火曜日, 7月 1, 2025
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レンコン 産地 -検索結果

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平成を貫く県「銘柄産地」指定 かすみがうら市のレンコン

【相澤冬樹】かすみがうら市の仲戸禎雄農林水産課長は25日、JA水郷つくばの池田正組合長、同蓮根本部霞ケ浦支部の江後田稔部会長らと土浦市真鍋の県県南農林事務所を訪れ、佐藤明彦同所長から県の銘柄産地指定証の再交付を受けた。同市霞ケ浦地区で広く栽培されるレンコンは1989年に初指定を受けており、今回の再指定で平成の30年間にわたって市場からの評価を積み重ねてきたことになる。 県の銘柄産地は、農産物の市場流通に品質面での“お墨付き”を与える制度で、1982年の江戸崎(現稲敷市)カボチャを皮切りにスタートした。現在までに青果物が37品目95産地(うち銘柄推進産地35)、花きが7品目20産地(同3)で指定されている。 レンコンについては、かすみがうら市、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。いずれも霞ケ浦沿岸にあって、全国きってのレンコン産地を形成する。全国の作付面積(2017年)3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占め、かすみがうら市は259ヘクタールに及ぶ。同市の銘柄産地指定申請書等によれば、生産者は18年度実績で160戸、出荷数量は3734トン、販売金額は16億1900万円に達した。 産地指定はこれらの実績をベースに、品質面で農産物の信頼性・安全性が市場で評価されていることなどを審査して3年ごとに更新される。25日の交付式で、指定証は県からかすみがうら市へ渡され、出荷組織のJA水郷つくば蓮根本部霞ケ浦支部に伝達された。出荷のレンコンには県銘柄推進協議会の推奨マークが貼られ、全国に流通する。 佐藤所長は「検査体制整備による品質管理の徹底や新たな販売先の開拓などの流通販売対策、県GAP(農業生産工程管理)第三者確認制度などにも積極的に取り組んでおり、今後も更なる発展が見込まれる」と再交付の事由を述べた。池田組合長は「2月1日にJA水郷つくばが発足して最初の銘柄産地指定となったのを喜びたい。今やおいしいのは当たり前、安心と安全の取り組みを支部ともどもいっそう推進していきたい」と今後の意欲を語った。

【直売所めぐり】5 県外客も訪れる日本一のレンコン産地 JA土浦「さんふれ はすの里」

【田中めぐみ】JR常磐線土浦駅から車で北へ10分ほど、農産物直売所「サンフレッシュはすの里」を訪れた。優しい笑顔で迎えてくれた大森恵子さんは、6店舗あるJA土浦の直売所で唯一の女性店長。以前の勤め先で身に着けたPOP広告の技術を生かし、かわいいイラスト入りのPOPを描いては店内に並べている。商品についてお客さんから色々と質問されるため、野菜の研究には余念がなく、大森さんは「スタッフも同じ主婦なのでなんでも気軽に相談してもらえれば」と話す。レンコンは今が旬で、甘みが増している。春になるとハウス栽培の真っ白なレンコンが出まわるそう。こちらはさっぱり味と聞いて、違いを食べ比べしてみたくなった。 「はすの里」だけあって、店内にはレンコンを使った加工品が数多く並ぶ。レンコン味噌やレンコンめん、レンコンケーキなど。日曜日には「はすの実工房」(かすみがうら市)が作るお惣菜を買うことができる。レンコンのてんぷら、レンコンの丸煮、レンコン入りメンチ、レンコンの南蛮漬け…とにかくハス尽くしだ。丸煮と南蛮漬け、メンチを初めて食べた。丸煮は柔らかで食べでがあり、南蛮漬けも酸味がほどよく、メンチも歯ごたえが楽しい。どれも毎日食べたくなるようなほっとする味付けだ。 茨城はレンコンだけでなく白菜の生産量も全国1位。丸々と大きな白菜が店頭に並んでいく。酒井忠熙さんは1966年、国の指定野菜価格安定対策事業で白菜の作付けが本格的になった頃からの生産者で、経験豊か。「今の時期に収穫できるように調整して栽培している。秋からの天気が良かったので今年の出来はまずまず」と話す。 落花生を品出ししていたのは生産者の羽成誠さん。炒(い)る過程を業者に頼らず自分でやっているという。落花生は畑から抜いた株ごと逆さにして網にかけ、天日干しにするうちに味が良くなるそうだ。「味を第一に考えて作っている。落花生の出来に応じて炒り方も変える」というこだわりようだ。 入口わきの「訳あり品コーナー」にニンジンを並べていたのは、生産者の宮下里美さん。「曲がっていたり小さかったりするものを出しているんです」と話すが、規格外とはいえ品物は見るからに新鮮だ。宮下さんが「おすすめの野菜がある」と教えてくれたのは、井坂多加子さんのアイスプラントだ。緑の葉の表面が凍ったように見える。ミネラルが豊富で、生でサラダにするのがおいしいという。シーザーやゴマなどクリーミーなドレッシングと相性がよく、お年寄りにも人気だそうだ。   開店時間の午前9時過ぎ、お客さんたちが入店し始め、「おはようございまーす」と挨拶の声が飛び交う。笑顔で会釈する石井丈二さんは神奈川県相模原市在住で、月に2回は必ず「はすの里」に買いに来る常連。土浦市で歌謡教室の講師をしており、仕事のついでに買い物に立ち寄るという。 石井さんは「はすの里」の野菜や加工品について「新鮮度が違う。車で来ているので神奈川まで持ち帰っています。レンコンはもちろん、サツマイモ、クリ、草餅などなんでもおいしい。生産者さんと顔見知りなので、作っている人が分かるのも安心」と話した。 サンフレッシュはすの里 住所▽土浦市木田余3140 電話▽029-846-7933 営業時間▽午前9時30~午後6時(11月~2月は午後5時30分まで) 定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

