火曜日, 12月 30, 2025
ホーム ブログ ページ 92

「無償移譲」か「パークPFI」か つくば市民の選択問う洞峰公園説明会

96
洞峰公園の「無償譲渡」について市民に説明する五十嵐市長=筑波新都市記念館

茨城県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)の無償譲渡をつくば市が県から受けることに対する市民説明会が28日、同公園内の筑波新都市記念館で行われた。説明会は、22日に3度開かれたのに続き4度目。会場には40人あまりの市民が訪れ、五十嵐立青市長や県担当者との質疑が交わされた。

参加者からは、グランピング施設建設を伴う従来のパークPFIによる公園管理案か、洞峰公園の無償譲渡のどちらかを受け入れるという、「二者択一」をつくば市民が迫られている現状と、譲渡後にかかる1億5000万円の維持管理費を念頭に「もう少し議論をするべきでは」との疑問が投げかけられた。

五十嵐市長はこれに対し、「様々な話を知事ともしてきた。その中で県は、パークPFIをやるか、無償譲渡をつくば市が受け入れるか、ということになった。事実として二者択一しかなかった」とし、県都市整備課は「我々はパークPFIが最良と判断した。無償譲渡がもうひとつの選択肢。二者択一と考えている」と他の選択肢は考えていないことを改めて強調した。

移管前に県、12カ所の修繕を検討

無償譲渡後の公園管理方法について、市長は「管理の仕方は決定していない」とした上で、「指定管理(者制度)でなく、しばらくは直接業務委託のような形をとる」とし、「その間に(市民や有識者による)協議会でどのような形がいいかよく話し合う。指定管理がいいのか、別の形がいいのか、パークPFIがいいのか、(公園の)一定の方向性を示した上で公募に入っていきたい」との認識を示した。また、これまでにも議題にあげられていた駐車場の拡張については、「満車になるのは週末一定の時間だけ。平日は空きがある」とし、「今の段階で拡張する計画はない」と説明した。

譲渡の際には、今年5月に実施した、公園内の新都市記念館、フィールドハウス、体育館、プールに関する状況調査において「早急な修繕が必要」と判断された外壁や煙突など12カ所について、市への移管前に、県が修繕を検討していることが伝えられた。

その他、参加者からは、「(洞峰公園は)つくばの都市としての公共デザインとして非常に重要。50年の間に成熟したこのデザインを守っていただきたい」などの要望や、「校外学習で現在の洞峰公園の環境を子どもたちに体験させるだけでなく、つくば市の歴史も伝えていくことで、自分の街への愛着をより抱くことができるのでは」「(公園内の)落ち葉を堆肥にしたり、剪定で切り落とした枝を薪にしたりし売ることで管理費の節約につながるのでは」などの意見が挙げられた。

市による説明会はこの日が最終日となる。今後のスケジュールは、8月にアンケート調査を実施し、その結果次第で国、県との必要な協議や、市民や有識者らによる協議会設置の準備に入る予定。9月議会では、県から無償譲渡を受ける条例改正案、予算案を市議会に提出、10月に市に移管になるとした。8月に市が実施するアンケートの設問や方法などはまだ決めてないとした。(柴田大輔)

➡22日の第一回説明会の質疑の概要はこちら

黒い心 《短いおはなし》17

3
イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】
5歳の夏、弟が生まれた。僕は一週間、伯母の家に預けられた。
伯母は古い一軒家に、ひとりで住んでいた。
慣れない家で眠れずにいたら、天井に黒いシミが現れた。
シミはどんどん大きくなり、やがて液体になって僕の額にポトリと落ちた。
悲鳴を上げたら伯母が飛んできて、背中を優しくなでてくれた。
黒いシミが、じわじわと体の中に入る気がした。

母と弟が退院して、僕は家に帰った。
「卓ちゃんは、お兄ちゃんになったのよ」
母はその日から弟の世話ばかりで、僕は甘えることができなくなった。
ある日僕は、心の中で念じてみた。
「弟なんか消えてしまえ」
すると翌日、弟は高熱にうなされて、生死の境をさまよった。
僕は怖くなり、命を取りとめた弟に何度も謝った。

小学生になり、僕は自分の力を確信した。
いじめっ子に「消えてしまえ」と念じたら、翌日交通事故で入院した。
嫌な先生に「消えてしまえ」と念じたら、翌日不祥事を起こして学校をやめた。
宿題が終わらなくて「学校なんか燃えてしまえ」と念じたら、ボヤ騒ぎが起きて3日間休校になった。
僕は自分の心が怖くなって、念じることを一切やめた。

12歳になった夏、母が原因不明の病気で入院した。
僕は弟と一緒に、再び伯母の家に預けられた。
伯母は僕にだけ、異常なほど優しかった。
弟が寝た後、伯母が僕の顔をのぞき込んで言った。
「ねえ卓ちゃん、伯母さんの子供にならない?」
伯母は、嫁いですぐに夫を亡くして子供がいない。寂しいのは分かる。
だけど僕は、すぐに首を横に振った。

「伯母さん、僕はこの家が怖い。だからこの家の子にはならないよ」
僕は、あのシミを見た夜のことや、その後に起きた不思議な力の話を打ち明けた。
「なんだ。卓ちゃんもそうなの。実は伯母さんにも、その力があるのよ」
伯母は、嫁いで間もないころ、僕と同じ経験をしたそうだ。
「でも、卓ちゃんの念はちょっと弱いね。優しい子だから、本当に消すことは出来ないのね。伯母さんの念は強いよ。意地悪な姑(しゅうと)と小姑、ふがいないダンナ、みんな消しちゃった」
伯母はさらりと言った。笑みさえ浮かべている。

「伯母さん、まさかお母さんに何かした?」
「ふふ、卓ちゃんが欲しいって言ったら断られちゃったから、ちょっと嫌がらせ。ねえ卓ちゃん、私がもっと強く念じたら、あんたのお母さん、どうなるかな」
「やめて」
「ねえ卓ちゃん、伯母さんの子になって」
伯母が手首をぎゅっとつかんだ。やめて、痛いよ、やめて。

伯母の手が急に離れたと思ったら、胸を押さえて苦しみだした。
「えっ、伯母さん?」
伯母の呼吸が止まった。僕は念じていない。僕じゃない。

後ろの襖がすうっと開いた。弟が立っていた。
「ぼく、この伯母ちゃんキライ」
弟の額には、黒いシミがべったりと付いていた。(作家)

「君が代」と「さざれ石」 《ひょうたんの眼》59

2
庭のサルスベリ

【コラム・高橋恵一】大阪府吹田市で小中学校の児童生徒が校歌と国歌「君が代」の歌詞を暗記しているかどうかという調査をしていたと報道された。市議会議員の要求で数年調査していたようだ。暗記しているかどうかということは、学校で歌詞を教えているということだが、歌詞の意味をどのように教えているのだろうか?

