木曜日, 11月 6, 2025
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3月5日まで通常登校 新型コロナでつくば市小中学校 土浦市は3日まで

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つくば市役所

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が3月2日から全国すべての小中高校などを臨時休校するよう要請したのに対し、つくば市は28日、準備期間として3月5日まで通常登校とすることを決めた。6日以降は臨時休校とするが希望者は登校できるようにし、さらに希望者には給食を出す。一方土浦市は3日まで通常登校とし、4日から臨時休校とする。

つくば市 6日以降も登校可能、希望者に給食用意

つくば市教育局教育指導課によると、仕事を休めない保護者の対応を考慮して準備期間を設け、公立小中学校は3月5日まで通常登校とする。この間、学校では、こまめな手洗いなど感染防止対策を十分に講じる。出席に不安がある児童・生徒は登校しなくても欠席扱いにはしない。給食は通常通り提供する。

その後の6日から春休み前の24日までは臨時休校とするが登校可能とする。登校時間は午前8時から午後3時まで。授業は実施せず自主学習をしてもらう。どのような形式で自主学習をするかや、教員の出勤体制については2日に希望をとってから決める。さらに6日以降の給食は、2日に希望を調査し希望者に用意する。

中学校の部活動は6日以降は実施しない。5日までの部活動をどうするかは現在、検討中という。卒業式は日程は変更しないが、時間を短縮したり、出席者を減らすなど規模縮小の対応を検討している。

一方、市立保育所、児童館、幼稚園、学童保育については通常通り行うとしている。

「とりあえずほっとした」

つくば市の対応について、子どもが市内の小学校と中学校に通う40代の母親は「とりあえず月曜から休校にならずにほっとしているが、仕事とどう折り合いをつけようか悩む。学校に行かなければ子ども2人は感染から守れるかもしれないが、親がウイルスを持ち帰るかもしれない」と複雑な思いを話す。

土浦市 4日以降は自宅学習

一方土浦市の公立小中学校は、3月3日まで通常登校とし、給食も提供する。4日からは臨時休校とし、児童・生徒には、不要不急の外出を控えて自宅で学習するよう求める。保護者が仕事を休めず子供だけで自宅に置いておけない家庭への対応については現在、検討中という。教員は臨時休校中も通常通り出勤するが、子供の面倒を見なくてはならない教員がいる場合は家庭の事情を考慮する。

中学校の部活動は、3日までは自粛をお願いし4日からは実施しない。卒業式は予定通りの日程で実施するが出席者を減らすなどの対応を検討中としている。

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「家に帰ってもご飯ない」 無料塾の子ども食堂 当面中止 新型コロナでつくば市

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子ども食堂の厨房(ちゅうぼう)

【山口和紀】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて、つくば市は27日から、生活困窮世帯の子供を対象とする無料塾「青い羽根学習会」での食事提供を当面の間、中止することを決定した。利用している子供からは「家に帰ってもご飯はないと思う」という声が出ている。

市は生活困窮者自立支援法に基づき地域のNPOなどと協働で、青い羽根学習会を市内13カ所で実施しており、そのうち3カ所で食事の無料提供が行われている。しばらくの間、これら無料塾での「子ども食堂」は中止となる。市子ども未来室は「食事はウイルス感染のリスクが大きいため」だと説明する。ただし無料塾そのものは中止せず、マスクの着用や手洗いの徹底で対応してもらう方針だ。

ライフラインの児童・生徒少なくない

「『子ども食堂』がなければ今日の夜ご飯が無くなる子供もいる」と、無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブ ロベ」(つくば市島名)代表の森美智子さんは話す。無料塾に通う子供の1人は「子ども食堂が無くなると聞いてがっかり。今日は勉強する気が起きない。感染を防ぐためには仕方が無いとは思うが、お腹が減ったし、家に帰ってもご飯はないと思う」と話した。

ロべは運営する3カ所の無料塾のうち2カ所で塾の子供たちを対象に「子ども食堂」を行っている。小学生から高校生まで70人近くの児童・生徒が利用し、カレーライスやみそ汁、おにぎりなどのメニューを毎回提供していた。市の決定を受け、週に3日間実施していた「子ども食堂」を当面中止する。

ロべに対しては「感染リスクに配慮し、家でも食べられる既製品のパンを無償提供する」という企業からの声掛けも既にあったという。

森代表は「感染拡大を防ぐため中止の対応は妥当だと思うが、中止によって食べるものが無くなる子供がいることもまた事実」だと語る。子ども食堂がライフラインになっている児童・生徒の数は少なくないのが現状だ。

現場は難しい選択

無料塾「青い羽根学習会」の子ども食堂とは別に、市は民間団体が実施する子ども食堂「みんなの食堂」に対しても補助金を出している。みんなの食堂は昨年末時点で市内に6カ所あり、子供から高齢者までだれでも利用できる。みんなの食堂の新型コロナウイルスへの対応は各団体の判断に任されている。感染リスクと福祉的必要性を天秤にかけて、どちらを取るべきなのだろうか。現場は難しい選択を迫られている。

◆居場所サポートクラブ ロベは日頃から食べ物の寄付を募っている。コメや日持ちのする野菜などが必要。生鮮品は要相談。連絡先はafterschool.robe@gmail。

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3月のイベント相次ぎ中止決定 新型コロナでつくば、土浦市

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ほとんどの職員がマスクをして仕事をするつくば市役所=27日、1階健康増進課

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの全国的な広がりを受けて、つくば、土浦市は27日までに、2、3月のイベントを相次いで中止する決定を出した。

つくば市は26日、今後3週間(3月18日まで)の市主催・共催イベントについて、対応方針を決め、屋内での大規模なものは原則中止とする、食事を提供するイベントは提供方法の変更などを検討した上で可否を判断する、屋外開催などその他のイベントは対策を十分に講じ、できない場合は中止する―などとした。その上で中止や延期するイベントや会議などを発表した。

土浦市は21日に対応方針を決定=2月22日付。不特定多数が出席・来場し、感染者が出た場合には市民の安全確保や行政・企業経営上、多大な影響が予測されるものは原則中止することを決めている。

つくば市で26日に中止・延期が決定された市主催・共催イベントや会議は次の通り。

対応 日程 イベント名 会場
中止 2/27 男性の料理教室 東京ガスつくば支社
中止 2/28 自立支援型個別ケア会議
中止 2/28 多世代出前交流教室
中止 2/28 乳児家庭教育学級
中止 2/28、29 チャンレンジアートフェスティバルinつくば舞台発表(リハーサル、本番) つくばカピオ
上映会中止(審査会のみ実施) 2/29 つくばショートムービーコンペティション アルスホール
中止 2/29 児童クラブ保護者説明会 松代児童館
中止 2/29 おはなし会 中央図書館
延期 2/29 日本語講師ボランティア入門講座
中止 2/29、3/1 ミニバス指導者講習会兼県内B新人大会
中止 3/1 市文化協会 芸能祭 市民ホールくきざき
延期 3/1 つくばR8ロゲイイニングin栄 桜交流センター等
中止 3/1 つくばウォークの日 洞峰公園、竹園公園、赤塚公園等
中止 3/1,4,15 ラート教室
中止 3/5 2020年度保健予防事業全体会議
中止 3/6 とよさと落語 市民ホールとよさと
中止 3/7 筑波大テ二ピン体験
中止 3/8 人形劇「河の童」 つくばカピオホール
中止 3/10 とよさと長寿大学閉級式 豊里交流センター
延期 3/12 つくばスタートアップデーイン東京
中止 3/12 小倉良のAll That Music つくばカピオホール
中止 3/14、15 第9回ふるさとつくばゆいまつり つくばセンター広場
中止 3/19 2020年度予防接種協力医療機関説明会
中止 3/20 つくばね落語 市民ホールつくばね
中止 3/20~22 市子どものスキー教室