最優秀賞は野口重典さん 24年度「日本一のれんこんグランプリ」

日本一のレンコン産地として土浦のレンコンの魅力を広く発信しようと、昨年11月開かれた2024年度「日本一のれんこんグランプリ」(土浦市主催、JA水郷つくば協賛)の表彰式が23日、土浦市役所で開かれた。最優秀賞に選ばれたレンコン生産者の野口重典さん(42)、優秀賞の市川誉庸さん(36)、優良賞の大川正勝さん(44)の3人が安藤真理子市長から表彰を受けた。 同グランプリは、昨年11月23日に市内で開催された土浦市産業祭の会場で実施された。市内の生産者が出品した48本のレンコンを並べ、形や大きさなどの見た目を来場者が投票して順位を決定した。 表彰式にはほかに、小林勉同市副市長、JA水郷つくば農業協同組合池田正代表理事組合長、来賓として市議会産業建設委員会委員長の平石勝司市議が出席した。 安藤市長は「今回のグランプリは昨年11月に開催された土浦産業祭の中で投票されたもの。多くの方が48点の応募作品を真剣なまなざしで一つひとつ選んで投票していたのが印象深い。生産者の皆さんのますますの力強い生産に期待している。多くの関係者の皆さんに感謝したい」と述べた。 JA水郷つくばの池田正組合長は「農産物販売の主力はレンコン。日本一のレンコンなので、今日表彰される3名は日本一の3人ということ。生産者の励みになる表彰。切磋琢磨して愛されるレンコン作りを、生産者として先頭に立ってほしい」と話した。 最優秀賞に選ばれた野口さんは「皆様に感謝したい。就農して20年になる。今年初めてグランプリに出品して最優秀賞をいただいた。今後も土浦の日本一のレンコンをPRしていけるように日々精進してレンコン作りに励みたい」と受賞の喜びを語った。 優秀賞の市川さんは「れんこんグランプリで表彰されるのは3回目。土浦ブランドにも認定され昨年は最高の年だった。3年入賞できるのはなかなかないかと思う。今SNSを使ってPRしているので販売につなげていきたい」とした。 優良賞を受賞した大川さん「今回賞をいただいて大変ありがたい。自分は日頃から消費者目線で生産を心掛けている 消費者の皆さんに選んでもらってありがたい。今後も頑張りたい」と抱負を語った。 味には自信がある 野口さんのレンコン畑は10ヘクタール、年間約250トンを作っている。「レンコンは土づくりが大事」だとし「味には自信がある」と話す。レンコンは形も大切で、節をすべて均等に作るのが特に難しいという。 都内を中心に和食レストランなど約20店に卸している。「ヒツジ肉にレンコンが合う」とオープン当初から野口さんのレンコンを購入してくれるジンギスカン料理店もあるそうだ。 野口さんによるとレンコンは根元に近いほどほくほくしていて、上部はシャキシャキしているのが特徴だ。そのため「根元は煮物に、上部はサラダやてんぷらなど料理によって使い分けてもらうとさらにおいしく食べられるので試してもらえたら」と話す。 「市内に生産者がたくさんいることを消費者にアピールしていくためにも、土浦のいろいろなレンコン農家の人は産業祭に参加して、れんこんグランプリで賞を取ってほしい」と語った。(伊藤悦子)

オリジナルレンコン料理専門店開業へ 土浦市産業祭で一部メニューお披露目

日本一の産地である土浦のレンコンを使用したレシピを開発し提供するオリジナルレンコン料理専門店を開業しようと、同市でインターネットテレビ「Vチャンネルいばらき」を運営する会社社長の菅谷博樹さん(55)と、つくば市下広岡で軽食店「ニッチDEキッチン」を運営する増田勇二郎さん(53)が準備を進めている。開業に先立って23、24日開催の第48回土浦市産業祭でオリジナルメニューの一部をお披露目し販売する。 店名は「土浦れんこん物語」。来年1月ごろ土浦駅西口近くの同市川口、ショッピングモール「モール505」の空き店舗に開業し、ランチを提供する予定だ。店を運営する合同会社「土浦れんこん物語」を近く設立する。 菅谷さんによると、土浦にスイーツ店を構えたことがある増田さんと今年9月頃、土浦の活性化について話した際、「レンコン専門店で土浦をもっとアピールしたい」と意気投合したのがきっかけ。 菅谷さんは「レンコンといえば土浦市だが、あまり県外に浸透していないと感じている」と言い、「レンコンを使ったオリジナルメニューを提供し、市内はもちろん全国、海外にも発信したい」と、食を通じた観光促進と地元産業の活性化を目指したいと語る。新店舗のコンセプトについて「農家+料理の職人がコラボレーションしてオリジナルの新しいレシピを作り出していくこと」だと話す。 提供するメニューには、土浦市とJA水郷つくば主催の「日本一のれんこんグランプリ」で2022年と23年に2年連続最優秀賞を受賞した「市川蓮根」(同市手野、市川誉庸代表)」が生産したレンコンを使用する。メニューの開発と監修は、筑波山温泉ホテル一望(つくば市筑波)の料理長を務めた逸見千壽子さんに依頼した。 提供するランチは700円から2000円程度とする予定で、ほかにキッチンカーでの販売も予定し、インターネット販売なども模索している。 コロッケとお焼きを販売 すでにいくつかのオリジナルメニューが完成しており、そのうち「れんこんコロッケボール」と「れんこんお焼き」を23日、24日、モール505で開かれる産業祭で、「ニッチDEキッチン」のキッチンカーで販売する。 れんこんコロッケボールは、レンコンのすりおろしとジャガイモを9対1の割合で配合し、真ん中にカットしたかみ応えのあるレンコンが入っている。食べやすいよう一口大のボール型にしカップに複数入れて販売、クシで刺して食べてもらう。「れんこんお焼き」は、逸見さんオリジナルのレンコン甘辛味噌が入ったお焼きだ。 菅谷さんは「レンコンを使ったオリジナルメニューを今後も開発、提供し、モール505の活性化にもつなげたい」と意気込みを語る。(伊藤悦子)

れんこん焼酎「土浦恋婚」 1日デビュー

土浦市特産のレンコンを使ったれんこん焼酎「土浦恋婚(れんこん)」が1日、新しく発売され、同市役所でお披露目となった。土浦、つくば、牛久、かすみがうら市、阿見町の量販店や酒販売店などで購入できる。今年で3年目の製造となる土浦のソバを原料にしたそば焼酎「土浦小町」も同時発売となった。 安藤真理子市長は「この日をずっと楽しみにしていた。(『土浦恋婚』は)ほわっと香ってすっきりと甘くおいしい。土浦の新たな名産品として『土浦小町』とセットにし、いろんなところにお土産として持って行きたい」と広報活動に意欲を見せた。 「土浦恋婚」と「土浦小町」を製造している水戸市の醸造会社、明利(めいり)酒類の加藤高蔵社長は「れんこん焼酎は全国で3つか4つの蔵元が作っているが、土浦は日本一のレンコンの産地なのでおいしいものができた」と出来上がりに太鼓判。同社の川口幹夫次長によると、れんこん焼酎「土浦恋婚」はそばや芋、麦の焼酎とは異なる甘い香りが特徴で、上品で繊細な飲み口だという。 れんこん焼酎は今年5月から仕込みを始めた。原材料はJA水郷つくばから仕入れた同市産のレンコン800キロを使用、720ミリリットル入りを約1900本製造した。レンコンは蒸してから刻み、常圧蒸留方式で蒸留、2週間発酵させて作り上げた。レンコンと米麹の割合やレンコンの蒸し時間など試行錯誤を重ね、すっきりとしたのどごしに仕上げたという。 レンコン生産量日本一の県内で、土浦市は最大の生産量を誇る。さらなる知名度向上と消費拡大を目指し、市が焼酎への加工を企画。恋愛の「恋」と結婚の「婚」を合わせ、レンコンに掛けた商品名には、縁起物として祝いのシーンなどで活用してほしいという願いを込めた。同市農林水産課は「出会いの場や、結婚式などで女性の方にぜひ飲んでほしい」とPRする。 2021年に発売したそば焼酎「土浦小町」は、土浦産のブランド品種「常陸秋そば」を使用したもので、毎年完売するほど人気が高いという。(田中めぐみ) ◆れんこん焼酎「土浦恋婚」は720ミリリットルで1980円(税込)。そば焼酎「土浦小町」は720ミリリットルで1500円(税込)。いずれもアルコール分は25パーセント。

