木曜日, 4月 25, 2024
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レンコン 産地 -検索結果

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平成を貫く県「銘柄産地」指定 かすみがうら市のレンコン

【相澤冬樹】かすみがうら市の仲戸禎雄農林水産課長は25日、JA水郷つくばの池田正組合長、同蓮根本部霞ケ浦支部の江後田稔部会長らと土浦市真鍋の県県南農林事務所を訪れ、佐藤明彦同所長から県の銘柄産地指定証の再交付を受けた。同市霞ケ浦地区で広く栽培されるレンコンは1989年に初指定を受けており、今回の再指定で平成の30年間にわたって市場からの評価を積み重ねてきたことになる。 県の銘柄産地は、農産物の市場流通に品質面での“お墨付き”を与える制度で、1982年の江戸崎(現稲敷市)カボチャを皮切りにスタートした。現在までに青果物が37品目95産地(うち銘柄推進産地35)、花きが7品目20産地(同3)で指定されている。 レンコンについては、かすみがうら市、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。いずれも霞ケ浦沿岸にあって、全国きってのレンコン産地を形成する。全国の作付面積(2017年)3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占め、かすみがうら市は259ヘクタールに及ぶ。同市の銘柄産地指定申請書等によれば、生産者は18年度実績で160戸、出荷数量は3734トン、販売金額は16億1900万円に達した。 産地指定はこれらの実績をベースに、品質面で農産物の信頼性・安全性が市場で評価されていることなどを審査して3年ごとに更新される。25日の交付式で、指定証は県からかすみがうら市へ渡され、出荷組織のJA水郷つくば蓮根本部霞ケ浦支部に伝達された。出荷のレンコンには県銘柄推進協議会の推奨マークが貼られ、全国に流通する。 佐藤所長は「検査体制整備による品質管理の徹底や新たな販売先の開拓などの流通販売対策、県GAP(農業生産工程管理)第三者確認制度などにも積極的に取り組んでおり、今後も更なる発展が見込まれる」と再交付の事由を述べた。池田組合長は「2月1日にJA水郷つくばが発足して最初の銘柄産地指定となったのを喜びたい。今やおいしいのは当たり前、安心と安全の取り組みを支部ともどもいっそう推進していきたい」と今後の意欲を語った。

【直売所めぐり】5 県外客も訪れる日本一のレンコン産地 JA土浦「さんふれ はすの里」

【田中めぐみ】JR常磐線土浦駅から車で北へ10分ほど、農産物直売所「サンフレッシュはすの里」を訪れた。優しい笑顔で迎えてくれた大森恵子さんは、6店舗あるJA土浦の直売所で唯一の女性店長。以前の勤め先で身に着けたPOP広告の技術を生かし、かわいいイラスト入りのPOPを描いては店内に並べている。商品についてお客さんから色々と質問されるため、野菜の研究には余念がなく、大森さんは「スタッフも同じ主婦なのでなんでも気軽に相談してもらえれば」と話す。レンコンは今が旬で、甘みが増している。春になるとハウス栽培の真っ白なレンコンが出まわるそう。こちらはさっぱり味と聞いて、違いを食べ比べしてみたくなった。 「はすの里」だけあって、店内にはレンコンを使った加工品が数多く並ぶ。レンコン味噌やレンコンめん、レンコンケーキなど。日曜日には「はすの実工房」(かすみがうら市)が作るお惣菜を買うことができる。レンコンのてんぷら、レンコンの丸煮、レンコン入りメンチ、レンコンの南蛮漬け…とにかくハス尽くしだ。丸煮と南蛮漬け、メンチを初めて食べた。丸煮は柔らかで食べでがあり、南蛮漬けも酸味がほどよく、メンチも歯ごたえが楽しい。どれも毎日食べたくなるようなほっとする味付けだ。 茨城はレンコンだけでなく白菜の生産量も全国1位。丸々と大きな白菜が店頭に並んでいく。酒井忠熙さんは1966年、国の指定野菜価格安定対策事業で白菜の作付けが本格的になった頃からの生産者で、経験豊か。「今の時期に収穫できるように調整して栽培している。秋からの天気が良かったので今年の出来はまずまず」と話す。 落花生を品出ししていたのは生産者の羽成誠さん。炒(い)る過程を業者に頼らず自分でやっているという。落花生は畑から抜いた株ごと逆さにして網にかけ、天日干しにするうちに味が良くなるそうだ。「味を第一に考えて作っている。落花生の出来に応じて炒り方も変える」というこだわりようだ。 入口わきの「訳あり品コーナー」にニンジンを並べていたのは、生産者の宮下里美さん。「曲がっていたり小さかったりするものを出しているんです」と話すが、規格外とはいえ品物は見るからに新鮮だ。宮下さんが「おすすめの野菜がある」と教えてくれたのは、井坂多加子さんのアイスプラントだ。緑の葉の表面が凍ったように見える。ミネラルが豊富で、生でサラダにするのがおいしいという。シーザーやゴマなどクリーミーなドレッシングと相性がよく、お年寄りにも人気だそうだ。   開店時間の午前9時過ぎ、お客さんたちが入店し始め、「おはようございまーす」と挨拶の声が飛び交う。笑顔で会釈する石井丈二さんは神奈川県相模原市在住で、月に2回は必ず「はすの里」に買いに来る常連。土浦市で歌謡教室の講師をしており、仕事のついでに買い物に立ち寄るという。 石井さんは「はすの里」の野菜や加工品について「新鮮度が違う。車で来ているので神奈川まで持ち帰っています。レンコンはもちろん、サツマイモ、クリ、草餅などなんでもおいしい。生産者さんと顔見知りなので、作っている人が分かるのも安心」と話した。 サンフレッシュはすの里 住所▽土浦市木田余3140 電話▽029-846-7933 営業時間▽午前9時30~午後6時(11月~2月は午後5時30分まで) 定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