私が小学3年生のとき、君が代の意味を先生に質問したら、「『君が代』は、以前は『天皇陛下の治める世の中、天皇の国』の意味だったが、今は、君と僕、私とあなたの世の中という意味にしている。千代に八千代にというのは、とても長い期間という意味。『さざれ石』は小さな石の意味で、とても小さな石が、だんだん大きくなって岩に、さらに立派な巌(いわ)になってコケに覆われるまで、私たちの国が永遠に栄えることを願う歌だ」と説明してくれた。

1999年の国旗・国歌法の制定に際し、君が代は、大日本帝国憲法下、天皇=国家への絶対忠節を強制し、戦意発揚につなげた経緯から、国民主権の日本にはふさわしくないという意見が沸き上がったが、政府は、君が代の歌詞は、元々、新古今和歌集にあり、長寿を願う歌で、国民になじんでおり、変える必要がないとして、国歌に制定した。

ところが、「さざれ石」については、小さな石が、成長して大きな岩になるはずがないとの指摘があり、政府は、これを気にしたようだ。

当時、文部科学省が、庁舎建て替えに際して、別のビルに仮住まいをしていたのだが、その玄関ロビーに、砂利の混ざったコンクリートの固まりのような、高さ1メートル弱のモニュメントらしきものが置かれていて、「さざれ石」と表示されていた。その石は、石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)といって、液状化した石灰質が、接触する小石や砂などの接着剤となって固まった礫岩だ。

礫岩=さざれ石とする文科省の強弁

さざれ石は礫岩の構成員だが、凝結した時点で「さざれ石」ではなくなる存在だ。1963年頃、岐阜県の愛石家が、地元の伊吹山麓の河岸に散在する礫岩を「君が代のさざれ石」と発表して、広まったらしい。出雲大社、鹿島神宮、建長寺などにも、礫岩がおかれていて、「さざれ石」として案内されている。

しかし、新古今和歌集の詠み手は、伊吹山麓の石灰質角礫岩を知るはずもなく、平安時代の歌詠みとして、アミニズム的な感性から、小石(さざれ石)が古刹(こさつ)の苔(こけ)石や屏風(びょうぶ)岩のように成長するとしたもので、現代にもつながる、日本人的な豊かな感性の国風文学の表現であり、人々に受け入れられているのであろう。

礫岩を「さざれ石」だとする文科省の強弁は、忠君・愛国の軍国日本を絶対とし、国威発揚の道具として、「君が代」を強制した暗い過去に戻したい勢力への忖度(そんたく)であろうか? どう取り繕っても、さざれ石は、さざれ石。極小の小石だ。文科省が、先頭に立って国語をねじ曲げている。

学校も神社仏閣も所管は文部科学省。先の戦争では、学校も神社仏閣も、戦争遂行の先手とされていたことを忘れてはいけない。(地図好きの土浦人)

介護のDX化で福祉拠点づくり推進 つくばに70床の特養

1
内覧会で、寝たまま入浴できる特別浴槽の紹介をするスタッフ=まごころの杜つくば

セキショウグループの社会福祉法人関耀会(筑西市、葉章二理事長)は26日、つくば市大砂に完成させた特別養護老人ホーム「まごころの杜つくば」(大島弘行施設長)の開所式を行った。医療機関、施工業者、行政などの関係者を集めた。

開所式で挨拶する葉章二関耀会理事長

筑波山神社、岡野真介権禰宜(ごんねぎ)が祝詞(のりと)を上げ、参加者の玉串奉奠(ほうてん)などの神事の後、関彰商事、関正樹社長が施主挨拶を行った。国光綾乃衆議院議員、山口裕之県福祉部長、市原健一いちはら病院理事長の3人が来賓として挨拶した。医療、福祉、介護の労働力不足が深刻化する中で、効果的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていく、施設への期待は大きいという内容だった。

同ホームはつくば市北部の敷地面積9449平方メートルに、2階建て延床面積3945平方メートルで建設。開設は29日の予定。

施設は「持続可能な未来の地域福祉拠点」をコンセプトに、ユニット型70床、ショートステイ10床が配置され、入所者が安心して暮らすことができる空間をめざし作られた。「ユニット型」の居室は共用スペースであるリビングを囲うような形となっているため、入所者と施設スタッフが交流しやすい作りとなっている。

特別養護老人ホーム「まごころの杜つくば」の外観

運営面では、居室センサー、離床や体動、心拍を完全に把握するベッドセンサー等の導入、スマートデバイスの活用やデータ連携を図り、経験や勘ではなく、データに基づいた「介護のDX化」を推進する。また、ケアプランに基づいた介護を推し進める上で、スケジュール管理に「AxistX」(アクシストエックス)という利用者と職員の業務予定をまとめて扱えるシステムを使い、質の高いケア・業務の効率化を図り、その結果全職員の業務の可視化が実現するという。さらに、太陽光発電の設置、送迎車としても利用する電気自動車の導入など環境に配慮した持続可能な施設運営を目指す。

葉章二理事長は「高齢化社会がさらに進む中、人材不足が叫ばれている。環境対策や最新テクノロジーを駆使した設備を利用することで効率の良い施設運営をし、未来の地域福祉拠点を作り上げていきたい。地域の医療や福祉にまごころをこめ貢献することで地域の人々の幸福につながれば良い」と展望を語った。(榎田智司)

高速の爽快感、新幹線 《遊民通信》69

0

【コラム・田口哲郎】
前略

先日、新幹線で博多まで行ってきました。東京駅を出発して5時間で着きました。博多は航空機で行くのが主流のようですが、鉄道好きとしては、新幹線以外に選択肢はありませんでした。東京駅を山手線で通るたびに、東海道新幹線を見かけては、旅情に思いを馳(は)せていたものです。

東海道新幹線といえば、幼い頃に新大阪から上京するときによく乗せてもらいました。私世代にとって新幹線といえば、丸いボンネットの0系です。いまはN700系。ずいぶん進化しましたが、カラーは白にブルーと新幹線は新幹線です。

さて、今回は内田百閒先生のように、用事もなく特急電車に乗って大阪に行ってきた、ということではありませんでした。用事がしっかりあったので、先生のように優雅に鉄道だけを楽しむ旅ではなかったのです。

しかし、5時間も超高速鉄道に乗っていますと、先生のエッセイを読むだけでは感じられないことに気づいたりしました。百閒先生は当時の特急「はと」が電気機関車に牽(けん)引されていて、時速70キロ以上出ているのではないか、とその速さに言及されています。いま時速70キロというと、常磐線の営業最高速度が時速130キロ超なのを考えると、速くはないのですが、戦後すぐには最先端であったでしょう。

このまえ乗った新幹線の最高速度は時速285キロです。百閒先生のときの4倍ほどになります。新幹線の車両は実によくできていて、揺れも騒音もないのですが、280キロの速さは体感できます。車窓の景色の流れが速い。目を閉じてもその速さを実感できます。日本国に通された鉄の道をすごいスピードで走り抜けるのは爽快でした。

なにか、日ごろの疲れが吹きとぶような、おはらいのような感覚がありました。百閒先生も用もないのにわざわざ電車に乗るために大阪に行っていたのは、このスピードの爽快感を味わうためではないのか、と思いました。国土を猛烈に走り抜けるという、現代では当たり前の体験。しかし、これは人類が日々更新している、新しい体験でもあります。