 

土浦市で中止が決定された市主催・共催イベントは次の通り。27日時点

中止 2/27 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 2/28 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館
中止 2/28 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練事前説明会 コープ土浦
中止 2/29 ウオーキング大会(湖畔サイクリングコース) りんりんポート土浦
中止 2/29 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/1 散走:ひなまつり散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/4 認知症カフェ「ふれあい茶屋おらが里」 新治総合福祉センター
中止 3/4 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン
中止 3/7 新治総合福祉センター「春まつり」 新治総合福祉センター
中止 3/7 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/12 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練 コープ土浦
中止 3/12 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 3/15 ウオーキング大会(霞ケ浦の風景堪能尾コース) 霞ケ浦環境科学センター
中止 3/15 博物館館長講座 博物館
中止 3/15 散走:ジオパーク散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/16 認知症カフェ「ふれあい茶屋さくら」 市役所
中止 3/18 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン
中止 3/20 テーマ展 展示解説会 上高津貝塚ふるさと歴史の広場
中止 3/20~21 プレイアトレ土浦グランドオープン記念BEB5宿泊サイクリングツアー つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/22 第41回特別展記念講演会「土浦城と山本菅助」 博物館
中止 3/26 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 3/27 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館
中止 3/28 第41回特別展 学芸員による展示解説会 博物館

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2期目へ五十嵐市長が立候補表明 11月のつくば市長選

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代表質問に答え立候補を表明する五十嵐立青氏=27日。つくば市役所議場(右)

【鈴木宏子】11月に任期満了を迎えるのに伴って行われるつくば市長選について、現職の五十嵐立青氏(41)は27日開かれた市議会3月定例会で「2期目も引き続きつくば市長として市政運営を担っていくべく強い決意をもっている」と答弁し、再選に向け立候補を表明した。与党最大会派の小久保貴史氏(自民つくばクラブ・新しい風)の代表質問に答えた。

同市では今年、市長選・市議選の同日選挙が行われる。市長選の立候補表明は五十嵐氏が初めて。前回は五十嵐氏のほか、元市議の飯岡宏之氏、元衆院議員の大泉博子氏の新人3人が立候補し、激しい選挙戦が繰り広げられた。

五十嵐氏は「市長に就任する前、周辺地域からは中心部ばかり発展している、行政は何もしてくれないという声が多く、地域の活気が薄れていると感じていた」と前市政を改めて批判し、「周辺市街地振興に向けた取り組みを開始し、市民と行政が一緒に地域の将来に向けて動き始めたことで、地域の新たな未来がつくられ始めている」と実績を強調した。

さらに「処遇改善による保育士確保、公設民営児童クラブの公営化、特別支援教育支援員の大幅増員や、公共交通体系の大幅な改善など市民生活に直結する課題の解決に向けて様々な取り組みを進めてきた」と述べ「科学技術の活用などつくば市ならではの手法により世界が抱える課題への取り組みを進めてきた。官民協働によるRPAを活用した業務の自動化、ブロックチェーン技術とマイナンバーカードを活用したインターネット投票、大規模戸建て住宅街でのドローン配送など全国初となる試みを実施し積極的に進めるスタートアップ政策は、つくばでの多くの新規創業につながっており、全国的にも注目を集めている」などと話した。

一方で「中心市街地の活性化や未利用公有地の活用などまだ道半ばの課題も山積している」と、商業施設クレオやつくばセンタービルなど中心市街地の空き店舗問題や、旧総合運動公園用地問題など未解決の課題も指摘した上で「就任以来の取り組みは着実に身を結び始めており、つくば市は『世界のあしたがみえるまち』に向け歩み始めている。この動きを止めることなく加速させ、持続可能なまちづくりを進めていく」などと強調した。

産学官プラス金融で創業支援 つくばに18団体結集しスタート

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18団体による支援の事業体が組まれた=26日、つくば市役所

【相澤冬樹】約150の研究機関が集積する地の利を生かし、産学官プラス金融の連携で、つくば発の起業をより積極的に支援しようという枠組が26日、つくば市に誕生した。「つくばスタートアップ・エコシステム・コンソーシアム」で、県と市、筑波大学、産総研、物・材機構、農研機構など研究機関、民間の投資家や金融機関など合わせて18団体が参画して設立理事会を開いた。

社会実証の推進へ

コンソーシアムは共同事業体。つくばに集積した研究・事業資源を生かして、創業機会の創出や地域経済の持続的発展につなげるのが狙い。新しいアイデアや技術に基づく創業・起業を有機的に支える環境(エコシステム)の形成を促すため、産学官金の連携により事業の創出支援、スタートアップ企業への実証フィールドの提供など社会実証の推進に取り組むとしている。

会員にはTXアントレプレナーパートナーズ(千葉県柏市)、ベンチャーカフェ東京(東京)などベンチャー企業の支援組織が顔を連ねている。常陽銀行、筑波銀行の地元地銀両行も参画した。

設立理事会では、会長に大井川和彦知事と五十嵐立青市長を選び、筑波大、産総研、物・材機構、農研機構の担当者を理事に選任した。今後、理事会は年1回程度の開催となるが、連携事業等は全体運営会議で決定、複数の部会を置いて個別活動に取り組む。具体的な活動の展開は新年度からになる見込みだ。

冒頭、あいさつに立った五十嵐市長は「いわゆる潜在的起業希望期にある事業者に手を差し伸べる施策が従来なかった。その支援のため、これだけの顔ぶれが1カ所にそろう場所はつくばしかない。手厚い戦略で取り組みたい。そろそろ実証実験は卒業し、社会実装にもっていきたい」と意欲をみせた。

設立の意図を熱く語る五十嵐市長=同

【震災9年】国vs県・漁民の攻防ヤマ場 汚染水海洋放出

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茨城県庁

【山崎実】東京電力福島第1原発のトリチウムを含む処理済み汚染水の海洋放出を巡る国vs県・漁民の攻防がヤマ場を迎えようとしている。内閣府の担当者が去る20日、県庁で大井川和彦知事に政府小委員会(多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会=委員長・山本一良名古屋大名誉教授)の報告書の内容を説明したのに対し、知事は「白紙で検討を」と突っぱねた。

政府小委員会が「現実的な選択肢」として海洋放出を大筋で了承したのが1月31日。これを受け大井川知事は、原発事故発生以降、一部魚種の出荷制限に伴う損失や、風評被害による魚価の低迷など厳しい状況に置かれてきた経緯を指摘した。さらに小委員会の取りまとめ案は「水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢であり、海洋放出の方が確実に実施できる」としているのに対し、「結論ありきの取りまとめは容認できない。より影響の出ない方法はないか、さらなる検討を期待する」とコメント。小委員会の取りまとめ案に”注文”を付けた。

