金曜日, 10月 30, 2020
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レンコン 産地 -検索結果

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平成を貫く県「銘柄産地」指定 かすみがうら市のレンコン

【相澤冬樹】かすみがうら市の仲戸禎雄農林水産課長は25日、JA水郷つくばの池田正組合長、同蓮根本部霞ケ浦支部の江後田稔部会長らと土浦市真鍋の県県南農林事務所を訪れ、佐藤明彦同所長から県の銘柄産地指定証の再交付を受けた。同市霞ケ浦地区で広く栽培されるレンコンは1989年に初指定を受けており、今回の再指定で平成の30年間にわたって市場からの評価を積み重ねてきたことになる。 県の銘柄産地は、農産物の市場流通に品質面での“お墨付き”を与える制度で、1982年の江戸崎(現稲敷市)カボチャを皮切りにスタートした。現在までに青果物が37品目95産地(うち銘柄推進産地35)、花きが7品目20産地(同3)で指定されている。 レンコンについては、かすみがうら市、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。いずれも霞ケ浦沿岸にあって、全国きってのレンコン産地を形成する。全国の作付面積(2017年)3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占め、かすみがうら市は259ヘクタールに及ぶ。同市の銘柄産地指定申請書等によれば、生産者は18年度実績で160戸、出荷数量は3734トン、販売金額は16億1900万円に達した。 産地指定はこれらの実績をベースに、品質面で農産物の信頼性・安全性が市場で評価されていることなどを審査して3年ごとに更新される。25日の交付式で、指定証は県からかすみがうら市へ渡され、出荷組織のJA水郷つくば蓮根本部霞ケ浦支部に伝達された。出荷のレンコンには県銘柄推進協議会の推奨マークが貼られ、全国に流通する。 佐藤所長は「検査体制整備による品質管理の徹底や新たな販売先の開拓などの流通販売対策、県GAP(農業生産工程管理)第三者確認制度などにも積極的に取り組んでおり、今後も更なる発展が見込まれる」と再交付の事由を述べた。池田組合長は「2月1日にJA水郷つくばが発足して最初の銘柄産地指定となったのを喜びたい。今やおいしいのは当たり前、安心と安全の取り組みを支部ともどもいっそう推進していきたい」と今後の意欲を語った。

【直売所めぐり】5 県外客も訪れる日本一のレンコン産地 JA土浦「さんふれ はすの里」

【田中めぐみ】JR常磐線土浦駅から車で北へ10分ほど、農産物直売所「サンフレッシュはすの里」を訪れた。優しい笑顔で迎えてくれた大森恵子さんは、6店舗あるJA土浦の直売所で唯一の女性店長。以前の勤め先で身に着けたPOP広告の技術を生かし、かわいいイラスト入りのPOPを描いては店内に並べている。商品についてお客さんから色々と質問されるため、野菜の研究には余念がなく、大森さんは「スタッフも同じ主婦なのでなんでも気軽に相談してもらえれば」と話す。レンコンは今が旬で、甘みが増している。春になるとハウス栽培の真っ白なレンコンが出まわるそう。こちらはさっぱり味と聞いて、違いを食べ比べしてみたくなった。 「はすの里」だけあって、店内にはレンコンを使った加工品が数多く並ぶ。レンコン味噌やレンコンめん、レンコンケーキなど。日曜日には「はすの実工房」(かすみがうら市)が作るお惣菜を買うことができる。レンコンのてんぷら、レンコンの丸煮、レンコン入りメンチ、レンコンの南蛮漬け…とにかくハス尽くしだ。丸煮と南蛮漬け、メンチを初めて食べた。丸煮は柔らかで食べでがあり、南蛮漬けも酸味がほどよく、メンチも歯ごたえが楽しい。どれも毎日食べたくなるようなほっとする味付けだ。 茨城はレンコンだけでなく白菜の生産量も全国1位。丸々と大きな白菜が店頭に並んでいく。酒井忠熙さんは1966年、国の指定野菜価格安定対策事業で白菜の作付けが本格的になった頃からの生産者で、経験豊か。「今の時期に収穫できるように調整して栽培している。秋からの天気が良かったので今年の出来はまずまず」と話す。 落花生を品出ししていたのは生産者の羽成誠さん。炒(い)る過程を業者に頼らず自分でやっているという。落花生は畑から抜いた株ごと逆さにして網にかけ、天日干しにするうちに味が良くなるそうだ。「味を第一に考えて作っている。落花生の出来に応じて炒り方も変える」というこだわりようだ。 入口わきの「訳あり品コーナー」にニンジンを並べていたのは、生産者の宮下里美さん。「曲がっていたり小さかったりするものを出しているんです」と話すが、規格外とはいえ品物は見るからに新鮮だ。宮下さんが「おすすめの野菜がある」と教えてくれたのは、井坂多加子さんのアイスプラントだ。緑の葉の表面が凍ったように見える。ミネラルが豊富で、生でサラダにするのがおいしいという。シーザーやゴマなどクリーミーなドレッシングと相性がよく、お年寄りにも人気だそうだ。   開店時間の午前9時過ぎ、お客さんたちが入店し始め、「おはようございまーす」と挨拶の声が飛び交う。笑顔で会釈する石井丈二さんは神奈川県相模原市在住で、月に2回は必ず「はすの里」に買いに来る常連。土浦市で歌謡教室の講師をしており、仕事のついでに買い物に立ち寄るという。 石井さんは「はすの里」の野菜や加工品について「新鮮度が違う。車で来ているので神奈川まで持ち帰っています。レンコンはもちろん、サツマイモ、クリ、草餅などなんでもおいしい。生産者さんと顔見知りなので、作っている人が分かるのも安心」と話した。 サンフレッシュはすの里 住所▽土浦市木田余3140 電話▽029-846-7933 営業時間▽午前9時30~午後6時(11月~2月は午後5時30分まで) 定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