車内チャイムにみる時代の流れ

そういえば、新幹線の車内チャイムはTOKIOのBe Ambitiousが7月20日、20年来の勤めを終えて、最後だったそうですが、最後に聞けてよかったです。

20年前にAMBITIOUS JAPANをキャッチコピーに新幹線が走り抜けていた東京を思い出します。バブル崩壊後、IT革命勃発、グローバリゼーションの波の到来と、日本が新しい激動の時代に向かって立ち向かおうとしていた時代です。野心的であれ。

新しいチャイムは、UAさんの「会いにゆこう」だそうです。新幹線が日本の野望を担う大動脈から、個人と個人を結ぶ赤い糸に自己認識を変えたのでしょうか。時代の変化を感じずにはいられません。新幹線よ、永遠に。ごきげんよう。

草々
(散歩好きの文明批評家)

甲子園切符は土浦日大 9回一気の逆転劇【高校野球茨城’23】

4
土浦日大、勝利の瞬間=ノーブルホームスタジアム水戸(撮影・高橋浩一)

第105回全国高校野球選手権茨城大会は26日、ノーブルホームスタジアム水戸で決勝を行い、土浦日大が霞ケ浦を5対3で破り、5年ぶり5度目の夏の甲子園出場を決めた。霞ケ浦の最速150キロ右腕・木村優人は9回に力尽き、甲子園出場は夢と消えた。

(土浦日大の優勝は5年ぶり5回目)

土浦日大は3点を追う9回に7安打を集中、一気に5点を奪って逆転した。この回先頭の代打伊藤智一が右前打、飯田将生が右前二塁打で上位打線へ勢いをつなぐと、中本佳吾の中前打で2点を返す。押せ押せとなり、太刀川幸輝の左前打などで2死一・二塁とし、香取蒼太、松田陽斗、鈴木大和の3連打で3点を追加、一気に逆転を果たした。

9回表土浦日大2死一・二塁、松田の右前適時打で逆転

逆転打の松田は「前の打席からまっすぐをとらえていて、変化球で来るだろうと予想。打った球は覚えていないが、振り遅れず、詰まったと思ったが気持ちで持っていった。きれいなヒットでなくても次へつなぐことが大事」と話した。

先に好機をは生かしたのは霞ケ浦だった。3回裏に土浦日大の先発、藤本士生から3点を奪った。羽成恭之介の中前打や山崎隼人の内野安打などで1死一・三塁から、木村の遊ゴロが敵失を誘い2者生還。羽成朔太郎が左前打でつなぎ、大崎謙の右前適時打で1点を追加した。

3回裏霞ケ浦2死一・二塁、大崎の右前適時打でこの回3点目

ところがその後は打線が沈黙。特に6回以降は藤本の切れのある投球に三者凡退が続いた。一方木村は8回までを被安打7、奪三振5で無失点に抑えていたが、9回に力尽きた。霞ケ浦には魔の9回、両校は2017年の決勝でも顔を合わせ、9回表の逆転劇で甲子園を逃した悪夢がよみがえった。

勝利投手の藤本は「失点しても弱気にならず、相手がいやがる攻めの投球ができた。コンディションは良いとはいえないが、抑えるところは抑え、打たせるところは打たせて、メリハリの効いたプレーができた」と振り返った。

土浦日大の小菅勲監督は「木村投手には8回まで完璧に抑えられたが、9回には気持ちを切り替え、特に伊藤智、飯田のつなぎが大きかった。(取手二時代の恩師の)木内幸男監督は『野球は何が起こるか分からない』と常々言っておられたが、そういう気持ちで最後まであきらめないことが得点につながった」と選手を讃えた。

土浦日大の喜びはじける集合写真

霞ケ浦の高橋祐二監督は「木村が7本も連打を浴びるのは経験がない。どうしてこういうことが起こるのか」と、まるで負けに不思議の負けがあったかと言わんばかりの表情。「木村のボールは前2戦より走っていて、相手を押し込めていたが、勝ちを急ぐ気持ちがあせりを生んでしまったか。相手の執念に負けた」とかぶとを脱いだ。

人口増加率全国1位に つくば市

28
TXつくば駅前。グラフはつくば市の人口増加率の推移(%)

総務省が26日公表した住民基本台帳に基づく人口動態及び世帯数調査によると、つくば市の2023年1月1日現在(2022年1月1日から12月31日まで1年間)の人口増加率は2.30%となり、市区部で全国1位となった。つくば市が1位になるのはデータが比較可能な1995年以降初めて。

2位は千葉県印西市の2.16%、3位は流山市の1.90%、4位は東京都豊島区の1.89%、5位は台東区の1.85%で、つくばエクスプレス(TX)沿線のつくば市、流山市、台東区の3市区が全国ベスト5のうちの3つを占めた。

つくば市統計・データ利活用推進室によると、同市の人口増加率は2016年以降、1.5%前後の増加と堅調に推移してきた。特に沿線の区画整理事業が完了し宅地分譲が本格化しているここ数年は増加率が全国トップ10に入っており、2020年(2019年1-12月)の人口増加率は1.64%で全国9位、21年(20年1-12月)は1.75%で4位、22年(21年1-12月)は1.96%で2位となり年々順位が上がっていた。

人口増の主な要因について同市は、子育て世帯がTX駅近辺に転入を続けていることのほか、特に新型コロナの影響で控えられていた国外からの外国人の転入が、2022年中に再び活性化したことによる一時的な影響も大きいと分析している。

五十嵐立青市長は「転入超過数が2年連続、一般市で全国最多となったことに加え、人口増加率も全国1位となったことは、つくば市が選ばれるまちとなっていることが数字で示されており意義がある」とし「ランキングに一喜一憂することなく、持続可能で包摂的な都市を市民と共につくる努力を続けていく」とのコメントを発表した。

同市の人口は、合併してつくば市が誕生した1987年は11万人だったが、TXが開通した2005年は19万人になり、08年には20万人を超過、22年6月に25万人を突破した。今年7月1日現在の人口は25万5152人となっている。

たくましい農家の女性《菜園の輪》13

0
沢辺賢子さん(筆者撮影)

【コラム・古家晴美】今回は、つくば市北部の農村に住む沢辺賢子(たかこ)さん(78)にお話をうかがった。50年前に玉里村(現小美玉市)の農家から嫁いで来た。当時、舅(しゅうと)と姑(しゅうとめ)は、主に稲作と養蚕を営む農家で、自分たち息子夫婦はその手伝いをしながら、養豚やシイタケ栽培に取り組んでいた。

そして、その後約30年間は、バラを中心に栽培してきた。しかし、温室の燃料費高騰などもあり、バラ園は今年2月に閉園し、後継者である息子さんはブドウを栽培している。

専業農家の現役主婦の活躍ぶりには、頭が下がる。賢子さんがバラ園で働いていた2月までの生活は多忙を極めた。バラの作業にいつも追われ、近所の人とも長話もできず、家事と仕事の合間の時間に自家用畑の面倒を見ていた。

出荷前日の月・水・土の1日のスケジュールを振り返ると、朝6時に起床し、夫婦の朝食の準備、8時から花切り開始。12時に昼食の準備、13時半くらいからずっと花を束ねている。週末以外の18時には、家族の夕食の準備を始めなければならない。

