日曜日, 11月 8, 2026
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【アングル土浦市長選】3 寄付講座で黒字転換の霞ケ浦医療センター 「再編統合」のリスト入り

【相澤冬樹】県も市も、当事者の病院も声をそろえ、「寝耳に水だった」と振り返る。厚生労働省が9月26日、診療実績が少ないなどとして、再編統合の検討が必要な全国424の公立・公的病院名を公表した際、リストに霞ケ浦医療センター(土浦市下高津)の名があったため、周囲に動揺と戸惑いが広がった。

院長メッセージを発信

以来1カ月、利用者や住民から問い合わせが寄せられる同センターでは、情報を収集し、県、市との協議を繰り返す中で、ようやく事態の輪郭が飲みこめてきた。今月末に鈴木祥司院長(56)名で「患者」と「院内」向けに、今後とも病院の役割を「しっかり行っていく」旨、メッセージを発する準備が整った。

それによれば、今回の公表は厚労省が強制力を持って病院の再編・統合を進めるものではなく、県が主導する地域医療構想会議で議論し、地域の中での病院の役割を明らかにするのが目的と受け止めている。同構想は2025年の医療需要と病床の必要量を見通し、分担や連携などによって医療提供の体制を実現するための施策をまとめるもの。会議は県内9保健所ごとに設置され、土浦地域医療構想会議(委員長・小原芳道土浦市医師会長)は同市と石岡市、かすみがうら市をエリアとし、行政、医療・福祉関係者など約20人で構成される。

土浦市などによれば、同会議ではこれまで、全国で下位から2番目の医師不足の茨城県にあって、同市へは鹿行地域などから患者が押し寄せ、産婦人科病院のない石岡市からの流入も顕著になっている現状を踏まえ、病院機能の分化と連携が議論されてきた。高次医療について同センターと土浦協同病院に加え、近隣の筑波大学付属病院、東京医大茨城医療センターのそれぞれの持つ機能に合わせた体制の構築を議論してきた。

霞ケ浦医療センターは2004年、それまでの国立病院から独立行政法人に改組となり、会計上「独立採算」となって経営がひっ迫、40人以上いた常勤医が2010年には18人まで減って、経常収支も悪化した。廃院も取りざたされ、地元住民から病院支援の陳情運動が起こり、同市が総理大臣あて意見書を提出する事態にまでなった。

地方自治体からの支援を可能にする地方財政法の改正を受け、同市は12年、同センター内に筑波大学大学院の研究科を置く「寄付講座」を設けた。土浦地域臨床医療センターと呼ばれるもので、医療者の研究と教育の役割も担っている。

同市によれば12年度からの5年間は2億6600万円を寄付、17年度から第2期に入り、2年間で1億5400万円を寄付した。教員(医師)数でいえば、教授3人、講師2人の派遣を受け入れたことになる。19年度からは筑波大学のフラッグシップホスピタル(地域拠点病院)にも指定された。

これらの取り組みの結果、病院収支は改善、18年度は経常収支が黒字となった。同年度の医師数は常勤医39人、非常勤8人で以前の水準に戻した。手術件数は2287件で07年1189件の倍近くになった。

1年で対応策とりまとめ

土浦協同病院が16年、同市おおつ野に病床数800の新病院を建設して移転して以降、同市の桜川以南の住民には同センターが存在感を増している。鈴木院長によれば「霞ケ浦医療センターは土浦の市民病院的な役割を担い、急性期の患者だけを診るのではなく、二次救急から在宅医療・介護までをマネジメントできる医療者のリーダーを育成してきた」という。

海軍病院の名残りをとどめる東郷平八郎の書を前に取材に応じる鈴木祥司院長

地域医療構想会議においても「再編統合」の話にはならない。団塊世代がそろって後期高齢者となる「2025年問題」を越えて、高齢者人口が総人口の3分の1を超えると推計される「2040年問題」に向け、同センターの機能転換についての議論に踏み込んでいた。課題となっている周産期患者の受け入れ拡大などのため、病院の改築も目論んでいた。そんな矢先の厚労省の発表だった。

「よくよく聞いてみると、公表の根拠は2017年6月単月の診療実績によるものだった。病床の絶対数で差のある土浦協同病院との単純比較には納得できない点もあった」と鈴木院長。これまでの取り組みには自信をもっているが、病院の建て替え話は仕切り直しを迫られた格好だ。医療費削減を至上命題とする国からの資金投入が期待できないなか、自治体が再編策に反発しても財政負担を伴う施策を打ち出せるか、同会議を通じ対応策は来年9月までにまとめることになる。

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