れんこん焼酎「土浦恋婚」 1日デビュー

土浦市特産のレンコンを使ったれんこん焼酎「土浦恋婚(れんこん)」が1日、新しく発売され、同市役所でお披露目となった。土浦、つくば、牛久、かすみがうら市、阿見町の量販店や酒販売店などで購入できる。今年で3年目の製造となる土浦のソバを原料にしたそば焼酎「土浦小町」も同時発売となった。 安藤真理子市長は「この日をずっと楽しみにしていた。(『土浦恋婚』は)ほわっと香ってすっきりと甘くおいしい。土浦の新たな名産品として『土浦小町』とセットにし、いろんなところにお土産として持って行きたい」と広報活動に意欲を見せた。 「土浦恋婚」と「土浦小町」を製造している水戸市の醸造会社、明利(めいり)酒類の加藤高蔵社長は「れんこん焼酎は全国で3つか4つの蔵元が作っているが、土浦は日本一のレンコンの産地なのでおいしいものができた」と出来上がりに太鼓判。同社の川口幹夫次長によると、れんこん焼酎「土浦恋婚」はそばや芋、麦の焼酎とは異なる甘い香りが特徴で、上品で繊細な飲み口だという。 れんこん焼酎は今年5月から仕込みを始めた。原材料はJA水郷つくばから仕入れた同市産のレンコン800キロを使用、720ミリリットル入りを約1900本製造した。レンコンは蒸してから刻み、常圧蒸留方式で蒸留、2週間発酵させて作り上げた。レンコンと米麹の割合やレンコンの蒸し時間など試行錯誤を重ね、すっきりとしたのどごしに仕上げたという。 レンコン生産量日本一の県内で、土浦市は最大の生産量を誇る。さらなる知名度向上と消費拡大を目指し、市が焼酎への加工を企画。恋愛の「恋」と結婚の「婚」を合わせ、レンコンに掛けた商品名には、縁起物として祝いのシーンなどで活用してほしいという願いを込めた。同市農林水産課は「出会いの場や、結婚式などで女性の方にぜひ飲んでほしい」とPRする。 2021年に発売したそば焼酎「土浦小町」は、土浦産のブランド品種「常陸秋そば」を使用したもので、毎年完売するほど人気が高いという。(田中めぐみ) ◆れんこん焼酎「土浦恋婚」は720ミリリットルで1980円(税込)。そば焼酎「土浦小町」は720ミリリットルで1500円(税込)。いずれもアルコール分は25パーセント。

収穫最盛期のハス田に結氷 レンコン今年は豊作 霞ケ浦湖畔

正月料理に欠かせないレンコンの収穫が霞ケ浦湖畔で最盛期を迎えている。土浦市田村の湖岸では、ハス田に結氷が見られた19日も朝から、ゴム長を履いた生産者が胸まで水に浸かり、丸まると太ったレンコンを掘り出す作業に追われていた。 輪切りにすると丸い穴の向こうが良く見通せることから、レンコンは正月の縁起ものとして、需要が高まる。茨城県は全国一の生産量を誇り、なかでも土浦市は約500ヘクタール(市外の農地を含む)規模で展開する最大の生産地。同市木田余から手野、田村、沖宿にかけての霞ケ浦北岸には一面のハス田が広がる。 師走の書き入れ時とはいえ、水に浸かっての作業は寒さがこたえる。19日朝の最低気温は土浦でマイナス2度(日本気象協会)、ハス田には氷が張った。作業中の生産者に話を聞くと、「12月に氷が張った記憶はあまりない。暖冬気味だったのに、ここ1日、2日、氷が張るほど急に冷え込んだ」という。 ここ数年、霞ケ浦周辺のハス田は、年内掘りでは「パワー」と「ひたちたから」が主力の品種になっている。県農業総合センターなどが選抜をした優良系統で、白さとシャキシャキ感で売っていた「金澄」種の系統から、コロコロと丸く太った品種への転換が進む。嵩(かさ)が稼げ、贈答用の箱詰めに見栄えがする。 県の土浦地域農業改良普及センターなどによれば、今年の作況は「豊作」。ただし、その分「価格的には苦戦している」そう。肥料や梱包資材などの値上げの影響も大きく、農家にはやりくりが大変な年の瀬になっている。 JA水郷つくばレンコン課の山口崇一課長は「昨年はひどい不作だったが、今季は天候にも恵まれおいしいレンコンができた。ぜひお正月の食卓に載せてほしい」と語っている。(相澤冬樹)

旬のレンコン使い6種のレシピ 土浦で大学生調理実習

「れんこんの日」の17日、土浦市真鍋のつくば国際大学で食農ふれあい交流会が開かれ、同大学保健栄養学科の学生33人がレンコンを使ったハンバーグやはさみ揚げ、きんぴらなど6種のレシピの調理実習に取り組んだ。 交流会を主催したのは土浦地域女性農業士会(市村明代会長)。管理栄養士をめざす学生に、地域の農業、特産物を知ってもらい、給食やお弁当などの献立に取り入れてほしいと2012年から開催している。大学の「調理実習」の授業に関連づけられているが、ここ3年はコロナ禍から中止になったり、オンライン授業になったりして、対面での開催は4年ぶり。同学科1年生の33人が実習に参加した。 講師役は市村会長ら土浦市、かすみがうら市のレンコン農家3人を含む6人の農業士。時期的に旬を迎えることからテーマ食材にレンコンが取り上げられことが多く、今回も16日に採取したばかりのレンコンが実習室に持ち込まれた。 蓋をするだけでもっちりする レンコンは採れた時、節で絞られた球状の可食部が4つ連なる形をしている。先端の第1節は軟らかく、第4節は硬めで、それぞれに適した料理がある。部位ごとに食感や味覚が異なる上、切り方や熱の加え方などによってバラエティーある料理ができる食材という。学生たちは6種のレシピで実践的、体験的に違いを学習した。 きんぴらでは輪切りからいちょう切りにしたレンコンと、繊維に沿ってたて切りにスライスしたものとで比較したが、フライパンで煮るとき蓋をするかしないかでも食感が変わってくる。調理後試食した池田奈央さんは「切り方で食感がこんなに変わるなんて全然知らなかった。蓋をして煮るとシャキシャキしていたレンコンが今度はもっちりしてきて、とてもおいしかった」と感想を述べた。 同学科の管理栄養士、柴崎みゆき准教授は「学生が管理栄養士を目指すうえで、地産地消を学ぶのはとても大事。2年生、3年生になると給食実習などで、レンコンをはじめ優れた地域の特産物にさらに関わることになる」という。 「れんこんの日」は1994年のこの日、全国のレンコン産地が集まって土浦市で「蓮根サミット」が開かれたことにちなむ設定だそう。土浦市など9市町村とJA水郷つくばなど4JAほかでつくる「いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会」は11月中、「れんこん料理フェア2022」を開催中だ。9市町村と都内の72のホテルや飲食店で各種レンコン料理を提供している。

