【鈴木宏子】つくば市の自然体験施設「豊里ゆかりの森」内の宿泊施設に14日、新型コロナウイルス感染者のうち軽症者1人が入った。即日、同市が軽症者の受け入れ開始と合わせ発表した。
同施設は、県が軽症者向けに用意した4施設230室のうちの1つ。医療崩壊を防ぐため、風評被害によって倒産する心配がない公共施設を提供するモデルをつくりたい(五十嵐立青市長)と、つくば市が県に提供した。
バーべキュー場や工芸館などで構成の「ゆかりの森」は現在全施設が休館中。ロッジ風の宿泊施設「あかまつ」(12部屋、定員36人)があり、今後もさらに受け入れる予定。
8日開かれた市議会全員協議会では市議から「地元の理解は得たのか」「近くに保育園があるが利用者には説明したのか」「軽症者が市道に出ることはないか」など質問が相次いだ。
市健康増進課によると、軽症者1人は14日、県の車で、入院先の県内の病院からゆかりの森に移送された。軽症者は部屋の中に滞在し、部屋の外に出ることはないという。
部屋のドアを開けたところに赤いテープを貼り、弁当や衣類・寝具類などは直接手渡さないで、赤いテープのところに置いてやりとりする。食べ終わった後の弁当箱などのごみや、衣類・寝具類は部屋の前に置いてもらい、ビニール袋を2重にして医療廃棄物として廃棄する。
施設には県の看護師と市の保健師など計3人が交代で24時間体制で常駐する。医師は常駐しないが患者の容態が急変したなど緊急の場合はいつでも対応できるようにする。
軽症者にはPCR検査を2回以上実施し、陰性が確認され、さらに2週間経過観察した後、再び陰性が確認されたら退所するという。市は「感染症専門医の指導のもと、安全管理に万全を期し対応していきます」としている。
新型コロナウイルス感染者は現在、感染が確認されると、軽症や無症状であっても病院に入院している。感染拡大による医療崩壊を防ぐため、軽症者や無症状者は隔離された宿泊施設などに移り、病院は重症者の治療に重点を移すことが求められている。
県はこれまで、軽症者向けの公共宿泊施設4施設230室(民間を含む)を確保し、13日から移送を始めた。県は受け入れ施設名を公表していない。