木曜日, 11月 6, 2025
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510人が色づく筑波山麓走る ナショナルサイクルルート指定記念

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大井川知事の号砲で先頭グループがスタート=土浦市川口、J:COMスタジアム陸上競技場

【相澤冬樹】ナショナルサイクルルート指定記念と銘打った茨城県の「つくば霞ケ浦りんりんサイクリング」が17日、土浦市のJ:COMフィールド土浦(川口運動公園)をスタート・ゴールとする57.4キロのコースで行われた。土浦青年会議所主催の「霞ケ浦サイクルフェスティバル2019」と同時開催された。

りんりんサイクリングは土浦を出発、つくば市沼田、かすみがうら市上土田を経由して、途中4カ所に設けられたエイドステーションでご当地の味覚を楽しんでもらう企画。ビギナー歓迎で参加者募集をしたところ、510人もの応募があった。東京都から155人、千葉県から77人と、茨城県の75人を上回る参加者を集め、4分の1が女性、30%はオフロードは初めてという構成になった。

募集時にはまだ指定されてなかったナショナルサイクルルートが7日に決まって、県は指定記念やロゴマークを入れた横断幕やのぼりを作成して開催に間に合わせた。開会式で大井川知事は「ナショナルサイクルルートという国のお墨付きを得たわけで、大いにアピールしたい。知名度ランキング7年連続最下位なんかぶっとばせ」と気勢を上げた。

五十嵐つくば市長も私費で参戦。スターターを務めた知事の合図で20人ほどのグループを作り、順次車列を組んでサイクリングに繰り出した。

今回のコースは、序盤こそ旧筑波鉄道の廃線跡を走る平坦なコースだが、筑波山の登山口で折り返してからは山麓に沿う一般道を走ってかすみがうら市方面に抜ける。高低差は小さいもののアップダウンが繰り返しあって、初心者にはそれなりにハード。色づき始めた山並みの景色を楽しみながら、好天の山麓コースを思い思いのスピードで駆け抜けた。

つくば霞ケ浦りんりんロードを走る参加者

東京・練馬から来たという新藤美紗子さん、遠藤友理さんの2人は、快調に飛ばして第2エイドステーションになっているつくば市平沢の官衙遺跡公園に到着。「1度目は北海道を走って、今日は2度目。いいお天気で気持ちよかったけど、脚はもう一杯いっぱい」と提供された常陸牛しぐれ煮おにぎりをほおばっていた。

エイドステーションになっている平沢官衙遺跡で提供されたおにぎりを広げる東京からの参加者=つくば市平沢

➡ナショナルサイクルルートの過去記事はこちら

清掃活動15年 「ごみ箱撤去以来きれいに」 土浦 霞ケ浦総合公園

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お孫さん連れで稲敷市から来たという参加者も“ごみ探し”で公園散歩=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【相澤冬樹】水郷桜イルミネーションの点灯式から一夜明けた17日、土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園で、第15回を迎えた「クリーン・ザ・パーク霞ケ浦総合公園」の清掃活動が行われた。主催は明るい社会づくり筑浦協議会(村上和雄会長)で、土浦ライオンズクラブ(飯田晃久会長)などと実行委員会を作って開催した。

同市やつくば市などから約130人が参加、午前8時から始まった開会式で、矢口幸一実行委員長は「普段はドングリの実を拾って育てる運動など、地域でボランティア活動を展開してきた皆さんが年に一度集まる機会がクリーン・ザ・パーク。元気な顔で令和最初のごみ拾いに集まれたことを喜びたい」とあいさつした。会には長年活動に参加して、一週前の土浦市長選で初当選した安藤真理子さんも駆けつけ当選の報告をした。

参加者はごみ袋を手に、同公園の水辺から運動広場まで広がって清掃活動に励んだ。風車広場周辺は点灯式前に一旦整えられていることもあって、前夜のごみもほとんど見当たらないクリーンさだった。公園全体で40リットルのごみ袋に換算して50袋に満たない回収量で約30分の活動を切り上げた。

15年間、活動に携わっているという木村清さん(80)は、「土浦の花火大会の後の清掃にも参加しているが、昔と比べると随分きれいになった。公園ではごみ箱の撤去以来、目に見えてごみが減った。ごみは持ち帰り、きれいに使おうという意識が定着しているみたいだ」という。

開会式に集まった参加者=同

水郷桜イルミネーション点灯 土浦 霞ケ浦湖畔

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点灯した水郷桜イルミネーション=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【鈴木宏子】土浦の冬の風物詩「水郷桜イルミネーション」が16日夕方、霞ケ浦湖畔の同市大岩田、霞ケ浦総合公園風車前広場で点灯した。高さ25メートル、直径20メートルのオランダ風車が光で彩られ、花火、ハス田、帆引き船、桜など土浦の風物が計約24万5000球のLEDで浮かび上がった。

今年で8年目。市民と企業有志でつくる「水郷桜イルミネーション推進委員会」が毎年実施している。今年は新たに、色合いが刻々と変化する1000輪のバラのアーチが風車南側にお目見えした。

同日午後5時から点灯式が催され、同推進委の広瀬英敏共同代表は「今年で8年目となるが、土浦自慢の地域資源をモチーフに湖畔を彩る水郷桜イルミネーションは、いまや土浦の冬の風物詩として定着している。霞ケ浦総合公園がより魅力的になり足を運んでいただければ」とあいさつした。

点灯のスイッチが押されると、詰め掛けた大勢の市民から「すごい」「きれい」などの歓声が次々に上がった。

点灯式前に催された、声優でいばらき大使の安達勇人さんのライブを見に、笠間市から長女と2人で訪れたパート窪田真由美さん(60)は「子供たちが小さい頃、風車を見に来て以来25年ぶりに来た。イルミネーションがこんなすごいとは思わなかった。来てよかった。感動」などと話し、光のアートに見入っていた。

水面に浮かびあがった帆引き船やハス田=同

同イルミネーションは来年2月16日まで点灯する。点灯時間は午後5時~9時。事業費は同推進委の協賛金約505万円と市の補助約640万円の計1145万円。

21日からは「土浦ウインターフェスティバル」が催され、土浦駅西口周辺や東口でもイルミネーションが点灯するれる。同フェスは来年1月31日まで。

土浦など9市町村71店で料理フェア開催中 17日は「れんこんの日」

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県が配布しているれんこん料理フェアのチラシ

【山崎実】生産量日本一を誇るレンコンをよりおいしく、身近に食べてもらおうと、土浦市など霞ケ浦周辺の9市町村で30日まで「日本一の茨城れんこんーれんこん料理フェア2019」が開かれている。

同フェアは1994年11月、全国の産地の代表が土浦市に一堂に会した「れんこんサミット」で制定された「れんこんの日」(11月17日)を含む1カ月間を期間限定で実施している。

参加店舗は、いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会の構成メンバーである土浦、石岡、稲敷、かすみがうら、小美玉、行方、阿見、河内、美浦の9市町村71店舗。