沿岸漁民、怒りを爆発

沿岸漁民の闘いは苦難の連続で、今も続いている。2011年3月の東日本大震災、原発事故発生後、いち早く漁業再開に取り組んだが、茨城沖のコウナゴから暫定規制値を超える放射性セシウムが検出。市場での取引拒否、出荷・販売の自粛要請を強いられた。翌12年4月、新基準値の設定(1キロ当たり100ベクレル)が行われたが、茨城県はさらに厳しく50ベクレルの自主的な自粛基準を設定し、県産魚介類の安全確保に努めた。基準遵守は北部(日立市以北)、県央部(東海村~大洗町)、南部(鉾田市以南)の各海域ごとに3カ所以上検査(期間は1カ月)するという徹底ぶり。

この地道な努力が実り、2017年3月、海面28魚種の出荷制限、生産自粛が取られてきた規制は、やっと解除された。しかし韓国、中国、台湾など一部の国・地域では、いまだに輸入規制が続いている。さらには、内水面関係でも霞ケ浦のアメリカナマズと、利根川・境大橋下流のウナギは国の出荷制限を受けており、原発事故の爪痕は残ったままだ。

政府小委員会が海洋放出の方法を示唆した報告書を10日に公表すると、沿岸漁民は敏感に反応し怒りを爆発させた。間髪を入れず、平潟(北茨城市)からはさき(神栖市)まで県内10漁協で組織する茨城沿海地区漁業協同組合連合会(飛田正美会長)は13日、県庁に大井川知事を訪ね「多核種除去整備等処理水の海洋放出を行わないよう国への働きかけを求める要請書」を提出。

処理水を海洋放出することになれば「風評(被害)の再燃は必至」で、トリチウム以外の放射性物質が残留しているとの報告もあり、事故発生直後に引き戻されるのではと不安を訴える。「海洋放出はこれまでの漁業関係者の努力を水疱に帰し、漁業の継続を断念する状況に追い込む仕打ちであり、絶対に受け入れることはできない」と声高に主張した。大井川知事も「皆さんと同じ気持ち」と同調し、地方から反旗を掲げた。

予断許さぬ神経戦続く

報告書の説明とはいえ、20日の内閣府担当者の知事訪問は、余白に協力要請の思惑が見え隠れする。これに対し、県内の各漁協は市町村や県選出国会議員などへの「処理水海洋放出反対」を働き掛け、漁民運動を進めていく考え。政府小委員会の報告書を錦の御旗に、国や東京電力がいつの時点で海洋放出という選択肢に踏み切るのか、予断を許さない神経戦が続くことになる。

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洋上打ち上げに成功 筑波大の学生団体ロケット

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打ち上げられたBlueROSE(筑波大学STEP提供)

【相澤冬樹】筑波大学の学生団体STEP(ステップ、相沢慧代表)が24日正午過ぎ、茨城県沖の洋上から小型ロケット「Blue ROSE(ブルーローズ)」の打ち上げに成功した。25日つくば市に戻った相沢代表からNEWSつくばに連絡があった。機体の回収ができず、無線通信も正常に作動しなかったため、到達高度や最高速度についてのデータは得ることができなかったが、目視確認などからの判断で、おおよそ高度3~4キロ程度に到達したと見られるという。

機体回収はできず

打ち上げの射場となったのは、ASTROCEAN(アストロオーシャン、本社・東京、森琢磨CEO)が県沖約80キロの船舶に置いた洋上プラットフォーム。新たな宇宙ビジネス創出を支援する「いばらき宇宙ビジネス事業化実証プロジェクト」として県が採択し、打ち上げに約1500万円を補助した。

ロケットを製作したのは筑波大の理工学群の学生ら約20人でつくる宇宙技術プロジェクトSTEP。打ち上げたのは全長2.85メートル、直径120ミリ、重さ17キロの小型ロケットで、エンジンに2相の推進剤を用いるハイブリッドタイプ。機体には2度パラシュートを放出する2段分離機構を搭載した。

24日は学生3人がプラットフォームに乗り込んだ。前日の強風から一転してほぼ無風の絶好のコンディションだったそうで、午後0時24分ごろ、射出したロケットはまっすぐ上空に飛び上がった。

STEPでは、2006年からロケットや模擬人工衛星の製作・運用に取り組み、18年に約1キロの高さにまで打ち上げた。今回は、学生団体の高度日本記録である3160メートルの更新に挑んでいた。機体やデータの回収ができず、正式な記録更新には至らなかったものの、おおむね予想到達高度に達したと見ており、今後さらに分析を進めていくという。

衛星の小型化で、民生分野を中心に小型ロケットの需要が膨らんでいるなか、国内での射場不足がクローズアップされている。相沢代表は「洋上打ち上げは新たな可能性を開くものであり、人工衛星高度にはまだまだだが、十分な手応えをつかむことができた」と今後に意欲を見せた。

筑波大学STEPのロケット洋上打ち上げ映像(動画)

障害当事者がつくばで問う やまゆり園事件で見えてきたものと見えないもの

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講演するノンフィクション作家の渡辺一史さん=15日、つくば市吾妻交流センター

【川端舞】障害者入所施設「津久井やまゆり園」(神奈川県相模原市)で殺傷事件を起こした植松聖被告と面会を重ねているノンフィクション作家の渡辺一史さんが15日、つくば市吾妻、吾妻交流センターで講演した。残忍な事件を起こした被告の異常性が話されるとともに、異常性が作られた背景にある障害者施設の実態も言及された。

渡辺さんは、筋ジストロフィーという難病当事者の地域生活を描き、昨年映画化もされたノンフィクション小説「こんな夜更けにバナナかよ」の著者。これまで13回、植松被告と面会してきた。その中で見えてきた植松被告の人間像を語ってもらおうと、当事者による障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら(川島映利奈代表)」が講演会を企画し、約40人が参加した。

事件後、それぞれの思い語り合う

同センターは、どんなに重い障害があっても入所施設ではなく地域で暮らしていける社会を目指して、地域で暮らしている障害者を支援したり、一般の人たちに障害者への理解を広めるために様々なイベントを開催している。やまゆり園事件の直後には、障害者や支援者を集めて犠牲者を追悼し、それぞれの思いを語り合う集会を開いた。センターの事務局長で自身も重度身体障害をもつ斉藤新吾さんは当時「『意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきだ』という植松被告の考えは極端だが、障害者は必要のない存在であるという考えは、無意識のうちに誰もが持ちうるものだと思う」と語った。

それから約3年後の2019年、同センターは、「こんな夜更けにバナナかよ」が映画化されたのをきっかけに、渡辺さんに「なぜ人と人は支え合うのか―『障害』から考える」をテーマに講演を依頼した。その中で渡辺さんはやまゆり園事件にも触れ「『障害者は生きている価値があるのか』という質問は、一見するとデリカシーのないものだが、インターネットの掲示板には多くの人が同じようなことを書いている」と指摘した。

渡辺さんが植松被告と面会を重ねていることを知った同センターは、植松被告の公判が開かれている今、被告がどのような人間なのかを知り、今後同様の事件を起こさせない、障害があってもなくても一緒に生きていける社会をつくるヒントを考えたいと、渡辺さんの講演会を企画した。