大人ばかり7人の大家族の食事では、1日8合の米を食べきる。それに伴う大量のおかず作りも一仕事だ。朝からずっと花の作業と家事に付きっ切りとなり、息つく暇もない。

そして、日・火・木の花の出荷が終わる午前10時からお昼頃を、賢子さんは自家用畑の作業時間に当てていた。この地域では、自家用野菜を作る畑を「〇〇の畑」と地名で呼ぶ以外に、「ソトヤラ」(外谷和原)とも言うとのこと。

賢子さんは、5畝(せ=500平方メートル)の畑を1人で面倒を見ている。舅の手伝いをしながら、畑仕事を覚えた。姑は養蚕にかかりきりになっていたので、舅が自家用野菜を栽培していたのだ。賢子さんが本格的に作り始めたのは、舅が他界してからのことだ。

干し柿、こんにゃく、たくあんも

今の季節は、ナス、キュウリ、トマト、ピーマン、インゲン豆、ジャガイモ、白瓜、玉ねぎ、トウモロコシなどが食べ頃だ。また、仏壇に供えるための百日草、ダリア、グラジオラス、ホオズキも大輪を咲かせ、実をつけている。

畑の中央の小梅と南高梅、柿の木の根元には、こんにゃくが青々とした葉を茂らせている。去年は梅干を10キロ漬けた。今年は干し柿とこんにゃくを作る予定だ。冬になれば、大根35キロをたくあん漬けにする。大根の運搬を除けば、すべて1人でこなす作業だ。

賢子さんにしても、他界されたお姑さんにしても、農家の女性は、まさしく「縁の下の力持ち」だ。たくましい。(筑波学院大学教授)

障害者が遠隔操作するロボット接客 つくば市 就労可能性探る実証実験

1
分身ロボットが運んできたコーヒーをお客が受け取っている=スタートアップカフェ」(つくば市吾妻)=

つくば市で今月から、障害者が遠隔地で操作する分身ロボットによる接客などの実証実験が始まった。コーヒーファクトリー「スタートアップカフェ」(同市吾妻)では飲食物の配膳や来店者との会話を、市立中央図書館(同所)では絵本の読み聞かせを、全国各地の障害者や筑波大学に在籍する障害のある学生がロボットを通して行う。同市は昨年度、筑波大学の実証調査に協力する形で、同様の調査を約3週間実施したが、今回は5カ月間にわたり、障害のある市民などの就労可能性を検証する。

ロボットはオリィ研究所(東京・日本橋)の開発による「OriHime(オリヒメ)」。遠隔操作によって人の「分身」として働く。今回の実証実験では、体調などの面から週に数時間しか就労できない障害者数人が1台の分身ロボットを交代で操作する。

きなこさんが自宅から操作している分身ロボット「OriHime」

障害者雇用促進法は、事業主に障害者を一定数以上雇用する義務を課しているが、その対象は週20時間以上働ける障害者となっており、より短時間しか働けない重度障害者は雇用実績に換算されない。市科学技術戦略課の大垣博文課長補佐は、「ロボット1台の稼働時間を労働者1名の労働時間に読み替えることで、短時間労働の障害者も雇用率に算定できないか検証したい」と話す。

様々な人と会話しながら働く

20日から始まった実験で、筑波大学社会・国際学群1年のきなこさん(18)は24日、カフェで初めて働いた。

体長23センチほどの分身ロボットが乗るワゴンに、店員が「テーブル2番にレモンアイスコーヒーをお願いします」と商品を置くと、「わかりました」とロボットからきなこさんの声が聞こえてきた。自宅にいるきなこさんが遠隔操作でワゴンを動かし、テーブル席まで運んでいるのだ。

ワゴンが近づくと、客が商品と、必要に応じて紙ナプキンなどを受け取る。きなこさんが「シロップが下に溜まりやすいので、かき混ぜてお飲みください」と声をかけ、ロボットはカウンターに戻った。

普段、きなこさんは車椅子で生活する。以前から、様々な人と会話しながら働く接客業に興味があり、アルバイトを探していたが、車椅子での通勤や立ち仕事が不安で、実際に働いたことはないという。リモートでの接客なら、自分に合った働き方ができると思い、今回参加した。「将来は、いろんな人とお話しできる仕事に就きたい。今回の実証実験が、私自身の経験になると同時に、移動に困難があっても、このような形で働けることを多くの人に知ってもらうきっかけになるといい」

きなこさんからコーヒーを受け取った男性客は「最初は戸惑ったが、スムーズにコーヒーを受け取れた。障害のある人も働ける場がもっと広がればいい」と話した。

今回の実証実験に参加する筑波大生は、きなこさんのほか、運動障害や発達障害のある学生5人。

働く経験で高まる「自己効力感」

障害のある大学生が実証実験に参加する意義について、筑波大学人間系の大村美保助教は、「多くの大学生は飲食店などの接客業でアルバイトすることで、様々な年代や職種の人と関わり、社会を知る機会になる。しかし、運動障害のある学生が同様のアルバイトをするのは難しい。今回、このような形で働くことは、社会との接点になるだけでなく、他の大学生と同じ経験をすることで自信にもなるだろう」と話す。

昨年度の実証実験では、分身ロボットによる短時間アルバイトを通して、障害のある学生の「自己効力感」や職業に対する関心が高まったという。大村助教は「今回、より長い期間、働く経験をすることは、その後、学生たちがキャリア形成をしていく上で役立つだろう」と期待する。(川端舞)

●コーヒーファクトリーでは、11月24日(金)までの期間、11時30分から13時30分は全国各地の障害者が、15時30分から16時30分は筑波大の障害学生が接客等をする。11月27日(月)から12月20日(水)は、11時30分から13時30分で、全国各地の障害者のみが行う。いずれも土日祝日と、8月14日(月)から18日(金)は除く。

●市中央図書館では、9月7日(木)まで毎週木曜日、10時30分から15分間、以前、保育士をしていたが障害のために働けなくなった人たちがOriHimeを通じ、絵本の読み聞かせをする。

66人に還付通知を誤発送 市県民税983万円分を二重計上 つくば市

13
つくば市役所

スマートフォンやパソコンを使って納税できる「地方税共通収納システム」を利用して7月につくば市に納付があった66人分の市県民税について、同市は24日、納め過ぎた市県民税を返還するので請求してほしいという内容の過誤納金還付通知書を、66人に誤って発送してしまったと発表した。誤発送した還付金額は計983万800円になる。

市納税課によると、今月10日に市に納税情報の通知があった66人分について、市職員がシステム操作を誤り、二重に納付した状態となった。職員が作業の途中で別の電話対応や窓口対応を行い、ミスが発生したと見られるという。

還付通知書は14日と18日、66人に発送した。その後20日、課内でチェックをしたところミスが分かり、同課は66人に対し、経緯を記載したお詫びの文書を送付した。一方、24日までに7人から電話で「2回払った覚えはない」などの問い合わせがあり、7人に対し経緯を説明の上、謝罪した。実際に還付金の支払いはないという。

再発防止策として同課は、複数の職員で確認を行うなどチェック体制を強化するほか、納税情報の二重計上ができないよう、地方税共有納税システムに連動する市の収納システムの改修を実施するとしている。