「宝探しみたい」レンコン収穫に挑む JA水郷つくば大使 安達勇人さん

JA水郷つくば大使の安達勇人さんが29日、土浦市田村町にある自身のハス田「アダチハウス・ロータスファーム(ADACHI HOUSE LOTUS FARM)」で収穫体験をした。ゴム胴長姿でハス田に入り、立派に育ったレンコンを次々に掘り当て「久しぶりのレンコンとの出会いで楽しい時間を過ごせた。植え付けから収穫まで向き合い、改めて自分の子どもみたいな思い入れを感じた」と語った。 春に種バスの植え付けをした(5月1日付)ハス田に、再び挑んだ安達さん。前回は軟らかい泥に足が埋まってしまったが、季節を経て泥が締まり、今回は動きやすかったそうだ。 水深は腰までだが、収穫のときは膝立ちになるので胸元まで水に浸かる。この姿勢で左手でホースを操作し、水流で泥を溶かしながら右手でレンコンを探る。JA水郷つくば蓮根本部会会長の石神一幸さんが「レンコンはナイーブ。長くて折れやすいし、水をかけすぎたり触りすぎたりすると紫色に変色してしまう。芽がある先端の方は特にデリケートなので、お尻の方から持ち上げる」とアドバイスする。 「レンコン掘りは宝探しみたい。土の中は見えないが、大きいのを探り当てると感動」と安達さん。掘ったレンコンは水で洗浄してつやを出し、節にあるひげ根などを削って形を整え、箱詰めされる。県の指定産地銘柄である田村レンコンの場合、朝掘りしたものが午後2時のトラックで東京・横浜の指定市場へ向けて発送され、翌日には店頭に並ぶという。 「シャリシャリした中の弾力」 安達さんは先日、さっそく新物のレンコンでステーキと天ぷらを作ってみたそう。ステーキは厚さ3センチほどの輪切りにし、油を引いたフライパンでじっくりと火を通す。厚く切ることで食べごたえが出て、素材の甘みも際立つという。 「味付けは塩コショウだけで、すごくおいしくいただけた。シャリシャリした中にもっちりした弾力があるような、ほかに代えがたい食感。簡単にできるのでぜひ試してみて」と安達さん。石神会長の妻のれい子さんは「スライスした柿と生ハムをはさむのもお勧め」という。 安達さんは「自分で育てたレンコンを食べるなんて、めったにできない経験。いままで気付かなかったいろんな味に気付いた。根菜なので体にいいし、ビタミンCや食物繊維も豊富。田村のおいしいレンコンで、たくさんの人が笑顔になり、食卓が幸せになってくれるといい」と締めくくった。 今年のレンコンは、8月ごろから台風や大風が続いて作柄が心配されたが、品質・価格とも例年並み。これから身が詰まっておいしい時季を迎えるそうだ。(池田充雄)

JA水郷つくば大使・安達勇人さん レンコン栽培スタート

声優・俳優・アーティスト業のかたわら、いばらき大使として活動し、昨年12月にはJA水郷つくば大使に就任した安達勇人さん。このほど土浦市田村町に自身のハス田「アダチハウス・ロータスファーム(ADACHI HOUSE LOTUS FARM)」を開き、4月12日に種バスの植え付けをした。「スーパーなどで売っているレンコンは見てきたが、ハス田に入るのは初めて」だそうだ。 JA水郷つくばが日本一の産地を誇るレンコンを特にPRしたいと、安達さん自身の希望で栽培にチャレンジする。広さ10アール(1000平メートル)の区画が用意され、今後、収穫までの一連の作業を体験するという。 初めてのハス田は、深さはひざ下ほどだが、泥がまとわりつくので足の抜き差しにも四苦八苦。一方、作業を教えてくれる田村れんこん部会青年部のメンバーは、止まらずにすいすい歩く。実は、動かずにいると泥が締まって、ますます抜けなくなるのだそうだ。足を踏み込むときはかかとから。つま先からだとバランスを崩してつんのめりやすい。抜くときは足を真上に持ち上げる。 植え付け作業では、同JAレンコン部会の石神一幸部会長から「芽を傷めないよう注意しながら、優しく泥のベッドに寝かせる。押さえが足りないと浮き上がってしまうので、優し過ぎず強過ぎず」とのアドバイスが飛んだ。 エンタメが農業とタッグ 植え付けを終えての感想は「想像以上にかなり大変。楽しいし奥が深い。青年部の皆さんは速く植えられてすごい、かっこいい。生産者さんの側に立ってみて、土浦のおいしいレンコンが、農家の皆さんのたくさんの愛でできているんだと改めて思った。茨城でも東京でも土には触れてきたけれど、こんなに全身泥だらけになるのは初めて。みんなにも一度体験してもらったら、レンコンへのイメージが変わって、さらに愛してもらえるのでは」とのこと。 青年部の大川正勝部長は、作業する安達さんの様子を見て「童心に帰ったように、新鮮な気持ちで楽しんでいたようだ。彼の人柄に触れ、また話を聞いて、応援したい気持ちがますます強くなった」との印象。 大川さんはこの機会を通じて、都心部にいたのでは気付かない田舎や農家の良さがたくさんあることを発信したいという。「農業は自分の考え一つでいろんなことができる職業。良いものを作るという根本は昔と同じだが、経営スタイルや販売戦略など大きく変わってきている。農業のさまざまな可能性を、安達さんと共に広げていけるといい」 安達さんも「エンタメはお客さんに気持ちいいものを持ち帰っていただく。それは生産者の方々も同じだと思う。おいしいものを作って感動を与える。これから青年部の皆さんと一緒に、僕らしい新しいやり方で、老若男女に向けてメッセージを送り、農業を盛り上げていきたい」と応じる。 今後、安達さんは定期的にロータスファームを訪れ、スケジュールの許す限り草刈り・追肥・防除などの作業に携わり、9月下旬には収穫を迎える予定。JA水郷つくばの特設サイト「れんこんチャンネル」や、NHK水戸放送局「いば6」番組内「レンコン向上委員会」コーナーで随時、その様子を知らせるという。(池田充雄)