レンコン黒皮病、徐々に拡大 県が対策へ本腰

【山崎実】レンコンの商品性を損なう黒皮病が全国的に発生し、生産量日本一を誇る県内でも徐々に被害が拡大していることから、県は生産者団体などと協力し実態調査に着手した。 黒皮病は、レンコンネモグリセンチュウ(線虫)によって引き起こされ、被害を受けたレンコンは肌に黒い小斑点が発生する。全体的にやや黄変し、一節目(頭)の肥大が悪くなり、形状が三角形に変形してしまう。品質維持の大敵で線虫駆除が重要になる。 既に県は、農機具の洗浄や健全な種バスの使用、農薬としての石灰窒素の施用、収穫後の残さの除去など総合防除法をまとめ、2017年以降、講習会などを通して生産者に指導を行ってきた。 しかし、被害の程度が地域やほ場によって異なるほか、具体的な防除対策の判断を生産者個々の対応に任せてきたため、実効性に疑問符が付き、県も本腰を入れて黒皮症対策に取り組む。 具体的には、レンコン産地での発生状況を正確に把握するため、生産面積の大きい土浦市やかすみがうら市などで生産者団体と調査に着手した。今後、3年以内を目途に他の市町村にも拡大していく方針で、その結果を地図に落とすなどして可視化する。被害程度の大きい地区は直接、個別指導を行うなど、重点的に防除対策を実施していく。 また収穫後の残さ処理についても、集団的・組織的な堆肥化の取り組みなど、出来るだけ早くほ場から持ち出して処理する方策を検討するとしている。

土浦など9市町村71店で料理フェア開催中 17日は「れんこんの日」

【山崎実】生産量日本一を誇るレンコンをよりおいしく、身近に食べてもらおうと、土浦市など霞ケ浦周辺の9市町村で30日まで「日本一の茨城れんこんーれんこん料理フェア2019」が開かれている。 同フェアは1994年11月、全国の産地の代表が土浦市に一堂に会した「れんこんサミット」で制定された「れんこんの日」(11月17日)を含む1カ月間を期間限定で実施している。 参加店舗は、いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会の構成メンバーである土浦、石岡、稲敷、かすみがうら、小美玉、行方、阿見、河内、美浦の9市町村71店舗。 レンコンの消費拡大が目的で、霞ケ浦周辺のほか、都内のホテルや料理店でも茨城産レンコンの料理を提供するなど、全国に発信する。料理を食べた人にアンケートを行い、応募者から抽選でレンコン加工品などをプレゼント(20人)する企画も用意されている。 県によると、レンコンの都道府県別の作付け状況は、2016年実績で作付け面積1610ヘクタール、出荷量2万4100トンと、続く徳島県の出荷量5770トンを大きく上回り、収穫量、出荷量とも全国一を誇っている。 官民一体の料理フェアによる消費拡大作戦で、茨城レンコンのさらなるブランド化を図る。 問い合わせは茨城県県南農林事務所振興・環境室(電話029-822-7086)へ。 ➡レンコン関係の過去記事はこちら

《県南の食生活》6 レンコンは茨城 全国の48%を生産

【コラム・古家晴美】県南で最も有名な農産物と言えば、やはりレンコンでしょう。茨城県は熱帯アジア原産であるレンコン生産地の北限にもかかわらず、2018年度の収穫量が全国1位で、全収穫量の48.1パーセントを占めています(農林水産省作物統計・作況調査第1報)。これから来春にかけて霞ケ浦の蓮(はす)田は本格的な収穫期に入ります。 レンコンについての最初の記録は「常陸国風土記」で、蓮根(れんこん)が食用にされていることと共に、その薬効も紹介されています。霞ケ浦の土浦入り(高浜入りに対し土浦側の入り江)では、天保年間(1830~44)に土浦藩主土屋寅直(つちや・ともなお)が栽培を奨励し、積極的に取り組み始めます。 しかし、当時栽培されていた在来種(白花以外に赤花やピンク色の花もあります)は深根(ふかね)性で、常時冠水(かんすい)田や排水不良の池で栽培され、粘質で美味であるものの、生産性が高くありませんでした。明治26(1893)年に常磐線が開通すると、大都市へ出荷され、レンコンの需要も高まります。土浦では、大きな蓮問屋が元締めとして広大な蓮田を所有し、掘り子を雇って生産・販売していました。 当時、レンコンは高価だったので、庶民の口に入るのは特別な日に限られていました。正月や盆、祭り、祝儀、不祝儀などの「ハレの日」にしか口にできなかったと言います。 芽に近い先端の第1節は、最も若く肉質が軟らかいので軽くゆでて酢バスなどにします。第2節、第3節に向かうに従い肉質が硬くなっていくので、これを牛蒡(ごぼう)、人参(にんじん)などと共に、砂糖・醤油で味付けした煮もの、きんぴら、天ぷらにすることもありました。 食物繊維が豊富な食材 現在は、これらレンコン料理のほかに、れんこんハンバーグ、れんこんサラダ、れんこんチップス、レンコンカレーなどの様々なレシピが開発され、食物繊維が豊富な食材として日常的に食卓にのぼりますが、コメ以上に収益性の高い作物であったため、庶民の口には入りづらい時代もあったのです。 茨城県におけるレンコン栽培が本格的に展開されたのは高度経済成長期以降です。東京市場のレンコン取扱高は、1955年は東京が51.4%、茨城が25.8%であったのが、1965年に大逆転し、茨城が56.8%、東京が17.1%になりました。 その要因として、レンコン栽培に適した気候風土や流通網の発達が茨城で満たされていたことが挙げられます。しかし、それと同時に、かつてレンコンの大生産地であった東京東部低湿地帯が、宅地化によって生産を止め、都市近郊に生産地を求めたことも追い風となりました。 霞ケ浦のレンコンの来し方を振り返りながら今年の冬もレンコンを楽しんでみませんか。(筑波学院大学教授) ➡古家晴美さんの過去のコラムはこちら

