月曜日, 5月 29, 2023
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犬の感染症対策に思わぬ影響 新型コロナ 狂犬病の集団予防注射が延期

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大が、犬の感染症対策に思わぬ影響を与えている。毎年4月から6月の間に公園などの会場で実施されている狂犬病の集団予防注射が、つくば、土浦両市でそれぞれ延期となった。密集や密接など「3密」を避けるよう求めた国や県の要請を受けた。

狂犬病予防注射は毎年1回、接種することが義務になっている。獣医師からは、延期により接種を忘れる飼い主が出てしまうのではないかと心配の声が出ている。

土浦市東崎町のRG動物病院、五頭理恵院長は「狂犬病予防注射は、近くの動物病院でも同じ費用で接種できる。犬のためというより人に感染させないためでもあるので、延期になっても忘れずに接種してほしい。かかりつけでなくても大丈夫なので気軽に相談してほしい」と接種を呼び掛ける。

実施時期は未定

つくば市は2日、土浦市は3日、延期を決めた。土浦市環境衛生課によると、同市では延期を決めた時点で市のホームぺージで知らせたほか、各地区で回覧をした。また集団接種の各会場に延期の看板を立てかけ、当日の予定時間には職員が現地で延期を案内した。

11日、犬の散歩をしていた土浦市の男性(46)は「延期は知らなかったが、やむを得ないと思う」と話した。飼い犬は毎年かかりつけの動物病院で接種しているという。

延期後の集団接種実施時期について、つくば市環境保全課は秋ごろを検討している。「時期が決まったら市のホームぺージに掲載し、区会回覧でも知らせたい」と話すが「新型コロナウイルスの収束状況によっては中止もありうる」と語る。「かかりつけの動物病院ですでに接種した犬もいるが、動物病院に行けない飼い主もいるので、未接種の飼い主には、はがきを出して知らせたい」と話した。

土浦市環境衛生課は「新型コロナウイルスの収束時期がわからないが、期日が決まったら広報誌と市の公式サイトで知らせたい。開催時期が近づいたら犬を飼っている世帯にはがきを出す」として「不明な点は問い合わせてほしい」と語った。

動物病院で接種する場合、県獣医師会に加入している病院なら狂犬病予防注射済票の交付が可能だ。それ以外の動物病院で接種した場合は、市の窓口で注射済票の交付を受ける。ただし新型コロナウイルス感染症予防のため休業している動物病院もあるので、事前に動物病院に問い合わせてほしいという。

つくば市赤塚、さくま動物病院の佐久間由紀獣医師は「集団接種が延期されて、次がいつになるかわからない。狂犬病予防注射は1年有効なので免疫など心配なことがあったら、気軽に近くの動物病院に問い合わせて来院してほしい」と話した。

日本に入れないため注射を

狂犬病の予防接種をなぜ年1回実施しなくてはいけないのか。RG動物病院の五頭院長は「狂犬病は人獣共通感染症で、犬や猫だけでなく人間もかかる病気。発症したら確実に命取りになる」と強調する。現在は日本などごく一部の国や地域で発症していないが、世界中に発症が分布しているという。

日本でも1950年以前は発症があり、犬にかまれて死亡した人もいた。予防接種を行ったことで、1957年以降、発症がなくなった。

しかし不正に小動物を輸入したり、外国船に乗っていた犬が寄港するなどして、狂犬病が日本に入ってくる可能性があるという。

五頭院長は「海外から狂犬病が入ってきたら大変なことになる。日本に入れないためには全国の犬に予防注射を打つ必要がある」と強調する。

◆注射費用は集団接種も動物病院も同額だ。病院によっては受診料などがかかる場合があるので問い合わせて確認することが必要。つくば、土浦市いずれも注射料3000円、注射済票交付手数料400円。新規登録の犬はさらに登録手数料2000円が必要。

桜川堤防を飼い主と散歩する犬=11日土浦市内
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