なぜ事件を起こしたのか

この殺傷事件が世の中に衝撃を与えた理由の一つに、被告がその施設に3年以上勤務していた元職員だったことがある。これまでの渡辺さんの取材によると、やまゆり園に就職した頃の被告は入所者のことを「かわいい」と言っており、将来は特別支援学校の教員になりたいという希望を持っていた。そのためのステップアップとして障害者施設の職員になったという経緯もあったという。

そのような志を持った青年が、なぜ障害者殺傷事件を起こしたのか。脱法ハーブや大麻を常用したことによる精神障害があったと弁護人は主張している。また、障害者への差別意識は多くの人が持っていても、それを「人を殺傷する」という具体的な行動に移すのには大きな隔たりがある。「被告がそこを越えてしまった原因がまだ理解できない」と渡辺さんは語った。

園内の環境も影響

一方、被告の中に「安楽死思想」が形成された背景には、彼が働いていた津久井やまゆり園内の環境も影響を与えたのではないかと渡辺さんは指摘する。去年6月にNHKで放送されたやまゆり園の元利用者についての報道を機に、やまゆり園の実情が問題視されるようになったといわれる。その利用者は、やまゆり園時代は「突発的な行動もあり、見守りが難しい」という理由で、車いすに長時間拘束されていたが、事件後、別の施設に移り、拘束を解かれた生活をするうちに、リハビリにより歩けるようになったほか、地域の資源回収の仕事までできるようになったそうだ。

また、渡辺さんが元利用者家族から聞き取った話では「居室が集まっているユニットはおしっこ臭かった」「毎日風呂に入れてもらっているはずなのに、フケも臭いもすごい」「部屋が施錠されていたのではないか」など園の実情に数々の疑問が聞かれた。そのような園の状況が、被告の「安楽死思想」に影響を与えたのではないかと渡辺さんは考える。その上で、渡辺さんはこれまでの取材の中で他の施設についての惨状を聞いてきた経験から、「津久井やまゆり園が特別なのではなく、同じようなことは他の入所施設でも起こりうる」と、入所施設の限界を指摘した。

講演会の参加者の一人は「私自身、知的障害の子どもを育てている母親として、この事件にはあまり関わりたくなかったが、事件の本質には被告自身の問題だけでなく、社会全体の問題があり、このまま終わりにしてはいけないと感じた」と話した。

5月の全国集会でもテーマに

今年5月30、31日に、つくば国際会議場でDPI(障害者インターナショナル)日本会議の全国集会が開催される。DPI日本会議とは、現在130カ国以上が加盟し、障害のある人の権利の保護と社会参加の機会平等を目的に活動をしている国際 NGOの日本国内組織である。2日間で全国から多くの障害者が集まる。2日目にはやまゆり園事件の裁判についても取り上げる予定である。この集会の実行委員会をつくば自立生活センターも担っている。

同センターは「3月16日にこの裁判の判決が予定されているが、3カ月程度のスピード判決はこの事件の何を浮き彫りにするのか。検証すべき重要な問題を闇に葬り去ってしまうことにならないか。障害者への差別や偏見を助長したりしないのか。様々な立場から問う機会にしたい」としている。

大規模の入所施設では限界

【記者のつぶやき】入所施設の場合、どうしても一人の職員が担当する入所者の数が多くなってしまい、入所者一人一人に丁寧な個別対応は難しい。被告が「意思疎通のとれない障害者」と称した被害者の方々も、一人一人、時間をかけて向き合えば、身振りや表情など、言葉以外の方法でコミュニケーションをとろうとしていたはずである。彼らが伝えようとしている想いを、周囲が丁寧に受け取れるようになるためには、大規模の入所施設では限界がある。入所施設の限界が浮き彫りになった今こそ、入所施設ではなく、在宅で障害者一人一人と関係性を作りながら支援することに重点を移すべきであろう。

➡障害者自立センターほにゃらの過去記事はこちら

サンガイア、埼玉に快勝 ホームに勝ち星届ける

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試合前の名物、瀧澤陽紀選手のパフォーマンス

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は22、23日、今季最後のホームゲーム2連戦をつくばカピオ(つくば市竹園)で開催。22日はきんでんトリニティーブリッツ(大阪市)にフルセットの末敗れたが、23日は埼玉アザレア(川越市)にセットカウント3-1で快勝。通算成績を10勝11敗とし、12チーム中7位に浮上した。

第3セット、小針選手のライトからのスパイク

埼玉戦の第1セット、つくばは順調な立ち上がりで最大4点をリード。だが中盤、コンビネーションミスを2本続けて同点にされると、サーブレシーブの乱れなどで自分たちの形を作ることができず、相手にリードを許す。終盤の追い上げも届かず、このセットを失う。

第2セットは序盤のイーブンな展開から、瀧澤陽紀のサービスエースをきっかけに5点を連取。波に乗ったつくばはそのまま同セットを獲得。第3・第4セットも序盤からリードを保ち、追い上げられても流れを切って相手に渡さず。安定した戦いで、前回対戦ではストレート負けの相手に雪辱を果たした。

「瀧澤の渾身(こんしん)のサービスエースで流れを引き戻し、自分たちの力を発揮するとともに、ホームの大声援を力に変えて勝利することができた」と、都澤みどり監督。「今季はミスから崩れることも多かったが、今日は粘り強く戦えた。点差がついた後も気を緩めず、しっかり勝ちきれた」と浜崎勇矢主将。

あせりから攻撃が単調になる悪いクセが消え、多彩なアタックやサーブで相手を崩すことに成功。また今節では、セットの際に各選手がポジションを取り直さず、ローテーションの位置から直接攻撃に入ることが多かった。このため最短時間と最短距離で、相手ブロックの薄い部分を狙い打つことができる。

「全体でブロックを引き付け、各選手の状態を見ながらトスを上げている」と、セッターでもある浜崎主将。特に小針幸や奥村航は左右からのスパイクはもちろん、バックアタックでも効果的に得点を重ねていた。

瞬時に相手の弱点を見極める浜崎主将のトスワーク

来週は、他チームよりひと足早く今季最終戦を迎える。29日(土)午後1時から北海道帯広市総合体育館でトヨタ自動車サンホークスと対戦。勝って星勘定を五分に戻し、シーズンを締めくくりたい。

つくば  3-1 埼玉アザレア
23-25
25-20
25-19
25-14

➡つくばユナイテッドサンガイアの過去記事はこちら

土浦市立上大津西小、菅谷小に暫定統合 127年の歴史に幕

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29日閉校式が催される上大津西小学校=土浦市手野町

【鈴木宏子】児童数の減少などにより土浦市立上大津西小学校(同市手野、児童数46人)が3月末で閉校になり、菅谷小(同市菅谷、同138人)に暫定統合される。上大津西小は1892(明治25)年11月に開校した。127年の歴史に幕を閉じる。29日、同校で閉校式が催される。

同小は1892年に手野尋常小学校として開校、1907(明治40)年に上大津西尋常高等小学校となり、1918(大正7)年、現在地に移転した。1970年代から児童数が増え、学区を分離して、75年に神立小、86年に菅谷小が分離・新設された。