【レンコン歳時記】㊦ まっすぐ育てよ 令和の種ハス

【相澤冬樹】農産物の市場流通に品質面でお墨付きを与える県の銘柄産地制度で、レンコンは1989年にかすみがうら市(霞ケ浦地区)が初指定を受けた。以来、小美玉市、河内町、土浦市、稲敷市、阿見町の順に指定されてきた。今や若い農業者や農業後継者が好んで取り組みたがる人気作物となっており、県のレンコン産出額は2016年、153億円で全国1位、レンコンは平成の30年間を代表する品目になった。 この間、金澄(かなすみ)系統の白くふっくら、シャキシャキ感ある食味のレンコンが定着したが、産地や生産者の間で品質や収量にばらつきが出ている。特に嫌われるのが「すねあがり」と呼ばれる現象。基部から徐々に老化し、茶色に変色して商品価値をなくす。 県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)は、2013年度から「レンコンの優良系統選抜」試験を実施しており、収集や選抜、品質評価を繰り返してきた。食味・食感や形状・収量などのほか、浅めの場所で掘れる作業性なども考慮して次世代レンコンの作出に取り組んだ。 4系統を選出 2018年には県を代表するレンコンとして、「ひたちたから」「パワー」「みらい選抜」「金澄39号」の4系統を選出した。「ひたちたから」は既登録の品種で、早期肥大性があり、収量も多い。柔らかな食感が特色。「パワー」は肉厚のため(穴が小さい)断面形状の評価が高かった。前者二つが年内の掘り取りに適した系統とされた。 「金澄39号」は、すねあがりの程度が低く、年明けの収穫に向く。甘みがあり食味評価も高い。やはり年明けの掘り取りに適した「みらい選抜」は色白で外観がいいのが特徴という。 4系統の品種は、JA水郷つくばなど県内4つのJAに引き渡され、現在はそれぞれの増殖圃(ほ)に定植された。今夏の成長による増殖を待って、優良な種ハスをさらに選抜し、来年から生産農家に供給される。名実とも「令和種」のレンコンが市場や食卓に並ぶのは来年末以降になりそうだ。 優良系統の選抜に取り組んだ生工研の堀井学主任研究員によれば、「不適切な種ハスは確実に取り除きたいので青年部とかレンコン部会の作付けを見にいったり、相談に乗ったりしたりしているが、見極めには苦心している」そう。まっすぐで子ハスのそろったものを選ぶよう指導しているという。 ちなみに、4つの系統とも花の色は白が基調の「爪紅」になる。咲いた花の色で識別するのは難しく、湖岸のハス田が色とりどりの花で飾られることはないそうだ。(終わり)

【レンコン歳時記】㊤ 赤い花は咲くなよ 種ハス定植の5月

【相澤冬樹】ゴールデンウイークの田んぼで、忙しいのは稲作農家ばかりではない。土浦市など霞ケ浦周辺に広がるハス田の水面(みなも)には、腰まで泥に浸かって田舟を引く人の姿が目立ってくる。舟にはころころと太ったレンコンが載っているが、収穫作業ではない。掘り取った長いレンコンの節を三つほどに切り離して種ハスとし、泥田の底に定植しているのだ。 2017年統計で、レンコンの全国作付面積3970ヘクタールのうち、茨城県は最多の1630ヘクタールを占めた。その中心は霞ケ浦周辺で、わが国きっての産地といえる。が、どうやって栽培されているのか、近在にあっても知る機会はほとんどない。だからハスの実から採った種子で育てていると思う者も少なくない。 地下茎であるレンコンは、すぼんだ節のところに根と芽をもっており、春に芽から水面まで届く浮き葉を伸ばして光合成を始める。この後、立ち葉を傘のように広げて、根茎を太らせていく。最後につぼみを持った花芽が出てきて、初夏には大輪の花を咲かせる。咲き終わった花托(かたく)は、手に収まるサイズの半球状の実になる。中に小指の先ほどの種子が入っているが、農家がこれから実生(みしょう)で育てることはない。 泥の中、段々に節を伸ばしたレンコンは、葉の枯れる秋には光合成ができず成長を止めるが、十分に太っており、出荷のタイミングを待つだけとなる。この間の呼吸のため、酸素の通り道になっているがハスの穴だ。出荷は需要のピークを迎える年末を経て、翌年春まで行われるが、農家は1割程度の田は収穫せずに種ハス用に残しておく。これを掘り取って、ハス田に植え替えているのが今の時期、大体5月いっぱい続く。 同じ遺伝子のクローン すなわち一面のハス田に植わるレンコンは、同じ株の遺伝子を引き継ぐクローンなのである。これによって一定の品質が保たれる。霞ケ浦周辺で代表的なのは金澄(かなすみ)と呼ばれる系統。シャキシャキ感ある食味が消費者に好まれ、よく肥大して多収性なのが生産者に喜ばれる。千葉県の育成農家が系統選抜という手法で品種改良したもので、1985年ごろの「金澄1号」から始まり、最終的には「43号」ぐらいまで作られたそうだ。 徳島や愛知などの産地で栽培されているレンコンは備中種が主で、ほぼ赤い花が咲くのに対し、金澄の系統は白い花になる。うっすらピンクの筋が入っており、「爪紅」(つまべに)という。霞ケ浦周辺のハス田でも赤い花が交じることがあるが、農家はこれを嫌う。前年掘り残したレンコンが地中に残ったときなど、深く潜ったハスから出た花芽に赤い花がつく。突然変異とも先祖返りともみられ、レンコンは細長く変形してしまい、白くふっくらした形状にならない。実生も同様に、品質が保証できないから取り除かれるということだ。 しかし、クローン技術で同一の品種を作り続けていると、レンコンの形状や品質が劣化したり、収量が減少したりする。このため新しい品種や系統の導入が必要になってくる。近年は、レンコンの育種家が減少し、優良品種・系統の選抜や育種の課題に取り組むのは、行政の仕事になった。県農業総合センター生物工学研究所(笠間市)が主に担っている。(続く)