レンコンの消費拡大が目的で、霞ケ浦周辺のほか、都内のホテルや料理店でも茨城産レンコンの料理を提供するなど、全国に発信する。料理を食べた人にアンケートを行い、応募者から抽選でレンコン加工品などをプレゼント(20人)する企画も用意されている。

県によると、レンコンの都道府県別の作付け状況は、2016年実績で作付け面積1610ヘクタール、出荷量2万4100トンと、続く徳島県の出荷量5770トンを大きく上回り、収穫量、出荷量とも全国一を誇っている。

官民一体の料理フェアによる消費拡大作戦で、茨城レンコンのさらなるブランド化を図る。

問い合わせは茨城県県南農林事務所振興・環境室(電話029-822-7086)へ。

➡レンコン関係の過去記事はこちら

学会の試験問題を漏えい 40代男性講師を解雇 筑波大

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筑波大学

学会が実施する作成途中の試験問題を漏えいしたとして、筑波大学(つくば市天王台)は15日、同大の40代男性講師を10月29日付けで諭旨解雇したと発表した。

同大によると男性講師は、自身が所属する学会が実施する試験の問題作成委員になっていた。今年7月、試験を受ける予定だった同じ研究分野の後輩の同大教員に、作成途中の試験問題を漏えいしたとされる。

後輩の教員から今年7月、同大に相談があり発覚した。後輩の教員はいったん断ったが、先輩後輩の関係上、拒めなかったという。先輩の男性講師は漏えいを認め、試験に受かってほしかったと理由を説明しているとされる。

今回の漏えいを受けて、学会は試験問題の作成をやり直し、後輩教員は今回、試験を受けないという。

永田恭介学長は「本件は本学の業務に直接関係はないが、本学教員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾であり関係者に心からお詫びします。今回の事態を真摯に受け止め、教職員に対し研究倫理の向上を図り、再発防止に向けたさらなる啓発活動を行い、社会的信頼の維持・向上に努めます」などとするコメントを発表した。

ナショナルサイクルルート指定で加速 土浦発自転車サンデー

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晩秋の筑波路をたどるつくば霞ケ浦りんりんサイクリング(茨城県地域振興課提供)

【山崎実】茨城県のサイクルツーリズム(自転車観光)をけん引するつくば霞ケ浦りんりんロード(約180キロ)が、日本を代表する「ナショナルサイクルルート」の1つに指定されたことで自転車熱に加速がついた。イベントも盛りだくさんで、17日には土浦市のJ:COMフィールド土浦(川口運動公園)を主会場に「地域資源を巡る―つくば霞ケ浦りんりんサイクリング」(県主催)と「霞ケ浦サイクルフェスティバル2019ー自転車の聖地を目指して」(土浦青年会議所主催)が同時開催される。

17日午前9時スタートで

りんりんサイクリングは17日午前9時に開会。川口運動公園からつくば市沼田のりんりんロード筑波休憩所折り返しの周遊コース57.4キロを走り、途中、4カ所のエイドステーションでご当地の味覚を楽しんでもらう。レンタサイクルあり、ビギナー歓迎で参加者募集をしたところ、510人もの応募があった。北海道から兵庫県まで、県外から多数が訪れる。参加者には12歳の中学生から76歳の喜寿サイクリストまでがおり、「応募締め切り後にナショナルサイクルルート指定が決まり、記念イベントとして開催できることで盛り上がっている」と県地域振興課。出発地点の運動公園には周辺市町村からキッチンカーや物販ブースが多数出店する。

サイクルフェスティバルも午前9時スタート。土浦市内を走る「つちうら散走」、指定された神社仏閣にお参りしてご朱印をもらいながら走る「ご朱印ライド&ヒルクライドin土浦2019」のほか、「子供のための自転車教室」「ママチャリ ジャストタイムレース」などが繰り広げられる。イベントには参加料や自転車・装備の持ち込みが必要なものがあり、一部は応募を締め切ったものもあり、主催者に要確認。

また23、24日はかすみがうら市の歩崎公園で、関東では初めての民間主体による「バイク&キャンプ」イベントが開かれる。キャンプを通じて自転車旅の素晴らしさ、自転車の魅力を発信するイベントだ。月夜の中、会場全体で、多数のたき火による幻想的なりんりんロードと霞ケ浦を楽しむ演出も用意されている。

第一次ナショナルサイクルルート発表の席で赤羽国交相を中央に今泉石岡市長㊧と大井川知事㊨=中央合同庁舎(同提供)

ナショナルサイクルルートは、国が11月7日、全国で3カ所の第一次指定を発表。ビワイチ(滋賀県)、しまなみ海道サイクリングロード(広島県、愛媛県)と並んでつくば霞ケ浦りんりんロードが含まれた。指定を受けた際、大井川和彦知事は「東京に近く、平坦で走りやすいコース。国内外から多くの人に来てもらえるよう、しっかりサイクルツーリズムを推進していく」とコメントしたが、その輪は徐々に全県的な広がりを見せ始めている。

➡つくば霞ケ浦りんりんロードの過去記事はこちら

つくばの5社に県が計1500万円補助 宇宙ビジネス

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8月5日、つくば市内で開かれた第2回いばらき宇宙ビジネスサミットの様子(県科学技術振興課提供)

【山崎実】宇宙ビジネスの成長産業化を促進するため各種支援事業(補助金)を実施している茨城県は、今年度の第3回として5社5件への補助金交付を決めた。5社はいずれもつくば市内で、補助金の合計額は約1556万円。今後のビジネス展開を後押しする。

採択された5社5件は、▽有人宇宙システム(交付決定額342万円)=衛星データと地上データを活用したスマート農業向けアプリケーションの開発▽スペースキュービクス(393万円)=JAXA発ベンチャー、放射線の強い宇宙環境で発生する機器の誤作動などに対応する不具合検知・復旧機能を持つソフトウェアの開発▽ビーヤ(新規参入、20万円)=少量生産システム方式で生産される宇宙機用集積回路の販路開拓▽スペースシフト(400万円)=検知が難しかった衛星データの変化をAI(人工知能)を用いて高精度で自動検知するソフトウェアの開発▽クロスステージ(起業予定の個人、400万円)=衛星データや地表・天候などのビッグデータを用いて、人、物の流れを予測し、マーケティング効果の最大化を行うソフトウェアの開発。

20日秋葉原でサミット

いばらき宇宙ビジネスは、起業、関連企業の誘致、進出から独自の成長産業化を目指し、テイクオフ(離陸)の段階に入ろうとしているという。県は事業採択を契機に、茨城発宇宙ビジネスを国内外に展開する方針で、20日、東京・秋葉原UDXで「いばらき宇宙ビジネスサミット2019 in TOKYO」を開催する。昨年12月、今年8月に続く3回目のサミットで、宇宙ビジネスへの参入促進の気運醸成を図る。

20日は、日本発民間初の宇宙ビジネスカンファレンス、佐藤将史さんと、新事業開発のスペシャリスト、尾崎典明さんによるトークセッション「新時代の宇宙ビジネスに期待すること」のほか、県が立ち上げた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を活用した新たな事業展開のプレゼンテーションも行われる。