レンコン黒皮病、徐々に拡大 県が対策へ本腰

【山崎実】レンコンの商品性を損なう黒皮病が全国的に発生し、生産量日本一を誇る県内でも徐々に被害が拡大していることから、県は生産者団体などと協力し実態調査に着手した。 黒皮病は、レンコンネモグリセンチュウ(線虫)によって引き起こされ、被害を受けたレンコンは肌に黒い小斑点が発生する。全体的にやや黄変し、一節目(頭)の肥大が悪くなり、形状が三角形に変形してしまう。品質維持の大敵で線虫駆除が重要になる。 既に県は、農機具の洗浄や健全な種バスの使用、農薬としての石灰窒素の施用、収穫後の残さの除去など総合防除法をまとめ、2017年以降、講習会などを通して生産者に指導を行ってきた。 しかし、被害の程度が地域やほ場によって異なるほか、具体的な防除対策の判断を生産者個々の対応に任せてきたため、実効性に疑問符が付き、県も本腰を入れて黒皮症対策に取り組む。 具体的には、レンコン産地での発生状況を正確に把握するため、生産面積の大きい土浦市やかすみがうら市などで生産者団体と調査に着手した。今後、3年以内を目途に他の市町村にも拡大していく方針で、その結果を地図に落とすなどして可視化する。被害程度の大きい地区は直接、個別指導を行うなど、重点的に防除対策を実施していく。 また収穫後の残さ処理についても、集団的・組織的な堆肥化の取り組みなど、出来るだけ早くほ場から持ち出して処理する方策を検討するとしている。 県内のレンコンは約1600ヘクタールに及ぶ生産面積と、全国シェアの46.8%を占める収穫量(2016年)を誇る。

土浦など9市町村71店で料理フェア開催中 17日は「れんこんの日」

【山崎実】生産量日本一を誇るレンコンをよりおいしく、身近に食べてもらおうと、土浦市など霞ケ浦周辺の9市町村で30日まで「日本一の茨城れんこんーれんこん料理フェア2019」が開かれている。 同フェアは1994年11月、全国の産地の代表が土浦市に一堂に会した「れんこんサミット」で制定された「れんこんの日」(11月17日)を含む1カ月間を期間限定で実施している。 参加店舗は、いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会の構成メンバーである土浦、石岡、稲敷、かすみがうら、小美玉、行方、阿見、河内、美浦の9市町村71店舗。 レンコンの消費拡大が目的で、霞ケ浦周辺のほか、都内のホテルや料理店でも茨城産レンコンの料理を提供するなど、全国に発信する。料理を食べた人にアンケートを行い、応募者から抽選でレンコン加工品などをプレゼント(20人)する企画も用意されている。 県によると、レンコンの都道府県別の作付け状況は、2016年実績で作付け面積1610ヘクタール、出荷量2万4100トンと、続く徳島県の出荷量5770トンを大きく上回り、収穫量、出荷量とも全国一を誇っている。 官民一体の料理フェアによる消費拡大作戦で、茨城レンコンのさらなるブランド化を図る。 問い合わせは茨城県県南農林事務所振興・環境室(電話029-822-7086)へ。 ➡レンコン関係の過去記事はこちら

《県南の食生活》6 レンコンは茨城 全国の48%を生産

【コラム・古家晴美】県南で最も有名な農産物と言えば、やはりレンコンでしょう。茨城県は熱帯アジア原産であるレンコン生産地の北限にもかかわらず、2018年度の収穫量が全国1位で、全収穫量の48.1パーセントを占めています(農林水産省作物統計・作況調査第1報)。これから来春にかけて霞ケ浦の蓮(はす)田は本格的な収穫期に入ります。 レンコンについての最初の記録は「常陸国風土記」で、蓮根(れんこん)が食用にされていることと共に、その薬効も紹介されています。霞ケ浦の土浦入り(高浜入りに対し土浦側の入り江)では、天保年間(1830~44)に土浦藩主土屋寅直(つちや・ともなお)が栽培を奨励し、積極的に取り組み始めます。 しかし、当時栽培されていた在来種(白花以外に赤花やピンク色の花もあります)は深根(ふかね)性で、常時冠水(かんすい)田や排水不良の池で栽培され、粘質で美味であるものの、生産性が高くありませんでした。明治26(1893)年に常磐線が開通すると、大都市へ出荷され、レンコンの需要も高まります。土浦では、大きな蓮問屋が元締めとして広大な蓮田を所有し、掘り子を雇って生産・販売していました。 当時、レンコンは高価だったので、庶民の口に入るのは特別な日に限られていました。正月や盆、祭り、祝儀、不祝儀などの「ハレの日」にしか口にできなかったと言います。 芽に近い先端の第1節は、最も若く肉質が軟らかいので軽くゆでて酢バスなどにします。第2節、第3節に向かうに従い肉質が硬くなっていくので、これを牛蒡(ごぼう)、人参(にんじん)などと共に、砂糖・醤油で味付けした煮もの、きんぴら、天ぷらにすることもありました。 食物繊維が豊富な食材 現在は、これらレンコン料理のほかに、れんこんハンバーグ、れんこんサラダ、れんこんチップス、レンコンカレーなどの様々なレシピが開発され、食物繊維が豊富な食材として日常的に食卓にのぼりますが、コメ以上に収益性の高い作物であったため、庶民の口には入りづらい時代もあったのです。 茨城県におけるレンコン栽培が本格的に展開されたのは高度経済成長期以降です。東京市場のレンコン取扱高は、1955年は東京が51.4%、茨城が25.8%であったのが、1965年に大逆転し、茨城が56.8%、東京が17.1%になりました。 その要因として、レンコン栽培に適した気候風土や流通網の発達が茨城で満たされていたことが挙げられます。しかし、それと同時に、かつてレンコンの大生産地であった東京東部低湿地帯が、宅地化によって生産を止め、都市近郊に生産地を求めたことも追い風となりました。 霞ケ浦のレンコンの来し方を振り返りながら今年の冬もレンコンを楽しんでみませんか。(筑波学院大学教授) ➡古家晴美さんの過去のコラムはこちら