《好人余聞》12 「長い経験には説得力があります」 レンコン栽培 浅野廣宗さん

【コラム・オダギ秀】人生という旅の途中で出会った人たち、みんな素敵な人たちでした。その方々に伺った話を、覚え書きのようにつづりたいと思っています。 「まったく暮らす世界が違いましたね。価値観が変わってしまったと言うか」 霞ケ浦のほとりで、レンコンを栽培している浅野廣宗さんは、栽培に携わるようになってからの自分の変化を、驚きだったとしみじみ語った。 土浦市は、全国一のレンコン産地。品質の高さと生産量で、他産地を圧倒している。そんな名産地で、浅野さんは、5年前からレンコン栽培を始めた。 地元に生まれ育ち、東京農大の農学部を出た浅野さんは、飼料会社で畜産コンサルタントなどを長年務め、おもに農業の技術指導に関わって来た。 「ずっと技術畑で生きていたんです。こんな場合は、こう対処するといいとか、こうすればもっといい品質になるとか、理論や原則を大切にする生き方だったんです」 そんな浅野さんは、50代の末、それまでの仕事から農家に戻り、レンコン栽培に転進した。 「農業なら夏は楽だろう、なんて気が、少しはあったんでしょうか。でも、暇そうな時も、草取りなどして働かないと、後でひどい目に遭うんです。実際のハス栽培なんて何も知らなかったから、大変でしたよ。いつ、何をすべきか、何をしていいのか分からない。レンコンの種の植え方のような基本的なことでも分からなかった」 自分が栽培したものは可愛い だから、周りの農家の人たちに教わりまくったそうだ。 「みんな、よく教えてくれました。でもね、俺はこうして30年も40年もやってきたから、って教えてくださるんですが、そのことがそれぞれちがう。長年の経験に基づいているから、説得力があるんですよ。正しいんですよ。それでも、その教えてくださることが、みなそれぞれ違うんです。ボクも困りました」 すると、浅野さんは言われたそうだ。 「30年、40年やってきたけど、一度として、こうすりゃ間違いなくできるなんてことはなかったよ。毎年、気候も水も、種だって違う。これでいいなんてない。毎年毎回、新しいことをやっているんだよ」と。 浅野さんは、経験の大切さを学んでいった。 こんなこともあった。農家の人たちが、自分の作った作物を自分の子どものようだ、と表現するのを、嘘っぽいと、かつては思っていたそうだが、 「でも、今は、その気持ちがよく分かります。自分が栽培したものは、本当に可愛い。自分の子どもみたいです。人生観が変わったかな」 浅野さんは、傍らのハスの茎をそっと手繰り寄せると、辛そうにした。 「見渡す限り緑の葉だったんです。それが、ちょっと台風の風が吹いただけで、すぐこんなに痛んでしまった。自然を相手にする仕事は、本当に大変ですけど、つねに結果が楽しみなんです」(写真家)

店頭に菊の花とひな人形飾る 土浦駅周辺90店

【伊藤悦子】土浦市の中心市街地などで9日から、市民手作りの催し「重陽(ちょうよう)いばらきの菊の節句」が始まった。土浦駅周辺の商店や銀行、公共施設など約90カ所の店頭に、菊の花と、ハスの花托(かたく)で作られたひな人形「霞連雛(かれんびな)」が飾られている。 五節句のひとつ「重陽の節句」=メモ=にちなんだ健康長寿を願う行事で、同市の同好会「菊被綿(きくのきせわた)文化を守る会」(木村恵子会長)が2014年から毎年、店頭に飾っている。今年は展示場所に市立博物館、市立図書館も加わった。 例年なら、赤、白、黄の綿を菊の花の上にかぶせて展示するが、今年は綿をかぶせていない。守る会会長の木村さんによると「綿は体につけて長寿を願うという意味があるため、不特定多数の人が触る恐れがある。今年は新型コロナウイルス感染拡大予防に考慮した。菊の花そのものを見て楽しんで」と話す。 菊の花と併せて霞連雛が飾られているのは、重陽の節句では、3月3日に飾ったひな人形を再び飾る「後(のち)の雛」という江戸時代から伝わる風習があるため。 霞連雛は、守る会のメンバーや市内商店街のおかみさんたちが、日本一のレンコンの産地をPRして土浦を盛り上げたいという思いを込めて一つひとつていねいに手作りした。 木村さんは「健康や長寿、若返りを祈る重陽の節句は、個々人はもちろん、企業や社会にも通じる。コロナウイルス感染拡大で大変な今だからこそ大切にしたい」と語った。

「天狼院秘本」でちょっと変わった読書を プレイアトレ土浦店の幸田稔史店長

https://www.youtube.com/watch?v=KDldaboTwgE 【伊藤 悦子】 土浦のインターネットテレビ「Vチャンネルいばらき」で22日放映された第97回NEWSつくばチャンネルは、土浦駅ビルの天狼院書店プレイアトレ土浦店(土浦市有明町)店長、幸田稔史さんをゲストに招き、天狼院書店が薦める本などを聞いた。 店長のお薦めは「天狼院秘本」。購入時はどんな本かタイトルや内容を確認することはできない。また、読み始めても内容を他の人に教えない、返品は不可というルールがある。しかし「天狼院書店が自信をもって選んだ本なので、満足してもらえると思う」とし「自分では選ばない本に出合う楽しみもあるのでは」と語った。 家にいる時間が多い時期だからこそ「長編を読んでほしい」と、中国戦国時代を描いた長編コミック「キングダム」、プレイアトレ土浦店で複製原画展を行っている自転車コミック「弱虫ペダル」の紹介もあった。 レンコンの産地である茨城の人に薦めたいのが、かすみがうら市在住の野口憲一さん著「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」。茨城県産レンコンのことや、レンコン農家としての生き様などを知るきっかけとして読んでみてはと話があった。 またこれから、プレイアトレ土浦店で「崖落ち」というシステムが導入されるという。毎週開催される読書会で、参加者から紹介があった本を専用の棚に並べる。他のお客さんが購入すれば、その本はずっと棚に残るが、誰にも買われないと棚からはずされてしまう。これを天狼院書店では「崖落ち」と呼んでいる。自分が推薦した本が人気になって、店頭にずっと並ぶとこともありうるという。他店で並んだ期間のは最高記録2年で、有川浩著の「シアター」だったと話す。 欲しい本がお店にない場合は、店内各所に設置したリクエストノートに書くと、準備可能な本は導入し、レジ横のリクエストボックスに準備してくれる。また「本の知恵袋」というコーナーでは、「泣ける本ありますか?」など質問を書くと、スタッフだけでなく他の客からのアドバイスが貰えるというシステムもある。幸田さんは「ぜひお店に足を運んで、本を手に取って欲しい」と語った。 ◆天狼院書店「プレイアトレ土浦店」の問い合わせは電話029-897-3325。「弱虫ペダル」複製原画展は同2階イベントスペースで6月30日まで開催中。入場無料。