現在は2、3年生が複式学級となっている。4月からは全員がスクールバスで通学するという。

新たな小学校開校へ、5月に答申

同地区では上大津西小と菅谷小、上大津東小(沖宿町)の3校についてさらに統廃合を進め、2024年4月を目標に新たな上大津地区小学校を開校することが検討されている。①上大津東小に教室を増設して統合する➁土浦第五中学校(手野町)500メートル圏内に小学校を新設する③土浦五中隣接地に、体育館やプールなど同中と施設の一部を共用する小学校を新設して統合する―の3つの方向性が出され、関係小学校の校長やPTA、地元地区長で構成される「市上大津地区小学校適性配置検討委員会」(委員長・樋口直宏筑波大教授)で検討されている。5月に答申が出される予定だ。

21日発表された新年度当初予算案には、新たな上大津地区小学校開校に向け、新校舎建設の検討委員会設置とワークショップ開催、整備基本計画の策定委託料など計約800万円が計上された。

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新型コロナに判断揺れる つくば・土浦のイベント関係者 

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研究会の中止や延期を告げる農研機構のホームページ

【橋立多美】国内で新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、感染者数は日々更新されている。22日現在、県別の感染者に茨城県はないが、都内への通勤や国際交流の機会が多いつくばでは、モヤモヤした不安を抱える人が少なくない。感染の拡大を受け、不特定多数の人が集まるスポーツイベントや会議、集会を中止する動きが広がっている。

ノーベル賞受賞者も来日回避?

農研機構は18日、一般公開施設「食と農の科学館」(つくば市観音台)を当分の間休館すると発表した。19日つくば開催の4つの研究会やサイエンスカフェに加え、21日につくば国際会議場(同市竹園)で予定していた気象環境研究会「近年の猛暑によるイネ高温不稔の顕在化とその対策」を中止とした。

同会議場では3月12日に予定されていた日本学術振興会主催の「第12回HOPEミーティング―ノーベル賞受賞者との5日間」も中止となった。ノーベル賞受賞者3人と著名研究者によるパネルディスカッションが一般に公開される予定だった。パネリストとして招へいの海外のノーベル賞受賞者の1人が直前になって出席を辞退、主催者も「コロナウイルスの影響を考慮」して中止を決めた。

敢行にも中止にも決断力

国が不要不急の集まりを控えるよう呼びかけつつも具体策が示されないなかで、多くの人が集まる会合を開催した例も。つくば市社会福祉協議会は20日、コロナウイルス予防策を練って「地域の絆フォーラム2020」をホテルグランド東雲(同市小野崎)で開催した。230人が参加した。

会場入り口にアルコール消毒液を置き、開演前にマスクを着けていない人にマスクを用意していることをアナウンスして飛沫感染を防ぎ、休憩時間に扉を開けて換気を行った。花粉症の時期と重なってマスクが入手できない現状だが、食事サービスや災害支援向けにストックしているマスクを運び込んだ。

同フォーラムは互いに支えあい、安心して暮らせる地域づくりを目指して8年前から開催。「(開催を)楽しみにしている人がいる」と中止の検討はされなかった。フォーラムを運営した担当者は「できるだけのことをした」と話す。

一方、元開業医の室生勝さんが主宰する、高齢者の居場所づくりを目指す「サロンゆうゆう」(毎週月曜)は、今月初めから活動を中止している。

政府が水際作戦をとったが、室生さんは1月下旬にはすでに国内に無症状患者がいると考えた。周囲からは「そこまでしなくても」という声があったが、医療に携わった者として対策を徹底させた。感染すると重症化する可能性が高い後期高齢者が多いことも背中を押しての決断という。

どうなる?かすみがうらマラソン

土浦市は21日、市が主催するイベント開催の方針を示し、方針に基づいて実施の判断と対応を行うと発表した。

実施するのは出席者や来場者が限定的で特定することができ、イベント会場でのアルコール消毒や手洗い、咳エチケット、換気など、一般的な感染症対策をすることが可能なもの。他方、参加者が不特定多数で感染拡大のリスクが大きく、出席者への感染により、市民の安全確保や行政、企業経営上、多大な影響が予測されるイベントは原則中止とする。

同日、霞ケ浦の湖畔をめぐるウオーキング大会(29日と3月29日)の中止が告げられた。今後は4月19日開催の「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」の催行に注目が集まる。エントリー者数2万4000人をこえる。

近隣ではつくばみらい市の「みらいマラソン」(3月1日)の中止が決まった。実行委員会では、大会スタッフ用のマスクや消毒液が確保できないことを中止の要因に挙げている。

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都市計画決定を変更へ 国道6号牛久土浦バイパス第3期

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航空写真を張り出し国交省常総国道事務所が素案を説明=つくば市茎崎交流センター

【相澤冬樹】国道6号牛久土浦バイパスの都市計画決定変更に向けた地元説明会が21日、つくば市小茎の茎崎交流センターで開かれた。2018年度に事業化となった牛久市城中からつくば市高崎までの5.5キロ区間について、最新の道路構造令に基づき設計を変更するための手続き。道路両側の盛土や切土など法面(のりめん)部分を含めて幅員とする考え方で都市計画を設計し直すなどの素案を伝えた。基本的なルートに変更はなく、今後のタイムスケジュールなどは示されなかった。

時期的な見通しは示されず

同バイパスは牛久市遠山町から土浦市中まで延長15.3キロで1994年計画決定された。2011年までに、つくば市西大井地区と土浦市中村西根地区との区間3.9キロが開通(暫定2車線供用)しており、圏央道つくば牛久インターチェンジをはさみ国道408号と学園東大通りとを結んでいる。

牛久土浦バイパスの事業区間=常総国道事務所の資料から作成

今回説明会が行われたのは、同バイパス第3期の事業区間。牛久市側は1月に開催しており、つくば市側2.5キロについて国交省常総国道事務所による説明が2日間にわたって開かれた。県や市の担当課も立ち合い、初日の21日は沿線の住民ら約30人が集まり、質疑応答した。

同事務所による説明では、路肩の自転車道・歩道を広く確保したり、道路本線以外の法面部分も含めた道路設計に変更するのに伴い、都市計画決定エリアを両側に広げる措置が必要になった。牛久市区間は高架橋りょうが連続するが、つくば市区間では盛土と切土が交互に現れる。

さらに道路構造令に基づき、市道と交わるみのり幼稚園付近の交差方式を立体から平面交差に変更するなど素案の説明があった。5.5キロ区間は特に景観重点整備区間と位置づけ、牛久沼や稲荷川など自然環境と調和させる設計で臨むという。

質問では、平面交差に改まる箇所での緊急車両の進入動線、住宅市街地に工事車両が往来することへの環境対策などが質された。

素案は今後、県の都市計画公聴会、広告・縦覧、意見聴取、県都市計画審議会などを経て、改めて都市計画決定される。詳細設計や用地買収などはその先の着手となる。事業化されたとはいえ、建設スケジュールは都市計画の手続きに一旦戻る格好だ。これらの手順の時期的な見通しはついていない。現在進行中の第2期区間についても、起点の牛久市城山地内1.3キロ区間が22年春に供用開始の予定となっていること以外、つくば市1.9キロ、土浦市2.7キロ区間の建設時期も示されなかった。

【土浦市新年度予算】公約実現へ コミュニティーバス運行に調査費

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初の予算編成となる新年度当初予算案を発表する安藤真理子市長=21日、土浦市役所