具体的には、アストロオーシャンの森琢磨さんが「小型ロケット洋上打ち上げ実証プロジェクト」、サグリの社長、坪井俊輔さんが「衛星を活用した耕作放棄地検出とワイン用ブドウの適地選定実証」、ワープスペースのCEO、常間地悟さんが「超小型衛星による世界初の衛星間通信ネットワークの実現」、Yスペース共同代表の田中克明さんが「つくば宇宙観光プロジェクト構想」―などについて、それぞれ開発事業内容や構想を披歴する。

問い合わせは県科学技術振興課特区・宇宙プロジェクト推進室(電話029-301-2515)。

【つくバス改編】「不安が的中」半年で利用者2万人減 市公共交通の総事業費は1.5倍

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つくばセンターバスターミナルを発着するつくバス(中央)=つくば市吾妻

【鈴木宏子】つくば市のコミュニティーバス「つくバス」の4-9月半年間の利用者数が、今年4月の大幅改編後、前年同期と比べ2万1231人減少したことが分かった。つくバスは2011年にシャトル型の運行が始まり年々利用者が増えてきた。11年以降、半年間とはいえ利用者が前年を下回ったのは初めて。14日、市内で開かれた市公共交通活性化協議会(会長・石田東生筑波大特命教授)で報告された。

今年4月の改編で市は、つくバスの停留所の数を2倍に増やしたり、路線を新設したり、実証実験として支線型バスの運行や路線バスの運賃補助を開始した。改編に伴って同市の公共交通の全体事業費は年間約3億8000万円から約5億6000万円と約1.5倍に増えた。

つくバスの利用者が減った理由について市は「渋滞などによる遅延を考慮した時刻の見直し、停留所数の倍増とルート変更による路線長大化の結果、運行便数が減少」したことが利用者減につなかったと分析している。

石田会長は「減ると思っていた不安が的中した。(2018年度までは)バス停の数を少なくする代わりに主要拠点への到着時間を小さくして便数を多くした。それでは地域間の不公平が生じるということで(4月の改編で)バス停を増やした。時間が長くかかり、バスの台数は一定なので便数を減らさざるを得なかった」と述べ、「全体としてほとんど(の路線)が減っており大きな問題」だとした。その上で「(時間調整のため)誰もいないバス停でバスが止まっていることがある。到着時間を短く設定したり、実績として利用がないバス停は(利用促進を)働き掛けた上で、利用が無ければ撤去することも考えるなど、うまく便数を増やす工夫をしないといけない」と話した。

路線別ではつくバス9路線のうち、つくばセンターから谷田部、茎崎地区を巡回する「南部シャトル」のみ利用者が増加した。4路線は利用者が減少、ルート変更や新規の4路線は1便当たりの利用者がいずれも平均の9.9人を下回った。南部シャトルと、筑波地区などを巡回する北部シャトル以外の傾向は昨年度と変わらなかった。

支線型バス「厳しい状況」

一方、3年間の実証実験として4月からスタートした筑波地区の支線型バスの半年間の利用実績は振るわなかった。4つのコースのうち、最も利用者が多い筑波ふれあいの里入り口から筑波交流センターを巡回するコースの1便当たりの利用者数は約0.9人、ほか3つのコースの平均は約0.2人だった。石田会長は「つくタクより厳しい状況。救世主にはなれない状況」との見方を示した。

支線型バスの停留所看板=つくば市北条

これに対し、同じ実証実験として茎崎地区で導入された路線バス運賃補てん事業は、4路線で1日平均220人の利用があり、当初の計画148人の約1.5倍の利用があった。城山団地などを運行する新規路線バス実証実験事業は、1便当たり平均4.5人の利用があった。住宅団地の自治会で利用啓発したなどの効果もあるとみられる。桜地区の増便事業は、1便当たりの利用は平均4.5人で、当初の事業計画とほぼ同じだった。

乗り合いタクシー「つくタク」の半年間の利用者数は前年同期とほぼ同程度だった。

【メモ】4月の公共交通改編の主な柱は、つくバスは、バス停の数を111カ所から223カ所に倍増した、これまでバスが運行してなかった市西部にバスを運行するなど路線を増やし走行総延長距離を7路線149キロから9路線205キロと1.4倍にした―など。バス停が2倍に増えた、時刻表を見直したことなどから目的地に到着するまでの所要時間が平均15分程度長くかかるようになり、結果として運行便数を334便から15%減らし283便とした。ほかに3年間の実証実験として、高齢化率が最も高い茎崎地区と2番目に高い筑波地区で路線バスの運賃補てんや、ワゴン車を使った支線型バスの運行などをスタートさせた。

➡つくバス改編の過去記事はこちら

染谷・東大教授に江崎玲於奈賞を授与 ナノテク駆使つくばで素材開発

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大井川知事(左奥)も閣つけての授賞式。江崎理事長と握手を交わす染谷東大教授=つくば国際会議場

【相澤冬樹】ナノサイエンス・ナノテクノロジー分野で優れた業績を挙げた研究者に贈られる「第16回江崎玲於奈賞」(茨城県科学技術振興財団など主催)の授賞式が13日、つくば市竹園のつくば国際会議場で行われた。

同財団の江崎玲於奈理事長から賞が贈られたのは、東京大学大学院工学系研究科教授の染谷隆夫さん(51)。ナノテクノロジーを駆使した素材開発によって、曲げたり、伸ばしたり、ねじったりできるようなゴムシートのような有機半導体デバイスを発明した。

この技術で人間の身体のような3次元曲面にさまざまな電子機能を直接貼り付けて、健康状態やスポーツの運動状態などをモニタリングできるようになった。最新のものは厚さが1マイクロメートル、1平方メートル当たり3グラムしかないフィルムに薄型センサーをプリントして肌に貼り付け、心電図を取るなどしており、新しいバイオエレクトロニクスが生み出されつつある。

江崎玲於奈賞は副賞1000万円、染谷さんは夫人同伴で授賞式に臨んだ。記念講演で研究にはつくば時代があったことに触れ、「2003年に研究を始めたころは、プリントは手刷りだった。2005年につくばに来て8年、伸縮性に富み壊れにくいナノ素材がみつかり、大面積に展開できる印刷技術につながった」と振り返った。

授賞式ではまた、県内において科学技術に関する研究に携わり、優れた成果を収めた研究者を表彰する第30回つくば賞が物質・材料研究機構フェロー、廣崎尚登さん(64)の「白色LED用蛍光体の開発」に贈られた。

さらに第29回つくば奨励賞(実用化研究部門)は同機構機能性材料研究拠点グループリーダー、島村清史さん(53)ら3人の「レーザー加工機用の優れたファラデー回転子の開発と実用化」に、同賞(若手研究者部門)が理化学研究所バイオリソース研究センターチームリーダー、林洋平さん(38)の「難病患者特異的 iPS細胞を用いた革新的治療法の創出」に、それぞれ贈られた。

かがいの舞台を再現 27日、筑波山で「百人きもの」

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昨年の「百人きもの」イベント時の記念撮影(筑波山華やぎプロジェクト提供)