【レンコン歳時記】㊦ まっすぐ育てよ 令和の種ハス

【相澤冬樹】農産物の市場流通に品質面でお墨付きを与える県の銘柄産地制度で、レンコンは1989年にかすみがうら市(霞ケ浦地区)が初指定を受けた。以来、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。今や若い農業者や農業後継者が好んで取り組みたがる人気作物となっており、県のレンコン産出額は2016年、153億円で全国1位、レンコンは平成の30年間を代表する品目になった。 この間、金澄(かなすみ)系統の白くふっくら、シャキシャキ感ある食味のレンコンが定着したが、産地や生産者の間で品質や収量にばらつきが出ている。特に嫌われるのが「すねあがり」と呼ばれる現象。基部から徐々に老化し、茶色に変色して商品価値をなくす。 県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)は、2013年度から「レンコンの優良系統選抜」試験を実施しており、収集や選抜、品質評価を繰り返してきた。食味・食感や形状・収量などのほか、浅めの場所で掘れる作業性なども考慮して次世代レンコンの作出に取り組んだ。 4系統を選出 2018年には県を代表するレンコンとして、「ひたちたから」「パワー」「みらい選抜」「金澄39号」の4系統を選出した。「ひたちたから」は既登録の品種で、早期肥大性があり、収量も多い。柔らかな食感が特色。「パワー」は肉厚のため(穴が小さい)断面形状の評価が高かった。前者二つが年内の掘り取りに適した系統とされた。 「金澄39号」は、すねあがりの程度が低く、年明けの収穫に向く。甘みがあり食味評価も高い。やはり年明けの掘り取りに適した「みらい選抜」は色白で外観がいいのが特徴という。 4系統の品種は、JA水郷つくばなど県内4つのJAに引き渡され、現在はそれぞれの増殖圃(ほ)に定植された。今夏の成長による増殖を待って、優良な種ハスをさらに選抜し、来年から生産農家に供給される。名実とも「令和種」のレンコンが市場や食卓に並ぶのは来年末以降になりそうだ。 優良系統の選抜に取り組んだ生工研の堀井学主任研究員によれば、「不適切な種ハスは確実に取り除きたいので青年部とかレンコン部会の作付けを見にいったり、相談に乗ったりしたりしているが、見極めには苦心している」そう。まっすぐで子ハスのそろったものを選ぶよう指導しているという。 ちなみに、4つの系統とも花の色は白が基調の「爪紅」になる。咲いた花の色で識別するのは難しく、湖岸のハス田が色とりどりの花で飾られることはないそうだ。(終わり)

【レンコン歳時記】㊤ 赤い花は咲くなよ 種ハス定植の5月

【相澤冬樹】ゴールデンウイークの田んぼで、忙しいのは稲作農家ばかりではない。土浦市など霞ケ浦周辺に広がるハス田の水面(みなも)には、腰まで泥に浸かって田舟を引く人の姿が目立ってくる。舟にはころころと太ったレンコンが載っているが、収穫作業ではない。掘り取った長いレンコンの節を三つほどに切り離して種ハスとし、泥田の底に定植しているのだ。 2017年統計で、レンコンの全国作付面積3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占めた。その中心は霞ケ浦周辺で、わが国きっての産地といえる。が、どうやって栽培されているのか、近在にあっても知る機会はほとんどない。だからハスの実から採った種子で育てていると思う者も少なくない。 地下茎であるレンコンは、すぼんだ節のところに根と芽をもっており、春に芽から水面まで届く浮き葉を伸ばして光合成を始める。この後、立ち葉を傘のように広げて、根茎を太らせていく。最後につぼみを持った花芽が出てきて、初夏には大輪の花を咲かせる。咲き終わった花托(かたく)は、手に収まるサイズの半球状の実になる。中に小指の先ほどの種子が入っているが、農家がこれから実生(みしょう)で育てることはない。 泥の中、段々に節を伸ばしたレンコンは、葉の枯れる秋には光合成ができず成長を止めるが、十分に太っており、出荷のタイミングを待つだけとなる。この間の呼吸のため、酸素の通り道になっているがハスの穴だ。出荷は需要のピークを迎える年末を経て、翌年春まで行われるが、農家は1割程度の田は収穫せずに種ハス用に残しておく。これを掘り取って、ハス田に植え替えているのが今の時期、大体5月いっぱい続く。 同じ遺伝子のクローン すなわち一面のハス田に植わるレンコンは、同じ株の遺伝子を引き継ぐクローンなのである。これによって一定の品質が保たれる。霞ケ浦周辺で代表的なのは金澄(かなすみ)と呼ばれる系統。シャキシャキ感ある食味が消費者に好まれ、よく肥大して多収性なのが生産者に喜ばれる。千葉県の育成農家が系統選抜という手法で品種改良したもので、1985年ごろの「金澄1号」から始まり、最終的には「43号」ぐらいまで作られたそうだ。 徳島や愛知などの産地で栽培されているレンコンは備中種が主で、ほぼ赤い花が咲くのに対し、金澄の系統は白い花になる。うっすらピンクの筋が入っており、「爪紅」(つまべに)という。霞ケ浦周辺のハス田でも赤い花が交じることがあるが、農家はこれを嫌う。前年掘り残したレンコンが地中に残ったときなど、深く潜ったハスから出た花芽に赤い花がつく。突然変異とも先祖返りともみられ、レンコンは細長く変形してしまい、白くふっくらした形状にならない。実生も同様に、品質が保証できないから取り除かれるということだ。 しかし、クローン技術で同一の品種を作り続けていると、レンコンの形状や品質が劣化したり、収量が減少したりする。このため新しい品種や系統の導入が必要になってくる。近年は、レンコンの育種家が減少し、優良品種・系統の選抜や育種の課題に取り組むのは、行政の仕事になった。県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)が主に担っている。(続く)

《好人余聞》12 「長い経験には説得力があります」 レンコン栽培 浅野廣宗さん

【コラム・オダギ秀】人生という旅の途中で出会った人たち、みんな素敵な人たちでした。その方々に伺った話を、覚え書きのようにつづりたいと思っています。 「まったく暮らす世界が違いましたね。価値観が変わってしまったと言うか」 霞ケ浦のほとりで、レンコンを栽培している浅野廣宗さんは、栽培に携わるようになってからの自分の変化を、驚きだったとしみじみ語った。 土浦市は、全国一のレンコン産地。品質の高さと生産量で、他産地を圧倒している。そんな名産地で、浅野さんは、5年前からレンコン栽培を始めた。 地元に生まれ育ち、東京農大の農学部を出た浅野さんは、飼料会社で畜産コンサルタントなどを長年務め、おもに農業の技術指導に関わって来た。 「ずっと技術畑で生きていたんです。こんな場合は、こう対処するといいとか、こうすればもっといい品質になるとか、理論や原則を大切にする生き方だったんです」 そんな浅野さんは、50代の末、それまでの仕事から農家に戻り、レンコン栽培に転進した。 「農業なら夏は楽だろう、なんて気が、少しはあったんでしょうか。でも、暇そうな時も、草取りなどして働かないと、後でひどい目に遭うんです。実際のハス栽培なんて何も知らなかったから、大変でしたよ。いつ、何をすべきか、何をしていいのか分からない。レンコンの種の植え方のような基本的なことでも分からなかった」 自分が栽培したものは可愛い だから、周りの農家の人たちに教わりまくったそうだ。 「みんな、よく教えてくれました。でもね、俺はこうして30年も40年もやってきたから、って教えてくださるんですが、そのことがそれぞれちがう。長年の経験に基づいているから、説得力があるんですよ。正しいんですよ。それでも、その教えてくださることが、みなそれぞれ違うんです。ボクも困りました」 すると、浅野さんは言われたそうだ。 「30年、40年やってきたけど、一度として、こうすりゃ間違いなくできるなんてことはなかったよ。毎年、気候も水も、種だって違う。これでいいなんてない。毎年毎回、新しいことをやっているんだよ」と。 浅野さんは、経験の大切さを学んでいった。 こんなこともあった。農家の人たちが、自分の作った作物を自分の子どものようだ、と表現するのを、嘘っぽいと、かつては思っていたそうだが、 「でも、今は、その気持ちがよく分かります。自分が栽培したものは、本当に可愛い。自分の子どもみたいです。人生観が変わったかな」 浅野さんは、傍らのハスの茎をそっと手繰り寄せると、辛そうにした。 「見渡す限り緑の葉だったんです。それが、ちょっと台風の風が吹いただけで、すぐこんなに痛んでしまった。自然を相手にする仕事は、本当に大変ですけど、つねに結果が楽しみなんです」(写真家)