《宍塚の里山》44 大池はピンクの蓮の花が満開です

【コラム・及川ひろみ】今、宍塚大池は蓮(ハス)が美しく咲いています。「極楽浄土のよう」の声も聞かれます。花に顔を近づけるとミントのようないい香り。池全体に甘い香りが漂っています。 土浦市は日本一のレンコンの産地。霞ケ浦周辺に蓮田の花が見られますが、白い花々が一面に咲くことはありません。昔から日本にある野生の蓮はピンク色ですが、明治時代、食用として中国から輸入された「シナバス」は、レンコンが育つように改良されたもので、花が少ないからです。 シナバスは太く、食べるとシャキシャキとしていますが、野生の蓮は細長く、食べると少し硬く、ねっとり感がある食感。食用とはかなり違います。ピンクの花を咲かせる野生の蓮を地元では「柳バス」と呼びます。蓮田に柳バスが出ると駆除しますが、高級料亭では変わった蓮として料理に使われると聞いたことがあります。 レンコンを食べたとき、細い糸を引きますが、この糸は藕糸(ぐうし)と呼ばれるもので、レンコンだけでなく、花や葉の茎を折っても見られます。茎にもレンコンの穴のような大小10個ほどの穴が空いていますが、その穴から細い糸がばねのような螺旋(らせん)状になって出てきます。 蓮の糸で布を織る 花茶をいただく 茎数本を束ね、ポキッと折り、出てきた数十本の糸を撚(よ)り、撚った糸数本をまとめてさらに撚り、木綿糸ほどの太さの蓮の糸を作り、それを横糸にして布を織ったことがあります。縦糸はハスの茎の皮からとった、茄糸(かし)と呼ばれるハスの糸を使いました。布作りは丸一日、数名がかりで取り組みました。手間をかけ出来上がった布は4✕6センチほど。しっとりとした、動物のなめし皮のような不思議な感触でした。 仏教では聖なる花として慕われる蓮。その糸から作った布は、曼荼羅(まんだら)や袈裟(けさ)に使われ、珍重されているそうですが、布作り体験があまりにも大変だったので、その後は行っていません。 蓮の花茶は、花が開く直前の蕾(つぼみ)の先端を少し開いて緑茶を注ぎ、花の香りを楽しむお茶です。江戸時代、不忍池(しのばずのいけ)の畔で催された優雅な遊びということで、大池でも楽しみました。 皆さま、蓮の花が満開の宍塚大池、ぜひ足をお運びください。そして「蓮の花や葉、レンコンで楽しむ、お楽しみ会」を一緒にしませんか。蓮が覆った池の中では、酸素不足が起こり、他の動植物への影響が…。生態系にとっては困ったことです。(宍塚の自然と歴史の会代表) ➡及川ひろみさんの過去のコラムはこちら

土浦・久月総本舗の2点が入賞 茨城おみやげ大賞

【山崎実】茨城県を代表する土産品を選ぶ3年に一度の「茨城おみやげ大賞」がこのほど決まった。土浦、つくばから出品された土産品のうち、いずれも土浦市の久月総本舗(土浦市東真鍋)が出品した米菓「帆引れんこん物語」が旅みやげ部門で、スフレケーキ詰め合わせ「常陸のスフレ」がいえみやげ部門でそれぞれ入賞した。 茨城を訪れる外国人観光客や国内旅行者、一般消費者を対象に、県内の土産品の販売促進を図ろうと実施しているもので、今回は2016年以来、3回目となる。 エントリー総数155商品の中から、試食投票と専門家による審査などを経て、友人や職場の同僚らに勧めたい「旅みやげ部門」と、自分や家族などへの「いえみやげ部門」の大賞各3品が決まった。特別賞として「女子みやげ賞」「外国人OMIYAGE賞」各2品の計10品が選ばれた。ほかに、一次審査(試食投票)を通過した「帆引れんこん物語」など12商品が旅みやげ部門に入賞、「常陸のスフレ」など12商品がいえみやげ部門に入賞した。 大賞6品と特別賞4品は次の通り。価格は消費税込み。 【旅みやげ部門】▽茨城めろんの片想い・茨城いちごの初恋・茨城さつまいもの出逢い=一口サイズの和洋菓子。自家製メロンあめやイチゴジャム、サツマイモあめを使った商品(鉾田市・深作農園、40グラム×6個で各1200円)▽すいーとまろん=栗の産地、笠間産の栗を使った焼き菓子(笠間市・ナガタフーズ、40グラム×5個で972円)▽木内梅酒=創業1823年の木内酒造が県産梅の実を漬け込んだ一品(那珂市・木内酒造、500ミリリットルで1080円) 【いえみやげ部門】▽奥久慈卵のとろ~りクリームパン=ご当地パンとしてメディアで取り上げられる1番人気のパン(那珂市・パン工房ぐるぐる、1個90グラムで195円)▽でせーるふらん=じっくり蒸し上げたハンドメードの蒸し出しプリン(小美玉市・小美玉ふるさと食品公社、1個8グラムで270円)▽だるまわら納豆一本束=県産小粒大豆で作った本場水戸わらつと納豆(水戸市・だるま食品、70グラムで237円) 【特別賞・女子みやげ賞】▽りんごまるごとバウムクーヘン=奥久慈りんごを丸ごと一つ使った食べごたえのある商品(大子町・豊田りんご園未来工房、1個350グラムで1500円)▽干し芋オランジェッタ=茨城県を代表する干し芋、紅はるかに、甘さを邪魔しないチョコをからめ、県産のキンカンをスライスし砂糖で煮詰めたものを添えた商品(筑西市・小野瀬水産、10~15グラムが5枚で1300円) 【特別賞・外国人OMIYAGE賞】▽ほしいもグラノーラりんご味/味噌味=大成女子高(水戸市)の生徒たちが考案した商品(ひたちなか市・ホテルクリスタルパレス、1袋80グラムで各700円)▽茨城県ひたちなか特産ほしいも食べ比べセット=昔ながらの品種から最新の品種までの食べ比べができる(ひたちなか市・クロサワファーム200グラム3袋で2100円)。 大賞、特別賞を受賞した土産品と入賞した土産品は、今後、県の土産品商品のカタログに掲載されるほか、販売フェアなどで県が積極的なPR活動を行い、県を代表する土産品として販路拡大に取り組んでいく。