収穫最盛期のハス田に結氷 レンコン今年は豊作 霞ケ浦湖畔

正月料理に欠かせないレンコンの収穫が霞ケ浦湖畔で最盛期を迎えている。土浦市田村の湖岸では、ハス田に結氷が見られた19日も朝から、ゴム長を履いた生産者が胸まで水に浸かり、丸まると太ったレンコンを掘り出す作業に追われていた。 輪切りにすると丸い穴の向こうが良く見通せることから、レンコンは正月の縁起ものとして、需要が高まる。茨城県は全国一の生産量を誇り、なかでも土浦市は約500ヘクタール(市外の農地を含む)規模で展開する最大の生産地。同市木田余から手野、田村、沖宿にかけての霞ケ浦北岸には一面のハス田が広がる。 師走の書き入れ時とはいえ、水に浸かっての作業は寒さがこたえる。19日朝の最低気温は土浦でマイナス2度(日本気象協会)、ハス田には氷が張った。作業中の生産者に話を聞くと、「12月に氷が張った記憶はあまりない。暖冬気味だったのに、ここ1日、2日、氷が張るほど急に冷え込んだ」という。 ここ数年、霞ケ浦周辺のハス田は、年内掘りでは「パワー」と「ひたちたから」が主力の品種になっている。県農業総合センターなどが選抜をした優良系統で、白さとシャキシャキ感で売っていた「金澄」種の系統から、コロコロと丸く太った品種への転換が進む。嵩(かさ)が稼げ、贈答用の箱詰めに見栄えがする。 県の土浦地域農業改良普及センターなどによれば、今年の作況は「豊作」。ただし、その分「価格的には苦戦している」そう。肥料や梱包資材などの値上げの影響も大きく、農家にはやりくりが大変な年の瀬になっている。 JA水郷つくばレンコン課の山口崇一課長は「昨年はひどい不作だったが、今季は天候にも恵まれおいしいレンコンができた。ぜひお正月の食卓に載せてほしい」と語っている。(相澤冬樹)

旬のレンコン使い6種のレシピ 土浦で大学生調理実習

「れんこんの日」の17日、土浦市真鍋のつくば国際大学で食農ふれあい交流会が開かれ、同大学保健栄養学科の学生33人がレンコンを使ったハンバーグやはさみ揚げ、きんぴらなど6種のレシピの調理実習に取り組んだ。 交流会を主催したのは土浦地域女性農業士会(市村明代会長)。管理栄養士をめざす学生に、地域の農業、特産物を知ってもらい、給食やお弁当などの献立に取り入れてほしいと2012年から開催している。大学の「調理実習」の授業に関連づけられているが、ここ3年はコロナ禍から中止になったり、オンライン授業になったりして、対面での開催は4年ぶり。同学科1年生の33人が実習に参加した。 講師役は市村会長ら土浦市、かすみがうら市のレンコン農家3人を含む6人の農業士。時期的に旬を迎えることからテーマ食材にレンコンが取り上げられことが多く、今回も16日に採取したばかりのレンコンが実習室に持ち込まれた。 蓋をするだけでもっちりする レンコンは採れた時、節で絞られた球状の可食部が4つ連なる形をしている。先端の第1節は軟らかく、第4節は硬めで、それぞれに適した料理がある。部位ごとに食感や味覚が異なる上、切り方や熱の加え方などによってバラエティーある料理ができる食材という。学生たちは6種のレシピで実践的、体験的に違いを学習した。 きんぴらでは輪切りからいちょう切りにしたレンコンと、繊維に沿ってたて切りにスライスしたものとで比較したが、フライパンで煮るとき蓋をするかしないかでも食感が変わってくる。調理後試食した池田奈央さんは「切り方で食感がこんなに変わるなんて全然知らなかった。蓋をして煮るとシャキシャキしていたレンコンが今度はもっちりしてきて、とてもおいしかった」と感想を述べた。 同学科の管理栄養士、柴崎みゆき准教授は「学生が管理栄養士を目指すうえで、地産地消を学ぶのはとても大事。2年生、3年生になると給食実習などで、レンコンをはじめ優れた地域の特産物にさらに関わることになる」という。 「れんこんの日」は1994年のこの日、全国のレンコン産地が集まって土浦市で「蓮根サミット」が開かれたことにちなむ設定だそう。土浦市など9市町村とJA水郷つくばなど4JAほかでつくる「いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会」は11月中、「れんこん料理フェア2022」を開催中だ。9市町村と都内の72のホテルや飲食店で各種レンコン料理を提供している。