佐野治さんの受勲祝う 元JA土浦・県中央会会長

土浦農業協同組合(現 水郷つくば農業協同組合)組合長や県農業協同組合中央会会長を務め、昨年秋に旭日双光章を受章した佐野治さん(77)の受章祝賀会が17日、霞ケ浦湖畔の土浦市川口「ローブ・カスミガウラ」で開かれ、国会議員、県議、経済団体や農協(JA)関係者など約130人が出席し、佐野さんの受章を祝った。 佐野さんは土浦市宍塚の出身。1977年にJA土浦に入り、2008~17年にJA土浦の組合長を務めたあと、17~20年に県内のJA関連組織を束ねるJA県中央会の会長を務めた。 良質な県産農畜産物を安定供給 祝賀会発起人を代表して八木岡努・県JA中央会会長があいさつし「佐野氏は、サンフレッシュつくば店の開設や産直事業専門の専門部署を設置するなど、新しい販路拡大と地産地消の推進に取り組んだ。また『安心・安全な農産物の供給』を第一に考え、生産履歴記帳の定着化や、JAブランドの確立に努め(レンコン粉末入りうどんの)『れんこんめん』の開発・販売に取り組んだ」などと、JA土浦時代の功績を紹介した。 さらに「県中央会の会長の時は茨城県との連携協定を結び、ブランド力ある良質な県産農畜産物の安定供給に取り組んだ。県産品の輸出拡大、低価格モデル農機の共同購入などによる生産コストの低減にも尽力した」と、県中央会時代の活躍もたたえた。 産総研の石村理事長もあいさつ 祝賀会には、葉梨康弘、永岡桂子、国光あやの、青山大人、田所嘉徳衆院議員、上月良祐、加藤明良参院議員、伊沢勝徳、八島功男、葉梨衛、白田信夫、飯塚秋男、星田弘司、中山一生、金子敏明県議、安藤真理子土浦市長、宮嶋謙かすみがうら市長、千葉繁阿見町長、萩原勇龍ケ崎市長、上野昌文・県農林水産部長(知事の代理)らが出席した。 このうち、葉梨衆院議員、上月参院議員、葉梨県議、上野部長が祝辞を述べ、国や県の農業政策とJAの活動との関連を取り上げながら、佐野さんの活躍ぶりを紹介した。 佐野さんと親戚筋の石村和彦・産業技術総合研究所理事長もあいさつに立ち「出席者の顔ぶれを拝見すると、私は完全にアウエー(部外者)。実は、毎年末に(土浦産の)レンコンを佐野さんから送ってもらっている。それを薄く切ってフライパンで焼いて食べると、ビールがいくらでも飲める」と笑いを誘ったあと「産総研も乾燥に強い野菜とか果物の糖度センサーなどの研究をしており、今後、JAとのコラボも検討したい」などと述べた。(岩田大志)

常磐線も4車線でまたぐ 25日に354号土浦バイパス全線開通

土浦市若松町~手野町の間で県による4車線化整備が進められていた国道354号土浦バイパスのうち、最後まで残っていた常磐線をまたぐ木田余跨線橋(きだまりこせんきょう)など0.9キロ区間の工事が完了し、25日午後2時から全線開通する。今回開通するのは、常磐線をまたぐ跨線橋が東西で立ち上がる木田余跨線橋東交差点~木田余バイパス西入口交差点の区間。既存の木田余跨線橋の南側に新たに2車線を増設する形で橋梁を拡幅整備し、両交差点について改良工事を行った。事業費は約30億円。線路に架かる橋梁工事の一部をJR東日本水戸支社(水戸市)に委託している。 国道354号は、茨城県西から県南、鹿行地域にかけて横断する広域幹線道路で、災害時の緊急輸送道路にも指定されている。そのうち土浦バイパスは鹿行地域方面から常磐自動車道土浦北ICへのアクセス機能の強化と土浦市内の渋滞緩和を図るため、1991年度から延長5.3キロ、幅員25メートルの4車線で着手された。バイパスは2011年2月に暫定2車線で供用し、これまでに、おおつ野団地入口交差点~木田余東交差点まで約2.9キロと、若松町の市道をまたぐ跨道橋~木田余西入口交差点まで約1.5キロの4車線化が完了している。 25日は開通に先立ち、午前10時半から地元の公民館で県土浦土木事務所主催による安全祈願を行う。 土浦駅東のボトルネック解消には道遠し 県は「土浦市内の渋滞緩和や常磐道の土浦北ICへのアクセス強化が図られる」としているが、交通量の増大により木田余跨線橋東交差点からJR土浦駅東方向に向かう荒川沖木田余線(荒木田線)の交通混雑がさらに悪化する懸念もふくらむ。同バイパスの24時間交通量(国交省道路交通センサス)は2021年で2万5000台を超え、2010年の約2倍、特に大型車は3倍近くに達している。荒木田線は常磐線の東側を並走する形で、阿見町荒川沖本郷から土浦市木田余に至る延長11.5キロの都市計画道路。1957年に都市計画決定され、全区間の整備が一応は完了している。しかし土浦駅東の港橋から南側区間(荒川沖方面)の都市計画決定が幅員25メートルなのに対し、北側区間(木田余方面)は幅員18メートルだった。土浦駅方向への通勤や送迎のためラッシュが朝夕に恒常化し、ボトルネックとなった北側区間は同市きっての渋滞路線になっている。 354号土浦バイパスとの交差点周辺は、同市特産のレンコンの生産地帯で、渋滞を嫌った一般車両が農道に入り込んでは、生産者とトラブルになるケースも少なくない。2016年に新築移転した土浦協同病院(同市おおつ野)への緊急車両がひんぱんに混雑に巻き込まれたりもしている。 荒木田線は2013年、幅員18メートルの約2.3キロ区間について幅員25メートルに都市計画変更され、車線数も4車線に設定し直された。これ以降、県と土浦市が事業区分を分担して整備を進めてきた。このうち土浦市が施行者となる木田余跨線橋東交差点~流域下水道事務所(同市湖北)まで1.3キロ区間は、4車線への拡幅工事が年内にも完了し、年度内に供用できる見通しとなっている。しかし、土浦駅東寄りの約1キロ区間の整備は手つかずで、ボトルネックの解消にはなお遠い道のり。事業区分上、県が約370メートル、市が約630メートルを残しており、共に用地取得の交渉中で着工の見通しはついていないという。(相澤冬樹)