軽自動車税7739件の納税情報送信ミス つくば市 車検で確認できず

12
つくば市役所

軽自動車や原付バイクなどを所有する住民がつくば市に納付した軽自動車税のうち、5月下旬に納付があった7739件分について、同市は24日、軽自動車検査協会がオンラインで納付情報を確認できる「軽JNKS(軽ジェンクス)」というシステムに、市職員が納税情報を送信するのを怠るミスがあり、今月21日に実施された車検の際に同協会が納税情報をシステム上で確認することができなかったと発表した。同日、車検代行業者から指摘があり、ミスが判明した。

軽JNKSは、地方自治体などが共同運営する地方税共同機構が今年1月から運用を開始したシステムで、納付情報をシステムに送信し共有することで、車検の検査窓口で納税証明書の提示が不要になる。

市納税課によると7739件は、5月30日に金融機関などから市に納付通知があった軽自動車税で、納税の処理作業をした市職員が、軽JNKSに情報を送信するためのフォルダーに納税情報を入れ忘れたのが原因という。職員が作業の途中で別の電話対応や窓口対応を行い、ミスが発生したとみられるという。

7739件についてはミス判明後、軽JNKSに納税情報を送信した。一方、納税情報がシステムに反映されるまでに数日かかることから、同課は、25日までに車検を受ける車両について、納税確認が取れない場合、軽自動車検査協会から市に連絡を入れてもらい、市職員がその都度、車両の車検用納付証明書を同市島名の同協会に届けることで対応するとしている。

再発防止策として同課は、複数の職員で確認するなどチェック体制をより強化すると共に、軽JNKSに納付情報を送信したかどうかを確認できるようシステムを改修するとしている。

エマニュエル・シャメルトさん《続・平熱日記》138

1
絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】「パパ、前の家に飾ってあったカッパの絵、あれすごく好きだったんだけど、どこにある?」と次女に聞かれたのはそう前のことではない。そういえばどこに片付けたのだろう?

それは何かのポスターの裏側に墨で描かれたカッパの絵。描いたのはエマニュエル・シャメルト。私が大学院にいるときに、彼は留学生として研究室にやって来た。当時、ヨーロッパからの留学生は珍しかった。ハンサム(本当にアランドロン系)でフレンドリーなフランス人。そして、私がフランスに行くきっかけを作ってくれた人。

エマニュエルとの思い出はたくさんある。チェスや将棋、大学の中庭でサッカーをしたり、お酒を飲んだり。トレビアンなポトフを作ってくれたことも。もちろん、彼の描く絵、作るオブジェ、そして好んで作っていたエッチングはとても記憶に残っている。彼の描く絵は一見すると子供が描いたもののように見える。

また、廃材や日用品を画面に張り付けていくアッサンブラージュ(掃除機が張り付けてあったときはさすがに驚いた)の作品。毎日、アトリエで増殖していく、例えば、木の端材を積み上げてペイントしていくようなオブジェなど、とにかくエネルギッシュで屈託がない作品の数々。しかし、そこには彼のエスプリが込められていて、何とも言えない魅力を感じる。

そんな彼と触れているうちに、何となくフランスという国に興味を持ち、やがて私は留学を決意する。エマニュエルには美人で聡明なリリアンさんという許嫁(いいなずけ)がいて、彼女もやがて東大に留学してくるのだが、博士課程まで在籍した彼は長く充実した日本での留学を終えて、私の帰国とほぼ入れ違うように彼女とフランスに帰って行った。

その後リリアンさんとの間に女の子が生まれ、「僕は子供のミルク代を稼ぎに行かなくてはならない…」というような漢字とジョークがたっぷり入った手紙を最後に、しばらく連絡を取ることもしなくなってしまった。

What a wonderful artist, …

先日、彼の訃報に触れた。彼は4年前に亡くなっていた。そしてこのたび、彼の個展を開いていた当時神宮前にあった兒嶋画廊さん(現在は国分寺市)で、8月6日まで「メモリアルエキシビション エマニュエル・シャメルト展」が開かれるとを知った。その副題は「What a wonderful artist, we’ll never forget」。(「なんて素晴らしいアーティストなんだろう、私たちは決して忘れない」※訳は編集者による)

彼の人柄と作品を好きだった多くの友人知人の協力によって開かれるという。生涯エマニュエルは絵を教えることを避け、長いものに巻かれることなく、ひとりのアーティストとして制作を続けたそうだ。

そう思って家の中を探してみた。そうだ、あのカッパは芥川龍之介のカッパだ…。でもやっぱり見つからない。とにかく、次女を誘って彼の作品に会いに行くとしよう。きっとエマニュエルはウィンクで出迎えてくれるだろうから。

追記。私はエマニュエルが好んで描いたモチーフのひとつ「電車」を描くことにした。彼はなぜか1両だけを描いた。それによく似た電車(正確にはディーゼル)を学校に行く途中で見かけることがあるのでそれを描いてみた。(画家)

土浦日大は2年連続決勝進出【高校野球茨城’23】

31
2回から登板し尻上がりの投球で被安打4、5奪三振の土浦日大・藤本=ノーブルホームスタジアム水戸(撮影・高橋浩一)

第105回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝が行われ、第2試合では土浦日大が逆転で常磐大高を6ー2で下した。土浦日大が決勝に駒を進めるのは2年連続。26日の決勝で、霞ケ浦と対戦する。両校が決勝でぶつかるのは2017年以来6年ぶり。

土浦日大は初回、相手先頭打者のソロホームランで1点を失い、2回にも3安打で1点を追加されるという苦しい立ち上がり。だが3回、2死から鈴木大和、太刀川幸輝、後藤陽人、香取蒼太の4連打で2点を返し、同点とする。

4回には無死満塁の好機から、相手投手の暴投で1点を追加、藤本士生のスクイズと鈴木の内野ゴロで2点をもぎ取り、5-2とリードを伸ばした。9回には後藤が右翼席へ運びダメ押しの1点を追加している。「つなぐ気持ちで打席に入った結果がホームランになった。打ったのはまっすぐ。打った瞬間から入る確信はあった」と後藤。

9回、ダメ押しとなった後藤のソロ本塁打

「前半は苦しんだが打線がカバーしてくれた。先発の小森勇凛はゲームを作れず、藤本も立ち上がりは良くなかったが粘り強く投げてくれた。小森には決勝でまた頑張ってもらいたい」と小菅勲監督。

2回2死から登板した藤本は「思ったより早い出番だったが気持ちの準備はできていた。相手は小森のまっすぐをとらえる良い打線。1点が大きい場面なので冷静に行けと言われ、自分がやってきたことを信じて攻めた」と振り返る。

5回にはアクシデントもあった。主将の塚原歩生真が打席で側頭部へのデッドボールで救急車で搬出された。だが「塚原を何とかして次の試合に出させよう」とチームが一つになり、一球を大事にする自分たちのプレーを平常心で続けたという。

勝利に駆けだす土浦日大ナイン

塚原の代わりに捕手を務めた飯田将生は「自分がリードするというより、藤本の良さを出せるようフォローする気持ちで臨んだ。練習してきた自分を信じ、仲間にも助けられた」と振り返る。相方の藤本は「飯田が本当に頑張ってくれた。練習やブルペンから信頼関係を築いていて、ずっと不安なく投げられた」との感想。