「宝探しみたい」レンコン収穫に挑む JA水郷つくば大使 安達勇人さん

JA水郷つくば大使の安達勇人さんが29日、土浦市田村町にある自身のハス田「アダチハウス・ロータスファーム(ADACHI HOUSE LOTUS FARM)」で収穫体験をした。ゴム胴長姿でハス田に入り、立派に育ったレンコンを次々に掘り当て「久しぶりのレンコンとの出会いで楽しい時間を過ごせた。植え付けから収穫まで向き合い、改めて自分の子どもみたいな思い入れを感じた」と語った。 春に種バスの植え付けをした(5月1日付)ハス田に、再び挑んだ安達さん。前回は軟らかい泥に足が埋まってしまったが、季節を経て泥が締まり、今回は動きやすかったそうだ。 水深は腰までだが、収穫のときは膝立ちになるので胸元まで水に浸かる。この姿勢で左手でホースを操作し、水流で泥を溶かしながら右手でレンコンを探る。JA水郷つくば蓮根本部会会長の石神一幸さんが「レンコンはナイーブ。長くて折れやすいし、水をかけすぎたり触りすぎたりすると紫色に変色してしまう。芽がある先端の方は特にデリケートなので、お尻の方から持ち上げる」とアドバイスする。 「レンコン掘りは宝探しみたい。土の中は見えないが、大きいのを探り当てると感動」と安達さん。掘ったレンコンは水で洗浄してつやを出し、節にあるひげ根などを削って形を整え、箱詰めされる。県の指定産地銘柄である田村レンコンの場合、朝掘りしたものが午後2時のトラックで東京・横浜の指定市場へ向けて発送され、翌日には店頭に並ぶという。 「シャリシャリした中の弾力」 安達さんは先日、さっそく新物のレンコンでステーキと天ぷらを作ってみたそう。ステーキは厚さ3センチほどの輪切りにし、油を引いたフライパンでじっくりと火を通す。厚く切ることで食べごたえが出て、素材の甘みも際立つという。 「味付けは塩コショウだけで、すごくおいしくいただけた。シャリシャリした中にもっちりした弾力があるような、ほかに代えがたい食感。簡単にできるのでぜひ試してみて」と安達さん。石神会長の妻のれい子さんは「スライスした柿と生ハムをはさむのもお勧め」という。 安達さんは「自分で育てたレンコンを食べるなんて、めったにできない経験。いままで気付かなかったいろんな味に気付いた。根菜なので体にいいし、ビタミンCや食物繊維も豊富。田村のおいしいレンコンで、たくさんの人が笑顔になり、食卓が幸せになってくれるといい」と締めくくった。 今年のレンコンは、8月ごろから台風や大風が続いて作柄が心配されたが、品質・価格とも例年並み。これから身が詰まっておいしい時季を迎えるそうだ。(池田充雄)

JA水郷つくば大使・安達勇人さん レンコン栽培スタート

声優・俳優・アーティスト業のかたわら、いばらき大使として活動し、昨年12月にはJA水郷つくば大使に就任した安達勇人さん。このほど土浦市田村町に自身のハス田「アダチハウス・ロータスファーム(ADACHI HOUSE LOTUS FARM)」を開き、4月12日に種バスの植え付けをした。「スーパーなどで売っているレンコンは見てきたが、ハス田に入るのは初めて」だそうだ。 JA水郷つくばが日本一の産地を誇るレンコンを特にPRしたいと、安達さん自身の希望で栽培にチャレンジする。広さ10アール(1000平メートル)の区画が用意され、今後、収穫までの一連の作業を体験するという。 初めてのハス田は、深さはひざ下ほどだが、泥がまとわりつくので足の抜き差しにも四苦八苦。一方、作業を教えてくれる田村れんこん部会青年部のメンバーは、止まらずにすいすい歩く。実は、動かずにいると泥が締まって、ますます抜けなくなるのだそうだ。足を踏み込むときはかかとから。つま先からだとバランスを崩してつんのめりやすい。抜くときは足を真上に持ち上げる。 植え付け作業では、同JAレンコン部会の石神一幸部会長から「芽を傷めないよう注意しながら、優しく泥のベッドに寝かせる。押さえが足りないと浮き上がってしまうので、優し過ぎず強過ぎず」とのアドバイスが飛んだ。 エンタメが農業とタッグ 植え付けを終えての感想は「想像以上にかなり大変。楽しいし奥が深い。青年部の皆さんは速く植えられてすごい、かっこいい。生産者さんの側に立ってみて、土浦のおいしいレンコンが、農家の皆さんのたくさんの愛でできているんだと改めて思った。茨城でも東京でも土には触れてきたけれど、こんなに全身泥だらけになるのは初めて。みんなにも一度体験してもらったら、レンコンへのイメージが変わって、さらに愛してもらえるのでは」とのこと。 青年部の大川正勝部長は、作業する安達さんの様子を見て「童心に帰ったように、新鮮な気持ちで楽しんでいたようだ。彼の人柄に触れ、また話を聞いて、応援したい気持ちがますます強くなった」との印象。 大川さんはこの機会を通じて、都心部にいたのでは気付かない田舎や農家の良さがたくさんあることを発信したいという。「農業は自分の考え一つでいろんなことができる職業。良いものを作るという根本は昔と同じだが、経営スタイルや販売戦略など大きく変わってきている。農業のさまざまな可能性を、安達さんと共に広げていけるといい」 安達さんも「エンタメはお客さんに気持ちいいものを持ち帰っていただく。それは生産者の方々も同じだと思う。おいしいものを作って感動を与える。これから青年部の皆さんと一緒に、僕らしい新しいやり方で、老若男女に向けてメッセージを送り、農業を盛り上げていきたい」と応じる。 今後、安達さんは定期的にロータスファームを訪れ、スケジュールの許す限り草刈り・追肥・防除などの作業に携わり、9月下旬には収穫を迎える予定。JA水郷つくばの特設サイト「れんこんチャンネル」や、NHK水戸放送局「いば6」番組内「レンコン向上委員会」コーナーで随時、その様子を知らせるという。(池田充雄)

レンコン黒皮病、徐々に拡大 県が対策へ本腰

【山崎実】レンコンの商品性を損なう黒皮病が全国的に発生し、生産量日本一を誇る県内でも徐々に被害が拡大していることから、県は生産者団体などと協力し実態調査に着手した。 黒皮病は、レンコンネモグリセンチュウ(線虫)によって引き起こされ、被害を受けたレンコンは肌に黒い小斑点が発生する。全体的にやや黄変し、一節目(頭)の肥大が悪くなり、形状が三角形に変形してしまう。品質維持の大敵で線虫駆除が重要になる。 既に県は、農機具の洗浄や健全な種バスの使用、農薬としての石灰窒素の施用、収穫後の残さの除去など総合防除法をまとめ、2017年以降、講習会などを通して生産者に指導を行ってきた。 しかし、被害の程度が地域やほ場によって異なるほか、具体的な防除対策の判断を生産者個々の対応に任せてきたため、実効性に疑問符が付き、県も本腰を入れて黒皮症対策に取り組む。 具体的には、レンコン産地での発生状況を正確に把握するため、生産面積の大きい土浦市やかすみがうら市などで生産者団体と調査に着手した。今後、3年以内を目途に他の市町村にも拡大していく方針で、その結果を地図に落とすなどして可視化する。被害程度の大きい地区は直接、個別指導を行うなど、重点的に防除対策を実施していく。 また収穫後の残さ処理についても、集団的・組織的な堆肥化の取り組みなど、出来るだけ早くほ場から持ち出して処理する方策を検討するとしている。 県内のレンコンは約1600ヘクタールに及ぶ生産面積と、全国シェアの46.8%を占める収穫量(2016年)を誇る。

