県内で最初の公立幼稚園として138年前の1885(明治18)年に創設された市立土浦幼稚園(土浦市文京町)が、幼保連携型の認定こども園に生まれ変わり、「認定こども園土浦幼稚園」(塚本由美子園長)として10月2日に開園する。開園を前に24日、同園で開園式が催され、10月から同園に通う園児らが安藤真理子市長らとテープカットをしたほか、歌を歌ったり、父母らと園内を見学した。幼稚園と保育所の機能をもつ公立の認定こども園は同市で初めて。
土浦幼稚園は、市立東崎保育所(同市東崎町)と統合し認定こども園として再編するため、2022年3月に閉園した。老朽化していた園舎の改修工事が同年10月から実施され、今年8月に完成した。
同園は敷地面積約2300平方メートル、園舎は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積約1100平方メートル。1階は0歳~2歳児の教室のほか、子育て支援センター、一時預かり室、給食室などが配置され、2階は3~5歳児の教室のほか、ホール、共用空間のキッズスペースが配置される。
各階に段差は無く、エレベーターや多目的トイレを設置しバリアフリーに配慮している。園舎は明るく開放的なつくりで、内装は、木の温かみと園児の健康を考慮し、木材や自然素材を使用している。外観は、変化のあるフレームや色で楽しさや明るさを表現している。園庭は土浦幼稚園と同じ天然芝を敷き詰めている。設計・工事費は計約4億5000万円。
定員は0~5歳の110人。10月からは、9月末まで東崎保育所に通う1~5歳児56人が通園する。来年4月以降は0歳児も受け入れる。保護者に所用ができた時などに子どもを一時的に預けることができる一時預かり室や、子育ての相談に乗ったり親子で遊んだり情報交換などができる子育て支援センターを併設する。
開園式には、安藤市長や3~5歳児クラスの園児と保護者が参加した。安藤市長は「県内で最も歴史ある土浦幼稚園を生まれ変わらせることができてうれしい」と述べ、「先生の言うことをよく聞いて、元気いっぱい遊んでください」など園児らに話しかけた。
少子化の進行により、同市の公立幼稚園は土浦幼稚園を含め当初、22年3月までにすべて廃止される予定(2019年10月31日付)だったが、4年前の市長選で初当選した安藤市長が土浦幼稚園の存続支援を公約の一つに掲げた。当選後、市立幼稚園再編計画を見直し、土浦幼稚園を東崎保育所と統合し、認定こども園として残した経緯がある。
塚本園長は「土浦幼稚園の歴史と東崎保育所の伝統を継承し、新しい認定こども園としての役割と市内の子育て支援の拠点としての役割を果たしていきたい。地域の皆さんと共に、子供たちが元気で楽しく過ごしてくれたら」と話し「土浦幼稚園の特徴だった外国人講師を招いた英語教育や体操教師を招いた体操教室のほか、『自転車のまち土浦』として新たに、自転車の乗り方教室なども開きたい」と話す。(鈴木宏子)