次は決勝の霞ケ浦戦。副主将の太刀川が「相手は勢いがあるしいい投手もいる。どう打ち崩すか、しっかり準備して臨みたい。苦しいときほどフォアザチームで、塁に出てチームに貢献したい」と言えば、藤本は「木村は対戦できるだけでうれしい相手。投手同士の投げ合いというより、チーム戦としてしっかり戦いたい」と発奮する。(池田充雄)

甲子園へ、まず霞ケ浦が王手【高校野球茨城’23】

1
7回裏、霞ケ浦・四條が左翼線に落とす逆転タイムリー=ノーブルホーム水戸(撮影・高橋浩一)

第105回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われ、霞ケ浦と土浦日大がともに逆転勝ちで決勝へ進んだ。霞ケ浦は4年ぶり3度目、土浦日大は5年ぶり5度目の夏の甲子園出場をかけた戦いとなる。両チームが決勝でぶつかるのは2017年以来6年ぶり。決勝は26日に同球場で行われる。

第1試合はノーシードから連覇を目指し、勝ち上がってきた明秀日立と大黒柱木村優人を押し立てた霞ケ浦が激突。霞ケ浦は1回、2死から菅谷冴樹が四球で出塁、木村の左前打などで二・三塁とし、羽成朔太郎の中前打で1点を先制した。

4回と6回に1点ずつ奪われ逆転されるが、6回裏に再逆転を果たした。新保玖和の左前打と菅谷の四球、木村の申告敬遠で1死満塁とすると、羽成朔の内野ゴロで2-2。途中出場の四條好誠が左翼線への適時打を放ち、3-2とした。

四條は6回表に守備固めで入った。「悪い流れになっていたので、自分が入ったことで雰囲気を変えようと思った」。その裏の打席では「勝ち越し点が欲しい場面。チャンスなので楽しんでいこうと打席に入った」。追い込まれても簡単に三振しないという意識でファールで粘り、フルカウントからの7球目、真ん中インコース寄りのストレートを思いきり振っていった。

7回裏、生還して雄叫びを挙げる新保主将(右)

7回には1死二・三塁の好機、まずはスクイズで1点を狙うが外され、走者が三本間で憤死。だが次打者、途中出場の前田虎太郎の内野ゴロが相手のファンブルを誘い、その間に新保が生還、1点を追加した。

投手は木村が先発完投。139球を投げて被安打4、奪三振は10。「股関節の踏ん張りがきかず手投げになっていたが、力を入れると球が上ずってしまうところを、彼のセンスで抑えて投げてくれた」と高橋祐二監督の評。

8回には二塁打と四球で無死一・二塁とされ、次打者にはフルカウントからファウル7球で粘られるが、二ゴロのダブルプレーで打ち取った。「絶対に1点以内で抑えたいと思い、その気持ちが相手を上回り、野手も応えてくれた」と木村。

8回表、無失点でピンチを脱した木村(左)

新保主将は「明秀に勝ててうれしい。試合の入りでは細かくしっかりつないでいく野球をして、しんどかったが相手のミスもあり、チームメイクがしっかりできた。決勝も勝って高橋監督を胴上げし、甲子園では校歌を歌いたい」と目標を掲げた。(池田充雄)

福島県小名浜で「汚染水を海へ流すな!」集会《邑から日本を見る》140

10
海の日アクション2023「汚染水を海へ流すな!」(写真は筆者提供)

【コラム・先﨑千尋】17日に福島県いわき市の小名浜マリンパークで開かれた海の日アクション2023「汚染水を海へ流すな!」に参加した。この集会は「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」が主催して開かれた。集会には、福島第1原発事故による汚染水の海洋放出に反対する地元の漁業関係者や専門家など県内外から約300人が参加し、集会後に小名浜漁港周辺をパレードした。

最初に同市民会議共同代表の織田千代さんが「海は、数えきれない命のかたまり。なぜ政府は汚染水の海洋放出を急ぐのか。薄めないと流せないということは汚染されているということだ。汚染水が流されたら、次の世代、その先の人たちに汚染された海を手渡すことになる。豊かな海の恵みに包まれている私たちの暮らしを忘れず、影響を抑えようと努力してきたことを無駄にしないために、海洋放出をストップさせよう」と訴えた。

続いて、小名浜機船底曳網漁協の柳内孝之専務理事が「事故後、原発から汚染水が海に流出し、福島の漁業は操業を自粛せざるを得なかった。しかし、わずかでも流通させなければ福島の漁業は終わってしまうので、試験操業を始めた。沿岸漁業の水揚げ量は約5500トンと事故前の2割にとどまるが、着実に増加してきている。漁業者は復興の妨げになる海洋放出を止めてと願っているが、国と東電は『漁業者の理解なしには放出しない』という約束を破ろうとしている。そういう国と東電を私たちは信用していない。また、IAEAは我々の生活を保障してくれない。処分の仕方を再検討してほしい」と、力を込めて語った。

東京大名誉教授の鈴木譲さん(魚類免疫学・遺伝育種学)は「薄めたトリチウムでも、海に流し続けたら海洋生物にどのような影響が出るのかは誰にも分からない。海洋放出によって海の生物が真っ先に影響を受ける。とんでもないことが起こり得る。国と東電は犯罪行為を行おうとしている。海洋放出すると言っているのは犯行の予告だ」と国と東電を糾弾した。

中国中央電視台も取材

市民のリレートークでは、会津若松、郡山、いわき、福島など県内からの参加者と、東電柏崎刈羽原発のある新潟県刈羽村や中部電力浜岡原発のある静岡県御前崎市などから11人が発言。多くの人が制限時間を超えて反対の声をあげた。

大熊町から会津に避難している馬場由佳子さんは「子どものいる母親として海洋放出に反対する。国と東電は大熊町など地元の復興のために汚染水を流すと言っているが、大熊の復興って何だ。子どもを守ることが復興ではないのか。ふざけんな!」と声を詰まらせながら訴えていた。

この集会には海洋放出に反対している中国から、中国中央電視台(テレビ局)が取材に来ていた。集会後、参加者は小名浜魚市場やイオンモールの前をパレードし、買物客らに汚染水の海洋放出反対を訴えた。(元瓜連町長)

川を次世代に託す 児童らフナの放流体験【桜川と共に】8

2
放流した稚魚の様子を観察する小学生ら=つくば市栗原の桜川

つくば市栗原の桜川沿いの広場に10日、市立栗原小学校(同市栗原)4年生児童59人が集まり、フナの稚魚40キロを放流した。桜川漁協(鈴木清次組合長)が種苗放流事業の一環として毎年行っている放流体験学習で、今年は同市内の栗原、栄、大曽根の3小学校と秀峰筑波義務教育学校を対象に各校40キロ、計160キロのフナの稚魚を放流する。

児童らはそれぞれのバケツに稚魚を入れて桜川に入ると、「冷たい」「気持ちいい」などと言いながら並び、鈴木組合長のかけ声に合わせて一斉に放流した。稚魚は群れになって泳いでいき、「かわいい」「元気だな」と声を上げながら見送るとしばらくフナを観察していた。

鈴木組合長は「フナは1匹だと小さく見える。川に入るとカワウやアメリカナマズ、ブラックバスなどたくさんの天敵がいるので群れになって泳いで大きく見せる。上から見ると黒い保護色になっており、下から見るとおなかは白いので空の色と同じに見える」とフナの生態や特徴について説明した。