《食とエトセトラ》9 今年もいざ、おせち料理づくり

【コラム・吉田礼子】10代のころより母とおせち料理を作る時間は至宝のような時間であった。縁あって1977年に宮城県で結婚生活が始まったが、盆と暮れには茨城県の主人の実家に帰省した。暮れには茨城のレンコンを使ったおせち料理を教えてもらう。ユズをたっぷり入れたレンコンの酢バスは宮城のお友達にも大好評。きんぴらと言えばゴボウとニンジンが定番と思っていたのに、縦に1センチ角の拍子切りにしたレンコンのきんぴら、レンコンの丸煮などは産地ならではのお料理と驚きの連続。 コンブ巻きは東北ではニシンと決まっていたのに、茨城では焼きワカサギを巻く。良いだしが出てこちらもおいしい。所変われば品変わる。一つの料理が気候、風土、歴史によって様々に作られることを実感した。私の実家の十八番(おはこ)料理も加わって、栗きんとん、のっぺい、…。義父が活躍する餅つきは、29日は避けて28日につくものと教わって、家族総動員で正月の準備をする。 13日過ぎごろからおせちの材料をお店に相談したり、予約注文したりする。日持ちの良いものは2週間ぐらい前から作るが、25日ごろから集中して作る。正月は歳神様がいらっしゃるので、煮炊きをすると神様が落ち着けないから、年末にあらかじめ用意しておくとのこと。 定番の料理には意味がある 子供のころは、お寺の除夜の鐘を百八つ数えて1年が終わる。その後、父のすることを真似て二礼二拍手、一礼し、新年のご挨拶をしてお神酒を歳の順にいただく。子供は飲む真似だけといわれたハレの日の中でも、お正月は別格。 餅は特に大切な食べ物。まずは神様に供え、下げていただく。生もの、四足ものは避けると祖母が話していた。おせち料理の定番には意味がある。お重詰めにするのは良きことが幾重にも重なるように、黒豆は真っ黒になるまで元気に働けるように、田作りは豊作を祈願して、カズノコは子孫繁栄の象徴として―と。 さらに、だて巻は反物に見立てて反物がたくさん買えるように、また巻物に見立て学業が向上するように、養老エビは腰が曲がるほど長寿に、栗きんとんはお金がたくさん入るように、かまぼこは初日の出を表す―と。昨今は、何日もかけておせち料理を作ることは難しい時代ではあるが、数品でも十八番料理を家族と作って食べていただきたい。(料理教室主宰)

《食とエトセトラ》9 今年もいざ、おせち料理づくり

【コラム・吉田礼子】10代のころより母とおせち料理を作る時間は至宝のような時間であった。縁あって1977年に宮城県で結婚生活が始まったが、盆と暮れには茨城県の主人の実家に帰省した。暮れには茨城のレンコンを使ったおせち料理を教えてもらう。ユズをたっぷり入れたレンコンの酢バスは宮城のお友達にも大好評。きんぴらと言えばゴボウとニンジンが定番と思っていたのに、縦に1センチ角の拍子切りにしたレンコンのきんぴら、レンコンの丸煮などは産地ならではのお料理と驚きの連続。 コンブ巻きは東北ではニシンと決まっていたのに、茨城では焼きワカサギを巻く。良いだしが出てこちらもおいしい。所変われば品変わる。一つの料理が気候、風土、歴史によって様々に作られることを実感した。私の実家の十八番(おはこ)料理も加わって、栗きんとん、のっぺい、…。義父が活躍する餅つきは、29日は避けて28日につくものと教わって、家族総動員で正月の準備をする。 13日過ぎごろからおせちの材料をお店に相談したり、予約注文したりする。日持ちの良いものは2週間ぐらい前から作るが、25日ごろから集中して作る。正月は歳神様がいらっしゃるので、煮炊きをすると神様が落ち着けないから、年末にあらかじめ用意しておくとのこと。 定番の料理には意味がある 子供のころは、お寺の除夜の鐘を百八つ数えて1年が終わる。その後、父のすることを真似て二礼二拍手、一礼し、新年のご挨拶をしてお神酒を歳の順にいただく。子供は飲む真似だけといわれたハレの日の中でも、お正月は別格。 餅は特に大切な食べ物。まずは神様に供え、下げていただく。生もの、四足ものは避けると祖母が話していた。おせち料理の定番には意味がある。お重詰めにするのは良きことが幾重にも重なるように、黒豆は真っ黒になるまで元気に働けるように、田作りは豊作を祈願して、カズノコは子孫繁栄の象徴として―と。 さらに、だて巻は反物に見立てて反物がたくさん買えるように、また巻物に見立て学業が向上するように、養老エビは腰が曲がるほど長寿に、栗きんとんはお金がたくさん入るように、かまぼこは初日の出を表す―と。昨今は、何日もかけておせち料理を作ることは難しい時代ではあるが、数品でも十八番料理を家族と作って食べていただきたい。(料理教室主宰)