【土浦市長会見】「ピエロの画家」塙賢三の10作品、寄贈受け8月に公開

【鈴木宏子】土浦市、中川清市長の7月の定例会見が1日、同市役所で開かれた。「ピエロの画家」として知られる同市出身の洋画家、塙賢三(はなわ・けんぞう、1916-86)の遺族、義雄さんから今年4月、10点の作品が市に寄贈されたことが紹介された。8月に土浦市民ギャラリーで公開するという。 「ちびまる子ちゃん」の漫画家、さくらももこ(1965-2018)も賢三のファンで、自身の20歳の記念に賢三のピエロの絵を購入し、宝物にしていたそうだ。寄贈作品の公開に合わせて、さくらももこが描いた「ちびまる子ちゃんとピエロの絵」も特別展示するという。 塙賢三は、現在の中央2丁目で菓子製造卸業を営んでいた家に生まれた。土浦尋常高等小学校を卒業後、いったん家業を手伝ったが、東京に出て電気工学を学び、土浦に戻ってモーターなどを扱う電機器具店を開いた。戦時中は土浦海軍航空隊などに出入りしていたという。 1943年に地元の画家、福田義之助に油絵を学び、翌年には日本アンデパンダン展で初入選を果たしたが、油絵を本格的に始めたのは戦後になってから。二科展に出品を続けて会員となり、後に評議員や理事なども務めた。作品は、一色で塗られた背景に三角帽子のピエロを大きく描いたものなどがあり、童画的な詩情あふれる中に、愛や夢、悲しみを表そうとしたという。 出身地の土浦に市民ギャラリーがオープンしたことを遺族が知り、寄贈を申し出たという。10点は、1950年代に制作された作品から絶筆となった作品まであり、大きさは小さいものから1メートルを超える作品までさまざま。独自の世界を創造した賢三の画業をたどる上で貴重な作品だとされる。 8月3、4日キララまつり 会見ではほかに、夏本番を迎え市内で開催される盛りだくさんのイベントが紹介された。市立博物館と上高津貝塚ふるさと歴史の広場で7月20日から開催の「夏休みファミリーミュージアム」、霞ケ浦で7月21日から10月14日までの毎週土・日曜と祝日に操業される国選択無形民俗文化財の「観光帆曳船」、8月3~4日、土浦駅前通りなどで開催される「土浦キララまつり2019」などの案内があった。同まつりに合わせて8月4日、日本一のレンコン産地、ハス田に咲くハスの花の風景をレトロバスに乗って観賞する「土浦ハス花めぐりレトロバス」も運行される。 ◆「ピエロの画家ふるさとへ―塙賢三展」は8月10日から9月16日まで、土浦駅前の土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)で開催され、寄贈作品10点を含む約30点を展示する。入場無料。開館時間は午前10時~午後6時。問い合わせは電話029-846-2950(同市民ギャラリー)。

県のGAP第三者確認 県内第4号、江戸崎総合高が取得

【相澤冬樹】県立江戸崎総合高校(稲敷市江戸崎、大和田淳校長)グリーンテクノ系列で農業を学んできた生徒3人が14日、県南農林事務所稲敷地域農業改良普及センター(同所)で、横田国夫センター長から県のGAP第三者確認(※メモ参照)の証書を授与された。県内第4号、高校では初めての登録リスト入り、グループの3年生は1日に卒業証書を手にしたばかりで、充実の高校生活の記録がもう1枚加わることになった。 同高では11年から、農研機構果樹茶業研究部門(つくば市)が開発したブドウ品種シャインマスカットの栽培に取り組み、昨年は校内農場のハウスで約600房を収穫した。大粒で糖度の高い人気銘柄だ。この実習課程のなかから山崎海人君(18)を代表とする2、3年生の4人が昨年6月、GAP取得プロジェクトを編成、「茨城県GAP第三者確認制度」の登録をめざした。 GAPは個人的な取り組みによる宣言も可能だが、取引上は第三者による確認が有効な手立てとなる。しかし国際的なグローバルGAP認証ともなると、チェック項目が広範囲で経費の負担も大きいため、県は取得費のかからない第三者確認制度を設けた。2020年東京オリンピック・パラリンピック時の食材納入をめざし、同年9月30日までの時限制度とした。本格的なGAP認証のための入門的位置づけだが東京オリ・パラの食材調達基準は満たしており、18年末までに県内2団体・個人が登録された。 山崎君らは、圃場の管理状況や肥料・農薬の投入量などを厳密にデータ管理し、事細かに記録に残した。チェック対象は全部で55項目に及んだ。多くはこれまで経験則に頼ってきた管理項目で、定量化することで一定の収量・品質を維持して、収穫物を市場に出せるよう取り組んだ。「掃除の記録から資材や器具の入手経路などを明確にするなど全部やった。9年前から使っているため素性の分からない土があって、リンの値が高いために入れ替えもした」という。 同改良普及センター管内では、産地銘柄である江戸崎カボチャや浮島レンコンもGAP取得に取り組んでいるが、これらに先着。今月8日付けで登録リストに載った4つの団体・個人のなかに同校の名があった。指導に当たった同校の農場長、石崎理有教諭は「学業とは別の書類作成で、追いつくのが大変だったが頑張った。記録を残せたことで生徒が卒業しても後に引き継いでいけるのが大きい」と喜んだ。 今回の登録品目、シャインマスカットの収穫時期は毎年9月に入ってからで、東京オリ・パラの開催時期に間に合わない。それでも、GAP取得の経験は、今後農業分野に携わっていくなかで大いに役立つはずという。3年生の山崎君は4月から県立農業大学校園芸部(坂東市)へ進学、同じく根本君は河内町内の農園への就職が決まっている。 ※メモ GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)第三者確認 農業生産における食品安全、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための工程管理の取り組み。生産物を流通に乗せる際の国際標準になりつつある。指定機関等による認証とは別に、県は17年12月から、時限措置で確認制度の運用を開始した。これまでに6団体・個人が登録されている。