【山崎実】筑波山に着物で集うイベント「百人きもの」(筑波山華やぎプロジェクト主催)が27日、つくば市の筑波山神社と、中腹の旅館、筑波山江戸屋で催される。

奈良時代の「常陸国風土記」にみる、男女が集い恋愛の歌を読み合う嬥歌(かがい)の舞台を再現する。にぎわいと華やぎをもたらすため、日本文化の象徴、着物で集い、歴史や伝統を学びながら、筑波山ファンのネットワークを構築するのが狙い。

筑波山系には、養蚕の創始にまつわる縁起「金色姫(こんじきひめ)伝説」が伝承される蚕影(こかげ)神社がある。筑波山神社の春と秋の祭り、御座替祭(おざがわりさい)の行事、神衣祭(かんみそさい)と神幸祭(じんこうさい)では、絹で織った神衣を神が乗り移るものだとしている。

筑波山周辺にはさらに、常陸紬(結城紬)、絹川(鬼怒川)、蚕飼川(小貝川)、糸繰川(糸魚川)など、いずれも養蚕に関わる地名などがあり、万葉集でも多く歌われている。これらのことから同実行委員会は「養蚕の創始、筑波山神社『御座替祭』の神衣であり、茨城の織物から見る筑波山の着物の淵源(えんげん)をテーマにした」という。

イベントの主な内容は、トークライブ「万葉集から令和を読み解く」布浦万代(万葉集研究家)、ライブ&朗読「金色姫伝説~篠笛にのせて」篠笛奏者YUJI&鈴木もえみ、つくばきものコレクション、きもの男子トーク、ランチ会議―など。参加費は8000円(事前振込)。

問い合わせは同実行委員会(電話090-8722-5697 筑波山江戸屋内)

➡金色姫に関連する記事・コラムはこちら

土浦のとび工、川島一男さんら5人 現代の名工に

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揚げ家工事をする川島一男さん(茨城県提供)

【山崎実】卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰する今年度の「現代の名工」に、茨城県から建築とび工の川島一男さん(71)=川島組、土浦市=をはじめ5人が選ばれた。11日の厚生労働大臣表彰の後、22日に県庁(水戸市笠原町)で開かれる県職業能力開発促進大会で業績などが披露される。

今年度で53回目を数えるこの制度は、技能の世界で活躍する職人や、技能の世界を志す若者に目標を示し、技能者の地位と技能水準の向上を図るのが目的。

茨城県からの受賞者は、川島さんのほか、▽田中尚氏(57)=数値制御金属工作機械工、日立製作所日立事業所▽中島崇衡さん(41)=金型保全工、パナソニックSPT石岡工場▽鈴木博巳さん(65)=建築塗装工、富士塗装店、日立市▽佐藤友昭さん(57)=石彫工、佐藤美術彫刻店、桜川市。

曳き家工事をする川島一男さん(同)

いずれもその道のベテラン技術者で、人材育成や後進指導に当たっている。川島さんは長年、住宅をはじめ文化財、寺社仏閣などの補強、曳き家工事(建造物の移動工事)などに携わり、施工実績は200件を超える。高校生の職場体験の受け入れを通して技術の継承、伝承に努めている。

石彫工の佐藤さんは、今も昔ながらの道具を使い、40年間にわたり1000体を超える石仏などの作品を手掛けてきた。石仏は曲線が多く、滑らかさを表現するのが難しいが、佐藤さんは、石が柔らかな布であるかのように仕上げる卓越した技能を持ち、後継者の育成にも取り組んでいる。

県によると、1967年に制度が始まって以来、県内から「現代の名工」として受賞された技能者は延べ235人に上る。

 

【土浦市長選】「市民の声を聞き、形にする」 初当選の安藤真理子氏が抱負

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初当選を受け抱負を語る安藤真理子氏=10日、土浦市下高津の選挙事務所

【鈴木宏子】『変わらなきゃね』という声がすごくあった。私より上の年代の女性が駆け寄ってきてくれて『よく(出馬を)決断したね』と言ってくれた。組織対市民一人ひとりの闘いだった――。現職で5期目を目指した中川清氏を破って初当選した前県議の安藤真理子氏は、10日投開票が行われた土浦市長選をこう振り返った。

ふたを開けてみると中川氏に4000票以上の差を付けた。「『(中川氏の)5期は長いよね』という声がすごく多かった。『安藤さんがいい』というのでなくて『中川さんは長い』という声が多くて、告示前には勝てると思っていた。会った人全員が投票に行っていたらもっと差が付いたと思う」と打ち明け、多選批判が勝因だったと分析する。

就任後、一番にやることは「まずは財政問題に取り組み(税収を増やすため)企業誘致に動きたい」と強調する。用途地域の見直しなども視野に入れているという。

現在、予定されている市立幼稚園の廃止や保育所の民営化計画に対しては「すべてを残すということではなく、一つ、二つ残したい。障害のある子(の配慮)は、決められた(職員の)人員配置だけでは難しい」と述べる。コミュニティーバス「キララちゃん」の運行を中心市街地だけでなく市全域に拡大してほしいという市民の声に対しても「(関係当事者と)話をしているので(運行拡大は)出来る」と断言する。

市政をどう変えていくのか。「市に何度要望しても、言うことを聞いてくれないから諦めたという声を何度も聞いた。まちを歩くと、こういうことをやってよという声をたくさんいただいた。そんなにお金が掛からず、今すぐ取り掛かれることはたくさんある。市民の声を形にしていきたい。市役所職員もアイデアをもっている。上からではなく(職員の)皆さんはどう思うの?と、アイデアを引き出していきたい」

➡土浦市長選の結果はこちら

【土浦市長選】新人の安藤氏が現職の中川氏破る 初の女性市長

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初当選の報に支持者らと万歳三唱の安藤真理子氏=土浦市下高津

【土浦市長選】(選管確定)

安藤真理子氏 23,610票

中川清氏 19,541票

(無効491票)

任期満了に伴う土浦市長選は10日即日開票され、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=無所属=が、現職で5期目を目指した中川清氏(74)=同=を破り初当選を果たした。同市に初の女性市長が誕生する。投票率は37.35%、当日有権者数は11万6834人だった。

市政の継続か刷新かを巡って、財政の健全化や福祉の充実などの争点に一騎打ちの選挙戦が展開された。安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、女性市長で暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴えた。立候補表明が投票日の1カ月前と出遅れたが、市立保育所を守ってほしい、コミュニティーバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴えたことが奏功した。

中川氏は4期16年の実績を強調、「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴えた。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の応援を受けて組織を引き締めたが及ばなかった。

安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新

【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持

【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。

万感の笑顔でダルマに目をいれる安藤氏=同

「市民一人ひとりの力で」

【安藤陣営】午後7時前に支持者が集まりはじめ、開票状況を見守っだ。速報が出るたびに同数だったことから、支持者がどよめいた。午後8時20分、いきなり当選の報が届くと、会場は「わっー」と歓声が上がり、「まりこ」「まりこ」のコールが起こった。