土浦など9市町村71店で料理フェア開催中 17日は「れんこんの日」

【山崎実】生産量日本一を誇るレンコンをよりおいしく、身近に食べてもらおうと、土浦市など霞ケ浦周辺の9市町村で30日まで「日本一の茨城れんこんーれんこん料理フェア2019」が開かれている。 同フェアは1994年11月、全国の産地の代表が土浦市に一堂に会した「れんこんサミット」で制定された「れんこんの日」(11月17日)を含む1カ月間を期間限定で実施している。 参加店舗は、いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会の構成メンバーである土浦、石岡、稲敷、かすみがうら、小美玉、行方、阿見、河内、美浦の9市町村71店舗。 レンコンの消費拡大が目的で、霞ケ浦周辺のほか、都内のホテルや料理店でも茨城産レンコンの料理を提供するなど、全国に発信する。料理を食べた人にアンケートを行い、応募者から抽選でレンコン加工品などをプレゼント(20人)する企画も用意されている。 県によると、レンコンの都道府県別の作付け状況は、2016年実績で作付け面積1610ヘクタール、出荷量2万4100トンと、続く徳島県の出荷量5770トンを大きく上回り、収穫量、出荷量とも全国一を誇っている。 官民一体の料理フェアによる消費拡大作戦で、茨城レンコンのさらなるブランド化を図る。 問い合わせは茨城県県南農林事務所振興・環境室(電話029-822-7086)へ。 ➡レンコン関係の過去記事はこちら

《県南の食生活》6 レンコンは茨城 全国の48%を生産

【コラム・古家晴美】県南で最も有名な農産物と言えば、やはりレンコンでしょう。茨城県は熱帯アジア原産であるレンコン生産地の北限にもかかわらず、2018年度の収穫量が全国1位で、全収穫量の48.1パーセントを占めています(農林水産省作物統計・作況調査第1報)。これから来春にかけて霞ケ浦の蓮(はす)田は本格的な収穫期に入ります。 レンコンについての最初の記録は「常陸国風土記」で、蓮根(れんこん)が食用にされていることと共に、その薬効も紹介されています。霞ケ浦の土浦入り(高浜入りに対し土浦側の入り江)では、天保年間(1830~44)に土浦藩主土屋寅直(つちや・ともなお)が栽培を奨励し、積極的に取り組み始めます。 しかし、当時栽培されていた在来種(白花以外に赤花やピンク色の花もあります)は深根(ふかね)性で、常時冠水(かんすい)田や排水不良の池で栽培され、粘質で美味であるものの、生産性が高くありませんでした。明治26(1893)年に常磐線が開通すると、大都市へ出荷され、レンコンの需要も高まります。土浦では、大きな蓮問屋が元締めとして広大な蓮田を所有し、掘り子を雇って生産・販売していました。 当時、レンコンは高価だったので、庶民の口に入るのは特別な日に限られていました。正月や盆、祭り、祝儀、不祝儀などの「ハレの日」にしか口にできなかったと言います。 芽に近い先端の第1節は、最も若く肉質が軟らかいので軽くゆでて酢バスなどにします。第2節、第3節に向かうに従い肉質が硬くなっていくので、これを牛蒡(ごぼう)、人参(にんじん)などと共に、砂糖・醤油で味付けした煮もの、きんぴら、天ぷらにすることもありました。 食物繊維が豊富な食材 現在は、これらレンコン料理のほかに、れんこんハンバーグ、れんこんサラダ、れんこんチップス、レンコンカレーなどの様々なレシピが開発され、食物繊維が豊富な食材として日常的に食卓にのぼりますが、コメ以上に収益性の高い作物であったため、庶民の口には入りづらい時代もあったのです。 茨城県におけるレンコン栽培が本格的に展開されたのは高度経済成長期以降です。東京市場のレンコン取扱高は、1955年は東京が51.4%、茨城が25.8%であったのが、1965年に大逆転し、茨城が56.8%、東京が17.1%になりました。 その要因として、レンコン栽培に適した気候風土や流通網の発達が茨城で満たされていたことが挙げられます。しかし、それと同時に、かつてレンコンの大生産地であった東京東部低湿地帯が、宅地化によって生産を止め、都市近郊に生産地を求めたことも追い風となりました。 霞ケ浦のレンコンの来し方を振り返りながら今年の冬もレンコンを楽しんでみませんか。(筑波学院大学教授) ➡古家晴美さんの過去のコラムはこちら

【レンコン歳時記】㊦ まっすぐ育てよ 令和の種ハス

【相澤冬樹】農産物の市場流通に品質面でお墨付きを与える県の銘柄産地制度で、レンコンは1989年にかすみがうら市(霞ケ浦地区)が初指定を受けた。以来、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。今や若い農業者や農業後継者が好んで取り組みたがる人気作物となっており、県のレンコン産出額は2016年、153億円で全国1位、レンコンは平成の30年間を代表する品目になった。 この間、金澄(かなすみ)系統の白くふっくら、シャキシャキ感ある食味のレンコンが定着したが、産地や生産者の間で品質や収量にばらつきが出ている。特に嫌われるのが「すねあがり」と呼ばれる現象。基部から徐々に老化し、茶色に変色して商品価値をなくす。 県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)は、2013年度から「レンコンの優良系統選抜」試験を実施しており、収集や選抜、品質評価を繰り返してきた。食味・食感や形状・収量などのほか、浅めの場所で掘れる作業性なども考慮して次世代レンコンの作出に取り組んだ。 4系統を選出 2018年には県を代表するレンコンとして、「ひたちたから」「パワー」「みらい選抜」「金澄39号」の4系統を選出した。「ひたちたから」は既登録の品種で、早期肥大性があり、収量も多い。柔らかな食感が特色。「パワー」は肉厚のため(穴が小さい)断面形状の評価が高かった。前者二つが年内の掘り取りに適した系統とされた。 「金澄39号」は、すねあがりの程度が低く、年明けの収穫に向く。甘みがあり食味評価も高い。やはり年明けの掘り取りに適した「みらい選抜」は色白で外観がいいのが特徴という。 4系統の品種は、JA水郷つくばなど県内4つのJAに引き渡され、現在はそれぞれの増殖圃(ほ)に定植された。今夏の成長による増殖を待って、優良な種ハスをさらに選抜し、来年から生産農家に供給される。名実とも「令和種」のレンコンが市場や食卓に並ぶのは来年末以降になりそうだ。 優良系統の選抜に取り組んだ生工研の堀井学主任研究員によれば、「不適切な種ハスは確実に取り除きたいので青年部とかレンコン部会の作付けを見にいったり、相談に乗ったりしたりしているが、見極めには苦心している」そう。まっすぐで子ハスのそろったものを選ぶよう指導しているという。 ちなみに、4つの系統とも花の色は白が基調の「爪紅」になる。咲いた花の色で識別するのは難しく、湖岸のハス田が色とりどりの花で飾られることはないそうだ。(終わり)