【鈴木宏子】土浦市の安藤真理子市長は21日、2020年度当初予算案を発表した。昨年11月に初当選し初の予算編成となる。公約に掲げたコミュニティーバス運行に向け調査費約680万円を計上するほか、新治運動公園多目的グラウンドに人工芝を張る調査費約350万円を盛り込むなど公約実現を図る。3月3日開会の3月議会に提案する。

財調基金取り崩し行わず

予算規模は、一般会計が前年度比4.4%減の約506億8000万円、特別会計を含めた総額は同比0.7%増の約924億7100万円。一般会計は過去10年間で3番目に低い規模となる。市民会館の耐震化や学校給食センターの再整備など大規模事業のピークが過ぎたことによる事業費の減額が要因。

さらに昨年の市長戦で基金の枯渇による財政危機の解消を訴えたことから、経費や事業の見直しを徹底して行い、財政調整基金の取り崩しを行わなかった。加えて老朽化している学校や公共施設の改修に向け新たに3億円の基金を積み立てるなど、長期財政見通しで推計されていた財源不足を回避した。

公約実現に向けてはほかに、企業誘致による財源確保のため、流通拠点である常磐道土浦北インターチェンジ(IC)周辺に企業誘致を図るための土地利用状況調査と企業ニーズ調査費490万円を計上する。県が昨年11月に発表した未来産業基盤強化プロジェクトを活用して農地転用などの手続きを迅速化し、ICから半径3キロ圏内に新たに産業用地開発区域の設定を目指す。スマートインターチェンジを新設する公約についても、場所の検討などの調査費580万円を盛り込む。

11月に市制施行80周年

新規事業は、保育料無償化の対象外となっている0~2歳児について利用者の負担額を一部軽減する(6200万円)。通学路や避難路に面する危険なブロック塀の撤去を促進するため、所有者が解体工事を行う場合、費用の一部を補助する制度を開始する(1件当たり上限10万円、総額70万円)。老朽化している小中学校のトイレについては和式を洋式にするなど改修するための設計費約790万円を計上し、神立小、乙戸小、都和南小と都和中の4校で翌年に改修する。

ほかに、11月3日に市制施行80周年を迎えることから記念事業として、NHK公開番組や自転車の祭典などイベント開催を含め約1560万円を盛り込む。つくば霞ケ浦りんりんロードなどサイクリング環境のPRとして、自転車のまちづくりを推進する全国市区町村長の会による全国シクロサミットを今年秋にも市内で開催する(120万円)。高齢者の介護予防については、市内1カ所をモデル地区とし、県リハビリテーション専門職協会の協力を受けて、体力測定を踏まえた集団・個別指導をする介護予防健診を開催する(約60万円)。

土浦港周辺のにぎわいづくりは、ラクスマリーナを含めた3.9ヘクタールの旧京成ホテル跡地について、民間企業を誘致するための用地測量費など980万円を計上する。

一方、歳入については、個人市民税、法人市民税、新築家屋増による固定資産税などの増加するとして、市税3.3%増を見込む。

安全な大会へ花火対策室を新設

4月からの行政機構の見直しについても発表があった。2年連続で事故が発生した土浦全国花火競技大会を安全に実施するため、観光商工課に花火対策室をつくる。交通不便地域を解消するためのコミュニティーバスの運行など公共交通に関する総合的な取り組みを推進するため都市計画課に交通政策室を新たに設置などする。

街なかに流れる児童の歌声 土浦のひなまつり

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土浦小学校の児童の歌声を流す前野呉服店=土浦市中央

【伊藤悦子】第16回土浦の雛(ひな)まつりが始まっている土浦市の街なかに、「うれしいひなまつり」の歌声が流れている。歌ったり演奏したりしているのは、市立土浦小学校(同市大手町、小島勝則校長、620人)の児童たちだ。

この企画を考えたのは前野呉服店(同市中央)の代表取締役、前野有里さん。「ひなまつりを音楽で盛り上げられないか」と思い立ったのがきっかけだ。「ただ音楽を流すだけではなく、地元の子供の歌声がいいのでは」と考え、土浦小の児童たちに歌ってもらえないかと同校の教員に相談したという.

小島校長はこの提案を快諾。「前野さんからは、上手に歌うというより微笑ましい感じの歌声が欲しいと聞いた。そこで低学年の1年生と2年生の各3クラスの児童たちに歌ってもらうことにした」と話す。

土浦小校門と円内は小島勝則校長

日課プログラムである「朝の会」を利用して、児童たちは1月から2週間程度練習を行った。また同小のクラブ活動である環(たまき)合唱団も歌い、金管バンドクラブに演奏も依頼した。前野さんが同小を訪れてCDに録音した。歌う前に児童たちがクラス名を言っているので、聞いた本人や家族がわかるようになっている。

小島校長は「自分たちの歌声を聴きながら、下校する児童がたくさんいる。またひなまつりに連れていってほしいと保護者と出かけている児童もいる。地元の行事に自分たちが参加しているという意識が出て、将来の地元活性化の核にもなるのでは」と話す。

前野さんも土浦小の出身。小さい頃の楽しい思い出がたくさんあるという。「土浦のひなまつりで歌ったことが、子供たちの思い出になってほしい。街を訪れる皆さんにも子供たちの歌声をぜひ聞いていただきたい」と話す。

児童の歌声や演奏は、3月3日までのひなまつり期間中、土浦駅西口ペデストリアンデッキ、土浦駅プレイアトレ土浦2階「ナナイロ」のキッズスペース周辺、まちなか交流ステーションほっとone(土浦市川口)などで聞くことができる。問い合わせは前野呉服店(電話:029-821-0452)

通行料を払ってドローンを飛ばす つくばの住宅地で配送実験

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注文された商品を積んで住宅地内の公園に降りるドローン=つくば市研究学園

【鈴木宏子】ドローン(小型無人機)を使った配送実験が20日、つくば市研究学園の住宅地で行われた。住宅地上空をドローンが飛行できるよう「空の道」をつくるビジネスを展開するベンチャー企業「トルビズオン」(本社・福岡市、増本衛社長)が、つくば市などと取り組んだ。同社によると大規模住宅地での実験は全国初という。

都市部での利活用見据え

航空法の規制で、住宅地など人口集中地区の上空でドローンを飛ばすには国交省の許可がいる。このため、飛行ルートにある住宅地の地権者に通行料を支払って「空域」を確保しようとした。物流や警備、インフラ点検、災害時の救助支援など、2020年代以降、国交省が都市部でのドローンの利活用を本格化させる「空の産業革命」を見据えた実証実験だ。

配送実験は、五十嵐立青市長がスマートフォンのアプリ機能を使って、商業施設イーアスつくば内のカスミに、おにぎりやリンゴ、バナナなどを注文。カスミが店舗近くの公園に設けられた発着場に商品を運び、トルビズオンがドローンに積み込んだ。さらに損保ジャパン日本興亜の関連会社がドローンを運行し、民間の空き地や住宅地の道路上空約50メートルを時速10~15キロで10分程度飛行して、700メートルほど離れた住宅地内の公園で待つ五十嵐市長に無事、商品を届けた。

