。

防災・防犯部を代表して訓練の進行役を務めた松村さんは「昨今は想定外の災害が発生する。台風で不安な夜を過ごした人が多かったが、結果的に防災への意識が高まった」と振り返る。

倉本会長は「これまで重要視されなかったハザードマップに関心を寄せる住民が多くなり、『なくしたので欲しい』という声がある。市から入手して公会堂に置くようにしたい」と話す一方、茎崎地区の区長たちと情報交換して地区全体で災害に備えたいと話してくれた。

※自主避難所
避難勧告を発令する際に開設する指定避難所とは異なり、自主避難を希望する人が親戚宅や知人宅などの安全な避難先を確保できない場合に利用できる「一時的な避難所」。

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【アングル土浦市長選】3 寄付講座で黒字転換の霞ケ浦医療センター 「再編統合」のリスト入り

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高齢者の多い利用者からはいまだに「国立病院」の名で呼ばれる霞ケ浦医療センター=土浦市下高津

【相澤冬樹】県も市も、当事者の病院も声をそろえ、「寝耳に水だった」と振り返る。厚生労働省が9月26日、診療実績が少ないなどとして、再編統合の検討が必要な全国424の公立・公的病院名を公表した際、リストに霞ケ浦医療センター(土浦市下高津)の名があったため、周囲に動揺と戸惑いが広がった。

院長メッセージを発信

以来1カ月、利用者や住民から問い合わせが寄せられる同センターでは、情報を収集し、県、市との協議を繰り返す中で、ようやく事態の輪郭が飲みこめてきた。今月末に鈴木祥司院長(56)名で「患者」と「院内」向けに、今後とも病院の役割を「しっかり行っていく」旨、メッセージを発する準備が整った。

それによれば、今回の公表は厚労省が強制力を持って病院の再編・統合を進めるものではなく、県が主導する地域医療構想会議で議論し、地域の中での病院の役割を明らかにするのが目的と受け止めている。同構想は2025年の医療需要と病床の必要量を見通し、分担や連携などによって医療提供の体制を実現するための施策をまとめるもの。会議は県内9保健所ごとに設置され、土浦地域医療構想会議(委員長・小原芳道土浦市医師会長)は同市と石岡市、かすみがうら市をエリアとし、行政、医療・福祉関係者など約20人で構成される。

土浦市などによれば、同会議ではこれまで、全国で下位から2番目の医師不足の茨城県にあって、同市へは鹿行地域などから患者が押し寄せ、産婦人科病院のない石岡市からの流入も顕著になっている現状を踏まえ、病院機能の分化と連携が議論されてきた。高次医療について同センターと土浦協同病院に加え、近隣の筑波大学付属病院、東京医大茨城医療センターのそれぞれの持つ機能に合わせた体制の構築を議論してきた。

霞ケ浦医療センターは2004年、それまでの国立病院から独立行政法人に改組となり、会計上「独立採算」となって経営がひっ迫、40人以上いた常勤医が2010年には18人まで減って、経常収支も悪化した。廃院も取りざたされ、地元住民から病院支援の陳情運動が起こり、同市が総理大臣あて意見書を提出する事態にまでなった。

地方自治体からの支援を可能にする地方財政法の改正を受け、同市は12年、同センター内に筑波大学大学院の研究科を置く「寄付講座」を設けた。土浦地域臨床医療センターと呼ばれるもので、医療者の研究と教育の役割も担っている。

同市によれば12年度からの5年間は2億6600万円を寄付、17年度から第2期に入り、2年間で1億5400万円を寄付した。教員(医師)数でいえば、教授3人、講師2人の派遣を受け入れたことになる。19年度からは筑波大学のフラッグシップホスピタル(地域拠点病院)にも指定された。

これらの取り組みの結果、病院収支は改善、18年度は経常収支が黒字となった。同年度の医師数は常勤医39人、非常勤8人で以前の水準に戻した。手術件数は2287件で07年1189件の倍近くになった。