【レンコン歳時記】㊤ 赤い花は咲くなよ 種ハス定植の5月

【相澤冬樹】ゴールデンウイークの田んぼで、忙しいのは稲作農家ばかりではない。土浦市など霞ケ浦周辺に広がるハス田の水面(みなも)には、腰まで泥に浸かって田舟を引く人の姿が目立ってくる。舟にはころころと太ったレンコンが載っているが、収穫作業ではない。掘り取った長いレンコンの節を三つほどに切り離して種ハスとし、泥田の底に定植しているのだ。 2017年統計で、レンコンの全国作付面積3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占めた。その中心は霞ケ浦周辺で、わが国きっての産地といえる。が、どうやって栽培されているのか、近在にあっても知る機会はほとんどない。だからハスの実から採った種子で育てていると思う者も少なくない。 地下茎であるレンコンは、すぼんだ節のところに根と芽をもっており、春に芽から水面まで届く浮き葉を伸ばして光合成を始める。この後、立ち葉を傘のように広げて、根茎を太らせていく。最後につぼみを持った花芽が出てきて、初夏には大輪の花を咲かせる。咲き終わった花托(かたく)は、手に収まるサイズの半球状の実になる。中に小指の先ほどの種子が入っているが、農家がこれから実生(みしょう)で育てることはない。 泥の中、段々に節を伸ばしたレンコンは、葉の枯れる秋には光合成ができず成長を止めるが、十分に太っており、出荷のタイミングを待つだけとなる。この間の呼吸のため、酸素の通り道になっているがハスの穴だ。出荷は需要のピークを迎える年末を経て、翌年春まで行われるが、農家は1割程度の田は収穫せずに種ハス用に残しておく。これを掘り取って、ハス田に植え替えているのが今の時期、大体5月いっぱい続く。 同じ遺伝子のクローン すなわち一面のハス田に植わるレンコンは、同じ株の遺伝子を引き継ぐクローンなのである。これによって一定の品質が保たれる。霞ケ浦周辺で代表的なのは金澄(かなすみ)と呼ばれる系統。シャキシャキ感ある食味が消費者に好まれ、よく肥大して多収性なのが生産者に喜ばれる。千葉県の育成農家が系統選抜という手法で品種改良したもので、1985年ごろの「金澄1号」から始まり、最終的には「43号」ぐらいまで作られたそうだ。 徳島や愛知などの産地で栽培されているレンコンは備中種が主で、ほぼ赤い花が咲くのに対し、金澄の系統は白い花になる。うっすらピンクの筋が入っており、「爪紅」(つまべに)という。霞ケ浦周辺のハス田でも赤い花が交じることがあるが、農家はこれを嫌う。前年掘り残したレンコンが地中に残ったときなど、深く潜ったハスから出た花芽に赤い花がつく。突然変異とも先祖返りともみられ、レンコンは細長く変形してしまい、白くふっくらした形状にならない。実生も同様に、品質が保証できないから取り除かれるということだ。 しかし、クローン技術で同一の品種を作り続けていると、レンコンの形状や品質が劣化したり、収量が減少したりする。このため新しい品種や系統の導入が必要になってくる。近年は、レンコンの育種家が減少し、優良品種・系統の選抜や育種の課題に取り組むのは、行政の仕事になった。県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)が主に担っている。(続く)

《好人余聞》12 「長い経験には説得力があります」 レンコン栽培 浅野廣宗さん

【コラム・オダギ秀】人生という旅の途中で出会った人たち、みんな素敵な人たちでした。その方々に伺った話を、覚え書きのようにつづりたいと思っています。 「まったく暮らす世界が違いましたね。価値観が変わってしまったと言うか」 霞ケ浦のほとりで、レンコンを栽培している浅野廣宗さんは、栽培に携わるようになってからの自分の変化を、驚きだったとしみじみ語った。 土浦市は、全国一のレンコン産地。品質の高さと生産量で、他産地を圧倒している。そんな名産地で、浅野さんは、5年前からレンコン栽培を始めた。 地元に生まれ育ち、東京農大の農学部を出た浅野さんは、飼料会社で畜産コンサルタントなどを長年務め、おもに農業の技術指導に関わって来た。 「ずっと技術畑で生きていたんです。こんな場合は、こう対処するといいとか、こうすればもっといい品質になるとか、理論や原則を大切にする生き方だったんです」 そんな浅野さんは、50代の末、それまでの仕事から農家に戻り、レンコン栽培に転進した。 「農業なら夏は楽だろう、なんて気が、少しはあったんでしょうか。でも、暇そうな時も、草取りなどして働かないと、後でひどい目に遭うんです。実際のハス栽培なんて何も知らなかったから、大変でしたよ。いつ、何をすべきか、何をしていいのか分からない。レンコンの種の植え方のような基本的なことでも分からなかった」 自分が栽培したものは可愛い だから、周りの農家の人たちに教わりまくったそうだ。 「みんな、よく教えてくれました。でもね、俺はこうして30年も40年もやってきたから、って教えてくださるんですが、そのことがそれぞれちがう。長年の経験に基づいているから、説得力があるんですよ。正しいんですよ。それでも、その教えてくださることが、みなそれぞれ違うんです。ボクも困りました」 すると、浅野さんは言われたそうだ。 「30年、40年やってきたけど、一度として、こうすりゃ間違いなくできるなんてことはなかったよ。毎年、気候も水も、種だって違う。これでいいなんてない。毎年毎回、新しいことをやっているんだよ」と。 浅野さんは、経験の大切さを学んでいった。 こんなこともあった。農家の人たちが、自分の作った作物を自分の子どものようだ、と表現するのを、嘘っぽいと、かつては思っていたそうだが、 「でも、今は、その気持ちがよく分かります。自分が栽培したものは、本当に可愛い。自分の子どもみたいです。人生観が変わったかな」 浅野さんは、傍らのハスの茎をそっと手繰り寄せると、辛そうにした。 「見渡す限り緑の葉だったんです。それが、ちょっと台風の風が吹いただけで、すぐこんなに痛んでしまった。自然を相手にする仕事は、本当に大変ですけど、つねに結果が楽しみなんです」(写真家)