ドローン宅配の実験概要を説明するトルビズオンの増本衛社長

都市部でのドローンの利活用を視野に、上空で携帯電話の電波を活用し、だれの土地の上空を飛行したかがリアルタイムで分かる位置情報を取得する実験も同時に行われた。送料として1回500円程度を想定し、80%の400円をドローンの運行料、14%を地権者に支払う通行料、6%を損害保険料や利益として見込んでいるという。

五十嵐市長は「物流業界の人手不足や買い物難民などの課題がある中、ドローン配送は大きなインパクトを与える。(ドローンが飛行する住宅地の)地元同意を得て進めており、これからもていねいに住民合意をとって進めていきたい」などと述べた。トルビズオンの増本社長は「住宅地の真ん中に荷物を届けることができた。大規模住宅地でのドローンの実証実験が、空の道の課金システムのために欠かせない」などと話した。

ツンデレの白馬がやってきた 筑波大馬術部に元競走馬

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芦毛で大きな馬体の桐杏=筑波大学馬場厩舎

【山口和紀】筑波大学体育会馬術部の厩舎(きゅうしゃ)=つくば市天王台=に2月はじめ、元競走馬の白馬がやってきた。サラブレッドの牡(おす)、15歳。現役時代の名前はバロンビスティー、JRA(日本中央競馬会)美浦トレセン所属で、2008年から11年に国内22戦4勝の成績を残した。白く美しい芦毛の馬体で、引退後は東京競馬場の誘導馬として活躍し、ファンも多かったそうだ。

筑波大に移籍し「桐杏(とうあん)」と命名された。由来は、大きな身体で、杏(あんず)の花のような白さと美しさから連想したという。日本産の牡サラブレッドには、「桐(とう)」という文字に一文字足して命名する同部の慣習にならって命名した。

桐杏は2005年2月生まれの15歳=同

部長の松田森樹さん(生物資源学類3年)によると「桐杏は少し気難しいところがある。かまって欲しそうにしているが、近づき過ぎると怒る。あえて言うなら“ツンデレ”みたい」だそうだ。

馬術部には「桐杏」を含めて11頭が在籍し、馬術部の部員は14人。全員が大学に入ってから馬術を始めた。松田さんは「生き物への関心が元々あって、入学後の体験で馬に乗ったときに『この部に入ろう』と思った。馬術部の面白さというのは、生き物を相手にすることにあると思う」と話す。

馬術競技には大きく「馬場」「障害」「総合」の3種目がある。同大は特に総合馬術に力を入れているという。他の馬場馬術や障害馬術は、それを得意とする馬種が多く在籍する私立大学が一般的に強い。筑波大馬術部は引退した競走馬、つまりサラブレッドが多く在籍するため、その特性を活かすためには総合馬術が最も適しているそうだ。

筑波大学馬術部の活動の様子=同部提供

「馬との距離の近さ」が大学馬術の特徴だ。部員それぞれが1頭の馬の世話を担当している。持ち回りで担当するが、365日、毎日4回の餌やりも欠かすことはできない。「プレーヤーとマネージャー、そしてトレーニング。これら全てを自分で担当することで得られる奥深さは魅力的。毎日毎日、馬も人間の調子も違うため、新しい発見がある」と内窪夏希さん(教育学類2年)は話す。他競技であれば言葉で話すことで通じ合えるが、馬術は違う。「チームメートは馬。言葉は通じない。『ちゃんとやって』と言ったとしても伝わらない。その難しさと面白さが馬術にはある」そうだ。

馬術部では同大の学生と教員向けに体験乗馬を随時行っている。連絡先は馬術部ツイッター(https://twitter.com/tsukuuma)へ。部活への入部はいつでも歓迎。学外者への一般開放は現在のところ行っていない。

 

つくば、土浦では利用できず 県立図書館の遠隔地貸し出しサービス

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県立図書館(背景)とつくば市立中央図書館㊧、土浦市立図書館

【相澤冬樹】インターネット予約により、茨城県立図書館(水戸市三の丸)の本を県内市町村の図書館で借りられるサービスが2月スタートしたものの、つくば、土浦の両市立図書館では今年度、利用できないことが分かった。NEWSつくばの取材に、両図書館とも参加の意向を示したが、つくばでは「早ければ4月にも」、土浦は「開始時期の見通しは立たない」と答えている。

県立図書館が始めたのは、遠隔地利用者貸し出しサービス「ぶっくびん」。同館の利用カードを持ち、連絡先のメールアドレスを登録すれば、同館ホームページで貸し出し予約ができる。申し込みの際に受け取り館を指定することで、メールで受け取り日が通知される。

同館では、県内の図書館などで本を融通し合う相互貸借を実施。17年度で約2000人が7500冊(返却数)を借りていた。これまでは予約時と受け取り時の2回、市町村の図書館に足を運ぶ必要があったため、自宅や職場のインターネットで資料検索した際などに「直接申し込みたい」という要望が寄せられていた。

同館のシステム改修が2月更新となることから、これに合わせ同サービスの導入が進められてきた。市町村の図書館と調整の結果、スタート時点で37市町村計50館が参加。つくば市、土浦市、稲敷市、下妻市など計6市町が参加を見送った。現在、県内44市町村全部に公立図書館があるが、県立図書館によれば水戸市は「遠隔地ではない」ため、当初から対象になっていないという。

これまでの経緯で、つくば市立図書館では負担金の扱いが問題となった。市から県へ約6万円の支出が生じるが、予算措置を講じられなかった。「県立図書館の利用カードを持っていれば、つくば市に在住・在学・在勤する者以外の貸し出しにも応えなければならないというのは即断しかねるところがあった」という。新年度予算の可決を待って、早ければ4月にも参加の段取りになっている。

土浦市立図書館では、貸し出しを同市の在住・在学・在勤者に限っておらず、たとえば土浦駅の通勤客が立ち寄って利用することも可能なため、来館者数が増大、利用形態もさらに複雑になっている。「窓口業務に委託業者が入っていることもあって、考えられる色々なケースへの対応を詰め切れなかった」という。参加の前提だが、サービス開始時期の見通しは立っていない。

「ぶっくびん」の詳細はこちら、一度に借りられるのは20冊(一般図書・雑誌は10冊)までで、予約から7-10日程度で受け取れる。取り置き期間は1週間。受け取り館か県立図書館の窓口に返却する。現時点では県立図書館にも両図書館にも、利用者からの直接的な問い合わせはないという。

千差万別のソウルフード 「すみつかれサミット」 つくばで

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集まった「すみつかれ」を地図上にマッピングした古山菜摘さん=つくば市大角豆

【相澤冬樹】北関東の一部の地方に伝わる郷土料理「すみつかれ」の多様なバリエーションを、食べ比べで楽しもうという「サミット」が16日、つくば市大角豆のコミュニティーマーケット「まめいち」で行われた。あいにくの雨もようとなったテント屋根の下、参加者らが味比べをして感想を述べあった。

「すみつかれ」は初午(はつうま)の日に、お稲荷様や氏神様に供えて食するソウルフード。栃木県では「しもつかれ」という名で浸透し、スーパーにも並ぶほどポピュラーだが、茨城の県西部から石岡、土浦の県南部にも分布するなかで「すみつかれ」とも呼ばれることが多くなる。