挨拶に立った安藤氏は「本当にうれしい。責任の重さを感じている。勝因は、組織ではなく市民一人ひとりの力。選挙運動期間中に土浦は変わらなきゃいけない、出馬してくれてありがとうと声をかけられたのがとても印象的だった。これから新しい土浦のスタートです。皆さんの声を聞きながら夢のある元気な土浦にしていきたい」と述べ、さらに「取り急ぎ財政の立て直しに取り掛かりたい」などと述べた。

5選目を目指しながら及ばなかった中川氏=土浦市東真鍋町

「多選批判もあると思う」

【中川陣営】土浦市東真鍋の選挙事務所には大勢の支持者が集まり開票を待った。午後8時20分、敗戦が伝わると、選挙事務所に集まった支持者は、にわかに信じられない雰囲気に包まれた。

中川氏は、「皆さんのご支援に答えられなくて申し訳ない気持ちです。本当にありがとうございました。市民が審判を下した結果なので、(安藤氏が)土浦市民のためにしっかり公約を守ってやっていただければ」と述べた。敗因については、「多選批判もあると思う。私の不徳の致すところだが、(安藤氏の)出馬が急だったので、陣営が整わなかった」と語った。

 

【土浦市長選】新人の安藤氏が現職の中川氏破る

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当選の報に沸く安藤真理子事務所=土浦市下高津

【速報】任期満了に伴う土浦市長選は10日即日開票され、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=無所属=が、現職で5期目を目指した中川清氏(74)=同=を破り初当選を果たした。投票率は37.35%、当日有権者数は11万6834人だった。

安藤真理子氏 23,610票

中川清氏 19,541票

無効491票(選管確定)

詳報はこのあと。

日本の四季や風景を中心に35点 土浦で「茨城写人会」展始まる

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写真仲間が集う「茨城写人会」の写真展=「さん・あぴお」(土浦市大畑)

【田中めぐみ】写真愛好家サークル「茨城写人会」の写真展が新治ショッピングセンター「さん・あぴお」(土浦市大畑)2階ギャラリーで始まった。日本の四季をテーマとした風景や人物の写真35点を展示している。16日まで。

会の代表、石川隆史さん(46)は、県内の風景を手巻き式のフィルムカメラで撮影し、自ら現像したモノクロ作品4点を出展。「小学4年生からカメラを始め、30年以上続けている。デジタルカメラで撮ることもあるが、最初に手にしたのがフィルムカメラで、その良さにひかれ戻ってきた」とアナログ撮影の魅力を語る。やわらかい質感を表現するため、紙質やプリンターにもこだわっている。

カメラ暦50年の鈴木憲治さん=同

鈴木憲治さん(72)は、20歳からカメラを始め、途中仕事で中断していたが定年後再び撮影を始めたという。「年をとっても楽しめるのがカメラの魅力。とにかく自分が美しいと思うものを展示している。自分たちが楽しんで作っているので、観る人も楽しんでくれるのでは」と話す。

土浦市内から来場した女性(70)は、「自分も友達もカメラをやるので興味があって見にきた。山歩きも趣味なので、行ったことのある場所が撮影されていておもしろい。表現がとても詩的できれい」と話した。

会は2002年に発足。元は市内のカメラ店を拠点に活動していた「PhotoGenix(フォトジェニックス)」という会で、2007年から「茨城写人会」に改称した。現在は40代から70代の会員9人が所属し、交流を深めているという。同写真展は毎年6月と11月に開催されており、今回で32回目となる。

開催は午前10時から午後5時(最終日は午後4時まで)。入場無料。問い合わせは代表石川さん(090-9017-9692)

女子学生さん、いらっしゃい つくば市消防本部で職場体験

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防火衣を装着し火点めがけて放水する女子学生=つくば市研究学園

【橋立多美】つくば市消防本部は9日、同本部が置かれた中央消防署(同市研究学園1丁目)で女子学生向けの消防職場体験を実施した。県内外から女子学生10人と男子学生4人が参加し、防火衣着装や消火活動などの体験と女性吏員とのランチミーティングが行われた。

数年後に社会人となる若者に、消防の仕事の魅力と消防分野で活躍する可能性を知ってもらおうという催しで、特に女性をメーンに据えた取り組みは今回が初めて。

きっかけは2015年9月4日に施行された「女性活躍推進法」だ。消防・防災の分野でも女性が活躍することで住民サービスの向上と消防組織の強化につながるとして、消防庁が各自治体の女性消防吏員の比率を26年までに5%に引き上げることを数値目標とした。消防士は正式には「消防吏員」と呼ぶ。

同市は今年3月、同庁が定めた数値目標達成に向けて女性吏員の活躍の推進に関する行動計画を策定した。計画では21年までに女性吏員11人(全体の3.1%)以上を目指し、26年に18人(約5%)と目標を掲げる。4月現在の同市消防職員320人中、女性は10人で「男の職場」というイメージが強い。

靴、ズボン、サスペンダーの順に装着していく防火衣装着体験=同

消防活動の現場がよく分かった

体験は防火衣着装から始まった。防火靴、防火服、防火帽、手袋を指導を受けながら身に着けた。火災が発生した建物に進入する可能性のある吏員の防火衣は約8キロと重く、10キロの空気呼吸器(ボンベ)を着装することもあるという説明に「えーっ」と声が漏れた。

続いて防火衣を着けたままホースを使った消火訓練に挑んだ。火点に向けての放水体験で、先輩の吏員から「腰に重心を置いて前傾姿勢で」と声が掛かった。学生たちは「ホースは重く、水圧が半端なかった」と感想を口にした。

高さ15メートルの訓練棟ではしごを使った救出訓練が行われ、真剣なまなざしで迅速な活動を見学した。そして、患者搬送など救急隊員の負担軽減のために同本部が導入している「ロボットスーツHALR(ハル)」を装着した。

下妻市在住で救急救命士を志す晃陽看護栄養専門学校1年の人見莉花さん(19)は「スーツを着けたら20リットルの水が入ったポリタンクが楽に持ち上げられた。災害現場など幅広く活用できるのでは」と笑顔で話した。

好天に恵まれ、中高層ビルの救助や火災に力を発揮する、はしご車(地上約40メートル)の搭乗は学生たちには新鮮な体験だった。安全ベルトを外して地上に降り立つと「いい眺めで怖さは感じなかった」と頬を紅潮させながら語った。

搭乗は2人ずつで順番で待つ間に吏員と言葉を交わす場面が見られた。つくば市手子生在住で国士館大学2年の男子学生、安曽晃平さん(19)は「現場の話が聞けて良かった。消防士になりたいという気持ちが強くなった」。

地上40メートルまで伸びるはしご車に乗った男子学生=同

現役女性吏員との対話

女性吏員が女子学生と一緒に昼食をとりながら、疑問や不安に応えるランチミーティングが同本部のホールで行われた。消防吏員を目指したきっかけや消火、救急、救助、火災予防などの職務内容や給与など、現役女性吏員のきめ細かな説明を交えて和やかに意見交換が進んだ。

参加者から「体力に自信がない」という声が上がった。消防歴15年で警防課主査の斎藤智絵美さんは「採用時に体力試験はあるが、懸垂ができない男性もいるから気にすることはない。女性の視点を消防や防災に生かせるし働きやすい職場」と背中を押した。