1年で対応策とりまとめ

土浦協同病院が16年、同市おおつ野に病床数800の新病院を建設して移転して以降、同市の桜川以南の住民には同センターが存在感を増している。鈴木院長によれば「霞ケ浦医療センターは土浦の市民病院的な役割を担い、急性期の患者だけを診るのではなく、二次救急から在宅医療・介護までをマネジメントできる医療者のリーダーを育成してきた」という。

海軍病院の名残りをとどめる東郷平八郎の書を前に取材に応じる鈴木祥司院長

地域医療構想会議においても「再編統合」の話にはならない。団塊世代がそろって後期高齢者となる「2025年問題」を越えて、高齢者人口が総人口の3分の1を超えると推計される「2040年問題」に向け、同センターの機能転換についての議論に踏み込んでいた。課題となっている周産期患者の受け入れ拡大などのため、病院の改築も目論んでいた。そんな矢先の厚労省の発表だった。

「よくよく聞いてみると、公表の根拠は2017年6月単月の診療実績によるものだった。病床の絶対数で差のある土浦協同病院との単純比較には納得できない点もあった」と鈴木院長。これまでの取り組みには自信をもっているが、病院の建て替え話は仕切り直しを迫られた格好だ。医療費削減を至上命題とする国からの資金投入が期待できないなか、自治体が再編策に反発しても財政負担を伴う施策を打ち出せるか、同会議を通じ対応策は来年9月までにまとめることになる。

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針葉樹林に広葉樹を 筑波山で350人参加の記念植樹祭

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斜面地での慣れぬ植樹に取り組む参加者=筑波山神社林

【相澤冬樹】NPO法人地球の緑を育てる会(事務局・つくばみらい市、石村章子理事長)の第15回筑波山水源の森づくりが27日、つくば市筑波の筑波山神社林で行われた。2006年に始まった植林活動で、山の斜面約500平方メートルにシラカシやコナラなど落葉・常緑の広葉樹12種、約1200本の苗木を植えた。

今回は「改元記念植樹祭」と銘打って行われ、協賛企業や明るい社会づくり筑浦協議会、土浦ライオンズクラブなどの関係団体、市民ら約350人が参加。同神社参集殿前で開会式を行った後、女体山に向かう登山道脇の神社林に入り、約1時間ほど作業した。

350人が参加しての開会式=筑波山神社参集殿前

同会が取り組むのは、荒廃する針葉樹林を整備し、常緑広葉樹を植えて生態系に適った森に再生する活動。横浜国立大学名誉教授、宮脇昭氏の提唱した手法という。筑波山神社は 375 ヘクタールという広大な神社林を有するが、戦後植えられたスギ、ヒノキ、マツの針葉樹林が多くを占め、間伐などの管理不全のまま荒廃している部分が目立っていた。

「筑波山は全国緑化行事発祥の地で、現在の全国植樹祭の原点となった鬼ヶ作(桜川市)の植林地には記念碑も建っている由緒ある場所。今日の荒廃を見ていられなかった」と石村理事長。神社周辺に古くからある巨木を母樹とする広葉樹からどんぐりを拾う活動から始め、つくばみらい市狸穴にある同会の圃(ほ)場で鉢植えにして育ててきた。2~3年で植樹可能な苗へと生長するという。

神社の合意のもと、これらの苗木を持ち込み、2006年から中腹の林で水源の森づくりを行ってきた。これまでの14回で延べ参加人数は2714人、1.2ヘクタールの林に2万7000本の苗木を植えてきた。企業・団体による植林分を含めると合計は約2ヘクタール、4万3000本に及び、場所によっては人の背丈以上に育っている。今回の記念植樹で、神社から提供された女体山下の植林地は全域に手を入れたことになるそうだ。