知っていますか?「文化観光推進法」《遊民通信》92

【コラム・田口哲郎】 前略 最近、文化観光推進法(2020年5月施行)という法律があることを知りました。この法律の概要は文化庁の公式サイトによると以下のようになります。 文化観光とは「有形又は無形の文化的所産その他の文化に関する資源(文化資源)の観覧、文化資源に関する体験活動その他の活動を通じて、文化についての理解を深めることを目的とする観光」(文化観光推進法第2条)です。 多くの人々に文化資源の魅力を伝え、文化の振興に再投資される好循環を生み出すことで、地域の活性化や文化芸術の発展につなげていくことが期待されています。 要するに、地域に根ざす文化を観光資源化し、観光による収入を再び地域に投資し、地域活性化、文化振興に役立てようというものです。現在、日本全国で51の文化観光拠点が認定されています。 琵琶湖疏水記念館を核とする計画 名だたる名所が並んでいるのですが、そのうちに「琵琶湖疏水記念館を中核とする文化観光拠点計画」があります。この文化観光推進法はいくつかの観光拠点を有機的に結びつけて、観光客を増やして収益を文化と地域活性化のために再投資するのが目的です。 京都の計画では、2時間サスペンスドラマの撮影地で有名な南禅寺水路閣、京都に生活用水を供給した琵琶湖疏水の記念館、京都市京セラ美術館、京都水族館、疏水の高低差部分に船を通すための鉄道線路である蹴上インクライン、旧御所水道ポンプ室が結ばれています。 蹴上インクラインのライトアップ、多言語デジタル対応、オリジナルグッズの販売、集客イベントの開催などが計画され、5年間で3億円あまりの推進事業予算がついています。実績は今後出てくるものと思われます。 茨城県南の文化観光拠点は? さて、茨城県については、2024年4月1日現在、認定された拠点はありません。これは各県ひとつずつとかそういった決まりもないですし、拠点がないからといって観光に力を入れていないということでもありません。 ただ、たとえば霞ケ浦は琵琶湖に次ぐ大きさを誇る巨大な湖ですし、霞ケ浦の周りにはレンコンやサツマイモの産地があり、美浦村にはJRAのトレセン、阿見町には予科練記念館、昭和初期には世界一周中の巨大飛行船ツェッペリン伯号が飛来、リンドバーグ夫妻が飛行機で土浦の海軍飛行場に寄港するなど歴史的事実もあります。 霞ケ浦の帆引き船の見学や自転車によるりんりんロードは2023年12月まで県が行っていた観光振興事業、体験王国いばらきの精神を継承できるのではないでしょうか。 茨城県南が文化観光推進事業によって、その魅力を再発見し、広報できれば、より魅力ある街づくりができるのではないかと、また夢見てしまいます。ごきげんよう。 早々 (散歩好きの文明批評家)

佐野治さんの受勲祝う 元JA土浦・県中央会会長

土浦農業協同組合(現 水郷つくば農業協同組合)組合長や県農業協同組合中央会会長を務め、昨年秋に旭日双光章を受章した佐野治さん(77)の受章祝賀会が17日、霞ケ浦湖畔の土浦市川口「ローブ・カスミガウラ」で開かれ、国会議員、県議、経済団体や農協(JA)関係者など約130人が出席し、佐野さんの受章を祝った。 佐野さんは土浦市宍塚の出身。1977年にJA土浦に入り、2008~17年にJA土浦の組合長を務めたあと、17~20年に県内のJA関連組織を束ねるJA県中央会の会長を務めた。 良質な県産農畜産物を安定供給 祝賀会発起人を代表して八木岡努・県JA中央会会長があいさつし「佐野氏は、サンフレッシュつくば店の開設や産直事業専門の専門部署を設置するなど、新しい販路拡大と地産地消の推進に取り組んだ。また『安心・安全な農産物の供給』を第一に考え、生産履歴記帳の定着化や、JAブランドの確立に努め(レンコン粉末入りうどんの)『れんこんめん』の開発・販売に取り組んだ」などと、JA土浦時代の功績を紹介した。 さらに「県中央会の会長の時は茨城県との連携協定を結び、ブランド力ある良質な県産農畜産物の安定供給に取り組んだ。県産品の輸出拡大、低価格モデル農機の共同購入などによる生産コストの低減にも尽力した」と、県中央会時代の活躍もたたえた。 産総研の石村理事長もあいさつ 祝賀会には、葉梨康弘、永岡桂子、国光あやの、青山大人、田所嘉徳衆院議員、上月良祐、加藤明良参院議員、伊沢勝徳、八島功男、葉梨衛、白田信夫、飯塚秋男、星田弘司、中山一生、金子敏明県議、安藤真理子土浦市長、宮嶋謙かすみがうら市長、千葉繁阿見町長、萩原勇龍ケ崎市長、上野昌文・県農林水産部長(知事の代理)らが出席した。 このうち、葉梨衆院議員、上月参院議員、葉梨県議、上野部長が祝辞を述べ、国や県の農業政策とJAの活動との関連を取り上げながら、佐野さんの活躍ぶりを紹介した。 佐野さんと親戚筋の石村和彦・産業技術総合研究所理事長もあいさつに立ち「出席者の顔ぶれを拝見すると、私は完全にアウエー(部外者)。実は、毎年末に(土浦産の)レンコンを佐野さんから送ってもらっている。それを薄く切ってフライパンで焼いて食べると、ビールがいくらでも飲める」と笑いを誘ったあと「産総研も乾燥に強い野菜とか果物の糖度センサーなどの研究をしており、今後、JAとのコラボも検討したい」などと述べた。(岩田大志)