同本部総務課課長で消防司令長の山田勝さんは「今回の催しで女子学生の皆さんが消防に関心を持ち、吏員に挑戦してほしい」と話した。

ランチを囲み、打ち解けて話が弾む参加者たち=同

色づく街に香り立つ つくばコーヒーフェスティバルに人出

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好天に恵まれたコーヒーフェスティバルの会場=つくばセンタービル広場フォラム

【相澤冬樹】つくばコーヒーフェスティバルが9日、つくばセンタービル広場(つくば市吾妻)で始まった。同フェスティバル実行委員会(古橋見洋委員長)主催で2回目、10日も午前10時から午後4時の日程で開かれる。

会場には同市と周辺から17のコーヒー店が集結、広場の円周を囲むようにテントが並び客を迎えた。飲食や雑貨の店も軒を並べた。

今年度のジャパン・カップテイスターズ・チャンピオンシップ優勝者が出るなど、つくばはトップクラスのバリスタを数多く輩出するそう。コーヒー豆の焙煎(ばいせん)から自前で行うロースターが多いのも特徴だ。それらの腕利きが一堂に会して、味や香りを競うのが同フェスティバル。

昨年の1回目は2日間で1万2000人を集めたことから、街のにぎわい創出にも一役買おうと今年もクラウドファンデイングで運営資金を集め、ボランティア参加を呼び掛けて開催に至った。クラウドファンデイングには昨年を大幅に上回る115万円が集まり、今回は2日間で1万5000人を動員目標とした。

初日の入りは出足好調。4杯分のチケットが付いた特製の笠間焼カップを手に持って、各店舗前の行列に並んで飲み比べに参加する。コーヒーを注いでもらい、飲み歩きならが次の店を探ったり、テーブル席についてじっくり飲み干したり、それぞれの時間を過ごした。

実行委員会事務局の堀下恭平さんは「天気次第ながら1万5000人はいきそう。各店のお客が応援がてら来場していて、店舗と来場者の距離が近いのが特徴」という。「センタービル広場では年間50日ほどイベントがあるようだが、お酒を出さないのはコーヒーフェスティバルぐらい。日の落ちるのが早い11月にぴったりのイベント」と手応えを語る。

牛久市から来たという山岡さん夫妻は「週末晴れたのは久しぶりだから、この後、筑波山まで行こうとしたが、紅葉の見ごろには早そう。コーヒーを飲むうち気が変わって、色づいてきた中央公園の並木道で済ますことにした」と話していた。

行列に並ぶ前に品定めの一周

【総合運動公園問題】一括売却に反対多数 つくば市議会特別委

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7日開かれたつくば市議会高エネ研南側未利用地調査特別委員会の様子

「市民の声聞くべき」「一部公共利用を」

【鈴木宏子】住民投票で白紙撤回になったつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)を、民間に一括売却するという市の方針について検討する市議会特別委員会(小久保貴史委員長)が7日開かれ、委員一人ひとりが市の方針に対する考えを述べた。一括売却に反対や見直しを求める委員が多数を占め、「市民の意見を聞くべき」「一部公共利用も検討すべき」などの声が相次いだ。

次回は22日午後1時30分から開き、今回、各委員から出された意見をまとめた上で、今後どのような形で市民の意見を聞くかなどの進め方を検討する。特別委として来年3月までに報告書をまとめるが、今回、市の方針に反対する意見が多数を占めたことで、市の一括売却方針は見直しを迫られそうだ。

各委員から出された意見は次の通り。特別委は神谷大蔵議長を除く議員全員で構成。

自民つくばクラブ・新しい風

長塚俊宏氏 民間に委ねる前に時間をかけて公的利用も含め議会で考えるべき。46ヘクタールは広大。(今後このような)大きな土地を求めるのは難しい。筑波研究学園都市は災害に強い街。(同用地に)避難スペースを確保することも一案。30年間に首都直下型地震がある。国、県、東京都と直接、避難所として契約するような壮大な計画があってもいい。首都から50キロ、つくばエクスプレス沿いに歩いて1日で来られる距離だ。

黒田健祐氏 もう少し時間をかけて検討した方がよい。商業施設に対する懸念は理解できる。公的利活用について様々な可能性を追求したのか、資産としての可能性はどうか、中心地区の他団体と土地を等価交換する可能性なども検討できる。

小久保貴史氏 公共の一部利活用を含めて再検討する方がよい。(同用地はもともと)研究所用地だったので研究所や教育施設が望ましい。陸上競技場(の検討も)もちろんだが、今後、借入金の返済期間があるので、期限を決めて決定していくことが必要。現状は樹木が繁茂していて土地の形状がイメージできない。造成、伐根することも一案。つくば市の将来としてどう活用するか、大きな目標の中で、北部の振興、筑波山観光の広域インフラ整備、土地の交換、借金返済も含めてさまざまな方向で再検討すべき。

五頭泰誠氏(欠席・文書で提出)過去の経緯の議論は無しにして、市民要望を冷静に議論すべき。防災拠点、陸上競技場、市営斎場、処理場などがある。過去の政治にこだわるのではなく、利活用について積極的な議論が必要。

ヘイズ・ジョン氏 つくば市の足腰を強くして、30年後を考えてどうしたらいいか、将来のニーズをよく考えてお願いしたい。

久保谷孝夫氏(欠席・文書)もともと研究所や教育機関の用地だった。ただ売却して借金を返済するだけでなく、どうすればつくば市のためになるのか、地域の拠点になり得る利用方法があるのかを検討すべき。研究所や教育機関が望ましいが、拙速に進めるのではなく、どうすればつくば市のためになるかを考えるべき。

つくば市政クラブ

塚本洋二氏 陸上競技場や道の駅、併設して防災拠点などを検討してもいい。つくば駅から筑波山に行くまでの中間地点にある。筑波山観光の間の施設があってもいい。

大久保勝弘氏 (用地購入費と利子を含め)68億円を(民間提案の)40億円で売却すると28億円の損になる。一括売却は反対。(市執行部が)いろいろな市民の声を聞いたということがない。北部振興や筑波山観光、科学技術振興になるよう公的利用をすべき。県内一のスポーツ施設の整備、道の駅、自然環境を生かした公園整備など人口対策を考えた戦略をとるべき。

高野進氏 市長、副市長が出席すれば話をしたい。

柳沢逸夫氏 公的利用をお願いしたい。ゴルフ、バスケ、ラグビー等、スポーツで日本中が盛り上がっている。つくば市は今、人口24万人の街だが、筑波研究学園都市の整備やつくばエクスプレス開業など国や県の手厚い対応があったからだ。県南の雄としてスポーツ施設をつくり貢献することは、子供たちや保護者にとっても負担軽減になる。道の駅などの公的利用も考えられる。

須藤光明氏 第一に公共利用を考えるべき。防災拠点など市北部の中心地としての利活用を一番に考えるべき。北部振興を考えると、どうしてもある程度時間がかかってしまい、利息の負担がかかるし、万が一、具体的にならなかった場合、全面的に売却するとしても、市民に負担をかけさせないよう、安く売るのは避けるべき。