また、「昔は川がプール代わり。今はプールがあるから幸せだよね。川にも遊びに来てほしいが、危険もあるので必ず大人と一緒に来てください。桜川にはたくさんごみがある。ごみを掃除し、下水も処理して水をきれいにしたい。逆水門(常陸川水門)を作ってからシジミが全くいなくなった。昔の桜川に戻したい」などと話した。児童らは真剣に聞き入っていた。

投網の技に児童ら歓声

放流体験の後は魚の漢字クイズが行われ、「鮒」や「鮎」「鯰」などの漢字のパネルが出されると、児童らは手を挙げて楽しそうに答えていた。クイズが終わると、新潟県出身で投網歴50年以上の組合員、佐藤孝男さん(73)が広場でしゃがむ児童らの頭上に投網を打ち、投網の技を見せた。網に捕まえられた児童らは歓声を上げていた。

鈴木組合長の魚漢字クイズ。答えは鮒(ふな)、鮎(あゆ)、鯰(なまず)

児童からは「フナは何を食べますか」「桜川にはフナのほかにどんな魚がいますか」などの質問が上がり、組合員らが一つひとつ丁寧に答えていた。

瀧原奏(かなで)さん(10)は「楽しかった。組合長さんのお話を聞いて川にゴミがたくさんあると知った。自分たちが桜川を守らなければと思う」と話した。近野碧音(あおと)さん(9)は「川や魚が好き。いろんな生き物を増やせるようこれから桜川をきれいにしたい」と語った。

アユとオイカワの姿も

この日、稚魚を放流したのと同じ時間、同じ場所で投網を打つ組合員がおり、アユとオイカワがかかった。オイカワは天ぷらにするとよいという。かかったアユを見て、組合員らは「昔はもっとたくさんのアユやシジミが捕れた」と思い出を語った。漁協組合員らは放流学習を通じて未来を次世代に託し、かつての桜川を取り戻すことを願っている。(田中めぐみ)

投網で捕れたアユとオイカワ

■これまでの【桜川と共に】記事はこちら

交通手段の利便性と多様性:地方高齢者の観点から《文京町便り》18

1
土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】近頃、高齢ドライバーによる自動車事故多発が報じられる。高齢ドライバーの認知症検査の厳格化や、運転免許証返上も促されている。

しかし、交通事故を起こした高齢ドライバーの(平均的な)言い訳としては、自分の近年の運動神経や反射機能(の低下)には不安を感じないでもないが、自分の日常生活でマイカー運転は不可避・不可欠だ、だから運転免許証も手放せず、(結果的に事故を起こした)この時もいつものようにマイカー運転を続けていたのだ、ということだろう。この感覚・認識は、現役を退き故郷に戻って生活している私にも、実感としてわかる。

私が評議員を務める日本計画行政学会の年次総会での公開シンポジウムが、2023年6月17日、都内の大学で開催された。テーマは「国土計画の今と今後の在り方」だった。登壇した講演者は、国土交通省(2001年1月の中央省庁再編後は官房長を含めて14の局長を抱える巨大官庁)の担当局長(現・国土政策局長、元・国土計画局長)の現職・元職、さらには国土審議会の中核メンバーなどだった。

このシンポジウムでの基本的な問題意識は、かつての全国総合開発計画から国土形成計画法を経て、21世紀前半の全国の国土整備をどのように進めるべきか―というものだった。

そもそも全国総合開発計画は、法律それ自体は1950年に公布されていたが、池田内閣の国民所得倍増計画(1960年)策定を受けて、1962年10月に第1次(全総、一全総とも略される)が閣議決定されてから、1998年の「21世紀の国土のグランドデザイン」まで、5次にわたって約10年ごとに策定されてきた。

しかし、中央省庁再編も経て、それまでの開発中心主義からの転換を目指して、新たな国土形成計画(全国計画)が2008年と2015年に策定されている。現在は第3次計画の公表に向けての最終段階である。

「シルバー民主主義」が成立していない

「中間とりまとめ」(2022年7月公表)によると、国土の現在の課題に対する令和版の解決の原理は、①民の力を最大限発揮する官民共創、②デジタルの徹底活用、③生活者・事業者の利便の最適化、④横串の発想―で、検討されている重点分野は、(1)地域生活圏、(2)スーパー・メガリージョンの深化、(3)令和の産業再配置、(4)国土利用計画―だそうである。

私には、この計画策定にかかわっている関係者の説明は、全国で展開しているさまざまな課題に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)に代表される新機軸を取り入れその全国展開を図ろう、という(旧来型の)スタンスの継承、と受け止められた。そこで私は、地方在住の年金生活者の立場からは、新機軸の安易な押し付けではなく、旧来型のシステム・技術体系の使い勝手の改善を心掛けてほしい―と質問・問いかけた。

具体的には、バスの使い勝手が悪いのは、その運行が時刻表とは乖離(かいり)していること。運行本数も多く経営規模も確かな大都市部では、近年、バスの運行状況はバス停ごとに確認できるようになっているが、本来バス利用への依存性が高いはずの地方圏ではそうしたサービスが未整備のままである。

こうした利用者の現在のニーズを無視して、5~10年先のバラ色を披露されても、地方在住の年金生活者には当面の課題解決には至らず現実的とは思えない。こうした計画策定のプロセスや方向性を見ると、とても「シルバー民主主義」が成立しているとは思えない。高齢者の運転免許証返上が進まない所以(ゆえん)でもある。(専修大学名誉教授)

霞ケ浦、土浦日大が4強【高校野球茨城’23】

3
霞ケ浦、安藤早駆のタイムリーで井上楓雅が捕手をかわしホームイン

第105回全国高校野球選手権茨城大会は大会11日目の22日、準々決勝4試合が行われた。土浦・つくば勢は、霞ケ浦が土浦湖北に9-2でコールド勝ち、土浦日大は4-1で東洋大牛久を破り、ベスト4に進出した。準決勝は24日行われ、霞ケ浦は明秀日立と、土浦日大は常磐大と対戦する。

霞ケ浦-土浦湖北戦はノーブルスタジアム水戸で行われた。霞ケ浦は、150キロの速球を武器にプロ注目のエース木村優人が4回までに3安打を打たれるも、粘り強く投げ無失点に抑えた。

霞ケ浦先発の木村優人。7回にホームランを打ち投打に活躍した

5回霞ケ浦は、制球に苦しむ土浦湖北の先発、久保田蓮大から3つの四死球を得て満塁とすると、一塁 富施賢太のエラーで先制した。続く井上楓雅が押し出し四球を選び1点追加し、菅谷冴樹の犠飛でこの回ノーヒットで3点を奪う。

3点を追う土浦湖北は、6回1死一、二塁の好機に清水俊介、真家匠の連続タイムリーで1点差に迫るが後続が凡退となった。

土浦湖北の清水俊介がライト前タイムリーを放つ

霞ケ浦は7回、先頭の木村優人がライトに本塁打を放ち追加点を上げると、2死後ランナー1人を置いて菅谷、安藤早駆、羽成恭之介の3連打で2点を追加する。さらに満塁の好機に代打、山崎隼人がライトフェンス直撃の三塁打でこの回一挙6点の猛攻で試合を決めた。