鬼おろしと呼ばれる調理器具で大根をおろし、節分の残りの炒り大豆を加えるまでは同じでも、サケを入れたり入れなかったり、酒粕を加えたりお酢を加えたり、煮込んだり加熱しなかったり、と組み合わせで味も見かけも千差万別になる。

この「すみつかれ」と「しもつかれ」の2つは別物だとして、収集や調理を通じて調査研究を始めたのが、つくば市の小池英治さん・容子さん夫妻で、すみつかれ楽会(がっかい)を立ち上げた。夫妻が運営する月例のコミュニティーマーケットで、「すみつかれサミット」は2月の定番行事となった。

6回目の今回は、初午(2月9日)から1週間後の開催。容子さんの自作と参加者の持ち寄りで合わせて10点が集まった。茨城県内各地と宇都宮市から収集されており、毎年出入りはあるものの、前回を2品上回った。参加者は口々に「そんなにおいしいものではないけれど」と言いながら次の皿に向かう。「くせになる」味のようだ。

楽会メンバーの古山菜摘さんが地図上にマッピングし、会場に張り出した。食材と調理法の組み合わせから、分布の特徴を探しているが、明確な違いは見出せていない。嫁入りによって実家の味が持ち出され、持ち込まれた先で家庭の味になる食文化で、郷土料理としては混在と消長を来している。

つくば市の浅野裕美さんは、実家の土浦市板谷に住む母親に作ってもらった品を持ち込んだ。「真壁(桜川市)の母の実家で作られていたものらしい。サケもニンジンも入って甘いのが特徴、おやつ代わりに食べた記憶がある」そうだ。

 

「コスモ星丸」35年ぶり再起動 つくばミニメイカーフェアで人気

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再起動した「コスモ星丸」を子供たちが運転。マイクを持つのがLIGHTz社、乙部社長=つくばカピオ

【相澤冬樹】つくばでは初開催となる「ものづくりの祭典」、つくばミニメイカーフェア(TMMF)が15、16の両日、つくばカピオ・アリーナ(つくば市竹園)で開かれた。ビジネスシーンや趣味の世界で活躍する数々の成果が披露されたなか、主役になったのは各種のロボットたち。なかでもつくば生まれのレトロなロボットが、子供から大人まで来場者の幅広い関心を集めた。

科学万博のマスコットロボット

フェアは、「つくる場=つくば」がキャッチフレーズ。企業や研究機関、大学から町の科学者、技術者まで全国から151組も集まり、実演展示やセミナー・シンポジウムなどで丹精込めた日ごろの成果を披露した。五十嵐立青つくば市長も姿を見せ、バスケットボールのシュートロボットを脳波で動かす実演に取り組んだ。つくばの産総研の開発した技術だ。

そんななか、子供たちには「かわいい」、大人たちには「懐かしい」と注目を集めたのは、1985年に開催された科学万博のマスコットロボット「コスモ星丸」。つくば市のAI企業、LIGHTz(ライツ、乙部信吾社長)が目を付けて、TMMFへの参加企画として「復活プロジェクト」を立ち上げた。

乙部社長は85年当時小学生、岩手から万博見物に来て、今も鮮やかな思い出になっているという。「温故知新」の姿勢で、新しい技術との融合を図る同社の企業戦略にも合致するプロジェクトとして、保管先のつくばエキスポセンターから借り受けた。

科学万博から35年、まったく動かず、1週間前まで同センターの展示ブースに飾られていた。当時の最先端と思いきや、足もとの底部はベニアの板張りだったそうで、補強して、動力部などをチューンアップ。動作の電源は蓄電池からモバイルバッテリーに変え、コントローラーもスマホ仕様に変えたという。

科学万博で見られたじゃんけんをしたり、おじぎをしたりの動作はまだ不安定なため、電子音を立てて前進や後退、回転をするのにとどまった。それでもご愛敬なのは健在で、来場者の人気を集めた。同社が会場で呼び掛けた100万円のクラウドファンディングにも早速の応募が集まっていた。

今回ひとまず動く形になってステージに登場した星丸だが、やっと再起動を果たした状態。これから1年をかけ、新しい要素も加えてバージョンアップを目指すそうだ。

例年より開花進む 筑波山梅まつり開幕

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縁結びのご神木「福来梅の木」を眺める観光客=15日、筑波山梅林

【田中めぐみ】第47回筑波山梅まつりが15日、筑波山中腹にある梅林(つくば市沼田)で始まった。暖冬の影響で例年より開花が進み、現在、紅梅は八分から九分咲き、白梅は二分から三分咲きの開花状況だという。

15日は開園式が催された。式典には五十嵐立青つくば市長のほか、振袖姿の第14代つくば観光大使らが参加した。五十嵐市長は「梅はもちろんすばらしいが渋滞の問題がある。今、県と一緒になって、一方通行にするのかパークアンドバスライドにするのか、協議会を立ち上げて取り組んでいる。(隣接の)フォレストアドベンチャーのコースも新しく追加された。これから筑波山をさまざまな体験ができるような場所にしていく。受け身の観光だけでは限界がある。いいものがあるので、エリアを面としてとらえ全体像を描いた上で、本当の意味で喜ばれる、愛される観光地にしていく」などとあいさつした。

開園式会場で記念撮影に応じる振り袖姿のつくば観光大使=同

毎年2月から3月にかけて約1000本の梅が花を咲かせる。こけむした筑波石の合い間に植えられた梅は筑波山地域ジオパークの見どころの一つとなっている。

市観光ボランティアガイド298の吉原一行会長は、今年は全体的に開花が早く、梅まつりの終わりの3月下旬まで花が持たない可能性もあると話し「ぜひ早めに見に来ていただきたい」と早めの来園を呼び掛けている。

龍ケ崎市から訪れた75歳の男性は「梅まつりには毎年来ている。今年は暖かいので咲くのが早い。開花状況を推測して来る人もいるので、これから来園者がもっと増えるのでは」と話した。千葉県から姉妹4人で訪れた72歳の女性は「毎年姉たちと来ている。梅というと水戸の偕楽園と思う人が多いが、私は筑波山が気に入っている。ここの梅は高低差があって、筑波山の自然の懐に抱かれているようなところがいい」と魅力を語った。

◆梅まつりは3月22日(日)まで。会期中は毎日、梅緑茶の無料サービスがあるほか、土・日曜はつくば大使の出迎えがある。主催は筑波山梅まつり実行委員会とつくば市など。問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会)

梅林の上空を滑空する五十嵐市長

フォレストアドベンチャーがリニューアル

筑波山梅まつりの開幕に合わせて、梅林隣りのアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・つくば」がコースを新しくしてリニューアルオープンした。昨年12月からリニューアル工事のため閉園していた。今回のリニューアルでは、子ども向けの「キャノピーコース」が2コースから4コースに増えたほか、大人向けに難易度の高い「エキサイトコース」1コースが増えた。

リニューアル初日、五十嵐市長が新コースを体験。小学生から「市長がんばってー、落ちないでー」という声援を受け、「ありがとう」と答えながら揺れるつり橋を渡り、梅林の上を100メートル滑空するジップスライドにも挑戦した。

梅林の上を滑空するジップスライドは、筑波山梅まつり期間中のキャンペーンとして3月22日まで体験できる。事前予約が優先。詳しくは電話090-4755-7800(フォレストアドベンチャー・つくば