鈴木富士雄氏 一括売却には反対。(同用地は)桜川と小貝川にはさまれているが、浸水想定区域に該当しない。防災拠点、避難所として、平坦地なので有効な土地活用が可能。当面は広場として整地して、春秋の筑波山行楽シーズンに駐車場として利用して現地にバスで送迎してはどうか。筑波山の混雑緩和の一翼を担える。県内各地に道の駅がたくさんあり、創意工夫され、にぎわいの場をつくり出しているが、つくば市には道の駅がない。つくばを訪れる人の拠点となることが可能。つくば市にトップアスリートが来る機会も少ないので、県の方にお願いして県南のスポーツ施設の中心になればいい。

つくば・市民ネットワーク

小森谷佐弥香氏 一括売却処分がよい。ただし商業ゾーンが筑穂地区と重複しないことが前提。筑穂地区に悪影響にならないよう仕組みを作るのが肝。公共用地として残した方がよいという意見があるが、これまで具体的なものは聞こえてこなかった。市内には利活用が決まってない公共用地がたくさんある。必要な公共のものがあるならそちらを先にやるべき。(公共利用して)一部を残すと区画が限定され売却がさらに厳しくなる。

皆川幸枝氏 高い土地なので一括購入する業者がなかなか出てこない。毎年3400万円の利子を支払い、毎年利息が積み重なっている。福祉や教育で予算が必要なところがたくさんある。毎年利子を支払っていくのは現実的でない。

宇野信子氏 やっと光が見えてきた。一括売却はやむを得ない。68億円を40億円で売却するのは資産を減らす、市民に負担を強いるという意見があるが、そもそも不動産鑑定の問題があった。40億円代が適切な相場であって、公共用地として一部利活用すると、全体を考えないと売却できなくなる。(現在の所有者の)土地開発公社から購入すると、のちのち維持管理費がかかる。どうしても必要なものがあるのか、まとまってない。一括売却が一番。

北口ひとみ氏 執行部提案の一括売却処分が一番望ましい。筑穂地区の商業地と機能が重複しないことが前提だが。40年間塩漬けだった土地なのだから早く何とかするのは難しい。しかも平らでなく森林になっている。伐採伐根すると30億円くらいかかると言われている。事業者が一括購入後、区画整理して誘致するのが効果的で、高く買ってくれるかもしれないが、筑穂地区に重なるので商業用地やスーパー、モールはよろしくない。公共施設が具体的にイメージできないのでお聞きできれば。

日本共産党

山中真弓氏 66億円で(用地を)購入し利息2億円が付いて68億円を40億円で売るのは28億円の負債を抱える。基金などの財源を崩して穴埋めするというが(同用地は)市民の財産の一部になっている。市民の意見をきちんと聞いた上で利用法を考えるべき。市営墓地がほしい、子どもの遊び場がほしい、水遊びできる場所がほしいなどいろいろな意見がある。市民の意見を聞いた中で、本当に手放していいかどうか、議会で利用法をいくつか考えて、議会がパブリックコメントを出していく等、議会として提案してはどうか。

橋本佳子氏 一括売却は時期尚早。総合運動公園跡地は負の遺産であり(距離が離れた)茎崎地区でも反対運動が展開されたが、売却となり20億円以上のお金(損)が出るとなると、いろいろな意見が出ている。今回の執行部の提案は他の商業施設との関係、インフラ整備などデータが不足している。負の遺産を乗り越えて、もう一度、全部を市が使うというのではなく、無駄な公共事業はだめだが、お金をかけても市民に還元できるのであれば理解が得られる。利息が出るのは心苦しいが、もうちょっと踏ん張てみてはと感じる。茎崎地区で共産党がアンケートを取ったところ、早く売却しろという意見もあったが、市営墓地などの意見もあった。

滝口隆一氏 フラットに住民の意見を聞くことが必要。有識者からまちづくりをどうするかを聞く勉強会や、県議や元市長に意見を伺うことがあってもいい。議論を積み重ねながら、住民アンケートをするなどの作業が必応。

公明党

山本美和氏 売ればいいという考えには反対。自治体はまちづくりが一番大事。出発点として、不要な土地という視点ではなく、まちづくりという視点でとらえるべき。これだけ大きな土地を民間任せにするのは反対。現在つくば市は人口が増加しているが、将来必ず減少する。つくば市だけでなく広域的に、防災、交通などの面から、県南の拠点、北関東の結節点の役割がある。市が本当に(新たな利活用に向けて)動いたのか見えてこない。公的活用、民間活用も含めて「使いますか」「買いますか」としか聞いてないのではないか。公がしっかり入った上で「一緒にやりませんか」と動いてみてはどうか。商業ゾーンは反対。

浜中勝美氏 つくば市は2035年以降、人口が減り税収が減る。用地は46ヘクタールある。人、もの、カネが集まる都市づくりをしなくてはいけない。人を集める議論をして利活用すべき。一括売却には反対。文化施設、スポーツ施設、防災拠点など一部公共で利活用しながら活用すべき。つくば市は県に、県立高校の設置や県南のスポーツ拠点の整備を要望している。県と連携しながら進めるべき。

小野泰宏氏 これまでも慎重な判断を(市執行部に)求めてきた。(同用地は)北部の結節点にある。まず市のまちづくり方針が先にあるべき。現在の民間の案に商業施設の計画があるが、区画整理事業の結果できた(筑穂地区の)まちを壊すような計画をなぜ進めるのか。交通量調査、人口調査、サインディング調査なども情報不足だ。商業施設が適切か。既存の都市計画、立地適正化計画等との整合性を図るべき。県との連携等、複合的な連携という着眼点が必要だ。

つくば政清会

木村清隆氏(欠席・文書で提出)公共利用を多面的に検討すべき。フラットなタウンミーティングで市民の意見を聞く。一括売却は慎重に、急ぐことなく。

木村修寿氏(欠席)

新社会党

金子和雄氏 もう少し市民の声を聞いて、時間をつくってやっていくのが一つの方向。陸上競技場がいいという声は多い。つくば市は小中学校の建設ラッシュだが、面積が小さい、グラウンドが狭いという声がある。(同用地に)市営プールをつくって小中学校の子供たちがバスで行くなど、様々な工夫がある。時間をとって十分な議論をすることが大事。

山中八策の会

塩田尚氏 もともと購入した値段が高過ぎる、66億円で買って借金が膨らんで、今はつくば市の大きな市民負担になっている感覚が薄いが、3年後に返済時期がくれば70億円を超え、その時に市民から、なぜこんな高い買い物をしたのか、なぜこんなに借金が膨らんでも手をこまねいていたのかという批判が起こると思う、損切りしても10年経てばペイできるかもしれない―と、これまでは原案(一括売却)に賛成だったが、立ち止まってどうするか考えると、逆境を好機に変えて議論をして、もっといいものをつくるべきと思う。つくば市で一番必要なものはアリーナ総合体育館。アリーナはお金がかかるが、避難者を受け入れる防災拠点として、国、県、東京都などありとあらゆる方法で一部公共施設を考えるべき。