霞ケ浦の高橋祐二監督は「木村は悪いなりに投げたし、打線も最後に繋がって良いところが出た。次の明秀日立は強いチームだが、そこに勝つための練習をしてきたので精一杯頑張る」と語り、新保玖和主将は「前半なかなか点が取れない中、悪い流れでも慌てず我慢していく中で、相手のミスも絡めて得点できたのが大きかった。明秀日立は打撃が強いチームだけど、木村を信じて、自分たちの打撃、細かい野球をしていきたい」と話した。

7回2死満塁で霞ケ浦の代打、山崎隼人がライトへ3塁打を放つ

一方、土浦湖北の土佐一成監督は「浅野で打たれたのは仕方ない。7回の本塁打が痛かった。ベスト8の結果に関しては、昨年は初戦敗退からのスタートだったので、そこからキャプテンを中心によくチームをつくってくれた。まとまりも出て、打つ方も、ドラフト候補の木村からヒットを打てて点が取れたので選手たちはよくやってくれた」と今大会を振り返った。野口慧太主将は「相手のチャンスでミスが出てしまったが、6回に2点を取ったことは自分たちの野球が出来た。結果はコールドになってしまったが、恥じなく出来た。3年間を振り返って1年、2年は初戦敗退だった。最後にベスト8の成績を残せたのは光栄なことだし悔いなくやり切れた」と話した。(高橋浩一)

◆土浦日大の試合結果は以下の通り。

負担軽減へ 小中7校、洞峰公園のプール利用を検討 つくば市が3カ所で説明会

54
午前10時から大穂交流センターで開催された1回目の説明会の様子

つくば市二の宮の県営の都市公園、洞峰公園(20ヘクタール)を、つくば市が県から無償譲渡を受ける方針をめぐる市民説明会が22日、市内3カ所で実施された。五十嵐立青市長は、谷田部東中地区と並木中地区の小中学校7校の児童生徒に洞峰公園のプールを使ってもらうことを検討していることを明らかにした。

老朽化により来年度、大規模改修を実施する計画だった並木中プールの改修費用を試算したところ、5000万円から1億円かかることが分かったとして、7校のプールの維持管理費(大規模改修を含む)が年間2300万円から3700万円かかっており、児童生徒が各校から洞峰公園に行くとするとバス代が1300万円であることから、バス代を差し引いても洞峰公園プールを利用してもらう方が年間1000万円から2400万円プラスになり、その分が、市が新たに負担することになる洞峰公園の年間維持管理費約1億5000万円の低減につながるなどとした。

無償譲渡を受ける今後のスケジュールについては、8月にアンケートを実施し、すべてがスムーズに行けば、9月議会に県から無償譲渡を受ける条例改正案を市議会に提案、10月に市に移管になるとした。大井川和彦知事も7月6日の定例記者会見で、移管の時期を「順調に行けば10月になる」との見通しを示している。8月に市が実施するアンケートの設問や方法などはまだ決めてないとした。

今後の洞峰公園の管理方法については協議会を設置し検討するとし、協議会の構成は自治会、愛好者団体、商工団体、学識経験者などを挙げた。

22日の説明会は市北部の大穂交流センター、洞峰公園体育館、市南部のふれあいプラザで実施され、大穂には26人、洞峰公園50人、ふれあいプラザには16人が参加した。

午前中実施された大穂交流センターでは「(年間維持管理費の)1億5000万円をかけて市が引き取ってやる意味が全然分からない」など無償譲渡を受けることに反対する意見と、「洞峰公園の美しい自然と静かな環境を子供や孫に伝えていくべき」など賛成意見の両方が出された。「協議会に分科会を設置しいろいろな方面の意見を聞いてはどうか」などの提案や、「今のように庭園として管理するのではなく自然公園として管理すれば維持管理費がかなり安くなる」などの提案もあった。

午後からの洞峰公園体育館では、無償譲渡を受けることに賛成する意見や市長への感謝の声が多く出された。夜開催のふれあいプラザでは、説明会開催を告知する市の広報が少なく、地元茎崎地区の参加者が少なかったことについて「市は本当に(茎崎の住民に)参加してもらいたかったのかと(疑問に)思う。1億5000万円使ってもしょうがないねと思ってもらえるよう、洞峰公園に興味がない人に知ってもらう努力をすべきではないか」などの苦言も出た。

最終回となる4回目の説明会は28日午後6時30分から、洞峰公園筑波新都市記念館で実施される。(鈴木宏子)

次ページは大穂交流センターでの第1回説明会のやり取りの概要

夜の観察会・夏《宍塚の里山》103

0
ニイニイゼミの羽化

【コラム・鶴田学】今回は、宍塚の里山(土浦市)で夏に行われる夜の観察会について紹介します。街灯もなく真っ暗な里山の細い道をたどるのは、子どもたちだけでなく、大人でもなかなか体験したことがないと思います。

7月半ばの夜、懐中電灯を持って長靴・長ズボンをしっかりはいて、日の入り前の6時半に集合。注意事項を聞いてからの出発ですが、だんだんと暗くなってきます。こどもたちはウズウズしていますが、夜の里山にはマムシやヤマカガシなどの毒蛇がいたり、笹で手を切ったり、かまれると痛いキリギリスの仲間もいます。注意はしっかり聞いてもらわないと困りますね。

最初はセミの羽化を観察します。7月半ばの夕方には、主にニイニイゼミの羽化が一斉に始まります。夕暮れ前は、まだ始まったばかりで、まだノコノコと幹を登っていたり、足場を確かめていたり、脱皮が始まっていたりするものもいて、見つけるたびに、歓声が湧きますが、ほどほどにして、帰りにまた様子を見ることにします。

羽化するセミのそばには、捕食者のキリギリスの仲間やムカデなども見られます。ちょうど暗くなってきた空に、コウモリが飛んでいることもあります。

次は、クヌギなどに糖蜜を塗って、虫を集める糖蜜トラップの様子を見ます。こちらは、子どもたちの大好きなクワガタ類やカブトムシ、きれいなシタバガの仲間などを観察できます。

一人前のニイニイゼミになっていた

いよいよ日も落ちて、真っ暗な細い道を、懐中電灯をたよりに歩きます。ライトに反射して、ガの類の目はオレンジに、クモ類の目は白く輝いて見えます。バッタの類やナナフシなどの姿も見かけます。

さらに、懐中電灯も消して、真っ暗な中、陸生ボタルの幼虫が光るのを探します。暗闇に慣れるまで数分待つと、地面の近くで光るのが見えるようになってきます。ヘイケボタルやゲンジボタルなどの水生ボタルは、実は少数派で陸生ボタルのほうが多く、しかも成虫はほとんど発光しません。

今度は林の中に白い布を張って、ライトで照らして光に寄ってくる虫たちを観察します。コガネムシなどの甲虫類、ガの仲間、バッタの仲間など、本当に色々な虫たちを見ることができ、飽きないですね。

最後にもう一度、セミの羽化を観察。少し緑味を帯びていたものが、すっかり色づいて、一人前のニイニイゼミになっていました。ここまでで夢のような夏の夜の探検は終了。コロナの関係もあり、30名の人数制限がありますが、是非、参加してみてください。(宍塚の自然と歴史の会 会員)