《霞ケ浦 折々の眺望》3 霞ケ浦の環境問題 首都と地方の相克

【コラム・沼澤篤】正月のNHK-TVで「家康、江戸を建てる」という時代劇が放映された。原作は直木賞作家、門井慶喜氏の作品。このドラマでは、江戸市中に井之頭池から上水道水を引く難工事に焦点が当てられた。利根川の瀬替(せがえ)工事を指導した伊奈忠次の事蹟については、あっさりと紹介され、茨城の視聴者として物足りなかった。 秀吉によって関東に追われた家康の入府当時、江戸周辺は利根川水系の氾濫原であり、荒蕪地(こうぶち)だった。家康の命を受けた伊奈氏は江戸湾に流入していた利根川を、中流の栗橋付近で新たな河道を掘り割ることで、その流路変更を目論んだ。新たな掘割は関東ロームの赤土が露出したことから赤堀川と呼ばれた。 この普請では、数十年をかけて次々に関連する流路を整備し、利根川は常総を貫き、銚子で太平洋に出ることになった。江戸期における利根川の瀬替は、後の河川学者によって「利根川東遷」と呼ばれることになった。 その結果、江戸周辺は水害の懸念なく開発が進み、常陸・奥羽からの年貢米を、危険な海路を避けて、霞ケ浦、利根川、江戸川、中川、小名木川、隅田川を経て、日本橋、蔵前まで内川廻りで運搬できるようになった。 他方、常総地方は利根奔流が流れ込み、水害が頻発した。天明三年(1783)の浅間山噴火では噴出物が利根川を流下し、川床が浅くなり、下流部が閉塞し、島や洲が形成され、水郷が出現した。洪水時、霞ケ浦が遊水地化し、土浦城下もたびたび浸水被害を被った。霞ケ浦周辺を含む常総地方は首都発展の「犠牲」となったのである。 「東京中心主義」状況をどう考えるか 明治期には渡良瀬川の鉱毒問題が発生し、汚染水が東京市中の江戸川に流入しないように、内務省が栗橋の分岐点を狭めた。その結果、ますます利根奔流は霞ケ浦地方の水害を引き起こした。戦後、高度成長期、東京五輪誘致時には水不足が顕在化し、霞ケ浦の湖水を東京に引く案が検討された。東京の水不足は利根川や荒川の上流にダム群を築くことで対応した。 さらに、大学や研究機関の移転先として筑波台地が注目され、閣議了解により、その建設が決定された。その大きな理由は霞ケ浦の湖水が水道水源となるからだった。霞ケ浦は研究学園都市建設という、初期の首都機能移転のあおりを受けた。同時に鹿島臨海工業地帯建設では、東京の大企業の移転先となった。これらの時期が常陸川水門建設による淡水化と軌を一にするのは偶然ではない。 現在も首都近傍の農業県として、農畜産物の大量生産を運命づけられている。それは生産地と消費地の単純構図に留まらない。大量の豚ふん、鶏ふんなどの畜産廃棄物を、近隣農家がメロン、イチゴ、サツマイモ、レンコンなどの肥料として農地還元する一方、浸透流出分が浅層地下水、河川水、湖水の水質悪化という環境問題を招いている。 農家はどうすればよいのか。政治、行政、研究者の役割は何か。東京中心主義とも呼ぶべき状況をどう考えるか。首都に宿命的に従属する農業県の構造的難題である。(霞ヶ浦市民協会研究顧問) ➡沼澤篤氏の過去のコラムはこちら

茨城の食材とレシピを発信 10周年迎えた筑波学院大「たむら塾」

【池田充雄】筑波学院大学(つくば市吾妻)経営情報学部の古家晴美教授が、学生向けに開いている調理実習「たむら塾」が10周年を迎えた。日本料理界の重鎮で料亭「つきぢ田村」3代目の田村隆さんが講師を務め、年1回、茨城の特産品を1品選んでさまざまな料理に仕上げている。10周年を記念した特設サイトもこのほど開設され、過去に取り上げた食材やレシピを今後続々と紹介していくそうだ。 古家教授の主要な研究テーマは現代日本の食生活と食文化。一例として、今年9月に世界湖沼会議の関連でかすみがうら市で開かれた「帆引き船シンポジウム」では、「霞ケ浦の恵みと魚食文化」と題して基調講演を行っている。 学生の食への関心の低さきっかけ 同教授が調理実習に取り組む契機となったのは、学生の食への関心の低さだったという。「食にお金や時間をかけなくなり、コンビニや外食に頼りがちになっている。料理することの楽しさを知り、自分の健康に直接かかわる食の重要性に気付いてほしい」。もう一つの狙いが、茨城特産の食材を紹介すること。「レンコン、ハクサイ、ピーマンなど、全国有数の生産量を誇るものがたくさんある。これらへの理解を深め、地域の魅力を掘り起こして伝えられる人材の育成も目指している」と古家教授はいう。 名店料理長が日本一の鶏卵で新メニュー 今年度の第10回たむら塾は11月7日、つくば市吾妻の吾妻交流センター調理室で開かれ、古家ゼミなどの学生18人が参加。茨城が生産量日本一の鶏卵をテーマ食材に選び、講師の田村さんが6種類のメニューを考案した。 田村さんは「料亭料理ではなく家庭などで手早く作れ、自炊のヒントになりつつバランス良く栄養が取れるものを考えた。肉料理や洋風料理など若い人が好むメニューも積極的に取り入れている」。料理が楽しくなるよう、簡単にできて一味変わるテクニックも紹介。例えば卵かけご飯は、生卵のズルズルした食感を嫌う人が多いが、先に白身だけを熱々のご飯とよく混ぜると、白身がふわふわのメレンゲ状になり、そこへ黄身を落として崩しながら食べる。 学生の興味をかき立てる新鮮な驚きもあった。透明なトマトジュースだ。ミキサーにかけたトマトをペーパータオルなどで一晩かけてゆっくり絞ると、うまみだけが抽出された、さらりとした透明なジュースになる。実習ではこれに合わせ出汁と薄口醤油を合わせてトマト茶わん蒸しを作った。具材はモッツァレラチーズ。和でもなく洋でもなく、その先へ踏み越えたような不思議なおいしさが生まれた。「地域の食材にはその土地ならではの食べ方があり、一方で第三者の目からは地元の人も気付かなかった食べ方が提案できる。その両方の面白さがある」と田村さん。 特設サイト制作、産地の魅力も紹介 10周年記念の特設サイトを、卒論を兼ねて制作しているのは経営情報学科4年、グローバルコミュニケーション専攻の豊田モナミさん。「もともと食べるのが好きで、古家先生の授業やたむら塾に参加し、田村さんの『枠にとらわれず、自分のやりやすいようにやっていいんだよ』という言葉に感銘を受けた。サイトを通じて茨城の食材の魅力を伝え、見てくれた人が興味を持って食べに行ってくれたりしたら嬉しい」と話してくれた。 今後、県内各地の生産者などにそれぞれの食材について聞いて回るとともに、過去のたむら塾の中から厳選したメニューも紹介していく予定。現在は特別編として、田村さんのホームグラウンドである築地市場が豊洲に移転する直前に聞いた、タコとマグロの仲卸業者へのインタビューなどを掲載している。 アドレスはhttp://sakura.tsukuba-g.ac.jp/~u1532020/

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11月の週末はアクティブに 筑波山・霞ケ浦周辺トライアルツアー募集中