創生クラブ はがくれ

高野文男氏 条件付きで執行部案(一括売却)に賛成。(民間が示した)40億円は決まった金額ではない。再公募したときに納得できる金額かが問題。市民の税金や今後の財政を考えると、3分の1や全部を公的利用すると、周辺を含めた(まちづくりの)計画を立てないといけない。

➡つくば市総合運動公園問題の過去記事はこちら

色彩スクール経営の神山瑤子さん ふるさと つくばで新規事業

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芝生の生えそろったドッグランを愛犬が駆け回る=つくば市東岡

ドッグラン併設のカフェオープン

【伊藤悦子】犬と同伴でき、ドッグランも併設するカフェが1日、つくば市東岡にオープンした。オーナーは、同市出身の神山瑤子さん(65)。東京・麻布十番に開設するカラースクール「EVE GARDEN(イブ・ガーデン)」の経営を娘の楢崎悦子さん(45)に任せ、新規事業開拓の新天地を筑波山の見える、ふるさとに求めた。

オープンしたのは「イブ・ガーデン カフェ」。同市東部のニュータウン、流星台の分譲地に隣接する敷地を借りて、一軒家を建てた。エントランスのオープンスペースを広く取る分譲地にならったことで、筑波山を眺めながら、犬と人がくつろげる空間となった。在来のカシの木をシンボルツリーに残し、併設のドッグランは120平方メートルの広さ。その芝生の生育を待って開店した。

ドリンクメニューのお薦めは、専門茶葉のコクと甘みを堪能できるミルクティー。食事のメニューは茨城産の新鮮野菜をふんだんに使っている。神山さんは「このカフェを開くにあたり、愛玩動物飼養管理士2級の資格をとった。ペットの食育の勉強もしたので、ゆくゆくは犬のメニューも提供したい」と話す。

店内で「わんちゃんのお洋服」を紹介するオーナーの神山瑤子さん

色彩学を学んだ神山さんは結婚後、最初のカラースクールを土浦駅東口に開業した。EVE GARDEN社は1991年の設立、生徒数が増え、規模を拡大して2004年には本拠を麻布十番に移した。一人ひとりに似合う色、パーソナルカラーの研究を続け、2004年には娘の楢崎さんと共著で「パーソナルカラーの教科書」(新紀元社)を出版、コスメ事業部門も設立した。15年には「新しい『色』の教科書」(新紀元社)を出版。16年には日本の四季の色を一着の服に表現する「Jibun-fuku/じぶん服」ブランドを立ち上げた。

神山さんは中国発祥の陰陽五行説の色彩も学んだ。真っ白いビション・フリーゼのメイちゃんを飼い始めたのをきっかけに、犬にも色彩豊かな洋服を着させたい、という思いで犬の服作りをスタートした。犬と飼い主の相性を陰陽五行から読み取り、似合う色を提案する。「同じ種類の犬でも、毛の色や瞳の色、骨格で似合う色が変わる」という。その事業展開の地に選んだのがふるさと。「自分の育ったところは筑波山が見えなかった分、このロケーションが気に入った」そうだ。

店内には娘の楢崎さんがデザイン、制作した犬の洋服や小物が展示されている。1点もので、模様はすべて手書き。デザイン、プリント縫製なども自社アトリエで企画制作している。愛犬や愛猫の写真をモチーフにしたポーチやバッグの制作も行っている。飼い主とわんちゃんに素敵な生活を提供できればという。

カフェに同伴、ドッグランを利用できるのは体重10キロ以下で、ワクチン5種と狂犬病予防接種済みの犬。ドッグランには足洗い場や水飲み場も併設している。犬の排せつ物は持ち返りを求めている。

イブ・ガーデン カフェ(つくば市東岡82-1、電話:029-828-4862)営業時間は午前11時~午後6時、定休日は月・木、第1・第3日曜日。

カシの木がシンボルツリーになっているイブ・ガーデンカフェ=同

「常時使用」の条件付き 請願採択も利用1件 つくば市の障害者向け発電機補助

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企業を訪問する根本希美子さん(中央)親子(かけはしねっと提供)

【山口和紀】人工呼吸器を使用している難病患者や障害者を対象に、つくば市が今年4月から開始した非常時の家庭用発電機購入補助制度について、人工呼吸器を「常時使用」している人という条件が付き、実際の利用は1件にとどまっていることが分かった。地元の障害者団体の1人は「(補助制度は)大きな成果だと思う。条件がやや厳しすぎる可能性はあるが、まだ始まったばかりなので何とも言えない」と話す。

市の購入補助制度は、人工呼吸器を常時使用している医療的ケア者に対し、停電時など非常時にも医療的ケアができるように家庭用の発電機の購入費(12万程度から購入可能)を最大10万円補助する。人工呼吸器やたん吸引機を使っている人にとって、停電は命に関わる事態だ。この補助制度の新設によって大きな負担なく家庭用発電機が購入可能になる。

災害時の医療的ケアは全国的にもまだ支援体制が整っていない。つくば市は県内で初めて助成に踏み切った。全国にも先駆けとなる試みだ。

常総市の水害きっかけ

補助制度は、2018年につくば市の「かけはしねっと」が同市議会に提出した請願にもとづくもの。かけはしねっとは、常総市が水害の被害に見舞われた2015年の関東・東北豪雨や16年の熊本地震など、近年の災害をきっかけに設立された医療的ケアを必要とする子どもの親の会だ。代表の根本希美子さんは常総市の水害時、医療的ケアが必要な友人を自宅に避難させた経験から、「医療的ケア児の保護者が、顔の見える関係でつながることができれば良いと考えた」と設立の理由を語る。

請願書は昨年12月議会で全会一致で採択された。「常時使用」という条件は付いておらず、根本さんは障害者も高齢者も区別なくどちらもを助成の対象にすることを要望していた。しかし、実際は「常時使用」という条件が付けられ、医療的ケア者(児)でも「人工呼吸器」を24時間、「常時」使っている人に限られてしまった。高齢者は、そもそも常時使用していても対象外となった。請願で求めていた対象者より小さな範囲となってしまった形だ。根本さんは「どうして高齢者が対象にならなかったのかは疑問」だと述べた。

市保健福祉部障害福祉課によれば、今年9月30日までに、補助制度の利用相談は複数あったが、実際に支給が決定されたのは1件だという。制度の周知も課題だ。

台風19号はつくば市でも約3800戸の停電をもたらした。幸いなことに根本さんの自宅は「なんともなかった」というが、こうした災害はいつやってくるか分からない。東京電力も2011年度より、災害時に在宅患者への家庭向け発電機の貸し出しを行う体制を整えた。東京電力管内ではおよそ2400人が貸し出しの事前登録をしており、千葉で大きな被害をもたらした台風15号では20台を貸し出した。根本さんは「どれだけ備えても不安は残る」からこそ「つくば市の助成も含め様々な支援が積み重なれば良い」と語った。

かけはしねっとの集合写真(同)