12の樹種はシラカシ、ウラジロガシ、スダジイ、シロダモ、タブノキ、コナラ、イヌシデ、サカキなどの落葉・常緑の広葉樹で、容器苗の形で持ち込まれた。林地は会員によってあらかじめ耕起され、針葉樹の枝葉も打ち落とされて日差しが入るよう整えられていた。このところの雨で滑りやすくなっていた足元の地形に注意しつつ、参加者は移植コテを手に苗木を1本ずつ丁寧に植えた。各樹種を混在して植える、枝葉でマルチングするなどの指導のもと作業した。

植樹祭には毎回JICA筑波の研修員が参加しており、今回も23人が加わった。フィジーのペリーマさんは、農業研修と地方再生のプログラムを学ぶため10月8日に来日したばかりでの参加になった。南太平洋の島国だが森林保全の活動は行われているそうで、「筑波山の森はビューティフル。一気にこの地が好きになった」と話した。

JICA筑波の研修員らも植樹に取り組んだ

業者ごみやら粗大ごみまで 土浦花火大会明けて、市民ら清掃活動

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臨時ごみ置き場に不法投棄された家具やテレビなどの粗大ごみ=27日午前7時50分ごろ、土浦市生田町

【崎山勝功】2年連続で事故が起きた第88回土浦全国花火競技大会から一夜明けた27日早朝、土浦市佐野子の桜川河川敷周辺では、小中学生や地元住民などの市民ボランティアが手分けして放置ごみの回収に当たった。例年臨時ごみ置き場には、見物客の置いていったごみだけでなく、露天商が出した産業廃棄物や、花火大会と関係ない家庭の粗大ごみが出されており、市商工観光課は露天商らで組織する外商組合に廃棄物の持ち帰り協力を口頭で依頼しているほか、粗大ごみ不法投棄対策として「家庭ごみを出さないように、との看板を出すことを含めて検討する」としている。

ビニールシートなどを回収する市民ボランティアたち=27日午前7時35分ごろ、土浦市佐野子の桜川河川敷

27日午前7時ごろの桜川河川敷の無料観覧場所には、ビニールシートやテーブルなどが散乱していた。現場は25日に降った大雨で地面がぬかるんでおり、一部の清掃ボランティアは長靴を履いてビニールシートの撤去に当たっていた。清掃ボランティアの男性は「今年は大雨でぬかるんでいるの片づけは大変そうだ。ビニールシートとか持ち帰ってくれればいいのに」と話した。

JR土浦駅西口の歓楽街・桜町では、清掃ボランティアたちが吸い殻や空き缶などを回収していた。同町内の飲料水自動販売機横のごみ箱には、見物客らが捨てたごみであふれていた。

自動販売機前に捨てられたごみの山=27日午前7時10分ごろ、土浦市桜町

相変わらずの「便乗不法投棄」

花火大会の複数の臨時ごみ置き場には、可燃ごみの他に、段ボール紙や廃食用油、野菜くず、売れ残りの焼きそばなどの産業廃棄物や、家具や廃家電などの粗大ごみが捨てられていた。

このうち、同市生田町の臨時ごみ置き場には、可燃ごみに混じって廃食用油などの産廃をはじめ、テレビや空気清浄機などの廃家電製品が見られた。

同市田中のごみ置き場には、露店の売れ残り商品や段ボール箱などが捨てられており、近くを通りかかった住民は「ここの住民は(花火大会の)前日にごみを出している。段ボールは指定の日に出している。ごみの半分以上が業者のごみではないか」と、不快感を示した。清掃ボランティアの女性は「毎年のように業者が捨てていく。売れ残りのベビーカステラもある」と明かした。

市商工観光課の担当者に臨時ごみ置き場の写真を見せたところ、担当者は「花火大会前に外商組合と打ち合わせをしているが、その中で『ごみは持ち帰りいただきたい』と協力依頼を口頭でしている」と述べた上で、「今後も外商組合に協力をお願いしていく」と引き続き露天商に向けて協力要請する方針を示した。

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