常磐線も4車線でまたぐ 25日に354号土浦バイパス全線開通

土浦市若松町~手野町の間で県による4車線化整備が進められていた国道354号土浦バイパスのうち、最後まで残っていた常磐線をまたぐ木田余跨線橋(きだまりこせんきょう)など0.9キロ区間の工事が完了し、25日午後2時から全線開通する。今回開通するのは、常磐線をまたぐ跨線橋が東西で立ち上がる木田余跨線橋東交差点~木田余バイパス西入口交差点の区間。既存の木田余跨線橋の南側に新たに2車線を増設する形で橋梁を拡幅整備し、両交差点について改良工事を行った。事業費は約30億円。線路に架かる橋梁工事の一部をJR東日本水戸支社(水戸市)に委託している。 国道354号は、茨城県西から県南、鹿行地域にかけて横断する広域幹線道路で、災害時の緊急輸送道路にも指定されている。そのうち土浦バイパスは鹿行地域方面から常磐自動車道土浦北ICへのアクセス機能の強化と土浦市内の渋滞緩和を図るため、1991年度から延長5.3キロ、幅員25メートルの4車線で着手された。バイパスは2011年2月に暫定2車線で供用し、これまでに、おおつ野団地入口交差点~木田余東交差点まで約2.9キロと、若松町の市道をまたぐ跨道橋~木田余西入口交差点まで約1.5キロの4車線化が完了している。 25日は開通に先立ち、午前10時半から地元の公民館で県土浦土木事務所主催による安全祈願を行う。 土浦駅東のボトルネック解消には道遠し 県は「土浦市内の渋滞緩和や常磐道の土浦北ICへのアクセス強化が図られる」としているが、交通量の増大により木田余跨線橋東交差点からJR土浦駅東方向に向かう荒川沖木田余線(荒木田線)の交通混雑がさらに悪化する懸念もふくらむ。同バイパスの24時間交通量(国交省道路交通センサス)は2021年で2万5000台を超え、2010年の約2倍、特に大型車は3倍近くに達している。荒木田線は常磐線の東側を並走する形で、阿見町荒川沖本郷から土浦市木田余に至る延長11.5キロの都市計画道路。1957年に都市計画決定され、全区間の整備が一応は完了している。しかし土浦駅東の港橋から南側区間(荒川沖方面)の都市計画決定が幅員25メートルなのに対し、北側区間(木田余方面)は幅員18メートルだった。土浦駅方向への通勤や送迎のためラッシュが朝夕に恒常化し、ボトルネックとなった北側区間は同市きっての渋滞路線になっている。 354号土浦バイパスとの交差点周辺は、同市特産のレンコンの生産地帯で、渋滞を嫌った一般車両が農道に入り込んでは、生産者とトラブルになるケースも少なくない。2016年に新築移転した土浦協同病院(同市おおつ野)への緊急車両がひんぱんに混雑に巻き込まれたりもしている。 荒木田線は2013年、幅員18メートルの約2.3キロ区間について幅員25メートルに都市計画変更され、車線数も4車線に設定し直された。これ以降、県と土浦市が事業区分を分担して整備を進めてきた。このうち土浦市が施行者となる木田余跨線橋東交差点~流域下水道事務所(同市湖北)まで1.3キロ区間は、4車線への拡幅工事が年内にも完了し、年度内に供用できる見通しとなっている。しかし、土浦駅東寄りの約1キロ区間の整備は手つかずで、ボトルネックの解消にはなお遠い道のり。事業区分上、県が約370メートル、市が約630メートルを残しており、共に用地取得の交渉中で着工の見通しはついていないという。(相澤冬樹)

《食とエトセトラ》9 今年もいざ、おせち料理づくり

【コラム・吉田礼子】10代のころより母とおせち料理を作る時間は至宝のような時間であった。縁あって1977年に宮城県で結婚生活が始まったが、盆と暮れには茨城県の主人の実家に帰省した。暮れには茨城のレンコンを使ったおせち料理を教えてもらう。ユズをたっぷり入れたレンコンの酢バスは宮城のお友達にも大好評。きんぴらと言えばゴボウとニンジンが定番と思っていたのに、縦に1センチ角の拍子切りにしたレンコンのきんぴら、レンコンの丸煮などは産地ならではのお料理と驚きの連続。 コンブ巻きは東北ではニシンと決まっていたのに、茨城では焼きワカサギを巻く。良いだしが出てこちらもおいしい。所変われば品変わる。一つの料理が気候、風土、歴史によって様々に作られることを実感した。私の実家の十八番(おはこ)料理も加わって、栗きんとん、のっぺい、…。義父が活躍する餅つきは、29日は避けて28日につくものと教わって、家族総動員で正月の準備をする。 13日過ぎごろからおせちの材料をお店に相談したり、予約注文したりする。日持ちの良いものは2週間ぐらい前から作るが、25日ごろから集中して作る。正月は歳神様がいらっしゃるので、煮炊きをすると神様が落ち着けないから、年末にあらかじめ用意しておくとのこと。 定番の料理には意味がある 子供のころは、お寺の除夜の鐘を百八つ数えて1年が終わる。その後、父のすることを真似て二礼二拍手、一礼し、新年のご挨拶をしてお神酒を歳の順にいただく。子供は飲む真似だけといわれたハレの日の中でも、お正月は別格。 餅は特に大切な食べ物。まずは神様に供え、下げていただく。生もの、四足ものは避けると祖母が話していた。おせち料理の定番には意味がある。お重詰めにするのは良きことが幾重にも重なるように、黒豆は真っ黒になるまで元気に働けるように、田作りは豊作を祈願して、カズノコは子孫繁栄の象徴として―と。 さらに、だて巻は反物に見立てて反物がたくさん買えるように、また巻物に見立て学業が向上するように、養老エビは腰が曲がるほど長寿に、栗きんとんはお金がたくさん入るように、かまぼこは初日の出を表す―と。昨今は、何日もかけておせち料理を作ることは難しい時代ではあるが、数品でも十八番料理を家族と作って食べていただきたい。(料理教室主宰)

《食とエトセトラ》9 今年もいざ、おせち料理づくり

【コラム・吉田礼子】10代のころより母とおせち料理を作る時間は至宝のような時間であった。縁あって1977年に宮城県で結婚生活が始まったが、盆と暮れには茨城県の主人の実家に帰省した。暮れには茨城のレンコンを使ったおせち料理を教えてもらう。ユズをたっぷり入れたレンコンの酢バスは宮城のお友達にも大好評。きんぴらと言えばゴボウとニンジンが定番と思っていたのに、縦に1センチ角の拍子切りにしたレンコンのきんぴら、レンコンの丸煮などは産地ならではのお料理と驚きの連続。 コンブ巻きは東北ではニシンと決まっていたのに、茨城では焼きワカサギを巻く。良いだしが出てこちらもおいしい。所変われば品変わる。一つの料理が気候、風土、歴史によって様々に作られることを実感した。私の実家の十八番(おはこ)料理も加わって、栗きんとん、のっぺい、…。義父が活躍する餅つきは、29日は避けて28日につくものと教わって、家族総動員で正月の準備をする。 13日過ぎごろからおせちの材料をお店に相談したり、予約注文したりする。日持ちの良いものは2週間ぐらい前から作るが、25日ごろから集中して作る。正月は歳神様がいらっしゃるので、煮炊きをすると神様が落ち着けないから、年末にあらかじめ用意しておくとのこと。 定番の料理には意味がある 子供のころは、お寺の除夜の鐘を百八つ数えて1年が終わる。その後、父のすることを真似て二礼二拍手、一礼し、新年のご挨拶をしてお神酒を歳の順にいただく。子供は飲む真似だけといわれたハレの日の中でも、お正月は別格。 餅は特に大切な食べ物。まずは神様に供え、下げていただく。生もの、四足ものは避けると祖母が話していた。おせち料理の定番には意味がある。お重詰めにするのは良きことが幾重にも重なるように、黒豆は真っ黒になるまで元気に働けるように、田作りは豊作を祈願して、カズノコは子孫繁栄の象徴として―と。 さらに、だて巻は反物に見立てて反物がたくさん買えるように、また巻物に見立て学業が向上するように、養老エビは腰が曲がるほど長寿に、栗きんとんはお金がたくさん入るように、かまぼこは初日の出を表す―と。昨今は、何日もかけておせち料理を作ることは難しい時代ではあるが、数品でも十八番料理を家族と作って食べていただきたい。(料理教室主宰)

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