店頭に菊の花とひな人形飾る 土浦駅周辺90店

【伊藤悦子】土浦市の中心市街地などで9日から、市民手作りの催し「重陽(ちょうよう)いばらきの菊の節句」が始まった。土浦駅周辺の商店や銀行、公共施設など約90カ所の店頭に、菊の花と、ハスの花托(かたく)で作られたひな人形「霞連雛(かれんびな)」が飾られている。 五節句のひとつ「重陽の節句」=メモ=にちなんだ健康長寿を願う行事で、同市の同好会「菊被綿(きくのきせわた)文化を守る会」(木村恵子会長)が2014年から毎年、店頭に飾っている。今年は展示場所に市立博物館、市立図書館も加わった。 例年なら、赤、白、黄の綿を菊の花の上にかぶせて展示するが、今年は綿をかぶせていない。守る会会長の木村さんによると「綿は体につけて長寿を願うという意味があるため、不特定多数の人が触る恐れがある。今年は新型コロナウイルス感染拡大予防に考慮した。菊の花そのものを見て楽しんで」と話す。 菊の花と併せて霞連雛が飾られているのは、重陽の節句では、3月3日に飾ったひな人形を再び飾る「後(のち)の雛」という江戸時代から伝わる風習があるため。 霞連雛は、守る会のメンバーや市内商店街のおかみさんたちが、日本一のレンコンの産地をPRして土浦を盛り上げたいという思いを込めて一つひとつていねいに手作りした。 木村さんは「健康や長寿、若返りを祈る重陽の節句は、個々人はもちろん、企業や社会にも通じる。コロナウイルス感染拡大で大変な今だからこそ大切にしたい」と語った。 ◆展示は10月25日まで。展示場所や霞連雛についての問い合わせは菊被綿文化を守る会(電話029-821-1607=すがた美容室)まで。 ※メモ【重陽の節句】「菊の節句」とも呼ばれる五節句のうちの一つ。中国では奇数を「陽」、偶数を「陰」とし、陽は縁起の良いものと考えられた。そのため陽数で最も大きい「9」が重なる9月9日は大変縁起のよい日とされた。 日本に伝わったのは平安時代。宮中では菊被綿という行事も行われていた。8日の晩、夜露が降りる頃に菊に赤、白、黄の真綿をかぶせる。翌朝、夜露を含み菊の香りが移った真綿を体につけると元気になり、若返る、長寿になるとされた。

「天狼院秘本」でちょっと変わった読書を プレイアトレ土浦店の幸田稔史店長

https://www.youtube.com/watch?v=KDldaboTwgE 【伊藤 悦子】 土浦のインターネットテレビ「Vチャンネルいばらき」で22日放映された第97回NEWSつくばチャンネルは、土浦駅ビルの天狼院書店プレイアトレ土浦店(土浦市有明町)店長、幸田稔史さんをゲストに招き、天狼院書店が薦める本などを聞いた。 店長のお薦めは「天狼院秘本」。購入時はどんな本かタイトルや内容を確認することはできない。また、読み始めても内容を他の人に教えない、返品は不可というルールがある。しかし「天狼院書店が自信をもって選んだ本なので、満足してもらえると思う」とし「自分では選ばない本に出合う楽しみもあるのでは」と語った。 家にいる時間が多い時期だからこそ「長編を読んでほしい」と、中国戦国時代を描いた長編コミック「キングダム」、プレイアトレ土浦店で複製原画展を行っている自転車コミック「弱虫ペダル」の紹介もあった。 レンコンの産地である茨城の人に薦めたいのが、かすみがうら市在住の野口憲一さん著「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」。茨城県産レンコンのことや、レンコン農家としての生き様などを知るきっかけとして読んでみてはと話があった。 またこれから、プレイアトレ土浦店で「崖落ち」というシステムが導入されるという。毎週開催される読書会で、参加者から紹介があった本を専用の棚に並べる。他のお客さんが購入すれば、その本はずっと棚に残るが、誰にも買われないと棚からはずされてしまう。これを天狼院書店では「崖落ち」と呼んでいる。自分が推薦した本が人気になって、店頭にずっと並ぶとこともありうるという。他店で並んだ期間のは最高記録2年で、有川浩著の「シアター」だったと話す。 欲しい本がお店にない場合は、店内各所に設置したリクエストノートに書くと、準備可能な本は導入し、レジ横のリクエストボックスに準備してくれる。また「本の知恵袋」というコーナーでは、「泣ける本ありますか?」など質問を書くと、スタッフだけでなく他の客からのアドバイスが貰えるというシステムもある。幸田さんは「ぜひお店に足を運んで、本を手に取って欲しい」と語った。 ◆天狼院書店「プレイアトレ土浦店」の問い合わせは電話029-897-3325。「弱虫ペダル」複製原画展は同2階イベントスペースで6月30日まで開催中。入場無料。

《宍塚の里山》44 大池はピンクの蓮の花が満開です

【コラム・及川ひろみ】今、宍塚大池は蓮(ハス)が美しく咲いています。「極楽浄土のよう」の声も聞かれます。花に顔を近づけるとミントのようないい香り。池全体に甘い香りが漂っています。 土浦市は日本一のレンコンの産地。霞ケ浦周辺に蓮田の花が見られますが、白い花々が一面に咲くことはありません。昔から日本にある野生の蓮はピンク色ですが、明治時代、食用として中国から輸入された「シナバス」は、レンコンが育つように改良されたもので、花が少ないからです。 シナバスは太く、食べるとシャキシャキとしていますが、野生の蓮は細長く、食べると少し硬く、ねっとり感がある食感。食用とはかなり違います。ピンクの花を咲かせる野生の蓮を地元では「柳バス」と呼びます。蓮田に柳バスが出ると駆除しますが、高級料亭では変わった蓮として料理に使われると聞いたことがあります。 レンコンを食べたとき、細い糸を引きますが、この糸は藕糸(ぐうし)と呼ばれるもので、レンコンだけでなく、花や葉の茎を折っても見られます。茎にもレンコンの穴のような大小10個ほどの穴が空いていますが、その穴から細い糸がばねのような螺旋(らせん)状になって出てきます。 蓮の糸で布を織る 花茶をいただく 茎数本を束ね、ポキッと折り、出てきた数十本の糸を撚(よ)り、撚った糸数本をまとめてさらに撚り、木綿糸ほどの太さの蓮の糸を作り、それを横糸にして布を織ったことがあります。縦糸はハスの茎の皮からとった、茄糸(かし)と呼ばれるハスの糸を使いました。布作りは丸一日、数名がかりで取り組みました。手間をかけ出来上がった布は4✕6センチほど。しっとりとした、動物のなめし皮のような不思議な感触でした。 仏教では聖なる花として慕われる蓮。その糸から作った布は、曼荼羅(まんだら)や袈裟(けさ)に使われ、珍重されているそうですが、布作り体験があまりにも大変だったので、その後は行っていません。 蓮の花茶は、花が開く直前の蕾(つぼみ)の先端を少し開いて緑茶を注ぎ、花の香りを楽しむお茶です。江戸時代、不忍池(しのばずのいけ)の畔で催された優雅な遊びということで、大池でも楽しみました。 皆さま、蓮の花が満開の宍塚大池、ぜひ足をお運びください。そして「蓮の花や葉、レンコンで楽しむ、お楽しみ会」を一緒にしませんか。蓮が覆った池の中では、酸素不足が起こり、他の動植物への影響が…。生態系にとっては困ったことです。(宍塚の自然と歴史の会代表) ➡及川ひろみさんの過去のコラムはこちら

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