茨城県は11月の週末を中心に、筑波山・霞ケ浦周辺エリアでの一般向けのトライアルツアー「Mount Tsukuba(マウント・ツクバ) PLAY2020」を特別開催する。地域の魅力を堪能しながらロングライドを楽しめるサイクリングツアーをはじめ、子供向けプログラムや親子コンサートなど、さまざまなアクティビティープログラムやガイドツアーを行う。オンラインで参加予約を受け付け中。 県は18年度から3カ年計画で「筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業」を実施し、周辺エリアの魅力発掘と発信に関する施策に取り組んでいる。その一環として行われる企画で、昨年度に続く開催となる。 イベントのラインアップは次のとおり(以下の表示料金は税込み)。申し込みの特設サイトはこちら。 筑西市のサイクリングロードから筑波山を望む(茨城県提供) ◆筑波山&霞ケ浦1泊2日スポーツ体験ツアー 11月7日(土)〜8日(日)1泊2日筑波山登山や桜川でのカヌー体験など、親元を離れて子供たちだけで過ごす秋の大冒険。専門ガイド同行の県内小学生対象のスポーツ体験ツアー。料金は子供(小学生限定)2万9000円、定員は15人。

覆面食通が食べ歩き 県代表 おいしい10店選定へ

【山崎実】茨城県が「食」に着目した新たな観光誘客事業に乗り出す。「食」に精通したプロに覆面で食べ歩いてもらい、観光客に積極的にPRできる美味しい飲食店や名物料理を選定してもらう。 茨城は首都圏の食料供給基地といわれ、野菜類のほか、全国的に有名なメロンなどの果物、常陸牛などの肉、ヒラメ、ハマグリなどの水産物を数多く生産する。しかし観光の目的ともなる県を代表する料理は、県外の人に認知されているとは言い難い。 第1弾として、飲食店の分野で約10人の食通のプロが覆面で食べ歩き、「特においしい」「観光客にお勧めしたい」飲食店10店程度を審査し選定してもらう。 選ばれた飲食店などを県がPRすることで、来店をきっかけとした観光周遊の新たな流れを創出したい考え。覆面での食べ歩きは10月から11月にかけて実施されている。 名物料理については、第2弾として一般ウェブ投票によるコンテストや、料理ブロガーによるアイデアコンペなどが予定されている。 「食」のプロによる、おいしい飲食店と名物料理に関する問い合わせは、県観光物産課(電話029-301-3622)へ。

コミュバス導入するなら中村南・西根南地域 公共交通活性化協議会で土浦市

【相澤冬樹】コミュニティーバスなど新たな地域公共交通導入の検討を進めている土浦市は28日、市地域公共交通活性化協議会(会長・岡本直久筑波大学教授)を開き、各種調査の分析評価を元に、市域南西部の中村南・西根南地域で導入を図りたい意向を示した。協議会では拙速を危ぶむ声も出たため、同地域をメーンとしながら周辺地区の意向も拾い、具体化に向かうことで了承された。 同市では17年度策定の「地域公共交通網形成計画」をベースに、地域公共交通の導入促進を図るため、今年度から都市計画課サイドで試験運行する地区の選定作業を行ってきた。これまでに公共交通不便地域として12地区を選び、7地域に再編して設定。既存計画や各種統計、アンケート調査などからコミュニティー交通を導入すべき地域の順位付けを行った。 交通の不便さなどを調べるばかりでなく、コミュニティーバスが運行された場合に利用するか、運賃はどの程度払えるかなども質問した。結果、中村南・西根南地域が11点でトップ、右籾地区9点、乙戸南地区8点と続いた。 この順位付けから、市は中村南・西根南地域を導入候補地区として選定したい意向で、28日の協議会に諮った。11月にも地元地区長らに説明し、地域に運営協議会を設立、バス・タクシー事業者らとの調整を図って、来年10月には試験運行に漕ぎつけたいロードマップを示した。 これに対して委員からは、利用率があがらず3年で試験運行が終了した新治地区での先行事例を踏まえ「中村南・西根南地域だけでなく2位、3位の地区を含め、ぜひうちでやりたいと手をあげるところがあれば優先したい。確認してからでもいいのではないか?」と拙速を危惧する意見や「コロナ禍の状況が織り込まれた調査とはいえない。バスでなくワンボックスカーにボランティアの運転手という組み合わせでの検討ならどうだろう」と運行方法への疑問などが出された。 協議会は、右籾地区、乙戸南地区も中村南・西根南地域に近接していることから、同地域をメーンに交渉し、周辺地区の意向を拾いながら進める形で委員間の了承を取り付けた。次回協議会には候補ルートや停留所などの評価をまとめた調査報告書が提出される予定だ。

土浦・ほっとONEにホットな足湯 月例で「マルシェ」開催へ

【伊藤悦子】土浦市川口・モール505のまちなか交流ステーション「ほっとOne(ワン)」で31日、月例イベントの「マルシェ」がスタートする。ハロウィン開催の今回は、仮装で来場するともれなくプレゼントがもらえるほか、毎回ホットな「足湯」がいただけるというお楽しみ付きだ。 ほっとOneマルシェは、JA水郷つくばによる朝採り野菜の移動販売はじめ、カレーやれんこんおろしそば、ポップコーンなど飲食店の出店がある。施設前の広場では紙芝居や音楽ライブも開かれ、Vチャンネルいばらきで配信される。入場は無料。 「足をのばしてほしい」 マルシェの目玉は「足湯」。ラクスマリーナ(同市川口)から移動式足湯を毎回持ってくる。ほっとOneの菅谷博樹さんによれば「モール505ができたのは、つくばで科学万博が開催された1985(昭和60)年のこと。35年がたち、店舗もテナントも減り、訪れる人も少なくなった。やっぱり魅力がないと人は来ない」と6人のスタッフとアイデアを出し合い、イベントでは珍しい足湯はどうかと考えたそうだ。 ラクスマリーナには地下700メートルから湧き出る「霞ケ浦温泉」があり、移動式足湯の設備があることから、協力を呼び掛けると快諾してもらえたという。“入浴”の前には検温のほか、足のアルコール消毒までして感染予防を徹底するそうだ。 11月以降の日取りと内容は未定だが、月例開催と足湯企画は決まっている。「サイクリングのお客様たなど観光客や市民の方がたに足をのばしていただき、楽しく触れ合ってもらえれば」とアピールしている。